大学分科会(第152回) 議事録

1.日時

令和2年1月22日(水曜日)10時~12時5分

2.場所

文部科学省 東館3階 第一講堂
(東京都千代田区霞が関3-2-2)

3.議題

  1. 高等専門学校設置基準等の改正について
  2. 大学院設置基準の一部を改正する省令(案)について
  3. 教学マネジメント指針について
  4. 地域における高等教育機関と大学間の連携の在り方について
  5. 教育と研究を両輪とする高等教育の在り方について
  6. その他

4.出席者

委員

(分科会長)永田恭介分科会長
(副分科会長)村田治,渡邉光一郎の各副分科会長
(委員)有信睦弘,志賀俊之,日比谷潤子,吉岡知哉の各委員
(臨時委員)麻生隆史,安部恵美子,宇山恵子,加登田惠子,金子元久,河田悌一,小林雅之,清水一彦,鈴木雅子,髙倉明,髙宮いづみ,伹野茂,曄道佳明,福田益和,古沢由紀子,益戸正樹,三島良直,三村信男,山田啓二の各委員

文部科学省

(事務局)山脇文部科学審議官,田口大臣官房サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官,伯井高等教育局長,白間私学部長,森大臣官房審議官(高等教育局及び科学技術政策連携担当),増子大臣官房審議官(研究振興局及び高等教育政策連携担当),牛尾高等教育企画課長,西田大学振興課長,黄地専門教育課長,平野大学改革推進室長 他

5.議事録

【永田分科会長】 少し早いのですが,全員おそろいなので,大分遅くなりましたが,明けましておめでとうございます。御挨拶申し上げます。お忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。
いつものとおり,報道の方々は,議題に入る直前までカメラの使用をお認めいたします。
本日,議事次第を見ていただきますと議題が五つあって,その他となっています。
最初は,高等専門学校の制度改正についての議題で,設置基準の改正についての諮問が来ています。既に御披露はしておりますけれども,審議をしたいと思います。
2点目は,大学院のリカレント教育の充実についてということで,制度改正の提案なので,これについても御審議いただきます。
3点目は,大学分科会の下(もと)に教学マネジメント特別委員会を置いておりまして,日比谷座長のもと,教学マネジメントの具体的な内容について御議論いただいていて,今般ほぼ最終案のかたちで案が出てまいりました。これを日比谷委員及び事務局から御説明いただいた後に御審議をお願いしたいということです。
それから,4点目,これは前にも1度さらしておりますけれど,地域における高等教育機関と大学間の連携の在り方ということで,大学等連携推進法人の制度の内容,それから,前からお約束しています地域連携プラットフォームを作る際のガイドラインの案をお示しして,皆さんと議論をしたいと思います。
残りの時間は,これが本論なのですけれども,教育と研究を両輪とする高等教育の在り方についてということで,今まで1年余りいろいろと御議論いただきました。最終形にまとめるための形で論点整理をしています。それについて,論点に不足がないかどうかというような観点から御議論いただきたいと思っております。
それでは,配付資料について,事務局からどうぞ御説明をお願いいたします。
【奥井高等教育企画課課長補佐】 配付資料については,議事次第のとおりとなります。過不足等ございましたら事務局までお申し出ください。
以上です。
【永田分科会長】 ありがとうございます。
それでは,早速,最初に申し上げましたとおり,一つ目,高等専門学校設置基準の改正について,これは事務局から諮問内容について御説明いただきます。
【黄地専門教育課長】 専門教育課でございます。資料1-1に基づきまして,高等専門学校設置基準の一部改正について御説明いたします。
改正の内容と方向性については,9月18日の大学分科会で御説明いたしまして,おおむね御了承いただいたところでございましたので,11月16日から12月16日に掛けましてパブリックコメントを実施させていただいたところでございます。その結果といたしまして,特に反対意見はございませんで,むしろグローバルな技術者育成のためにしっかり進めてほしいといったような意見が出てきたところでございます。
内容については,資料1の2ポツにございますとおり,他の高専における学修,他の教育施設における学修,外国における学修について,現行はそれぞれ30単位まで認められているところでございますが,今後はより多様な教育展開が図られるよう,合わせて60単位まで広げようという内容が一つでございます。
もう1点といたしまして,こちらについては,昨年8月に既に大学については制度改正されているものでございますが,履修証明プログラムで高専が開設するもの,あるいは大学が開設するものに係る学修について,高専における単位認定を可能とするという内容でございます。
施行期日については,公布の日,令和2年2月上旬をめどとさせていただく方向で検討をしているところでございます。
続きまして,その2ページ以降は具体的な改正条文がございますので,また後ほどお目通しいただければと思います。
以上の内容について,資料1-2にございますとおり,諮問をさせていただきたく存じてございますので,何とぞ御審議のほど,お願いいたします。
以上でございます。
【永田分科会長】 御説明があったとおりですが,御質問等はございますでしょうか。
全体の数字が大きく変わるというよりは,合わせてというところで,フレキシビリティが上がるという趣旨の改正です。今御紹介があったとおりパブリックコメントでもこれを反対するような意見よりは,推す意見が多かったということです。よろしいですか。
志賀委員,どうぞ。
【志賀委員】 質問,本件に関わって意見があるということではないのですけれども,ここにも書かれているように,高等専門学校が産業界に果たしてきた役割というのは非常に大きくて,特に製造業では大変高く評価をしているのですが,この教育の内容については,これは本体と関係ないのですが,教育の内容に関して,これから起こるであろうデジタル・トランスフォーメーションの中で,IoT,ビッグデータ,AI等をどんどんどんどん産業界に実装していく上での人材として,大学での情報科学とかコンピュータサイエンスの学生も足りないと言われている中で,特に中堅規模の地方の企業などがそういうデジタルを実装していく上での人材というのが非常に枯渇しているのは事実であって,その供給源という言い方は失礼なのですが,供給,輩出していく学校として高専の役割というのは非常に大きいと思うので,今のカリキュラムがそういう今の時代に合っているものなのか,相変わらず比較的メカニカルなものに偏っていないかということを文部科学省としても調べていただければなと,そのように思います。
【黄地専門教育課長】 ありがとうございます。御参考でございますが,資料1-1の一番後のページになりますが,そこに来年度の予算要求の内容について関連の資料を付けさせていただいているところでございます。その中で,特に今,委員がおっしゃった御指摘も含めまして,1ポツの高等専門学校の高度化を進めるために,特にSociety5.0の展開を見据えて,AI等様々な専門分野を融合した教育ができるような連携体制の構築を図るための予算,あるいは,その下に書いてございますように,1法人が51高専を所管するという組織特性を活かしたイニシアチブを発揮しながら,高専ごとのニーズに応じた機動的な取組を推進するための予算を計上したく考えているところでございますので,しっかりと取組を進めてまいりたいと考えているところでございます。
【永田分科会長】 志賀委員,よろしいでしょうか。
【志賀委員】 はい。
【永田分科会長】 文部科学省の中で,今,AIとかデータサイエンス教育に関する議論は進んでいて,カリキュラムのひな型のようなものが出来上がっています。また,内閣府でも,大学,短大,高専を対象にした広い意味での数理,データサイエンス,AIに関する教育の底上げという議論も進んでいて,こちらは教育プログラムの認定制度を構築して普及する試みが検討されています。このように,高専に限らず広く高等教育全体に志賀委員の御指摘の内容を普及させようという状況にあります。
そのほか,いかがでしょうか。よろしいですか。
よろしければ,資料1-2の方にこの諮問内容が文章で示されています。高等専門学校の設置基準,これについての改正については,大学分科会の議決をもって中央教育審議会の議決とするということになっておりますので,決議をとらせていただきます。それでは,事務局から定足数について御説明ください。
【奥井高等教育企画課課長補佐】 大学分科会の委員,臨時委員数は30名でございます。現在26名の御出席でございますので,中央教育審議会令第8条第1項に基づく過半数を満たしております。
以上です。
【永田分科会長】 ありがとうございます。条件が整っております。
それでは,お諮りをさせていただきます。先ほど文部科学省の方から説明があった諮問の内容について,御了解いただくということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【永田分科会長】 ありがとうございます。
それでは,事務局はこれを先に進める手続をどうぞとっていただきたいと思います。
ありがとうございました。
それでは,二つ目なのですが,大学院のリカレント教育の充実についてということで,まず事務局から御説明いただいた後に審議をさせていただきます。
【平野大学改革推進室長】 大学改革推進室長でございます。資料2に基づきまして御説明をさせていただきます。今回お諮りいたしますのは,大学院設置基準の一部を改正する省令というものの概要案でございます。
まず,背景より申し上げます。現状・課題というところでございますけれども,大学院というものが,今後の高度化する社会において,リカレント教育というものにしっかりと向き合っていくということが重要な課題でございます。社会人の方が学び直しの際に重視するカリキュラムというものについては,最先端をテーマに置いた内容等が上げられているところでございますけれども,大学院に一定需要というのが存在することは間違いないと。一方で現状を見ますと,学び直しの方法として大学院,大学などの活用割合が低いという現状がございます。この課題というところは,実際の教育内容という部分についてもかなり大きい部分があるわけでございますけれども,今回はこの中で,その仕事等が忙しくて時間の余裕がないというところに一つ焦点を当てて御説明をさせていただきたいと思います。
審議会等における提言ということでございますけれども,大学分科会で昨年おまとめいただきました「2040年を見据えた大学院教育のあるべき姿」においても,科目等履修制度,このようなものを積極的に活用していくということに加えて,その取得した単位を学位取得を目指す際にも適切に評価することが必要ではないかと提言されています。
また,「経済財政運営と改革の基本方針2019」,骨太の方針におきましても,全ての大学院が入学前や他大学院での学修というものを活用して,単位累積加算的に学位授与を行うための方策というものを検討して,早期,大学・大学院での学位取得の弾力化を進めるといったような提言がされてございます。
最初に少し簡単に申し上げておきますと,社会人の方というのが昼間フルタイムで開設されている授業というものに職をお休みしていただいた上でやってくるというのは,なかなか厳しいという現状があるわけでございます。実際には,土・日とか夜間,またパートタイム学生の形で,科目等履修制度でこつこつと科目を集めていらっしゃるという方がいるわけでございますけれども,そういったせっかく積み上げた学修というものの学位を取得するときになかなか上手に持ってこられないという状況というものは,その学位取得というものにつなげていくインセンティブという点でも課題があるだろうということでございます。
改正の概要,1ポツでございます。他大学院の単位互換及び入学前の既修得単位の認定の柔軟化でございます。大変恐縮ですが,これは時系列的にマル2番の方から御説明をさせていただきますけれども,大学院は,現行においても教育上有益と認めるときは,学生が大学院に入学する前に履修した科目というものを認める,入学後に修得したものとみなすことができることとされております。これは,自大学の大学院の単位というものについては,入学するときに制限なしで持ってこられるのですが,他大学の大学院の単位というものをまた入学後に持ってこられる範囲というのは,現行10単位ということにされていたところでございます。この当該大学院において修得した単位以外の他大学院の単位というものを15単位まで今回持ってこられるようにしようというものが一つの内容でございます。
マル1番の方でございます。マル1は,入学した後ということでございます。入学した後,今までは30単位のうちの10単位というところを他大学の大学院の科目単位というものを持ってこられることができたわけでございますけれども,ここを15単位ということで拡大しようということでございます。ちなみに,学部の方ですと124分の60単位を持ってこられるという現状でありますけれども,大学院の方ですと,入学後は30単位分の10単位ということになっているわけでございます。
2ページの方をめくっていただきまして,今回改正させていただきたいということを表でまとめさせていただいてございます。上の方でございますけれども,これまで左上の部分でございますが,単位互換,入学前の単位,それぞれ10単位を超えないということになっていたものでございますが,今回の改正で,それぞれ15単位を超えないという上で,合わせて20単位を超えないという改正をさせていただきたいと思います。これまでも単位互換10単位を超えない,入学前の単位10単位を超えないということで,合わせて20単位まで持ってこられるという状態でありましたが,中の仕切りという部分を弾力化するという改正内容が1ポツでございます。
続きまして,2ポツでございます。2ポツについては,大学院は,博士後期課程を除き,入学前に修得した単位を当該大学院において修得したものとみなす場合であって,当該単位の修得により当該大学院の教育課程の一部を履修したと認めるときは,当該単位数,その修得に要した期間その他を勘案して,1年を超えない範囲で当該大学院が定める期間在学したものとみなすことができるというものでございます。
修士課程におきましては原則2年,博士前期課程もそうでございますけれども,2年でございます。この2年間という期間を短くする方法というのは,今,設置基準上は二つございます。一つは,成績優秀者の学生というものが1年間で修了できるというものでございます。これは,ただ入ってから実際に修得した単位というものが優秀であるということで,結果として1年になるというものでございます。もう一つは,社会人などを主に対象として,夜間,土・日なども活用しながら1年間のコースというものを作るというものでございます。
実態,この2ポツで今回改正で狙っているところというのは,大学院に入学する前に自大学の大学院の単位というものをこつこつ集めていて,相当な数を集めているという方がいらっしゃる場合,実は,その単位というものを,集めているにも関わらず,もう1回学位を取るために修士に入ろうと思うと,もう1回2年間学んでくださいと,こういうような建て付けになっていたわけでございます。一方で,学部でありますとか専門職大学院といったところは,修得した単位とか期間というものに応じて修業年限が短縮できるという仕組みがあったわけでございますが,修士は,せっかく集めてきても,入るときにはまたもう1回2年間在学しなくてはいけないと,こういう状況であったものですから,ここを弾力化しようというものでございます。
ただ,ただしの部分でございますけれども,修士課程,博士前期課程にあっては,当該課程に少なくとも1年以上在学するものとするとさせていただいてございます。例えば,1年間の在学のコースというところがあって,また,もう単位を持っているから1年間短縮するということになると,全く何も在学しないまま学位が取れてしまう,いつ論文指導を受けることになるのだということになってしまいますので,最低1年間は在学ということで書かせていただいてございます。
これは,条文を作る際には,もう少し精緻に考えるところがありまして,例えば,修士を既に修了している方が一貫制の博士課程に入る場合というのは3年間いらっしゃれば良いわけですが,そこは既に前期の部分というものに相当するものは終えた段階で3年間という考え方でございますので,その3年間も更にまた1年間短くできますよということになると,二重に短くなるといったようなケースも出てまいりますので,実際に条文化するときは,そのあたりは精緻に検討をした上でまた大学分科会にお示しを差し上げたいと思ってございます。
このような改正をいたしますことで,社会人が入学前,また入学後というところも含めて,弾力的に学びを行い,その学んだものを学位の修得に結び付けることがスムーズに行えるという効果が期待できるところであります。
説明は以上でございます。
【永田分科会長】 ありがとうございました。
御質問,御意見はございますでしょうか。吉岡委員,どうぞ。
【吉岡委員】 大変素朴な質問なのですが,方向としてこういう柔軟化は私も良い方向だと思うのですけれども,一つは,その単位の有効期限といいますか,賞味期限のようなものですね。何十年も前に取ったものをどういうふうに判断するかということで,それはそれぞれの大学院,研究科に任されると考えてよろしいのかということが質問です。
【平野大学改革推進室長】 ただいま頂いた件については,単位は基本的に有効期限はございません。有効期限はないのですが,単位というものを自大学の課程などに照らして,自大学の単位として読むのが適切かどうかというところは,これは各大学院の御判断になります。
【吉岡委員】 もう1点は,既に今の中に入っているのかもしれないのですけれども,これは,この省令が動き始めると,過去にさかのぼって過去の分まで全部使えるようになるわけですね。
【平野大学改革推進室長】 そのような方向だと考えてございます。
【永田分科会長】 ありがとうございます。いかがでしょうか。
今のは,要するに,私も言おうと思ったのですけれども,これはできる規定になっているということは,各大学が自分の教育課程に合う単位を取ってきているかどうかを判定しなければいけないということで,取っていれば自動的に認められるわけではないと。
そのほか,いかがですか。どうぞ,金子委員。
【金子委員】 この趣旨としては,特に社会人が修士課程を得るということは,得やすくなるということだと思いますが,今,これまでの政策的な経緯から言えば,履修証明制度を作って,比較的短期の履修についてレコグニションをするということが進められてきたわけです。そういう政策と今度のこの政策がどのようにつながるのかというところが問題だと思うのですが,端的に言いますと,履修証明制度は時間制で認可することに今までなっているわけですから単位制ではないわけですね。その際に,ですから履修証明で獲得した学修量を認定する際に,その時間を単位に置き換えなければいけないということが必要になってくると思うのですが,それに関しては,今までのところ余りまだ標準というか,ないのではないかと思うのですが,そういったことについては,今後何か省令とかそういったものを作るとか,何かそういったことは考えておられるのでしょうか。
【平野大学改革推進室長】 ありがとうございます。実は,この点については,大学院部会の方でも議論があったところでございます。実は,学部の方は,先だっての改正で履修証明,もともと単位化されてないものであっても,履修証明プログラムをある程度時間というものと内容を勘案して単位化することができるという仕組みが設けられているわけでありますけれども,実は,大学院については,そのような仕組みが今設けられていない現状でございます。
学部の方は,例えばTOEICとかTOEFL,こういったものも含めて大学の単位として読むことができるといったような仕組みがあるわけでございますけれども,大学院については,そういった他の大学院の単位というもの以外のそういったものを自分の単位として読むことができるという仕組みが現行ございません。これは,大学院の学びというものが非常に深奥を究めるものであるといった性格からこのようになっているのではないかということの議論もございますけれども,そういった履修証明というものを,時間というものをどのように,また大学院の内容としてふさわしい形で取り入れることができるかということについては,今後部会でも検討をしていくことにしているところでございます。
【永田分科会長】 ありがとうございます。よろしいですか。
先ほど,事務局の説明の中で,博士前期・後期の中の話も出ました。多分残っている論点は,博士前期課程と修士課程は趣旨が違うので,これからは厳格に見ないということで,おそらく教学マネジメント部会,あるいは大学院部会でもいろいろと御議論されていると思います。一般的に,博士前期課程と修士課程は同じというような認識があるのはかなり問題であり,こうした機会に,各大学が認定するときにそこを正確に捉えて,自分の大学の課程が何なのかということを再確認しないといけないだろうと思います。修士課程とはこれこれこういうものであり,博士課程とはこういうものであるという文言がいまだに残っているので,当たり前ですけれども,それに照らし合わせて考えないといけません。こうした点を含んで,先ほどのそれぞれで1年ずつ短くするのは問題ではないか,という話だったと思います。
よろしいですか。これは,まだ御意見を頂く段階でありまして,この後パブリックコメントの募集等を行った後に,もう一度審議いただくことになると思います。御意見がなければ,本日出た意見についても少し考慮をしながらパブリックコメント等に意見を求めていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
次は,少し大きな課題でありまして,教学マネジメントに関わる指針がほぼ最終案のかたちで出てきました。これは,この大学分科会のもとに置きました教学マネジメント特別委員会で行われた内容です。もともとグランドデザイン答申の中に書かれていたものを更に深掘りして,実際の教学マネジメントの指針を作っていくというための案です。
それでは,日比谷座長の方から御説明いただいて,付加的に事務局からも御説明いただきます。
【日比谷委員】 ありがとうございます。
この教学マネジメント特別委員会の内容については,昨年9月にこの大学分科会で途中経過の御報告をいたしました。昨年12月に特別委員会としての案を取りまとめましたので,本日は,その指針(案)について御報告をし,御審議いただきたいと思います。
お手元にいろいろな資料があるのですが,資料3-1から資料3-6まで。これは,最終的には一体の指針としてまとめますけれども,本日は6種類ばらばらに御用意しています。資料3-1が指針の本文,資料3-2から資料3-4が本文の別紙,資料3-5が概要,資料3-6が要旨となります。そのほかに参考資料がもう一つ付いております。この後,私から概要を,詳しくは事務方から御説明をいたしますけれども,そこに入る前に,座長として本特別委員会全体について幾つかのコメントを申し上げたいと思います。
この委員会は,一昨年の12月18日に始まりまして,昨年の12月17日に終わりました。これは偶然なのですが,ちょうど365日掛けたということになります。これも珍しいことかと思いますが,もっと実質的に珍しいことといいますか,大変記録的なことが起こったのですが,全部で12回の委員会を開催いたしましたところ,非常に積極的な委員の御参加が得られまして,委員が全員で19名でしたけれども,うち7名が全出席。これらの方々には,是非文部科学省から皆勤賞を出していただきたいと私は強く願っております。
この7名がすごく張り切っただけでなく,全体としても,お休みになるならどうしても御都合でというだけでしたので,平均しますと各委員会の出席率が90%,同時並行で走っておりました別な委員会は大体75%の出席率ということですから,極めて率が高く,それから,本日お話しします内容と関係がありますけれども,最近,出席しているだけで出席点を与えてはいけないということになっていますよね。シラバスに出席何点と書いてもこんなの駄目だというわけですが,単に御出席になっていただけではなく,19名全員非常に活発に,まさにアクティブな御参加が得られましたので,このことには,座長として深く感謝を申し上げたいと思います。
そこで,この委員会は,先ほど永田分科会長からもお話がありましたように,グランドデザイン答申の最後で,今後の検討課題とされました教学マネジメントの確立,それから,学修成果の可視化と情報公開の促進,この二つをテーマに議論を重ねてまいりました。お手元の資料の中から,資料3-5「教学マネジメント指針の概要(案)」を探して取り出して,こういう歯車の図の描いてあるものです。
まず,一番上の緑の帯に書いてありますけれども,一番大事なことは何かといいますと,学修者本位の教育への転換をいかに図っていくかということでございます。度々言われていることですけれども,ともすれば,日本の大学教育というのは,供給者目線というような言葉を私たちはよく使っていましたけれども,教員が教えたいことを教える,教員志向である傾向が強い。しかしながら,それを学修者目線,つまり,実際のいろいろな学位プログラムに学ぶ学生が,そこで掲げられているこういう資質・能力を身に付けるのだという目標に照らして,最適化されたプログラムで学んでいくという必要がございます。そのためには,かなりいろいろなことを考え直さなければいけないわけですから,これは根本的かつ包括的な変化が求められるということになります。ある委員は,何回目か忘れましたけれども,革命的な変化とおっしゃった方もありまして,そこまで行くかどうか分かりませんけれども,かなり大きな変革が求められるものとなっています。
教学マネジメントの定義については,緑の帯のすぐ下のところ,「教学マネジメントとは」と書かれているところを御覧ください。実際にこの教学マネジメントを確立していくためにとるべき手法の数々は,過去の答申においてもいろいろな形で出されてきたもので,初めて聞くというものはそんなに多くないかもしれませんけれども,問題は,これらがいろいろなところに分散していること。もう一つは,部分的に記載されているという側面が否めなかった。そこで,本指針では,それらをもう一度整理し,「三つの方針」,DP,CP,APに基づく教学マネジメントがシステムとして確立された大学運営の在り方を示すことを目的として作られました。そのことが資料3-5の上から3分の1ぐらいのところに赤い帯がございますが,そこに書かれています。
ただし,これはマニュアルではありません。委員が大変に心配していることは,これを出すと,いろいろな大学がこれを見て,あれもしなくちゃいけない,これもしなくちゃいけない,これする,あれするというふうになるのは,主体的な大学の在り方とは言えませんので,この指針をよく読み込んでいただき,それぞれの大学の理念に照らし,また,それぞれの大学の責任において,各大学の実情に合った形で教学マネジメントを是非確立していただきたい。そのために,主体的な取組を促すような,参照になればということでこれを作っております。
次に,これを参照してほしい方はどなたかということですけれども,これは,まずは,大学のマネジメント層の方々,学長,副学長,学部長,学科長といった教学マネジメントの確立に責任を持っている方々です。しかし,9月の段階でもこの大学分科会で御意見がありましたけれども,その方々だけが幾ら旗を振ってもこれはなし遂げられませんので,個々の実際の授業,教育に携わる教職員の方々にも是非これを読んでいただきたい。さらに,学んでいる学生や学費負担者,地域社会や産業界の方々にも読んでいただいたら,今の大学,あるいはこれからの大学はこういうことを目指しているのだということがしっかり御理解いただけるようにということを十分に留意をして作成をいたしました。
以上が指針(案)の総論でございますが,もう一度図を見ていただきまして,図の下半分のところに「三つの方針」と大きく書いてありまして,そこで具体的にローマ数字の1,2,3,4,5というのがございます。ここにそれぞれのプロセスを整理して示しておりまして,さらに,このそれぞれのプロセスが,一番大きいところでは「大学全体」レベル,そして「学位プログラム」レベル,そして「授業科目」レベルに分けて解説をしておりまして,この歯車が,事務局は大変に苦労して作ってくれたところなのですが,うまくかみ合うような大学運営を是非していただきたいということでございます。
それでは,各論については,事務局から説明をお願いします。
【平野大学改革推進室長】 失礼いたします。引き続き資料3-5と資料3-6を用いまして御説明をさせていただきます。
資料3-5,先ほどもおっしゃっていただいたように,ローマ数字1から5という形で分類をされてございます。順番に説明をさせていただきます。
まずローマ数字1の「三つの方針」を通じた学修目標の具体化でございます。先ほど御説明いただきましたように,「三つの方針」というものは,教学マネジメント確立に当たって最も重要なものでありまして,以降のプロセスというものもこの「三つの方針」,とりわけディプロマ・ポリシーというものを軸として実施をする必要があるものでございます。
これは従来言われているところでございますけれども,ディプロマ・ポリシーというものについては,各学生の学修目標,卒業生に最低限備わっている能力の保証として機能するように,各大学の強みや特色を生かして,明確かつ具体的に設定をする必要があるということを触れているわけでございます。
要旨の2ページの方で触れている内容でございますけれども,1ポツの二つ目の丸にございますように,大学レベルというところにおいては,それぞれの学位プログラムにおいてふさわしい学修目標というものが適切なプロセスで策定されているかどうかを横断的に確認をするということが期待されるとともに,各学位プログラムというものが日常的にその成果についてモニタリングし,総合的な点検・評価を実施しているかということを確認していくということが大学としては必要になってくる。
また,各学位プログラムのレベルにおいては,この学修目標というものに基づき,実際の教育活動を展開するということになるわけでございますけれども,こちらにおいてもしっかり学位プログラムとしてモニタリング,総合的な点検・評価をすることが必要であるということが触れられております。
ローマ数字1でまずしっかり明確かつ具体的な学修目標というものを立てていただいて上で,ローマ数字2の方,授業科目・教育課程の編成・実施でございます。各学位プログラムにおいては,ディプロマ・ポリシーに定められた学修目標を達成して,卒業生に最低限備わっているべき能力というものを身に付けさせるために,明確な個々の到達目標というものを備えた授業科目というものが学位プログラム全体を支える構造になるように,体系的・組織的に教育課程を編成する必要があるわけでございます。
そのためには,例えばでありますけれども,カリキュラムマップの作成を通じたような授業科目の過不足の検証であるとか,カリキュラムツリーというものの作成を通じた授業科目相互の関係性というものの検証などが必要になるわけでございます。
また,密度が濃い学修者本位の学修というものを可能とする前提として,授業科目の精選,統合のみならず,学生が一つの学期において同時に履修する授業科目の絞り込みが必要ではないか,このような内容が含まれてございます。諸外国では,1度に学ぶ科目は四,五科目で週複数回学ぶと。一方で我が国では週1回で10科目から十数科目学んでいる。このような状態というのがあるということは,言及がされているところでございます。
また,要旨3ページの下から二つ目の丸を御覧いただきたいのですが,こちらの方で先ほど申し上げた授業科目の統合や授業科目の週複数回実施に向けた検討というものに早急に着手していくということが必要ではないかということでございます。
また,資料3-6要旨4ページの方でございますけれども,シラバスというものについても従来その重要性というものは指摘されているわけでございますけれども,教員,学生というものが授業科目とディプロマ・ポリシーとの関係というものなどをしっかり理解するということが必要でございます。その観点が非常に重要な中身でございますので,シラバスにどのようなことを記載することが望ましいのかといった内容というものを盛り込ませていただいているところでございます。
ローマ数字1で目標を立てて,ローマ数字2でそれを支える授業科目というものを開設した上で,ローマ数字3の部分は学修成果・教育成果の把握・可視化でございます。学修者本位の教育の実現という観点からは,一人一人の学生さんが自らの学修成果を自覚して,エビデンスとともに説明できるようになることが重要であるということでございます。また,大学の側としても,この自らの教育を改善していくという上で,どこまで身に付けさせることができたのかという現状を認識するということも重要でございます。
資料3-6要旨の4ページの下から二つ目を御覧いただきたいのですが,さはさりながらということでありますけれども,学修成果の把握・可視化というものについては,限界というものが一方であるということはしっかりと留意すべきであるということでございます。
要旨の方をまた使わせていただきますが,5ページの下から三つ目の丸でございます。単に授業科目ごとの成績評価を示すということでは,学修成果・教育成果の把握・可視化ということでは少し不十分でございまして,様々な情報というものを組み合わせて学修目標の達成状況を明らかにするということが期待されるところでございます。そのイメージというところは,この資料3-2の別紙1という形で,ディプロマ・ポリシーの各事項と関係する情報というものをしっかりとひも付けて,学生又は大学というものが理解していく,こういったことが期待されるということをお示ししております。後でお目通しいただければと思います。
また,その際,学修成果・教育成果の把握というときに,どのような情報というものを把握することが考えられるのかということについては,要旨5ページの下から二つ目のところ列挙されてございますが,別紙2,資料3-3というところで詳細に整理をさせていただいてございます。
ポンチ絵の方に戻って説明をさせていただきますが,大学のこの学修成果・教育成果の把握というものについては,その大前提としては,各授業科目における成績評価を適切に行うということが必要でございます。ここの部分は,大学の質保証の根幹に関わる部分でございます。成績評価に関しては,全学的な基準というものをしっかり策定,公表していくということとともに,授業科目ごとに定められた到達目標というものの達成水準と具体的な評定というものの対応関係というものを明確にする,このようなことの取組が強く期待されるというところでございます。
続きまして,ローマ数字4の教学マネジメントを支える基盤,FD・SD,教学IRという点でございます。FD・SDについては,ディプロマ・ポリシーに定められた学修目標というものを踏まえて,その学修者本位の教育というものを提供するのにどのような教員が必要なのかといったような,望ましい教員,職員像というものを各大学においてしっかりと定義していただいた上で,その目標に向かって必要なFD・SDというものを実施することが必要ではないかということが盛り込まれてございます。特に新任教員,実務家教員,このような方については,教員としての基礎的な知識,技能や,望ましい資質・能力というものを身に付けさせるためのFD・SDというものを実施していくということが必要だと考えられるということでございます。
また,教学IRについては,情報収集基盤ということでございますけれども,学長がリーダーシップをとって学内の理解,また学内の規則等をはじめとした制度整備,このようなものを進めていくことが必要であるということを触れてございます。
続きまして,このFD・SDというものについては,単に教職員の能力向上という側面だけではなく,教学マネジメントの一環として,実際に教育活動を改善していく活動という側面というものをしっかり重視して行っていく必要があるということについても触れているところでございます。
再びポンチ絵に戻りまして,ローマ数字5の情報公表の部分でございます。各大学がその学修者本位の教育を実現するという上では,情報公表というものが重要である。公表された情報に対して,地域社会や産業界,大学進学者,このような社会というものが評価を行い,その契機として大学自身が教育を見直していくということは,大学教育の質の向上を図っていくという上で重要でございます。また,大学自身が説明責任を社会に積極的に果たしていくということで,社会から信頼と支援を受けていくという好循環を形成していくことが重要でございます。
もっとも,資料3-6要旨9ページの最初の丸という部分に言及させていただいてございますけれども,個々の大学が公表する情報というものについては,非常に部分的なものでありまして,これを組み合わせて包括的に示していく必要があるということ。また,大学の様々置かれている条件というものについては大きな差異がございますので,その大学から公表された情報のうち,ごく特定のもののみを用いて序列化を図るような使い方というのを行うことは,大学教育というものに対する理解ということからするといかがなものかといったような内容が含まれているわけでございます。様々な情報というものをしっかり組み合わせて大学の姿を包括的に描き出すということ。また,それぞれの情報というものが表せる範囲というものはいろいろ限界がございますので,大学としてしっかり適切な解説とか分析というものを付与することが重要であるということを触れてございます。
公表する意義があるという情報の例というものについては,飽くまでも例でございますけれども,資料3-6要旨の9ページ,また,資料3-4,別紙3というところにも記載されておりますので,お目通しいただければと思います。
そのようなローマ数字1から5のプロセスというものを通じて,またこれをしっかりとローマ数字1の目標の設定の具体化,授業科目・教育課程の見直しにつなげていくということが重要でございますけれども,先ほど座長から御説明いただきましたように,「大学全体」レベル,「学位プログラム」レベル,「授業科目」レベル,それぞれでしっかりと回していくことが必要であるということでございます。
また,学位プログラム,しっかり共通の考え方や尺度などを含んだアセスメントの方針という部分については,アセスメントプランというふうに新たに略称を打ってございますけれども,このようなものに従ってしっかりと点検・評価を進めていくことが重要になるということを触れさせていただいてございます。
指針の本体の方を御覧いただくと分かるのですが,実は,文末が丸々することが「必要である」,若しくは丸々することが「期待される」,丸々することが「考えられる」といったような書き分けがされてございます。「必要である」というところというのは,特別委員会の議論としては,是非優先的に取り組んでいただきたいという趣旨で書かせていただいているものでございます。そのようなところを踏まえて,しっかりと大学の方においても使っていただけるような,順序を持って,優先順位を持って取り組んでいただけるような工夫というのをさせていただいております。
駆け足でありましたが,説明は以上でございます。
日比谷座長の方から,少々カリキュラム編成について補足がございます。
【日比谷委員】 補足で御説明いたしますが,ぱっといろいろ資料がある一番後に,参考資料をつけております。これは,昨年,特別委員会の吉見委員を大学分科会にお呼びしまして意見発表を行っていただきましたときに,先ほど平野大学改革推進室長の御説明にもありましたが,授業の週複数回開講,それによって,学生の側から見ると,1度に履修する授業科目数の絞り込みが行われるわけですけれども,ICUではそのようにしていると申し上げましたところ,いろいろ御質問も頂きましたので,御参考までにお出ししております。
上の半分が,これは時間割のコマ,どのように組んでいるかということで,1,1,1とか2,2,2とか横になりますけれども,これが横組みと私どもは読んでおりますけれども,週3コマで開講する授業の枠です。ですから,1,2,3の月曜日というところには出せないようになっております。そして,その横組みが4限の7番まで続きます。それから,少し枠の長い6番,これは105分で2回開講になりますが,そこまでが横組みで,午後は,非常勤の先生など週に1回しか駄目というもの,あるいは演習の科目等を縦組みで入れております。
下半分は,具体的な科目名を入れて,サンプルとして,例えばこの人の場合は,5科目12単位を履修しているというのを具体的な科目名を入れてお示ししています。
以上です。
【永田分科会長】 御説明をありがとうございました。
それでは,御意見,御質問等を頂きたいと思います。いかがでしょうか。有信委員,どうぞ。
【有信委員】 非常にインテンシブに議論をされて,まとめていただいて,ここに定義されている教学マネジメントと取り扱う範囲ということで,整理されている内容については,基本的には非常に重要なことだと思いますので,異存はありません。
ただ,大学の中で教学と言うと,通常教育研究を指していて,ここでは専ら教育に関わるマネジメントについて,これは多分承知の上でだと思いますけれども,詳細に検討をされています。
ただ,研究に関するマネジメントは,従来,本来ならば,例えば研究戦略だとか,何をやるべきだとかというようなものをどうマネジメントするかというようなことが頭に浮かぶと思いますけれども,例えば,研究不正に関する,あるいは研究費不正に関する文部科学省のガイドライン,あれには,大学が組織的にきちんと責任を持ちなさいとこう書いてあるわけです。ということは,例えば大学の中では,科学研究行動規範だとか,研究倫理だとか,様々な仕組みを個別に作っていますけれども,それが統一的にマネジメントをされていかなければいけない。それがまた逆に,より広義のその研究戦略的なもの,あるいは大学運営的なものにつながっていかなければいけないと。ここでは,大学全体,それから学位プログラム,個別科目というふうに3層をきちんと整理されていて,非常によくまとまっていると思いますけれども,更にその枠の外側により大きな構造を見ておく必要があって,これについての議論は,今後やるのですか,やらないのですかという質問なのですけれども。
【永田分科会長】 最初に事務局からどうですか。
今言われた,まず教学マネジメントの教学の定義から始まりましたけれども,当然ながらそれは教育に携わっている方なら重く受け止めているわけです。だとすると,今言ったような,教育は研究を基盤とするというようなことや,あるいは,この中で取り残されているものがないとは言えないのではないか,という御意見ですね。どうぞ。
【牛尾高等教育企画課長】 失礼いたします。高等教育企画課長でございます。
今御指摘いただいた点について,今の時点でどこかの場で議論するという具体的な予定はございませんけれども,非常に重要な御指摘だと思いますので,少し検討をさせていただきたいと思います。
【日比谷委員】 よろしいですか。
【永田分科会長】 どうぞ,日比谷委員。
【日比谷委員】 皆様,資料3-6の要旨を御覧になっているかと思うのですけれども,本体,資料3-1を見ていただきますと,5ページですが,教学マネジメント指針の対象とする範囲というのがございまして,有信委員がおっしゃったとおりなのですが,この指針は,大学の学士課程及びこれと共通性が高い短期大学の課程を念頭に作成しているので,今おっしゃったようなことは,あえてだと思いますがとおっしゃったのですが,そのとおりで扱っておりません。「ただし」というところから,その大学院,いろいろなことが書いてありますので,共通の課題があるということは書いてありますけれども,もちろん大学院については,おっしゃったような課題があると。それはどこかで扱わなければいけないと思います。
【永田分科会長】 河田委員,どうぞ。
【河田委員】 私は,以前からナンバリング制度(いわゆる履修科目番号制)を導入すべきだということを申し続けてきました。最近は,履修単位制限(いわゆるCAP制)を設け,履修科目数の大幅な削減をおこなうことについて,玉川大学等の事例を挙げながら考えを申し続けてきました。今回の指針は,非常に良くまとめられていて,御努力を評価したいと思います。最後の部分には用語集があって,きちんと横文字用語の説明がなされており,これも良かったと思います。
ただ,ナンバリングやGPAなど,各大学が独自のやり方で取り組んでおられ,国際的な通用性がまだ乏しい印象を受けます。ナンバリングについては,今までは,個々の教員の専門領域によって科目が設定されている場合もみられ,担当教員が近代経済学専攻なら「経済学1」でケインズを教えてみたり,「経済学2」はマルクス経済学を教え,「経済学3」で一般経済学に戻るといった科目設定がなされていた大学も少なくありませんでした。国際的な通用性がないわけです。そうすると,当然のことながら海外では通用しません。ですから,例えば留学によって100番台の「経済学」の単位を取得したら,帰国後は200番台の「経済学」を履修できる。逆に,日本の大学で100番台の経済学を履修したら,留学先の大学では200番台の経済学を履修する。というように,100番台,200番台,300番台,400番台,その上は500番台という形で,体系的かつ段階的な履修制度を採り入れることが必要なのではないかと考えます。
授業科目の学問的位置づけを明確にすることにより,教育課程の体系的な編成や,海外大学との単位互換も容易になることが期待できます。国際通用性のあるナンバリング制度の導入と学内の体制づくりが必要だと考えております。
以上です。
【永田分科会長】 日比谷委員,御議論の中で,今の御意見に関して御回答はありますか。
【日比谷委員】 先ほど出席しているだけでは委員は駄目で,アクティブな参加と申しましたのですが,それを促すために,今,河田委員がおっしゃったGPAとか,CAP制とか,それぞれ各会議のテーマとして取り上げております。これはFD・SD,それからIRもそうなのですが。大学に所属している委員からは,なければないでよろしいのですけれども,それぞれの回に御自分のところの事例を事前に出していただくようにしました。これは事例集としてまとめるというような話がありましたが,平野大学改革推進室長,それでよろしいですか。
【平野大学改革推進室長】 来年度予算の成立という中で,予算を何とか捻出して行いたいと思っております。
【日比谷委員】 そうすると19名委員がいて,民間の方もいらっしゃいますが,15ぐらいの例は,例えばGPAについてはそろったわけです。それを中で見比べて,こういうところが違うねというような話はいたしましたので,実は,そんなに国際標準からずれずれにずれているようなものは,この中ではありませんでしたが,事例集が出ると,各大学で御覧になって,「あっ,何か自分のところは全然違うではないか」という気付きが生まれればよろしいのかなと思っております。
【永田分科会長】 ざっと見渡してみると,国際的な通用性とか互換性という単語はないようです。この単語をどこかに入れておけば,少なくともそういう意識を持っていただきたいという趣旨は残ると思いますので,少し御検討いただきたいと思います。
それでは,次に,村田委員,それから志賀委員,どうぞ。
【村田副分科会長】 私から質問でございます。資料3-5のところに大きく緑色の輪っかが描いてあって,三つありまして,「大学全体」レベル,「学位プログラム」レベル,「授業科目」レベル,恐らくこの歯車のようなものは,PDCAを回していく形をイメージして,大学,学位,それから授業科目レベルと,こうなっていると思うのですね。そのときに,今度は資料3-2についての質問なのですが,私立大学の場合は,当然各大学の建学の精神,ミッションがございます。それに基づいて目指すべき人間像というのがあるわけで,第9期のときのまさに「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン(答申)」は,その前文にコンピテンシーレベルの能力と書いてありまして,当然そこには各私立大学の建学の精神,ミッション,そしてコンピテンシーレベルのという大きな大学全体としての資質・能力というものが当然入ってくるわけです。そうしますと,残念ながら内部質保証も含めて学位プログラムごとにこれが定義されており,少しややこしい話になるのですが,ここから質問なのです。この資料3-2,あえて書いてないのだろうと思うのですが,「学修成果・教育成果の把握・可視化」というところの学修目標とかいろいろ書いてある。これは,別に学位プログラムだけではなくて,大学全体レベルのも含めてこういうふうに捉えて良いというふうに理解して良いかどうかということの質問でございます。
【平野大学改革推進室長】 ありがとうございます。まず,指針本体の13ページの方を御覧いただきたいのですが,今回そのディプロマ・ポリシー,学修目標というのが学位プログラムを念頭におおむね記載されているようなところでございますけれども,13ページの丸で言いますと一つ目でございます。大学全体としての三つの方針や大学全体としての教育理念の明示・共有,こういったものが必要になる場合もあると。これは,国立大学,また私立大学,多様な大学がある中で,大学としての全体のポリシーが必ずしも確立しにくい大学さんというのもあるだろうというところもあるわけでありますけれども,村田委員のおっしゃったように,大学全体としてのこういうポリシー,こういったものというのは当然あり得るという前提でございます。その観点から,このものというのは,各大学の御判断ではございますけれども,大学全体のそのようなものというものに適応するということについては,大いにあり得るものだと考えてございます。
【永田分科会長】 ありがとうございます。
志賀委員,どうぞ。
【志賀委員】 この教学マネジメントを私のような企業人の立場で考えますと,企業が顧客に対して提供する製品,サービスが,顧客が受け取る価値を高めるという意味でのブランドマネジメントに非常に近いなというように思って読んでいたのですが,ブランドマネジメントは内部質保証として考えると,提供する製品,サービスがその目指すブランドに合っているかどうかということを一義的にやるわけで,その次は,個々に働いている従業員一人一人が目指すブランドに即した行動規範であるかということで,従業員のコンピテンシー評価ということで,ブランドマネジメントがしっかりできている会社は,従業員の評価に関してもブランドにリンクさせてやる。つまり,こういうブランドを目指している企業の人間としてやるべき行為,行動をしていないということで,評価につながるというように考えると,この中の教学マネジメントを考えるとファカルティ・ディベロップメントとして出てくるのですが,この教員の評価,民間企業で言えば目指すブランドにそぐわない行動をとっている従業員に関しては,降格あるいは減給という評価に結び付くのですが,このディベロップメントだけ書いて評価が書かれていないのですが,こういう教学マネジメントに関する教員の評価についてはどのような考え方なのでしょうか。
【平野大学改革推進室長】 今,志賀委員のおっしゃったように,この中において評価というものを正面から触れているものではございません。実は議論の整理といたしまして,この内容というのは国立,公立,私立の大学に共通するというところをしっかりと抽出して書いていくということになっています。実は,経営の部分と,あえてIRとかも教学IRと申し上げ,ガバナンスは必要最低限以上触れないといったようなところの範囲を画する中で,経営に関わるような評価の部分というものについては,国立,公立,私立という中でかなり多様な状況になっていくので,この委員会のこの指針としては扱わないというような整理の下で行われているので含まれていないところではあるのですが,おっしゃるとおりでありまして,FD・SD,36ページのあたりでございますけれども,先ほどおっしゃったようなそのビジョンも含むような,理念,歴史も含むような,大学コミュニティに関する基礎的情報,こういったものはしっかりとお伝えしていくということまではここの中に含まれておりますので,その後は,志賀委員のおっしゃったような問題意識というところも大学の方で是非経営という観点から自覚していただいた上で行っていただくということが考えられるというふうに考えております。
【永田分科会長】 志賀委員の御意見については,後でお示しする教育と研究を両輪とする大学教育の在り方を考える中で,三島委員と私の意見で,教員の質保証をキーワードにしています。そこで御議論するとふさわしい内容なのではないかと思いますが。
【志賀委員】 分かって言っています。
【永田分科会長】 それでは後でまたお願いします。
古沢委員,どうぞ。
【古沢委員】 ありがとうございます。全体に非常に分かりやすい内容で,特に成績評価に全学的な統一基準を設けるというのは,教育の質向上にもつながると思いますし,非常に有効であると期待したいと思います。
そして,学修成果・教育成果の把握・可視化というところで,基本的な情報であって,全ての大学において収集可能と考えられるものが例示されているのですけれども,この内容については,特に学生とか,外部の立場から言うと,是非収集公表をしていただきたいなというふうに思うものばかりですので,もう少し推進していることがより伝わるような形ですと良いのかなと思いました。
大学の判断というのは分かるのですけれども,これだと取捨選択がかなり可能なようにも読めるかと思います。特に,大学がなかなか今まで公表してこなかったデータとしては,留年率ですとか中途退学率があると思うのですけれども,ただ,これは非常に難しい数字だというのも承知しておりまして,必ずしもネガティブでない側面も多いと思いますし,成績評価の在り方と密接に関わり,あるいは,学部の教育内容,国家試験と関連する場合もあるかと思いますので,先ほども御説明がありましたが,分かりやすい説明を付していただきたいと思います。
以上です。
【永田分科会長】 ありがとうございます。指針の運用の部分ですかね。
三島委員,どうぞ。
【三島委員】 ありがとうございます。この教学マネジメント指針,大変よくできていて,私はすごく感激して,こういうことが多くの大学できちっとなされるようになると本当にすばらしいと思います。本当にありがとうございました。
学部中心のマネジメントのことだということは分かった上で申し上げますと,このような中身が全学的に同じ水準で各いろいろな部分で行われないと,なかなかあの大学の教育はすごいと言われない部分があるので,そういう意味では,全学的にこれをどうマネージするかという意味で,学長,執行部の方たちの役目は非常に重いなと思うところでございます。
ちなみに,東工大が2016年に改革をしたときには,そのために教育改革推進本部というのを置いて,そして例えばシラバスの作り方だとか,それからカリキュラムもそうですけれども,講義の組み立て方であるとか,そういうような意味のFDみたいなものもやり,また海外から,そういうユニットが海外の大学にあるのですけれども,英語での教育のやり方というチームを呼んで1週間ぐらいいていただいてというようなこともやりましたので,そういう意味で全学的にこれが盛り上がるというのが次のステップで非常に重要だろうということがございます。
それから,今,座長がおっしゃいました教員の質の保証というのが,これが今非常に重要で,こういうシステムを作っても,教員が,この子たちが大学にいる間にどこまで彼らを伸ばしてあげるのだというような気持ちをしっかりと持って学生たちの背中を押すような気持ちにならないと駄目だと,これはよく言われることなのですが,実は,改革が始まってから私が見ていて,一つ学生のマインドというのもすごく重要だなと思いました。それは,高校から大学に入ってきた学生たちのマインドは,高校のときの学びを大学で続ければ良いと思っているので,どういう単位をどう効率良く取っていくか,あるいは良い成績を取るかということに非常に強い,もう身に染みているのですね。そこの,本来は高大接続のところで大学の教学マネジメントが改善された時に,大学というところは,今までの勉強と違って,自分のために,自分が将来どうなるために必要なのだというようなマインドを持って学生が入ってくるような仕組みを作るべきだと思います。ただし,現状ではまだそれができていないので,今,東工大で入ってくる学生に,そのマインドを変えさせるための,大学の学びってこうなのだということのための講義,演習みたいなものを1年生のときに一生懸命やらせるということをしています。
ただ,言いたいことは,こういう改革は,先生のマインドと学生のやる気とがかみ合わないとなかなかぱっと発展しないなということがありますので,是非そういう取組が皆さんの各大学で行われることを望みたいなと思います。
以上でございます。少し長くなりました。すみません。
【永田分科会長】 いいえ,ありがとうございました。大変重要なポイントで,ついでに,私も最後に言おうと思っていましたが,これはシステマチックにやらないといけません。ところが,「システム」という単語は,括弧の中に入って,1か所か2か所しか出てきません。全文を見ても,マネジメント支援の中で,大学がシステムとして管理・運営し,というのが括弧の中に入っているのです。そうではなくて,括弧の中から出して,今,三島委員が言われたように,本当に体系的にシステマチックにやることが重要であるという文章を最初に入れる必要があると思います。括弧の中に入っていると,こういうやり方もあるよみたいな読み方をされる恐れがあるので,非常に重要なポイントですから明確にすべきです。
学生に関することは,高大接続について三島委員が別の委員会で検討されていらっしゃいますけれども,おそらくほぼ同じマインドで教育改革を進めていると思います。今,東工大の話がありましたが,筑波大でも,「学問への誘い」という科目を開設して,全部Cでも良いけれども,自分が生きていくためにAを取らなければいけないのはどの科目ですか,というような指導で学生のマインドを変える試みを行っています。ですから,ここには書いてないことを今,三島委員には言っていただいて,大変結構だったと思います。 髙倉委員,どうぞ。
【髙倉委員】 入試の採点における公平性を疑問視する各事例が散見されているようだが,資料3-4の5ページ『入学者選抜の状況』にあるよう、入り口でしっかりとやらないと学内の改革は進まない。公平性をしっかり担保する必要がある。
また、大変素晴らしい指針ができていると思うので、具現化していくため、トップマネジメントが指針をしっかり理解する必要がある。実現するのは教職員のため、以前にもお伝えさせていただいたが教職員の働き方改革が重要である。これがないと絵に描いた餅になりかねないので、引き続きよろしくお願いします。
【永田分科会長】 吉岡委員,どうぞ。
【吉岡委員】 これまで非常に丁寧な議論がされていて,本当に委員の方々の努力に敬意を表したいと思います。
同時に,これが安易に使われないために,こういう問題点があるというようなことも明示的に書かれていて,安易にこれが使われないようになっているというところも非常に重要なことだと思います。
その上で意見を申し上げたいと思います。この教学マネジメントというのは,基本的に何のためかというと,まずは個々の大学の教育の活性化ということだろうと思います。それは学生の意欲を高めるとか,教員の能力や意欲を高めるという,そのようなためにあるのだろうと思うのです。その意味では,これは本来それぞれの大学がやっているべきことであるというふうに思います。恐らく教学マネジメントという言葉がないときから,それぞれの大学や学部でいろいろな努力はこれまでも積み重ねられてきている。それを先進的にやっているところもあるだろうと,先ほどICUのお話がありましたけれども,そういうふうに思います。
そのような形で進んでいるところに,このように非常に丁寧な形で論点が整理されたものが出てくることで,今までやってきたところは,これによって自分の問題を整理し直すという形で使われるのが一番良い使われ方だろうと思います。しかし同時に,これだけきちんと出てしまうと,つまり本来こういうふうにやれば教育がうまくいくのではないかということをきちんと考えていくプロセス自体が重要であるところに,ある種の正解というか,答えが出るということで,一種の思考停止が生じるのではないかということを少し心配するわけです。繰り返しこれはマニュアルではないというふうに言っているということは,そのとおりだと思うのですけれども,しかし,これまでの経験からしても,こういうのが出ると,しかもこれは整理されていますので,これが表になって,評価表のような形で使われて,例えば設置であるとか,認証評価のときにこれは何点みたいな形で使われてしまうようなことがないようにしていくことが必要ではないかという,既に言われていることですけれども,それが1点です。
もう一つは,学生がもちろん基本的に対象なので,学生からのフィードバックのシステムをどういう形で組むかということが非常に重要だろうと思います。学生の満足度アンケートのレベルの話ではないわけで,学生がどういう形で自分たちが,ただの教育の消費者ではなくて,教育を作り上げていくメンバーなのかということを自覚するためにも,学生からのフィードバックのシステムをきちんと考える必要があると思います。
恐らく非常に難しいと思いますけれども,カリキュラム編成に学生が何らかの形で関わる。これをやっている大学は多分幾つかあると思います。なかなかうまくいってないという話も聞きますけれども,いろいろな試みがなされている。学生がカリキュラム編成に関わるような仕組みを作っていく必要があるだろうと思います。
もう一つは,もう少し細かい話になりますが,最後のところに出てくる情報公表の問題です。これがうまくいくかどうかということが,実際にこれが機能するときに非常に大きな問題だろうと思いますが,一方で,先ほどの評価の基準,評価指標の問題に関わりますけれども,そこで出てくる数字が一人歩きしてしまうことに対する懸念は常に出てきて,それが足を引っ張るということにもなります。教学マネジメントというのは,それぞれの大学が自分たちの特性を生かしていくために作り上げていくという側面があるので,非常に難しいことですけれども,個々の大学のそういう独自性というものを生かした形での公表がどういう形でできるかということと,もう一方で比較可能性といいますか,比較可能な指標をどういう形で組むかということ,これを同時にやっていくのは非常に大変だなと思いながら,それがとても重要だろうと思いました。
以上です。
【永田分科会長】 ありがとうございます。村田委員の御発言と非常に近いと思いますが,ここに書いてありますように多様な大学であっても全てに共通する内容です。従って,大学によって差はあるけれどもではなくて,もう少しポジティブに,大学の個性を生かすようにこの指針を大学独自で考えるべきである,というような文言を入れておくと,今の村田委員,吉岡委員の御意見は活かせるのではないかなと思います。
それでは,安部委員。
【安部委員】 ありがとうございます。すばらしい教学マネジメント指針を作っていただきまして,ありがとうございました。その上で,少し感想とお願いをしたいと思います。
本指針にあります1から5の具体的な内容は,過去の答申やガイドラインをベースとしてまとめられていました。ですので,新規性は余りなかったのですけれども,教学マネジメントを確立して推進していくためには,大学が何をすれば良いかというのを順序立ててカテゴリー別に整理されて,大変分かりやすいものだったと思います。
特に教学マネジメントを組織の中で強化する場合,最初に学長のリーダーシップが不可欠宣言され,教学マネジメントに関する学長の権限をサポートし,専門的に行使するプロボスト的な,副学長的な役割の必要性に言及しておられるのはすばらしいなと思いました。
また,更に最初のところで,改善に取り組む大学と取り組まない大学は二極化しているという御指摘がございました。これまで取り組んでいなかった,余り積極的には取り組んでこなかった大学にとりましては,本指針は,先ほど「必要である」というような語尾の書き分けで,絶対しなければいけないことについての指摘や優先順位も付けるというような意図もございましたので,総じて有効な指針として役立つでしょうが,既に改革が進んでいる大学にとりましては,指針に示された教育改善を行った後に見えてくるはずの大学教育の新たな地平というか,大きな変化で学生が変わって大学教育の内容の評価が高まるという,そういうステージがいまだ明確ではないと思います。大学にとりましては,学修成果の見える化や教学IRの体制確立のための教務的な負担というのは,かなり強く感じるところでございます。特に短期大学などの小規模な大学におきましては,その負担感というのを感じる割合というのが高いと思いますが,それでも改革というものを積み上げていけば,期間そのものとしての教育の効果とか,各々の学生の学修成果というのは向上するというような実感も持っております。この「おわりに」にも記載されておりますように,そうした各大学の地道な教育改善の取組を丁寧にフォローアップしていただくことで,このマニュアル的な押し付けではない指針として,学生の多様化を背景とした各々の高等教育機関の教育の特色の強化につながることに役立つ指針になっていただきたいなと思います。感想とお願いを述べさせていただきました。
以上です。
【永田分科会長】 ありがとうございます。
加登田委員,どうぞ。
【加登田委員】 簡単に申し上げます。
非常に良く分かりやすく全体的に積極的にまとまっていると感謝いたします。
ただ,一つだけ確認したいのは,教学マネジメントは,先ほど教育と研究という側面が出ておりましたが,今,50%ぐらい,大学,高等教育がユニバーサル化した中で,学生の多様化ということも大きな問題というか,実際に課題だと思います。一部が優秀であってもバランスを欠くとか,そういった学生やジェンダーの差別でありますとか,学生支援に対するマネジメントのところも教育と学生指導ということで,より強くといいますか,積極的に盛り込んでいただければ有り難いと思いました。
【永田分科会長】 髙宮委員,どうぞ。
【髙宮委員】 すみません,2点あったのですけれども,1点目については,安部委員と重なりましたので,ごく簡単に。
一つは,これまで部分的に取り組んできたところを今回の指針は非常に分かりやすくおまとめくださいまして,本当にありがとうございました。
ただし,やってきてみて経験したことがこのきちんとしたマネジメントを細かく丁寧にやることによって生じる負担でございまして,これによって教員が大変忙しくなったという不満も同時に出ているところでございます。
さて,今後もっと更にこれを良くしていくために,負担軽減についてはどのようなやり方があるのかというようなことも,現実的に非常に興味が持たれていることかと思いました。今後そういう指針がありましたら,是非御教示をお願いしたいと思った次第です。
教学マネジメントの指針が非常に良くできましたので,ほかの周辺項目との関係について、表現をどこかに交えたら分かりやすいのではないかと思いました。
以上です。
【永田分科会長】 ありがとうございました。
それでは,最後に渡邉委員,どうぞ。
【渡邉副分科会長】 教学マネジメントについて,大変良いまとめをしていただいたと思います。
皆さまのお話を伺っていて,改めて,何を目指すのかについては,この教学マネジメント指針の要旨の「はじめに」の一番初めの3行に書いてあるように,グランドデザイン答申で目指した方向であり,この指針を使って「三つの方針」をどうPDCAを回しながら近付けていくのかということに尽きるのだろうと思いました。したがって,これはマニュアルではないと御説明にあったように,アセスメントを生かして,本当に改善しながら前に進められるかどうかが大変重要です。そういった面でいろいろな御意見を頂いて,是非前に進める手段として使っていただければと思います。
以上です。
【永田分科会長】 ありがとうございました。
【日比谷委員】 最後によろしいですか。
【永田分科会長】 どうぞ。
【日比谷委員】 1分で終わります。いろいろ御意見を頂きましたし,またよくまとまっているというお言葉も複数の委員から頂きまして,ありがとうございます。
今回の委員会については,委員会が始まりましたときに,先ほどからシラバスにこう書くよとかいうことを例にして申し上げておりますけれども,委員も出席すること,アクティブに参加すること,そのためには予習復習が非常に大事であるという観点から,事務局には,私は最初できれば10日前,遅くとも7日前に資料を上げてほしい,できたところから上げてほしいとお願いをしました。7日で間に合わなかった回は何回かございましたけれども,全ての回でとにかくできたところから資料が上がり,各委員は非常に十分な予習をして議論に臨んでいただいたということで,そのような運営の仕方を可能にしていただきました事務局には,大変に厚くお礼を申し上げます。ありがとうございました。
【永田分科会長】 事務局には,常にそういう姿勢で臨んでいただければと思います。
それでは,皆さんに今頂いた意見は大変貴重なものもたくさんありました。この段階で大きく変えるのはなかなか難しいとしても,その意図が生きるように,日比谷委員とも御相談申し上げて,最終的にこの大学分科会としてこれを公表させていただこうと思います。よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【永田分科会長】 その際,日比谷委員と私の方で相談をして,マイナーチェンジを若干入れる可能性を残させていただいて,お認めいただいたということにさせていただきます。大変有効な議論をありがとうございました。
それでは,次の議題ですけれども,地域における高等教育機関と大学間の連携の在り方について,それから,地域連携プラットフォームについてということで御議論をお願いします。まず前半の,地域における高等教育機関と大学間の連携の在り方について,事務局から御説明をいたします。
【牛尾高等教育企画課長】 それでは,私から説明をさせていただきます。まず,資料4-1を御用意ください。
まず,一つ目として,大学等連携推進法人の制度化に当たり,具体的なその制度の論点をまとめましたので御説明をさせていただきます。
まず,1ページ目の上半分に基本的な考え方をまとめております。この制度でございますけれども,今いろいろなところで進められております各大学の強みを生かした連携について,特に国公私の枠組みを超えてより推進できるような仕組みを作りたいということで考えているものでございます。また,併せて,教学面での一定の特例措置を認めるということも検討したいと思っております。
それから,二つ目として,基本的には一般社団法人の仕組みを活用したいと思っておりますが,事業内容の公益性に鑑み,大学設置法人と同程度のガバナンスの仕組みを設けるという方向で考えてはどうかと思います。
更に3点目として,この制度が安易に使われないということも十分に念頭に置いて仕組みを作っていきたいと考えております。
その下ですけれども,そのために,繰り返しになりますが,単なる一般社団法人の仕組みだけではなくて,公益性の確保等の観点から,文部科学大臣が定めた一定の基準に適合するものについてこの大学等連携推進法人とする,としてはどうかと思っております。
続きまして,2ページ目を御覧ください。まず,具体的な業務でございますけれども,複数大学間において業務の連携を促進するための方針を策定していただいた上で,それに沿った業務を行うということを主たる業務としてはどうかと考えておりますが,具体的な中身については,教育,研究,事務,管理運営の様々な取組が可能な仕組みとしてはどうかと考えております。
それから,社員の資格等について,でございますが,大学間の連携を推進する法人ということから,社員として参画する大学,短期大学等を設置する者が複数あるということを前提としてはどうかと思っております。
更にその下でございますけれども,それ以外に地方公共団体,高等専門学校の設置者等も参画し得る制度とする一方で,営利を目的としない法人という限定は掛けた方が良いのではないかと思っております。
続いて,3ページ目を御覧ください。社員にはいろいろな法人が参画するわけですけれども,大学等を設置する参加法人の有する議決権が全体の過半数を占めるということを要件としてはどうかと考えております。
それから,理事会組織を必置にするということを考えております。
その下でございますけれども,公益性の確保の観点から,剰余金の分配を行わないといったことを定めること,それから,それぞれの法人の事業内容,ある年度の実施計画,終了後の事業報告書,財産目録等の財務書類等を公表するということを要件としてはどうかと考えております。
4ページ目でございますけれども,様々な外部の御意見を反映させるという意味で,評議会のようなものを置くことも考えられますけれども,これについては任意設置としてはどうかと考えております。
それから,併せて,認定をするための仕組み,それから,不適切な活動が行われた場合には認定を取り消せる仕組み,このようなものも作るということを想定しているところでございます。
5ページ目のところに,御参考までに複数大学を設置する学校法人の場合と比べた場合のこの法人のガバナンス等の仕組みを図でイメージとして載せさせていただいておりますので,御参考にしていただければと思います。
大学等連携推進法人の制度化の論点は以上でございます。
続きまして,今も申し上げましたが,併せて今制度化を考えております教学上の特例措置について,資料4-2に基づいて御説明をさせていただきたいと思います。
この教学上の特例措置については,今申し上げました大学等連携推進法人に参画する大学だけではなくて,複数の大学の設置している学校法人の傘下にある大学についても併せて検討をしてはどうかということで考えております。
具体的には三つございまして,一つ目は,授業科目を共同開設するという新しい仕組みを作ってはどうかということ,それから,二つ目として,これは既にございますが,共同教育課程について,その設置の要件を緩和してはどうかということ,それから,三つ目として,教職課程の共同設置をできるようにしてはどうかということ,この3点についての特例を検討しております。3点目については,今,初等中等教育分科会で検討中でございますので,ここでは一つ目と二つ目について御説明したいと思います。
なお,これらの特例についても,質保証の観点から,定員割れや赤字経営大学の安易な救済につながらないような制度設計をしてはどうかと思っておりまして,私どもとしては,専任教員数,校地・校舎等の基準の緩和は行わないという前提で考えてはどうか,と考えております。
続いて,2ページ目を御覧ください。まず一つ目の特例として新たに設けます「授業科目の共同開設」ということについて,まず基本的な考え方を2ページ目にまとめてございます。大学の授業科目は,その大学が自ら開設するということが原則でございますけれども,この新たに制度化しようと思っております「授業科目の共同開設」については,幾つかの大学で共同して参画すると,参加して設置するということで,その参加大学全てが主体的に教学管理に参画するということを前提としつつも,実際には,ある一つの大学が特に責任を持つ大学として,主幹大学として授業科目を開設しまして,その他の参加大学におきましては,その科目を自大学で開設したものとみなす,このような基本的な考え方でこの共同開設という仕組みを新たに作ってはどうかと考えております。
3ページ目は,具体的な共同開設のイメージを図示したものでございます。この図だけでは分かりづらいかもしれませんが,A,B,C,三つの大学が参画した場合のイメージでございまして,この図では,例えば,必修科目のところは,A大学が主幹大学として開設した科目を共同科目としてB大学,C大学でも開設したものとみなす,選択科目については,B大学が主として責任を持って開設した科目,自由科目については,C大学が主として責任を持つ大学として開設したものを共同科目として開設した場合のイメージを図示したものでございます。
それから,4ページ目でございますけれども,こちらは,学生の方から見た場合に,この「授業科目の共同開設」がどのようになるかということで整理したものでございます。左上にA大学の学生さんの例ということでお示ししております。卒業単位のうち,真ん中あたりにある10単位についてはB大学が主たる責任を持つ科目として共同開設した科目,それから,右端の最後の10単位のところはC大学が主たる大学として開設した科目を共同開設科目として開設されたものを履修した場合ということでございまして,一部の科目は他大学が主たる責任を持った科目ではあるのですけれども,これを単位互換ということではなくて,A大学でそもそも履修したものとみなせるようにしようというのがイメージでございます。
以下,具体的に幾つかの制度化に当たっての論点について御説明したいと思います。
まず,5ページ目でございますけれども,関係大学間の協議の場の設置・協定の締結ということでございます。共同して開設という以上,参加する全ての大学が連帯して主体性と責任を持つことが必要と考えておりますので,共同開設に参加する全ての大学が参画する教学管理体制を構築することが必要と考えております。これは,言い換えますと,一番下に書いてございますけれども,ある大学における教授会等の教学管理体制に相当する機能を関係大学で持っていただくということが必要ではないかと考えております。
6ページは飛ばさせていただいて7ページでございます。参加大学の数についての論点でございます。共同開設ですので複数の大学が参加するわけですけれども,概念上は幾つの大学が参加してもこの共同開設はできるわけですけれども,実質的なことを考えますと,質保証の観点からは,余りにも多くの大学が参加大学として入ってきますと,一つの科目の履修学生数が過大になる等の懸念がございますので,一定の数の制限をした方が良いのではないかというのがここの論点でございます。
続きまして,8ページ目を御覧ください。個々の共同開設科目に係る責任体制ということでございます。共同して開設するわけですけれども,その責任主体が曖昧になるということを避けるには,ある大学が主として授業科目の開設・実施に責任を持つ主幹大学というものが明確になっている必要があるのではないかと考えております。具体的には,授業の計画,実施,成績評価,単位認定等について,一貫してある大学が主として責任を負う体制を作るということが必要ではないかということでございます。
続いて,9ページを御覧ください。これは共同開設科目数についてどう考えるかということでございます。現在,各大学におかれましては,卒業要件を満たす124単位を大きく超える科目を開設しておりまして,特に科目の開設数についての規則というのはございません。ということから,この共同開設する科目数について,一律に何かルールを決めるというのは難しいのではないかと考えております。
一方で,余りにもこの共同開設が広がり過ぎてしまうというのも問題であると考えておりまして,一つの案としては,学生の卒業要件の方に着目して,こちらで制限を掛けてはどうかと考えております。具体的には,共同開設科目のうち,ほかの大学が主幹大学となっている科目についての単位数は30単位を超えないもの,という制限を掛けて,間接的に抑制するということを考えてはどうかと考えております。また,更に安易なタダ乗り等を防ぐ観点から,参加大学間の負担が平準化されるということも必要ではないかということを考えております。
今,基本的に学部を念頭に置いて単位数等を御説明しましたが,10ページのところは,学部以外の各課程において具体の単位数等を整理したものでございます。
それから11ページ,こちらは具体の今申し上げた制限についてのイメージを図示したものでございます。一番上が学部の場合でございますけれども,現在,単位互換,入学前の既修得単位の認定等で,合わせて60単位を認定することが可能ですけれども,これの外側でこの共同開設科目30単位を認めてはどうかというのがこの学部の場合のイメージでございます。
一方,修士課程の場合については,現在でもその単位互換,入学前の単位ということで20単位を超えない範囲で認められるということで,かなり大幅な単位互換等が可能となっておりますので,修士課程については,この20単位の枠の中で他大学主幹の共同科目の開設を認めてはどうかということでイメージを示させていただいておるところでございます。
続きまして,12ページの(5)を御覧ください。「共同開設」を実施する場合に想定される事態や学生の負担等への配慮ということでございます。実際に共同で授業を開設しようとしますと,学生数が多数となり,あるいは遠隔授業によるということが必要になると思われますので,学生等に対して様々な配慮が必要ではないかということでございます。これらについては,法令というよりは施行通知等でお示ししてはどうかと考えております。
13ページを御覧ください。その他の各種論点ですが,特に(8)特例の適正な運用の担保ということ,これが非常に重要かと思っております。今まで申し上げたような各種論点について,基本的には大学設置基準等でルールとして定めることを考えておりますが,それ以外に,教学管理組織が置かれているか,協定が締結されているか等,実施状況を外部から確認できるようにするということが最低限必要かと思いますので,報告,情報公表等を求めるということをしてはどうかと考えております。
「授業科目の共同開設」については以上でございます。
最後にもう1点,共同教育課程の要件緩和について,14ページで御説明をさせていただきます。共同教育課程,複数の大学で共同して学位プログラムを運営するという仕組みは現在でも可能になっておりますけれども,この新たに制度化しようとしております大学等連携推進法人傘下の大学,あるいは同一設置者の大学においては,この新しい共同教育課程プログラムを作る際の要件を少し緩和してはどうかと考えております。
現行ですと,学部レベルですと,各大学で最低1年分の単位数,大学院レベルでは10単位を提供することを求めておりますけれども,この単位数について少し下げるということをやってはどうかということを検討してはどうかと考えている次第でございます。
以上,簡単でございますけれども,それぞれの制度についての論点を御説明させていただきました。御審議をよろしくお願いいたします。
【永田分科会長】 御質問,御意見等をお伺いいたします。では,麻生委員,どうぞ。
【麻生委員】 ありがとうございます。大学等連携推進法人とともに,資料4-2で今度は複数大学設置法人についての特例についての説明もありました。特に複数大学設置法人についての質問になるのですが,例えば,学校法人で2大学,3大学設置法人はそこに書いてあると思います。多いのは,短期大学になると4年制大学を同じ法人が設置しているということもたくさんあります。この場合の単位の互換に関してですが,短期大学設置基準と大学設置基準は違うわけですので,この単位の読み方をどうするのか,また互換の方法がどのようになるのかということと,それから,資料4-2の1ページ目の,マル1が共同開設の可能化,マル2は共同学位のことで,マル3については,初等中等教育分科会でと書いてありますが,このほかに,もし私が今質問した内容で,この授業科目の共同が大学,短期大学であり得るならば,もしくは,なければ大学間だけでも良いのですが,教育職員免許法,これは初等中等教育分科会だと思います。さらに,厚生労働省や他の省庁に関わる,例えば保育士や栄養士,管理栄養士の指定施設の場合,これが有効に他の省庁から認められるのかどうかというような点が気になる点です。幾ら共同開設してもそのような資格取得や免許取得につながらないものである場合は余り意味がないのかなということを感じますので,その論点についてはどのように考えていらっしゃるか,お願いいたします。
【塚田大学振興課課長補佐】 大学振興課でございます。資料4-2の13ページ,論点の(6)に記載しましたとおり,今回の共同開設については,大学,短期大学,専門職大学,専門職短期大学の間では,実施可能とできるようにしようと考えております。その際,御質問にありましたように,大学と短大とで卒業要件とか単位数の最低限取得すべき単位数が変わってくるわけですが,授業は共同開設するとして,卒業要件としては,それぞれの学校種に応じた単位数が適用されると考えております。
もう一つ御質問のありました,他の課程認定との関係ですけれども,今,初等中等教育分科会の教員養成部会の下の教職課程の基準に関するワーキンググループの方で,教職課程の課程認定について,共同で認定する在り方を検討していただいております。これは,今回の大学等連携推進法人,複数大学設置法人の下での,共同開設という仕組みを前提として,各種資格でどういうふうに取り扱うかというものの先行事例になると思っておりまして,麻生委員から御指摘のありました保育士とか,あと医療系の資格とかの課程を所管する他省についても,文部科学省ではこういう検討をしていますということを情報提供させていただいて,各法令の枠組みの中でこのような共同開設を認めるかどうかというのを御検討いただくものかと思っております。
【永田分科会長】 よろしいですか。
前半部分の回答ですが,各機関の設置基準上の違い,例えば教員認定その他について,違うカテゴリーで教育が行われる可能性があるわけです。それは各大学が見極めれば良いということでよろしいのですか。
【塚田大学振興課課長補佐】 そのために教学管理体制というものを共同で置いていただくことになりますので,設置基準上の違いについての調整はそこでなされるべきものかと考えておりますが,詳細については今後詰めていきたいと思います。
【永田分科会長】 髙倉委員,どうぞ。
【髙倉委員】 共同開設制度は、学生にとって非常にメリットがあると思います。以前行われた高等専門学校の単位の弾力化に関する議論の際、私からは「内容に偏りが生じる懸念があるためバランスをとる必要もあるのではないか」と発言させていただいた。複数大学設置法人及び大学等連携推進法人における教学上の特例についても同様に、学生が学ぶ内容に偏りが生じないよう,慎重な取扱いを行っていただきたい。
加えて,授業科目を共同開設する際には,教育の質を確保するだけでなくて,大学間の移動の時間や費用の面でも学生に過度な負担が生じないような配慮も必要ではないか。
以上です。

【永田分科会長】 では,村田委員,どうぞ。
【村田副分科会長】 質問をさせていただければと思います。少しとんちんかんな質問をするのかもしれませんが。
大学等連携推進法人の制度なのですけれども,4-1の資料,最後の黒丸のところで,「定員割れや赤字経営の大学の安易な救済につながらないような仕組みとする」とあるのですが,そもそもこの大学等連携推進法人を,この制度を設ける意味,あるいは目的が分かってなくて,例えば,一般社団法人の枠組みだと書いてあるのですけれども,例えば,今いろいろな地域に大学コンソーシアムがあります。一般社団法人になっているところがあるのですが,そういったものを念頭に置いているとは思えないものですから,これからは単に複数の大学がこういった形で大学等連携推進法人をすることを制度的に認めていこうという意味だと思うのです。そうすると,そのことの意味が,定員割れや赤字経営の大学等の安易な救済につながらないということをくぎを刺している上で,何を目的としてこの制度を作るのかというのが正直分からなくて,とんちんかんな質問かもしれませんが,お教えいただければと思います。
【牛尾高等教育企画課長】 この制度を作ろうと考えている目的ですけれども,様々な大学をめぐる環境の変化の中で,いろいろ新しい取組に各大学がチャレンジしていきたいということがあると思うのですけれども,そのときに自大学の資源だけで新しい事態に対応できるかというと,そこはなかなか難しいという実態があると考えております。そのときに,他大学と協力することによって,より多様で時代の要請等にも合った教育等を提供できるような仕組みを作りたいということでございます。
これは,国立大学についても従来なかった一法人で複数大学を置いて協力するという形を作りましたけれども,それを設置者の枠を超えても,国公私の枠を超えても同じような協力をする仕組みを作りたいということで制度化を考えているのがこの仕組みでございます。同一設置者であれば様々な工夫が現状でもできると思うのですけれども,地域単位として見ますと,様々な設置者の方が作った大学があるというのが現状だと思いますので,そういった地域において,設置者の枠を超えて協力して,よりその大学の機能強化を目指してほしいというのがその趣旨でございます。
【村田副分科会長】 恐らく国立大学と公立大学は可能でしょうし,私立大学と私立大学も可能だと思いますが,国立大学と私立大学は全く形態が違うわけで,かなり難しいなと思うのですよね。そうすると,本当に例えば私立大学と私立大学とを考えた場合に,別にここまで法人にしなくても十分連携をしてやっていけるわけで,大学等連携推進法人にするまで必要なのかというその目的が今のお言葉では,私はすとんと落ちないところがございます。
【牛尾高等教育企画課長】 すみません,説明足らずだったと思いますが,別にこの法人を作ることが目的ではありません。できるのであれば既存の個々の大学同士の連携協定の仕組みでやっていただいても全く構わないと思います。ただ,こういう枠組みを作った方がより強固な連携体制が作れるということであれば,こういう法人の仕組みを活用していただいた方が良い,ということです。
【村田副分科会長】 いや,もっとはっきり言いますとね,最後の定員割れや赤字経営の大学の,要は救済にならないというふうに書いてあるところがあって,これが引っ掛かってくるのです。むしろ,私立大学でそういうところが,スケールメリット,あるいはスコープのメリットをきちんと出して,大学として自立させるためにこの制度をやるのだというのであれば分かるのですね。そこは外しておいて,では何の目的なのですかというね,少し中途半端な言い方で,いや,少ししんどいなというのが私の本音です。
【牛尾高等教育企画課長】 すみません,飽くまでその安易なものをやめてほしいと言っているのでございまして,つまり,もはや存続し得ないような大学同士が協力して存続できるような機能強化が図れる場合もあると思いますし,それが逆にこの仕組みを安易に使って,むしろ形を変えた方が良いにもかかわらずそのまま存続してしまうということは,この趣旨,この制度を作る本意ではないということを表現しているので,実際の使い方はいろいろな使い方があるとは思います。
【村田副分科会長】 いや,逆に放っておけば駄目になってしまうのだけれども,そこを一つの法人にまとまればうまくいくというところを使うということが目的であればまだ分かるのですけれども,その「安易な」というのは何をもって「安易な」と言うか,その辺のあたりをきちんとしておかないと,少しこの目的が曖昧かなという気はします。
【永田分科会長】 有信委員,どうぞ。
【有信委員】 私の質問のかなりの部分は今の村田委員の話にかぶるのですけれども,要するに,法人にすることの意味,法人にして何が良いところがあるのかということです。
それと,「大学等」と書いてあるので,ここから先は少し違うのですけれども,例えば,研究機関だとか,各地方のそれぞれ地方行政というか,地方公共団体の研究機関だとか,そういうものとの連携などを考えると,また違う展開もあると思うのですが,このときによく考えてほしいのは,法人と言うからには,法人として経営,法人経営をどの範囲で考えるのか。その中で,ここで言う社員の自立性,独立性というのが,大学と,例えば国や公共団体の研究機関を考えると,自立性,独立性の意味合いが違うのですよね。だから,社員資格も含めてという話と,それから,経営という観点でどこまでこれを考えて,その上で法人にするメリットがあるという形にした方が私は良いように思います。これは意見です。
【永田分科会長】 なかなか厳しい質問なのですけれども,事務局は,他の委員の質問の後に回答いただきます。
小林委員,どうぞ。
【小林委員】 私も村田委員の意見に非常に関連しているのですけれども,資料4-2,9ページに「1科目も主幹大学として開講しないような大学の参加を認めて良いのか?」というような疑問形で書いてあるのですが,次のところの11ページのところで30単位,30単位,単位互換・入学前取得30単位で,その後,主幹科目,他大学が30単位まで取れるということで,最大30単位ずつですから90単位取れるということになりますね。そうすると,最低卒業単位というのは124単位ですから,自大学では34単位しか取らなくてもこれは卒業できるという仕組みに理屈の上ではなり得る,そういう理解でまずよろしいですか。
【牛尾高等教育企画課長】 前提はそのとおりでございます。
【小林委員】 ですから,そうしますと先ほど言いました,自分のところで34単位分しか開設しないような大学が出てくる可能性というのは,理屈の上では,飽くまでも理屈ですけれども,あり得るわけですから,そこは非常に,90単位まで認めてしまって良いのかというのが一つの議論になると思いますし,もし認めるとしたら,13ページのところに書かれているように,実施状況を外部から確認できるようにするというか,これは大学の情報公表で,こういうことをきちんとやっているのだということを出さない限り,こういうのを安易に認めるということになると,先ほど言われた懸念につながると思いますので,そこは非常によく検討していただきたいと思います。
【永田分科会長】 大変重要な御指摘です。
清水委員,どうぞ。
【清水委員】 以前山梨県の場合,事例を途中報告させていただきました。一般社団法人を昨年末に設置しましたけれども,これは,公益性が求められる大臣認可であり,公証役場も初めてのケースだということで,この設立には相当時間が掛かりました。具体的なことも多く求められ,この一般社団法人というのは,大臣認可で公益性を保つために非常にハードルが高いということが1点目です。
2点目は,教育の質の保証とか実際の授業の質については,一般社団法人の理事会の下に質保証委員会を設置し,それをチェックする機能がございます。単位互換となる授業の共同開設についても,新しい法人である一般社団法人の質保証委員会がしっかりと目を光らせておいて,そこで調整可能になっております。そういうところをもう少し強調した方が良いかもしれません。
いずれにしてもこれまでの大学の在り方を変える大変革な仕組みでございます。特に設置者を超えた大学の連携というのは,多分初めてになると思いますので,そういう意味で期待もしておりますし,できるだけその良さを生かすためには,いろいろな柔軟な制度といいますか,認定の基準もそんなに細かく制限すべきではないと私は思っております。
以上です。
【永田分科会長】 両極端の観点から御議論いただいたようです。
では,曄道委員,どうぞ。
【曄道委員】 今の御指摘にも関係しますし,それから,先ほどの有信委員の御指摘に強く関係するのですが,資料4-1の5ページにある大学等連携推進法人のイメージを考えますと,先ほども議論がありましたし,例えば,大学のガバナンスとかマネジメントを考えたときの階層構造がいま一つ分かりませんで,当然A大学から理事長等が,学長が社員総会等に参画するようなイメージになっていますが,必ずしもそこの議論がA大学そのものの理事会と一致するわけではない場合も起こり得るわけで,そういうときにはどちらがそのガバナンスの上位にいるのかとか,そういったことというのは,もう整理されているのでしょうか。
【永田分科会長】 まだされていないと思います。
福田委員,どうぞ。
【福田委員】 ありがとうございます。村田委員の引き続きみたいなところになりますけれども,先ほど来から出ています,このコンソーシアムでは駄目なのかと,特に私立大学の場合ですけれども。
それと,定員割れや赤字経営の大学の安易な救済ではなしに,そこにいる大学の学生の救済にはかなり意義があるのではないかなと感じておりまして,その辺を少し切り分けて考えられるように御議論いただければ有り難いなと。有り難いというのは,私のところが救済してほしいという話ではございませんので,お含みおきいただきたいと思います。
【永田分科会長】 鈴木委員,どうぞ。
【鈴木委員】 ありがとうございます。ほとんど皆さんと御一緒なのですが,こういう共同開設をすることは,学生にとってはすごく広がりが出て良いと思います。ただし,今度,就職ということで,民間がそれを受けるときになると,どれが本当に学んできたことで,どういう人なのかというところは,多分見えづらくなってくると思うのですね。ここで文部科学省の方に是非お願いしたいのは,受講したということと,きちんと修得したということが分かるような,結果の見えるような指導を是非していただきたいなと思います。
それともう一つは,学生を大学間で共有化するといいますか,お互いに引っ張り合ってといいますか,学生本意ではなくなるような形にならないような運営方法,これを是非念頭に置きながら結び付けていただきたいなと感じました。
以上です。
【永田分科会長】 良い御指摘だと思います。
吉岡委員,どうぞ。
【吉岡委員】 何かいろいろと議論が重なったことになるかもしれませんが,一つ,今学生にとって有益,広い選択肢が広がるというお話がありましたけれども,実際問題,これが学生にとってどういうふうに有益なのかがよく分からないところがあります。先ほどの教学マネジメントの議論の直後にこの話題をやっているせいかもしれませんが,現にいろいろな大学が他大学と協定を結んだりして授業科目を展開しているのですけれども,実際問題としては,キャンパスが違うと学生はものすごく動きにくいのですね。これを有効にするためには,時間割をかなり根本的に変えなければならないということで,大学にとっても非常に大きな負担になる,学生にも非常に負担になるということが実際問題として非常に大きいと思います。
それから,先ほど学生が二つの大学とか複数の大学に関わるようになるといった場合,これは細かい話かもしれませんけれども,例えば,実験等を行った場合の事故の問題とか,保険の問題みたいなことは,実は非常に大きな問題だろうと思います。
それから,前回この議論が出たときに河田委員もおっしゃっていて,私も申し上げましたけれども,学費の違いの問題,国公私立の間の形態の違いの非常に具体的なものとして学費の違いということがある。こういうことをどういうふうに乗り越えるのかということが考えられなければならないと思います。
もう1点は,先ほどの展開単位数,展開授業数の問題ですけれども,新しい大学の設置とか新しい学部の設置のときに,これを設置条件の中にうまく入れることができるかということです。やり方によっては非常に少ない授業を自分のところで用意しておいて,これはA大学とB大学と一緒にやりますからという形で設置を認めるようなことになるのかどうか。恐らくこれは認めない方が良いだろうという議論になると思うのですが,そうだとすると,この制度のそもそもの趣旨,そういうものを積極的に進めていくべきだという本来の趣旨から言えば,むしろそれは設置の時から積極的にやっていくべきだということになるわけですから,そこのところの説明が非常に難しいのではないかと思いました。
以上です。
【永田分科会長】 たくさん意見を頂きました。
鈴木委員が言われたのは結果本質的なことで,どこの大学を出たのですかということにほかならないわけです。
国公私の枠組みを超えた一法人複数大学というのは,当然どこかで1回はお考えになったけれども,ほとんど不可能だと思ってこのかたちになっているのだと思いますが,最後に吉岡委員が言われたように,設置者を超えた一法人複数大学は,どのような条件が揃ったらできるかを考えた後に考えた方がよいと思います。
現実には,ガバナンスや財政の問題があるからそう簡単に行くわけがないのですけれど,もしこういう制度を変えてできるのだったら,できたものは質を担保されてアイデンティティも確保されたものになるのではないでしょうか。外在的な,例えば国立大学法人法であるとか,それぞれ違う法人体系としての法律の下にあるので,そんなに簡単に行くわけではないのですけれども,そこはブレーンストーミングがされても良いのではないかと思います。そうすると,今言われたことのかなりの部分は,なるほどということもあるかと思います。それでも無理なものは無理,という結論でも良いと思いますが。
というわけで,たくさん頂いた御意見を検討いただいて,また御報告いただくということにさせていただきます。(「いいですか」の声あり)終わりの時刻が迫っているので,次の地域連携プラットフォームについて御説明いただいて,それから改めて最後に御意見を頂きます。似ているのですが,非なるものなので,ひょっとすると役に立つかもしれません。
事務局から説明をどうぞ。
【牛尾高等教育企画課長】 資料4-3を御用意いただければと思います。
こちらは,「地域連携プラットフォーム構築に関するガイドライン」というものでございまして,こちらの方は,先ほど御説明したような大学等連携推進法人というものよりは,もう少し緩やかな形で,地域において高等教育の在り方について議論をするための仕組みを作ってはどうかと,そのための国のガイドラインを今検討しているというものでございます。
この件については,当分科会で今まで2回御議論いただきまして,1度は山梨県と前橋市の事例も御紹介いただいて,ヒアリングもさせていただいたものでございます。そのときなどに頂いた意見を踏まえ,参考資料以外の部分の素案を事務局として取りまとめたものでございます。
もう時間もございませんので,中身は御説明しません。本日も御議論の時間は余りないと思いますので,いつでも構いませんので,御意見を頂戴できれば助かります。
【永田分科会長】 時間の問題もありまして,本日は資料をお渡ししますので,また次回以降に検討する時間を設けたいと思います。
今,御説明がありましたけれども,山梨県の案件は,もともとはこの地域連携プラットフォームの中でのヒアリングでしたが,先ほど述べたように,結局,大学等連携推進法人の話になっています。そこで山田委員,どうぞ。
【山田委員】 ありがとうございます。結局この地域連携プラットフォームをなぜ作るのか,そして,先ほどのこの大学の新しい法人の制度に関する問題,村田委員からも御指摘がありましたけれども。
去年とうとう出生数は86万半ばですか,90万人を切るというショックな事態になりました。18年後には,間違いなく18歳人口は今より3割減るということに確定をしてしまったわけです。そのときに,地域において高等教育をどうやって確保していくのか,地域の維持をどうしていくのか,こうした問題をまさに今からきちっと対処方針を示していかなければならない時期が来ているのだと思います。その点からすると,地域のプラットフォームの構築に関するガイドラインの中身については今申し上げませんけれども,少なくともこの地域の連携プラットフォームと,それから大学を中心とした地域の振興と,そして地域の大学の将来構想,これが3点セットになって出てこなければならないのだと思います。それぞれがばらばらに出てきてしまっては意味がないと思いますので,是非ともこれから出していくときには,このプラットフォームとして,地方創生における大学振興,そして地域における将来の大学構想,こうしたものをきちっと一つの統一的な見解として提示をしていただきたいと思います。
そうした点から申しますと,その将来の構想のときに,まさに地域においては3割以上子供たちが減る中で,どうやって大学を維持し,どうやって地域の人材を確保していくかということが大変な問題になる。そのときに,先ほどのような形で大学等連携推進法人,京都府では,京都府立大学と京都府立医科大学,1法人2大学にいたしました。そして,その後に国立京都工芸繊維大学と教養の共同化を進めました。それはなぜかというと,特徴と個性を持った大学が将来に向かって効果的・効率的に生き残る手段を探るためです。
まさにそうした中で今問題が出てきているときに,先ほどのこの大学等連携推進法人の在り方というのは,村田委員からも御指摘がありましたけれども,大変中途半端な気がいたします。誰も安易な救済を行ってほしいということではなくて,本当に救済が必要になってくる事態がもうこれからどんどん出てくるときに,この制度ができたときに,是非とも使いたい,是非ともやっていきたいというところがあると思います。ところが,今の状況では,例えば,設置基準上の専任教員数や校地・校舎等の基準の緩和は行わない。やればやるほど非効率的,効果的でない大学運営をしなければならなくなる。学校に対しても,学生に対しても親切ではないなと思います。もう少し危機感を持って,地域の大学の在り方についての中途半端ではない構想をこの地域連携プラットフォームと併せて提示をしていただくようにお願いをしたいと思います。
【永田分科会長】 大学等連携推進法人と地域連携プラットフォームというのは,もともとそういう意図で提案されたものです。地域連携プラットフォームの中から突出したものは大学等連携推進法人として,ということなのですけれども,中途半端の感は否めないので,極論も頭の中に入れて是非とも今後考えていただいて,また議論をするということにさせていただきます。
終了予定時刻を超過してしまいましたが,最後の課題は,実は,本日は方針だけをお示ししようと思っていましたので,すみませんが,二,三分だけ説明の時間を頂きたいと思います。
それでは,教育と研究を両輪とする高等教育の在り方について,時間が過ぎましたが,二,三分でどうぞ御説明をお願いいたします。
【牛尾高等教育企画課長】 それでは,資料5-3を御用意ください。
教育と研究を両輪とする大学教育の在り方については,これまで何回か御議論いただいておりますので,そこで頂いた御意見を踏まえて論点整理という形でまとめさせていただきました。
1ページ目は,検討の経緯でございますので省略させていただきます。
2ページ目を御覧ください。まず論点例1として,大学における教育と研究の両輪というそもそも論について整理をさせていただいております。そもそも大学における教育や研究に基づく専門的知見を反映させるものであるとか,あるいは,逆に教育の場で学生と徹底的に議論することが研究のスタートにもなっているといったようなことをまとめさせていただいております。
論点例2としましては,教育と研究に基づく大学教育の在り方ということでまとめさせていただいております。大学進学率50%を超えるようなユニバーサル段階において,従来行われてきたような研究成果に基づく教育の提供ということだけでは済まなくなっているのではないかということでまとめさせていただいております。先ほども出ておりましたけれども,個々の教員の研究に基づく授業ということになりますと,どうしても授業科目が過多になり,細分化してしまうといったことや,文系と理系を複眼的に組み合わせていくようなことも必要ではないかということ,それから,教育内容・方法に関しては,ゼミ,卒論というのは日本固有の良い仕組みであって,こういうものを生かしていく必要があるのではないかといったことを記載しております。
論点例3としましては,大学教員の在り方ということでまとめさせていただいております。大学の教育研究の機能強化ということは,すなわち直接的担い手である大学教員,これの重要性を再認識する必要があるということ,大学院については,学生が学ぶ場であると同時に,大学教員を目指す学生の教育力を養う場としても機能する必要があるということ,教育支援,研究支援の充実が必要であるということでまとめさせていただいております。
4ページ目,論点例4,大学運営マネジメントの変革について,でございます。教育研究等を効果的に進めていくためにはマネジメントが重要であるということで,時間のマネジメント,あるいは大学の管理運営業務をどれだけ大学教員以外の者にしていただくかといったようなことについて整理をさせていただいております。
それから,資料5-1は,これまで出た御意見を今申し上げた論点例に即してまとめたもの,資料5-2は,各種統計でございまして,教育と研究に関する教員の意識や,教育,研究といった職務時間が実際どうなっているかといった状況についてまとめたデータを参考に供しているところでございます。
説明は以上でございます。
【永田分科会長】 簡潔に御説明ありがとうございました。
今,ここに出しました論点は,皆様から頂いた御意見をこういう形で整理してみたということです。おそらくこのまま,こういう章立てで最終まとめになっていくのだろうと思っています。御意見はあるでしょうけれども,この論点の順番でやるかどうかは別として,次回以降に今度はこの論点に沿って集中的に審議を進めたいと思います。また多くの議論があるとは思いますけれども,御協力をよろしくお願いいたします。
本日は時間を超過して失礼しました。議題は以上ですので,事務局から今後の日程の御紹介をして終わりにします。
【奥井高等教育企画課課長補佐】 ありがとうございます。
次回の大学分科会は3月24日の火曜日,10時から12時を予定しております。会場については,調整中のため,追って御連絡をさせていただきます。
また,本日の資料については,郵送を希望される委員は,そのまま机上に置いていただければと思っております。
また,地域連携プラットフォームですとか「教育と研究の両輪とする大学教育の在り方について」関係で,本日時間の都合上御発言できなかったと思いますので,事務局宛てに何かありましたら御連絡いただきますよう,よろしくお願いいたします。
以上でございます。
【永田分科会長】 どうも御協力をありがとうございました。それでは,第152回の大学分科会をこれでお開きにします。どうもありがとうございました。

── 了 ──

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高等教育局高等教育企画課高等教育政策室

(高等教育局高等教育企画課高等教育政策室)