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中央教育審議会大学分科会

2001/08/29議事録
中央教育審議会大学分科会制度部会(第1回)議事要旨

中央教育審議会大学分科会制度部会(第1回)議事要旨

日   時 平成13年8月29日(水)14時〜16時
     
場   所 文部科学省分館201,202会議室
     
議   題
(1) 部会長の選任等委員
(2) 自由討議(短期大学・高等専門学校から大学院までの高等教育制度全体の在り方など)
(3) その他
   
配付資料
  資料1 大学分科会及び制度部会の概要
  資料2 制度部会名簿
  資料3 大学分科会関係法令
  資料4 中央教育審議会への諮問事項について(抜粋)
  資料5 制度部会関係基礎資料
  資料6 制度部会における審議事項例について
  資料7 大学分科会の今後の日程について(略)
     
5 出席者
   
(委         員) 鳥居泰彦(会長),岸本忠三(部会長),高倉   翔(副部会長),寺島実郎の各委員
(臨 時 委 員) 天野郁夫,生駒俊明,佐々木毅,島田Y子,関根秀和の各臨時委員
(専 門 委 員) 生越久靖,香川正弘,清成忠男,倉内史郎,武田結幸,長田豊臣,森脇道子,山内昭人,四ツ柳隆夫の各専門委員
(文部科学省) 御手洗文部科学審議官,結城官房長,田中総括審議官,工藤高等教育局長,石川私学部長,清水高等教育局審議官,板東高等教育企画課長   他
     
6 議 事
   
(1) 部会長に岸本委員(大阪大学長)、副部会長に高倉委員(明海大学長)が選出された。
(2) 部会長から挨拶があった。
(3) 事務局から資料についての説明があり、その後短期大学・高等専門学校から大学院までの高等教育制度全体の在り方などについて自由討議を行った。
     
  (○:委員,●:事務局)
     これまでの日本の大学は学部が中心で大学院が不足していた。たとえばアメリカでは専門的なことは大学院で学ぶようになっており、日本もそのような方向に進むのであれば、大学院において国際競争力のある研究に重点的に投資することが必要となる。また、アメリカでは大学から同大学の院への進学者が30%以下であるように、日本でもその数を減らすことが必要である。さらに、アメリカでは学部段階にパートタイム学生が多いが、日本でも学部できちんと学び単位を取得した者が大学院へ進学するという体制ができるのであれば、パートタイム学生の受入れは有意義ではないか。また、学部段階で幅広い教養を身につけ、大学院で専門性を身につけるということになると、短期大学や高等専門学校の役割を根本から考える必要もある。様々な事柄が関連しているので、全体を視野に入れて制度をどう変えるべきか考えていきたい。
     
     多くの課題があるが、どういう順序で議論すべきか。
     
     次回はパートタイム学生の受入れについて重点的に審議したいが、今日は高等教育制度全般について議論をお願いしたい。
     
     パートタイム学生の受入れについて審議したあとは、学部と大学院の役割や修業年限の問題から審議するのか。それとも、短期大学や高等専門学校の問題から審議するのか。
     
     どの問題から審議すべきか、どのような課題が関連しているか、何が今一番緊急の問題なのか、制度を変えるべきかこのままでいいのか、など御議論いただきたい。
     
     短期大学や高等専門学校の問題から議論するのではなく、学部や大学院の役割や在り方を考えた上で、短期大学や高等専門学校の役割等について議論してほしい。
     
     制度部会は今後の高等教育制度の仕組みを議論していただく場である。審議事項例として示しているものは、大学審議会等で議論されながら結論が出ていないものであるが、議題はこれらに限定されているわけではなく、様々御議論いただきたい。短期大学や高等専門学校の問題は、大学審議会で検討いただいたが結論に至らなかったものである。パートタイム学生の受入れについては、昨今社会人の高等教育需要が増えている中でできるだけ早く実現した方がいいのではないかと考えられるものであり、教員数や施設・設備、カリキュラムの水準、定員、授業料などについて整理が必要である。学部と大学院の問題については、大学院の関係を考えたときに、教養教育を中心とするならば学部の修業年限はこのままのでよいのかなどの問題意識がある。助教授・助手の問題については、今後の大学の在り方を考えたときに、若手の教員が独立していくためには、名称や職務が従来のままで良いのかという点について御議論いただきたい。
     
     高等教育を我が国の競争力強化のための戦略と位置付け、どのような人材をどのくらい育成する必要があるかというビジョンやグランドデザインの下に制度を変えていくことが必要である。パートタイム学生の受入れもその一つの例だと思うが、アメリカやイギリスとは社会状況が違い、社会人学生の再就職の口がない中で、その必要性には疑問がある。
     
     パートタイム学生はアメリカでは学部段階に圧倒的に多く、働いて学びその後大学院で学位を取得しより良い職へと就いていく。日本もこのようなキャリアアップ社会になっていくのであれば、パートタイム学生の受入れの問題は非常に重要になると思う。また、このような制度と関連し、18歳で大学へ入り卒業して就職し一つの職場でポストが上がっていくというような従来の社会の在り方などを踏まえ、全体のビジョンも考えていくことになるのではないか。
     
     グランドデザイン全体については大学分科会で御議論いただく。また、将来構想部会で高等教育の在り方・規模等大きな今後の方向性について御議論をいただくこととなる。制度部会では今後の高等教育の将来像を念頭に置きつつ、このための制度上の問題や改善点を御議論いただきたい。パートタイム学生については次回詳しい資料で御説明したい。日本でも社会人の高等教育への需要が増加しつつある。現在は、授業料や修業年限等の点で、社会人が勉強するのにふさわしい制度になっていないので、これらの問題について考える必要があるのではないかと思われる。
     
     従来の大学の機能が変わったのか変わらないのか、どのような問題があるかについてまず考えるべきではないか。
     
     制度が高等教育に対する社会的ニーズに合致しなくなっている。多様化しているニーズの変化を捉えてそこからアプローチをすべきである。また、グローバルスタンダードも踏まえるべきである。ニーズ面では、日本の雇用慣行が変わってきており、これを認識する必要がある。また、アメリカでは、生涯所得と学位とが高い相関関係にあるためパートタイム学生が増えているが、日本でもそういう教育投資の考え方が出てきていると思う。こうした動きが拡大するなら、パートタイム学生の議論も必要である。一方、ビジネススクールには、レベルの全然違う社会人学生が集まっている現状があり、どう教えるかという問題がある。このような既存の制度と合致しない部分について、実体を把握することが必要ではないか。
     
     パートタイム学生に関し、日本の現状とニーズについて教えてほしい。
     
     社会人学生の状況について、次回資料を示し御説明したい。
     
     科目等履修生は単位を積み重ねていくと、大学卒業と同じ資格になるのか。
     
     短大や高等専門学校等での2年分位の教育をベースとして単位を積み上げ、大学評価・学位授与機構で審査を受け合格すると、学士が授与される。
     
     高等教育機関への非常に高い進学率を念頭に置いて、今後の高等教育のシステムを考えるべきではないか。その際、多くの大学生が卒業後就職することを踏まえ、高等教育機関における職業教育の在り方を一つの柱として制度上反映していくことを考える必要があるのではないか。
     
     アメリカのパートタイムの現状については2年制と4年制を分けて把握するべき。アメリカではコミュニティーカレッジがパートタイム学生の大部分を引き受け、4年制大学が専門基礎教育や教養教育を行い、フルタイム学生が中心となっている。一方、日本の大学には教養教育や専門教育、職業教育、パートタイムの受入れまで何もかも期待する傾向にあるが、4年制大学の在り方を抜本的に考えないと、社会人を受け入れても役に立つ教育ができないとの批判を受け、自己崩壊しかねない。アメリカでは職業教育に関する資格はエクステンションで、ライセンスは大学院が出すというように分業体制が出来ている。日本の短期大学や大学の役割・使命をはっきりさせる必要がある。
     
     アメリカとの違いを理解した上で制度改革をしないと混乱してしまう。キャリアパスとしてのパートタイム、カルチャーセンターとしてのコミュニティーカレッジの違いをはっきりさせ、トータルとしてどういう大学がどのくらい必要かを見極めて議論する必要がある。
     
     パートタイム学生の受入れを、4年制大学の任務として押しつけるつもりはない。大学における社会人の学習ニーズが増えているので、学びやすいように仕組みを整理をするべきではないかと考えている。現在、社会人で一部の科目だけを受講することを希望する人も増えており、それを積み重ねて学位を取りたいという人もいる。収容定員の在り方など、制度的に考える必要がある点もあり、御議論いただきたい。
     
     技術者について、他国は職業的な資格に対する学部教育をかなり重視している。また、何を教えたかではなく、何が身に付いているかを問う教育になっており、出口の品質管理がしっかりしている。さらに、職に関する資格が厳しく要求されているが、日本では博士まで取得してしまうと社会的に受け入れられない傾向にある。一方、現在大学入試科目の設定の仕方が揺れているが、このため学部教育にひずみが生じ、専門教育が学部では万全に出来ない状況がある。その点、高校段階から連続する教育課程を持つ高等専門学校は、このような問題を経ずに人材を育成していくことが出来る。分野によって多様な高等教育の方法があると思うので、高等教育の系統図を整理して全体像を見ながら議論してはどうか。
     
     制度部会が目指すものは、社会の変化に伴って高等教育システムも変化させなければならないということだと思う。大学は教養教育と専門教育をしっかり行う場である。また、サークルなどクラブ活動は組織内での自分の位置関係を確認する場であり、大学機関が正当に評価する仕組みを考えても良いのではないか。産業界のニーズであるMBAコースなど金儲けの技術論を大学に期待するのは間違いである。教育に対する大学の基軸をはっきりさせるべきである。大学は、スキルやノウハウを身につけさせることに傾斜するのではなく、スキルではない専門性を身につけさせる権威ある機関であってほしい。
     
     教養教育と専門教育の制度的な枠組みについては平成3年に見直し、各大学の自己責任に任せてきた。昨今では、教養教育をないがしろにして、専門教育を重視し過ぎているのではないかという反省が起こってきているように感じる。各大学がそれぞれが得意とする持ち味を大切にしつつ教育していただきたいと思う。
     
     様々な問題があり、個々の大学でそれぞれどこに重点を置いてどう考えるのかを決めるべきことも多いと思うが、制度部会で議論する上で特に問題点となるものは何か。
     
     これまでの大学行政の流れは制度に関する限り自由化の方向である。様々に規制緩和されている中で、制度部会では実体に即して制度を見直していただきたい。たとえばこれまで大学は主に正規の学生を念頭に置いてきている中で、パートタイム学生を正規の定員としてどこまで認めるかという問題があり、これには私学助成の在り方も関わっている。日本の伝統的な学生や教育の在り方が変わってきている中、本部会ではこれに関連して起こっているひずみや反省点等について議論をお願いしたい。
     
     制度を論じる上で、それぞれの機関の役割や機能を議論する必要がある。地域社会や雇用慣行の変化により生じている課題に対し、大学、短期大学、高等専門学校がそれぞれどう役割分担をしていくかを明確にする必要がある。短期大学の2部(夜間学部)では、リストラへの不安からもう一度勉強しようという社会人が増えているが、いろいろなニーズを突きつけられており、短期大学がどのような役割を担っていくべきか考えさせられている。また、学生が学び続けるために学部を選ぶとき、特色の違いがわかりにくいということがある。社会人の受入れという観点から、大学等の役割分担を考えていくことができるのではないか。
     
     学校制度の見直し、国公私立の役割分担、大学や短期大学等の組織・運営の問題、教員と学生の関係等について、社会全体の変化への対応を踏まえ考えていかなければならない。パートタイム学生については、社会的な認知の在り方として考えてはどうか。大学は学位だけではなく、他の資格を出す機関として考えても良いのではないか。職場と学校が同時に仕組みを変え、社会人がパートタイムとして学べるよう、中央教育審議会が提言し社会を誘導することが大切ではないか。学部と大学院の関係については、本来は学問分野によって必要年数が異なるのは当然であるが、それが一律の年数となっている現状で良いのか、という問題がある。助教授・助手の問題については、生涯助手でいなければならないような現状をどうするかなど、それぞれに深刻な問題であり、議論していく必要がある。
     
     高等専門学校が成立した当時と現在の状況との間にの矛盾を感じる。グローバル化時代の在り方として遅れた部分があり、高等教育制度全体の中で高等専門学校の位置付けを見直す必要がある。どのような教育ができるか、どのような人材が育てられるか、日本の高等技術の在り方、日本の国力としての技術をどう保つかという点から、高等専門学校の将来の在り方について議論してほしい。
     
     未解決な個別具体の課題について考えていかなければならない。その際、大学のグランドデザインを描く必要があるということについては賛成であるが、これについては大学分科会でも議論されており、各部会で重複して議論し無駄なエネルギーを使わないよう、作業の仕分けをする必要があるのではないかと思う。
     
次回の日程
     次回は、9月6日(木)に開催し、パートタイム学生の受入れや社会人に対する高等教育機関の役割について有識者から意見を聴取することとなった。

 

(高等教育局高等教育企画課)

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