大学分科会(第156回) 議事録

1.日時

令和2年9月15日(火曜日)10時~12時

2.場所

WEB会議

3.議題

  1. 大学等連携推進法人制度の導入について
  2. 地域連携プラットフォーム構築に関するガイドラインについて
  3. 教育と研究を両輪とする高等教育の在り方について
  4. 地方大学の振興について
  5. 「次期国立大学法人等施設整備計画策定に向けた中間まとめ」について
  6. 大学等における新型コロナウイルス感染症への対応状況について
  7. その他

4.出席者

委員

(分科会長)永田恭介分科会長
(副分科会長)村田治,渡邉光一郎の各副分科会長
(委員)有信睦弘,亀山郁夫,志賀俊之,吉岡知哉の各委員
(臨時委員)麻生隆史,安部恵美子,宇山恵子,加登田惠子,金子元久,河田悌一,小林雅之,佐藤東洋士,清水一彦,鈴木雅子,髙倉明,髙宮いづみ,伹野茂,曄道佳明,長谷川眞理子,古沢由紀子,益戸正樹,三村信男,山田啓二の各委員

文部科学省

(事務局)伯井高等教育局長,森大臣官房審議官(高等教育局及び科学技術政策連携担当),川中大臣官房審議官(高等教育局及び高大接続担当),笠原大臣官房文教施設企画・防災部技術参事官,淵上高等教育企画課長,西田大学振興課長,西村大臣官房文教施設企画・防災部整備計画室長 他

5.議事録


【永田分科会長】おはようございます。それでは,定刻になりましたので,第156回の大学分科会を始めさせていただきます。本日もWEB会議として開催いたします。それでは,事務局から,本日の注意事項をまず申し上げます。

【奥井高等教育企画課課長補佐】 失礼いたします。事務局でございます。
本日,WEB会議及びライブ配信を円滑に行う観点から,御発言の際は,挙手のボタンを押していただき,御指名がされましたらお名前をおっしゃっていただき,御発言いただきますようお願いいたします。また,発言時以外は,ハウリングの影響もございますので,マイクをミュートにしていただくなど御配慮いただけますと幸いでございます。
このWebexは大学分科会では初めて使用するWEB会議システムでございまして,会議中,不都合等あるかもしれませんが,適宜対応してまいりますので,御理解と御協力のほどよろしくお願いいたします。
会議資料につきましては,メールでお送りさせていただいておりますので,御確認をお願いいたします。以上です。

【永田分科会長】 ありがとうございます。本日,議事次第のとおり,その他を含めて7件の議題を用意しています。
最初は,大学等連携推進法人制度の導入について,大学設置基準の改正も含めて諮問されております。これについて審議をしたいということです。
2点目は,地域連携プラットフォームに関するガイドライン案について,広く意見の募集を行いましたので,その結果を御報告して議論を進めたいということです。
3点目は教育,研究を両輪とする高等教育の在り方について,これまでフリートークに近い形で御議論いただきましたけれども,これまでのいろいろな御意見を整理し直しまして,本日改めてもう一度議論に付したいということです。
4点目は,これは報告事項ですけれども,地方大学の振興について,本年の骨太の方針等の閣議決定の中に書かれている内容について,事務局から説明いただいて若干の意見交換をしたいということです。
5点目は,前回,参考資料としては配付しておりますけれども,「次期国立大学法人等施設整備計画策定に向けた中間まとめ」について,これも報告事項として事務局から説明を頂きます。
6点目,昨今,テレビ等でもいろいろと報道されていますけれども,大学等における新型コロナウイルス感染症下の授業等の対応について,事務局から報告いただきます。
それでは早速,最初の議題,大学等連携推進法人の認定制度に関する省令等の制定について,事務局から説明をお願いいたします。

【淵上高等教育企画課長】 高等教育企画課長の淵上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
私からは資料の1-1,1-2,1-3に基づきまして,大学等連携推進法人制度についての御説明をさせていただきたいと思います。
7月の本分科会で御審議いただきました内容を基に,8月15日から9月13日までパブリックコメントを実施させていただきました。お手元の資料1-1の8ページ目を御覧いただければと思います。8ページ目にパブリックコメントの結果について,意見募集の概要等を載せてございます。意見総数は,11件でございました。
主な意見といたしましては,最初の丸にございますように,国公私の枠を超えた新たな制度として「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン(答申)」(以下,「グランドデザイン答申」という。)を具現化した制度であり,教育の質保証が行われ進められることを期待するといったような御意見,あるいは,二つ目の丸にございますように,連携開設科目の制度化により大学間の資源が有効活用され,教育内容の充実や学生の選択拡大,教員の研究時間確保等が期待されるといったような御意見がございます。
また,最後の丸でございますけれども,認定の取消しを法人が受けたとき,現にこの認定により連携開設科目を履修している学生が受ける不利益に対する措置について検討いただきたいという御意見がありました。この意見を踏まえた若干の修正につきましては,後ほど御説明させていただきます。
それでは, 2ページ目を御覧いただければと思います。これは制度のイメージでございます。従前から御説明申し上げているとおりでございますので,ここの内容に修正はございません。
引き続きまして,3ページ目でございます。改正概要の1番といたしまして,一般社団法人の認定に関する規程(案)というものを載せさせていただいております。ここについては,パブリックコメントを踏まえ,あるいは技術的な観点から2点修正を加えていることがございますので,修正点について御説明をさせていただきたいと思います。
二つ目の黒ポツに具体的な基準について記載がございます。このうち②の当該法人の基本的な方針として以下の事項を記載した大学等連携推進方針を策定し公表していることと,こういう具体的な基準を満たしているかどうかという部分の記述でございますけれども,これの三つ目のポツでございます。修正案といたしましては,「教学上の特例措置を活用する場合は,参加大学間における教学面での連携の意義及び内容並びに2以上の大学間の役割分担に関する事項等」というふうに記載をしてございます。これはもともと7月にお示しをした原案では,後段部分が「参加大学間における教学面での連携の意義,目的や実施計画等」となっていましたところを,もう少し中身が明らかになるようにということで,技術的に「意義及び内容並びに2以上の大学間の役割分担に関する事項」ということで修正を試みているものでございます。
それから,修正の2点目でございます。このページの最後の黒丸でございます。その他というところでございますけれども,「その他認定の申請に必要な書類,各法人の活動状況が外部から確認できるよう事業報告書等の公表と文部科学大臣への提出を義務付け,法人に変更が生じた場合の届出事由,改善勧告,認定の取消し事由等について規定する」というふうに修正を施してございます。
この修正の趣旨でございますけども,先ほどのパブリックコメントで認定の取消しがなされたときの学生の不利益というものをしっかり考えてほしいというふうな御意見がございました。これを踏まえまして,いきなり認定取消しというふうなことになる前に,改善勧告というふうな仕組みを設けて,大学の方でしっかり改善に向けての取組を進めていけるようなことを講じてはどうかということがございますので,それを追加しております。
そして,この改善勧告を行うに当たりましては,文部科学大臣がしっかりその事業の内容を把握する必要がございますので,もともとは事業報告書等の公表の義務付けということだったのですけども,それを,併せて文部科学大臣への提出も含めて義務付けてはどうかという,この2点の修正を施しているものでございます。
続きまして,4ページ,5ページでございますけれども,内容についての修正はございません。形式的に7月にお諮りした内容を大学設置基準で改正する部分はどこなのか,また,学校教育法施行規則で改正する部分はどこかといったようなことを整理したのが4ページ目でございます。
また,省令ではなくて告示で規定すべき事項は何かということを記述しているものが5ページでございます。内容的な変更はございません。形式的な整理をし直しているだけのものでございます。
それから,5ページ目の最後には,施行期日(予定)としまして,本年10月頃の公布・施行を予定しているということを記述してございます。
続きまして,6ページ,7ページ,別紙1,別紙2の連携推進科目の履修により習得できる単位数ですとか,共同実施制度の最低取得単位数の特例といったものについては,前回と同様でございます。
めくっていただきまして,9ページ目以降につきましては,現時点での規程の案でございます。条文の案につきましては,今後,技術的な修正を行う可能性がございますけれども,現時点で考えている規程ということで載せているところでございます。
以上が資料1-1でございます。
資料1-2がただいま御説明をさせていただいた本件に関する諮問の内容でございます。また,御審議いただいて,お認めいただける場合には,資料1-3ということで答申をお願いしたいというふうに考えているところでございます。
以上,御審議よろしくお願い申し上げます。

【永田分科会長】 ただいまの御説明に御質問,御意見等あればお伺いいたします。いかがでしょうか。清水委員,どうぞ。

【清水委員】 一つ,これは質問になりますが,今回の改正は一般社団法人を認定する場合と,一法人複数大学という二つの柱でこの規制緩和の制度設計がなされております。制度の普及とか広がりという観点からすると,一法人複数大学の方にも広げたというのは非常に良かったと思います。
その上でお聞きしたいのですが,例えば,一般社団法人の認定については,国立大学協会とか公立大学協会とか,私立大学連盟もそうだと思っていますけれども,また,各地の大学コンソーシアムでも一般社団法人の形式を取っているところもあると思いますが,これらの一般社団法人にも申請資格があるのか。さらに,申請した場合,認定されるという可能性があるのか。その辺はどのようにお考えになるでしょうか。

【奥井高等教育企画課課長補佐】 高等教育企画課の奥井でございます。今回,この一般社団法人につきましては,2以上の大学を設置する者が社員となることを要件としておりますので,特段上限というものは設けておりません。しかしながら,いろいろな連携の目的ですとか意義等々については,定款なり,こういった連携推進方針に定めていただくことになりますので,より実効性があるものであれば,それは特段問題ないと考えております。以上です。

【清水委員】 そういう意味でも,制度の普及・広がりという面では,私は非常にいい制度設計ではないかと思っております。ありがとうございました。

【永田分科会長】 そのほかいかがでしょうか。よろしいですか。
それでは,本件には,大学設置基準の改正が含まれておりまして,大学分科会の議決をもって中央教育審議会の議決とする,ということに定められています。
そこで,まず事務局に定足数の確認をお願いします。

【奥井高等教育企画課課長補佐】 事務局でございます。大学分科会の委員及び臨時委員数は29名であり,現在26名の御出席を頂いておりますので,中央教育審議会令第8条第1項に基づく過半数を満たしております。以上です。

【永田分科会長】 今,御報告のとおりです。
それでは,お諮りをさせていただきます。先ほど事務局から説明のあった内容について御了解いただけることでよろしいでしょうか。
異議はないと認めますので,これを適当と認めて,文部科学大臣に答申をさせていただきます。先ほど若干申し上げましたが,法律上の文言等で若干の修正がある場合には,私に御一任いただきたいと思います。
ありがとうございました。
それでは,次の議題ですけれども,地域連携プラットフォームに関するガイドラインについて(案)ということです。まず,事務局から説明をお願いいたします。

【奥井高等教育企画課課長補佐】 高等教育企画課の奥井でございます。
資料2を御覧いただけますでしょうか。43ページ,最後のページになります。そちらをまず御覧ください。
5月の大学分科会におきまして,このガイドライン(案)につきまして御審議いただきました内容を基に,8月3日から9月2日の間,これは任意の意見募集でございますが,実施しております。24件の御意見を頂いているところです。
主な意見の概要は,この3のポツに示しておりますけれども,「地域社会における大学の役割に記載の基本的な考え方は正にそのとおりで,大学の存在価値というものが明確にならなければならない」ですとか,「地域連携プラットフォームの構築に当たって,未来志向の議論を是非行ってほしい」といった御意見,また,「自治体や産業界の参画というもの後押しできるような形で取り組んでほしい」といった意見,後段になりますと,地方公共団体への期待ということで,「地方公共団体が地域全体をコーディネートする機能を発揮してほしい」という御意見,そして,「実際にこのプラットフォームを運営する上で事務局の運営というものが非常に重要である」,「そういった事例についても是非紹介してほしい」といった御意見を頂いたところでございます。
これらの御意見も踏まえまして,ガイドラインを少し修正しておりますので,その修正箇所について御説明をさせていただきます。資料は戻りまして,3ページ目を御覧ください。
3ページ目に本ガイドラインの位置付けというものを記載しております。この中で政府の閣議決定といたしまして,「まち・ひと・しごと基本方針2020」というものが7月に閣議決定されております。この中でも政府全体として取り組む内容として,複数の高等教育機関と地方公共団体,産業界が恒常的に連携する地域連携プラットフォームの構築というものが重要であるということが提示されているところでございます。そういった旨を追記しております。
また,5ページ目を御覧ください。任意の意見募集で少し御意見がありましたが,形式的な議論という例示を少し追記させていただいていまして,年1回集まるだけのものですとか,十分にそういった情報が共有されてないということを例示として追記をさせていただいております。
続きまして,8ページ目を御覧ください。ここは大学分科会でもいろいろ御意見いただきまして,少しずつ具体化をしているところでございますが,自治体や産業界がプラットフォームに参画する意義について,少し補足的に追記をしております。また,この点,もっとこういった意義があるということがあれば,是非御意見をいただければ幸いです。
続きまして,15ページ,16ページを御覧ください。ここは参画レベルのところでトップ層とミドル層という表記をしていましたが,実際に,いろいろな事例の中でミドル層だけではなくて教職員の若手層あるいは学生なども参画している事例があるということでしたので,限定しないような表現ぶりにさせていただいております。
26ページを御覧ください。事務局運営の観点の事例として,真ん中の四角で,宮崎県がこういったプラットフォームを既に立ち上げておりまして,その事務局には県,大学,地方銀行の職員が派遣されているという事例がございますので,そういったものを追加させていただいております。
続きまして,32ページを御覧ください。プラットフォームで議論することとして,現実の直面だけではなく,未来志向の議論が望まれますというような形で追記させていただいております。
最後,40ページ目に,本ガイドライン,これは文章だけになりますけれども,このポイントを図示したものを作成しておりますので,このガイドラインの全体像を表した参考資料として付けさせていただいております。
御説明は以上になります。本件については,御審議いただいた後に,文部科学省でガイドラインの策定・公表という形を取らせていただき,関係省庁あるいは大学,地方公共団体,経済団体等にも積極的に周知を図ってまいりたいと考えております。
御説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

【永田分科会長】 ただいまの説明に御質問,御意見等はございますか。
今回修正されていないところでポイントがありました。例えば,自治体の参画を促す部分は以前から強調していました。自治体に担当部署を設けるべき,とまでは述べていませんが,設置が進むことも期待されると述べていまして,自治体側でも高等教育について関心を持ってほしいと主張しています。
よろしいでしょうか。佐藤委員,どうぞ。

【佐藤委員】 26ページに宮崎県のケースとして,事務局及びプロジェクトの運営資金は県,大学,企業からの財政支援により成り立っているというコンソーシアムの運営の形態が出ているわけですけれども,これで文部科学省として地域連携プラットフォームが,これは大いにいいことなんだけれども,運営するための財源とかそういうことについても積極的に支援をして育てていくつもりであるのかどうかということについて少し伺いたい。

【永田分科会長】 事務局から回答をお願いいたします。

【奥井高等教育企画課課長補佐】 高等教育企画課の奥井でございます。
事務局の運営経費について,直接支援するツールは,残念ながら,今,持ち合わせていないというのが現状でございます。一方で,地方創生関係の予算というものが文部科学省のみならず,いろいろな事業ベースでは支援が行われておりますので,こういったプラットフォームでの議論を通じて,活動費についてはそういった支援を是非活用していただきたいという点と,今後,こういうものがうまく浸透してきた場合には,全国的にそういったエンカレッジできるような支援については,適宜検討していきたいと考えております。
以上です。

【永田分科会長】 物足りないかもしれませんが,ガイドラインですので国に支援するようにとは書けません。したがって,ガイドラインをもとにできた新たな組織からの要望に基づいて,個別に支援を行う形になるだろうと思います。
山田委員,どうぞ。

【山田委員】 よろしくお願いします。
ガイドラインを読ませていただきまして,文章的に私の意見も取り入れていただきまして,ありがとうございます。問題もなく,良くなったと思っています。
1点なんですが,この連携プラットフォーム,地域と大学,経済界,そして自治体連携をして地域の在り方をよりよくしていくという画期的なものだと思いますが,ほかのところでもいろいろと連携推進方針が出てきているんですけれども,大学の将来の在り方自身も大学の生き方として考えるべきだと思います。つまり,大学,このまま18歳人口が減っていく中で,いろいろと連携とか統合とかそういった形が出てきているときに,地域において地域と統合し,一体化していくような大学の在り方を探っていく。大学の将来の在り方の一つのモデルとなるような形もここでできれば出していただきたいというふうに思っております。これは文章としてどこまで書くのかという問題はあろうかと思いますけれども,やはり地域における大学の将来の在り方を考えていくんだ。そして,それに対して,先ほど財源の話がありましたけれども,地方公共団体や経済界も大学を支えていくという意思が持つべきで,国が支えていくような話ではないと思っています。そうした雰囲気が少し出ればいいと思っております。
大学にとっては,今のままでいくのか,それとも統合していくのか,それとも地域と一体化して,新しい地域における役割を持った組織として生まれ変わるのかという第3の道みたいな形が出てくるといいなと思っております。以上です。

【永田分科会長】 ありがとうございます。いまの御意見には後ほど回答いたします。吉岡委員,どうぞ。

【吉岡委員】 言わずもがなのことなんですけれども,こういう地域プラットフォームができることによって,地域を活性化し,産業界も活性化し,それから大学もいろいろな形で可能性を広げていくというこの基本的な姿勢というのは大事だと思うのですが,同時に,コロナの時代になって,例えば,外国人の留学生が減るとか,外国に送り出すのは難しいとかということが起こっているわけで,やはりこれは地域に閉じてしまわない,つまり,プラットフォームを基礎にして,やはりグローバルな時代にどういう形で地域が地域に閉じずに発展していくか。地域の産業界が国際的な活躍をしていく。そういうためのものであるということが大切だと思います。こういう時代なので,地域地域というと,閉じてしまう可能性がないかちょっと不安があったので,一言申し上げました。
以上です。

【永田分科会長】 ありがとうございます。曄道委員,どうぞ。

【曄道委員】 私も,今の吉岡委員と同じような観点なんですが,13ページの下の方に「参画の主体」という表現の中で,もちろんその対象地域における教育機関が主体的役割を果たすのだと思いますが,各地域に分断されることを避けるべきと思います。13ページから14ページにかけて,「対象地域以外の大学等が参加することも考えられます」というその表現が,今,吉岡委員がおっしゃったんですけど,地域に存在しているものだけで地域を考えるというちょっと固定的な概念を与えるような気がしました。
先ほどの一番後の方のまとめのページの中にも,デジタル化について進めていくということがある中で,その地域を活性化させるために取り組む他の地域からのエネルギーをやはり吸収するようなことを考える地域もあると思われるんです。ですので,もちろん「考えられます」ということで言い得てはいると思うんですが,もう少し積極的にそれを呼び込むことも視野に入れたような書き方になっているのが適切ではないかなというふうに思います。

【永田分科会長】 ありがとうございます。
今,山田委員,吉岡委員あるいは曄道委員が述べられた御意見を,余り大きく文章を変えないで反映しようとすると,32ページの「この際局面する課題だけにとどまらず未来志向の議論が行えることが望ましい」の文章を少しだけ修正し,例えば,未来志向に代えて「現在の世界が置かれた事情も勘案し」「将来の大学像の在り方についても」のように修正すればよろしいかなと思っておりますが,いかがでしょう。

【山田委員】 山田ですけれども,それで結構です。

【永田分科会長】 吉岡委員と曄道委員,御意見の趣旨をうまく短いフレーズで反映させるような形でよろしいでしょうか。ありがとうございます。長谷川委員,どうぞ。

【長谷川委員】 今の皆さんの地域地域でいいんだけれどもちょっと閉じすぎるという感じは私もしました。未来志向のところを変えるのが一番いいのではないかと私も思います。今度のコロナのこともあり,都市一極集中型とか,それから大学とか企業とかがコンパートメント化して独立してそれぞれ目標を掲げているというようなことで,働き方がそうではないんだというようなことが明確に分かってきたと思うんです。ですので,いろいろなところにあるものを有機的につなげて,そして目標を共有することによって新しいことができる,それは形にとらわれないみたいな,そこが未来志向のところで少し書き方を変えていただければなと思いました。
以上です。

【永田分科会長】ありがとうございます。御意見はここまでにさせていただきます。今の長谷川委員の御意見は,地域は世界に直結しているという認識のもとで未来志向をどう考えるか,という文章にすればよろしいかと思います。
それでは,この案はいろいろな御意見が集約されてかなり煮詰まってまいりました。最後の部分が夢と希望を語る場になっていますので,本日頂いた御意見をうまくこの部分に入れるように修正させていただきます。これ以外の修正は私に御一任いただき,その先の手続を進めたいと思いますが,いかがでしょう。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
それでは,次の議題に移ります。「教育と研究を両輪とする高等教育の在り方について」ですが,まず事務局から説明いたします。本件はこれまで議論を重ねて参りまして,ようやくまとめの骨子が作れたかなという段階ですので,さらなる御議論をお願いしたいと思います。
それでは,説明をお願いします。

【奥井高等教育企画課課長補佐】 高等教育企画課の奥井でございます。
資料3-1,3-2,3-3に沿って御説明を差し上げます。
まず,資料3-1を御覧ください。この資料につきましては,これまで本分科会で様々な御意見を頂きました内容について論点整理(案)ということで整理した内容でございます。前回の大学分科会の御意見も踏まえて,少し朱書き,赤字で見え消し修正しておりますので,後ほど御覧いただければというふうに思います。
続きまして,資料3-2を御覧ください。前回の御意見でも,この論点整理(案)については,非常に多岐にわたる内容で様々なところに要素が散りばめられているという御意見がございまして,この論点整理(案)に書かれている内容につきまして,1枚でまとめたものを事務局で作成しております。
少し内容について御説明をいたします。まず,上の枠についてでございますが,ここでは概念,考え方を示しております。「大学は教育と研究の本来的な機能の発揮を通じて社会の将来的な発展を支え,推進する基盤であり,知識集約型の価値創造システムの中核である」と大学の役割等について明記するとともに,グランドデザイン答申で提言されている内容といたしまして,「学生と教員を要している大学が教育と研究一体不可分のものとして人材育成と研究活動を行っているこの仕組みが知識の共通基盤として社会を支えている」ということを改めて整理させていただいております。
これまでの議論を踏まえまして,目指すべき方向性を示させていただいております。教育と研究の中でいろいろな人的・物的リソースをしっかりと組み合わせて,総合的,言わばチームとして教育研究機能を最大化することで教育・研究・社会貢献は実行することが必要ではないか。その先に,この右側の青囲いで書いておりますが,社会の発展,人材育成,社会実装,イノベーション,そういった社会の変革に貢献していくんだということを整理させていただいております。
こういった議論をしていく上で,一番左の青いところに書いてありますが,問題提起として,大学教員の意識というものをいろいろなエビデンスから御紹介しております。大学教員は教育者と研究者の側面を持つということが大前提でございますが,教育に比べて研究活動の関心が強いですとか,一つのディシプリン思考で社会貢献や異分野交流への意識が低い。こういった教員の調査結果もございました。
また,大学教員の管理運営の業務負担というのが非常に大きく,教育研究に専念する時間がなかなか取れないというような課題も示されております。
こういった問題意識等を踏まえて,施策として考えられるものを真ん中の緑色に整理させていただいております。大学教員の在り方につきましては,これまで教員の採用・評価の在り方について,各大学で実質化し,その精度を高めるということが必要であるという御意見がございました。
その内容としましては,採用段階で求める人材像,例えば,教育重視なのか研究重視なのかですとか,また,教員の業績を適切に把握し,定期的に評価,それをしっかり取り組んでいくことが求められるとか,また,多面的な評価に取り組むことが必要であるといった御意見を載せているところでございます。
こういった教員の在り方とともに,教育研究機能の活性化という観点で,教員間の連携はもちろんですが,事務職員,技術職員,URA,TA,RA等をしっかり活用することで,各場面,時々に応じてチームとして取り組んでいくことが重要であるといった御意見を載せております。
その内容といたしましては,教育課程の編成として,教員間の連携,チーム・ティーチングを実施することが必要である。また,教育面では,TAをしっかりと活躍できる,あるいは養成していくことの重要性を御意見として頂いているところでございます。
また,こういった教員の採用あるいは教育研究機能の活性化,様々なチームとして活動・運営していく上で,大学運営マネジメントというものをしっかりと構築することの重要性というものを下の枠で整理させていただいております。
内容といたしましては,教職員のいろいろな評価も重要であるとともに,学部・研究科などの組織単位での評価というものも考えていくことが必要ではないか。また,マネジメントというときに,いわゆるタイムマネジメントというものの重要性というものも御意見として頂戴しております。そのほか,教員が教育研究活動に専念できるように,入試業務などもそうですが,大学の管理運営業務の見直しを行うことが必要であるとか。また,事務の効率化みたいなものもやはり必要であるということを整理しております。
最後に,事務職員等の重要性などは本分科会でも御意見としていただいておりますが,そういった教育・研究・運営を支えるプレーヤーの役割や位置付けの明確化,また,それらの役割分担というものをしっかりと各大学の中でも考えていく必要があるというものを整理しております。
こういったいろいろな施策を通じて,一番右側のオレンジ色にあります,「教育」と「研究」を両輪とする大学教育をしっかりと実現していく。ただ,その「教育」と「研究」の両輪というバランスは,当然,教員個人でも違いますし,各大学・学部でも異なります。また,各教育課程においても多様であるということを前提にしつつ,そういった重点の置き方が異なる教員あるいは組織がチームとして教育課程を編成あるいは実施していくということが一番重要であるということを整理しております。
この資料につきましては,論点整理(案)の全体的な文言について全体像をまとめておりますので,今後議論を深めていく際に,併せて御確認いただきながらいろいろな御意見を頂戴できればと考えております。
続きまして,資料3-3を御覧ください。こちらにつきましては,論点整理(案)で述べている方向性の中で具体的に御意見を頂き,深掘りをしていきたいという観点から資料を整理しております。この明朝(みんちょう)体で四角に囲ってあるものが論点整理(案)からの記述を抜粋したものでございまして,その下のゴシック体がどういう観点で検討していくのかというものの例示を書かせていただいております。
例えば,1ページ目でございますが,各大学におけるFDを通じてそういった意識の重要性を再確認してもらう際に,どういったFDを実施することが有効であるのかですとか,また,教育や研究の重点の置き方,いわゆるバランスということを考えたときに,例えば,教育を重視する教員,研究を重視する教員などに役割を分化,例えば,リサーチプロフェッサーやティーチングプロフェッサーのような仕組み,こういったものについてどう考えるのか。
また,2ページ目を御覧ください。こちらは大学教員の在り方ということで,教員の採用・評価について御意見を頂いておりますが,具体的に教員採用において明らかにしておくべき要素としてどういうものが考えられるのか,また,各大学において教員の評価に取り組まれていると思いますが,そういった教員評価システム実質化するために必要なこととしてどういうものが考えられるのか,また,その評価軸ですとか,多面的な評価というものはどういう仕組みが考えられるのかということを観点例として挙げさせていただいております。
続きまして,3ページ目を御覧ください。こちらは教育研究機能の活性化ということで例示をしているものでございます。上の方の枠のところでございますが,こちらは教員間の連携を十分に図る効果的なチーム・ティーチングを実現するために必要なこととしてどういう仕組みが考えられるのか,また,教育課程のみならず,一つの授業科目あるいは科目群において専門領域の異なる教員がグループとして取り組む際に考えられる仕組みはどういうものがあるのか。また,下段の方ですが,こちらはTA・RA等の役割に関することでございます。TA・RAが担う役割として,また,その役割を十分果たすための能力開発の仕組みとして具体的にどういうことが考えられるのか,また,技術職員,URA等の役割や,特にキャリアパス確立のために必要なことというものがシステムあるいは仕組みとしてどのようなものが考えられるのかといったものを挙げております。
最後に,大学運営マネジメントの観点として,4ページ目を御覧ください。ここは,少し観点例は論点整理(案)の繰り返しになっているかもしれませんが,教員が教育研究活動に十分なエフォートを割くことができるよう,大学運営に関する業務をどのように軽減していくのか。これを各大学でどういう仕組みで取り組むことが考えられるのかという観点例ですとか,また,その一番下のポツで,会議や事務作業の効率化について,これは当然各大学で努力されているかと思いますが,より改善や効率化を進めるために必要なことは何かといったものを挙げております。
その下段の枠のところですが,こちらは事務職員の重要性について,本分科会でも多くの御意見いただいておりますが,その役割として,あるいは,能力開発の仕組みとしてどういうものが考えられるのか。例えば,アドミッションオフィサーですとか,IRの担当者などの役割や位置付けなど,そういったものをどういうふうに重要性を認識していくかということを例として挙げております。
5ページ目を御覧ください。こちらは大学の内部質保証にもつながることかもしれませんが,各大学の学部・研究科など組織としての活動を大学のミッションや目指すべき方向性との関係においてどう評価するのか,また,どういう評価の在り方が考えられるのかといった観点例を挙げております。最後に,大学運営のマネジメント機能,これはなかなか難しいことかもしれませんが,そういった機能を高めていくために,例えば,マネジメントのシステムをどう考えるのか,あるいは,それを担う人材育成についてどう考えるのか,そういったものを観点例として挙げております。
この検討の観点例の資料も非常に多岐にわたるものでございますが,今後の取りまとめに向けて,もっとフォーカスすべき点ですとか具体的に掘り下げていく観点等もあるかと思いますので,忌憚(きたん)のない御意見を頂戴できればと思っております。どうぞ御審議の程よろしくお願いいたします。

【永田分科会長】 ありがとうございます。
本日は,資料3-1の論点整理(案)を見ていただくよりは,資料3-2と3-3を中心に見ていただけるとよろしいかと思います。特に3-3の章立てのような骨子において,今後に向けた検討の観点例が書いてあります。
中央教育審議会,特に大学分科会における議論は,まず理念について議論をするのは当然重要ですが,教員のマインドを変えるべきであるという結論だけでは不十分です。最終的に,そのためにこのような方策や施策を取り入れるべきである,という具体的な提案がなければ何も変わらないからです。
ですから,例えば,TAについて言及されておりましたけれども,TAの位置付けやTAの支援方策,あるいは,より高度なティーチングプロフェッサーのよう仕組みなどについても考えなければなりません。また,例えばIRに関わる職員やURAについてはキャリアパスを作らなければ優秀な人は増えてこない,というのであればそれを構築する施策はどのようなものが考えられるか,といった検討も必要です。我々としては,それぞれの検討の観点例を今回も皆さんに述べていただきながら,次回以降はそろそろ,それらを定着させていくための施策,あるいは,それをより深く考えていただくためにどうしたらいいのか,という議論を進める必要があると思います。
本日は,特に資料3-3の観点例を増やすか,あるいは,こういうところをもっと深掘りした方がいいのではないか,というような御意見が一番有り難いと思っております。もちろん全体を通したもう少し基本的な概念についての御議論でも結構です。それでは,御質問等ございましたらお願いします。益戸委員,どうぞ。

【益戸委員】 今回のコロナ禍を通して,教育と研究の大切さを改めて国民全体が認識したのではないかと思っています。その結果,従来よりもこの議論を進めやすい環境になったというのがまず一つ目の点です。結果的に,改革や変革に消極的な方々にとっても,これはどうしても越えていかなければいけないことなのだという一種の諦め,認識をお持ちいただけたのではないかと思っている。これが一つの前提です。
その上で,私は二つのことを申し上げたいと思います。まず一つ目は,昨日,菅総裁が誕生して,その記者会見にて,省庁間の無駄を省くようなお話が出ておりました。私は「教育」と「研究」を両輪とする大学教育の在り方については,どうしても文部科学省だけでは弱いのではないかと前々から思っておりました。しかし,現在の省庁間の関係からすると,なかなかその検討は進まないと思っていたのですが,今回はチャンスではないかと。内閣府の中にも予算はありますし,経済産業省にもありますし,場合によっては総務省も絡んでいる。何にしろ財務省の理解は得なければいけない。とすると,この議論は各省庁間で共通の重要事項であり,日本の将来のためには大切だということをふまえて提案や意見具申をするべきではないかと思いました。
それから,二つ目ですが,これは民間からすると当たり前のことなのですが,資料3-2の緑の部分にある通り,いろいろな具体例というか,やるべきことがあると思いますけれども,やはり,あなたは何をやる人なのか,何に責任を持っているのか,何に協力をするのかということを明快にしていく風潮が,世の中,少なくとも民間企業にはありますから,その点についても言及したらいかがかと思います。

【永田分科会長】 ありがとうございます。後でまたコメントをさせていただきます。それでは,村田委員,どうぞ。

【村田委員】 今,益戸委員からございましたように,資料3-3のところについて,前回もうちょっと早い段階で申し上げた方が良かったんですのかもしれないですけれども,なかなかちょっと気付かなかったので。
二つあります。一つは検討の観点例のところなんですけれども,実は,資料3-1の論点整理のところには少し書いてあったんですが,「教育」と「研究」の両輪としての大学の教育の在り方のときに,学部と大学院を少し分けて考えないといけないのかなと思います。その辺りが恐らく国立大学は,今,大学院の教授,私立大学はまだ学部の教授になっていますから,大学院と学部を少し分けて議論する必要があるのと,それから,理系と文系もやはり分けないといけないのかなというのが検討の観点例をもし付け加えるのであれば,そういう観点を少し加えた方がいいのかなというのは考えております。
それから,もう一点。観点例のFDのところもあるんですけれども,むしろこのもともとの問題意識,資料3-2にありますけれども,日本の先生方は自分の研究をどうしても重視して,教育と研究の部分がというのがあります。多分,文部科学省から見ると,研究を重視している割には日本の研究力は高くないわけで,という問題意識があろうかと思います。恐らく,これは任用だとか昇進のところでほとんど研究を重視で任用,昇進が行われて,教育のところでは全く付け足しになっているというところが結局研究重視になってしまっています。研究の部分は点数化されていると思うんですが,教育もやはり点数化をしていくという形にして,そうしないと先生方のマインドは変わらない。
マインドを変える仕組みとしては,正にそういった制度を変えていくしかないのかなというふうに思っていまして,教育の評価をどうするかということをちゃんとしていかないといけないのかなというふうに思います。そのことができれば二つが結びついていくんじゃないのかなというふうに思っています。
以上でございます。

【永田分科会長】 ありがとうございました。有信委員,どうぞ。

【有信委員】 ありがとうございます。今の村田委員の御意見とも関連するんですが,まず,全体的に言うと,教育と研究のあるべき姿については,かなりまとまってきているような気がします。ただ,全体が大学サイドあるいは教員の視点側の話が中心になっていて,今更なんですが,やっぱり学生側の目線というんですかね。さっき村田委員からの御指摘もありましたけれども,教育も言わば人材育成という視点での議論をどこかに入れる必要があるような気がします。
人材育成というと,どういう人材を育てるかという議論の始まりのところで極めてセンシティブな話になってしまうので,ある程度の抽象性の中で議論せざるを得ないと思いますけれども,例えば,民間企業の中ではコンピテンシーというような言い方をします。極めて抽象的にコンピテンシーということで,その人の資質,能力等々を評価しようという試みがありますが,例えば,学生が社会の中で身に付けるべきコンピテンシーというような観点の議論で,それを大学がいかに育成していくか。その育成したアウトカムをどういうふうに評価するかというところで,先ほどの村田委員の御意見ともつながると思います。
現実に,大学を卒業した,主に学部ですけれども,学部を卒業した学生が就職をして,3年間で3分の1が辞めてしまっているわけですね。こういう現実がある中で,大学の教育が本当にきちんと行われているのか,あるいは,人材育成についてもディプロマ・ポリシーの中で育成目標は示していると思いますけれども,そういうところをどういうふうに決めていくのかというような議論を少しやる必要があると思います。その中で学部と大学院の役割についてもやはり議論していく必要があるような気がしています。
以上です。

【永田分科会長】 ありがとうございます。小林委員,どうぞ。

【小林委員】 ありがとうございます。私も,今,永田分科会長のキャリアパスの議論,それから,有信委員の人材の育成という問題に関連して,広くいって研究のことについてはかなり触れられていますが,村田委員がおっしゃったように,教育の部分とか学生の部分というのが余りないというのが気になっていまして,その中で一つ具体的に申し上げたいのは,資料3-3の4ページに簡単にIR担当者ということが出ているのですが,これ一言だけです。教学マネジメント指針では,IRについては教学IRという形で相当議論して書き込んでいるのですが,それが全く生きていないという感じがします。
更にいえば,IRというのは,決して教学だけの問題ではなくて,研究や大学全体に関わる問題ですから,もう少しこのところを深掘りしていただきたい。URAとか新しい,特に若手が担当しているような職種,第3の職と言われているのですけれども,そういった新しい職種が増えていますから,そういうものについてキャリアパスとか任期制をどうするか,そういった議論を少しここに入れていただきたいと思います。
以上です。

【永田分科会長】 ありがとうございます。渡邉委員,どうぞ。

【渡邉委員】 今回,資料3-2に全体構造をお示し頂いておりますが,今までの議論の内容が非常によくまとめられていると思いました。特に,冒頭に「教育」と「研究」を両輪として,高等教育のグランドデザイン答申に向かって,社会に貢献するという目的意識が明確化された点が非常に分かりやすくなりました。また,一番下に記載されているとおり,こういった両輪を支えるには,大学運営マネジメントの確立が非常に重要だと考えます。
大学運営マネジメントにおいては,射程範囲をどうするかということが重要ですが,今の記述内容は大学の内部管理の視点が強いのではないかと感じます。教学マネジメント指針でも同様の議論されていますが,そのときに指摘された内容で非常に印象的なことは,大学内のみならず国際社会や地域社会,産業界等と密接な関係のある存在であるということ,また大学に対して期待を持つ社会一般,こういったところとの積極的な連携を図ることが重要である,ということです。
今回の,資料3-2の上の青い部分「目指すべき方向性」の記述でも,「大学の人的・物的リソースを様々に組み合わせ,総合的に教育研究機能を最大化し,教育・研究・社会貢献を実行する」とありますが,そうした場合,大学運営マネジメントの射程範囲は,もう少し広げていく必要があると思います。
例えば,デジタル化に対応していくためのマネジメントや,外部組織と連携,つながりを持つためのマネジメントなど,こうした形で大学の教育と研究がもっとウイングを広げるという視点があってもいいのではないでしょうか。当然,外部組織との連携ということになれば,国内外の大学との連携や地域連携プラットフォームにもあるような自治体との連携,あるいは,産学連携といった視点が入ると思います。今回のこの射程範囲で,例えば,産学の共同研究は科学技術・学術審議会の検討領域だという整理もあるかもしれませんが,大学が目指すべき方向性に向かってよりウイングを広げて存在感を高めるという視点から見ると,大学運営全体のマネジメントとしては,いま申し上げた方向も含めて議論していただいた方が良いのではという印象を持ちました。
これまでの論点から少し広げすぎるのかもしれませんが,様々な審議会等で進んでいる検討とジョイントするためにも,そうした視点での議論を入れていただけたらと思います。
以上です。

【永田分科会長】 ありがとうございます。三村委員,どうぞ。

【三村委員】 どうもありがとうございます。三村です。
私,資料3-2の大学教員の在り方,あるいは,今御発言がありました大学運営マネジメントのことについて申し上げたいと思うんですけれども,教員のマインドをどう変えるかというのがずっと長く課題になっていたということはそのとおりだと思います。そのところで,大学構成員のダイバーシティーをどう高めるかというような観点が非常に必要なんじゃないかなと最近思っています。女性とか,あるいは外国人教員,あるいは若手の教員,それから,企業や地域で活躍している実務家の教員,そういうような人たちが入ってくることによって,既存の教員が外からの風を受けて考え方を変える,社会の期待を感じる,そういうことができるようになるんじゃないか。
実は,コロナの問題で日本の大学からの様々な発信というのが若干弱いんじゃないかということを感じていて,大学の中でいろいろな先生と話をしたんですが,外国の大学ではいろいろな分野の方々が集まって社会に対する様々な発信を活発になっているというような例を紹介した先生もいて,そういう意味では,他分野に対する関心が若干弱いし,そういうところに入っていく力が弱いんじゃないかという指摘があります。それを既存の教員のマインドセットをどう変えるかということだけじゃなくて,教員の組成そのものを変えて,そういう力によって大学全体の動きも変えていく,そういうような考え方が必要なんじゃないか。
ですから,この大学教育の在り方のところで,そういう教員のダイバーシティーのことを述べるのか,そういうことを推進するための大学運営マネジメントが必要だというところで述べるのか,いずれにしてもそういう考え方も重要なんじゃないかなというふうに思います。
以上です。

【永田分科会長】 ありがとうございます。河田委員,どうぞ。

【河田委員】 私が思いますに,日本の大学はやはり教員にとって非常に雑務が,雑務と言ったら失礼ですけれども,教育,研究以外の仕事,すなわち入試の仕事,それから,教育もこの頃はアクティブラーニング,課題解決型教育など,様々な教育改革があって,大変になっているのは確かだと思います。ですから,先ほどのマインドを変革するという村田委員の御意見と重なりますが,方策として「サバティカル」というアメリカの大学では普遍的な有給で休暇を取れるという制度を導入して,期間はアメリカのように必ずしも1年間ではなくとも各大学に任せる。現在,各大学も前期,後期の2学期制もあれば,3学期制や4学期制もありますから,最低半年ぐらいはサバティカル制度で公に休暇を取って研究に専念する。そして,教育以外のこと,つまり教えること以外で仕事をした方に,優先的に休暇を取らせてあげる。そういうサバティカル制度を導入するということを,例えば,資料3-2の一番下の大学運営マネジメントの確立の中で「サバティカル」という言葉を入れておいて,これを導入することが必要だというふうになさればいかがか――というのが私の考えです。

【永田分科会長】 ありがとうございます。髙宮委員,どうぞ。

【髙宮委員】 髙宮でございます。
私の言及対象は,3-3の資料の3ページ目のところ,教育研究機能の活性化の下の段の部分でございます。ここでTA・RA等々,教員の研究時間を失うような作業を軽減する可能性があるいろいろな職についての言及があります。その検討の観点例のところで,既存のTA・RAについて検討するという観点が述べられておりますが,その前に,この産学連携やICT化も含めて,最近起こっていることについて,今までなかったような連携の仕事が教員にたくさん降りかかっているという現状認識が必要ではないかと思います。
特別職の方がいらっしゃらないので,産学連携のあらゆる手配を教員がやるであるとか,ICTに関しても,何か導入すると全て教員が対応するであるとか,すなわち広がってきつつある職に関して,もっと別のサポーターが必要ではないかという種類の認識がまだしっかりなくて,そこを教員が背負ってしまっていることが,雑務が多いという言葉で言われている要因の可能性があると思いました。
そこで,既存の認識されている分野だけではなく,ほかにどのようなところが増えてきているのか,これもしっかりと新しい状況あるいは今後の状況を見据えて認識するということが,この前段階に入ったらいいのではないかと思いました。
以上でございます。

【永田分科会長】 ありがとうございます。麻生委員,どうぞ。

【麻生委員】 ありがとうございます。麻生でございます。
資料3-2の真ん中の右側にオレンジ色で囲んであります「教育」と「研究」を両輪とする大学教育の中で,先ほど村田委員もおっしゃいましたように,学部と大学院の在り方が違うということもありますが,ここには具体的に学部,大学院,専門職それから短期大学のことについても述べてありまして,それぞれ,当然,「教育」と「研究」の両立をしつつ,内容が違うということを資料3-2で指摘されております。実際に資料3-3の在り方に関する検討についての案の観点例については,そのことが余り深く言及されていません。これは各学部を中心に書かれているように見えますので,もし短期大学や専門職大学,専門職短期大学さらに,大学院も含めたまとめ方の観点例になることを望みます。よろしくお願いいたします。

【永田分科会長】 ありがとうございます。金子委員,どうぞ。

【金子委員】 ありがとうございます。
私は教員の制度改革についてはいろいろとやるべきだというふうにこれまで申し上げてきたのですが,ただ,今回このような形で問題になりましたのを少し考えてみますと,どちらの観点から出てきたのかなと思うところはあるわけですが,これまで科学技術会議とかイノベーション会議でここ4,5年ずっと教員評価,教員の話が出ていました。これは日本の大学教員の特に中高年辺りの研究生産性が低いといったことと関係しているんだと思うんですが,それはそれで重要な点だと思いますが,ただ,教育の観点から教員の関わり方をどう考えるかということについては,まだ私は十分に議論しているわけではなくて,突然といいますか,こういう形で両輪という形で出てきたわけでありますけれども,教育への関わり方というのはかなりいろいろな問題があるので,これについては更に周到に議論するべきで,特に今まで中央教育審議会で議論してきた提言などは,かなりそのままKPIに使われていて,それが詳細に大学の行動を規定するような言葉がかなりあちこちであるわけですが,この教員評価とか教員に関する問題は,余りそういったものに具体的にすぐに結び付けると,かなり大学の中で私は混乱が起こると思いますので,先ほどのお話のように,何か時代が変わったということを示す必要があるかもしれませんけれども,書きぶりにはかなり注意した方がいいのではないかと思います。
それで,特に具体的に,例えば,大学教員評価について精緻化するということを書いてあったわけですが,精緻化は実は非常に難しい。いろいろなことを世界各国でやってきたわけですが,精緻化はそんなに簡単にできるものではない。ただ,日本では大学評価が余り大きくな意味を,うまく機能を果たせなかったのは,一つは大学から年功序列の賃金水準があって,それを一定のところで辞めさせるわけにはいかない,この人事制度がある限りは要するに人事異動が起きないわけですね。評価というのは,同じ大学にいる上役が評価することもありますが,学生にとっての評価が非常に重要なのは,ほかの大学とかいろいろな学会とか,あるいは,ほかの人たちがどう評価してくるというのは非常に重要なので,それが表れるのは大学間の異動なわけです。
そういう意味では,流動性がないところで評価をすると,非常に苦しい社会になってしまう。これはやはり非常に大きな問題だと思います。そういう意味で,私は特に教員の流動性を高めるような予算措置みたいなものは,どうしても必要なのではないかと思います。
それから,もう一つ。これに関連して,日本の大学の先生というのは,大学院生もやはり流動性が少ない。流動性が少ないことによって,かなり損しているところもある。そういう意味で,評価の問題とそれから流動性の問題は組み合わせて考えるべきではないかと思います。
以上です。

【永田分科会長】 ありがとうございます。安部委員,どうぞ。

【安部委員】 ありがとうございます。
先ほど麻生委員からもおっしゃっていただいたんですけれども,この資料3-2の赤枠のところの学校種や学位段階に沿った多様な教育と研究の在り方が述べられておりますが,私ども短期大学のように,職業又は実際的生活に必要な能力を育成することを目的とし,また,専門職大学,専門職短期大学のように,専門性が求められる職業になるための応用的,汎用的能力を育成するという目的の大学においては,教育力を裏付ける又は支えるための教員の研究能力が非常に必要になってくると思います。
特に,実務家教員の比率等が高い学校種においては,いわゆる教育力を裏付けるため,支えるための研究の在り方というのも必要ではないかと思います。具体的に言いますと,自らの研究が学生の教育にどのように反映されているのか,学生の学びと成長につながっているのかについて,まずは教員が自己評価をし,仲間内での評価等々の評価というのがやはり必要になってきて,大学における「教育」と「研究」の両輪というのが成立する一面もあるのではないかと考えます。以上です。

【永田分科会長】 ありがとうございます。それでは,古沢委員,どうぞ。

【古沢委員】 ありがとうございます。
2点ありまして,一つは資料3-3の大学運営マネジメントの4番のその中でアドミッションオフィサーという言及がありますけれども,入学者選考はもちろん大学運営にも教育にも密接に関係があると思うんですが,よく言われるように,米国や韓国の大学では専門職員が入学者選考を担っている状況があって,日本では非常に大きな負担として大学教員が担っているのが一般的だと思います。その中で,今後,総合型の選抜なども増えてくる中で入学者選考についてどのように位置付けるかということは,やはり改めて検討していく大きな課題ではないかと思います。どのように人材を養成して,職員という形でもどのように確保していくかということが重要だと思います。
もう一つ,新型コロナウイルスの影響で教育のオンライン化が急速に進んでいる中で,デジタル化,今後もコロナが収束しても,今のような形かどうか分かりませんが,かなり普及すると思うんですけれども,どう位置付けるか。対面による教育指導を大学としてどう位置付けるかということを改めて「教育」と「研究」を両輪する大学教育を考えていく上ではやはり言及した方がよいのではないかと思います。
以上です。

【永田分科会長】 ありがとうございます。吉岡委員,どうぞ。

【吉岡委員】 吉岡です。ありがとうございます。
2点申し上げたいと思います。一つは有信委員がおっしゃったこと,村田委員もそうですが,それからつながりでいうと今古沢委員のおっしゃったことにもつながると思うのですが,ここでの議論で,学生の視点が非常に重要だということは,グランドデザイン答申以来ある程度共有されていると思うのですけれども,にもかかわらず,我々が今議論しているのは,研究と教育といったときのその考え方は,かなりの部分が個人の先生がどうすべきかというような議論になっていると思うのです。
大学の教育ということで,かつ,先ほどもありました人材を育てていくという意味では,大学の教育というのは,極端に言えば,授業だけではないわけです。授業のレベルをどうするかという議論だけでは閉じていないわけです。ここのところのオンライン化で出てきたいろいろな学生たちの意見なんかからも分かることだと思うのですけれども,学生の成長過程というのは,広い意味で言えば,キャンパスライフというんですかね,大学に入って学んでいくその4年間のプロセス,短期大学であれば2年間かもしれませんが,そういうプロセスの中で育っていくわけです。そういう意味では,授業の質だけではなくて,例えば,課外の様々な活動であるとか,そこでやっている学生生活,そういう中で学生は育っていくわけです。
先ほど重要な問題として掲げられている,例えば,職員の働きが教育にとってどういうことであるかとか,あるいは,学生の多様性をどう確保するかとか,あるいは,地域との連携をどうするかということも,このキャンパスということを広く考える中で学生がどういうふうに成長していくかという視点で組み込んでいくべきではないかというふうに思います。キャンパスをどうするかというのはなかなか難しくて,答申のレベルに入れるかどうか難しいと思うのですが,授業の問題に限ると話がかえって動きにくくなるのではないかと思いました。
もう一点は,今のことにも関わるんですが,最初に永田分科会長がおっしゃっていましたけれども,教員の個人の意識改革の話というのも,これまでも重要だという話は前提なんですけれども,私も教員の個人の意識をどう変えるか,さあ,変えましょうと言っても変わるものではないと思うのです。大学というのは,重要な存在意義の一つは,研究者あるいは教育に関心のある人たちが集まっていて,一つの共同体を作っていることであるわけです。
設置審での議論でもそうですけれども,この大学は何をしようとしているどういうつもりの大学なのかということがやはり非常に重要なわけで,それが3ポリシーの核になっているというふうに思うわけです。
ところが,なかなか難しいのは,書類上,大学レベルでいろいろ書類を作ったりするわけですが,実際に動いている中で,学部あるいは学科という,より具体的な教員の集団の中で自分たちが何をしようとしているのか,この学部はどうしようとしているのか,どういう教育課程を組んでいくのかということについての理念であるとか,あるいは,更に言えば,将来構想というものがなかなかきちんと作られていないのではないかというふうに思います。将来構想をきちんと持っている学部は,その後,やはり力を持ってくるということは経験的にも言えると思っています。
そういう意味では,大学という大きなレベルもですけれども,やはり学部であるとかあるいは学科というものが,そういう教学のレベルを受ける将来構想であるとか理念というものをきちんと共有するような会議体をきちんと維持していくということが必要ではないか。本来,教授会というのはそういう役割を負うべきところだったと思うのですけれども,なかなかそううまくいっていないというふうに思います。そういう意味で,理念の共有といいますか,そういう教員同士,研究者も含めての協同的な議論の場のようなものを確保していくということは,実際問題としては必要ではないかと思います。以上です。

【永田分科会長】 ありがとうございます。長谷川委員,どうぞ。

【長谷川委員】 ありがとうございます。長谷川です。
いろいろあるんですが,皆さんいろいろな意見を頂いているうちに,私もいろいろ思い付いたりしていますけど。
資料3-3の最初のFDをどういうふうに実施するかということについては,大学教員というのは小・中・高と違って資格がないですよね。ある程度のキャリアがあって,みんななるわけなんだけれども,大学教育とは何であるかということをみんながちゃんと分かってやっているわけではありません。それで,今のこういう世の中になって,どういう人材をどういうふうに育てるかということが自分の研究とは別に教育プロセスとして非常に重要だということを認識したわけだから,そういう研究者として一流だったり実務としていろいろな経験を持っている方で大学教員になったとして,じゃあ次世代を育てるときの教育としてはどういうふうにすることがいいのかということをFDでしっかりやるべきだと思います。
そうすると,教育と自分の研究との関係とか,次世代を育てるための教育プログラムを作るにはどんな人とどんなことを話し合って,どういうラーニングの体系を作らなきゃいけないかというようなことをチームでやるとか,そういうことが具体的に分かると思いますので。皆さんそれぞれの教育方法とかを自分で持っているとしても,本当にそういうことを仲間の教員とかと話し合って作ったりはなかなかまだしていないので,そういう意味のファカルティ・デベロップメントはあっていいと思っております。
それから,教学マネジメントとか大学運営について,物すごく雑用が多いというのは,私は長い歴史の果てのことだと思っていて,それは学問の自由と大学の自治というアイデア,これが学問の自由と大学の自治というのは,これは両方とも歴史的にすごく大事なことだし,それぞれの大学,世界的に歴史的背景があってそういうものがあるわけですけれども,日本でいろいろな大学紛争だの何だのを経て,その大学の自治とか学問の自由ということを守りながらどうやって大学をうまく運営していくかということを余り誰も真剣には取り上げてこなかったんだと思います。それで,大学の自治も学問の自由も勝手にやればいいということではないわけなんだけれども,その勝手にやるのではなくてどうやったらいいかということを明示的に大学関係者がしっかり議論したことはないので,何でもかんでも,学生のハラスメント相談から何でもかんでも教員が引き受けているんだと思うんです。
そうなった背景の一つは,大学を支えてくれるいろいろな事務職員も,これからの新しいIRの担当とかURAとかも含めて,大学とか学問というものの素地(そじ)が分かっている,自分たちと協同できるサポーターだというふうに余り思っていなくて,だから,そういう人たちを協力者として使おうという気も余り持たずに,何か全部自分で引き受けてきたというような,そういう感があります。ですので,大学をサポートするいろいろなスタッフとか,大学と地域とを連携させるいろいろなコーディネーターのような人たちが大学と学問というものがよく分かって,自分たちと同じ価値観とか基盤の上で協力して,でも,違う視点からやってくれる人たちだという,そういう体制を作り上げる,それが必要で,そのために新しいコーディネーターとかそういう人たちのキャリアパスなんかも今後できていくんじゃないかという気がします。
長くなりまして,すみません。3番目に,教育の評価は本当に大変です。金子委員がおっしゃったように,私たちはそれを多分まだ持っていないと思います。それをがりがりやるとすごく息苦しいだけの世の中になるので良くないんです。それと,吉岡委員がおっしゃっていたか,大学では授業だけで学生が作られるわけではないから,非常に総合的ですよね。そして,その教育の成果というのは,本当に,出ていった卒業生がどんな人物かということなので,すごく難しいし,長い時間がかかります。それをどうやって評価するかというのは,もしかして個々の教員じゃなくて大学全体としての評価しかできないかもしれないという気はしています。以上です。

【永田分科会長】 ありがとうございます。曄道委員,どうぞ。

【曄道委員】 教育研究機能の活性化の視点において組織単位でのマネジメントや評価が書き込まれたことは非常に重要だと思います。ただ,資料3-3の5ページ,一番上の枠の中では,この組織単位の評価について,評価内容だけが触れられています。そもそも,マネジメントにおいて組織をどう評価するかを考えるときには,評価対象に一定の自由度が与えられていないと,結局今のままだと,組織の評価をしているんだけど,教員の個々の研究成果が大学のミッションに合っているとかそういったところに落ち着いてしまうと思うんです。ですので,1点この観点の中に組織単位としての学部,研究科のマネジメントの在り方について,やはりもう一度少し書き込んでおく必要があるのではないかと思いました。よろしくお願いします。

【永田分科会長】 御意見ありがとうございました。まだまだ議論を深めなければならないことがお分かりになったと思います。本日頂きました御意見は,事務局で反映させていただきますが,私からも最後に少しだけ意見を申し上げます。これまで何度か申し上げておりますが,中央教育審議会において高等教育について研究の視点から議論することはほとんどありませんでした。その重要な意義は,教員を取り巻く様々な課題について議論することにあります。実際,教員の研究力や教育力をどのように測るのかという話を進めていくと,教育力を測ることは非常に難しいという意見が出されます。それは当然のことですし,軽々に結論を出してよいものではありません。しかし,教育力をいかにして測るかという問題を教育に携わる方々から手放してしまうと,教育を十分理解されていない方々からこういう評価にすべきだと実施を迫られかねません。ですから,我々としてはそうならないように検討すべき大切な観点だと思います。
そういう意味で,先ほどの安部委員がおっしゃった,自分の研究が教育にどの程度活(い)かされているのか自己評価したらよいのではないかという御意見は,評価における新しい観点なのではないかと思いながら聞いておりました。
学生,とりわけて大学院生をどのように位置付けるかという視点は大切であったと思います。資料3-2を見ていただくと,教員を補完する役割として大学院生が所々に登場してくる一方で,大学院では教育そのものが研究の過程あるいは一部となるけれども,幅広い体系的なことを学ばねばいけないという記載もあります。大学院生は研究のみしていればよいという時代ではないので,大学院生は研究者であるとは言えない,しかし,研究者の卵ではあるので,大学院生の位置づけを明確にする必要はあるのではないかと思います。
こうした視点を含め,本日頂きました御意見を踏まえ修文を行い,また,議論することにさせていただこうと思います。御意見がもしあれば,事務局の方にメール等でお届けいただければと思っております。どうもありがとうございました。
それでは続きまして,地方大学の振興についてということで事務局から簡潔に説明をいたします。

【堀家政策室室長補佐】
資料4-1,4-2,4-3に基づきまして御説明させていただきます。地方大学振興の関係での報告と御説明です。
まず,資料4-1を御覧ください。本年7月の閣議決定文書の抜粋でございます。左上を御覧ください。「骨太の方針2020」におきまして,魅力ある学びの場と地域産業を地方に作り,若者の地方定着を推進するため,少し飛びまして,地方国立大学を含めた定員増や,少し飛びまして,魅力的な地方大学の実現等のための改革パッケージを年内に策定する,ということ,右側に飛びまして,「まち・ひと・しごと創生基本方針2020」でございます。こちらでも,地域の課題やニーズに適切かつ迅速に対応できる魅力的な地方大学の実現に向け,地方公共団体や産業界を巻き込んだ検討を行い,地方においても今後更にニーズが高まるSTEAM人材等の育成等に必要な地方国立大の定員の増員やオンライン教育を活用した国内外の大学との連携等を盛り込んだ魅力的な地方大学の実現とともに魅力的な雇用の創出拡大のための改革パッケージを早急に取りまとめる,といったことが閣議決定文書において盛り込まれたところです。
当該閣議決定文書において御留意いただきたい点としては,報道等でこれまで抑制的に取り扱ってきました地方国立大学の定員の増という閣議決定がされたというような報道のされ方でございましたけれども,今,抜粋を申し上げましたとおり,魅力的な地方大学の実現のための施策の一つとして地方国立大学の定員増について記載されているというところでして,改革パッケージとしては,国公私含めた公共団体や産業界を巻き込んだ魅力ある地方大学の実現のための検討がなされるということでございます。
次,資料4-2でございます。今御紹介いたしました閣議決定文書の記載を受けまして,まち・ひと・しごと創生担当大臣の下に「地方創生に資する魅力ある地方大学の実現に向けた検討会議」が設置されました。先日9月2日に第1回の会議が開催されたところです。内閣官房におきましては,当該会議におきまして,地方創生の観点から議論が行われ,年内に改革パッケージが取りまとめられる予定となってございます。
一方,地方大学の振興に関しましては,地方創生の施策であるとともに高等教育行政という側面も併せ持ちます。従いまして,文部科学省といたしましても,当該会議に協力をしつつ,並行いたしまして,こちらの中央教育審議会大学分科会におきまして,魅力ある地方大学の在り方について先生方に御議論いただき,一定の考え方をおまとめいただきたいと思ってございます。
続きまして,資料4-3でございます。こちらが今御紹介いたしました9月2日に行われました第1回の内閣官房の検討会議で文部科学省から少し考え方を御説明したものでございます。おめくりいただきまして,2ページ目でございます。地方大学を取り巻く環境といたしまして,左上の部分,東京圏と比べて地方圏で18歳人口の減少幅が大きい見込みであったり,左下の部分,大学進学時に一部の大都市への学生が大きく流入し,多くの地方で流出することになっているということであったり,右上です,東京圏とその他の地域で情報通信業をはじめとして求められる人材像が異なることなどの背景状況について確認いたしました。
その上で,3ページ目。それを踏まえまして,地方大学の目指す方向性といたしまして,このようなことが考えられないかというふうにまとめさせていただいております。
一つ目の矢羽です。地方大学は地域の知の拠点として地域ならではの人材を育成,定着させ,地域経済社会を支える基盤であること。そして,二つ目の矢羽。地域特性,ニーズを踏まえた人材育成やイノベーションの創出,社会実装に取り組む地方大学について機能強化活性化が重要であるということ。
これらを踏まえまして,真ん中の緑の矢印の先でございます。地方大学が地方公共団体や地域の産業界と密に連携し,文理融合やSTEAM人材の育成,地元企業でのインターンシップやリカレント教育の拡充に取り込むことや数理データサイエンス,AI教育やオンライン教育を活用することによって,地域において新たな産業や雇用を創出し,地方創生の中核となることでは必要ではないか。
そのために,下の部分の四角の中でございます,地方公共団体と大学と産業界が一体となって地域の大学が核となって地域全体でより質の高い人材育成を実現するというような在り方を目指すことが必要ではないかということを御紹介させていただきました。
内閣官房での議論を横目に見つつ,中央教育審議会におきましても,高等教育行政の観点から,こうした地方大学の定員増に伴う考え方を含む魅力的な地方大学の在り方につきまして,今後,先生方に御議論いただきたいと思ってございます。
私からの説明は以上でございます。

【永田分科会長】 本日は若干の意見を頂きますが,この問題について早々に意見をまとめないといけません。先ほどの説明のあった閣議決定にありましたように,地方の大学を何とか増員しようというアイデアを年内にまとめることになっています。その際,我々がここで述べなければならない意見は,増員に賛成か反対かということではなくて,増員する場合に教育上あるいは研究上の理由から,こういうのでは困る,あるいは,こうすべきではないかということだと思います。
若干の時間を予定しておりますので,何か御意見あれば,お願いいたします。志賀委員,どうぞ。

【志賀委員】 ありがとうございます。
以前から本当にこの議論はやりたかった議論で,自動車業界でもケースの対応でAIだとかコンピューターサイエンス,データサイエンティストを採るために,わざわざその研究所,トヨタのある日本橋,日産ですと中目黒,ホンダさんだと青山みたいに都会に持ってきている。この仕事をやる人たちは,別に東京でやる必要はなくて,ほとんどオンラインで仕事ができる人。その人たちがいないから,わざわざ東京に研究所を置いているということが起こっていて,こういうコンピューターサイエンスのような学校を特に地方の国立大学は全ての大学でこういう学校をセットして,地方でそういう勉強ができ,かつ,そのまま地方でサテライトオフィスのような形で仕事ができる,そういうところを是非お願いしたいなと思うのと,今,テレワーク,実際に私も今日テレワークですけれども,テレワークでやはりどんどん一極集中から地方分散の流れが起こっていますけれども,大学としては,例えば,東京の大学に入学するけれども,勉強は本当に自分の出生地でそのまま勉強ができる,それで実習だとかそういうところはその地方の地域の大学との連携の中でそこで学べる。時々,月に1回か2回ぐらいは東京若しくは都市圏に出かけ,自分の大学に出かけるみたいな教育体系も是非検討していただきたいなと思います。
以上です。

【永田分科会長】 ありがとうございます。髙倉委員,どうぞ。

【髙倉委員】 資料4-2で説明いただいた「魅力ある地方大学の実現に向けた検討会議」についてだが,今後,地域における大学の連携に関する論議が深められていくことに期待を申し上げます。
資料4-3の6ページ,地域連携プラットフォームのガイドラインのポンチ絵をご覧頂きたい。ここでは大学,地方公共団体,産業会等と非常にシンプルに記載されていますが,検討会議で論議される際には,議題2で提案頂いた案に含まれるように,これまでの論議において要望してきた「産官学金労言の多様な各主体で構成していく」ということについて,事務局からの丁寧な説明をお願い申し上げます。

【永田分科会長】 ありがとうございます。山田委員,どうぞ。

【山田委員】 ありがとうございます。
簡潔に申しますと,やはりこの年末にかけて地域連携プラットフォームをどうやって公の場に出していくのかということが大きな試金石になると思います。そのときに,みんな同じように地方に総合大学をということではなくて,地域の個性,産業界や自治体そして大学が個性を出していくことが必要だと思います。そこに地方創生交付金や新たな財源措置を組み込んでいくことによって大学を中心としたまちづくりができるというような形の方向を目指していただきたいなというふうに思います。
以上です。

【永田分科会長】 ありがとうございます。有信委員,どうぞ。

【有信委員】 ありがとうございます。
一言だけ。ここで簡単にSTEAMと言っています。STEAMと言われて久しいのですが,単純にSTEMプラスArtという非常にシンプルに理解されているかもしれませんが,この内容をもう少し明確にして,どういう人材を育成するかということを示す必要があると思います。多分,大学での教育と社会での要請との間のミスマッチというのは,これからいろいろと議論されることにもなっていくので,この点について検討する必要があると思っています。
以上です。

【永田分科会長】 ありがとうございます。三村委員,どうぞ。

【三村委員】 どうもありがとうございます。
私は茨城大学の学長をやっておりましたけれども,その際に,地域の中の大学の学生収容容量というんですかね,キャパシティが少なくて,大学が貢献しようとしても限界があるということを非常に強く感じていました。こういう方針が出されたのは大変いいことだと思います。
その際に,今お話がありましたけれども,AIやデジタル化など,世界の動きを地域に持ち込む,そういう教育と同時に,農業や地域ごとに特に重要な分野というのがあります。そういう二つの観点で強化をすることが重要なんじゃないかというふうに思います。
以上です。

【永田分科会長】 ありがとうございます。有信委員,三村委員が御指摘されたとおり,先ほど説明のあった資料に書かれていることは,地方の大学に限らず多くの大学が取り組んだ方がいいことばかりです。つまり,STEAMといったときに,この地域の大学に求められるSTEAMとは何なのか,という視点が抜けているのです。ですから,三村委員が述べられたように,あるところでは農業や水産業であったり,あるいは,鉄鋼業であったりするかもしれませんけれども,それぞれの地域が特性を発揮するために必要な分野があるはずです。そういうものを一般的な大学に必要なものとして書くと,地方の大学の振興に結び付かない可能性があるので,そこは留意すべきだろうと思っております。
この件は議論を深める必要があると思いますので,次回改めて時間を取らせていただきます。
続きまして,次期国立大学法人等施設整備の計画策定に向けた中間まとめについて,事務局から説明をお願いします。

【西村大臣官房文教施設企画・防災部整備計画室長】 文教施設企画部文教施設企画・防災部計画課の西村と申します。
それでは,資料5-1に基づきまして,簡単に御説明,御報告させていただきます。こちらにつきましては,本年7月に有識者会議においておまとめいただいたものでございます。主査は有信委員にお願いしてございます。
まず,資料の説明に入る前に,この中間まとめの背景について,簡単に御説明させていただきます。国立大学,大学共同利用機関それから国立高等専門学校につきましては,これまで施設整備5か年計画というものを策定し,計画的,重点的な整備を進めてまいりました。現在は第4次の5か年計画を進めておりますが,今年度が最終年度に当たりますことから,次期計画の策定に向けて,今後の国立大学等施設の目指すべき方向性等々をおまとめいただいたものでございます。
それでは,資料5-1を御覧いただければと思います。まず,中間まとめでは国立大学等に対する社会の期待というものを御議論いただいております。そこでは,国立大学等の本来の役割である教育研究機能の強化とそれによる地域・社会・世界への一層の貢献が求められていること,そのためにも今後は様々なステークホルダーとの共創が必要であることということで御議論いただいております。
これらを踏まえまして,今後の大学等施設の役割と方向性ということでございますが,今後の国立大学等施設の目指すべき方向性といたしましては,正にその共創の拠点といたしまして,キャンパス全体をイノベーション・コモンズというふうにこの委員会で定義いただきまして,このイノベーション・コモンズを目指すべきではないかということで御提言いただいております。
中間まとめでは,活動ごとに幾つか具体的な施設の事例を挙げていただいておりますが,例えば,アクティブ・ラーニング・スペースでありますとか,オープンラボ,それから,産業界との共創でいいませば,キャンパスを活用した実証実験の場の整備でありましたり,あるいは地方公共団体の共創という観点では,例えば災害時にも活用できるインフラの整備いうこともございます。また,各活動に共通する事項としては,ICT環境の整備の重要性などが挙げられてございます。
こういった方向性につきましては,先ほど御説明もありましたけれども,地域連携プラットフォームと一体のものと考え方としては軌を一にするものでございまして,先ほど御説明がありましたガイドラインの中におきましても,大学キャンパスというのをこういったイノベーション・コモンズとして活用することといったようなことも書かせていただいてございます。
ここまでが言わば今後の目指すべき方向性ということでございますが,課題と今後必要となる取組について,それを踏まえて御議論いただいてございます。まず,現状の認識といたしまして,国立大学等の施設については,これまでの答申により,全国的に配置された知のインフラになっておりまして,これを我が国全体の成長発展を支えるためにはこれを最大限活用することが重要であろうということ,そして,現在の第4次5か年計画では,老朽改善整備の目標といたしまして,475万平米という整備目標を掲げておりますが,これが実際にはその整理目標の25%,約118万平米にとどまる見込みでありまして,これらも踏まえますとその老朽化が一層深刻な状況になっているということでございます。
これらも踏まえまして,次期計画におきましては,この既に保有している施設を最大限活用するという観点から戦略的イノベーションと我々は言っておりますが,単なる老朽改善ではなくて,併せて機能向上を図るような改善整備というものをより一層加速化することが必要であろうというふうに御提言いただいております。この中間まとめの最後には,国に対して必要な予算の確保でありますとか,あるいは,国費によらない多様な財源の活用促進等が必要であるということとされてございます。
最後に,資料には書いてございませんが,この中間まとめには,新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえた大学施設の在り方ということについては,これは最終まとめまでに検討するということにされてございました。また今月末から再度検討を開始しまして,このコロナウイルスを踏まえた大学施設の在り方ですとか,あるいは次期計画における整備目標,所要額の試算を行い,最終的に,年内に最終まとめというのをまとめる予定にしてございまして,その後,その最終まとめを踏まえて文部科学省として新たな5か年計画を策定する予定としてございます。
まずは中間まとめの御報告でございます。以上でございます。

【永田分科会長】 ありがとうございました。これは中間まとめであり大きな道筋を説明いただきました。よろしいですか。髙倉委員,どうぞ。

【髙倉委員】 地域に開かれたキャンパス「イノベーション・コモンズ」と言われていることからも,自然災害への対応を求めたいです。多発する自然災害,例えば,防災用品の備蓄や救援者支援などの観点も織り交ぜて検討頂きたいです。

【永田分科会長】 ありがとうございます。よろしいですか。髙倉委員がおっしゃった御意見は,先ほどの地方創生における重要な視点だと思います。実際に,我が国のレジリエンスそのものを支えるため,東京一極集中型から多核連携型の国づくりへ,という書き方もされています。よろしいですね。
それでは,大学等における新型コロナウイルス感染症への対応状況について,事務局から説明をいただきます。
それでは,淵上課長,どうぞ。

【淵上高等教育企画課長】 高等教育企画課長の淵上でございます。
まずは,資料6に基づきまして,また,最新の状況は口頭で補足しつつ御説明したいと思います。
新型コロナウイルス感染症への対応状況ということでめくっていただきまして,1ページでございますけれども,大学における授業につきましては,新型コロナウイルスの影響があったわけでございますけれども,新年度以降,各大学で格段の工夫,御努力をいただきまして,特に,大学について学びを止めないということで,各大学で遠隔教育を中心とした授業を展開していただきました。その御努力の結果,学生たちの学びが止まらないという状況があったわけでございます。それが1ページ目の左側の5月20日時点にございますように,全面遠隔というところが90%だったわけでございます。その後,コロナウイルスの状況などの動向も見ながら各大学での工夫が進みまして,7月1日時点になりますと,このページにあるような併用が6割という状況になってきたわけでございます。
先ほど11時からの大臣の記者会見で発表した最新のデータを少し御紹介いたしたいと思います。最新のデータは,口頭での補足で恐縮ですが,8月25日から9月11日までの間各大学に緊急に調査をさせていただいて,全大学の御協力をいただいて取りまとめたものになっています。そのデータは,この1ページ目の緑に当たります全面対面という大学が205校の19.3%となってございます。それから,併用という大学が849校で80.1%となってございます。その他が6校ございまして,6校のうち5校は後期の対面授業を検討中ということでございます。残りの1校は全面的に遠隔授業実施ということで,7月時点と比べまして更に対面と遠隔の併用あるいは全面対面授業というのが広がっているという状況になってございます。
また,この849校と申し上げました併用の大学のうち,どの程度の授業が対面でどの程度が遠隔かという割合もお聞きしてございます。ざっくり申し上げまして,約6割の大学はだいたい半分以上を対面授業で実施するというふうな予定になってございます。
それから,もう一点は,大学の施設の利用について,学生たちが利用できるかどうかということもお聞きしてございます。それにつきましては,後期については全ての大学から学生の施設利用が可能だという御回答いただいております。全面的に可能だという大学と一部可能であるという大学の両方合わせてではございますが,後期からは全ての大学において,学生が大学の施設を利用することが可能であるという御回答になってございます。
それから,学生たちがどの程度の頻度で大学に通うことが見込まれるか,後期についてどの程度通うことが見込まれるかということもお聞きしております。週に2回以上をキャンパスに通うことのできる学生の割合がどの程度かということを聞いたわけでございますが,これにつきましては,約6割の大学がだいたい全ての学生が週に2回以上は通学できる見込みだというふうことで御回答いただいております。それぞれの大学でまた地域の置かれた状況などを踏まえまして,御工夫をいただいた結果だろうというふうに私どもは認識をしているところでございます。
概略は今のような状況でございますけれども,委員の先生方にはまた後ほど詳しいデータをお送りさせていただきたいと思います。また,本日午後には,文部科学省のホームページにおいて,今申し上げた情報について掲載する予定にしてございます。
さらに,文部科学省といたしましては,今回の調査の結果,また,並行して幾つかの大学とは直接対話で詳しい状況についてお聞き取りをさせていただいてございます。そういった状況も踏まえまして,今後,大学において事業の実施に際して必要と考えられる情報,あるいは,留意点などを整理いたしまして,速やかに新たな通知を発出させていただきたいと思っております。各大学での授業の実施の検討がより進められるような情報を盛り込んで御提供申し上げたいと思っております。
引き続き,どうぞよろしくお願いいたします。私からの御説明は以上となります。

【永田分科会長】 ありがとうございました。今御説明いただいたとおりです。メディア等では大学で勉強できないという学生の不満が噴出しているところですが,各大学は後期に向けて様々な対策を練られているという現状だと思っております。こういう状況だということを先生方も御理解いただければと思います。
一言申し上げますと,感染症学的には,学生は不顕性感染を起こしていて大した症状が出ないまま知らないうちに治ってしまう,という可能性があります。そのような意味で,対面授業を実施する際の問題は,学生と併せて教員に対する感染対策であるとも言えます。ですから,学生に対する対策は当然ですが,確率的に考えてリスクが高い方々への配慮を十分に行った上で,対面授業を行っていただければと思います。
それでは,今後の予定等,事務局から説明いただきます。

【奥井高等教育企画課課長補佐】 事務局でございます。
本日は活発な御議論いただきまして,誠にありがとうございました。次回の大学分科会は11月5日木曜日午後2時から4時を予定しております。実施方法等につきましては,調整の上追ってお知らせをさせていただきます。
また,本日,時間の都合上御発言できなかった内容,特に「教育」と「研究」の両輪に
関する具体的な御提案等がございましたら,事務局まで御連絡いただきますようお願いい
たします。
以上でございます。

【永田分科会長】 以上でございます。本日はどうもありがとうございました。これでお開きとさせていただきます。

―― 了 ――


 

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