資料3
中央教育審議会大学分科会 (第9回)H14.7.10 |
法科大学院の設置基準等について
中間報告答申(案)
平成14年4月18日
中央教育審議会
目 次
1 | はじめに | ||||||||||||||
2 | 設置基準関係 | ||||||||||||||
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3 | その他 | ||||||||||||||
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(1) | 課程(P:大学分科会の議論を踏まえて記述)
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(2) | 標準修業年限・修了要件
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(3) | 教員組織等
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(4) | 教育内容・方法等
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(5) | 施設及び設備
施設及び設備については,法科大学院の目的に照らし,第三者評価(適格認定)を受けつつ十分な教育効果をあげるためにふさわしいものとして整備されていることが必要である。その内容については,各法科大学院の創意工夫によることを基本とし,一律の数量的基準を設けるものではないが,例えば,自習室や模擬法廷などの施設の設置,図書館の夜間開館,コンピュータやマルチメディア教材などの情報機器や参考図書等の充実などが期待される。 |
(6) | 自己点検・評価,情報公開
自己点検・評価の実施,結果の公表等については,現行制度上,大学院の義務として位置付けられているところ(大学院設置基準第1条の2)であり,法科大学院についても,その教育水準の一層の向上を図る観点から,各法科大学院自らが教育の質的充実を進める責任があることを明確にするとともに,教育活動の透明性を高めるため,自らの教育活動の点検・評価の実施と評価結果の公表を義務として位置付けることが必要である。 また,上記の自己点検・評価の結果の公表とともに,日常的な教育活動等の状況について,刊行物への掲載その他広く周知を図ることのできる方法によって積極的に情報を提供することが重要である。 |
(7) | 第三者評価(適格認定)(P)
大学の評価の今後の在り方に関しては,大学の個性化と教育研究の不断の改善に向け,自己評価,外部評価,第三者評価(適格認定)を適切に組み合わせた多元的な評価システムを確立することが必要である。法科大学院に関しても,新たな法曹養成制度の中核的機関としての水準の維持・向上を図るため,設立時の設置認可の審査とともに,大学関係者や法律実務に従事する者,法的サービスの利用者等で法科大学院に関し広く高い識見を有する者で構成される機関による継続的な第三者評価(適格認定)を行うことが重要である。 その検討に当たっては,現在,中央教育審議会において,大学の質の保証に係る新たなシステムの構築に向けて設置認可の弾力化と大学設置後のチェック体制の整備について検討がなされており,一方,司法制度改革推進本部においても,第三者評価(適格認定)基準等についての検討が進められていることを踏まえ,両者の検討の整合性を確保する必要がある。 すなわち,法科大学院が学校教育法上の大学院として専門職大学院(仮称)の一つとされることにかんがみ,その第三者評価(適格認定)の在り方についても大学院評価制度全体の枠組みの中において位置付けられることが基本となるが,他方で,第三者評価(適格認定)の結果が新司法試験の受験資格の付与とも連動することも踏まえつつ,制度設計を行う必要がある。 その際の具体的な留意点としては,例えば,第三者評価(適格認定)の基準の内容及びその策定に係る国の関与,第三者評価(適格認定)機関の在り方,法科大学院創設時における第三者評価(適格認定)の取扱い,適格認定されなかった法科大学院に対する国の措置,第三者評価基準と設置基準との関係,などがあるが,今後,審議会意見の趣旨を損ねることの無いよう配慮しつつ,各方面における検討状況を見定め,更に検討する必要がある。 (注)司法制度改革審議会意見抜粋(審議会意見書P.70) 法科大学院における入学者選抜の公平性,開放性,多様性や法曹養成機関としての教育水準,成績評価・修了認定の厳格性を確保するため,適切な機構を設けて,第三者評価(適格認定)を継続的に実施すべきである。 法科大学院の第三者評価(適格認定)の仕組みは,新たな法曹養成制度の中核的機関としての水準の維持,向上を図るためのものであって,大学院としての設置認可や司法試験の受験資格とは,密接に関連しつつも,独立した意義と機能を有するものであり,評価(適格認定)基準の策定や運用等に当たっては,それぞれの意義と機能を踏まえつつ,相互に有機的な連携を確保すべきである。 |
(1) | 複数の大学が連合して設置する大学院(連合大学院)等
各大学において法科大学院を設置するに当たり,個々の大学では教員や施設設備等必要な教育条件を整備することができない場合や,個々の大学ではこれらの条件を整備できる場合であっても質量ともに十分な水準を確保できない場合などがあり得るが,このような事態に対応し,限られた人的・物的資源を有効に利用し充実した教育を行う観点から,複数の大学が連合して設置する法科大学院(連合大学院)も制度的に認められるべきである。その具体的な形態については,現行制度との整合性も勘案しつつ,検討することが必要である。 設置形態のパターンとしては, ![]() ![]() ![]() ![]() 検討に当たっては,独立した法科大学院としての一体的な運営の確保,教育水準の確保,学生の学習の便宜(無理のない履修形態の確保),安定的・継続的な運営の確保などに留意する必要がある。これらの点に照らすと, ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() これらを踏まえ, ![]() ![]() ![]() ![]() なお,法科大学院の教育の充実を図る観点からは,連合大学院の設置だけではなく,例えば単位互換などによる他の大学との連携や他の機関との連携により,多様な教育を展開することが必要である。 |
(2) | 奨学金,教育ローン,授業料免除制度等の各種支援制度
およそ法曹を志す多様な人材が個々人の事情に応じて支障なく法科大学院で学ぶことのできる環境の整備が必要であり,資力の十分でない者が経済的理由から法科大学院に入学することが困難となることのないように,例えば,文部科学省における奨学金事業,関係機関による法曹を目指す者を支援するための奨学金の仕組み,民間金融機関による教育ローンや債務保証の仕組み,各法科大学院における授業料免除の仕組みなど様々な支援の充実方策について,文部科学省をはじめ関係機関等において,具体的な検討が急務である。(参考資料5) いずれにせよ,その前提として,法科大学院が,法学教育,司法試験,司法修習を有機的に連携させた「プロセス」としての新たな法曹養成制度の中核になるとともに,高度専門職業人養成に向けた今後の大学院改革の方向性を位置付ける試金石となるものとして極めて重要な意義を有することについて,国民の理解を得る必要があることは当然である。 なお,標準修業年限に関連して既に述べたところであるが,修業年限を超えて在学することが予定される正規学生である長期履修学生の制度もまた,時間的余裕のない学生に対する支援方策として重要であり,各法科大学院において,公平性,開放性,多様性の確保を図る観点から,各法科大学院の判断により適切に対応していくことが期待される。 |
(3) | 入学者選抜
審議会意見でも述べられているように,社会人等として経験を積んだ者を含め,多様なバックグラウンドを有する人材を多数法曹に受け入れるため,法科大学院には学部段階での専門分野を問わず広く受け入れ,社会人等にも広く門戸を開放する必要がある。 このため,法科大学院の入学者選抜にあたっては,公平性,開放性,多様性の確保を旨として,入学試験のほか,幅広い分野における学業成績や学業以外の活動実績,社会人としての活動実績等を総合的に考慮する。 入学者選抜方法のうち入学試験に関しては,法学既修者と法学未修者との別を問わずすべての出願者について,適性試験(法律学についての学識ではなく,法科大学院における履修の前提として要求される判断力,思考力,分析力,表現力等の資質を試すもの)を実施し,それに加えて,法学既修者として出願する者に対しては,各法科大学院の自主性に基づき,法律科目試験(法科大学院の基礎的な法律科目の履修を 法律科目試験については,法律学の基礎的な学識を有しているかどうかの判断は各法科大学院が行うべきものであるが,各法科大学院が,独自の法律科目試験に代えて,若しくは独自の法律科目試験と併せて,又は第一段階選抜の方法として,共同で法律科目試験を実施し,その成績を法学既修者としての判定資料として用いることも考えられる。なお,法学未修者の選抜において,法律科目試験を実施することは認められない。 また,審議会意見の趣旨が十分活(い)かされるよう,各法科大学院が,多様性の確保のために必要な具体的な措置を提示することが必要であり,入学者選抜においても,法学部・法学科以外の学部・学科の出身者や社会人等を一定割合以上入学させるなどの措置を講じる必要がある。どの程度の割合が適切かについては,今後,第三者評価(適格認定)の在り方の一環として検討されるものであるが,入学志願者の動向等に応じて適宜見直されていくべきものと考えられる。 これらを踏まえ,入学者選抜手続のイメージとしては,例えば以下のように考えられる。
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(4) | 法学部教育との関係
今後,法曹も含め高度専門職業人を養成するためには,学生に,幅広い知識を身に付けさせた上で,職業上必要な高度の専門的知識・技術を習得させることが重要である。このため,学部段階では広い視野を持った人材の育成を目指す教養教育を中心とした教育プログラムを提供し,大学院段階では高度で専門的な教育プログラムを提供することなどが考えられる。 法学分野においても,法科大学院制度の導入後は,法曹養成に特化した専門教育は法科大学院で行うことになるため,学部段階においては,例えば,法的素養を中心とした教養教育に重点をシフトするもの,米国の主専攻,副専攻のように複数の学部・学科の専門科目を同時に履修できるようなカリキュラム上の工夫を行うもの,法曹以外の法律関係専門職の養成を中心にするものなど,多様な教育プログラムの展開が考えられ,法学部等が従来果たしてきた法的素養を備えた多数の人材を社会の様々な分野に送り出すという機能の一層の充実が期待される。 また,学部段階においては,優れた成績を収めた者に対して,大学院への学部3年次からの飛び入学や学部4年未満での卒業など早期に大学院に入学できるような仕組みが既に開かれている。ただし,これらの者について法科大学院での3年未満での短期修了を一般的に認めると,学部段階において法曹に必要な幅広い教養を身に付けることがおろそかになるおそれがあり,適当ではない。 法科大学院は,従来の法曹養成や法学教育の在り方についての深い反省に基づき,司法が21世紀の我が国社会において期待される役割を十分に果たすための人的基盤を確保することを目的として基幹的な高度専門教育機関たるべく構想されたものであり,法科大学院の具体的な制度設計及びその運用はこれにふさわしいものとならなければならない。したがって,例えば,従来の法学部教育を漫然と持続させつつ,法科大学院をその法学部教育の単なる延長線上にあるものと捉え,法科大学院が屋上屋を架すようなものになるとすれば,法科大学院構想の本来の趣旨に悖るものと言わなければならない。大学関係者は,法科大学院の在り方についてはもちろんのこと,学部段階における法学教育についても,今般の司法制度改革の趣旨・精神を想起しつつ,その趣旨・精神が活かされるよう格段の工夫を凝らすことが望まれる。 |