○ |
高等教育の中核をなす大学は、将来の全人格的な発展の基礎を培うためのものであり、技能や知識の習得のみを目的とするのではないという大学教育の基本的特性を明確にすべきである。また、大学教育(学部段階・大学院段階を含む)としてのコア部分の整理を通じて、「大学とは何か」ということも明確化すべきである。 |
○ |
「大学とは何か」を明確にし、今後の高等教育の展開を考えていく上で、学校教育法第52条に規定する大学の目的の単一性と実際の大学の多様性との関係をどう整理するかが重要となる。 |
○ |
19世紀ドイツ以来の「フンボルト的大学観」は我が国の大学の在り方に大きな影響を与えてきたが。この考え方は、研究と教育を一体的に結合させるという大学の本質を明確にする役割を果たしてきたものの、大学人を第一義的に研究者であると自己規定し、研究成果の披瀝が最高の教育であるとする考え方は、主として少数エリートに対する大学教育の時代を想定前提として成立するものであり、21世紀の今日ではもはや歴史的意義を有するに止まるのではないか。フンボルト以外にも注目すべき大学観として、例えば、オルテガが1930年頃のスペインの社会状況を前提として大学の使命を 教養教育 専門職業人養成 「それに加えて」科学としたものや、米国のクラーク・カーが著書「大学の効用」(1963年初版)の中で現代の大学を教育・研究・社会サービスの多機能を持った「マルチバーシティ」と考えたこと等が挙げられる。大学観も時代や社会状況に応じて変貌していくべきものと考えられる。 |
○ |
大学は歴史的には教育と研究を本来的な使命としてきたが、我が国の大学に期待される役割も変化しつつあり、現在においては、大学の社会貢献(地域社会・経済社会・国際社会等、広い意味での社会全体の発展への寄与)が強調されるようになってきている。当然のことながら、教育や研究それ自体が長期的観点からの社会貢献であるが、近年では、公開講座や産学官連携等を通じた、より直接的な貢献が求められるようになっており、こうした社会貢献の役割を、言わば大学の「第三の使命」として捉えていくべき時代となっているものと考えられる。 |
○ |
このような新しい時代にふさわしい高等教育大学の位置づけ・役割に関し、社会人受入れの推進等の生涯学習機能や地域社会・経済社会との連携も視野に入れる必ていくことが重要がである。
|
○ |
こうした人材の育成とともに、社会の発展、文化の興隆や国際競争力の源泉となるのは、活発な学術研究である。
|