大学分科会(第164回) 議事録

1.日時

令和3年12月15日(火曜日)10時~12時

2.場所

WEB会議

3.議題

  1. 大学院設置基準等の一部改正について
  2. 令和3年度文部科学省補正予算(案)について
  3. 魅力ある地方大学の在り方について
  4. その他

4.出席者

委員

(分科会長)永田恭介分科会長
(副分科会長)村田治,渡邉光一郎の各副分科会長
(委員)越智光夫,熊平美香,後藤景子,日比谷潤子,湊長博,村岡嗣政,吉岡知哉の各委員
(臨時委員)麻生隆史,安部恵美子,大野英男,大森昭生,川嶋太津夫,小林弘祐,小林雅之,清水一彦,須賀晃一,清家篤,髙宮いづみ,千葉茂,曄道佳明,長谷川眞理子,益戸正樹,松下佳代,吉見俊哉の各委員

文部科学省

(事務局)増子高等教育局長,森田大臣官房審議官(高等教育局及び科学技術政策連携担当),里見大臣官房審議官(高等教育局担当),笠原大臣官房文教施設企画・防災部技術参事官,西田高等教育企画課長,柿澤高等教育政策室長,草野大学設置室長,西大学改革推進室長,髙橋高等教育企画課課長補佐,堀家高等教育政策室室長補佐ほか

5.議事録

【永田分科会長】  第164回の大学分科会を始めます。
 新型コロナウイルス感染症の拡大が収まってきていますが,オミクロン等もあって,今回も残念ながらオンラインでの会議となりました。リモートですが,自由に御発言できる環境にいらっしゃるという前提で,会議は進めさせていただきます。また,この会議の様子はYouTubeで配信をしておりまして,報道関係者などが聴取しているという状況になります。
 議題に入る前に,委員の交代についてお知らせをいたします。髙倉明委員が辞職をされまして,新たに金子晃浩委員が御就任になるということです。本日は,残念ながら,金子委員におかれましては御欠席と伺っております。
 それでは,事務局から最初に連絡事項をお願いいたします。

【髙橋高等教育企画課課長補佐】  事務局でございます。本日はウェブ会議及びライブ配信を円滑に行う観点から,御発言の際には挙手のマークのボタンを押していただき,分科会長から指名されましたら,お名前をおっしゃってから御発言いただきたいと思います。また,御発言後は再度,挙手のマークのボタンを押して,表示を消していただきますようお願いいたします。また,発言時以外はマイクをミュートにしていただくなどの御配慮をお願いいたします。
 本日の会議資料は,既にお配りしております議事次第のとおりです。事前にメール等で委員の皆様にはお送りさせていただいておりますので,御確認ください。
 以上でございます。

【永田分科会長】  よろしくお願いいたします。
 本日の審議事項です。最初は大学院の設置基準に関するもので,前々回,7月21日に既に説明されていますが,履修プログラムに関する諮問がありましたので,それの議論をさせていただきます。
 2点目は議論ではなくて,情報共有です。令和3年度文部科学省補正予算の案について御説明をいただきます。
 3点目は,本分科会のメインテーマ,魅力ある地方大学の在り方についてということです。前回の議論を経て,審議の取りまとめという段階になったので,最終的なまとめをお示ししたいと思います。もちろん,御意見をいただき,改変は考えております。
 最初の議題に早速入らせていただきます。大学院設置基準の一部改正についてということで,事務局から御説明をお願いいたします。

【西大学改革推進室長】  失礼いたします。大学改革推進室長の西と申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
 会長から御説明いただきましたとおり,7月21日に一度,概略を御説明申し上げておりますけれども,5か月たちまして,多分お忘れになっていると思いますので,制度が複雑でございますので,少し概略を最初から,また改めて御説明申し上げたいと思います。お手元の資料1-1を御用意ください。大学院設置基準等の一部を改正する省令について(案)ということで御提示しております。
 少しテキストが多くございますけれども,背景の欄ですが,平成30年のグランドデザイン答申におきましては,学部段階等については,学位の取得に向けて各大学での単位の積み上げのために履修証明プログラムを活用できるように,履修証明プログラム全体に対して単位を与えるということを可能にしようというのが,一昨年の8月に制度改正されております。
 他方,大学院については,学部段階のように幅広い単位認定を行うことについては,固有の観点で別途,議論が必要ということでございまして,中教審の大学分科会大学院部会において個別に議論をして,進めていたところでございます。

 今回の改正概要というところで真ん中にくくってございますけれども,例えば大学院が実施する履修証明プログラムについて,当該大学院が大学院教育に相当する水準を有すると認める場合には,当該履修証明プログラム全体に対する単位授与を可能とするということを書いてございますが,少しこれだと意味が分かりづらいと思いますので,2枚おめくりいただきまして,そもそも参考として書いてございます「履修証明プログラムとは」という資料をつけてございます。資料1-1の3ページ目でございます。
 左下の緑色のところでありますけれども,学位プログラム,これは普通の学位を取るためのプログラムですけれども,学部であると4年間で124単位,授業を積み上げていって,単位を積み上げていって学位を取るということになってございますが,履修証明プログラムというのは,学位プログラムとはまた別のものとして用意をしておりまして,主に社会人向けの学び直しができやすいように用意をしようということで,制度化しているものでございます。
 これは必ずしも授業だけで構成するものではなくて,講習でありますとか,一般向けにかみ砕いたようなものを,一定程度の学位といいますか,学習のまとまりとして体系的にできるようにということで,60時間以上のまとまりを持って一つのプログラムをつくってくださいというのが履修証明プログラムでございます。
 なので,従前,授業の単位として認められるものは当然入っていますけれども,そうじゃないものも入っているということになります。ただ,それを60時間以上のパッケージにすることで,一定程度,社会人向けのまとまりのある学習を大学が提供できるようになるということでございます。
 こちらにつきましては,履修証明プログラムを60時間以上,せっかく学んだんですから,これに対して何単位を設定するかというのは各大学の御判断になりますけれども,履修証明書を発行するとともに,履修証明プログラムを受講したということをもって,何単位相当であるというふうに大学が認めることができますよというのが,学部段階で既に認められておりました。これで例えば4単位とか,もしお持ちであれば,学部に入ったときに,124単位の残り120単位を取ればいいという形になりますので,少し学位プログラムとの接続が容易になってくるということでございます。
 ただ,今申し上げましたとおり,本来,大学の授業以外の講習みたいなものも含んでいますよねということで,それが果たして大学院にストレートに適用して,大学院レベルのものとなるかどうかというところについては,別途議論が必要だよねということで,大学院部会で御議論いただいていたというところでございます。

 1枚お戻りいただきまして,2ページ目でございます。今回の改正の概要について図示しているものであります。左側の学習者の人の図がありますけれども,この人がA大学院というところで,授業・授業・各種講習・公開講座みたいなものをまとめた履修証明プログラムを修了したということに対して,その右側,真ん中あたりに行って,その人には履修証明書というのが出るとともに,A大学院が認める何単位相当分ですよねという単位が,今回の改正によって与えられることになります。この単位を持って,次にこの人がB大学院に入ったというときに,この単位を持ち運びができるようにするということでございます。
 ただし,持ち運びをするときには,A大学院が例えば4単位認めたからといって,ストレートでB大学院が4単位を認めなければいけないということでは当然ありませんので,それがA大学院で4単位認められた場合に,B大学院は改めて,その履修証明書の中身を確認していただいて,例えば,「じゃ,4単位認めよう」ということもあるでしょうし,「これは2単位相当だよね」とか,「そもそもこれは単位として,うちは認められない」ということも,B大学院の判断で可能とする制度改正を考えております。
 また,この学習者がB大学院の中で在学中に,改めて別のところも必要だなということで,C大学院の履修証明プログラムをダブルスクールのような形で取りに行ったということで,ここで在学中に取った履修証明書及び単位についても,B大学院に対して,「私はC大学院でこういう履修証明プログラムを取って,C大学院からはこれだけの単位をもらってきたんですけど」ということを言って,またB大学院でそれを認めることもできるという形に改正を考えてございます。
 幾つか持ってきていただいても当然構いませんので,ただ,B大学院として認められる上限につきましては,1つの大学院に関しては上限15単位。卒業単位以上のものをよその大学院で取ってくるというのは,そもそも当該大学院としての学位プログラムというものもありますので,半分までにしようということでございます。例えばA大学院とC大学院で持ち寄って,合わせた場合であっても,最大20単位までということを制度の改正の概要と考えてございます。
 ということを7月21日のときに一度御説明申し上げて,その後,パブリックコメントにかけてございました。パブリックコメントも幾つか御意見いただきまして,多かった御意見としては,B大学院がちゃんと責任を果たしたことになるのか不安であると。大学院の学位プログラムとしての質が落ちるのではないかという御懸念の声がございました。そこにつきましては,先ほど申し上げましたとおり,B大学院で単位として相当であるかどうかということを,また別途,B大学院が主体的に判断するという仕組みにしてございますので,そこについては別途,質の担保というのはB大学院が御判断いただけるということで,問題なかろうと考えてございます。

 また他方,もう一つパブコメであった御意見としては,例えば教職大学院とか,ある程度大学院の中で学ぶべきことが決まっているところに対しては,なかなか持込み編入というのは難しいのではないか。ただ,そういった専門職を育成するようなプログラムであっても,外部の多様な学びをどんどん広げていくということは有意義であることから,そこの接続をうまく今後図っていただきたいという御意見もいただきました。これにつきましては,文部科学省の関係部署と併せて情報共有をいたしまして,引き続き念頭に置いて考えていきたいと考えてございます。
 また,大学院部会の中におきましては,議論の中で,制度改正自体には異論がないということでございましたが,実際,60時間以上も社会人が働きながら勉強できるのかといったこと,あるいは,1つの単位を取るのに15時間の講義を受けて,予習・復習全部トータルで45時間勉強しなさいというのが,例えば動画であれば1.5倍速で見ることもできる時代に,果たして本当にこれが妥当なのかというそもそも論について,御意見もいただいております。
 この辺につきましては,いわゆるマイクロクレデンシャルとか,様々な議論がございますので,大学の学習をどう評価するかという,かなり大きな議論の中で検討すべきことと認識はしておりますけれども,そういったことも踏まえて,より社会人の方々とか,もちろん大学生もそうですけれども,柔軟な学び方ができるような方向について,少し大きな視点で考えていきたいと考えてございます。
 今回の改正概要につきましては以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【永田分科会長】  ありがとうございます。ただいまの御説明どおりです。御意見とか御質問をお受けしたいと思いますが,いかがでしょうか。
 大野委員,どうぞ。

【大野委員】  東北大学の大野です。今回の改正は大変適切だと思います。柔軟な学び方が,これでより推進され,また履修証明プログラムに参加した後に正規の大学院生として入学し,学位を取得するなどの道が開かれて,とても結構だと思います。
 2点,確認させてください。1つは,履修証明においてオンライン授業は可能になり,それについても単位認定の対象となり得るという理解でよろしいかどうか。2点目は,例えば15単位相当の履修証明プログラムの修了者について,その後,修士課程に入学した場合に,在学1年で残りの15単位を修得すれば,修士号を得られる可能性があるという理解でよろしいのかどうか。その2点を確認させていただければと思います。
 以上です。

【西大学改革推進室長】  ありがとうございます。まず1点目,オンライン学習は可能かということでございますけれども,もちろん可能でございます。大学として,やるべき質の担保ということに御配慮いただければ,学び方については特段,定めがあるものではございません。
 2つ目の修士を1年でということでございますけれども,こちらも可能になります。もともと修士の単位が積み上がっていて,きちんとクオリティを担保しているということであれば,早期卒業という仕組みもございますので,その辺と組み合わせることによって,1年間で修士を出るということも可能でございます。

【大野委員】  ありがとうございました。

【永田分科会長】  受入側の決め事であるということです。
 清水委員,どうぞ。

【清水委員】  私も大野先生の2番目の質問と重なっていますが,この制度の改正は大変大きな第一歩だと思います。社会人の学び直しといいますか,学びの継続性の上で非常に役に立つものだと思います。是非この20%ほどの現状を,30%,40%ぐらいに普及するように願っているところでございます。
 先ほどの御質問に関係するのですが,修士の修了要件というのは履修単位と修業年限と修士論文,3つの要素から成っているわけです。今回はこれを,履修単位のところを弾力化したわけです。修業年限のところは明記されていないので,そこを確認したいと思います。先ほどの話ですと,1年でも可能だと理解しますが。各大学の裁量に任せられていると考えていいのか。つまり,修士30単位以上の20単位まで上限を認めるわけですから。逆に言うと,修業年限2年の3分の2ぐらいは,修業年限としてカウントできるのか,各大学の裁量というのはそこまであるのか,あるいは1年という縛りがあるのか,その辺も確認したいと思います。

【西大学改革推進室長】  大学の修了認定につきましては,もとより大学の御判断によるところでございますけれども,早期修了,あるいは修論のクオリティに当然達していれば,1年間で早期修了と。当該学生が優秀であるとお認めいただけるのであれば,単純に単位だけ積み上がっていたとしても,優秀かどうかというのはまた別途の判断ですし,修論につきましては,それはそれでまた別途の判断が必要だと思いますけれども,トータルとして,その学生が修了したと,当該大学院の修士課程を修了したと認め得るだけのものがそろっていれば,それは早期修了が可能と整理をしてございます。

【清水委員】  早期修了というのは,1年という単位でしょうか。例えば0.5年や半期とか,1.5年とか,そういうことも可能と考えてよろしいでしょうか。

【西大学改革推進室長】  1年以上ということで,今の制度は動いてございますので,最低1年はやっていただきたいということでございます。

【清水委員】  了解しました。それで私もいいと思います。

【永田分科会長】  ありがとうございます。
 そのほか,いかがでしょうか。川嶋委員,どうぞ。

【川嶋委員】  大阪大学の川嶋です。御説明ありがとうございました。
 1点だけ確認というか,コメントしたいのですが,先ほどから2人の委員が御指摘のように,流動性というか,柔軟性というか,その点では評価できる仕組みだと思うんですが,一方で,各大学院にはディプロマ・ポリシーとかカリキュラム・ポリシーというのがあるわけです。そのときに,ほかの大学院で取った授業科目と,単位認定を認める大学院の持っているDP・CPとの関係で,あくまでも認定する,認定しないは受入側の大学院にあるので,そこで判断すればいいということでよろしいでしょうか。

【西大学改革推進室長】  正に御指摘のとおりでございます。

【永田分科会長】  そのほか,いかがでしょう。
 パブコメもそうでしたが,大学が自律的に行っているところを飛ばした質問が多くて,受入側の大学は,普通に大学として学位を出すプロセスはきちんと踏むわけなので,そこに全部信頼を置くしかないのではないか。よろしいでしょうか。
 幾つか御意見いただきましたし,基本的には結構な方針だと思います。ほとんどの確認は,実際運用するときにどうかという御質問だったと思いますので,大変役に立った質問かと思います。
 それでは,ほかに御意見がなければ,決を採りたいです。大学院設置基準の改正に関わる事項については,大学分科会の議決をもって,中央教育審議会の議決となるということになっております。
 それでは,定足数について,事務局から御案内ください。

【髙橋高等教育企画課課長補佐】  現在,27名の出席をいただいているんですが,大学分科会の委員及び臨時委員数は30名でございますので,中央教育審議会令8条1項に定める過半数を満たしております。

【永田分科会長】  定足数を満たしているということで,ただいま御説明いただきました内容,大学院設置基準の一部改正について御了解いただけますでしょうか。

(賛成者挙手)

【永田分科会長】  ありがとうございました。それでは,多数ということで,お認めいただいたということにさせていただきます。
 次は,先ほど申し上げましたように情報共有ということで,令和3年度文部科学省の補正予算(案)について,事務局から御説明をお願いいたします。

【柿澤高等教育政策室長】  高等教育政策室長の柿澤でございます。よろしくお願いいたします。
 資料2-1と2-2が補正予算の関連資料でございます。令和3年度文部科学省補正予算(案)ということで,先般,閣議決定されたものでございまして,現在正に国会審議がなされているところでございます。このうち,特に高等教育局に関係が深い部分について,かいつまんで御説明を申し上げます。資料2-1の方は文部科学省全体の概要でございますが,個別の事業の資料が載っております資料2-2に基づいて御説明をさせていただきます。

 それでは,まず資料2-2のスライド7ページを御覧いただければと思います。学生等の学びを継続するための緊急給付金といたしまして,675億円を計上しております。これは,高等教育の修学支援新制度の対象となっている学生,及びその他の事情により支援を必要とする学生,こちらは支援対象となる学生の要件というところが記載ございますけれども,この新制度の利用者のほか,原則として自宅外で生活していること,家庭から多額の仕送りを受けていないこと,家庭の収入減少等により,家庭からの追加的支援が期待できないこと等の要件を基に,大学等が総合的に判断の上,推薦するものでございますが,10万円の現金を緊急的に支給するものでございます。
 対象となる学生は,大学,大学院,短大,高専,専門学校,合わせて約67万人を見込んでおります。高等教育の修学支援新制度の利用者に対しては,推薦を待たずに給付金を支給するなど,スピード感を持った現金の給付を通じて,学びの継続が困難となっている学生等の修学機会の確保,経済的困窮を理由とした退学者や休学者の減少につなげてまいりたいと考えております。
 また,7ページから3ページ戻りまして,4ページと5ページでございますけれども,新型コロナウイルス対応関係といたしまして,4ページでは大学入学共通テストにおける感染症対策,そして5ページでは日本留学試験の確実な実施における感染症対策ということで,それぞれ1億円を計上しているところでございます。
 次に,資料2-2の14ページを御覧いただければと思います。世界と伍する研究大学の実現に向けたファンドの創設として,6,111億円を計上しております。今回の補正予算と令和4年度の財政融資資金約4.9兆円の要求額を合わせて10兆円規模のファンドが形成されることとなるということでございまして,今年度中からの運用を開始する予定としております。

 次に,資料15ページを御覧いただければと思います。こちらは博士後期課程学生の処遇向上と研究環境の確保といたしまして,400億円を計上しております。優秀な博士後期課程学生への経済的支援として,約6,000人を対象に年額180万円程度の生活費相当額及び研究費から成る経済的支援を実施するとともに,博士人材のキャリアパス整備のため,企業での研究インターンシップや海外研さんの機会の提供,マネジメントなどのスキル形成等の取組を実施することとしております。安定的・継続的な事業実施のため,2か年分の所要経費を創発的研究推進基金に一括計上するという形にしてございます。

 次に,大学等の設備整備関係でございます。設備整備関係は,49ページから53ページにかけて資料がございますけれども,まず資料2-2,49ページ,こちらは国立大学における研究基盤の強化等ということで,98億円を計上してございます。各国立大学より要望のある優先度の高い教育研究基盤設備の整備を支援してまいります。
 また,50ページにございますが,国立大学等における最先端研究基盤の整備ということで,こちらは101億円の計上。ハイパーカミオカンデ,J-PARC,すばる等々の研究基盤の整備ということでございます。
 次に,資料の51ページ,52ページが高専関係でございます。51ページ,国立高専の基盤的設備の整備ということで,35億円を計上しております。高専は,設備面は世界スタンダードに対応する最新の高度な設備を配置できておらず,また設備の老朽化・陳腐化が進行しております。そこで,ものづくりの最先端技術を通し,今までの高専にない高度な最新の設備を,全国の高専生が遠隔で利活用し,社会ニーズに柔軟に対応でき,一線で活躍する高専生の教育の高度化となる設備を重点的に整備するということでございます。
 整備方針としましては,各高専の特色や地域性を生かした整備を支援すること,また複数の高専での共同利用を推進し,遠隔での運用を前提とした設備の整備を支援することとしております。

 また,次,52ページでは,災害支援機能を有する高専練習船整備事業についても45億円の予算を計上してございます。
 次に53ページ,こちらは私立大学等教育研究装置・設備の整備ということで,10億円を計上しております。私立大学等の個性・特色を生かした教育研究の基盤や,社会的ニーズ及び分野横断領域に対応した人材育成に必要となる装置・設備の整備を支援するとともに,こちらの高校についてもICT教育設備の整備を支援ということでございます。

 次に,資料の75ページを御覧いただければと思います。こちらは奨学金業務のシステムの刷新等で,25億円の計上。内容としましては,公的給付支給等口座の利用等に伴うシステム改修,早生まれの者に対する認定基準緩和への対応,奨学金業務システムの刷新等ということで,25億円の計上でございます。
 また,資料の次のページ,76ページ,ウィズコロナ時代の新たな医療に対応できる医療人材養成事業で,39億円を計上してございます。オンライン診療をはじめとする遠隔医療など,新たな医療に対応できる人材を迅速に輩出することを目指し,これらの人材を短期的に養成するための設備整備を喫緊に行う事業でございます。
 支援の考え方にございますが,コロナ禍における実習を実質的なものとするためのDXを活用した優れた教育内容の充実を検討している大学に対し,今年度中に教育・実習体制を整備する際に必要となる機材等を支援する事業でございまして,遠隔医療に関する教育設備の導入,実習等に資するシミュレーター,DX設備,感染対策関連機器の導入等のための予算を計上しております。

 次に,77ページでございます。デジタルと専門分野の掛け合わせによる産業DXをけん引する高度専門人材育成事業,こちらに46億円を計上してございます。大学のDX教育設備を活用して,様々な産業との組合せによる教育プログラムを開発・実施するに当たり,必要な経費等を補助する予算でございまして,こちらは大学等における具体的な取組例のところにも記載ございますけれども,農業,建築,工業等,様々な分野を想定しているところでございます。

 最後に,設備関係でございますけれども,資料の81ページ,こちらは国立大学等の施設の整備ということで,老朽改善,防災機能強化,ライフライン更新,ネット・ゼロ・エネルギー・ビルの先導モデル化等の推進ということで646億円。83ページでは,私立学校施設の耐震化・防災機能強化対策,基盤環境整備で82億円。また,資料の100ページのところでは,国立大学の設備災害復旧の関係で26億円の計上もしているところでございます。
 今回の補正予算に関する概要は以上でございます。

【永田分科会長】  ありがとうございました。
 今の御説明どおりです。御質問等あればお伺いいたしますが,いかがでしょうか。
 日比谷委員,どうぞ。

【日比谷委員】  御説明ありがとうございました。先ほどの資料でいいますと16ページですかね,国際共同研究の抜本的強化というところで,1つ質問したいことがございます。
 ここで,若手の長期海外派遣を強力に推進するというのは,大変に重要だと思うんですが,この場合の長期というのは,どのぐらいの期間を想定していらっしゃるんでしょうか。

【山同科学技術・学術政策局人材政策課人材政策推進室係員】  人材政策課の山同と申します。お世話になっております。日比谷先生,おっしゃっていただいたのは,P16の「国際先導研究」の創設による国際共同研究の抜本的強化についての御質問ということでよろしいでしょうか。

【日比谷委員】  はい。そこで赤字で,若手の長期海外派遣を強力に推進とありまして,派遣人数とかが書いてありますが,長期約225人ということですが,このときの長期がどのぐらいの期間を想定していらっしゃるのかというのが質問です。

【柿澤高等教育政策室長】  日比谷先生,申し訳ございません。この件につきましては,別途事務局から回答させていただきます。よろしくお願いいたします。後日,回答させていただけると思います。

【永田分科会長】  後日と述べているのは,詳細設計をやっている最中だからだと思われます。

【日比谷委員】  分かりました。これからもし詳細設計に何か意見を言ってもいいということであれば,1つだけ申し上げたいんですが,長期というのは人によって捉え方が随分違うと思うんですけれども,このような内容で若手を派遣しようという場合は,例えば少なくとも1年とか,まとまった期間行けるような制度をつくっていただくことが大事だと思いますので,もしこれから何か付け加えていただけるようでしたら,よろしくお願いいたします。お返事は別途で結構でございます。ありがとうございました。

【永田分科会長】  前から積み重ねて,これをつくっている最中から見ていれば,1年はミニマムだと思います。詳細はこれから出てくると思いますが,本格的な研究内容なので,そうなるのではないかと思います。
 曄道委員,どうぞ。

【曄道委員】  ありがとうございます。私はその上の15ページについてですが,後期課程の学生の処遇向上については,年間6,000人ということで,全ての学年がありますから,1年当たりの数というのは限度があると思うんですけれども,この選抜はどのような仕組みで行われるのかという点と,それから,これは後期課程の進学を果たした後に決定されるものなのか,あるいは後期課程進学前に,その受給が決定されるものなのか,その2点について伺えればと思います。よろしくお願いいたします。

【山同科学技術・学術政策局人材政策課人材政策推進室係員】  人材政策課の山同でございます。
 まず,いただいた1点目の御質問である,選抜がどのように行われるかという点なんですけれども,正確には,博士学生を支援するに当たって選抜が2段階ございまして,まず一つは,大学をJSTが選抜するという観点がございます。こちらは,大学がどのように博士学生を選抜するかというのもそうですし,キャリアパス支援をどの程度行うか,それから経済的支援として,金額をどの程度お支払いするか,このような観点からJSTが大学を選抜するといった段階が1段階目です。
 2段階目としましては,正に大学がどの学生を選抜するかという観点で,博士学生を選抜する段階があるんですけれども,こちらにつきましては,大学独自のプロジェクトがございますので,そのプロジェクトに基づいて選抜していただくという形になってございます。
 2点目なんですけれども,進学した後に選抜者が決まるのか,進学する前に決まるのかという点につきましては,今年度補正予算につきまして,今年度2年分という予算を事前に計上させていただいたところでございますので,できるだけ修士の学生が博士に行ったときに見通しが持てるよう,進学する前の段階で選抜することができるように大学に促して,選抜を行っていただく予定でございます。

【曄道委員】  ありがとうございます。そうすると,まず大学自体が選抜されないといけないということですね。

【山同科学技術・学術政策局人材政策課人材政策推進室係員】  おっしゃるとおりです。

【曄道委員】  そうしたことは,是非進学前に学生たちが,当てにしてと言うとあれですけれども,進学が果たせることを確認できるように御配慮いただければと思います。ありがとうございました。

【永田分科会長】  川嶋委員,どうぞ。

【川嶋委員】  川嶋です。簡単な確認ですけれども,スライドの77ページ,産業DXをけん引する高度専門人材育成事業の項目ですが,これは来年度の概算要求にも同じ内容が上がっていましたが,昨年度もDX関係の補正予算で,年が明けてから急遽公募があったということがありました。結論というか,お聞きしたいことは,令和4年度の概算事業事項からはなくなるという理解でよろしいかということ。加えて,昨年度の補正でも,年が明けてから一月ぐらいで公募があって,なおかつ令和2年度予算なので年度内に執行という,非常にせわしいプロジェクトだったんですが,結果的には繰延べも可能だったと記憶しています。そういう理解でよろしいでしょうかということです。

【菊池高等教育局専門教育課企画係長】  専門教育課の菊池と申します。御質問ありがとうございます。双方とも川嶋先生御理解のとおりでございます。
 まず1点目ですけれども,「デジタルと専門分野の掛け合わせによる産業DXをけん引する高度専門人材育成事業」は、もともと来年度当初予算における概算要求の事項として要求をしておりましたが,今回補正予算として,事業費を全て前倒ししたため,令和4年度当初予算の措置は,現状想定はしてございません。
 また,今後のスケジュール感につきましては、現在調整している最中ですので,明確なことは申し上げらませんが,去年の補正予算「デジタルを活用した大学・高専教育高度化プラン(Plus-DX)」とほぼ同じようなスケジュール感となることが想定され,恐らく2月下旬頃の採択となる見込みであり,執行についても,令和4年度に繰り越すことも視野に入ってくるだろうと思っております。 以上です。

【川嶋委員】  ありがとうございました。

【永田分科会長】  ありがとうございます。16か月予算と思うと,分かりやすいかもしれません。
 松下委員,どうぞ。

【松下委員】  ありがとうございます。今の上の大学ファンドのところについて伺いたいんですけれども,JSTの中に大学ファンドをつくって,大学ファンドから研究大学に資金配分がなされ,また研究大学からは大学ファンドに資金拠出がなされるというふうに,両方の矢印があるんですけれども,ここのプロセスをもう少し具体的に詳しく御説明いただきたいんですが。資金配分の方は分かるとして,資金拠出というのは,配分された資金に対して何らかの研究によって利益を上げ,そしてそれを大学ファンドに戻すというイメージなのかどうなのか。そこの辺りのプロセスを教えていただければと思います。
 そしてまた,資金配分がなされたときに,その評価がどういう形でなされるのか。研究ですので,それなりの時間もかかると思うんですけれども,割と長期的な研究のプロセスや成果に対して,どういう形の評価が行われて,配分した資金が有効に活用されたかどうかという判断がなされるのか,その辺りについて御説明いただければと思います。よろしくお願いします。

【滝沢研究振興局大学研究基盤整備課課長補佐】  大学研究基盤整備課の滝沢と申します。よろしくお願いいたします。
 今,松下先生御指摘の2点あったと思うんですが,1点目のファンドのところの大学からの資金拠出のところと,評価を今後どうやっていくのかという2点だったと思うんですが,今ちょうどその辺のところを,内閣府と文科省と一緒になって検討会議,世界と伍する研究大学専門調査会で議論しておりまして,まだ詳細が設計されていないところなんですね。
 これまでの議論の中で,例えばある程度,大学の中でマッチング的に費用を,例えば民間からお金を持ってきたら,お金をファンドからも出すとか,そういう議論はしているところなんですが,詳細設計については,ちょうどその部分を議論中のところでございます。
 評価についても,細かく一つ一つ,例えば何に使ったんだというところよりも,全体の方向性としては,世界に伍する研究大学になるんだと。そうすると,例えば指標とか,ある程度のところ,幾つかあると思うんですけれども,そういう研究力なり成長の部分を見たりとかというところを大きく見た上で,あまり細かく見ない方がいいんじゃないかというところで議論をしているという状況です。まだしっかり結論は出ていないところなんですけれども,今の状況としてはお伝えいたします。
 以上です。

【松下委員】  ありがとうございました。また今後,進捗状況について,この分科会でも御説明いただけるということですかね。

【滝沢研究振興局大学研究基盤整備課課長補佐】  かしこまりました。よろしくお願いします。

【松下委員】  よろしくお願いします。

【永田分科会長】  そのほか,いかがでしょうか。個別に文科省に御質問いただいても結構だと思います。ありがとうございました。
 それでは,3つ目の議題に入らせていただきます。今回,約1年間かけてやってきました魅力ある地方大学の在り方についてということで,いよいよ取りまとめに入っております。それでは,事務局から御説明をお願いいたします。

【堀家高等教育政策室室長補佐】  失礼いたします。事務局でございます。今回,魅力ある地方大学の実現ということで,令和2年9月から本分科会において御審議いただいてまいりました。本日,資料3-1,3-2,3-3,3-4と準備してございます。主に3-2の,前回の御議論を踏まえまして溶け込んだものを中心に御説明させていただきます。3-3に関しては,前回10月に御審議いただいたものからの見え消しの修正という形になってございます。3-1につきましては,1枚で総覧するための概要という形になってございます。
 本分科会におきましては,令和3年2月に,魅力ある地方大学の実現に資する地方国立大学の特例的な定員増についてということで,お考えをおまとめいただきました。本日,参考資料としてお配りしておりますけれども,参考資料2,参考資料3という形で,実際に制度が動き始めてございます。令和4年度分の審査に関しては,村田委員,大森委員が審査の委員として御参画いただいております。
 また,本年8月には,魅力ある地方大学を実現するための支援の在り方についてということで,概算要求へ向けて本分科会でお考えをおまとめいただきました。その成果といたしまして,地域活性化人材事業,通称SPARCを概算要求しているというところでございます。そのような様々な果実が生まれてきております本分科会の審議に関しまして,今回,審議のまとめという形でまとめさせていただいているところでございます。

 まず,表題ですけれども,「これからの時代の地域における大学の在り方について―地域の中核となる大学であるために―」という形にしてございます。前回,大森委員から,「魅力ある地方大学の実現」と書いてしまうと,今の地方大学が魅力がないみたいに聞こえてしまうというコメントをいただきました。それを踏まえまして,「これからの時代の地域における大学の在り方について」という形で修正してございます。
 また,「はじめに」のところですけれども,前回,松下委員から,地方大学の定義をきちんとした方がよいのではないかという御指摘がございました。それを踏まえまして,「第一に」と「第二に」と書かせていただいておりますけれども,地理的な特性に基づく考え方を表現するときには「地方」という表現をさせていただき,機能的な特性に基づく表現をする際には「地域」という形で用いさせていただこうと思ってございます。ですので,「第一に」というところのパラグラフですけれども,地理的な性質を表す場合には「地方」と用いることとすると。本稿における「地方」も,主として東京圏以外の地方が想定されると。このような地理的な考え方に基づいて表現をいたします。
 「第二に」というところでございます。「例えば」という真ん中のところですけれども,東京圏や都市部であっても「地域」というものは存在しておりまして,それらの地域においても大学と地域との連携というものは,地域の成長発展にとっても,大学の教育研究の充実にとっても非常に有益なものということでございます。したがいまして,本稿におきましては,機能的な関係性に注目をいたしまして,主として地域における大学の在り方について検討を行うという形にしてございます。
 その際ですけれども,各大学が地域ならではの魅力を生かして,地域の中核となっていくということは,地域の活性化はもとより,社会のDXであったりグローバル化の推進に資するものでございます。すなわち,地域の中核となる大学を実現することが,我が国社会全体の変革の駆動力になると。そのような認識の下で,議論を進めていきたいと思ってございます。
  また,地方との関係でございますけれども,1ページの一番下のパラグラフですが,地域は様々な課題が生じる最前線でございます。その中で,例えば少子高齢化であったり,人口流出といった地域の衰退というものは,特に地方部において激しいものになってございます。したがいまして,これまで地方大学の振興という形で議論をしていただいておりましたけれども,正に地域と大学の関係の在り方について議論する,今回の審議のまとめに関しましては,地方大学の振興に資するものであるという認識で,こう記載させていただいております。
 その際の「地域」の考え方ですけれども,「地域」の範囲というものは多様でございまして,それぞれで事情が異なる地域の課題であったり,変化に対応するためにふさわしい地域の単位,また範囲というものに関しまして,地域や大学の関係者でよく議論をして設定していくということが望ましいと記載させていただいております。

 続きまして,1ポツでございます。地域における大学の役割というところでございます。まず,第一といたしまして,人材育成機関としての役割。第二といたしまして,高度な研究能力を有する機関としての役割。第三に,地域の文化や歴史を発展・継承していく役割。第四に,知と人材のハブとしての役割というところがございます。
 特に,第二のところの下の部分ですけれども,具体的なニーズや多様な価値観が身近に存在する地域の大学こそ,これらにつながるイノベーションや価値創造の担い手となる可能性があると記載させていただいております。この点に関しましては,吉見委員,吉岡委員から,地方には多様性,ダイバーシティがあるということをしっかりと記載するべきではないかという御指摘がございましたので,それを踏まえた記載としてございます。
 続きまして,3ページ目でございます。これまでの支援というところでございまして,政府として行ってきた支援に関してまとめてございます。
 3ページ目の下のパラグラフの「真に地方創生に資する取組を行おうとする地方国立大学については,特例的・限定的に定員増を認める取扱いが始まっている」ということで,本分科会で御議論いただきました成果というものを記載させていただいているところでございます。

 続きまして,4ページ目でございます。地域における大学を取り巻く状況と「地域の中核となる大学」の必要性というところでございます。
 地域の大学を取り巻く状況ですけれども,DXであったりグローバル化,資本集約型から知識集約型への移行,少子高齢化や生産年齢人口の減少といったものに関しましては,地方部において更に大きく,地域の活力が低下しつつある。地方部の衰退は我が国全体の衰退につながりかねず,人口減少が進む我が国においては大きな危機に瀕(ひん)しているということで,この点は吉見委員から,地方がこのままいくと大きな危機に陥るという危機感を,きちんと表現するべきであるという御指摘をいただきましたので,その旨,追記してございます。
 また,テレワークやワーケーションなど,地理的な制約を超えた働き方が拡大しております。また,今回の新型コロナの感染拡大も踏まえまして,災害や感染症等に対してレジリエンスを有する国土形成の必要性も指摘されているところでございます。
 人口減少という話もございまして,「一方で」というところから始まるパラグラフでございますけれども,入学定員未充足の私立大学の割合というものが全体の46.4%,全体の充足率も99.8%と,調査開始以降初めて100%を下回っているという状況がございます。特に三大都市圏以外の地方部において充足率の低下が顕著であるというところ,地方部の大学を取り巻く厳しい現状というものが明らかになっているところでございます。地域の大学の衰退というものは,地域の成長の駆動力を失わせるということと等しく,こうした切迫感を持って地域における大学の在り方を考えていくことが必要であるという形で記載させていただいております。
 続いての塊,大学にとっての地域の魅力というところをまとめさせていただいております。
 5ページ目,上の部分です。地域こそ具体的な課題が生じる最前線であり,学修のフィールドとしても,また学修以外の様々な経験という意味でも,多様な価値に触れることができる場であると記載してあります。この点は吉見委員から,地域と大学との関係,とりわけ授業外学習の重要性というものもあろうという御指摘をいただいておりましたので,それを踏まえた記述になってございます。
 次のパラグラフです。更に,地域はDXやグローバル化の最前線でもあると。縮小していく地域や国内の需要に応えるだけではなくて,世界に目を向け,その地域ならではの魅力化を進め,「地域の中核となる大学」へと成長していくチャンスは,衰退の危機感をより強く持っている地域にこそ存在するという形で記載させていただいております。この点,髙宮委員から,グローバル化ということをきちんと意識した記述をしていくべきであるという御指摘をいただいておりましたので,その点を記載しているところでございます。
 続きましてのパラグラフです。そうした観点から,地域における大学の振興を,若者の流出を止めるための手段としてのみ捉えることには慎重になるべきであると。人口流出への対応というものは当然重要ではございますけれども,大学は地域の若者を地域に留め置くための機関というわけではありません。むしろ国内外を含め,その大学ならではの魅力に引かれた人材を集め育み,地域の成長発展の原動力としていくことこそ必要ではないかと。国内外を含めた人材の流動性を高め,それによって日本の大学界や日本の各地域が活性化していくという視点こそ必要であろうという形で記載させていただいております。この点は吉岡委員から,地方に閉じた議論にするのは慎重になるべきじゃないかということを御指摘いただいておりましたので,それを意識した記述とさせていただいております。
 続きましての塊,「地域の中核となる大学」に求められるものというところでございます。教育研究を通じた社会的な実践が重要であるというところは,吉見委員から御指摘いただいていたところでございます。
 続きましてのパラグラフ,地域の関係者によって,地域の目指す姿や大学の有する教育研究資源等を十分に踏まえて活発に議論されるべきというところを記載しております。そして6ページ目,一番上のパラグラフの下の部分です。各大学がそれぞれの強みと特色を最大限に生かして,地域にとって「かけがえのない大学」となっていくことが求められるという形で記載しております。
 その際,地域の中核となる取組というものは,必ずしもその地域に所在する大学にのみ求められるものではありませんと。教育研究を充実させるために,ほかの地域をフィールドとすることも十分に考えられるであろうというところで,正に,例えば東京圏の大学が地方部の地域と連携をすることによって,教育研究を充実させるといった在り方も考えられるであろうと。そうした意味で,地域と大学との関係というものを,今回の審議まとめでは書かせていただいております。

 これらを踏まえまして,この塊最後のパラグラフです。大学が地域の中核となる取組を進めていくに当たって,学修面からの課題,イノベーション創出上の課題,そして連携上の課題等が指摘されていると。これらを踏まえまして,3,4,5と,この後に続いていく塊におきまして,課題と具体的な取組というものを整理させていただいております。
 3ポツでございます。「地域の中核となる大学」となるための地域ならではの人材育成の推進というところでございます。
 学修面での課題といたしましては,7ページですけれども,若者にとって地域の大学での学びが魅力を持つに至っていない可能性も示唆されていると。地元のニーズを捉え切れていない教育カリキュラムになっているのではないかという声もあると。
 続きましてのパラグラフ,授業外学習が十分ではないという指摘や,3つのポリシーに基づく教育の実質化を進める必要があるという指摘もあると。学修成果を可視化していく必要があるのではないかという指摘もされているところでございます。
 続きましての塊,地域ならではの人材育成というところで,地域ならではの質の高い人材育成をしていくためには,卒業生がどのような地域や分野で活躍しているのかといった基礎的なデータを十分に収集・分析した上で,地域の様々なステークホルダーとその結果を共有すること,また地域から資源の提供を受け,教育研究を充実させていくことが必要であると記載させていただいております。また,各地域においては,地域連携プラット方ム等で目指すべき地域の将来像や,そのために育成する必要のある人材像について徹底的に議論を行い,教育プログラムを構築していくことが求められると。この点,正にこの分科会で御議論いただきまして,概算要求につなげていただきました地域活性化人材事業,SPARCを念頭に置いた記載となってございます。
 また,当該プログラムを実施するに当たっては,産業界等から講師の派遣や,寄附金・寄附講座の提供,実践的な長期インターンシップであったり,奨学金の返還支援を活用するといった形で,地域と一体となって,その地域ならではの質の高い人材育成に取り組むことが求められると。また,リカレント教育のニーズに対応する観点から,8ページ目ですけれども,短期集中型のプログラムを構築していくということも有用であろうと記載させていただいております。
 また,ポストコロナ/ウィズコロナ社会ということを踏まえまして,時間的・空間的な制約を超えた教育の在り方であったり,次のパラグラフですが,文理融合・分野横断による高度なSTEAM人材の育成の取組,また次のパラグラフですけれども,内部質保証が確実になされている大学が先進的な取組を行おうとする際に制度的な緩和を受けられるような,特例的な枠組みを検討することも必要ではないかという形で提言を記載させていただいています。
 続きましての塊,出口を重視した人材育成とございます。現在の延長線上で地域産業に役立つ人材だけではなくて,地域の産業構造を変革し,DXやグローバル化へと導いていくような人材の育成も必要であると。出口は必ずしも地域だけではなく,地域の大学で育成された人材が世界に羽ばたき,羽ばたいた先で大きな成果を上げ,また地域に戻ってくると。そうして地域が活性化していく,そのような在り方,出口も意識した取組を進めていくことが期待されるという形でまとめさせていただいております。
 具体的な取組に関しましては,その下の四角に入っているというものでございます。

 4ポツでございます。「地域の中核となる大学」を実現するためのイノベーションの創出という点でございます。
 イノベーション創出上の課題といたしましては,9ページの下の部分ですけれども,各大学が有する優れた研究能力や研究シーズが十分イノベーションにつながっていないという実態があるというところ。また,研究能力や研究シーズを地方公共団体や産業界が十分に把握できていなかったり,どのように活用すればよいのか分からなかったりするという声があるという指摘がございます。
 10ページ目,地域ならではのイノベーション創出ですけれども,地域には過疎化や高齢化,スマート農業であったり,物流のDX,また防災などの取り組むべき課題が山積してございます。地域の特性を生かした地域ならではのイノベーションを創出していくことは,ひいては日本や世界の課題解決への貢献にもつながっていくものになります。
 そうした観点から,大学において地方公共団体や産業界との窓口となる教職員や,研究の高度化を支援する専門人材としてのURAの配置促進が望まれると。また,国においては,産学官連携による研究開発や社会実装を促進するための拠点形成への支援の充実であったり,アントレプレナーシップ教育の充実,コンサルティング等の経営人材との連携といった,知と人材と資金の好循環を起こすための取組への支援が求められるという形で記載させていただいています。
 併せまして,こうした取組の主体となる人材育成を強化し,産業界と連携をしたジョブ型の研究インターンシップの推進等が求められると。また,国として,府省間連携による一丸となったサポートの必要性や,関係府省間での事業連携の推進が望まれるということで御提言を記載いただいています。
 また,共創拠点としての大学の整備というところでございまして,特にイノベーション創出の基盤となる大学の施設等に関しましては,多様なステークホルダーが関わり合い,新たな価値を生み出すイノベーション・コモンズとして整備を進めていくことも重要であるという形で記載をしていただいています。
 続きまして,11ページ目,下の部分,5ポツですね。「地域の中核となる大学」を実現するための連携の推進というところでございます。

 連携上の課題といたしましては,12ページですけれども,上の部分,大学内,大学間,大学と産業界,地方公共団体等との間で恒常的な意思疎通を行い,課題や目標を共有しつつ協働を進めるなど,緊密な連携推進体制が必要であるということを記載しています。しかしながら,局所的・限定的な連携にとどまっており,組織対組織としての連携を図っていくことが必要であるということを指摘しております。
 また,地域の地方公共団体や産業界については,地域ならではの独自性をしっかりと訴えかけていくということも必要であろうと。そのために,恒常的な場としての地域連携プラットフォームの必要性,さらなる構築の推進や,既に形成されたプラットフォームにおける多様な取組の推進が期待されるという形で記載しております。
 続きまして,高度な連携推進体制の構築というところでございます。本分科会の提言を踏まえまして,学部等連係課程の制度化や,大学等連携推進法人の制度化が行われております。また,地域には様々な高等教育機関が存在してございます。地域に所在する様々な高等教育機関の連携による取組を進めていくことが望まれると記載しております。
 続きましてのパラグラフ,学長がリーダーシップを発揮して,自らの大学の強みと特色をしっかりと見極めて,地域の関係機関等に訴求していくことが必要であると。この点は益戸委員から,学長のトップセールスが必要ではないかということを前回御指摘いただいておりましたので,その旨,追記してございます。
 続きまして,13ページ目でございます。上のパラグラフの6行目あたりですね。地域連携プラットフォームを構築・活用していくとともに,当該プラットフォームが地域の持続的なエコシステムとして機能していくことが求められていると。また,コーディネーターの発掘・育成と活用が重要となる。国において優れた事例を収集して共有していく取組を進めていくことが必要であると記載をしています。この点,地域連携プラットフォームのエコシステム化については,渡邉委員から御指摘をいただいたところ,またコーディネーターの発掘・育成に関しては,村岡委員から御指摘をいただいて,踏まえた記載としてございます。
 これらに加えまして,高等学校等の初等中等教育機関との接続も重要となると記載しております。
 また,次の塊,地方公共団体・産業界の役割というところでございます。1つ目のパラグラフ,地方公共団体の長には,地域におけるリーダーシップを発揮して,大学等の高等教育機関を活用し,地方創生に関する取組を構想していくような役割が求められると記載をしております。この点は前回,大森委員,越智委員,渡邉委員から,自治体の長の役割であったり主体性,また自治体が主体となって大学と一緒に考えていく取組を進めていくことが必要ではないかという御指摘をいただいておりましたので,その旨,記述しております。
 14ページ目に移ります。魅力のある就職先として,地域の産業の育成や誘致も重要となると。この点,越智委員から,魅力のある就職先としての産業の育成や誘致が必要だという御指摘をいただいておりましたので,その旨,記載しております。
 続きましてのパラグラフ,地域の地方公共団体,産業界には,大学を積極的に活用していく姿勢が非常に強く期待されると。また大学の側にも,地域に貢献し,自らの教育研究を充実させるということのみならず,地域の発展の原動力となるような意識を持ち,地方公共団体や産業界に売り込んでいくような姿勢も必要となろうということで記載しております。
 その結果,最後のパラグラフ,大学,地方公共団体,産業界それぞれが三方よしとなる関係性を構築していくことが求められると記載させていただいております。

 これらを踏まえまして,最後,15ページ目でございます。「終わりに」のところでございます。
 1つ目のパラグラフの下の部分,大学が地域の中核となる上で求められていることは,地域ならではの学びやイノベーションの創出であり,換言すれば,その大学でしか成し遂げることができないことなのであろうと。
 中央教育審議会大学分科会としては,これからの時代の地域における大学の在り方を示してまいりました。ここから先は,各地域が具体化をする番ですと。ここは益戸委員から,中教審の議論は総論を議論するものであって,この先,各地域での各論が重要になるということを御指摘いただいておりましたので,その旨,記載しております。
 各大学が地域の地方公共団体や産業界と議論を積み重ね,その地域ならではの特性は何であるのかを見いだし,地域にとってかけがえのない大学へと更に進化していくことを強く期待したい。今回の議論の中で析出された地域における大学の在り方というものは,あらゆる大学にとって妥当する重要なテーマです。地域における大学の在り方についての議論を深める中で,大学そのものの在り方が析出(せきしゅつ)されたとも言える。各大学においては,世界の中で唯一無二の大学として成長発展を遂げていくことを大いに期待したいということで,前回,長谷川委員から,地方の議論をしているのだけれども,これはあらゆる大学,ほかの大学にも妥当する議論なんじゃないかということを御指摘いただいておりましたので,最後にその旨,記載をして,まとめさせていただいております。
 これら全体で15ページにわたるものですけれども,それを一覧化できるような形で,資料3-1,概要としてまとめさせていただいております。御審議のほど,よろしくお願い申し上げます。

【永田分科会長】  ありがとうございます。
 山口県知事の村岡委員が,もう御退室される時間なので,先に村岡委員,何かあれば簡潔にお願いいたします。

【村岡委員】  御配慮いただきましてありがとうございます。

 永田分科会長さんはじめ,文科省の皆さん,取りまとめを本当にありがとうございます。地域,特に地方の大学の重要性は,我々も強く認識をしておりまして,この方向へ進めていただきたいと思っています。
 5ページの「地域の中核となる大学」に求められるものというところに書いていますけれども,地域のために大学が貢献するとともに,地域も大学と一緒になって取組を進めていく,そうした大学と地域の関係性の構築が重要であると、正にそのとおりだと思います。途中にも触れられていますけれども,人口減少等,特に地方の方で深刻ですし,様々な課題があります。
 更に,これからDXを進めていくということになってきますと,地域というか,地方の方にこそ,それによって解決すべき,解決できることがたくさんあるだろうと思いますので,正に今こそ様々な主体と大学と一緒になって,地域の課題を解決しなければいけないし、そうできるチャンスが広がっているだろうと感じております。
 そうしたことでいいますと,これまでもCOCプラス等で,特に大学が地域において果たす役割の重要性というところが,大学の方にも認識がしっかりと広まって,どんどん行政なり,あるいは地域の企業に大学の方からアプローチをするということも増えてきていると感じておりまして,とても心強く思うんですが,仕組みとして,まだまだもっと力を入れていかなければいけないと思いますので,地域連携プラットフォームのエコシステム化もそうですけれども,より仕組みとしても,国でも更にバックアップをしてもらえるような取組を,更に後押しいただければと思います。
 人材の育成と,それから課題の解決ですね。今,いい形で地域と大学とが一緒になって動き始めていると思いますので,ここを更に後押しいただけるように,これは文科省さんの方のお願いになりますけれども,是非お願いしたいと思います。
 以上です。

【永田分科会長】  村岡委員,ありがとうございます。村岡委員にお願いです。是非とも知事会でプラットフォームの重要性や,県庁における高等教育に関する窓口を設けるように,是非とも知事会で働きかけていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【村岡委員】  分かりました。知事会の中でも議論したいと思います。訴えたいと思います。

【永田分科会長】  ありがとうございます。
 清家委員,どうぞ。

【清家委員】  ありがとうございます。10月の分科会での審議のまとめ案の議論の際にも申し上げたところでございますけれども,地域における魅力のある大学実現というのは,当然ですけれども,私立大学を含めた,国公私立大学全体を通じた課題だと考えております。今,御説明いただいた素案において国公私の大学連携の仕組みなどを通じた,私立大学も含めた地域の大学の振興策をお示しいただいておりまして,この点は取りまとめを大変ありがたく思っております。
 特に,これからの地域における大学の魅力度の向上、教育研究機能の強化のためには、複数大学の連携・協力は大切な視点でありまして、本まとめ案で多様な取組の推進に触れていただいたことは,とても重要だと思っております。日本私立学校振興・共済事業団といたしましても,このまとめを踏まえて助成事業,融資事業,経営支援事業等を通じて,地域の私立大学の支援に努めてまいりたいと思っておりますので,是非よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

【永田分科会長】  清家委員,ありがとうございます。
 現在,12人ほど手が挙がっております。残り時間を考えまして,今から皆さんに発言していただきますが, 5分お話しされると,全員が話せなくなりますので,2分程度でお願いいたします。
 それでは,村田委員,どうぞ。

【村田委員】  ありがとうございました。私からは小さな質問を1つと,大きな質問を1つです。
 小さな質問は,4ページのところでございますが,下から3行目,「一極集中から脱却し,地域分散型」と書いてあるんですが,1ページのところには,むしろ東京一極集中に対する言葉としては,地方という言葉が定義されているにもかかわらず,ここは地域なんですね。これは地方としておかないとと思うのが,小さな質問の1点。
 大きな質問です。先ほど御説明ございましたように,大森委員から,魅力ある地方大学,では魅力はなかったのかというので,地方大学という言葉を変えると。それから,地域と地方の区別をする。これもよく分かるんですが,しかし今回,基本的には地方という言葉を取ってしまって,地域という言葉に直してしまっていることによって,本来,地方創生だとか,そういった観点でこの議論が進んでおり、だからCOCプラスの話も出てきているんですが,そこが少し方向が広がった,あるいは若干違う形になったのかなという気がするんですね。
 地域と地方の言葉の区別はもちろん重要ですし,それから,魅力ある,ないという話も重要なんですが,そのことと,地方という言葉があったものを地域に変えることが,本当に適切なのか,これまでの議論に沿っているのか,若干教えていただきたいと思います。先ほど山口県知事の村岡さんからも話がありましたように,DXの時代でいくと,人材育成は地方でなされるということが当然出てくるわけで,地方という言葉がキーワードになるのではないかと思っています。
 私からは以上です。

【永田分科会長】  ありがとうございます。2ページあたりのところに,地域と地方の文章があるのですが,今の関係が明確になるように一文程度付け加えておけば,分かりやすくなると思います。ありがとうございます。
 その前の御指摘は,統一をさせていただきます。
 続けて,大野委員,お願いいたします。

【大野委員】  大野です。2点,コメントさせていただきたいと思います。
 非常によく取りまとめられています。どうもありがとうございました。それに加えて,大学に研究力があるということ前提での記述が幾つかありますけれども,今,その大学の研究力の低下が懸念されています。そういう意味で,科学技術・学術審議会の下にも大学研究力強化委員会が設置され,総合パッケージを今,つくっていますので,それについて一言言及があるとよろしいかなと思います。
 2点目は,人口減少が非常に大きな地域・地方での課題です。それに関して,若い人たちが流出して,特に女性が戻ってこないということが統計で明らかになっており,それを分析すると,「やりがいのある仕事が少ない」という項目が理由の上位に来ています。そういう意味で,共同参画あるいは多様性の意味で,大学自身が本当にやりがいのある場所なのか。そこをちゃんと自らの襟を正すという姿勢をきちんと出しておくところも,ここは重要ではないかと思います。紺屋の白袴という形にならないように,そして女性も含めて,若者が就職したいというモデルケースに大学がなっているべきであるということを,ここでお書きいただくと大変よろしいのではないかと思います。
 施設整備に関して,イノベーション・コモンズが出ていますけれども,大学がそういうショーケースとなって,地域の皆さんに理解いただく場所でもあるべきだと思いますので,それについて,一言あるとよろしいかと思います。
 私からは以上です。ありがとうございました。

【永田分科会長】  ありがとうございます。前半部分は,実際,有識者会議が動いておりますので,必ず入れないといけないと思います。後半部分はもしかしたら,新たに節を設けるのが難しければ,最後のところに自戒も含めて書いておくのが,一番次につながると思っております。
 後藤委員,どうぞ。

【後藤委員】  後藤でございます。全体に,前回からかなりバージョンアップされていると感じております。
 10ページの最後のところと関係しまして,共創拠点としてKOSENコモンズの実現を目指している高専から一言申し上げます。
 大学や高専が地域の中核になってイノベーションを創出するためには,共創拠点(イノベーション・コモンズ)としての機能を強化することが必要だと思います。そのために,施設整備のより一層の充実が必要だと思います。フィジカル空間でハード(物)とソフト(人)が融合することで,ハブが形成されます。それをサイバー空間でつなぐことにより,地域を超えた共創の可能性も広がると思います。
 例えば,経団連で11月の「新内閣に望む」という提言の中で,新産業の創出に向けた産学官連携の中核となる地方の大学等の機能強化,環境整備というのが挙げられております。また,鳥取県・香川県知事名で,地方創生に資する共創の拠点として,大学の施設整備充実が不可欠で,学校の安全・安心確保の観点からも,施設の整備・改善は喫緊の課題であるという提言が出ております。是非とも施設整備の充実をよろしくお願いしますというお願いでございます。

【永田分科会長】  ありがとうございます。イノベーション・コモンズは,文部科学省の基本的な政策なので,この単語が出ているというのは非常に重要だと思っております。ありがとうございます。
 大森委員,どうぞ。

【大森委員】  ありがとうございます。大森でございます。意見を組み入れていただきまして,ありがとうございました。
 私も地方ということと地域ということについて,村田先生がおっしゃったことに同じ感想は持っております。地方の大学をどう振興するかということは非常に重要なことなので,タイトルから地方が消えているあたりは,もう一回検討の余地があるかなと感じたところです。
 ちょっと大きなところでいくと,5ページ目の一番下の段落のところ,これは吉岡先生の御意見もあってということでありましたけれども,私もこのとおりと思ってはいます。「振興を地域の若者の流出を止めるための手段としてのみ捉えることには慎重になるべきである」,全くそのとおりと思っていて,若者の未来は若者のものであって,地域のものではないということを,我々はしっかりと押さえなきゃいけない。
 ただ一方で,その書きっぷりのところでいくと,もう数行下で,「大学は地域の若者を地域に留め置くための機関ではない」と,結構明確に,また強いメッセージが発せられています。COCプラス以降,地方の大学は若者定着というのを,一つ大きな指標として頑張ってきたというところもあるわけで,これを見ちゃうと,地域の社長さんの顔とか首長さんの顔が思い浮かんでくるところも若干あります。
 世界に羽ばたくような人材育成をする地方の大学や,いろいろなイノベーションを起こす大学もあれば,地元の人材を,9ページや7ページとも関連して,育てる大学もあるので,そこら辺は少し多様性を許容できるような,地域の人材を育てる大学もあってもいいということが分かるような書きっぷりにしておいていただくということと,ここまで強く書くということは,今後の様々な補助事業等において,地元定着というのは指標にはもうできないというか,しないということになっていくのかなと思うので,かなりいろいろな,地方国立大の定員増のこともそうだし,今度のSPARCのこともそうですけれども,その辺の制度設計には結構大きな影響を与える書きっぷりかなと感じたところです。
 もう1点,小さいところは,8ページの下の寄附講座の話とかのところで,地方公共団体をあえて削って,「産業界等」でまとめていただいていますけれども,別に消さないで,地方公共団体も残しておいていただいてもいいのかなという感じがしました。これは細かい点です。
 以上です。

【永田分科会長】  大森委員,ありがとうございます。前半部分は,事実を書いておけばいいかと思います。大学に入ってきた者は,どこから入ってきても結構地域に定着するのだという前提が,もともとあります。ですから,そのような文章を入れることで,先生がおっしゃる意味は,「もともとそうであるが」という部分は引き出せるかと思います。地元定着率は,その大学に入った人は非常に高いという事実があるので,そのような事実をどこかに入れておくことの方が価値は高いかと思います。
 越智委員,どうぞ。

【越智委員】  ありがとうございます。2点ありまして,1点は,地域と地方の言葉の使い方なんです。地域のというのが前面に出てくると,趣旨がちょっと分かりにくくなるので,もちろん最初の定義のところから読めば,よく分かるんですけれども,ちょっと方向性が分かりにくいんじゃないかというのが危惧されるところです。
 もう1点は,地域大学の在り方というので,取りまとめは大変すばらしいものになったと私は思うんです。これは国の方向性,総論として出して,各論はそれぞれの地域の大学でやってくださいということになれば,永田会長が言われたように,村岡知事とか知事会のようなところに,この内容を十分に認識していただく,産業界にもこの内容を徹底的に知っていただくような取組というのがない限りは,これは有名無実だと思います。
 国もこういう方向にたっぷりお金をかけるようなこと,そして私自身は,進行過程というのを評価する仕組みというのが最終的には必要になるのではないかと考えるところです。これは本論から少し外れたところかも分かりません。
 以上です。

【永田分科会長】  越智委員,ありがとうございます。とりわけ,これを地域というか,知事さんたちを含めて,地域の方に敷衍(ふえん)していくというのは,非常に重要だと思うので,是非とも文部科学省にはそういう努力をお願いしたいと思います。
 それから,地方・地域の問題がいろいろ出てきて,内容はきちんと説明してあるが,今,越智委員が述べられたのは,本文を読んでも,なかなか地域と地方のことが分からないということになっています。もしかしたらタイトルの工夫はあるのではないかと思います。少し考えさせていただきます。ありがとうございました。
 吉見委員,どうぞ。

【吉見委員】  ありがとうございます。大変包括的なおまとめ,御苦労さまでございました。3点ほど申し上げさせていただければと思います。
 第1点は,グローバルということです。これまでの議論では,かなり積極的に,つまりグローバル化の中で,地方ないし地域,ローカルが中央をすっ飛ばして,直接グローバルとつながるんだということが議論されていたと記憶しております。例えば,地域のダイバーシティ,具体的にはアートイベントだとか,インバウンド観光,まちづくりなどの領域では,最近では東京をすっ飛ばして地方の方が,よっぽど先端的なことをやっているわけですね。東京からはるか離れた地方に世界からいろいろな人が来ている。ですから,そういう面をもう少し,グローバルということを積極的に,それがローカルと直接つながる可能性をもっと強調してもいいんじゃないかと思いました。

 第2点ですけれども,例えば観光は国交省,メディアは総務省が握っている。それから,デジタルは経産省がかなり積極的な動きをしている。文科省の中でも,教育はここですけれども,文化は文化庁でやっているとなっていて,DXは,実はこういういろいろな分野に全部関わっている。つまり,かなり包括的な話なので,文科省の教育系だけでは,これは進まない。本気で横断連携的にやっていく課題だということを,もう少し明示的に入れていく方がいいんじゃないかなという気がいたしました。これが2点目です。

 最後は,リカレントをもうちょっと強調するべきじゃないかと思います。地方から東京へ,あるいは地方にずっととどまるだけじゃなくて,東京から地方へ,これはUターンというか,むしろ地方に回帰していく流れが出てきていると思うんですね。さらに,地方から地方への流れもある。ですから,そうした流れとうまく結んで地方大学は,東京圏から地方に移動していこうとする新たなる中年,ないし比較的年齢層の高い世代のギアチェンジの媒介役になる,そうした媒介を積極的に進めるリカレントを充実させていくことの重要性が,おそらく地方大学の再定義にもつながる。この辺りのことも,もうちょっと強調してもいいのかなと思いました。
 以上です。

【永田分科会長】  吉見委員,ありがとうございます。3点とも採択したいと思う内容です。書きぶりは,あまりスペースがないので難しいのですが,大学が地域・地方にあったとしても世界への窓口ですのような言い方を,どこかに入れたかったです。もう一度再考します。
 それから,2番目は非常に重要なポイントで,デジタルに絞って述べられていて,説得力があるので,その使い方がいいのですが,大学が中心となって,いわゆるデジタルトランスフォーメーションを地域・地方で進めていくというのは,実は行政所管も超えて支えることができるのだという,短い言い方にすれば,教育だけではなくて,そのほかの行政もそこのところを見てくださいというメッセージにはなると思うので,どこかに短く付け加えたい。
 リカレントは,戻ってきてリカレントというか,地方だからこそのリカレントは,少し抜けていたと思います。文節までは作れないかもしれませんが,単語をうまく入れられるような努力はしたいと,聞いて思いました。ありがとうございます。

【吉見委員】  ありがとうございます。

【永田分科会長】  次に,渡邉委員,どうぞ。

【渡邉委員】  どうもありがとうございます。今回の審議まとめは,大変よい取りまとめをしていただいたと受け止めました。特に,冒頭で地域における大学の重要な役割を,4つに整理,とりわけ4つ目として,地域における大学の知と人材のハブとしての役割を明示し,海外をはじめとする他地域との窓口となることが期待されると整理していただいたのは,大変よかったと思います。私はこの役割こそが,将来の地域の発展には欠かせないと考えます。
 ただ,先ほども産業界や自治体を含めてこれを浸透させる必要があるというお話がありましたとおり,これをどう浸透させるかということが重要です。例えば,政府が掲げているデジタル田園都市構想の議では,イノベーションの必要性については共通認識がありますが,地域の大学を中核に据える必要性については,まだ認識が浅いような気がいたします。是非デジタル田園都市国家構想実現会議において,地域における大学の役割が重視されるような形での,この取りまとめ自体を連携していただけたら有難いです。
 かねてより申し上げているとおり,地方の大学に行くと,非常に優れた研究シーズがあることに驚かされます。したがって,大学自身がもう少し大学の研究等アピールしながら,地域の中核として担っている,役割の重要性を自覚するということがなんだろうと思います。大学発ベンチャーの創は,地域のイノベーションや地域活性化を推進していく上で、どうしても必要になると思います。
 余談になりますけれども,中国の深圳(しんせん)は,漁村から,非常に短期間で世界の最先端大都市になりました。これは,大学と深圳市で共同出資したインキュベーション研究機関の存在が非常に大きいと思います。このような研究機関の存在がベンチャー企業の創出や,海亀族と言われる留学生の呼び戻し等に繋がり,地域を飛躍的に発展させました。
 日本の歴史を紐解いても,今,渋沢栄一が東京で田園都市開発をした際に,沿線に東京工業大学や東京都立大学,慶應義塾大学の日吉キャンパス等,5つの大学を沿線に誘致して成功したという歴史があります。こういった歴史に学べば,今後,デジタル田園都市国家構想という新たな地域創生の議論においても,普遍的な要素として十分盛り込まれる必要があるでしょう。
 したがって,今回の取りまとめの内容,特に地域の中核となる大学という考え方をこういった形で生かして,地域連携プラットフォーム等を通じて展開していくことが重要だということを,是非各方面に浸透させていただきたいと思います。
 以上です。

【永田分科会長】  渡邉委員,ありがとうございます。全くそのとおりで,デジタル田園都市構想は,脚注でもいいので,単語はきちんと入れなければいけないのではないか。また,スタートアップという単語も比較的容易に入れられそうなので,その辺りで工夫をしながら,今述べられたことがどこかに表現されるようにしたいと思います。国の施策を飛ばしてしまうのは,よくないと思います。
 熊平委員,どうぞ。

【熊平委員】  ご指名ありがとうございます。審議の取りまとめ,ありがとうございます。私からは,先ほど既にお話ありました地方のグローバル化について,1点コメントさせていただきたいと思います。
 既にグローバル化については記載がありますが,もう少し強化してはどうかと考えます。これからは、世界と地方が、つながっていくことが重要で,世界とつながる力を持つ若者を育てていくということが,大学の重要な役割であると考えるからです。地方の企業も,地方の地域そのものも,これからはグローバル化していくことが大事です。
 例えば,世界では今,自治体の調達においても,国境を越えて、学び合い、イノベーションを活かしていこうという動きが出ているそうです。その活動を推進する方たちが、日本の自治体の調達担当者と接点を持とうとしたそうですが,自治体の窓口にグローバル人材がいないために,日本の自治体に参画してもらうことが困難だったと伺いました。この話を伺い,これからは企業だけではなくて,地域全体がグローバル化していくことが大事であると思いました。
 世界につながる力を持つ人材を育てることは, 大学の重要な役割の一つです。そのために,日本の学生が,優秀な留学生と共に学ぶ機会を得ることが望ましく,優秀な留学生を誘致していくことが,大切ではないかと考えます。
 世界の大学は,国際バカロレア等のインターナショナルスクールの優秀な学生を奪い合っていると伺っています。世界には1万1,600校のインターナショナルスクールがあり,600万人の生徒が海外の大学で学ぶことを望み,留学先を探しています。日本の地方の大学が優秀な留学生を増やしていく方向性を,盛り込んでいただけるとよいのではないかと思います。
 私からは以上でございます。
 
【永田分科会長】  ありがとうございます。それで20ページぐらい書けますので,うまく書き込まないと大変な内容かとは思いますので,努力はしてみます。
 千葉委員,どうぞ。

【千葉委員】  ありがとうございます。1ポツのところで,地域における大学の役割において,「大学にしか果たせない役割が」と明確に定義をしているわけですが,第1番目の「地域にとって欠かすことのできない人材育成機関」ということで,医療であるとか,福祉であるとか,教育であるとか,こういう分野に従事する人材を育成するという部分が,これは決して大学にしか果たせない役割ではないと思います。
 また,5ページのところには,先ほども話に出ましたけれども,「大学は地域の若者を地域に留め置くための機関ではない」と明確にここには書いてございますので,1番のところとの矛盾が若干あるのではないかと思います。
 また,最後の「終わりに」のところで,「大学にしか成し遂げられないこと」ということも記載がございますけれども,私はこの全編を通して,大学は研究やイノベーションを通した地域貢献を期待されているというのが,全編に通っている筋なのではないかと思います。もちろん,その地域での人材を育成するということも役割の一つではありますけれども,このレポートでいうと,大学とはというパーパスのところを明確にして,それを目指していくという方向性の方がよろしいかと思います。
 また,そういう大学の役割をしっかりと認識した上で,他の教育機関と連携をして,そして全体として人材育成を効率的にといいますか,必要な人材を社会に供給できる総合性が求められるのではないかと思います。
 やはり一番最初のところの「大学にしかできない」というところで,教育を盛り込んでいるのは少し違和感があるということで,意見を申し上げさせていただきます。ありがとうございます。
【永田分科会長】  理解しました。千葉委員とよく話すので,ここの医療,福祉,教育という単語は,確かに表現の仕方を変えないといけないかもしれません。ありがとうございました。
 小林委員,どうぞ。

【小林弘祐委員】  小林でございます。2点ほどありまして,私は学校法人分科会で各地方大学の財政的な基盤についての審査等をやっているのですけれども,本当に地方,広島市とかは地方ではなくて,もっと田舎の地方の大学というのは,本当に危機的状況にあります。
 大学は基本的に学納金が主たる収入源でありますので,財政的な支援の言葉がどこにあるかなと思って見たら,7ページの一番最後ですかね,人材育成のところで,地方公共団体や企業が実施する奨学金の返還支援を活用するとか,書いているのですけれども,これは地方でなくて,都市圏の大学でもこれをやってしまうと,学生は都市圏の方が魅力的で,集まってしまうかもしれないので,何とか財政的な支援,つまり学納金支援が必要で,要するに授業料収入が少なくなってしまうと,地方の大学というのは本当に死活問題になってしまいます。
 一方で,地方国立大学の定員増という議論も巻き起こっているので,地方の私立大学の皆さんは戦々恐々としているのですね。何かもうちょっと財政的な支援,つまり地方公共団体の,例えば地域枠とか,そういう支援方法を少し考えていただかないと,大変な目に地方大学はなってしまうと思います。
 先ほど定員充足率の話が出ていましたけれども,未充足が増えていると。ただ,実際に審査してみると,定員を減らして,一見充足しているように見せかけている大学もたくさんあるので,本当はもっと大変な状況だと思います。この辺はもうちょっと考えていただければと思います。これが1番目。
 2番目は吉見委員とも重複するのですけれども,DXという言葉が非常にいろいろなところに書かれているのですが,情報のネットワーク基盤のインフラはまだまだ貧弱なのですね。特に地方ほど貧弱です。うちも大学として,いろいろな地方のローカルキャンパスを持っているのですけれども,やっとSINET6がみんなで使えるようになって,少しは改善するとは思いますけれども,そこのハブまでの施設は,やはり地方のキャンパスが持たなきゃいけないというので,結構厳しい。

 もう一つは,今,ゼロトラストという考え方が出てきて定着し始めて,官公庁もクラウド・バイ・デフォルトに向かい始めていますけれども,それをきちんとやるためのSaaSというクラウドシステムがあるのですが,それを使うには相当お金がかかるのですね。そういうインフラの整備というのも,国全体として考えていくべきだと思いますし,それからDXに関連して,科学技術・イノベーション基本計画について何も触れていないのも,一言でも入れた方がいいのではないかと思います。
 以上です。

【永田分科会長】  ありがとうございます。最後の科学技術の基本計画は,必ず脚注でも何でも触れないといけないと思います。
 財政的な問題については,このペーパーは,財政的な基盤を来年以降,概算要求に出すためにも役立つものなので,ここで何々の財政をここに支援してくださいと書かない方が私はいいかと思います。要するに,幅のある支援がここから引き出されてくるという立場のペーパーだという認識でいます。イノベーション・コモンズのように既に政策として成り立っているものについては,書き込んでいるという作りになっています。できる限り修文はしてみます。
 吉岡委員,どうぞ。

【吉岡委員】  ありがとうございます。いろいろな意見をうまくまとめていただいていると思いました。
 その上でですけれども,前々回でしたか,委員の方からも,その頃のまとめ案を読んで,これを読むと地方の若者は,かえって元気がなくなってしまうのではないかという意見があったと記憶しています。その意味では,まとめの今回の案では随分,地方の可能性であるとか,多様性ということが書かれていると思いますが,にもかかわらず,今,各委員からの御意見の中にもあったように,こういう可能性があるということであるとか,東京ないし都市圏とは違う枠組みを持っているんだということを,もう少し書いた方がいいかなと思いました。
 この文章は,地方を元気にするといいますか,地方のモチベーションあるいは地方大学のモチベーションを上げるということが目的になるべきであると思いますので,書きぶりも含めて,そのように考えました。

 2点目は,これまでの議論のところにありまして,今日の議論にもありましたけれども,地方と地域の問題ですが,一つは,地方というものをいかに活性化するかという視点が,1本,中心的な軸になると思うんですね。
 それをどのように考えるかというときの非常に大きな問題が,地方の大学における地域との関係,そこをいかに築き上げていくかということが地方の活性化の要だということになり,そのことが実は,東京とかの都市圏の大学においても同じではないかと議論が進んでいったので,ここでは何となく地域と大学というふうにまとめてしまっていると思いますが,その中で中心的な部分は地方の活性化であって,そのために,地方における地方の大学と,その地域における連携ないし,そこにおける特性の発見という道筋は,少し明確にしておいた方がいいかなと思いました。
 そのことが,東京の大学だっていろいろ苦しいわけですから,それぞれの大学が地域を発見していくという論点に結びついているという構成なのではないかと思いました。
 それからもう一つ,ちょっと細かい点ですが,これでいうと6ページのところになると思いますが,6ページの上の段落のところに,地域にとって「かけがえのない大学」となっていくことが求められるという表現があります。かけがえのない大学となっていく,あと,かけがえのない存在という言葉もどこかにあったかと思いますけれども,これはなかなかいい言葉だと思います。
 それで,この文章の中に含まれているといえば,そうだと思うんですけれども,正に地域にとってかけがえのない大学を目指していくということが,大学の構成員である学生であるとか教職員,あるいは,そこで研究している人々のモチベーションを上げていく,意欲を上げていく,誇りを生む。それから,更に卒業生たちの意欲の後押しになるということが起こり,そのことが大学自体の活性化,あるいは,そこの大学のある地域の活性化と結びついていくという好循環が重要なのではないかと思います。
 地域にとっての大学という関係なんですが,大学を構成している構成員たちのモラルの向上ということに,それが結びついていって,大学が活性化していくんだ。そのことが地域を活性化していくんだということを一言入れたらどうかなと思いました。内容的に,ここに書かれていないというわけではありませんが,そのことは明示した方がいいかなと。
 最後のまとめのところも,地方の大学が独自のかけがえのない存在になっていくということが,卒業生あるいは学生たちの意欲を高め,受験生を引きつける,大学の魅力を上げていくという,それこそエコシステムを書き込んでおいたら,より格調が高くなるかなと思いました。
 以上です。

【永田分科会長】  ありがとうございます。いずれも大部を割かないで,どう書くのかが難しいですが,精神は分かっておりますので,うまく修文できるよう努力します。
 髙宮委員,どうぞ。

【髙宮委員】  ありがとうございます。このたびのまとめ,誠にありがとうございました。大変いろいろなことが盛り込まれており,ほかの委員の先生方からの御指摘もあって,私から特にここというチェックポイントはございませんが,2つだけ,今後のことも見据えて意見を述べさせていただきたいと思います。
 今回のおまとめによりまして,行政,産業,大学についての,それぞれがこれまでも考えていたでしょうが,地方創生に関するいろいろな視点を大学から述べたことによって,大学の位置づけを共有できればと思います。
 しかしながら,1点ですけれども,今後非常に考えていった方がいいと思われるのが広報活動でして,先ほども行政や産業界における広報活動のような,認知が必要という御意見は出ましたけれども,私からはもう少し広い意味での,特に学生や一般を含めた方々への広報も,今後重視した方がいいのではないかと思いました。このような大学が中心となって地方創生を行うことによって,非常に地方について明るい効果が出ることを,私たちはここでもお話合いしていますように,考えております。
 それが実際にどのように効果をもたらすのかというよいイメージを,ともすると,非常に若者は一極集中の東京に向きがちなところを,そうではなくて,地方ってこれぐらい明るく面白いという正のイメージを持って,この機会に訴えることができればいいなと思っております。大学が地方の中心になることによって,大学の連携というのは比較的,教員同士,容易にできる部分もあるかと思います。それによって,むしろ地方を中心にした面白い新しい連携と未来ができるということが,これを機会に訴えていければいいなと思っております。それが1点でございます。

 もう一つは,実効性についてでございます。これは今後考えていくことであるというのは,先ほど分科会長からも御指摘があったので,ここの課題ではないかと思いますけれども,例えば文部科学省系で実行できることについて,なるべくたくさんのテーマを,実効性のあるものとして,今後組み込んでいただけたらと思います。
 これまでのサポート体制,概括的なことについては,ここでまとめられておりました。しかし,「今後こんな方向で行っていく」のようなことが,少しあるといいなと考えた次第でございます。
 グローバル化が出ておりましたけれども,例えばですが,大学が拠点になるのであれば,今後大きな国際会議の会場を地方大学に誘致するようなプログラムを組み込むと,この一つだけで相当大きな効果があるのではないかと思っております。そこで大学人たちが,研究者が集うだけでなく,産業界とのコラボ,接点もできるかもしれませんし,それによって触発される学生がたくさん生じるであろうことは,想像に難くありません。このようなサポート体制について実効性のある,これから先の計画が立てていけたらと思った次第です。
 以上でございます。ありがとうございました。

【永田分科会長】  ありがとうございます。
 松下委員,もう一度,手が挙がっておりますが,短めにどうぞ。

【松下委員】  ありがとうございます。私が言いたいことは1点だけで,地方大学の定義のところから,かなり大きく書き換えてくださって,内容的にはとてもよくなったと思うんですが,私たちはこの間の経過を知っていますから,地方大学というのにフォーカスが当たっているということは分かっているんですけれども,題名から全く地方大学というのがなくなったのは,やはり残念だなと思います。地域の定義を残したまま,題目のところには,地方大学を是非入れていただきたいなと思います。
 以上です。

【永田分科会長】  ありがとうございます。お聞きしていて,今の松下委員の最後のところが,ほぼほぼ決め言葉になっています。この時代の「地方・地域」にしてしまえば,定義を1ページ目の第2段落には書いてあるので,「何を2つ,中ポツでつないでいるのだろうか」というのは,すぐに解答が1ページで出ているので,そのように読んでもらう方がいいのではないかと,思っていました。どうするのか,検討します。
 それでは,益戸委員,どうぞ。

【益戸委員】  ありがとうございます。今回のまとめ,誠にありがとうございました。私は非常に良い内容だと思います。 私は現在,熊本県の肥後銀行の社外取締役をお引き受けしておりますが、熊本県に限らず,地方創生については、各行政機関,そこに集うステークホルダーたちとの間で,非常に激しい競争が既に始まっているところです。したがいまして,例えば地方銀行ですと,地域の中核となる地方銀行であるために、という議論を毎月のように取締役会で行っております。ですから,私たち大学分科会も,このまとめをきっかけに,教育界としてのしっかりとした自覚を持ち,皆で切磋琢磨し協力しながら,実現に向けて努力していくという覚悟が必要だと考えます。その覚悟なくして,来年度以降の予算取りは非常に難しいのではないかと感じました。
 以上です。

【永田分科会長】  締めのお言葉になっておりますが,重々,所管も分かっていると思います。実際,先ほど少しありましたが,8月に大至急でまとめたものを基に,SPARCが概算要求に出ていって,財務省も認めてくれそうな状況です。そういった効果はあるので,一つ一つ丁寧に,今の気持ちを強く持って,皆さんとまたやっていかなければならないと思います。
 ここまでですが,御意見があれば,事務局にお送りいただければと思います。時間的には,今回がこの題材についての最後の議論であり,最終版が公表されるのは次回になると思います。そこでちょうど丸1年になります。その後,次の議題を,また次の1年間議論していくことになると思います。今日出た御意見を取りまとめて,極力反映させる努力をしますので,取りまとめに関しては一任をいただけないかということを最後に申し上げて,皆さんに首肯いただきたいと思いますが,いかがでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【永田分科会長】  ありがとうございます。丁寧に修正をして,また先生方にお示しして,最後は「てにをは」ぐらいで修文が済むように努力をいたしますので,よろしくお願いいたします。
 164回,これでお開きにしますが,その前に,次回以降の事務連絡をさせていただきます。

【髙橋高等教育企画課課長補佐】  本日は活発な御議論をいただき,誠にありがとうございました。
 次回の大学分科会は,2月9日水曜日の16時から18時を予定しております。実施方法,会場は調整中のため,追ってお知らせをさせていただきます。また,本日,時間の都合上発言できなかった内容等については,事務局まで御連絡をいただければと思います。
 以上でございます。

【堀家高等教育政策室室長補佐】  最後に事務局から1点だけ,補足を失礼いたします。
 日比谷委員から補正の関係で御質問いただいておりました,科研費の国際先導研究の創設に関して,長期の海外派遣がどれぐらいの期間を想定しているのかという点でございます。現状,長期というところでは,2から3年ぐらいの期間を想定しているということでございますので,よろしくお願い申し上げます。

【日比谷委員】  御回答ありがとうございました。

【永田分科会長】  次回はオンサイトでの開催を希望していますが,コロナ次第ですので,その状況に応じて,また皆さんとお会いすることとしたいと思います。
 本日はありがとうございました。
 
── 了 ──
 

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