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今日は前回までの審議を踏まえて、事務局で助手制度と助教授制度についての検討素案をまとめて頂いている。それに基づいて審議を進めたいと思っているが、特に助手のところが大きな課題だと思うので、助手制度の検討素案を中心にして議論を進めたい。
これまでの経緯をとしては、助手のところは特に助教授を含めて、例えば大学院生から見たときのキャリアパスとしてどのように見えるのかという問題がある。特に助手は、いわば雑用を含めて色々な仕事を上に言われてしなければならないようなポジションになっている。これが、院生から見たときのキャリアパスとしてのイメージと、もう1つは若手20代、30代あたりのところでの研究者として一番伸び盛りのときに、どういう仕事をしているべきなのかという問題と、それから教育についてもそのあたりの年代の人たちが教育に深く関わるべきではないかという考え方などが色々織り交ざって、これから日本の大学が若い人たちの力をどのように引き出していくのかという文脈上のなかでこの問題は取り扱われるようになったものと理解している。それを問題視した時に学校教育法の文言でもって、助手は助教授・教授を助ける、助教授は教授を助けるということが明文化されているが、そういう学校教育法の条文を含めてどう考えていくかということになってくる。一方で、分野によって色々な事情がある。例えば自然科学の実験系のようなところではやはり教授の下に徒弟制度のようなものも必要で、アメリカではそのような分野の若い研究者がアシスタントプロフェッサーとして全く独立してしまって、むしろ良くないのだという意見もある。私としてはやはりこれからの日本の高等教育が、短大や高専も含めて、どういう方向に進むのかということにも関係するかなり大事な問題だと考えている。
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このB案、C案の場合の(新)助手と書いてある教育研究支援職は、これまでのいわゆる教育職ではない職種というように理解してよろしいのか。
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おそらくそれは教育職の俸給表をどう考えるのかということであり、その点を含めて、これはやはり教員に近い立場であるということで、教育職の俸給表に含めるべきだという考えもあろうかと思うし、それと全く別にするべきだという考えもあろうかと思う。それも含めてご議論頂ければと思う。
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教育職俸給表が適用されるという点では、教授などと同じカテゴリーに入るのか。そうするとやはり名前だけ教育研究支援職として呼んだとしても、やはり今までのような問題は相変わらず残るのではないか。もし、教育研究支援職である(新)助手は職種が違うということであれば、そこははっきり分けないと今までの問題をそのまま引きずることになるのではないか。
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前回の会議では明確に教育職俸給表であるべきなのかどうかという明確な議論にはなってなかったと思う。教育研究支援職をどのように考えていくのか、専門性が強い職種であるということから教育職に近いものとして考えるのか、あるいは技術職に近いものとして考えるのかということをご議論頂ければと思っている。
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前回の議論の中では、職務の内容として、将来の教育研究の専門家になるトラックに乗る専任的なものについては新職だということであった。そうするとA案とB案の違いということからいえば、教育研究支援業務というのは教育職が本来想定しているものとは異なることになる。そして前回の議論の中では、今までの助手の問題点を払拭するという意味では教育研究支援職と教育研究職をはっきり分けることはいいことであるということがある一方で、実態に照らしてみたときに、助手がある価値観からすれば格下げという位置づけになる可能性は十分にあるため、現実問題として困難なく移行が行なわれるのかという問題がある。
それから、助手は教授、助教授を助けるという漠然とした規定になっているが、分野によって非常に多機能的なところがあって、例えば人文系のように助手というもの自体がほとんど置かれておらず、仮に置かれていてもどちらかというと秘書業務のような形で行なっている分野もあれば、医学部のように圧倒的に数が多く、診療も含めた体制の中で独特の位置づけを持っているところもある。また、実験系と非実験系で理系でも多義性がある。弊害がでるならば別途手当てをしていくなどして、そういう多義性を飲み込めるような現実的な案としていくことが必要なのではないかという形で前回の議論は終わったと事務方としては考えている。
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この俸給の問題だが、国立大学法人では、助手もいわゆる教育研究職の中に含める形で人件費は計算されている。事務職員とは違うというところはそう言う意味では維持して頂きたいと思うが、教育研究職と(新)助手の教育研究支援職が同じというのはやはり色々な問題を生みだしてしまうのではないか。教育研究支援職は教育研究職とは区別されるが、事務職員とも区別されるというような形で位置づけて頂きたい。給与的には今までのをスライドさせるという形で分けるということでいかがか。
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この資料2は事務局が今まで意見を整理して作られたものだが、私の感覚で申し上げると、A案とB案の心は、A案は助手を現行通りとしているのは今助手でいる人たちがいるわけで、これは教育職だと思っているから、それを教育支援職というように変えるというのは色々な問題を生むのではないかということかと。B案はそれをはっきり変えるのだという考え方ではないかと思う。
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元々の議論となる背景の中で、もっとも大きく変化させる案としては助手という職を廃止して、全然別のそれぞれ新しいものに振り分けるという考え方がある。また、今現に助手という職務名称の人がいる以上その位置づけの整理はするにしても、助手として残すという案もある。さらには多義的なものがあるので一概になかなか言えないから、現行のものをそこで混乱するようであればそのままにしておいて、選別するところを設けてはどうかという段階的な案がある。それぞれ各分野よって違うにしても大学共通の職として設けるためには、どのようにすれば良いかという観点からもう少しご議論して頂ければと思っている。
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私の基本的な考え方というのは、やはりキャリアトラックをきっちり作るということが基本であって、そしてキャリアトラックは基本的にはそれぞれのステップが任期付きであるべき。それだけリスキーなポジションである。逆にそういう1つのリスクを抱えながらキャリアトラックでアドバンテージを持っていくラインを作る。したがってこれに乗りたい人は当然全部公募制となる。これに乗りたい人はそれ相応の覚悟で乗ってくるべきトラックなのではないかと思う。やはりそういうものを作っていかないと日本の高等教育のレベルアップというのはなかなか進まないのではないかと思う。それができれば後の方はそれぞれの学部なり、分野の事情に合わせて色々な手段があるのではないか。
それから俸給のことは、大学はそれぞれ自由に出来るわけであるから、それぞれ職に応じたペイをだして、それに見合う人が来る、それが安ければ集まらない、ということに近い将来はなるのではないか。
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これは国立大学の法人化も含めた大学改革の大きな流れの中で言えば、これまで教員集団が多様になってきた役割を整理して、分化して専門化にしようという流れがあるのだと思う。それは学長のリーダーシップ論であり、役員という者を設けることであり、学部長の職務権限を明確にすることであり、それらが組織の上のほうで起こっているが、それが下の方にいけば今度は教育研究と事務との関係をどうするかという話で、そういう全体の大きな流れの中からいえば、やはり職務というものを明確に規定すべき。それにしたがって採用や処遇も分けていく。したがって(新)助手という新しい教育支援職というのはアカデミックトラックではありませんということをはっきりさせるということだと思う。また支援職の中からアカデミックトラックに乗り換えたいという人がでてきたときに、それは別のルートで乗り換えることは可能であるというような設計にしていかないと、幾ら議論しても決着はつかない。教授集団の中にこれまであいまいに1人の教員が多様な役割を背負っていたものをだんだん整理して分化させていこうというこれまでの大きな流れの中から言えば、助手職を教育研究支援職という形と、或いは講師の一部に分けるということは私は一歩前進であって、リーズナブルであるので、B案なりC案に行くべきと考える。
それから給与の問題は、国家公務員の給与体系とは異なる新しい体系に移行しても良いといわれているのであるから、教育研究支援職という新しい職を造るのであれば、国大協などが、それに向いた俸給表を作るべきであって、従来のものをそのまま踏襲するということは全然考えていないのではないか。
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任期の件は今までいわゆるテニュアトラック等のことは議論された面もある。1つの考え方として教育研究職と教育研究支援職に分けさせて、例えば教育研究職の方を任期制をきちんと入れてリスクを背負ってそちらでやりたい人はやりなさいということは1つの明確なやり方だと思う。おそらく事務局が多少心配をしているのは、現在助手としておられる方は日本全国多々おられて、教育職だと思い込んでいるので、それを急に支援職とやったときに問題が生じることを心配しているのではないか。
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助手を一番たくさん抱えている医学部では、国立大学では第10次の定員削減があり、かなり多いといっても助手から減らしてきた。しかし、助手を減らしたことが実際には弊害として出てきてしまって、現在の助手の業務分担はものすごく多様になってしまっている。まさしく雑用をやらなくてはいけないし、それから大学院生の診療の調整もしなくてはならない。その状態を改善するために、私どもの大学では助手の中の一部にこういう支援に近い職を設けることを検討してきた。それはやはりきちんとした職務を今の体制の中でできる範囲で設けるが、給与体系上は現行のままでということで取らざるを得ない。また、この職に一旦就いたらそこから先の昇進の一部になってしまうということではあまりにも固定化する可能性が強い。しかし、完全に任期制だとこれはリスキーで若手は来ない。今の若い人たちの意見を聞いてみると、かなりパーマネントな要素がないとやはり難しくなる。したがって一定期間ごとの再評価という形を取らざるを得ない。単純な任期制にするとそこで終わってしまい、それは日本の中では実際上やりにくいのではないか。
給与上の問題になると、C案は給与体系上上がることになるだろう。これは今のシーリング等色々とある中で、現実感がない。だからそれを支援して頂けるのであれば非常にありがたい。我々が考えていたことはまさにC案的な要素。もしそれが無理だとすると、B案として、先ほどから議論がでている支援職の助手の方が格下げになるかもしれないし、支援職は教育職の給与体系上どういう位置づけになるのかということがはっきりしないといけない。任期の問題は一定期間毎の再評価制ということが現実的には一番良いのではないか。そうすると後は給与体系上の問題だけになるので、現在助手の人たちを全部ひっくるめてC案の中からピックアップして「新職」とする。この場合の給与体系はどうするかということ。業務分担と兼ねあわせると、現行の助手の形態というのは各大学で変えれば良いといっているが、現実は給与体系に準じざるを得ないということがある。B案についても同じことが言える。その辺のところ助手の分野ごとによってかなり違うので、どの形にしたらどの分野がどれだけあるかということは一般論ではなくしっかり考えていく必要がある。
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それは今の学内措置として、ここでいう教育研究支援職のような位置付けの助手をとっているということか。
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既に取っているところはたくさんある。私どもの大学では学部長発令の講師をやっている。そうするとシラバス上の大学院の就業も学内でできるし、給与体系上は助手である。私どもは来年度からそれを導入しようと思って、予定していたが、この検討がでてきたのでペンディングしている。教育を担当するだけの実績も十分あるし、大学院指導ができる人ばかりなので、そういう人たちは学部長発令の講師にしてしまう。本人はすごく喜んでいる。
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今の話は、要はシニアレクチャラーとジュニアレクチャラーというものである。講師の中の俸給表を別にして、一、二とするかどうするか、そういうことは色々可能だと思う。
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これまで助手というのは教育研究職である教員の一部という形でなっていたために、その採用等と教授会との関係について定めた教特法の適用対象とされていた。それは採用や承認や解雇などが全部教授等の他の教員と同じだったということがある。逆に言うと、(新)助手を教育研究支援職という形にした場合には事務職員と全く同じではないが、教員とはまた違うという制度設計をある程度示す必要があるのではないか。
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私も、支援職をつくるのであれば今までのように教員職員という分け方と別のカテゴリーを作る必要があるかと思う。
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今の整理は非常に分かりやすい。逆に言うと、ここでいう教育研究に係わるテニュアトラックに乗るような助手を考えたときに、それをどのように考えて、どういう構想で、どういう身分を与えるべきか考える必要がある。一方、いわゆる支援職について、助手が担っていた部分をちゃんと大学の中の職として位置付けてそれをどうするのかということを整理して考えていけば、議論はしやすい。非常に今の整理でわかりやすくなったのではないかと思う。
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いわゆる「新職」、教育研究職、ここがやはり要になるわけで、今色々な制度設計のなかで平行的に進めて頂きたいのは、競争的資金のアプライ権限である。これは研究の戦いの場に出られる基本になるので、一方の教育研究支援職の方は権限がないというような形。そこに文部科学省なら文部科学省の1つの政策の流れがぴったり合ってこないと制度設計は難しいので、ぜひそういうことも配慮しながら進めて頂きたい。
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今は広く言えば助手はアプライ出来る方が多いわけで、むしろこれをやると支援職はアプライできないという基本になっていくので、それに対する閉塞感があるかという気がする。教育研究職の「新職」の方は前からできるし、これからも十分できるというようになると思う。
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大分話が具体的に煮詰まってきて、良い方向に進んでいると思う。重ねて教育研究支援職の制度設計をきちんとし、そこはもう今までの助手のもっていた権限のかなりの部分が違うのだということをはっきりさせるべきだと思う。ただ先程話のあった、降格、不利益処分のニュアンスを伴う分については、やはり時間的経過措置を考えて頂きたい。何年間かは旧助手といった対処をした方がよいと思う。
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私は現状のこういう問題を解決すると同時に、若手の外国人研究者を任用する場合に教員組織の多様化について「新職」というものが非常にこれからの教育研究の進展に寄与すると考える。そうなると(新)助手についてもやはり機能的な形の提案として本当に色々な面でのスタッフ機能、教員の支援をしていくという形になる。今社会科学系の中でも大学院の問題を考えても「新職」が非常に多様な教員組織の構成ができるということが非常に大きいのではないかと考える。
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「新職」向けの競争的資金というものが出てくる可能性はこれから現実的にあるかもしれない。
今B案という雰囲気で話が進んでいるかと思うが、教育研究支援職は今までにない職種なので、置くとするならばやはりこちらの方のキャリアパスを十分に考えておかないと、閉塞感がでてくるような気がする。それはA案をとっても同じこと。
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「新職」については、(新)助手も含めて、各大学においてこういう新しい職を活用して、現場が活性化していくということが1番のポイントだというように思われる。現実問題として人件費を抑えたいということがある一方で、良い人材を確保したいということがそこにはあって、そこのところを踏まえつつも、新しく提案していくところはやはり「新職」ではないか。また、(新)助手について先程からもお話がでているが、閉塞感がまだただよってしまっているという懸念を抱く。いずれにしても再編によって各大学がそれを活用して、新しい良い人材を取れるというようなところに持っていけるような提言の方が良いと思う。
そして1つだけ、少し先走るのかも知れないが、社会科学系とか、少なくとも短大などの場合はデータからいっても助手を置いていないことを考えると、大学の判断によって職を置くかどうかを選ばせることができるようにして頂きたい。今は助手を置くというようになっているが、現実には置いていないところもあるという実態であるので、そんなところもご配慮をお願いしたい。
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B案とC案の問題であるが、B案はアカデミックキャリアの職階を4つにするという考え方、C案は3つという考え方で、これはどちらをとるかによってずいぶん大きな影響があるのではないかと思う。「新職」を設けた場合にそれがどの程度の量的な規模になるのかというと、さらにその上に講師というポストがあって、それとの関係はどうなるのか。若手研究者から見れば、今まで助手だったところが「新職」になったのだからあまり変わらないというように受け取られるのかも知れないが、実は(新)助手と分けていけばこの規模はうんと小さくなってしまう恐れがある。そうするすとキャリアパスとしての閉塞感は非常に強くなる危険性もある。講師と一緒にして、ジュニアレクチャラー、シニアレクチャラーとかというような分け方をするのか、それともこれは1つの新しい職階として設定するのかで大分違うのだと思う。
私はどちらかといえばC案が良いと思うが、もう少しB案とC案のどちらが良いか検討した方が良いと思う。
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講師というのは学校教育法では教授・助教授・助手とは別の感じになっているのではないか。
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学校教育法上、講師は教授・または助教授に準ずるということで、本来の学校教育法のあり方から言えば、教授・助教授・講師・助手というような4段階を想定しているというよりは、むしろ教授がいないときに教授の代わりをするとか、助教授がいないときに助教授の代わりをするとか、そういう意味で教授・助教授に準ずるという形で規定されている。定員上専任講師ができたことから、やや位置付け、実態が制度創設当初の趣旨と違っているが、学校教育法上は教授・助教授・講師・助手という4段階の職階ということではない。
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そうすると事実上今まで3段階であったと。助手の所を分けて教授・准教授・「新職」というようになるのだと、講師というポストは全然別だと理解してよろしいか。私はC案にするのであれば講師職というのはこれは(新)講師職であり、従来とは違ってきちんと職階としてキャリアパスと位置づけるという案を考えている。
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C案はそのように理解させて頂ければと思う。
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B案とC案の違いは教育研究職が4段階か3段階かということであるというように理解するとすれば、私は4段階のほうが良いと思う。というのは各段階を上がっていくごとに、何がしかの評価を受けるというそういう意味があるので、評価のステップに必ずなると思う。国際的にみてもそういうようなことに多くの国はなっているので、そういう意味で3段階よりは4段階の方が良いのではないかと思う。
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この資料2のA案、B案、C案が書いてある講師というのはそういう意味でミックスしているように思う。私の理解ではC案は新しい講師と位置付けられるのではないか。ただA案とB案は今までの講師だというようなつもりで書かれているのではないかと考える。
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C案にした場合はまさに今おっしゃったような方向に推移せざるをえないと思う。現在筑波大学はC案でやっており、助手制度を廃止するという意気込みで助手を一切置かないという措置をした。しかし結局そういう中で実際には助手のような人が必要であり、事務官とか教室技官とかというポストに200人も作って結局はこういう教育研究支援職という技官、助手がいる。現にそれでもやはり講師というのはどんどん増えて、実際そういう中では筑波大学の講師というのは今の助手と講師の中間的な講師になっていて、さらに助手についてはC案のように現実にいっているが、それでもやはり、上手くいっているかというとやはり今の助手と同じような問題がある。そこは全部教育研究支援職ということで事務官のような発令になっているが、彼らについて教育支援課長がクビにしてして良いのかというような問題もあって、そういうことも含めた議論が必要だと思う。
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私はこの案の心は、B案とC案のそれほどの違いはなくて、どうして分けてあるかというとC案の方であれば講師というのは今まである名称だから、それを新しい意味での講師という意味で使えば割と摩擦なくいくのではないかという、そういう配慮でC案があるのだと思う。したがって、B案、C案とも4段階というよりも、3段階のつもりで考えてもらいたい。
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この案というのは、助手というその多様な層が、若手研究者の卵なり、将来教育研究者になっていくプールであるという考え方と、教室や何かを助ける助け手という考え方と、そういうのが入り混じっているために色々問題があるのではないかということから議論がはじまって、研究者になっていく部分と、助け手という部分とを区別するべきではないか、しかしそれは簡単にいくことではなくて、その中にも色々あるということでずっと議論があった。これまでの議論を事務的に詰めていくとA,B,Cになるが、その2つをわけた時に、1つの分かれ方は助手を現行通りにするか、教育研究支援業務にしてはっきり分けるかという分かれ方であり、もう1つの分かれ方は、新しく2つに若手研究者のプールを作ったときに、助手と違う「新職」として設けるか、それとも今ある講師をを少し再編して、同じ名前で使うという分かれ方がある。給与上講師が助手より上と位置付けられているところに引き継がれるとすると、経営上の圧迫という問題に繋がり、あまり現実性ではない案かと思う。また(新)講師ということで、経営上あまり問題に成らない場合、そちらに移った方が全く新しいものができるよりスムーズに移行できるということがあるのではないか。或いは社会的なステータスで講師の方が上だということだとすると、皆一斉に講師に名前だけが変わって、今の助手問題が講師の問題にただ移動するだけということが起こりうる。そうすると今までのご議論から言うと幾つか浮かびあがるので、その2つを並べてみてどんな感じであるか伺ってみたかったというところ。
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これは大学によって大分違うのだろうと思うが、うちの大学では専任講師というのが歴然としたジャンルとしてあって、専任講師から助教授に上がるというところに1つの関門がある。専任講師に採用されるというのはこれはパーマネントな教員になれるタイプだという捉え方をしてきたわけであり、C案のような形で、専任講師をとる以前に大学院をでて、教員には取れないが助手よりは上というところに位置づけたいという人が講師だということになると、かなりイメージを変えて考えていかないといけない。現在いる専任講師はどのように扱えば良いのかという問題が出てくる。
それから今後出てくる問題としてテニュアという問題で考えると、講師以上をテニュアトラックに入れるかどうかという議論もあるかと思う。今の「新職」というのは今までの議論から言うと、まだテニュアトラックに乗っていないというイメージがあるかと思うが、そういう問題があるのではないか。
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古い伝統のある大学では、教授はこの程度の実績がある人、助教授だったらこうとおのずから歴史の中で決まってきている。新しいところにいくと、やはり設置の時の審査で、およそ助教授だったらこのくらいの実績が無ければやはり助教授としては不十分だろうというのはある。そういうような整理をしていくのだとすれば、いわゆる本当に補助的な意味での(新)助手と、そうではないところの、C案でいけば講師になるような人との間には、ある程度の基準は明らかにしていかないと、先程から議論があるように、全部上にあげてしまおうということになるとそれは問題だろうと思う。むしろ入り口をはっきりしてもらえれば、いわゆるこの支援職員の方の制度設計もそちらのトラックに移れるようにするかどうかも含めて考えやすくなるのではないか。
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色々な課題があるが、教育研究職と教育研究支援職はこれを実質的には分けて、教育研究職を育てていく。この委員会としてそういう方向性はとってよろしいか。一応そこをご理解頂いて、その上で現実の色々な課題がある。先程からでている若い人たちのファンディングの問題から、或いはテニュア、任期、再評価の問題、それから支援職員のキャリアパス、(新)講師を設けた場合の給与の問題とか、経営の問題に関することとか、評価の問題とか絡んでおり、現実に今助手の人たちがいるわけで、その人たちがスムーズに仕事ができていくようにしないといけないし、分野によっても色々今現実的に進んでいるわけであり、そういうことも考慮しないといけない。そういうことを色々な政策と連携させながら課題を整理して、案を立てていくということでいかがか。
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A案、B案、C案だが、一番抵抗が少ないのはA案。これだと今の助手を何とかしなくてはいけないということになってしまうので、順次入れかえて(新)助手の教育支援職の基盤を私は財政的に作って頂くということの方が大事ではないかと思う。「新職」はC案をB案とくっつけたような形にする。一気にいくと問題があるので、最終像はおそらく講師と「新職」とB案に近い形ではないか。ただ、ここを支援する技術系職員が必要であり、特に理系では技術系職員をカバーしないで、教育支援職だけをいじっても結局「新職」になっても同じことである。これは高等教育局は実際どう考えているのか。
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今ここでご議論頂いたようなことは学校教育法の話になるが、実際の財政措置ということであれば、もちろんこれから様々な形でTAやRAを含めて、色々な意味での教育研究に関する層を厚くしていこうということは考えている。しかし、ただちに制度改正に結びつく形で財政措置が増えるといったことは困難な話で、財政的な問題は各大学が今ある範囲の中でどのように移行していくのか、それぞれの大学でどういう制度設計をしていくかということに結局お願いするしかないのかと思っている。
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基本線は座長のおっしゃるとおりだと思う。その検討の際にぜひ文部科学省の方で調査も含めて情報提供して頂きたいのは国際性である。ネーミングも含めて、やはり国際的に互換性をなるべく持たせた方が良いのではないか。特にヨーロッパのようにEU単位で高等教育が全部一緒になっていこうという流れも含みながら調査をして頂いて、せっかく作る制度ならばインターナショナルに人がスムーズに出入りできるよう配慮頂ければと思う。
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それはおっしゃる通りで、以前にもこの会議で議論があり、インターナショナルスタンダードには合わせていくべきだ、また各国でどのようなポジションがあるかという議論もあったので、また再度事務局の方にお願いしたいと思う。
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先程の座長の整理で結構であるが、もう1つ考慮して頂きたいのは、いわゆる研究型大学と、教育型大学とではやはり教員構成も違ってくるのだということ。フレキシブルにそれぞれの大学が自分達の実態に合わせたり、使えるような制度にしないと、機械的に助手職1人にするとか、講師を助手職にするということになり、身動きがならないことになると思う。これは一般的な規定であるから、可能な限り全ての大学で適用できるようにしたほうが良いが、全く事情の違う大学分があるということを想定して議論をして頂きたいと思う。
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それはおっしゃる通りだというように思う。現実には色々な問題はあるが、一応教育研究職と教育研究支援職が実質的には分かれていくように、ある意味で法改正も含めてということになっていくが、それに伴う課題を整理して事務局にまとめて頂いて、議論を続けていくということにしたいと思うが、いかがか。
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特に助手の場合、教育支援職にする場合は具体的な大学の中の人事管理、服務管理ことを考えると、一体誰が上司にあたるのかということについて、誰の指示を受けて、誰の元で働くのかということを含めて整理する必要があるのではないか。「新職」についても同じことで、特に大学の管理運営への参画ということは、もちろん教育研究のやり方とか違うわけで、全体として大学の教育研究を組織的に遂行していく上での位置付けと、個々の具体的な研究課題を遂行していく意味での具体的な取り扱いというのは、議論の中で明確になっていけばよいと思う。
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そのことについては大学は責任をもって組織体制を明確にしなければ成らないというような条文を入れるべきではないかという議論になっている。だから大学全部を何かこうするということに決めるのではなく、各大学が責任を持って出さなければいけないという方向でとらえているが、それはこれから更に議論をすべきだというように考えている。資料4の6ページの真中あたりに太文字で書いてあることが一応今まで議論されてきたことである。
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5ページに先程来議論がでている「キャリアパスやプロモーションについて」ということで、簡単な模式図を付けている。そうすると大学院生から助手なり「新職」なりにいってそういうところに分けたとして、その先をどうするのかという問題が浮かび上がってくる。法制的にどうするのかという話と、そのあり方を示して各大学で判断していく方法と色々なやり方があるかと思うので、併せてご検討して頂ければと思う。
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財政支援の問題はなかなか厳しいという言葉があったが、これを含めて高等教育全般の財政についてやはり皆でもって声を上げていかなくてはいけないというように思う。
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「新職」をやるという雰囲気になっているので、名称をぜひ考えていただきたい。インターナショナルスタンダードから言うとアシスタントプロフェッサーになるが、これを助教授と訳すというのが自然かも知れない。そうすると給与が上がるのではないかということを心配している向きが、先程の講師と同じである。私も色々考えているが、まず助教授にしてしまって准教授・教授にすればインターナショナルスタンダードにはなる。 |