大学分科会(第172回) 議事録

1.日時

令和5年2月24日(金曜日)10時~12時

2.場所

Web会議

3.出席者

委員

(分科会長)永田恭介分科会長
(委員)越智光夫,熊平美香,後藤景子,湊長博,吉岡知哉の各委員
(臨時委員)相原道子,安部恵美子,大野英男,大森昭生,川嶋太津夫,小林弘祐,清水一彦,須賀晃一,髙宮いづみ,曄道佳明,長谷川眞理子,松下佳代,吉見俊哉の各委員

文部科学省

(事務局)池田高等教育局長,伊藤文部科学戦略官,小幡高等教育企画課長,塩田専門教育課長,滝波私学行政課長,小林参事官(国際担当),齋藤大臣官房文教施設企画・防災部計画課長,柿澤高等教育政策室長,平野大学入試室長,草野大学設置室長,小畑教員養成企画室長,髙橋高等教育企画課課長補佐,早川大学教育・入試課課長補佐,岸良高等教育政策室室長補佐ほか

5.議事録

 
 【永田分科会長】  おはようございます。第172回の大学分科会を始めます。今期の中央教育審議会大学分科会は今回が最後です。議事次第をご覧いただくと多くの議題があります。いずれも,ほとんど最終段階,あるいは最終段階のものばかりです。
 大分,文科省に集まる方も増えてきましたが,ハイブリッドで開催させていただきます。この会議の様子はユーチューブで配信をされております。
 それでは,事務局のほうから資料等の確認をお願いします。
 
【髙橋高等教育企画課課長補佐】  事務局でございます。本日は,ウェブ会議及びライブ配信を円滑に行う観点から,御発言の際は挙手のボタンを押していただき,分科会長から指名されましたら,お名前をおっしゃってから御発言ください。
 また,御発言後は再度,挙手のボタンを押して表示を消していただけますようお願いいたします。また,発言時以外はマイクをミュートにしていただくなど,御配慮をいただけますと幸いでございます。
 本日の会議資料については,事前にメールでお送りしているとおりでございます。以上でございます。
 
【永田分科会長】  ありがとうございます。少し時間が厳しい思うので,早速,議題に入らせていただきます。
 最初は,独立行政法人大学改革支援・学位授与機構に規定する助成業務の実施に関する基本的な指針(案)の意見聴取結果について,例の大学・高専成長分野の転換資金についてということですが,事務局のほうから,御説明をお願いいたします。
 
【塩田専門教育課長】  それでは御説明させていただきます。大学・高専の機能強化を図るための基金の基本方針につきまして,前回の大学分科会でいただきました御指摘を踏まえまして,修正させていただいた案を書面にて御審議いただきました。そのお送りさせていただいた書面は参考資料1としておつけしてございます。時間の関係上,参考資料のほうは御説明を割愛させていただきまして,資料の1でございます。委員の皆様方から1点御指摘いただきました。
 資料1の概要で御説明させていただきますと,2ポツの選定方法のところの審査の観点てございますけれども,この審査の観点の意味合いといいますか,この観点を満たすことをどこまで求めるのかと,こういったことを追記してはどうかと。
 例えば,観点を多く満たしているほど審査において加点される可能性があるが観点全てを満たす必要はない,また観点に対する内容のほうが重視される,こういった説明を追記してはどうかという御指摘を頂戴いたしました。
 ここで,資格の要件と審査の観点と分けて書いてございまして,資格要件のほうは全て満たしていないと申請できないと,このような位置づけでございますけれども,審査の観点につきましては全て満たすことを求めるものではないということでございます。この御指摘につきましては,今後,大学改革支援・学位授与機構が定める実施方針などにおきまして,具体的な審査基準をこれから規定していくことになりますので,そちらのほうで,その趣旨をしっかりと反映させていただきたいと考えてございます。
 なお,既に御確認いただいたところでございますけれども,前回の大学分科会で当方から御説明させていただいたものからの主な変更点といたしましては,先ほどの審査の観点のところに企業・自治体等との連携といった視点を追加したところと,3ポツの交付方法に関する基本的な事項の2つ目の米印のところを追記しておりまして,一定数に限りまして一定額を加算することも可能といったことを追記させていただいているところでございます。
 先生方におかれましては,大変御多忙の中,短期間の御照会に御対応いただきまして大変ありがとうございました。できるだけ多くの大学・高専に本基金を活用して機能強化を図っていただけるよう,今後ともしっかりと対応していきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 
【永田分科会長】  ありがとうございます。今の御説明どおりですが,いかがでしょうか。
 資料1で御説明あったとおり,幾つか条件がたくさん付されていて,審査の観点がたくさんあったので,いろいろと御懸念もあったと思いますが,今の御説明どおりで,こういった審査の観点を次に機構のほうで,今の御意見も含めて,募集要項に反映させると,そういう内容です。
川嶋先生,どうぞ。
 
【川嶋委員】  現在こういう分野の人材が足りないというのは非常に理解できるところなんですけれども,こういう事業を始めて,実際に人材が社会に出ていくまでには,現在の需要と出ていくときの供給との間には必ずしも整合性があるとは考えられず,供給過剰になるということも考えられるわけですね。これクモの巣理論という経済学の理論であるんですけれども,その場合,もし供給過剰になったとき,例えば前回,薬学部も規制の対象にするというふうになりましたけれども,その場合は何か,どう対応するのかというお考えはあるんでしょうか。
 
【永田分科会長】  事務局,いかがでしょう。
 
【塩田専門教育課長】  御指摘ありがとうございます。まず現場のほうにしっかりと需要があるかということは審査の段階で見させていただくことになっておるんですけれども,それ以降,5年,10年した後どうなるかというのは,確かにおっしゃるとおり,そういった観点もあるかと思いますので,そこは本当に柔軟に対応していくということになるんじゃないかと思います。
 ただ,少なくとも現時点では,その情報人材,特に今回デジタル人材を増やしていこうということなんですけれども,いろいろの統計見ますと,相当数が今後もデジタル人材が足りなくなっていくというような各種データございますので,当面は大丈夫じゃないのかというふうには考えてございますが,確かに臨機応変に見直していくべき点もあるかと思います。
 
【永田分科会長】   御懸念の「余る」のではないかという点については,大学生全員がこのぐらいは勉強していないといけないという状況にはなると思います。したがってうまくGeneral Educationのほうにこれを含めながら,また改組,転換していけばいいと思うのです。
 昭和の東京オリンピック前後にありました理工系の増員のときも,私学はうまく制度を使われたと思います。全体的に私学全体の厚みがそのときに増していて,その後,いろいろ派生する,複合的な分野に変わるなどがあったと思います。もちろん,あまりにも過剰であれば,また見直しも必要かもしれません。皆さんがこのぐらいであっても普通であるという状況になればいいのではないでしょうか。
 そのほか,よろしいでしょうか。
 それでは,おおむね御了解いただけました。以前もありましたが,必ずしも情報理工系のみではなくても,社会科学とAIといったような組合せでも,可能だということになっています。皆さんで知恵を絞って応募いただければと思います。ありがとうございました。
 続きまして,2つ目の議題です。前回も議論いたしました教育マネジメント指針の追補の作成についてです。改めてもう一度,御説明をお願いいたします。
 
【平野大学入試室長】  大学教育・入試課大学入試室長の平野でございます。本日は教学マネジメント指針の追補,前回の分科会に引き続きまして議題とさせていただいてございます。資料2-1について,前回からの修正点をお伝えさせていただきます。
 めくっていただきまして1ページ目でございます。こちらのほうに前書きということで加えさせていただいてございます。
 教学マネジメント指針の経緯,教学マネジメント指針の追補を作るに至った背景,また,この指針というもの,マニュアルではないということについて改めて強調していること,大学入学者選抜については,多様な価値観が集まり,新たな価値を創造するキャンパスなどが重要とされているということを踏まえて,さらにこうした取組を進めることが期待されるということを例示として挙げてございます。
 この追補というものについては,各大学の個性や特色を生かした取組を後押しするということを意識しているものでございまして,社会への説明責任を積極的に果たしつつ,教学マネジメントの確立を進めていただきたいというメッセージを込めてございます。
 また,最後の段落でございますけれども,今後到来する予測困難な時代という中で,大学入学者選抜の在り方もまた根本的な変革を求められていくことが想定されるわけでありますので,教学マネジメント指針の本体のみならず,この追補についても適切なタイミングで,さらに充実の検討をしていく,このようなことを述べてございます。
 2ページ目でございます。これはほかの教学マネジメント指針と合わせまして,この上の四角の部分に概要というのを入れさせていただいております。
 本文の修正ございませんけれども,1つだけ,7ページでございます。7ページに注の11というものをつけさせていただいてございます。
 こちらのほう,前回お示ししたときに,各大学が責任を果たすという下で外部の専門家の協力を得ると。ここは試験問題の点検とか,また出願受付,願書のデータ化等ということを念頭に書いていたわけですが,前回の分科会終了後,これは作問についても含むのかといった問合せがございましたが,こちらのほうについては,現行の要項において,試験問題の作成については十分慎重に対応するということを言っているところであります。そこについて変更があるわけでありませんので,ここについては改めてその趣旨を強調しているということでございます。
 これが資料の2-1でございます。
 資料の2-2は各大学,また様々な場所でエッセンスを伝えやすいようにということで2枚物の概要を作っております。これが2-2でございます。
 2-3は,前回とお配りしたものと変わってございません。前回伝え漏れていましたけれども,以前のポンチ絵,歯車がかみ合っていなかったという指摘いただいていましたけど,今回,歯車を修正してかみ合うようになっているということは,念のため御報告させていただきます。
 説明は以上でございます。
 
【永田分科会長】  いかがでしょうか,益戸委員,どうぞ。
 
【益戸委員】 意見を述べさせて頂きます。教学マネジメント指針改定は非常に意義深いものだと考えています。
この中には今後の大学運営に関わる非常に重要な多くの項目が入っています。各大学におかれましては、ひとつひとつ丁寧に検討を重ねて,前向きにとらえていっていただきたい。とお願いいたします。以上です。
 
【永田分科会長】  ありがとうございます。そのほか,いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 今,益戸委員がおっしゃったとおりです。実は,その3ポリシー全体に関わる内容になっていて,各大学でしっかりと見ないといけないし,高等学校の教育についても,しっかりとまた申し上げていて,全体的には,よくできているかと思います。
 松下委員,どうぞ。
 
【松下委員】  ありがとうございます。資料2-2の2ページのところに入学前教育について書かれています。前回,見落としたかもしれないんですが,「入学前教育を行うことも求められる」というふうにちょっと微妙な書き方をされているんですけれども,入学前教育というのは,これは大学側が行うということですよね。その際に,大学側の要求だけではなくて高等学校での学習と関連づけたという,そういう説明になっていると思うんですけども,その辺り,もう少し明確に書いていただけないかなと思いました。
 この求められるというのが,どの程度なのか,この読み取り方。こういう行政文書の読み取り方というのはリテラシーが要求されるわけですけども,これは必ずなのか,望ましいということなのか,その辺りはいかがでしょうか。
 
【平野大学入試室長】  概要のほう,丸めてしまっていて少しニュアンスが伝わりにくくなっていると思っております。
 本文のほう見ていただきますと,入学決定後も必要に応じて学習準備についてアドバイスを行ったり具体的な課題を課したりするなど,合格者に対する丁寧なケアを行うことが求められるということでありまして,必要に応じて,例示があった上で,丁寧なケアをしていただきたいということであります。そこは概要のほう少し丸まっておりますので,ニュアンスが伝わるように工夫をさせていただきます。ありがとうございます。
 
【永田分科会長】  ありがとうございます。本文のほうは分かりやすく書かれていて,こちらの概要が少し誤解を招きかねない表現になっているのかと思います。そこは修正したほうがいいです。
 大森委員,どうぞ。
 
【大森委員】  ありがとうございます。私,ちょっと瑣末なことで,資料の2-3のさっきのかみ合った歯車のお話なんですけど,すいません,もしかしたら聞き逃しちゃったのかもしれないんですけれども,歯車の。というのは,今,教学マネジメント,各大学さん,本当によく注目をしていただいていて,今,最も取組を進めようとしているところで,私もいろんなところに御依頼いただいてお話に行く機会,本当に一番多いです,教学マネジメント。そういうときに,前の歯車3つが非常に分かりよかったんですけど,下のこの小さな歯車は,これは,どういう意味に。4つ目の歯車ができた……。
 
【平野大学入試室長】  すいません。授業科目の歯車というのは多分,もともと作った意図からすると,授業科目には相当数があって,それが学位プログラム1つを回して大学全体につながっていくということを模式的に表している。恐らく,そういう意図ですが,深い意味は,そこまでございません。
 
【永田分科会長】  そのほか,いかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは,これもこのままさせていただきます。
 次は,ジョイント・ディグリーの見直しについてという課題です。国際連携教育課程制度が変わって,若干使いにくいという状況になっているので,それをさらに改めるということです。基本的な考え方を資料3に基づいて御説明,よろしくお願いいたします。【小林参事官(国際担当)】  高等教育局参事官(国際担当)の小林でございます。資料3に基づきまして,ジョイント・ディグリーの見直しについて御説明いたします。
 まず,資料の【現状について】でございますけれども,ジョイント・ディグリーは,我が国の大学と外国の大学が連携して教育課程を編成し,両大学が連名で単一の学位を出すことができる制度でございます。平成26年度に制度が創設されて以降,これまでに国内12大学において27プログラムが設置されております。
 本制度は,質の高い国際交流プログラムの実施を可能とし,学生の国際性の育成に寄与するとともに,国際共同研究の拡大や国際共著論文の増加など,大学の研究力の向上にも資することから,高等教育全体のグローバル化の進展につながっていると認識しております。
 令和4年度には,制度創設から一定期間が経過し,実績も蓄積されてきたことを踏まえ,より設置を促進するため,主に,まず設置認可要件の緩和,それから収容定員の制限の撤廃,それから国内の他の大学等の参画を可能とすることについて制度の見直しを図ったところでございます。
 このうち収容定員制限の撤廃につきましては,制度改正以前はジョイント・ディグリーが設置される学部等の収容定員の2割を上限とすることとしておりましたが,この制限を撤廃することで大規模なプログラムの実施を可能といたしました。この際に,質保証の観点から,ジョイント・ディグリーを実施する国際連携学科等には,通常の学科等と同様のレベルの専任教員や施設・設備を求めることといたしました。
 一方で,大規模プログラムだけではなく,少人数の学生を対象としたプログラムの開講に係るニーズは依然として高く,このようなプログラムについて,さらなる設置促進を図る必要があることや,その他の制度の改善に向けた要望がありましたことから,ジョイント・ディグリー促進のために制度の改善について検討することといたしました。
 次に,資料の【大学からの主な要望】というところでございますけれども,文部科学省におきまして,ジョイント・ディグリーを設置または設置を検討している合計37大学に対しまして,実施状況を把握するために行った調査によりますと,大学からの要望としては大きく2点挙げられます。
 まず1点目は,ジョイント・ディグリーに係る基幹あるいは専任教員数に関する内容でございます。小規模プログラムにおける専任(基幹)教員や施設・設備関係について,例えば収容定員の一定割合を超えない範囲で実施する場合は,ジョイント・ディグリー・プログラムを設置している学部等の他の学科等の専任(基幹)教員が兼任できることとしたいというものでございます。
 この点につきましては,回答した大学のうち7割から,小規模なジョイント・ディグリー・プログラムを設置する場合においても,学部等の種類及び規模に応じ定めている専任(基幹)教員数が必要となるため,必要な専任(基幹)教員数を確保できないことが懸念点であるという回答がございました。
 そして2点目は,ジョイント・ディグリーを設ける学部等には,学科等ごとに追加的に海外の大学との調整などを行う専任教員,いわゆるコーディネーターを1名以上,追加的に置くことを求めております。この点について,調整上必要がないと認められる場合には,コーディネーターについても,学部等の他の学科等の教員が兼任できることとしたいということでございます。
 コーディネーターについては,約5割の大学から,「国際連携教育課程制度用の専任教員,コーディネーター1名の確保ができない」ということや,「必置となる専任教員は他専攻での研究指導が困難となる」ことが,ジョイント・ディグリー設置の懸念点であるという回答がございました。その一方で,約4割の大学が,設置のための実務的な知識・能力が足りないことが懸念点であるという回答が寄せられていることから,コーディネーターのような専門人材の必要性も踏まえ,要望について慎重な検討が必要であると考えております。
 その他,学生への経済的支援や社会的認知度の向上に向けた積極的な情報発信などについても要望がありました。
 最後に,検討の方向性でございますけれども,大学からの主な要望内容や調査結果を踏まえ,まず国際連携学科等のうち,母体となる学部等の収容定員の一定割合を超えない範囲で設けるものの専任(基幹)教員は教育研究に支障がないと認められる場合には,当該学科等を置く学部等の他の学科等の基幹あるいは専任教員がこれを兼ねることができることとできないかということ,それから国際連携学科等を設ける学部等に置く追加的な基幹あるいは専任教員,いわゆるコーディネーターについて何らかの配置の緩和ができないかなど,国際連携学科等のさらなる設置促進につながり得ることも踏まえ,制度の改善を検討しているところでございます。
 今後のスケジュールについては,本日の御議論を踏まえ,速やかに具体の制度の在り方を検討し,改めて大学分科会にてお諮りをしたいと考えております。説明は以上でございます。
 
【永田分科会長】  ありがとうございます。いかがでしょうか。
 大野委員,どうぞ。
 
【大野委員】  ありがとうございます。大野です。検討の方向性,基本的に賛成です。日本の大学の学生が世界の頭脳循環の一員として活動していくためには,ジョイント・ディグリーをはじめとして様々な仕組みがあって,プログラムの大小にかかわらず多くの大学に活用されることが重要だと考えています。そういう意味で,本件,速やかに検討を進め,成案を提案していただくよう強く希望いたします。以上です。
 
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 そのほか,いかがでしょうか。小林委員,どうぞ。
 
【小林(弘)委員】  この内容に特に異論はないんですけども,特にヨーロッパではEU圏内のジョイント・ディグリー,どこの大学でもディグリー取れるように今,提案2というのが進んでいて,各国で協議中で,それが終わった段階でEUで承認される予定になっているのですけども,ジョイント・ディグリーである以上,質保証,それをしっかりやらなければいけないとか,そういう枠組みができ始めていて,となると,日本とヨーロッパの大学がジョイント・ディグリーをやるときには,その質保証システムというのが日本の大学も,行く行くは必要になってくるかもしれないというのに気をつけないと。ただ大学が仲よくしてジョイント・ディグリーを出すとか取るとかだけではなくて,質保証もしっかりとヨーロッパ基準に合わせなきゃいけない。
 だんだん世界中がそういう形になってくるので,文科省としては,そういう制度の統一化、ハーモナイゼーションと呼ばれていますが,他のいろんな制度でやられていますけども,日本の,要するに質保証システムを国際化するような仕組みを考えていただければと思います。
 この今出していることに関しては特に意見ありません。以上です。
 
【永田分科会長】 ありがとうございます。文部科学省が本当にできるかどうか難しいところだと思います。EUもEU全体と日本がやれるかということも少し問題ですが,1つだけ申し上げておくと,例えばフランスのユニヴェルシテ,技師学校長会議と日本の国立,公立,私立大学は,この間7月に,そういった細かな教学マネジメントに関わるものを提携しています。
 もともと2013年の日仏共同声明をきっかけとしたもので大分にわたる協定です。それがこの間,国公私立全部に敷衍されるようになったということで,国立大学と公立大学からはパリに代表がお見えになっていました。残念ながら私立大学からは誰もお見えになっていなかったので,あまり詳しいことは理解が進んでいないかもしれませんが,これは日本国対フランス国でとても時間のかかる詰め方をした後に結ばれた協定です。今のところ,どこの国もバイでやりたがっていて,EU全体でということは日本に対しては言ってきてはいないと思います。そのバイにしても,文科省ではなくて,国公私立団体のJACUIEという組織がそれに対応したという,なかなか苦しい部分があります。
 ですから,今後どうするかということについては,今の小林委員のサジェスチョンどおり,やはり文科省でも,その先をどう対応していくかということはお考えいただけるのは大変ありがたいし,必要なことだと思います。
 この件,そのほかよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは,説明について御了解を得たということだと思います。
 次に,大学設置基準及び専門職大学院設置基準の改正について,事務局のほうから御説明ください。
 
【小畑教員養成企画室長】  総合教育政策局教育人材政策課教員養成企画室長の小畑と申します。資料4に基づきまして,議題4の内容について御説明させていただきたいと思います。
 まず,今般の設置基準改正の経緯,背景のところを御説明させていただければと思っております。資料4の4ページを御覧いただければと思います。
 中教審の昨年末に「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等の在り方についてという答申をいただいてございます。
 この経緯,背景でございますが,4ページ左上にございますように,令和3年1月に,これからの学校教育の在り方に関する答申をいただいてございます。その学校教育を担う教師の在り方については,なお引き続きの検討課題ということで,令和3年3月に改めて諮問をいたしまして,中教審のほうで御議論をいただきまして,昨年12月に,この教師の在り方についてということで取りまとめをいただきまして,答申ということでいただいたということでございます。
 教師の養成・採用・研修,免許も含めて在り方,現状,課題について,議論をいたしまして,資料の5ページ目にございますけれども,この年末の答申におきましては,改革の方向性といたしまして,今回に関連するものを御紹介させていただきますと,左上にございますように,「新たな教師の学びの姿」の実現ということで,子供たちの学びの姿とともに教師自身の学び(研修観)を転換する必要があるのではないか。そのために,養成段階も含めて,「理論と実践の往還」の実現を図っていくべきではないかといったことが打ち出されたということでございます。
 また,今回に関係するものといたしましては,下の4番,赤枠で囲ってございますけれども,教員養成大学・学部,教職大学院の在り方といたしまして,学部と教職大学院との連携・接続の強化・実質化,教育委員会との連携強化,人材育成の好循環,教員就職率の向上であったり,組織体制の見直しと,こういったものが答申の中に盛り込まれたということでございます。
 以降のページにつきましては,関連の記載を抜粋して載せてございます。今回の省令改正に関係する部分については赤字にしてございます。後ほど御覧いただければと思います。
 お戻りいただきまして,資料4の1ページ目でございます。まず,大学設置基準の一部を改正する省令案の概要でございます。
 2番の提言等,右側のほうを御覧いただければと思いますが,先ほど御説明いたしました年末の答申におきまして,学部段階においても,教職経験を有する大学教員(実務家教員)の登用を進めることが重要である。教員養成学部における実務家教員の配置に係る具体的な基準,例えばおおむね2割程度以上ということを設定することについて検討すべきであるといったことが盛り込まれたということでございます。
 なお,下にも書いてございますが,過去も学校現場に携わる教員等を大学の教職課程の教員として確保する取組も一層推進すべきである,こういったことも御指摘があったということでございます。
 こうしたことを踏まえまして,左側でございますけれども,子供の学びを支える,専門的かつ創造的な高度職業人としての教師像の確立に向けて,教育委員会と積極的に連携・協働し,養成・採用・研修等の一体的な充実に取り組んでいくことが求められると。そのために学校現場の優れた実践者が教師養成に関わることは意義のあることであり,教師の養成について理論と実践の往還を重視した好循環を実現していくということでございます。
 参考で,国立の教員養成大学・学部における実務家教員の割合も記載してございます。
 こうした現状も踏まえまして,改正の概要ということでございますけれども,教員養成に関する学部につきましては,最低必要教員数に,専攻分野における実務経験を有し,かつ高度の実務の能力を有する者を含むということを規定し,また,その必要な実務家教員の割合につきましては,学部の種類及び規模に応じた必要最低教員数のおおむね2割以上は実務家教員とするといったことを告示において定めるということを検討しているところでございます。
 一定の経過措置期間を設けまして,令和8年度以降に行おうとする設置の認可申請あるいは届出について,改正後の規定を適用するというものでございます。こちらが1点目でございます。
 2ページ目をおめくりいただきまして,もう1点,専門職大学院設置基準の一部を改正する省令案でございます。
 こちらも,先ほど御覧いただきました年末の答申の中に,右側に書いてございますけれども,関連の記載,盛り込まれているというところでございます。こちらも過去の様々な答申等の中でも,学部教育と大学院との接続といったことが求められているということも踏まえながら,今般,答申においても関連の記載があったということでございます。
 こちらの現状を御説明するために,3ページを御覧いただければと思います。教職大学院に入学する前に,科目等履修生として教職大学院の授業科目を履修するということがあるわけでありますけれども,現行制度におきましては,その入学前に修得した単位数につきましては,大学院修了に必要な単位,修了要件の2分の1を超えない範囲で算入することができるということにはなっておりますけれども,在学年限の短縮という観点につきましては,この左側のフローの右にございますように,大学院入学資格を有する者,例えば社会人の教員であれば,教職大学院の修了に必要な単位数に算入するのみならず,在学年限の短縮にも,その単位数を活用することができるということになってございますけれども,左側にございますように,いわゆる学部学生が教職大学院の授業科目を先取り履修した場合でございますけれども,教職大学院入学後に,その修了に必要な単位数に算入することができるものの,在学年限の短縮には活用することができないというような制度上の今の現状がございます。
 こうしたことを踏まえまして,今後,学部と教職大学院の連携・接続を円滑にするとともに,意欲と能力のある学生の学修ニーズに応えていくといった観点から,大学院入学資格を有することの有無にかかわらず,在学年限の短縮にも活用できるようにするということが今般の制度改正の内容となってございます。
 2ページ目のほうにお戻りいただきまして,今申し上げた制度改正を実現するということでございますけれども,2ページ目の左側,現状のところ3つ目でございますけれども,高校生につきましても,大学の授業科目を先取り履修した場合に,修業年限の通算を可能とするような制度改正が行われているというところもございますので,こうしたことも参考に,今般,制度改正を御提案させていただいているというところでございます。
 また,教職大学院におきましても,学部教育と教職大学院の一体的なコースの設定といった取組についても一定程度取組が進んでいるというところでございまして,こうしたことを踏まえ,改正概要のところでございますけれども,教職大学院入学前に科目等履修生として大学院の単位を修得した場合には,当該単位修得時の大学院入学資格の有無にかかわらず,当該単位数,その取得に要した期間その他を勘案して在学期間の短縮を可能とするといったことを措置したいということでございます。
 この点,先般,大学院部会のほうにもお諮りをさせていただきまして,その際にも,この件についてはお認めをいただいたというところでございますけれども,今後,今回お諮りした後にパブリックコメントを実施させていただきまして,具体的な改正案とともに,また改めて大学分科会のほうにお諮りをさせていただいた後に,制度改正というようなスケジュールで考えているところでございます。以上でございます。
 
【永田分科会長】  御説明ありがとうございました。それでは,御意見等ございますか。吉見委員,どうぞ。
 
【吉見委員】  これ前向きの単に質問ということなんですけれども,科目等履修生の仕組みと,それから一般貸付けについての標準修業年限短縮,両方を可能にするという今の御説明の趣旨を受けると,モデルとして,学部課程を4年を3年に短縮するというのと,これを合わせれば,4年で大学院修士まで取れる仕組みが,これで可能になるということを意味するのでしょうか。
 要するに,大学院のほうが,これで科目等履修で前もって取って,大学院が2年が1年になったとしても,学部が4年のままだと,5年ですよね,全部で合わせて。だけれども,学部の4年が3年になるとすると,両方合わせれば4年間で修士まで取れるという形が論理的には可能になると思うんですけれども,そこは見込んで考えていらっしゃるのか,学部はやっぱり4年というのを前提にするのか,そこら辺りを教えていただけますでしょうか。
 
【小畑教員養成企画室長】  いわゆる早期卒業との組合せによってということだと……。
 
【吉見委員】  そうです。早期卒業とこれを組み合わせると,早期卒業で4年を3年にするというのと組み合わせるモデルをもしつくるとすると,学部が3年で,その間に科目等履修で取って,そのクオリティーの問題もちろんあるんですけれども,それで修士課程が1年になるとすると,4年間で修士まで取れるということが論理的には可能になると思うんですね。なので,そういうことは見込んでいるのかどうかという。僕は見込んだほうがいいと個人的には思っていますけれども,その辺りをお聞かせいただきたい。
 
【小畑教員養成企画室長】  今御指摘いただきまして,まさにクオリティーとの問題というところ,質の保証というところが,まず非常に大きな課題になってくるんだろうと思います。
 加えて,教員養成の分野ですと,免許取得のための教育実習であったりだとか,当然,免許取得のためのカリキュラムもございますので,それが現実的に実現できるのかというところについては,すぐにそれがということは,慎重な検討が一方で必要かと思いますけれども,制度上は,これによりまして両立することが可能ということになっておりますので,あとは実際の各大学のほうで,まさに質の保証の観点からも,併せて御検討いただく中で,その可能性を探っていただくということになろうかと思います。
 
【永田分科会長】  ありがとうございます。大森委員,どうぞ。
 
【大森委員】  ありがとうございます。御説明ありがとうございました。設置基準の一部を改正するというほうなんですけれども,実務家教員を2割以上ということで,実務家教員に入っていただくことは私も賛成で,いいなと思っているんですが,これはあくまでも学部の設置基準であって,あるいは学科にも当てはまるかもしれませんけれども,教職課程の基準の中では,例えば初等教育でいえば8名必要だとか,そこは,これには当たらないという認識でよろしいんですよね。
 
【小畑教員養成企画室長】  教職課程そのものは開放制の原則の下で,一般大学も含めてお取組いただいているというところになります。今回は,教員養成に関する学部というところを捉まえまして,2割ということで適用するということでございますので,こちらはあくまでも教員養成に関する学部に関する基準として御提案させていただいているというものでございます。
 
【大森委員】  特に教員養成を主たる目的とする学科等と言われるところということの理解。
 
【小畑教員養成企画室長】  こちらの設置基準上の教員養成に関する学部ということになります。
 教職課程におきましても実務家教員が入るように,基準の改正はこれまでも緩和というか,してきているところもございますけれども,今回は,あくまでも教員養成に関する学部ということで,設置基準上の取扱いということでございます。
 
【大森委員】  分かりました。ありがとうございます。
 
【永田分科会長】  越智委員,どうぞ。
 
【越智委員】  ありがとうございます。設置基準の1ページのところの改正概要に関してなんですけれども,学部の種類及び規模に応じた必要最低教員数のおおむね2割以上は実務家教員というところは,令和4年度時点で16.1%です。ここを少し増やすということはいいと思いますが,実務家教員には,レベル含めて様々な方がおられます。小学校とか中学校でうまく適応できなかったから大学に職を求めて来られた人とかという人も実務家教員としてカウントされることになります。さらに,現場から離れて5年,10年たつと,実際に大学において必要とされる実際の現場がよく分かる教員というのとは異なってきます。むしろ過去の実務経験が足かせになって,新しい時代の要請に応えられないというような人も出てくると思いますので,ここの部分とは直接関係ないのですが,実務家教員は,ある一定の期間たてば,また現場に戻っていくというような仕組みも考えていく必要があるのではないかと思います。以上です。
 
【永田分科会長】  ありがとうございます。松下委員,どうぞ。
 
【松下委員】   ありがとうございます。今回の改正は,中教審の令和4年12月の答申を受けてということなんですが,1ページにありますように,ここには「おおむね2割程度以上」という書き方がされていて,今回の改正概要のほうは,ちょっと細かいことなんですが,「おおむね2割以上」となっていて,これは意識的に「程度」という言葉は外されたんでしょうか。
 つまり,「程度」がなくなるということは,より厳しくなったという印象を受けるんですが,それは意識的にそうされたのかどうかということが1つ目。
 それから,今御発言にあったように,実務家教員というのは非常に大きなくくりです。実務家として,ここには専攻分野における実務の経験を有し,かつ,高度の実務の能力を有する者というふうに書いてあるんですが,この高度の実務の能力といったところがかなり曖昧なので,先ほど来,議論になっています質保証というところから,この実務家教員がどういうふうなものであるのかということも,これは文科省が決めるべきことではないかもしれませんけれども,実務の経験があればいいというわけではないので,その辺りもきちんとする必要があるかなと思います。以上です。
 まず,1点目の質問にお答えいただけますでしょうか。
 
【永田分科会長】  お願いします。
 
【小畑教員養成企画室長】  こちらの設置基準上の教員養成に関する学部ということになります。
 教職課程におきましても実務家教員に関する審査上の対応をしてきているところもございますけれども,今回は,あくまでも教員養成に関する学部ということで,設置基準上の取扱いということでございます。
 
【松下委員】  ということは,基準が,より明確になったということですね。
 
【小畑教員養成企画室長】  はい。
 
【松下委員】  分かりました。
 
【永田分科会長】  髙宮委員,どうぞ。
 
【髙宮委員】  ありがとうございます。私も松下委員と皆様がおっしゃったようなところが気になっているところで,実務家教員という言葉で表される場合の教員というのは,教育現場をよく知っているということであろうかと思います。
 他方で,やはり将来,大きなレベルの高い教育を小,中,高校で行おうと思った場合には,それなりに専門教育も必要になってきて,この教育に特化した実務家教員と,その内容,コンテンツのほうを重視した教員のバランスというのは,今2割の話が何度か出てまいりましたけれど,非常に重要で微妙な問題だと思っております。これを義務づけるということになると,果たしてどういう影響があるのかというのを慎重に考えてから義務づけを行っていただけましたら幸いに存じます。以上でございます。
 
【永田分科会長】  ありがとうございます。そのほか,よろしいでしょうか。どうぞ。
 
【後藤委員】  3つほど,少し述べさせていただきます。
 1つは,この改正資料の中身をちょっと逸脱する部分もあるんですけれども,5ページに教師に求められる資質能力ということが書いておりますが,やはり何より教師には,専門性,人間性,そして使命感というのが必要で,子供と向き合う姿勢というのが最も重要だと思います。質の高い教職員集団の形成には,このような教師としての基本的な資質を備えた人材の確保というのが必要になります。
 しかし,現状では,教員養成大学の学部で,教員志向の高い優秀な受験生が十分集まっていないと感じております。制度改正により是正されることも期待しておりますが,やはり集まっていない一つの理由としては,処遇も含めて,教師があまり魅力的な職業ではないという見方が次第に広がっていることを懸念しております。
 学校における働き方改革というのはあまり進んでおらず,事件,事故や保護者への対応など,繁忙を極めております。この状況を打開するには,やはり教師への支援をしっかり打ち出すということが肝要と考えます。外部人材の雇用はもちろんですが,手当の問題,あるいはサバティカル制度の充実,研修内容の自由選択とか,そういう具体的な方策が必要です。これが1点です。
 2点目は,質の高い教職員集団は,多様な専門性を有する教師がただ存在するというだけではなく,これらの人々がつながって,チームとしての連携ができたときに実現できると考えます。そのためには,個々の教職員をつなぐことができる,例えば優秀なOB,OG教員の雇用を促進してほしいと考えています。彼らは学び続ける教員のお手本でもあります。
 3つ目は,小学校,中学校を一くくりにした義務教育課程の教員養成の在り方というのが重要で,小中複数免許に移行するという検討をしてもいいと思います。
 科学技術立国を目指す日本にとって理工系人材の育成が課題となっており,早期発掘のためには,義務教育課程の理系教員,小学校では理科が得意な教員ということになりますが,それが必要です。小中複数免許とも関連して,教員養成大学学部出身の理系教員を増やすことが重要です。
 同時に,一般大学や学部の教職課程とは異なる教員養成系大学学部教員の専門性というのは何か。実務家教員の雇用のみならず,全教員の意識改革や自己研さんが必要だと思っております。
 教員養成課程に16年勤務しておりましたので,その経験を踏まえて述べさせていただきました。以上です。
【永田分科会長】  ありがとうございます。今いろいろ問題点が指摘されて,今期終わる段階ですのでちょうどいい御意見を伺ったと思います。1つ目の意見の最初の部分だけは,多分全員が心配していると思います。質保証というのは能力の問題だけではなくて,今最初におっしゃった現場でのきちんととした教師たる者とは何者かということの理解をやはりしないといけません。皆能力はあるのだがと皆さんおっしゃるのは多分その部分だと解釈して,どうするかについては,また少し考えさせていただくとします。熊平委員,どうぞ。
 
【熊平委員】  ありがとうございます。私も実務家教員の件について少しコメントをさせていただきたいと思います。教職大学院の先生方とお話をしていた際に,賞味期限が切れた実務家教員が課題であるというようなお話を以前伺ったことがありまして,それに通ずるお話を皆様がされているのを受けまして,コメントさせていただきたいと思います。
 やはり教職大学院ができましたときには,実務と理論と実践を融合させていくことを非常に目指したわけで,そのために実務家教員が入られたと思います。しかし,残念ながら恐らく,今の状態を見ますと,その理論と実践の融合というのがなかなかうまく,先生方同士の中では生まれていないのかなというふうにも思います。そこが改善できる道があればよいと思いますし,またフィンランドなどでは,教員もリサーチャーであるべきであるとか,リサーチャーを目指すというようなお話があって,教員自体が,やはり教育をデザインしていく中で理論と実践を融合させていく,自らそういう当事者であるべきであるというような,そういう考え方も当たり前になっていると伺っています。
 そういうふうに考えますと,理論と実践を融合させていくというのは一つ,その質保証を高めていく重要な視点ではないかと思いますので,そういう観点からも,今後このテーマについては御検討いただきたいと思います。以上でございます。
 
【永田分科会長】  ありがとうございます。ここまで手が挙がっている方に御発言いただきましたが,設置基準そのものについては,最初に出た御質問がある程度かと思います。やはりこの問題は根が深いので,どこかでまた,きちんと考えないといけないだろう。基準に絡んで今ちょうどいろいろな御意見出ました。
 一言だけ申し上げます。やはりこの教育課程でもそうですし,初等中等の現場でも教員免許更新講習もなくなったので,その研修の機能を,ディベロップメントをどうするかということを一緒に考えないと安心できないのだろうと思って聞いておりました。
 基準のほうについての御意見はないようなので,ここまでにさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
 次に,大学,認証評価機の認証についての答申を御説明お願いします。
 
【早川大学教育・入試課課長補佐】  大学教育・入試課の早川と申します。資料5に基づいて御説明をさせていただきます。
 今般,今年の1月でございますけども,2019年からスタートいたしました専門職大学の分野別評価機関に係る申請がございましたため,文部科学大臣より中央教育審議会へ諮問を行うものでございます。
 申請の概要でございます。23ページを御覧いただければと思います。
 当該申請機関でございます。専門職高等教育質保証機構と申しますけども,専門職大学院の第三者評価を行う機関といたしまして,平成24年度以降でございますけども,23ページの下のほう,ビューティビジネス分野ですとか教育実践分野についての認証を受けてございます。
 このたび専門職大学の,24ページ,リハビリテーション分野ですとか専門職大学のファッションビジネス分野,そして専門職短期大学の動物ケア分野に係る申請がございました。専門職大学または専門職短期大学の分野別評価機関に係る申請としては初めてのケースでございます。
 当面の評価の対象でございます。26ページから28ページを御覧いただければと思います。こちらにございますとおり,専門職大学制度発足時に開設された大学を含む8大学が対象として予定されているところでございます。
 これらの申請内容について,大学分科会の下に設置している認証評価機関の認証に関する審査委員会において専門的な審議を行うこととし,結果が取りまとまった上で再度,分科会に報告いただく予定でございます。以上です。
 
【永田分科会長】   ありがとうございます。この認証評価たるゆえんなのですが,新たにこのような分野について,ここの専門職高等教育質保証機構が行いますということができるかどうかを,先ほどおっしゃった委員会のほうでまた御議論いただいて,ここに報告が上がってくるということになります。
 御質問等ございますか。これについては,ないとは思います。
 これ自身はきちんと委員会で見ていただくのですが,11期が終わるので一言だけ申し上げます。認証評価機関の認証をします。それは結構です。これも先ほどと同じように,年がたっていけばその認証機関そのものもディベロップしていかないといけないので,それを評価するところが必要になってくるでしょう。実際に海外の評価機構の評価を受けているところもあるわけですが,かなり厳しくて,結構日本はビハインドだろうなと思っているのです。
 それは,例えば国立大学でいえば,法人評価とか,年度評価とか,いろいろあったわけですが,認証評価の位置づけが国内ではっきりしていないからだと思うのです。認証評価と,そのような達成度評価は別で,達成度のほうは,どれだけやって,どれだけ業績が上がったか,認証評価のほうは,どのような研究や教育を目指して,その準備が整っているかどうかを見るので,そこは意味が違うからです。ただ,共通する部分はあります。数字的なものは,例えば教員の数だとか学生の数です。しかし,目的が違うので,その辺りが曖昧になっているということは,世界基準で一緒に日本の機関もディベロップしないといけないのではないかということを一言だけ申し上げておきます。
 これについて御異論はないかと思います。先に進ませていただきます。
 続きまして,私立学校法の一部を改正する法律案について,事務局のほうから御説明をいただきます。
 
【滝波私学行政課長】  それでは,資料6に基づきまして御説明させていただきます。私学行政課長の滝波でございます。
 この法律案でございますけれども,大学設置・学校法人審議会の下に私立学校の関係者の方々にもメンバーに加わっていただきまして特別委員会というものを設け,そこの場で御議論いただきまして,昨年の前半に取りまとめいただきました。その後,文科省の中で法制化作業を進めてまいりまして,このたび法案という形で取りまとめまして,先週2月17日に閣議決定,国会提出をしたところでございます。
 資料のとおり,この法律案は,我が国の公教育を支える私立学校が,社会の一層の信頼を得て,今後も持続可能な発展を遂げるために,社会の要請に応えつつ,学校法人自らが主体性を持って実効性のあるガバナンス改革に取り組むことができるように,私立学校法の改正を行うというものでございます。
 具体的な内容でございますけれども,「執行と監視・監督の役割の明確化・分離」ということを考え方にしまして,これに基づきまして,理事・理事会,監事,それから評議員・評議員会,こういったものの権限分配というものを整理をいたしまして,私立学校の特性に応じた形での「建設的協働と相互けん制」を確立しようということを考えているものでございます。
 その上で,監事や評議員会による理事会へのチェック機能,強化をしていく,あるいは学校法人の規模に応じた意思決定の在り方の見直しに取り組むということをしてございます。
 資料6の2枚目のところに改正の概要を少し比較の形でお示しをしてございますけれども,左側が現行の仕組みでございます。右側が改正後ということになるわけでございます。特に右側のところには赤い文字で書き加えてございますけども,この辺りが主な改正点ということになってくるわけでございます。
 特に今回の改正の中で,理事の選任・解任の責任主体を明確にするために,各学校法人に理事選任機関というものを置きまして,理事の選任に当たりましては,この理事選任機関はあらかじめ評議員会の意見を聴かなければならない,こういった仕組みにしようということでございます。
 また,評議員・評議員会の理事・理事会に対する監視・監督,この機能を高めようということで,理事と評議員の兼職を禁ずるほか,理事・理事会によって選任がされます評議員,あるいは評議員の総数に占める役員の近親者の方々,あるいは教職員の数,こういったものの割合に一定の条件を設けるということにしているところでございます。
 それから,意思決定に関しましてですけども,これは大臣所轄の学校法人──大学等ですけども──に限ってになりますけれども,解散や合併あるいは重要な寄附行為の変更につきましては,理事会の決議に加えまして評議員会の決議を必要とするということ,あるいは会計監査人の設置を義務化するというようなことにしてございます。
 現在,法案を国会に提出した段階でございますので,これから国会のほうでの御審議に向かっていくという段階でございますけれども,私どもとしては,法案が成立するようになりましたらば今後,下位の法令,政令や省令等々の見直しの作業のほうにも入ってまいりたいと思いまして,その上で新しい制度が施行されます令和7年4月1日までの間に,各学校法人における寄附行為の変更の受付,あるいはそれらの認可の手続などを進めてまいりたいと考えております。
 かなりガバナンスの改革ということで大がかりな改正になりますので,この辺りの理解,周知が図られますように,様々な機会を通じまして,説明会など,この改正の内容について周知,図ってまいりたいと考えております。説明,以上でございます。よろしくお願いします。
 
【永田分科会長】  ありがとうございます。結構シリアスな話題なんですが,御意見いかがでしょうか。小林委員,どうぞ。
 
【小林(弘)委員】 もうこれ,かなり議論を尽くした内容ですので,改めて言うことはあまりないのですけど,1つだけ,やはりちょっと気になるのが,重要事項,解散とか合併等に関して,理事会の決議と,それから評議員会の決議が割れた場合にどうするのかというのが,最終的に何も結論が出ていなくて,お互いに意見を調整し合うというような,ちょっと曖昧な話で終わってしまっているのですけど,これは,そういう決議が割れた場合に,いわゆる株主の意見が割れた場合5割5割だとどうするかというので,デッドロック条項をつけたりするのですけど,これは寄附行為で取り扱うという考え方でよろしいのでしょうか。
 
【滝波私学行政課長】  貴重な御意見ありがとうございます。この点につきましても,御議論いただきました学校法人分科会の特別委員会の中でも御議論あったわけでございますけれども,考え方としては,理事会,評議員会,それぞれで意思決定していただいて,その意思決定がそろった状態をもって学校法人としての意思決定となるような形でいこうということでございます。
 もちろん意見,闘わせる中で,100%合意形成ができないケースが出てくる可能性がございます。こういった場合,先ほども触れましたように,建設的な協働と相互牽制ということでございますので,お互いに,その問題に関して話し合うということ,どういった点が課題なのかということをよく理事会サイド,評議員会サイドで話し合うということがまず基本だと思っております。その上で,どのように進めていくのか,この辺りの進め方については,また寄附行為における定め方といったこともあろうかと思います。
 この辺りも私ども,法律が通った後になりますけれども,様々,Q&Aとか解説とかいった形の中でもお示しをしてまいれるかと考えているところでございます。
 
【小林(弘)委員】  ぜひよろしくお願いします。やはり少子化がかなり進んでいますので,今後,大学の合併とか解散というのは増えてくると思うんですけども,評議員会がどうしてもネックになって,それができなくなると,かえって学生にとって,ずっと厳しい状況になる可能性がありますので,そこもちょっと憂慮します。
 
【永田分科会長】  ありがとうございます。そのほかの御意見,いかがでしょうか。
 ないようでしたら,委員の先生方も新聞紙上等も御覧になっていたと思いますが,煮詰まった議論の上での法律案ということでございます。それでは,お認めいただいたということにさせていただきます。御協力ありがとうございます。
 実は,この7番目の議題のために急いでおりました。今回,我々がずっと審議してきた内容のまとめ,「学修者本位の大学教育の実現に向けた今後の振興方策について」最終段階に入っておりまして,まとめを発出しようという段階であります。事務局から御説明をいただいて,第11期,最後ですから,このまとめについての御意見をお願いいたします。一部,次期に対する新しい提案にもなるかもしれません。全員の御発言を期待しておりまして,大体お一人1分から2分程度で切り上げていっていただければと思います。
 それでは,事務局のほうから,まず御説明をいたします。
 
【柿澤高等教育政策室長】  ありがとうございます。それでは,資料7-2を御覧いただければと思います。資料7-1のほうは審議まとめ案の概要でございます。
 資料7-2でございますけれども,前回の大学分科会以降,修正点につきましては,分科会長にも御相談をした上で修正したものを委員の先生方の皆様に書面で照会をさせていただいたところでございます。また,それに対して御意見を寄せていただいたところも反映したものが,こちら資料7-2でございます。主な修正点を紹介をさせていただきます。
 まずは資料の6ページを御覧いただければと思います。6ページの2段落目になりますけれども,「文理横断・文理融合教育においては」というところで,「自然科学分野を専攻する学生が,研究や技術開発がどのように社会の在りようや人々の生活に影響を及ぼしてきたのかといった」というところで,ここ前回会議での御意見を踏まえまして,歴史的な視点としていたところ,これ「倫理的・歴史的な視点」という形で修正をしてございます。
 次に,資料の20ページを御覧いただければと思います。
 20ページの中段の辺りになりますけれども,赤の見え消しで修正しているところでございます。「大学設置基準において1単位が45時間の学修を必要とする内容をもって構成されていることを標準としている単位制度の実質化がなされておらず」の後でございますけれども,こちらも前回の御指摘踏まえまして,「単位の国際的な互換性の確保という観点からも大きな課題である」という形で修文をしてございます。
 次に,資料の21ページを御覧いただければと思います。こちら21ページの2段落目でありますけれども,これ全国学生調査の第2回試行実施の結果の分析をしているところですけれども,ここの部分で短期大学に関する記述を追記してございます。「短期大学は『職業又は実際生活に必要な能力』の育成を目的とする高等教育機関として専門職業人を養成する課程も多いが」というところ,「また最終学年で何らかの『卒業論文・卒業研究・卒業制作』を行う学生の割合は大学よりも高いなど,大学とは教育課程の特徴も異なっていた」というところも追記をしているところでございます。
 次に,資料の23ページを御覧いただければと思います。前回の御議論を踏まえまして,FDに加えましてSDについても記述を追加したこと,また教学IRについても記述を充実させる修正を行っているところでございます。
 次に,資料の27ページを御覧いただければと思います。27ページは,ここ26ページから続く産業界等との連携・協力,「出口における質保証」の議論でございますけれども,その中で,大学教育のあるべき姿や産学連携の深化,就職活動の在り方等について,産業界と大学とが積極的に対応することなどが考えられるという形で,就職活動の在り方等についても追記をしていること,また「出口における質保証」の取組を抜本的に強化するためには,こうした大学と産業界の連携・協力に加えて,「出口における質保証」の重要性について,学生や保護者も含めた広く社会的なコンセンサスを形成していくことが求められると。こちらも先生方に意見照会した上で,社会的なコンセンサスが重要ではないかという御指摘を踏まえて追記をしたものでございます。
 次に,学生保護の仕組みの整備の部分でございます。資料29ページを御覧ください。29ページの中段のところになりますけれども,もしこのままのペースで推移すれば約77万人と調査開始以降の最少を更新することになる。我が国は,まさに社会機能を維持できるかどうかの瀬戸際と呼ぶべき状況に置かれていると言えると。こちらの危機感等について,もう少し記述を追加してはという前回議論を踏まえての修正でございます。
 また次の段落,こうした中,政府においては,こども・子育て政策を最重要政策と位置付けて,高等教育の負担軽減も含めて,こども・子育て政策の抜本的な強化,将来的なこども・子育て予算倍増に向けた検討が進められており,今後,少子化の進行が我が国の高等教育にどのような影響を与えていくのかについて,現時点で正確に予測することは困難ではあるが,いずれにしても,大学をはじめとする高等教育機関への進学者数が従来の推計を下回る可能性は高いとしてございます。
 また続きまして,その下の段落,「少子化に伴う人口減少は特に地方において急速に進行することが見込まれており,地方の中・小規模の高等教育機関に与える影響は大きく,今後,定員未充足の大学や短期大学が増加し,経営破綻に至ることも考えられる」と。
 30ページを御覧いただければと思います。次のページでございます。「これまで,地域における人材育成や定着,教育や研究開発等を通じた地域産業の発展,地域づくりの中核としての役割,シンクタンクとしての機能など幅広い観点で地域活性化に貢献してきた大学等の衰退や撤退は,地域における学びの機会の喪失や地域からの人材流出の加速を招き,地域の成長の駆動力を失うことにつながりかねないため,各大学における努力や工夫によって乗り越えることが困難なほどの深刻な状況である現今の状況を踏まえ,地域の高等教育の存続への抜本的な対策について適正規模も視野に入れつつ検討をする必要があるだろう」というふうにしてございます。こちらも文書照会させていただく中で,いただいた御意見も反映をしてございます。
 最後に,34ページでございます。「おわりに」の部分になります。「おわりに」の修正部分でございます。
 2段落目のところで,各高等教育機関においては,これらの方向性──これらの方向性というのは11期の検討状況でございますが──を踏まえつつ,教育研究活動の不断の改善・充実に努め,学修者が自らの可能性を最大限に伸長することができる「学修者本位の教育」を実現することが強く期待されると。
 一方,今期の議論においては,今後の高等教育全体の適正な規模を視野に入れた地域における質の高い高等教育へのアクセスの確保の在り方や,国公私の設置者別の役割分担の在り方等については,現下の極めて急速な少子化の進行等を踏まえ,これ以上先延ばしにすることのできない課題であるという強い問題意識を委員間で共有できたものの,一定の方向性を打ち出すまでには至らなかった。これらの課題については,来期以降の大学分科会においてさらに掘り下げて議論していくことが必要である。その際,従来の推計をはるかに上回るペースでの少子化の進行に加えて,コロナ禍を契機としたオンライン教育の普及・進展,深刻な停滞から回復の兆しを見せつつあるグローバルな人的交流やこれを受けたグローバル人材育成の取組の進展,国境を越えた人材獲得競争の激化,さらには国際卓越研究大学制度の創設や地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージ等の研究大学への支援施策の強化といった,グランドデザイン答申以降の高等教育機関の在り方に関わる様々な状況の変化や,地域活性化の核として高等教育機関が果たすべき役割等も踏まえた検討が求められる。高等教育は,人材育成や新たな知の創造を通じて,我が国の社会や経済を支えることのみならず,人類の普遍の価値を生み出し,世界が直面する課題の解決に貢献するという使命を持っている。我が国の高等教育が,将来にわたって知的創造の源泉としてその使命を果たせるよう,高等教育のあるべき姿,高等教育政策の構想を描くことこそが本分科会の責務であることを確認して,第11期の審議を締めくくることとしたいと,このような修正内容になってございます。以上です。
 
【永田分科会長】   ありがとうございます。いろいろと御意見あると思いますが,何かようやくここまでたどり着けたというところで,大きな変更はもうできないかとは思います。
 早退されると伺っているので,最初に越智委員から御意見をいただこうと思います。よろしいですか,越智委員。
 
【越智委員】  ありがとうございます。結構です。
 
【永田分科会長】  ありがとうございます。
 それでは,皆さん全員御発言いただく気構えで,どうぞよろしくお願いいたします。益戸委員,どうぞ。
 
【益戸委員】 2017年から将来構想部会でのグランドデザイン答申作成に参加させて頂きました。今年度の議論で, 内容は更にすっきりしたものとなったと感じています。特に最後のまとめの「おわりに」は, 次の期に向かっての大変良い引継ぎ箇所ではないかと思います。
 この部分を読んで特に感じたことですが, 今期は, 出口の質保証を学生をベースに考えてきましたが, この「おわりに」では, 大学をベースに考えて, 各大学の質を上げていく事, ある意味では各大学の切磋琢磨をしっかりしていくことも含んでいると思っています。
社会的コンセンサスを得てという言葉が出てきますが,現在の日本におけるコンセンサスの中のひとつとして, 研究に特化して,研究力をもっともっと上げていくような大学に, 新しい技術や産業発展を期待している国民の強い気持ちがあるのではないかと感じています。従って, それに答えるべく, 研究大学がより研究大学になっていくような仕組みづくりがより重要ではないでしょうか。国が資金補助をしていますが,その資金補助を更にうまく使えるような,自由な使い方の拡大が必要ではないでしょうか。少々失礼な言い方をすれば,KPIの為のKPIを設定する事なく, 自力のある大学には, より高い発展の仕方を自由に考えて頂く必要があるのではないかと思います。
次に地域の大学についてです。少子高齢化により, 地域の形がどんどん変わっていますが全国一律に変化している訳ではありません。地方創生に資するという大枠の言葉で括らず, より細かい見方をしていかなければいけないという事は重要です。
そして最後に,奨学金の件です。この点については, 今期あまり議論ができなかったと思っています。給付型をもっと増やすのか,従来の奨学金の在り方をどうするべきなのかなどの議論はとても大切です。そもそも奨学金は, 自らの将来への投資ですよね。ですから,自分が投資するに値する大学かどうかをきっちり見極めるというのが, 先ず大事な一歩です。投資先を間違うと回収する事は出来ません。当然, 返済に困る事になります。
給付型というのは,有効に勉学に臨んで頂く助けになる様に資金を渡すわけです。それが本当に, 有益に使われているか確認していくことについても,今まで以上にきっちり考えながら, 増額の議論を進めていく必要があるのではないかと思いました。                       
 今年1年どうもありがとうございました。以上です。
 
【永田分科会長】  どうもありがとうございます。大変参考になるまとめかと思います。
 そのほか,いかがでしょうか。清水委員,どうぞ。
 
【清水委員】  清水です。今回の審議のまとめが出口管理で終わると思っていたのですが,学生保護の仕組みまで踏み込んで議論が進んだというのは非常に結構なことで,グランドデザイン答申で強調された学生ファーストというのは,この最後の審議のまとめで十分に表れたと思っております。
 これは多分,今後の課題になるかと思いますが,例えば70~90年代のアメリカでも人口減少とか財政カットで,あちこちでリストラとか学校閉鎖が続いたようです。当時30年間で500ぐらいの大学が廃校になったという統計も見たことがありますし,リストラについては各大学が,理事会あるいは学内の最高決定機関の中にリストラ委員会を設け,主にプロボストが中心になって行っていましたが,その中で,学生のみならず,大学の重要な構成員である教職員の対応についても,きちっと規定で定められていた。ですから,学生の保護の議論は今後さらに深めていくべきだと思いますが,それと同時に,教職員への対応ですね。処遇とかも。テニュアラインの教員とそうでない教員など,いろいろ教員の種類によっても対応が違ってきます。国とか,自治体とか,大学自身の役割といったものも,ある程度議論しておいたほうがいいのではないか。もちろん各大学における関連する規定整備も必要になります。今後,特に大規模な学部改組とか,学内リストラとか,そういうことが行われると思いますので,教職員の扱いというものをきちっと議論して,方向性を出していったほうがいいのではないかと思いました。以上です。
 
【永田分科会長】  どうもありがとうございます。自由の国アメリカにしてそうであるという事例だったと思います。
 川嶋委員,どうぞ。
 
【川嶋委員】  ありがとうございます。川嶋です。3点ほど述べさせていただきます。
 今回の第11期では,いろいろ議論してきまして,その取りまとめとして、ここに書かれていることには特に意見はないんですけれども,今後の話も含めて,少し意見を述べさせていただきます。
 1つは,第12期の宿題になっていますけれども,少子化に対して国としてどう対応するのかという問題については,待ったなしで議論を進めるべきだと思うのですが,その際,本文にも書かれておりますけれども,地方のほうが状況は悪くなるということは,皆さん認識されていると思います。しかし,東京の霞が関で一律に対応、対策を考えても,地方の状況に適切な政策は打てないと思います。20年ぐらい前に国全体で分権化,道州制という議論がありましたけれども,高等教育についてはブロックといいますか,全国レベルではなくてブロックごとに今後の高等教育を、その地域で,大学と自治体やその地域にある企業との連携の下でどうすべきかということを議論するという,そういう対応は必要なのかなと思います。
 既に大学等連携推進法人という制度はありますけれども,それを本当に実質化するというか,そういう取組は今後,必要ではないかと思います。
 そのことにも関連するとは思いますが,聞いていて私も妙だなと思ったのが,デジタル田園都市国家構想は、今の政府が大きく打ち出している政策ですが,実は先日の規制緩和の会議で,期限付きですが、東京の23区の大学にはデジタル関係の人材養成学部の定員増を認めるということになりました。本来のデジタル田園都市構想は,東京一極ではなく、デジタル技術を活用して地方の活性化を図る、そのような社会を実現しようとする構想であるはずですが,人材育成については東京だけ増員を認めるというのは何か矛盾した政策だったなと,思いました。
 ですから,これからは高等教育の政策というのは,やはり、地域やブロックで考えていかないと,なかなか難しいのかなというのが1点です。
 2点目は,先ほどの分科会長の認証評価の話にも関連するんですが,この1ページ目のところに書かれている,質保証のシステムとして大学設置基準,設置認可システム,それから認証評価,この3つがあると書かれているんですが,ご存知のように大学設置基準が平成3年に大綱化されて,その結果として,今回も改めて文理横断、文理融合、リベラルアーツ教育が重要だ、ということになりましたが、これまでも幾度となく中教審の答申等で、繰り返し、繰り返し幅広い学習や教養教育が重要だと指摘されています。その発端は,大学設置基準の大綱化にあるわけです。
 同時に,設置認可審査についても準則主義化ということで,形式的に書類がそろっていれば設置が認可されるようになり、ある時、設置構想が安易になされているとの分科会長からのコメントも出されました。認証評価も同時に,努力義務から義務になりましたが,これも先ほど永田先生おっしゃるように,現状はコンプライアンスのところが重視されていて,教育の改善に資するような評価になっているのかというのは少し疑問に感じています。このように、日本の大学教育の現状を縷々考えると,その大本は大綱化に行き着くわけで、一度振り返って,大綱化後の政策や実情を検証するということをしないと,また12期でも同じような課題が出てきて,私いろんな機会にネズミ回し車の例を出して現状を揶揄しています。ご存知のように、ネズミ回し車とは、回し車の中に入れられたネズミが、一生懸命前にかけますが、実際には、一向に前には進みません。運動はして、エネルギーを使いますが、一向に前進はしません。またそういうことが第12期でも起きかねないので,ぜひ第12期では、同じ指摘を繰り返さないためにも,一度,大綱化の功罪というのをしっかりと検証する必要があるのかなと思いました。
 最後は情報公表,情報公開の重要性です。これから少子化が進むと,受験生は,これまでのように偏差値だけで大学を選ぶのではなくて,自分の学びたい大学へ行こうという意欲は高まりますし,また当然そうなるべきかと思います。そうなると,3ポリシーに基づいて,どのような教育が提供されているかという情報に加えて,すべての大学は,入学定員の充足状況とか,留年率とか,卒業率などに関する詳しい情報をあらかじめ公表して受験生に選択してもらう必要があります。情報の非対称と言われますが、その非対称を取り除かないと、入学してから全く違った大学であるとして、アメリカでよく起きるような訴訟,クラスアクションみたいな形で大学が訴訟を起こされるというようなことになりかねないので,情報公開も,これまでいろんな委員の方が御指摘されていましたけど,それをさらに徹底する必要があるのかなと思います。以上です。
 
【永田分科会長】  大所高所の御意見ありがとうございました。
 次に小林委員,どうぞ。
 
【小林(弘)委員】  ありがとうございます。非常に細かい話で申し訳ないのですが,27ページを開いてください。その赤字の「なお,我が国の大学において」と引かれているところなのですけども,「大学と産業界の連携」と書いているのですけども,出口は大学によっては産業界だけではないのですね。医療界は産業界なのかもしれませんけど,ちょっとニュアンスが違うところがいろいろあると思うので,これは産業界等と。最初に企業等と書いていますから,産業界等としていただいたほうが,もう少し出口の広がりが表現できるのじゃないかと思いました。
 あともう一つは,振興部会でもいろいろ議論になったのですけども,少子化になってくると,大学はまず定員割れ,それで収容定員減になってくると,機関要件によって,そこにいる学生が修学支援対象にならないということで,補助金が学生に来ないのですね。大学の責任でありながら学生が守られていないというのは,これは矛盾じゃないかという話が中で出て,資料にもそうやって書いていたのですけども,この矛盾点に関しては,ここで一つも触れていない。振興部会は機関要件を議論するところじゃないのが理由だったかと思うのですけども,課題として受け止めていただければと思います。
 あと,33ページの脚注に,ちゃんと閉校の場合,あるいはやめる場合に,教員数の段階的減少ということも書かれていますので,これは対応していただいて,どうもありがとうございました。以上です。
 
 
【永田分科会長】  ありがとうございます。大野委員,どうぞ。
 
【大野委員】  ありがとうございます。審議のまとめについては,これまでの委員の意見を丁寧に拾い上げて整理していただきましたことに感謝申し上げます。私からは大きな今後の方向性として2点を,ぜひお願いしたいと思います。
 1点目は,大学分科会では,どうしても大学の教育面に関わる審議が中心になっています。しかし,今後の大学の在り方を考える上では,教育,研究,そして社会貢献を総合的に俯瞰して検討するということが重要です。ぜひそのような検討の方向性も設定いただければと思います。
 2点目は,大学のありようはますます多様なものになっており、その多様性を踏まえた議論が必要と感じています。一律に捉えて議論することには一定の限界のあるように感じますので,ぜひこの点も,今後の審議の方向性に加えていただければと思います。
 私からは以上です。ありがとうございました。
 
【永田分科会長】  ありがとうございます。相原委員,どうぞ。
 
【相原委員】  私からは1点です。今回の議論で基幹教員の制度について定めたことは,学部教育における大きな改革だと思っております。一方,研究科については,このような制度は現在ありません。研究人材の活用ということを考えますと,今後,研究科についても検討されるべきと考えます。
 また,1つの大学の中でも,研究科の教員が現在は1分野でしか修士や博士の学位が出せません。例えばデータサイエンス研究科の教員は,実際の研究フィールドは医学領域だったり,都市社会だったりします。教員の所属も,学部の所属はデータサイエンス学部だけではなく,複数の学部にまたがります。
 こういう状況の中で,以前と同じように1教員1研究科しか学位が出せないという状況ではなく,能力の高いアクティブな教員が複数の研究科で学位が出せるよう今後,議論を進めてほしいと思っています。以上です。
 
【永田分科会長】   ありがとうございます。曄道委員,どうぞ。
 
【曄道委員】  ありがとうございます。私から1点。先ほど益戸委員が指摘をされたところで,27ページの記述なんですけれども,このページを上のほうからずっと読んでいくと,ここで修正のところで書いていただいた出口における質保証の重要性についてのコンセンサスの形成という以前に,その出口における質とは何かという,その部分が,もう少し広く,さらなる議論が必要だと思いますし,社会の中での認知が必要かなと思います。
 やはり上から読んでくると,特に保護者も含めたというところで,どうしても就職ということがすごく前に出ているかなという気がいたしまして,一方で,「おわりに」のところには,やはり人類の普遍の価値を生み出したいといったような大学の本来の使命がそこには書かれているので,その辺のバランスについて大変難しいかなと思ったんですけども,若干その誤解を招かないといいなという印象を持ちました。
 総じては,この審議まとめは大変よく整理をしていただいたものになっていると思います。どうもありがとうございました。
 
【永田分科会長】   ありがとうございます。曄道委員がおっしゃったのは,定量的に質がはかれないのと同等に,基本的にそのようなものなので,もっともっと議論しないといけないという,その観点で大変重要な御発言です。
 大森委員,どうぞ。
 
【大森委員】  ありがとうございます。私も文理融合の学び,これから大学でやらなきゃいけない方向性が示され,かつ,その学びの質保証をということでいい流れで,そして次の期に向けて学生保護という,おまとめになったなと思っております。
 私からは,一番最初そういう意味もおっしゃったんですけど,研究と教育といったときに,本当に日本の研究大学というところがもっともっと研究に力を入れられるような体制というか。例えば学部教育は学部教育でしっかりやって,全国から優秀な,あるいは世界から優秀な大学院生をそういう大学は引き受けていくような役割分担も抜本的に考えてもいいんじゃないかなというふうには思っています。
 それから,今回書いていただいた,特に地方大学についてしっかりと書き込んでいただいて,具体的な記述としても,個々の大学の努力や工夫だけでは越えられないような状況が今起ころうとしているんだということを書いていただいたことは大きなことだったと思います。これまでは,個々に頑張りなよ,頑張れば何とかなるからねということだったのが,もうそれも何か,うちもちょっと追いつかないんじゃないかなと思って今,相当頑張っているつもりなんですけれども,そこは大きな書きっぷりをしていただいたと思っています。
 今後は,やっぱり各地域において,規模の縮小も含めた将来像,学生を守るということは,もちろん運営がいかなくなったときに学生を守っていくということもそうですけど,その前に,ちゃんと運営を続けられるようにしていくということが一番の学生保護になると思ったときに,例えば学生数というものをどういうふうに,もう一度定義するのか,パートタイム学生も含めてというようなことの議論とか。今回,抜本的に見直しが必要だというふうにも書いていただいたので,次の期の宿題になると思うんですけど,そういうこととか,それから私学に関して言うと,私学補助をしっかり頂いているんですけれども,規模を縮小するということは,学費収入も少なくなるけど,私学補助も少なくなるということをイコールにしています。そうしたときに基幹的な費用というのは,小さな大学も大きな大学も同じようにかかっていく,そこをどういうふうにしていくか。
 例えば一定数は全ての大学がある程度基幹的な補助をいただいた上で,あとは学生数でいくとか。つまり,規模を縮小するインセンティブみたいなものがないと,なかなかそこに踏み切れないというのが現実としてあると思っています。そういうことは,その補助だけじゃないかもしれませんが,そういうことに取り組む大学へのインセンティブみたいなことも考えていいのかなと思っています。
 先ほどブロック単位で議論が必要じゃないかという御意見,まさにそのとおりでありますけれども,プラットフォームは,そういう想定もあってプラットフォーム指針もできて,つくられていったわけですけれども,正直に言うと,地域の現場において各大学同士が「おたく,どのぐらいの規模にしていく?」と話合いをしていくというのはかなり困難で,国公私が含まれて,それぞれというところで。
 例えば高等学校であると,教育委員会が主導したりして,私立と公立が集まって,その辺の議論をしたりしていますけれども,ブロック単位で少し,どこかが音頭を取りながら,そういう議論を誘導していくというか,そういう本当に抜本的な仕組みということも今後,次の期では議論してもいいんじゃないかなと,そのぐらい危機感がある状況になってきているなと感じているところです。
 今回,本当にきちんと書き込みをできたということは,すごくありがたいことだなと思ったところです。以上です。
 
【永田分科会長】  ありがとうございます。安部委員,どうぞ。
 
【安部委員】  ありがとうございます。今回は各委員の意見を十分反映していただいて,審議まとめを作成していただきまして本当にありがとうございました。特に私は,短期大学関係者ですので,最初このまとめ案が出たときには,これは4年制大学中心の大学振興方策だなということを非常に強く感じまして,短期大学について言及をしていただきたいというお願いをして書き込んでいただきました。短期大学が大学の2年次とは違い,2年間で修了する教育の特徴について,学生調査を例に大学との比較で,短期大学のよい点等を書いていただいたことについては本当に感謝を申し上げたいと思います。
 短期大学は,学生数が,私立短大の入学者は4万人を切ってしまい,本当に小さな機関になってしまいましたけども,今後も短期大学の特徴をしっかりと出した教育を推進していきたいと思っております。
 また,地方大学の書き込みに関しましても,非常に厳しい少子化の中で今後は,地方の高等教育の適正な規模の下に高等教育機関としての質の高さを担保していかなきゃいけないということと思います。高等教育の多様化,あるいは機能分化の中で,戦後,日本の中小の都市にも数多くつくられた高等教育機関を,今後どのような形で残していくのかということについては,次回以降のこの大学振興部会でも,具体的な課題を出し,解決をしていただく方向で議論をしていただければと思います。本当にありがとうございました。
 
【永田分科会長】  ありがとうございます。吉見委員,どうぞ。
 
【吉見委員】  ありがとうございます。審議まとめについては大変よくまとめていただいて,特に異存ございません。
 私のほうからは,何人かのほかの委員の先生方もお話ありましたけれども,「おわりに」のところで出されている少子化の問題,これ大変大きな問題ですので,これについて,これからの展望ということも含めて一言申し上げたいと存じます。
 言うまでもなく少子化というのは,これは人口学的な趨勢ですので,人口学的な趨勢というのは,イナーシャといいますか,慣性の法則が非常に強く働きますから,今さら,もう修正は不可能なんだと思います。実際にこのような少子化の傾向は確実に続くということが前提になるということなんだと思います。
 そうしたときに,私たちは何ができるのかということ,一番ポイントは,私は流動性の拡大だと思っています。つまり,クオリティーを維持した形で,いかに教育において流動性を拡大していくか。これは学生のレベルでも,教職員のレベルでも同様で,また国際的なレベルでも,それから地域的なレベルでも同様なんだと思います。
 例えば学生の国際的なレベルでの流動性の拡大ということでいうと,既にそういう傾向は十分あるとは思うんですけれども,いい形での海外から来た留学生が日本の社会の中で,もっともっといい形で定着していくという仕組みを,この媒介校として大学がどういう役割を果たしていくことができるのかということが重要だと思います。技能実習生については,いろんな御批判とか,いろいろありますけれども,しかしアメリカなんかを考えてみると,アメリカに留学した子たちは結構長く戻ってこないというか,長くそこで結構な時間を過ごしていくし,それは気に入るからなんですね。アメリカ,もうちょっとやってみようと思う。
 実際,日本でも,日本の大学でエンジョイした子というか,いい思いをした子は,もうちょっと日本にいようと思う。何かつらい思いした子は,もう帰っちゃおうとか,アメリカに移ろうというふうになるので,やっぱり留学生の政策というのは,単にそこで学ぶということ,あるいはそこで人口を増やす,そこの問題だけではなくて,それを社会全体の力に変えていくということの戦略的な政策が必要だと思います。
 それから,国内的なレベルでも同じようなことは言えて,やっぱり学生たちが,先ほど川嶋先生がおっしゃられた地方と東京の問題ありますけれども,同じように,つまり同じ東京の大学に入ったら4年生まで東京の大学にずっといるのかというと,そうではなくて,例えば2年生,3年生とか,あるいは3年生,4年生とか,別の大学に,複数の大学に移っていくことによって,大学生たちが国内で東京と地方,あるいは北海道と沖縄とか,移動していくということで流動性を持っていく,東京集中にならないという仕組み,これも一つだと思います。同じことは,特に教員という以上に,職員についても大学を超えたキャリアパス,専門職としてのキャリアパスで移っていくというか,組織を超えて移っていくという仕組みをどうつくっていくのかということがございます。
 国際的にも,海外の教員,専門家,そういう人たちが,外人部隊ということではなくて,本当にその中のテニュアのトラックの中核的な教員なり職員なりとして日本の組織の中に入っていくということを,教育の分野でも,もっともっと進める必要があると思いますので,何かもう,まずは減るしかないので,流動性を拡大することによって循環を変えていくという,そういう仕組みが次の期というか,次のステップでは必ず必要になってくると感じている次第です。以上でございます。
 
【永田分科会長】  ありがとうございます。髙宮委員,どうぞ。
 
【髙宮委員】  ありがとうございます。このたびは今後の振興方策についての審議おまとめ,誠にありがとうございました。非常に丁寧に扱っていただいて,よきまとめになっていたのではないかと思います。
 今回,論点になりました3つというのは非常にまさに重要なポイントでございまして,それぞれが課題を残しながらも,見ていくべきポイントとしてここで指摘されたのは,非常に意義があったのではないかと思っております。
 その中での一つ,全体として感じたことが,この質保証の部分と関連して,日本の教育は今後グローバルなレベルの中で,どこを目指して質保証していくのかというところが必要で,グローバルにきちんと,卒業した学生の活躍できるところを目指していかなければいけないのかなと思いました。
 と申しますのも,学修者本位,まさにこれが大切なので,学生目線に合わせて教育をしてきておりますけれども,ともすると,学生がちょっと甘くしてくれというところに迎合しかねないという微妙な部分も危険性としてございます。
 さて日本は,大学を卒業した人にどういうグローバルなポジションを目指していただくのかという観点からの質保証というのがあったほうがいいかなと思いました。
 文書の中にもJABEE等,理系は挙がってございましたけれど,文系にもそのような観点は必要なのかもしれないと思った次第です。
 もう1点は,最後の学生の保護の部分と多少関係し,それから本日の議題1と関係するところです。学位授与機構の規定を変えたという大きな補助金を出すお話でございましたけれども,国公立の場合も,私立の場合も,取りあえずその定員をなるべくキープしようという文言が入っておりました。この施策,理系を増やす効果を上げるために,少なくとも短期的には定員純増が起こって,この短期の間に,あるいは経済的にいろいろな大学にダメージを与える部分もあるんじゃないかと思いました。それについて,何かしら御方策がありましたら,お時間があったときで結構ですので,御教示いただきたいと思った次第でございます。どうもありがとうございました。
 
【永田分科会長】  ありがとうございました。吉岡委員,どうぞ。
 
【吉岡委員】  ありがとうございます。本当に丁寧に格調高くまとめていただいてありがとうございます。何点かちょっと気づいたことを申し上げたいと思います。
 1つは,最初のところに質保証の話が出てきておりまして,ここ,大学設置基準,設置認可審査,認証評価等のところに,やっぱり情報公表は入れておいたほうがいいかなと思います。これ制度の問題とはちょっと言い切れない部分がありますけれども,やはり入れたほうがいいかなと思いました。
 そのことと関係して,どうも質保証の問題が,今度の大学設置基準の改正が大きな改正があったものですから,みんな,ちょっとほっとしてしまっていて,実は,これから質保証にとっては,先ほど今日の会議の議題になりましたけど,認証評価の問題であるとか,情報公表の問題であるとかという,そちらのほうの問題が実は非常に重要で,内部質保証を本当に担保していく仕組みをどうやってつくっていくかということだと思うので,それは忘れないように次,今後の課題として,ちゃんと残していく必要があるだろうと思いました。
 2番目に,少子化の問題も,これから次の非常に大きな課題だろうと思います。今,吉見委員がおっしゃったことと重なりますけども,少子化が全体として人口が減っていくという話はもちろんそうなんですけれども,その直接の影響というのはものすごく偏って表れてくるということだと思うんですね。先ほどからありますように,地方と都市部での表れ方とか,大学や,あるいは学生に係る困難であるとか,それから経済的な格差,貧困層にやっぱり非常に負担がかかってくると。それをどうするかという,そういう意味では,大学でできる問題を超えますけれども,そういう問題に関わっているということは,大学が関わっているこの中教審の側から,やっぱり発信していくべきことだろうと思います。
 例えば地方の大学が倒産といいますか,潰れていってしまうと,そこの学生,やっぱり来られなくなるんですね。大学に行けなくなる。辛うじて行けても,例えば都市部にどんどん集まってくるということになるんですね。
 一方で,流動化ということで言うならば,流動可能にできるようにしていかなければならない。例えば生活ができる,都市部に出てきて,あるいは海外に行って生活ができるというのをどういうふうに組立てていくのかということ,それから就職できるということもそうですけれども,学生が生活していくという仕組みというものを併せて物理的にもつくっていかなければならないだろうと思いました。
 それから最後,これもすごく大ざっぱな話ですけれども,先ほどの社会的コンセンサスということですけれども,コンセンサスに至る議論の場というものを,やはり繰り返しつくっていかなければならないだろうと思います。大学の役割は何かとか,高等教育に何をみんなが期待しているのかということについての議論を繰り返していく。なかなか本当のコンセンサスはこれだというのは出てこないだろうと思うんですけれども,その議論の場をきちんとつくっていくということが必要かなと思いました。
 ということで,本当にありがとうございました。大変よいまとめができてきたと思います。ありがとうございます。
 
【永田分科会長】  ありがとうございます。熊平委員,どうぞ。
 
【熊平委員】  すいません,ありがとうございます。本当に適切な取りまとめをしていただきましてありがとうございます。私のほうから3点,この答申がとても大事なことだと思っております背景を共有させていただきたいと思います。
 まず1点目は,大学の質の低下を食い止めることができたということが,まず1点だと思っています。そもそも海外のように,日本の保護者も,学生も,卒業が難しいという大学を高く評価するような考え方は全くなく,そういう中で少子化が進みますと競争も激しくなりますので,当然なかなか個々の大学が個別に質保証を担保していくのは難しくなっていくというような環境にあるかと思います。そういう中で,我が国としてこういうふうに向かっていくんだということが明確になったことは,大変心強いことだと思います。
 それからまた2番目の点としましては,出口の質保証という観点ではありますけれども,大学が人材育成の観点から社会の発展に寄与することに対して強くコミットしているということが表れていて,とてもよいと思います。
 そして3番目は,知的生産社会に向けて,これを牽引していく高等教育であるということに対する使命をより強化していくという可能性が,ここで一気に広がっていくのではないかと考えております。やはり世界では,前例のない人類の危機に直面している我々の今,社会ですけれども,そういう中で様々な研究が発展していると理解しております。こういうことは,やはり高等教育の存在理由というところとも非常につながっていると思いますので,教育だけではなく,大野先生も先ほどおっしゃられていましたとおり,研究と社会貢献,この3つの観点から大学の存在意義というものを明確にしていくということと併せて考えていかざるを得なくなっていくと思います。もちろん,そのほうがいいということなんですけども。
 ですので,この社会課題というものをなるだけ前提に置いて,現状とありたい姿のギャップを埋めるとすればと考えますと,様々な領域の研究者が集まらないと問題解決できないということになりますし,恐らく国境も越えないと問題も解決できないということで,あらゆるボーダーレスな研究の発展というものが進んでいくのではないかと思います。そうなりますと,大学のグローバル化というところにもつながっていくと思いますので,こういう流れができることが,結果的には,大学に通う学生たちが社会で貢献できる人材になるということに全てつながってくると思いますので,そういう大学を目指していくというような,そういう世界観にさらに発展していくとよいと願っておりますので,どうぞよろしくお願いいたします。以上でございます。
 
【永田分科会長】  ありがとうございます。須賀委員,どうぞ。
 
【須賀委員】  全体のまとめに関しましては,特に問題があるというふうには思っておりません。
 私は今回の議論に参加させていただいて,とりわけよかったと思っているところは,文理の横断,文理融合の方法論について,かなり綿密な議論をなされたことだろうと思っております。それによって育っていく学生が,どのような形で将来グローバルに活躍できるのか,そのための下地がどのようにつくられるのかというところの視点ができたのかなというふうな判断もしております。
 そういった意味では,出口の質保証と直接につながっているような内容を持っていたと理解をしております。
 もう1点,最後に出てまいりました学生保護の観点から大学の経営破綻の問題まで書かれていたというところが非常に重要だと思っております。これから先に大学の経営破綻が恐らく,これだけ急速な少子化が進んでいく中で起こっていく。その一方で,大学の設置に関する基準ということに関しては非常に形式的で,基準を満たしていれば認可すると。これはどんどん学生の需要に対応する以上に供給を増やしていくという形にもなっているわけですので,どういう形で本当に学生を守ることができるか,それを個々の大学の競争に任せておいて本当にいいんだろうかということに非常に不安な気持ちでおります。質を向上するために大学間の競争は必要だと思いますが,その一方で,大学の適正な規模であるとか,あるいはその地域における適正な学生数といったようなものを個々の大学の判断によって定められるということはほとんどあり得ないだろうと思います。そうすると,全体としてどのような調整の仕方をするのかといったところも,ある程度,全体として考えておかなければならないのではないか。そういうところから,学生を保護するという観点でも,全体としての調整をそろそろ本気で考えてもいいのではないかと思っております。
 というところで,私の最後の感想となりましたが,以上です。ありがとうございます。
 
【永田分科会長】  ありがとうございます。長谷川委員,どうぞ。
 
【長谷川委員】  まとめは,いろいろと意見を取り入れて非常にいいものがまとまったと思いますので,ありがとうございました。
 私は,やはり何人かの先生方,御指摘ありましたように,出口における質保証というのの質が何なのかということは,いろんなレベルで,もう少し細かく深めていったほうがいいかと思います。短期大学もあれば,4年制だけもあれば大学院もあって,教育とか,社会人教育とか,それから研究とか,いろいろな大学が持つ意味,目標というのはあって,大学は個性と多様性がたくさんあります。そのそれぞれの,そういう異なるタイプの大学のそれぞれにおいても,一番上位の概念として質というのは,どういう能力を指すのか,どういう資質を指すのか。それよりもう一つ下のレベルで,こういうことに対応できる,こういう資質だというようなこともあり,もっと下のレベルで,直接的に企業その他でちゃんと働けるということもあるでしょうと。その段階的に抽象性が高まっていく幾つかの質というレベルの議論があると思うので,その辺を丁寧に考えながら,単に企業等において広い社会のコンセンサスとかということだけではない,もう少しいろんなレベルでの質ということを,もうちょっと今後も深めていっていただければと思います。
 少子化ということはあるけれども,きっかけになったのかもしれないけど,とうとうというか,やっと大学が量から質への転換の時期に入ったのかなと思います。
 昔の企業の偉いさんなんかと話すると,もうほとんど全員,大学では何もしませんでしたとおっしゃいますよね。そういう事態が変わることを,この提言,答申の下で何年か先にそうなってほしいなと思います。以上です。ありがとうございます
 
【永田分科会長】  ありがとうございます。後藤委員,どうぞ。
 
【後藤委員】  ありがとうございます。審議まとめに感謝をいたします。
 少子化の問題,たくさんの御意見出ましたが,それがやはり最も深刻で,影響が多岐にわたっていくと思います。大学等の内部質保証,入り口から出口まで,本日もありましたように入学者の選抜,教育課程,育てる人材像などを考える上で,原点に返る。例えば高等教育とは一体何ぞやというような,ど真ん中の議論が何か改めて必要かなと感じました。多様性や柔軟性などももちろん重要なんですが,現実的な方策を考える上で,判断の基準として,やはり何か軸になるものが必要かなと感じております。以上です。
 
【永田分科会長】 ありがとうございます。
 それでは,1つだけやらなければいけないこととして,このまとめについて,決を採らせていただきます。この際,一,二御意見があったところは御一任いただいて,まとめにさせていただきますが,それでよろしいでしょうか。
 今期最終回ということで,池田高等教育局長がお見えになっておりますので,御挨拶をお願いしたいと思います。 
 
【池田高等教育局長】  高等教育長の池田でございます。本日が第11期の大学分科会の最終回ということですので,一言御挨拶を申し上げたいと思います。
 今期の分科会は,まさに今,後半の議論の中で各委員からいろいろ御指摘をいただいていたように,非常に多岐にわたる議論をしていただきまして大変ありがとうございます。2年間で13回にわたって,リモートと併用しながら,大変大所高所から密度の濃い議論をしていただいたと思っております。
 いろいろな個々の施策を,この御提言や議論を踏まえて進んでまいりましたし,大学設置基準の改正など,既に実現したものもありますけれども,特に先ほど委員の皆様からお話がありましたように,少子化の中でいかにこの大学の在り方を考えていくか,これは次の12期に,事務局としてもしっかりとこれお伝えして,次の期の大学分科会で,さらに掘り下げて議論をしていただきたいと思っております。
 また,今期2年の間に新型コロナウイルスの拡大とか,あるいはウクライナ情勢をはじめとする国際情勢も激変しておりまして,高等教育の在り方,これは大きな転機を迎えていると思っております。その中で,デメリットはあるものの,オンライン教育の可能性というのが非常に見えてきたりしておりますし,それから学修者本位の大学教育ということを徐々に各大学に理解をいただきつつ,少しずつ浸透していると思いますので,こうしたことも踏まえ,次の期でも御議論を深めていただければと思っております。
 お忙しい中,委員の皆様方には毎回,リモート参集を含め,いろんな形で御審議に御参画をいただきまして誠にありがとうございました。今後とも,いろいろなお立場から引き続き高等教育の充実のため御意見をいただければと思いますので,引き続きよろしくお願いいたします。
 
【永田分科会長】  どうもありがとうございました。
 閉じる前に私からも一言だけ,お礼等を申し上げます。今期,今,高等教育局長からもありましたように,コロナ禍でオンライン併用ということで御協力をいただきました。大変いい議論もできましたし,いいまとめもできたと思っております。これに関しましては深く感謝を申し上げたいと思います。
 じくじたる思いというか,反省が1個ありますので,それを述べて次期につなげていただこうかと思います。
 この大学分科会の出自がどこにあるかというと,1984年の臨時教育審議会です。その頃から教育界はもめていました。臨教審で大学のことについてきちんと考えなさいという提言が出て,それに答申が出て,それに対して大学審議会という形で立ち上がりました。
 なぜこのようなことを申し上げているかというと,大学審議会というのは,実は文部科学大臣,当時の文部大臣に勧告できる権限がありました。つまり,大学審議会というそのような立ち位置であったものが今,中央教育審議会の大学分科会になっています。
 今いろいろな御意見を最後にいただいた中で非常に重要な御発言は,日本のシステムの根源を動かすようなものもたくさんあったと思っています。そのような会に本来しなければいけなかったのですが,若干小ぶりに閉じてしまいました。私としては反省をしております。ここにいる方々共々,次期の会議では,また大きな議論を,いろいろなものを超えて行えるようにしていただけたらいいと思っています。そこに御参加される方もいらっしゃるのでしょうが,その心意気で,ぜひともまた御参集いただければと思います。
 今期につきましては,大変いいまとめができました。ありがとうございました。
 それでは,事務局,何かありますか。
 
【髙橋高等教育企画課課長補佐】  ないです。
 
【永田分科会長】  それでは,どうも第11期ありがとうございました。これでお開きです。
 
―― 了 ――
 

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