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平成15年5月26日
白石隆専門委員資料

提案「現地におけるOne Stop Centerを民間委託によって育成すること」


   今日、国際教育は大競争の時代に入っており、そこでの成功の鍵は、国内の受け入れ制度の問題以上に、One Stop Center 的な海外拠点網をどう構築するか、Twining Program、Branch Campus、遠隔教育といった留学生の出身国における国際的な教育競争にどう対応していくか、に移っている。いまそのために必要とされているのは、現地の事情に精通し、現地と日本のインターフェイスとして機動的に活動できる「総合商社」のような存在である。したがって、いま留学生政策として考えるべきは、こうした機能をもった民間組織をいかに育て、いかに活用していくかにあり、その観点から留学生事業における民間の活用、民間委託を積極的に行なうべきである。

   なお上のような要請に応えうる民間組織は、東南アジアにおいては、JBIC の人材育成事業もあってすでに存在している。そうした民間組織の強みは、以下の三点にまとめることができる。
(1)    専門家として、一貫して、長期にわたって、留学生に関わる業務を行なってきたことにより、すでに多くのノウハウを蓄積し、また現地と日本の双方に広範な人的ネットワークを構築している。なおここでいうノウハウには、学生選抜のノウハウ、留学生各人の希望に合った進学先についてのコンサルティング、査証取得に関するノウハウ、受験・授業料納付等にかかる事務手続き代行、生活支援、在留中のトラブル処理、帰国後のフォローアップ、留学成否の鍵となる指導教官選びに関するノウハウ、ツイニング・プログラム、予備教育プログラムなど現地での教育プログラムを企画・運営するノウハウ、遠隔教育の現地コーディネーションのノウハウなどをふくむ。
(2)    意思決定が早く、タイムリーなコーディネーションとケアができる。また、民間組織としてコーディネーション、ケアの費用対効果もよい。
(3)    海外と国内に恒久的拠点を維持する。こうした拠点は帰国後の留学生との関係維持、同窓会組織の継続的支援の拠点ともなる。またこれを通じて日本とアジア諸国の高等教育機関・研究者をつなぐ人的ネットワークが構築され、現地の実情しっかり踏まえた活動ができる。

   わたしの知る限り、上のような能力、ノウハウをもつ民間組織が拠点を維持しているのは、ジャカルタ、クアラルンプルのみであり、そうした組織をソウル、北京、上海、台北、マニラ、ハノイ、バンコク、ラングーン(ヤンゴン)などにおいても「民間委託」を通じて育成することが望ましい。



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