大学分科会(第149回) 議事録

1.日時

令和元年8月9日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省 旧庁舎6階 第二講堂
(東京都千代田区霞が関3ー2ー2)

3.議題

  1. 法科大学院教育の充実等について
  2. 大学設置基準の一部改正について
  3. 高等専門学校の国際展開等について
  4. 地域における高等教育機関と大学間の連携の在り方について
  5. 教学マネジメント特別委員会の審議経過報告について
  6. その他

4.出席者

委員

(分科会長)永田恭介分科会長
(副分科会長)村田治,渡邉光一郎の各副分科会長
(委員)有信睦弘,亀山郁夫,志賀俊之,日比谷潤子,吉岡知哉の各委員
(臨時委員)麻生隆史,安部恵美子,宇山恵子,加登田惠子,河田悌一,小林雅之,佐藤東洋士,清水一彦,鈴木雅子,髙倉明,髙宮いづみ,伹野茂,曄道佳明,長谷川眞理子,古沢由紀子,益戸正樹,三島良直,三村信男,山田啓二の各委員

文部科学省

(事務局)伯井高等教育局長,山﨑大臣官房文教施設企画・防災部技術参事官,玉上大臣官房審議官(高等教育局担当),永山文部科学戦略官,牛尾高等教育企画課長,西田大学振興課長,黄地専門教育課長,武藤高等教育政策室長,平野大学改革推進室長,西川専門職大学院室長,磯谷科学技術・学術政策研究所所長 他

オブザーバー

川嶋認証評価機関の認証に関する審査委員会座長,吉見東京大学教授

5.議事録

 事務局より,議題のうち「認証評価機関の認証について」は,中央教育審議会大学分科会運営規則の第二条第二項の「公開することにより公平かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがあると認める場合」に該当し,非公開とする旨の説明があった。


(1) 認証評価機関の認証について
 第140回の大学分科会(平成30年3月27日)において,文部科学大臣から諮問がなされた公立大学改革支援・評価研究センターの申請に関する「認証評価機関の認証に関する審査委員会」における審議経過について,川嶋座長から報告があった。
 その後,審議を行い,原案通り答申することについて,可決された。


(傍聴者入室)


【永田分科会長】  それでは,傍聴希望の方はほぼ入室されたかと思いますので,議題に入らせていただきます。
 こちらも認証評価関係ですけれども,専門職大学院の認証評価について,大学基準協会から新たに広報・情報系に関しての認証を受けたいという申請がありましたので,これを大学分科会で検討するということになります。具体的には,審査は審査委員会において行い,その審査結果をこの分科会に御報告を頂いて審議をするという形をとります。
 それでは,資料2について御説明をお願いします。
【武藤高等教育政策室長】  資料2,認証評価機関の認証について御覧いただけますでしょうか。公益財団法人大学基準協会から,認証評価機関の認証の申請がございましたので,今回諮問を行うものでございます。
 資料の裏面を御覧いただけますでしょうか。今回申請のあった評価事業の概要ということで,専門職大学院の広報・情報系分野を認証評価の対象といたしまして,大学評価基準7の大項目の下に20項目の項目を設定して,評価をしていきたいと。基準に基づいて作成された自己点検・評価報告書,その他の資料で,書面評価と実地調査を行い,評価結果を適合と不適合で示すというもので,ここにありますような手数料で,当面の対象としては,平成29年度に開設した社会情報大学院大学,ここを評価の対象として行いたいというものでございます。今ほど分科会長からございましたとおり,川嶋先生を座長とする審査委員会で専門的な調査・審議を行っていただいた上で,結果が取りまとまり次第,分科会でまた御説明いただきたいと思っております。以上でございます。
【永田分科会長】  以上,御説明のとおりで,これを審議会の方に付託するということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。
 本件については,しばらくまだ審査に時間がかかると思います。ありがとうございました。
 それでは,次の審議事項に入らせていただきます。最初に「2040年を見据えた大学院教育のあるべき姿(審議まとめ)」を踏まえた,学校教育法施行規則及び大学院設置基準の一部改正等について審議をさせていただきます。
 さきに述べましたように,本件は7月16日までにパブリックコメントも踏まえて、大学院設置基準の一部改正について諮問をされています。
 もう一つは、履修証明プログラムに対する単位授与を可能とする大学設置基準及び短期大学設置基準の一部改正について,同様の規定の専門職大学設置基準及び専門職短期大学設置基準にも設けるという趣旨で諮問をされています。それでは、事務局から御説明をお願いいたします。
【西田大学振興課長】  大学振興課の西田と申します。よろしくお願いいたします。
 まず,学校教育法施行規則及び大学院設置基準の一部改正について御説明をさせていただきたいと思います。資料3-1を御覧いただきますと,本年1月におまとめをいただきました,2040年を見据えた大学院教育のあるべき姿,審議のまとめで御提言をいただいている,大学院における「三つの方針」の策定,公表の義務化,学位論文の評価基準の公表の義務化,プレFDの実施や情報提供の努力義務化,ファイナンシャル・プラン提示の努力義務化,この4点についての省令改正につきましては,前回6月13日のこの分科会においてお認めを頂いた後,パブリックコメントを行いました。
 そのパブリックコメントの結果については,資料3-1の一番最後の13ページに掲載しております。総論だけではなく,具体的な運用についても御意見を頂いております。これらについては,今後,周知活動を行っていくに当たって,具体例や留意いただきたい観点,必要性等を強調していくなどの対応を図ってまいりたいと思っております。
 次に,これらのパブリックコメントを踏まえた改正案の内容について御説明をさせていただきます。ページ戻って恐縮ですけれども,また1ページの方を御覧いただければと思います。まず1-1,学校教育法施行規則の改正についてでございますが,マル1の「三つの方針」の策定・公表義務化についてでございます。これについての具体的な条文は,資料8ページの第165条の2となります。
 現在,大学院においては,入学者受入れの方針のみ,策定・公表が義務付けられておりましたけれども,今回,その限定をなくして,学位授与の方針,教育課程編成・実施の方針についても策定・公表を義務付けることといたしまして,学位プログラムとしての大学院教育の見直しを図っていただきたいと考えております。
 2点目としてマル2,学位論文に係る評価の基準の公表の義務化についてでございますが,具体的な条文は,資料9ページの第172条の2,第3項となります。現在,学位論文に係る基準は,学生に対する明示が義務付けられておりますが,大学院の取組について,社会や企業に対してより積極的に発信をしていく観点から,公表を義務付けることといたします。
 恐縮ですが,また1ページに戻っていただきまして,1ページの下半分,1の2,大学院設置基準の改正についてでございます。通しでマル3のところになりますが,博士後期課程におけるプレFDの実施や情報提供の努力義務化についてであります。これについての具体的な条文は,11ページの第42条の2となります。博士後期課程学生は,将来的に大学の教員になるなど,自らが有する学識を教授する可能性が高いということですから,そのために必要な能力を培うための機会を,自大学において設ける,又は他大学等が実施するプレFDに,自大学の学生が参加するために必要な情報提供を行うこと,これを努力義務化するものとなっております。
 最後に,ファイナンシャル・プラン提示の努力義務化,マル4については,11ページの第42条の3が条文となります。授業料等の大学院が徴収する費用や,就学上の経済的負担の軽減を図るための取り扱いに関する情報を整理し,学生及び入学を志望する者に対して明示することを努力義務化するものとなります。後半の,大学院設置基準の改正につきましては,文部科学大臣からの諮問事項となりますので,資料3-2に諮問文をつけております。資料3-3としてお認めをいただけました場合の答申の案をつけさせていただいております。答申を頂いた後は,今月中に公布をし,学教法施行規則の改正については公布日同日施行,大学院設置基準の改正については来年4月の施行を予定しております。
 大学院関係の省令改正については以上となりまして,引き続き資料4-1から4-3を使いまして,専門職大学設置基準及び専門職短期大学設置基準の一部改正について御説明をさせていただきます。
 6月13日の大学分科会におきましては,学部等連係課程,実務家教員,それから履修証明制度等に関する大学設置基準等の改正について諮問させていただき,改正を適当と認める旨の答申を頂いたところでございます。その後,事務方において検討を進めた結果,履修証明プログラムへの単位授与については,専門職大学や専門職短期大学についても同様に可能とする必要があるとの判断に至りました。このため,専門職大学設置基準及び専門職短期大学設置基準の改正について,このたび追加的に諮問をさせていただくものでございます。
 具体的な条文案につきましては,資料4-1の2ページを御覧いただきたいと思います。第28条第2項において,学生以外の者で特別の課程,いわゆる履修証明プログラムを履修する者に対し,単位を与えることができる旨の規定を追加しております。また,これと併せて関係規定の整備を行っております。
 次のページを御覧いただきますと,専門職短期大学設置基準についても同様の改正を行う旨,記しているところでございます。
 以上,改正案の概要について御説明をさせていただきました。本日,この改正案をお認めいただけましたら,既に答申を頂いております大学設置基準,短期大学設置基準及び大学院設置基準と併せて,速やかに関係省令,告示の改正案を公布・施行させていただきたいと考えております。
 以上,御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
【永田分科会長】  ありがとうございました。御質問,あるいは御意見ございましたらお受けいたします。いかがでしょうか。吉岡委員、どうぞ。
【吉岡委員】  大学院のところで,プレFDの話が出てまいります。それでこれは努力義務ということなので,具体的にどのような形になっていくかというのはこれから考えなければいけないんですけれども,実際問題として,プレFDに関してどのようなプログラムを組んでいったらいいのかと。あるいは,逆に言いますと,例えば,設置審の方で審議するときに,どういう基準で考えていったらいいのかということです。努力義務であるということと,プレFDということで,具体的にどのようなものがイメージされているのかということを教えていただければと思います。
【平野大学改革推進室長】  失礼します。大学改革推進室長でございます。
 プレFDというものについては,かなり多様な類型が想定されているわけでございます。これは事業以外のセミナーのところで,いわゆる教授法というものについて教えるといった単発のものから,ある程度包括的に教授法からもうちょっと本格的なところ,シラバスの設計方法,15回どのように授業を組むのか,こういったところを教えるというものもあり,かなり多様なものが考えられるわけでございます。
 当面は努力義務ということでございますので,各大学で何がまずできるのかということを考えていただくということと,今回,省令の方では,実は自分の大学で設けるだけではなくて,その機会に関する情報の提供に努める,こういったようなこともあるわけでございます。例えば,教育関係の共同利用拠点のような形で,全国で優れた取組が行われておりますので,そのような取組というのを御紹介いただくと。こういったことをもっても,一応努力義務としては今のところ足りるということになってございますので,設置審の審査にどのように生かすのかというところは,私,なかなか申し上げにくい部分があるわけでございますけれども,当面は,まずはできることからやっていただく。自分のところでどうしてもできない場合には,ほかのところをしっかり紹介していただく。こういったところを行っていただきたいという趣旨でございます。
【永田分科会長】  
 そのほかよろしいですか。三村委員、どうぞ。
【三村委員】  今のプレFDの話では多様な形態があるということですけれども,大学院の,特に博士の学生などは,TAという形で,かなり教育の中に一緒に参加している経験があると思うんですけれども,そういうものもプレFDの一環として考えられるのか。それとはちょっと違って,プレFDと銘打って,講習会とかそういうものをセットすることが想定されているのかはどうなんでしょうか。
【平野大学改革推進室長】  今,御指摘を頂きましたTAというのも教育の補助に携わるという意味で,プレFDとして生かせる可能性があると思っております。今,可能性があると思っていると申し上げたのは,TAという活動を行うに当たって,やはり大学がそこにしっかりと教育的な意図をもって,ある程度の形でサポートをしていく,フォローしていく,こういう形であれば,これは立派なプレFDということで位置付けられる可能性があると思いますけれども,TAといって,何か形としては作業はしているんだけれども,それは作業というところにとどまるということになれば,これはプレFDと言えるのかというところについては,若干議論も出てくるのかなと。そこはプレFDというものにふさわしい,やはり目的というものがあって,それに達するにふさわしいようなしっかりとした活動というものが位置付けられている。この2つがセットになっているのであれば,これはプレFDということで見てよろしいのではないかと思っております。
【永田分科会長】  ありがとうございます。いまの御指摘については,努力義務で実施していく中で構築されるものだと思います。一例申し上げれば,ティーチングアシスタントの一段上に,欧米ではティーチングフェローという制度があります。その制度自体は,今ここで述べられているプレFDと同じような性格を有しており,しかも授業に立った学生から,更にその授業内容を教員たちが手を入れながら評価をするというシステムも組み込まれています。わが国でもこのような制度を導入している大学もあります。ですから,様々な努力をして将来の大学教員を育てるような取り組みであればそれはプレFDなのだ、という共通認識ができれば良いのではないかと思っています。よろしいでしょうか。
 それでは,この件に関しまして,余り御異論はないようですので,議決をとらせていただきます。
 それでは,事務局から定足数について御報告ください。
【武藤高等教育政策室長】  本分科会の委員・臨時委員数は30人でございます。現在27名の御出席でございますので,審議会令第8条1項に基づく過半数を満たしております。以上です。
【永田分科会長】  それでは,お諮りを申し上げます。ただいま文部科学省から説明のあった諮問の内容について,御了解を頂くということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【永田分科会長】  どうもありがとうございました。それでは,事務局の方で,この先,手続を先へ進めていただきたいと思います。
 続きまして,法科大学院の教育の充実に関する内容についてお諮りをさせていただきます。これは先ほど冒頭でも申し上げましたが,法科大学院等特別委員会で,6月に法律改正がありました法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律等の一部を改正する法律案が可決されております。この法改正を踏まえて,専門職大学設置基準等の改正について,さきに述べました特別委員会における議論がまとまりましたので,御報告を頂き審議するということです。
 それでは,事務局から資料の御説明をお願いいたします。
【黄地専門教育課長】  専門教育課長の黄地でございます。よろしくお願いいたします。私の方からは,資料5-1に基づきまして,省令の改正につきまして御説明させていただければと思います。
 先ほど分科会長から御紹介ございましたように,法科大学院関係の法改正につきましては,先の通常国会で成立したところでございまして,法律の内容につきましては,今年3月の大学分科会でも御説明しましたが,日がたってございますので,改めて若干触れさせていただければと考えてございます。
 資料5-1の7ページに,法改正の概要をつけさせていただいてございます。お時間の関係もありますので,簡潔に御説明させていただければと思いますが,今回の法改正は,4つの法律を改正いたしまして,1つ目は,法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律の一部改正ということでございます。
 項目といたしましては,(1)にございますように,法科大学院の教育の充実を図る観点から,ここのマル1のアからウに書いてございますような,法曹となる者に必要な学識や応用能力などについて規定されているところでございます。併せましてマル2といたしまして,ロースクールの教育課程はどういうふうになっているのかですとか,成績評価や修了認定の基準はどういったものなのかなどにつきまして,公表を義務付けることといたしてございます。
 2点目といたしまして,法科大学院と法学部の一層の連携を図る観点から,法科大学院を設置する大学と法学部を設置する大学が法曹養成連携協定といったような協定を締結して,文科大臣が認定する制度を創設することといたしてございます。これによりまして,学部の早期卒業によって3年プラス法科大学院2年の一貫コースなどの創設によって,時間的・経済的な学生の負担が軽減されることが促進されるということを目指してございます。
 3点目といたしまして,法科大学院の入学者の多様性を確保するために,法学未修者,社会人,早期卒業の学生などの方に対する入学者選抜における配慮義務を規定するということでございます。
 4点目といたしまして,司法試験を所管する法務大臣と法科大学院を所管する文科大臣が一層の連携を図るために,例えば法科大学院の学生の収容定員の総数などにつきまして,相互に協議を求めることができることなどを規定してございます。この規定を受けまして,政令で法科大学院の定員増については,認可事項といたしまして,文科省告示におきまして,その総数を2,300人程度を上限とするということを,現在考えているところでございます。
 2点目の法改正といたしまして,学校教育法の一部改正でございます。大学院への飛び入学の資格につきまして,現行制度では大学院を置く大学が定める学部での単位を優秀な成績で習得した者に対して認められることになってございますが,これに加えまして,こういった優秀な成績の方々と同等以上の資質・能力を有する者を追加することを考えてございます。具体的には,下の米印に書いてございますが,法科大学院の既修者認定試験で優秀な成績を経た者を想定しているところでございます。
 3点目といたしまして,司法試験法と裁判所法の一部改正でございます。こちらについては,法務省の所管ではございますが,マル1では,ちょっと細かくいろいろ書いていますが,要すれば,法科大学院の在学中に司法試験を受験することができるという規定を追加するとともに,2点目といたしまして,在学中受験の結果,司法試験を受けて合格した場合には,それに加えて法科大学院を修了することを司法修習の採用の要件として規定するということにしてございます。
 3点目といたしまして,予備試験の論文式試験につきましては,選択科目を導入して,一般教養科目を廃止するといったような改正が,以上の内容でございます。
 また資料5-1の1ページにお戻りいただければと思います。このような法改正を受けまして,まず専門職大学院の設置基準の改正案でございますが,まず1点目といたしまして,入学者選抜につきましては,先ほど御説明いたしましたとおり,連携法の中で具体的にロースクールの学識等が規定されることになりましたので,入学者選抜に当たっても,こういった学識等がしっかり持っているのか,そういった教育を受ける上で求められる学識・能力を有するか否かをしっかり判定できるような入学者選抜である旨を規定するという点でございます。
 また,2点目といたしまして,教育課程の編成についてでございますが,教育課程の編成に当たっては,先ほどの連携法の2条の中で,法曹養成の基本理念というものが定められておりますが,先ほど御説明した学識等についても,ロースクールでしっかり教育を行うということになりますので,こういった点を踏まえた教育課程を編成していただくということでございます。
 3点目といたしまして,具体的な科目群といたしまして,こちらに書かれています4つの科目群を設置基準の中で新たに規定することとしてはどうかということでございます。1つ目は,憲法,行政法,民法など,法律基本科目でございます。2点目といたしまして,例えば,法曹倫理,エクスターンシップといったような法律実務基礎科目。3点目といたしまして,法史学,外国法基礎,あるいは法と経済学といったような基礎法学・隣接科目。4点目といたしまして,例えば,労働法,知的財産,国際法などといった展開・先端科目,これらを具体的に規定するとともに併せまして,先ほど1番目の法律基本科目につきましては,基礎科目の後に応用科目を履修できるような,段階的・体系的な教育課程にしていただくこと。あるいは,2から4番目にあります他の科目群につきましても,同じように段階的・体系的に学べるような教育課程に編成すべきこと。
 さらには,4番目の展開・先端科目につきましては,特に重要な8科目,こちらの括弧に書いている各法律でございますが,こちらについては全てを開設することを努力義務としてはどうかということを新たに規定することを考えてございます。
 次に,学習規模についてでございますが,現行の規定でも,少人数学習ですとか,法律基本科目は50人を標準とするということが書かれているわけでございますが,更にきめ細かい学習を推進するために,法律基本科目につきましては,原則50人以下とするということとしてはどうかと考えてございます。
 続きまして,「論述能力」の修得でございます。現行の設置基準の規定では,法科大学院の教育方法といたしまして,事例研究,現地調査,あるいは双方向,他方向の討論などが規定されているところでございますが,実際の法律実務におきましては,弁論とともに法的な文書を書くことが多く想定されますので,今回の連携法の改正におきましても,論述の能力が規定されたところでございます。従いまして,こういった能力を修得させるための指導を行うべきことを,設置基準上規定してはどうかということでございます。
 続きまして,成績評価,修了認定の厳格化についてでございます。こちらにつきましては,連携法第4条の,先ほど御説明した,新たに規定された学識等々が涵養されているか,あるいは連携法第5条第2項第3号に基づいて,新しく成績の基準ですとか,こういったものを公表することになってございますので,こういった基準に基づいて,厳格かつ客観的に学習成果に関する評価修了認定を行うものを新たに規定してはどうかということでございます。
 続きまして,公表すべき内容でございます。先般の改正の条文におきましては,教育課程や成績評価,修了認定に関する基準を公表することとさせていただいていますが,これに加えて更に細則的なものとして,マル1からマル7にあるような内容を公表してはどうかということでございます。マル1としましては,入学者選抜に関すること。2点目といたしましては,標準修業年限の修了率,中退率,留年率の状況に関すること。3点目は,先ほど御説明しましたような法科大学院での開設科目。4点目といたしましては,経済的負担の軽減の状況。5点目から7点目といたしましては,例えば,法学未修者や連携法曹基礎課程から入ってきた方,あるいは在学中受験をした方の合格率などでございます。
 続きまして,履修科目の登録の上限についてでございます。現行制度上は,1年につき36単位まで履修していいですよということになってございますが,実際,今回の法改正で進められる,例えば学部段階の法曹コースから法科大学院に進学した場合など,法科大学院が認めた場合におきましては,学生も36単位を超えて学習を行ってもいいのではないかということで,その上限を44単位まで増やすこととしてはどうかということでございます。併せまして,その下にございますように,入学前の既修得単位ですとか,あるいは既修者認定の上限につきましても,30単位から46単位まで増加してもいいのではないかということでございます。
 続きまして,修了要件の単位数につきましては,先ほど御説明いたしました4つの科目群ごとに,修得すべき単位数を具体的に規定してはどうかということでございます。特に法律基本科目につきましては,全体で48単位でございますが,そのうち基礎単位につきましては30単位を必修として想定いたしまして,応用科目については18単位以上と規定してはどうかということでございます。更に選択科目,司法試験の選択科目でございますが,1科目以上は必ず必修としてはどうかということでございます。
 以上が,専門職大学院設置基準の改正内容でございまして,その他,4ページを御覧いただければと思います。先ほど御説明しましたような専門職大学院設置基準の改正内容等につきましても,こちらのマル1からマル3に書かれているような方向で,認証評価の細目省令の方でも規定してはどうかということで考えてございます。
 更に5ページを御覧いただければと思いますが,連携法第6条第1項の規定に基づく文科大臣の認定,これは要すれば,法曹養成連携協定の文科大臣の認定に関する省令でございます。
 こちらについては,まず(1)でございますが,連携法曹基礎課程,これは学部の法曹コースでございますが,こちらにおける科目の単位の修得状況を踏まえた入学者選抜に係る入学定員は,法科大学院入学定員の全体の2分の1を超えないものとしてはどうかということでございます。他方で,残る2分の1は,むしろ未修者ですとか社会人ですとか,多様な方々に入っていただくということを想定してございます。
 (2)でございますが,法曹養成連携協定の認定の基準につきましては,今回の連携法の改正法の中でも具体的に規定しております。例えば,当該認定を受けようとする法科大学院が,認証評価の適合認定を受けていることなどが規定されてございますが,それ以外につきましても,例えば,マル1にございますように,基本科目の基礎科目に相当する科目が法曹養成基礎課程において履修すべきものとして,法科大学院の教育と円滑に接続するように,体系的・段階的に開設されていること。2点目といたしまして,学部と法科大学院の教育の円滑な接続を図るための措置が講じられていること。3点目といたしまして,法学部段階における早期卒業の認定基準がしっかり整備されていること。4点目といたしまして,早期卒業を希望する学生に対する十分な教育的な配慮を行う体制が構築されていること,これらを認定の基準としてはどうかということで考えてございます。
 資料5-1の説明は以上でございまして,今後のスケジュールにつきましては,資料5-2を御覧いただければと思います。
 本日の大学分科会で,概要についてお認めいただいた後,本日速やかにパブリックコメントを実施いたしまして,約30日間かけて実施することにしてございます。その後,9月10日のロースクールの特別委員会におきまして,今回の概要を踏まえた具体的な条文案を御審議いただきまして,そこで了解がとられた場合には,9月半ばの大学分科会で更に御審議いただいた上で,9月末までには公布してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
【永田分科会長】  いかがでしょう,御説明内容についての御意見,御質問,お受けいたします。清水委員、どうぞ。
【清水委員】  資料5-1の7ページに概要がまとめられておりますが,1つ確認といいますかお聞きしたいのは,2番目のところに,学校教育法の一部改正で,飛び入学のことが書いてございます。早期卒業と飛び入学を奨励するということ,これは非常にいいことだと思いますが,早期卒業の場合には,学士の資格を得て,法科大学院に行くわけです。飛び入学の場合に,もし法科大学院に行って,そこで在籍から離れた場合,その人の学歴は高卒になってしまいます。その担保みたいなものは用意されているのでしょうか。つまり,飛び入学で進んだ人が途中でやめた場合には,学歴が下がってしまいます。その辺の制度措置をしておかないと,不利益を被るようなことになりかねませんので,その辺りを確認したいと思います。
【黄地専門教育課長】  今御指摘ございましたように,飛び入学の制度は,学部を卒業しない場合であっても,法科大学院の方が優秀な成績であると認めれば,3年次から既に大学院に入学できるといった,極めて特例的な制度ではないかなと考えてございます。従いまして,今回の法改正によります3+2の推進につきましては,先ほど御説明しましたように,法科大学院と,あとは連携を図ろうとする法学部が連携協定を結ぶことによって,3+2の5年間のコースを標準的なものとするということを想定してございますので,基本的には学部卒業の資格が与えられる,早期卒業を中心に推進してまいりたいなと考えてございます。
 一方で,先ほどのとおり,飛び入学につきましては,学部卒業という資格はございませんので,こちらは極めて特例的なものではないかと考えてございます。ただ一方で,例えば,法曹養成連携協定を結んでいない大学の学部の方が,やはりできるだけ早いときに,早い時間で法曹になりたいといったニーズがある場合には,仮に大学院の方がこれは優秀であると認めれば,飛び入学を認める選択肢も広げた方がいいのではないかということもございますので,今回,学校教育法の一部改正で,既修者認定試験を1つの判断材料として追加することを目指して改正したところでございます。
【永田分科会長】  今の御説明はよく分かりますけれど,その場合の学位はどうなるんでしょう。
【清水委員】  高校から大学への飛び入学は,今制度化されていますが,やっぱり当初,大学へ入って中退した場合には中卒になってしまう制度でした。その後,大検制度を変えて高校卒業程度の資格試験制度を導入して高卒の資格を与えるという,後でフォローする制度ができたわけです。大学から大学院の飛び級制度についても,現在の大学改革支援・学位授与機構が後で学士を与えるという制度が作られた。今回の場合も,そういうことはレアケースだとは思いますが,可能性はあるわけですから,その辺の制度を早目に手当するというのが好ましいのではないかと思います。
【永田分科会長】  清水委員の御指摘を踏まえ、飛び入学した者の学位については引き続き御検討をお願いします。これからパブリックコメントにも付され,最終的にもう一度本分科会で審議されますので,そのときに改めて議論させていただきます。
【黄地専門教育課長】  承知いたしました。
【永田分科会長】  そのほかいかがでしょうか。小林委員、どうぞ。
【小林委員】  5-1の資料の公表事項についてなんですけれども,かなり具体的な公表事項が上がっていますけれども,これに関しましては,今学部段階については,教学マネジメント特別委員会でこれから審議することになっておりまして,そこでもかなりいろいろな議論をすると思いますので,そことの連携といいますか,少し考えていただければと思います。
 個人的には,例えば2番の標準修業年限修了率,中退率及び留年率というのはかなり難しいものでありまして,例えば中退といっても,理由が様々でありますから,ただ単に中退率だけ1つぽんと出すというのは,かなりミスリーディングになる恐れもありますので,そういったことを議論するということをこれからやりたいと思っていますので,是非そちらの方と連携していただければと思っています。
【黄地専門教育課長】  ありがとうございます。公表内容につきましては,先般の法科大学院特別委員会の中でもかなりいろいろ御議論ございまして,数字だけ出してしまうと一人歩きしてしまうんじゃないかという御意見もございましたので,やはり各大学の判断ではございますが,数字を出すだけではなくて,例えば,公表された情報の背景にある要因の分析ですとか,あるいは,今後の対応方策につきまして,併せて公表していただくことも必要ではないかなと考えているところでございます。
【永田分科会長】  教学マネジメント特別委員会とは密に連携と意見交換をお願いします。
 そのほかよろしいですか。吉岡委員、どうぞ。
【吉岡委員】  前にこの法科大学院がここで話題になったときにも申し上げましたけど,今度の改正は私は反対するものでは全くありませんけれども,この制度の移行というのは,当初の法科大学院の考え方と理念というものから全く違うものになったというふうに言わざるを得ないし,そのことはちゃんと自覚しておくべきだと思います。
 それからもう1点,この制度全体,これを動かし始めたときに,例えば法学部の学生,法学部以外の学生が予備試験という制度を含めてどのような形で今後,自分のキャリアを組み立てていくかということを,やっぱり検証していく必要があるだろうと思います。以上です。
【永田分科会長】  本質的な問題に対する御指摘でした。
 そのほかいかがですか。よろしいですか。
 引き続き議論いただき、細かいところまで詰めていただく必要があると思います。例えば,法律基礎科目は50人以下と新たに規定するとのことですが,専門職大学が40人以下と規定していながら法科大学院が50人以下というのは,教育効果の観点から疑問があります。他の諸規定と整合させる,その中でより良い学生を育てるという理念に基づいて検討いただければ,さきほどの吉岡委員の御意見に対する回答になると思います。是非とも御検討を続けていただきたいと思います。
 それでは,これはまだ検討の途中でございまして,これからパブリックコメントに付すことになります。その後,その意見も踏まえて,法科大学院等特別委員会で更に審議を進め,9月の中旬以降に,改めて大学分科会で審議をした上で決議するということになるので,厳しいスケジュールではありますけれども,さきほどの視点から議論を進めていただきたいと思います。
 それでは,パブリックコメントに付すということで,先に進ませていただきます。ありがとうございました。
 次に,第10期大学分科会の一番の眼目であるところの,教育と研究を両輪とする高等教育の在り方について御議論を頂きたいと思います。
 これは2年間の長丁場の中で話していきますが,短期的には第6期科学技術基本計画策定に向けて別途議論されています。我々としては,科学技術・学術審議会に対し、教育と研究を両輪とする高等教育の役割を踏まえ,最終結論でなくても,こういう観点に留意すべきであるという意見を出していく必要があります。前回までに御議論いただいた内容は,既に科学技術・学術審議会の総合政策特別委員会に本分科会の意見として提出してあります。
 この部分をもう少しこれからも深めていきたいと思っています。前回,お二人の学生さんにおいでいただきヒアリングをしました。今回は専門家の立場から,吉見教授をお招きしておりまして,教育と研究を両輪とする高等教育に対して御意見を賜ろうと考えております。
 資料の御説明を,まず先に事務局からお願いいたします。
【武藤高等教育政策室長】  失礼いたします。資料6-1を御覧ください。今,分科会長からございました,前回6月13日の会議で御議論いただいて,分科会長の一任のもとで取りまとめたものでございまして,既に総合政策特別委員会に提出しております。
 参考資料4という,A3の大きいカラーの紙がございます。御覧いただけますでしょうか。参考資料4でございます。これは右上にありますとおり,7月23日の総合政策特別委員会で既に配付された資料でございまして,黄色のところが前回の総合政策特別委員会からの追加・変更点でございます。この中で,特に大学分科会での御議論と関連するところを簡単に御説明したいと思います。
 まず,1ポツの基本的考え方の(2)の目指すべき国の姿というところが大幅に記述が増えておりますとともに,そこの(3)ですね,早急に求められるイノベーションシステムの集中投資というところの2つ目の黒丸で,「長期的な視点として今世紀中頃を見据えて,あらゆる分野の人材育成を担う大学の改革と一体となり,国際社会においてリーダーシップを発揮し」云々(うんぬん)という文言が付け加わっております。
 それから,裏面にいっていただきまして,価値創造の源泉となる基礎研究,それから学術研究の卓越性というところでございます。大きく基本的方向性のところが,全て今回付け加わりまして,特にその中の2の若手研究者の自立促進・キャリアパスの安定ということで,特に後段ですけれども,大学院教育において高度な専門的知識と科学的な思考法等を備えた博士人材の育成が行われ,アカデミア以外においても博士人材が多様な場で活躍する社会を実現し,キャリアパスを明確に描くですとか,特にトップレベルにつきましては,経済的支援について,企業からの支援等も含めて抜本的に充実すると,こういう記載。
 それから,マル2の具体的取組の2のところです。2つ目の黒丸ですけれども,大学院教育の充実によるキャリアパスの多様化ですとか,その黒丸の最後ですけれども,大学院において研究に専念できる環境と就職活動の両立,こういった文言が今,盛り込まれております。
 それから,この資料の最後のページ,裏面になります。資料の裏面の一番左側でございまして,(3)のマル2,具体的な取組の最後から2つ目の黒丸のところで,自然科学,人文社会科学等と情報科学等を分野横断的に行う教育の推進と,こういう文言も盛り込まれているところでございます。
 参考資料5という縦長のカラーの青と白の資料があると思います。今後の関連のスケジュールでございますけれども,左側,総合政策特別委員会,今回この大きな資料が出たのが7月23日の28回でございますけれども,この後,29,30,31と続いていきますので,私ども事務局の方としても,この議論の内容をウォッチして,その結果をまた分科会で委員の方に御覧をいただいて,また御議論を頂いて返していくという手続を進めていきたいと思っております。それが資料6-1関係でございます。
 駆け足で恐縮ですけれども,続けて6-2について御説明をしたいと思います。教育と研究を両輪とする高等教育の在り方に関する検討,今回,論点例ということで,前回の御議論を踏まえまして,また加筆をしてお出ししているものでございます。
 大きく2つ柱がございますが,まず学士課程教育の在り方ということで,学士課程教育の充実についてどのように考えるか。黒丸2つありますが,教員個人の研究ベースに依存し過ぎているのではないか。あるいは,イノベーションを生み出す力を備えるためには,学士課程での幅広い学びが必要ではないか。更に2つ目の黒丸ですけれども,真に文理融合を推し進めるためには,入試段階だけではなくて,本丸である大学教育において,文理融合を実現するための方策について,どのように考えるか。学生の専門とは異なる分野の興味・関心を呼び起こす体制になっているのか。あるいは,文理いずれの授業科目もバランスよく学ぶことが必要ではないか。
 それから,この課程教育の正に担い手となる大学教員の在り方ということで,教育と研究両方を担う大学教員の質とは何か。質保証,評価の在り方をどう考えるのか。また,研究力の向上を図りつつ,教育力を高めるための具体的方策についてどのように考えるか。研究者であると同時に教育者であるという認識の問題ですとか,あるいはプレFD含めまして,博士課程における教育プロセスが重要ではないか。また,次の丸ですけれども,高等教育のユニバーサル段階において,教育と研究のいずれの時間も充実させるための方策についてどう考えるか。
 参考資料で恐縮ですが,参考資料6という横長の資料があると思います。大学等におけるフルタイム換算データに関する調査というのをお配りしております。全て説明している時間はないんですけれども,4ページを御覧いただけますでしょうか。 大学等教員の職務活動時間の割合の推移ということで,簡単に言いますと,この赤いところが研究活動でございまして,平成14年から減ってきているという全体状況。それから,右側の黄色いところ,その他の職務活動,主に学内事務でございますけれども,若干は減っているんですが,また最近少し増えていて,全体としては高止まりをしていると,こういう状況もございます。
 資料6-2に戻っていただいて,こういう状況も含めつつ,教員と研究いずれの時間も充実させるという,具体的な方策について,例えば権限委譲,分業化,あるいはこの後,吉見教授の御発表の中にも出てきますけれども,授業担当コマ数の見直しが重要ではないか,こういう内容。それから,次の丸で,Society5.0を実現するための大学教員の多様性についてどのように考えるか。最後になりますけれども,大学院教育の在り方といったことで,これは大学院部会の方で中心的に御審議いただきますけれども,そこに参考までに審議内容の掲載をしてございます。
 駆け足になりましたが,以上でございます。
【永田分科会長】  ありがとうございました。こうした背景をもとに,これから吉見教授の御意見をお伺いしたいと考えております。
 それでは,吉見教授,どうぞよろしくお願いいたします。
【吉見東京大学教授】  東京大学の吉見でございます。今日はお招きいただきましてありがとうございます。
 教育と研究を両輪とする高等教育の在り方について何か問題提起をせよというのが御下命でございますので,本日は,「新たなる時間・人生・社会のマネジメントに向けて」という,これは教学マネジメントの委員会の方で議論していることともかなり重なりますけれども,15分でお話をさせていただきたいと存じます。
 2ページを御覧ください。今日、私がこれから申し上げたいのは2つです。1つは,有限な時間のマネジメント,これが学生にとっても教員にとっても決定的に重要だということです。そのためには,1人の学生が1学期に履修する科目数の大幅削減,国際標準化,初期教員のキャリアの再設計,これが必須であるという認識を持っております。
 もう一つは,文理「融合」から文理「複眼」へ。21世紀の宮本武蔵,2045年の地球社会と大学教育の使命,このあたりのことを後半でお話をさせていただきます。
 初めに3ページですけれども,これはここにいらっしゃる方々には釈迦に説法日本の教育と研究の両輪が,屋上屋を架す構造になってしまっているということを,基礎的な認識として再確認しておきたいと思います。
 教育と研究の両輪といいますと,当然ながらフンボルト原理のことを誰しも思い出すわけで,19世紀初頭にベルリン大学でフンボルトが,教育と研究の一致というのを言って,大学を復活させた歴史的事実がございます。その場合,文系はゼミ,理系は実験室で,学生も教員も一緒になって,教育だけではなく研究をして新たな知を生み出す。これで大学は大きく復活していくわけですけれども,これがアメリカの場合,そういうドイツ型のユニバーシティが19世紀末でも成立しませんで,カレッジでリベラルアーツ教育をやっていた。なかなかユニバーシティになれないので,ジョンズ・ホプキンズ大学が考えたコロンブスの卵は,カレッジの上にグラデュエートスクールを作るということで,カレッジプラスグラデュエートスクール,イコール大学となった。これは周知の事実です。
 戦前の日本の場合には,それがどうだったかというと,旧制高校がカレッジに相当し,帝国大学はユニバーシティに相当したわけです。それで,それなりに世界標準になっていたんですけれども,占領期改革の中で,カレッジ,つまり旧制高校が解体され,その要素が大学の一般教養教育の中に組み込まれていった。そのときにユニバーシティは残りましたから,大学後期課程教育と大学院教育が二重構造になった。大学院重点化までには,それがそれほど問題にはならなかったのですが,重点化以降,学部後期課程と大学院修士課程の間の二重性がなかなか難しいことになっていった。つまり,学部後期課程の優秀な学生は,大学院修士課程の凡庸な学生よりもよほど専門的であるという状況になった。これが,既にある基礎的な認識だと思います。その上で,今,教育と研究の両輪,改めてどう設計するかということが問われているということになるわけでございます。
 4ページにいっていただきたいと思います。第10期の分科会の議論を拝見させていただくと,いろいろな議論が出ていますけれども,やはり有限な時間のマネジメントということが決定的に重要だと私は思います。就職活動の時期・期間が,学修時間を圧迫しているという御指摘が幾つもございました。
 それから,学部の教育が非常に重要だけれども,何かその質に非常に問題があるんじゃないかという御指摘もございました。これは教員の立場からすれば,忙しくて授業の準備なんかしている時間がないというのが実感ではないかと思います。同じように,大学教員の教育力の劣化という御指摘もありました。これも忙し過ぎて,なかなか教育力を高めている余裕がないというのが,教員側の実感ではないかと思います。研究力低下の本質,先ほどのレポートにもちょっとございましたけれども,集中できる時間が少なくなってきている。つまり,学生の側から言えば就活,教員の側から言えば会議,管理業務,外部資金の獲得に係る業務諸々のことで,すっかり時間が蚕食されていて,いわば大学の時間の劣化がずっと進んできた。これが非常に大きな問題としてあるわけでございます。
 これを転換していくために幾つもの対策が必要ですけれども,1つ私がここで強調したいのは,学生の履修科目数の大幅な削減です。これが5ページです。1人の学生が1学期間に履修する科目数は,米国ですと大体4 ,5 科目です。4年間で30科目程度を取る。逆に言えば,1つの科目が1週間に2回から3回授業がある。日本のイメージでいうと,ゼミに近いイメージじゃないかと思います。ところが,日本の大学の場合には,10から12科目,1学期に学生たちは科目を履修しています。学生によっては14科目ぐらい科目を取っているという学生もいます。そうすると,4年間で70科目ぐらいになり,1回の授業は,1週間に1回だけです。12とか14とかの科目がありますから,学生はこっちの授業,あっちの授業を渡り歩いて,授業に出席するだけで精一杯というのが日本の授業の在り方。ですから,1週間後には,前の週の授業で何をやったかとあまり覚えていないわけですね。4年になったときに,自分の取った科目の内容をほとんど忘れてしまうというのが,ざっくり言ってしまえば日本の大学の実態ではないかと思います。
 こういうふうになっている原因は,1科目当たりの単位数の違いです。米国で言えば,1科目当たり4単位から6単位というのが多いのに対して,日本の場合には基本的に2単位,場合によっては1単位というのもある。細かく分け過ぎていると思います。細かく分け過ぎているために,なかなか大学が意欲ある優れた教師と学生の出会いの場にならない。だから,教育改革の一丁目一番地というのは,やはり「多く,軽く」から「少なく,重く」へと転換することです。1週間で2回から3回の開講をして,その重い科目に対して予習とか復習,つまり実質的な自主学修時間を課していくことが必要なのです。
 ざっくり言えば,日本の履修はスーパーマーケット的,学生たちは多数の科目に履修登録をするのだけれども,楽に単位が取れる科目だけ残して,厳しい科目はスーパーのレジの前に行ったら,これ戻しておいてというふうに捨ててしまうのです。こういう広く、浅くなりがちな履修スタイルを制度構造的に変えていくことが非常に重要です。
 6ページでございます。教師の側からこれを見たときには,やはりST比の問題はもちろんあるんですけれども,やっぱり担当する科目が過多になってしまう授業体制が,教育の質の劣化の原因としてあるのではないかと考えます。大教室講義中心の授業になってしまうのにも,やはり知識網羅主義といいますか,ある分野の知識を全て学生に穴が生じないようにちゃんと伝えなければいけないという,ある種の生真面目さが日本の大学にはあって,それが作用しています。そうすると,科目がどうしても増えてしまい,一つ一つの科目が細かくなってしまう。それで,先ほどの問題点が出てくるわけですし,科目数が多いままで,一つ一つの科目についてシラバスを非常にきちんとやっていこうとすると大変です。非常に負担感が増し,授業にも先生方が謀殺されて研究はできなくなる。
 もう一つは,チームティーチングが非常に未発達である。提供する科目の数を満たすために,大学によっては非常勤講師にかなり依存しています。しかし,非常勤講師はクオリティがいろいろで,非常に優れた教師もたくさんいますが偶然性が作用する度合いが大きい。したがって,どうすればいいかというと,やはり科目数の大幅な削減とチームティーチングの戦略的な導入が必要だと思います。シラバスの日本的解釈,つまり,欧米のシラバスの在り方と日本の在り方が,相当まだ差があると思います。それを変えていくためには,やっぱり科目を減らさないと,余りにも負担が大きいことになってしまいます。先ほどちょっと議論に出ておりましたTAに関しても,TAの概念が欧米,特にアメリカあたりと日本では全く違うという,これが非常に大きな問題としてございます。日本の場合には,どうしても先生の授業のお手伝いという域をなかなか脱せられない。米国の場合にはTAは初期キャリアですから,きちんとしたトレーニングを積んで,授業も持てる。
 非常勤講師依存からTA組織型の教育に転換するという,これが次の7ページのお話。つまり,初期キャリアの再設計と重なってくると思います。海外で,TAというのは準教員ですから,少人数の討論クラスの担当もやります。個々の学生の小レポートへの丁寧な指導もTAがやりますし,それから,授業を実際に運営する場合も,もちろん学生が主役ですけれども,TAが脇役で,教員はどちらかというと授業全体をマネージする演出家の役割を演じるという関係が成立しています。授業設計も,教師とTAが一緒になってやる。
 こういう仕組み,こういう役をこなせるようになっていくためには,先ほど若干議論が出ていましたプレFD,TAの組織的なトレーニングが決定的に重要です。若干手前味噌ですけれども,東京大学では,数年前,大分前にプレFDが東大FFPという形でスタートしており,これはかなり成果を上げております。そして,TAを教育の初期キャリアとして業績をちゃんと評価する。TAの業績をきちんと評価して,そしてそれをアカデミックトラックの初期の段階という形にしていくということが必要ではないかと感じております。
 日本の大学ではこれらの役割,機能をこれまで担ってきたのは,非常勤講師だと思います。でも,非常勤講師に依存するという在り方は様々な問題があると思います。非常勤講師依存からTAへの展開へということが必要ではないかと考える次第です。
 今までの前半の議論をまとめますと,8ページですけれども,大学の制度疲労を越える。教職員も会議だとかコンプライアンスだとか評価だとかに大変疲れているし,学生も科目数が多くて疲れているし,社会もどうも入試で疲れている。これを越えてどこに向かっていくかというと,大学の魅力を再生する。大学がいいところだ,大学教員というのはすごく魅力的な仕事なんだというふうにみんなが思える社会にしていくことが,日本においては特に必要だと思います。それができないと,優れた才能が海外に流出していく。大学に残らないか,あるいは海外で引きがあれば,日本の大学よりいいやということで,海外に出ていくことになる。才能を確保するためにも,大学の魅力の再生が必要で,そのためには,今日は履修科目数のことを申し上げましたけれども,夏休みの国際標準化とか,高学歴人材のキャリアパスとか,全体的に時間のマネジメントが必須だと思うわけです。
 残りの時間五,六分で,学位プログラムにおける「文系」「理系」というお話を少しさせていただきます。
 文理融合ということが,これまでの議論の中に出ておりますけれども,私は文系と理系が融合すればいいのかということに異論がございまして,そうではないのではないか。むしろ一言で言えば,文理複眼といいますか,理系には理系の優れた考え方があり,文系には文系の優れた考え方があり,それをどう組み合わせていくかということがとても重要であって,1つになればいいということではないと思っております。
 そのことについて少しお話をさせていただきたいと存じますけれども, 9ページに書いております。ざっと見ていただければ結構なので,そこは飛ばさせていただいて,10ページに移らせていただきます。
 データサイエンスが1つの典型的な文理融合の,理系サイドからのアプローチとしてございます。たしかに,近い将来の予測をビッグデータがあれば相当できる。AIとかデータサイエンスが重要であることは完全にアグリーなんですけれども,しかし,できないこともあるということがあると思います。ざっくり言えば,比較的近い連続的な延長線上で起こるであろうことは,データサイエンスが相当程度予測できると思います。しかしながら,歴史は連続的ではないし,社会の変化も連続的ではないと私は思っています。
 11ページですが,大災害とか,経済恐慌とか,戦争とか,テロとか,革命とか,体制転換とか,イノベーション,大発見とか,こんな大きなことじゃなくても,1960年代の価値観と,それから,2010年代の価値観は全然違います。つまり,30年,40年という比較的長いスパンで考えれば,人々の考え方とか価値観とか,向かうべき方向性が違う。この転換は,非連続に起こります。非連続に起こったことに対して,連続的な思考の延長線上では先まで見えない。じゃあ非連続性をどうやって突破するかということが,次の12ページに書いていることでございます。
 つまり,これは文系学部問題が出たときに随分議論させていただいたことですが,役に立つということはどういうことかと考えると,2つある。1つは目的遂行的,つまり与えられたある目的に対して役に立つ手段的な有用性です。もう一つは,その目的,あるいは価値そのものを創造する価値創造的な有用性がある。手段的な有用性は,とても大切ですけれども,与えられた目的に対してしか役に立たないので,目的そのもの,あるいは社会の価値軸そのものが変わってしまうと,全く役に立たなくなる。必要なことは,新たな価値軸を創造するという,つまり既にみんなが当たり前だと思っている,あるいはみんながこういう方向に社会が行くんだよねと思っていることに対して,いや,ちょっと違うんじゃないか,全然違う方向性があるんじゃないかということを提起できる創造力を若者たちが持つことが,日本にとってものすごく重要なわけですね。
 そのためには,今当たり前,自明性といいますけれども,皆さんが当たり前だと思っている自明性を批判できる力が必要です。これが文系のエッセンシャルな部分です。そういう意味で,文系のよさも生かす,理系のよさも生かす。しかし,それは1つにすればいいということではなくて,文系のよさを生かす形で理系の連携,複眼が必要です。
 13ページ,14ページを御覧いただきたいと思います。ですから,時間のスパンというのがあって,比較的近いところでは,やっぱり工学的な知というものが非常に有効だと私は思いますけれども,もっと遠く,15年,20年,30年,50年,あるいは100年,500年という単位で考えたときには,これこそむしろ文系的な知がないとどうにもならないという領域に近づいていくということです。
 申し上げたかったことは14ページですけれども,文理融合からむしろ文理複眼へ。宮本武蔵は二刀流という単純なことですね。2本の刀を持とうということで,具体的には主専攻,副専攻,ダブルメジャー,あるいはメジャーマイナーという仕組みが,やはり非常に有効です。データサイエンスとか映像工学とか環境科学,こういう知と同時に,法学とか美学。例えば,コンピューターサイエンスをやっている学生が,法学で知的財産権について学ぶ。あるいは,医学をやっている学生が,哲学とか倫理学を学ぶ。環境科学をやっている学生が中国の歴史について学ぶとか,こういう組合せをしていく。これをやると,僕は文学部は大復活をすると思っていますけれども,こういう仕組みが必要だと考えています。ある種の複眼的な教育体制が必要になってくるということです。
 15ページですが,大きな話をすると,今申し上げたように,目的遂行的な知性,手段的な知性と,それから,価値創造的な知性,両方必要です。両方を地球社会,グローバルソサエティの中で組み合わせるとすると,目的遂行的な知性はSDGsとか言われているように,課題解決型で環境とかリスクとか情報,この知性が必要です。しかし,同時に価値創造の知として,地球社会の新しい哲学とか思想が必要だと私は思います。
 このような知性を作っていく大学が,文理複眼的な形で必要なのではないか。それをどうしていくかということで,16ページの話になります。今回頂いたお題といいますか課題は,研究と教育を両輪とするといいますけれども,この両輪の部分が問題で,19世紀初頭に,既にフンボルトは研究と教育の一致を言ったわけです。じゃあ今,何が違うかというと,研究と教育の両輪といったときの両輪の部分に,もう一つ社会的実践の現場としての地球社会という次元が入ってくる。ある種の実践知といいますか,その社会的実践の現場は,グローバルソサエティであるということです。つまり,第3の輪として社会的実践があり,教育と研究と社会的実践という,このトライアングルといいますか,このトライアッドな構造を,どうやって21世紀,これからの大学教育の中に実現していくかということが,新たなる大学のシステム作りの課題ではないかと考えている次第です。
 御清聴ありがとうございました。
【永田分科会長】  吉見教授,どうもありがとうございました。
 今の吉見教授の御意見を参考にしながら,先ほどお示しした背景も念頭に,まず第6期科学技術基本計画に盛り込むべきではないかという点を中心に、御意見をいただきたいと思います。もちろん吉見教授に御質問でも結構です。

 最初に,吉見教授,どうもありがとうございました。今日お話しいただいたお考えは,おそらくみなさん同意見だと思います。問題は、ではどう具体化・実践するのかということで,前半部分は具体的な提案がありました。後半部分は各大学も努力されていると思いますが,理念は理解できた上で、今度はシステムとしてどのように施策として展開していくかという視点が非常に重要になります。これについて何か具体的な御意見が委員の先生方,あるいは吉見教授からも自由に御発言いただければと思います。時間が限られておりますので,多くの方が発言できるようなるべく短めにお願いします。では,志賀委員,どうぞ。
【志賀委員】  ありがとうございます。非常に切れ味のいいお話を聞いて,いろいろ勉強になります。履修科目数が多いという,私自身が四十数年前大学にいた頃は,余り真面目に勉強していなかったので,余り意識したことがなかったんですけれども,最近いろいろなところで講師を頼まれて講義をすると,本当に学生の方々が昔と違ってすごく真面目に出席されています。よく統計なんかで,欧米の学生と比べると日本の学生は図書館で勉強,予習・復習している学生が少ないとかって書かれているんだけど,実は多くの授業を受けているのでその時間がないんだということをおっしゃっていました。
 この話は前から聞くんですが,これは文科省に聞いた方がいいと思うんですけれども,何でこの問題が前から言われているにもかかわらず,履修科目数を減らすということには今まで結び付いてこなかったのかというのを,ちょっとお伺いしたいんですけれども。
【平野大学改革推進室長】  なかなか突然のお尋ねでございますので難しいところでございますけれども,大学設置基準上はどのような形で単位数を組むのか,つまり1単位当たり45時間の学習をもって標準とするということになっているわけでございます。もともとこれは戦前からの経緯で,我が国の大学は非常に科目数が多いということ,これは戦前から続いている傾向だと承知をしておりますけれども,特に昔は,いわゆる通年で前後期制で4単位科目というのが標準だったところが,またセメスターというものが導入される過程で,それがある科目の1と2で2単位科目に分割されると。そのセメスターといったようなものが導入されつつある時期に,授業科目の構造というものを見直すということまでなかなか至らないままで,単純にそれが半分に分かれてしまう。こういった形で,そういった経緯をまだまだ大学も文科省も生かしきれていなかったというのが,私,ちょっと突然なのでまとまっていない答えですけれども,1つの現状ではないかと思ってございます。
【永田分科会長】  設置基準上は1科目4単位を31科目履修して計124単位で卒業とすることは可能です。
 日比谷委員、どうぞ。
【日比谷委員】  割り込んで大変申し訳ないんですけれども,もちろんできますから,私どもはやっています。2008年頃から,この話を私は伝道師のようにあちこちで話しています。今の志賀委員の御意見,それから多くの大学の方々も賛同なさると思いますが,そのとおりですと言われるんですね。じゃあやりましょうと言うと,しかし,これを変えるためには,もう混乱しちゃってできませんというふうに必ず言われました。あなたのところは最初からやっているからいいけど,途中からやるのは大変ですよと言われたんですが,そんなことはありません。決意すればできる,これは。決意のみが重要です。
【永田分科会長】  吉見教授,どうぞ。
【吉見東京大学教授】  日比谷委員が今おっしゃったとおりですけれども,まず戦前からということに関して,これは天野郁夫先生とお話ししたことがあって,天野先生も同じ考えだと思いますが,基本的に戦前,苅谷剛彦さんの言葉ではキャッチアップ型ですから,欧米の知識体系を日本に輸入する。それにキャッチアップしていくために,知識は決まったものとしてあるんですね。それを全部取り入れるために,多数、横並びに科目を並べて,学生に教え込んでいくためには,細かく分けて,それで伝える方が効率がいいという考え方があって,こうなっているんだと思います。ですから,もうキャッチアップ型は終わったのだから,構造を変えるべきだと思います。
 第2に,履修科目の削減は実際にできるわけで,設置基準上もできるわけですし,実際に今,日比谷委員おっしゃったように,ICUはやっているんです。ICUは同じ科目で1つの科目が週2回とか週3回,先生と学生が会う構造で,実際にICUの先生方に聞いても,教育効果はかなり上がっています。
 では,他の多くの大学でなぜできないのかというと,実際にこれをやろうとすると,具体的に想像していただければ簡単に分かる話ですけれども,今,授業を開いている半分の先生方に,先生,大変申し訳ないけれども,来学期の先生の授業は開かないでくださいって言わなければなりません。そして,半分の先生に,先生,大変申し訳ないけれども,同じ給料で先生の授業数を来学期倍にしてくださいと言わなければなりません。実際にはセメスター制からクォーター制への転換とかやっていますから,うまく設計すればできるんです。ただ,面倒くさい。相当面倒くさくて,理解していただけない先生方を説得するのが相当大変だということはあると思いますけれども,それはできるはずです。
【永田分科会長】  ありがとうございます。今の御意見を実施する際の具体的な難しさですけれども,さきほど吉見教授からチームティーチングについて御説明がありました。例えば科目グループのような仕組みを作れば,実践できる可能性があります。すでに導入している大学もあると思います。
 山田委員、どうぞ。
【山田委員】  ありがとうございました。正にこういう方針だ,方向だというふうに思うんですけれども,1点だけちょっとリマインドしていただきたいのは,こうした私たちが目指していく新しい社会の定義,その中で,やっぱり見ていきますと,知識集約型価値創造システムを作って,イノベーションを常に創り出していく社会を作っていくという方向で,文理融合も全て出ていくんだというふうな形になっているんですけれども。
 ただ,やっぱりその背景には,いかにしてSDGsに書いてあるように,人々の暮らしを豊かにする,地域の安心・安全を確保していく,そしてその中で,本当に持続可能な社会を作っていくという,この基本がどこかないなという感じがしておりまして。地域課題解決の話も出てはいるんですけれども,もともとはやっぱり人の暮らしを豊かにしていくために,いかに科学技術が使われるかということがあって,そしてその中で,グローバルな課題に対応するために,グローカルな視点が要るんじゃないか。そこにこれからの私たちの未来が開けていくんじゃないかという観点がないと,国際競争,イノベーションによって新しい未来を切り拓くばかりでは,どこか基本的な方向が見失われてしまうのではないかということを危惧いたします。以上です。
【永田分科会長】  益戸委員,どうぞ。
【益戸委員】  大学教員の在り方と,教育の研究を担う大学教員の資質とは何かという点については,企業においても,仕事の質を上げようとか,効率を上げようという話になると同様に大変な議論が起こります。企業の場合は,トップダウンで経営者がこうするぞということでかなり動くことができますが,どうやら私のここ数年間の経験によれば,アカデミアの世界というのは,必ずしもトップダウンでうまく動くものではないというのを実感しています。吉見教授のお話を聞いても,教員が忙しいというお話が手に取るように浮かびましたが,やはり教育と研究を十分に取り組んでいただくためには,どのような負担があるのかきちんとした実態調査が必要ではないかと思います。
 企業においても,もめる場合というのは,例えば企画部とか人事部が中心となり、どんな仕事をしてどうやっているのかということをきちんとデータとして出します。ですから,今日頂いた参考資料の中にある時間のエビデンスというのも大切ですが,その業務内容についてきちんと把握するということも重要ではないかと思います。
 また,教員の業務の中に,会議や入試など事務的な業務が含まれているのが実態なのではないかと思いますが,当然のことながら,教育の担当科目数も実態としてしっかり把握した方がいいのではないかと感じます。そのデータによって議論はしっかり深まるのではないかと思います。ですから,このような調査をしっかり行っていただく。それは大学教員の質ということだけではなく大学側の運営上の問題や運営マネジメントにもつながっていくことですから,必要なことなのではないかと感じました。
【永田分科会長】  そのようなデータは重要かと思います。
 髙倉委員,どうぞ。
【髙倉委員】  経済情勢を見ると,米中問題,日米問題,日韓問題,ブレグジットやSociety5.0,第4次産業革命という,非常に大きな変革期にある中で,日本が国際的な競争力を取り戻すためには,産学連携と産業基盤の構築に果たす大学の役割は非常に大きいと考えています。加えて,AI人材の不足も指摘をされていることから,大学における人材育成が急務となっており,創造力の高い人材を社会に輩出するため,学校教育における職業教育の位置付けを高めていくことが,今求められていると考えています。
 前回も述べたようにまた本日,吉見教授のお話にもありましたが,大学の教職員の働き方改革は非常に大きな課題だと思っております。教職員が日々生き生きと働ける環境,この整備は非常に重要であると捉えています。今回,連合としても,10大学の教職員にアンケートやヒアリングを実施しました。
 その内容を少し紹介をしますと,教員の人員削減が継続しており,人員減に対応するための組織改編が今行われております。「外部資金獲得のための作業」,「社会貢献事業等」,「対外的アピール」,「様々な方法,時期に行われる入試,学生募集への対応」,「新規事業や組織改編への対応業務」などが非常に増加をしてきています。
また、人員に余裕がなく,代替要員がいないため,産休取得なども制限せざるを得ないといった声や,職員の有期雇用が増加をし,原則5年で雇い止めされるため,蓄積した業務知識や職場内の人間関係などがその都度失われ,募集,採用,教育のコストなどが職員の負担を増加させているという声が上がっております。
 大学などの高等教育機関における教育研究の土台が崩れてしまわないよう,高等教育機関で働く教職員の働き方改革がどのように進められているのか,また職場の実態はどうなっているのかなどについてしっかり調査をしていただき基盤の整備をお願いしたいと思います。
【永田分科会長】  現状では、概ねそのような状況だと思います。
 佐藤委員,どうぞ。
【佐藤委員】  吉見教授,今日はありがとうございました。いつも吉見教授の御意見を伺うと,すっきりして学校に帰れますね。やっぱりそうなんだと思って帰るんだけれども,実際に現場に戻ると,本来はできるはずのこともできません。今までやったことはありませんというような意識が教職員の間に非常に強い。そんな感想を述べながらですけれどもね。
 非常勤講師の依存が非常に高いということは,大学設置基準に必置教員数というのが定められていて,どうもカリキュラムとは関係なく,数が定められているのではないかという気がするんです。そうすると,それさえ守ればということになると,それ以外のところは非常勤をという形になっていくんじゃないかというのが,現実を見ているとそうかなと思っています。
 ただ,最近やっぱり教員評価をして,それでこの科目については見直しをしようとか,いろいろ出てくるんですね,カリキュラムを変えましょうとか。そうすると,どうしても非常勤,それまで続いてきてきた方を,じゃあ別のところに行ってくださいってなかなか言えないし,また,評価をすると,ほとんど学生からの評価が高くないという人もいる。それであるが,教育課程の整備作業をすると,突然非常勤講師組合,教職員組合が飛んできて,これ,任期で雇い止めをするのはいかがとか,散々言われるわけですよね。
 そういうことを考えると,教員の基準というか,配置は,大学にとっては何かということを少し整理して計画したらいいと思うんです。私どもも,キャンパスが幾つか分散化されるので,それに対応して教員の移動。そうするとそちらには行けませんという。行けませんと言われても,カリキュラムそのものが移ってしまうわけですから。いけませんとおっしゃるから,じゃあ今年度で打切りだという話になると,途端に非常勤講師組合が飛んでくるというようなのが現実です。
 そういう意味で,髙倉委員が今意見をおっしゃったのと別の側から,アドミニストレーターの側から言うと,やっぱり様々な課題があるんです。かなりここのところで言うと,私学の場合,特に授業料に依存しているということからいうと,教員の定数はそれに合わせてやらざるを得ないというようなことがあるんじゃないかと思います。ですから,そこは様々な矛盾があるから,是非とも設置基準について,今までこうやっていたんだから変えられないということじゃなくて,変えるんだということも検討を始めたらいいんだろうと思っています。以上です。
【永田分科会長】  三島委員,どうぞ。
【三島委員】  吉見教授,本当にありがとうございました。私も学部の1年から3年の教育が一番重要で,その後で,私のおりました東工大では,研究室配属というのがあって,そこから研究を通した本格的な教育につながるという意味では,そこに至るまでの1年から3年の間にどれだけの基礎をつけるかということと,それから,人間としての幅とか,そういったものをつけるかということが重要だと思います。
 その中でも特に重要なのが学部の1年だと思っておりまして,この1年のときに彼らの目を輝かせられるかどうかというのが非常に大きなことでございます。何を1年のときに一番教えなきゃいけないかというと,高校までの勉強と全然大学での勉強は違うんだということを,できるだけ具体的な道具を使って彼らに分かってもらう。それから,彼らにどんどんどんどんグループワークで発言をさせたり何かしながら,自分の意見を持つとか,あるいは批判的精神を持つとか,そういったことを通したコミュニケーションスキルですね。発表がうまいとかそういうコミュニケーションスキルではなくて,人とのグループワークを通して自分の考えをしっかり持つというようなことです。1年生のときに始めて,そうすると,今までの高校でやっていたことと全然違うやり方なんだということが彼らは分かると,自分が何のためにこの大学に入って,これから何をしようとしているのかということを考え始めるということが,今回の東工大の改革では,実際にそういう様な変化が起こったというふうに実感しております。
 ということで,学部の1年から3年の間に,リベラルアーツであるとか,志の育成であるとか,短期の留学とかいろいろなことをさせながら,自分の目標を立てさせるということができれば一番いいと思います。その中で1年教育のところに,授業の非常にお上手な先生方を配置するとかいうようなことをして,彼らをいかに目が輝く世界へ誘導するかというのが一番大事だろうと思います。以上でございます。
【永田分科会長】  いまの御意見についてもみなさん同意見だと思います。さらに言うと,大学だけではなく,初等中等教育もさらには両者を繋ぐ高大接続も,そのような観点で変わっていく必要があります。大学教員の教育の質も今期のテーマの一つになっており,大変重要な視点かと思います。
 髙宮委員,どうぞ。
【髙宮委員】  本日は吉見教授のお話,大変興味深く,あと本当にすっきりさせていただきました。
 最初に思ったのが,どうしてもこれから考える力を学生に育てなければいけないと言っているのに,単位が細切れになっていることによって,どうしても知識偏重になってしまう弊害は何とかしたいと思っていて,私もどちらかというと外国ではこちらの集中型の講義を受けていましたので,それに直したいというふうに積極的に考えているところです。その行為を,設置基準に照らし合わせて可能であるということは,これからあちこちに広めたいニュースであると思います。
 その上でもう一つ,非常に大事だと思いましたのは,私,文系なんですけれども,この間のグランドデザイン等々におきまして,いろいろなところで将来の展望が語られるときに,どうしても文系が弱くなってしまって,科学技術に引っ張られる形での教育の進展ということが前面に出てしまったと思います。例えば,今日のお話にありましたように,それはもともとが2つのもろ刃であっていいはずで,こちらの中間取りまとめ等にも,文系の役割というのをもう少し,大学ならではじゃないとできない部分として強調してみてはいかがかと思いました。
 それからもう一つ,時間のマネジメントについては,多分本委員会で最も皆さんが実は全員が教職員として関心があるところであって,その本質についてお話しいただけたかと思います。これ,実際に今後,マネジメントをもっとよくすることを考えて,アンケート等で見える化していかなければいけないんじゃないかと思っていましたが,今日配られた資料6におきまして,何ページでしたっけ,実際に研究時間が減っているというのがP4に出ていたんですけれども,その理由が,教育時間と社会貢献時間が長くなったということにあるというのは意外な感じがいたしました。先ほど皆様からお話がございましたように,実は会議であるとか教育改革自体であるとか,いろいろな評価に対応する書類作りであるとか,細かいいろいろな諸々(もろもろ)のことをトータルすると,教育以外のものに実はかなりの時間がかかっていると。それを是非とも明らかにして,マネジメント改革をしたらよろしいかなと思っております。
 何よりも,実は学生が教員を見ておりまして,会議であるとかいろいろなマネジメントに慌ただしくしていて,学生とゆっくり向き合ったり,研究をしていない姿というのを見られてしまいますと,大学院進学の意欲がかなり減退するということも感じております。そういう意味で,今後労働改革も含めて,いろいろな改革ができていくための大きな示唆を頂きまして,誠にありがとうございました。
【永田分科会長】  長谷川委員,どうぞ。
【長谷川委員】  吉見教授のお話は,本当に100パーセントアグリーで,そのとおりだと思います。それで,三島委員おっしゃったように,高校までのやり方とすごく違うんだということを,1年生のときに十分に目を開かせないといけないと。そういうことをするためには,私は単位を減らして一方通行の講義というのをどんどん減らして,それで何をするべきかというと,ゼミのような討論と,それから,レポートをたくさん,文章をたくさん書かせて,その文章をきちんと,その文章について赤入れて討論するということの繰り返しをすごくやっていくべきだと思います。
 そうすることによって,考えるというのはどういうことで,思考して批判的に考えて,意見を形成して,意見を述べて,意見を戦わせるということがどういうことかということを,本当に毎回毎回それを繰り返していく。そういう姿勢というのを身につけること。高校までの頷(うなず)き合いじゃなくて,そうなるんだということを大学の4年間はやると。そして,そういうものを身に付けた後で,更に新しいことを自分で考え出すことができるというのが大学院の部分なのではないかと思います。大学院に行く前に,4年間に頷(うなず)き合いではない,知的なびしばしというのをやっておく。それが本当の知的な活動なんだということをちゃんと分かる人というのを作っていくことが大事だと思います。
 それが結局は,先生の方にとっても,教育と研究の橋渡しになると思うんです。一方的に自分が考えた構造の講義のシリーズをしゃべる,そういう教室だとほとんど質問も,日本の学生は返ってこないし,オフィスアワーを設けたってきちんと議論に来る学生なんてほとんどいないので,そうではなくて,毎回毎回その場でいろいろ議論をし合うということの中で,先生の方も教育の時間にいろいろな研究のアイデアも伝えられるし,思いつきもするし,その中から研究の新しい方向とか何かも,学生と一緒に築いていけるのではないかと思いました。
【永田分科会長】  長谷川委員の御意見は,三島委員や吉見教授の御意見を補完していただいたと考えています。文章に何度も赤を入れて改善していくような指導は,研究室では日常的に行われているはずです。ということは,学生に愛情がないわけではないのに、大学院生にはできて学部生にはできていない。なぜそうなっているかを考える必要があり、こうした問題をどうしたら解決できるのか、という施策を考える必要があります。
 亀山委員,どうぞ。
【亀山委員】  吉見教授の提案の中に,文理融合から文理複眼へという新しい提案があったと思うんです。私自身も,文理融合という言葉の中に,若干ずっと違和感を覚え続けてきて,それは文理とも死ぬのではないかという。あるいは,理という中の発想の中で文理融合というのは生まれてくるのではないかということなんですね。つまり,文理融合という発想自体理的な発想なのであって,やはり複眼という用語を,今後文理融合,文理複眼と並列的に使うぐらいの気持ちでやらないと,理的なパラダイムから文理融合というのは免れないのではないかと思います。それが可能かどうか分かりませんが,私の提案としては行っておきたいなと思います。
【永田分科会長】  ありがとうございます。次は曄道委員,どうぞ。
【曄道委員】  吉見教授にちょっと質問させていただきます。15ページに目的遂行的な有用性と価値創造的な有用性ということで,大学の再定義の軸を作っていただいていますけれども,目的遂行的な有用性の目的というのは,かなり先端的な課題からいくと,かなりグローバル社会の中で共有化されているようなものにどんどんシフトしているように思うんですが,一方で価値創造的な有用性のところ,これが恐らく,例えば日本の大学として新しい教育の意義だとか,そういったものを提示できるチャンスがまだ多くあふれているように思うんです。
 こういうところをしっかり大学がカバーしていくべきだと思うんですが,一方で社会の見方は,やはり時間がかかるということもあって,価値創造的なところにまだ十分目が向いていない。あるいは,学生に対する期待も余り大きくかかってこないので,どうしても上の軸の方に行きがちだという現状があると思うんですが,この辺について,先生は社会がどう変わっていくかといったようなことに,お考えがあればお願いしたいと思います。
【吉見東京大学教授】  おっしゃるとおりで,この会議,2050年ということを考えているんですから,2050年とか2100年とかを考えるんだったら,それがなければ考えられないと思います。目的遂行的というのはSDGsとかそういう話でも割とはっきりしているんですけれども,それを超えるものを日本が提示するということが,日本の大学ができるかどうかということが問われていると思います。
【永田分科会長】  文系と理系どちらも変わってもらいたいです。価値創造のためには,特に文系の教員が変わっていただきたいと思います。
 河田委員,どうぞ。
【河田委員】  今日の素晴らしいお話は大賛成ですが,3点申し上げたいと思います。まず1点目,最初の履修科目数の大幅な削減について,この件は私もずっと言い続けているのですが,まだ多くの大学で行われていません。ただ玉川大学では既に実践されています。1年間に32単位という履修制限を設け(いわゆるCAP制),4年間で128単位,卒業に必要な単位は124単位ですが,上限を128単位に設定しています。国際基督教大学(ICU)もほぼ同様に履修制限を設けています。このように成功例はあると思うので,その例をモデルにして,日本の大学とくに大規模大学は是非取り組んでほしいと私は考えています。
 2つ目は,体系的な段階的な履修制度ということで,是非とも“ナンバリング”をもっと日本の大学で採り入れることが必要だと考えます。授業の番号制ですね。国立大学法人ではかなり増えていますけれども,大学独自のやり方で必ずしも体系的ではないナンバリングもあり,国際的な通用性が乏しい印象を受けます。
 それから,3つ目に,大学本来の役割とはということで,何のための学問か。私は,1980年に和歌山大学に在職したときに,当時の文部省の長期在外研究員という制度で1年間,イェール大学に留学しました。そのときの指導教授が余英時(Ying-Shin Yu)という先生で,今年数え90歳になられますが,先生の言葉を今もはっきりと覚えています。「あなた達が大学で学ぶことは,社会の役に立つこと,社会に貢献することだ。『経世済民』,すなわち世をおさめ,民を救うことが大事だ」と。これは古い儒教の思想かもしれないけれど,現在でも重要なことであり,必要なことだと,私は考えております。以上です。
【永田分科会長】  三村委員、どうぞ。
【三村委員】  どうもありがとうございます。吉見教授も今日はどうもありがとうございました。
 大学教員の在り方の話のところでいろいろ議論があって,履修科目の大幅削減という話なんですが,それをやろうとすると,1人の先生が努力をするだけじゃなくて,それを支えるチームティーチングがすごく重要じゃないかと思います。本学でもキャップ制を入れて,学生の課外の学習時間を延ばそうとしたんですけれども,2時間とか3時間ぐらいしか増えない。学生にはアンケートをとっていて,反応を聞いてみると,上限は定められたけれども,あいた時間に何をやれとか,何をやったらいいとかというサポートが少ないので,そっちの方は十分できませんでしたと書いてあって,そこまで手取り足取りやるかなと思いました。いずれにしても,演習とかそういうものを丁寧にサポートするようなチームがないといけないと思います。
 もう一つは,個々の講義についてそうなんだけれども,学位プログラムとか,1つの教育プログラム全体でも,それを支える教員のチームが何かできないと,体系的にいかない。だから,大学教員の在り方というところを,もう少し個々の教員にフォーカスするだけではなくて,その周りにどうチームを作るかという観点も入れたらいいんじゃないかなと思います。
【永田分科会長】  ありがとうございました。この議論をこれから長く続けなくてはいけないので,本日は大変良い議論だったと思います。
 最後に,本日の資料6-1にあるのが,既に科学技術基本計画に盛り込まれるべき事項として,本分科会から出した意見です。本日の議論を含めて,やはりもう一言付け加えておくべき、というような御意見がありましたら,是非とも事務局にお知らせください。それらを踏まえ、私と事務局でバージョンアップを図っていきたいと思います。もちろん最終的に,また皆様にお示しすることになりますが,現段階では,こちらの方で進めさせていただこうと思っております。
 それでは,事務局から,次回の開催予定等について御報告いただいて,終わりにさせていただきます。
【武藤高等教育政策室長】  次回分科会は,9月18日水曜日,10時から12時を予定しております。会場調整中のため,追ってお知らせいたします。
 本日,資料について郵送を希望される先生におかれましては,机上に残しておいていただければと思います。
 また,本日時間の都合上,御発言できなかった内容等については,事務局宛てに御連絡を頂戴できればと思います。以上です。
【永田分科会長】  それでは,どうもありがとうございました。これでお開きです。よいお盆休みを。


―― 了 ――


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