大学分科会(第174回) 議事録

1.日時

令和5年7月14日(金曜日)10時~12時

2.場所

Web会議

3.出席者

委員

(分科会長)永田恭介分科会長
(委員)熊平美香,後藤景子,橋本雅博,日比谷潤子,湊長博,村田治,吉岡知哉の各委員
(臨時委員)麻生隆史,多忠貴,大野英男,大森昭生,小林弘祐,志賀啓一,髙宮いづみ,曄道佳明,濱中淳子,平子裕志,福原紀彦,松下佳代,森朋子,両角亜希子,吉見俊哉の各委員

文部科学省

(事務局)池田高等教育局長,西條大臣官房審議官,伊藤文部科学戦略官,小幡高等教育企画課長,小林参事官(国際担当),柿澤高等教育政策室長,小畑教員養成企画室長,花田高等教育企画課課長補佐,疋田高等教育政策室室長補佐ほか

5.議事録

  
【永田分科会長】  おはようございます。出席予定者の方は,全員御出席なので,第174回大学分科会を始めます。
 だんだんと対面の先生方が増えてきて,コロナから少しずつ戻ってきつつあります。WEBで御参加の先生方もいらっしゃいます。ハイブリッドで開催させていただきます。オンラインの方々は自由に御発言できる環境にいらっしゃるという前提です。YouTubeの配信をしております。公開されていますので,御留意ください。
【花田高等教育企画課課長補佐】  本日は,ハイブリッド会議及びライブ配信を円滑に行う観点から,御発言の際は挙手のボタンを押していただき,分科会長から御指名されましたらお名前をおっしゃってから御発言ください。また,御発言後は再度挙手ボタンを押して,表示を消していただきますようお願いいたします。また,発言時以外はマイクをミュートにしていただくなど御配慮をいただきますと幸いでございます。
 本日の会議資料は,事前にメールでお送りしているとおりでございますので御確認いただければと思います。
 以上でございます。
【永田分科会長】  ありがとうございます。本日は,5件の議題とその他でございます。最初に,ジョイント・ディグリーの見直しに係る大学設置基準等の一部改正について,それから医学部臨時定員増に係る大学設置基準等の一部改正,それから薬剤師の偏在等の課題に関して,臨床薬学に関する学科の定員抑制の例外区域に関する基準の告示案,それから認証評価機関の認証,急速な少子化等を踏まえた今後の高等教育の在り方,最後のものが今期のメインテーマです。
 それでは,早速,議題に入らせていただきます。最初の議題です。国際連携教育課程制度の見直しに関してです。小林参事官,よろしくお願いいたします。
【小林参事官(国際担当)】  高等教育局参事官国際担当の小林でございます。
 まず,資料1-1に基づき御説明させていただきます。国際連携教育課程制度,いわゆるジョイント・ディグリーの制度の見直しについての御提案でございますが,これは前回,5月のこの分科会につきまして,内容について御了承いただいたものでございまして,大学設置基準におけるジョイント・ディグリーの制度をジョイント・ディグリーの普及を図るために規制を緩和するという方向で内容を改正するものでございます。前回,内容について御了承いただきましたが,今回は改正の省令案をお示しした上で,大学設置基準の改正について諮問をさせていただくという内容でございます。
 資料1-1に基づき御説明させていただきますと,前回御説明したとおり,改正の概要としましては,まず1にございますとおり,国際連携学科の運営についてのコーディネーター,いわゆる海外大学との調整等を行うコーディネーターの配置要件を緩和するということでございまして,学部等には1人以上の基幹教員を置くことは求めることとするものの,学科等ごとに教員を置くことまでは求めないという改正内容でございます。
 それから2ポツ目でございますけれども,基幹教員について,一定の条件の下で母体となる学部等との兼任を認めるということでございます。
 それから3つ目でございますけれども,施設及び設備について,こちらも一定の条件の下で母体となる学部等との共用を認めるという内容でございます。
 一番下の施行期日でございますけれども,公布の日ということで,8月までには公布をしたいと考えております。
 2ページ以降に具体的な大学設置基準の改正の省令の案文をお示ししております。
 一番最後の22ページでございますけれども,この見直しの方針につきまして,この告示案についてパブリックコメントを5月18日から6月16日まで実施いたしました。それぞれ頂いた主な意見でございますけれども,その下にございますとおり,例えば一番上の「学位を授与するのは大学であって学科ではないのではないか」という御意見で,条文案の中で「当該学科において授与する学位の種類及び」と当初の内容はなっておりましたけれども,このパブリックコメントの御意見を踏まえて,御意見のとおり修正することとしておりまして,その反映した内容を今回お示ししております。
 また,以下,その下の幾つかの内容につきましても,頂いたコメントの方向で対応させていただいているところでございます。
 以上が資料1-1の説明でございまして,次に,資料1-2が今回の大学設置基準の改正に関する諮問文でございます。こちらに基づきまして,中央教育審議会に諮問させていただきたいと思っております。
 また,次に,資料1-3が今回の設置基準改正の答申案でございます。こちらをお示しさせていただきます。
 事務局からの説明は以上でございます。
【永田分科会長】  ありがとうございました。
 ただいまの御説明のとおり,パブリックコメントも既に経ております。ここで御意見,御質問を最終的に伺いたいと思いますが,いかがでしょうか。
 大分何回か議論をしましたし,緩和の方向に向かっている規程改正ということで大きな質問はないかと思いますが,よろしいですか。
 日比谷委員,どうぞ。
【日比谷委員】  よろしいですか。このこと自体については何も質問もなく結構だと思うんですが,先ほど御紹介のありましたパブリックコメントの中で,3つ目のところで申請書類・資料準備の軽減を図ってほしい,その方向でというお話もありましたが,私かつて委員長でこれをしておりましたが,その頃からこのことは再三申し上げ,ほかの会議体でも言っているんですけど,とにかく本当に申請書類の種類が多く,本当に負担も大きい,それは審査する側にとっても負担が大きく,既に1つジョイント・ディグリーが認められている大学から2つ目のプログラムをお出しになるというようなときに,また一から全部出してくるというようなことは本当に多過ぎると思いますので,これを促進するためにもぜひ軽減の方向を検討していただきたいと思います。
 以上です。
【永田分科会長】  文部科学省のほうでお考えください。法律改正とは直接は関係ないと思います。
 そのほかいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは,これは大学設置基準の改正に係る事項ですので,大学分科会の議決をもって,中央教育審議会の議決とすることができるということになっております。ここで議決を採りたいのですが,まずは定足数のほうをよろしくお願いいたします。
【花田高等教育企画課課長補佐】  大学分科会の委員及び臨時委員の数は29名であり,現在22名に御参加いただいてございます。中央教育審議会令第8条第1項に定める過半数を満たしてございます。
 以上でございます。
【永田分科会長】  それでは,改めてこの案件,大学設置基準の一部の改正になります。お諮りいたします。よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【永田分科会長】  ありがとうございます。それでは,お認めいただいたということにさせていただきます。
 続きまして,医学部臨時定員増に係る大学設置基準等の一部改正についてということで,毎年のように出てきますが,事務局のほうから御説明をお願いいたします。
【相原医学教育課課長補佐】  医学教育課課長補佐の相原でございます。
 資料2-1を御覧いただければと思います。医学部の入学定員でございますけれども,将来的な医師の需給の観点から定員を抑制する分野としてございます。一方で,地域における医師の不足,あるいは地域の医師の偏在問題が課題となったことから,平成18年より入学定員を増員してまいりまして,平成22年度以降は,2ポツに記載の枠組みによりまして,臨時的に毎年度増員してございます。
 具体的には,2の(1)地域の医師確保の観点からの定員増ということで,地域枠でございます。都道府県の医療計画に基づいて奨学金を設け,卒後,学生が地域に定着するための取組でございます。令和5年度で961名を措置してございます。
 2つ目が(2)研究医養成のための定員増でございまして,研究医枠でございます。こちらは複数の大学が連携して,研究医の養成の拠点を形成しようとするものでありまして,学部・大学院教育を一貫する特別のコースを設置して取り組むものでございます。令和5年度におきまして,27人を措置してございます。
 このたび厚生労働省の地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループにおける議論を踏まえまして,この地域枠及び研究医枠による増員につきまして,引き続き1年間延長することとし,令和6年度においても措置することとされたところでございます。
 今回の大学設置基準の改正は,これらの措置に伴い,大学が臨時定員の増加を行う際に必要とされる基幹教員等の基準について引き続き措置するために,所要の内容の改正を行うものでございます。
 2ページに全体の方針,3ページ以降に具体的な省令案を添付させていただいております。
 また,資料2-2が諮問文,資料2-3が答申案とさせていただいております。
 事務局からの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
【永田分科会長】  ありがとうございます,御質問,御意見等お伺いいたします。いかがでしょうか。よろしいですか。
 毎年毎年のことで慣例化してきているのですが,今言われた理由のとおりなので,このまま進めるのがよかろうということです。先ほどと同じように大学設置基準の改正事項ですから議決を採ります。出入りはないと認めますので,定足数については先ほどと同じです。
 それでは,お諮りいたします。今御説明いただいた内容での大学設置基準の改正について,お認めいただけますでしょうか。
 
(「異議なし」の声あり)
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 まとめていただいて通ったのですが,工程表というか,未来予測も含めて,一体どこまでするのかということが全然分からないというのは,多分,医学部をお持ちの大学は皆さんにはあると思います。厚労省との折衝もあるでしょうが,少し近い将来の見渡しができるといいかと思います。ありがとうございました。
【相原医学教育課課長補佐】  御説明いたします。まず,資料3-1と3-2を御用意しておりますけれども,3-2のほうを御覧いただければと思います。
 臨床薬学に関する学科である6年制の薬学部の学科の入学定員につきましては,1ポツの検討の経緯のところに書いてございますけれども,厚生労働省の検討会におきまして,将来的に薬剤師が供給過剰になるということで,ひいては大学の入学定員の規模の在り方に関する検討の要請がございました。このため,文部科学省において,令和3年10月から小委員会を設置して,入学定員を含む薬学部教育の質保証の在り方について検討を行い,方向性が取りまとめられたところでございます。
 具体的には,2ポツの制度化の概要を御覧いただければと思います。まず,薬剤師を養成する役割の6年制課程の学部・学科の設置,あるいは大学の新設,また,既存の大学の収容定員の増加につきましては,抑制方針を取ることとしております。
 一方で,地域における薬剤師の偏在問題があり,足りない地域がございますので,(2)ただしのところに書いてございますけれども,地域における需要を踏まえ,薬剤師の確保を特に図るべき区域として,文部科学大臣が別に定める基準に該当する区域において,都道府県と連携して,都道府県の計画に基づき増やそうとする場合には例外とすると,こういった制度設計として,本年の3月に制度化を図ったところでございます。
 また,2ポツの制度化の概要の米印に書いてございますけれども,今後,例外の区域において認可の申請を行おうとする大学におかれましては,薬剤師の偏在を含む地域医療の課題等の教育や,学生に対する修学資金の貸与など,都道府県と連携して薬剤師を確保するための支援を行っていただくことを求めてございます。
 資料3-1にお戻りいただければと思います。このたび,文部科学大臣が定める基準として,例外の区域に関する基準を定めようとするものでございます。3-1の概要,資料中ほどから下のほうを御覧いただければと思います。このたび,厚生労働省におきまして,「薬剤師確保計画ガイドライン」及び薬剤師偏在指標が示されたところでございます。
 具体的には,水色で色をつけた数式のようなところでございますけれども,令和18年(2036年)における都道府県別の薬剤師偏在指標といたしまして,右の分母,分子でございますが,まず,分母として都道府県内の病院及び薬局の医療需要を基に推計された業務量,それから分子である域内の薬剤師の性別や年齢を考慮した労働時間,これを比較いたしまして,その値が1.0を下回る場合には薬剤師の数が足りない区域であるため,該当する区域として定めることとしております。
 具体的には,その下の白丸のところに書いてございますけれども,青森県,山形県ほか,ここに記載の合わせて12の県を例外区域とすることとしてございます。
 一方で,こちらの区域はあくまでも例外区域でありますので,大学において,この都道府県と連携して医療計画等に基づいて学部・学科を設置しようとする場合,あるいは定員を増やそうとする場合には,その増やそうとする定員分ニーズがあるか,学生を集められるか,あるいは学生に奨学金を貸与して,卒後,当該地域に定着していただくための取組が十分か,こういったところにつきまして,文科省としても確認してまいりたいと考えてございます。
 2ページ目が具体的な告示案,3ページ目に薬剤師偏在指標の現在値と将来時点の値を参考として添付させていただいております。
 私からの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 御質問,御意見等をお伺いいたします。いかがでしょうか。
 だんだん一部では余ってきて,一部では足らないということなので,このような形で例外を設けるということですが,よろしいですか。これは告示なので,皆さんに御意見がなければ,このままお認めしたいと思います。
(「異議なし」の声あり)
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 これについて少しお伺いしたいのですが,このような状況になって,新しく設置することはないだろうし,それから収容定員を増やすということもないし,一部の例外の県ではということですよね。この傾向が続くと,6年制を4年制にまた戻したいというところが出てくるような気がするのですが,そこの規則はどうなっているのでしょうか。6年制にしたが,6年制で余って,もう一度基礎薬学に戻ると言って4年制の定員に割り戻すというようなところが出てきかねないと思います。そこは法律的にはよろしいのでしょうか。
【相原医学教育課課長補佐】  お答えいたします。6年制の定員につきましては抑制してございますけれども,いわゆる研究者養成を行う4年制の課程の定員に関しては従来どおりでありますので,各大学からの申請に基づいて,文科省としては対応していくということになろうかと思います。
【永田分科会長】  ありがとうございます。全然本法案とは関係ないのですが,これを見て,そのようにお考えになる薬学部が出てくるのではないかということで一応お聞きしておきました。ありがとうございます。
 それでは,これもお認めいただいたとさせていただきまして,次に,認証評価機関の認証についてということです。山田課長補佐,御説明をお願いいたします。
【山田大学教育・入試課課長補佐】  失礼いたします。大学教育・入試課の山田と申します。
 資料4に基づきまして,御説明をいたします。本年6月20日付で特定非営利活動法人職業教育評価機構より,学校教育法第110条第1項の規定に基づく認証評価機関に係る申請がございましたので,文部科学大臣より中央教育審議会へ諮問を行うものでございます。以降,申請書の一部をおつけしておりますが,申請の概要をまとめておりますので,資料の右下のページ番号で10ページを御覧いただければと思います。
 まず,1ポツの申請機関の概要についてでございますが,当該申請機関は,専門学校の第三者評価を行う機関として平成16年に設立をされ,第三者評価以外にも学校評価の定着・推進を目指すためのモデル事業や普及啓発事業などを実施しております。
 このたび,2ポツの評価事業の概要の1つ目の丸にございますとおり,専門職大学の経営情報ビジネス分野につきまして分野別認証評価機関としての認証の申請がございました。
 1枚おめくりをいただきまして,11ページの1つ目の丸,大学評価基準(案)でございますが,専門職大学の教育研究活動等の水準の維持向上と質保証を図ることを目的として,5つの大項目で構成されております。
 2つ目の丸の評価方法(案)でございますが,評価対象校が作成した自己点検・評価報告書等を活用した書面評価,訪問調査等を実施し,当該大学の状況を評価することとなっております。
 3つ目の丸,評価結果(案)でございますが,5つの各項目における是正勧告の状況,つまりは法令事項における違反など,必ず是正することを求める重要な課題が指摘されているかなどといった状況を総合的に勘案し,適合か不適合かを判断いたします。
 一番下の丸,現時点で評価対象としている専門職大学につきましては,次の12ページを御覧いただければと思います。令和2年度に開設されました情報経営イノベーション専門職大学が評価対象として予定されております。
 以上の申請内容につきましては,大学分科会の下に設置されております認証評価機関の認証に関する審査委員会,こちらにおいて専門的な調査審議を行うこととし,結果を取りまとめた上で大学分科会へ御報告いただく予定でございます。
 説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 今の御説明どおりですが,御質問,御意見をお受けいたします。
 これはいつものプロセスです。認証評価機関になりたいという機関が出てくると,それがきちんと機関として働くかどうかをここの分科会の下の審査委員会で審査して,それをこちらに上げていただいて,最終的にお認めするかしないかということになります。よろしいですか。
 それでは,このまま本諮問を審査会のほうに付託するということにさせていただきます。ありがとうございます。
 これも一言,認証審査委員会で審査して,大体それなりに何回かやれば適合すると思います。今回のこれから話すメインテーマの中で,今後の高等教育ということになるのですが,その中でも当然ながら質保証については相変わらず続くわけです。認証評価の全体像も,そのときに話をしたいと思っていて,ここにいらっしゃる方は御存じだと思いますが,評価認証(アクレディテーション)だけが世界標準の評価であって,そのほかは全部国内の評価です。これが世界基準になっていないと我が国全体の大学の価値が下がってしまうので,これを何とかしなければいけない。どうするかは,また御意見を伺うとしても,今回は審査委員会に付託しますが,その後,いろいろな認証評価団体を並べて見てみるということも必要になるのだろうと思っております。これは個人的な意見として申し上げておきます。
 よろしいでしょうか。とんとんと進めたのは,実はこれから前回のフリーディスカッションを踏まえて大切なメインテーマをお話ししたいので,ここに時間を取りたいというわけです。
 それでは,今期の主題でございますが,今後の高等教育の在り方について議論をしていきたいと思います。
 いろいろと資料を用意していただきましたので,まず,柿澤室長から資料の説明をお願いいたします。
【柿澤高等教育政策室長】  高等教育政策室長の柿澤でございます。よろしくお願いいたします。
 資料,若干大部になりますけれども,それではまず,資料5-1を御覧いただければと思います。資料5-1「大学入学者数等の将来推計について」でございます。こちらはこれまでの大学分科会でも新たな推計データの整理をするようにという御意見もいただいておったところでございますが,国立社会保障・人口問題研究所のほうで春に日本の将来人口推計,令和5年推計の結果が出たということ,また,文部科学省の委託調査のほうでも大学進学率の推計等が出てきたということがございまして,今回の推計を行ったということでございます。
 2040年に向けた高等教育のグランドデザイン答申,これは平成30年11月に取りまとめた答申ですけれども,この答申に向けた検討時においても平成30年の春に2040年の大学入学者数の将来推計というものは行っておりますけれども,今回の推計も平成30年に行った推計と同様の手法で推計をしているということでございます。
 どのような推計方法を取ったかということでございますが,資料5-1の1ページ目を御覧いただければと思います。推計の考え方といたしましては,将来の大学入学者数は,推計18歳人口に推計大学進学率を掛けて算出される各都道府県からの大学進学者数に,外国人留学生等を足すことによって求められるということでございます。
 こちらは進学率の推計ですけれども,都道府県別,かつ,男女別の大学進学率の伸び率によって,今後2050年までの大学進学率が上昇すると仮定して都道府県別に推計をするという形にしてございます。
 この中で幾つかの条件を置いてございます。これは前回推計と同様になりますけれども,男性の進学率が2021年度と比較して5%以上上回った場合に,プラス5%を上限として以降据置きとするということ。
 2つ目は,女性の進学率が男性の進学率を上回った場合,以降を男性の進学率と同値として仮定する。また,進学率の伸び率がマイナスの場合は,2021年度の大学進学率が今後維持されると仮定するというような形でございます。
 こちらは長野県の例を示してございますけれども,推計基準として2018年から2021年。前回推計は2014年度から2017年度で作りましたけれども,ここを推計基準としまして推計していくという形になりますと,赤のほうの女性の進学率と青のほうの男性の進学率というところで,これが伸びていくと。男性と同値になるというところで,以降は追いついた時点で同値になると。また,プラス5%のところで据置きになるというような形の推計でございます。これを各都道府県分,同じ作業をしてございます。
 資料2ページ目を御覧いただければと思います。18歳人口の推計でございますけれども,2040年から2050年までの18歳人口につきましては,国立社会保障・人口問題研究所の推計等に基づきまして,2039年の都道府県比率で案分をするというような形にしてございます。
 また,各都道府県からの大学進学者数,Cというところですけれども,これは各都道府県の推計18歳人口に各都道府県の大学進学率を掛けると,これを男女について行うということでございますが,具体的にはここの赤い枠囲い,2040年の大学新入学者数推計のところを御覧いただければと思います。
 先ほどの都道府県の男女ごとの進学率というものをAで求めておりますけれども,それに対して,Bの都道府県ごとの18歳人口の男性と女性,それぞれ掛けていくという形でございまして,北海道の18歳人口(男性)掛ける北海道大学進学率(男性),これで8,307人という数字が出てくる。同じく女性について7,906人という数字が入ってくるということでございまして,これを北は北海道から沖縄までという形で数字を足し上げていくという形になります。
 そうなりますと,赤い枠囲いの中の右上の数字でございますけれども,Cとして,2040年の各都道府県からの大学進学者数は,49万781人という数字でございます。ちなみに進学率推計自体は都道府県ごとに出しておりますけれども,49万781人につきましては,これは全国的な進学率としては59.6%という形になる。男性61.2%,女性57.9%ということでございます。この49万781人に外国人留学生の入学者数を足します。外国人留学生につきましては,新型コロナウイルス感染症の影響により一時激減したということがございますので,これは2019年度の外国人留学生数が維持されると推定しまして,ここに1万7,096人を足しております。
 最後に,その他ということで2,233人を足してございます。こちらのその他,様々なパターンがございますけれども,例えば高卒認定試験を受けて大学に入るですとか,あるいは社会人ですとか,各都道府県からの大学進学者数には入らない部分というところを足し上げまして,そういたしますと,2040年の推計大学入学者数,Eという数字でございますが,これが51万110人という数字になるということでございます。
 ちなみに前回推計時におきましては,2040年の推計大学入学者数は,下の注のところに入れておりますが,50万6,005人という数字でございました。少子化が進行している中で,前回の推計から今回の推計で,若干数字が2040年は上がっているところの背景といたしましては,前回は推計18歳人口88万1,782人ということで今回の推計のベースよりも多いわけですけれども,大学進学率が55.5%ということでございまして,今回は全国で59.6%,ここは4ポイント以上上がっているということがございます。そうしたところから前回推計とほぼ変わらない,若干高い数字となってございます。
 ちなみに51万110人という数字ですけれども,2ページの一番右下のところにございます大学入学定員の総数は,令和4年度で62万6,532人ということでございますので,ここに11万人以上のギャップがあるというところでございます。
 次に,資料の3ページを御覧いただければと思います。2ページ目までで御覧いただいたところが推計方法,2040年の数字でございます。これを2050年まで引き延ばしたらどうかということで3つの表を入れさせていただいております。
 まず,一番上の表は何かといいますと,外国人留学生比率が現状,先ほどの2019年度の数字ですけれども,3.07%であった場合ということでございまして,2040年のところで見ていただきますと,先ほど御覧いただいた数字が入ってくるということで,大学入学者数は,留学生を入れて51万110人。定員充足率につきましては,81.81%が全国的な数字になるということでございます。この大学入学者数のところが,2041年になりますと49万2,922人というところで,ここから以降,40万人台で推移をしていくというところでございます。2048年,2049年のところでぎりぎり50万人台に乗りまして,その後,49万9,000人というようなところになっていくというところでございます。ここは進学率の上昇ですとか,また,その年々によって若干推計18歳人口というものが上下するということがございます。
 次に,真ん中の段でございますが,これは外国人留学生比率がOECD平均(4.77%)となった場合の数字を入れさせていただいております。今年の4月に取りまとめられました教育未来創造会議の第二次提言におきましても,学部段階の留学生の割合を2033年までにOECD平均にすることを目指すといったことがございますけれども,仮にOECD平均(4.77%)となった場合にはどうなるかというところの数字でございまして,これは2040年で見ますと,留学生の数が2万6,598人まで増えておりますので,大学入学者数も51万9,612人ということでございます。それ以降は基本50万人前後で推移していくということでございます。
 最後は一番下の図でございますけれども,こちらは実際にここまで留学生が増えるかということはございますけれども,仮に外国人留学生比率がG7平均(8.08%)となった場合どうかということでございまして,こうなりますと,2040年の大学入学者数は,留学生の増加によって53万8,098人までいくと。その後は52万人台で推移するということでございます。いずれにしましても,一番下のところを御覧いただいても,仮にG7平均での留学生比率となった場合であっても,現在の入学定員の総数とは約10万人のギャップが生じ続けるということがこちらのデータでございます。
 その後,4ページから7ページまでは2040年の各都道府県進学者数等の推計を入れてございます。もともと全体の入学者数の推計は各都道府県の入学者数の推計を足し上げて出してございますので,こうした都道府県別の数字も出てくるということでございます。
 4ページを御覧いただきますと,例えば北海道というところでございますけれども,北海道の18歳人口の推計,下のほうの薄い水色のところを見ていただければと思いますが,18歳人口推計が2万8,500人で,ここから大学に進学する者の推計値が1万6,213人であり大学進学率推計が56.9%となるということ。また,大学入学者数の推計として,それぞれ国公私立別の入学者数の推計と,入学定員充足率推計、例えば北海道では入学定員充足率の推計が82.7%,国公私立別で言いますと,83.6,86.7,81.8という数字を入れてございます。
 こちらの都道府県別の数字でございますけれども,ある意味で機械的な推計になってございまして,必ずしも各都道府県の数字が2040年にこうなるということまでをお示ししているものではございません。例えばここの国公私立別の定員充足率というところでございますけれども,これはあくまで2021年度の当該県の入学者数に占める国立の割合ですとか,私立の割合ですとか,公立の割合というものをそのまま当てはめておりますので,人口減少による大学入学者減の影響というものが,国公私立の設置形態別にかかわらず生じるという機械的な算定でございます。
 また,大学は当然,立地状況ですとか,学部分野によっても恐らく人口減の影響を受ける度合いというものは変わってまいりますけれども,そうした立地状況,設置者別,あるいは大学の学部分野別での個別の影響というものまで正確に予測することはなかなか難しいということもございまして,機械的にこの数字を入れていくとこうなるということでございます。
 また,県外への流出と県外からの流入,これも2021年の割合で計算しておりますので,この点についても地元志向がより高まるのか,それともより流出するようなことが考えられるのかといったところでこの数字は変わってき得るものではありますけれども,そこもあくまで現状の割合に基づいて算定しているものだということで御理解いただければと思います。
 あとこちらの資料5-1ですけれども,御参考までに各都道府県における高等教育・地域産業の基礎データということで,8ページ目以降に基礎データのほうをお示ししております。こちらはグランドデザイン答申の議論をしたときに,各地域においてもそれぞれの地域の高等教育の在り方を議論する必要があると。また,そうした基礎データをしっかりと整理をする必要があるということで,8ページ目以降,文部科学省の委託調査に基づきまして,各県の基礎データを整備しております。例えばということで13ページを御覧いただきますと,北海道の基礎データとして地域産業に関するデータですとか,高等教育に関する基礎データとして大学の学部構成ですとか入学定員,こういったものも入れさせていただいております。
 こちらの基礎データのほうですけれども,今回こういう形でお示しをしてございますけれども,今後,若干またここに情報を追加してアップデートしていきたいと思っております。具体的には,県内の高卒者が進学先として自県に何%ぐらい進学しているのか,他県にどれぐらい進学しているのかといったところですとか,県内の大学の入学者の構成と都道府県別の構成がどうなっているのかとか,そういったところの情報を今後さらにアップデートして大学分科会のほうにもお示しをしていきたいと思ってございます。
 資料5-1の大学入学者数等の将来推計については簡単ではございますけれども,以上でございます。
 次に,資料5-2を御覧いただければと思います。こちらは2040年に向けた高等教育のグランドデザイン答申以降の高等教育政策の主な動向ということでございまして,今後の御審議の参考に資するものとして参考資料的にこの間の政策の進捗をまとめたところでございます。
 1枚おめくりいただきまして,平成30年11月26日にお取りまとめいただきましたグランドデザイン答申,こちらの中で教育研究体制についての多様性と柔軟性の確保ですとか,教育の質保証と情報公表等々,様々な御提言をいただいたところでございます。
 2ページ目以降でこうしたグランドデザイン答申の提言事項に係る様々な制度改正等について紹介をしてございます。例えば多様性と柔軟性の確保,多様な学生というところにつきましてはリカレント教育の推進というところで,2ページ目の2つ目の丸にございますとおり,履修証明制度に関する制度改正,履修証明プログラムに係る制度改正等を行ったということですとか,また,多様な教員というところでは,資料の真ん中,2のところですけれども,実務家教員の大学教育への参画促進に係る制度改正ですとか,また,先般の大学設置基準改正によりまして,従来の専任教員を基幹教員に改めたというところも多様な教員の促進というところにつながってくるということでございます。
 また,多様で柔軟な教育プログラムという観点では,3のところですけれども,学部等連係課程制度の創設ですとか,また,一番下の丸のところにございますとおり,こちらも大学設置基準改正によりまして教育課程等に係る特例制度の導入というものがなされたところでございます。
 1枚おめくりいただきまして,3ページ目でございますけれども,多様性を受け止める柔軟なガバナンス,大学内外の人的・物的リソースを効果的に共有するという観点からは,一法人複数大学制度の導入ですとか,地域連携プラットフォーム構築に関するガイドライン,また,大学等連携推進法人の認定制度なども創設されたというようなところがございます。
 また,真ん中から下のところですけれども,質保証に関しましては,令和3年度,中教審大学分科会質保証システム部会におきまして,質保証システムの改善・充実について方向性を取りまとめていただきまして,これに基づいて大学設置基準の改正ですとか,認証評価制度の改善の方向性を取りまとめていただいたというところでございます。
 そのほか教学マネジメントの確立に関しては,教学マネジメント指針の策定,また,全国学生調査の実施,こうしたこともグランドデザイン答申の提言を踏まえて行ったというところでございます。
 4ページ目を御覧いただきまして,その他社会人・留学生を含めた多様性のあるキャンパスの実現というところでは,必ずしもグランドデザイン答申をそのまま受けてということではございませんけれども,関連する取組として,教育未来創造会議の第二次提言も取りまとめられたということで,外国人留学生の受入れや日本人の海外留学派遣についての目標も設定されているというところ。
 最後に,高等教育を支える投資というところでは,民間からの投資や支援を受けるための制度改正として税制関係の改正も行っているほか,大きなところでは,学生支援という観点で高等教育の修学支援新制度,こちらが令和2年度から開始しているというところでございます。
 5ページ目以降は,グランドデザイン答申以降の大学分科会における審議の進捗ということで様々な審議まとめを取りまとめていただいておりますので,そちらの概要のほうを添付してございます。
 また,資料の15ページからは教育未来創造会議の第一次提言・第二次提言,それに基づく関連予算の資料。資料の26ページのところからは,研究大学に対する支援というところでございまして,資料の27ページを御覧いただきますと,世界と伍する研究大学に対する大学ファンドの創設ですとか,地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージなど,この間,研究大学に対する支援も様々充実を図ってきたというところで,こちらもグランドデザイン答申以降の政策動向ということで参考資料的にまとめさせていただいております。
 最後に,資料5-3を御覧いただければと思います。「今後の高等教育の在り方に関する論点例」でございます。(1)ですけれども,2040年以降の我が国の将来を見据えた高等教育が目指すべき姿ということで4点示してございます。
 1点目,高等教育においては,予測不可能な時代が到来する中,専攻分野についての専門性を有するだけでなく,文理横断的な学びを通じて,基礎的で普遍的な知識・理解と汎用的な技能を身につけ,それらを活用できるとともに,ジレンマを克服することも含めたコミュニケーション能力を持ち,自律的に責任ある行動できる人材が求められるのではないか。
 また,2つ目としまして,各大学等においては,育成する人材像や自らの「強み」や「特色」をより明確にした上で,「学修者目線」でその教育を捉え直すことが必要ではないか。加速度的な少子化の進行の中,我が国の成長や社会の発展を支える人材を輩出していく観点から,教育の一層の高度化を図っていくことが求められるのではないか。
 3点目としまして,デジタル・グリーン等の成長分野を牽引する高度専門人材を育成していくことも重要な課題ではないか。
 4点目としまして,先ほどグランドデザイン答申以降の状況を確認いたしましたけれども,今後さらに,どのような取組が必要と考えられるか。
 (2)としまして,今後の高等教育全体の適正な規模を視野に入れた地域における質の高い高等教育へのアクセス確保の在り方。こちらの第11期から引き継いだ課題でございますけれども,留学生や社会人の積極的な受入れは「多様な価値観が集まるキャンパス」を実現する上で重要であり,一層の推進方策を検討することが必要。一方,留学生や社会人の受入れ拡大が相当程度進展してもなお,急速な少子化の進行に伴う大学進学者数の減少による影響を相殺することは現実的に困難であることを前提とした検討も必要ではないか。
 2ページへ行きまして,なお,教育のグローバル化,人的交流の活発化の進展に伴い,海外からの留学生の受入れが増加する一方で,我が国の高校から海外大学に進学する学生も増加することが考えられるとしてございます。
 とりわけ地方において少子化が進行する中,地方大学の果たしている役割・機能,その維持についてどのように考えるか。大学の機能強化等の観点から,大学間の連携,再編・統合についてどのように考えるか。
 コロナ禍を契機としてオンライン教育が普及・展開する中で,全国的な高等教育の機会均等という観点からの大学の地域配置の在り方についてどのように考えるか。
 大学進学率や収容力について,各都道府県間で相当な差異がある現状についてどのように考えるか。
 学修成果など教育に関する情報や,経営に関する情報公表を一層促進することも重要ではないかという論点でございます。
 (3)としまして,国公私の設置者別等の役割分担の在り方でございます。2点目のところですけれども,特に国からの公的資金を基盤として設置・運営される国立大学については,世界最高水準の教育研究の先導やイノベーション・知の多様性の源泉となる学問分野の継承・発展,全国的な高等教育の機会均等の確保等の使命を担うとともに,我が国の持続可能な成長戦略の切り札としての全国の知的インフラのネットワーク集積機能を生かした貢献が期待されてきたが,少子化の極めて急速な進行をはじめ国立大学を取り巻く環境も変化する中,その果たすべき役割・機能等の一層の明確化・強化についてどのように考えるか。
 次,2ページ目の一番下ですが,公立大学につきまして,設置者である各地方公共団体の高等教育政策の中心的役割を担う公立大学が果たすべき教育の機会均等や地域活性化の推進,行政課題の解決への貢献といった役割・機能等についてどのように考えるか。
 次,私立大学でございますけれども,学部学生の約8割の教育を担い,「建学の精神」に基づく多様な教育研究を通じて我が国の高等教育の中核基盤を支える私立大学の役割や今後の在り方についてどのように考えるか。その際,特に地方にある中小規模の私立大学・短期大学が,看護・介護・保育をはじめとした地域社会の維持に不可欠な専門人材の輩出や,高等教育の多様性や機会均等等の維持向上に現に役割を果たしていることについて考慮することも重要ではないか。
 また,時代と社会のニーズの変化を踏まえつつ,将来を見据えたチャレンジや経営判断を行う私立大学・短期大学への総合的な支援を充実することにより,主体的な改革を後押ししていくべきではないか。
 国公私立の設置者別や機関別の役割分担の在り方について,各地域において,地域連携プラットフォーム等の場において議論を進めていくことも重要ではないか。
 最後,(4)といたしまして,高等教育の改革を支える支援方策の在り方ということで,今後の高等教育機関や学生への支援方策の在り方についてどのように考えるかというところで論点例を示してございます。
 なお,最後に,説明のほうは今日割愛をさせていただきますけれども,今日の参考資料について,2点御紹介できればと思います。
 参考資料1といたしまして,「全国学生調査(第3回試行実施)」,こちらは7月12日に公表したばかりの資料でございますけれども,その調査結果が取りまとめられております。また,今後,必要に応じて,大学分科会における審議において第3回試行実施の結果を分析した資料なども御活用いただければと思っております。
 また,参考資料2でございますけれども,昨日,文部科学省から大学・高専における生成AIの取扱いに関する通知を行っているということでございまして,大学・高専における生成AIの教学面の取扱いについてということで,生成AIの教学面の取扱いとして,学生等に向けて指針等を示すなどの対応を主体的に検討することが重要であるとして,利活用が想定される場面例ですとか,留意すべき観点について周知をいたしましたので,こちらも御承知おきいただければと思います。
 長くなりましたけれども,以上でございます。
【永田分科会長】  ありがとうございました。
 これまでにグランドデザインで話してきて行ってきたこと,それから大きく残っていること,前回の皆さんの御意見等も含めて,今最後に,資料5-3の論点整理の手前ぐらいのものですが,まとめていただいたということです。数ありきではありませんが,私にとってはこの資料が衝撃的です。北海道のところを見たときに,今現在4万5,000人が2万8,000人になるという,東京すら実は18歳人口そのものが減る,これはいろいろ議論があるでしょうが,流出・流入しても,ほかのところが減ったり増えたりして,結局,こんなに日本全部で減っているという状況が生まれるので,これについては冷静に受け止めないといけない。18歳人口の数は基本的にこの数字で決まっていて希望を持つことはできません。実は総和で見ていたときは,そんなに衝撃ではなかったのですが,各県別に分けたときに具体的に,今,1万7,000人いるが,1万人を切ってしまうという,この感覚が実感できたのではないかと思います。
 それで,ここで話さなければいけない問題点を今まとめていただきましたが,幾つかもう一度復唱しなければいけないことがあるのは,高等教育機関は我が国を支える人材をつくり続けていかなければいけない,育てていかなければいけないという非常に重い使命があります。しかし,今ここにあるような状況を迎えるという中で,今のままでいけば,自然消滅とは言いませんが,消滅しないまでも,十分な教育環境が整えられなくなるということは間違いないでしょう。そうすると当然ながら,今以上に高いレベルの人材を輩出しない限り,人材力は減る一方になってしまうので,できればより高いレベルの人材育成をしなければいけないわけです。ところが,どう考えても,それは整わないということになります。
 もちろんここでどのような大学が困るかという話をするわけではないのですが,いずれにしても,ここの話合いがこれから施策に落ちるので,大変責任の重い議論をしないといけない。ここは仮の議論にはならないので,相当にしっかりと議論をしないといけないと思います。先ほども言いましたように地域振興云々があったとしても,今言ったように18歳人口はどこも全部減っているので,ある県が増えれば,どこかの県が減るに決まっているわけです。マジックはないので,これを全体として僕たちは考えないといけないということです。
 それから先ほどお示しいただいた数字は推定がたくさん入っています。先ほど言ったように進学率をどこまで上げるのか。専修学校専門課程は入っていない数字だと思うので,大学で59.4%ですか,6割まで持っていって,さらにそこに20%程度の専修学校専門課程の上乗せがあるので,ほぼ入りたい人は入っていると思います。残り2割は別に行けなくて入らないだけではなく,自主的に行かない方も入っていると思うので,その辺り,ぎりぎりだろうというのがまず大前提で,覚悟を決めて議論しないといけないということです。
 今日,紹介なかったことで,実はアメリカで始まっていますが,高等教育に行く必要がないのではないかの議論です。つまり,それほど価値がないのではないかという議論はもう既に始まっていますので,そのようなことを考えると,希望的観測だけで進学者の数を数えるというのも難しいことがあるのではないか。もちろん高等教育に価値があるということを我々が示していって,各大学が先ほど言った強みや特徴を明確に出して,価値があるということを出すことが前提なのですが,世論というのは,そう簡単にはいかなくて,違う理由で動いたりもします。
 実際,いろいろなアメリカで起こっていることは,別に高等教育に限らず,産業界でも何でもそうですが,いつか,それなりに同じことが繰り返されていくわけなので,そんなに遠くない将来に,日本でもそのような議論はないとは言えないと思っています。それでも国を支えるためには立派な人材を育てるし,やはり総和として,今支えている人材以上に高いレベルで支えていかなければいけないという重みもあるので,この部分を両方何とかしなくてはいけないということであります。
 そこで本日は,今頂いた資料をまず中心に,事務局も今日は肝を据えて答えてくれると思います。数字のデータで,理想論ではなくて,この数字を見たところで,このような数え方もしたほうがいいのではないかとか,あるいはこれはこのような可能性を入れていないとか,あるいはこのような観点を見落とした計算ではないのかというのが非常に重要だと思います。まず,その辺りの御意見や御質問をいただいた後に,今度はこの数値を基に我々として次の大きな決断を迫られる話合いをして,多分1年以上かかると思いますが,答申として出していかないといけないだろうと思っております。
 それでは,まずは,どちらかといえば数字の御質問等をいただいたほうが理解は深まるかと思いますが,いかがでしょうか。どなたでも結構です。
 村田委員,どうぞ。
【村田副分科会長】  実は大学進学率についての推計をこの間ある学会で報告をしたところなんですけれども,過去の大学進学率の研究といいますのは,授業料だとか,あるいは所得だとかが効いていたという議論が割と多いんですが,1990年ぐらいから構造変化が起こってきて,むしろ都道府県別の収容率みたいなものが実はすごく効いていて,御存じのように大学進学率の分子は大学進学者,これは,今文部科学省がきっちり政策をされていますから,昔みたいに定員超過がほとんどなくて,ほぼ1.0何倍に近い形で,今,進学者と定員が同じなんですね。そうしますと,分母が高校3年生卒業者を取ったんですが,進学率というのは結局,分母の18歳人口が減れば,定員がそう増えていませんので上がっていくという形になりまして,進学率そのものが上がっていくんだろうなと思っておりますし,基本的には,これもNHKの調査等々でずっと続いている調査ですが,親御さんが大学に行かせたいと思っているパーセンテージが大体75%ぐらいなんですね。そうすると,潜在的なニーズはたくさんあるわけですが,収容率ですね,定員をどうするかというところが実はもうすごく進学率,あるいは志願率に効いているなと思っております。
 そこでちょっとややこしい話が,これはまだ見極めてはいないんですけれども,今日も少し先ほどの設置基準の認証評価機関のところでありましたけれども,いわゆる専門職大学に今専修学校専門課程がコンバートしている部分が多くて,そうすると専門職大学が増えれば,いわゆる供給側といいましょうか,大学教育を提供する側が増えてくるんですけれども,一方で専門職大学の定員が満たされていないという問題もあって,その辺りをどう捉えていくのか。これまでと同じように国立・公立,それから私学というふうな形以外にもう一つ,ディメンションが変わって専門職大学は,今度は専修学校専門課程からのコンバートを含めた場合にどうするか。もう一つファクターが増えていると思いますので,特に地方についてそのことが非常に大きいと思いますから,その辺りの数値をどう捉えるのかということが非常に難しいんだろうなと感じています。
 それから,今日推計を見せていただいたときに,例えば5%ポイント上がっていけば,それはそのままそれ以上は増えないという予想というふうにしているんですが,この辺りも非常に,これもえいやーでしかできないのもよく分かっているつもりなんですけれども,ただ,これも先ほど冒頭申し上げましたように,都道府県別の大学進学率は,都道府県の大学収容率にかなり規定されているところがありますので,その辺りを含めて少し,今言いましたことを含めて,ちょっと精密にこれを見ておかないと,それを前提に我々議論する形になりますから,そこは少し慎重に考えていったほうがいいのかな。だから,分科会長,まさに数値のところから一度議論をとおっしゃったのは,そういう意味なんだろうなと捉えております。
 私からは以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 平子委員,どうぞ。
【平子委員】  ありがとうございます。単純な質問です。予測の数値の中に外国人留学生の入学者数の推計に幾つかの仮定を置いて,OECD並みとかG7並みという数字が出されています。最近発表された政府の骨太方針には,2033年までに外国人留学生の受入れは年間40万人という具体的数値が出され,一方で日本人学生の海外留学者は年間50万人が示されました。外国人留学生の入学者数の推計値は,骨太方針との関係でどのような整理をされたのか,改めて確認させていただきたいと思います。
 以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございます。平子委員の質問は,見かけが少ないということですが,多分,大学院とか,そのほかを含めた数字としては,この数字では全然ないので,学士課程という意味合いで出されていると思います。
 柿澤室長,どうぞ。
【柿澤高等教育政策室長】  先般の教育未来創造会議の第二次提言におきましても留学生の受入れ40万人という目標を定めておりまして,文部科学省としてはこれまで留学生30万人計画というような言い方もしてきました。これは,今,永田分科会長からもございましたとおり,高等教育機関全般というところ及び日本語の教育機関というところも含めた数字として30万人計画といったものがあったところでございます。
 今回ここでお示ししているのは,あくまで4年制大学の学士課程というところでございまして,ここに限ってみると,30万人がほぼ達成された2019年と,実は2019年は約31万人というところでしたので,30万人計画が達成した年になるんですけれども,そこでも学士課程というところでは1万7,000人であったというところでございまして,それがOECD平均になったら,G7平均になったらというところを今回お示ししたということでございます。
【永田分科会長】  御理解いただけたと思います。
 松下委員,どうぞ。
【松下委員】  ありがとうございます。資料5-1のスライド3で18歳人口の推計の数値が出ているんですけれども,6月の上旬に人口動態統計で2022年の出生数が77万人ちょっとという報告がありました。18歳人口は,大学入学年度なので出生年にプラス19とかして出すと思うんですけれども,この人口動態統計の数値からすると,少し多めに書かれているように思うんですが,これはどういうわけなんでしょうか。今回4万人以上急に減ったわけですが,そういうふうに人口動態統計に合わせて18歳人口の推計値を変えていく必要はないのかということが1点目です。
 2点目も,同じく資料5-1のスライド1についてです。今回の推計値では根拠があまり示されなかったんですが,例外と書かれている①から③のところで仮定が置かれています。もともと,推計基準を2018年度から21年度とされているわけですが,このような割と短い間の推計基準でよいのかということです。ここは割と大学進学率が伸びている期間ですので。その後にプラス5ポイント上限として以降据置きというふうな措置もされていますので,すごく高く見積もられているわけではないかもしれないですけれども。なぜ2018年度から2021年度というところを推計基準とされたのかということと,この①から③の仮定の根拠についてもう少し詳しく御説明いただければと思います。よろしくお願いします。
【永田分科会長】  柿澤室長,お願いします。
【柿澤高等教育政策室長】  まず,今御質問いただいた前半の部分,2022年の出生数が77万人であったというところでございますけれども,この数字自体は日本で生まれた日本人が77万人であったというようなところでございまして,今回の国立社会保障・人口問題研究所の日本の将来人口推計につきましては,2020年までの実績値を基に2020年10月1日現在の男女別年齢各歳別人口を基準人口として将来人口の推計を行っているというようなところでございます。
 それで,確かに2022年に日本で何人生まれたかというところは確定しておるんですけれども,実際,18歳人口の推計に当たっては,その後,死亡率が低位・中位・高位とか,基本中位でやっているんですけれども,死亡率を掛けたり,あとは外国からの流入と日本からの流出というところで,基本,将来人口推計の中では流入超過になってくるというところで,そこがプラスアルファになると。そういったところを様々係数を掛けてやっているというところがございますので,なので77万人ベースのところでどうなのかというところが今回の将来人口推計に,令和5年度推計には入っていないので,22年に生まれた人の数だけは分かるんですけれども,その数字に基づいて,独自に文部科学省として人口推計をするのかといえば,そこは知見のある国立社会保障・人口問題研究所が出している将来推計,様々な条件,外国からの流入ですとか,死亡率とかというところに基づいて出している数字を使うほうがより適切だろうということで,人口問題研究所の推計をそのまま使っているということでございます。
 ですので,先生おっしゃるとおり,実際に77万人まで来たわけですから,2040年の18歳人口というところが,今日お示ししている82万3,382人よりも少なくなる可能性というものも当然あろうかと思ってございます。ただ,それがどれくらいなのかというところを正確にお示しすることができないので,この人口問題研究所の推計をそのまま使っているというところでございます。
 あと,すみません,先ほど若干説明が不十分であったかと思います,1枚目の例外の置き方というところでございますけれども,推計基準を2018年度から21年度という形にしているということにつきまして,実際,推計基準をなぜここにしているのかと,もっと前から引き延ばすというようなやり方も確かにございます。どちらかといえば,より前から引き延ばしていくという形のほうが,進学率がやや高く出るというようなところはあろうかと思いますけれども,修学支援新制度も2020年から開始をされてという中で,そこの影響というものも今回の18から21のところで十分読めるだろうという中で,長期的に見たときに,ここまで上がるのではないかというところよりは,基本は前回のやり方を踏襲したという形ではあるんですけれども,リニアに伸びていくというときに,あまりそこを長期に取ると,進学率の上振れというものがやや甘く出るということもございまして,そこは今回の大学分科会の審議というところで,結局どこかでえいと切るしかないわけですけれども,そこは前回とあえて仮定を変えることなく,かつ,修学支援新制度の影響もそれでも見て取れるだろうということで,この数字にさせていただいたというところでございます。
 あと5%上限というところにつきましては,先ほど村田先生から御指摘もございました収容力のところもございますし,あるいは今の進学率が低いところは,場合によっては5%よりもっと伸び代があるのではないかというような捉え方もあろうかと思います。この点については,少し参考までに御紹介いたしますと,今回,5%の上限に達して横ばいになった県もありますけれども,実は10県は5%の条件にそもそも達しなかったという県がございます。それらの県は,別に5%だろうが10%だろうが変わらなかったということではあるんですけれども,5ポイント上限に達しなかった10県のうち,そのうちの6県は2021年の進学率が30%台から40%台前半であったというような状況もございまして,実は今回,5ポイント上限を設定したということが,必ずしも今回の低進学率の県の上昇を低く抑えたということでもないのかなという状況も明らかになっておりますので,参考までに補足させていただいた次第でございます。
【永田分科会長】  松下委員は心配をいろいろされていたわけで,オーバーエスティメーションとアンダーエスティメーション,両方に少しずつかかっていて,説明はそれだと思うのです。実際,今も少し暗算していたのですが,5%ではなくて,進学率が30%台,40%前半の県を50,60と上げても,あまり総数は変わらない。東京がもし10%変わるとかなり変わりますが,もともと3,000人とか,もっと少ないところで数%から10%変えても,実はあまり総数は変わりません。いずれ行うのでしょうが,しっかり計算すると一体どうなるか。
 濱中委員,どうぞ。
【濱中委員】  よろしくお願いいたします。私の質問も実は松下先生と同じで,根拠を教えてほしいというものでしたので,今の御説明で大丈夫なんですけれども,もう一つ追加で根拠を教えていただけるのであれば,例外のところの2番目の「女性の進学率が男子と一緒になった場合に同値と仮定」の部分についてお尋ねしたいです。というのは,国際的な動向からしても,女子の進学率のほうが上回ることは珍しくなく,なぜあえてこういう仮定を設定したのかという点を教えていただければと思います。
 数値的にはそれほど大きな違いは出てこないというようなことは十分あり得るとは思いますが,ただ,こういった政策文書というのは社会的なメッセージを含むところもございます。政府はこのように考えているんだと思われる側面もございますので,教えていただけたらなと思いました。よろしくお願いいたします。
【永田分科会長】  柿澤室長,どうぞ。
【柿澤高等教育政策室長】  承知いたしました。根拠の前に,まず今回の推計ですけれども,こちらの仮定が文部科学省として大学進学率における男女差は解消できない,あるいは解消する必要はないというような考えに基づくものではございません。文部科学省としましては,多くの高校卒業者が大学進学を希望して,大学教育の裾野が広がっていくことは学生社会にとっても望ましいと,そこは性別にかかわらず教育機会を確保することが重要であると考えております。
 そのことを大前提といたしまして,平成30年の推計時になぜこのような仮定を取ったかといいますと,先生おっしゃるとおり,諸外国で女性のほうが進学率が高いという国が多いということもございますけれども,男女の進学率をぐっと伸ばしていきますと,女性の伸び率のほうが高いという形になりますので,多くの県で男性を女性が超えていくというような推計になるということでございまして,それが前回推計時には必ずしもそうした可能性が現状に鑑みると高くないのではないかということと,また,どのみち5%の上限というところがございますので,青天井で伸びていくものではないと。そういう意味では全体の数字に与える影響も大きくないということで,このような仮定を置いたということでございます。
 ですので,実際に女性の進学率が男性に追いついた時点以降,さらに伸びていくという可能性もございます。ただ,各地域の男女別の進学率自体は,先ほど村田先生からもあったような大学の立地状況ですとか,あるいは産業構造,所得状況,さらには今後の修学支援新制度等に係る政策動向等,様々な変動要素がございますので,現時点において,前回推計時と異なる仮定を置くという特段の状況が生じていないということで,前回と同様の仮定に基づき算出をしたというところでございます。メッセージのところは,そうした受け取られ方をしないように私どももしっかり工夫をしていきたいと思っております。
 以上でございます。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 吉見委員,どうぞ。
【吉見委員】  ありがとうございます。詳細なデータ,ありがとうございました。今日のお話で外国人留学生比率がたとえ順調に増えていっても,10万人以上の定員と入学者の空きが埋まるわけではないという御説明,よく分かったんですけれども,外国人というカテゴリーのことについて,もう少しお聞きしたいと思いました。人口減少の問題というのは,高等教育の問題を超えて,日本社会そのものの将来の根本の問題で,そのときに2つの議論が,ざっくり言っちゃえばですけれども,あると思います。
 1つは,こうなったら労働力そのものが決定的に足りなくなってくるわけだから,日本社会は移民国家化するしかないという,移民を大量に受けることによって多民族化するというか,ある種の多民族国家,十数%の移民を受け入れることによって多民族化していくしか道がないんだという議論が一方にあると思います。他方で,縮小国家化というか,日本は小さくなっていくんだという,どんどん小さくなっていって何とか生き延びるんだという議論もあるかと思います。
 これは,どっちがいいのかというのは大議論になると思いますけれども,仮にイギリスやフランスやドイツのような形で日本が相当数の移民を受け入れていった場合には,その方たちの,当然お子さんを連れていらっしゃるわけですから,子世代が日本の中で日本人としてなのか,それとも別のどこかの国籍を持ったままなのか分かりませんけれども,相当数育っていくという将来像があり得るわけですね。その子世代というのはどういうカテゴリーになるのかというか,その議論,例えば十数%日本が移民を受け入れるという社会に2040年から50年までに変わっていった場合に,日本の人口構成そのものが日本人の人口構成というのではなくなってくると思うんですけれども,そういう数値はこの推計で,当然人口問題研究所はそういうのは出さないと思いますけれども,計算に入れる必要がないのだろうかということをちょっと思いましたので,お聞きしたいと思いました。
【柿澤高等教育政策室長】  ありがとうございます。実は今回の人口問題研究所の日本の将来人口推計自体は,基本的には少子高齢化が進むとともに外国人の流入が相当増えてくるというところでございまして,国際人口移動の中で,基本的には外国人の入国超過数というものが,長期的に見ると年間約16万4,000人に増加すると,これが前回は年間6万9,000人というところが16万4,000人ということでございまして,つまり,今回,厚生労働省,人口問題研究所で示している将来人口推計は,高齢化が進むというところとともに,かなり外国人が増えてくるというところがございます。
 今日,資料5-1のほうでお示しした先ほどの各都道府県からの進学者数というところ,各都道府県の北海道の18歳人口の男女にそれぞれ進学率を掛けてというところについては,そうした形で流入をしてきた方々も含まれております。これは日本国籍ということではないので,そこは含まれているという数字が先ほどの51万110人を割り出すときの数字でございます。
 それに加えて,私が2019年の外国人留学生という形で申し上げましたのは,まさに大学入学時に,例えば中国や韓国やその他の諸国から日本の大学に学士課程に入学するというところが1万7,096人というところでございますので,そういう意味では,今後,流入超過によって日本国内の人口構成でいうと外国の方が増えてきますねというところは,18歳人口の推計の中に読み込まれているという考え方でございます。
【永田分科会長】  先ほどの77万人より多めに見積もっている中の一部に入っています。つまり,80万を超えた推計は,既に生まれた方のみ以外の流入者も入れているということです。
【柿澤高等教育政策室長】  おっしゃるとおりでございます。死亡率も掛けますけれども,基本18歳までに亡くなる方ってほとんどいらっしゃらないので,そうなりますと流入超過による部分で,日本に入ってこられた外国籍の方というようなところも入ります。
【吉見委員】  仮に労働力との関係で,そのレベルではなくて,政策的に10%から15%,日本人の人口を外国人にしていくというか,移民国家に徐々になっていくという,そういう路線を選択された場合にはそれを超えて入ってきますよね。
【柿澤高等教育政策室長】  おっしゃるとおりで,将来人口推計は大きな政策変更を今後行うというようなことは特段の前提にはされておりませんので,もし何らかそうした外国人の受入れに係る大きな政策の変動というものがあれば,当然数字は変わってこようかと思います。
【吉見委員】  それは読み込まないということですね。
【柿澤高等教育政策室長】  そこはなかなか将来にわたって日本政府としてどのような政策を取るのかというところを,今の大学入学者数の推計において,なかなか将来予測に入れることは難しいのかなと思っています。
【池田高等教育局長】  今,吉見先生がおっしゃったところは本当に重要な課題だと思っております。一方でなかなか,今,柿澤も少し申し上げたように,政府全体でそのような議論をする場というのが残念ながらなく,これまではそれぞれの分野で外国人労働者の方がどのぐらい増えるかとか,そういったことを勘案しながら議論してきましたけれども,そこを政府全体で少し内閣官房なりの場でやったほうがいいのかなと個人的に思います。ただ,現状ではそこまでなかなかいっておりませんし,教育の議論をする中教審の場でというのはちょっと広過ぎますので,今後,政府全体の動きも見ながら,教育行政の中でできることは何かを考えていくしかないかと思っています。
【永田分科会長】  今,局長がおっしゃったとおりで,僕らとしては学問の多様性,あるいはダイバーシティーという意味では理想論は語れると思うのですが,労働力全般に関しての判断はここでできないし,ひょっとすると今のIT,ICTの進歩がこれまで言っていたほど労働力は要らないという結論も少しずつ出てきているので,そこは踏み込まない。ただ,学問としての多様性という意味では,もちろん数字も含めて考えないといけないだろうということかと思います。
 志賀委員,どうぞ。
【志賀委員】  ありがとうございます。私,本学鹿児島女子短期大学で4月か5月にNHKからアンケート依頼があって,私は4年制大学に行きたかったのに短大に行かされたという女性の方が持ち込んだ企画で,それで上智大学の何とかという先生の論文によると,進学者は男性と女性では進学率が10%違います。このことについてどう思いますかというアンケートを短大生に取らせてくれと来て,こんな失礼なアンケートがあるかと。まず,短期大学も学校教育法第1条に定められた高等教育機関で,それで自分の意思で選んでいる方もいらっしゃいますが,どう思いますかというようなことを言ったら,福岡支局からわざわざ謝りに来て取り下げたんですが,ごめんなさい,余計な話をしましたが,要は,10%という数字が,このデータと私が知っているデータと違うなと思って,何かなと思ったときに,多分,浪人生を含めると男女格差が大きくなるのかな。つまり,男性は浪人を許すけれども,女性は浪人を許さない。だから,四大に行きたかったけど短大に行くとか,それも私の立場からしたら,何だそれはと思うんですけど,そういうふうな声がある。
 今,お伺いしたいのは,ここはあくまで18歳の高校3年生が進学する数字というものを取り扱っていますが,今後,浪人生,それからやはり少子化の中では学び直し等も含めて,社会人入学等も含めて,進学の在り方というものを総合的に統計を取らねばならないかと思うんですが,それは別立てで取りながら分析していかねばならないかと思うんですが,そういったデータというのは上智の何がしという人は取っているような気がするんですが,それを出して比較検討するという方向性はあるかどうかということをお伺いいたします。
【柿澤高等教育政策室長】  ありがとうございます。進学率に関するデータ,先生おっしゃるとおり,出し方は様々ございますけれども,一般的に私どもが出しておる大学進学率につきましては,基本的には18歳人口に対して,当該年度の入学者を入れていくというところで,当該年度の入学者を入れていますので,実はそこには過年度卒業生のいわゆる浪人生も入った形で大学進学率というものを出している。これが一般的によく使われる大学進学率でございます。といいますのも,日本の場合は,もちろん浪人される方もいらっしゃいますけれども,相当程度の割合で18歳,19歳で入学していきますし,結局その年に浪人した方は,場合によっては翌年,翌々年に入学するという形になっていきますけれども,結局そこのボリューム感が極めて大きく変わるということではないでしょうからということで,基本は18歳人口のところに対して,その年度の入学者数で見ていくというようなことでございます。
 ただ,学校基本調査等々,様々な調査の中で,まさに現役志願率ですとか,現役進学率ですとか,そういったところも数字としては出していくことはできますので,実は大学進学率と言ったときに,とりわけマスコミ等で数字とかを使うときに,どの数字を使うのかによって若干大学進学率がずれているということはございます。
【志賀委員】  ありがとうございます。
【柿澤高等教育政策室長】  そこはもし今後お求めがあれば,必要に応じて事務局のほうでより詳細な数字等も用意させていただきたいと思っております。
【志賀委員】  ありがとうございます。ですので,ここで例えばリカレント教育等について検討していく際には,改めてそういった数字を出さないと分析ができないかと思いますので,必要なときには御準備をお願いできればと思います。
 私からは以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 大森委員,どうぞ。
【大森委員】  大森でございます。ありがとうございます。今日はすみません,遅刻して入って申し訳ありませんでした。遅刻したので,ちょっと資料の説明をお聞きしていないので,もうそんなことは説明したよという質問であれば,すみません,議事録を後で見なさいと言っていただければと思います。
 1点,先ほど留学生だけじゃなくて労働者として来られてとか,移民されてということでいうと,群馬県も外国籍住民の方が多い県なので,本学でも留学生よりも外国籍の学生のほうが,中学校,高校を卒業して入ってきて,その子たちは留学生にカウントされないので補助もなかったりとか,あとは日本語教育とかも難しかったりとか,ちょっとそこはこれから大きな課題,教育上の課題になっていくなと思っています。そういう状況は既に起こっているということ,参考までに。
 質問は,参考のところで,最初に2021年基準ということで出していただいたところでは,2040年のところで国公私別に定員充足率を出していただいていたかと思うんですけれども,今回の後ろのほうで改めてというところでは,必ずしも国公私で出さないでいるかと思います。前回の推計のときに国公私で,国立大学も定員が割れているような状況で出されていましたけれども,今回,国公私を分けなかったのと,それから前回の推計のときに全体として割れているという,80%ぐらいとなっていたけれども,何となく地方にいると,まず,国立大学から埋まっていくというイメージがどうしてもあって,その辺はどういうふうにお考えかというか,もうちょっとリアリティーがそこに出てきたほうがいいような気もちょっとしているということで,そのことを何か分かれば教えていただければと思います。お願いします。
【柿澤高等教育政策室長】  承知いたしました。資料5-1の例えば5ページを御覧いただければと思います。5ページで,これは都道府県別の進学者数推計で,一番左に東京都がございます。東京都も,今回参考で示している各都道府県進学者数等推計につきましては,仮定として,機械的に18歳人口の減少による入学者数減の影響は各都道府県均等に,かつ,国公私別の設置者の別,あるいは個別の大学の立地状況とか分野とか,そういったことを考慮せずに機械的に計算するとこうなりますというのが,4ページ目以降に示している各都道府県ごとの推計でございます。
 ですので,これを見ますと,東京都についても入学定員充足率の推計が,2040年で一番下から2番目の段で言いますと81.4%となってございまして,東京の国立大学が84.2,東京の公立大学82.5,私立大学81.2というような数字がございます。この国公私の別のところもあくまで2021年ベースで入学者に占める割合をそのまま書き出しているという形になりますので,それぞれの地域ごとに見ていきますと,今,大森先生がおっしゃったような形で,国立は割れず,より他の設置形態のほうが定員充足率が低くなるのではないかといったようなこともあろうかと思っております。
 ただ,私学だったらどうなのかというようなところでも,私立大学でもまさに医療系,医学系といったようなところとか,大学の分野によっても違うでしょうし,また,県内の中でも人口が多い地域からのアクセスがしやすい大学もあれば,そうでない大学もあるというようなところで,結局,個別の影響という形になりますと,まさに国公私といった設置形態以外に立地状況ですとか,県内の産業構造とか,学部分野というところを総合的に勘案しなければいけないので,それはどちらかと言いますと,まさに各地域のプラットフォームの中ではそうした議論をしていただくと,よりリアリティーのあるものになっていくかなという中で,今回,国としてお示しするものとしては,そこは個別に正確に予測することは難しいので機械的に算出したというところでございます。
【永田分科会長】  今回の数字はそのように出しているということなので,議論の中でこれからいろいろとすればいいと思います。
 小林委員,どうぞ。
【小林委員】  私も大森先生よりさらに遅く入ってしまったので,議論がかみ合わない面があるかもしれませんけれども,今回,非常に詳しい基礎データだと思います。あとは次にこれをどう利用していくかということは次の議論になりますので,細かい話は避けたいと思うのですけれども,もう一つ大学進学率,大学を中心に高等教育を考えていらっしゃるようなのですけれども,実際に私どもの法人は,大学と同時に専修学校の中の専門学校も持っているのですけれども,地方にある専門学校は非常にひどい状況なのです。激しい定員割れになっていて,大学よりも先に専修学校のほうから定員割れがひどくなってきていると感じるのですけれども,この辺のデータというのはどうやって出せばよろしいのですか。文科省の管轄ではなく、専修学校は都道府県知事の管轄になってくるのですけれども,これはやはり高等教育の場面としてはデータとして押さえておく必要があるのではないかと思いまして発言させていただきます。よろしくお願いします。
【柿澤高等教育政策室長】  専修学校に関するデータというところにつきましては,この点,総合教育政策局のほうとも相談をいたしまして,今後どのような形でお示しできるかということは考えさせていただきたいと思っております。進学率自体は,専修学校はここ10年くらいで見ましてもほぼ横ばい,20%台前半という形でございますので,今回推計はしてございませんけれども,同じような手法を取っても,基本的には同じ手法で推計すれば横ばいなのであろうとは思いますけれども,今,先生,御指摘ありましたとおり,それぞれの地域で様々な状況があろうかと思いますので,そこは整理をさせていただきます。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 日比谷委員,どうぞ。
【日比谷委員】  大変細かいことで,もしかしたら私,聞き逃したのかもしれないんですけれども,7ページ目の都道府県別の推計の4というところで,1,2,3にはその欄がないんですが,7ページだけ一番右に「その他」というのがあるんですが,この数字は何なんでしょうか。
【柿澤高等教育政策室長】  この数字は,各都道府県の高校からの進学者じゃない部分の数字でございまして,資料5-1の2ページ目を御覧いただきますと,赤い枠の中に,40年の数字で49万781人というところがございますけれども,この49万781人は各都道府県ごとのブレークダウンが可能な人数でございまして,それに対して各都道府県ごとの内訳が示せないところが外国人留学生とかその他というところになるので,そこを入れているというところでございます。ですので,先ほどの都道府県ごとの数字というのは,足し上げると49万781人のほうですという意味合いで入れているものでございます。
【日比谷委員】  その他という県であると,バーチャルな都道府県。
【伊藤文部科学戦略官】  合計に最後にのっけている,県に割り振れなかった分を合計にのっける。
【日比谷委員】  分かりました。ありがとうございました。
【永田分科会長】  福原委員,どうぞ。
【福原委員】  大変貴重な統計を出していただきありがとうございました。学士課程の進学率とか進学者数という切り口での統計で,既に御意見が出てきたんですけど,やはり留学生数の見通しをつけるときに,池田局長から,ここだけで議論することはできない問題であるとはおっしゃいましたけれども,最近,日本への留学の目的が変化してきているように実感するんです。この辺,例えば日本の社会でそのまま活躍したいので日本の大学に留学をすると。今までですと,そこで学んだものを出身国で生かしてというほうが幾らか多かったように思う。これは私だけの感触かもしれませんが。それが大学院で日本の専門性を身につけたいという留学生も増えてきております。
 さらに,先ほど群馬県の例が出てきましたけれども,日本で職を得たい,日本で活躍したいという人たちが,大学からではなくして,中高から日本の社会へやってくるという傾向も出てきているように思いますので,この辺,留学生の留学目的といったようなものが何らかの形で分かれば,これはそういう人たちがたくさん入ってきているんだといえば,日本の大学教育における国際性だとか,あるいはいろいろな教育の在り方というものもまた見直していかなければならないのではないかと思います。これが1つであります。
 それからもう一つが高校の段階で文理横断的な教育の必要性が叫ばれていることから,最近の高校で文系・理系というクラスを設けることが多くなったときに,理系クラスの人数が増えてきている,確かに。そういうことが,理系クラスということになりますと,その後,高等教育でさらにその能力を磨かなければならない事情が比較的高いということから,大学進学率が高いクラスになるんですけれども,そういった高校における学びの在り方というものが変わってきていることが,やはり大学への進学その他にも関わってくるのではないかと思いますので,その辺のところの何か実態というようなものが取れるようなものがあるのかどうか。
 3つ目としては,これはここではなく,大学院の問題かもしれませんけれども,結局,大学進学目的の中に大学院まで視野に入れた,そういった進学というのがどれくらい,今,大学院のほうが,これはあまり定員がどうのこうのと言えませんけれども,比較ではあまり厳密には出てきておりませんけれども,大学院の問題というのが大学教育に大きな影響を及ぼすのではないかというふうにも思いましたので,これは本道から離れたところの問題だと言われてしまえばそれまでですけれども,ここの統計では読み取れない。そういった点で少し質問かたがた意見として申し上げました。
 以上です。
【永田分科会長】  福原委員がおっしゃるのはよく分かります。先ほどG7平均の8.08%まで伸びたときにという数字は出ているので,それを超えるかということの議論はまた別かと思うのですが,今よりも2.何倍まで増やした数字は一応出ています。問題は残りの部分なのですが,今,御質問のあった留学生の数,目的は変わってくるにしても,総和の数の見込みとしては8.08%までの数字は一応出ています。それ以外の2点をお願いします。
【池田高等教育局長】  具体的なことは,柿澤室長からお答えがあると思いますけれども,1点目の留学の目的が変化というところは,確かにあると思っています。これは経年的なトレンドがどう変わってきているか,今手元にありませんけれども,今,政府全体としても,日本の大学に来られて,日本で就職するための支援というのを,目標を掲げてかなり高くなっておりまして,残念ながらコロナ禍で激減してしまいましたけれども,5年間でできるだけ元に戻すべく取り組んでいます。したがって,留学生の従来のイメージでは,日本の大学や大学院で学んで,母国に帰って母国で活躍するという方が多かったと思いますけれども,今,日本にそのまま専門性を生かして定着して,日本で活躍されるという方も結構いらっしゃいますので,一応そこを申し上げておきます。
 それから高校での文理横断との兼ね合い,これはデータとしてどこまでお示しできるか分かりませんけれども,今,3,000億円の基金で大学の理系学部や大学院を充実させるということ,もう間もなく採択できて公表できるんですけれども,当然ながら,そこだけで理系の割合が増えるとか,理系で学ぶ人が格段に増えるということはあり得ず,広い意味での高大接続で,小学校や中学校からの学びをいかに大学までつなげて社会に出ていただけるか。特に小学校で算数・数学や理科が好きだった女子がジェンダーバイアスなどもあって受験のときに文系になったりとか,あるいはだんだんと理系へ進学しようとする意識が少なくなってくるというようなこともありますので,高校段階での文理横断とか,文理融合教育も含めて取り組みながら,それを社会に出るまでつなげていくというような取組もやっておりますので,そういったことも含めて考える必要があるのかなと思っています。
【柿澤高等教育政策室長】  今の文理のところで言いますと,2013年の国立教育政策研究所の報告によりますと,3分の2の高校が文系コース・理系コース分けを実施しておりまして,その中で理系コースを履修する生徒の割合が32%,文系コースが68%,これは2013年の国立教育政策研究所の報告書に基づくデータでございますので,まさに先生おっしゃられたところというのは,そこがここ10年近くで大分変わってきているのであろうと。この報告書の中で,さらに文系・理系の男女別の進学率がどうなっているのかというところまで出ているのか確認したいと思いますが,恐らくそこまで出ていないかもしれないと。結局は男女別の進学率,理系のほうが恐らく進学率が高いと思うんですけれども,そこが文系・理系という分野の差なのか,それとも男女差なのかといったところをどこまで切り離して分析できるのかというところはございますけれども,そこは次回に向けた宿題として確認をさせていただきます。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 オオノ委員が2人,手が挙がっております。電子学園の多委員,どうぞ。
【多委員】  ありがとうございます。まず,詳細なデータと論点例を示していただきまして,誠にありがとうございました。
 資料5-3の今後の高等教育の在り方に関する論点例というものの中で,社会人の受入れというところについて触れられておりましたが,いわゆる学修者本位の教育の実現であったり,また,多様性と柔軟性を持った高等教育への転換といった観点というものから,社会人の学び直し,具体的にはリスキリングをどう進めていくかということを考えていかなければならないと私は思っています。
 社会人の学び直しにつきましては,実数を見ても,学部段階における社会人の入学者数というものは,令和3年度で1万9,000人と最多であったということから,2040年のグランドデザイン答申にも示されている。循環型のリカレント教育というものを推進していくということがこれからも中心になろうかと思いますけれども,一方で,近年はリスキリングというところに注目が集まっているわけであります。企業,とりわけ中小企業の方から学び直しに関する御要望を聞く際に,社員を長期にわたって休職させて学び直しをさせるだけの余裕はないであるとか,今後の学び直しはDXに関する学びを中心として,いつでもどこでも何度でも,オンラインで短期で学び直せるリスキリングを開発してほしいという声を聞くことが多くなってきています。
 リスキリングの重要性が国策としても度々取り上げられているという中で,まさに学修者本位の教育,また多様性と柔軟性を持った高等教育の転換という視点におきまして,高等教育機関が社会や企業と密接に連携をしながらリスキリングの対応をどう図ってくのか,その需要をどう見込んでいくのか,検討,検証が急がれると思いますので,今後の高等教育の在り方に関する論点に加えるべきかと考えているところでございます。ぜひ事務局のほうで御検討いただければと思います。
 以上です。よろしくお願いいたします。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 大野委員,どうぞ。
【大野委員】  どうもありがとうございます。今後の高等教育の在り方というのは,既に幾つか議論が出されていますけれども,日本全体の活力,あるいはグローバル社会の中で果たすべき役割など大きな文脈の中で考えていく必要があると思います。日本,そして世界で活躍できる人材を質と人数の掛け算という意味で確保,育成する将来像を描くことが極めて重要だと思います。これは日本の将来を左右する課題であって,高等教育という枠内だけで考えていては将来を誤るというぐらいの深刻な話なのだろうと思います。
 この意味では,本分科会に付託された使命というのは極めて重要であり,影響も大きい。先ほど高等教育局長からは内閣官房でも議論すべきであるが,そこで議論がなされないので,我々が今までの枠組みで議論する必要があるというお話もありました。そうだからこそ,ここで諸情勢をも踏まえた議論が必要と思います。18歳人口の推移,あるいは今日お示ししていただいた種々のデータは極めて重要で,それを踏まえる必要がある一方で,経済活動なども含めて,日本がグローバル社会の中でどのような役割を果たすのかという視点が常にあるべきかと思います。特に諸外国もセクターを超えて人材獲得を連携して行っているわけですので,日本がどうするのかということが重要だと思います。
 あと2点だけ短く。社会からの大学の期待というのは大きく変わりつつあると考えます。気候変動であったり,あるいは地政学的な環境変化,生成AIなどの新技術の浸透など社会が大きく,それも極めて早く変わる中で,社会と個々人のウェルビーイングをともに実現していくエンジンとしての高等教育の役割はますます高まっているということが1点。
 そして,これはいつも申し上げていることですけれども,大学の機能というのは,教育,研究,社会貢献の3つでありますので,このことを念頭に新たな大学像を提示する、その中で大学の規模についての議論も行われるということが重要だと思います。
 私からは以上です。どうもありがとうございました。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 曄道委員,どうぞ。
【曄道委員】  ありがとうございます。先ほどから留学生の受入れについての議論もいろいろございましたが,日本に来る留学生は,まず,日本語を学んで大学に入学をし,就職まで希望するという学生と,日本の大学で提供される英語での教育に加わる学生等がいると思います。日本人の学生と一緒に日本語で学ぶ学生たちに対しては,やはり就職につながる就職活動の支援,あるいはそこに至るキャリア教育の支援,そして日本語そのものの教育ということがもう既に手が足りない状態に大学は陥っているかなという気がいたします。
 一方で,英語で学位を取りに来る学生たちに対して,あるいは交換留学等も含めてですけれども,英語で教授するということに対する教員の能力の向上等についての支援が不足していて,英語を話せる教員は増えていますけれども,英語で教授するという,本来の大学教育がそこで展開されるということについて,限界とは申しませんけれども,かなり行き詰まった状態にあるのかなと,質の問題でございます。
 そういうことを考えますと,そもそも留学生を受け入れる体制がかなり飽和状態に近くなっているようにも感じますので,この辺の打開を図っていかないと,留学生の数の向上というところを真に見込む状態にならないのではないかなと思いますが,この辺りについて,現在,文科省ではどのように御覧になっておられるのかをお聞きしたいと思います。ありがとうございました。
【永田分科会長】  曄道委員,すみません,今日は主に紹介いただいたデータベースにのっとっての意見交換です。多分,各委員そこに集中していたので,フリートークになってしまと,また全員,手が今挙がってきましたが,今回はそこはなしにさせてください。それを話すのがこの1年半のこれからの課題なので,今回は一応ポイントとして,先ほどの電子学園の多委員の御質問も内側の話としてメモはしています。
 吉岡委員,どうぞ。
【吉岡副分科会長】  データということであれば,今までいろいろな御質問があった中でほぼ考えというか分かったと思いますし,ある程度幅があっても,当然議論をしていくときの前提というのはこういう形でやっていくしかないと思っています。
 今後の議論のことでいうと,このデータを見ていくと,どうしても今後大学をどうしようかという議論が中心になっていくと思うんですが,やはり広い意味での高等教育をどういうふうに推進していくのかという広い文脈を忘れないようにすべきだと思うというのが,これも意見です。
 もう一点,意見で言いますと,同じような少子化の問題というのは,今,先進国でどこでも起こっているので,できれば今後,海外の大学等の動きであるとか,方策であるとかということがある程度ヒントになるようなものが出てくると,少し議論がしやすいかなと思いました。ただ,国によって大学の役割というのが随分違っていて,アメリカとヨーロッパも全然違っているわけで,ヨーロッパだったら職業訓練的なものというのはユニバーシティーではないですよね,伝統的には。むしろスクールと呼ばれるようなものだったり,インスティテュートだったりするわけで,その辺の区別も含めながら,高等教育を今後どういうふうにしていくのかという点を,少し資料や見解があればと思いました。
 以上です。意見だけです。
【永田分科会長】  後藤委員,どうぞ。
【後藤委員】  高等教育の在り方を論じる初期条件というのは,国の未来を支える高等教育とは何かという再定義を示し,初等中等との違いを明確にすることだと思います。進学率が50%を超えてユニバーサル段階にありますので,そもそも高等という言葉のイメージのミスマッチがかなりあるのかなと思います。高い学力レベルとか専門性の修得ということだけで大学の魅力を表現することはもう困難だと思います。なぜ大学に行く必要があるのか。高等教育を受けた場合と受けない場合で人がどう変わるのか。一人一人の学生に付加価値をつけるということで学修者本位の教育というのはいいのですが,国の未来ということを考えると,これだけでは不十分だと思います。この分科会が高等教育で育てる人材像をまず議論する必要があって,その上で各大学が特色,強み,ミッション,育成する人材像を明確にしていくという,そういう手順が必要だと思います。
 以上でございます。そもそも論になってしまいましたけど,多分この辺りについては,次回からの具体的な議論が始まっていくのかなと思っております。ありがとうございました。
【永田分科会長】  ありがとうございます。今,最後,お三方,四方もおっしゃったことが一番重要なことなのは明白なのですが,もう1個重要なのは,哲学論で終われません。中央教育審議会というのは施策に落とす手前まで持っていかなければいけないので,それを両方意識しなければいけないということです。
 今日はこれで終わりです。宿題ですが,全員多分,今の大学を想像されていますよね。それがまず,成立しない可能性というのを誰もお考えになっていないのではないかと思います。進学率にしろ,男女の問題にしろ,理系・文系の話にしろ,今のことをお考えなのだと思うのです。もちろん,データは今なのですが,話しているのは20年も30年も先の話で,それに向かってどのような政策を打つかです。今のことをもちろん解決しなければいけませんが,最後のほうで何方かがおっしゃった,そのときの地球全体の社会のありようと,それからそのときの我々大学のありようと両方考えないといけなくて,本当にキャンパスは残っているでしょうかという質問すらあり得るわけではないですか。それはあり得ると僕は思っていますが,そのような質問に答えなければいけないので,その上でです。キャンパスがないと言って自由に,定員とは何という問題はもう関係ないという世界だってないとは言えないわけです。ですから,今の大学の常識をもって考えるといけないとは言いません。必ず必要なのですが,さらにその先にある世界の状況を見ないといけないということを一応申し上げて,宿題と言ったのは,1日に一,二分ぐらい変なことを考えてみてもいいのではないかなと思って申し上げております。
 今日はどうもありがとうございます。データを説明いただいて,これからの議論の少し足しになるかと思います。
 それでは,今日,時間も来ました。ここまでとして,事務局のほうから連絡事項をお願いいたします。
【花田高等教育企画課課長補佐】  本日は活発な御議論をいただきまして,誠にありがとうございました。
 次回の大学分科会については,現在調整中ですので,日程については,改めてお知らせいたします。本日,時間の都合上,御発言できなかった内容につきましては,事務局まで御連絡ください。
 以上でございます。
【永田分科会長】  またこちらでお会いできるといいと思います。
 それでは,今日はどうもありがとうございました。
 
── 了 ──
 

お問合せ先

高等教育局高等教育企画課高等教育政策室

(高等教育局高等教育企画課高等教育政策室)