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21世紀において人類は様々な世界的課題に直面する。地球温暖化を始めとする地球環境問題は、人類の将来の生存と繁栄にとって重要な課題である。2026年には地球の気温は2度上昇すると言われているが、地球温暖化が地球環境にどのような影響を及ぼすのか、科学的知見を集積して対応することが必要である。資源保全も重要な課題である。先進諸国の人は穀物や食肉の摂取分まで含めると一日に2千リットルの水を使っているというデータもある。さらに、人口増加問題も深刻な課題である。1900年には16億人であった世界の人口は1970年には30億人を突破し、1980年には40億人を超え、2000年には60億人を超え、今や64億人に達している。このうち、80パーセントが発展途上国に居住し、約20パーセントの12.5億人が収入が1日1ドル以下のいわゆる絶対的貧困層である。この絶対的貧困層の多くはアジアとアフリカに分布しているが、これらの地域には十分な教育や就業の機会が保障されていないところもある。このような貧困は社会的不安定要素となって地域紛争やテロなどの新たな世界的課題を生み出している。 1.科学的データをベースにした政策形成過程の強化 先のグレンイーグルズ・サミットにおいては気候変動問題が重要な議題として取り上げられ、全地球観測システムの推進や、情報アクセス及び科学的能力の開発などが行動計画に盛り込まれた。このように、世界的課題の解決に向けた政策決定のプロセスにおいては、科学的データの妥当性を検証していくことが今後益々重要となってくることから、科学コミュニティーの果たす役割は格段に高まるものと予想される。このための制度的枠組みなど、必要な取組みを推進していくべきである。 2.持続可能な発展に向けての我が国の役割 地球温暖化を始めとする地球環境問題への対応や、人類と共存し得るエネルギー源の確保、水などの資源保全が世界的課題となっている現代において、人類が生活レベルを維持しつつ、次世代も含む全ての人々に、より質の高い生活をもたらすことができるような持続可能な発展を目指すことが重要である。中国やインドなど、人口が多く、なおかつ、近年目覚しい経済成長を遂げている国では、今後経済成長に伴って膨大な量のCO2(二酸化炭素)が排出される可能性がある。ここにおいて、我が国がこれまで蓄積してきた資源環境技術は大きな役割を果たし得るであろう。さらに、例えば、環境効率や資源生産性を飛躍的に向上させた生産体系を我が国として確立することにより、途上国の発展に寄与するなど、20年、30年後を見据えた我が国の世界への貢献を積極的にアピールしていくことが重要である。
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