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資料2−1

学校教育法施行規則の一部改正について

(大学等の履修証明及び入学時期の更なる弾力化)

1.改正の趣旨

 本年6月に成立した「学校教育法等の一部を改正する法律」により創設された大学等における履修証明制度について、法律に規定された「文部科学大臣の定め」を学校教育法施行規則に規定する。
 また、大学の入学時期については、現在、原則4月としつつ学年の途中においても入学できることとされているが、大学の秋季入学を促進する観点から、大学の入学時期を更に弾力化する。

2.改正の概要

(1)大学等の履修証明制度

○プログラムの質を保証する観点から以下の要件を規定。

  • 履修証明の課程は、学生以外の者を対象に開設される講習、大学の授業科目これらの一部により体系的に編成すること
  • 履修証明の課程は、120時間以上とすること
  • 履修証明の課程の名称、目的、教育方法(講義、実習等)、教育内容、総時間数、受講資格(高卒程度以上が標準)、定員、修了要件その他大学が必要と認める事項をあらかじめ公表すること
  • 履修証明書に、課程の名称、内容の概要、総時間数、その他大学が必要と認める事項を記載すること
  • 履修証明の課程の編成、実施状況の評価、履修証明書の交付を行うために必要な体制を整備すること

(※ 高等専門学校及び専門学校についても準用)

(参照条文)新学校教育法第105条

 大学は、文部科学大臣の定めるところにより、当該大学の学生以外の者を対象とした特別の課程を編成し、これを修了した者に対し、修了の事実を証する証明書を交付することができる。

(2)大学の入学時期の更なる弾力化

 大学の学年は、4月1日に始まり翌年3月31日に終わることとし、学年の途中においても学期の区分に従い入学・卒業させることができることとされているが(第72条)、秋季(9月)入学を更に促進するため、各大学の判断により秋季(9月)を学年の始期とすることができるよう、学年の始期及び終期は学長が定めることとする

3.改正のスケジュール

平成19年9月18日 中央教育審議会大学分科会制度・教育部会
平成19年9月22日〜10月21日 意見募集(パブリック・コメント)
平成19年12月10日 中央教育審議会大学分科会
平成19年12月中旬 改正省令公布(履修証明については12月下旬)
平成20年4月1日 施行(履修証明については平成19年12月26日)

我が国における履修証明(certificate)制度について

(趣旨)

 教育基本法第7条の規定により、教育研究の成果の社会への提供が大学の基本的役割として位置づけられたことや各種答申等の提言を踏まえ、学校教育法において履修証明の制度上の位置付けを明確化することにより、各大学等における社会人等に対する多様なニーズに応じた体系的な教育、学習機会の提供を促進。

(制度の主な概要)

下記の履修証明書を交付するプログラムを大学等が提供し得る旨を明確化

○対象者

社会人(当該大学等の学生の履修を排除するものではない)

○内容

大学等の教育・研究資源を活かし一定の教育計画の下に編成された、体系的な知識・技術等の習得を目指した教育プログラム

○期間

目的・内容に応じ、総時間数120時間以上で各大学等において設定

○証明書

プログラムの修了者には、各大学等により、学校教育法の規定に基づくプログラムであること及びその名称等を示した履修証明書を交付

○質保証

プログラムについては、各大学等においてその質を保証するための仕組みを確保

(※ 具体的要件については学校教育法施行規則(省令)において規定)

(基本的考え方)

  •  各大学等における多様なプログラムの開発を促進する観点から、法令上は必要最小限の枠組みのみを規定。
  •  プログラムの目的・内容として、多様かつ高度な、職業上に必要な専門的知識・技術取得のニーズに応じたもの、資格制度等とリンクしたもののほか、生涯学習ニーズへの対応など多様な目的・内容のプログラムを想定。
  •  プログラムの目的・内容に応じて、職能団体や地方公共団体、企業等との連携を推奨。
  •  履修証明のプログラムの研究開発、利活用促進のため、「大学・専修学校等における再チャレンジ支援推進プラン」(平成20年度要求額61億円)等により、各大学等における主体的取組を積極的に支援。

「社会人の学び直しニーズ対応教育推進プログラム」の採択事例

○岩手県立大学「コミュニティーカウンセラー教育・研修プログラムの開発・実施」

  •  民生委員、児童委員を対象に、相談技術を向上させるためのプログラムを実施。
  •  総時間数165時間(約半年)
  •  カウンセリング理論、カウンセリング演習、心理学、教育相談等

○大阪教育大学「大学と学校・教育委員会の連携による教員免許保持者のための即戦力プログラム」

  •  教員免許を有する30代の教員志望者を対象に、教員としての即戦力を身につけるためのプログラムを実施。
  •  総時間数150時間(約1年)
  •  組織力、リスクマネジメント力、コミュニケーション力、子ども理解力、教科指導力育成のための講座等

○静岡県立大学短期大学部「離退職保育・看護資格保有者のためのHPS養成教育プロジェクト」

  •  保育士や看護士の資格を有する者を対象に、入院・入所児の苦痛・ストレス・不安等を遊びプログラムを通じて解消するHPS(ホスピタル・プレイ・スペシャリスト)を養成するプログラムを英国HPS教育財団等との連携により実施。
  •  総時間数152時間(約3ヶ月)
  •  子どもに疾病と治療方法、子どもの発達と遊びに関する理論と実践等

○福島学院大学及び同短期大学部「介護職者等に対するキャリアアップのための園芸療法教育プログラム」

  •  老人福祉施設等で介護の業務に従事している介護福祉士等の専門職を対象として、認知症疾患者に対する園芸療法を身につけるためのプログラムを実施
  •  総時間数135時間(約1年)
  •  園芸に関する基礎、園芸療法の理論と実践、カウンセリング実習、老年期の心理等

○金沢工業大学「工業高校の教育職員のキャリア、スキルアップのための専門力と教育力向上プログラム」

  •  工業高校で専門教育を担当する教員を対象に、専門分野の深化や他分野の学習等を行うためのプログラムを実施。
  •  総時間数180時間(約2か月)
  •  安全・環境に関する指導法、進路・職業に関する指導法、工業科における指導法、機械・電気・情報の横断型基幹技術教育等
  •  各大学からの企画提案書より作成

経済財政改革の基本方針2007(平成19年6月19日 閣議決定) 抜粋

第2章 成長力の強化

1.成長力加速プログラム

3 成長可能性拡大戦略−イノベーション等
【具体的手段】
(2)大学・大学院改革

 以下の改革を含め、「教育再生会議第二次報告」に基づき、重点的に取り組む。

2国際化・多様化を通じた大学改革
  • 大学の4月入学原則を平成19年度中に弾力化する。国立大学について、大学の取組を支援し、全国立大学での9月入学枠の設定を実現する。私立大学においても、9月入学枠設定を促進する。

第4章 持続的で安心できる社会の実現

2.教育再生

【改革のポイント】
  1. 国際化を通じた「大学・大学院改革」を進める観点から、教員の国際公募、外国人教員比率の増、英語による授業、国家戦略としての留学生政策を推進する。また、大学の4月入学原則を一層弾力化する。大学の取組を支援し全国立大学の9月入学枠設定を実現する。【平成19年度中に学校教育法施行規則の改正、国立大学の中期目標策定時のガイドライン、運営費交付金等で支援】
【具体的な手段】
  • (4)大学・大学院改革(第2章参照)

社会総がかりで教育再生を−第二次報告−(平成19年6月1日 教育再生会議) 抜粋

3.地域、世界に貢献する大学・大学院の再生 −徹底した大学・大学院改革−

〈今すぐ取り組むべき5つの改革〉

提言2 国際化・多様化を通じ、世界から優秀な学生が集まる大学にする
【9月入学の大幅促進、教員の国際公募、英語による授業、国家戦略としての留学生政策、企業・社会との連携】
■9月入学の大幅促進
  • 国は、海外からの帰国生徒や海外からの留学生の要請に応えるとともに、日本版ギャップイヤー(注)などの導入による若者の多様な体験の機会を充実させる観点から、大学・大学院における9月入学を大幅に促進する
  • このため、国は、大学・大学院の4月入学原則を弾力化する(学校教育法施行規則の改正)。
(注)日本版ギャップイヤー
3月末までに入学を決定した学生に、9月からの入学を認め、その間、ボランティア活動など多様な体験活動を行う猶予期間を与えるもの。
また、4月に入学した学生に、9月までの間、多様な体験活動を認め、このような活動を評価して一定の単位を認める仕組み。