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戦後、我が国の高等教育は急速に拡大し、量的側面での「ユニバーサル・アクセス」は実現しつつある。しかし、人的物的資源が必ずしも十分でないままでの急拡大が質的充実を伴ってきたとは言い難い。18歳人口が低位安定期を迎える中では、個性に乏しい数多くの高等教育機関が単一の市場(18〜21歳の日本人フルタイム学生=「伝統的学生」の獲得)を巡って競争するという状況は、社会全体としての効率性の点で問題が大きい。新時代の高等教育は、全体として多様化し、学習者の様々な需要に的確に対応(複数の市場を開拓)して個々の高等教育機関が自らの資源を重点的に投入することで質的な向上を図り、質的側面でも「ユニバーサル・アクセス」を実現することが求められている。 |
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近年、教育内容の改善や充実を図って高等教育機関の個性や特色を明確化する様々な改革が続いている。この結果、多様化が進む中で大学とは何かといった本質や、高等教育機関間の個性・特色の違いが不明確になってきているとの指摘がある。ユニバーサル段階の高等教育は学習者の多様な需要に対応するため、各学校種ごとの個性・特色を一層明確にしなければならない。 |
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大学・短期大学・高等専門学校・専門学校等が、各学校種ごとに、それぞれの位置づけや役割を活かした教育を展開するとともに、各学校種の中においても、各高等教育機関が個性・特色を明確化することが重要である。 |
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高等教育機関のうち大学は、全体として
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世界的研究・教育拠点 |
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高度専門職業人養成 |
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幅広い職業人養成 |
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総合的教養教育 |
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特定の専門的分野(芸術、体育等)の教育研究 |
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地域の生涯学習機会の拠点 |
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社会貢献機能(地域貢献、産官学連携等) |
等の各種の機能を併有するが、。各大学ごとにはこれらの機能のうち一部分のみを保有するのが通常であり、複数の機能を併有する場合も比重の置き方はは異なる。その比重の置き方が即ち各大学の個性・特色の表れとなり、る。各大学は、固定的な「種別化」ではなく、保有するいくつかの機能の間の比重の置き方の違い(=大学の判断に基づく個性・特色の表れ)に基づいて、緩やかに機能別に分化していくものと考えられる。 |
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例えば、 や の機能に特化して大学院の博士課程や専門職学位課程に重点を置く大学もあれば、 の機能に特化してリベラル・アーツ・カレッジ型を目指す大学もあってよい。大学全体としての多様性の中で、個々の大学が限られた資源を集中的効果的に投入することにより、個性・特色の明確化が図られるべきである。 |
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また、高等教育機関間の連携協力による各機能の補完や充実強化も、必ずしも設置形態の枠組みにはとら捉われずに促進されるものと考えられる。
例えば、地域の大学間の連携によるコンソーシアム方式での単位互換制度の充実や、学問分野を超えた融合領域形成のための共同運営型の大学院組織間の設置連携等が考えられる。 |