資料1 中央教育審議会 大学分科会(第21回)H15.7.9 |
(第20回大学分科会(15.6.25)までの意見) |
高等教育の将来構想(グランドデザイン)についてのこれまでの 主な意見と論点例 |
総論 |
○ | グランドデザインには、基本憲章、基本法のように形態の理念的なコアをなすものと、コアを受けてその実現に向けた具体的な計画の2種類があると考えればよい。 |
○ | 平成10年に出た『21世紀の大学像と今後の改革方策について(答申)』がグランドデザインだったのではないか。 |
○ | グランドデザインを示すことにより画一化しないようにすべき。 |
○ | グランドデザインとは、タテ(教育期間)の多様性とヨコ(社会が求める分野毎の需要)の多様性を、高等教育政策として決めることではないか。 |
○ | グランドデザインの検討に当たっては、人間の生涯発達の視点を重視すべき。 |
主な論点例について |
1.これまでの高等教育改革 |
○ | グランドデザインを検討するに当たっては、これまでの大学審議会や中央教育審議会の答申により、大学改革がどのように進んだのかを整理すべき。 |
○ | グランドデザインが求められるのは、様々な改革をやった末にどういう大学像、高等教育像が現れてくるのかが見えないからではないか。これまでの改革の結果、大学がどのように変わって、どのような姿に見えてくるのかがわかるように検討すべき。 |
○ | 高等教育とは何か、大学とは何か、大学院とは何かといったグランドデザインを持った上で規制緩和などに対応すべき。 |
○ | 質の問題はあるが、各大学が様々に工夫し学ぶチャンスを提供して、高等教育が普及してきたということは肯定的・積極的に評価したい。 |
2.今後の高等教育の在り方を考える視点 |
○ | グランドデザインの第一の理念は、「社会的な要請への対応」である。社会の変化の動向を見通し、それに応じた高等教育機関のありようをまず第一に考えるべき。 |
○ | 大学のグランドデザインは社会のニーズの把握と、それに応えているかを社会的に判断する仕組みが重要。グランドデザインは教育効果の変化を踏まえて議論するべき。 |
○ | グローバル化や情報化、市場化といったメガトレンドと教育改革を直接結び付けるのには無理がある。まずは、メガトレンドに伴い日本で現在進行中の社会変化について議論する必要がある。例えば、人口変動や産業・職業構造の変化に伴い何が求められるかといったことを実証的に議論すべき。 |
○ | 日本が直面している高齢化や競争力の低下等の状況を考えると、教育の機会を幅広い年齢層に提供することを考える必要がある。そのために大学や大学院はどうあるべきか、企業内研修や企業の教育機関が果たす役割をどう考えるか、また、高等教育機関の生涯学習機能について検討すべき。 |
○ | 急激な少子高齢化、生産年齢人口の減少ということを重視してグランドデザインを検討するべき。 |
○ | 大学を世界に開くことにより、日本やその大学自身のことがよく分かるようになる。 |
○ | 18歳人口の7割が高等教育を受けている現状において、その教育内容をどう考えるのか、また、残る3割の人達への教育機会の保障をどうするのかということを考える必要がある。 |
○ | 大学卒業者の就職問題についても検討すべき。少子化の中で、入学者を地域から集め、卒業者も地域に返していくという大学が増えていく必要がある。 |
○ | グランドデザインを描く際に経済の問題を考慮に入れないとミスマッチが起こり、大学は出たけれども働く場が無いということになってしまう。 |
○ | 大学の使命としては、人格の形成、文明全体の継承、知的生産の活動という3つの分野があると思う。 |
○ | 教育の目的は、倫理性の高い品位ある市民社会を形成するということである。 |
○ | 21世紀は知の時代と言われ、科学技術一本槍の時代から人間性を尊重する時代になってくる。その中で高等教育をどのように考えていくのかが重要である。日本の文明をどのように継承し、維持していくのかということが基本にならなければならない。 |
○ | グランドデザインを考える際に重要なのは国家的ポリシー、戦略である。 |
○ | 社会の要請や学生のニーズを踏まえ、高等教育は幅広く多様性に富んでいる方がよい。 |
○ | 「世界最高水準」という目標を第一に掲げるのはやめるべき。全ての大学が「世界最高水準」を目指すということは現実的ではない。多様な大学を育成することこそ今後の第一の目標である。 |
○ | グランドデザインを示すことにより画一化しないようにすべき。(再掲) |
○ | 高度の学問研究を推進する大学、職業的専門性を持った教育を行う大学、教養教育を重視する大学の3つに分けて考えるべき。 |
○ | コミュニティカレッジや高等教育が生涯学習に果たす役割等について議論すべき |
○ | カーネギー分類のような大学の分類を行ってみてはどうか。 |
○ | 政府の役割は財政の問題と評価の問題の2つが大きな柱になる。財政も、未来への先行投資であり重要であると何度も書かれているが、大学側としては実感が持てない。 |
○ | 先進国を中心として、質の保証ということが非常に大きな問題になりつつある。国の仕事として、高等教育機関の質の保証をどうしていくかということをきちんと考えていかなければならない。 |
○ | 評価について、自由で適正かつ効率的な仕組みを作るのは政府の仕事ではないか。 |
3.高等教育制度の在り方 |
○ | グランドデザインの検討に当たっては、大学の大衆化・一般化、個別化・個性化という切り口も考えられる。 |
○ | 大学制度について、明治以来のドイツ式でいくのか、全面的にアメリカ式に変えるのかということを議論すべき。 |
○ | 高等教育全体の中での学部教育の在り方について議論するべき。 |
○ | 分野にもよるが、学部と大学院修士課程を通じて、一貫して教育するということについて議論すべき。 |
○ | 大学の学部教育や大学院の位置付けを明確にしつつ、教育研究の在り方に重点を置いた議論をするべき。 |
○ | 学部における教育と専門学校における教育はどう違うのか、大学(学部)における教育とは何か、大学ならではの教育内容とは何かを議論すべき。 |
○ | 我が国では、大学学部で教養教育と専門教育を併せ行うという世界でもあまり例の無い形態が採られてきたが、それによる弊害も見られる。今後も大学学部の最低修業年限は4年間でよいのか検討するべきではないか。 |
○ | 日本の学部教育は密度が薄いのではないか。教養教育についても密度の濃いものにする必要がある。 |
○ | 学部段階の教育をどう考えるのか。教養教育と専門基礎教育はどのように違うのか、専門職大学院が発足した場合の学部教育はどうあるべきか、を検討すべき。 |
○ | 学部における教養教育、専門教育、専門基礎教育、専門職業教育の位置付け、在り方が問題となる。 |
○ | 学部における教育は、単なるスキルを教えるのではなく、ものの考え方といった基盤的なことをしっかりとやるべき。 |
○ | 本当に学びたい者だけが大学に進学し、大学側もきちんと教育を行う。そのかわり、学びたくなったときには学べるようにするといった仕組みができないか。 |
○ | 高等教育では科学技術等だけではなく、人を理解するという情的な面についても養成すべき。 |
○ | 学問や哲学、倫理は表裏一体のものであり、高等教育においても倫理といったものをベースに置いておくべき。 |
○ | 大学の使命としては、人格の形成、文明全体の継承、知的生産の活動という3つの分野があると思うが、大学改革の中で人格形成についてはほとんど議論されておらず検討すべき。(再掲) |
○ | IT関係では、大学でいくら技術を学んでも求められる技術は刻々と変化している。したがって、新しいものに自信を持って対応できる人材を育成することが重要である。 |
○ | 大学卒業者の就職問題についても検討すべき。少子化の中で、入学者を地域から集め、卒業者も地域に返していくという大学が増えていく必要がある。(再掲) |
○ | グランドデザインを描く際に経済の問題を考慮に入れないとミスマッチが起こり、大学は出たけれども働く場が無いということになってしまう。(再掲) |
○ | 大学院のグランドデザインが是非とも必要。大学院の在り方や教育機関としての明確な位置付けなど、大学院の建て直しが求められる。 |
○ | 大学院の位置付けをきちんとすべき。大学院は大学の一部なのか、附属機関なのか曖昧な形になっている。 |
○ | グランドデザインの検討に当たっては、大学院重点化や産学連携という切り口も考えられる。 |
○ | 「大学院重点化」の功罪を検討することが必要。大学院の規模が巨大化したことによる弊害が多い。 |
○ | 大学院の空洞化について議論すべき。大学院重点化以降、具体的にどれだけ学位授与が行われ、授与された院生がどういう仕事についているのか。人文社会科学の場合、なかなか学位を授与しない傾向にあるのはなぜなのか等について議論すべき。 |
○ | 人文社会科学系の大学院の場合、院生に対する教育が欧米に比べて十分ではなく、学位を取得するプロセスに厳しさが足りない。 |
○ | 研究者育成型の大学院における教育の充実を図るべき。 |
○ | 専門職大学院に対して一般の大学院をどうするのか。専門職大学院が発足したら、研究者養成の大学院をどうするのか議論すべき。 |
○ | 専門職大学院としてロースクールやMBA、将来はメディカルスクールなどが言われているが、さらに多様な分野が次々と出てくることも考えられる。専門職大学院についての考え方の整理が必要。 |
○ | 医学や歯学、薬学という人命を扱う職業が学部教育段階だけでよいのか。法科大学院との対比としても考えるべき。 |
○ | 産学官共同が進み、これまで基礎研究の場だとされてきた大学が応用研究の方にどんどん広がっているが、完全に応用研究の場になってもよいわけではない。基礎研究を活かすためにはどうすべきかについても検討が必要。 |
○ | 社会の要請や学生のニーズを踏まえ、高等教育は幅広く多様性に富んでいる方がよい。(再掲) |
○ | 社会のニーズは変化していくので、高等教育についてもフレキシブルなシステムを作る必要がある。アメリカのように、多様な大学があって、それが有機的に機能するようなシステムを考える必要がある。 |
○ | 大学の種別化がまさに重要。各機関の判断に基づき頑張れるような環境を整備するとともに、トータルの公財政支出額の中で、競争的な環境の中で頑張ったところにお金が落ちるようにすべき。そして、駄目なものはつぶすということでいいのではないか。 |
○ | 国公私を通じて、大学が大衆化すればその中で役割分担的なものができてくる。どういう社会的役割のメリハリを付けていくのか。 |
○ | リサーチユニバーシティとエデュケーション中心のユニバーシティとをどう仕分けしていくのかということが大切ではないか。日本では、リサーチユニバーシティ、博士課程を持つ大学が格があるかのように思われているが、はたしてそれでよいのか。 |
○ | 全ての大学が同じようなところを目指せと言われてもそれはできない。大学の体系を20くらい列記して大学に選択してもらうのがよい。 |
○ | 教員のパフォーマンスを高めるためにはテニュア制の導入、一律の定年の見直しを是非とも行うべき。 |
○ | テニュアや定年制の問題は各大学の判断に任せるべき。 |
○ | 大学教員は博士号取得を資格要件にすべき。 |
○ | 国としてどのような分野でどのような人材をどのくらいの量、養成するのかについて議論しないと、グランドデザインはできない。 |
○ | 我が国が国際競争力を持つためには優秀な人材を育成することが最重要であり、この観点での高等教育戦略が必要だ。従来は国立大学に重点を置いて議論を行っていたため、社会が必要とする分野の人材の数と大学が供給する人材の数とのミスマッチが起こっている。今後は、国公私立大学にまたがる戦略作りを行うことが必要である。 |
○ | これからの人材需給を示すのは難しいが、その変化に対応できるようフレキシブルな制度にしておくことが必要である。また、分野によっては、人材需給の展望をしっかり持って対応する必要がある。 |
○ | 現在人類が所有している知識をどのように社会が使いこなすかというソーシャルキャパシティーについての仕組みを作るべき。 |
○ | 専門職大学院についても、どの分野がどれだけニーズがあるのかという調査をしておく必要がある。 |
○ | 大学院の在り方の検討が重要。特に人文社会科学分野の改革が課題。この分野では欧米に留学し欧米のPh.Dを取得しないと国内でも国際的にも通用しない。我が国のPh.D課程が空洞化している。 |
○ | 大学院の空洞化について議論すべき。大学院重点化以降、具体的にどれだけ学位授与が行われ、授与された院生がどういう仕事についているのか。人文社会科学の場合、なかなか学位を授与しない傾向にあるのはなぜなのか等について議論すべき。(再掲) |
○ | 領域によっては多くの博士号を授与するようになるなどの変化がある。 |
○ | 短大の位置付けや教育内容について議論すべき。また、女性教育という視点を大切にすべき。 |
○ | 短大は減少し、専修学校は横ばいから上昇傾向になっている状況の中で、短大をどのように位置付けるのか。 |
○ | アメリカでは、短期大学での教育を受ける機会が低い学費であらゆる人に保障されている。日本の短期大学も、様々な学習機会を提供するようにする必要があり、また、地方公共団体との連携という視点も大事にしなければならない。 |
○ | 大学の本質から言えば普遍化、脱地域ということになるのではないか。短大における地域との関係、貢献の在り方を検討すべき。 |
○ | 助手の位置付けをどうするのかを考えなければならない。 |
○ | 留学生として、優秀な学生がキャリアパスとして入ってくるという大学にすべき。 |
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高等教育機関全体における専門職業教育の在り方を視野に入れた高等専門学校の位置付けをどう考えるか |
○ | 中堅技術者の養成という高専本来の目的を重視すべきではないか。 |
○ | 学部における教育と専門学校における教育はどう違うのかを議論すべき。(再掲) |
○ | 今すぐ必要なスキルについての教育は、大学や大学院ではなく、企業内教育や専門学校等に任せた方がうまくいくのではないか。 |
4.高等教育機関の設置形態と財政措置 |
○ | 国公私の役割分担をどのように考えるのか。国立大学や公立大学が法人化されると、国公私の境界が変わってくると思われる。 |
○ | 政府の役割は財政の問題と評価の問題の2つが大きな柱になる。財政も、未来への先行投資であり重要であると何度も書かれているが、大学側としては実感が持てない。(再掲) |
○ | 教育費用を個々の国民が負担する現制度のままでよいのか。 |
○ | 21世紀における高等教育の全体規模や学問分野のバランス、国公私立の役割分担、財政的な支援の在り方等をグランドデザインの内容に入れる必要がある。 |
○ | 予算に関わる問題、例えば国公私立大学が抱える老朽校舎の問題に対する手当については、大学審でほとんど議論できなかった。 |
○ | 政府だけが財政投入をするということではなく、高等教育の発展の基礎として、民間がいろいろな形で大学に寄附をするという文化が必要である。 |
○ | 私立大学と国立大学の競争条件を、イコールフッティングとしてどの程度同じにできるのかを考える必要がある。競争力を持つものが価値を占めていくための条件整備をどうするか。補助であろうと何であろうと、設置形態だけではなく、よい教育、研究を行うところに資金を出していくといったことが重要である。 |
○ | 国立大学は法人化したとしても税金投与の大学としての使命等もあり、そこはイコールフッティングについても、歩み寄りがあるのかどうかという議論をしなければならない。 |
5.高等教育機会の確保 |
○ | 21世紀における高等教育の全体規模や学問分野のバランス、国公私立の役割分担、財政的な援助の在り方等をグランドデザインの内容に入れる必要がある。(再掲) |
○ | 平成17年度以降の高等教育の規模などの将来構想を検討すべき。 |
○ | 地域間格差の問題を考えるべき。地方の国立大学をどのように考えていくのか。 |
6.高等教育の質の保証システムの構築 |
○ | 設置基準を緩和して事前規制から事後チェックへ移行するのはよいが、事後チェックに当たる評価システムがどうなっていくのかが見えない。 |
○ | 事前規制を緩和して事後チェックを行うということで本当に質の保証が図られるのか。質的に問題のある事例も生じてきているのではないか。 |
○ | 自己点検評価の実施と結果の公表は設置基準上義務化されているが、特に結果の公表については、公私立大学では70%程度との調査結果もある。今後は第三者評価が本格的に導入されることになるが、これできちんと対応していけるのか。 |
○ | 評価について、自由で適正かつ効率的な仕組みを作るのは政府の仕事ではないか。(再掲) |
○ | 高等教育における自由化・規制緩和には情報開示が重要で、その評価システムを作る必要がある。 |
○ | 先進国を中心として、質の保証ということが非常に大きな問題になりつつある。国の仕事として、高等教育機関の質の保証をどうしていくかということをきちんと考えていかなければならない。(再掲) |
○ | 大学の向上のためには、評価の質も問われる。少なくとも評価結果はオープンにして、検証を受けながら行う必要がある。 |
○ | 認証評価制度が機能するまでの間の質の保証をどうするか。 |
○ | 卒業生の質の保証をきちんとすべき。 |
○ | 卒業生を評価するのは社会・企業であり、企業がきちんと卒業生を評価して採用することが必要ではないか。 |
○ | 入学試験が入学時の学力保証の役割を担ってきたが、最近入試は厳しさが低下してきた。 |
7.国際化・情報化への対応 |
○ | 国際化・情報化については、これだけを議論するというよりは色々な議論のベースになるものではないか。 |
○ | 実験系を除いてほとんどの分野がe-learningでやれる時代になりつつある。そういうことをきちんと考えていかないと、グローバル化に取り残され、世界戦略に負けてしまう。 |
8.その他 |