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【別紙2】


○ 我が国の高等教育の将来像(答申)(短期大学関係抜粋)

第3章  新時代における高等教育機関の在り方
  1  各高等教育機関の教育・研究の質の向上に関する考え方
(1) 大学
(ケ) 短期大学の課程

 短期大学の課程は、ユニバーサル段階の身近な高等教育の一つとして、また、地域と連携協力して多様な学習機会を提供する、知識基盤社会での土台づくりの場として、新時代にふさわしい位置付けが期待され、短期大学の課程の積極的な改革が期待される。これらの点を踏まえつつ、短期大学における教育の課程修了を学位取得に結び付けるよう制度改正を行うことが適切である。

 18歳人口の減少や女子の4年制大学志向の高まりなど、短期大学を取り巻く社会や時代の変化の中で、短期大学は他の高等教育機関と異なる個性・特色の明確化に一層努める必要がある。
 従来から、短期大学の課程の機能としては、1教養と実務が結合した専門的職業教育、2より豊かな社会生活の実現を視野に入れた教養や高度な資格取得のための教育、3地域社会の必要に根ざしながら社会人や高齢者などを含む幅広いライフサイクルに対応した多様な生涯学習機会の提供等が挙げられてきた。昨今の各種職業資格の高度化の動向等を勘案すれば、12の機能は事実上一体化して重要性を増しており、3の機能はさらに充実が望まれる状況にあると考えられる。
 短期大学の課程は、ユニバーサル段階の身近な高等教育の一つとして、また、地域と連携協力して多様な学習機会を提供する、米国のコミュニティ・カレッジのような知識基盤社会での土台づくりの場として、新時代にふさわしい位置付けがなされることが期待される。また、そのような位置付けにふさわしい実質を十分に備えるべく、短期大学の課程の教育の積極的な改革が期待される。
 学位取得のための教育と技能・資格取得のための教育の性格の違いを内容面から特徴付けるのは教養教育であり、短期大学における教養教育は、4年制の学士課程における教養教育と同様に、自己の人間としての在り方・生き方にかかわる教育であると考えられる。短期大学の課程の教育上の特色は、こうした「大学における教養教育」を幅広い学習需要に的確に対応したアクセスしやすい形で提供する点にあると考えられる。
 また、短期大学を含めた大学における実務教育・職業教育は、教養教育の基礎の上に立ち、理論的背景を持った分析的・批判的見地からのものである点で、他の機関により提供される実務教育・職業教育とは異なる特徴があるものと考えられる。短期大学関係者は、4年制の学士課程に準ずる実質を備えた短期大学の課程の教育上のこうした特徴を一層明確化するよう、教育の充実に不断の努力を傾注する必要がある。
 短期大学は、今後とも、教育内容・方法や経営状態に関する積極的な情報開示や充実した事後評価の仕組みの確立等による社会的信頼・評価の確保に努める必要がある。
 以上の点を踏まえつつ、短期大学における教育の課程修了を学位取得に結び付けるよう制度改正を行うことが適切である。
 学位の名称については、我が国の学位の沿革や構造、諸外国の短期高等教育の課程に係る学位の名称など関連する要素が多岐にわたるとともに、今後は、大学制度について、短期大学も含めて学位を授与する課程を提供する場としての位置付けを明確化していく方向が望まれること、学校制度体系の現状に即してできるだけ一般に分かりやすい表示が求められること等を総合的に勘案して、「短期大学士」とすることが適当と考える。


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