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設置基準の改正によりそれに伴う規制策が同時に廃止されるが、それについてご意見を伺いたい。
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大学の都市への集中を規制という形でコントロールするのは、好ましくないと考える。私立大学が大都市に集まり、地方からなくなる状態を想定すると、地方在住の方にとって高等教育を受ける機会を失わせることになる。それは日本の高等教育のあり方が問われるので、まず高等教育の本来あるべき姿について先に考えるべきだ。日本において、大都市集中の傾向があるのは、大都市と地方との格差が厳然としてあるからであり、その意味では大学だけの問題ではなくライフスタイルとの関わりもあるだろう。今後教育の手段が変化すると思われるので、将来的に大都市に私立大学が集中するかどうかは、即断できない。従って、私立大学の大都市への集中を規制という形で排除すべきではなく、高等教育のあり方を策定し、ライフスタイルの変化や教育手段の変化も念頭に置いてその上で考える必要がある。次の世代にとって最も望ましい教育に関しては利用者の判断に委ねるべきだ。
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大都市の抑制を撤廃すると地方の短期大学は悲惨な状態になるおそれがあり、大都市の短期大学はこれまで抑制されてきたことにより時代の変化等に対応できなくなっているので、撤廃の方向が望ましい。地方の短期大学の希望としては、抑制や撤廃ではなく、高等教育の均衡ある発展を考えて抑制を徐々に緩和していくことである。大都市の短期大学は、これまで抑制されてきたために校地校舎も入手できない状態だったので、撤廃を望んでいる。
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私立大学が学位に関して非常に慎重な姿勢だが、これまでのものを緩和する程度でよいのか。国際的には学位に主体を置くことになっているが、そこをどう考えるのか。
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基本的には、学位を基準にして考えることについて賛成である。日本の大学の場合には、大体は学部単位で学士の学位名称が決まっているが、将来的に細かい分類になってくる可能性がある。その場合、新しい分野の進展に対して上手く対応できるかという危惧の念は若干あるが、学科という組織よりは学位を対象にして考えるのがよいのではないか。
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第三者評価に対して、評価を受ける大学側としてどのようなイメージを持っているのか。ここで言う第三者評価は、1つの組織体としてある大学を評価し、専門分野としてある学部を評価するものだ。更に各々の学位課程の評価まで入ってくると、かなり複雑な仕組みを考えなくてはならない。そのために多様な評価機関が必要で、その度にコストがかかる仕組みになると思われるが、議論の中では具体的なイメージがまだ確立されていない。
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従来大学基準協会等で行っている相互評価は機関評価なので、学位の問題や届出制への移行等に関しては、大学の利用者の目は厳しいだろう。学位課程や教育課程についてのプログラム評価が行われるべきで、大学の質の評価を考えた場合にはプログラム評価が重要な役割を果たすだろう。プログラム評価は、細かい専門分野に分かれて行われるので、評価機関は相当数になるのではないか。工学関係ではJABEEがスタートしているが、それも1つの試みである。
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アメリカの専門分野別のプロフェッショナル・アクレディテーション・アソシエーションの数は幾つあるのか。
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48分野で49団体でやっている。地域別のものは6つである。
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アメリカの経済学関係のアクレディテーションの認証は非常に厳しく、そのために第2アクレディテーションのアソシエーションを作ろうと努力していると聞いたことがある。多様化は必要だと思うが、そういうアクレディテーションのメジャーやマイナーまでできるのはどうか。多様になるというのは、種類の増加なのか、階層化まで含むのか、その辺りは全く議論がなされていないので、それも含めて議論を深めていきたい。
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学位は10年程前までは博士と修士に限定されており、学士は学位ではなかった。10年前に学士の学位化がなされたが、その時は準学士は称号として位置付けられてきた。しかし、短期大学は大学と同様に国の設置認可を受けており、今回の中間報告でも第三者評価から外されているわけではなく、大学や大学院と同様に第三者評価枠組みの中に位置付けられている。短期の大学として高等教育の中に位置付けていただくために、準学士の学位化は自然の流れではないかと考える。 |