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中央教育審議会大学分科会将来構想部会

2002/12/24 議事録
中央教育審議会大学分科会将来構想部会(第16回)次第

中央教育審議会大学分科会
将来構想部会(第16回)次第

1  日時   平成14年12月24日(火)10:30〜13:00
 
2  場所 経済産業省別館944号会議室(9階)

  議題
(1) 8月5日の答申を受けた大学設置基準の改正等について
(2) その他
 
  配付資料
  資料  1       将来構想部会(第15回)議事要旨(案)
  資料  2−1   大学設置基準の改正要綱案について
  資料  2−2   大学設置基準等告示要綱案
  資料  2−3   大学院設置基準の改正要綱案について
  資料  2−4   大学院設置基準等告示要綱案
  資料  3       届出で設置が可能な場合について(案)
  資料  4       校地に係る基準の見直しについて(案)
  資料  5       認証基準について
  資料  6       大学分科会の今後の日程について

(机上資料)
  「大学の質の保証に係る新たなシステムの構築について」「大学院における高度専門職業人養成について」「法科大学院の設置基準等について」(答申)
  大学設置審査要覧
  将来構想部会関係基礎資料
  文部統計要覧
  教育指標の国際比較
  高等教育関係基礎資料集
  大学審議会答申・報告集
  中央教育審議会答申「大学等における社会人受入れの推進方策について」

5  出席者
(委      員)木村  孟(副会長),吉川弘之(分科会長),中嶋嶺雄の各委員
(臨時委員)天野郁夫,黒田壽二,島田Y子,関根秀和の各臨時委員
(専門委員)大南正瑛,越原一郎,鈴木  忠,中津井泉,松本浩之の各専門委員
(委任状出席)高倉  翔,石  弘光の各委員
(文部科学省)御手洗文部科学審議官,林大臣官房審議官,工藤高等教育局長,木谷高等教育局審議官,板東高等教育企画課長  他

  議  事
(1)事務局からの資料説明後、「8月5日の答申を受けた大学設置基準の改正等について」審議を行った。

(○:委員,●:事務局)

  サテライトキャンパスについては、多様化した大学教育環境の中で一般の学生も対象とすることは困難だと思われるので、社会人のみを対象にすることを明示したほうが良いと思う。

  資料2-4(4)において社会人を対象にすると明記している。

  現在は大学院設置審査基準要項細則第11項にサテライトキャンパスに関する規定があるが、資料2-4の案とはどう異なるのか。

  現在のものは内示的なもので、資料2-4の案に示している告示は法令である。従って、社会人を対象とするということも法令の形で明示されることになる。

  省令である設置基準の改正をする場合と、法令である告示を改正する場合では、手続きはどう異なるのか。

  現在は、設置基準その他法令にあたるものと、法令ではないが実質上は法規的に機能してきた。形式と実態が合致していないことは適切ではないので、必要に応じて形式的にも整備しようとしている。その際には内容の見直しもする必要があるだろう。

  資料2-3の第31条の専門大学院と、専門職大学院との関わりはどうなるのか。

  専門職大学院が設置された際に専門大学院についての記述は削除する。既存の専門大学院は発展的に専門職大学院に移行することになる。

  大学における社会人の定義とは何か。その定義を統一する必要があるのではないか。

  大学で社会人を対象にコースを募集するような場合に、社会人についての具体的な基準を設けて、それをチェックすることを考えている。

  設置認可に関して各大学から様々な質問が寄せられると思う。それらをQ&A形式で文部科学省のホームページに掲載していただきたい。

  資料2-1について、左側の「大学設置基準」が現行で、これはこのまま残り、真ん中の「大学設置基準の改正要綱案」がそれに付与されると考えてよいか。

  そうである。ただし、各条項がどこに置かれるのかについては検討中である。

  今回の資料では全体の整合性が見えにくい。学校教育法等の改正を受けて具体的に設置基準がどう変わるのかを明確にするべきではないか。

  基本的に設置基準自体については、これまでにかなり弾力化されているので、それ自体が縛りとなることは非常に少なくなっている。状況の変化等により削除すべき部分もあるかと思われるので、その辺りも含めて全体的に整理させていただきたい。

  資料3の届出で設置が可能な場合については、その教員組織も問題だと思う。届出の場合に整備されていなければならない設置基準は、現行のままで大丈夫なのか。教員組織については、認可と届出との関係において明確にする必要があるのではないか。

  基本的に届出制の場合にチェックするのは、教員に関しても数についてのみだと思う。

  校地に関する制限が非常に緩んでいるが、それは学生に対するサービスの低下につながるのではないか。海外の大学では施設を他大学と一緒に使う等の工夫をしているが、そのような視点が日本の大学にも必要なのではないか。

  資料2-1の第41条事務組織について、大学においても経営管理能力が必要とされる時代なので、その辺りも改正するべきではないか。

  現在の大学では学生の教育や就職への支援が重視されているので、それへの配慮もお願いしたい。

  大学とは何かという定義を明確にするべきかもしれない。それは、大学自身の努力への抱負となるようなものであるべきだと思う。

  大学の努力につながるものの一つが第三者評価になるのか。様々に錯綜した規定等を整理することは重要だが、第三者評価とは何かを明確にすることも必要ではないか。

  助教授と助手の違いについて、どう考えるのか。学生という場合には、基本的には留学生は含まれるのか。

  助教授・助手の取扱いを含めた教員組織の在り方については、制度部会の方で検討させていただきたい。留学生については、例えば入学定員等においても留学生はその中に含まれており、日本人学生との取扱いの違いはないと考えている。

  大学設置基準では大学とされない教育機関で、いわゆる大学以上の教育を行っている場合がある。例えば、同時通訳等の教育を行っている民間会社では、大学よりも余程レベルが高い教育を行っている。これらが将来大学と接点を持つことにより、今後の日本の専門職業教育を改善できるのではないか。また、設置基準上の大学ではなくても、海外の大学の分校等での教育は、非常に優れていることが多い。

  例えば大学以外の様々な教育サービス等を行っている機関との連携を強めるという意味では、英検を単位として認定する等、大学外での学習を大学で取り入れようとしている。また、海外の大学やその分校、あるいはインターネット等で入ってくるもの等について、国際的な観点からどう考えるのか。世の中の動向に適切に対応しつつ、国際的な質の保証の在り方を考えていただきたい。

  同時通訳を教える民間会社等は大学ではない。それらと大学が交流することは重要だが、大学は訓練所ではないので大学という枠組みは守っていくべきではないか。

  資料3「届出で設置が可能な場合について(案)」の1は、答申の趣旨を逸脱していないか。答申では資料3の2にあるような例のみを想定しているのではないか。現在、設置されている学部の分野により認可か届出かの区別をするようだが、答申では学位の分野によって区別するとしているので、この点も答申の内容と異なるのではないか。届出と認可の最大の違いは教員資格の調査の有無にあるのか。基本的に教員の質が最重要なので、それを全く審査しないのであれば問題がある。また、認可と届出の違いについては、どのような法規として示されることになるのか。専門職大学院の設置についても、認可と届出の区別は大学と同様になるのか。

  答申では、単純な分かりやすい例をあげている。資料3の1については、ある範囲での学部や学科を持っている場合、その範囲内で新しいものを企画・作成する能力を持つと考え得るということだ。その能力を持つと想定出来る範囲をどのように考えるのかは重要だ。この部会の議論では、例えば工学部の中に機械工学や電気工学の学科があり建築学科がない場合には、建築学科を作る企画能力を持つと考え得るという整理である。資料3の2は、母体となる教員組織等があり、それを発展させて組織を作るというような場合である。届出と認可の違いについてだが、認可の場合は申請後に様々な審査等があり、その結果を踏まえて文部科学大臣が認可する。届出の場合は設置基準違反等の法令違反がない限り、届出により設置が出来る。届出時に提出された書類により、教員数や校舎の不足等が判明した場合には、事後的に法令違反として指導させていただく。認可と届出の違いについては、告示という形で出させていただく予定である。専門職大学院については、各々授与する学位の種類が異なるので、それにより認可と届出の区別をすることになるのではないか。

  設置基準違反かどうかについては、設置基準の内容を逐一チェックしなければ分からないだろう。全ての届出について、校地・校舎等のチェックを行うのか。それとも届出さえあれば設置を認めるのか。チェックするのであれば事前に行うのか。

  基本的に届出は事前チェックの仕組みではない。ただ、事後的な修正の仕組みとして、法令違反がある場合に是正をすることが出来るという規定が、今回の学校教育法の改正に入っている。

  ある学科があれば別の学科にも関連があるので能力があるとして設置を認めるのは、事実上放任状態にするという趣旨だろう。今回の答申では、機関評価は義務付けるが専門分野別の評価は当分の間義務付けないとしている。つまり、自由化した後の質の担保の仕組みが全くない状態であるが、その状態で行うことには不安が残る。現在は設置審査の段階で事前審査をしており、それが大学の質を担保しているのだと思う。その部分を変更するのであれば、質の担保の仕組みを明確に規定しなければ、私立大学の設置は放任状態になってしまうのではないか。

  届出は、書類を届け出た時点で完了したことになるのか。それとも受理されたことにより有効となるのか。

  届け出た時点で完了するのだろう。設置認可の弾力化は、設置認可行政の大転換だと思う。それについては、現時点では様々な不安もあるが、第三者評価等を通じて大学の質の水準を保ち、また多様性を伸ばすことが出来るのではないか。

  評価システムに関してはまだ準備段階ではあるが、これから如何に作り上げていくかということだ。なお、評価には分野別の専門的な評価と機関評価があるが、機関評価においても設置基準等に従った教育研究が行われているかについて評価されることになる。

  今後は、届出を不可とした場合、そのケースについては大学設置・学校法人審議会の同意を得る等の措置を考えるべきではないか。これまでは大学が設置認可行政を頼っていたので、自己点検等の能力が育っていない恐れがある。従って、出来るだけ早く第三者評価を育て上げる必要がある。

  届出による設置の場合、届出の形式が整っていれば受理することになる。従って、届出内容についての審査はその時点では行わない。ただし、設置基準は当然満たしていなければならないので、その点についてはきちんとチェックをするという運用を考えている。また、仮に届出により設置された大学において設置基準が満たされていない場合には、是正措置を行い得る。設置認可の弾力化については全体的に質の保証を考えていきたい。

  文部科学省には、教育サービスの質を担保する行政責任があると思う。そのために義務的な評価システムを導入しようとしているのだろう。つまり、これまでは国が私立大学の質の水準の維持・向上の役割を担ってきた。それを今後国がどこまで担保していくのかが問題である。日本では、国公立大学に比べ私立大学が圧倒的に多いので、私立大学が一定水準の教育サービスをきちんと提供出来るように、国がある程度の責任を持たなければならないのではないか。設置認可の弾力化には賛成だが、その辺りを踏まえて届出にする範囲を決めた方がよいと考えている。

  届出による設置の場合に、事後的にそれが法令違反だと判明すれば、大学設置・学校法人審議会でご議論いただき、それを踏まえて適切に対応していくことになると思う。これまでは設置認可に過度に重点を置き、設置後の教育研究活動については放置してきた。従って、第三者評価等の自己的な是正も含め、全体としてシステムを構築していくべきだろう。質の担保については、行政以外の部分での仕組みも必要だと思う。

  設置認可の弾力化については、第三者評価制度と市場原理によって大学の質が保証されることになるのではないか。

  これまで大学にセキュリティ感覚のようなものが全く育ってこなかったことが問題だと思う。従って、ここで制度の規制緩和をして各大学が責任感を持たないと、日本の大学は今後成り立っていかないのではないか。

  資料3の1についてだが、例えば栄養学は10保健衛生学・看護学・医療技術関係にもどこにも入っていないのではないか。栄養学は家政学系や保健衛生系、農学系、医療学系統にも存在するので一分野に入れることには無理があるかもしれない。

  資料4についても、相当緩和されることになると思うが、各大学が自己責任で大学に相応しいように対応することになるのだろう。規制緩和と同時に自己責任を追求することにより、大学の良し悪しを大学そのものの姿勢によって決めるようになるべきだと思う。


  次回の日程
  次回は、1月14日(火)に開催することとなった。


(高等教育局高等教育企画課高等教育政策室)

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