大学分科会(第154回) 議事録

1.日時

令和2年5月20日(水曜日)10時~12時

2.場所

WEB会議

3.議題

  1. 新型コロナウイルスに関連した感染症対策に関する主な対応について
  2. 大学院設置基準の一部改正について
  3. 地域連携プラットフォーム構築に関するガイドラインについて
  4. 教育と研究を両輪とする高等教育の在り方について
  5. その他

4.出席者

委員

(分科会長)永田恭介分科会長
(副分科会長)村田治,渡邉光一郎の各副分科会長
(委員)有信睦弘,亀山郁夫,志賀俊之,日比谷潤子,吉岡知哉の各委員
(臨時委員)麻生隆史,安部恵美子,宇山恵子,金子元久,河田悌一,小林雅之,佐藤東洋士,清水一彦,鈴木雅子,髙倉明,髙宮いづみ,伹野茂,曄道佳明,長谷川眞理子,福田益和,古沢由紀子,益戸正樹,松尾清一,三村信男,山田啓二の各委員

文部科学省

(事務局)森大臣官房審議官(高等教育局及び科学技術政策連携担当),牛尾高等教育企画課長,西大学振興課大学改革推進室長 他

5.議事録

【永田分科会長】 おはようございます。定刻になりましたので,中央教育審議会大学分科会(第154回),始めさせていただきます。
お忙しい中,新型コロナウイルスの感染が続く本当に大変な最中に御参加いただきまして,ありがとうございます。自由なところから御出席できるということで,大変出席率もよく感謝を申し上げます。
ZoomによるWEB会議なのですけれども,従前よりWEB会議のためにそれぞれの環境を整備いただき御参加いただいているということで,支障なく通常の日程どおり開催できるということを申し上げておきます。
会議資料や音声などの準備はできており,こちらでほとんど調節ができますので,お任せいただければと思います。
それでは,議事に入る前に,システム関係について事務局から申し上げます。

【奥井高等教育企画課課長補佐】 事務局でございます。本日は,WEB会議及びライブ配信を円滑に行う観点から,御発言の際には,お手数ですけれども,Zoomの「手を挙げる」というボタンが,機種によって異なりますけれども,一般には参加者のところのボタンを押していただいて,右側に参加者のリストがあって,その一番右下に「手を挙げる」というボタンが出てくるかと思います。こちらを押していただきまして,分科会長から御指名されましたら,名前をおっしゃっていただいてから御発言をお願いいたします。
また,発言時以外につきましては,マイクをミュートにしていただくなど,これはハウリングが起きる可能性がございますので,御配慮いただけますと有り難く存じます。
運営上,不都合を生じるかと思いますけれども,御理解と御協力のほど,お願い申し上げます。
以上でございます。

【永田分科会長】 ありがとうございました。
本日は,議題は大きく分けて四つございます。
一つ目は,現在の新型コロナウイルス感染症に関連して,文部科学省,特に大学関係がどのように対応しているかということについて報告を受け,御質問あるいはコメントをいただきます。
次に,今年の1月の本分科会で既に内容については説明をしております,大学院の設置基準の一部改正についての諮問がございまして,これについて審議をさせていただきます。
3点目は,こちらも何度か審議を重ねてまいりました,地域連携プラットフォームについてのガイドライン策定の最終段階に来ておりまして,これについて御意見を賜って,その後のプロセスに付すことになります。
4点目は,今期の大学分科会の主題である,教育と研究を両輪とする高等教育の在り方について,時間のある限り議論をさせていただこうと思っております。
そのほか,時間を最後にも若干用意をしておりますので,皆様方と意見交換できればと思っております。
よろしいでしょうか。
それでは,早速,最初の議題に入らせていただきます。
新型コロナウイルスに関連した感染症対策ということで,文部科学省における対応等について,事務局から報告をお願いします。
それでは,事務局,お願いいたします。

【牛尾高等教育企画課長】 高等教育企画課長の牛尾でございます。よろしくお願いいたします。
資料1を御覧ください。新型コロナウイルスに関連した主な対応等についてまとめております。
まず1ページですが,大学等の授業の実施状況について,5月12日時点でまとめたものをお示ししております。
授業の開始時期についてですが,開始時期を延期するという学校が9割弱という状況でございます。
また,例年どおりの時期で実施されているところでも,遠隔授業というところがほとんどになっているという状況でございます。
それから,下の2番目でございますけれども,こちらの授業開始時期の遅延,例年どおりに関わらず,遠隔授業をどのぐらい活用を考えていらっしゃるかということをお聞きしたものでございます。
遠隔授業を実施するということを決めているところが約3分の2,検討中というところが3割程度ございまして,ほとんど全ての学校において実施又は検討するという方針になっております。
2ページ目を御覧ください。2ページ目からは,私ども文部科学省でこれまで講じております様々な措置についてまとめております。
まず1点目でございますけれども,授業期間の弾力的な取扱いということで,原則10週又は15週という期間で授業をやる必要がございますが,これについての弾力化を構わないということをお知らせしております。
二つ目,遠隔授業の弾力的取扱いでございます。こちらは,通例ですと,大学学部の場合,遠隔授業は60単位までという制限がございますが,今回の状況を鑑みて,面接授業を遠隔方式に変える場合には,この60単位の中には算入しなくてよいという弾力的な取扱いをしているところでございます。
続いて,実習・実験・実技等でございますけれども,これらについても面接授業で同等の効果が得られるような場合には遠隔授業に変えていただきますが,どうしても面接でやることが不可欠というものは,後期にしていただいたり,次年度以降に実施時期を後ろ倒すということの検討をお願いしているところでございます。
続いて,資格試験の関係ですけれども,医療関係の国家試験に関わりまして,実習が求められるものが多数ございますけれども,これらについても演習あるいは学内実習でも構わないということについて,関係省庁とも調整をしてお知らせをしているところでございます。
3ページ目の上でございます。教育実習につきましても同様の弾力化を図っておりまして,教育実習のうちの3分の1を超えない範囲内では授業でも構わないという取扱いにしているところでございます。
続いて,学生等に対する経済的支援の関係でございます。今年度から始まっております修学支援新制度並びに貸与型奨学金等におきまして,新型コロナウイルス感染症の影響で家計が急変した学生については,随時受付,家計急変後の所得の見込みで判定する等の措置,それから,申込期限の延長などもさせていただいております。
続いて,補正予算の関係でございます。今年の4月30日に,第一次補正予算が成立しておりますが,その中では,授業料減免,遠隔学習の実施体制の整備のための支援,感染症研究でございますとか,大学病院への支援などについて盛り込ませていただいております。それぞれの資料は4ページ以降に付いておりますので,後ほど御覧いただければと思います。
それからもう1点,資料が間に合っておらず恐縮ですけれども,昨日の閣議決定で,この第一次補正予算の予備費を活用しまして,主にアルバイト収入で学業を支えていらっしゃった学生さんへの支援ということで,学生支援緊急給付金約530億円,対象人数として約43万人を対象として給付することを決定したところでございます。額でございますが,住民税非課税世帯の方については20万円,それ以外の方については10万円ということでございます。今後,詳細を決めまして,大学等に周知をして迅速な支給に努めていきたいというふうに考えているところでございます。
冒頭の報告は以上でございます。

【永田分科会長】 ありがとうございました。
この議題は御報告ですけれども,詳細が分からない,あるいは,何かもっと他に良いアイデアがあるのではないか,といった御意見があれば御発言いただければと思います。
では,髙倉委員,どうぞ。

【髙倉委員】 髙倉です。よろしくお願いします。
先ほど説明いただいたように,経済収縮という状況が学生の生計を直撃して,生活に困窮する学生が,修学を断念せざるを得ないような状況が生まれております。今なお,就職氷河期世代が苦しんでいることを踏まえれば,失われた世代をこれ以上生み出さないためにも,国による学生への経済的支援を直ちに実施していただきたい。併せて,昨日発表された休業の影響でアルバイト収入が減少した学生への支援策として,予備費の支出により一時金を給付することに対しては,敬意を表したい。支給に当たっては,一刻も早く学生の手に届くよう,スピード感をもって対応していただきたい。
また,住民税非課税世帯に限られている給付型奨学金の金額及び対象者の拡充を,是非検討していただきたい。
さらに,私立大学の授業料減免に3億円(補助率2分の1)と記載をされているが,私立大学の学費を年間約100万円と想定すると,約200万人の私立大学生のうち600人しか救えない規模であり,この未曾有(みぞう)の危機に対しては十分なものとは言えないのではないか。
今後も,困窮する学生の置かれている実態を把握した上で,前期の学費を4月に遡及して無償化することや,払込み済みの学費について還付の取扱いをするなど,学生が学ぶことを断念しないよう,生活費を含めた配慮をしていただきたい。これは学長の皆様の判断にもよるかと思いますが,是非とも対応をよろしくお願いしたい。
以上です。

【永田分科会長】 福田委員,どうぞ。

【福田委員】 福田です。1点だけ確認させてください。
ただいまの牛尾課長のお話の中の資料,4ページの下の部分,私立大学授業料減免等支援,この中のスキームの中で,補助率の欄に「修学支援新制度の対象とならない家庭の学生に」という文言がございまして,修学支援は,御承知のとおりといいますか,非課税世帯の270万円は全てということでしょうけれども,3分の2の300万円若しくは380万円という三つの段階がございます。そうしますと,当初が380万円で3分の1だけを減免された,また,給付型の奨学金を受けているという学生も多数おると推測されますので,このところの今申し上げました修学支援新制度の対象とならないというのは,これは全てがならないのか,その辺について確認させていただきたいと思います。
以上です。

【永田分科会長】 この点は事務局から後ほど回答いただきます。御意見ほかにございますでしょうか。
小林委員,どうぞ。

【小林委員】 今の学生への支援ですけれども,給付型ということで,これは望ましいことですけれども,財源に非常に限りがありますので,前に村田委員とこの中央教育審議会の場で御報告した授業料の後払い制度ということも考えていいのではないか。延納ということがどの大学もやられているということですが,これは卒業後の延納ということになりますので,そういったことまで含めて検討していただければと思います。
以上です。

【永田分科会長】 ありがとうございました。
それでは,村田委員,どうぞ。

【村田委員】 小林委員の話があったので少し発言をさせていただきます。関西学院大学は,本学独自の,いわゆる関学ヘックス(HECS)型の奨学金を導入いたしました。年収が400万円に達するまでは返さなくていいという制度を,3万円から学費相当額まで,もちろん無利子で貸す制度を導入いたしました。各大学様が御参考にしていただければと思います。

【永田分科会長】 ありがとうございました。
今御質問のあった中で,事務局から幾つか答えられることがあればお願いします。

【牛尾高等教育企画課長】 森大臣官房審議官から申し上げます。

【森大臣官房審議官】 学生への支援方策については,全体をパッケージで示したような資料が別途ございますので,またそれについては各委員の先生方にも御送付したいと思います。もともとこの4月から始まりました修学支援新制度においては,51万人を対象として,これは住民税非課税世帯と,それから準ずる世帯を対象としてございますので,そういうような予算を組んでございます。これは授業料減免と給付型奨学金もセットで行うというものでございますので,それに加えまして,これまで各大学等におかれましては,今回の状況を踏まえて,授業料等の納付が困難な方については授業料納入の猶予等をお願いしますということを要請いたしまして,各大学では,それに応じて取組もしていただいているというふうに把握してございます。
あわせまして,授業料減免を各大学等,独自に行うというようなものについての一定の支援ということで,補正予算では4億円と3億円ということで組んでおりますが,これは修学支援新制度を加えての措置という,各大学が独自に行っているものについてということでございます。
この積算は,リーマンショックのときの実績を踏まえてしたものでございますが,これら運営費交付金及び私学助成によります大学が独自に取り組みます授業料減免に対しての支援については,国としても各大学等の状況を踏まえて,今後さらなる対応について検討を今行っているところでございます。
あわせまして,学生の方のアルバイトの収入減への対応ということで,これについては,修学支援新制度に加えまして,学生さんのアルバイトの収入減で,特に大学等で自立して学業生活を送っているというような学生さんについて,今回のコロナ感染症の影響を受けてアルバイト収入が減となって,そういった方々が学びの継続ができるようにということで,個人給付の形でございますが,非課税世帯20万円,その他の学生さんについて10万円ということで,これは各大学におきまして審査を行っていただいて,早急に実施をするというようなことで,今,準備を進めているところでございます。これらの政策を合わせて支援をできるだけ幅広く行っていくということで,今,取り進めを行っているところでございます。

【永田分科会長】 ありがとうございました。
いろいろと御意見があると思いますが,まず,一次補正の予備費でこれらに取り組んでいただけるということです。この際,迅速に行うということがまずは重要だと思います。二次補正に向かって,文部科学省では学生の支援について新たな施策をいろいろお考えだと思いますので,今出てきたような意見を汲(く)み取っていただいて,より広く,そして迅速に支援できる枠組みをお考えいただきたいと思います。
ここで一つだけ付け加えますと,一昨日,国公私立の枠組みを越えて要望書を提出したわけですが,その直後には『学生支援緊急給付金』という施策となっていました。これについてはよかったのですが,次の経済支援策もまた考えなければいけないので,皆さんの御意見をまたお伺いすることもあるかと思います。
ここまで決まった施策についての御報告と,今後に向けて若干の意見をお伺いしたということで,次に進ませていただきます。最後に時間が余れば,また若干意見交換をできる時間も持てるかもしれません。
それでは,2番目の議案ですけれども,大学院の設置基準の一部改正についてです。先ほど申し上げましたように,1月に御説明を申し上げた内容について諮問というかたちになりましたので,事務局から説明をまずお願いします。

【西大学改革推進室長】 大学改革推進室長の西でございます。4月に平野の後任として参りました。どうぞよろしくお願いいたします。
1月の大学分科会で概要についてお認めいただきました大学院設置基準の一部を改正する省令(案)について,御説明申し上げます。
1月の大学分科会の後にパブリックコメントを実施いたしました。そこで寄せられた御意見の中身につきましては後ほど御紹介いたしますけれども,これを踏まえて,大学院設置基準の改正案について御用意してございますので,御説明申し上げます。
資料2-1の1ページ目を御覧ください。まず左上の背景のところに,「現状・課題」と書いており,一番上のチェックの点ですけれども,今後の社会変化に対応するためには,幅広い年齢層の人材が高度な「知」を身に付ける必要があり,そうした「知」にアクセスできる教育機会の充実が求められています。
2番目のチェックの点,学び直しの際に重視するカリキュラムは,学士課程を超えたより高度な大学院レベルのリカレント教育の需要が一定程度存在する一方で,社会人による大学・大学院の活用割合が極めて低く,時間の余裕がないなどの課題が挙げられているところです。
これらに対応するために,大学院におけるリカレント教育の推進のため,制度の柔軟化を検討した結果として,中段の改正概要の1,他大学院の単位互換及び入学前の既修得単位の認定の柔軟化を行います。
具体的には,①他の大学院において修得した単位や,②現に今,在籍している大学院に入学する前に他の大学院で修得した単位について,現行の上限が10単位,単位互換の認定が10単位であるところ,15単位に拡大して,当該大学院で修得したものとみなすことができるようにします。ただし,その際の合計は20単位を超えないものとします。
次に,2番目の四角囲みですけれども,入学前の既修得単位等を勘案した在学期間の短縮についてです。
大学院は,入学前に修得した単位等を勘案して,1年を超えない範囲で在学期間の短縮を認めることができることとします。
これらにつきまして,2ページ目に単位互換等の上限,拡大についての概要資料を御用意してございます。従前,10単位を超えないといったところを,15単位を超えないということにしまして,その合計については20単位を超えないということを表にまとめてございます。
3ページ目と4ページ目のところに,先ほど申し上げました入学前の既修得単位等を勘案した在学期間の短縮について,いろいろパターンが考えられ,修士課程と5年一貫の博士課程の場合や,医歯薬獣医学の場合,さらには優秀な業績を上げた早期修了制度もございまして,これを組み合わせたパターンを例示してございますので,後ほど御覧いただければと存じます。
これら実際の改正につきましては,大学院設置基準の条文がございまして,この改正に係る具体的な条文は8ページ目以降に御用意してございますけれども,法令技術上非常に分かりにくくなってございますので,説明は割愛させていただきます。改正の趣旨としては先ほど申し上げたとおりでございます。
最後に,パブリックコメントで頂きました意見を幾つか御紹介いたします。お手元の資料,15ページ目を御覧ください。3ポツのところに主な意見の概要をまとめてございますけれども,2番目の丸,後段のところからですけれども,「学位取得者を増やすことが目的なのか。本改正で社会を先導する人材が育つのか」といった御意見がございまして,本改正の目的は,先ほども少し御説明申し上げましたが,幅広い年齢層の人材が高度な「知」を身に付けるための教育機会の充実を図るという観点で,リカレント教育の推進を図るというところにございます。
3番目の丸,他大学院で履修した授業科目の単位認定の際に試験を行うべきではないかといった御意見がございました。単位認定をするかどうかということも含めまして,大学において判断していただくこととされておりまして,既に多くの大学で取り組まれてはいますが,昨年,周知を行った単位互換制度の運用に係る基本的な考え方といったものを,今回の改正をお認めいただきましたら,施行通知において再度各大学に周知をしたいというふうに考えてございます。
4番目の丸,多くの「大学院」では,「修士課程」と「博士課程」に分かれているため,単位互換の上限を定める「大学院」の範囲を明確にする必要があるといった御意見も頂きました。ただ,本改正の対象は課程で限定されるものではないことから,「大学院」というふうに記載をしているものでございます。
以上,大学院設置基準の改正につきましては,文部科学大臣からの諮問事項となりますので,資料2-2として諮問文を付してございます。
また,本改正をお認めいただける場合の答申案として,資料2-3を付してございます。
私からの説明は以上です。よろしくお願いいたします。

【永田分科会長】 ありがとうございました。
それでは,この案件に関しまして,御質問等ございますでしょうか。
本分科会におけるこれまでの議論でもそれほど多くの御意見はなかったかと思います。
パブリックコメントの結果にもあるとおり,前期課程,後期課程,修士課程という課程ごとの課題については,もう少し明確となるようにこれから考える必要があると思います。
曄道委員,どうぞ。

【曄道委員】 例えば,2の資料にありますように,「社会人」という言葉が随所にもちろん出てくるんですが,その社会人の定義なんですけれども,社会人として,例えば,企業がそうかもしれませんが,組織に属している状態か否かということには関わらないという理解でよろしいかどうかを確認させていただきたいと思います。要は,1回社会に出て,その後,ある組織に属しながら学ぶ人もいるでしょうし,そこを一旦離れて学ぶ人も同じ条件として扱ってよろしいかどうかということで確認をさせていただければと思います。

【永田分科会長】 はい,それでは,いまの御意見に対して事務局から回答をお願いします。

【西大学改革推進室長】 お答え申し上げます。
資料の3ページ目の2ポツの一番右のところで,「社会人」というふうにいろいろ書いてございますけれども,制度を利用する際の具体的な例として挙げてございます。曄道委員の御指摘のとおり,社会人,何かの組織に属していなければいけないということではなくて,大学を離れていろいろされている中で単位を持っている人ということをイメージしてございます。必ずしも当該大学に属していなかったけれども,学び直しをしたいといった人が典型的に対象になるのではないかということで,例示として「社会人」と記載させていただいているものです。
以上です。

【曄道委員】 ありがとうございました。

【永田分科会長】 以上です。そのほかはいかがでしょうか。
長谷川委員,どうぞ。

【長谷川委員】 よろしいでしょうか。

【永田分科会長】 はい,どうぞ。

【長谷川委員】 リカレント教育を推進するということで,大学側の要件みたいなことを改革したというのは,とてもいいことだと思うんですけれども,やはりこれは働いている人,働いている会社,職場,そういうところの関係が全部そちらの方に向かないとちゃんとできないので,この大学の要件としてのこういうことを改正すると同時に,働いている職場のところで,そういうところへちゃんと行けるような制度や雰囲気を作る,行きたくても,やっぱり働いているから行かれないみたいな今の状況を,忙し過ぎるとかというのをどうやって変えるかは,大学の要件を変えるだけでは駄目なので,社会の,職場の雰囲気全体がそっちに変わること,そして,そういうマスターとかドクターを取ったということに本当に価値があるということにしていかないと,やはり増えないので,その辺の雰囲気作り,そちらの努力も必要だということをみんなが思ってくださればいいなと思います。
以上です。

【永田分科会長】 ありがとうございます。
そのほか,いかがでしょうか。
長谷川委員のおっしゃるとおりで,大学としては社会人を受け入れるためのいろいろな制度やコンテンツを用意しています。あとは,雰囲気だけではなくて,制度面での環境づくりをしないといけないと思います。
それから,COVID-19が終わった後のことを考えると,こうした中央教育審議会の会議までオンラインで成立するわけですから,おそらくそういう意味での環境も整っていくだろうと思います。
そのほか,よろしいですか。
この案件は,そういう附帯的なことがたくさんありますが,前向きに進められる議案かと思います。
それでは,御意見がないということですので決議したいと思います。いつものとおり,大学院の設置基準の改正に係る事項は,大学分科会の議決をもって中央教育審議会の議決となるということになっております。従いまして,今から定足について御説明します。
事務局,お願いします。

【奥井高等教育企画課課長補佐】 事務局でございます。現在,28名の委員が御出席でございますので,過半数を満たしております。
以上でございます。

【永田分科会長】 皆さんに内容が伝わっているという前提でお諮りをいたします。
それでは,ただいま文部科学省から説明のありました諮問の内容について,御了解を頂くことでよろしいでしょうか。異議があれば,手を挙げてください。
それでは,全員異議なしと認めまして,ここでこれを了解されたものとさせていただきます。どうもありがとうございました。
続きまして,次の案件でございますけれども,これまで何度か議論をしてまいりました地域連携プラットフォームの構築に関するガイドラインについてです。本ガイドラインについては,地域がこうしたプラットフォームによって,高等教育の未来像を考えていくという枠組みを作りたい,という強い要望があります。今回ガイドライン案ができましたので,事務局から説明をお願いします。

【牛尾高等教育企画課長】 高等教育企画課長,牛尾でございます。
ガイドラインにつきまして説明をさせていただきます。資料3-1から3-3を御用意ください。
まず,資料3-1でございますが,こちらは前回の大学分科会で先生方から頂きました主な意見をまとめたものでございます。こちらは適宜御参照いただければと思います。
そして,前回頂きました御意見を踏まえまして,前回お出しした資料を一部修正しておりますので,そのポイントを御紹介したいと思います。
まず,資料3-2でございますが,こちらはポイントをまとめたものでございます。修正点は赤字で書かせていただいております。
まず1点目,このプラットフォームの意義として課題解決というところが強調されているけれども,単なる課題の解決だけではなくて,新しい社会を作っていくんだといったようなメッセージを出すべきではないかということで,最初の必要性と意義のところに,デジタル革命など新しい産業創出やイノベーションを生み出すこと,地域経済・社会を革新的に変えるチャンスであるという文言を付させていただいております。
あわせまして,大学,地方公共団体,産業界におけるそれぞれのプラットフォームの意義につきまして,御意見等を踏まえて少し加筆させていただいているところでございます。
それから,真ん中あたりでございます。プラットフォームの体制整備の対象地域でございますけれども,都道府県を越えた広域ブロックも対象となることを明示してはどうかという御意見がございましたので,その点を加えさせていただいております。
続きまして,資料3-3が本体でございますが,この中で前回の御意見を踏まえて修正した点を幾つかポイントだけ御紹介させていただきたいと思います。
まず,資料の4ページ目を御覧いただけますでしょうか。必要性でございますけれども,先ほどのポイントで申し上げたものと同じ趣旨で黄色く塗っておるところでございますが,新しい産業の創出等の前向きな内容について書かせていただいておるところでございます。
続きまして,ポイントだけで恐縮ですけれども,14ページを御覧いただければと思います。14ページでは,主体ごとについての内容を記載しております。地方公共団体のところに,一番下のところでございますけれども,地方公共団体が自らプラットフォームの構築に参画してサポートしていくという主体的な関わりについて少し記述を付加させていただいております。
続きまして,16ページでございます。こちらは産業界等の参画主体について幾つか例示をさせていただいているところでございますが,この例示の中に農業試験場ですとか,労働組合についても明記をさせていただいたところでございます。
続きまして,31ページを御覧いただければと思います。ここの部分は,プラットフォームで具体的に実行することが考えられる事項を整理しているパートでございますが,ここに書かれていることを全部やらなければいけないのかというような誤解を招くのではないかということがございましたので,これは例示であるということを明確に書いて,網羅的にやることを必ずしも求めているものではないということも明記をさせていただいたところでございます。
続きまして,32ページでございますが,こちらは具体の例をやはり例示しているところでございますけれども,①のところで,新たに,これも冒頭のところとつながるものでございますが,新しい産業を起こすような人材育成等について例示として書かせていただいたところでございます。
それから,34ページでございますけれども,18歳人口,日本人だけではない多様な学生受入れの観点からの具体例でございますけれども,④のところで,一人一人の労働生産性の向上や地域コミュニティの強化などの生涯学習機会の提供ということを明示させていただいております。
下の方の大学と卒業生の域内定着のところでございますが,こちらも例示のところで,魅力的な地域づくりというようなことを加えさせていただいたところでございます。
失礼しました。ちょっと説明を飛ばしてしまいましたが,お戻りいただいて恐縮ですけれども,9ページでございます。プラットフォームの構成単位のところでございますが,これもポイントの資料で御説明したことと同じですが,都道府県を超えた広域ブロック経済圏ということを,こちらの本文でも明示させていただいているところでございます。
前後いたしまして恐縮でしたが,変更した主な点でございます。よろしくお願いいたします。

【永田分科会長】 ありがとうございます。
御意見等ございますでしょうか。
この後の予定を申し上げますと,本日頂いた御意見で若干の修正があれば修正を加え,その後,パブリックコメントを実施して御意見を広くいただきます。その後,最終案として我々で検討するという予定になっております。
それでは,有信委員,どうぞ。

【有信委員】 有信です。
かなり詳細にまとめていただいて,ガイドラインとしては非常によくできてきたと思います。一つだけコメントがあるんですが,実際には国立大学等の施設整備に関する検討の中で,今後の国立大学法人等施設の整備充実に関する調査研究協力者会議というところで,「次期国立大学法人等施設整備計画策定に向けた中間まとめ」というのをまとめられてきておりまして,これはグランドデザイン等を下敷きにしつつ,国立大学法人等の設備計画の策定の議論をしているわけですけれども,その中で大学の新しい役割として,大学のキャンパス全体をイノベーション・コモンズとして地域や産業等のあらゆるプレーヤーとの共創拠点として位置付け施設整備を進めるという,こういう方針を今出そうとしています。そういう意味では,このプラットフォームと方向性がかなり折り合う部分があるのではないかと思いますので,できればそれが分かるように,例えば実際のガイドラインの,4ページのところに新たに付け加えていただきましたけれども,「また,Society5.0に向けて」云々(うんぬん)という,その文脈の中あたりにでも,イノベーション・コモンズ的な文言を入れていただけるといいのではないかというふうに思います。
以上です。

【永田分科会長】 ありがとうございます。
三村委員,どうぞ。

【三村委員】 茨城の三村です。
これは今言われたことを補強するというような趣旨なんですけれども,一つは,自治体の積極的な参加について書いていただいたのは非常によかったし,そこは非常に重要な点だと思います。
実は,3月に我々のところでも大学の地域連携のプラットフォームに関するシンポジウムをやったんですけれども,いろいろ聞いてみますと,多くの県では,例えば県の施策,自治体の施策の中に大学をどう位置付けるか,というようなこと自体がまだ余り現れていないという実態もあるわけです。ですから,そういうところはこれを契機に強化していく。
一方,静岡県から非常にいい,どんどん進めておられる例を伺ったんですが,一旦,県がいろいろなサポートから手を引くということになれば,その継続自体がなかなか難しいという話もあったので,単発ではなくて継続的な協力体制を取るということが重要なのではないかと思います。
それからもう一つ,そのシンポジウムの中で非常に強く感じたのは,これも強調していただきましたが,地域の複数の大学が協力することによって新しい大学教育の魅力を作っていく,それによって多くの学生,留学生も含めて引き付ける,そういうような役割を果たすというような考え方をするというのが重要だということです。
いずれも既に書いていただいている中身ですけれども,改めてそういう点は重要だなというふうに思いました。
以上です。

【永田分科会長】 ありがとうございます。
山田委員,どうぞ。

【山田委員】 この案文が出てきて本当にうれしく思っておりますし,正にここから新しい大学と地域の連携の形が生まれるんだというふうに期待しております。
そうした中で3点だけ申し上げたいんですけれども,1点は,本当にこれから特に地域,地方においては,大学も生き残りをどうやって模索していくのか,単に教育研究の充実という形になっていきますと,18歳人口がいよいよ20年後には90万を切る中で,重点化,集約化になってしまうのではないか。そうしたときに,地域の重要な構成要素である大学の位置付けというのは,本当に地域にとって掛け替えのないものになると思います。ですから,連携と言っても,正に大学としての教育研究と地域とがうまくWin-Winの関係になるようなものから,正に大学があるから地域があるんだ,地域と大学が一体となって,その地域の魅力を高めていくんだというものまで,非常に幅広い形,つまり,地域の構成要素として大学が掛け替えのないものになるところまで幅広くあるんだというふうに思っております。
そうした点からすると,この案文ですと,正に大学にとっては連携,教育研究にとってもいいのではないかという程度だけではなくて,大学自身の存在価値,これから大学自身の在り方についても研究していく,地域の構成要素として大学がなくてはならないものとしてなっていくんだという,もう一つ,一歩踏み込んだ形も書いていただきたいなと思います。
そして,そうなってまいりますと,地域にとって大学があるから人が集まる,又は大学と一体となるから地域がこれから伸びていくんだというところになってくれば,地域としては当然これは地方公共団体も産業界も財政的負担をすべきだというふうに思っています。これは国立だから財政的負担はしないとか,私立だったらどうなるんだということではなくて,半官半民みたいな形で半地域半民,半地域半公,半国ですか,国立みたいな形もこれから生まれてこなければいけないと思っています。そうした点では,地域に対して大学に対する関与というものについて,もっとしっかりと書き込ませることが必要だと思います。危機感を持てというような書き方になってはいるんですけれども,そうではなくて,大学を地域の構成要素として位置付ける以上,地域も負担をしっかりとしていけということは書いていくべきではないかと思います。
3番目に,そうなってまいりますと,本当にいろいろな要素があるんですよね。大変バラエティーに富んでいるので,余りガイドラインで本文に書き込み過ぎますと,先ほどちょっとお話もありましたように,非常に定型的に捉え過ぎて,全部これをやらなければいけないのではないかと思われてしまいますので,余り細かい部分のところを,何とか指導型とか,何とか主導型は,参考という形で書かれた方がいいのではないかなと思います。
その3点を以上申し上げます。よろしくお願いいたします。

【永田分科会長】 ありがとうございました。
それでは,佐藤委員,どうぞ。

【佐藤委員】 一言だけ。この地域プラットフォームの運営体制についていろいろ書かれております。非常によくまとまっていると思いますけれども,具体的に動き出したときに,いろいろな全体会議,推進会議等々で,いろいろなところから人が集まってくるわけですが,よくあることは,公立大学の場合,かなりそういう点があったと思うんですが,首長が代わったり,事務局がやっぱり安定しているということがとても大切だというふうに思いますので,そういう点についてもきちんと安定した運営ができるような人材,事務局の構成ということについてもきちんと考えるべきではないかなと思っております。

【永田分科会長】 ありがとうございます。
それでは,髙倉委員,どうぞ。

【髙倉委員】 プラットフォームの参画主体の中に労働組合を,追記されたということは評価を申し上げたい。連合では,既に地域プラットフォームを立ち上げ,産官学金労言の連携を図りながら地域課題の解決に向けた活動を進めている。資料3-3の9ページに記載されている宮崎県の具体的事例の中にも,産官学金労言との連携ということが強調されている。是非,本ガイドラインの周知の際にも徹底を図っていただきたい。我々としても,連携を深めて頑張ってまいりたい。
以上です。

【永田分科会長】 ありがとうございます。
今現在,手が挙がっている方はいらっしゃいませんので,ここまでの御意見かなと思います。
私も皆さんと同じような懸念を持っていますので,一言述べさせていただきます。つまり,ガイドラインとして産官学金労それぞれにとっての意義が示されていますが,この中で最も対応が遅れているのは,実は自治体かもしれないという危惧があります。それは,例えば県庁や市庁舎に行ってみると,高等教育に関する部署がないところはかなりあることからも明らかであり,地域における高等教育の役割は自治体の認識の中にほとんどないのが現状です。ガイドラインでは基準を作ることはできませんが,さきほど山田委員がおっしゃったようなことはもちろん,経費の負担を求めるのであれば,地方自治体の役割は何かを明確にすることも重要です。そのために,まずはニーズを明確にしていただく必要があるので,地方自治体の責任として地域の未来像を作ったときに,高等教育にこういうことをやってほしいのだと明確に述べていただいて,これに対して高等教育機関は応えていくという方法もあると思っています。この点については,文部科学省から総務省に対して何度かお伝えしていますが,こういう現状なので総務省でも地域における教育の未来像を考えるような働きかけをしていただければと思います。すぐに実現することはないですが,そういう努力をしないといけないと思います。
佐藤委員から御意見がありましたとおり,首長が代わると雰囲気が変わるというのでは,百年の計は成り立ちませんから,自治体として地域の将来像実現に向けた高等教育が果たす役割について,明確に書き込んでおく必要があるのではと思っております。
御意見どうもありがとうございました。
それでは,御意見はここまでということにさせていただきます。今後は,このガイドラインの案に今頂いた御意見を丁寧にうまく反映させて,先ほども述べましたようにパブリックコメントに付したうえで,もう一度またここで議論をさせていただき完成する,ということになります。どうもありがとうございました。
それでは,次の議題ですけれども,今期のこの大学分科会のメーンテーマ「教育と研究を両輪とする高等教育の在り方について」ということです。本日は円滑な議事進行に御協力いただいたおかげで,比較的長く意見交換の時間を割くことができます。
それでは,事務局から説明をまずお願いします。

【牛尾高等教育企画課長】 牛尾でございます。資料4-1から4-3を用いて御説明させていただきたいと思います。
まず,資料4-1でございますけれども,こちらは前回,御議論いただきましたときの先生方の御意見をまとめさせていただいたものでございます。適宜,御参照いただければというふうに思います。
この頂いた意見を踏まえまして,資料4-2の論点整理例ですけれども,一部修正加筆をさせていただいておりますので,その幾つかをポイントとなるところを御紹介させていただきたいと思います。
まず,2ページ目をお開きいただければと思います。論点例1の大学における「教育」と「研究」の両輪についての(2)の部分でございますけれども,大学教員の意識として,主要国の大学教員と比べて研究志向が高くて,教育に専念することで研究時間が奪われるといった意識があるのではないかといったことを付け加えさせていただいております。
続きまして,論点例2の教育と研究に基づく大学教育の在り方についてでございますが,(1)の教育課程についてのところの二つ目の丸でございます。一般的には,各学期に学生が密度の濃い十分な学習時間を確保できていない状況があるのではないかということを明確に記載させていただいたところでございます。
続きまして,3ページ目の(2)教育内容・方法について,というところでございますが,一番下の丸を追加させていただいております。学生参加型の授業方法など教育方法は多様になっているけれども,そういった工夫が学生の学習時間の変化にはつながっていないということで,教育課程を含めた見直しが必要ではないかということを記載してございます。
続いて,論点例3の大学教員の在り方の部分ですが,4ページ目を御覧ください。前回,この部分にたくさんの御意見を頂きました。
まず,(2)の標題についてなんですが,大学教員の評価に係る御意見をたくさん頂きましたので,「大学教員の育成と採用,評価」という形に変えさせていただきました。
具体的な御意見でございますけれども,二つ目の丸のところでございますが,ここは追記をしております。大学教員には教員免許というものがないので,教員自身が教育制度の理解が十分ではないのではないかということで,理解が求められるのではないかということを記載してございます。
次の丸のところでございますが,若手研究者についての記載でございまして,特にテニュアトラックの機能強化,恒常的な仕組みとしての定着が必要ではないかということを記載しております。
次の丸でございますけれども,大学教員の皆さんの研究力・教育力向上のために,「サバティカル制度」を大学運営上の制度としてちゃんと位置付けるということが必要ではないかということを記載しております。
次の丸のところでございますが,まず大学間の教員の流動性が低いという問題があるということを記載させていただいております。それとともに,大学教員の業績を適正に把握し,評価する仕組みを入れることが必要ではないかということを記載しております。
最後の丸でございますけれども,大学教員の評価としまして,研究業績だけではなくて,教育業績についても評価軸として入れること。それから,教員一人一人が評価内容を真摯に受け止めて改善に努めるということとともに,場合によっては厳しく対処するということも必要ではないかということを明記させていただいたところでございます。
こちらのペーパーについての前回の御意見を踏まえての修正は以上のとおりでございます。
それから,資料4-3でございますが,こちらは前回同様,関係となる各種データ等を載せてございますので,御議論の参考にしていただければと思います。
説明は以上でございます。

【永田分科会長】 ありがとうございます。
これまでの議論は説明があったとおりです。前回,短い時間ですが論点例3の大学教員の在り方について集中的に討論させていただきましたので,大幅に修正が加わっています。本日はこの続きでも結構ですし,それぞれの論点の中で,不足している観点にお気づきになれば,是非とも御意見を賜りたいと思っています。
皆さんがお考えを整理されている間に,私から一点申し上げます。例えば論点例3の大学教員の在り方で,テニュアトラックの課題について触れられておりまして,これを真摯に受け止めて考えていかなければいけません。しかし,テニュアトラック制度と労働契約法の5年雇い止めの規定は非常に難しい関係になっている部分があり,現在の有期労働契約の5年上限という規定は,少なくとも教育・研究に携わる大学教員には非常にそぐわないシステムであると思っています。テニュア獲得のために厳正な評価を行うための期間が5年間ということについては,大学を運営している立場としてだけでなく,評価される立場だったとしても,本当に充分な期間なのかというと疑問に思います。皆さんどのような御意見か分かりませんけれども,このような視点からも大学教員とは何かということの定義を積極的に示しながら,考えることも必要なのではないかと思います。
テニュアトラック制度を厳格に運用して一人の教員の能力をはかるということは,そう簡単にできることではありませんから,じっくりと腰を据えて評価できる体制を作っていかないといけないのだろうと思います。例えばということで意見を申し上げましたが,そのほかいろいろな観点に基づいて,すごく細かなことでも,理念のようなことでも結構ですので,御意見を賜れればと思います。
それでは,麻生委員,どうぞ。

【麻生委員】 資料4-2の4ページのところの教育業績の評価についてですが,そこに記載されております大学の教員に対して「上司,同僚,部下」という概念が一般の社会と違うので,これをどのように捉えるかというのは大変難しいかなと思いますが,いかがでしょうか。

【永田分科会長】 なるほど。意見交換は全体を通して最後に行いましょう。
亀山委員,どうぞ。

【亀山委員】 今回のこの新型コロナウイルス禍との関連で,全国的にオンラインの授業が導入されているわけですね。私自身もオンラインの授業を行って,新たなオンライン上の持っている可能性ということに気づき始めております。
例えば,大学院の授業なども,コースワークにしろ,あるいは論文指導にしろ,オンラインというのは非常に重要な可能性として今後浮上してくるだろうというふうに思ったりもしております。
是非今回のこれをきっかけに,大学教育の在り方の中に,今回のコロナウイルスに関連して出てくる教育方法の可能性ということについて,先生方に御議論いただきたいということと,もう一つ,例えばサバティカル制度の導入について,大学運営上の制度として位置付けることが必要ではないかといったような,これが論点例3の4ページの中段に書かれておりますけれども,例えばサバティカルで海外に行っていましても,オンラインで十分に授業ができるわけですね。現実に今,私の大学で海外に行かれている方も,本来ならば,このオンラインによって授業をしていただければ,時差の問題もありますけれども,教育の継続性の確保,帰国後の負担の軽減につながると思います。是非こうした観点を,現在の問題を組み入れながら,少し肉付けをしていただければと思いました。
以上です。

【永田分科会長】 亀山委員,ありがとうございます。特に前半の部分は重要なポイントでして,論点例2の教育内容・方法に該当します。オンラインによる教育が大変有効であるというのは皆さんお気づきになってきましたが,逆に哲学として必要なことは,フェース・ツー・フェースの必要性です。これを明確に定義できない限り,オンラインの意義は主張できないだろうと思っておりますので,大変良い御示唆だと思います。
それでは,益戸委員,どうぞ。

【益戸委員】 前回,評価については厳しい意見を言わせて頂きましたが,その延長上で考えますと,評価というのは,その後に必ずマネジメントが繋がってくると思います。私はアカデミアの皆さまとの接点は,この文部科学省の委員会のみとなります。以前から疑問に感じていたのは,なぜ大学のマネジメントは大学の先生方がおやりになっていることが多いのかという点です。もちろん私立大学では,外部から人を採用することもあるのでしょうが,民間事業においては,様々な分野から,特にマネジメントに関しては,様々な採用の仕方をしながら多様化を図っています。今後の研究と教育の在り方という意味においても,マネジメントをどうしていくかというのは非常に重要なポイントだと思いますが,是非,今後,私が疑問に感じている点について教えていただければと思います。

【永田分科会長】 論点例4が大学運営マネジメントの変革ということですので,今の御意見を,また次回にでも,具体的な内容も含めて是非とも御意見を賜れればと思います。
続きまして,清水委員,どうぞ。

【清水委員】 今回のコロナ禍とも関係するのですが,論点整理の中で非常に目立つのが,学生の学習時間が少ないとか,自学自習が少ないとか,履修科目が多いとか,開設科目が多いとか,さらには日本の大学の授業の単位が非常に細切れであるとか,こういう状況であります。これらはほかの文部科学省の委員会でも指摘されておりますが,特に日本の大学生は学期ごとに学ぶ科目が多過ぎる。それが先生方の教育負担にもつながって,研究力にも差し障りがあると言われます。
今回のコロナ禍によって,義務教育も含めて,学びの保障とか,学びの連続性,これがかなり世間的には注目されていますが,大学がここで大きく転換しなければいけないと考えています。何によって転換できるか考えてみましたところ,現在の大学の単位制度が戦後70年間の中で,教師側から作られた単位制度となっていることです。教師主導型で,その構造は教師が教え続けるための単位制度になっている。単位制度そのものを批判するわけではなくて,単位制度の基準構造とか運営が教師中心になっている。「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン(答申)」(以下,「グランドデザイン答申」という。)以降,学生の学びを中心にして,学生が学び続けるための単位制度の構造はどうあるべきか,ここで大きく変えるチャンスかと私は思っています。教育のデジタル化も進みますので,密度の濃い深い学びができる学習者本位の単位制度とはどうあるべきか,その新たな創造は国際的にもアピールできるものだと思います。
以上です。

【永田分科会長】 清水委員,ありがとうございます。大学関係者以外の方にも分かりやすく説明するとすれば,大学教員が教えたいものを並べて学位を与えているという現状を変えるべきである,ということだと思います。
それでは,伹野委員,どうぞ。

【伹野委員】 伹野です。
論点例1(2)「教育と研究のつながりについて」では,大学教員の意識としては研究志向が高いとの指摘があります。私も長い間大学教員を経験しましたので,そのことが実感として理解できます。もう20年以上前のことですが,大学院重点化が始まり,各大学が研究大学に変わった訳です。大学院重点化では,大学院を担当する教員の資格審査が実施されました。ほとんどは国際的な研究業績に基づいた審査であったと記憶しています。また,重点化された大学の教員は学部ではなく大学院の組織に所属することになりました。学部には教えにいくという形です。教員の主な役割は,大学院の研究と教育,そして学部教育です。学部学科と大学院専攻科が対応しない場合も多くありましたので,教員が大学院のみに所属することで,学部教育に対する帰属意識が低くなったように思います。今回の「教学マネジメント指針」は学部教育についての教育の質保証の基本的な指針と理解しています。最近の学生の学力等の課題は,往々にして学部教育に対するものだと思います。この点は研究とのつながりよりも学部教育に対する大学教員の意識・動機付けが重要に思います。
以上です。

【永田分科会長】 ありがとうございます。
次に,吉岡委員,どうぞ。

【吉岡委員】 吉岡です。2点です。
1点目は,この論点整理例のところを読んでいて,それから,研究者の評価等の議論の中で気になったことですが,この中に「学会」ということが一つも出てこない。「学会」という言葉が一度も出てこない点です。大学の教員は,一方で学会のメンバーであって,研究者としてのつながりは,国内や国外の学会の中で位置付けられているところがあります。例えば,学会の紀要に書いたものの査読のレベルであるとか,紀要の評価であるとかということと非常に深く結びついています。学会は,もちろん非常に自立的な団体なので,中央教育審議会の方で口を出すべきことかどうか,ちょっと別の問題があると思いますけれども,やはり学会の在り方,学会というものにおけるつながりというのは,研究と教育ということを考える際に考えておく必要があるだろうというふうに思いました。
学会のつながりというのはいろいろな面で重要で,例えば人をリクルートするときも,やはり学会での人のつながりの中で人を探したりするということもあります。学会がどういうものかということは,どこかで考えて,うまく入れられたら,検討の中にも入れてもいいのではないかというのが1点です。
2点目は,ややそもそも論になってしまうのですけれども,この教育と研究という言い方をしたときの,例えば「教育」とか「研究」という言葉で何がイメージされているのかは,かなり違いがあるのではないかというふうに思っています。おそらく専門の違いということもあるし,国公私立でも違うだろうと思いますし,それから,多分,国によっても随分違うのではないか。日本で,例えば「研究と教育のどちらを取るか」と言われたときに,「教育」という言葉でイメージされるのは,先ほど学部教育ということがありましたけれども,恐らく非常に一般的な事柄を何もまだ分かっていない学生に対して教えなくてはいけないということであるとか,それから,いろいろなアドミニストレーションの事柄が込みになって,「教育」ということが考えられる。逆に,「研究」というのは非常に狭く捉えられるというところがあるのではないか。今後議論を深めていくのであると,「教育」とか「研究」という言葉でそもそもどういうふうなものをイメージするのかということを少しはっきりしていかないと,かなりごちゃごちゃになっていくかなというふうに思いました。
具体的にどうしたらいいかとか,定義が明確にできるとも思わないのですけれども,例えば大学院の授業というのはかなり研究と結びついているでしょうし,学部の高学年の学生が研究室に加わってやる場合にも,教員の研究と密接につながっていて,それが研究自体を進めるということもある。その辺のところはちょっと考えておいた方がいいかなというふうに思いました。この2点です。

【永田分科会長】 ありがとうございます。今の吉岡委員の問題意識は非常に重要だと思います。私自身が「教育と研究を両輪とした」と言ったときに,大学院とか学部という問題ではなくて,教育そのものが研究の過程や研究の一部になっているような,あるいは,そういう一体感が重要だろうと考えています。つまり,教科書だけで教えることを大学の教育と呼ぶことはもうやめよう,ということです。大学とは,フンボルト理念によれば,学士課程であっても大学院課程であっても,教員と学生が新しいものを生み出していく場所であるということであると思っています。今ちょうど問題意識を掘り下げていただきましたが,研究の方が狭くて,研究者とは孤高の人であるというような,日本における高等教育のとらえられ方はそうはないということを,今回改めて理解するのは大変重要だと思っています。
それでは,続きまして,安部委員,どうぞ。

【安部委員】 教育と研究の両輪とするということで,教員の意識改革が論議されているところですが,もう一つ,論点例4の,大学運営マネジメントの変革についての(2),いわゆる大学職員の専門性というものを強化していくということが大事ではないかなと常日頃考えるところです。
例えば,教育成果を上げるための段階的で体系的なカリキュラムの編成だとか,あるいは,変化する学生に対する適切な支援のあり方とか,教学や学生支援に関しても,大学運営のマネジメントを主に担当する職員と教員の協働が,教育と研究を,大学で過不足なく進めるためには重要なポイントになるのではないかということを感じております。

【永田分科会長】 ありがとうございます。非常に端的な御意見だと思います。
志賀委員,どうぞ。

【志賀委員】 この教育と研究を両輪とする大学教育という観点の議論が始まったときに,大分前からこの議論が始まったと思います。そのときの私の問題意識というのは,産業界にいて,産業界が引き起こすイノベーションは,自動車業界もそうなんですけれども,そのイノベーションの源泉というのは,私が知る限り,ほとんどがやっぱり大学発研究です。大学で長いこと基礎研究をやっていただいた成果が産業界にバトンタッチして,イノベーションとして,技術として,あるいは商品,製品として出てくるという流れだったわけですが,ノーベル賞を取られた多くの先生方が大変危惧されているように,現在の大学の研究体制というのでは,将来,ノーベル賞が取れない,あるいは,そういう日本からイノベーションを引き起こす力が弱くなるのではないかという,これは産業界にいると,今まで過去の研究成果で今があったわけですが,将来そういうノーベル賞を取られた先生方がそういうことをおっしゃると,産業界の立場として非常に怖いので,ただそれは本当に単純に予算が,国からの研究開発に大学に出される予算が年々減っているからそうなっているのか,そのお金だけではなく,大学のマネジメント,教員の方々の評価,学生と大学の教員の方々の共同してやる研究のやり方,若手の研究者の育成,あるいは,その人たちの報酬,そういうものが混じった全体としての大学のマネジメントみたいなところが議論されるのかなというのは,当初の私の期待感だったんです。したがって,今回のこういうものが,結果的に世界に冠たる技術大国日本として将来にとめどなくイノベーションを引き起こすような研究が,大学で持続的にできる,そういう源泉であるというところが私のこの視点としては非常に欲しいな,そのように思います。
以上です。

【永田分科会長】 ありがとうございます。実は,論点を四つ置いてありますけれども,じっくり議論したのはまだ論点例3の一部だけです。実はまだ皆さんから頂いたものを章立てに並べるまでに時間を要しており,今,志賀委員が言われたことは,論点例4の,例えば大学運営マネジメントでいかにして研究や教育を高度化していくか,というような観点でもう一度議論したいと思っています。ありがとうございました。
続きまして,古沢委員,どうぞ。

【古沢委員】 これまでの意見を見ますと,大学の流動性が低いという指摘が多くされています。確かにそうだとは思うのですが,外部の者として取材した経験から言わせていただくと,流動性が比較的今までよりも高まっているからなのか,研究志向が強いからなのか,一部の教員の方がその大学への所属意識が民間などと比べても若干低い傾向にあるのではないか。その大学の教育の質向上に余り関心がないのではないかという印象を持ったことが何回かありました。その要因の一つに,個々の教員の授業や指導について,十分な評価体制がないこともあるのではないかと思います。
また,一部の大学で,これも取材の経験なんですが,伝統的に外部の人が全く授業やゼミを見学できないというルールがありまして,取材できないことがあったんですね。同様のことは過去に初等中等教育でもあったのですが,今は御存じのとおり,保護者や地域の人も広く見学することができる。大学がそれにふさわしいかどうか分からないのですが,そのような状況で学内でお互いに授業を見る機会があるのか,きちんと評価されているのかという疑問はあります。各大学で授業の評価,それから教員が学生をどう評価するかということについても一定の軸を作っていく必要があるのではないかと思います。
以上です。

【永田分科会長】 古沢委員,ありがとうございます。そうですよね。授業が新陳代謝しないのはおかしい話で,魅力のない授業は入れ替わっていかなければいけないのですが,先ほど清水委員がおっしゃったように,教員目線で作ってあるのでいつまでも残っているというのでは困ります。
続きまして,鈴木委員,どうぞ。

【鈴木委員】 先ほどの麻生委員の御質問にあったように,前回,私が著しくこれに近い発言をしていますが,ここでいう評価というのは,多面的なというところに評価を置きたいと考えていまして,ここに言う「上司,同僚,部下」ということは一般企業で言われることなので,大学においては学長であったり,学部長であったり,学生からの様々な意見であったりということで,その辺の多面的な意見を総称して,できる限り上からの評価で,2wayのコミュニケーションが取れるような評価をしていただきたいとご理解ください。
それからもう1点ですが,今こういうコロナになったことによって,例えば民間であれば働き方が全く変わってきて,ほとんどがテレワークとなり,実際に変化が起きています。それによっては,多分,大学もさらにオンライン教育が当たり前になってきて,こういう緊急体制のときにいかに継続できる体制にするのか。多分,6月以降,動き出したら,様々な変化が起きてくる感じがしています。そういう意味では,民間企業などでしたら,会社に行って仕事をすることが必要ではなくなり,オフィスのスペースを返したり,逆に仕事の中身を分割したりということがありますので,同じように大学の中でもこういった部分はかなり皆さん工夫されていると思っています。できる限り学びの場においては,現場の方の意見を取り入れていただけたらよいと感じています。 以上です。

【永田分科会長】 ありがとうございます。
次,松尾委員,どうぞ。

【松尾委員】 2点申し上げたいと思うんですが,まず1点目ですけれども,今日は何を言ってもいいということなので。
高等教育における質の保証ということでは,例えばヨーロッパなどでも相当長い時間をかけてやられていて,学位だとか,教育の内容について,相当やられている。しかも,その中で国際通用性というか,横の通用性がちゃんと保障される形で教育がなされているということで,そういう意味で言うと,日本の今の高等教育の,いろいろ,学位にしても,教育の中身がやっぱり国際的に通用するものになっているのか。それを保証しようとしたときに,一体どんな教育の中身で,それにどのぐらいリソースをつぎ込むと学生の教育がそれに見合ったものになっていくのかということがまず重要で,私は管理者なので,それを組織的にどういうふうに保障していくのかが重要だと思っています。それを一人一人の教員にどういうふうにブレークダウンしていくのかというのは非常に重要な観点です。
そういう意味では,この中で書いてあるチーム・ティーチングというのは極めて重要で,一人一人の教員の資質も重要なんですけれども,組織としてそれを保障していくということが非常に重要。これがないと,恐らく個々の教員の評価も正当にできないということになってくるので,この点は是非意識をしてやっていく必要があると思っています。
それから2点目なんですけれども,このチーム・ティーチングを考える上で,これはちょっと個別のことになりますが,将来の教員候補としても,あるいは研究者の候補としても,TAとか,今,クォリファイドTAとか,特に大学院生を中心にして,こういったものをしっかり活用しようという話がありますので,このチーム・ティーチングの中には,そういった要素もあるということを是非入れておいていただきたいというふうに思います。

【永田分科会長】 ありがとうございます。
次に,髙宮委員,どうぞ。

【髙宮委員】 私から申し上げたかったのは,高等教育における共通教養あるいはリベラル・アーツの考え方についてです。
と申しますのも,これは私自身すごく悩んでいるところであり,日本の高等教育においては共通教養が確立された部署として必要と言われたこともあれば,必要なくなったという長い歴史があると思うのですけれども,その中で現在,グランドデザイン答申の中でも,リベラル・アーツ的な教育の重要性が改めて強調されました。ところが一方,組織的には多くの大学で教養部のようなところがなくて,各々の教員は,多分特定の専門分野を持っている,研究に方向性が向いている教員が多い状況になっているのではないかと推測しております。
しかしながら,実際にやはり共通教育,リベラル・アーツが重要となったときに,その内容を研究とは切り離して評価するスキームがもう少し必要なのではないかということが感じられたところで,ここで改めてリベラル・アーツ教育の再評価といいますか,評価方法について,研究と教育の教育側の視点として加えていただきたいと思いまして発言させていただきました。
私自身も非常に細かい分野の専門家ですが,その専門家の研究とリベラル・アーツ研究は直結しないというのは当然教員共通の悩みではないかと考えます。観点に加えていただけましたら幸いです。ありがとうございました。

【永田分科会長】 ありがとうございます。
リベラル・アーツとジェネラル・エデュケーションが混同されているのではないかと思います。ここで日比谷委員からリベラル・アーツの定義についてご説明があるかもしれません。日比谷委員,どうぞ。

【日比谷委員】 申し訳ないんですが,今,手を挙げましたのは,テニュアトラック制度についてお話をしたいと思っておりますので,既定の方針どおりそちらでテニュアの発言をいたします。

【永田分科会長】 どうぞ。

【日比谷委員】 資料4-2,4ページの三つ目の丸のところにテニュアトラック制度の話が出てきております。私は3月で学長はもう終わりましたけれども,8年間の在任中に,実は昔の古い余りよろしくないテニュアトラック制度があったんですが,それを撤廃しまして,新しいテニュアトラック制度を入れまして,在任中に2人の審査を終えて,2人ともめでたくテニュアは取れたという状況になっておりますが,この中で非常に大事だと私が思いますことは,各大学等が求める人材像にふさわしいかを十分に確認できる人事制度という文言がございます。ここが非常に大事で,先ほどから教育,研究,あるいはリベラル・アーツはどのぐらい重視するかというようなお話がありましたけれども,それはそれぞれの大学のミッションによって違うと思いますので,このテニュアトラック制度のいいところは,ここの大学ではこういうことを求めていますよと,例えば教育や研究のバランスであるとか,ほかにもいろいろなことがあると思いますけれども,こういう人にここの教員になってほしいんだと,ついては,こういう観点からテニュアの審査をしますよということを採用の際に明示的に示す。そうすると,こんなことを要求されるんだったら,ここはやめておこうかなというような気持ちになる応募者もいると思いますので,それぞれの大学が国公私いろいろございますけれども,ミッションを果たしていくという上で,この大学に合うA先生が,別の大学に行ったらいいとは限りませんので,テニュアトラック制度のいいところ,それから目指すべきところはその点にあるのかなと思っております。
今は以上でございます。

【永田分科会長】 ありがとうございます。
村田委員,どうぞ。

【村田委員】 皆さんのお話を聞いていて,少し前から考えていたことをお話しさせていただきます。
文部科学省から頂いた資料の中で,教育と研究の両立は困難かというデータが見開きのところにあるんですが,そのときに日本は「困難である」ということを答えている割合が多い。一方でアメリカは極めて少ないんです。では,アメリカと比べて日本の研究はどうなのかという話になると思うんですが,恐らく先ほど永田分科会長もおっしゃっているんですけれども,教育と研究の在り方を考えるときに,日本の教育の在り方は,本当に戦前の大講義形式のような昔の在り方をそのまま踏襲しているので,教育と研究が分離されているんだと思うんです。今回このコロナのことで恐らく先生方もオンラインでの授業,授業はこういうふうに工夫すればとか,ということに恐らく気づかれていると思いますし,例えばアクティブ・ラーニングというような形になった場合に,これは分野によって大分違うと思いますが,教育と研究がそれぞれ連動している,あるいは,大学院のことを含めれば,一緒にやっていかないといけないということが出てくると思うんです。そうすると,先生方は新たに教育のやり方,方法,これも出ていましたけれども,そこのところを考えていく必要があって,そうすると今度はマネジメントにつながってくると思っています。やはりこれから職員の能力がどんどん上がっていって,教員は本当に研究と教育の在り方そのものだけに時間を費やしていくという方向に考えていかないといけないと思うんです。
そういう意味で,特に教育と研究が分離されているのは,これは金子委員が昔からおっしゃっていることだと思うんですけれども,いわゆるLAとかTAの制度が日本は全くちゃんと導入されていない。これはお金の問題もあると思うんですが,教育と研究の問題をどうするかということが,マネジメントだとか教員の評価だとか,全部そこにつながっていくんだと思います。分野によって違うと思いますが,教育と研究の在り方,教育の仕方そのもの,これを抜本的に考えることから始めないといけないのかなとは思っています。
以上です。

【永田分科会長】 村田委員,ありがとうございます。ティーチング・アシスタントとかティーチング・フェローの問題,先ほども出ましたけれども,ここに十分に投資しておけば,学生たちが教育とは何かを学んだ上で卒業していくことになるので,大変重要なポイントだと思います。
有信委員,どうぞ。

【有信委員】 有信です。よろしくお願いします。
もうほとんど様々な意見が出てきていますけれども,もう一度,教育と研究の両輪という観点に立ち戻って考えると,もともとこれはフンボルトの理念に基づいた考え方で,それをずっと日本の大学も引き継いできているんだと思います。ただ,大学の中で必要なのは,基本的で必要な学問を体系的に身に付けさせるということと,それから,今のように先端的な様々な研究が進んでいる場合には特にですけれども,研究によって得られる先端的な知識を体系化して新しい学問分野を作るという,この二つの部分が非常に重要だろうと思います。特に研究から得られた知識を体系化して新たな学問分野を作るというのが,現代的に言えば,本来の教育・研究の両輪ということだろうと思います。
一方で,大学院大学の制度変更等々も影響していると思いますけれども,かつてから,特に工学系では学部教育で必要なことが教えられていないということがさんざん言われています。これは基本的で必要な学問が体系的に身に付かないまま学部を出てきてしまうということです。この一つの問題は,大学院で新しい研究をやる先生たちが,自分たちの方に学生を引き付けるために,学部教育をかなり変えてしまっているのではないかということが議論をされてきています。
設置認可制度では学問分野が明確に定義をされていて,これが基本的に必要な学問分野だと思いますけれども,ただ,その学位分野がそのまま大学院にも準用されていて,あるいは学問分野も同じだと思いますが,それがそのまま学会とつながっていて,新しい分野を作っていこうとしたときに,障害になっているケースもあります。
そういう中で,やっぱり私が思うのは,本当に基本的で必要で学生が身に付けなければいけないそれぞれの学問分野での教育,学部教育と,それから,言わば先端的な知識を体系化していく過程の大学院教育と,この双方をきちんと見直した上で設置認可制度もやっぱり見直していく必要があるのではないかというふうに思います。これが多分,大学分科会の今期の中の主要テーマの一つであります設置認可制度の抜本的見直しにつながっていけばいいと思っています。
以上です。

【永田分科会長】 ありがとうございます。有信委員は,今この大学分科会の立ち位置をまとめて説明していただいたことになります。教育現場のいろいろな問題も挙がってきましたし,大学教員やシステムの問題もあります。中央教育審議会の大学分科会というのは,こうした問題の解決策を精神論で終わらせるのではなく,例えば清水委員がおっしゃっていた学習者本位の教育になるのかということを,制度論としていかにしたら実現できるかを議論する場です。また,志賀委員がおっしゃったように,研究や教育をこういうふうにしたいのであれば,どういうシステムに変えていくかという話をしなくてはいけません。ですから,本日のところはいろいろな御意見をいただきますが,それを実現するためにどのような施策が考えられるか,ここを本分科会では考えなければいけません。本日は御意見をたくさん言っていただいて,この論点整理を分厚くしておいて,次回以降は,これを実現するためにどうしたらいいかという議論を進めていきます。
佐藤委員,どうぞ。

【佐藤委員】 もう既に先生方,いろいろ御発言の中に出てきているわけですが,今回のコロナ騒ぎで,私のところも遠隔授業を大分対応したんです。1日600ぐらいの科目が設定されていて,それを全部遠隔地でやる。それから,新入生に対するオリエンテーション,ガイダンス等もそれでやるということで,何とか進んでいるわけですが,これ,将来,論点例4のところを膨らませるときに議論すべきだと思いますが,やっぱりその中で事務職員と称している人たち,スタッフの役割というのは非常に大きかったですね。
それで,参考資料も32ページ,33ページを見ると,法令上の規定等があるんだけれども,法令上の規定でいうと,学教法では37条の14項で「事務職員は,事務をつかさどる」。それから,92条では「大学には学長,教授,准教授,助教,助手及び事務職員を置かなければならない」。
一方で大学設置基準では,「大学は,その事務を遂行するため,専任の職員を置く適当な事務組織を設けるものとする」,「適当な」と言っていて,具体的にはやっぱり役割が明確ではないし,ですから,そこら辺は今後の課題になるのかなというふうに思っています。
いろいろ御意見,スタッフの重要性,過去にもSDが必要だとか,いろいろ導入をしてきたわけですが,まだまだ十分にそれが理解されていないのではないかというような気がしている。
以上です。

【永田分科会長】 ありがとうございます。今,佐藤委員御指摘のとおり,法改正もあって,規定上は事務職員ももっと自立的に活動できることになっているのですが,現場の環境はまだ追いついていないのだろうと思います。
渡邉委員,どうぞ。

【渡邉委員】 先ほどの有信委員のお話に関連して少し意見を申し上げます。
各論の部分で非常に深い議論がなされているのですが,各論の議論の際には,「はじめに」に記載があるとおり,何のための教育と研究なのか,何のための評価なのかという,「何のために」という視点が非常に重要なのではないかと思います。また,本日のいろいろな方の御意見にもありましたが,COVID-19によって,ニューノーマル,あるいはニューディールとは何なのかということが問われており,今そうした歴史的な節目にあるのではないかと思います。したがって,この議論の各論を考えるときも,新しい大学における教育と研究の両輪の目的が明確に認識されるようにする必要があるのではないでしょうか。その目的は変わるわけではなくて,教育基本法の社会の発展に寄与することであったり,グランドデザイン答申にあるとおり知識の共通基盤を支えるために教育と研究が一体不可分のものとして存在するという視点だったり,あるいは,これから大学が知識集約型の価値創造システムの中核としての役割をどう発揮するのかなどです。これら全てに共通しているのは,Society5.0時代を見据えた点であり,ここが,大学にとってニューノーマルになると思います。要するに,Society5.0時代に向けたイノベーション創出と人材育成の基盤を,教育と研究の両輪でどう果たすのかということです。恐らく元々の教育基本法の想定よりも,目的意識は格段に将来型,未来型になってきています。
皆さんの御意見のとおりだと思いますが,各論の議論の際も,教育と研究を両輪とする大学教育というのは,「はじめに」に書かれているような,大学におけるニューディール,ニューノーマルの世界のためにやることなのだという視点があると良いと,有信委員のお話を聞きながら感じました。
以上です。

【永田分科会長】 大変ありがとうございます。本日はまだ,皆さんからの個別の意見聴取ですけれども,渡邉委員が言われたとおり,新しい時代に向けて大学がその中で何を先導できるのかを言わなければいけません。それについては,まとめまでには前文にしっかり書いておきます。大変ありがとうございます。
髙倉委員,どうぞ。

【髙倉委員】 教育と研究の両立は困難であることが明らかにデータに現れている。特に,若手教員の61%が困難と回答しており,とにかく忙し過ぎて改革どころではないという状況もあると思われる。元々,働き方をどう変えていくかは,第四次産業革命が起こって以来言われていることですが,今回の件で一気に加速して働き方が大きく変わる,変わらざるを得なくなってきている。働き方の改革を生産性の向上につなげていかねば,改革も進まないと思います。是非とも,まずはしっかり働き方改革を行うことから始めていくべきであります。これは,マネジメントにも関わってくると思うが,そうした視点も持って取り組んでいただきたい。
以上です。

【永田分科会長】 曄道委員,どうぞ。

【曄道委員】 論点例3では大学教員の在り方,それから論点例4ではマネジメントということで整理していただいているわけですけれども,私はこの中間に当たるというか,組織の評価についてもう少し言及が必要ではないかなというふうに思います。組織というのは,学部,学科,あるいは研究科専攻といった単位での組織がどう機能しているかという評価という視点を,これからの大学のマネジメントの中に入れていかないと,一人一人の教員の評価をするということも非常に大きな課題ではありますけれども,それだけではやはり教育のシステムとしてどう機能するか。例えば,最先端の研究成果が教育にどう盛り込まれているかとか,あるいは,現代の社会の動向というものが教育にどう反映されているかとか,もちろん学位等の質のこともそうですけれども,教育研究の相乗効果を狙うということであれば,個人一人一人だけではなくて,次の単位の学部,学科,研究科専攻といった組織の機能評価というものについて,もう少し議論が必要ではないかなというふうに考えております。
以上です。

【永田分科会長】 ありがとうございます。
三村委員,どうぞ。

【三村委員】 ちょっと前に意見を出された吉岡委員,村田委員のお話に触発されて,今我々が議論しているこの教育とか研究というものに対してどういうイメージを持つか。特に学部教育,学部と大学院ではいろいろ違いもあるということなので,その点について少し話をさせていただきます。
教育と研究を両輪とする大学教育というときに,学部だろうが,大学院だろうが,必ずこういうような方向に進もう,今いろいろ議論されているそういうようなものと,しかし,学部のレベル,あるいは大学院のレベルで,どの点が違うんだろうかというようなことを意識するというのは重要なのではないかと思うんです。
特に大学院はいろいろ課題はあるとしても,ある程度イメージしやすいですが,学部における教育と研究を両輪とする教育活動という点で,このレポートの中では4ページですか,教育方法のところに書いてありますけれども,最近のアクティブ・ラーニングとか,そういうようなもの,あるいは現在のオンラインの教育方法というのは非常に大きな役割を果たすのではないか。我々もそういうことを導入して積極的に,教室で受け身の授業を受けるという教育から,学生が主体的に学ぶ学習に転換するということをやったんですけれども,そうすると,非常に面白かったのは,3年くらいでそういう形にすると,多くの学生が1年生の頃からもっと社会に出ていって実際の問題に触れるような経験をしたかったとか,海外に派遣してくれるんだったら,もっと早い時期から行かせてもらったらよかったとか,そういうことを言う学生もたくさん出てきました。
そういう意味では,今言ったような教育と研究を両輪とするようなビビッドな教育内容に変えるということは,教育の形態をアクティブ・ラーニング(主体的な学習)だとか,あるいはオンラインを活用した多様な形態だとか,そういうものと非常に強く結びついているし,そういう新しい教育方法を展開することによって,この問題にある程度の方向性が見いだせるのではないかというふうに思います。。
以上です。

【永田分科会長】 ありがとうございます。
それでは,長谷川委員,どうぞ。

【長谷川委員】 前にも言ったかと思うんですけれども,研究と教育と言うときに,研究の側面で何が重要かというと,全く新しいことを生み出すことです。新しい考え方とか,新しいことを自分で生み出すこと。教育の方で,特に学部教育というのは,そういう勝手に新しいことを考えても,もうほかの人が何を考えたかということを全然知らないでは困るので,そういう既存の知識や既存の体系がどうなっているかということをまずは知ってもらい,でも,そこで終わりではなくて,そこから先,新しいことを考えるためには何を考えなければいけないかを学部のときに一応学んでもらう。それが研究ということが,大学院とか自分が研究者になるということは,それを実際に本当に新しいことを生み出していくことだ。そこがつながっているんだと思うんです。
ですので,さっき清水委員でしたか,今の学部の講義とか単位の在り方というのは,先生が教えたいことを並べてやってきた。それは正にそのとおりで,だから自分の研究をしゃべり,自分の研究にリクルートしたいから一生懸命いろいろな科目を展開してしまって,学ぶ側(がわ)から見たときに,一体それを基にして,これから自分が新しいことを作っていこうとするときには何をしたらいいかという教え方をしていなかったということだと思います。
ですので,本当に学生が自分で学びを促すための方策ということは,結局その学んだことを基に,じゃあ,違うことを考えるには,新しいこと考えるには,自分は何に注目して何を考えたらいいのかということの土台を見せることなんだと思います。
なので,そういう整理をすると,別に文系であろうと,理系であろうと,社会学系であろうと,考えるための土台を提供し,そこから先に何を考えたらいいのかの方策を示し,そして研究者段階になったら本当に新しいことを生み出すという,そういう流れを明らかにすれば,学部の学びを,自分で学びを促すためのアクティブ・ラーニングのやり方というのも,オンラインの使い方もずっと整理されて見えてくると思います。そこでFDとSDとTAが必要なんだと思います。
以上です。

【永田分科会長】 ありがとうございます。だんだん核心に触れてきていて,良い議論になってきていると思います。この議題については,論点整理の段階でとどまっておりますけれども,それらの課題のどこに一番着目してこれから変革をしていけば,そうした人材が生まれるのか,あるいは新しい研究が生み出されるのかということにつなげないといけません。そこの部分について今後話し合えるように,この論点整理も少し改編しながら対応していきたいと思っております。
最後に長谷川委員がまとめていただきましたが,そこに到達するために教員も職員も意識がとにかく変わる必要があります。しかし,ただ意識を変えろと言っても変わらないので,具体的にこういうシステムで変えましょうと言う必要があると思うので,そういう議論になっていくように,次回以降,努力させていただきたいと思います。
今,手を挙げていただいた方は全部御意見をいただきました。大変ありがとうございました。継続的にこの議論を続けさせていただくために,大変良い意見をたくさんいただけたと思っております。
もう残り時間が余りありませんけれども,最後に二つだけ申し上げたいと思います。中央教育審議会というのは,御存じのとおり,大学分科会だけではなくて,初等中等教育や生涯学習等も含めていろいろな分科会に分かれています。いま懸案となっている9月入学について,いろいろな方とも意見交換をしましたけれども,中央教育審議会として諮問はいただいておりませんけれども,やはり一定の見識を示すべきではないかという感じがしています。最も教育の大きな枠組みのコンセプトを考えているこの中央教育審議会が,諮問がなくても考えを述べてもいいのかと思いますけれども,大学分科会だけにとどまる問題ではありません。したがって,いろいろな意見もいただいておりますけれども,やはり全体像を考えるという意味で,総会において9月入学についての一定の考え方なり議論なりというのはあってしかるべきだと思っております。もちろん諮問があれば,本分科会でも議論はしなくてはいけないとは思いますけれども,本日ご賛同いただきたいことは,9月入学について我々も意見はあるが,大学だけではなくて,高校,中学,小学校,あるいはそれ以前の問題まで全部含めてやはり議論をすべきであると思います。そこで,中央教育審議会の会長である渡邉委員にお願いして,総会のもとで議論いただければと思うのですがいかがでしょうか。

【渡邉委員】 どうもありがとうございます。御意見のとおり,中央教育審議会としては諮問を受けてまとめるという立場なので,非常に難しいのですが,もともと9月入学というのは,臨時教育審議会で国際的に開かれた教育システムの秋期入学制への移行を前提として諸条件の整備に努めるべきだというところから始まって,国民的合意の形成や条件整備が整わず先送りになりました。移行方式の検討が必要だということも当時から課題になっていたわけです。高等教育のところでは,中央教育審議会の議論で,各大学の判断によって学長が定めるということが学校教育法の施行規則で既に改正されて,実態もそうした形で進み始めているというのが現在地と認識しております。ただ,この間に初等中等教育の条件整備の問題については,議論が進んでいません。ですから,今回,新型コロナウイルス感染症の影響を受けて,こうした問題提起がなされたわけですが,今回のような9月入学の問題だけではなくて,世界を舞台に活躍できるような人づくりという大義の視点から検討すべきではないかと考えています。初等中等教育でも,高等教育でも,大義のための視点での課題整理が必要だと思います。
永田分科会長の御指摘のとおりだと思いますので,そうした問題意識を基に,今後,特に諮問があれば,真剣に検討する必要があると思っております。

【永田分科会長】 どうもありがとうございます。
かつては諮問がなくても,3年前に中央教育審議会から教育に関する予算配分についての意見を申し上げたこともありますので,必要であれば可能だと思います。ただ,今,渡邉委員が言われたとおりの認識を私も持っているので,ここだけの議論で終わらせず総会のような場で話し合うべき問題だと思っています。
本日の議論は一通り終わりました。全体を通じまして何かあれば,今,御意見を賜りますが。よろしいですか。
ないようでしたら,こちらから一つ御報告を申し上げて,本日の会議を閉じさせていただきます。本大学分科会の臨時委員だった三島委員,元東京工業大学長が,新しい本務に就かれまして,その本務のために委員辞任のお申出がありました。ご本人のお申出どおり辞任を認めることとなりますので,御報告をしておきたいと思います。
それでは,今後の予定等について,事務局から報告をいただいて終わりにします。

【奥井高等教育企画課課長補佐】 事務局でございます。次回の大学分科会につきましては,7月15日水曜日,午後1時から3時を予定しております。また開催方法ですとか会場については調整させていただきますので,追って御連絡させていただきます。
本日,時間の都合上,御発言できなかったものがありましたら,事務局までメールでお寄せください。
以上でございます。

【永田分科会長】 それでは,第154回の大学分科会,これにてお開きにさせていただきます。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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