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資料  2
中央教育審議会大学分科会
留学生部会(第8回) H15.6.11

 

日本留学試験の普及、渡日前入学許可の推進について(検討用資料)

1    日本留学試験について
1.    日本留学試験の経緯等
   我が国の多くの大学の留学生の入学選考においては、留学生はいったん渡日して、各大学の選考試験を受ける必要があることなどから、我が国の大学入学選考のシステムが欧米諸国に比してわかりにくく、留学希望者に過度の負担を強いることにより、日本留学を躊躇させる要因の一つとなっている。
   このため、(財)日本国際教育協会では、留学希望者が自国に居ながら入学許可が得られるシステムの構築を目指し、私費外国人留学生統一試験及び日本語能力試験に代わる新たな「日本留学試験」の開発を行い、平成14年度から実施している。

2.    日本留学試験の概要
・実施時期    平成14年から年2回実施(6月及び11月の第3日曜を予定)
・実 施 地
国内: 北海道、東北、関東、中部、近畿、中国、九州、沖縄の15都市
海外: アジア地域の10都市程度(現時点では、インドネシア(ジャカルタ、スラバヤ)、ベトナム(ハノイ、ホーチミン*)、韓国(ソウル、プサン)、シンガポール(シンガポール)、タイ(バンコク)、台湾(台北)、フィリピン(マニラ)、マレーシア(クアラルンプール)及びモンゴル(ウランバートル*))
(注*): モンゴル(ウランバートル)は平成15年6月、ベトナム(ホーチミン)は平成15年11月からそれぞれ開始予定。
・試験科目 日本語、数学、理科(物理、化学、生物から2科目選択)、総合科目
・そ の 他 科目選択制及び成績の複数年(2年間)利用を導入

3.    開催実績等
   日本留学試験の平成14年度第1回試験は、平成14年6月16日(日)に実施された(応募者数は、国内7,777人、海外737人の計8,514人。受験者数は、国内7,123人、海外532人の計7,655人(89.9%))。
   平成14年度第2回試験は、平成14年11月17日(日)に実施された(応募者数は、国内20,338人、海外1,283人の計21,621人。受験者数は、国内17,566人、海外900人の計18,466人(85.4%))。
   平成15年度第1回試験は、平成15年6月15日(日)に実施される予定(応募者数は、国内12,613人、海外2,556人の計15,169人)。

4.    利用予定大学等
   日本留学試験の利用大学は361大学(89国立大学、48公立大学、224私立大学)、短期大学は97大学(2国立大学、13公立大学、82私立大学)(平成15年4月28日現在)。
   また、渡日前入学許可実施校は39大学(9国立大学、1公立大学、29私立大学)、短期大学は10大学(私立大学)(平成15年5月6日現在)。

5.    その他
   日本留学試験の成績上位者(約300名)には、私費外国人留学生学習奨励費(学部レベル月額52千円)の予約を提供。

6.    日本留学試験を利用した渡日前入学許可の実績
   (別紙参照)

2    今後の課題
   日本留学試験の普及を図り、各大学等において真に勉学・研究を目的として質の高い留学生の確保と留学希望者に過度の負担を強いることのない渡日前入学許可を図るためには、以下の課題があると考えられる。

1.    国内における制度の普及・啓発について
   各大学等において、日本留学試験を用いた渡日前入学許可を制度を入学選考に取り入れるよう、更なる普及・啓発を行う必要がないか。
   (別添:「渡日前入学許可の勧め−日本留学試験を利用した渡日前入学許可の実施に向けて」)

2.    海外実施都市の拡大について
   中国を始めとして、留学生を派遣している主要な国・地域において試験実施都市を着実に拡大し、定着する努力が必要ではないか。具体的な拡大都市の対象として欧米等を加える必要がないか。
   (備考)
   平成15年度拡大都市
   ・ モンゴル(ウランバートル)
平成15年6月から本試験実施予定(試行試験は平成15年1月に実施済)。
   ・ ベトナム(ホーチミン)
平成15年6月に試行試験実施予定、同年11月から本試験実施予定。

3.    試験科目について
   大学等の関係者から指摘されている点は、1英語科目の導入2基礎教科(数学、理科)の科目選択のあり方についてである。これらについては、実施主体の(財)日本国際教育協会日本留学試験委員会で取扱いを検討中である。特に英語科目の導入については、当初、学部レベルでは英語の試験が必須となることは多くないのではないか、英語能力の検定には実績のあるTOEFL等を利用すれば良いのではないか、との議論が行われ、試験科目として英語を採用しなかった。
   現実には、主要な大学において英語能力の評価を入学選考に取り入れている状況に鑑み、英語科目の導入について、大学等の動向を踏まえつつ有識者による検討を行うべきではないか。
   (参考:英語科目を導入する場合の検討課題)
   1 レベルの高い試験問題を現実に作成し得るか。
   2 試験実施日を1日から2日に延長せざるを得ないのではないか。
   3 利用大学に対して、選択科目として安易に英語を課すことを助長する結果とならないか。

4.    学習奨励費の予約枠の拡大について
   日本留学試験の普及を図り、併せて、優秀な留学生に対して、入学前に奨学金の付与資格を与える(給付予約者とする)こととなる私費外国人留学生学習奨励費給付予約制度の予約枠の拡大を図るべきではないか。


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