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資料2-3
中央教育審議会大学分科会大学院部会
理工農系WG(第3回)平成16年11月29日


大学院部会 医療系WGに係る審議について
《これまでの議論より抄録》


1. 「審議経過の概要」で示した基本的方向性と分野別の現状

 各大学院の目的や位置付けの相互関係などについて意見があった。特に臨床系大学院の目的や機能について、この際明確にすべきという意見が多かった。
 また、今後の中期的な検討課題として、メディカルスクールや公衆衛生大学院制度の導入についても取り上げるべきではないかとの意見が出された。
医療系大学院において、優れた医療人を育てるということと、研究者を養成していくこととは必ずしも相容れないので、どのようにバランスを取るのかが問題である。研究マインドを学んだ者が将来研究職以外の職についても良いが、圧倒的に研究職以外の職に就いているということをどう考えるかである。
臨床医学系大学院の目的は研究者養成なのか、高度専門職業人養成なのかについて整理が必要。高度専門職業人養成であるとするならば、論文を書かかせるということではなく、臨床現場に出て診療を行わせることが必要になるが、そうなると学会の専門医制度との棲み分けが必要となる。
薬学部6年制に伴い、その上に設置される4年制の博士課程において、ある程度専門性を持った職業人を養成するという役割が大きくなると思う。国立は学部4年、修士2年、博士3年の従来型が主流となり、私立は学部6年、博士4年制が主流となることから、国立と私立において大学院の役割分担が生まれるのではないかと思う。
看護系の大学院修士課程は、大学教員・研究者養成の目的がある一方、優れた臨床家、専門看護師を養成するという目的がある。修士課程の中では大学によって、高度専門職業人養成を行うということを明確にしている大学院や、大学教員・研究者に進みたいというコースと臨床家になりたいというコースの2つを置いている場合がある。
看護系の博士課程は専ら大学教員・研究者の養成を行っているが、将来的には病院の看護部長クラスになるための養成も行って良いのでないかという議論も出ている。
アメリカにおけるメディカルスクール等のプロフェッショナルスクールは研究者養成ではなく専門家養成を目的としており、また、研究者養成のためにはPh.Dコースがあり、その辺ははっきり分かれている。ロースクールが設置されたことで、日本でも今後プロフェッショナルスクールが増えていくと思われる状況の中で医療系大学院をどう考えていくかが課題である。
メディカルスクールについては、現在、医学部の中では編入学定員を設け、学士入学制度を実施しているところが多数あり、まずはこの制度の検証が必要であると思う。この制度で卒業して医師になる者が、高校卒業で直に医学部に入って医師になる人よりも、本当に社会から求められるより良い医師になっているのかどうかについてしっかり検証した上でメディカルスクールを考えなくてはいけないと思う。
公衆衛生大学院をどう考えるのかという問題がある。日本ではまだ少ないが、アメリカでは40以上ある。アメリカの公衆衛生大学院は非常に幅があり、強力である。日本でこの公衆衛生大学院というものをどう考えるのかという問題がある。

2.
課程制大学院の趣旨に沿った教育課程や研究指導の確立
(大学院のスクール化)

教員の教育・研究指導能力の向上のための方策
 教員の教育・研究指導の在り方に関しては、臨床系の大学院生が大学病院において大きな労働力となっていることについても検討していくことが必要という意見が出された。

〈教員の教育・研究指導の在り方について〉
臨床医学系の大学院生が大学病院での大きな労働力になっている。専門職業人養成として学習する中では当然臨床を行う必要はあるが、大学院生がいなければ病院が成り立っていかないという現状には問題があり、臨床医学の大学院生は労働者なのか修学者なのかという点は議論が必要。
基礎医学系の研究者のポジションは少ないが、日本の基礎医学が本当に世界に伍したるものになっているのかについて検証することが必要である。日本の基礎医学研究者のポジション、論文、研究成果等が必ずしも十分なものではないという意見も聞く。

〈コースワークの充実について(講義・演習・実験の組み合わせ方、授業の形式など)〉
看護系大学院では、職能団体が認定する専門看護師資格の取得のため、2年間の修士課程においてその受験のためのコースワークを行い、また、実習もきちんと行っている状況である。

今後の研究者等として必要な高度な素養の涵養の在り方

〈各大学院の人材養成機能に即した高度な素養の内容について〉
臨床歯学系の大学院においては、研究活動を通じた科学的根拠に基づいた医療(EBM)の実践の素養を身につけさせている。

教員・学生の流動性の拡大のための方策

〈学生の選抜方法の在り方について(「流動性」の観点から)〉
本学ではいったん教養学部に入り、ここを修了してから薬学部に入るシステムをとっているが、この成績と修士課程に進む際の成績との相関関係が非常に高く、真に薬学を勉強したいと思う者が薬学部に入り、大学院へ進むという状況になっており、このことが学生のモチベーションを持たせる意味で非常に役立っている。

社会のニーズと大学院教育のマッチングのための方策
 社会のニーズと大学院教育のマッチングのための方策に関しては、国民が納得する医療を提供することが必要であり、そのためには学術研究の重要性を国民にアピールすべきとの意見が出された。

〈産業界等からの大学院教育に対する要望のくみ上げ方について〉
国民や社会から求められているのは、やはり国民が納得する医療を提供することに尽きる。そのためには、医療系においては資格試験の問題、医学の研究開発の推進の問題、そして医師養成の制度の問題の3つがあり、どれもおろそかにできない問題である。

〈大学の社会に対する積極的なアピール策について〉
国民が望んでいるのは良い医療政策であり、医学の学術研究についても全て最終的にはこの良き医療政策に還元されることを国民は望んでいる。しかし、国民の考えと実際の医療政策とは大きく乖離があり、学術研究が何故大事かということや危機感が国民に理解されないといけないと思う。

3. 研究者養成機能の充実

博士課程における体系的な教育課程の確立
 博士課程における体系的な教育課程の確立に関しては、日本におけるコースワークの充実の必要性や、論文博士制度が持つ課題等が指摘された。

〈博士課程にコースワークによる教育を導入することについて〉
大学院が研究者育成というのであるならば、もちろん論文の作成能力も必要であるが、同時に研究者として自立していけるだけの一定の知識を身につけさせることが必要。どこの国でもコースワークがかなり充実しているが、日本はこれが弱く単にテーマを与えて論文を書かせて終わっている状況である。
臨床医学系の大学院生が本当に博士課程において4年間しっかり学習しているかといえばそうではなく、最初の2年間は外の病院で医師として働きながら大学院にも在籍しているということもある。
薬学研究科博士課程修了後の進路は、研究者のほか薬剤師資格が必要な職に就く者もおり、きちんとした医療薬学コースも設けて社会のニーズと大学院教育をマッチングさせている。このことと、先端的で世界と十分に戦える研究者を育成するということとの二つをいかに両立させるかが重要。
本学の看護系大学院ではコースワークを相当課しており、研究計画書を提出後3年を一つのリミットとし、その間に論文が出されなければ退学となる。しかし、その後でも一定の年限の間に、研究計画書に基づいたテーマで論文が出されれば課程博士を授与している。

〈「論文博士」の制度について〉
論博があるために課程制大学院がゆがむという指摘もあり、論博制度には批判的な意見が多い。どう考えていくのかが医療系にとって重要な問題。

大学院の研究機能の強化(施設・設備など)

〈大学院の機能分化について〉
国立の大学院の重点化に伴い、ブランド志向から私立大学の学生が国立に流れてしまうという状況になっているが、国立大学は研究費が削減され、教員数、設備、研究費と、学生数とのアンバランスが生じている。

学生に対する経済的支援と大学院修了者のキャリアパスの多様化の促進方策
 学生に対する経済的支援と大学院修了者のキャリアパスの多様化の促進方策に関しては、医師・歯科医師の卒後臨床研修必修化に関連して奨学金の充実が必要であるとの意見や、医系大学院における修士課程修了者のキャリアパス形成に関する意見が出された。

〈大学院に安心して進学・在学できるための経済的支援について〉
卒後臨床研修の必修化が医学では今年度から、歯学では18年度から予定されている。学部卒業後、臨床研修が終わって大学院に入り博士号を取得するまでかなりの年数がかかることになり、学費支弁者の負担がかなりなものとなってしまう。このため、今後、奨学金の拡充が必要である。

〈大学院における学生のキャリアパス形成に関する指導について〉
医系の大学院では、最近になり医学部卒業者以外の学生を受け入れる修士課程がどんどんで設置されている。これまでの大学院は医学部卒業者への教育というのがある意味で前提となっており、それほどキャリアパスについて真剣に考えていなかったが、医学部出身以外の者が今後は多数を占めると予想される中、彼らのキャリアパスをどう考えるのかという問題がある。

4. 実効性ある大学院評価の確立

5. その他

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