大学分科会(第171回) 議事録

1.日時

令和5年1月25日(水曜日)10時~12時

2.場所

Web会議

3.出席者

委員

(分科会長)永田恭介分科会長
(副分科会長)村田治,渡邉光一郎の各副分科会長
(委員)越智光夫,熊平美香,後藤景子,日比谷潤子,湊長博,吉岡知哉の各委員
(臨時委員)相原道子,麻生隆史,安部恵美子,大野英男,大森昭生,金子晃浩,川嶋太津夫,小林弘祐,小林雅之,清水一彦,須賀晃一,髙宮いづみ,千葉茂,曄道佳明,長谷川眞理子,古沢由紀子,松下佳代,吉見俊哉の各委員

文部科学省

(事務局)池田高等教育局長,西條大臣官房審議官(高等教育・科学技術政策連携担当),伊藤文部科学戦略官,山下高等教育企画課長,塩田専門教育課長,古田大学教育・入試課長,齋藤大臣官房文教施設企画・防災部計画課長,柿澤高等教育政策室長,平野大学入試室長,相原医学教育課課長補佐,髙橋高等教育企画課課長補佐,岸良高等教育政策室室長補佐ほか

5.議事録

 
【永田分科会長】  おはようございます。第171回目の大学分科会を始めます。
 対面でいらっしゃっている委員も増えましたが,コロナは相変わらず第8波はまだ完全に収まっていないので,ハイブリッドの形式で行います。この議論の様子はユーチューブで配信しています。
 それでは,事務局から連絡事項をお願いいたします。
 
【髙橋高等教育企画課課長補佐】  本日は,ウェブ会議及びライブ配信を円滑に行う観点から,御発言の際はZoomの機能でございます挙手のボタンを御利用いただきますようお願いいたします。その際,分科会長から指名されましたら発言いただくようお願いいたします。
 また,発言を終わりましたら,この挙手のボタンを消してくださいますようお願いいたします。また,発言されるとき以外はマイクをミュートにしていただくようにお願いいたします。
 また,本日の会議資料,事前に何部か差し替えが発生しましたけれども,お送りしておるとおりでございますので,また御確認をお願いいたします。以上でございます。
 
【永田分科会長】 ありがとうございます。本日の議題は,4つあります。まとめを中心に新たな指針や提案もあります。
 1つ目は,前回の大学分科会で大学振興部会での審議経過を報告したところで皆さんから意見をいただきました。今日,修文した審議まとめ案という形になって,御紹介します。その中には学生保護の部分も,前回はメモでしたが文章化されています。
 2つ目は,成長分野への学部再編成の取組を支援するものです。今回の予算案の中に入っているデジタルやグリーン分野の成長分野の人材育成という観点で,これをいかにサポートするかという基金の内容についてです。
3つ目は薬学部の定員についてですが,薬学部の設置収容定員の増については,地域偏在を解消するための人材養成以外は抑制をしようということで提案を申し上げます。
 4つ目は「教学マネジメント指針」について,大学振興部会でいろいろと意見が出まして,大学入学者選抜等に関する追補を作成したということで御紹介をしたいと思います。よろしいでしょうか。
 それでは最初の議題ですが,大学振興会における議論について,審議まとめ案を皆さんと議論をしたいと思います。それでは,資料1の御説明をお願いいたします。
 
【柿澤高等教育政策室長】  高等教育政策室長の柿澤でございます。よろしくお願いいたします。
 それでは,資料1を御覧いただければと思います。こちらの資料1,この赤字で見え消しになっている部分と網かけの部分がございます。この違いでございますけれども,この見え消しになっている部分は,前回の第8回大学振興部会,1月13日にございました。それを踏まえての修正の部分が見え消しの赤字の部分でございます。また前回,大学分科会での御意見をいただいて修正したところが網かけという形になってございます。
 また今,永田分科会長からもお話がございましたけれども,学生保護の仕組みの整備,これは27ページ以降に記載をしておりますが,27ページ以降のところは全部新たに追記をしたところということでございますが,全て網かけにしてしまうと見にくいので網かけにしていないということでございます。
 それでは資料1,1ページを御覧いただければと思います。1ページ目,修正点はこのタイトルでございます。前回,大学教育の振興方策についてという形にしてございました。この点につきまして川嶋委員から,学生保護の仕組みの整備も含めたタイトルとしてはこちらのほうが良いのではないかということで,御提案をいただいたところでございまして,永田分科会長とも御相談をいたしまして今,この「学修者本位の大学教育の実現に向けた今後の振興方策について」という形でタイトルを改めておるところでございます。
 次に,資料の4ページを御覧いただければと思います。4ページの中ほどのところで網かけの部分になりますけれども,こちら,専門知のところにつきまして前回,松下委員から,総合知というものはそれぞれの専門知を含めるということで,その専門知を持った人同士が協働することで総合知をつくり出していくイメージではないか,といった御指摘もあったところでございます。また総合知やSTEAM教育といった言葉について,脚注でもいいので何らかの解説が必要ではないかということがございました。これを踏まえまして4ページのところ,「専門知そのものの深掘り・広がりとともに,専門知を持ち寄って多様な他者と交流し,交流・融合・連携を進めることにより知の活力を生み出すことのできる人材が求められる」という記述を追記するとともに,こちらの総合知ですとかSTEAM教育につきまして脚注で解説を付しているところでございます。
 次に5ページになります。5ページの2段落目の網かけの部分,これは新たなリテラシーとしての数理・データサイエンスのところの記述を修正する関係で,少し記述が移動したようなところもございますけれども,前回,吉岡委員から歴史に関するリテラシーといったことも重要ではないかといった御指摘もいただいたところでございます。これも踏まえまして,この網かけの部分で「自然科学分野を専攻する学生が,研究や技術開発がどのように社会のありようや人々の生活に影響を及ぼしてきたのかといった歴史的な視点や」といったことも記事として追記をしているところでございます。
 次に,この5ページの一番下のところ,(新たなリテラシーとしての数理・データサイエンス・AI)の部分でございます。この点につきましては相原委員から,ここのもともとの記述内容が企業が求める技術の羅列とそれを習得させなければいけないんだという,そういうニュアンスが強いのではないかといった御指摘をいただいたところでございます。これを踏まえまして,記述ぶりを全体的に改めさせていただきました。「近年,AIの飛躍的進化等に伴い,社会経済のあらゆる領域においてデジタル化が加速度的に進展し,ビッグデータを活用した意思決定や様々なサービス等が人々の生活に大きな影響を及ぼすようになっている」と,6ページでございます。「このような現代社会にあっては,数理・データサイエンスやAIを含む科学技術に関する基礎的な理解やリテラシーを市民的素養として培うことはますます重要になっている」と,また人間中心のAI社会原則では,「AIを有効かつ安全に利用できる社会を構築すること,すなわち「AI-Readyな社会」への変革を推進する必要があるとして,社会原則のひとつとして「教育・リテラシーの原則」を掲げている」といった記述,こういった形でどのように社会のありようが変わっていくのかということを踏まえた記述という形にさせていただいております。
 次に,資料の9ページを御覧いただければと思います。9ページの下から4行目,この見え消しの部分でありますけれども,これは大綱化以降の教養教育に関する課題に関する記述でございますけれども「ややもすれば専門教育が重要で教養教育を」,元の記述ですと「面倒な義務と考える教員が存在すること」という記述がございました。この点,曄道委員から表現を再考したほうがいいのではないかという御指摘をいただきまして「過度な負担と考える教員が存在すること」ということで表現ぶりを改めております。
 また,10ページ目になりますけれども網かけの部分でございまして,一般教育・共通教育,教養教育をめぐる経緯や課題といったところと,この文理横断・文理融合教育についての記述,ここの接続が少し分かりにくいのではないかと,ここも曄道委員から御指摘をいただいたところでございまして,この点について,この2,2というのは文理横断・文理融合教育のアプローチを様々連携を示したところでございますけれども,「2.で述べた通り,文理横断・文理融合教育のアプローチの一つとして一般教育・共通教育において学修の幅を広げるような教育を推進することは考えられるが,そのためには,文理横断的な学修を通じてディプロマ・ポリシーに定められた資質・能力を育成することを一般教育・共通教育の目標として明確化した上で,それらについて体系的な教育課程を編成・実施することが必要である」という形にしてございます。また,その後の記述のところも少し誤解がないように修正をしているところでございます。
 次に,資料の14ページを御覧いただければと思います。前回,大学振興部会におきまして,この高大接続の部分で大学入学共通テストを私学が活用する意味で,入試の日程の話も御指摘があったところでございます。ただ,一方でこの点につきましては大学入試のあり方検討会議,こちらは令和3年の7月に提言が出ておりますが,そこで高校教育関係者も交えて多数の議論を行った経緯も踏まえる必要性があるのではないか,そういった御指摘もいただいたところでございます。
 これを踏まえまして,こちらありますとおり,「こうした大学入学者選抜に対する高等教育の適応化であるという一面があることは否めない。大学入学共通テストを積極的に活用することも含め,各大学の入学者受入れ方針に基づき大学入学者選抜の改善を図ることが期待されるところである」と。「なお,大学入学共通テスト及びその他の将来的な入試日程の在り方については,「大学入試のあり方検討会議提言」において記載されているように,継続的な検討が必要である」という形にしてございます。
 次に,資料20ページを御覧いただければと思います。20ページの一番上のパラグラフになりますけれども,安部委員,麻生委員から短期大学についての記述,この全国学生調査への言及なども必要ではないかということで,こちらの記述を追記してございます。「全体として短期大学の教育活動,短期大学での学びに対する肯定的な回答の割合が」,これは大学と比較しても多く見られたということでございます。また赤字の部分ですけれども,「短期大学は「職業又は実際生活に必要な能力」の育成を目的とする高等教育機関として専門職業人を養成する課程も多く,また最終学年で何らかの「卒業論文・卒業研究・卒業制作」を行う学生の割合は大学よりも高いなど,」ということで,短期大学の特徴の部分も少し追記をしているところでございます。
 次に,20ページの同じページの一番下の段落のところでございますけれども,20ページから21ページにかけて,この点,古沢委員からオンライン教育の質保証ガイドラインといったことも重要ではないかということで御指摘をいただきましたので,20ページから21ページにかけましてオンライン授業の質保証,またそのハイブリッド型の教育の確立に向けたガイドラインの策定等が求められるということで記述を追記してございます。
 同じく21ページになりますけれども,この(教学マネジメントの改善等)のところで,こちら前回,吉岡委員からの御指摘を踏まえまして,内部質保証の確立について言及してございます。また,その下の網かけの部分ですけれども,これ,キャップ制についての言及がもともとございましたけれども,これは事業改善,またそのためのファカルティ・ディベロップメントの充実,これとセットでやらなければ意味がないんだということで,大森委員からも御指摘をいただいたところを追記しております。また,そのすぐ下のところ,こうした取組を認証評価でしっかりと評価する必要があるということも,吉岡委員からの御指摘を踏まえて追記をしているところでございます。
 また,22ページでございます。卒業論文や卒業研究,ゼミナール教育の充実というところで,ここはゼミナール教育について,我が国の大学教育の特徴として挙げられるということで原案がございましたけれども,一方で我が国の学部教育が広く浅くなりがちであるということで,むしろこの卒業論文のありようこそが国際標準であるということで,これは前回,吉見委員からいただいた御指摘を踏まえて追記をしてございます。また,そのすぐ下のところですけれども,越智委員からの御指摘を踏まえて少し表現ぶりを改めているところがございます。
 26ページを御覧いただければと思います。こちらも網かけ部分ですけれども,大野委員から海外大学との質保証の組合せですとか,あるいは諸外国,ヨーロッパ等における質保証の動きに対して日本がどういう貢献ができるのか,そういったお話もいただいたところでございます。これを踏まえまして,特に評価の文脈ではございますけれども,「各評価機関においては,海外の評価機関等との積極的な情報交換や対話等を通じて,我が国の質向上の取組に係る国際通用性の向上や国際的な連携の進展に貢献することが期待される」という記述を追記しているところでございます。
 次に27ページを御覧いただければと思います。ここからは新たな文章でありますけれども,学生保護の仕組みの整備ということで,1.学生保護の仕組みの整備で求められる背景・課題等といたしまして,ここの極めて急速な少子化の進行による影響ということで,こちらは「現下の極めて急速な少子化の進行は,各大学の教育研究上あるいは経営上の努力や工夫によって乗り越えることが困難なほどの経営環境の悪化をもたらしかねない深刻な状況である」ということ,また「特に地方の中・小規模の高等教育機関に与える影響が大きい」ことを背景として書いてございます。
 次に,(学生保護の仕組みの必要性と基本的な考え方)という部分でございますけれども,「高等教育機関を取り巻く環境が一層厳しくなる中,各設置者においては,積極的な教学の改善に努め,その上で不断の経営改善を行うことがまずもって求められる。その上で,そうした努力によってもなお経営状態が改善せず,学校運営を継続すれば深刻な財務状況の悪化を招き,破綻することが避けられないような事態が見込まれる場合には」,28ページにまいります。「速やかに撤退等の経営判断を行うことが必要である」と。「その際,在校生を全員卒業させてから学校を廃止することが設置者としての責務であり,学校経営を途中で放棄して学生の修学機会を奪うような事態になってはならないことは言うまでもない」という形にしてございます。
 また少し飛びまして,ここのパートの一番下の段落,なお書きで入るところでございますが,こちらは前回,永田分科会長からも御指摘をいただいた部分であります。「なお,経営破綻からの学生保護より前の段階として,教育の質や学生確保の見通しが不十分な大学に対する対応が必要ではないかとの指摘もある」と。「このような課題については,これまでも私立学校法の改正により,情報公開の充実や中期的な計画等の作成義務付け等が規定されたほか,今後,大学設置・学校法人審議会において,学生確保の見通しに関する審査の厳格化,適正化等が行われる予定である」としてございます。
 次に,この学生保護の仕組みの整備に関する論点及び検討の方向性でございます。こちらは論点の類型を5点示しております。1,破綻を避けるために学校法人が行うべきこと,2,破綻が避けられない場合に学校法人(大学)が行うべきこと,3,破綻リスクを低減するために国等が行うべき措置,4,破綻時に国等が学生を保護するために採るべき措置,5としまして,撤退・破綻する大学に関する手続,取扱いの検討ということでございます。
 このうち(1)破綻を避けるために行うべきこと,そして(2)の破綻が避けられない場合に行うべきこと,これにつきましては既に述べましたとおり,自主的に不断の経営改善,教学の改善と,また財務状況等の分析で兆候を早期に把握すると,破綻が避けられないような場合には速やかな経営判断ということでございます。また,その際に参照するべきものとしまして,この私学事業団が作成する「学校法人の経営改善等のためのハンドブック」にも言及しているところでございます。
 また,学校法人においては経営悪化の兆候を把握した時点で,所轄庁や事業団等の外部機関,外部専門家等に相談することが望ましい。さらに経営悪化に限らない様々な非常時も想定して,大学等連携推進法人制度や地域連携プラットフォームも活用した学校間の連携体制をあらかじめ構築していくことも望まれるとしてございます。
 次に(3)になりますけれども,破綻リスクを低減するために国等が行うべきことといたしましては,「経営悪化傾向にある学校法人が増加する中,経営指導強化指標を設定し」,そのような法人を「一定の基準に基づき客観的に把握」,「その上で,学校法人運営調査委員会における調査の結果,集中的な経営指導を実施する学校法人を決定し,経営改善計画の策定を求め,毎年改善状況を確認して指導通知を発出するなどの取組を行っている」と。「こうした取組の進捗を踏まえつつ,学生保護の観点から,経営改善への取組や成果が不十分な大学や経営改善の見込めない大学への対応強化のため」に,30ページの一番上でございます。「規模の縮小や撤退を含む早期の適切な経営判断を促す指導・支援の充実強化を一層進める」ことが記載されているところでございます。
 次に(4)になりますけれども,「破綻時に国等が学生を保護するために採るべき措置」につきましては,現状では特段の整理がされていないところでございますが,「過去の事案においては,所轄庁である国において学生及び保護者に対して,転学手続等に関する様々な情報提供を行うとともに,全国の大学に対して転学希望者への支援等を依頼するなどの対応を取ったところである」ということでございます。「あらゆる事態をあらかじめ想定することは難しいが,例えば,破綻する大学に近接する大学が存在しない,あるいは学問分野が一致する大学が近郊に存在しない場合にどのように学生の修学継続を支援するのか,転学生の受入れ先の大学における定員管理の在り方をどのように考えるのか,事業を承継する法人等が存在しない場合に各種証明書の発行にどのように対応するのかといった,現実的に生じ得る課題に即した対応を検討することが求められよう」という形で提言されております。
 次に(5)になりますけれども,(5)は破綻・撤退する大学に関する手続,取扱いの検討でございます。「現状では,撤退や破綻に関する高等教育行政上の手続としては,学校の廃止の認可申請,学校法人の解散の認可申請があり,解散の認可後は,清算手続に移行することとなる。一方で,学生募集の停止については,通知により国への報告を依頼しており,廃止に向けて募集停止した大学については各種法令の遵守義務など法令上の取扱は通常の大学と何ら異なるところはないが,実態としては,必ずしも適正な管理運営が担保されていないのではないかとの指摘もある。廃止に向けて募集停止している状況であっても,関係法令に基づく適切な管理運営,在校生に対する教育等の責務を全うすべきであることは当然であり,こうした廃止に向けて学生募集を停止した大学の取扱い,廃止に向けたプロセスの在り方についても検討を進めていくことが必要である」としてございます。今後,国においては,これらの報告に基づき具体的な検討に着手することが求められるというところでございます。
 最後,31ページに「おわりに」ということで,この11期における大学分科会の検討の振り返り,また2段落目で来期以降の大学分科会においては,グランドデザイン答申以降の高等教育をめぐる様々な状況の変化を踏まえて,改めて今後の高等教育全体の適正な規模を視野に入れた地域における質の高い高等教育へのアクセスの確保の在り方や,国公私の設置者別での役割分担の在り方等について検討を進めていくことが必要と考えるとしてございます。以上でございます。
 
【永田分科会長】  ありがとうございます。いよいよ終わりに近づいてきましたが,大体意見は取り入れられていると思います。ただ,最後のところの学生保護の部分は新しく文章化したものであって,前回までお示ししていたのは委員の皆さんの御意見等のメモ書きでありました。ですから,議論が集中すべきは最後の学生保護の仕組みの整備のところではないかと思います。この後,第11期の分科会は,あと1度しかありませんので,よほどの事情がなければギリシャ文字のⅠ,Ⅱのところは置いておいて,3の学生保護の仕組みのところに意見をいただけるとありがたいと思っております。
 それでは,御自由に意見をお願いいたします。いかがでしょうか。皆さん,お考えのうちでしょうが,私としては今,御説明があった2.学生保護の仕組みの整備に関する論点及び検討の方向性の(1)から(5),これは文部科学省で用意をしていましたが,ぜひともこの経営破綻だけではなくて設置のときからケアしてほしいということで,なお書きのところで強く書いてもらっています。
 清水委員,どうぞ。
 
 
【清水委員】  後ろのほうではないですが,修正していただいた箇所で気づいた点がありますのでお話ししたいと思います。脚注をたくさん細かくつけていただいて,内容が充実してきていると感心しております。
 19ページになるのですが,注の40です。関連して国際的な単位制度の状況が書いてあるのですが,注の最後,米国の大学では概ね1単位45時間,卒業要件120単位,こうなっています。間違いではないですが,これはセメスター制のもとでの単位の量であって,アメリカでは2割ぐらいはクォーター制をしいておりまして,クォーター制の場合には卒業要件180単位で設定されています。クォーター制の場合には1単位は30時間,卒業要件が180単位と,総量は同じで5,400時間程度。ですからここはもし付け加えるとすると,「セメスター制では」を入れるか,あるいはクォーター制の場合にはこうだとか分けて書いた方が正しいかと思います。
 それに関連して上の段落で「単位制度の実質化がなされておらず,我が国の高等教育の国際通用性という観点からも大きな課題である」という文があります。これも内容的には問題ないですが,高等教育の国際通用性と,ここまで広げる必要はないと思います。高等教育の国際通用性というのはもっと学位内容とか組織・システムとか,いろいろなものも含めて通用性が関係しますので,ここは単位制度に限って指摘したほうがいいと思います。つまり「我が国の単位制度の国際的互換性」とか,「単位制度の国際互換性」とか,それが大きな課題であるとしたほうが適切ではないかと思いますので,ぜひ検討してもらいたい。以上です。
 
【永田分科会長】  ありがとうございます。適切に修文させていただきます。
 吉岡委員,どうぞ。
 
【吉岡委員】 ありがとうございます。一つはものすごく簡単な字句の問題ですが,1ページ目の下から12,13行目[A1] ぐらいの「各質保証システム」というところですけれども,「設置認可審査,大学設置基準,認証評価等の」という順番になっているんですけれども,ここは大学設置基準を最初においたほうがいいかなというのが,そうですね,これは非常に細かいことですけれども,それが1点目。
 もう1点は,今回文章化されたところの学生保護のところですけれども,学生保護で問題になるのは,もちろん一番大きいのは在校生をどうするかということだと思うんですが,大学振興部会での議論でも、今後非常に弱い立場に置かれている大学というのは地方の大学が多いだろうと。そうではないにしても大学の持つ公共性という言葉が出てきますけれども,大学がなくなってしまうとその地域全体が疲弊していくことにもなりますし,そこの学生たちといいますか,これからその大学に進学しようというような生徒たちの可能性を塞いでしまうことが重要な問題だという議論がありました。
 そういう意味では大学が,大学等ですね、が立ち行かなくなることは地域全体,あるいはさらに言えば国の地方創生にも関わるようなことですので,それがそういう公共性を持っていることをもうちょっと強調する文章を最初に入れたらいいのではないかと思いました。そういう意味では,地域や地方の行政あるいは国の行政も責任があるのだということを入れる。そうすることによって潰れそうな大学に対して今後,それを実際どうするんだ,誰がそこに手を入れるんだという問題が次の問題だと思うんですけれども,これは難しい問題ではありますけれども,経営破綻を助ける際の考え方としては公共性ということをもうちょっと強調しておいてもいいかなと思いました。以上です。
 
【永田分科会長】  ありがとうございます。大森委員,どうぞ。
 
【大森委員】  ありがとうございます。大森です。私は今,吉岡委員がおっしゃったことが一つと,それから質問が1点,意見が1点ということですが,特に今,吉岡委員がおっしゃったところで29ページの(3),破綻リスクを低減するために国等,「等」だと思うんですけど,が行うべき措置のところが,これ,地方にいる大学からすると,厳しい書きっぷりだなというか,まず地方には大学が必要だから,まずは支えるんだよ,潰れそうなところはとにかく指導してやるんだというのは,もう少しみんなで支える感じがあってくれたらうれしいなと,そんな雰囲気は持って読ませていただきました。
 それから同じく29ページ,これは質問ですけれども,大学等連携推進法人とかプラットフォームについて書いていただいていて,この経営悪化に限らない非常時というのは,どういうことをイメージされたのかなというのはお聞きできたらと思いました。
 最後ですけれども30ページの(4)のところで,これから検討しなきゃいけないこととして学問分野が一致する大学がないとか幾つか,私も群馬県にいますので、過去の事案では学生の受入れというのを打ち出したんですけど,全然学問分野が違う大学さんだったので結局,学生さん来れなかったこともあって,これはリアリティーを持って読ませていただきましたけど,そのときに受入れ側としてもう一つ悩んだのが転入学の,何て言うんでしょう,選抜的なプロセスを取るのか取らないのかと。これは支援なので,どうぞフリーパスでお越しくださいってそのときはしたんですけれども,多分そういう課題は出てくる,なかなかどうして各大学にお任せなのか,ある程度の方針が出せるのか。でも破綻しちゃった学生さんがもう1回入試を受けてくださいというのはあまりにも酷だなとか,何かその辺,でも近くに大学があっても,そこに何か選抜の方法が違う大学がスムーズに受け入れていくのかどうかとか,その辺は一つ課題としては,もしここに課題を挙げるんだとしたら,あってもいいのかなと感じたところです。
 以上3点ですけど,2点目は質問になります。以上です。
 
【永田分科会長】  2点目の質問について,事務局で何かお答えできますか。
 
【柿澤高等教育政策室長】  はい。この点につきましては,特にこれと限定しているわけではございませんが,例えば何らかの局地的な災害が起きたとか,不測の事態が大学に生じたときに,日頃からの連携体制があるとお互いサポートがし合えるのではないかということで記載しているところでございます。
 
【大森委員】  ありがとうございます。
 
【永田分科会長】  それから3です。国等が行うべき措置というのは先ほど吉岡委員からもありましたが,地方自治体も入るのでしょう。それよりももう少し,多分1と2のところに温かい言葉があってもいいと思います。3のところは国や自治体ということです。1のところが言っているのは,ハンドブックに従えということですが,それ以外にも策はないのかということだと思うのです。
 最後におっしゃったところです。日本は大変難しい問題ですが,大学のアドミッションとディプロマ・ポリシーを考えたときに,何でもいいので潰れたから入ってくださいというのもなかなか難しいことだと思います。具体的には各大学の御努力としか言いようが今のところはないと思うのです。例えばウクライナの学生さんも数十人受け入れていますが,全員試験を受けていただき,落としている者も当然います。どのような緊急事態であれ,アドミッションとディプロマに合わなければ,入学いただいても意味がなく,4のところはそれぞれの大学間,あるいは大学のポリシーというものが非常に重要なので,それを尊重するべきかと思います。なかなか書きようが難しいと思いますが,メモはしておくべきだと思います。
 小林雅之委員,どうぞ。
 
【小林(雅)委員】  ありがとうございます。改めて全体を見渡して気がついたことですけれども,教育の質保証という点に関して「教学マネジメント指針」では教学IR,大学の情報公表,FD・SDを一応,それを支える3本の柱という形で強調しているわけですけれど,この中で今回の,全て書き込んでいただいてはいるんですけれど,教学IRについての説明があまりにも少ないことが気になります。これらは相互に関連していてお互いに補強し合うものですので,その点を踏まえて書き込んでいただければと思っております。
 少し長くなりますが説明いたしますと,例えば大学の情報公表について,これまで大学側が非常に消極的だという批判があるわけですけれど,その最大の理由は風評被害を恐れているということですね。これについては何回もここでも申し上げましたが,中退率,例えば一つとってみても,中退というのにはネガティブなものだけではなくて,非常に休職したとか転学したとかポジティブなものもあるわけですから,そういうことを含めてきちんと中退について扱って公表していく必要がある。そのためには,新しい指標も開発していく必要があることを申し上げてきました。
 前回,ST比にこだわったのも,ST比も同じように非常に注意して取り扱わなければならないが公表しなければいけない指標の一つであるということで,それについては非常に丁寧に書いていただいており,いいと思います。25ページにきめ細かな情報公表が必要だと一言で書かれていますけれど,そういったことを申し上げたかったわけです。
 FD・SDもそういったことを考えて,どういう情報公表していくのかにも関係しているわけでありまして,そういったものを全部支えるものが教学IRということになるわけですから,教学IRの役割ということをもう少し強調して書き込んでいただければと思います。以上です。
 
【永田分科会長】  ありがとうございます。検討させていただきます。少なくとも引用するなど,きちんと述べるところを述べていかないといけないかもしれません。
 熊平委員,どうぞ。
 
【熊平委員】  ありがとうございます。この内容につきましては,我が国の発展を支える大学の存在理由が明確に示されていて本当にすばらしいと思いますので,特に変更点ということではないですけれども,関連して3点ほど意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず1点目は,この内容がかなりこれまでの社会通念とは異なる大学像になっておりますので,社会との合意というものが非常に重要になってくると思います。言い換えると,ビジョンの共有というものでしょうか。例えば親の立場になりますと,高等教育の質保障よりも我が子の卒業と就職というところに目が向き,結果として大学を,学生募集が非常に厳しい中でディプロマ・ポリシーの厳守よりも4年で卒業させて就職させるほうが重要という,そういうマインドセットというのが基本的に存在してしまうこともあると思います。ですので全員が,社会全体がこの在り方を一緒につくり上げていくと考えていくことがとても重要だと思います。
 それから2番目に,教員養成に力を入れていかなければならない点です。これは初等,中等教育の改革においてあるべき姿のデザインのほうが先行し,今やっと教員養成の話が出ておりますけれども,ありたい姿を実現するためには教員が変わらなければならないのは高等教育も同じだと思いますので,この高等教育においては,同時進行でありたい姿とともに教員養成の話が進むことを願いたいと思います。その観点からは,4ページにちょうど網かけで書いていただいている部分,「専門知そのものの深掘り・広がりとともに,専門知を持ち寄って多様な他者と対話し,交流・融合・連携を進める」ことによって「知の活力を生み出すことのできる人材」と育成する人材像として書かれている部分が,高等教育を担う教員においても求められることと捉えられると思いますので,こういった人材像に向けて育成というものも力を注ぐべきではないかと思います。
 そして最後に,これは言いにくいことではあるんですけれども,高校の学び直しを行っている大学も現在ございます。しかし,これは質保証の観点から高等教育の存在意義に立ち返って自分たちの大学の在り方を見直していただくことが,ディプロマ・ポリシーを徹底すればそうなるとは思いますけれども,そういうことも進んでいくことを願いたいと思いました。
 3点でございます。以上でございます。
 
【永田分科会長】 ありがとうございます。
 最初の2つの点は多分,教育振興基本計画部会にフィットする内容です。大学分科会でかなり集中的なまとめになっているので,社会とのことが書いてありますが,それが少ないのはそこに理由があると思うのです。ところが大学振興部会は逆に社会との接点から書き起こしているので,そちらに十分書き込まれていると思います。
 最後の点は非常に難しくて,大学が中等段階の学力を何とか保障しようとする試み自体は単位にならないので,大学にとってはもう本当に負荷的な要素になっている部分があります。委員も御指摘のとおりですがなかなか難しい問題があって,今回書き込むかどうか若干難しいとは思っております。
 小林弘祐委員,どうぞ。
 
【小林(弘)委員】 弘祐です。私が振興部会でいろいろ議論していた立場から,あまりここでは議論するべきではないと思いましたけれど,振興部会でのまだ課題として残っていることをお話しさせていただきたいと思います。
 つまり1番から5番まで書かれているのはかなり大ざっぱに書かれていて,具体的に実行する場合にはたくさん課題があることを御紹介させていただければと思います。例えば破綻した大学の学生を受け入れる大学は定員管理が難しくなるわけです,収容人数が多くなる。それをどう特例措置で考えていくかということ。それからあと,開設の場合には教員は毎年4分の1ずつ増やして完成年度にフルに設置基準を満たせばよいという経過措置があるのですけれども,閉校の場合にはこれがないのですね。つまり,新入生の募集を停止してから4年間にわたるまで教員をフルセットで持っていなければいけないのは,これは学校側としてはかなり大変なことになるかと思います。
 あとは,ここでは触れられていなかったのですけど,今の機関要件,これは厳格化されていくようですけれども,それは定員割れした大学に通っている学生にとっては全く学生保護になっていなくて,修学支援を受けられないことになるのは矛盾したものであるという議論をさせていただきました。
 最後に吉岡先生も賛同されていたのですけれども,大学とか短大よりも先に地方の専修学校のほうが定員割れが早いのです,スピードが速い。そういう学生をどうやって救うかというのは,この大学分科会の範疇ではないかもしれないのですけれども,各県の所管とは言えますけれども一度,関係者を集めてどうするべきかというのを考える場があってもいいかなということはあります。
 以上,いろいろな議論がありましたけれども,次の中教審の大学分科会への課題の申し送りとして設定されていたので,このような大ざっぱな書き方になっていることを御紹介させていただければと思います。以上です。
 
【永田分科会長】  御意見どおりでここは議論も十分足りていません。今のような御指摘は次期以降に,より詳細に議論されることとなると思います。そのような意味合いでは,大変重要な御指摘だと思っております。
 須賀委員,どうぞ。
 
【須賀委員】  ありがとうございます。学生保護の仕組みの整備に関するところでございますが,こういった問題で議論しなければいけない最も重要なポイントというのは,私の目から見ますと少子化の進展ということで,参考資料の71ページに2040年の進学者数の見込みが書かれております。そこにある51万人という数字が18歳人口で大学進学する数になっているのですが,現在63万で12万人が減っていくという大きな大前提のもとで考えてみると,これはもう破綻がいろいろなところで出てくるのは当然ということだろうと思うんですが,そういう観点から考えていかなければいけない問題をもう少し整理していただけるとよろしいかなと思いました。
 そうしますと,なお書きのところにあったところですが,破綻の前に我々として考えておかなければいけないことがあるという永田分科会長の御指摘の部分でございますけれども,そこについては恐らく設置審として一体どう設置の認可を厳格化していくかという類いの議論と直結していることが1点だろうと思います。そこを抜きに破綻したときの処理の仕方だけを議論するのは,何かずれているような感じがいたします。
 それからもう一つは,その話を進めていくために先ほど設置の厳格化の内容をどうしていくのか。今まで基本的に設置は自由でしたが,中身についてきちんとした教育がなされるように監督していく立場から,もう少し違った方向に議論が進められるべきなのかどうかといったようなことも併せて,触れておいていただけるとよかったなと思っております。以上です。
 
【永田分科会長】  ありがとうございます。何度も申し上げているわけですが,先生の御指摘がある部分が最も少子化対策として重要な部分で,それは腰を据えて次期の回で話をしていこうということです。今回は,若干付け足しのようになってしまいましたが,破綻に限って議論をして注記をしておいたということなので,御指摘どおり,次期の大学分科会ではかなり激しく厳しい議論になるのだろうと思っております。ありがとうございます。
 村田委員,どうぞ。
 
【村田委員】  ありがとうございます。私から1点ございます。一つは,学生保護の仕組みの整備の前のところの14ページのところです。赤字で修正が入っているところです。これ,文章を読んでみますと,文系と理系の文理のところから文章がずっと来てるわけですけれども,ここはこれでいいと思いますが,それを受けて,なお,大学入学テスト及びその将来的な入試日程の在り方についてってあるんですが,実はここを少し発言させていただいたのは私です。そのときに少し言葉足らずだったのかもしれませんが,文理横断の話でこの日程の話をしているわけではなくて情報教育のところ,それが高校で今,必修化されているわけですが,その情報をどう入試に織り込んでいくか、織り込まなかったら,必修化されていても別に特に高校で勉強しなくてもいいよねという従来型になってしまいます。
 一方で私立大学,情報をこれ,個々の大学で入試ができるかというと,国立大学も含めてどこもできないということですね。問題を作る人がいないわけですから。そうすると,この情報という位置をちゃんと全ての大学が,せっかくですので共通テストで受けられるようにしておかないと,DX自体が私は失敗をしてしまう,国自体の大きな問題になっていくだろうなと。極めてここは重要な点だと思いますから,少しこの入試日程の在り方のところについてDXあるいは今後のIT等々,「国の」というところの文章を少し付け加えていただければなと思います。ここは文理横断の話ではなくて,むしろDX,情報のところで重要なという意識がございますのでよろしくお願いいたします。
 続きまして,新しい学生の保護のところですが,先ほど来,議論がございました3の破綻のリスクの低減,国が行うという話ですが,恐らくこれ,今回ここまで踏み込んで書いているのは,18歳人口の急激な減少,ここの危機感が一番大きいだろうと思います。吉岡委員からもありましたように,確かに地方の活性化等々を考えた場合に大学を残しておく,救っていくことも重要な課題だとは思うんですけれども,恐らくそういうことがもうできない状況に18歳人口の急激な激減が出てきていて,だからそれをどうするかってことだと思うんですね。
 そうしますと,これも地域,エリアによって18歳人口の減り方が変わってきます。そことそれぞれのエリアにある,それは都道府県別でもいいし,ブロック別でもいいですが,大学の収容人数が変わってくるわけで,そのバランスを考えていく必要があろうかと思いますから,その辺り少し具体的な,入れておいたほうがよりリアリティーを持つのかなと。もちろん,いろいろなところでやっていただいているとは思うんですが,少しその辺りは踏み込んでおかないと。と言いますのも,大学の収容定員とそれから進学率って極めて大きな相関を,特に都道府県別では持っていますので,さらにその収容定員とそれから人口って大きいわけですから,その辺り少し踏み込んで書いておくべきと考えます。前文で18歳人口の激減は書いてあるんですが,そこをもう少し関連づけて書いておかないと,先ほど来,大森委員のお気持ちもよく分かるんですけれども,現実は現実ですので,そこは書き込まないと,書き込んでおかないと次につながっていかないんじゃないって,そんな気がいたしました。私からは以上です。
 
【永田分科会長】 ありがとうございます。特に後の指摘は大変重要で,「国等」って書いてしまっていますが,減少のその度合いが場所ごとに相当違うので,その事実は書いておいてもいいと思います。それによって地方自治体の協力も得やすくなるのではないかというのがあって,少しそのような文言を入れてもいいのではないかと思って聞いておりました。
 現在,越智委員,曄道委員,吉見委員,千葉委員のお手が挙がっております。残りの議題4つのうち1つ目なので,この4番目の委員までにさせていただこうかと思います。越智委員,どうぞ。
 
【越智委員】  ありがとうございます。村田委員がお話しされたようなことですけれども,もう国が経済的にも少し疲弊しているので,経営の苦しい大学を支えることがもうできなくなるようなことでこれが上がってきたんだろうと思いますが,学生保護の前にするべきことをきっちりやっていくことも必要です。それと少子化の予測と大学受入れ定員との関係はシミュレーションできるわけで,例えば5年後にはどうなって10年後どうなっていくから,どういう手だてを打っていくのかということを考えるのが私も必要ではないかと思います。
 それで,万が一に保護しないといけない場合,破綻時にということが(4)に書かれていますけれども,難しいことだろうと思うのですね。さっき永田分科会長からもありましたように,大学にはそれぞれポリシーがあるわけでして,そのポリシーを越えてどういうふうにしてその人達を受け入れていくのかというようなことで,先ほどもありましたように地域に大学が一つしかないような県もありますので,そういうところで破綻が起きて保護をしないといけないときに,最後に具体的に生じる課題に即した対応を検討することになろうかと思います。これについて,もう少し詳しく,次回までにお話があるのかも分かりませんけれども、シミュレーションしていく必要があるのではないかと思っております。以上です。
 
【永田分科会長】  ありがとうございます。今,越智委員がおっしゃったことはシリアスです。大学入試センターはこのスピードで受験生が減ると,シミュレーションした値段ではもうやっていけないことは明々白々になっています。つまり先ほどから議論になっている共通テストはやがて不可能になるのが,もう間近なのです。そのような意味合いでは人口減少,大学の破綻,撤退,それから設置の厳格化だけではなく,本当に至るところに大きな影響が出て,今のようなナショナルスタンダードな試験が可能かどうかという問題を私は入試センターでも働いているので厳しいと思っています。
 ですから今,越智委員がおっしゃったように第12期の最初にシミュレーションなどのデータが出てくるのではないかと思っております。ぜひともお願いをしたいところです。
 曄道委員,どうぞ。
 
【曄道委員】  ありがとうございます。私からは細かいかと思いますが2点申し上げたいと思います。1点はこの3の保護のところですけれども,30ページで(4)のところに「破綻時に国等が学生を保護するために」ということで,整理はされていないが幾つかのそこに対象が書かれているんですが,修学継続の支援であるとか,あるいは受け入れる側である大学の定員管理の,これは恐らく例えば緩和があり得るのかとか,そういったことだと思うんですが,最後に書いてある事業継承者がいない場合の各種証明書の発行というのは何かすごく細かな,ほかとレベル感が違う内容で,これは例えば卒業生が何か証明を取りたいとか,そういったことも含めて書かれているのかなと思うんですが,少しここだけかなり具体的な証明書の発行という言葉になっているので,ほかとレベルを合わせた,ある一面での学生保護,あるいは卒業生に対するサービスの継続とか,そういったことを書いていただくのがバランスとしては良いのではないかなという気がしました。
 2点目はこれはここではない,前に戻っていただいて5ページの網かけの部分ですけれども,この中で人文・社会科学を専攻している学生が自然科学分野の素養を培う側面が強調されがちで,今度は自然科学分野を専攻する学生のお話を書いていただいて,これで趣旨としては結構だと思うんですが,文言ですけれども,社会の在りようや人々の生活に影響を,技術が及ぼしてきたのかといった歴史的な視点だけじゃなくて,恐らく現代の社会において重要なことが,例えば倫理という言葉を使っておいたほうがいいのかなと。「社会の在りよう」という言葉がありますので,その「歴史的な視点」の前に「倫理的」あるいは「歴史的」といったような言葉を入れたほうが適切ではないかなと感じました。以上でございます。
 
【永田分科会長】  ありがとうございます。両方とも検討させていただきます。
 吉見委員,どうぞ。
 
【吉見委員】  ありがとうございます。人口減少が今後の中教審が取り組まなければならない最大の課題の一つになってくることは,全く先生方,皆様おっしゃるとおりだと思います。
 その書きっぷりですけれども,これも思いは先ほど吉岡委員,あるいは大森委員がおっしゃられたのと私も同じことですけれども,この今の書きっぷりだと,やや人口減少あるいは少子化が何か自然災害みたいな雰囲気で書かれていて,すごい災害が押し寄せてくるので,みんなこの,何て言うのか,こういう対策で避難しなくちゃみたいな,そんな感じのイメージがある感じがするんですね。
 ただ,これどう書くかはとても難しいと思うんですけれども,少子化あるいは人口減少そのものは明らかに3つぐらいの大きな要因があって,一つは積年の政府の少子化対策の失敗,それからもう一つはちょうどバブル崩壊が団塊の世代ジュニアの就職期と完全に重なってしまったこと,そして3つ目が東京一極集中なわけです。東京は人口学的に巨大なブラックホールですから,東京に人が集まれば集まるほど人口は再生産能力を失っていくという構造が根本的にあるわけで,そうするとこれ,導入のところの2段落目の5行目,学生保護のところですけれども,「このままで推移すれば約77万人と調査開始以降の最少を更新することになる」,それを,そこまでは事実ですからいいんですけれども,その後がいきなり「政府においては少子化対策の根本的な強化や将来のこども予算増に向けた検討が進められており,コロナ禍の影響も受けて加速度的に進行した少子化が今後どのように推移していくかについては現時点では明らかではないが,このような我が国の少子化の現状にあっては」と続くんですが,この文章があまり,意味が不明になっているというか,3つ何か別々のことがつなげられているのと。
 それから,その文章の前に根本的には,何と言うんでしょうか,これは大学だけの問題ではなくて日本国そのものが方向転換といいますか,ある種もう社会の在り方を根本から考えを変えなければならない根本問題であるような,こういう何か一文がこの中間に入るべきではないかと。ここに前文で入っていることによって後ほど,先ほど吉岡委員がおっしゃられた,地方の大学の公共性の問題とか,地方創生にとっての決定的な重要性という問題が後に入れる必然性っていいますか,が出てくるんじゃないかと,このつなぎを何か作って,まだフックでしかないですけれども置いておいたほうが今後の議論のためにいいのじゃないかと,そう思いました。以上です。
 
【永田分科会長】  ありがとうございます。「おわりに」のところには次に何を検討するのようなことが書いてありますが,その前振りとして入れてはどうかという御意見であり,検討させていただきます。
 千葉委員,どうぞ。
 
【千葉委員】  ありがとうございます。地方の状況につきましては各委員の方々がおっしゃられるとおりで,大学,短大,専修学校含めて様々な問題が生じる,そういう直前の状況になっていると認識しています。
 今日は資料を持ってきていないですけれども,大学の状況を見ますと,入試倍率が1倍台の大学と高倍率の大学の二極化をしていまして,バーベルのような形になっているんですね。その1倍台の大学,特に地方の大学というのは今後,学生確保に非常に大きな問題が出てくることから,ここはバックキャスティングの考え方でこれから計画を立てていくことが必要ではないかと思います。
 私は東京都の私立学校審議会にも参加しておりますけれども,専修学校の撤退というのは急になくなるということでなくて,きちんと最後の学生が卒業した後にフェードアウトしていく形が一般的です。そういう意味では,今までは大学においては学生が増加する状況においての制度設計でありますので,フェードアウト型というのはなかなか考えられていないんではないかと思いますが,そういうバックキャスティングの思想の一つとしては,新しい制度としてきちんと卒業させてから撤退していくと,そういう制度をつくることも必要かと思いますので,地方の学校の救済とともに撤退の仕方についても今一歩進んだ考え方を取り入れる必要があるかと思います。
 以上です。ありがとうございます。
 
【永田分科会長】  ありがとうございます。どこに書くかですが,大切なことだと思います。御意見,多分まだまだあると思います。後で事務局からアナウンスされると思いますが,事務局にお送りいただいてこの修文に生かしていきたいので,なるべく早々に意見をお送りいただければと思います。
 私から吉見委員や最後の千葉委員に関わることで,「おわりに」に書いてあるところは,先ほどの吉見委員のように申し上げると我が国全体を見たときにはこれだけでは駄目だと思っています。どのようなことかというと,我が国全体に必要な知は我々はもっともっと欲しいのでますます増加します。人が減りました,だから大学の撤退と支援をするというのでは駄目で,この総和としての知を増やす努力をしなくてはいけないので,2通りしかないわけです。どうにか人間を増やすか一人一人のスペックを上げるしか,総和としての知は保たれないし,向上しないわけです。
 そうすると「おわりに」で書いてあるところは,先ほどの吉見委員のもそうですが,このように適正規模が云々というところに絞ってしまうと,規模の制御はできたが総和の知は減ったという結論になってしまいます。全然我が国が目指しているものと違ってしまうので,同時に今以上,一段の高等教育機関の頑張りがないといけないわけです。そのような形を全体として見ないと,単に減りました,地域を潰しました,地方がなくなりました,県庁に勤める人すらいなくなりましたとなってしまっては困るわけです。最後の「おわりに」も,我が国の全体を見たときに豊かな国にする意味では考えなければいけないことがあるのだろうと思っております。修文をさせていただいて次回2月に最後の大学分科会があると思うので,それまでにいい文章になるようにいろいろな御意見を事務局にお寄せいただければ幸いです。
 それでは一旦,この議事に関しましてはここまでとさせていただきまして,2つ目の議題です。「独立行政法人大学改革支援・学位授与機構法に規定する助成業務の実施に関する基本的な指針(案)について」ということです。これは御説明の中で,なぜこのような話題が出てきたのかも含めて事務局,御説明よろしくお願いいたします。
 
【塩田専門教育課長】  それでは御説明申し上げます。
 資料の2の1ページでございます。本基金,成長分野を牽引する大学・高専の機能強化に向けた基金つきましては,昨年の補正予算におきまして3,002億円が措置されてございます。資料2の1ページ目はその際の資料となります。まず,こちらから御説明申し上げます。
 背景・課題といたしましては,1ポツでございますけれどももう御案内のとおり,デジタル化の加速度的な進展,脱炭素化の世界的な潮流というのが労働需要の在り方に変化をもたらしていると。デジタル人材などの不足が予測されている状況でございますが,次のポツにございますように日本では理工系割合が低いと。経年変化を見ても多くの国が理工系割合を増やす中,日本は横ばいといった状況でございます。
 事業内容でございますが,デジタル,グリーン等の成長分野を牽引する高度専門人材の育成,喫緊の課題となっていることに鑑みまして,本基金は意欲ある大学・高専の成長分野への学部再編等の取組を支援し,大学・高専の機能強化を図ることを目的としているものでございます。
 支援内容といたしましては2つございまして,丸1,これがデジタル,グリーンといった成長分野への学部再編等の取組を御支援するものと。私立大学と公立大学を対象。丸2は特に人材不足が指摘されている高度情報専門人材の育成,確保に向けた機能強化を御支援するもので,国公私の大学,高専を対象としてございます。この事業内容につきましては,後ほど詳しく御説明申し上げます。
 次のページでございますが,本基金につきましては大学改革支援・学位授与機構に設置いたしますが,そのための改正法につきましては昨年の臨時国会におきまして既に成立してございます。概要の2ポツでございますが,助成業務に当たりましては助成業務に係る基盤指針を定めることが法定されてございます。この基本指針を定めるに当たりましては審議会,具体的には中教審の御意見を聞くこととされておりますので,本日は後ほど御説明する基本指針の案について御意見を頂戴したいというものでございます。
 次のページをめくっていただきまして,助成業務の実施スキームでございます。丸1で基金を造成し,丸2で基本指針を大臣が策定すると。丸3で機構は基本指針に即した実施方針を認可申請し,丸4で当該実施方針が認可されましたら,左下に行きまして丸5で公募が開始されると。各大学,高専から申請書を丸6として出しいただきまして,丸7で採択決定と。丸8で設置認可申請等を行っていただき,丸9で認可等と,その後,学部の設置といった流れを想定しているものでございます。
 それで次のページが基本指針の案となってございます。法律で規定されております3つの点につきまして,基本指針を定めてございます。1点目でございますけれども,本基金の対象となる分野についてでございます。社会経済の情勢ですとか技術開発の動向といった事情を踏まえまして,中長期的な人材育成の観点から特に学部設置等の支援が必要と認められる分野,これは特定成長分野と称してございますけれども,特定成長分野につきましては,科学技術とイノベーション基本計画といった政府全体の戦略方針に掲げられているデジタル・グリーンを中心とした成長分野であり,学位の分野といたしましては理学,工学,農学の関係分野と,いずれかの学位分野を含む融合分野も可能ということも想定してございます。
 二でございますけれども,選定方法に関する基本的事項でございます。支援1につきましては先ほど御説明したとおり,学部再編等による特定成長分野への転換を支援するもので,私立,公立の大学の学部・学科を対象とするもの。支援2は情報に特化したものでございまして,国公私立の大学につきまして高度情報専門人材の確保に向けた機能強化を御支援するものでございます。大学院における教育研究実績を有している大学が,学部や研究科等の定員増を行う構想ですとか,研究科等に限った定員増を行う構想などを主として想定してございますけれども,現在,その支援対象の詳細につきましては調整中という段階でございます。
 受付期間につきましては令和14年度までと,ただし支援2につきましては情報人材の育成が喫緊の課題であり,かつ既に情報系の取組を行っている大学を対象としていることから,令和7年度までを基本としてございます。選定方法でございますが,資格要件といたしまして収容定員の充足率ですとか,輩出する人材について社会における具体的なニーズが確認できるかを挙げてございます。また審査の観点といたしまして,学生数の拡充,学生確保の見通し,初中段階との連携,女子学生の確保,こういった項目を挙げてございます。
 次の丸でございますが,大学ファンドとの併せての受給は不可ということにしてございますが,申請は可能と。つまり,本基金に選定された大学がその後,国際卓越に選定され,実際に支援が開始された場合は,それ以降は本基金の支援を停止させていただくと,ただし既に受けた支援額の返還は求めないことを想定してございます。
 次の丸でございますが,国立大学,国立高専の学部・学科の定員増を行う場合につきましては,先ほど来,御議論がありますように18歳人口の減少等に鑑みまして,別の学部の定員を減らしていただくという抑制的な対応を原則としておりまして,本原則は踏襲するものの,人材育成が喫緊の課題となっていることに鑑みまして一定の猶予期間を設けて,その猶予期間の間に他の学部等の定員を減らしていただくと,こういった特例的な扱いを想定してございます。
 次の三ポツ,交付方法に関する基本事項でございます。支援期間としては最長10年間,想定してございます。支援の1につきましては,検討・準備段階から完成年度まで,施設設備等の初期投資を中心の支援と,定率補助で20億円程度までと,早期実施や総定員の増加を伴わない取組につきましては優遇措置を設けることを想定しているものでございます。
 支援の2につきましては,大学院・学部段階の機能強化を長期的に支援するもので,設備費に加え人件費等の支援を想定しています。定額補助で10億円程度まで,大学院段階の定員増等による体制強化を原則としてございますが,ただし※印にございますように,学部段階の取組を先行させることも可能ということを想定してございます。なお,本指針案につきましては本日御意見を伺うとともに,改めて後日また書面にて御意見を伺うことも想定してございます。
 説明は以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 
【永田分科会長】  ありがとうございます。御質問があれば先に受けたほうがよいのかと思います。この制度,この新しい規則,法律についてもし質問があれば先にお受けします。その上でこの基本的な指針案についての御意見を伺おうと思います。
 髙宮委員,どうぞ。
 
【髙宮委員】  ありがとうございます。指針について具体的な支援案ができたことを,非常にありがたいことだと多くの大学は考えているのではないかと思います。この趣旨につきまして非常に賛同できるものだと思うのですけれども,幾つか質問させていただきたいと思います。
 まず一つは,4ページ1番目の認められる分野というところに関してですが,ポツの最初のところにデジタル・グリーンを中心とした成長分野とあり,2番目のポツが学位分野となってございますけれども,一応確認させていただきますと,これはデジタル・グリーンの条件を満たし,かつ,これらの分野に確実に入っているというアンドでなっている条件という理解でよろしいでしょうか。
 それからもう一つ,デジタルとグリーンという言葉が多用されてございますけれども,これらの定義についてもしも決まったものがどこかで公表されているとしたら,教えていただきたいのと,できればこれらについてもう少し具体的なイメージを提示する必要があるのではないかと思いました。
 例えば,グリーンは脱炭素が例として挙げられておりましたけれども,そのほかにどこまでが入るのか,それとも脱酸素を中心的に考えるということなのか。少し申し込みたい側からは疑問が生じるところかと思いました。これらについて,少し定義の部分とお考えをお聞かせいただきましたら幸い存じます。
 以上2点でございます。
 
【永田分科会長】  ありがとうございます。端的な質問なので,事務局でお答えいただきたいと思います。
 
【塩田専門教育課長】  1ポツのポツの2つは「かつ」といいますか,これであって,かつ,こうだということでございます。デジタル・グリーンの定義というのは,現時点でこれだというお示しできるものがないのですけれども,そこももう少し分かりやすくお示しできるようにしていきたいということと,基本的には意欲ある大学の取組は支援したい思いは持っておりますので,状況に応じて大学におかれては当方,文部科学省に御相談いただければ随時対応できるかなとは思います。現状では,科学技術・イノベーション基本計画等に定められておりますものということ以上に細かい詳細を詰めていない状況でございます。今後また決まりましたら,御説明したいと思います。以上でございます。
 
【永田分科会長】  よろしいでしょうか。
 
【髙宮委員】  あと,永田分科会長,もう1点忘れました。よろしいですか。
 
【永田分科会長】  はい,どうぞ。
 
【髙宮委員】  これも端的な質問でございます。2番目の選定方法について,下になりますけど,支援2に伴う国立大学・高専の学部の定員増について,一定猶予期間のうちに,ほかの学部の縮減を求めるという,これはマストで,必ずこれに申し込んだら,ほかの学部の縮減をいずれしなければいけない条件づけということなのでしょうかという質問でございます。
 以上でございます。ありがとうございます。
 
【永田分科会長】  どうぞ。
 
【塩田専門教育課長】  国立大学の学部の定員増につきましては従来そういう対応をしておりますので,それを踏襲させていただくということで,また一定の猶予期間を受けるということで,その猶予期間の間に学内の御検討を進めていただければというものでございます。
 
【永田分科会長】 関連して同じ部分で,一定の猶予期間内に縮減する,これはいいですが,他の学部等の定員と書いてあるのは,わざわざ他の学部でなければいけないことをスペシファイする理由はあるのでしょうか。要するに,例えば当該分野も10年後には人材がたくさんは要らなくなってきている,あるいは方向が変わる可能性もあるので,大学全体の収容人員を元に戻す考え方でいいのかどうかということです。
 
【塩田専門教育課長】  先生おっしゃるとおりでもあるんですが,私らの思いとしては支援をして膨らませたところ,そのまま単にしぼませる意味では発展がないので,基本的には支援を投入したところ以外の縮減を考えてほしいような思いではあるのですが。
 
【永田分科会長】   だから将来を考えたときに,そんなに残っていいのかという問題が出る可能性があります。
 
【塩田専門教育課長】  確かにおっしゃるとおり。膨らませた……
 
【永田分科会長】 次の薬科や医科がそうです。つくったがもう要らなくなりましたという状況です。ですから,他の学部等の定員をという言い方はとてもマストな感じがするので,大学全体で収容定員を元に戻してくださいのほうが良いのではないかと思います。
 
【塩田専門教育課長】  そうですね。一応,今回の指針では他の学部学科を中心にとなっていますよね。
 
【永田分科会長】  そうなっていますが,ここのレジュメはもうマストみたいに書かれています。
 
【塩田専門教育課長】  そうですね,はい。
 
【永田分科会長】  説明が要るのではないかと思います。
 
【塩田専門教育課長】  すいません,言葉足らずで。一応,私どもの思いとしては,繰り返しでございますけれども,膨らませたところを単に減らすのでは改革が進まないという思いもありますので,基本的には他を中心にやってほしいということですが,先生おっしゃるとおり社会ニーズも変化してまいりますので,そこは一定程度踏まえる必要があるかと思ってございます。
 
【永田分科会長】  髙宮委員,ということだそうです。
 
【髙宮委員】  ありがとうございます。
 
【永田分科会長】 後藤委員,どうぞ。
 
【後藤委員】  ありがとうございます。支援2が高専も対象になっているんですけれども,この高度情報専門人材の定義ですね。例えば情報に関する,情報というところの専門性をかなり深掘りするということであれば,高専単独では15歳から本科5年,専攻科2年ですので,単独養成というのはなかなか年齢的なこととか教育資源の観点から困難かなと考えます。そこで例えば,大学院などとの連続性のようなことを視野に入れて設計することが可能かどうかをお伺いしたいんですが。
 
【永田分科会長】  どうぞ。
 
【塩田専門教育課長】  各大学の御提案の中で,高専との連携を入れていただいて提案していただくのは十分あり得ることかと思います。
 
【永田分科会長】  よろしいでしょうか。
 
【後藤委員】  ありがとうございました。
 
【永田分科会長】  麻生委員,どうぞ。
 
【麻生委員】 今,説明いただきました概要の4ページのところの2の二の選定に関する基本的な事項で,最初に機構は大学(学部・大学院を置くもの)・高専に対して以下の助成を実施と書いてありますが,短期大学は学校教育法上,学部を設けませんし,大学院も置けません。高専は対象になっているんですが,短期大学は除外するような意味でしょうか。また,短期大学は理学工学系の分野は少ないので,その選定方法に関する基本的な事項での必須事項であるのですか。「機構は」という最初の丸は,短期大学は入りませんよね。これは質問でございます。
 
【永田分科会長】  どうぞ,質問です。
 
【塩田専門教育課長】  御指摘ありがとうございます。御指摘のとおり,本基金につきましては短期大学は対象としていないということでございまして,ただ高専につきましては御案内のとおり,一貫して実践的な工学を中心とした教育を行っているということで対象としておるものでございますが,本基金に限って言いましたら短期大学は対象となっていないものでございます。ただ,文部科学省といたしましては短期大学を基金の対象に入れていないから重要でないというつもりは全くなくて,それは改めて別途の支援になろうかとは思います。
 
【麻生委員】  短期大学に対しては別の支援を考えていらっしゃるという御回答でよろしいですか。
 
【塩田専門教育課長】  すいません,それは直接私が,私は基金の担当でございますので申し上げるのもあれですが,それは全体として考えていくべきことかと思っております。
 
【麻生委員】  短期大学も法令上,大学の一部ですけれども。
 
【塩田専門教育課長】  なので,この基金につきましてはここに掲げられているような目的でやっている基金でございますので,全ての学校種を対象にするわけにはなかなかまいりませんので,本基金についてはこういう対象にしているということでございます。
 
【麻生委員】  承知しました。ありがとうございます。
 
【池田高等教育局長】  高等教育長の池田でございます。御質問ありがとうございました。
 今,塩田から答えましたように,今回の基金では短期大学に支援ということは考えておりませんけれども,私学助成の特別補助とSociety5.0に向けたいろいろな取組とか,短大にもきちんと支援は別の形でしていきたいと思っております。
 
【麻生委員】  ありがとうございます。
 
【永田分科会長】  ありがとうございました。次,金子委員どうぞ。
 
【金子委員】   金子でございます。私から基本的な支援案について少し意見といいますか,要望を申し上げたいと思います。
 前回のこの分科会の場で私から,地方の大学や高専がこの基金のスキームを活用できるようにしっかりサポートしてほしい旨を申し上げましたが,今回お示しいただいた案を拝見しますと,指針の素案にも脱炭素化推進の部分に地方自治体の9割云々という記載があったり,また素案で見ても(4)の2つ目の丸のところには地域において云々というような記載があると確認しております。こうしたものは地方を念頭に置いているものと読み取ることができますので,この点は大変感謝申し上げたいと思います。ありがとうございます。
 ただ全体を通しては,地域への配慮という観点ではまだ記述が乏しいかなという印象を持っております。今回のような新しいスキームとなるとどうしても都市部,または一部の大規模の大学の取組が先行することになり,助成の対象も偏ってしまうのではないかという懸念がどうしても払拭できないところであります。地方大学というのは言うまでもなく,まさに知見を有する組織でありまして,高度人材の育成機関だと思っております。そこで,例えばここでいう②の選定に当たっての審査の観点というところに,地方創生や地域に果たす役割といったものを観点に加えるなどして,より地方への教育の機会均等に配慮するような文言を指針に盛り込んでいただけないかと考えておりますので,どうか検討よろしくお願いします。以上です。
 
【永田分科会長】  国会の予算案の中でこの1の部分は述べられているので,そう簡単に変えられないかとは思いますが,配慮の方法があればぜひとも検討はいただきたいと思います。
 曄道委員,どうぞ。
 
【曄道委員】  ありがとうございます。選定方法に関する基本的な事項で,例えば支援の1にある表現の確認ですが,学部再編という言葉と,それから転換の支援ということで,恐らく新設でどんどん定員が膨らんでいくことをイメージしていないメッセージになっているんだと思うんですが,これは少子化の中で先ほどの議論の中でも妥当かとは思うんですが,例えば学部再編等といったところで,文科で整理をしていただいた連携の学位プログラムであるとか,それからメジャー・マイナーであるとか,そういった大学の中での組織の工夫で実現できるこういった対応について少し表現が抽象的で,どういうものが応募できるのかが見にくいかなと思うんですが,いつ頃により具体化されて提示がされることになるでしょうか。以上です。
 
【塩田専門教育課長】  段階といたしましては,まずは文部科学大臣でこの基本的な指針を策定し,その後で内容を機構でさらに詳細になる実施方針というのを定めまして,さらには公募要領を定めていく段階になりますので,その段階ごとに詳しくなっていくことにはなります。
 
【曄道委員】  先ほど申し上げた,定員が増えていかないようにといったことが強く意識されているところは間違いではないですか。
 
【塩田専門教育課長】  そこはこの概要の3ポツの支援1の定率補助,20億円程度まで(総定員の増加を伴わない取組を優遇)と書かせていただいておりますが,総定員の増加を伴わない取組を一定の率ですとか上限とかいったことを優遇することを考えておりますが,伴う取組を全く支援しないわけではないということでございます。
 
【曄道委員】  そうしましたら1点御考慮いただきたいのは,総定員の増加を伴わない意味では,ここにはそういう記述はないですがスクラップ・アンド・ビルドのような考え方をしなさいということだと思うんですけれども,そのスクラップとビルドというのがまるっきり同時に起こるのはほぼ考えにくいこと,教員の人事異動というのは基本的に難しいので,その点についてもしっかり制度設計をしていただければなと思いました。よろしくお願いいたします。
 
【塩田専門教育課長】  承知いたしました。
 
【永田分科会長】  ありがとうございます。松下委員,どうぞ。
 
【松下委員】  ありがとうございます。2点あります。
 1点目は,女性入学者に占める理工系分野の入学者の割合が低いことが,問題は指摘されているんですけども,その後にそれの原因とか,あるいはその対策とかいったことについてほぼ全く触れられていない。その後,デジタルとグリーンの成長分野の定員を増やしていくことしか書かれていないように思いますので,その点をどう考えておられるのかということも,ぜひ含めていただきたいなと思います。
 もう1点は今,曄道委員がおっしゃったこととも関わってくるんですが,ここには明確には書かれていないですけれど,デジタル及びグリーンを中心とした成長分野として,ここは書かれているんですが,6ページのところで,理学,工学及び農学を中心と分野が書かれています。そうすると,先ほどの御質問にもあったように,ほかの分野から定員を持ってくる形になるのではないかなと。そうすると大体,人文社会科学系というのが削られていくのではないかというのが,明確には書かれていないですけれど背後から読み取れる,行間から読み取れることではあるわけですね。
 先ほどの資料1のところで,文理横断,融合のところで歴史的視点とか規範的判断力といったことも書かれていたんですが,ここにもその際ということでただし書き的に書かれているんですが,カーボンニュートラルとかいったところではほかの国々との交渉とかいったところで法律とか,それこそ倫理とか,いろいろな人文社会科学の専門家の知というのも,まさに総合知として必要となっているところでもあります。そういったところの専門知というのも,ぜひ大学というところから失われないような,そういう配慮もお願いしたいと思います。以上2点です。
 
【永田分科会長】  審査の観点の中で女子学生の確保等ということになっています。これは各大学の案でありまして,いかようにお考えになって,いかような対策をされるかは全く自由だと思うのですが,きちんとそのような対策を取られていると有利だと書いてあります。ですから先ほどのデジタル・グリーンもありますが,これも自由にお考えいただければいいので,広く自分たちの大学にとって一番都合のいいデジタル・グリーンをお考えになれば,いいのではないかと思っています。学位分野を含む融合分野も可となっているので,そこは提案の仕方だと思いますがいかがでしょうかと思っております。
 
【塩田専門教育課長】  ありがとうございます。おっしゃるとおりで,融合分野も可としている。例えばこの文理融合の分野という形も可能としておりますので,そこは大学の御判断でやっていただければと思います。ありがとうございます。
 
【永田分科会長】  大森委員,どうぞ。
 
【大森委員】  ありがとうございます。幾つか御質問です。
 まず一つは質問というか,どうしてもこれは審査をしなければいけなくて,ほぼ設置審を通していくことになると思うんですね。なので学部・学科という単位を非常に重視されているのは分かるんですけど,軒並みハードルが高くなるのは前も申し上げたとおりで,こういう人材が欲しいのが目的なときに,何か先ほど曄道委員もおっしゃったような,メジャー・マイナー的な学部学科の中身の再編等がという可能性がまだ模索できないかどうかというのを,難しいのを承知で意見として申し上げます。それが1点。
 次に,先ほど短大のお話がありました。それはよく理解したんですけど,しばらく前でいうと短期大学の募集を停止して四年制大学に,実際は別学校をつくる形になりますけど移行していくケースが幾つもあったと思うんですが,そういう場合にはこれは対応,適用されますよねということが2点目。
 3点目ですけれども,支援1のところはなぜか人件費等というのが抜けているんですけれども,これは抜けているだけですよねというところが3点目。
 そして4点目ですけど,先ほどの,これも曄道委員がおっしゃったことに関連するんですけど,既存学部を縮減しながら新しい学部をつくるって言ったときに,既存学部の定員を減らしても,そこのリソースは一定程度の期間,維持をしていかないといけない状況があると思います。縮減にもこの予算を使っていいような可能性というのがあるといいのかなと,つまり縮減したけども先生の数はそう簡単に減らすこともできないし,施設をそうそう簡単に減らすことができないといったときに,そちらにもこの総額で支援をいただいた額の中でどう使っていくかという対象の中で,新しいものだけじゃなくてという可能性もあったら,より使いやすい,いけるんじゃないかなと感じたところです。4点,以上です。
 
【永田分科会長】  事務局,答えられるところからどうぞお答えください。
 
【塩田専門教育課長】  まず支援1と支援2で人件費を書き分けているのは,実は書き分けておりまして,支援1は主に設備整備費等の初期投資を中心に考えていて,基本的には教員人件費というのは設定しておりません。検討準備段階に必要な,検討準備に関わるような職員の人件費というのは想定しておるのですが,教員人件費は支援1では想定しておらず,支援2では想定しているものでございます。
 それと,最初にあった学内の組織の工夫というのは,すいません,そこはまた検討させていただければと思います。あと,あれですかね,新しく短大から四大に変わった場合に支援対象になるかという御指摘ですよね。すいません,そこも恐らく支援1だと。
 
【大森委員】  大学の新設という単純な話ではありますけれどもね。
 
【大江基金PTサブリーダー】  基金PTの大江と申します。補足させていただきたいと思います。短大からの大学に転換した場合でございますが,今回,転換等の支援ということになってございますけれども,転換について優遇ということを考えておるけれども,純増とか新設も対象と全くならないわけではないと考えてございまして,短大が大学に転換する場合もこのデジタル・グリーンと理工系,農系も対象となる分野であれば支援の対象となり得るものということで,検討をしているところでございます。
 
【永田分科会長】  ありがとうございます,よろしいでしょうか。相原委員,どうぞ。
 
【相原委員】  私は,このスライドの三の交付方法に関する基本的な事項の支援2についての質問です。今まで定員のお話は学部のお話が中心だったと思うんですけど,大学院段階の定員増についてと書いてあるんですが,学部はほかの学部を減らして注力するところに移すとして,大学院の場合には純増して構わないと理解してよろしいでしょうか。といいますのは,公立大学も研究力強化を求められているところですので,大学院の定員数を増やしていかないことには研究力は強化されませんので,そこの確認をさせていただきたいと思います。
 
【塩田専門教育課長】  大学院段階は特にそういった取り決めをしてございませんので,純増の取組も申請可能でございます。
【永田分科会長】  制限上,今のお答えどおりだと思うので頑張りましょう。
 
【相原委員】  ありがとうございます。
 
【永田分科会長】  小林委員,どうぞ。
 
【小林(弘)委員】  手短に。支援2に主に関係しているところですけれども,実はこの情報関係のデジタルサイエンスを2023年,今年の4月に開設するのはもう18校もあるのですね。今年,物すごい数の学校がデジタルサイエンスを開校しようという機運になっていて,一方、今年開設の学校に対する支援がないのにもかかわらず,新しい大学とか新しい取組に対して支援するのが若干腑に落ちないところがあります。
 もう一つは,今後その新しい取組をする大学は本当に教員と学生を確保できるのかというのが気になるところなのですね。もうかなりの数の学校ができましたので。この3ページ目の実施スキームのところですけど,この中に欠けているのは,設置審の審査を経て学生確保の見通しも踏まえた上で認可されるわけなので,これがここに書かれてないのは気になりました。以上です。
 
【永田分科会長】  ありがとうございます。設置審を経るのが書かれていないということです。
 
【塩田専門教育課長】  設置認可って丸8が。
 
【永田分科会長】  この1枚ものの中にないので気になるということだと思います。
 
【塩田専門教育課長】  そういうことですか。そうしましたら,3ページ目には書かせていただいていたんですけど,1枚目には特に書いていなかった。すいません。
 
【永田分科会長】 それから教員が確保できるかという問題は,まさにその設置認可のときに一番問題になるので相当苦労されるであろうとは思います。現状でも厳しいのではないかと思います。 
 
【小林(弘)委員】  あと,先ほど述べましたが、学部・学科がすでに18個もできてしまうと,学生確保がなかなか難しいのじゃないかとは危惧します。
 
【永田分科会長】 その辺は各大学の個性で勝負するしかないので,我々が用意するものでもありません。確かにそのとおりで,第1番目の部分は文科省は答えにくいと思います。新設でどんどん出てくるが,そこには支援がなくて,この改組再編には支援するというのはどうかということです。
 
【塩田専門教育課長】  そうですね。実はこれまでも既にやったところに支援がないのは不公平ではないかという声はいただいてはいるんですけれども,補助金の性格上,既にやったところに遡って支給というわけにはいかないので,既にやったところにつきましても10年間の公募を予定しておりますので,さらにそれを10年間の間に強化するとか拡充すると,そういった取組を検討していただければ支援対象になりますので,ぜひ積極的に次のステップを御検討いただければありがたいかなと考えてございます。
 
【永田分科会長】 新設は18ですが,既存はその何倍もの数の学部学科,専攻があります。そこにも当然支援はいきません。そのほか,よろしいでしょうか。大森委員,どうぞ。
 
【大森委員】  申し訳ないです。支援1が人件費がってさらっとおっしゃったんですけど,人件費が出ないのはどういう意図でしょう。これ結構,設置のときの一番大きなポイントだという気がするんですが。
 
【塩田専門教育課長】  人件費は基本的に私学助成の基盤的経費の支援対象になってきますので,そちらでの支援という形になるかと思います。今回は従来の私学助成の対象となっていないような初期投資の部分について,この基金によって支援する形です。
 
【永田分科会長】  小林委員,どうぞ。
 
【小林(弘)委員】  支援2ですけど,これは集中的に受け付け,だけれども令和7年度までになっているので,今年開設した学校がさらに拡充しようと思っても申請できない可能性があるのじゃないかというのは危惧しますけれども。
 
【永田分科会長】  危惧でしょうが,この国家予算をどう使うかです。これ自体の目的が理工系転換というのがあるのでなかなか難しいと思います。文部科学省で何なり道があれば検討いただければと思います。
 
【塩田専門教育課長】  一応基本で絶対ここまでというわけではないので,状況を踏まえながらということにはなるかと思います。
 
【永田分科会長】  そのほか,いかがでしょうか。基本的指針なので,まだ本文に落ちているわけではありません。それから公募要領ができているわけではありません。続けてまた御報告があると思いますので,そのときを待ったほうがいいと思います。
 以上で,この項目を終わりにさせていただきます。ありがとうございます。
 3つ目です。大学,短期大学及び高等専門学校の設置等に係る認可の基準の一部を改正する告示案等についてということです。
 どうぞ御説明をお願いいたします。
 
【相原医学教育課課長補佐】  医学教育課でございます。資料3-2から3-2,3-3とございますけれども,資料3-1に基づきまして御説明させていただきます。
 本件,6年制課程の薬学部薬学科の定員抑制の制度化を図る告示案でございます。まず趣旨のところにございますように,令和3年6月に厚生労働省の会議におきまして,将来的に薬剤師が供給過剰になる見通しが初めて示されたところでございます。その中におきまして,大学における入学定員の在り方等も含め,文部科学省に検討の要請があり,また薬剤師については地域的な偏在の課題が指摘されたところでございます。
 これを踏まえまして,令和3年10月から文部科学省におきまして検討会議を設置しまして,薬学部教育の質の在り方,質の保証も含めて検討を行ってまいりまして,昨年8月に報告書が取りまとめられました。その中におきまして,薬学部に関する学科のうち臨床に係る実践的な能力を培うことを主たる目的とするもの,臨床薬学に関する学科,6年制の課程でございますけれども,その学科の設置及び既存の大学の収容定員の増加を抑制すること,加えて,地域の需要に対応して地域偏在を解消するための人材養成を行う場合はその例外とすることの内容がまとめられたところでございます。なお,薬学部には医薬品開発や研究者養成を行う4年制の課程もございますけれども,そちらは抑制の対象とはしてございません。
 この内容につきまして概要のところ,白丸大きく3点ございます。大学,短大,高等専門学校の設置等に係る認可の基準をまず改正いたします。この認可の基準において,今,他の抑制分野として医師,歯科医師,獣医師等の分野が定められておりますけれども,こちらに薬剤師の養成に係る大学の設置及び収容定員の増加でないことを新たに追加するものです。加えてその下,3行ございますが例外措置として,地域における薬剤師の数その他の事情を勘案して,薬剤師の確保を特に図るべき区域として文部科学大臣が別に定める基準に該当する区域において,都道府県が定める計画に基づき行おうとするものはその例外とするものでございます。
 2つ目,白丸を御覧いただければと思います。その例外の場合における審査における留意点を2点挙げてございます。1点目が,地域における薬剤師確保のための教育内容が含まれているかどうか。これは、当該地域の医療事情等を踏まえ,薬剤師の偏在問題等を教育の中でもしっかりと教えていることを見るものです。2点目が,学生が将来,薬剤師の不足する地域の医療機関等に勤務することを要件として,そのような奨学金の貸与などの支援があるかどうか。この2点に照らして審査を行うことによって,薬剤師の不足する地域の人材の確保を図ろうとするものでございます。
 3点目の白丸ですけれども,大学の学部の収容定員の増加に係る学則変更のうち,大学の全体の総数の増加を伴わないものとして、他の学部の定員を減らし,例えば薬学部の定員を増やす場合には従来,届出とされてきておりますけれども,これも他の抑制分野と同様に当該事項を認可事項とすることで定員の増加を抑制するものでございます。
 以上の内容につきまして,施行期日等でございます。令和7年4月1日開設分の学部学科の新設,収容定員の増加等から適用することといたしまして,当該申請が行われる令和5年10月1日以降から施行するものとしてございます。一方で令和5年10月1日までにおいて大学として申請を行うことについての意思決定等が行われているものについては,適用除外とする経過措置を置いてございます。
 なお,以上の内容につきまして,告示の施行後5年を目途として,収容定員の状況を勘案して必要があると認める場合には検討を加え,必要な措置を講ずる検討条項を置いてございます。説明は以上でございます。
 
【永田分科会長】  ありがとうございます。それでは御意見をお伺いいたします。いかがでしょうか。越智委員,どうぞ。
 
【越智委員】  ありがとうございます。このことに関しては遅きに失した感もありますが,その方向が正しいと思っております。というのも広島県には私立の薬学部を持つ大学が3つありますが,そのうちの2つは定員充足率が70%以下であります。そういうことからも必要ではないかと思います。
 ただ一つ問題は,臨床医学で,地域の需要に応じて薬剤師の地域偏在を解消するための人材養成を行う場合は,その例外とするようなことがありました。確かにそれはそうだろうと思いますが,これまでも地域枠というのをどの程度の数値にするのかということで,薬学部を増やしてきた経緯があるのではないかと思います。今後きっちりやっていく場合には,地域枠の定員の数値というところまで踏み込まないと,そう簡単に減らないかなと危惧いたします。以上です。
 
【永田分科会長】  ありがとうございます。何か具体的な策をお考えだと思いますが,いかがでしょうか。
 
【相原医学教育課課長補佐】  先生,ありがとうございます。御指摘の例外地域における例外をどこまで認めるのかという点でありますけれども,概要の白丸で書きました文部科学大臣の別に定める基準,まさにこれを薬剤師の偏在指標を踏まえて策定していくわけですが,これは今,厚生労働省で検討しておられますけれども,その内容を踏まえて区域の基準を定めてまいりたいと思っております。とともに,既存の大学において学則変更で収容定員を増やす場合には,この2つ目の白丸の括弧書きに書いておりますけれども,増加させる人数分,増加する人数が必要な薬剤師数であることについて、需給推計に基づく根拠をお示しいただくと同時に,増加する人数に関しては当該地域に就職するために必要な奨学金等の支援を必ずひもづけていただくことをもって,地域に残る人材を確保していきたいと考えてございます。
 
【永田分科会長】  ありがとうございます。医学の場合とほとんど似た方策です。ほか,よろしいでしょうか。越智委員が最初におっしゃったように,遅きに失した感も若干あるのですが,きちんとこのような施策を携えるほうがいいとは思います。ありがとうございます。それでは,この部分についてはお認めいただいたことにさせていただきます。
 それでは最後の議題,「教学マネジメント指針」の追補の作成です。実は委員の皆さん,ほとんど御存じのことをまとめているということです。
 それでは,御説明お願いいたします。
 
【平野大学入試室長】 大学教育・入試課大学入試室長の平野でございます。
 「教学マネジメント指針」の追補を教育未来創造会議、大学振興部会の提言に従って新たに作成するものでございます。資料の4-1が概要でございます。概要の3,4,5枚目のあたりには,これまでの「教学マネジメント指針」を受けた大学の取組に関するデータを載せております。御参照いただければと思います。
 資料4-2が本体でございます。先ほど分科会長からお話がありましたように,「教学マネジメント指針」については,これまでの中央教育審議会等の答申等において指摘がされてまいりました内容を,教学マネジメントという観点から一元的にまとめ直したものございます。ですので,これまでの方針に多くのソースが依っているということで御理解いただければと思います。
 内容について御説明をさせていただきます。1ページ目でございます。今後執筆予定としておりますけれども,総論について執筆をする予定でございます。例えば学修者本位ということが重要である点,義務ではなく各大学が自主的に取り組むことが重要であるという「教学マネジメント指針」に共通する考え方について記載するとともに,各大学の説明責任,情報公表の充実,このようなことについても触れたいと思っております。また多様な学生を求めることが非常に重要になってきている状況でございます。国内のみならず,海外に目を向けてというところもあるかと思いますけれども,そのような内容について、また、本日前半の議論でもございましたけれども,大学入試を取り巻く状況は非常に大きく変わってきていると,このようなことを受けた変革が必要であるということの中で,各大学においてもそれに対応していくことが重要であるという,このようなメッセージを盛り込みたいと思っております。
 続きまして,本体の内容でございます。簡単にご説明をさせていただきます。2ページに書かれておりますように,各大学がしっかりと各大学において学び,卒業するために必要な資質・能力を備えた人材を見出すことが必要である。そのために3ページの上でございますけれども,はじめに「入学者受入れの方針」を作成する必要がある。この方針については,ディプロマ・ポリシーに定められた学修目標を達成するために一定の能力を備えていなければならないことを踏まえて,アドミッション・ポリシーに定める資質能力等は,「卒業認定・学位授与の方針」に定められた学修目標の幅広さと水準を十分踏まえて設定される必要があること,また在学中の教育課程,特に初年次に開設された授業科目を履修するために必要な資質・能力を備えているかということ,このようなことに留意をするということを記載しているところでございます。
 4ページでございます。4ページの下,(大学入学者選抜における方法の多様化,評価尺度の多元化等)が記載されてございます。現行の選抜方法・選抜区分の在り方が必要以上に複雑化,細分化している場合には簡素化・合理化を検討すること,一方で多様化が不十分な場合には改善を図ること,このようなメッセージを出しつつ,5ページでございますけれども,多面的・総合的評価を行うに当たっては単に活動に取り組んだ事実を評価するのではなく,その経験を通じて獲得した資質・能力を評価することが必要であること,また上から3つ目の丸でございますけれども,入学者の多様性を確保する観点から必要となると考えられるもの,例えば理工系分野における女子,このようなものを対象とした評価・判定を進めることが期待される。ただし,この場合には合理的な説明や能力の適切な評価が必要であること,このようなことに触れております。
 6ページでございます。学力検査で課す教科・科目の扱いでございます。1個目の丸でございますけれども,「各大学が,学力検査で課す教科・科目については,自らの大学の「卒業認定・学位授与の方針」に定められた学修目標の幅広さ・水準や,「教育課程編成・実施の方針」に定められた教育課程の内容・方法に応じて,各大学の教育(特に初年次に開設される授業科目の履修)に必要なものを課しておくことが第一に考えられる選択肢」ということを掲げてございます。
 3つ目の丸でございます。「ただし」ということで,各大学の理念に基づき門戸を広げて受入れを図るような学位プログラムについては,あえて課さないこともあり得るのだけれども,この場合にはあらかじめ履修すべき科目を指定するであるとか,リメディアル教育の充実に取り組むこと,このような適切な措置を講じることが伴ってくることを触れております。
 注釈ですが,先ほど前半の議論でもありましたけれども,高等学校以下のリメディアル教育の場合には教育課程外の活動として位置づけることについても注意喚起を行っております。
 7ページでございます。上から2つ目の丸でございます。大学入学者選抜の実施の合理化という観点から,良質な問題を出題することは原則ではあるわけですが,3つ目の丸,各大学のポリシーに合致する限りにおいて過去問を利用することを検討することも考えられること,また,これは相互に利用することも考えられることと,すなわち各大学連携でということでございます。また,外部の専門家の協力を中立性,公正性,公平性の観点から問題がない範囲で行っていくと,このようなことも触れて合理化の側面についても検討を促す内容としてございます。
 8ページでございます。8ページは高等学校との関係ということで,日常的な意見交換の機会を設けていただくことであるとか,また総合型,学校推薦型で合格が早期に決定するケースという場合にも丁寧なケアを入学前に行うこと,このようなことについて触れております。
 8ページから9ページにかけて記載されているものが点検・評価でございます。各大学が適切なタイミングで異なる選抜区分で入学した学生間の比較という観点も含めて,「入学者受入れの方針」やそれに基づく大学入学者選抜が求める学生を見いだすものと,そして適切であったかどうかと,このようなことについて評価を行い,その結果を踏まえて見直しを図っていくことが必要になること,また教学IRの一環として追跡捜査を行っていくことが望ましい点に触れてございます。
 8ページの一番下でございますけれども,先ほど説明した入学者の多様性を確保する観点から対象となると考えられる者,理工系女子等について,区分を設けた場合には外部に対する説明責任を果たしていく上でもこのような者に着目した調査・分析を行うことも重要であることを触れてございます。
 9ページの真ん中あたりに情報公表の重要性について触れております。体制についてでございます。学長のリーダーシップの下,副学長等が業務全体を統括してガバナンス体制を構築すること,全体プロセスを把握した上でマニュアルの作成等を進めていくこと,このようなことの重要性に触れてございます。
 最後,10ページでございます。ここも合理化に関係するところでございます。1番上の丸でございます。ここについては,「入学者受入れの方針」の策定や最終的な合格の判定といった部分については教員が中心的に関わっていただくことが重要であるわけでありますが,その他の部分については、教員が全てやっていくということではなくて,事務職員や大学院生等の積極的な活用を図るということもあり得ることを触れてございます。
 また,次の丸でございます。「入学者受入れの方針」については,その他2つの方針と一体的に策定されることが必要であります。その他2つの方針に関係する組織と十分連携を図った上で検討することが必要である。アドミッション・ポリシーは入試委員会,その他2つの方針は教学マネジメント委員会,歴史的なスタートラインが違ったものですから,そのような状況がある大学もあるということをたまにお伺いすることはありますけれども,ここは一体的に考えることが必要であるということでございます。また,専門人材の育成等にしっかりと意を用いていただきたい,このような内容について触れております。
 最後の英語力の部分については,あり方検討会議でアドミッション・ポリシーと英語力の関係について触れることが求められていたところでございますので,その内容について触れております。
 説明は以上でございます。
 
【永田分科会長】 ありがとうございます。思い出しながらいろいろとお聞きになっていたのではないかと思いますが,あえて御質問あるいは御意見があればお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。
 大森委員,どうぞ。
 
【大森委員】  すいません,お時間ないところで1点だけ。6ページのところで,大学の実情によってと書いていただいて,これは現場としてはすごく納得感のあることを書いていただいていると思っています。つまり,APのものを全てフルで全部というのは難しいケースもあるけれども,なるべくねっていう書きっぷりだと思うんですが,一方で同時に3ページのところで,APと学力の3要素,これを関連づけて整理しましょうと。そこに関連していくと今度,入試要項でいくと学力の3要素を全ての入試で見ましょうねという,比重付けをしながらもと,そこが入試要項も変わっていくという,ある種,期待ですけれども,今だと3要素全ての入試でどう見ていくかを示さなきゃいけないことになっていますが,そういう理解でよろしいでしょうか。
 
【平野大学入試室長】  ありがとうございます。その点については,学力の3要素を確認していくことが重要であることについては変わりはない。ただ,それをどの程度の度合いで問うていくのかについては,6ページの4つ目の丸で触れているところでございます。いろいろな作問の方法とか,こういったところを通じて知識技能以外のものを問うことが可能な側面もありますし,また調査書もございます。このようなものを使って,最低限中核的な部分については確認を引き続きしていただきたいと思います。
 ただ,それを超えて非常に図抜けた部分というのを求めていく部分については,区分ごとに個性があっても良いのではないかと,このような考え方でございます。
 
【大森委員】  ありがとうございます。
 
【永田分科会長】  ありがとうございます。ほかにもうお手が挙がっていないのでここまでとさせていただきたいと思います。御協力ありがとうございます。ほぼ時間内に収まりました。
 それでは,今後の日程などについて事務局からお知らせをいただきます。
 
【髙橋高等教育企画課課長補佐】  本日も大変活発な御議論をいただきまして,誠にありがとうございました。次回の大学分科会については第11期の最後となりますが,令和5年2月24日金曜日の10時から12時での開催を予定しております。実施方法等については,また改めてお知らせいたします。よろしくお願いいたします。
 また本日,時間が足りなかったかと思いますので,御発言できなかった内容などございましたら事務局までお知らせください。以上でございます。
 
【永田分科会長】  とりわけて議題1のところで御意見があれば,積極的にお寄せいただければと思います。
 それでは,これでお開きにさせていただきます。どうもありがとうございました。
 
―― 了 ――
 

 

 

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