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資料2−2
中央教育審議会大学分科会
大学の教員組織の在り方に
関する検討委員会(第11回)
平成16年12月24日


大学の教員組織の在り方について
(審議経過の中間的な整理)に関する意見


平成16年12月24日
日本私立大学団体連合会


1. 大学の教員組織の在り方に対する基本理念について
 今回の「大学の教員組織の在り方について(審議経過の中間的な整理)」(以下「中間的整理」という。)は、現行学校教育法第58条において「7助教授は、教授の職務を助ける。」「8助手は、教授及び助教授の職務を助ける。」と規定され、助教授は教授に対し、助手は教授、助教授に対し従属的な位置づけになっていることを改め、教授、准教授、新職、(新)助手に対し、それぞれ職務を明確に規定し、位置づけを明らかにすることを基本理念としていると理解でき、賛意を表する。
 しかしながら、「中間的整理」において配慮されている国際的通用性については、欧米諸国においても教員組織が国ごとに異なっているので、一般的な国際的通用性が保証されるか否か疑問である。

2. 個別項目に対する意見
(1) 「准教授」の職務内容
 助教授の名称が教授の職務を助けるという意味で、教授に対する従属的な印象を与え、特に講座制や学科目制を取らない場合、現行助教授の職務実態と乖離していることから「助」を使用せず「准」を使用することは賛成である。しかし「准教授」の職務を「教授」の職務と全く同一に規定することは、「同一職務の遂行になぜ二種類の職を設ける必要があるか」との疑問を生じ、准教授の制度を設けること自体が矛盾を生じる。したがって准教授の職務は「教授の職務に準ずる。」とするのが良いと考えられる。
 二種類の職を決め、教授とかなり同等に近い職務を遂行する、教授と異なる職の教員を採用することは、経験、業績などを勘案し、各大学がそれぞれ基準を設けることにより実施することは可能であると考えられる。
(2) 「新職」は大学設置基準上の専任教員か否か
 博士の学位を有し、あるいはそれと同等以上の研究能力を有し、学生実験や演習などにおいて、直接学生に接し指導を分担するような職務に従事している者に対し、「助手(Assistant)」という職名を当てることは改善を要する事項であって、「新職」を設けることは賛成である。しかし、「中間的整理」では、「新職」を大学設置基準第13条で規定する専任教員数に含めるのか否かが明らかではない。
 「新職」を前記専任教員数に含めない場合には、「中間的整理」で述べられている自ら教育研究を行うことを主たる職務とし、授業科目を担当する」ことの内容が理解できない。
 「新職」を前記専任教員数に含めるのであれば、現在の多くの大学における(専任)講師の実態に近いものになると想像される(本意見では非常勤講師と混同されないように、学校教育法第58条9で職務が規定されている講師を(専任)講師と称することにするが、(専任)講師に関しては次項参照。)。この場合でも、「新職」は、特に参加を必要とする場合を除き教授会の構成員にはせず、大学や学部等の組織としての方針の決定に参画することを期待しないなどにより、教授、准教授との職務と区別することは可能である。
(3) 「新職」と(専任)講師の関係
 現行学校教育法第58条9では、「(専任)講師は教授または助教授に準ずる職務に従事する。」と規定されているが、教員の職階としては教授、助教授、(専任)講師、助手として助教授の次に位置づけられているのが実態である。教授定員、助教授定員が定められていた国立大学において、教授定員、助教授定員を使用して(専任)講師を採用していたことがあったが、今後は国立大学においてもそのような必要は消滅すると予測され、私立大学においては、教授、助教授ごとの定員が定められている例はないと推定される。また、特に「新職」を大学設置基準上の専任教員とした場合には、既に教員の職階として3階層になることになるので、それに(専任)講師を加えて4階層にしなければならない理由が見当たらない。
 したがって、「新職」を大学設置基準上の専任教員とするのであれば、(専任)講師は教員組織から削除してしかるべきと考える。
(4) 「(新)助手」の職務内容
 基本理念の項で述べたように、教育・研究に関しては職務内容を明確にして補助業務という概念を導入しないことが望ましいと考えられる。したがって、(新)助手の職務は補助業務ではなく、教育・研究要員としての独自の職務が規定されるべきである。
(5) 組織体としての業務遂行体制
 教育・研究に関して各個人の創意が尊重されることが望ましいが、特に学生に対し体系的、効果的な教育をし、また、大学・学部などを単位とする組織による研究を行う場合などには、大学・学部などが組織として方針、計画等を決定し、その方針、計画などにしたがって役割の分担をし、組織的に教育・研究を行うことが必要であることは「中間的整理」で指摘されたとおりである。したがって、そのような場合の指揮、命令体制、系統を明確に定めておく必要がある。

3. 私学助成との関係
 現行の私学助成は、教員組織を算定基礎とし、教員人件費や教育研究費を算定している。私学としては、助手制度の見直しにより、(新)助手は私学助成上教員に分類されるのか事務職員に分類されるのか明確にしておく必要がある。

4. 現行助手の取り扱い
 他省庁管轄の資格試験等における大学の認定条件において、教員組織に助手の数を指定している場合が多い、したがって、(新)助手もこれらの認定において助手として参入されるよう資格認定試験との整合性を十分に図る必要がある。

5. 経過措置
 「中間的整理」の考え方に基本的に賛成であるが、各大学は教授会の構成や運営に神経を使うことになろう。したがって、教員に十分な理解を得るため経過措置が必要と考える。

以上


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