大学分科会(第173回) 議事録

1.日時

令和5年5月17日(水曜日)13時~15時

2.場所

Web会議

3.出席者

委員

(分科会長)永田恭介分科会長
(委員)熊平美香,後藤景子,橋本雅博,日比谷潤子,古沢由紀子,湊長博,村田治,吉岡知哉の各委員
(臨時委員)相原道子,麻生隆史,多忠貴,大野英男,大森昭生,金子晃浩,志賀啓一,須賀晃一,髙宮いづみ,曄道佳明,濱中淳子,平子裕志,福原紀彦,益戸正樹,松下佳代,森朋子,両角亜希子,吉見俊哉,和田隆志の各委員

文部科学省

(事務局)池田高等教育局長,西條大臣官房審議官,伊藤文部科学戦略官,小幡高等教育企画課長,小林参事官(国際担当),柿澤高等教育政策室長,小畑教員養成企画室長,花田高等教育企画課課長補佐,疋田高等教育政策室室長補佐ほか

5.議事録

  
部会長の選任等について
中央教育審議会令に基づき,委員の互選により永田委員が分科会長に選任された。
副部会長については,永田部会長から大森委員が指名された。

高等教育の在り方に関する特別部会の運営について
永田部会長から,大学分科会の会議及び会議資料の公開並びに審議参加の制限等について説明があり,資料2の原案のとおり決定された。
また、中央教育審議会大学分科会運営規則に基づき,この時点から会議が公開された。

【永田分科会長】  第12期初回に当たり,分科会長として一言御挨拶を申し上げたいと思います。
 これまで,グランドデザイン答申というのがありまして,これに基づいて,その中で提言されていた高等教育に関する,取り分けて質の向上に向けたいろいろな議論をさせていただいてきました。そのグランドデザインがなくなるわけではありませんが,そろそろそこから次の段階に話を進めたいと思っております。その中で,皆さんももうお感じになっていると思いますが,我が国にとって最も大きな課題の一つが少子化です。少子化そのものをここでいきなり話し始めるわけではありませんが,そのような社会の動向の中で今後高等教育をどうするかという視点で今回は議論していかないといけないのではないかと思っております。
 事は少子化に関わることなので,すぐさま大学の数とかそういう問題に方向が行くかというとそうではなくて,結局はこの国全体の高等教育の水準,そこから生み出される人材の水準が今以上になるようにするにはどうしたらいいのかというようにお考えいただきたいと思っています。今のまま続ければ人間は減りますから,国の人材力総和は減るというのはもう明らかなので,今とは違うもっと高いレベルの教育の内容を考えないといけないだろうと。結局その内容そのものが,後ほど出てくると思いますが選ばれる大学という形で,多分最終的な結論が出るのだろうと考えています。
 したがいまして,数ありきの話ではなく,少なくとも今後どういう教育のシステム,あるいはどういうふうに教育の内容を高度化するか,これなしには我が国全体の少子化という観点から見た高等教育はあり得ないと考えておりますので,ぜひとも前向きの御議論をいただきたいと思っております。本当に少子化を考えるとやたらいろいろなものが出てきます。そのやたらいろいろなものは全部大切なことなので,何でも話し合っていくわけですが,ひとえに我が国の人材力の総和が保てる,できれば本当はより高くなっていくというように結論が出ないようなことは結局今後求められないと考えていますので,そこに注力した議論をさせていただきたいと思っております。
 冒頭の挨拶はここまでにさせていただきます。よろしいでしょうか。
 それでは,早速議事に入らせていただきます。3番目の議題を見ていただきますと,第11期大学分科会の審議状況と第12期大学分科会の審議事項等についてとあります。事務局から御説明いただきたいと思います。
【池田高等教育局長】  具体的な説明に入る前に事務局を代表して,高等教育局長の池田でございますが,一言御挨拶を申し上げたいと思います。
 委員の皆様方には大変お忙しい中,この第12期の大学分科会の委員をお引き受けいただきまして,また本日,これだけの委員の皆様が一堂に会するというのは久しぶりでございまして,まだオンラインの先生方もたくさんいらっしゃいますが,久しぶりの審議会らしい会議風景になりまして,お忙しい中,大変ありがとうございます。
 この大学分科会は,中央教育審議会の中で大学及び高等専門学校の教育の振興に関する重要事項を調査・審議するということが役割でございます。第11期には,これからの時代の地域における大学の在り方,あるいは新たな時代を見据えた質保証システムの改善・充実などについて御審議いただくとともに,第11期の終わりのタイミングで,今年の2月ですけれども,今期の議論につながる学修者本位の大学教育の実現に向けた今後の振興方策などについて審議をおまとめいただいております。ちょうどこの週末,富山と金沢でG7の教育大臣会合がございまして,ここでは高等教育に関しては主として国際化への対応がテーマになりましたけれども富山・金沢宣言というのが採択されて,この中では国際交流,留学生交流をまずはコロナ禍以前の水準に戻して,その先どう充実させていくかであるとか,これは初等中等教育も含めて生成系AIをはじめとするデジタル化への対応をどうするかというような課題が浮き彫りになっております。また,永田分科会長が先ほどおっしゃったように想像をはるかに超えるスピードで少子化が進んでいく中での高等教育の在り方ということも大きな課題になると思います。
 こうしたことを踏まえて,今期の大学分科会におかれましては,今後の高等教育全体の適正な規模の在り方も視野に入れた地域における質の高い高等教育へのアクセスの確保をどう考えていくかといったことや,国公私の設置者別の役割分担の在り方など,大局的な観点から御審議をいただければと思っております。
 分科会長から先ほどお話がありましたようにグランドデザイン答申という大きな答申が出て,それを受けてこれまでいろいろな質保証の取組などを進めてきましたけれども,コロナ禍や国際情勢が激変している中で,高等教育を改めて状況も見ながら対応すべき課題について深掘りしていく必要があると思いますので,お忙しい中,委員の皆様には大所高所からの御審議をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
【永田分科会長】  失礼しました。
 それでは,事務局から,お願いします。
【柿澤高等教育政策室長】  高等教育政策室長の柿澤でございます。それでは,資料3-1,3-2に基づきまして御説明させていただきます。
 まず,資料3-1を御覧いただければと思います。こちらは第11期における審議実績でございます。ごく簡潔に申し上げますけれども,大学分科会第11期におきましては,令和3年12月に「これからの時代の地域における大学の在り方について」の審議まとめをしていただいてございます。
 また,2点目の黒丸のところでございますが質保証システム部会,こちらで質保証システムの改革の方向性をお取りまとめいただきましたが,これを踏まえた大学設置基準の改正についても,諮問・答申というところをこちらの大学分科会で行っていただいたところでございます。
 また,今局長の池田からも触れましたけれども,今年の2月,第11期の大学分科会の最後の審議まとめといたしましては,学修者本位の大学教育の実現に向けた今後の振興方策についてということで,ここでは「文理横断・文理融合教育の推進」,「出口における質保証」,「学生保護の仕組みの整備」の3点について方向性を取りまとめていただいたところでございます。
 1枚おめくりいただければと思います。資料3-1の2ページでございます。11期では,大学分科会の下に様々な部会あるいは委員会を置いて審議を進めたところでございます。先ほどお話がございました質保証システム部会,ここで質保証システムの在り方について取りまとめていただいたほか,2つ下がりまして大学院部会におきましては,人文科学・社会科学系における大学院教育の改革の方向性ということで,中間取りまとめを取りまとめたところでございます。
 また,法科大学院等特別委員会におきましても「法科大学院教育のさらなる充実と魅力・特色の積極的な発信について」ということで審議を取りまとめたほか,次,3ページに参りまして認証評価機関の認証に関する審査委員会,こちらでは「認証評価機関の認証について」,11期は継続して審査を行っていたというようなところでございます。また,認証評価機関が行う自己点検・評価に関するヒアリング等も行い,そうしたことを認証評価の改善に生かしているというところでございます。
 また,教育課程等特例制度運営委員会でございます。こちらも11期に新たに設置された委員会でございますけれども,先ほど申し上げました大学設置基準の改正によりまして教育課程等に係る特例制度が設けられたところでございます。具体的にはオンライン,遠隔授業の60単位の上限,こういったことによらない教育を行うことができるということでございますが,そうした大学の先導的な取組に関する特例の認定に係る審査を行うというものがこの教育課程等特例制度運営委員会でございます。
 11期の審議実績をごく簡潔にまとめますと以上でございますけれども,これを踏まえまして資料の4ページを御覧いただければと思います。こちらは第12期に審議する事項として5点挙げてございます。1点目は,永田分科会長から,また局長の池田からも申し上げました,まさに急速な少子化の進行等を踏まえた今後の高等教育の在り方についてというところでございます。
 また,2点目以降でございますが,今御紹介しました大学院部会ですとか法科大学院等特別委員会,あるいは認証評価機関の認証に関する審査委員会,また教育課程等特例制度運営委員会,それぞれの会議体に対応するような形で審議事項があるというところでございます。
 こうした第12期に審議していただく事項を踏まえますと,資料3-2,1枚物の紙を御覧いただければと思います。こちらの資料3-2にございますとおり,この第12期におきましても第11期に引き続きということで,大学院に関することにつきまして大学院部会,また法科大学院教育の改善等につきましては法科大学院等特別委員会,認証評価機関の審査等につきましては認証評価機関の認証に関する審査委員会,そして教育課程等の特例制度に関することについては教育課程等特例制度運営委員会を設置していただいて御審議いただくという方向でどうかと考えているところでございます。
 資料3-1にお戻りいただければと思います。資料3-1の5ページを御覧いただければと思います。ここからは,今後の大学分科会の審議に関する参考資料的な部分も若干御説明申し上げます。こちらは今年2月に取りまとめた審議まとめの抜粋でございますけれども,一番上の下線の部分,「現下の極めて急速な少子化の進行は,各大学における教育研究上あるいは経営上の努力や工夫によって乗り越えることが困難なほどの経営環境の悪化をもたらしかねない深刻な状況である」としてございます。
 また,次の下線部の部分で「大学をはじめとする高等教育機関への進学者数が従来の推計を下回る可能性は高い」ということも指摘されているところでございまして,今後文部科学省においても改めて将来の人口予測等を踏まえた推計等も行い,大学分科会のほうでも報告させていただきたいと思っております。
 その上で,1行空いたところ,最後の審議まとめの「おわりに」の部分の抜粋でございますけれども,11期の議論においては「今後の高等教育全体の適正な規模を視野に入れた地域における質の高い高等教育へのアクセスの確保の在り方や,国公私の設置者別の役割分担の在り方等については,現下の極めて急速な少子化の進行等を踏まえ,これ以上先延ばしにすることのできない課題であるという強い問題意識を委員間で共有できたものの,一定の方向性を打ち出すまでには至らなかった。これらの課題については,来期以降――つまり12期以降――の大学分科会において更に掘り下げて議論していくことが必要である」という形でお取りまとめいただいておりまして,この一番下の下線部分,「グランドデザイン答申以降の高等教育機関の在り方に関わる様々な状況の変化や,地域活性化の核として高等教育機関が果たすべき役割等も踏まえた検討が求められる」という形で,こちらは11期から引き継いでいる課題ということでございます。
 資料3-1の6ページ以降は,先ほど御紹介いたしました各審議まとめですとか,あるいは設置基準の改正等の概要資料を参考資料として入れさせていただいておりますけれども,一つ御紹介したい動きといたしまして,資料3-1の17ページを御覧いただければと思います。教育未来創造会議についてという資料がございます。こちらは高等教育をはじめとする教育の在り方についての国としての方向性を明確にするということで,令和3年12月に官邸に設けられた会議でございまして,メンバーとしては内閣総理大臣,内閣官房長官,文部科学大臣ほか関係大臣,また有識者により構成されているものでございます。
 こちらの会議の審議状況というものも大学分科会のほうに適宜報告させていただき,こうしたことも参考にしながら,さらに大学分科会において審議を進めていくというところでございますけれども,これまでの開催状況というところで昨年5月に第一次提言が取りまとめられまして,これについては昨年の大学分科会でも報告させていただいたところでございます。また,今年4月には第二次提言が取りまとめられたということでございまして,この第二次提言の内容について少し御紹介したいと思います。
 ページをめくっていただきますと初めに第一次提言の概要がございまして,第二次提言の概要は資料の21ページからになってございます。第二次提言の概要,こちらは「未来を創造する若者の留学促進イニシアティブ<J-MIRAI>」ということで,今年4月27日にまとめられてございます。コロナ後のグローバル社会を見据えた人への投資の在り方というところのコンセプトを整理しつつ,今後の方向性というところで,まずは留学生の派遣・受入れに関しましては,こちらの1の(1)にございます日本人学生の派遣ということで,海外大学・大学院における日本人留学生の中長期留学者の数と割合の向上,特に大学院生の学位取得を推進するといった方向性が示されております。
 また,外国人留学生の受入れに関しましては,高い志を有する優秀な外国人留学生の戦略的受入れを推進すると,また受入れ地域についてはより多様化を図るといった方向性も示されてございます。
 また,留学生の卒業後の活躍のための環境整備,2のところでございますけれども,こちらでは海外派遣後の日本人留学生の就職円滑化を推進するとともに,外国人留学生の卒業後の定着に向けた企業等での受入れや起業を推進となってございます。
 また,教育の国際化ということで,多様な文化的背景に基づく価値を持った者が集い,理解し合う場が創出される教育研究環境,高度外国人材が安心して来日できる子供の教育環境の実現等を通じて教育の国際化を推進するという方向性が示されてございます。
 また,1ページおめくりいただきまして,こちらに2033年までの目標というものが示されてございます。簡潔に御紹介いたしますと,日本人学生の派遣につきましては2033年までに50万人,また,上の真ん中の囲いのところになりますが,外国人留学生の受入れ・定着につきましては2033年までに40万人といった目標が定められております。また,この40万人というところの右下になりますけれども,留学生の卒業後の国内就職率を60%まで高めていこうという目標値が定められております。
 また,教育の国際化,一番右の枠囲いになりますが,これにつきましても英語のみで卒業・修了できる学部・研究科の数ですとか,海外の大学との交流協定に基づく交流のある大学の割合,またジョイント・ディグリー,ダブル・ディグリーについてもそれぞれ目標値が定められているといったところでございます。
 資料の23ページ,24ページ,次の2ページはこれらの目標を実現するための具体的方策がまとめられておりますので,適宜御参照いただければと思います。
 最後に,本日の参考資料が2点ございますので,こちらも若干御報告させていただければと思います。
 まず,参考資料1を御覧いただければと思います。参考資料1は大学・高専における遠隔教育の実施に関するガイドラインでございます。こちらは先ほど申し上げた質保証システム部会の審議まとめにおきましても遠隔教育の質保証,またハイブリッド型教育の推進といった観点からガイドラインの策定が必要であるといったことが提言されていたところでございますけれども,こちらの参考資料1にございますとおり本年3月28日にガイドラインを策定しているところでございます。
 具体的な中身を詳細に説明する時間は今ございませんけれども,文部科学省のほうで行いました遠隔教育の実態等に関する調査研究の成果等も踏まえまして「授業運営」,「学修評価」,「指導体制」の3つの観点から,遠隔授業あるいはハイブリッド型教育を進める上での留意点というものを取りまとめたものがこちらの資料でございます。
 例えばということで申しますと,資料の4ページを御覧いただいて下の2の授業運営のところでございますが,遠隔授業の課題としては,学生と教員あるいは学生間の質疑応答等のやり取りが少ない,意見交換が少ないみたいな課題も指摘されておりましたが,こうしたやり取り等の機会を確保するための方策,そして遠隔授業における双方向性をいかに確保するのか,こういった留意点が定められているといったところです。
 また,次に資料の7ページを御覧いただければと思います。ここでは学修評価ということで,適切な学修評価の実施のための留意点としまして,小まめな学修評価の実施やフィードバックを行うことが有効であるとか,あるいは不正行為の防止についても取組が必要であるとか,こういったことを留意点として示しているということでございます。
 最後に参考資料2でございます。参考資料2は,2023年G7教育大臣会合で取りまとめられました富山・金沢宣言の概要,そして概要のあとに仮訳ですが全文を示しておりますので,こちらも適宜御参考にしていただければと思います。
 以上でございます。
【永田分科会長】  ありがとうございました。
 資料のほうは後でじっくりとお読みいただければと思います。本分科会では,先ほどの資料3-2にもう一度戻っていただきたいのですが,大学分科会の下に部会等を設置したいということで,先ほど御説明がありました4つの部会,大学院部会,法科大学院等特別委員会,認証評価機関の認証に関する審査委員会,それから教育課程等特例制度運営委員会,これらについて,一部前期からの継続もあるのでぜひとも設置させていただきたいと思います。いかがでしょうか。よろしいですか。
(「異議なし」の声あり)
【永田分科会長】  「はい」と言われた中で,またそこに関わる方もいらっしゃるかと思いますが,どうぞよろしくお願いいたします。それでは,この設置はお認めいただいたということでございます。
 ここからですが,一番重要な各委員からのコメントをいただきたいと思っております。今御説明のあった内容に対してでも,あるいはそうでないものでもいいのですが,一番メインのテーマは,先ほど言った少子化に伴う今後の大きな教育施策の変更に迫るようなことを我々は考えなければいけないので,それに類することが一番ありがたいと思っております。本日,28人の御出席いただいております。お一人方,2分ずつぐらいでコメントを述べていただこうと思います。最初のほうは大体長くて,最後のほうは30秒ぐらいになるのが常なので,できる限り2分程度で御意見をお述べいただきたいと思います。それから,お手元に途中退席の方の名簿も入っておりますので,こちらからそれも勘案して御指名させていただこうと思います。
 それでは,両角委員,ウェブからの御参加と思いますが、いらっしゃいますか。
【両角委員】  こんにちは,両角です。よろしくお願いいたします。
【永田分科会長】  よろしくお願いします。すみません,遅くなりました。
【両角委員】  いいえ,学内の会議で,挨拶をしたら多分抜けてしまうことになるので,申し訳ないんですがよろしくお願いいたします。
 今回,少子化がかなり急速に加速している,コロナ禍というのはいろいろな動きを加速させる面がすごくあったなと思うんですが,まさに大学もそういった変化に直面しているなということを実感しています。
 その中でどんな役割を高等教育が果たすべきなのか,また地域だとか社会の課題をきちんと解決していけるような教育研究に貢献していくということが基本的には重要で,そのために今ネックになっていることが何なのかとか,どうしたらいいのかという,永田先生がおっしゃったようにぜひ私も前向きな議論をしたいなと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 引き続き,曄道委員も早めに御退出かと思いますのでどうぞ。
【曄道委員】  ありがとうございます。伺えずに申し訳ありません。また早期に退席いたします。
 先ほど永田会長もおっしゃったんですが,少子化によって日本の高等教育がどういうキャパシティーを持ってどういう質を維持できるかということについて,例えば先ほど御紹介があった学生を海外に派遣する中に,目標として学位取得を目指す長期留学もこれから9万人ぐらい増やすといった目標が掲げられており,一方で受け入れる留学生の数も同程度の数字が挙がっているんですが,現状で国内にある英語だけで学位が取れるプログラム,あるいはその教育力といったことを考えると,少子化だけの影響でなく,日本の大学に在籍する学生数はさらに少なく見積もるべきなんだろうと思います。
 そうなった場合に,国内にどういう大学群がどのように配置されていて,どういう人材を育成するのか,特に今はDX,GXという成長分野への人材育成が急務であるということで,様々な号令というか誘導がかかっている中で,そうすると,今度は分野のバランスとしてどのような日本での高等教育がなされるのかといったイメージ像をしっかりとこの分科会の中でも共有した上で議論していくことが大事かなと思っております。
 以上でございます。ありがとうございました。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 吉見委員はいらっしゃいますか。
【吉見委員】  おります。
【永田分科会長】  よろしくお願いします。
【吉見委員】  どうもありがとうございます。引き続き,どうかよろしくお願いいたします。
 今,永田先生がおっしゃられた少子化の問題でございますけれども,少子化がとても重要な問題だというのは,人口構造というのはイナーシャが非常に強くて,既にこの2023年の時点で起こっていることはもう20年後,25年後まで変えられない,急に子供が今生まれたとしても,それが大人になるのは20歳から25歳,20年から25年ぐらいですから,恐らくこの点においては,2050年ぐらいまでの日本の運命はもう決まってしまっているというところが大きなところだと思います。
 そのような前提条件の中で高等教育の問題を考えるときに,私は2つポイントがあると思っております。一つは移民を含めた言語的,文化的なダイバーシティをどう組み込んでいくのかということだと思います。それからもう一つは,リカレントを含めた教育の複線化をどのように実現していくのかということだと思います。多分日本の人口がこのまま1億二,三千万人から9,000万人ぐらいまで減った場合にはちょっともたない,国がもたないと思うんです。そうすると,移民政策等が決定的に変わっていかざるを得ないと私は思っています。
 そういうことの中で教育もあるわけですし,それからもう一つ,言語ということで言いますと,ちょっと余談になっちゃうかもしれませんけどChat GPTが結構すごいのは,先生方,このAIがすごいのは翻訳能力がものすごく高いので,これは教育の中で真剣にどう使うかということを考える必要があると思っております。
 以上でございます。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 次に,橋本委員,いらっしゃいますか。
【橋本委員】  はい。
【永田分科会長】  よろしくお願いいたします。
【橋本委員】  私は経済界から来ていますので企業の立場で言いますと,少子化を歓迎している業界も企業も一つもないわけでして,マーケットも狭まりますし,いいことは何もないんですが、当然多くの従業員を採用するということができなくなる中、企業規模を維持したいとなると一人一人の従業員のレベルを上げていくしかないんですけども,今リカレント教育が非常に話題になっていますが,大変膨大なニーズが企業側にもございます。ニーズがあるということはマーケットがあるということで,大学以外にも,いろいろな産業がリカレント教育のマーケットに進出してきており,いや応なく競争しなきゃいけなくなるんですが,大学や大学院が同じような競争をするのではなく,大学・大学院教育ならではのリカレント教育というものをしっかりと確立して大学自体のレベルも上げ,そこで学ぶ人たちのレベルも上げていく,こういった好循環がつくれたらいいなと思います。どのようにしたらそれができるのかということはこれから議論していきたいのですが,一つは我々企業側と大学あるいは大学院側とのニーズとシーズをどうマッチングするか,あるいはそのマッチングするシステムをどうつくるかということは非常に大事かなと思っています。
 以上でございます。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 熊平委員,どうぞ。
【熊平委員】  ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 少子化は本当に避けられないことですが,私の方からは、少し別の観点で、お話しさせて頂きます。目指すゴールは、高等教育の更なる充実と発展である点は、これまでの議論と同じです。
世界では、地球環境等の複雑な問題解決のために,研究者が、かつてない勢いでグローバルに連携し、共同研究に取り組んでいる様子を見ることがあります。世界の研究者の活動に、日本の研究者が積極的に参加できる環境を整えることで、日本の大学のグローバル化を促進することができます。また、日本が少し遅れてしまった知的生産社会への移行も促進され、大学に集う学生も質の高い学びを得る機会が増え、同時に複雑な問題解決に参画することが可能になります。多くの複雑な問題は、グローバル共通のテーマなので、世界に目を向ける学生を増やすことにもつながり、好循環が生まれるのではないかと思います。世界の発展に寄与する研究を通して、大学の存在価値を高めていくことに主眼に置くことで,結果として、教育の高度化、研究を通しての社会実装への貢献、グローバル化の実現等がすべて実現していく,そのようなシナリオが描けるとよいのではないかと思っております。リカレント教育についても,大学がこれまで以上に大きな役割を担う,民間サービス,教育サービスではなく大学が担うという流れがつくれるとよいと思います。
 私からは以上でございます。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 次に,後藤委員,どうぞ。
【後藤委員】  ありがとうございます。
 たくさんいろいろあるというふうには思いますけれども,まず,少子化というのはもう予想されたことではありますが,一口に言って量の減少を質の向上で補うということになると思います。質の向上というのは,つまり教育が果たす役割で,教育は国の未来ですので,日本をどのような国にしたいかというビジョンが必要かなと思います。海外に学ぶことももちろん重要ですけれども,これまでの日本の教育のよい点というのを客観的に検証し,未来に向かって生かすという,そういうことが重要かなというふうに思います。それから,学校教育の中での高等教育機関の果たす役割,そして各大学による役割分担も必要かなと思います。
 それから,第11期でいろいろ挙げていたかと思いますが,教育のリスペクトということがあったかと思いますけど,これは非常に重要なことだと思います。教育を担っていくのはやはり教員ですので,教員に対するリスペクトというのもこれから必要なことかなと感じております。
 以上でございます。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 日比谷委員,どうぞ。
【日比谷委員】  今期もどうぞよろしくお願いいたします。
 少子化については皆様がいろいろおっしゃっているところですので,前期に関わりました別な観点からお話ししたいと思います。吉岡先生と共に質保証システム部会の審議まとめを出しまして,その結果,設置基準が幾つか改正されたところです。そして特例制度も認められまして,これから特例による新しい取組がたくさん出てくることを期待しているところです。
 何回も議論されているように設置基準という事前規制型から認証評価による事後チェックという流れができてきているんですけれども,皆様がおっしゃっているような新しい大学の在り方を考えていかなければいけませんので,設置基準をかなり改善していく必要もあると思っています。そのためによい特例を,ぜひいろいろな大学から認められるようないいプランを,それから何か人につくってもらったものではなくて,本当にそれぞれの大学が自分たちの特色を生かして新しいプログラムをつくろうという意欲に大いに期待しているところなんですが,そこから新しい設置基準をつくっていくということ。
 それから,あれを出しました後,あちこちの認証評価機関で,これ全部事後チェックが認証評価機関に来たらもう大変なことになるという悲鳴が上がっているんですが,これも再三申し上げてきましたように世界的に見ると設置基準より重要なこと,はるかに重要なことは認証基準,評価,アクレディテーションの充実ということは避けられないし,国際化の点からも,留学生を迎えるというようなときもどういうアクレディテーションかということが必ず見られますので,この辺りについてもぜひ議論して,これからの日本の高等教育の在り方に資するような何かの提案ができればと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 古沢委員,どうぞ。
【古沢委員】  古沢と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 私も前期の審議に参加させていただいて,前期の中では学修者本位の大学ということがかなり強調されたと思うんですけれど,少子化が加速しているからこそ,さらに学修者,学生本位の大学教育というのが求められているのではないかと思います。一人一人の力をいかに引き出していけるかということだと思うんですけれど,コロナの後,各地のキャンパスを仕事で訪れる機会も多いんですがかなり対面の授業が戻ってきていて,学生も生き生きしていてよかったなと思うんですが,当然かなり遠隔も導入されていまして,コロナ後の大学はかなりいろいろな面で変わったということも踏まえながら審議をしていければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 湊委員,どうぞ。
【湊委員】  湊でございます。
  前期,第11期は大学院部会で,特に人社系大学院の調査と課題,および改革の行方を2年間議論させていただきました。大学院については,これまで中教審でもいろいろな議論がなされてきたわけですけれども,おおむね自然科学の領域における最大公約数的な大学院ということで議論されてきたように思っておりますが,実は人社系の大学院というのはそれなりにマスがあるのだけれども,実際の様相には自然科学系とはかなり違う部分もあるということで,まずは実態の調査として,いろいろなアンケートも取りました。そういったものを踏まえて課題を抽出して今後どうあるべきか,とりわけこの新しい時代に人社系の学位保持者が社会でどれだけ活躍していくか,どういう発信をしていくかということも非常に重要な要素だろうと思うんです。それについて,とりあえず前期では中間まとめとして取り纏めましたけれども,もう少し調査も踏まえた上で何とか最終まとめを出させていただきたいと思っております。
 加えて第12期においては,いわゆるリカレント教育について,これも社会人教育といっても,実はいろいろ対象となるような社会人の方がいらっしゃって,背景も様々で,ニーズも随分違うというようなこともなんとなく分かってきております。そういったことを踏まえて,社会人の再教育,社会へ一度出た人,今いる人に対するいわゆる高等教育,特に大学院レベルの教育について,どういうニーズがあるかということをもう一度きちんと整理した上で,大学がどのような形で対応できるか,これは通常の課程大学院とは随分違うところもあるだろうと私も想定しておりますけれども,それについて少しリアルな議論と,できれば発信をさせていただきたいと思っておりますので,本年度もどうぞよろしくお願いいたします。
【永田分科会長】  ありがとうございます。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
 相原委員,どうぞ。
【相原委員】  よろしくお願いいたします。
 今までのほかの委員の先生方もお話しになったように高等教育で育成の対象となる人数が減るということは,国や地域を支える上で重要な人材が減るということになります。そうしますと,よりレベルの高い人材育成が必要と考えます。学部教員の働き方については,これまでも議論されてきていろいろ変わってきましたけれども,大学院の教員の働き方についてもより柔軟性を持たせて,より研究力も上げ,教育力も上げられるようなシステムを構築していかなければいけないと思います。
 それからもう一つなんですけど,それぞれの大学の特徴を出し,研究面でも教育面でもとても言われているんですが,それ以外の教育の基盤でとても重要な共通している部分,これが決しておろそかにされないように,そこの部分も目配りしたシステムをつくっていかなければならないと思います。
 以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 麻生委員,どうぞ。
【麻生委員】  よろしくお願いいたします。麻生です。
 私からは,グランドデザイン答申にも関わってきましたけども,グランドデザイン答申の際に学校教育法の第108条に位置づけられております短期大学について,今後制度上の問題とか,活用をぜひするという文言があります。ただ,今までグランドデザイン答申以降,学部教育や大学院教育に関しては大分議論されましたけども,短期大学の役割もあります。そこも機能別分化等も含めて,先ほどから議論が出ています少子化問題や地方の活性化,それから加えてリカレント教育等にぜひ短期大学の制度を活用できるような議論をさせていただければと私は思っていますので,よろしくお願い申し上げます。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 多委員,どうぞ。
【多委員】  学校法人電子学園,多でございます。よろしくお願いいたします。
 深刻な少子化の進行というものが高等教育機関に与える影響というものもございます。それに加えまして,AIをはじめとする技術革新によって産業構造が劇的に変化していくという中で,多様な人材が求められるということも踏まえますと量と質,この双方の観点で議論を進めていく必要があるというふうに感じております。
 まず,量の面では,少子化に伴って生産年齢人口の減少も進みます。国力の低下というものが懸念されるということも踏まえまして,先ほど来お話が出ておりますリカレント教育,またリスキリング等による社会人の学び直しに対してどう対応していくのか。また,教育未来創造会議の第二次提言で示されております外国人留学生の戦略的受入れの推進をどのように図っていくのか,高等教育機関としての具体的な取組について,より議論を深化させていく必要があると考えています。
 また,質の面におきましてはDX,またGXといった成長分野に資する高度人材から,地域の生活基盤を支えるエッセンシャルワーカーまで幅広い人材の育成が必要とされる中で,いわゆる学修者本位の教育を提供していくということのためにも,高等教育機関に属するそれぞれの学校種においてさらなる教育の質の保証,向上に努めていく必要があると思っています。
 こうした中で,主として職業教育を担う専修学校専門課程では,職業実践専門課程の充実による教育の質の保証,向上はもとより,学修成果の可視化や国際通用性の確保という観点からNQFの構築を進めることも重要であると認識しているところです。こうしたことも念頭に置きながら大学分科会に参画させていただきたいと思います。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 大森委員,どうぞ。
【大森委員】  大森でございます。今期もよろしくお願いいたします。
 私は地方の大学を担当していますので,もう本当にこの少子化というのは一番身につまされているというところかなと思っております。今年度も始まって早々にいろいろな我々にとってショッキングな仲間の大学のニュースなんかも出てきたところで,本当に喫緊の課題だなというふうに感じているところです。これからますます地方の大学がこの先どうしていくかというのを考えなきゃいけないことが起こってくるということで,11期の最後のほうでそうなったときの学生の保護というようなことの議論に踏み込んだわけですけれども,そのことも非常に重要だと思います。
 ただもう一方で,さっき読んでいただいたように11期のまとめの中で,個々の大学の努力だけでは乗り越えられないような状況がもう来ているんだということも書き込んだところで,今まで成り立たくなった大学さんのことに関して言うと,個々の努力が足りないんじゃないかという文脈で語られることが多かったんですけれども,努力だけではどうしようもいけないという状況が来たということを大学分科会が認めたということになるかと思っています。そうしたときに,駄目になったところは駄目で,あとは学生を保護しようねという議論だけでいいのか,駄目にならないために国を挙げてどうしていくのかというところまで議論ができるといいなと思っています。地方から大学がなくなると,その地方の大学にしか通えない学生というのは必ずいるので,なくなったときに実は進学率がさらに落ちていくんじゃないかと。そうすると,先ほどの質のというところで,より質が落ちていくということも考えられますので,そういう推計なんかも分析できたらありがたいなと思っています。
 それからもう一点,18歳がというときに,社会人教育がということでリカレント,これも重要だと思っていますが,地方でプラットフォームなんかでリカレントのプログラムをつくるんですけれども,かなりの充実した内容を大学側が提案すると,なかなか産業界はそんな長い時間社員を送れないよというようなことがあります。かなり短時間でコンパクトに,こうなると,これは何回もいろいろなところで言っているんですけど,大学としては正規の学生としては受け入れられない,パートタイム学生なんです。でも,パートタイム学生を幾ら受け入れても定員充足には認められないので,補助金やその他を含めて課題が残ります。だから,学生とは何なのかという議論も進めていけたらありがたいなと思っています。
 最後に,今日お示しいただいた審議する事項の中で国公私の設置者別の役割分担,これは議論の中でディスカッションしていけばと思いますが,機能分化というのは私は大賛成で,それぞれの大学は役割があると思うんですけど,設置者別にそれを考えるのかな,どうなのかなというのはディスカッションさせていただけるとありがたいなと思っています。
 以上です。ありがとうございます。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 金子委員,どうぞ。
【金子委員】  金子と申します。前期に続き論議に参加させていただきます。どうかよろしくお願いいたします。
 先ほど永田分科会長から言われた少子化に向けた高等教育の在り方についてはこれからの論議ということだと思いますけれども,少なくとも少子化というのは人それぞれの捉え方やタイミング,時期,その先何年後かというところによっての対処の差というのが出てくると思いますので,そうした前提を少しすり合わせた上で,起こり得る環境認識を共有した上で論議したほうがずれがないんじゃないかと思いますので,ぜひそういった詰めをお願いしたいと思います。そういったことを後づけ,後づけで対処するのではなく,先手を打ってそういうあるべき姿に持っていくという論議は大賛成ですので,積極的に参加させていただきたいと思います。
 それで,それと関係するかどうかというとあれですけれども,私は大学なり高等教育というのは,直接的に学ぶ学生のためだけでは今後いけないんじゃないかというふうに思っており,前期からそういった観点で発言させていただいたところです。特に地方大学が地域において果たす役割というのは,教育機関と地域社会との敷居を低くするということが地域の活性化につながると考えておりまして,地域の学生の地元への定着に資する観点だとか,あとは地域住民の生涯学習などに資する活動など,身近な取組ということが必要ではないかと思っております。
 今後の論議の中でも少子化とともにデジタル化の進展ということもありますので,そうしたことも踏まえて地方創生の加速化,深化,そして地域における高度人材の育成のことを含めて地域経済社会を支える地方大学の役割というのがますます今後重要になってこようかと思っておりますので,こういった観点を頭に置きながら積極的に論議に参画させていただきたいと思いますので,今期もよろしくお願いいたします。
 以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 志賀委員,どうぞ。
【志賀委員】  ありがとうございます。鹿児島にあります学校法人志學館学園の理事長をしております志賀と申します。今回新任となります。よろしくお願いします。
 若輩者ですが,このたび委員となりましたのは短大協会の副会長であるということと,認証評価機関の委員長であるということと,そして地方小規模文系の学校という立場もあるかと思います。現時点で私から言えることとしましては,先ほど大森先生ですか,その御発言にも関わるんですが少子化問題,またそれに伴う適正規模という問題と定員未充足の問題を一緒にしてほしくないということであります。もうかれこれ20年以上,文部科学省は定員充足率という指標を金科玉条のように使いまして,未充足校にペナルティを課していますが,いいかげんもう少し様々な要因を踏まえた指標を考慮するよう今後も意見を述べ続けると思います。
 確かに一義的には私学がそれぞれ設定した定員を満たしていないというのは経営手腕の不足と思われるかもしれませんが,その結果,現在人気はないけれども今後も社会に絶対必要な分野ということがないがしろにされているように感じます。具体的には,本学には介護福祉士養成施設がありますが,設立当初60名だった定員が20名まで減ったんですけど,現在入学者は毎年10名前後です。これは現在の経常費補助等ではペナルティを受ける人数になっていますが,今後も必要な分野ということで歯を食いしばって残しているんですが,経営だけ考えたらこれはなくしてよいということになります。
 ですから,やや悪意に満ちた言い方をすると,学習者本位の教育というのは,例えばこのような介護等のエッセンシャルワークは人間がもうやりたがらないからロボットに任せて,その在り方や研究もAIに任せればいいということになりますが,高等教育機関でそれがいいかということになってしまいます。介護福祉士以外にも教員養成ですとか文化芸術ですとか一部の語学でいわゆる文系不要論とか,社会的に必要だけれども採算が取れない分野についてということがあまり議論されていなかったように思います。国公立や大規模大学が,それらはもうからないけれども社会的に必要だから担ってくれるかと思いきや,こちらも不採算部門の見直しということで,どちらかといったら早期に損切りをしているようにも見受けられます。少子化における適正規模については,今後は定員充足率を満たさないから減らすとか安易に統廃合するという意味ではなく,理系分野以外でも社会的に必要な分野の人材について,ちゃんと文部科学省なり,あるいは場合によっては経済産業省なりとも調査研究した上で適正規模を提示して,それを地域ではこれだけの人材がこれだけ要りますというのを支援しますという意味合いで文部科学省も進めていただければと思います。
 若干議論がずれていると思われるかもしれませんが,これまで外から見てきた立場としては,中教審というのはよく言えば理想像,悪く言えばきれいごとを掲げて,結局具体的政策においては政治家や官僚が小規模校を締めつけるような方策を打ち出すというような印象が申し訳ないんですけどあります。ですから,そうならないように,そういった言葉の使い方については今後も厳しい意見を言うかもしれませんが,それだけ小規模校というのは深刻に政策に振り回され続けてきたという立場を御理解の上,どうぞ今後ともよろしくお願いします。
 以上でございます。
【永田分科会長】  須賀委員,どうぞ。
【須賀委員】  前期に続きまして委員を務めさせていただきます早稲田大学の須賀と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 先ほど来,少子化について,この期では議論を集中してやらなければいけないことがあるということですが,それに関しましては,これまでになされてきた議論の中でとりわけ重要なことは2つだろうと私は思っております。一つは教育を高度化していかざるを得ないという議論ですが,これは絶対数が少なくなれば,その分をどうやって補っていくのかというところから高度化というお話になると思います。しかし,高度化の内容は随分と多岐にわたっていて,これが一体何を意味するのかということはこの先十分に議論が必要かなと思っています。
 一つの観点として国内で研究,教育をいかにうまく循環させていくかということがあると思いますけれども,先ほどの御意見にもありましたように日本人の,日本の学生の留学生の数が減っているということが非常に大きな問題になっているかと思います。その理由を考えてみると,日本という国が海外から認められるという意味で個々の研究者が研究者としての力を十分に発揮していただくためには,海外で教育を受けるだけではなくて世界の研究の現場に行って,そこで活躍するということが必要なんだという観点があると思います。これまで産業界での世界のマーケットでの活躍というのは非常に目立つものがあったかもしれませんけども,研究のほうでも同じように目立つようなプレーヤーを育てていく必要があるということで留学を推奨するということが重要なんだろうと思います。それから,それらの方々が戻ってきてどういうふうな形で人を育て,そしてまた送り出すかという循環を一つは考えなければいけないだろうというのが1点でございます。
 もう一点は,今度は留学生を受け入れるという側面でございますけれども,留学生を英語学位プログラムのようなもので受け入れる,学位を取ってまた本国に戻ってしまうということではせっかく育った人たちが日本に貢献してくれないままになってしまうわけですから,日本で定着していただくような工夫をやる必要があるだろうと思っております。今,多くの留学してくれる学生さんたちは日本の文化に憧れを持って来るということだと思うんですけども,それ以上にもっとたくさんの提供できるものがあるということが分かるものが重要なわけですから,例えば教育の質がほかとは異なって日本では充実しているというようなことをもう少しアピールしてもいいかもしれませんし,彼らの就職先についてももっと積極的に考えていく必要があるだろうというふうに思っています。
 取りあえず私からは以上のような考えを述べさせていただいて,終わらせていただきます。ありがとうございました。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 髙宮委員,どうぞ。
【髙宮委員】  髙宮でございます。今期もどうぞよろしくお願いいたします。
 今期,少子化が非常にシリアスな局面を迎えていて,教育行政についてもそこが重要なポイントになるということはもう最初に御指摘いただいたところで,誠にそのとおりだと思います。そしてその中でも,多分教育はクオリティーを上げていくことによって数少ない部分を賄うと,この使命を負っていることも全く至極そのとおりだと思って,これをいかにしていくかということの課題は今後真剣に考えていきたいと思うのですが,一つだけ,何人かの先生方からも御指摘がございましたように今まで中教審はあまり経済面については突っ込んだことをしなかったのですが,今一番問題になっているのが,実はそのような高度なことをしていくにはより一層の経済的なバックグラウンドが不可欠であって,これをなしにこういうことやったらいいという非常に理想的なことだけ述べてしまうと,かえってそれを限られた資源で,リソースでやろうとする大学の現場が疲弊もしくは崩壊してしまうと,こういう危機に陥っているシリアスな段階だということもちょっと認識する必要があると思っております。
 1990年代に人口あるいは大学就学人口が増えていた登り坂の局面では自由競争は美しかったかもしれないんですけれども,減少局面にあるときに,果たして自由競争に任せたまま負けていくところ,主に私立大学,しかも地方が厳しいということは先ほどから何度か出ておりましたけど,これに任せてしまったのでは,それこそ大学教育が崩壊してしまうのではないかという懸念もまさに共有させていただいております。
 さらに日本が特殊なのは75%の大学,高等教育を私立大学が行っているというのは世界的にもむしろ珍しいそうでして,さて,このような状況で本当に自由競争に任せて大丈夫かというのは真剣にこの先検討すべきであり,本来で言えばもっと国全体が教育費に多額をかけるべきですけれども,そこら辺も含めて経済性についても盛り込んでディスカッションさせていただけたらなというふうに少し考えていたところでございます。
 どうぞ今期もよろしくお願いいたします。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 濱中委員,どうぞ。
【濱中委員】  早稲田大学の濱中と申します。大学院部会と質保証システム部会のほうにはこれまで参加させていただいておりまして,こちらの分科会は初めてとなります。よろしくお願いいたします。
  少子化がキーワードとして挙げられています。少子化,そしてまた技術革新,グローバル化といったことを考えますと,先ほど吉見委員も御指摘されていらっしゃいましたが,リカレント教育をどうするかといった問題に真正面から取り組む必要があるように思います。リカレント教育は、大学院部会でも大きなテーマになっておりますが,ここで大学もしくは大学院に戻って学び直そうと考える人は誰か、ということを考えると、学ぶ必要性を認識しているという点はもちろん大事ですが、他方で就業前の教育経験がどのようなものであったのかということも重要な要因ではないかと思われます。つまり、大学・大学院での充実した学びを経験した人、知っている人が、そのような選択をする、とも考えられるわけです。だとすれば、今後のリカレント教育の充実は、同時に今後の学部教育の充実にもかかっている、ということになります。
 学部教育の改革はこれまでも政策課題として取り組まれてきていますが、他方でどれだけそれが実を結んでいるのかというと心許ないところがあります。同時に、私たちが現在の学生のリアルをどれだけ知っているのか、わかっていないところも大きいように思います。引き続き学生たちのリアリティを理解するよう努め、必要な施策を試み、髙宮先生がおっしゃった資源の面の対応も図り、大学で学んだ人がキャンパスに戻る、大学に進学しないという選択をした人も、大学で学んでいる人の姿をみて大学への進学を積極的に考えるようになる、そのような循環を生み出すことが、少子化という文脈でも大事ではないかと考えています。
 どうぞよろしくお願いいたします。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 平子委員,どうぞ。
【平子委員】  今回から参加させていただくことになりましたANAホールディングスの平子でございます。
 現在、私は経済同友会の日アセアン委員会の委員長も務めています。実はアセアンの人たちと話をすると,高度人材不足はアセアンと日本に共通した切実な課題であることを実感します。高度人材をいかに育成し還流させるのか,は共通のテーマとして彼らから賛同を得ており,経済同友会もその解決策をこれから探っていこうと,こういう状況下にあります。
 日本の人口減少,これは避けられない事実です。その時に少数精鋭という言葉が浮かぶわけですが,この場合の少数精鋭とは社会課題を解決できる人材という意味です。このような人材をいかに増やしていくのかが大事なのではないかと思います。それに不可欠なのがグローバル人材とDX人材です。大学は学びたい場の提供という使命を負っていますから,一つの大学だけで閉じるのではなくて,もっとオープン化していく必要性を感じています。
 私は国内の大学と企業,高校,高専などとのタテの連携,あるいは国内の大学間同士のヨコの連携のみならず,ナナメの連携も必要だと考えています。この場合のナナメとは、外国の企業や学修機関といった国外との連携を指します。タテ・ヨコ・ナナメという多岐にわたる大学のオープン化で人の交流を混ぜることによって,人材が文化や価値観の相違から多くの刺激やインスピレーションを受けます。その結果,現在人類が直面している課題,たとえば地球温暖化に関連するGX,サステナビリティの諸問題に,思いがけない発想を持つ人材が増えてくるのではないかと,そんな期待を持っています。
 DX人材に関して言えば,日進月歩で技術が進化していますので,大学でもDX人材の不足が顕在化してきます。不足する人材をどのように手当てするのかも考えていかなければいけません。人材の活用という観点で,若手・女性人材の育成と活躍の場の提供は当然のこととして,博士課程の人材の不足に加え,ポスドクの待遇の問題も解決しないと,高度人材の中でもより高度な人材が先細っていくという懸念もあります。
 もう一つ大事なことは,人材と就業のミスマッチをいかに減らすかということです。人口が減少する中で人材と就業のミスマッチが起きると,生産性に大きな影響が出てきます。自分のパーパスや職業観といったものをいかに若いうちから持たせるか。学生の進路決定が世界的に見て遅い日本は,大学というよりはそれより前の工程に問題があるのかもしれません。そのようなパーパスや職業観に合致した就業を追求する構造にしていくことによってミスマッチが減り,即戦力化を通じて生産性向上も期待できるのではないかと。もう一つはリスキリングです。リスキリングに関しては,「JVキャンパス」の構想に社会人も取り込むことによって,社会人によるフィードバックも活用できるのではないかと思います。
 企業側の反省点としては,インターンシップ制度の充実がまだまだ途上だということです。学生のパーパスや職業観の育成にも影響します。就業体験の充実も含め、日本の大企業のみならず中小企業の在り方について考えるべき時が来ていると思っています。
 以上でございます。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 福原委員,どうぞ。
【福原委員】  今期,第12期から大学分科会の臨時委員に参加させていただくことになりました福原でございます。どうぞよろしくお願いいたします。私,現在,清家先生の後任といたしまして私学事業団の理事長職を拝命いたしております。日頃は私学事業団を通じまして全国の私立学校に対する補助金の交付等による助成業務や,またそこで活躍されている教職員の方々の生活を支える共済業務等に従事させていただいておりますが,そのほかにも幾つかの高等教育の行政に関しまして参加させていただいております。
 その一つに今般成立いたしました私学法の改正の検討がありますが,また高等教育の修学支援制度の見直し,さらには大学設置,学校法人の審査におきまして定員確保の見直しといった点につきましても関与させていただき,他方で、学術振興におきまして大型の研究資金の交付といったことに関しましても関与させていただいております。そういった制度が令和6年から7年にかけて始動していくということでございますので,こういった制度基盤がこの分科会における議論というものをしっかりと支えていく役割を果たしているのかどうかということも検証しながら参加させていただきたいというふうに思っております。
 また,既に各委員から御指摘いただきましたように少子化の問題というのは我が国の社会全体にとりましても,大学にとりましても大変大きな変革を迫る要素でございまして,IT化,デジタル人材の育成ですとか,外国人材の受入れを含めた留学生政策の抜本的な改善といったようなものが議論になってくるかと思っております。
 そういう中で2つ,今,私はこういう議論がなされればいいのではないかということを思っております。既に御指摘いただきましたが,一つは,変革が一大学や各学校だけではできないので,やはり大学間連携という仕組みを抜本的に促進するためにはどうしたらいいだろうかということでございます。既に単位互換だとか併修制度の活用といったようなことで始まってはおりますけれども,学校種ですとか規模ですとか立地,都市部であるとか地方部であるかということを超えた連携が制度的に容認できるというようなことを期待したいなと思います。もう既に専門学校と通信制の大学とかではどんどん始めておりますし,定員充足率が心配される短大と4年制大学との連携というようなことも地方と都市部で実施しているという例も見られますので,具体的な好事例などを拾い上げつつ,そういったものを全国で活用できるような議論ができればということが一つであります。
 もう一つは,もう既に御指摘いただきましたけれども,今般入学定員から収容定員へといろいろな規定の指標が変化しましたけれども,やっぱり面接授業を原則とした定員充足率といったようなものに加えた様々な大学の取組がいろいろな行政の指標になるように,どんな指標があるのかといったようなことも注意していきたいなというふうに思っております。そういう中で初めて委員として参加させていただきますけれども,どうぞよろしくお願いいたします。
 以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 益戸委員,どうぞ。
【益戸委員】  UiPathの益戸です。
昨年度は,大学分科会,大学振興部会で様々な議論に参加させていただきました。今期もどうぞよろしくお願い致します。
まず皆さんにお伝えしたいのは,デジタル化の波がすごいスピードで進展しているということです。最近は、Chat GPTの話題で持ち切りです。1年前はデジタル人材育成が議論の中心でした。ところが今や多くの企業から,Chat GPTとRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を組み合わせれば,高度なデジタル人材育成抜きで,ビジネスオートメーションの実現が可能ではないか?とのお話が多く出てきています。特に日本はデジタル化が諸外国に比べ遅れを取っていますので, その声は非常に強く,UiPathのシアトルとニューヨークでは, スピードアップしてその開発に取り組んでおります。技術的には,1年以内に実現可能ではないかと聞いています。委員の皆さまには,そんな時代感を持っていただきたいと存じます。
さて, 今期,高等教育機関の適正規模の議論が予定されていますが,5年前のグランドデザイン答申作成の際も少子化の危機感を共有しながら議論を重ねた事を思い出しました。実際問題,この5年間で経営が悪化してきた高等教育機関も出始めてきているのではないでしょうか。
従いまして、国側では、この大学分科会の議論と並行して,昨年度審議まとめに出ている学生保護の仕組み,セーフティーネットづくりを早期に行って頂きたいとお願い致します。また,事務局へのお願いですが,次回に間に合うかどうか分かりませんが,ぜひ新しいデータの提出をお願い致します。
2つ目ですが,私が社外取締役をしております肥後銀行がある熊本県に,台湾の半導体メーカーTSMCが進出してまいります。この進出で九州全体を巻き込んでの人材育成,教育の課題がクローズアップされ,従来以上に地方自治体と企業,教育機関が連携を取っていかなければいけない状況を作り出しました。
初等中等教育においては教育委員会,教育庁などが行政機関の中にありますが,  高等教育についてはどこが窓口なのだろうと思う事もあります。従来とは違う新しい連携の仕方を考えなければ,知の拠点たる地方大学,高専の振興方策は進まないのではないかと考えております。
そして最後にもう一つ,国力を保つためには、ボリュームゾーンの平均値を上げることはとても重要ですが,私は、それ以上に高いレベルを目指す研究者の育成も非常に大切だと思っております。
聞くところによりますと,私立大学の入学定員3,000人以上の25大学に私立大学への総入学者数の30%が集中しているとのお話を聞きました。私立大学と一言で言っても、ずいぶんと違うことを改めて感じたと同時に,大規模大学における教育の質を高度化し、幅広い学生の底上げをする重要性をもう一度再認識すべきではないか、国として何かできることはないのかという振り返りも必要ではないかと考えております。
学生の皆さんにとって, 大学に進む,大学院に進むということは、ご自身の人生への設備投資です。私たちは高等教育を通じて学修者皆さんの人生の投資を大切に支援していくという観点からも議論していかないといけないのではないでしょうか。
今期もどうぞよろしくお願いいたします。
【永田分科会長】  大変ありがとうございました。
 松下委員,どうぞ。
【松下委員】  よろしくお願いします。
 私からは2点申し上げたいと思います。まず1点目は,今日,皆様から少子化の中でいかに質を高めていくかというお話があったんですけれども,その質というのを考えるときには時間という量もかかわってくるということです。私は,この間,アメリカのある大学のケーススタディーをやって,ずっと学生にインタビューなどもしてきたんですが,日本の大学とすごく違うのは,カリキュラムの体系性などもさることながら,やはり4年間みっちり学んでいるということです。日本の場合,4年と言いながらほとんど3年間になってしまっている。それが,4年間学んで,しかもキャップストーンプロジェクト,日本の卒業論文,卒業研究に当たるようなものも2年間かけてしっかりやっています。先ほどの第11期の振興方策のところでも少人数セミナーとか卒業論文,卒業研究の重要性ということが言われていたんですが,学生数が少なくなってくるからこそ,しっかりと充実した教育をこういった点で行っていくということが改めて重要であるということを非常に強く感じています。
 そのときに,やはり時間の長さという量も決して無視できなくて,単純に言って4年間と3年間では4分の3しかないわけですから,4年間の大学教育というのをいかにみっちりできるようにするか。これは産業界の御協力がなければできないことですので,大学と産業界との連携というのもやはり必要なんだろうというふうに思います。
 もう一点が,これも今,リカレントだとかリスキリングということを皆さんおっしゃってきたんですが,リカレント,リスキリングの場合は,例えば大学に戻ってくるといっても4年間というのは難しいわけで,マイクロクレデンシャルのように学修内容の単位を少し小さくして学びたいことを学べる,今,益戸委員がおっしゃったように非常に進歩が速いわけですから,その学びたい分も本当に先端化,先鋭化していると思うので,その部分をいかに提供できるようにするか,それを社会人が働きながらもできるような形で提供するかということが大事になってきます。そういうような粒の大きさ,グラニュラリティといいますか,その単位を持ったプログラムを提供して,なおかつそれをちゃんと質保証していくのかという,その辺りをきちんとやっていく必要があるのかなと思います。今申し上げたように2点とも質保証の質ということに関わってくることなんですが,その辺りをまた今期,私としても考えていきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 森委員,どうぞ。
【森委員】  森でございます。今回から参加させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 今,多くの委員の先生方から割と悲観的な,大変危機感の強い御発言があったかと思いますけれども,実は私,結構大きな可能性を感じているところでございます。何かと申し上げますと,今,私は先ほどからお話がありました私立大学の小規模大学の,さらに偏差値ということで言えば50前後ということになるんですが,実はその彼らの可能性というのは非常に大きなものだというふうに思っております。一方,高校までの教科教育はうまくいかなかったかもしれませんけれども,非認知能力的なところは非常に大きいですし,社会ともつながったり,もう一度学び直せば大学院への進学ということも十分あり得る。そうなったときに,ボリュームゾーンの教育というものを私は強くこの委員会で考えてまいりたいというふうに思っております。
 くしくも,少子化ではございますけれども,EOCD諸国に比べましたら高等教育進学率は60%切っているんですね。まだまだ大学進学率を増やし,そして大学,実学だけではなくて本当に教養といったようなところも十分にあり得ると思いますけれども,そういったようなものをどうやって考えていくのかということは非常に重要な国力,先ほど益戸先生がおっしゃいましたけれども,国力を上げていくことには重要だというふうに考えております。そういう意味では,今期,私としましてもボリュームゾーン教育といったようなところをいろいろな委員の先生方と一緒に考えてまいりたいと考えているところでございます。
 あと,2点目でございますけれども,先ほど日比谷先生もおっしゃったように出口保証ということであれば,今の話にもつながるんですけど,やっぱり18歳でうまくいかなかったことが一生関わるということではなくて,海外のように何度でもどこからでもチャレンジできるという,こういったようなことを大学が提供していかなければならないというふうに考えています。そういう意味では,18歳から25歳ぐらいまでいろいろな大学を経験できる,またはミスマッチがないようにいろいろな授業を取ってみて自分の分野を決められる,こういったような入試のところでございますね,こういったところにもうそろそろ踏み込まなきゃいけないのかなと。アメリカのようにコミュニティカレッジがしっかりと研究大学の基盤を支える,こういったようなシステムもあり得ますし,大きく変わりましたけどもヨーロッパのほうもいろいろな大学,先ほどお話もありましたようにいろいろな大学に越境できるようなシステムもできている,もうそろそろこういったようなことをしていかないと,ボリュームゾーンのところに関してはチャンスがどんどんなくなってしまうというふうに思っております。
 少し熱くなってしまいましたけれども,その辺りについてぜひ考えてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 和田委員,どうぞ。
【和田委員】  ありがとうございます。今期から参加させていただきます金沢大学の和田と申します。よろしくお願いいたします。
 私からは2つのことをお話しできればと思っています。一つは,今お話にありますように少子化はじめ大変スピードが速いということに関してだと思います。このスピードの速い中で可塑性あるいは流動性などでスピード感を持って変わっていくべきところ,もう一つは根幹となすようなところは変わらないところ,少なくとも2つあるのではないかと私自身は感じています。その中でも,例えば普遍的な価値とかスキルとか,あるいはリテラシーとか,そういったところというのは認識しておく必要があるんだろうなというふうに思っています。そのためにも国際性の観点,あるいは全体像を考えながら俯瞰的なディスカッションという点でも参加させていただければと思っております。
 それから2つ目に関しては,やはりバックキャストという概念は大事なのではないかと私自身思っています。未来のあるべき姿,あるいは未来の課題といった視点から現在を振り返っていく,そのためには未来を見詰め未来課題を解決するような知恵,あるいはそこから振り返る知恵が必要と感じます。いわゆる総合知みたいなもの,あるいは未来課題を探求,克服し,未来を創造していくような未来知といったような知恵,そういった知恵みたいなものも含めて,それをどうやって涵養していくのかというような議論も進めていければというふうに思っています。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 あと,大野委員が参加予定ですが,まだお見えになっていないので,副分科会長に先に御意見をいただきます。
 それでは,村田委員,どうぞ。
【村田副分科会長】  今年度もよろしく,今期もよろしくお願いいたします。引き続き副分科会長を仰せつかりました。よろしくお願いいたします。
 皆さん,非常に様々なことをおっしゃられて,私が言うことはもうほとんどないんですが2点だけ。一つは質の部分と量の部分,これが大きな課題だと思いますが,質の部分では,大学院部会の副部会長も前期させていただいておりましたので,先ほど湊先生がおっしゃいましたように人文社会系含めての大学院の強化というのは非常に大きいんだろうなと。ただそれはリカレントという意味だけではなくて,なるべく多くの学生が学部でなくて大学院に行くということをこれから進めていかないと質は担保できないというふうに思っております。私は経済学者なものですから,実際の世界の成長論のいろいろな分野の中でようやく分かってきておりますのが,技術進歩に一番関わってくるのが人的資本,しかもR&D,研究分野に関わる人々のといいましょうか,研究者の対人口比率なんです,量でなくて,これが極めて重要だということは分かっておりまして,じゃあ,R&Dをやる研究者というのは結局大学院を出ていて理系なんです。そういう意味では,今般,私立大学あるいは公立大学に対して文部科学省が大きな基金を設けられたというのは,ある意味非常に大きな政策の転換であるんだろうし,実はそのことは,戦後工学部を中心として理系の大学をしていった,このときはいってみれば高度成長期を工学部が支えていったんですが,もはや大量生産の時代ではありませんから,イノベーションを起こす人材をどうやって育てるかという観点から,これは極めて重要なことだと思います。何人かがおっしゃっていましたけれども,今後は自由競争ではなくて,ちゃんと政策的に考えていかないといけない時代だということだと思います。
 もう一点,今度は量のことで申し上げさせていただきますと,もう皆さん御存じのように,今私立大学の48%が定員割れをしてございます。実は今,教育の経済学の研究なんかもしておりまして,1992年か93年以降の日本の大学進学率の決定要因は大学収容率なんです。それ以前のやれ授業料だ,所得だというのはもう今ほとんど効いておりません。要するに供給側の大学進学率を決めているのは収容定員なんです。いってみれば,より収容定員をどうするかということを考えれば,ある意味大学進学率は,先ほどどなたかもおっしゃいましたけど増えていくだろうと思っております。ちょっとした理論的なモデルを分析すれば,人口減少は実は逆に大学進学率上げるという分析も可能なものですから,大学進学率を上げることは十分可能だと思います。
 ただし,そのときには大きな問題がありまして,自由競争ではありませんからどういう分野が必要なのかということを少し考えて,特に情報系,これも東大の松尾先生がおっしゃっているんですけれども,日本のトップの研究者の対人口比率は欧米に決して負けないと,むしろボリュームゾーンのところが足らないんだと。じゃあ,ボリュームゾーンをどうするかというと,これは先ほど益戸さんがおっしゃいましたように教える人がいないんです。じゃあ,IT,AIをどうするかというと,これはもうe-ラーニングでやるしかなくて,そこまで含めて政府として,文部科学省として大きな政策転換を主導していく,そういう覚悟でぜひここで議論をしていかなければならないのかなというふうに思ってございます。
 私からは以上でございます。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 それでは,吉岡委員が最後です。
【吉岡副分科会長】  副分科会長を引き受けさせていただきましたので,よろしくお願いいたます。
 少子化の話が中心になっていますが,ベビーブーマーというのは270万人いたんですね。ですから,去年生まれたのが80万人を切ったので3分の1以下になったということだと思います。270万人いた場合には,ある意味では放っておいて競争させていれば,その中から優秀な人間とかいろいろな人間が育ってきたんだろうと思いますし,それが日本の戦後の高度成長などを支えてきたある部分があったんだろうと思いますけれども,やはり80万人になりますと,これはかなり大切に育てなくちゃいけない。大学教育だけではなくて,もう何年か後にはというか,既に小・中・高はそういう時代に入っているわけですから,そういう初等中等教育あるいは幼児教育も含めてかもしれませんけど,そういったところときちんと連携しながら大学教育の在り方を考えていかなければならないということだろうと思います。
 それからもう一つは,当然その後の企業との連携ということを本気でもう少し考えていかなければならないということかなと思います。例えばリカレントが重要だというのは,例えば大学院を重視していく,80万人を大切にということはその中からかなりの部分がちゃんと大学院に進んでもらわなければならないということでもあると思いますけれども,例えば今の日本の中で日本の大学院に行くことのメリットというのをどれだけ学生たちが感じているかというのはかなり深刻なことだろうと思います。大学院へ行って修士号を持っているというと少し給料が,初任給がよくなったりするということにようやくなってきましたけれども,しかし必ずしもうまくいく学生ばかりではありませんし,研究者の道がうまくいかなかった場合に,そこから民間に行くとか別の道を歩むのというのはかなり難しい社会だろうというふうに思います。そうなると,つまり何年間かロスしたという格好になりかねないということで,それを何とかしていかなければならない。キャリアパスを多様化させていくということは非常に重要だろうと思います。
 それから,人数が少なくなってくるので,これまでも議論がありましたがリカレントは非常に重要だろうと思います。つまり社会の中で高等教育の高いレベルを学んでいく人たちを増やしていくということは非常に重要だと思うんですけども,これも例えば就職した人間が大学院に通って学位を取ろうとすると,その間なかなか休みを取ることができない。研究で休みを取ることができるという人は非常に少ないだろうと思います。そういう企業はあまり多くはない。大体30歳前後がやっぱり非常に重要だろうと思いますけれどもなかなか大変で,会社が終わってから通ったりオンラインで勉強して,週末にまた授業に出たりということをする。じゃあ,学位を取ったからといって,それでパンと給料が上がるかというと,そういうわけでもない,そうなるとなかなかモチベーションも上がらないということがあるんだろうと思います。そういう意味では,社会全体をどういうふうに変えていくのかということをどこかで視野の中に入れていかなければならないということでしょうし,ここは大学分科会ですけれども,やはり大学というのは社会の中の構成要素ですので,そういう視野の広い議論をしていかなければならないだろうと思います。
 もう一点,質保証システム部会で議論してまいりましたが,質保証システム部会の基本的な立場は,大学の創意工夫を何とか後押ししようというのが基本的な考え方でありました。そういう意味では,それは大学の自覚を増してほしいということでもあり,責任をちゃんと感じてほしいということでもあるわけで,ここでの議論を横目で見ながら各大学がこちらの議論を待っているというのではなくて,それぞれの大学が創意工夫をしていくということを期待したいと,そのような発信もこちらからしていくべきではないかというふうに思います。
 以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 私は時間があったら最後に何か言うこととして,実は大学分科会はこのような自由討論だけではなくて,話さなければいけない議題というのが今この議事次第にあるとおりほかにもあります。事務方には大変申し訳ありませんが非常に簡潔に御説明いただいて,次の議題を先に諮らせていただきます。それは,大学設置基準及び専門職大学院設置基準の一部改正等について(諮問)でございます。
【小畑教員養成企画室長】  教育人材政策課教員養成企画室長の小畑と申します。議題4について御説明させていただきます。資料は4-1から4-6までとなってございまして,4-1から4-3までが大学設置基準改正関係,4-4から4-6までが専門職大学院設置基準改正の関係資料となってございます。
 本件につきましては,2月24日に開催されました第172回大学分科会におきまして概要を御説明させていただき,御審議いただいたというものでございまして,その後3月にパブリックコメントを実施いたしましたということでございますので,その結果の御報告とともに,諮問答申案という形で今回お諮りさせていただくというものでございます。
 改めて改正の概要といたしましては資料4-1,それから4-4のそれぞれ1枚目にございますとおり,それぞれの資料の右側に提言等ということで記載してございますけれども,昨年末に取りまとめられました中教審の答申を踏まえまして,まず大学設置基準のほうでございますけれどもその一部を改正いたしまして,教員養成に関する学部において,学部の種類及び規模に応じた必要最低教員数のおおむね2割以上を実務家教員とすることというもの。
 また,専門職大学院設置基準のほうの改正でございますけれども,教職大学院の入学前に科目等履修生として大学院の単位を修得した場合には,当該単位修得時の大学院入学資格の有無に関わらず,当該単位数,その取得に要した期間その他を勘案いたしまして在学期間の短縮を可能とするといったものとなってございます。
 このたび実施いたしましたパブリックコメントの結果でございますけれども,まず,大学設置基準の改正に関しましては資料4-1の一番最後,8ページ目となってございまして,全体で27件の御意見がございました。主な意見ということでございますけれども,大学教員として行う教育や研究指導に関する実務家教員の質の確保に関する御意見,それからもう一つは,実務家教員が担う役割については非常勤などで対応すればよいのではないかといったような御意見がございました。
 まず,2つ目の非常勤などで対応すればよいのではないかといった御意見に対しましては,今回の改正の趣旨でございますけれども,大学設置基準におきまして教育課程上主要と認める授業科目については原則として基幹教員に担当させるものとされているということを踏まえまして,先ほど御紹介させていただきました昨年末に答申いただきました改革の方向性を制度的に担保するということで,このたび基幹教員のおおむね2割を実務家教員とするということとしたものでございます。
 それから,実務家教員の質の確保に関してでございますけれども,この点は前回の大学分科会におきましても,その重要性につきまして御指摘がございました。実務家教員につきましては,研究者教員と同様の学位,研究業績が求められるというものではございませんけれども,昨年末の答申におきましても,単に自らの実務経験を学生にそのまま伝達するのではなく,大学教員として実務経験を体系化・構造化し,理論と実践を結びつけながら教育を行うということが必要であり,また同じく答申に指摘されておりますように教育委員会,附属学校,教職大学院と連携した実務家教員の計画的な育成・確保,FD活動の充実・高度化といったものを推進していくことが重要であると考えておりまして,本改正を実施する上での留意事項として,これらの内容をしっかり周知してまいりたいと考えております。
 続きまして,専門職大学院設置基準の改正に関するパブリックコメントです。こちらは資料4-4の6ページ目になってございますけれども,全体として6件の御意見がございまして,主な御意見といたしましては,教職大学院の科目を学部学生が先取り履修場合する場合には,学部の3ポリシーに明記するべきであるといった御意見がございました。この点,3ポリシーへの記載につきましては,各大学におきまして適切に御判断されるべきものと考えておりますけれども,各大学におきまして引き続き教育の質の確保であったり入学者選抜の公平性の確保,こういったものに努めるように,その旨をしっかりと周知してまいりたいと考えております。
 以上がパブリックコメントの概要の御報告でございます。残る資料につきましては本改正に係る改正条文案,諮問文,答申文案となってございます。大学設置基準の改正におきましては,この改正を踏まえた大臣告示ということで配置割合を定めるとともに,実務家教員は教員経験者を中心とするといった旨を規定するということとしてございます。
 駆け足で恐縮でございますけれども,私からの説明は以上でございます。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 今御説明にありましたように法文,省令の中身そのものについては,もう2月の大学分科会で認められていて,今回パブリックコメントを中心に得たものについての御説明が中心となります。これに関して何か御意見はございますでしょうか。よろしいですか。前期の人たちがつくったものが基本になっているわけで,ここであまり言うこともないかと思います。今御説明があった内容というのはパブコメも終わっていて,ここの採決はそのまま中央教育審議会の議決となります。
 それでは,改めて事務局に定数を今お聞きして,決を採らせていただきます。いかがでしょうか。
【花田高等教育企画課課長補佐】  大学分科会の委員及び臨時委員は29名であり,現在24名に御出席いただいておりますので,中央教育審議会令第8条第1項に定める過半数を満たしてございます。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 それでは,お諮りいたしますが,今御説明いただきましたそれぞれの設置基準の一部改正についてお認めいただけますでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【永田分科会長】  ありがとうございます。お認めいただきましてありがとうございます。
 続きまして,次の議題です。国際連携教育課程制度(ジョイント・ディグリー)についてです。一部改正された後にさらに見直しが必要ということで,その見直し案の骨子が固まったということで事務局から説明いただきます。
【小林参事官(国際担当)】  高等教育局参事官(国際担当)の小林でございます。
 本件につきましては,前回,2月24日の大学分科会におきまして見直し検討の方向性というのを御提示させていただきまして,今回,実際の見直し内容の案を提示させていただくというものでございます。
 資料5を御覧いただければと思います。そもそもこの国際連携教育課程制度(ジョイント・ディグリー)でございますけれども,平成26年度に創設されまして,我が国の大学に外国の大学と連携して共同の教育課程(国際連携教育課程)を編成する学科・専攻(ジョイント・ディグリー学科等)を設置し,連名で一つの学位記を出すことを可能としたものでございます。
 この制度におきまして,連携する外国大学の授業科目について,単位互換ではなく,自大学で開講したものとみなすこととしておりまして,卒業要件としては,我が国の大学及び外国大学において,学士課程では最低31単位以上ずつ計124単位以上,大学院では最低10単位以上ずつ計30単位以上を修得するという仕組みになっております。
 2ページ目は現状でございまして,今月時点で12大学に27プログラムが実施されております。大学にヒアリングを行ったところによりますと,これによってJD学科等以外の学生も含めた国際性の育成に寄与すると,あるいは学内の教育システム等の見直しを図られる契機となっているということとか,あるいは国際共同研究の拡大や国際共著論文数の増加といった,我が国の研究力向上にも貢献しているということで,高等教育全体の国際通用性・競争力の向上,日本の大学の国際的なプレゼンスの向上に寄与していると評価されております。
 今後の方向性でございますけれども,本年4月に内閣官房教育未来創造会議において第二次提言が取りまとめられ,その中におきましてJDの設置促進ということが施策の一つとして示されておりまして,具体的には2033年,10年後までに現在設置されている27プログラムから50プログラムへと倍増するということが目標とされております。この目標を実現するためには,より多くの大学がその実施規模に関わらずJD学科・専攻を実施するよう支援する必要があると考えております。
 次に3ページ目,今回の見直しの内容でございます。一つは,基幹(専任)教員の業務及び施設・設備の共同利用を可能とするというものでございまして,現状といたしまして,昨年度の大規模プログラムへのニーズ等を踏まえた制度改正によりまして,JD学科等は,既存の学部等を母体としてその教育資源を活用することを要さなくなった一方で,通常の学科等と同様に教員数や施設・設備の整備を要することとなっております。これによって,小規模なジョイント・ディグリープログラムを設置しようとする場合においても,母体となる学部等の教育資源を一切活用できず,JDPごとに用意する必要がございまして,大規模JDPと比較して小規模JDPの設置に係る負担が大きいということを御意見としていただいております。
 このため,見直し案といたしまして,JD学科等を置く学部等に置かれる他の学科等と授与する学位の種類及び分野が同一であり,かつ母体となる学部等の収容定員数の内数である場合については,基幹教員及び施設・設備については,教育研究に支障がないと認められる場合には,当該JD学科等を置く学部の他の学科等の基幹教員の兼任,それから施設・設備の共用を可能とするということで緩和することとしてはどうかという内容が1点目でございます。
 次に,2点目でございます。4ページに参りまして,追加的な基幹(専任)教員の配置の規制を緩和するというものでございます。現状におきましては,JD学科等の教員については,学科等ごとに,通常必要とされる教員数に加え,コーディネーターとして,海外の大学との調整等を行うために追加的に1名の基幹(専任)教員を求められております。このため,設置のための実務的な知識・能力が必要であるという課題はあるものの,学科等ごとにコーディネーターを配置することは大学側の負担が大きい,あるいはノウハウが蓄積されたコーディネーターの経験を別のJD学科等の設置に生かしづらいといった御意見をいただいております。
 このため,見直し案といたしまして,引き続きJD学科等を設ける学部・研究科には1人以上の基幹(専任)教員を置くことは求めることとするものの,当該学科等ごとに当該教員を置くことまでは求めないこととしてはどうかということで,具体的な見直し案として御提案させていただければと思っております。
 以上でございます。
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 最後のところにようやく出てくるのですが,若干緩和するという方向の改正であるということをまず思っていただきたいと思います。これは1個ずつにコーディネーター1人ずつ置きなさいというところから,全体でまとめて置けばいいという部分は分かりやすかったと思います。
 今御説明いただいたことに関しまして,御質問等はございますでしょうか。
 国際ジョイント・ディグリーをどんどん進めたいところですから,緩和方向に向かうのはいいことだと思います。
 御意見がなければ,ぜひともこの方向で法文案にしていただけるように,引き続き制度改正をよろしくお願いいたします。
 最後に,先ほどの自由討論というか主題についての議論に若干だけ私のほうから申し上げたいと思うのですが,今日出てきた意見,それから各種の視点は全部重要だと思います。それはまず認めます。
 ただ,金子委員がおっしゃった時期をどういうふうに設定して議論するのかは結構重要だと思うので,事務局とも相談して次回以降に申し上げたいです。益戸委員もおっしゃったように思うのですが,このスマホです。皆さん,15年前にスマホを持っていた人はいないでしょう。15年でスマホ依存症になってしまったのです。テクノロジーとはそういうものです。これにはじくじたる思いがありまして,10年前の中教審でデジタル人材が必要であるという話は出ていないわけです。今回のこの中教審のここでの議論は,そうなってはいけないということなのです。我々は未来がどう変わるかは完全には分かりませんが,それを見越した上での議論をここでしなくてはいけない。ただそれは,今日たくさん出てきた現在のいろいろな課題も解決しないといけないので,大変実は難しい内容になっています。しかし,10年,15年後に,ここに座っているような人たちが「何であのときにデジタルの話をしていない」と言われるようにはならないようにしないといけないので,かなり絞って議論をしないといけません。
 なぜこんなことを言っているか,入試改革と今日は誰もおっしゃいませんでしたが,多分少子化の中でいずれ出てくると思います。入試を変えるのに2年や3年で変えられるわけがなくて,大体国家システムとして変えるのに10年単位で変えなければいけないものを明日に延ばせば10足す1,あさってに延ばせば10足す2日後にしか変わらないわけですから,今やらないといけないということがたくさんあると思います。
 ですので,喫緊の課題はもちろん解決しなきゃいけませんが,今言ったようにそこにとらわれていて後に禍根を残すというのは一番いけないので,ここで話すことが,10年どころではありません,先ほど言ったように20年,30年後に変わる社会の源にならなければいけないという認識でやらなければいけません。どの意味でも出てきた意見がいけないわけではなくて,全て議論しなければいけないポイントが含まれていると思うのですが,必ずそこに立ち戻って,「ああ,15年前にスマホはなかった」と思って御発言いただいて,その御発言が15年後にきちんと役に立つようになっていないといけない,加えて現在の課題も少しでも解決できるようにしないといけないという非常に難しいものを背負っているということだけは皆さんに自覚いただいて,また共有して次回以降に臨みたいと思っております。
 そのほか,全体を通じまして何か御意見はありますか。
 なければ,事務局のほうから今後の予定等があればお示しいただきたいと思います。
【花田高等教育企画課課長補佐】  本日は活発な御議論をいただきまして,誠にありがとうございました。
 次回の開催日程等につきましては現在調整中でございますので,また決まり次第,改めて御連絡さしあげます。どうぞよろしくお願いします。
【永田分科会長】  御協力ありがとうございました。ウェブの先生方もたまにはお会いしたいので,本省にもいらっしゃっていただければと思います。
 それでは,どうも今日はありがとうございました。
 
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