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資料3

財団法人大学基準協会の実施する認証評価(短期大学)に関する主な論点

1.達成度評価と水準評価について
 平成14年8月に公表された中央教育審議会答申「大学の質の保証に係る新たなシステムの構築について」は、認証評価機関の評価のあり方に関して、大学の理念や特色は多様であるため、各々の評価機関が個性輝く大学づくりを推進する評価の在り方に配慮するとともに、様々な第三者評価機関がそれぞれの特質を生かして評価を実施することにより、大学がその活動に応じて多元的に評価を受けられるようにすることが重要であるとしています。
 本協会では、短期大学が建学の精神や理念に基づき、短期大学の目的を明確に定めそれを具体化した教育目標を設定して、その達成に向けて組織・活動を不断に検証し、その充実向上に努めていくと同時に、高等教育機関として適切な水準を維持していく必要があると考えています。それゆえ、本協会が実施する認証評価では、前述の中教審答申が指摘するように、各短期大学が掲げる目的・教育目標を十分尊重した上でその達成状況や達成に向けた改善努力を評価するとともに、短期大学が最低限守るべき教育研究条件を充足しているかどうかの評価も行います。
 本協会では、前者を達成度評価、後者を水準評価と呼称して、これを本協会の認証評価の特質の一つに掲げています。

1 達成度評価について
 達成度評価では、当該短期大学が目的・教育目標の達成に向けてどのような努力を払っているか、またどの程度達成しているかという点から評価を行います。
 その具体的評価にあたっては、評価項目毎に設定した達成度評価の視点から、短期大学が自己点検・評価報告書に記載する各評価項目毎の具体的目標に基づき評価を行います。
 以下に、評価項目毎に設定した達成度評価の視点を例示します。
  「学科・専攻科の教育内容・方法等」
学科・専攻科の目的・教育目標を達成し十分成果を挙げうるような教育課程が体系的に整備されているか。
学科・専攻科の目的・教育目標を達成し十分成果を挙げうるよう、教育内容の改善に努めているか。

2 水準評価について
 水準評価では、短期大学設置基準で求められる要件など各短期大学として最低限守るべき教育研究条件について、各短期大学を共通的・統一的に評価しうる指標を用いて評価します。
 その具体的評価にあたっては、評価項目毎に設定した水準評価の視点から、当該短期大学の性格や規模、地域性などを加味しながら、短期大学として求められる教育研究条件を充足しているかどうか、定性的・定量的観点から評価します。
 以下に、評価項目毎に設定した水準評価の視点を例示します。
  「学科・専攻科の教育内容・方法等」
学外実習を必要とする分野においては、学外実習は支障なく実施されているか(実習施設、実施体制、実習先との連携、実習先の指導体制等)。
高等教育への円滑な移行に有効な導入教育、リメディアル教育等を行っているか。
入学時、進級時などにおいて、履修指導が組織的に行われているか。
シラバスの内容を充実させ、学習支援を図っているか。
授業改善に向けて、ファカルティ・ディベロップメント(FD)活動を組織的に実施しているか。など

 なお、達成度評価と水準評価の視点については、現在、短期大学基準およびその解説との整合性に十分配慮しつつ作成しているところです。この達成度評価と水準評価の視点は、敢えて基準において定めることはせず、基準の補足的資料として評価の際の視点を提示するものと位置づける予定です。達成度評価と水準評価の視点の作成作業は、認証評価を実施するまでには完成させ、これをホームページ等で公表する予定です。

3 達成度評価と水準評価の関係
 以上のように、各短期大学の目的・教育目標との関連で評価する達成度評価と短期大学に要請される最低限守るべき教育研究条件の充足状況を評価する水準評価の特性に鑑み、評価プロセスでは大きく2つの点からの評価を行いますが、こうした評価を行う理由は、これまでの大学評価の経験から、2つに分けずに評価すると水準評価に重点が置かれがちで、各短期大学の個性・特徴を十分尊重した評価が実現されにくい傾向にあったためで、そのためにも達成度評価と水準評価を切り分けて評価することが必要であると判断したからです。
 なお、こうした評価プロセスを経た後、最終的には、達成度評価と水準評価の結果を統合して、評価結果(案)を作成いたします。

2.評価基準における達成度評価の位置づけについて(評価基準は、達成度評価に対するものか、水準評価に対するものか、達成度評価と銘打つことが適当か)
 前述の通り、達成度評価は、当該短期大学の目的・教育目標が達成されているか否か、達成に向けた改善努力が行われているかなどについて評価しますが、その判断の拠りどころは、各短期大学の目的・教育目標ということになります。短期大学基準とそこに付されている解説では、こうした達成度評価の特性に十分配慮しつつ、各短期大学の理念・目的・教育目標に重要な位置づけを与えており、目的・教育目標に基づく教育研究システムの整備や目的・目標の達成に向けた改善努力の必要性に言及していることからも、同基準及びその解説は、達成度評価のための基準であるといえます。
 他方、短期大学基準及びその解説では、例えば、シラバスの充実やFDの組織的取り組み(「学科・専攻科の教育内容・方法等」)、在籍学生と収容定員との比率の適切性(「学生の受け入れ」)など、短期大学に共通に求められる教育研究条件の整備の必要性を指摘しており、こうした点から、短期大学基準及びその解説は、水準評価のための基準でもあるといえます。
 したがって、評価基準である短期大学基準は、両方の要素を包含した基準として作成されています。
 また、達成度評価については、各短期大学の目的・教育目標との関係で、その達成度や達成に向けた努力の状況を評価するという点から使用するもので、4年制大学の認証評価においても「達成度評価」という名称を同様の趣旨で使用しており、すでに4年制大学において浸透していることから、その名称は適切であり変更する必要はないと考えています。


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