大学分科会(第175回) 議事録

1.日時

令和5年10月25日(水曜日)13時~15時

2.場所

Web会議

3.出席者

委員

(分科会長)永田恭介分科会長
(委員)熊平美香,後藤景子,橋本雅博,湊長博,吉岡知哉の各委員
(臨時委員)相原道子,麻生隆史,大森昭生,小林弘祐,志賀啓一,須賀晃一,髙宮いづみ,曄道佳明,濱中淳子,平子裕志,福原紀彦,益戸正樹,松下佳代,森朋子,両角亜希子,吉見俊哉,和田隆志の各委員

文部科学省

(事務局)池田高等教育局長,寺門私学部長,西條大臣官房審議官,伊藤文部科学戦略官,氷見谷主任視学官,小幡高等教育企画課長,古田大学教育・入試課長,小林参事官(国際担当),石橋生涯学習推進課長,神山私学行政課長,桐生私学助成課長,篠原私学経営支援企画室長,髙見高等教育政策室長,邉田国立大学戦略室長,片見私学行政課課長補佐,花田高等教育企画課課長補佐,疋田高等教育政策室室長補佐ほか

5.議事録


 
【永田分科会長】  こんにちは。第175回中央教育審議会大学分科会を開催させていただきます。
 御多用の中、時間をつくっていただきまして、どうもありがとうございます。
 かなり会場参加の方が増えましたが、本日も対面とウェブのハイブリッド会議として開催します。この全体の様子はユーチューブで配信をされます。
 ウェブで出ている方々が、独立して意見が述べられる環境にいらっしゃるという前提で進めさせていただきたいと思います。
 本日、議題は大きく2つと、報告に相当するものが1つあります。1つ目は認証評価機関の認証ということで、その部分は非公開とさせていただきます。これは運営規則第3条第2号に基づいて非公開とさせていただきます。こちらが終わり次第、ユーチューブで配信をするということにさせていただきます。
 それでは、事務局のほうから連絡事項があればお願いいたします。
【花田高等教育企画課課長補佐】  ありがとうございます。本日はハイブリッド会議及びライブ配信を円滑に行う観点から、御発言の際は挙手ボタンを押してから発言いただければと思います。また、分科会長から指名されましたら、お名前をおっしゃってから御発言をお願いいたします。御発言の後は、再度挙手ボタンを押して表示を消していただきますよう、お願いいたします。発言時以外はマイクをミュートにしていただくなど御配慮いただけますと、幸いでございます。
 会議資料は、次第のとおり事前にメールでお送りしておりますので、御確認いただければ幸いです。
 以上でございます。
【永田分科会長】  ありがとうございます。先ほど申し上げましたとおり、本日議題に相当するもの2つと、報告に相当するものが1つあります。認証評価機関の認証、それから、急速な少子化が進行する中での将来社会を見据えた高等教育の在り方、今期のメインのテーマであります。それと、報告として、「せかい×まなびのプラン」についての御報告をさせていただきます。
 それでは、早速議事に入らせていただきます。認証評価機関の認証について、本件は令和5年2月24日に中央教育審議会の諮問にあった一般社団法人専門職高等教育質保証機構の認証について、認証評価機関の認証に関する審査委員会で審査が行われまして、その結果が適当であるかを議論いただきました。
 本日は、審査委員会から前田臨時委員にお越しいただいておりますので、経過、結果について御報告をいただきたいと思います。

【認証評価機関の認証について】
一般社団法人専門職高等教育質保証機構からの申請に関する「大学分科会認証評価機関の認証に関する審査委員会」における審議経過について,前田臨時委員から資料1-1に基づき報告があった。
その後,審議を行い,資料1-2の原案のとおり答申することが可決された。
また、中央教育審議会大学分科会運営規則に基づき,この時点から会議が公開された。 

【永田分科会長】   それでは、ここからユーチューブ配信になりますので、御留意ください。
 それでは、この第12期の大学分科会のメインテーマです。急速な少子化が進行する中での将来社会を見据えた高等教育の在り方についてです。9月25日付で、大臣より中央教育審議会に諮問をいただいています。
 それでは、事務局から、その諮問の内容についての御説明をお願いいたします。
【髙見高等教育政策室長】  高等教育政策室長の髙見です。先ほど永田分科会長からも御説明いただいたとおり、9月25日の中央教育審議会におきまして、文部科学大臣より中央教育審議会に対して、急速な少子化が進行する中での将来社会を見据えた高等教育の在り方について諮問がなされました。
 本日関係する資料としましては、資料の2-1、資料の2-2、そして参考資料1と参考資料2というのが関連する資料でございますが、その諮問の内容につきましては、お手元の資料の2-2の諮問文に沿いつつ、参考資料1のデータ集も適宜参照いただきながら、御説明差し上げます。
 まず、資料2-2を、1枚目をめくっていただければと存じます。1ページ、下に書いてございますが、そちらの理由の部分を御覧ください。高等教育の在り方を今後、今回検討いただく背景、必要性について、大きく2点掲げております。1点目は急速な少子化の進行です。2022年の出生者数は77万人強でありまして、統計開始以来最少の数字となっております。参考資料1のデータ集15ページ、こちらもちょっと併せて見ていただければと思いますけれども、主たる進学者である18歳人口は、ピーク時である昭和41年が約250万人であったものが、少子化の進行によりまして、令和4年、昨年は約112万人と半分以下に減っております。一方で大学進学率の増加に伴いまして、大学進学者数は、昭和41年の29万人から、昨年は64万人へと大きく増加しております。
 次に、参考データ集の39ページも併せて御覧いただければと存じます。前回、7月の分科会でもお示ししました、2040年から2050年の進学率・進学者数の推計ですが、急速な人口減少に伴い、今後の大学進学率の伸びを加味したとしても、厳しい状況にあることが分かります。ここにお示ししております3つの箱のあるうちの一番上の段を御覧いただければと存じますが、このうち大学入学者数、2040年のところは約51万人でございますけれども、これが2050年、一番右端になりますと、50万人を少し切っていくといった状況になってまいります。したがいまして、2040年以降は50万人前後で推移すると推計されているところでございます。
 それから資料の2-2に戻っていただければと存じますが、2点目、先ほど申し上げた少子化以外の高等教育を取り巻く変化といたしまして、特に3点挙げられるのではないかと考えています。1つ目は、コロナ禍を契機として遠隔教育が急速に普及して、その可能性や課題が見えてきたこと、2つ目は、国際情勢の不安定化によりまして、教育や研究のグローバル化への大きな影響が及ぼされていること、3点目は、我が国の研究力が相対的に低下しているということです。
 こうした状況の中で、中教審におきまして、2018年、今からちょうど5年前でございますけれども、いわゆるグランドデザイン答申を取りまとめていただいております。これを受けまして、学習者本位の教育への転換を図り、教学マネジメント指針の策定や大学設置基準改正などを行って、高等教育の質の保証をはじめ、様々な取組を行ってきております。また、初等中等教育段階での1人1台端末の導入ですとか、探究的な学びの充実などが進むとともに、2020年に導入された修学支援新制度などによりまして、低所得者世帯の高等教育進学率が上昇するなどの変化も生じているところでございます。
 こうした今後の複雑に変化する社会におきまして、一人一人の実りある生涯と我が国の持続的な発展・成長を実現して、人類社会が調和ある発展をしていくためには、人材育成と知的創造活動の中核である高等教育機関が一層重要な役割を果たしていくといったことが求められております。高等教育機関におきましては、初等中等教育段階での取組も踏まえた上で、学生が文理横断的に知識やスキル、態度、価値観などを身につけ、AIでは代替できない、真に人が果たすべき役割を考え、実行できる人材を育成していくといったことが必要です。また、社会に出た後も、新たに必要とされる知識などを身につけて、随時更新していくためのリカレント教育も、一層求められているところでございます。
 このような要請に応えて、高等教育機関が求められる役割を果たすことができるようにするためには、今後の高等教育全体の適正な規模を視野に入れた、地域における質の高い高等教育へのアクセス確保の在り方や、国公私の設置者別、あるいは機関別の役割分担の在り方の明確化を図りつつ、各機関の教育研究の質の一層の向上を図っていくことが必要です。また、これらを実現するための支援の方策についても検討いただく必要があると考えております。検討に当たりましては、中長期的な観点から、おおむね2040年以降の社会を見据えて、目指すべき高等教育の姿ですとか、それを実現するための方策など、高等教育の在り方について御審議をいただければと存じます。
 具体的な諮問事項として、資料2-2で申し上げますと、2ページの下以降でございますが、大きく4点掲げております。第一でございますけれども、2040年以降の社会を見据えた高等教育が目指すべき姿についてです。現在の高等教育政策は、先ほど申し上げたとおり、おおむね2040年頃までを念頭に置いて審議・提言をいただいたグランドデザイン答申の方向性、特に学習者本位の教育への転換という大きな方向性を踏まえて進められております。今回の審議におきましては、この方向性を前提としつつも、同答申以降の社会経済の様々な変化を踏まえまして、これからの時代を担う人材に必要とされる資質・能力の育成に向けた高等教育機関の役割の一層の発揮のために、今後さらに取り組むべき具体的な方策について御議論いただきたいと存じております。
 第二でございますが、3ページの中ほどからでございますけれども、今後の高等教育全体の適正な規模を視野に入れた、地域における質の高い高等教育へのアクセス確保の在り方についてでございます。2022年の18歳人口は、先ほど申し上げたとおり、約112万人、大学入学者数は約60万人でございます。グランドデザイン答申では、社会人や留学生を含めた多様性のあるキャンパスの姿、これを書いていただきました。描いていただきましたけれども、学部への社会人入学生者数というのは、おおむね1万人台の後半でこれまで推移していると。また、学部に占める留学生の割合というのも、OECD諸国と比べて低い状況が続いております。さらに、地域によって高等教育機関への進学率ですとか、進学者収容力が異なるとともに、少子化の中で地方の私立大学ほど厳しい経営状況である傾向にあるなど、高等教育の置かれている状況は、地域によって大きく異なっております。こうした状況も踏まえまして、今後の高等教育へのアクセス確保の在り方について考える必要があるということで、特に各機関の理念や使命、また、社会のニーズを踏まえた高等教育の実現に向けまして、既存学部・学科の構成や教育課程の見直しなど、教育研究の充実に関する方策、また、高等教育機関間の連携の強化に関する方策、さらに再編・統合等を促進する方策、さらには教育や経営に関する情報の公表に係る方策をはじめとしまして、今後の高等教育全体の適正な規模も視野に入れながら、地域における質の高い高等教育へのアクセス確保をするための抜本的な構造改革の在り方について、御議論いただければと存じます。その際、地方の高等教育機関が果たしている多面的な役割につきましても十分に考慮しつつ、御検討いただければと存じます。
 それから第三でございますが、これは3ページ目の下のほうからになりますけれども、国公私立の設置者別などの役割分担の在り方についてです。第一及び第二の検討事項を踏まえまして、高等教育全体の目指すべき姿を議論する際には、設置者別、あるいは機関別の観点からの議論も必要でございます。我が国の高等教育機関における設置者別の在り方については、歴史的経緯や制度上の位置づけも考慮し、また、グランドデザイン答申でも再整理いただいた役割等も踏まえた上で、それぞれの高等教育機関が持っている特色とか強み、これを最大限に生かして、高等教育の在り方を再構築していく必要があります。各高等教育機関におきましては、これまで設置者別・機関別に様々な役割を果たしていただいていますけれども、例えば国立大学におきましても、大学ごとにそのミッションの多様化が進んでいること、さらに昨年、3,000億の基金によるデジタル、グリーン等の成長分野での学部再編支援を通じた大学改革の推進などの政策が進展するなど、政策上の大きな変化もございます。さらに少子化の急速な進行ですとか、デジタル化・グローバル化の進展など社会の大きく変化していく中で、国公私立の設置者別ですとか、大学、短大、高専などの機関別の役割分担の在り方、また、果たすべき役割・機能を明らかにするとともに、その実現のための具体的方策について検討をお願いできればと存じております。
 それから最後になりますが、4ページ目の下のほうからになります。第四でございますが、高等教育改革を支える支援方策の在り方についてです。各機関におきましては、厳しい財政状況の中で人件費や研究費が必ずしも十分に確保できず、教育研究に大きな影響を与えかねない事態が生じているとの指摘もございます。また、我が国の高等教育段階に対する教育支出は、OECD諸国平均と比べて、家計負担の割合は2倍程度高い現状もございます。第一から第三の、先ほど申し上げました検討事項も踏まえていただいた上で、教育研究を支える基盤的経費ですとか、競争的研究費等の在り方、あとそれらの充実方策、また、民間からの投資を含めた多様な財源確保の観点も含めて、今後の高等教育機関、あるいはまた、学生への支援方策の在り方についても御議論いただければと存じます。
 以上が、中心的に御審議をお願いしたい事項でございますけれども、このほかにも高等教育の在り方に関し必要な事項について御検討いただき、審議が一定程度取りまとまったものから、順次成果を御提示いただければと考えております。どうぞよろしくお願いします。
【永田分科会長】  ありがとうございます。この期が始まって、フリーディスカッションを一度行っております。今日のフリーディスカッションは目的が明確になっているわけで、今御紹介いただきました諮問に我々が答えるということになります。4つのメジャーな柱立てを持つ諮問に対して、我々が答えていかないといけないということです。これから自由に御発言いただきますが、それぞれの柱に関連してといっても、全部いろいろリンクしているので、そういう制限もなくてもいいかもしれません。
 ただ、最初に私も意見を申し上げておきたいのですが、今回の諮問の内容というのは、大きな軸は少子化です。それから、変動している社会だという、この2つが前文に出てきて、それをどうするのかということです。少子化とかを考えたときに、我々の日本という国の知の総和は、当然ここにいらっしゃる先生方は、維持をするか、向上させるという御意見ではないかと思います。まさかここで減らせばいいっておっしゃる方はいらっしゃらないと思います。そうすると、その知の量というのは、定量的になかなか測れませんが、人の数と、それぞれの人がどれだけできるかという数を掛け合わせて、総和したものです。どう考えてもそれ以外はありません。
 そこで考えなければいけないのは、現在の状況から少子化という問題が起こったときに、この総量が確実に減ります。現状のままの体制と教育方法であると、減るに決まっているわけです。人数が減った分、大学に進学している人たちの山は、能力の低いほうまで含めて取らないといけないからです。そうすると、2つに1つというか、2つとも必要で、人を増やす、つまり少子化という数を凌駕する何かがあるのかという問題と、それでもその減った部分を今以上の高い知を生み出す人、あるいは社会に貢献できる人を生み出さないと埋まらない。1人がこれまで以上の力をつけないと、日本は滅びます。これを両方やらなければいけない。つまり、人を何とか確保していく。魅力ある大学教育を展開するという意味では、それぞれの今までの教育方法では、少なくとも今と同じ能力の総和しか出ていかないので、能力がより低いほうに移ったときに、さらに今よりも厳しく教育力を上げないと、高い数字には持っていけない。今のやり方をすればそうなってしまうので、そこに知恵があれば、我々としては胸を張って前に進めるわけです。
 少子化は現実的には変えられない物理的な状況なので、これをいかにして、現状維持ではなくて、我々の国の知の総和として増やしていくのかという議論にならないといけないと思います。その中では、なかなか言いづらいことも出てくるかもしれません。先ほど出てきたような観点の中で大学の在り方を見つめるときに、今のままでは存続し得ない大学も出るかもしれません。また逆に、今十分やっているという大学も、今のままでは不十分である、もっとより高いレベルの教育をしていかなければいけないということにもなると思います。大きく分けて両面、やはりタレントをどうやって集めて、高い、今よりも少なくとも高い水準の教育を、少なくともその成果を出せる教育を行わないといけない、という2つに大きく分けられると私は思っています。それ以外にももちろん観点はたくさんあると思いますが、そこにリカレントだとか、留学生だとか、いろいろな問題、当然ながら数のほうにも入ってくるし、質の問題にも入ってきます。そこをよくよく勘案しないと、ここで話した責任を20年後、30年後に取るのはそのとき生きている人なので、今回の我々の責務はかなり重いと思っています。
 そのような認識で、まず御議論を、ただし、今日はそこまで高いことを言わなくても、感覚的にこういう問題があるのではないかという話で十分だと思います。広く御意見を募らせていただいて、事務局や我々のほうでうまく章立てして、議論が今後あまりリダンダントにならない、発展的にできるようなものをつくりたいので、今日は平たく御意見を伺えればと思っております。
 私からは以上です。
 それでは、もう自由に挙手等いただければ、御発言お認めします。
 益戸委員、どうぞ。
【益戸委員】  益戸です。よろしくお願いします。
この諮問について言い換えれば、最近G7の中で地位低下が目立ち、かつ少子化の日本が教育の再構築を行い、どの様に新しい世界を駆け抜けるかの待ったなしの議論を行う覚悟が必要だと感じています。
 前回のグランドデザイン答申をつくった際のベースになったのは、参考資料5にある、各都道府県における高等教育・地域産業の基礎データにある高等教育機関への県内外からの流入、流出数でしたが、今回は、高等教育機関から卒業後にどの地域に出ていったのか、そしてどんな業種、規模などの企業・機関へいったのかなどの考察も重要と思います。高等教育機関としてどのような人材育成に貢献をしたかの切り口です。議論のベースについては、教学マネジメント委員会、質保証委員会で十分議論をしたので、次の段階へ進めると考えます。
 資料2-1の2.主な検討事項の(3)の中の、国公私の設置者別等の役割分担の在り方ですが、従来は地域をベースにこの区分で考えていたと思います。しかし、最近では衆議院議員の選挙定数の10増10減は、行政区ごとの区割りではなくて、人口に比例した形での比例配分でした。従来型のこの国立、公立、私立という分け方で良いのでしょうか。得意分野ごとのくくりであるとか、やらなければいけない人材育成目的のために、どうすれば良いのかの議論も必要だと思います。
 最後に、アカデミアの世界では、シーズとニーズの議論がありますが、更なる教育資金確保の為には、シーズ中心だけではなく、よりニーズに焦点を当て、高等教育を発展させる議論を加速すれば、教育への予算増加への理解も得られるのではないでしょうか、そしてその議論を分かり易く伝えていく事も重要だと考えています。
 以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございます。簡潔に述べていただきまして、いつも失敗してしまうのであらかじめ申し上げます。皆さん意見をお持ちの方がたくさんいらっしゃいます。皆さんに御発言できるように、なるべくコンサイスに御発言をお願いしたいと思います。
 志賀委員、どうぞ。
【志賀委員】  ありがとうございます。答申の理由の4ページのところの真ん中辺り、まずはこの答申のこの中に、機関別として短期大学を言及していただきましたことを感謝申し上げます。グランドデザイン答申のときも、短期大学の役割について入れてください、入れてくださいとずっと言って、ようやく少しだけ入れてもらったという経緯がありまして、やはり機関別の役割について検討することは非常に重要かと思います。
 ですが、ここに書いてありますのが、例えば教育や看護というのは現状4年制大学が中心ですし、専門学校に記載のある医療・福祉、工業、ITというのは、システム開発、研究等においては、やはり大学院ぐらいの技能が必要であり、活用する分において専門学校が役割を担うということであります。これらの言及につきましては、私第1回で自分の発言で言ったので、それを受けて書いていただいたのであれば大変ありがたい一方で、そのときの意図としては、短期大学のことのみではなくて、全般的なそれぞれの職種に就業する際に必要な技能や資格等が必要な分野について述べたものであるということで、ここの再整理をお願いできればと思います。
 その上で、私前々回、必要な分野についてそれぞれ調査していただきたいと申し上げたんですけれども、ぜひ改めて、高等教育の教育課程に密接に関わっている各種資格についても、ぜひ調査研究をしていただきたいと思います。かつて専門職大学を設置する際の議論においても、医師と弁護士、医師免許と司法試験は除外するということは決まりましたが、その他の分野についてあまり検討しないまま進んだと記憶しております。また、昨年の設置基準改正についても、科目について弾力的な運用ができるようになったんですが、すぐさま厚生労働省のほうから、栄養士等の管轄資格においてはこれまでどおりにするようにという通知が来ていて、横のつながりが感じられず、結局そういう養成施設の学校は、あまり設置基準の改正の意味がないという状況にございます。文科省管轄外と言われるかもしれませんが、短期大学、専門学校はもちろん、4年制大学についても資格は多岐にわたりますので、少なくとも科目履修によって取れる資格、または、最終的に試験に合格が必要でも、関連科目の履修が必要な科目については整理し、その在り方も検討していただきたいと。その各資格も、今2年で取れるのを4年制に高度化しようとか、そういう議論があるんですけれども、どうしても二の足を踏んでしまうという状況があります。
 それともう1点、先ほどから少子化のことと、前回人口推移の説明がありましたが、進学率の向上というのが参考資料でかつての議論でありましたけれども、その議論は本当にしなくてよいのかということをお伺いしたいです。確かに短大、専門学校等、全部高等教育機関を足すと、進学率は90%を超えていますので、このまま4年制大学の進学率を上げると短大も圧迫するので、気を遣っていただいたのかなと思うんですが、一方で、少ない人材を高度な人材にしたいというのであれば、当然大学院進学率を上げなくてはいけない。そのためには分母を上げなくてはいけないということであれば、留学生だけを頼りにするのではなくて、進学率の向上というのも議論をしなくてはいけないかと思います。その際に、短大は短大でリカレント教育等いろいろ工夫できることもありますので、これができないのであればなぜなのかというところも含めて、調査していただきたいと思います。でないと、教育未来創造会議で留学生を増やす、こちらは筋が通っているんです。留学生は増やす、出すほうも増やす。大学院のほうの進学者も増やすということなんですが、日本のほうの進学率を上げないということになると、今後、留学生のほうがより高度な人材になってしまって、国益に資するかということについても疑問に思うところがございます。ですので、半分質問なんですが、進学率の向上等は検討しなくてよいのか、こういうことについて、できれば検討していただきたいという、長くなりましたが、その2点でございます。
 以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございます。進学率については少し触れている部分もあると思うので、後々また検討はするとしても、100%になったら国力が100%維持できるかというと、それでも数は明らかに減っているので今のままではできないわけです。我が日本における知の総和は足りなくなるので、教育内容の革新はしないといけないだろうと思います。
 相原委員、どうぞ。
【相原委員】  私からは、高等教育機関としての大学に求められる機能についてです。大学としての活動の基本は、教育、研究において世界に伍していくということだろうと思います。これは設置者にかかわらず同じだと思います。例えば公立大学も私立大学も、地域中核・特色ある研究大学の支援の対象になっているわけで、これは地域にあっても、世界レベルの研究を展開させていくことを求めている支援のはずです。そのためにそれぞれの大学にどのような機能を持たせるべきなのかは、設置者ベースではなくて、その多様性を含めて考えるべきだと思っています。国立大学は世界水準の研究や教育、公立大学は地域貢献、私立大学は地域の人材育成と役割分担を明確化することは、それぞれの大学の多様性を無視することに繋がり、決して我が国全体の利益につながるものとは思えないです。
 それから3ページの、明治期以来の歴史上の経緯や制度上の位置づけを考慮しという記載がありますけれども、これだけ社会の枠組みが大きく変容していますので、100年、150年前のものの考え方をベースにしていきましょうというのは、ちょっと今の議論とは思えないです。
 大学、高等専門学校、短大、専門職大学といった、高等教育機関の区分に即した機能の見直しのほうは重要だと思っております。
 以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございます。益戸委員からも、少し国公私の分け方はどうだろうかという疑問が出されております。
 両角委員、どうぞ。
【両角委員】  ありがとうございます。両角です。この諮問の内容で、先ほど永田先生おっしゃったように、少子化と、あと変動していく社会という、この2つに両方対応していかなければならないということを、強く意識しなければいけないなと思っております。ややもすると、何かこう、18歳人口が急減していって、今でさえ定員が割れているのに今後どうするのか、というところに議論が集中しがちになってしまいますと、そのもう一つの課題である、変動していく社会に大学がどう貢献できていくかという重要な観点での議論が抜け落ちるのではないと思っています。またそのうち議論していくと思いますが、同じような問題を抱えている韓国の状況を見ていますと、少子化が厳しくなる中で、大学の定員を政策的に減らしてきたのですが、その結果として、ますますもともと集まっていない地域や分野などが小さくなってしまいました。地方と都市部の格差、地方消滅というようなことが問題になっているわけです。変動していく社会といった場合には当然のことながら地域社会も含まれるわけでして、そうした課題にどう応えていくのかを考える必要があります。どの地域においても、今以上に高い知を生み出す人というのは、必要なわけで、その辺りのバランスのよい議論をぜひしていきたいなと思いました。
 取りあえず以上です。ありがとうございます。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 橋本委員、どうぞ。
【橋本委員】  橋本です。以前から経団連としても申し上げておりますが、教育と研究がこれまで大学の役割として極めて重要だったわけですが、最近の気候変動とか、あるいは地政学的な環境変化を考えますと、社会貢献といった大きな役割もあるのではないかなと思います。社会貢献は非常に幅広く、簡単に言い表すことはできませんが、例えば地球環境の変動や、地政学的な変化に適応できる人材を、今の教育システムや研究施設のあり方等も見直しながら育成していく機能を大学にぜひお願いしたいと思います。ただし、これは大学だけにお願いすることではなく、経済界としても、必要な人材像を明示しながら、各方面と議論をしつつ、一緒にシステムをつくり上げていくということが大事かと思います。
 もう既に文理融合教育、STEAM教育、あるいはリベラル・アーツなどと、いろいろなチャレンジをしているわけですが、世界に伍していくためには、教育のやり方を試行錯誤しながら発展させていかないといけない。先ほど分科会長から知の総和という話がございましたけれども、確かに掛け算でいきますと、人数を増やすということはもう並大抵のことではなく、なかなか難しいと思いますので、やはり1人当たりの知のレベルを上げていく、個人の能力を上げていくということしかなく、そういうことに重きを置きながら、これからの改革を進めていくということが大事かなと思います。
 そういう意味では、例えばリカレント教育なども1人当たりの知力を高めるという点では極めて有効だと思いますし、またニーズも非常に大きいと思います。企業側としても、大学を出た人にさらにレベルを上げてもらうことは需要であり、リカレント教育の取組についての考え方、あるいはその見直し等を検討いくことが大事かなと思う。前にもちょっと申し上げましたが、既に取り組んでおられる大学もたくさんある一方で、どうやってやっていいのか取っかかりができないとか、あるいはスタートするのにどうしたらいいかということに悩んでおられる大学もあるんではないかというふうに考えられ、そういった大学に対する実践的な進め方についての支援の手というのを、ちょっと組織的というか、プラットフォーム的なものを含めて考えていくことも重要かなと思います。
 以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 吉見委員、どうぞ。
【吉見委員】  ありがとうございます。私はこの長期的な日本の人口減というのは、大変根本的な問題だと思っております。2005年に18歳137万だった人口が、現在112万、そして確実に2040年には約80万になり、恐らくますます人口は減っていく、18歳人口は減り続けるわけです。それを変えることができないというのが、もう既に決まってしまっているというところが大変重要なところだと思います。私たちは、この状況というのは5年、10年という単位での変化ではなくて、多分100年、150年、つまり日本の近代教育が始まって以来、初めて経験する長期的な変化なわけで、そのくらいの規模の、あるいはスケールを持って、これにどう対応するかということのビジョンが求められているんだと思います。
 ざっくり言えば、その問題に対する対応の仕方で必須なのは、私は縦と横の風通しをよくするということだと思います。思い返せば70年前、1949年の新制の教育制度ができたときに6-3-3-4制が決まって、それによって非常に、平等ではあるけれども、大変同質的な教育体制が組まれたわけです。私はこれを単線的年齢主義といっておりますけれども、このことによって、教育の中身と職業というものの対応関係が、徐々にではありますが、失われてきた。つまり工学部であっても、必ずしも工学部で教えたことが職業とは対応していないという状況が、昨今顕著になってきている。これを取り戻すためにはどうしたらいいのかということ、これは、やっぱりこの単線的年齢主義、つまり6-3-3-4制に徐々に手をつけていくということ、これが必要なのだと思います。
 もう一方で、横の風通しということで感じますのは、昨今インバウンドの観光客というか、海外の、これは中国人観光客だけではなくて、欧米の観光客にとっても、日本は物すごく人気がありますし、それからいろいろな意味で注目されていると思います。必ずしも留学生増には結びついていないと思います。つまり、関心はあるんだけれども、教育の横の仕組みに結びついていない、教育の仕組みに結びついていない。これを変えていくということは、人の流動性を拡大する、これは大学を超えてとか、この国内であっても、いろいろな大学に学生たちが、4年制の中であっても動いていくようなことができるような仕組み、この風通しのいい仕組みをどういうふうに整えていって、1人の人間がある種、学生もある種の関係人口になっていくという、このような在り方をサポートするような仕組みというのが必要なんだと思っています。
 以上です。
【永田分科会長】  何か具体的な提案までいただいております。ありがとうございます。
 後藤委員、どうぞ。
【後藤委員】  ありがとうございます。諮問の概要を見て、感じたことを述べさせていただきます。本質的、抜本的な議論の機会と思いました。
高等教育機関が、人材育成と知的創造活動の中核とあります。間違いではないんですが、一律に定義できるかどうかということ、人材育成に関しては、初等中等教育を修めた者の次の学びをどう構築するか、社会人としての活躍にどのようにつなげていくかという、その大きな視点が必要かと思います。
 それから真に人が果たすべき役割、これからの時代を担う人材に必要とされる資質・能力というのが書いてあるんですが、この内容につきまして、審議の過程で明確にしていく必要があろうかと思います。
リカレント教育が、概要の中では唐突に出ているんですけれども、社会全体から見たその目的、あるいは目標、それを果たすために、高等教育機関がなし得ることを示していくということが重要です。例えば地域の高等教育機関が連携して、産業界や自治体のニーズを捉えて、体系化していくことを並行して検討していく必要があろうかと思います。
 それから高等教育全体の適正な規模とありますが、それに対する文科省の考え方とか、規模算出の基準をどうするのかということが多分大きな問題になろうかと思います。
 それから幾つか同様の御意見があったんですが、高等教育機関の役割分担を設置者、機関別のみで設定するのは、困難だと思います。特色、強み、ミッション、育成する人材像というのは千差万別で、学校の規模や特色を考慮しない議論にはならないようにすべきかなと思います。例えば特色というのは、単純に言いまして、研究、教育、社会貢献、国際交流などがありますが、それぞれのウエートではなくて、内容で考えていかないといけないと思います。
 それから専門という言葉が随所にあるんですが、専門という言葉の意味するところは一体何か、単純に知識やスキルが求められているのではないと思っています。
 ちょっと最初見たときに感じたことを述べさせていただきました。
【永田分科会長】  ありがとうございます。難しいです。おっしゃるとおりの部分がたくさんあるのですが、日本にある800の大学1校ずつの在り方を指導するわけではなく、それらをマスで考えなければいけないというのがこの仕事でもあるということです。
 曄道委員、どうぞ。
【曄道委員】  ありがとうございます。前半の議論にもありました、国公私立の大学の役割というところで、国立については世界最高水準のといったような表現があり、私学については、多様な教育研究を通じてといった書き方をしていただいております。私学においても世界最高水準の研究成果も出ておりますので、この辺の書き方については、若干私学の先生方からすると、少し違和感があるかなという気もいたします。
 その上でございますけれども、やはり、国立も公立も私立も、ともにその役割の中で頑張らなければならない。現状では、何度も御紹介はされておりますけれども、現状で国立大学には私学の13倍の公財政支出がなされております。一方で、家計負担ということでいうと、国立では私学の大体5分の2ということになっております。私が申し上げたいのは、国公立に対する支援が多過ぎるので私学に回していただきたいということではなくて、私学に対する支援もさらにしていただいて、高等教育に対する公財政支出全体を増やしていくことも、ぜひこういった場での議論に加えていただきたいと。例えばアメリカの場合は、御承知のとおり私学の学費は非常に高いですけれども、一方で公立大学に対する公的な資金というものは、大体予算割合で50%未満というふうになっております。アジアの、例えば現在調子のいいシンガポール国立大学においても、学費は、学部で220万円程度が学費として設定をされておりまして、ここでも私学の競争的な環境は整っております。申し上げたいことは、バランスについてぜひ御一考いただきたいということと、でき得れば、やはり教育に対する公財政支出そのものが日本はまだ足りていないのではないかというところに、ぜひ議論を進めていただきたいなというふうに感じました。
 以上でございます。
【永田分科会長】  ありがとうございます。最後におっしゃった教育、研究に投資をというところは、必ず最後のところで述べたいと思います。先ほどもあったと思いますから、述べなければいけないし、そこについては公財支出だけではなくて、いかに社会からの投資を増やすかというのは大変重要な議論になるだろうと思っております。ありがとうございます。
 平子委員、どうぞ。
【平子委員】  ありがとうございます。グランドデザイン公表から5年経過したわけですが、その間いろいろなことが起きました。例えばパンデミックが起きたことでリモートワークが当たり前になってきたこと、 地球温暖化でより脱炭素の問題がクローズアップされてきたこと、 生成AIの出現で基本的にAIと共存しなければならない時代になってきたこと、 そして日本においては人手不足、特に若年労働層の人手不足が顕著になったことなどです。このような環境の変化によって私が想像するのは、学生のキャリアや職業に対する価値観が大きく変わるだろうということです。それを踏まえた上で、大学の将来の在り方というのを考えていくべきなのだろうと考えます。
 大学入試の定員が変わらなければ、 少子化の影響によって競争倍率の低下は必至ですので、 入学者間の学力のばらつきはより大きくなることが予想されます。より進学率を高めて定員を確保する方法には限界が見えてきます。入学者の質の確保という観点から、 今後大学や学部の数はある程度ダウンサイズせざるを得ないと考えます。
 そのためにはまず、 大学間の連携を推進・強化することです。皆さんおっしゃっているように、国公私の役割分担はこれから先変わっていくでしょう。 その前提でミッションやパーパス、学力水準が近い大学や学部同士が連携するとか、あるいは大学のコンピテンシー、強みを生かすような連携が重要であって、そこに国公私の壁が無くなることが重要です。場合によっては、海外の大学との連携も視野に入れてもいいのではないかと思います。
 その観点から、パーパスを持ち得ない大学とか、一定の水準に満たない大学に対しては退場を促すことも、これから先ありうると思います。先ほど韓国の話が出ましたが、韓国も苦しみながら試行錯誤しているのではないでしょうか?日本も同じような状況であることに鑑みますと、このような考え方は避けられません。
 最後に、これから先の支援方策の在り方ですが、先ほど申し上げたように、GX(グリーン・トランスフォーメーション)やDX(デジタル・トランスフォーメーション)など将来の成長につながる分野に交付金とか補助金を生かす方策がよいと考えます。また、 コーポレート・ベンチャー・キャピタルのように大学のイノベーションに企業が出資する仕組みもありますので、その活用によってメリハリの効いた民間資金が期待できます。
 以上でございます。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 小林委員、どうぞ。
【小林委員】  ありがとうございます。設置者別の役割分担については、もう多くの先生方が、もう少し丁寧にということは言われていたので、私は3点だけお願いしたいんですけれども、リカレントというのは個人がスキルを上げる、リスキリングは組織、企業がスキルを上げるために取り組むやり方なんですが、大学でリカレント、リスキリングをやるための、あんまりそのサポート体制、支援体制がなくて、社会人入学してもやっぱり収容定員というものがありますし、別枠でそういった、何か制度設計をしっかりしていただいてやることによって、先ほど永田分科会長もおっしゃっていたように、一人一人のクオリティーを上げていくということは可能になると思いますので、よろしくお願いします。
 それからあと少子化で、これが進んでいって、やはり大学、特に私立大学は多いかもしれませんけれども、統合とか、廃止とか、そういった問題がどうしても出てきてしまうので、先んじてそういう仕組みを考えていただければと思います。ちょうど福原先生いらっしゃいますけれども、振興・共済事業団でもアウトリーチ型といって、そういう経営が厳しいところに対して少しアプローチしようということですが、今修学支援制度で、定員割れをしている大学には学生に奨学金が行かない、無償化は行かないということは、学生のことを考えると、ちょっと自分の責任ではないのにというのが少し難しいかなという気はします。これからもそういう統合・廃止の枠組みというのはもうちょっと考えていただきたいと思います。
 最後に、ちょっと我々の議論じゃないかもしれないんですけれども、グリーン、デジタルっていろいろ声高に言うんですが、それは門戸を大学側がいくら開いても、高校生が受験して入ってくれなきゃしようがないんです。高校は文系、理系の分け方が早くて、しかも文系が多くなってしまうので、理系枠をしっかりと確保しなきゃいけない。ちょっとジェンダーバイアスもあって、女子生徒は文系へ向かわせられやすいという話も聞きましたので、その方向と高校の出し側の連携もしっかりとしていく必要があると思います。
 以上です。ありがとうございました。
【永田分科会長】  ありがとうございます。最後の部分は、今日御欠席ですが、村田先生がよくおっしゃっていた理系、文系という分け方を考え直そうという話でした。
 森委員、どうぞ。
【森委員】  ありがとうございます。まずは皆様おっしゃっているように、国公私や機関別に関する役割分担というよりも、やはり緩やかな機能分化的なものが必要なのかなと思っております。私どものような小さな大学であっても、ペロプスカイト太陽電池におきまして、ノーベル化学賞の、いわゆる候補者がいることもございまして、非常にGXも強いということもございます。ですので、繰り返しになりますけれども、機関別というよりも、そういったような機能別なのかなと思っております。
 2つ目でございますけれども、先ほど永田先生おっしゃったように、人を増やすか、質をもっとよくするかという話、これはつながっているのかなと思っております。先ほど吉見先生おっしゃったように、この単線的年齢主義というのは私もすごく気になるところで、実際にはまだ何をすべきか分からないという18歳が山ほどいる中で、今のところは専門教育を早く決めろといったような高校の指導がございまして、先ほどお話ししましたように、文型、理系といったようなところも含めて、非常にこう、画一的な教育がまだまだ日本全体を少し苦しめているのかなというところがございます。私どものような大学におきましても、勉強したのでもっともっと違う大学に学士入学をしたい、または大学院進学をほかにしたいという学生もたくさん出てきているということであれば、私はやっぱりリスキリングや、リカレントといったようなものと同じような概念で、高校生がもう一度大学で学び直す、自分を見詰め直すといったようなことがあってもいいのではないかなと思っております。このような考え方におきましては、アメリカの、例えばリベラルアーツ・カレッジといったようなものの考え方にも通ずるのかなと思っておりますので、そういう意味では、大学全般というよりも大学が積み上がっていくような、そういったような構造的なシステムも検討してみたいなと思いました。
 以上でございます。
【永田分科会長】  ありがとうございます。御指摘されました大学の構造的なシステム化というのは難しいのですが、システム上は構築できる可能性がないわけではないと思います。各論になったときにまた議論させていただきます。アイデアとして記述しておきたいと思います。
 古沢委員、どうぞ。
【古沢委員】  ありがとうございます。少子化ということが、特に地方で深刻という状況を踏まえますと、この諮問文の第2番目にもありますように、地域における質の高い高等教育のアクセス確保というのは非常に大切なことになってくると思います。この諮問文にある、地方の私立大学ほど学生数が減少し厳しい経営状況に陥っているとか、その中で地方の高等教育機関が果たす多面的な役割も十分に考慮する必要があるということは、私もそのとおりだと思います。ただ、今既に定員の充足率への対応というところで見ますと、かなり厳しい措置が取られているのは御承知のとおりだと思います。ただ、やはりいろいろ地方の大学のお話を聞きますと、充足率というのは、例えば今保育とか、教育が、社会のトレンド、状況を受けて非常に打撃を受けているんですけれども、地域社会にとっては必要であるということも非常にあると思いまして、中長期的な視点を持って、統合・再編がますます、意図しなくても地方の教育力をそぐようなことがあってならないように検討が必要だと思います。
 あともう1点、今までの分科会の意見でも出ていたと思うんですけれども、大学入試とか、高大接続について、検討事項に入っていないように見えるんですが、やはり少子化の中で教育の力を高めていくためには必要ではないかと思います。もちろん基礎学力を維持・向上させる上でも必要ですし、あと、ちょっと細かいことになってしまうかもしれませんけれども、今、学生の経済的な状況も非常に厳しい中で、例えば今の細分化、募集人員が非常に細分化されている入試の中で、受験料負担なども決して無視できないほど大きくなっていると思うのです。それで本当に学生にとってアクセスしやすい高等教育になっているかどうかという視点も必要かと思います。
 以上です。
【永田分科会長】  一部聞き取りが悪かったようなので、最初は地方の私立大学は深刻ですというお話、それから後半部分は、入試のことやアクセスが可能になるような仕組みをというお話だったと思います。小林委員から誰か通訳してほしいと連絡が入ってきたので、今通訳しました。
【古沢委員】  ちょっとマイクが遠かったです。
【永田分科会長】  須賀委員、どうぞ。
【須賀委員】  私からは、先ほど永田分科会長が非常にうまく知の総量のお話をしてくださいましたので、その関係で少しお話をさせていただきたいと思います。
 まず1番目は、ここでいう知は一体何なのだろうか。高等教育を通じて提供される知というのは、一体どんなものを念頭に置いているのかということです。単なる学術的な知の場合には、例えば人間や自然や社会を理解するための知ということであれば、これは少子化が来たからといって、特に問題になるわけではないだろうと思うんです。そうではなくて、むしろこの教育を通じて生産性がどうなっているか。つまり日本の経済力に直接関わるような知ということになりますと、これは少子化が進むと非常に大きな問題になってくるはずです。そういうものを念頭に置いているんだということであれば、まず生産活動に役に立つような知をどういう形で提供していくのかというお話になるでしょうし、学術的な知の場合の、それに貢献するような形、つまり最近でよく言われるイノベーションを推進するような知というようなことになるんだろうと思います。あまりその辺りを意識せずに議論をしてしまうと、それぞれの大学で何を提供できるのかというところが、かなり曖昧になってくるのではなかろうかというところで心配をしております。それで、そういう観点から、それぞれの大学の学部、学科、あるいはコース等、そういったものを通じて提供されている知が、どういうふうに実社会で役に立つのかということが明確になると、それに応じて、どのような形でどのような学びをしなければいけないかということがはっきりしてくると思います。そこに必要なものが文理横断型の知であるということになれば、当然そこでは高校の入試からどういうふうに変えていかなきゃいけないかということも、直接に関わりを持ってくるんだろうと思います。
 先ほど国公私立大学、あとは専門職、短大の役割分担というのがありましたけれども、逆に教員の側から見ると、自分が提供している知というものの在り方が、自分が所属を変えるごとに変わってくるというのもおかしな話になろうかと思います。教育者、研究者としてやってきたことが、国立大学から私立に移ったら変わるんだというのは、あり得ないだろうと思うので、この役割分担から話をするということは、あまり建設的ではないなとというふうに考えております。
 以上、知の在り方そのものをもう少し議論していただきたいというのが1点で、もう1点は、少子化が進む中で進学率が向上しても、約2割の進学者数が減少するんだということになります。そうすると2割ぐらいが、2040年、2050年ぐらいまでに減るのに合わせて、今の大学の数そのものは、それに恐らく同じような比率で減らなければいけない。その一方で、大学は相変わらず新設されていっているわけですから、今後は新設を認めれば、その分どこをどういうふうな形で減らしていくのかという議論も併せてやっていただかなければいけないだろうと思います。これからの議論は大学設置審とともにやらないと、地に足のついた議論にはならないのではないかと、このような危惧を持っております。
 以上2点、申し上げました。
【永田分科会長】  ありがとうございます。人によっては言いにくいことも入っていたと思います。ここはそういう会議なので、言いにくいからやめておいて、20年後に日本が滅んだら我々の責任ですから、そこはもう真剣に、今須賀委員がおっしゃったことは、私も少し耳に痛いところもあるのですが、しっかりと考えていきたいと思います。
 濱中委員、どうぞ。
【濱中委員】  松下先生が先だと思います。
【永田分科会長】  それでは、松下委員、どうぞ。
【松下委員】  ありがとうございます。今日初めに永田分科会長がおっしゃったように、知の総和というのは人の数と1人当たりの知の質で決まって、その1人当たりの知の質というのは、教育力を上げることによるということ、本当にそのとおりだと思うんですが、教育力を上げるということでいうと、教育改革的なことはこの間かなりやってきたと思うんです。むしろ教育改革疲れみたいなものもあると思います。そういう状況にあって、じゃあ、どういうふうにして教育力を上げるのかというのを考えたときに、ちょっとこれまでとはまた違った視点からアプローチする必要があるのかなと思うんです。
 そのときに、3点ほど、決して新しい論点ではないんですけれども、アプローチがあるかなと思います。まず1つは、これからの社会をどう考えるかという大きな構想と、大学の在り方とを関連づけて考える必要があるということです。都市集中型社会ではなくて、地方分散型社会に移行していくという、この流れをつくっていくというのは、その1つではないかと思います。そのことは、前のグランドデザイン答申のときにも議論されたかと思うんですけれども、コロナで非常にオンラインのコミュニケーションが普及したことによって、この実現可能性というのが、以前よりも高くなってきたと思います。先ほど在宅ワークのお話もありましたけれども、そういった働き方という意味でも、非常にこの実現の可能性というのが高まってきています。これが1点目です。
 2点目は、現在高校生の中に、非常に通信制高校の人気が高まっていますよね。それを踏まえて、通信制大学が新しくできたり、既存の通信制大学も入学者数を増やしたりしています。こういった通信制というのは主にオンラインで行われているんですが、このオンラインをいかに取り入れるかということです。生成AIの問題もこれから、大学教育に非常に大きな影響を与えるようになると思うんですけれども、生成AIではなく人間ができる知のつくり方とはどのようなものかということを考えたとき、身体性を持って五感を動かして知を創造していく、他者と協働して知を創造していくというのは、非常に大きなことだと思うんです。一方でオンラインは重要なんですけれども、もう一方でそういった知を創造する場というのが非常に重要になってくると思います。
 そのときに、3点目なんですけれども、地方の魅力ということが挙げられます。以前、「これからの時代の地域における大学の在り方について」という審議まとめを、この大学分科会で出しました。先ほど吉見委員がインバウンドの観光客が増えているというお話をされましたが、そのときに彼らが訪ねるところには結構地方も多くて、その地方の魅力をむしろ彼らから教えられるみたいなところがあると思うんです。その地方独特の文化とか、自然とか、歴史とか、そういったものをむしろ見いだしてくれているというようなところがあります。そういった地方や地域の中核として大学がこれから存在していくべきだというふうに、前の審議まとめでも言われていますけれども、まさにそうだと思うんです。それが先ほどの、生成AIにはない人間ならではの知をつくるということと結びつき、また、オンラインによって地方に居ながらほかの地方と結びつく、あるいは海外ともつながるという、そういうふうな時代に今私たちはいます。地方に居ながらにしていろいろなところとつながることも可能な時代での大学教育の在り方というのを考えるべきじゃないかなと思います。こんなふうに、地方と、オンラインと、身体性を持った具体的な経験という、その辺りがこれからの大学を考えるときのポイントになってくるんじゃないかなと私は思っております。
 以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございます。何か禁断の木の実みたいな発言ですが、お分かりいただけたかどうか。もし、ここの議論を地方の活性化の基盤として大学を考えることを中心に置いたら、都会はなくなれということなので、都会の大学が出なければいけなくなりますということをおっしゃっています。
【松下委員】  いや、そうではないんですけれども。審議まとめのときも、「地方」か「地域」かという議論がありましたけれども……。
【永田分科会長】  いやいや、わざと言っています。
【松下委員】  そうですか。
【永田分科会長】  つまり、皆さんは東京であればという安心感の中で考えているのではなくて、極端な例として、地域創生の大学から考えると本気になった瞬間に、全然考え方が違っていて、賛成だった人が反対になったり、反対だった人が賛成になったりします。ですからそのような議論は駄目ですと言おうと思いました。すみません、松下委員。この国全体でどう考えるかを議論しないといけません。少しの利益の差で何か物を言い出すと、必ずそうなると思います。ちなみにフォーブスを見てみると、アメリカの大手の本社はもうニューヨークとロサンゼルスにはなくて、全部中西部に移っています。つまり、地域にいて十分本社の役割を果たせるという状況になっていて、松下委員がおっしゃったことはまんざらうそではなくて、大体数年遅れで日本もそうなっていくという傾向があります。それは真剣に考えなくてはいけません。松下委員のご発言を曲解しているのではなくて、わざと曲解すると大もめにもめるわけです。ということは、皆さんそれぞれ違う視点でお考えになっているということが、これであからさまになるのでわざと申し上げました。
【松下委員】  都市には都市の地域性というのがあるんだろうと私は思っています。
【永田分科会長】  濱中委員、どうぞ。
【濱中委員】  ありがとうございます。この場は、将来を見据えた制度の在り方についての議論をするところでしょうから、少しずれた発言になるかと思いますが、これまで、学生の学習行動や成長について調査分析をしてきた一研究者としての経験から申し上げますと、私たちが一体どれだけ現在の大学生の成長、学びを理解しているのかということについては、いったん見直すべきなのではないかという気がしております。私たちはこれまで学習時間という指標を用いて学生たちの学習を理解するということはしばしば行ってきました。結果として、「日本の学生は学習していないね」といったことは共有しているわけなのですが、もう少し踏み込んだ理解をしないと、先ほど松下委員もおっしゃっていらっしゃいましたが、数十年も大学改革を続けているのに、なぜいまだに教育力とか、研究力とか、そういうことが問題であり続けているのかという部分の本質的な議論ができないと考えています。
 グランドデザイン答申では、質保証、情報公表の観点から、全国的な学生調査、大学調査をして、整理比較できるように一覧化というような記載があったんですけれども、そういった趣旨の調査とはまた別に、今の大学生がどう学んで成長を遂げているのかという、そこを知るための調査、なんらかの方法を考えてもいいのではないか。そうした検討なしに、少子化や社会の変化を背景に改革のデザインを試みても、絵に描いた餅になってしまう可能性もあるのではないかと危惧しております。
高等教育研究者のなかには、こうした調査分析を試みている方もいらっしゃいますが、これだけ多様な高等教育となりますと、1人の研究者、研究グループのレベルで対応できるようなものではありません。その辺りも観点として申し上げたく、手を挙げました。よろしくお願いいたします。
【永田分科会長】  ありがとうございました。熊平委員、どうぞ。
【熊平委員】 ありがとうございます。私のほうからは、教育、研究、知的創造社会への貢献の3点についてコメント致します。
 今のお話にも通じると思いますが、議論のテーマは、大学の未来についてですが、未来の話をする前に、過去から現在までの経緯と、今現在の高等教育が、どういう状況なのかということについて、しっかりと認識をそろえる必要があるのではないかと思います。特に、現在も、課題として残っているテーマについては、社会通念といいますか、私たちの当たり前を見直していかないと課題が解決できないのではないかとも思っております。
 まず教育についてです。高等教育においても、様々な取り組みが進められていますが、今、高等教育だけではなくて、初等中等教育も大きく変化をしており、探求型の対話的な学びが始まっています。その結果、今後、大学生が求める教育の質も変化することが予想できます。初等中等教育の変化に合わせて、高等教育のあり方についても、一定の見直しが必要ではないかと思います。また、高等教育の質保証の観点からは、簡単に卒業できない大学が評価される社会に変わることが必要であると考えます。
 次に、研究についての課題です。初等中等教育では教員の働き方の見直しが進んでいますが、大学の教員に関しても、どれだけ研究に時間を割けているのかということが非常に大きな課題ではないかと思っております。研究のための時間と環境を整えていかなければ、研究の充実は実現しないと考えます。
 最後に知的創造社会への貢献についてです。社会が大きく変化している中で、環境問題をはじめとする、多くの社会課題の解決には、エビデンスに基づく解決策が期待されています。このため、海外では、学位がインフレしています。例えば、環境問題に取り組む有能な人材は、博士課程を修了しています。しかし、日本の企業では、多くの場合、素人が、環境問題の解決を担当しています。研究力が重要な役割を果たす課題解決のテーマが山積してる今、高等教育が、知的創造社会への貢献する社会へのシフトを期待したいです。
 私からは以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございます。今の熊平委員、それから濱中委員の御意見を私も聞いていて思うのですが、何で半導体はこんなに出遅れているのか。日本人は、とても賢いと思うのですが、何かおかしい。何でノーベル賞がこんなに少ないのか。人口の少ないイギリスはもっとたくさん出ているではないか。何かおかしい。多分今までのとおりでは駄目なんだろうと思います。その今までどおりではないことをどう考えるかがミッションなわけです。
 大森委員、どうぞ。
【大森委員】  ありがとうございます。大森です。よろしくお願いします。細かなことはいろいろあるんですけれども、また各論に入ったときということで、大きく3点のみ簡潔に申し上げたいと思います。
 1点目は、先ほど来議論になっている設置者別のというところで、私も教育や研究に関して設置者別というのはあまり意味がないのではというのは前回もお話ししたところです。ただ一方で、さっきの曄道先生の御議論に通じるものなんですけれども、お金の出具合みたいなところでいくと、我々私学は8割は学生からもらったお金で運営しているとなると、一番の役割はそれを学生に還元していくということになってくるだろうしという意味では、その社会的な役割みたいなものは、少し違う側面もやっぱりあるんだろうなと思っています。ただ、その心は、やはり同じ土俵でフラットに切磋琢磨できる環境をつくるべきではないかというところにあります。1点目です。
 2点目は、今後の、今回の諮問の思い切り真ん中のところなんですけれども、今後大学どうしていく、特に地方でといったときに、もう少し明確に、もう駄目なところは駄目で潰れてくださいというメッセージを出すのか、いや、やっぱり必要なんだから、みんなで大学が必要なんだというメッセージをしっかりと出すのかって、何かその辺をもうはっきりしないとという感じはしています。もし大学残すべきなんだという議論をするんであれば、もうフェーズが変わっていて、個々の大学の努力だけでは何ともし難いところまで来ている感覚を私は地方にいて持っています。今までは、大学さんこうすればいいですよね、学生来ますよね、だから個々の大学さん頑張ってくださいねということで、いろいろな事業やアドバイスがあったと思うんですけれども、それだけではもう追いつかないというところが来ているな、大学にはこうなってほしいとか、こうしてほしいというメッセージじゃなくて、政府としてどういうふうにするかという議論が必要な段階に来ているんじゃないかと。もう相当に頑張っているぞという感じがありますというのが2点目です。
 最後にもう1点、中教審ではこれまで設置基準を見直したり、あるいは特例制をということも含めて見直したり、それから今回の3、000億の基金のスキームをつくったりということで議論をしてきました。ある意味、各大学の頑張りを応援しよう、チャレンジを応援しようという方向で議論をしてきたと思います。そこは、それぞれがまた頑張らなきゃいけないと思うんですけれども、一方で、さっき御議論のように設置審と一緒に議論しなきゃというのは、設置のほうでいくと相当に高い壁を新たに立てたという感じがあるわけです。もう地方では大学つくれないんじゃないかとか、学部を変えられないんじゃないかという議論がいろいろされていますけれども、何かすごく後押しをしてもらいつつ、押されて行ってみたらすごい高い壁があるみたいな状況が今あるので、そこは一緒に議論をしていかなきゃいけないんじゃないかなと。この話をすると、ここは中教審なのでというふうにおっしゃられるのは重々分かっているんですけれども、やっぱりそこは大事なポイントじゃないかと思っているところです。
 以上、3点でした。ありがとうございます。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 和田委員、どうぞ。
【和田委員】  ありがとうございます。冒頭に永田分科会長が背景として2つ大きくあるとお話しされました。少子化と変動する社会、これに関して3つほどお話し申し上げたいと思います。
 初めに総論です。やはりこういった課題があると。この課題を見つめて、ポジティブに新たな社会の価値創造につながること、あるいは人材育成につながるという高等教育の在り方が大きくここで議論できればなと私も思っています。
 2つ目は少子化です。今回のこの議論の中では、様々な、これまで多くの先生から御指摘のありましたように、いろいろな視点での議論が必要であるということを私も理解をしています。少子化となりますと、シュリンクをするというようなイメージがどうしてもあります。そこで逆手に取って、少しでも明るさが見えるような、あるいはポジティブな感じのディスカッション、あるいは書きぶりというのも少しあるといいなと、個人的には思っています。例えば強みがあるポジティブな連携によって、新たな価値、あるいは社会の価値を創造していくんだというような、実例を含めた、そういった書きぶりというのもあってもいいのかなとは、個人的には思っています。
 最後に変動する社会ということです。そうしますと、今後ますます変動が予測されます。可塑性であったりとか、あるいは柔軟に対応できるような、こういったことを持たせることが可能な議論というのは、当然ここに含まれます。その中では、リスキリングとか、リカレント教育なども含めて、一生にわたって学び続けるような仕組みというのも、今回少し丁寧な議論が必要になってくるんじゃないかというふうに私も感じます。
 以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございます。課題を解決しつつ、ポジティブな会として出したいということなので、そのとおりだと思います。
 髙宮委員、どうぞ。
【髙宮委員】  ありがとうございます。私から2点ほど申し上げたいと思います。
 1つは、一番最初の高等教育が目指すべき姿についてと関連する事項でございます。この中で、いろいろ御意見出ておりましたけれども、私としては、学習者本位という基本的なところをもう一度盛り込んでいきたいというふうに考えました。これはもしかしたら濱中委員がおっしゃったことと関係するかもしれないんですけれども、今後のキーワードとして、1つ持続可能な社会づくりにつながる人材の育成みたいなことが掲げられると思うのですが、やっぱり大学、高等教育の中で、自由な発想で自由に学べる環境というのは、非常に学習者にとって大切なんだろうと思います。日頃学生と接していましても、近頃の学生さんは意外と夢が持ちにくいとか、そういうことを言う学生は少なくありません。それは我々が少子化であるとか、こういうことを困っているとか、非常に暗い未来の話をしてしまうので、ついつい、なかなかその明るい未来が思い描きにくいと、そういうところもあるようです。そういうネガティブなところではなく、先ほど和田委員からもありましたように、もっと社会をポジティブに捉えて、前向きに勉強していきたい、学習していきたいと思えるような環境を、常に高等教育機関というのは提供していくことが望ましいと思いますので、あえてこの点について触れさせていただきました。
 2点目につきましては、支援方策の在り方というのが諮問の中にあったのですが、先ほどの永田会長の知の総和、総量という話に関連してでございます。これはまさにそのように、少子化とだんだん落ちていく研究力等々の中でも、この機会にそれを覆し、どっちかというと、維持するよりも向上を目指すというのが望ましいのかなと思っております。そのときに、やはりここであえて申し上げますと、日本の高等教育に対する公財政支出の少なさというのはどうしても足かせになっており、先ほど松下委員からも出たように、今まで相当頑張っている、そういう状況の中で、これ以上環境、財政環境を変えずにさらに盛り返すというのは、かなり困難さが伴うという認識は誰もが持っているのではないでしょうか。ここで改めて、この話の直接関与できることではないことは重々承知の上で、この財政的なことについて、公財政支出の点からも、こちらからアピールする必要があるかなと思って発言させていただきました。
 以上でございます。ありがとうございました。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 吉岡委員、どうぞ。
【吉岡副分科会長】  ありがとうございます。多くの意見で大体いろいろな意見が出ている、出尽くしているかなと思うんですが、2点か3点、ちょっとお話しします。
 1つは少子化が目前の問題として目に見えてくる前から、日本の大学が多過ぎるという議論は常にあったように思います。特に少子化が進んでくる中で、退場を促す必要があるということが言われる。確かに私もちゃんとした教育をしていない大学は退場していただいたほうがいいとは思います。ただ、現在日本の、主として4年制の、学部進学者は約5割です。それから専門学校を含めても8割です。だから、逆に言うと2割は大学ないし高等教育を受けていないわけです。そういう状態だということが、事実として1つあります。それからもう一つは、労働政策研究・研修機構の「ユースフル労働統計2022」によると、大学・大学院卒と高卒の生涯賃金は男性で7,300万円くらい違うんです。そういう事実がある以上、みんな大学に行きたがるというのは当然、大学の資格が欲しいというのは当然だろうと思います。しかも、いわゆる経済的な格差との関係でいうと、貧困と学力というのは明らかに連動する。これは進んでいるだろうと思います。現状のまま、要するにこれだったら大学をもう少し減らしていくという議論は、それはそれでそうだろうなと思う一方で、これが進んでいくと、実際には日本の社会の中での貧富の差は拡大し、学力格差もそれと連動していくということが進むのではないか。大学に行きたくても行けない人たちが増える、あるいは社会に出てもそれが底辺層をつくっていくという層が増えていく可能性がある。あるいは行きたいとすら思わない層というのが明らかに生じているわけです。それをどうするか。つまり、そういう中で高等教育をどう考えるかということは、どこかで考えておく必要があるだろうと思います。それが1点目です。
 それから個々の大学で考えると、自分も教員をしていたときから考えると、例えば少子化が進んでくる中で、自分が今教えている学生の学力が落ちてきているというのを感じることが明らかにあるだろうと思います。そういう意味では、個々の大学で捉えると、どこの大学もむしろ人数を減らして優秀な学生を育てたいと思うのは、これは割と当たり前のことかなと思いますし、どの大学の教員もそういうふうに考えているだろうと思います。ただ、今言ったような、最初に言ったようなことから考えると、学力の低い人は要らないというだけの議論でいいのだろうか。やはり大学に入っていく、高等教育を受ける人間の、これが人数の問題なのか、質の問題なのか、ちょっと微妙ですけれども、永田会長が最初におっしゃったように、両方掛け合わせていくとしても、やはり一定程度の学力を持った、あるいはその意欲を持った人たちを大学に入る以前につくっていくということが、やはり必要だろうと思います。ここは大学分科会なのですけれども、しかし、そういう意味では我々は、そういう大学の入学者というところの質を上げていくというためにどうしたらいいかということを考え、その大学の外側に対してやはり発信していくことを考えたほうがいいだろうなと思います。
 それから、それと関連しているんですけれども、ずっとここのところ、要するに大学は生き残りとか、競争環境ということを言われてきたというのがあるので、個別大学の利害と、それから高等教育全体の、あるいは大学全体の在り方の問題というのは必ずしも一致しない。やっぱりほかの大学が減ってくれたほうが個々の大学にとってはいいという競争環境というものがあるので、そこのところをどうするか。個別大学のいろいろな事情を考えながらも、しかし全体として高等教育の質を上げていく、そして日本の高等教育レベルの知力を持った人を増やし、そのレベルを上げていくということを考えなければならないだろうということだと思います。
 それからもう1点は、要するに専門教育を大学はやるわけですけれども、日本に限らず、専門教育というのは基本的には社会のニーズと連動してきたわけです。それで発展してきたし、学部とか学科というのもそれで分かれてきた。学生にとってみれば、キャリアとそれが結びついていたわけですし、結びついているわけですが、最初から議論になっているここのところの社会の変化に、この大学の専門教育の再編というのは基本的には間に合わないだろうし、すでに間に合っていないと思います。今後はもうますます間に合わなくなってくるのではないか。そのときにどうするのかというのは非常に大きな問題で、つまり専門教育というものの在り方ということと、これもやっぱり専門教育の一部というか、基礎だと思いますけれども、いわゆる基礎教育、これは単にこれが基礎教育でこれが基礎教育じゃないというふうに分けるという話じゃないんですが、基礎的な教育というのをどういう形で定着させるか。しばらく前からリベラル・アーツという言い方で言われているものもそうですけれども、それから、恐らく文理融合ということで言われたときの基本的な考え方はそういうことだと思いますが、そういう各専門、細かい意味での、狭い意味での専門に分かれない教育というものをどう担保していくのかというのが、これから重要なのではないかと思います。例えばよく言われるのは、アメリカなんかだと、理学部数学科を出た人間が一番就職率が高いし、生涯給料が高いというのは、多分それは数学というものの性質もあるかもしれませんけれども、やはりそういうある種の基礎的な能力というものが、社会の変化に応用できるということの証明ではないかと思います。そういう意味では、大学の教育の内容の在り方というところも考えていかなければならないと思います。
 以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 福原委員、どうぞ。
【福原委員】  ありがとうございます。各委員からも意見が縷々述べられたところですので、要点を絞ってお話をしたいと思います。
 1つは諮問内容の諮問の背景が、急速な少子化ということに高等教育がどうあるべきかという問題提起になっておりますが、私はもう一つ、やはり高齢化という観点は、今回論じなくてもいいのだろうかということを、ふと思いました。それは諮問外だといっても、少子化で生まれてくる子供たちが、生涯、今までとは違った超高齢化の人生を送っていく中で、その子たちがというか、その人たちが受ける高等教育が果たす役割は、これまでとは全く違ったものになってくるのではないだろうか。永田先生が20年後とおっしゃったら、その20年後に高等教育を受ける、今少子化の中で生まれてきた子が、高齢化社会において、生きることは学び続けることだということで、どういうふうな高等教育を受けるのかと。そのときに、諮問ではリカレント教育ということだけが述べられているのですが、このリカレント教育という言葉の意味は、そういう意味では、少子化とともに高齢化を含めたことを考える必要があるんじゃないかと。これが1つでございます。
 2つ目は、高等教育のアクセスの在り方が諮問されておりますので、これはもう松下委員はじめおっしゃいましたように、高度情報インフラをどのように活用していくのかということです。今の若い人たちの知識の習得方法やそれを支える様々なIT技術が進歩する中で、これまでの通学できる定員を前提とした学校制度としての高等教育ということを前提にしていただけでいいのだろうか。そういった疑問や問題提起があり得るのではないかと思います。
 3つ目は、これはもう相原委員の御発言から始まりました、設置者別の役割分担ということにつきまして、これは私も皆さんの意見と同じで、強みを生かすという意味での問題提起であるならば理解をさせていただくのですけれども、この分担ということを明確にし過ぎて、そのうまみをむしろ萎えさせてしまってはいけないと思います。特に私学の場合は、その多様性が存在意義でありますし、これまでもその独自性と先進性によって、我が国の高等教育の新たな地平を切り開いてきたという自負もあるわけでございます。人口増、また進学率の向上という中で私学が果たしてきた役割ということだけにとどまらず、量的な役割だけではなくて、質的な役割にぜひ注目をすべきだと思いました。
 最後に、大学の在り方が、先ほど申し上げましたように、幼小中高の延長の学校教育としての高等教育という枠だけにとらわれたていて、我が国の大学高等教育というのはそれでいいのだろうか。そういうことは、各委員の御発言の背景にもあったように思われます。ですから、それと関連いたしまして、ぜひその枠にとらわれない高等教育の在り方を議論していただければと思います。その中で1点だけ強調すれば、やはり資金調達、そのための資金調達の仕組みが、従来の形だけでいいのだろうかということです。これはもう私学だけではなくて、国公立の設置形態の大学においても、大変大きな問題になっております。研究資金だけじゃなくて、教育資金もそうであります。したがって、そういった資金調達の手段とか方法をどう開発していくかということも必要な議論ではないかと、このように思いました。三、四点申し上げて恐縮ですけれども、私からは以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございます。あと5分ぐらい討論時間が残ったという奇跡的な初めての経験なので大変うれしいです。二、三だけ付け加えさせていただくと、先ほど松下委員がおっしゃった中で、違う形でいうと、この我々が議論している二千何十年という頃に、大学にキャンパスが必要なのかという問いに変わることができまして、それは取りも直さず、何人かの先生おっしゃっていた問題ともリンクしている。うそだろうと思われるかもしれませんが、そんなことはなくて、多分そういうことと議論しているのだろうと思います。本当に必要かどうかという理由がないとキャンパスはなくなるんだろうと思います。結論は分かりません。
 それから、少子化のほうはもっと具体的に苦しいことを申し上げると、入試センターの運営審議会の委員長を務めていて、このままでは入試センターはもうすぐ潰れます。なぜなら、思わぬ少子化のスピードが進んでいまして、実は2年半前に共通テストを利用する大学負担の成績提供手数料の単価を上げさせていただきました。570円から750円、1,500円まで値上げしているのですが、値上げ前の計画では2年後に破産することになっております。つまり、受験生が思っていた以上に強烈に減っています。来年度もたしか1万7,000人ぐらい今年より減ると思います。この受験料で運営している入試センターはもうすぐ崩壊します。必要だったら何とかしなければいけないのですがということと似ていて、実はこの少子化は超喫緊なのです。あまり先の問題ではなくて、本当に困っているということがあって、入試センターはどうにもなりません。値段を上げる以外に多分解決策はありません。というのは、国からの交付金は来ておらず、入試センターは独立採算になっているので、そこはそのようにせざるを得ない。例えばそれを議論するときに、それは必要だと皆さんおっしゃるなら、それはそれでそうなるが、いや、それはこうだから要らないという議論があってもいいわけです。実は、それと似ています。個別の議論を始めるとそのようなことがたくさん起こってきますけが、マスで考えたら、1つ入試センターが危機に陥りましたという事例があるわけです。
 これが産業界や学術会議の中でも、多分たくさん問題が起こっているはずで、人が減っていることは、先ほど吉岡委員が教員の頃教えていたら何か質が悪くなったという、教員の現場にいた人は誰しも感じることだったかもしれませんが、間違いなくそうです。それは人数が減っているので当たり前です。当然ながら、全体のレベル、平均値は下がっていくので、当然のことかなと思います。ですから、もうこれを凌駕するのに、頑張らないといけないということだと思います。
 今日は本当にありがたいことに、想定時間内に終わったので、ここから、1人1分ならばあと数名どうぞ。御意見述べられて結構です。言い忘れたとか、こう言い足りないこと、1人1分でどうぞ。
【福原委員】  よろしいですか。
【永田分科会長】  どうぞ。
【福原委員】  両角先生から韓国の事情ということもお話がありましたけれども、同様に台湾もそうでありますし、少子高齢化の諸外国、アジアの各国において同様の悩みを抱えている諸国から、諸国の教育部や教育庁から、いろいろな問合せが日本のほうにも来ておりまして、日本のこの議論が大変そういう国々に興味を、興味というか、関心が大変大きいということであります。こういった問題は、我が国だけじゃなくて、国際的な連携の中で議論する必要がないかどうか。これは曄道先生に聞かないといけないところなのかもしれませんけれども、この問題の国際性と申しますか、あるいはその比較文化的な考察や調査というものも、また何らかの機会に、議論の参考に御提供いただければありがたいなと思います。
 以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございます。いかがでしょうか。今のような御意見が一番ありがたくて、これから議論する際に忘れてはいけないのではないか、忘れてもいいが、まず考えてみようと。ほかによろしいですか。
 今日の議論はここまでで、次回に向けて少し要点をうまく並べたり、1回1回で議論するポイントを絞ってみたりしたいと思います。そうすると、その視点からだとこうなるということもあり得ると思います。そこは少しこれから計画をさせていただきます。
 それで、その中身を絞るのに、特別部会を設置したいと思います。毎回この人数で集まってやっていくわけではなくて、その議題整理をしたり、議題の方向を決めたりするということで、この大学分科会の下に高等教育の在り方に関する特別部会を設置したいと思います。いかがでしょうか。この中の方々、全員ではないです。それから、この中にいらっしゃらない方も入っていただいて、そこは議決機関ではなく、レジュメを作るという係だと思っていただければいいと思いますが、いかがでしょうか。設置してよいということでしょうか。
【髙見高等教育政策室長】  お手元の資料2-3になります。
【永田分科会長】  それでは、設置をさせていただきたいと思いますが、一応規則上は中教審の議会令の第6号第2項に、特別部会の招集、委員の任命等については、大学分科会長にということなので、私のほうで選んで設置をさせていただきます。
 許諾はもちろんいただきます。その後日程調整等をして、早々にこの議論が先に進められるようなアジェンダづくりに入りたいと思います。
 それでは3番目です。教育未来創造会議第二次提案や、それからG7の富山・金沢宣言ですが、それを基に、8月29日に「せかい×まなびのプラン」が立てられております。これを事務局から御説明いただいて、今日は終わりです。お願いいたします。
【小林参事官(国際担当)】  高等教育参事官の小林でございます。資料3を御覧いただければと思います。
 先ほど分科会長からもございましたとおり、今年の4月に、政府の教育未来創造会議第二次提言で、留学生の送り出し50万人、受入れ40万人という新たな目標が掲げられました。また、今年の5月のG7富山・金沢での教育大臣会合では、G7間の学生交流を推進するということが宣言でうたわれております。こういったことを受けまして、今後のグローバル人材の育成の文部科学省としてのプランを、去る8月29日に永岡文部科学大臣より、この「せかい×まなびのプラン」として公表させていただいたところでございます。
 この資料3につきましては、そのプランの概要でございまして、プランそのものは様々なたくさんの施策が掲げられておりますけれども、この概要資料について御説明をさせていただきます。
 上の趣旨にございますとおり、まず日本人の送り出しということで、我が国の成長のためにはグローバルリーダーの育成が急務であり、より多くの日本人を留学に送り出すことによって、イノベーションをつくり出す経験が必要であるということと、それから、研究分野では国際頭脳循環を促進していく必要があるということ、それから、優秀な留学生・人材を引きつけることで、我が国の競争力を向上していくということが必要であるという趣旨の下、8月29日に公表させていただいたものでございます。
 内容としまして、その1から3までの各項目について、プラン本体ではたくさんの施策が掲げられておりますけれども、概要といたしましては、まず日本人の留学の促進ということで、留学の機運を醸成した上で、本格的な留学への送り出し、頭脳循環への参画を推進することで、多様な他者と協働し、新たな価値を生み出す人材を育成していくということ、それから留学生の受入れということで、日本と世界の成長や発展、高等教育の国際通用性・競争力の向上、開かれた日本社会を共につくる一員として受け入れていくということ、それから大学の国際化ということで、この留学生交流の基盤となるのがこの大学の国際化でございますので、教育の海外展開による留学生誘致や、地域とともに国際化を図ることによって、留学生が定着しやすい環境のソフト・ハード一体の整備ということを行っていくということで、右の図にございますとおり、日本人の送り出し、留学生の受入れと、それと基盤となる大学の国際化がエコシステムとして循環していくという流れをつくるということが非常に重要であると思っております。
 プラン本体には様々な施策を掲げておりますけれども、特に下の赤字で示しておりますのが、来年度の重点施策として掲げているポイントでございます。4項目ございます。1つ目は、世界と日本・地域を結ぶ大学の国際拠点化の推進ということで、大学内部にとどまらない、さらなる国際化を推進していくために、新しい事業として国際的な大学によるソーシャルインパクト創出支援事業というのを展開していくというものでございます。それから2点目が、日本人の留学・派遣の強化ということで、海外留学支援制度、特に奨学金を大幅に拡大していったり、「トビタテ!留学JAPAN」の第2ステージを今年から始めておりますけれども、それをさらに推進していくということでございます。それから3点目といたしまして、特に富山・金沢宣言でございましたG7との戦略的な留学生交流の強化、それから今年友好協力50周年を迎えますASEANとの重点的な留学生交流を推進していくということでございます。それから4点目が、戦略的な国際展開のための情報収集・留学生誘致機能強化ということで、JASSOの諸外国の情報収集・分析機能を抜本的に強化していくとともに、関係機関が一体となって、早期からの留学生の受入れ強化を推進していくという、この4項目を特に重点施策として、来年度の概算要求において大きく打ち出しているところでございます。
 以上、御説明を終わらせていただきます。
【永田分科会長】  ありがとうございます。なるほどということが書いてあります。何か御質問があれば、御意見というよりは御質問だと思います。こういうプランは出ている、そのプランのここがよく分からないとか、どういう本質なのかというような御質問をいただければと思いますが、いかがでしょうか。
 ここに書いてあるとおりなので、これは多分来年度の予算にも大きく影響していくような文言が並んでいると思っております。何でもかんでもは要望できないでしょうから、まずここは学びと世界ということで、多分お考えになっているのだと思います。よろしいですか。
 それでは、御質問ないようなので、閉じさせていただきます。
 今日は平たい議論でした。大変有益な御助言、御意見等いただきました。これを早々にうまくまとめて、今後、あまり時間はなくて、あと1年四、五か月で多分この期は閉じるので、その中ではとにかく完成はさせないといけないので、そのようなことができるようなアジェンダづくりをしたいと思います。
 それでは、今後の日程等について、事務局から御報告を願います。
【花田高等教育企画課課長補佐】  本日は活発な御議論をいただきまして、誠にありがとうございました。
 次回の大学分科会につきましては現在調整中でございますので、日程等につきましては、改めて御連絡させていただきます。
 本日時間の都合上、御発言できなかった内容につきましては、事務局まで御連絡いただければと思います。
 以上でございます。
【永田分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、お開きとさせていただきます。御協力ありがとうございました。
 
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