大学分科会(第139回)・将来構想部会(第9期~)(第10回)合同会議 議事録

1.日時

平成29年12月15日(金曜日) 10時00分~12時30分

2.場所

TKP赤坂駅カンファレンスセンター13階 ホール13A

(東京都港区赤坂2丁目14-27)

3.議題

  1. 我が国の高等教育に関する将来構想について
  2. 大学設置基準等の改正について
  3. 専門職大学院設置基準等の改正について
  4. 認証評価機関の認証について
  5. その他

4.出席者

委員

(分科会長・部会長)永田恭介分科会長・部会長
(副分科会長)北山禎介副分科会長,村田治副分科会長
(副部会長)日比谷潤子副部会長
(委員)有信睦弘,亀山郁夫,五神真,室伏きみ子の各委員
(臨時委員)麻生隆史,安部恵美子,黒田壽二,小林雅之,佐藤東洋士,鈴木典比古,鈴木雅子,千葉茂,野田三七生,古沢由紀子,前野一夫,松尾清一,吉岡知哉,石田朋靖,小杉礼子,福田益和,益戸正樹,両角亜希子の各臨時委員

文部科学省

(事務局)伊藤文部科学審議官,義本高等教育局長,瀧本大臣官房審議官(高等教育局担当),塩見文部科学戦略官,山﨑文教施設企画部技術参事官,蝦名高等教育企画課長,塩原主任大学改革官,三浦大学振興課長,大月専門職大学院室長,堀野高等教育政策室長 他

5.議事録

(1)今後の高等教育の将来像の提示に向けた論点整理(案)について,事務局から資料1-1から1-4に基づき説明があり,その後意見交換が行われた。
【永田分科会長・部会長】  それでは,時間になりましたので,第139回の大学分科会と第10回の将来構想部会の合同会議を始めさせていただきます。
 本日は,大きく分けて4点,最初は3月に諮問を頂いた内容についてです。つまり,我が国の高等教育の将来構想について,将来構想部会と,それから,その下の制度教育改革ワーキンググループの議論が進んでまいりましたので,今回,論点整理(案)をお示しして,今後の議論につなげたいということでございます。
 二つ目,三つ目につきましては,大学分科会に関する案件です。その一つは,専門職大学,専門職短期大学の関係で,既に御存じのとおりですが,新たに大学,短期大学の一部の組織に,学部,学科を置けるよう制度改革を行うということで,本日はその内容について,文部科学大臣から大学設置基準等の改善について諮問をされていますので,これについて御議論をお願いいたします。
 三つ目は,専門職大学院設置基準等の改正についてです。これは大学分科会の下に,大学院部会が更に設けられていて,その中で専門職大学院ワーキンググループというのがございますが,そこで専門職大学院の教員組織に関しての制度改革の方向性について議論をしていただいてきました。その方向性が決まったので,御説明いただき,議論をしたいということです。
 最後は,最近の政府関係の会議の中で大学分科会及び将来構想部会に関わりのある内容のものを中心に御紹介をしようと考えております。
 議事に先立ちまして,本日,新しく大学分科会にご参加いただいた先生がいらっしゃいます。その御紹介と,本日の配付資料について,まとめて事務局から順に御説明ください。
【堀野高等教育政策室長】  それでは,委員の交代につきましては,12月15日付で,相原康伸委員が退任をされまして,野田三七生委員が新たに就任をしております。
 配付資料につきましては,議事次第のとおり,資料1-1から資料6でございます。
 不足等ございましたら,事務局までお申し付けください。
【永田分科会長・部会長】  ありがとうございます。それでは,議事に入らせていただきますが,先ほど申し上げましたように,最初は,大学分科会の下に将来構想部会と,さらに,その下のワーキンググループ,制度教育改革ワーキンググループの2つの論点整理を皆さんに御紹介して,御意見を頂こうということでございます。
 なお,ワーキンググループの方は,鈴木典比古委員に主査をお願いしております。
 それでは,事務局から資料の説明をお願いいたします。
【堀野高等教育政策室長】  それでは,資料1-1から資料1-4までに基づいて御説明を申し上げます。
 資料1-1が,本将来構想部会で御議論いただいた内容について,事務局として整理をさせていただきました論点整理の(案)でございます。資料1-2につきましては,この1-1の内容を1枚紙で全体構成が見えるように1枚にしたものでございます。
 資料1-3と1-4につきましては,以前の議論の際に各都道府県別に各県の中の大学の数,入学定員,また,平成45年の将来推計を含めた資料を以前お配りをしておりましたが,当時の数値が入学定員と入学者数を数える場合にどの学部をどのエリアでカウントするかということで,数値精査中ということでお配りをしておりましたので,今回,それを精査し直して,整理をしたものでございます。
 それでは,資料1-2を御覧いただきたいと思います。全体の構造だけ御説明申し上げますと,左上にまず,このまとめ方の順番として,最初に左上の社会の全体構造の変化,そして,それに倣って右下のオレンジのところですが,大学教育における人材育成の在り方です。それを18歳で入学する伝統的な学生と,社会人に分けて書いております。そして,こういった教育を実現していくための高等教育機関の教育研究体制ということで,真ん中がございまして,そして,こういった研究体制を実現するに当たって考えていかなければいけない,18歳人口の減少を踏まえた大学の規模や地域配置の在り方です。そして,最後に,時代を超えて常に必要とされる教育の質の保証と情報公開の在り方という順番で整理をさせていただいております。
 それでは,資料1-1に基づきまして,具体的な論点整理(案)について御説明を申し上げます。
 1ページめくっていただきますと,目次がございます。今,1枚紙で申し上げました全体構造はこの目次の「はじめに」から,6の「今後の検討課題」の部分でございまして,その後ろに,別添1,別添2とございますが,別添1については,この将来構想部会で御議論いただいた大学等の連携・統合の可能性の個々の課題について,現状と課題,検討の方向性を整理したものが後ろについています。別添2は,ワーキンググループで整理いただいた個々の論点について,現状,課題,検討の方向性を詳細に示したものを別添として後ろに付けているということでございます。
 それでは,2ページ目ですが,「はじめに」ということで,平成17年の「我が国の高等教育の将来像(答申)」(以下,「将来像答申」という。)です。今回の議論の前提となる前の「将来像答申」ですが,平成17年の「将来像答申」では,「高等教育計画の策定と各種規制の時代」から「将来像の提示と政策誘導」の時代への移行という大きな方向性を示した上で,各大学が有する7つの機能,各大学は,自らの選択に基づいて,こういった機能の一部分を併有して,保有する幾つかの機能の間の比重の置き方の違いに基づいて,緩やかに機能別分化をしていくという将来像が平成17年に描かれたわけでございます。
 そして,次の丸ですが,この答申を受けて,国立大学のミッションの再定義などもございましたが,各大学においては,自らの選択によって,世界的な教育研究,専門分野の強化,地域貢献,産学連携,グローバル化など,それぞれの大学が持つ強み・特色に応じた機能強化を図る努力が進んできました。また,平成26年には,大学のガバナンス改革についての法改正も行われています。
 次の丸ですが,その結果,多くの大学では自らの機能強化のための学部等の組織再編が積極的に行われたり,産業界や地方公共団体との連携を通じた地域貢献,あるいはグローバル化,あるいは博士課程リーディングプログラムなどを通じた大学院の充実が行われました。また,三つの教育の質的転換という観点から,三つのポリシーの策定やアクティブ・ラーニングの導入,こういった動きが生まれてきたわけでございます。
 そして,3ページ目ですが,しかしながら,大きな課題としてございますのが,一つ目に第4次産業革命,Society5.0と言われる大きな産業構造,社会構造の変化です。そして,二つ目に専門職大学院制度の創設に象徴されるような実践的職業教育への充実への期待の高まりです。そして,三つ目に,学士課程の進学率が上昇し続ける中で学位が保証する教育のレベルについて,国民の共通理解がないことです。また,四つ目に,18歳人口の大幅な減少が予想されている中で,四年制大学の数が増加し続け,一方で,定員割れの大学が増加している。五つ目に,国際競争が激しくなる中で,世界の研究ネットワークの中での日本のポジションが低下している。こういった様々な構造的な課題があるということを踏まえまして,2040年を見据えた将来像を描くという議論を進めてきたということでございます。
 先ほど1枚紙で説明したように,大きく1から6という順番で整理しております。
 4ページ目,社会構造の変化ですが,一つ目に学術研究や教育の発展ということで,専門化・細分化された分野の中だけでは収まらない学際的・学融合的な研究が進められていること。また,知のフロンティアの拡大に伴い,個人や一つの組織だけで生み出すことが困難な時代になっていて,新たな知識や価値の創出に多様な専門性を持つ人材が結集して,チームとして活動することの重要性が高まっている。また,産業界でオープンイノベーションが本格化する中で,大学等に対しても本格的な産学連携体制の構築が求められている。また,教育という意味では,文系,理系の区別にとらわれない学部等の設置や主専攻・副専攻制など伝統的な分野の区別を超えた教育が行われるようになっている。また,科学技術の進展に伴い,併せて倫理や感性など,そういった素養も育てることが重要になっているということでございます。
 二つ目に,第4次産業革命,Society5.0ということですが,こうした社会経済のために革新的な技術の社会実装を進めて,生産性の大幅な向上を図ることが必要になっているという中で,既に様々な分野で,AIやIoT,ロボットといった共通基盤技術と,産業コア技術,関連データの多様な組合せなどにより,革新的な製品・サービスが生まれている。こういった中で,高等教育機関においても,分野を超えて専門知や技能を組み合わせる実践力の育成や,新たなリテラシーとしての数理・データサイエンスの学修が求められる。このあたりについては,経済産業省の方からもヒアリングを行ったところでございます。
 そして,三つ目に,人生100年時代ということで,2007年に日本で生まれた子供は107歳まで生きる確率が50%もあるということです。こうした中で人生の様々な段階で高等教育機関において学ぶことができるような環境整備が求められており,18歳で入学する伝統的な学生だけではなく,多様な年齢層の学生のニーズに応えるプログラムの構築の必要性が高まっています。
 次に5ページ目ですが,グローバル化ということで,学術研究の国際競争が激しくなる中で,論文数あるいは論文の引用状況から見た日本の地位は相対的に低下している。また,産業界においては,中小企業においても海外展開が進んでおり,大企業においては,海外で生産,販売を行うだけではなく,研究開発拠点をマーケットに近い海外に置くなど,グローバル化の進展が著しい。このあたりもヒアリングで商工会議所の青山理事,日立総合経営研修所所長の迫田様から御意見を頂いたところでございます。
 また,次の丸では,近年では,国内の大学ではなく,海外の大学への進学を目標の一つとする高校も出てきている。また,海外の大学においてはブランチ・キャンパスやネット配信によって国外の学生に教育の対象を広げようという動きも進んでいる。我が国においても,海外からの教員や学生が集まるような教育環境の整備や日本の高等教育の海外展開が求められている。
 そして,地方創生ですが,AI,IoT技術,ビッグデータの活用によって,産業・社会構造が資本集約型から知識集約型にシフトしつつある。地方の産業にとっては,その地域の中で生産性の向上,高付加価値化が可能となるということで,農業,医療・ヘルスケア,防災,インフラの維持管理など,第1次産業分野から第3次産業分野まで,あらゆる産業分野でデータ活用による高付加価値化が進むとすれば,全国各地において地方のポテンシャルを引き出す上で,大学が果たすべき役割は極めて大きい。このあたりは,五神委員もこの会議や未来投資会議で御議論いただいたところでございます。
 そして,2番目に大きく,その中での高等教育における人材育成ということで,18歳で入学する伝統的な学生への教育,それから,社会人への教育,それぞれの観点からの議論が必要だということでございます。
 6ページ目ですが,18歳で入学する伝統的な学生への教育についてです。一つ目に,社会が変化しても陳腐化しない普遍的なスキル,リテラシーということで,各種中央教育審議会答申においても,いつの時代にも,その中核的な部分においては,基礎的で普遍的な知的技能が置かれています。論理性や批判的思考力,コミュニケーション能力等々,こういったものは社会が変化しても陳腐化しない普遍的なスキル,リテラシーということで,その下には,「学士課程教育の構築に向けて(答申)」(以下,「学士力答申」という。)において示された内容を引用しております。このあたりは,吉岡委員,金子委員,鈴木委員からプレゼンテーションを頂いたところでございます。
 そして,次の丸で,こうした能力は,「学士力答申」でも言われているとおり,一般教育・共通教育と,それから,専門教育との双方を通じて実現されていくものである。そして,次の丸で,分野を超えた専門知の組合せが必要とされる時代においては,一般教育・共通教育においても従来の学部を超えた幅広い分野からの文理横断的なカリキュラムが必要となる。専門教育においても従来の専攻を超えた幅広くかつ深い教育が求められている。
 その次の丸で,専門教育については,主専攻・副専攻制の活用などにより,専門知の組合せの種類が大幅に増えることを踏まえ,学生の学修の幅を広げるようなカリキュラムの工夫が求められる。吉見委員のプレゼンでも二刀流という言葉があったところでございます。
 そして,産業界においても,益戸委員から御紹介がありましたが,優れたジェネラリストであることだけではなく,自分の強みとなる専門を持っていることが必要となってきているという指摘もあり,汎用性的能力と,強みとなる専門性とを兼ね備えた人材育成に資するカリキュラムの構築が求められる。
 そして,その次に,第4次産業革命時代のリテラシーということで,世界に先駆けて「超スマート社会」の実現に向けて,我が国の産業活動を活性化させるために,新たなリテラシーとして,全学的な数理・データサイエンス教育を行うことが必要になっている。これはこの部会でも,東大情報工学研究科長の石川様から御議論があったところでございます。
 それから,その次に,カリキュラムと社会の要請とのすり合わせ,チューニングということで,修得すべき知識,能力の達成目標を明確にしてカリキュラムを構築する。そして,その効果を測定する仕組みを開発して,卒業生を受け入れる産業界の意見を聞きながらカリキュラムを修正していくというサイクルを回していくことが必要であるということです。
 次に,社会人への教育につきましては,アカデミックな教員により最先端の実践の理論化と,実務家教員による最先端の実践例の提供,すなわち学問の追求と実学教育の双方が高いレベルで求められる。
 ただし,社会人といった場合には,様々な方がいますので,企業に勤務しながら通学する方,転職のために通学する方,子育て等による離職後に復職する方,高校卒業後,就職した後にスキルアップを目指す方,様々なケースがあろうということでございます。
 そして,こういった,もともと18歳で入学する伝統的な学生の教育においては,一定の選択の幅を持ちつつも,ディプロマ・ポリシーに基づく統合的なカリキュラムのパッケージを提供するということでありますが,今後,本格的に社会人の受入れを進めていく場合には,多様な社会人の個別のニーズに対応するカリキュラムの提供が必要となる。
 そういった意味で,デマンドに対応できるプログラムを用意する必要性が高まってくる。そして,そういった提供ができる教員組織自体の柔軟性というものを持たなければならないということでございます。
 8ページですが,このような人材育成を行うための教育研究体制という場合には,将来の人材需要が次々と変わり得るという前提に立てば,予測が困難な中でも変化に迅速かつ柔軟に対応できる教育研究体制の構築が必要である。
 そして,これまで述べてきたような多様な分野の知識・技能の組合せが必要であること。人生100年時代を迎え,多様な年齢層の学生の入学が求められること。グローバル化の中で多様な国籍の教員,学生が入ってくること。そして,今後の高等教育機関は,多様な価値観を持つ多様な人材が集まることにより新たな価値が創造される場となることが必要である。
 そして,こうした「多様な価値観が集まるキャンパス」となるためには,従来の大学,学部・学科における教員の「自前主義」や「18歳中心主義」から脱却して,学部・学科を超えて,また,大学を超えた人的資源の共有を通して,「多様な教員」による「多様な教育研究分野」の提供,「多様な学生」を受け入れられる体制整備,多様性を受け止められるガバナンスの在り方を検討していく必要があると整理をしております。
 その一つ目の多様な教育研究分野ということについては,やはり時代の変化に応じて,従来の学部・学科等の枠を超えて,迅速かつ柔軟なプログラム編成ができるようになることが必要であるということで,これは学位プログラムの議論に繋がってまいります。
 そして,一方で,学生の視点からの履修の幅を広げるような取組も重要ではないか。
 そして,今後,更に少子化が進行して,一つの大学等で多様な教育研究を行うことが困難になることを見据え,複数の大学等の人的・物的リソースを効果的に共有するという観点から,この将来構想部会で御議論いただいたような単位互換制度等,国立大学の一法人一大学,私立大学の手続など,大学等の連携・統合を円滑に進めることができる仕組みを検討することが必要である。
 そして,次のページに,その具体的な方策ということで,これは先ほど申し上げました別添として詳しく付いているものですが,このページを見ただけで,何の話かということが分かる程度に引用しております。一つ目の別添2と書いてあるものが学位プログラムの話。それから,次に,連携・統合として,ここで御議論いただきました単位互換と「自ら開設」の原則の話。それから,教員は一つの大学に限り専任となる原則について。国立大学は,一法人一大学設置であることについて。私立大学の連携・統合の円滑化に向けた方策について。これらについてはそれぞれ別添に詳しく書いてあるところでございます。
 10ページには,次に,多様な教員という切り口で見た場合には,学部・学科等の枠を超えて教員が共同で教育研究を行えるような仕組みを構築する。やはりこれも学位プログラムの議論でございます。また,学外資源の活用という観点から,実務家や,多様な視点からの教育研究という観点から,若手,女性など様々な人材が登用できるような在り方を検討していく必要がある。
 この具体的な方策ということで,学位プログラムの再掲をして,さらに,ワーキンググループで議論されていた教育課程の改善,指導方法の改善等の学修の質保証,その中にある実務家教員の採用の促進についての議論を紹介しております。
 次に,10ページ下に,多様な学生という意味では,人生100年時代ということで,多様な年齢層の多様なニーズを持った学生に教育できる体制が必要となる。これは吉見委員のプレゼンでも人生で3回大学に入るという話もあったところでございます。
 そしてまた,別の国際競争という視点から,やはり外国人の学生を引き付けるような教育環境の整備,また,我が国の学位等が示す教育のレベルについての国際通用性の確保,また,国際展開を促進するような制度の在り方ということが課題であるということで,次の11ページに具体的な方策として,ワーキンググループで御議論いただいていたリカレント教育の話,それから,学位等の国際通用性の話,高等教育機関の国際展開の話を引用しております。
 11ページから,多様性を受け止めるガバナンスということで,こういった多様な教育研究を実現していくためには,学外の教員や実務家など多様な人的資源を活用して,多様な年齢層,多様なニーズを持つ学生を受け入れていくとすれば,高等教育機関は,他の機関や,関係する産業界,地方の地方公共団体などと連携をして,必要とされる教育研究分野,求人の状況等々について,恒常的に意思疎通を図るような体制を構築する必要があるのではないか。
 そして,その後で,各学校種における特有の検討課題,あるいは高等教育機関全体の相互の接続関係ということで,ここまでの議論はおおむね各学校種に共通する課題について述べたものですが,短期大学,高等専門学校,専門学校,あるいは大学院,それぞれについての特有の検討課題はまだまだあります。また,新たに制度化される専門職大学等も含めまして,高等教育機関全体の相互の接続関係の在り方等につきましては,今後,引き続き検討する必要があるとしております。
 そして,短期大学につきましては,現時点で御議論いただいたこととして,麻生委員から御説明いただき,ワーキンググループで安部委員からも御説明いただきましたが,短期大学は4割以上が中核市よりも人口規模が小さい地方都市に設置されていて,自県内入学率・就職率7割である。女子学生の教育から職業教育まで幅広く人材育成をしていて,短期であること,地域でのアクセスの容易さ,あるいはクオリティといった強みを生かして,高齢者を含めた社会人の学び直しを通じた地域貢献の役割が期待されています。
 そして,高等専門学校につきましては,5年一貫の実践的な技術者教育として,今後,新たな産業を牽引(けんいん)する人材育成の強化,大学との連携など高専教育の高度化,海外展開を含めた高専教育の国際化が必要である。
 専門学校につきましては,社会・産業ニーズに即応しつつ,多様な教育を柔軟に展開してきた。大学に次ぐ学生数を受け入れている地域密着型の高等教育機関ということで,地方の道県でも高い進学率になっている。留学生や社会人の受入れも多く,職業実践課程なども進めてきている。こういった中で,地域等の産学連携による職業教育機能の強化や留学生の積極的な受入れ等などの役割が期待される。このあたりにつきまして,前野委員に高等専門学校,福田委員には専門学校について御議論いただいた内容を入れております。
 そして,4番目に,18歳人口の減少を踏まえた大学の規模や地域配置ということで,こうした「多様な価値観が集まるキャンパス」を目指していくためには,高等教育機関が一定の規模の確保が必要である。ただし,我が国においては,これを急速に進む少子化の中で実現していかなければならない。そういった上では,将来像を描くに当たっては,現在の進学動向や将来の進学動向の推計について,具体的な形で見える化していくことが重要であるということで,学士課程,まずは,一般には18歳人口が減っているのは大学が増えているのはなぜかとよく言われるわけですが,客観的データとして,当時の将来像答申では,大学,短大の収容力が平成19年には100%になるという試算がありましたが,その後,当初の予想を超えて大学進学率が上昇し,18歳人口の減少にもかかわらず,大学の学士課程への進学者は増加し続け,現在でも収容力は93.7%にとどまっていること。そして,特に女性の進学率は10年間で38.5%から48.2%まで大きく上昇していること。そして,これに応じて四年制大学の数が増加していることということをお示しした上で,ただ,大学教育全体で見た場合の質の低下を懸念する声がある。
 14ページですが,全体として学生数が増加する一方で,定員割れの大学が4割に増加している。我が国については,私立大学が多く,かつ,小規模な大学が多いということが特徴である。特に小規模な大学が多い地方において学生確保が厳しくなっている。ただ,地方に所在する大学は,その多くが地域で活躍する人材の育成の拠点となっているとともに,地域の知的基盤として重要な役割を果たしていて,地方の学生にとっての質の高い教育機会を確保していくことが重要であるという現状を述べております。
 そして,資料1-3,1-4の話になりますが,将来の進学者数の推計ということで,この120万人が88万人に減少するという推計は,この社会保障・人口問題研究所の推計ですが,1-3,1-4につきましては,国立教育政策研究所において,平成26年度までに生まれた者の数,それから,各学年の小中学校の在籍者数などを基に,18年後までの都道府県別に推計を行ったものです。この推計によると,各都道府県における進学率が現在と同率だと仮定した場合には,45年の大学への進学者数は現在の85%となり,これは短期大学を含めた場合でも同様である。
 ただ,当然のことながら,進学率が上昇すると仮定すれば,ここの推計はまた変わってまいりますので,将来の進学率をどう予想するかということは今後また御議論いただきたいと思います。
 そして,こういったデータによって,各地域において将来がどうなるのか。それがどういうインパクトがあるのかを可視化するということで,都道府県別に現在の大学進学者数,進学率等々,県内外への流出入状況も踏まえた上で,平成45年の推計を行って,地図上にマッピングをしたということでございます。
 次のページ,15ページですが,このデータから,都道府県ごとに,平成28年度現在の国公私立大学の入学定員の合計と平成45年の入学者数の推計を比較することにより,将来不足する入学者数を試算することができる。下に新潟県の例示をしておりますが,現在5,800人の入学定員がありますが,推計では4,500人の入学者になるとすると,1,300人の入学者不足をどう考えるかということとなります。もちろんこれを18歳で入学する伝統的な学生だけではなく,多様な年齢層の学生を受け入れるということになれば,また変わってまいります。いずれにしても,客観状況を分かりやすく可視化をしていくということが各高等教育機関が将来の組織改編等の戦略を立てていく上で重要だということです。
 そして,次に,国が展示する将来像と地域で描く将来像とありますが,平成17年の将来像答申では,将来像の提示という考え方が示されたわけでございます。そして,人口減少が急速に進むこれからの20年間,特に地方における質の高い教育の確保が大きな課題となるという意味では,高等教育の将来像を国が示すだけではなくて,それぞれの地域において,高等教育機関が産業界や地方公共団体を巻き込んで,それぞれの将来像が議論されるべき時代を迎えていると考えられる。
 ただ,その場合にどのような単位で議論するか。都道府県別がよいのか,あるいはもっと広域なエリアがよいのか,それも都市圏,あるいは都市に隣接する地域,そうでない地方など,特性によって様々なのか,今後,検討が必要だということでございます。いずれにしても,地域の高等教育機関が産業界,地方公共団体とともに将来像の議論や具体的な人事交流等について議論する。地域連携プラットフォーム(仮称)といったようなものが必要となると考えられ,そういったどんな仕組みがよいのかということも今後検討が必要であるということでございます。
 次に,今までは大学等の規模の話ですが,地域配置の問題については,平成14年の工場等制限法の廃止,それから,設置認可における抑制方針撤廃以降,具体的に都市部への学生の集中を規制するような具体的な政策は行われてきませんでした。
 この間,何が起きたかといいますと,東京圏(東京,埼玉,千葉,神奈川)以外の学生の割合が60%,東京圏の学生は40%,この割合はほぼ変わっていない。ただ,東京圏の内訳を見ると,東京23区の学生数は14.9%から17.4%に増加し,23区外と埼玉,千葉,神奈川の南関東の学生の割合は減少しています。
 そして,御案内のとおり,規制の撤廃を受けて,東京23区外や周辺の県にキャンパスを設置した大学等が23区内のキャンパスに学部を移転する動きが活発化している。一方,多くの地方公共団体では人口減少が大きな課題であって,進学や就職の際に都市部へ若者が流出するということにどう歯止めを掛けるのかが重要な政策課題となっている。
 こうした中で,政府においては,知事会の要請を受けて,有識者会議を作って,東京23区の大学の学部・学科の新増設を抑制することとし,具体的には,23区において大学の定員増を認めないことを原則とする,こういったことなどを政府で閣議決定を6月にしたわけでございます。
 大学分科会では,閣議決定までの間に議論を行って,意見を申し上げました。一つ目に,大学の新増設を抑制することは,教育内容の新陳代謝が働かなくなり,自己変革を進めるという点での阻害要因になる。東京の大学に進学したいという学生の希望をとめる必要はない。都市部の大学と地方の大学との交流により学生の流動性を高めて,地方大学の魅力を増すことは重要である。地方における若者の雇用創出がなければ,大学だけを規制しても効果はない。こういった教育政策の観点からの意見を取りまとめて,有識者会議に提出をしたわけでございます。
 そして,次のページですが,有識者会議においては,先週8日に最終報告書をまとめまして,23区においては,原則として大学の定員増を認めないこととしつつ,抑制の例外として,大学院,専門職大学を一定の期間,留学生,社会人,通信教育,夜間学部など例外を挙げた上で,学部・学科等の改編については,「東京23区内に所在する学部・学科の収容定員の総数の増加を伴わない」場合は抑制の例外とすること,そして,その際に,「新たな学部・学科を新設することに伴い,旧来の学部・学科を廃止する移行期間については,一時的に収容定員数が増加することを認めることも考えられる」といった一定の配慮が示されたところでございます。
 その具体的な規制や例外の在り方については,今後,政府や国会で詳しく検討が行われますが,この規制は大学において検討されている今後の成長に向けた経営戦略に重大な影響を及ぼす可能性があるということに鑑み,我が国の教育研究の発展に負の影響を来すことのないよう,慎重に検討される必要がある。
 そしてまた,報告書では,大学の東京圏と地方圏との対流・交流,地方移転の促進,また,地方における若者の雇用の創出についても提言がなされておりますが,こういったことがセットで行われないといけないということ。特に,若者の雇用創出については,政府において責任を持って実施すべきということでございます。
 そして,小規模学科のための基準の整備。これは本日,後ほど御議論いただきますが,短期大学については,人口が少ないところにも多々所在しているという特性に鑑みまして,小規模の学科についても適切な運営が行えるよう,専任教員数や校舎面積について,小規模の学科の設置を想定した設置基準の改正を行うことが必要である。
 次に,教育の質の保証と情報公開でございますが,ユニバーサル段階を迎えて,進学率が上昇して大学に入学する学生の裾野が広がっていく過程において,かつての少数エリートが通っていた時代の大学と比較して,教育の質の低下を懸念する声が出てくるというのは世界共通のことであり,教育の質の保証と機会均等のバランスをどう考えるかというのは,高等教育の普遍的な課題である。一方で,我が国の大学については,この大衆化の問題を前提としたとしても,教育の質を保証する取組は不十分と言わざるを得ないということで,学修時間が短いことなどを挙げております。
 そして,次の丸で,こういった質の保証については,積極的に改善の努力をしている大学があるのも事実でありますが,一方で,不十分な大学に二極化しているのではないかという指摘もあり,大学全体としては十分な信頼が得られているとは言い難い。諸外国においても,大学進学率が上昇して,高等教育を受ける学生が増加するほど,公費を投入するに値する教育を行っているのかというアカウンタビリティが求められるようになる。
 そして,大学と大学外の社会の関係ということについては,様々な世界でその関係があるわけですが,大学が研究成果と教育を通して社会の発展に貢献する責任を果たすということについては,大学関係者の間でも共通の理解があると考えられる。
 社会の発展に貢献するために,例えば学術研究の対象については,社会の要請だけではなく,多様な教員の多様な関心に基づいて選択していくということが重要な側面もあると考えられるが,教育の質については大学自らが責任を持って保証し,第三者の評価を受け,その成果を社会に対しても積極的に情報公開していくことが必要である。こういった姿が国民の間に広がることによって,大学への投資というのも行われていくという好循環を生まなければいけない。そういった意味で,19ページで,こうした観点からの具体的な方策として,ワーキンググループで議論されていた教育課程の改善等,学修成果の可視化と情報公開,また,認証評価制度の在り方について引用しております。
 最後に,今後の検討課題ですが,これまでの議論は,四つの諮問事項のうちの1,2,3についてでございまして,四つ目の財政支援については今後の課題ということでございます。
 また,前回の「将来像答申」で示された機能別分化の考え方については,その進捗状況と今後の在り方について引き続き検討が必要であること。さらに,大学院教育の在り方や大学等における研究との関係については,これまでまだ論点として取り上げられていませんが,将来像を描く上で必要不可欠な部分であって,今後検討が必要である。
 最後のページに,四つ目の諮問事項,教育研究を支える基盤的経費,競争的資金,あるいは経済的支援の充実と,こういったことについては今後検討が必要であるということでございます。
 説明が長くなりましたが,以上でございます。
【永田分科会長・部会長】  ありがとうございます。今お聞きいただいた中で,御質問や御意見を伺いますが,事務方から説明を頂いたもののうち,前半部分のとりわけ一番問題がある3の専門学校のところまでの話は,全体的な高等教育と,それから,少しずつお聞きした内容を加えています。そこまでは,色々な方策の議論が始まっているわけです。ところが,4の大学の我が国全体の高等教育の規模,地域配置については,お聞きいただいたように,現実を述べているわけでありまして,まだこれをどういう方策で考えていくかということについては十分議論されていないという認識だと思います。
 それから,4番目の諮問事項については,財政基盤ですが,これは全くまだ議論されていない段階で,それを認識した上で,御質問等,御意見等いただければと思います。
 もちろん,議論されていない部分はこれから議論するという前提ですが,そのような御理解の上で,御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。
 千葉委員,どうぞ。
【千葉委員】  取りまとめた資料の真ん中の少し下のところにブルーの網掛けがございまして,短期大学,高等専門学校,専門学校,大学院について特有の検討課題,相互の接続関係の在り方等々と書いてありますが,実際の資料の中では,これは「相互の」というものの前に,「高等教育機関全体の相互の」ということが入っていますが,この網掛けのままですと,ここに挙げた教育機関の相互の関係というような見え方がしますので,できればここに「高等教育機関全体の相互の接続関係の」という形にしていただければというように思います。
 そして,4番のところですが,それにやや関係がありますので,お話をさせていただきますが,学士課程の進学者数の増加というところで,収容力が93.7%ということで書いてありますが,この収容力の母数はどのようなものだったのか,確認させていただきたいということと,93.7%だから大学は余剰ではないということをここで言っているのだと思いますが,希望者を全員受け入れるということが,その大学の在り方としていいことなのかどうなのかということです。これはリカレントや留学生なども含めて,100%を上回った形で,選抜の上で教育をしていくということの方がいいのではないかと思います。
【永田分科会長・部会長】  データの方は説明いただくとして,実は,今の最後の方の御議論は既に何度かされていて,小林委員などから出てきているのは,今のままのあたりが妥当であろうという御意見だったはずです。積極的にこれを100%にするのか,どうするのかという議論が余りなくて,現在の状況を鑑みて,比較的これが継続していく形であろうという御意見であったと思います。それはここには含めていませんが,それは前半部分です。
【堀野高等教育政策室長】  収容力につきましては,大学,短期大学への全志願者数を分母として,実際に入学した者の数ということでございまして,当時の議論のときには,大学全入時代が来るという議論がその前からあり,それが少し早まるというような議論があったわけですが,ここで申し上げたかったことは,当時の予想よりもはるかに進学率が上がったということです。当時の予想とは違ったという事実について,まず押さえておく必要があるという意味で書いております。
【千葉委員】  ありがとうございます。
【永田分科会長・部会長】  小林委員,どうぞ。
【小林委員】  今の御意見,御質問ですが,確かにここでは大学,短期大学あるいは,場合によっては高等専門学校が入りますが,今回は大学,短期大学のみの推計でやっておりますので,今,永田部会長が言われたように,全体のことについて,まだ議論されていない段階だということは確認いただければと思います。ですから,もう少し専門学校まで,あるいは高等専門学校等を含めて全体を見る必要があるということはおっしゃるとおりだと思いますので,そのように考えたいと思っております。
 それから,最初の「はじめに」のところですが,これは平成17年の「将来像答申」から始まっているわけですが,この改革の流れは,「将来像答申」から急に始まったわけではなく,もう少し前からのことであります。それで,どこまでさかのぼるかという問題はあると思いますが,やはり1991年の大綱化が非常に大きなインパクトを大学改革に与えたわけでありまして,そこから今のような改革の流れが始まっているという,そのような大きな流れをもう少し示していただいて,「将来像答申」が出され,それを我々はまた今回,2040年までスパンを見て検討しているという,そのようなことを書いていただいた方がもう少し大きな流れがつかめるのではないかと思います。
【永田分科会長・部会長】  ありがとうございます。「はじめに」のところは実はもう少し,もっと大きな大学像というものを実は描こうとしているのですが,論点整理に入れるべきというものよりは,どちらかというと,もう少しフィロソフィアな内容も入って,我が国の施策という形で書いていくという予定にしておりますので,それは論点整理ではなく,まとめをするときに追記したいと思います。
 石田委員,どうぞ。
【石田委員】  ありがとうございます。10ページで,国際通用性の話が出ている。学位等が示す教育レベル等についての国際通用性ですが,これは本文ではこのような形で,極めて等に書かれていると思うんですが,次のページに行きまして,11ページの具体的な方策での国際通用性の確保というと,これは単なる名称,学位名称の国際通用性の話にとどまってしまっている。すなわち,やはり具体的な方策の中で,教育内容あるいは質の国際通用性あるいはアキュレルテーションの国際的な相互認証等々を踏まえた議論がないと通用性ということにはなかなかならないのではないかということを申し述べさせていただきました。
【永田分科会長・部会長】  ありがとうございます。認証評価の部分で,一部話されていたと思いますが,国際的な評価というよりは,多分,認証評価に相当するものが一番重要だと思います。ただ,それは書き込まなければいけないかもしれませんし,議論が足らなければまた議論をしないといけないかと思います。ありがとうございます。
 小杉委員,どうぞ。
【小杉委員】  11ページのリカレント教育の中の丸の2番目のところに,「雇用保険給付金との連携」と具体的名称を挙げていますが,本日の資料では別添2からその言葉が落ちていると思います。雇用保険の給付金というのはそもそも失業対策,失業時の生活保障のためのもので,今は景気がいいので積み上がっていますが,一旦景気が悪くなると,一時は米びつの底が見える状態になったこともあるというようなものなので,このようなものを具体的に書くのはいかがなものかと思います。
【永田分科会長・部会長】  事務局からお願いします。
【堀野高等教育政策室長】  整理をさせていただきます。
【永田分科会長・部会長】  日比谷委員,どうぞ。
【日比谷副部会長】  私も整合性の質問ですが,論点整理の6ページ,普遍的なスキル,リテラシーのところで,複数回,一般教育,共通教育という言葉が出てきますが,資料1-2では,同じところが一般教養,共通教育とある。これは一般教育でよろしいでしょうか。
【堀野高等教育政策室長】  修正いたします。
【永田分科会長・部会長】  共通認識として,日比谷委員のおかげで,ジェネラル・エデュケーション,リベラルアーツエデュケーションの違いは大分理解したということなので,文言の間違いでございます。
 益戸委員,どうぞ。
【益戸委員】  ありがとうございます。全般的なことですが,一つ,大きな意味で,もう少しガバナンスについて強く触れるべきではないかと感じております。子育てが終わっている世代と子育て中では全く理解が違うなど,広く一般国民にとって,この教育というものはどういうものなのかということがまだまだ浸透していない状況なのではないかという前提から考えますと,18ページに,真ん中2つ目のところですが,「大学全体として十分な信頼が得られているとは言い難(がた)い」という言葉があったり,一方で,「はじめに」の部分の2つ目の丸のところ,最後の部分,2ページに,「また,平成26年には,学校教育法,国立大学法人法,私立学校法が改正され,大学のガバナンス改革が進められてきている」と書いてありますが,本当にガバナンス改革が進んでいるところと,実はそうでないところがあるのではないかとおもいます。
 とすると,7ページの一番下のところに「デマンドに対応できるプログラムを用意する必要性が高まってくるが,そのためにはプログラムを提供する教員組織自体が柔軟に変化に対応できるような体制を構築していくことが必要」という文言が出てきますが,私も地方銀行の社外取締役を引き受けておりますが,やはり強力な社外取締役がはっきり物を言うということは,勇気も要ることです。私にとっては,この中央教育審議会の場で発言することも相当勇気の要ることですが,やはりそのようにしていくことが改革につながっていくと私は思います。日本の株価について,かつてお話をしたことがありましたが,やはり日本の閉鎖的な経営について,いかにオープンにしていくかという中で,社外取締役の役割,社外監査役の役割は非常に高かったと思います。同様に,やはり大学の経営においても学外委員,学外理事というものの重要性をもう少し踏み込んでもいいのではないかとおもいます。
 もう一つ,社外取締役,社外監査役を孤立させないために,複数名置くことが必要ではないか。2名以上置くということが具体的に示されていますが,同様に,この学外理事という存在が,地元の名誉職になっていないかとか,そういう反省もあるのではないかと思います。やはり学外委員や理事に対して,明快なジョブ・ディスクリプションをお示しして,努力をしていただくというような踏み込み方というのは,私はまだまだ大切なのではないかと思います。
【永田分科会長・部会長】  ありがとうございます。一部は,4の高等教育の改革を支える支援方策のところでまた議論しますし,御指摘のように,11ページに,「多様性を受け止めるガバナンス」というところに,これは受動的なガバナンスが書いてあります。前向きなガバナンスとして,このように変えていこうという部分が欠けているので,ここに1行,2行,付け足すことは必要だと思います。
 詳細は4の中で,財政基盤も含めた議論をした方が分かりやすいかと思いますが,御指摘の部分は,11ページのところに「多様性を受け止めるガバナンス」と,全く受け身のガバナンスという部分だけ書かれているので,ここに加えて,大学自らが教育研究を高めるための積極的な前向きガバナンスということについて触れておくことはよいのではないかと思っております。
  先ほど申し上げたように,ワーキンググループで,先ほどの認証評価の問題や学位プログラムの問題等を議論していただき,その論点整理等が出てきます。やはり連携・統合の可能性という部分について,政策的にどのようになるかという問題についてはほとんど議論していませんので,これから非常に厳しい議論を皆さんで行うことになるだろうと思っております。
 これはまだ論点整理で,中間まとめではありません。今まで先生方から頂いた御意見,それから,ヒアリング等で出てきていた意見を,一定の考え方の中でまとめているということです。
 両角委員,どうぞ。
【両角委員】  細かいことですが,一つは7ページ目の一番下の,先ほど益戸委員が触れたところで,デマンドに対応できるプログラムを用意する必要性で,教員組織が柔軟に変化するという,とても重要なことですが,これは必ずしも社会人への教育の中だけのことではなく,むしろ18歳の学生に対してもそうしたものが必要なので,もう少し共通的なところできちんと取り上げた方がよいのではないかということが一つ気になりました。
 もう一つが,その隣の8ページ目の下のところで,先ほど永田部会長がおっしゃった大学等の連携や統合について,まだ議論はしていませんが,これもここの場所でいいのか,多様な教育研究を提供するための連携・統合という位置付けにするのか,あるいはその後で,18歳人口の減少を踏まえた地域配置などの問題の中で,基本的には,地方を中心として連携・統合という話が出てきているようにも思うので,なぜそちらではなく,ここに入れたのかということについて教えていただければと思います。
 以上,2点です。
【永田分科会長・部会長】  最初の御指摘としては,社会人だけではないということは明らかなので,場所を考えてみます。
 それから,後半については,連携・統合という意味合いでいえば,おっしゃったとおりで,多様な部分もあり,それから,我々がこの国の高等教育を地域地域で守るためにもやはり考えなければならない部分があります。確かに何か所か書いて,後でまとめて読んで,もう一度書き直していくということになると思いますが,御指摘に配慮して作りたいと思います。
 吉岡委員,どうぞ。
【吉岡委員】  これまでの議論のところで,既に議論していることでもありますが,永田部会長にお伺いします。4の大学の規模については,その後の説明文ですと,基本的には収容力の問題にほぼ入っている気がしますが,ここで言っている規模というものについては,今後,具体的な議論がされるのでしょうか。
【永田分科会長・部会長】  4については,データを示しているだけで,全く議論の内容は含めていません。ですから,根本的にこれから規模や配置など,学術分野であるとか地域の問題,経済基盤のことも考えて議論しますので,ここにあるのは基本的には今回申し上げたとおり,客観的な事実だけを書いたということです。
【吉岡委員】  分かりました。
【永田分科会長・部会長】  そのほか,いかがでしょうか。
 今の御議論を聞いていますと,組み換えるべきところもあると思いますので,既に年内中にもう一度お集まりいただくお約束をしていると思いますので,そこでもう一度お示しをさせていただいて,先ほど言った大学の規模の問題や,それから,財政問題を含めたものの議論をするためのキーワード探しをさせていただこうかと思います。
 今回の御意見をこれに加えて,修正,論点整理を出させていただいて,加えて,時間が若干あると思いますので,これから議論すべきポイントについて要約をして,御議論いただこうと思います。
  それでは,この案件については以上にさせていただいて,次の議題に進めさせていただきます。

(2)大学設置基準等の改正について,事務局から資料2-1から2-4に基づき説明があり,その後,大学分科会における審議を行い,原案通り答申することについて,可決された。
【永田分科会長・部会長】  先ほど申し上げましたが,次の二つの問題については,大学分科会の内容でございます。大学設置基準の改正について色々と議論をしてきましたが,特に専門職大学,専門職短期大学等に関する国会での議論を経て成立をしたという法律に加えて,今度は専門職学部・学科の制度を新たに設けるために,設置基準の改正が必要であろうということで,文部科学大臣から本日,諮問を受けているということで,この内容について,議論をしていきたいと思います。
 それでは,事務局から内容について御説明をお願いします。
【塩原主任大学改革官】  資料は,資料2-1からになっております。まず資料2-1「大学設置基準等の改正について(概要)」の方を御覧ください。今回御審議いただきます改正の内容ですが,この件につきましては,前回10月25日の大学分科会におきましても,御審議いただきまして,そこでの御審議も踏まえつつ,更に条文化等の精査の作業を行うとともに,パブリックコメントの手続きを開始しております。そういった経緯を踏まえつつ,今回,改正要綱案として取りまとめて,正式に中央教育審議会への諮問をさせていただくものでございます。
 改正の趣旨でございますが,1ぽつにございますとおり,先の通常国会におきまして,学校教育法改正法が成立いたしまして,機関全体を専門職業人養成に特化した大学・短大の枠組みとして,専門職大学及び専門職短期大学の制度化が図られたという背景がございます。
 これを受け,さらにはこの資料の3枚目にもございますが,昨年5月の中央教育審議会の答申での提言も踏まえまして,今般,専門職大学等の趣旨を既存の大学及び短期大学の中にも活(い)かし,既存の大学等の一部の組織において実践的かつ創造的な専門職業人養成の取組を推進するため,大学及び短期大学設置基準等を改正いたしまして,「専門職学科」の制度を新設しようというものでございます。
 加えて,短期大学につきましては,地域における高等教育機会確保等の観点から,短期大学の機能強化方策につきまして,制度・教育改革ワーキンググループにおいても御審議いただいていたところでございますが,そこで御検討いただいた事項のうち,特に今般の専門職学科の制度の内容とも関連する部分,重なる部分につきまして,専門職学科だけに限らず,短期大学全体に係る制度改正として併せて措置しようとするものでございます。
 これらの改正に加えまして,その他,専門職大学の制度化に伴う所要の技術的な規定の整備等も必要になっております。
 こういった内容につきまして,以下,2ぽつの改正の概要にございますとおり,(1)大学設置基準,(2)短期大学設置基準,裏に参りまして,(3)高等専門学校設置基準,(4)学位の種類及び分野の変更等に関する基準,これら3本の省令及び1本の告示につきまして,本日,改正の諮問をさせていただきたいというものでございます。
 諮問の内容につきまして,以下,資料2-2を御覧ください。1枚目は,今回の諮問文でございます。2ページ以降につきましては,別紙1から別紙4まで続いていきまして,各改正省令ないし改正告示につきまして,その改正の要綱を付しているものでございます。
 まず2ページ,別紙1は,大学設置基準の改正の要綱でございます。その第一でございますが,専門職学科とする学科等といたしまして,大学の学部の学科のうち,専門性が求められる職業を担うための実践的かつ応用的な能力を展開させるものは,専門職学科とすると,このようにいたしまして,ただし,その対象といたしまして,医学,歯学,薬学臨床,獣医学を履修する課程に係る学科につきましては,対象から除外することといたしております。
 また,二でございますが,専門職学科のみで組織する学部は,専門職学部といたしまして,これらによりまして,専門職学部及び専門職学科の設置根拠を定めるものでございます。
 その上で,第二以下は,専門職学科に係る設置基準の特例でございますが,こちらは基本的には専門職大学の設置基準におきまして,既存の大学とは異なる取扱いとしていた内容,そのうち特に学部又は学科単位での縛りとして定めているものにつきまして,今般,専門職学科の方にもその内容を取り入れているものでございます。
 具体的な内容,1,教育課程等につきましては,まず教育課程の編成方針といたしまして,(1)では,実践的かつ創造的,応用的な能力を展開させる教育課程を編成するようという配慮事項についてです。(2),(3)につきましては,こちらにつきましては,職業の動向に即した教育課程の編成や,その不断の見直しを行うことについての規定を置いているものでございます。
 その下,ローマ数字2,教育課程連携協議会でございますが,こちらにおきまして,産業界及び地域社会との連携により,専門職学科の教育課程を編成し,及び円滑かつ効果的に実施するため,教育課程連携協議会を設けるものといたしておりまして,(2)以下,その構成及び審議事項について定めているものでございます。
 続きまして,3ページでございます。ローマ数字3,専門職学科の授業科目でございますが,専門職学科を設ける大学は,次の丸1から丸4に掲げる授業科目を開設するものといたしておりまして,一般・基礎,職業専門,展開及び総合の4つの科目の規定をいたしております。
 なお,このうち丸1の一般・基礎科目につきましては,専門職大学の方の設置基準では,ここは単なる基礎科目としていたところでございますが,専門職学科では,今,より幅広く深い教養等を培う授業科目,いわゆる一般教養のような授業科目等につきましても,これに含み得る形にアレンジをいたしまして,一般・基礎科目として再設定しているものでございます。
 その下,ローマ数字の4でございますが,専門職学科に係る卒業の要件につきましては,まず丸1で,一般・基礎,展開,職業専門及び総合科目に係る所要の必要単位数について。丸2につきまして,丸2,丸3では,実習重視の教育課程とする趣旨から,卒業単位として,実習等による四年制であれば,40単位以上の修得を義務付けることともに,更にそのうち,最低20単位は企業等における臨地実務実習,インターンシップ等により修得させることを定めているものでございます。
 その下,ローマ数字の5,入学前の実務経験を通じて修得した実践的な能力についての単位認定でございますが,学生が入学する前に,実務の経験を通じ,実践的な能力を修得している場合において,教育上有益と認めるときは,当該実践的な能力の修得を授業科目の修得とみなして,30単位を超えない範囲で単位を与えることができることとするものでございます。
 3ページの下の方,漢数字の二,教員でございますが,その1,専任教員数につきましては,学部の種類及び規模に応じ定める専任教員数に関し,より小規模な学科を想定した基準を専門職学科については追加することとしております。詳細につきましては,5ページの表丸1の方にまた別添を付けさせていただいております。
 次に,3ページの下の2,実務の経験等を有する専任教員でございますが,専門職学科に係る必要専任教員数のうち,学部の種類及び規模に応じて定める専任教員数のおおむね4割以上につきましては,いわゆる実務家教員,おおむね5年以上の実務の経験を有し,かつ,高度な実務の能力を有するものとすることを定めております。
 その上で,(2)といたしまして,実務の経験等を有する専任教員のうち,(1)の必要数の2分の1以上は,この丸1から丸3に掲げております要件に該当します,いわゆる研究能力を併せ有する実務家教員とすることといたしております。
 また,(3)といたしまして,(1)で定めました必要実務家専任教員数の2分の1の範囲内については,いわゆるみなし専任教員とすることも定めております。
 その下,漢数字の三,学生でございますが,専門職学科に係る入学者選抜につきましては,実務の経験を有する者その他の入学者の多様性の確保に配慮した入学者選抜を行うよう努力義務化しているものでございます。
 また,ローマ数字の2でございますが,同時に授業を行う学生数は,原則として40人以下とすることについての規定を入れております。
 その次,漢数字の四,施設設備等でございますが,専門職学科につきましては,校舎面積に係る基準の特例を入れることとなります。詳細は6ページ及び7ページにございます表の丸2にあるとおりでございます。こちらにつきましては,後で詳しく御覧いただければと思いますが,概要といたしましては,4ページの四,1の(1)にございますとおり,専門職学部については,基準校舎面積及び加算校舎面積に関し,より小規模の学部を想定した基準を追加するというものです。
 また,専門職学部に係る校舎面積について,卒業に必要な臨地実務実習を実施するに当たり,実習に必要な施設の一部を企業等の事業者の施設を使用することにより確保する場合その他の相当の事由があると認められる場合には,教育研究に支障がない限度において,必要校舎面積を減ずることができることとするものでございます。
 また,その下,ローマ数字2にございますとおり,臨地実務実習その他の実習に必要な施設を確保することについての規定も入れることとしております。
 4ページの下,第三,専門職大学の制度化に伴う規定の整備につきましては,より技術的な所要の規定整備となりますが,専門職学科の制度化に伴い,新たな学位の種類として,学士(専門職)の学位の種類が定められたことに伴いまして,大学の助手となることのできる者の資格につきまして,従来は学士の学位を有する者が助手になる旨の規定があったわけでございますが,今般,同様に,学士(専門職)の学位を有する者についても,助手となることのできる者に含める折を,所要の規定の追加を行うものでございます。その他,関連の所要の規定の整備を行うことといたします。
 第四,施行期日でございますが,これは専門職大学と同じく,平成31年4月1日からの施行といたしております。
 次に,8ページを御覧ください。8ページは,短期大学設置基準の改正要綱,別紙2となっております。短期大学についても,大学と同様,専門職学科に関する特例等を定めております。その内容は専門職大学設置基準の改正事項とほぼ重なるものでございますが,違いといたしましては,11ページを御覧いただければと存じます。
 11ページ,改正事項の第三及び第四の部分でございますが,小規模学科のための基準の整備及び入学前の実務経験を通じた実践的な能力修得についての単位認定につきまして,先ほどの将来構想部会の論点整理の中にも関連の記述が一部ございましたが,専門職学科だけではなく,短期大学全般についての制度改正として今回措置をいたすものでございます。地域における高等教育機会の確保等々の観点から,より小規模な学科等も作りやすくするための基準の改正につきましては,短期大学については全体に流用というものでございます。これが短期大学設置基準等についての改正の概要でございます。
 その次,13ページに移りますが,別紙3は,高等専門学校の設置基準の改正要綱でございます。高等専門学校につきましても,所要の規定の整備ということでございますが,助手の資格につきまして,今般,専門職大学及び専門職短期大学の制度化に伴い,助手となることができる者の資格として,学士(専門職)又は短期大学資格(専門職)の学位を有する者を追加することといたします。
 最後に,14ページを御覧ください。14ページは告示でございます,学位の種類及び分野の変更等に関する基準の改正の要綱でございます。今回の改正の内容は,こちらの第一の部分に書いてあるとおりでございますが,現在,大学等の学部・学科の設置につきましては,学位の種類及び分野の変更を伴わないものにあっては文部科学大臣への届出,それ以外のものにあっては文部科学大臣への認可に係らしめる。分野の変更等があるものについては,認可に係らしめることとされているところでございますが,今般,この専門職大学,専門職学科の制度が制度化されることに伴いまして,既存の学科から専門職学科への転換ないしはその逆につきましては,これにつきましては,分野及び種類の変更等々にかかわらず,すべからく認可の対象とするよう,所要の規定の整備を行うというものです。この点につきましては,専門職学科の課程を修了した者に授与する学位は,専門職学科以外の学科の課程を修了した者に対し,授与する学位とは分野が異なるものとして取り扱うこととし,すべからく設置認可に係らしめるようにする。そのための所要の基準の整備を行いたいと思っているものでございます。
 以上が改正の内容でございまして,そのほか資料2-3として上げさせていただいているものは,今般の専門職学科に係る基準の特例等について,全体を整理させていただきました1枚紙でございます。
 説明は以上でございます。よろしく御審議のほどお願いいたします。
【永田分科会長・部会長】  説明ありがとうございました。それでは,御意見,御質問等お受けしたいと思います。いかがでしょうか。
 これは大学設置の方で,機関設置の方で大分議論しました。それを全部,学部・学科の方に落としているので,大きなことはありません。さっき言ったように得られたところの,告示のところの学位名称の付記なんかが出ております。それはもともとそれに類するものを持っている学科を転換させる場合があるので,そこは明確に書いている。
 佐藤委員,どうぞ。
【佐藤委員】  一つ質問だけです。専任教員数の表がありますけれども,これは通常だと,1表,2表みたいな扱いがあって,2表教員というのが全体の2というところにありますが,その扱いをどのようにしておりますか。
【塩原主任大学改革官】  今般,専門職学科に係る特例として,特に手を入れているのは,別表第1の学部の種類及び規模に応じて定める教員数の方についてのみでございます。別表1の方につきましては,これは大学全体の規模に応じて定める教員数でございまして,あくまでも学科単位ないし学部単位としての特別の規定としての専門職学部・学科という形で定めましたので,これに伴って,所要の措置,影響を受けるのは別表1の方という形での整理をさせていただいております。
【永田分科会長・部会長】  古沢委員,どうぞ。
【古沢委員】  ありがとうございます。この設置基準の改正のところで,短期大学の小規模学科のための基準の整備というところが,1番の専任教員数を入学定員が短期大学設置基準に定める数に満たない場合に,その2割の範囲内において兼任の教員に代えることができるということの目的と,改正によってどのような効果又は結果が見込まれるのか,具体的に伺えればと思います。
【塩原主任大学改革官】  現行の短期大学の設置基準におきまして,専任教員数の定め方につきましては,学科の種類によって違いますが,例えば入学定員が100人までは何人,ないしは,50人までは何人以上というように定めておりまして,例えば100人までと定めてある学科については,それ以上,より小さい規模の収容定員で学科を作ったとしても必要専任教員数は,それ以上は減らないというそういう仕組みになっております。
 しかしながら,実際には地方の短期大学等で100人も1学年で学生を集めるのが難しいというような,もうちょっと小さい規模で作りたいというような構想がございまして,18歳人口が減っていく中で,地域においてダウンサイジングしながらでもきちんと維持していけるようにするためには,こういったところにつきましては,兼任教員等を使う形によってきちんと設置もできるようにしていこうといった狙いで,2割の兼任という規定を入れようということでございます。
【永田分科会長・部会長】  分野によっては,普通に想定されるような学科に募集するような数にならないいというものもあります。,財政的な基盤については,認可のときに大学設置設置・学校法人審査会で財政基盤を見ますので,改正の要綱の中身ではなくて,設置基準の全体の方でチェックする部分がありますので,そこはそのままで精査いただくということです。
【古沢委員】  分かりました。
【永田分科会長・部会長】  そのほか,いかがでしょう。吉岡委員,どうぞ。
【吉岡委員】  以前から問題になったことですが,学位名称は,学士(専門職)に統一されるのでしょうか。それともいろんな分野についてはどのような形で学位名称が,学位等に書かれることになるのでしょうか。
【塩原主任大学改革官】  学位につきましては,大学におきます学位の種類とは,学士でございます。大学の専門職学科でございますので,種類は学士でございますが,その後に括弧で付します専攻分野の名称の分野で,専門職学科に係る特徴出しをしていくことを考えております。
 ,学士の後に続ける括弧の中ですが,丸丸専門職というような形にしまして,括弧の中にやっぱり専門職という文字を必ず入れること。加えまして,その丸丸の部分につきましては,例えば今までの大学ですと,工学とか農学となっているところにつきまして,この専門職学科の専攻分野につきましては,例えば工業や農業といったような職業産業分野として記載していくという,こういった方向性で考えているところでございます。
【永田分科会長・部会長】  ありがとうございます。それでは,この案件は,中央教育審議会の運営規則第3条2項の規定によって,大学設置基準等の改正に係る事項は,大学分科会の議決をもって審議会の議決とする。つまり,北山会長に最終的に中央教育審議会から文部科学大臣に答申を頂くという,そのようになっております。
 そこで,議決は大学分科会の委員で決を採らせていただきますので,事務方から定足数について確認をお願いします。
【堀野高等教育政策室長】  大学分科会の委員及び臨時委員数は28名でありまして,本日,21名が御出席ですので,過半数という要件を満たしております。
【永田分科会長・部会長】  ありがとうございます。それでは,今,御説明のあった内容の大学設置基準等の改正について,御了解いただけますでしょうか。
                                  (「異議なし」の声あり)
【永田分科会長・部会長】  ありがとうございます。それでは,異議なしと認めまして,この先,プロセスを進めさせていただきます。どうもありがとうございました。

(3)専門職大学院設置基準等の改正について,事務局から資料3に基づき説明があり,その後意見交換が行われた。
【永田分科会長・部会長】  次の議題は専門職大学院設置基準等の改正についてでございます。これは大学分科会の下に大学院部会というのが置かれておりまして,更に専門職大学院ワーキンググループというものが置かれて,その中で,専門職大学院制度の全体の見直しについて議論をされてきています。その機能強化をどのように図るかといった議論の中で,本分科会の委員である有信委員が主査をお務めになっているワーキンググループであります。そこから一定の結論を得たということですので,まず事務方から御説明を頂いて,その後,有信委員から補足説明等をお願いしようと思います。
 それでは,御説明をお願いいたします。
【大月専門職大学院室長】  専門教育課の大月と申します。お手元に資料3,専門職大学院設置基準等の改正について(案)を御用意願います。
 1の経緯でございます。専門職大学院ワーキンググループにおいては,高度専門職業人の養成を目的とし,実践的な教育を行うこととして,平成15年度に制度化された専門職大学院について,制度を発足して10年以上経過した中で,現状,課題を踏まえて,具体的な改善方策について検討が行われてきました。
 昨年8月にまとまった報告書については,本分科会にも審議状況を踏まえて,昨年6月と9月に御報告させていただいておりますが,報告書では,アドバイザリーボードの設置等について提言がなされ,専門職大学院においては,学校教育法等の改正により教育課程連携協議会が設置されることになりました。
 一方で,教員組織については,昨年の8月の報告書の抜粋を付けておりますが,更に検討すべきとされたことから,本年1月より教員組織の在り方の具体的な改善方策について,専門職大学院ワーキンググループで4回の審議を重ね,先般,大学院部会においても改正方針について御了解を得られましたので,本大学分科会において御審議をお願いするものでございます。
 5ページの専門職大学院設置基準等の改正について(案)「概要」をごらんください。改正案は3つの事項から成り立っておりまして,一つ目は,丸1,ダブルカウント(専門職学位課程と他の課程との兼務)でございます。
 まず,真ん中にあります兼務のイメージを御覧ください。左の恒常的措置という図にありますように,修士課程の必要専任教員は,現行は博士課程,学士課程との兼務が全員認められているところでございます。一方で,真ん中,専門職学位課程の必要専任教員は,現行では博士課程との兼務は全員が認められておりますが,学士課程との兼務は全く認められておりません。改正案の恒常的措置としては,下の方にありますが,専門職学位課程と修士課程の必要教員数の比較図にありますように,学士課程との連携強化や他分野との連携促進による高度専門職業人養成機能を強化するため,専門職学位課程についても,同分野の修士課程で必要となる教員数については,学士課程との兼務を認める一方で,教育の質を確保する観点から,専門職学位課程が修士課程から上乗せで必要となる教員については,学士課程との兼務は認めないとするものでございます。
 この改正方針については,後ほど補足説明をさせていただきます。
 移行措置の部分でございます,各大学の研究科のポリシーとして,高度専門職業人養成を掲げ,修士課程から専門職学位課程の以降等について検討している大学もありますが,現行制度では,修士課程に在籍する学生の指導を行いながら,専門職大学院への円滑な移行ができないという意見がございます。
 つきましては,改正案の移行措置として,修士課程又は専門職学位課程から新たな専門職学位課程に移行する際には,開設後,5年に限り,先ほどの恒常的措置と同様に,算定の基礎となる修士課程の必要教員数の範囲内で兼務を認めるものでございます。
 続きまして,ページをおめくりいただきまして,6ページ目を御覧ください。丸2の法学分野における専門職学位課程間の教員基準の緩和でございます。法学分野における修士課程の教員基準について,研究指導教員を5人以上置くこととされておりますが,公法,私法などに分割した際には3人以上置くこととし,軽減されております。このことを踏まえまして,グローバル化対応やリカレント教育の必要性に鑑み,法科大学院以外の法学分野の専門職大学院の開設が出てきました。また,その開設が促進されるように,改正案では研究科に法科大学院以外の法学関係の専門職学位課程を設ける場合,法科大学院を除きまして,算定の基礎となる研究指導教員数を5人から3人とするものでございます。
 続いて,丸3のみなし専任教員の要件緩和でございます。専門職大学院に配置しなければならない実務家教員については,各分野の第一線で活躍している者などに,大学院教育に積極的に参画することを促すため,3分の2の範囲内においては,1年につき6単位以上の授業科目を担当し,かつ,教育課程の編成,その他課程を置く組織の運営について責任を有する者に変えることができるとされております。しかし,実態は,分野によって差はありますが,みなし専任教員が最も活用されている会計分野でも14%にとどまっていることから,改正案はみなし専任教員の要件の担当単位数の下限を現行の6単位から4単位にするものでございます。
 なお,今年1月から4回開催されました専門職大学院ワーキンググループの議論の大半は,ダブルカウントについての議論でございました。それをまとめたものが資料の2ページ目から3ページ目になります。
 2の改正方針でございますが,これは一つ目と二つ目の丸は,専門職大学院の制度の発足時の考え方と制度発足時に暫定的に学士課程との兼務等を認めたことについて記載したものでございます。中ほどの三つ目の丸以下に今回改正しようとする趣旨が記載されております。学士課程とのダブルカウントを認めないことによって,専門職大学院における教育に専念する教員の確保が図られる一方で,学部との連携や学際連携が図りづらいため,高等教育機関としての発展が阻害されているとの指摘がございます。
 その下の丸でございますが,このように教員組織が分断されたことにより,同分野の学部と専門職大学院との教育課程における連携が促進されず,教授会の縦割りが構築され,学部生が専門職大学院に進学する機会を狭めているとともに,専門職大学院の実践的な教育手法等を学部教育にも活用することが進まない一因ともなっております。
 その下の丸でございます。これは個別の分野の事情でございます。専門職大学院となっているような法科大学院,教職大学院,臨床心理系の専門職大学院など,職業資格に関係する専門職大学院については,中央教育審議会やその他の委員会でも,学部との連結が不可欠であるとの指摘がなされる中で,現行制度では,教員組織が分断されていることから,連携できる範囲に限界があるということでございます。先ほど申し上げたように,算定の基礎となる修士課程の必要教員の範囲内で兼務することによって,学部教育に対しても専門職大学院で行われている質の高い実践的な教育手法等を還元することができ,専門職大学院のみならず,学部教育の質的向上も期待できるとしております。
 3ページ目でございます。一番上の丸でございますが,現在でも専門職大学院の教員が関連する学部において兼担教員として,いわゆる学内非常勤と呼ばれますが,授業を担当することは,一般的に行われているところでございます。しかし,当該学部の専任教員でないため,学部の運営に参画することは困難となっており,また,大学の中には専任教員でなければ,学部のゼミ等担当することができないとしているところもあるということでございます。
 一つ飛ばしまして,上から三つ目の丸でございますが,学部との兼務を一定程度認めることにより,専門職大学院の教育の質の低下につながるのではないかという懸念への対応でございます。専門職大学院については5年に一度,分野別の認証評価を受けることになっておりますが,各分野別の評価基準において,教育負担が過度にならないように確認する基準が設けられております。
 さらに,冒頭に御説明いたしましたように,専門職大学については,新たに教育課程連携協議会の設置が義務付けられまして,教育課程の編成に関する基本的な事項や教育課程の実施状況の評価に関する事項を審議されることになります。このことから毎年度,複数の外部からの視点による教育の質の保証に関する仕組みが設けられることになったため,大学の判断によって,学部との兼務について一定程度認めることが適当ということで取りまとめられたところでございます。また,教育課程連携協議会の活動状況は,新たに認証評価で評価されることになります。
 加えて,本ダブルカウントの改正が認められ場合,文部科学省として毎年度行っております専門職大学院の実態調査の中で,効果的な活用事例等も含め,ダブルカウントの活用状況を調べつつ,本大学分科会の下での特別委員会やワーキンググループにおいて,専門家の先生方に専門職大学院の質の保証ができているかなどを確認していただくことを検討してまいりたいと考えているところでございます。
 また,御審議いただきたい改正点がもう一点あります。こちらは7ページ目でございます。こちらは法科大学院特有のことで,入学者選抜に関する改正でございます。
 2の改正方針を御覧ください。法科大学院は,21世紀の司法を支える法曹を養成するため,基本的な考えの一つとして,多様なバックグラウンドを有する人材を入学させることとし,専門職大学院設置基準19条に,多様な知識又は経験を有する者を入学させることを努力義務として規定しました。
 さらに,その下の告示にありますように,入学者のうち,法学系課程以外の課程を履修した者,又は実務等の経験を有する者を3割以上入学させることが努力義務としてされております。
 ページをおめくりいただきまして,8ページ目を御覧ください。一つ目の丸でございますが,法科大学院はこれらの規定を踏まえ,入学者の多様性の確保に取り組んできたところでございますが,本年4月の入学者の状況を確認すると,法学系課程以外の出身者又は実務経験者の割合は25%にとどまっております。
 その下の丸でございます。法学課程以外の出身や実務経験を有する入学者は増やすべきではありますが,法科大学院全体として志願者が急激に減少する中で,法学系課程以外の出身者や実務経験者の志願者全体を上回るペースで減少していることから,法学系課程以外出身者や実務経験者を一定割合以上入学させることを求める努力義務を課し続けることは,入学者の質の確保の観点から適当でない状況になっております。
 つきましては,専門職大学院設置基準においては,引き続き入学者の多様性を確保する努力義務は課しつつ,法学系課程以外の出身者又は実務経験者を3割以上入学させる努力義務を定めている告示を削除することとし,これを来年度の入学者選抜から適用させるよう,改正の検討を進めたいというものでございます。
 なお,本分科会の下にある法科大学院等特別委員会においては,法科大学院と法学の連携,法学系課程以外を対象とする教育,いわゆる未修者教育について抜本的な改革案を御議論いただいているところでございます。法科大学院全体としての司法試験の合格率を上げるなどの課題を克服することにより,法学系課程以外の出身者や実務経験者を含めて,法曹志望者,法科大学院の志願者の回復につなげていきたいと考えております。
 説明は以上でございます。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
【永田分科会長・部会長】  ありがとうございます。それでは,有信委員,何か追加はございますでしょうか。
【有信委員】  事務局から非常に詳しく説明してくれたので,内容について補足することはありませんが,恐らくこれは聞かれた方で,大学の関係者以外には何のことを言っているのか分からない話だと思います。その辺で少し分かりやすく説明,補足をさせていただきますが,最初の専門職大学院に関する3点については,もともと専門職大学院というのは,専門職課程として教育に専念するということで,教員の定員数も通常の修士課程の定員数よりも必要教員数が多く設定されています。
 また,そこでの教育に専念するということで,ほかの課程,例えば学部ですと,学部の教員との兼任は禁止されています。もちろん設置後,10年間,ダブルカウントをしてもいいという緩和措置はありましたが,原則的には禁止されていました。
 そのような状況において,専門職大学院は比較的大学の中で孤立した形で多くの教員を抱え,教育を進めてきましたが,実際には学部との連携が全くないということで,例えば法科大学院のように学部教育がかなり重要な部分を占めていたり,あるいは法学部そのものが将来の法曹を養成するという役割も担っていることを考えると,やはり法学部の教員で,なおかつ,法科大学院の教員であるということが,教育効果を上げるという点で非常に効果的だろうという議論が主にありました。
 それから,教職大学院のようにほとんどが教職大学院に移行するというときに,やはり学部との連続性がきちんと担保されないところもある。あるいは特に国家資格に結び付くようなところでも学部教育の中で基礎的なことをきちんとやらなければいけないが,実際に専門職という観点からそれをきちんと見る必要がある等々の必要性の議論があり,学部との兼任も認めた方がよいのではないかという話になりました。
 ただ,これも野放図に認めると,従来の修士課程と何にも変わらないということになりますので,専門職大学院の必要教員数のうち,修士課程での必要教員数程度までは,学部の教員を兼ねても構わないということに至り,これを緩和しようということであります。もともと博士課程の兼任に関しては,自由に認められていたということであります。
 それからもう一つは,法学分野における専門職課程と専門職大学院,これも非常に分かりにくいと思いますが,法科大学院の教員と,例えば法学課程の中でリカレント教育を主に行うため,特別の課程を設置しようというときに,そこの課程の教員と法科大学院の教員との間の兼任をある程度認めないと,これは実際に教育が円滑に進まないということです。少なくとも教育内容についてはかなり重複する部分があるので,これを可能にするということが2番目の話です。
 それから,3番目のみなし専任教員について,現在は6単位を教えるということがみなし専任教員の必要条件になっていますが,6単位を教えようと思うと,かなり負担が大きいということと,やはり本当に活躍されている実務家に教員として教えてほしいと,そういう観点からすると,非常に忙しい人に無理をして来てもらうので,6単位は厳し過ぎるのではないかという議論を行い,当面4単位にしましたが,6を4にして楽になるかという議論はいまだにあります。
 ただ,4単位にするとかなり楽になるという意見も,実務家の方々からは寄せられたので,4単位に見直すこととしました。ただし,専任教員であるからには,専門職大学院の経営に対して責任を持っていただくということで,教授会等への関与はきちんと持ってもらうという条件は変えていません。
 それから,最後の法科大学院の3割までは多様なバックグラウンドを持った人を入学させるという条件を,その3割という数値条件を撤廃したいというものです。これは現在,法科大学院特別検討委員会で審議をされていることでありますが,実質的に3割という数値を達成するために,無理に入学をさせているのではないかという懸念もあり,できるだけ,ただし,多様なバックグラウンドを持った法曹を養成するという理念は決して崩すわけではないという趣旨です。このような条件の下で,ただ,数値条件だけは削除すると,今,議論か進んでいるということであります。
【永田分科会長・部会長】  ありがとうございました。
 そのほか,御意見,あるいは御質問ございますでしょうか。
 特に前半部分は緩和の方向で,当然だとは思います。非常に重要なのは,教育の質が保証された状態をしっかり見ていかないといけないということだと思います。実際,専門職大学院を持っているところの先生方は少しやりやすくなるというイメージはありますが,もう一度申し上げますが,質が落ちないように努力をしないといけないということです。
 それでは,特段意見がないということでしたら,パブリックコメント等に進ませていただきます。また,具体的な法令改正については,後ほどパブリックコメント等を終えた後にお諮りするということにさせていただきます。

(4)人生100年時代構想会議,地方大学の振興及び若者雇用等に関する有識者会議最終報告について,資料4及び6に基づき事務局から説明があり,その後意見交換が行われた。
【永田分科会長・部会長】  それでは,最後に,人生100年時代構想会議と,それから,地方大学の振興及び若者雇用等に関する有識者会議について,それぞれ最終版に近いものが出てきているということですので,先に事務局から説明をいただいて,若干御議論あるいは御質問等受けようかと思います。そして,その後,「新しい経済政策パッケージ」について,説明いただくということにさせていただきます。
 それでは,事務局から資料4及び資料6を続けて御説明ください。
【堀野高等教育政策室長】  それでは,資料4を御覧ください。11月30日に開催されました人生100年時代構想会議の資料でございます。議題としては,リカレント教育と大学改革の2点について取り上げられております。
 ページをめくっていただきまして,横書きの資料1が事務局から提出された資料でございます。
 ページをめくっていただきますと,初めのグラフが四年制大学への25歳以上の入学者の割合を見ると,日本は他国と比較して割合が低いということ。それから,次のページに,民間企業における1人当たり教育訓練費は,90年代以降,漸減傾向にあり,人的資本の蓄積に不安があるということ。
 次の3ページ目に,企業規模にかかわらず,正社員と比較して,正社員以外への能力開発機会が乏しい。企業規模が小さいほど,計画的なOJT及びOFF-JTの実施割合が低いということでございます。
 4ページ目,自己啓発の状況として,正社員,正社員以外ともに7割強が問題があるということ。正社員が挙げた理由としているのは,仕事が忙しくて自己啓発の余裕がない。費用が掛かり過ぎること。正社員以外が挙げた理由としては,家事・育児が忙しく自己啓発の余裕がないということでございます。
 次に,社会人の学び直しに関する企業の意識として,企業は,従業員が大学等で受講することについては,専門性の向上,幅広い知識の習得,やる気の向上の点で高い評価を行っている。ただ,企業が従業員の大学等での就学を認めていない場合,その主な理由として,本業に支障を来すため,教育内容が実践的ではなく現在の業務に生かせないためというのが挙げられております。
 そして,その他に,アメリカにおけるオンライン教育の状況がございまして,次のページには,JMOOCについての資料でございます。
 そして,8ページ目から大学改革について,18歳人口が減少する中で,私立大学の増加により,大学数が増加した結果,直近では4割強の私立大学で定員割れという状況です。
 それから,次のページが我が国の学生の学修時間ということで,アメリカと比較しての学習時間が短い。1割の大学生は授業以外では全く学修をしていない。
 そして,その次,10ページが高等教育に関する情報公開の例として,諸外国では高等教育について,卒業率,学生・卒業生の満足度,就職率,学修時間,家計収入別コストなどを比較可能な形で公表しているということでございました。
 最後に11ページ目で,大学の教育課程に関する決定の在り方について,教育内容の決定や改善は学部教授会が主導しており,外部有識者の意見を参考にしているのは9%にすぎないというデータが出ております。
 そこから以降は,委員の方々からの意見で,リンダ・グラットン先生の資料が付いておりますが,リカレント教育の重要性について御説明をされたところでございます。資料3については,高橋委員からの1枚紙の縦のA4の資料がありますが,これはやはりリカレント教育の重要性,また,大学改革については,やはり学修時間が短い。必要な成果の見える化が必要。経営への外部人材の登用の促進,ガバナンス改革など経営力強化に取り組む必要がある。また,ファカルティ・ディベロップメントの推進,あるいは大学教育の成果を明らかにするための手法の検討,私学助成の効果分析や定量的指標による配分の見直しの検討を行うべき。また,連携を議論する場,また,撤退,事業承継を含め,経営の在り方を決める,こういった議論がなされております。
 次のページ,資料4が本部会の委員でもあります松尾委員からの資料でございまして,3ぽつのところに五つ書いてございますが,経済的困難を抱える向学心に燃えた優秀な人材への支援,そして,密度の高い学修を確保するなど,大学における教育の質保証を確立すること。
 人生100年時代,デジタル技術の急速な進歩・普及で激変する社会において必要な「学び直し:リカレント教育」のための環境整備を産学官挙げて構築すること。
 3番目に,産業形態が今後,大規模集積型から地域分散型へとパラダイムシフトする中で,全国の配置されている国立大学は産業振興と地域創生の核として積極的な役割を果たすため,外部の意見を聞きながら自己改革を加速させる。
 そして,4番目に教育の多様性拡大,リソースの有効活用のため,オンライン教育などの遠隔分散型教育システムの活用を図ること。
 そして,5番目に,国立大学においては,新しい価値を創造する力,社会と連携する力,コミュニケーション能力,リーダーシップを兼ね備えた人材,特に博士人材の育成を強化し,企業や社会において積極的に活用されるよう産学官が連携して推進すること等々について,御意見を述べられております。
 更にページをめくっていただきますと,何枚かの後に,早稲田大学,これはワーキンググループでもプレゼンをしていただきましたが,早稲田大学における総合的な社会人教育の取組について紹介を鎌田委員からされております。
 そして,その後に,連合,逢見委員からリカレント教育及び高等教育の改革の在り方につきまして御説明されているところでございます。
 そして,その後に,資料7がございまして,その後に,文部科学大臣からの資料がついております。めくっていただきまして,その1ページ目に大学改革について,大きく三つ,教育・研究の質保証,大学経営基盤の強化,連携・統合等の推進,そして,三つ目にリカレント教育の抜本的な強化とリストがございまして,その下に矢印で,今後具体的方策について,人生100年時代構想会議における議論を踏まえつつ,中央教育審議会等において関係者の意見も聞きながら引き続き検討ということで,この審議会との連携を図ることが書いてございます。
 次のページには,「多様な年齢層」の学びの拠点としての高等教育改革ということで,1枚,プレゼンテーションが付いております。
 100年構想会議については以上でございます。
 続きまして,資料6でございます。地方大学の振興及び若者雇用等に関する有識者会議の最終報告です。23区問題等についてでございます。これは12月8日に最終報告がまとめられたところでございまして,1枚めくって,目次を見ていただきますと,基本的な問題認識,それから,3として地方創生に資する大学改革の方向性,4として,今後の取組みとなっております。
 今後の取組みのところで御説明をしたいと思いますので,12ページを御覧いただきたいと思います。12ページから今後の取組みでございますが,今後の取組みとして,柱書きにありますように,丸1から丸4,地方の特色ある創生のための地方大学の振興。丸2として,東京の大学の定員抑制,丸3,東京における大学の地方移転の促進,丸4として,地方における若者の雇用の創出についてでございます。このような取組みを継続的かつ総合的に実施していくためには,法律等でその内容を規定すべきであるとしております。
 そして,一つ目の地方大学の振興ということでいろいろ考え方が書いてございますが,2ページ先の14ページに,新たに創設する地方創生のための交付金について書いてございます。14ページの最初の丸ですが,2行ありまして,2行の最後,その上で,成功例にしていくものについては,首長のリーダーシップの下で,産官学連携の推進体制を構築し当該推進体制が地域の中核的な産業の振興やその専門人材育成などの振興計画を策定できるものとする。そのうち地方創生の優れた事業として国が認定したものに対し,新たな交付金による支援するとされておりまして,現在,予算要求もなされているところでございます。
 その後,ページをめくっていただきまして,17ページですが,真ん中に,東京圏と地方の大学の学生の対流・交流とございます。これは早稲田大学の取組,それから,桜美林大学で長年にわたり沖縄の大学で国内留学を進めて,一定の実績を上げている。こうした東京圏と地方の大学の学生との相互の対流・交流を進めるという仕組みを作っていくことが重要ということが書かれております。
 1ページめくっていただきまして,18ページから,(2)東京の大学の定員抑制とございまして,その次の19ページの丸のところで,「以上のような」というところですが,近年学生数の増加が著しい東京都特別区(23区)においては,学部・学科の所在地の移転等も含めて,原則として大学の定員増を認めないこととする。ただし,定員の抑制に当たっては,東京の国際都市化に対応する場合や,若者の東京圏への転入増加につながらない場合のように,真(しん)にやむを得ない場合は例外扱いとすることは差し支えないとされております。
 そして,具体的な取組み,丸2というところで,抑制の対象ということですが,二つ目の丸にありますとおり,例えば大学院につきましては,抑制の例外とすべきであるということ。その次の丸として,専門職大学については,原則として,抑制の対象とすることも考えられるが,新たな学校種であるということもありまして,次のページに掛かりますが,一定の期間,例えば5年程度,新設を認めるということも考えられる。専門職学科についても同様の扱いにするかどうかについてはいろいろ御意見があると考えられております。
 そして,20ページ,スクラップ・アンド・ビルドということで,東京23区内に所在する学部・学科の収容定員の総数の増加を伴わない学部・学科の改編等,スクラップ・アンド・ビルドについては,23区内の学生が増加・集中するということではないので,抑制の例外とすべきである。
 そして,その次の下に,「これらのことを踏まえ」という3行がありますが,新たな学部・学科を新設することに伴い,旧来の学部・学科を廃止する移行期間については,一時的に収容定員の総数が増加することを認めることも考えられる。
 そして,その次の丸で,短期大学から四年制大学に転換する場合,専門学校が専門職大学・専門職短期大学を設置する場合,大学全体や一部を統合等する場合などは,今の収容定員を生かして,全体が増えないということであれば,抑制の例外とすべきであるということ。
 それから,21ページの上のところには,現在,認可事項となっていない学内の学部・学科間の収容定員の振り替え,収容定員増を伴わないキャンパス移転等による東京23区の定員増も含めて,抑制の対象とすべきである。
 そして,その次に,例外として,一つ目の丸が留学生について例外とする。二つ目の丸で,社会人,なおというところで,通信教育,夜間学部についても例外とする。その次の丸で,校舎等の施設又は設備の整備を行うなど,必要な投資を行う場合で,既に収容定員増について機関決定を行い,公表している場合は,抑制の例外とするべきであるということ等々が書かれております。
 その後,22ページの大きな(3)では,東京における大学の地方移転の促進ということで,サテライトキャンパス等々が書かれておりますが,23ページの頭のところで,サテライトキャンパスの地方移転に関しては十分マーケティングリサーチを行い,既存の地方大学の学部・学科との競合が起きない学部・学科や,新たなニーズがある地域への移転等,単なる学生の取り合いにならないようにするということ。
 最後,(4)ということで,地方における若者の雇用の創出ということについて,幾つかの提言が書かれているところでございます。
 説明は以上でございます。
【永田分科会長・部会長】  ありがとうございました。この資料4と資料6の内容については,何度もいろいろな方面からお聞き及びのことかと思います。我々は直接関与して,これを直すということはもちろんできないわけでありまして,今後の我々の将来構想に資するという観点で,御意見等あればお伺いしたいと思います。
 地方創生の方も以前は余り企業が頑張るという項目がありませんでしたが,大分後ろの方に書き込まれるようになってきています。それから,東京における大学の地方移転は,現場で競合しないようにするべきというのは難しいと思いますが,当然,東京へ行く,切磋琢磨(せっさたくま)するものであるし,ある程度の競合がないと,よりよい学生も集められないとは思うのですが,全く同じということもないかもしれませんので,この形なのかとは思って聞いていました。
 いかがでしょう。益戸委員,どうぞ。
【益戸委員】  今,永田部会長が若干お触れになりましたが,競争があっても私はいいと思います。競争がないと,質は向上しないと思っておりまして,例えば地方に行って,県内企業ばかりではそれ以上のことはなくて,県外企業なり,大手企業が入ってくることによって,質の向上やサービスの向上が図られると思います。教育も同様ではないかと思っていて,資料6の23ページ,上の方のサテライトキャンパス地方移転に関しては,十分なマーケティングリサーチを行い,競合が起きないようにするというのではなくて,十分なマーケティングリサーチを行い,必要な教育がなされているかどうかということをリサーチするべきではないかと感じました。
【永田分科会長・部会長】  同感でございます。
 黒田委員,どうぞ。
【黒田委員】  ありがとうございます。この2本とも報告を見ますと,産業界からの要望によって大学はこうあるべしということがよく書かれています。ところが,大学の場合は,産業界の生産力低下というのは日本にとって非常に重要なことでありますが,それにもまして,私はやはり大学としての基礎研究が落ち込んでいることを一番心配しています。だから,中央教育審議会としてはこの辺をどうするか。産業界の要望だけで,即戦略になるような技術開発ばかりやっていたのでは駄目なので,この辺をしっかり中央教育審議会として,また別の形でやっていただきたいと思っています。
【永田分科会長・部会長】  黒田委員,大変力強い御意見ありがとうございます。それは先ほど高等教育の将来像の中で,なかなかほかのところでは出てこなかった研究力の充実と,世界の中でポジションの低下が目立つので,何とかしようという文言を何とか込めて,今後の課題にしていきたいと思います。どうもありがとうございます。
 そのほか,いかがでしょうか。松尾委員,どうぞ。
【松尾委員】  2点申し上げたいのですが,1点は,ここは高等教育の話なので,直接触れられることはありませんが,この人生100年時代構想会議の中でも,これは幼児教育から高等教育,それから,その後のリカレントまでずっと続いた教育ですが,特に子供が減ってくるという中で,この私の意見の中にも書かせていただきましたが,意欲があって,学ぶ意欲があって,かつ,優秀な学生だけど,経済力がないと。どういうことかと言うと,要するに,高等教育に入ってくるまでの学生の質を社会全体で高めるということが非常に重要ではないかということで,結構この100年会議で議論されていて,本日の会議の中で盛り込めるかどうか分かりませんが,そういうことが1点です。それから,二つ目は,リカレント教育といったときに,リカレント教育を推進するような企業側や出口の問題です。リカレント教育をした後に受皿がないと誰も行きませんので,こういったことは結局,教育機関だけではなくて,産学官が将来ビジョンを持ってしっかり考えてやっていく必要があるということが重要でありまして,この本日の論点整理の中にも若干書いてありますが,そのあたりのところも強調していただくとよいと思います。
【永田分科会長・部会長】  ありがとうございます。将来構想の方に何とか生かす形にしたいと思ってはいます。五神委員,どうぞ。
【五神委員】  教育システムについて考える際には,20~30年のスケールの中でどのように世界が動いていくかを捉える必要があります。過去30年間の変化を踏まえて,この先30年を考えますと,知識集約型への変化,すなわち価値創造,経済活動の軸が,物から知識や情報に移っていくということが,経済・産業の形を大きく変えていきます。物が価値の中心の社会では,まず土地を買い,次に工場を建て、機械を導入するというような形で産業活動が起こったのですが,知識,情報が中心となる社会では,ゼロに近い投資から大きな経済価値が生まれてくる形が主流になっていきます。しかも,重要なことは、その成長には、ストックよりも微分が効くということです。隣の大国である中国の状況は,1960~70年代の状況と現在とでは大きく違っています中国は規制をゆるやかにする中で,まずビジネスを興して,放任主義で育て、何かが起こると国の力で閉じる,ということができるので,新しいビジネスをどんどん開発できます。そのような環境で,例えばバイドゥ,アリババ,テンセントのような企業が桁違いの規模の投資をして,その資金が大学にも流れているのです。
 他方,日本は財政的にきわめて厳しい状況で,また国際的に経済活動が変化する中で,これまでに培ったストックを活かしながら,どのような人材を育てていかなければならないかということについて,地政学的な観点も含めてスピード感を正しく捉えてビジョンを描かないと,全く無意味な議論になってしまいます。
 中国の状況については,最近詳しく話を聞く機会がありましたが,2年前に聞いた話と,去年聞いた話と,先週聞いた話が全く異なるので、変化のスピードの速さを感じます。例えば深圳の開発の仕方や,そのスピード感などを捉える中で,今,我々に何ができるのか,正しく捉えなければなりません。地方の活用は必須だと思います。地方には活用できる産業インフラが既に仕込まれているからです。松尾委員のご意見にもありましたが,知識集約型社会に向けて,具体的な議論を加速することは,これまで積み上げた地道な議論を経済活動に活かすために必要です。
 その際,これから若者をどのように育成するか,ということだけではスピード感が出ないので,リカレント教育が極めて重要です。特に重要なことは,現在の産業構造を前提とする中でどのようなリカレント教育を行うかということではなく,リカレント教育により新しい産業をどう興していくかを考えなければなりません。大学は従来のように人を育てて社会に送り出す「人材の発射台」であるだけでは役割を十分に果たしたとは言えません。新しい知識産業を興す場として機能するためにリカレント教育等をどのように仕込んでいくかというような,新しい前向きな議論を少しでも進めていくことが,ここでの議論を対外的に説得力あるものにするために必要ではないかと思います。
【永田分科会長・部会長】  ありがとうございます。我が国全体の高等教育の分布とか規模の中で,今,五神委員が言われたことは,いよいよ本気で皆さんでやらないといけなくて,2040年を目指して,これは始めているわけですが,出た瞬間から効力を持つように作らなければならないので,その両面をうまく持った形を最終的には作らなければならない。
 何とかそこの前段のところまでは大体皆さんのコンセンサスが得られつつあるという中で,いよいよ,今度は提言をしなければならないので,前向きに何を言っていくかということを今後議論していく必要があるということであります。
 千葉委員,どうぞ。
【千葉委員】  ありがとうございます。大学の本質的な話ではありませんが,先月,シンガポール国立大学を含め,3大学,見学に行ってまいりまして,いろいろ詳しく話を聞いてまいりましたが,留学生を15%上限に受け入れておりまして,その留学生の学費について,奨学金制度が充実しておりました。卒業後,3年間,シンガポールで労働した場合には,その奨学金を返さなくていいということで,大変大きな奨学金が付いておりまして,一般的に非常に高額な学費を自分で払うという留学生ももちろんいるわけですが,留学生が2種類いるという状況が分かりました。
 10年後の2027年には,我が国の生まれる子供の数は80万人と予測がされているわけですが,生産労働人口の減少ということを考えて,また,多様な文化に対応するということも考えて,留学生に対する新たなそういう助成措置のようなものもこれからの計画の中に入れていきたいなという思いを込めて,発言をさせていただきます。
【永田分科会長・部会長】  ありがとうございます。数を増やせばいいわけではないので,そこで留学生の質について同時に語らなければいけなくて,それは大学全体の規模の話の中でも当然出てくる内容になると思います。
 要は,世界は今,優秀な人を競争で取り合っている構図になっているわけですから,そういう観点でも当然これからの何か月かつらい思いをしながらというのはそういうのも入っている。
 それでは,時間が迫ってきましたので,これはほかのところの会議なので,皆様の情報ということで差し上げたということにさせていただきます。

(5)新しい経済政策パッケージについて,事務局から資料5に基づき説明があり,その後意見交換が行われた。
【永田分科会長・部会長】  次は更に情報提供になりますが,新しい経済政策パッケージが閣議決定されておりまして,閣議決定について知っておこうということで,事務局から資料5の簡潔に御説明いただきたいと思います。
【堀野高等教育政策室長】  12月8日に閣議決定をされました新しい経済政策パッケージについてでございます。ページをめくっていただいて,目次にありますとおり,人づくり革命の中に,高等教育の無償化とございます。生産性革命の方にはSociety5.0の社会実装等々についても書いてございます。
 この高等教育の無償化について御説明いたしますと,ページを開いていただきますのが2-4と書いてあるページがございます。そして,3の高等教育の無償化ということで,この初めの方には,これまでやってきた有利子から無利子への流れや給付型奨学金を設けた等々,書いてございまして,その一番下のところに,貧困の連鎖を断ち切り,格差の固定化を防ぐため,どんな貧しい家庭に育っても,意欲さえあれば,専修学校,大学に進学できる社会へと改革する。所得が低い家庭の子供たち,真(しん)に必要な子供たちに限って高等教育の無償化を実現するとあります。このため,次のページで,授業料の減免措置の拡充,併せて給付型奨学金の支給額を大幅に増やすと書いています。
 そして,その具体的な内容として,3行目にありますが,支援措置の対象は,低所得世帯に限定する。
 第一に,授業料減免については,その3行下に,住民税非課税世帯の子供たちに対しては,国立大学の場合はその授業料を免除する。また,私立大学の場合は,国立大学の授業料に加え,私立大学の平均授業料の水準を勘案した一定額を加算した額までの対応を図る。1年生に対しては,入学金についても免除する。
 第二に,給付型奨学金については,学生生活を送るために必要な生活費を賄えるような措置を講じる。家計急変にも含めて対応する。また,全体として,支援の崖・谷間が生じないよう,住民税非課税世帯に準ずる世帯の子供たちについても,準じた支援を段階的に行い,給付額の段差をなだらかにするとしております。
 次に,支援対象者の要件として,成績だけでは判断せず,本人の学修意欲を確認する。また,進学後は,学修状況について一定の要件を課し,満たない場合には支援を打ち切る。そして,次のページ,2-6として,支援措置の対象となる大学として,この支援措置の目的は,大学等での勉学が就職や起業等の職業に結び付くことにより,格差の固定化を防ぐ。そして,社会で自立し,活躍できるようにすることであるという観点から,その下に,学問の追究と実践的教育のバランスが取れている大学等を対象とするということで,丸1として,実務経験のある教員による科目の配置。丸2として,外部人材の理事への任命が一定割合を超えていること。丸3,成績評価基準を定めるなど厳格な成績管理を実施・公表していること。丸4として,法令に則(のっと)り財務・経営状況を開示していること等々を要件として,これから関係者の参加を得て議論して,ガイドラインを策定する。そして,実施時期については,2020年4月から実施するということで,詳細が決まっていないことについては検討を継続し,来年夏までに一定の結論を得るとなっております。
 以上でございます。
【永田分科会長・部会長】  ほかにも高等教育に産業構造とか就業構造に関して述べられている部分もありますが,これは閣議決定の内容です。我々としては,そこに書かれていることに基本的に,高等教育支援,高等教育を受ける者への支援については多分反対はありませんが,その詳細設計というのはこれから出てきますので,注視していかなければならないと考えています。
 これについて意見はございますでしょうか。
 小林委員,どうぞ。
【小林委員】  内容についてはいろいろ評価するべき点も,評価したくないところもありますが,私が質問したいのは,中央教育審議会の諮問のように,学生の経済的支援が入っています。これは本部会において今後議論するということになりますが,これとこの閣議決定とはどういう関係になっているのでしょうか。関係者の参加の下で検討するというのは,この内容だけの話なのか。中央教育審議会との関係がよく分からないので,お答えいただければと思います。
【堀野高等教育政策室長】  具体的な制度設計については,これからどのような形でその関係者の参画を得た体制を作るか,今,検討しているところでございまして,そこである程度の案を作ったり,議論を進めていく中で,適当なタイミングで中央教育審議会の先生方にも御意見を伺いながら,決めていきたいと考えております。
【永田分科会長・部会長】  そのような文部科学省の希望です。ですから,希望ではなくて,本当にそうなるように,そういう努力を我々はしていかないといけないだろうと思っております。
 よろしいですか。吉岡委員,どうぞ。
【吉岡委員】  今のこの支援の具体的内容のところ,例えば算定基準などのことでいろいろ議論があるところだと思いますし,支援対象者のGPA等々をどう考えるかというのはあると思いますが,よく分からないのは,その後の対象となる大学等の要件というところがあって,例えば実務経験の科目とか外部人材の理事への任命等というのは,大学のやるべきことです。ある大学へ入ったら,これは満たされていない大学で,こっちが入っていると満たされているという場合に,それによって支給が変わってしまうというのは制度設計としておかしいのではないかと思いました。
【永田分科会長・部会長】  小林委員も同じようなことをおっしゃっているわけでありまして,教育システムそのものに,奨学金側から影響が出てくるのは,それは文部科学省としても,我々としても筋違いだろうということです。ただ,我々が議論した結果,そのようになったという場合があるかどうかという問題はあるので,そういう部分は多分,小林委員も同じ御意見ではないか思います。是非とも,我々としては教育の高いレベルでの維持発展を目指す形での議論をしないといけないということだと思います。
 それでは,本日はここまでとさせていただきまます。お忙しい中,お集まりいただきまして,どうもありがとうございました。これにてお開きとさせていただきます。                 

                          ―― 了 ――

お問合せ先

高等教育局高等教育企画課高等教育政策室