令和7年8月4日(月曜日)13時00分~15時00分
文部科学省 ※対面・Web会議の併用(傍聴はWeb上のみ) (東京都千代田区霞が関3-2-2)
(主査)森朋子 (主査代理)浅田尚紀 (委員)笠井正俊、葛城浩一、小林浩、斎藤有吾、嶌田敏行、中村真理子、林隆之、松浦良充、溝口侑
先崎大臣官房審議官(高等教育局担当)、安井高等教育企画課長、石橋大学振興課長、柴田国立大学法人支援課国立大学戦略室長、遠藤専門教育課専門職大学院室長、鈴木大学設置・評価室長
【森主査】
それでは,所定の時刻になりましたので,第6回の教育・学習の質向上に向けた新たな評価の在り方ワーキンググループを開催いたします。
御多用の中,御出席いただきまして誠にありがとうございます。
まずは,議事に入る前に,委員の出欠について御案内をいたします。本日は委員11名全員が出席となっております。また,本日もオブザーバーといたしまして,機関別認証評価機関の5機関に御参加いただいております。よろしくお願いいたします。
それでは,議事を進めさせていただきます。
本日は,これまでの議論の整理について,意見交換を行いたいと思います。
前回の会議におきまして,事務局案について御議論をいただきました。今回は前回の議論を踏まえた修正版について改めて意見を交換したいと思います。
それでは,まず,事務局から前回の修正点を中心に御説明をお願いいたします。
【鈴木大学設置・評価室長】
大学設置評価室長の鈴木でございます。私から前回お示ししました事務局案を,委員の皆様からいただいた御意見等を踏まえまして,修正したものを中心に御説明させていただきます。資料1-2を御覧いただければと思います。
前回の提出した資料から修正点を赤字で記載する形でまとめさせていただいているところでございます。
まず,第1部の1ポツの冒頭でございますけども,これは文章全体に言える話でございますが,アカウンタビリティーが認証評価の目的ではなく,何のためにアカウンタビリティーが必要なのかということをきちんと明確にすべきではないかということから,1ポツの1つ目の丸について,修正しているところでございます。その上で,認証評価についての,これまでの20年についての評価をするような記述を上に移動させていただいて,今の認証評価について課題をまとめさせていただいているところでございます。
2ページ目でございます。丸1につきましては,認証評価は,社会に対して訴求させていくということは非常に重要なことでありますけども,必ずしもそれだけが目的ではないのではないかというご意見を踏まえまして,現在の認証評価に対する社会評価を確認する必要があるのではないかという形に修正させていただいているところでございます。その下の修正は,先ほど申し上げたアカウンタビリティーについて,アカウンタビリティーが認証評価制度の目的ではないということを踏まえながら,もう少し丁寧に書かせていただいたところでございます。
次の丸2は,負担を感じている理由をより具体的に書くということで,「学生の教育や研究等の時間と労力を割いて」という言葉を追記させていただいているところでございます。丸3は,どこに十分浸透していないのかというところを明確にするために,学部,学科と追記した上で,タイトルも文章の適正化を図ったところでございます。
続きまして,4ページでは改革の方向性についてです。ここにつきましては,知の総和の向上の実現が今回の改革の方向性の大きい柱でございますけれども,そこからもう少し丁寧に説明したほうがいいのではないかということで,これまでの資料ではここが簡素化されておりましたので,学生を成長させることの重要性,そのために高等教育機関に何を求めているかというものを追記した上で,今回の高等教育の質の保障向上システムの向上が必要であることを丁寧に書かせていただいたところでございます。
続きまして,5ページでございます。新たな評価を検討するに当たって,必要なものとしては,学位プログラムの成果と学習成果の可視化と位置付けていますけども,教学習成果の可視化といったときにどういうものを指すのかということを少し丁寧に書かせていただいているところでございます。5ページ(2)でございますけども,高校関係者及び経済団体の関係者からいろいろ御意見いただきましたので,そこで出た御意見を踏まえまして,赤字のところを追記させていただくところでございます。
続きまして,6ページも先ほどお話しましたのが,アカウンタビリティーのところをより丁寧に書くという形の修正でございます。
続きまして,8ページでございます。8ページ中段,3つ目の丸でございますけれども,これも前回の審議の中で教育の質の向上といったときに,知識・技術・技能以外のところも重要なのではないかという御意見を踏まえまして,修正したものでございます。併せて,ワーキングの中でも,新たな評価のフィージビリティーというところに対して,御懸念等,御意見いただいておりますので,同ページ,8ページの四角のところでございますけども,高等教育機関及び評価機関の過度な負担にならないよう考慮する必要があるのではないかということをさらに検討する際の考慮すべき事項として追記させていただいたところでございます。
続きまして,9ページも先ほどお示ししましたアカウンタビリティーのところを丁寧に説明しているというものでございます。
最後,飛びまして,13ページでございます。これも先ほど冒頭でお話ししましたアカウンタビリティーのところです。その目的というものを丁寧に説明すべきであるということを書かせていただいた修正となっております。
前回お示しした事務局案から修正した箇所は以上でございます。よろしくお願いいたします。
【森主査】
ありがとうございました。前回以降,いろいろとメール等でも御助言いただいていると聞いております。
では,ここからは意見交換の時間としたいと思います。各項目に区切って意見交換を進めたいと思いますので,事務局案に対してのコメント,御意見でも構いません。御自由に御発言いただければと思います。また,議論の整理のうち,点線で囲ってある部分が今後検討を進める事項になりますので,その点について,次回以降どのように掘り下げていくか検討していくべきかといったアイデアもありましたらぜひお伺いできればと思います。
それでは,本件,第1部と第2部と分かれてございますので,まずは,第1部のところでございます。1,質保証の考え方と課題ということでございますけれども,ここに関しまして何か御意見がございましたら,挙手をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
前回と比べまして,アカウンタビリティーというところをもう少し丁寧に書き下したということと,そもそも何のためにというところで,高等教育機関といたしまして,学生一人一人を伸ばすという知の総和答申のところを受けてということで書かれているかと思います。いかがでしょうか。
では,溝口先生,よろしくお願いいたします。
【溝口委員】
これまでも何度か議論に上がっているかなと思うのですが,恐らく第1部は新しい評価というものが,どういうことのために改革をされていくのかということを示す大事なところになるかなと思います。2ページから3ページにわたって,何が課題かということをまとめていると思うのですけども,丸1で,現在の認証評価に対する社会的評価を再確認すると書いてあるのですけども,一方で,1ページ目の最初のところに,「日本の高等教育機関として教育研究の質というものに関する社会的評価を受け」というように書いてありますので,恐らくここに関して2つの社会的評価を確認するものがあるのかなと思っておりまして,大学教育の成果というものに対する社会的評価という話と,認証評価というものに対する社会的評価という話は少し区分して議論を進める必要があるのかなというのを,今回のまとめをいただいて改めて思った次第であります。
続きまして,それに関連すると恐らく話がその先に行ってしまうのですが,2の改革の方向性に示される,こういった方向性でといった(1)から(3)があると思うんですが,ここは課題と対応していったほうが非常に分かりやすく整理されるのかなと思っておりまして,どういう課題があって,それぞれに対してどういう形で改革を進めていくのかというところを見ていけると,よりクリアに今回のワーキングで議論していたものというのが整理されてくるのかなというのが思った次第であります。
【森主査】
ありがとうございました。まず,1点目でございますけれども,今,御指摘ありましたのは2ページ目の丸1のところに,社会的評価というところをもう少し丁寧に書き下したほうがいいのではないかという御意見をいただきました。これ,事務局何か御意見ございますか。
【鈴木大学設置・評価室長】
すみません。先ほどいただいた御意見を踏まえまして,おっしゃるとおりだと思いますので,そこは丁寧にもう一度,修正をさせていただければと思います。
【森主査】
ありがとうございます。そして,2つ目は課題が丸1,丸2,丸3とあるので,改革の方向性もそれに対応して(1),(2),(3)と合わせたらどうかということですので,これも御検討いただければと思います。ありがとうございました。
続きまして,いかがでしょうか。オンラインの先生方もいかがでしょうか。葛城先生,お願いいたします。
【葛城委員】
よろしくお願いします。今回,タイトルが「新たな評価」ということで,第1部のタイトルもまた「新たな評価」ということなんですが,前回の議論でもあったような気がするのですけど,認証評価の話なのか,認証評価を含む新しい評価の話なのかというところが,関係性が見えづらいかなと思います。
確認ですが,認証評価を含む包括的な評価の話をしようとされているのかどうか,まずはそこを確認させてください。
【鈴木大学設置・評価室長】
御指摘ありがとうございます。我々としましては,認証評価を含む評価全体の話を,ぜひワーキングの中で御議論いただきたいと思って,このようにさせていただいたところでございます。
【葛城委員】
そういうことであれば,その関係性が見えるような形で,どこか最初のほうにでもそういうことを書かれると,言葉の意味の整理ができるのかなと思ったところです。以上です。
【森主査】
ありがとうございます。今の御指摘は,例えば現状分析や法人評価などいろいろあるということを踏まえての,リード文がいいのではないかということでしょうか。
【葛城委員】
はい。
【森主査】
この辺りも御検討いただければと思います。ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。浅田先生,お願いします。
【浅田主査代理】
今の御発言に関連するのですが,1ページ目の最初の段落のところで,認証評価の目的が書かれています。平成16年にスタートし,どういう役割を認証評価は担うという記載があるのですが, 20年ほどたった今議論しているように,認証評価そのものの位置づけとか役割とかが大きく変わろうとしています。広い意味での新たな評価という枠組みを考えられている中で,認証評価に限定するにしても,あるいは新たな評価全体を扱うにしても,目的を明確にしていただきたいのです。その目的の中に3つ柱があると思っていて,質の保証,質の向上,それから情報の公表,この3つの柱に目的が集約されると思うのですけど,それぞれで,主体や役割,実施の内容が分かれてくると思っています。
今回,それらの整理はまだなのかもしれませんが,今後その辺のところを,どの主体が何をどのように実施するか,実施可能性も含めた議論を進めていただきたいと思っています。
【森主査】
ありがとうございます。そういう意味では,1ページ冒頭から「認証評価は」で始まっていますので,御指摘ありましたように,新たな評価とは一体どの範疇まで指すのかというところの範疇決めをお願いするということと,今,浅田委員から重要な御指摘ありましたけれども,質の保証,質の向上,情報公開と,この3つの柱と言っておられた,この柱がその3つなのかどうかということも含めまして,もう一度議論をいただきたいと思います。加えて,フィージビリティーが非常に重要だということだと思います。ありがとうございます。重要な御指摘いただきました。
続きまして,林委員お願いいたします。
【林委員】
ありがとうございます。これ全体的に細かい文言は今日固めなくていいのですか。例えば一段落目を見ても,日本語として,各高等教育機関の活動を保証し,と書いてあって,でも活動が保証するわけではないから,主語と述語が合っていないとか,そういうレベルの細かい話があって,その辺りはこちらから後で御連絡すればよろしいですか。
【森主査】
そうですね。何度も何度も書き換えているので,もう分からなくなってきてしまうこともあると思いますので,その辺は丁寧に,もしよろしければ赤を入れていただければ助かります。
【林委員】
分かりました。1行目も,日本語の話もありますが,教育研究の質を保証し,のところについては,質と水準を保障する,その辺り細かく,ぜひ確認できればいいなと思っています。
まず前提のところ申し上げたいんですが,先ほど,丸1の社会的評価を再確認するというところは,私も引っかかりまして,今我々が議論しているのは,認証評価と呼ぶか,新たな評価と呼ぶかはありますが,認証評価の有する社会的な機能を再構築するとか再確認するという話であって,認証評価が社会からどう評価されるかはどうでもよい。認証評価というのを社会の中でどう今後,位置づけていくかという話だと思います。その辺りは少し言葉のチョイスを注意していただければと思っています。それが1点目です。
それから,2点目ですが,めくっていただきまして,7,8行目あたりに国際通用性のある評価基準との整合も考慮すべきではないかと書いてあって,これは全くそのとおりです。ただ,今までずっと国際通用性はかなり意識してきたはずなので,もし国際通用性がないかのように読めるとまずい。今までずっと国際化のネットワークに入りながら,そういうところは意識してきたはずなので,この辺りの少し書きぶりは注意していただきたいなと思っています。
【森主査】
ありがとうございます。続けて松浦委員,よろしくお願いいたします。
【松浦委員】
ありがとうございます。ここまでの議論の整理という文書にどこまで書き込むのかということはあるかとは思うのですけれども,全般に気になっていることは,これはこの会議の随分最初のほうにも申し上げたと思うのですけども,ある程度の根拠を示しつつ議論していくということが必要かなと思っています。例えば丸2,丸3,これは疑問形になっているから,これはこれでいいのかもしれないのですが,評価者,被評価者双方への負担が重く,インセンティブを感じづらいのではないか,という非常に感覚的な書き方になっていて,負担が重いというのは,どこの誰のどういう負担が重くて,インセンティブを感じづらいというのはどこの部分なのかということをきちんとというか,ある程度示さないと,非常に印象論や感覚に基づいて次の政策を打ち出そうとしているような印象を与えてしまうのではないのかということが気になります。
課題の丸3の最後の段落でも,学部,学科の教員・職員にはこの取組が十分に浸透しておらず,他人事になってしまっているのではないのかという記載があります。内部質保証が十分に浸透していないとすると,これは実は大問題で,20年も取り組んできて浸透すらしていないのかということになると,新たな評価制度に進む前に,内部評価の在り方自体をもっと強化していかなきゃいけないというロジックにもなっていくと思います。この辺り,例示でも構わないので何か,そういうちょうどいい統計とかアンケートとか御意見とかあるのであれば,そこに触れていただかないと,何をどう改めていけばいいのか,あるいは,これまでの認証評価制度は何でも全部駄目なのかというところを少し整理したほうがよいと思います。中間のまとめのレベルなのか,もう少し先に進んだところなのか,これは,御判断は事務局にお任せしたいと思いますけれども,そういったところも御配慮いただければと思っています。
以上です。
【森主査】
ありがとうございます。重要な御指摘だと思います。すごく重要な政策の方向性を決めるに当たって,エビデンスが重要という話だと思います。これまで例えば認証評価に対して大きな調査とかをされている,NIADがされている感じがしますけども,一部の教員対象だったかと思います。ですので,なかなかエビデンスとして全高等教育機関のというのは難しいのかもしれませんけれども,何かしら方向性としましては,これまであるものを見繕っていただくというのは重要な御指摘かなと思います。ありがとうございました。
続きまして,笠井委員,オンラインからお願いいたします。
【笠井委員】
ありがとうございます。先ほど葛城委員からこの対象が認証評価なのか,そのほかの評価も含むのかという御質問があって,一応そのほかの評価も全部含むという趣旨のお答えがあったかと思うのですけれども,そうすると,国立大学法人評価なども入ってくるのかなという感じもするのですが,現在のこの文章を拝見する限りは,基本的には認証評価は今までこれこれこういうことでという内容で,新たな評価はというところの表現だと認証という言葉が抜けていることが多いのですけれども,逆に認証評価以外のものも含むとあまりはっきり言ってしまうと,対象がぼけてしまうおそれもあるかなと先ほどのお話を伺って思いました。
そういう意味では,認証評価の話をしているところは認証評価だとはっきり書いて,それ以外の評価について,同じことが言えるという場面については,そのように書くとか,全体にわたってなのですけれども,その辺り,これは委員の先生方の総意でないと,どの範囲でどうするかというのは決められないので,もっと先の話だと思うんですけれども,先ほどのやり取りで,認証評価の話としてする部分とそれからそれ以外も含めてする部分と,今後,何か文章をつくるときには意識的に分けることも考えていいのではないかと思います。
以上です。
【森主査】
ありがとうございます。大変重要な御指摘かと思います。私ども今,議論しているのは認証評価に特化して議論をしておりますけれども,当然ながらその認証評価はほかの評価とも連動しているということですので,今の笠井委員からの御指摘どおり,少し分けてお書きいただくということかなと思います。それを総じて新たな評価ということになっているのですけれども,そのほかの評価をここで議論する可能性はありますか。事務局いかがでしょうか。
【鈴木大学設置・評価室長】
森先生がおっしゃったように,当然今ここで議論すべき中心は認証評価制度であります。ただ,認証評価制度は当然ほかの評価制度とも連動しているところもございます。文章の中でも一部,法人評価の中の現況分析との関係とかも触れているところでございますので,そこはうまく,これは何を指すのかというところは丁寧に書かせていただければと思っているところでございます。
【森主査】
ありがとうございます。②に負担が大きいと書いてございますので,そういう意味では,その連動もぜひ検討いただければと思います。
では,続きまして,斎藤委員,オンラインからお願いいたします。
【斎藤委員】
ありがとうございます。5ページの最初のほうなんですけれどもよろしいでしょうか。
【森主査】
大丈夫です。多分もう先に行っていいということだと思いますので,どうぞ,斎藤委員続けて,4,5ページのところで,お願いいたします。
中村委員は4,5ページのご意見でよろしかったですか。
【中村委員】
その前です。
【森主査】
その前ですね。では,中村委員,3ページまでのところについてお願いいたします。
【中村委員】
ありがとうございます。先ほど認証評価という言葉について少し議論があったと思うのですが,もしかしたら私の誤解かもしれないのですが,認証評価というものは,文科省なり国なりが何なりのお墨つきをつけた評価であって,その中に機関別も分野別も入っているのかなということで正しいでしょうか。今回議論するのは,認証評価としての議論ということでよろしいでしょうか。
【森主査】
範疇の話ですね。事務局いかがでしょうか。
【鈴木大学設置・評価室長】
中村先生おっしゃったように,認知評価というのは,いわゆる分野別と機関別があって,それをトータルで認証評価制度について議論をするということもございます。ただ,もちろん医学の分野は,認証評価以外でも評価しているところもあり,当然リンクをしているところもあると思いますので,そういうものも含めて,トータルで新たな評価というところでまとめて議論したらどうかと思って,そのように書かせているところでございます。
【中村委員】
ありがとうございます。そうすると,例えば医学の分野だとしたら,今は自主的な活動ということですけれども,将来的にはこういう新しい評価の仕組みの中で,認証評価という位置づけになるかもしれないという理解で正しいでしょうか。
【鈴木大学設置・評価室長】
もちろん必ずしも決めているわけじゃないですけども,もちろん選択肢もあった上で議論いただくのかなと我々としては考えているところでございます。
【中村委員】
ありがとうございます。
【石橋大学振興課長】
補足させていただきます。鈴木が申し上げたとおり,今回,認証評価をメインに機関別,分野別を通して議論をいただいているということですけれども,それから発生するいろいろな論点の中に,現在,自主的にやっていただいている評価,それから国際的な評価,この辺りをどう組み合わせるとより大学なりにとって,もちろんちゃんとした評価にもなるし,かつ簡素化できるものは簡素化できると考えなければいけないかなと思っておりますので,認証評価だけを捉えてしまうと,それ以外の評価が,関係性が議論できないというのもまた問題かなと思っておりますので,今回,中心は認証評価でございますけども,その他の評価,それから各法人評価なども目配りしながら議論をしたいというのが今回のスコープになっております。
【中村委員】
ありがとうございます。もう一つすみません。2ページのところの丸2のところ,機関別と分野別の説明のところなのですが,評価サイクルが異なることが大学の負担のように読めてしまうのですが,サイクルが違うということよりも多分同じものを繰り返して重複して評価しているということが一番大学側にとって負担なのではないかと思うので,「など」と書いてはございますが,できればその辺も考慮していただけるとありがたいです。
以上です。
【森主査】
ありがとうございます。今お話のありましたように,同じような項目を何回もそれぞれの評価機関で,評価で取るということが負担だというのはそのとおりだと思いますので,その辺,文章も含めて少し見直していただければと思います。
第1部の1のところでございますけれども,これでよろしいでしょうか。林先生,お願いします。
【林委員】
文言だから,言うか言うまいか悩んだのですけど,今のお話もあり,さっきのエビデンスがないという話もあったので,2ページ目の,例えば5行目ですけども,「高等教育機関の多様性・個性や特性があることを考慮したとしても」と書いてありますが,恐らく高等教育機関の多様性・個性や特性は,まず第一に重視しなければいけないところであるので,「考慮したとしても」という指摘があるのはよくない。まずは,多様性,個性が重要である。ここの論点は公的機関の多様性の話じゃなくて,評価機関の評価基準がばらばらだからよく分からないというのであって,話が変わっているので,その辺は意識して,注意して修正していただきたいなと思っています。また,その下の2つ目のポツですが,最後に「認証評価自体が大学関係者の世界に閉じたものとなってしまっているのではないか」についても,非常に否定的な表現になっています。ただ,大学の教育の質を保証するというのは,設置審査も含めて大学人がしっかりと見ていく,大学関係者たちが自分たちで教育の質と水準を保証するということは必要なことだと思いますので,その辺りも,もう少し表現をニュートラルにというか,論点を明確にした上で書いていただければなと思います。
【森主査】
ありがとうございます。言っていることは一緒なんだけどということですね。書きぶりのところに関しましては,今回の議論の整理を,各大学が目を通していただいたときにもっと頑張っていこうと思えるような文章にするべきだと思っておりますので,ぜひ御指摘いただければと思います。
では,続きまして,4ページ,5ページのところに入りたいと思います。こういう状況があるので,改革の方向性としてこういうことではないのかということで,具体的に(1),(2),(3)ということが挙がっているということでございます。では,斎藤先生からどうぞよろしくお願いいたします。
【斎藤委員】
ありがとうございます。先ほど失礼しました。5ページの最初のところで,「したがって」という段落があるのですけれども,ここは結構これから認証評価制度をどう改革していくのかというところのすごく重要な段落になるのかなと思いまして,お伺いしたいんです。修正版では,最後の段落の文章で,未来社会を担う人材育成するような,そういう高等教育機関を高く評価する仕組みを構築するというのが読み取れたのですが,今回変わったところになると,「・・・すべく,ディプロマ・ポリシーを再考し,そこに向かうカリキュラムを高度化することで学生の学習成果を可視化するとともに」という形で少し意味合いがいろいろ加わっているような印象を受けます。細かい文言の修正とかはまた今度という話でしたので,ここの含意するところをお伺いしたいんですけれども,この一文はどういう高等教育機関を高く評価するということを言いたかったのか,それとも何か別の要素を加えていく必要があると述べたかったのかでいいますと,どちらになりますでしょうか。
【森主査】
修正版前は,ディプロマ・ポリシーだけでしたが,修正版では学習成果の可視化も入っているという,そんなようなニュアンスでよかったですか。
【斎藤委員】
ありがとうございます。文書の終わりが高等教育機関を高く評価する仕組みと書いてあって,これはどういう高等教育機関であれば,質が高いとして,それを高く評価するというように言いたい文章なのかなと思ったのですけど,まず,その理解で間違いないでしょうか。
【森主査】
そうですね。そう書いてございますが,事務局からお願いいたします。
【鈴木大学設置・評価室長】
斎藤先生,御指摘ありがとうございます。御指摘のように,まさに我々といたしましては,その前に書いた事例,いわゆる学生自身も成長を実感できているという学習成果が可視化されて,その結果を踏まえて,各高等教育が自ら,さらなる改革,改善を進められるかと,そこを評価すべきであって,それがきちんと回っているところについて,高く評価するということを我々としては書いたつもりでございます。
【斎藤委員】
ありがとうございます。そうしますと,今のところ,ディプロマ・ポリシーを再考して,そこに向かうカリキュラムを高度化することで,学習成果を可視化するとともにみたいな感じで書いてあるので,これをするというところを高く評価するというように,読み取りづらいところがあるかなと思いますので,これから認証評価制度としてはこういうことをやっている機関を高く評価するというところを明確に書くというところが重要になってくるかなと思いました。ありがとうございます。
以上です。
【森主査】
ありがとうございます。ディプロマ・ポリシーを再考し,カリキュラム高度化し,それによって学生が伸びるということが重要ということですよね。それらを可視化してエビデンスを出すということになりますかと思います。
【斎藤委員】
ありがとうございます。
【森主査】
ありがとうございます。
続きまして,林先生お願いいたします。
【林委員】
資料1-1の,3ページの終わりから4ページの頭ですが,ここの構造というか,言っていることについて,今の話も絡むのですけれども,「教育プログラムの成果とその教育プログラムによって学生が在学中にどのくらい成長したか,また,学生自身もその成長を実感ができているという学習成果が可視化され」,というのが,前半の在学中にどのぐらい成長したかは,例えば直接評価のことを言っていて,後半が学生の成長実感の間接的な評価のことを言っているのかとか,書きぶりの区分がよく分からない。学習成果の可視化も成長実感だけが学習成果の可視化ではなく,加えて,ここには産業界とかからの御意見にあったように,産業界がその学生,卒業生をどう見ているかと,そういう視点の話も入ってきていない。学習成果が重要だという話は全くそのとおりなのだけど,ここに書くべきことがもう少し整理された上で,そういう学生,あるいは大学以外のステークホルダーの視点も入るような書きぶりにならないかなと思って見ていたところです。
以上です。
【森主査】
ありがとうございます。ここ,様々なステークホルダーが望むことを書いていくと結構分量多くなってしまいますので,このあたりの御判断は事務局のほうにお任せをするということなのですけれども,ただ本当に,この改革はまず,大学が大学自身しっかりとねじを巻き直すということが重要なのかなと思っているので,外圧でやるわけではないということが重要なのかなとは思います。ありがとうございました。
では,嶌田先生,お願いいたします。
【嶌田委員】
嶌田でございます。僕も大体似たところなのですけども,ディプロマ・ポリシーを再考しましょうというときに,現場目線だと,教育目標があって人材育成像があって,ディプロマ・ポリシーがあって,似たようなものが確かにたくさんあります。ディプロマ・ポリシーが結局曖昧だよねとか,ディプロマ・ポリシーをもう少し明確化したほうがいいよねとか,学修成果に照らしてもう少し直さなきゃいけないような気もするのですが,でも,曖昧かつ崇高に書くのがDPじゃないの?みたいなところもあります。ですから,確かにDP見直さないと,という気持ちにはなるんですけど,でもそもそもDPって何ですかというと,満たしていれば卒業できるもの?それって教育目標とも似ているようだものだし,微妙に違うしみたいな感じで迷った記憶があります。DPって教育目標とは少し違う感じで捉えればよいのでしょうね。
【森主査】
人材育成目標と教育目標,ディプロマ・ポリシー,様々なところで目指すべきものがある,その整理ということだと思いますけど,これまでの答申の用語とかも少しさらっていただいて,一体何を再考することが教育カリキュラムを高度化するのか,その辺,探っていただいたほうがいいかもしれないですね。多分言っている方向性は分かるのですけどということですよね。
【嶌田委員】
そうです。だから,実質作業としてやろうと思ったときに,教育目標みたいなのはあまりいじらなくていいのか,DPだけ変えればいいのか,ということです。要するに,現場ではどちらかというと即物的に考える場面も多いので,「とにかくDP変えなきゃいけないのですね?」みたいな話になってしまいがちかと思います。こうでこうだから,こういうときは教育目標も少しリバイスしたほうがいいですよ,みたいな感じで意味を伝えていかないと,すぐ結局現場は「作業」として認識してしまうところがあるので,「思い」をもう少し伝える何かがあったほうがよいのではないかなと思ったところです。
【森主査】
用語の整理は重要かと思います。ただ,今回これに関しては,まず,方向性の話なので,そういう意味ではここにディプロマ・ポリシーと書いてしまうかどうかということですよね。向かうべき目標をということで包括的に書いたほうがいいかもしれませんね。何か,よろしいですか。
【石橋大学振興課長】
嶌田委員,ありがとうございます。答申のこれまでの書き方は整理をしないといけないかなと思いますけども,基本的には3ポリシーということでこれまでやってきたという認識ですので,大学の中ではう少し細部化してお書きくださっていることもあるのかなと思いますけども,基本的にはディプロマ,カリキュラム,アドミッションという3つで,文科省というか中教審は整理してきたということかと思います。
今回,議論の中で学習成果を可視化するということだと,じゃあ学習成果が何かというのは,ディプロマと結びついているものではないかという形から,ディプロマ・ポリシーを学習成果ときちんと結びついた形で明言できているのかというのは再チェック必要だという御議論があって,この文言にまとめさせていただいていますけれども,そういうところで,もう少し,今,嶌田委員おっしゃってくださったとおり,じゃあ大学は具体的に何をすればいいのかが見えるようにという御指示かと思いますので,もう少し丁寧に書くということで大丈夫でしょうか。
【森主査】
ありがとうございます。もう少し具体なものというのはまだこれからの議論になるかなと思いますので,今回は方向性ということですね。ありがとうございます。
続きまして,葛城委員,お願いいたします。
【葛城委員】
ありがとうございます。頭が整理できていないところがあるので,ぜひ御意見を伺いたいと思うのですが,学生の学習成果を可視化するといったときに,それは学習成果が上がっていることを証明するという意味合いになりますか。
【鈴木大学設置・評価室長】
ここは,これからまさにどう評価していくかという議論だと思いますけども,まずは,我々としては学習成果というものが,要はきちんとディプロマ・ポリシーに基づいて必要な資質,能力がきちんと学生が身についているかどうかということを,各大学がそれをきちん説明できるようにすることが,まずは重要だと考えています。それを踏まえた上で,各大学,高等教育機関が自己改革,自己改善を進めていき,そこに対して評価するのか.あついはそれが実際,成果として上がっているかどうかというところを評価するかは,これからまた恐らく議論が要するところかなと思っています。
【葛城委員】
では,学習の伸びがどうかというよりは,伸びを測ろうとするというか,学習によってどういう成果が得られたかというのを測定しようとする試みというか,行為自体を評価するみたいな意味合いということですか。
【鈴木大学設置・評価室長】
そういうことをきちんと各高等教育機関がやるということが必要だと思っていますので,そこをまず評価するのかなと,我々としては思っているところでございます。
【葛城委員】
分かりました。以上です。
【森主査】
ありがとうございます。それでよかったのでしょうか。答申では学生の伸びの話をしているので,それは伸びということであれば,当然ながら出口のところだけではないような気もします。仕組みがあるというだけであれば,これまでもずっと仕組みの話をしてきているので,実際に学生が伸びたかどうかというところと違う議論になってしまうかなと思うのですが,石橋さん,もしよろしければ補足をお願いします。
【石橋大学振興課長】
ありがとうございます。なかなか難しいことではあるということだとは思っているんですけども,今回,伸びということを答申には明確に書いているので,学習成果が収められたということは,入学時と卒業時において変化があったから卒業が認められていると考えると,それそのものが伸びなのではないかという形で,答申のときは一旦の整理はしたところではあります。ただ,ここはだからこそ先生方にプロの御知見をいただきながら,本当に何が測れるのかということであったりとか,どういう視点で大学を見ていただくとそれが明示できるのかというところを,今まさに,特にこれからの後半戦をかけて御議論いただく必要があるのかなと思っておりますので,学習成果そのものと伸び,私はまた学習成果の中に伸びというものは包含されているのかなと認識していたのですが,これは先生方の用語の整理の中でそうではないのであれば,少し整理をしたほうがいいかなと思うので,もし葛城先生,アドバイスがあればありがたいです。
【葛城委員】
学習成果の可視化をしていく取組は,各大学やられていると思うのですけど,もし伸びが定義の中に入り込んでくると,伸びが見られなかった場合には,学習成果の可視化という取組自体はやっていたとしても,学習成果が可視化されていないということになるのではないかと思います。
【森主査】
その場合は教育の質が担保されていないということではなくてでしょうか。
【葛城委員】
教育をきちんとやっていたとしてもインプットの問題であったりとか,結果が出ないということは当然あり得ると思うので,そのときに仕組みがあることと,学習成果の可視化という言葉の中に包含する意味合いが伸びまで踏み込むのかどうかということは意識的に使い分けというか,使わないといけないかなとは思います。今までのイメージだと,学習成果の可視化は自分たちがやったこと,学生がどういう力を身につけたかを見えるようにしましょう,という可視化の意味合いが大きかったと思うのですけど,そうではないということなのであれば,そういう見せ方というか,発信の仕方をしなきゃいけないのかなと,私なんかは誤読してしまうので特に思うというところです。
【森主査】
今回はそこが難しいところですよね。システムがありますということだけではなくて,それを,それこそアカウンタビリティーというのか分かりませんけれども,いろいろなところにしっかりと説明していくものとして成果の可視化があると考えています。学習成果というと,そこの伸びが入ってくる一方,学習を可視化するだけでは,その伸びは入っていないようにも思います。斎藤委員,お願いします。
【斎藤委員】
関連するところで失礼いたします。成果が上がると一般に言いますと,目標達成できているということを成果が上がるみたいな形で表現されますので,必ずしもインプルーブという意味での上がるというところを示すかどうかというのは少し微妙かなと思います,なので,今回の成果が上がっているというところは達成できているということを示すとともに,大学教育としての付加価値,何かしらの成長がちゃんと見えるというところ含み込んで,この成果が上がるというところを表現しようとされているのだろうなと思ったのですが,まず,その理解でよろしいでしょうか。
【森主査】
そこが今ちょうど議論しているところですけれども,今のお話ですとそこを含むということですね。
【斎藤委員】
ありがとうございます。その上でなんですけれども,学習成果の評価自体は,その時点でどのくらい何かが見についているかどうかというところで,成長しているかどうかというところは,学習成果の評価自体は特に反映しないことはあり得るかなと思います。なので,伸びているかどうかというのは,学習成果を何回か測定した上での成長度合いだとか伸び率だとかというところで,学習成果をしてから別のデータと照らし合わせたときに明らかになったりするところがあるのではないかなと思いますので,学習成果の評価,それ自体の伸びを示すとか達成のみを表現するとか,あまりそういったことを厳密に言わないほうが,私としてはいいのかなと思います。
あくまで学習成果の可視化や学習成果の評価は,そのときの学生自身の身につけているものというのを明らかにするためのものであって,そこからどのように伸びているか,あるいは,ほかと比較してどうかみたいなことは,ほかの指標との照らし合わせによって明らかになることではないかと考えます。
【森主査】
ありがとうございます。話が細かくなり過ぎてしまっているので,何回取るかとか,いつ取るかとか,その辺については,いろいろな可能性があるとは思いますけれども,もう一度確認いたしますと,学生の学習成果を可視化するということに関しては,ディプロマ・ポリシーを達成しているということが第一義的なものがあって,ディプロマ・ポリシーを達成するということは,当然ながら入学時から延びているだろうということが含まれているということですので,それが伸びていることを可視化するということにもつながると,事務局はこのような考え方かと思います。
私もその考えに一応賛同です。入学時からディプロマ・ポリシーを達成している18歳は多分いないと思いますので,当然ながら伸びるということだと思います。先ほどどうやって大学側が可視化するかというところですけど,一つ私も今の議論に通じてなんですが,可視化をするということは,大学が証明するだけではなく,大学が自分たちのカリキュラムを見直すだけではなく,学習支援の項目というのがすごく強いですよね。卒業時の一時点だけで,蓋を開けてみたら,可視化したらできていないじゃないかと,これでは遅いわけで,そういう意味では,適切な時期に適切な支援を行っていくということで言えば,ちょうど上の部会のところでもアカデミックアドバイジングという話が出ていますので,そういう学生の学びを支援する観点でも,学習成果の可視化が重要というところを盛り込んでいただくと分かりやすいのかなと思ったりもしています。ありがとうございます。
では,小林委員,御意見をお願いいたします。
【小林委員】
御説明ありがとうございました。先ほど林先生から,2ページの2ポツのところで,高等教育の多様性,個性や特性があることを考慮したとしてもということと,認証評価の機関によるばらつきは違うこととおっしゃった上で,多様性,個性や特性があることは大前提であるというお話をされていたと思うのですが,ただ,改革の方向性のところに,どうも大前提のことが書かれていないような気がしていまして,高等教育の多様性,個性や特性を生かしてとか,明確にしてとか,もう少し一律に何か評価するのではなくて,多様性や個性ということをきちんと見ていく,そしてそれが教育目標とかDPとかに生かされていくというところをきちんと明示したほうがいいかなと思いました。
もう1点が,今,出ていた学習成果のところですけど,学習成果はあくまでも,外から見ていると手段でありまして,学習成果の中に,今回,4ページのところで学生が自らの可能性の伸びについて,伸張を実感できるとか,学生自身が学習成果,成長を実感できるという言葉をわざわざ入れているので,これ私はよく学習成果の自覚化というように言っているんですけども,単に何か測れるものだけじゃなくて学生自身がどのように自覚化していくか,これが多分産業界とか社会から見たときに,どうも見えづらいんじゃないかということで可視化という言葉に包含されているような気がするんですが,こういったことも含めて可視化の中に含まれているという認識をしていたんですが,2つ目のほうはそれでよろしいでしょうかというところです。
【森主査】
重要な御指摘だと思います。いかがでしょうか。
【鈴木大学設置・評価室長】
小林先生ありがとうございます。まさにおっしゃるとおりして,先ほど林先生からも,いわゆる学習成果といったときに,いわゆる直接評価と関節評価があるというようにお話ありましたけども,我々としては,直接評価,間接評価を含めて学習成果だと思っておりますので,今,小林先生の御指摘の理解で,事務局としては,この文章を書いているところでございます。
【小林委員】
ありがとうございます。
【森主査】
ありがとうございます。先日の経済団体のヒアリングにもありましたけれども,学生がそういう実感を持って社会とつながっていくという,大学がつながるわけではありませんので,そういう意味では,その辺りも学習成果の可視化の中に書き込んでいただくといいかもしれないですね。ありがとうございます。
いかがでしょうか。4ページ,5ページのところで,もう少し御意見がありましたら。すみません,斎藤委員,お願いいたします。
【斎藤委員】
ありがとうございます。少し話が戻るのですけど,ディプロマ・ポリシーのところに関してお伺いしたいんです。ディプロマ・ポリシーの議論,今回の文章にどこまで細かく書くのかというところがあるかと思うんですけども,大体どこを重視すればいいのかというところを教えていただきたいんですが,大学レベルのディプロマ・ポリシーと,あと,各学部レベルですとか学位プログラムレベルで記述している大学が多いのかなと思います。
今回,対象が学部,学科というところになるのであれば,学位プログラムレベルですとか学部,学科レベルのディプロマ・ポリシーが重要になってくると思います。そういった意味で書くというところと,カリキュラムと整合性を持たせるというところ,あと学習成果の評価を考えるのであれば,評価可能なように構造化するですとか,粒度をちゃんと考えて書くみたいな感じで幾つかの側面が出てくるかなと思います。事務局として,ディプロマ・ポリシーをつくり直す必要があるのであれば,強調したい点がどこにあるのかというところをお聞かせいただいてよろしいでしょうか。
【森主査】
難しい話ですね。事務局いかがでしょうか。
【鈴木大学設置・評価室長】
斎藤先生,ありがとうございます。ディプロマ・ポリシーにつきましては,我々としては,この後出てきますけども,学位プログラム,ひいて学部,学科ごと,いわゆるそこの教育の質というところを評価するということで考えてございますので,ディプロマ・ポリシーについては,学部,学科,学位プログラムごとに再考していただくことを考えております。
その後どこまでどういうところを重視していくかというところは,これは,この後,どういうところを評価を重視していくかというところとかぶるのかなと思っておりまして,今の段階でどういうところまで書くかというところは,これからまた先生たちの意見を聞きながら,どういうところを評価していくかというところを踏まえながら考えていくのかなと私としては考えているところでございますが,いかがでございましょうか。
【斎藤委員】
ありがとうございます。すなわち,学部,学科レベルで,もし書けていないところがあれば,そういうのをしっかり書いていく必要があるというところをまず,ここでは強調したいというところがよく分かりました。ありがとうございます。
【森主査】
粒の話になりますので,大学や学部の御判断のところもあるかなとは思うのですけれども,目標方法評価の一体化ということであれば,それが成立するような粒,粒度が必要ということになるかなと思います。ただ,こちらで規定をするというよりも,大学のほうの御判断ですかね。
【鈴木大学設置・評価室長】
そうですね。これも多分これからどういう評価を行っていくかという中で,総括サイド,大学のほうで,どういうディプロマ・ポリシーを立てていくのが望ましいのかというところを御検討いただくのかなと考えております。
【森主査】
なるほど。こういう内容であれば,この単位で受信するということになるということですかね。ありがとうございます。
【斎藤委員】
ありがとうございます。
【森主査】
では,4ページ,5ページに関しまして,以上でよろしいでしょうか。溝口委員,お願いいたします。
【溝口委員】
すみません,先ほど斎藤委員が質問していた5ページのところの(2)の直前のところになるのですけども,ここは結局のところ,どういう高等教育機関が高く評価されるのかということを示しているところだという確認があったと思うんですけども,ここを読み直していたときに,最後にディプロマ・ポリシーというものを再考して,カリキュラムを高度化している高等教育機関が高く評価される仕組みであるというお話だったのかなと思うんですが,今回のところの目的としては,教育の質の向上を図っているかというところこそがポイントになってくるのかなと思いますと,そうした文言で最後を締めるべきなのかなと,少し今日,今の議論を聞いていて思いました。
これ,前の段落を読みますと,前の段落であれば,高等教育機関自らがさらなる改革,改善を進められているかという観点からも評価すべきであると入ってはいるのですけども,こここそが多分一番重要なポイントなのかなと思いますので,この辺りは今回の改革の方向性も踏まえてどういうことをすればいいのか,1回の認証評価を受けて終わるのではなくて,その後の不断の改革というものを進めていること自体が必要なのであるということを,もう少し明確に示すような書きぶりとするといいのかなと思いました。
【森主査】
ありがとうございます。何を評価するのかということをもう少しということですね。上の区分であれば,これは内部質保証システムの話ですけれども,機関別ではなくて今回は受審をする部局別でしっかりとこういうシステムができているのかということになるのかなと私自身は読んでいました。
とにかく機関別認証評価のときと違って単位が細くなるというか,小さな単位になると。そして学生が育っている教育プログラムに直結しているものを評価しようということがそもそもの目的になっていたと思いますので,そういうことが今のように進めなくても感じられるような文章に,もう1回工夫を,なかなか難しいところだと思いますけれども,お願いできればと思います。皆さん,(1)の後半部分が引っかかるみたいですので,事務局にて御検討をお願いします。ありがとうございます。
【松浦委員】
少し戻りますが,ここの部分でも気になるのは学習成果の可視化ということが,金科玉条のようになってしまっていて,次のステップというか,質保証のレベルであれば可視化でいいかと思うんですけれども,質向上ということを目指したり,伸びや成長ということを考えるなら,可視化でとどまっていては進まないというか,しゃれみたいな話ですけれども,学習成果の価値化というか,学習成果にどういう価値があるのかというのが,この次の社会に開かれたところにも関わってくるのかなと思います。
だから,ある程度のところで,今までずっといろいろな議論を構築してきた重要な概念ではあるとは思うのですが,可視化というところから,今回のペーパーではなくて次の議論ときに,やはり可視化の次に何をしていくのかということをぜひ議論していただきたいと思うのと,それから学修成果という「成果」という日本語はとても,それこそ価値というかディプロマ・ポリシーに対して達成できたという意味がありますけれども,アウトカムズということで考えればもう少しニュートラルで,成果が上がらないアウトカムということだって当然あり得ることなので,測定の部分と価値を見いだす部分とをもう少し細かく議論していくことが今後,後半の議論では必要になるのかなと思いました。
【森主査】
ありがとうございます。学修結果の可視化ですよね。ただ,学修は必ず何かしら成果があるだろうということで学修成果ということだと思いますけれども,重要な御指摘だと思います。向上ということであればそれに価値を持たせるということだということですので,この辺も含めてまた議論をよろしくお願いいたします。
では,第2部に入りたいと思います。第2部のところで,まずは1のところ,評価の主体【誰が評価するのか】ということで(1),(2)がございます。ここのところで何か御議論がありましたら,挙手をお願いいたします。また,点線のところでこれから考慮すべき点というところで入っておりますので,ここのアイデアもありましたら併せてお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
ここのところは実際にはまだまだ書き込まれていないというか,こここそフィージビリティーが非常に大事なので,もし何か御意見がないということであれば,飛ばしたいと思いますが,いかがでしょうか。では,林委員,お願いいたします。
【林委員】
2点あります。1点目はそんなにクリティカルじゃないかもしれませんけれども,ピア・レビュー方式がとられているとずっといろいろ書いてあるんですけれども,確かにこれまで認証評価はピア・レビューだという表現はしていたんですけれども,ただ,厳密に言うとピア・レビューじゃないんですね。2つの側面からピア・レビューじゃなくて,通常,ピア・レビューは同じ分野の人がしっかり見るという話だけれども,機関別認証評価は大学人が見ている程度の話なので,そういう意味ではそんなに厳密なピア・レビューじゃないとともに,評価の委員会,もちろん親委員会があってみたいな階層構造になっていますが,その中にも産業界とかが入っていたりするので,そういう意味でもピア・レビューではない。これまでがピア・レビューで大学人ばかりがやっていたという話でとられてしまうと,それは本当は違っていると思います。
しばしばこういう評価の議論するときに必要となって議論されるのは,これはいわゆるパネルレビュー方式なのです。ピア・レビューというよりは委員会方式,パネルレビュー方式なんです。そこをもうちょっとエビデンスに基づいてパネルレビューをするのがベストだと。つまり,パネルレビューだと主観判断みたいに見られてしまうんだけれども,そうではなくてしっかりとデータに基づいて,エビデンスに基づいてパネルが評価をするのが必要だという話になっていて,それが恐らく後半に出てくる学生調査とか各種の共通的なデータをしっかり見ながらやりましょうという話につながるのだと思います。
なので,あんまりピア・レビュー方式と書き過ぎないほうがいいのとともに,産業界関係者とかに参画してもらうことが重要だと書いてあって,それはそのとおりだし,今申し上げたように今だって入っていなかったわけではないので,そこをどう,さらにてこ入れするかというのが一つの論点である。また,これまで日本で実現してこなかったのが,学生を評価者に入れるということですね。さっき国際通用性はまあまあできていると冒頭私申し上げたのですが,できていないところがそこなのです。学生を評価者に入れるというのが,海外では標準的にもう進んできているところを十分にできていないということです。だから,そこも含めて,せっかく認証評価の在り方を抜本的に考えるのであれば,学生も含めて,産業界関係者も含めて,そういうパネルレビュー方式をしっかりと構築していくということはぜひ考えたらいいなと思っています。それがまず1点目です。
続けてよろしいでしょうか。
【森主査】
お願いいたします。
【林委員】
協議会についてです。前回も議論がありましたが,これも私の理解では,協議会というか連携の会は既にあり,それでは不十分だという理解で,前半の話とかここまで書かれていることも見れば,協議会という組織をつくって調整をしましょうという話よりは,もっと評価の基準や評価のフォーマットを統一した上で,もし実施機関が複数のままであれば,そういう統一されたものの下で各実施機関は評価作業を行う。もちろん追加項目とかが独自の項目とかあってもいいと思いますけれども,そういう方式になると思います。
そうなったときにここに書くのが,協議会をつくりましょうというよりは,もうちょっと強い会があってもいいのではないかなと思っています。例えば認証評価機関の認証を行っている認証評価機関の認証に関する審査委員会とか共通基準などを評価機関と調整しながら共通基準をつくってもいいと思います。協議会という既にある場が十分それで今後も機能するのかというのは,私はあまりそんなにポジティブではないので,この辺りはもう少し書いてほしいなと思っています。
以上です。
【森主査】
1点目がピア・レビューのところですので,石橋さん,お願いいたします。
【石橋大学振興課長】
ありがとうございます。これは林先生にむしろ御相談したいのですけれども,我々としては,ピア・レビューというのは,国ではなくというところが最初はイメージとしてあって,国が評価するのではなくてピア,それはおっしゃるとおりもう同じ分野ではなくなっているということはあるかもしれませんが,大学人もしくは産業界というような方々が評価するという,そのやり方は変えないというメッセージにしたかったというのが事務局案です。
一方で今おっしゃったことは詳細分析すればそういうことだと思うので,そうすると,今おっしゃったパネルレビューみたいな言い方のほうが,世の中というか大学の皆様とか評価機関の皆様には受け取りやすいのか,それともやはり一旦はこのピア・レビューという言葉で置いておいても大丈夫なのかというのは,どうお考えになられますでしょうか。
【林委員】
私の感覚だったら,大学人を中心としたパネルレビュー方式ぐらいのほうが現実には合っていると思いますけれども,さっき申し上げたようにピア・レビューかと言われ言われれば,あまり厳密にピア・レビューでないので,ちょっとどうかとは思います。私の印象はそうです。
【森主査】
パネルレビューというのはなかなか一般的には聞かないような気がします。私たちは何となく分かりますけれども。パネルレビューというのは皆さん,難しいかなと思っているところもあると思います。
あと,2点目,ここが重要だと思います。「調整の場(協議会)」,ここはいかがですか。
【鈴木大学設置・評価室長】
ありがとうございます。これは前回も少し御説明したところであると思いますけれども,当然,今も協議会はあるというところで,それが本当に機能するところかどうかというところは,これは協議会をどういうふうに変えていくか,より役割を明確化していくかというところで協議会というものを機能させてはどうかという,事務局として一つの案でございます。
もちろんおっしゃったように,評価の観点とか基準を極力合わせていくというところに対して,そのほかの様々打ち手はあると思います。そこはぜひ引き続き御議論いただいて,よりよい在り方があるのであれば,そこはまた引き続き議論が必要と思っております。一応事務局案としては,こういうふうにしてはどうかという一つの案として,協議会を御提案させていただいたところでございます。
【森主査】
ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
浅田委員,お願いいたします。
【浅田主査代理】
新たな評価制度の基本的枠組みの,評価の主体の最初の丸のところで,最後に「引き続き,文部科学大臣が認証した評価機関が評価の主体として,第三者評価を責任もって実施していくことが必要である」と最初に断って,その後,現在の認証機関に対してどういうふうに考えているか,が書いてあります。現在ある複数の認証評価機関を前提に,協議会で評価の観点・視点等を調整しようということなのですけれども,新たな認証評価制度ではなくて,新たな評価制度という大きな枠組みで考えたとき,主体は現在ある認証評価機関だけではないというのが私の理解です。
もっと広く,例えば主体として文部科学省も含めた新たな評価制度が動いてほしいと思っています。現在ある認証評価機関が,新たな体制になったり,あるいは新たな機能を持つのはもちろんあっていいと思いますけれど,ここに書いてあるのは,現在の認証評価機関を主体にすることを決め込んであるような印象を受けるので,そこをもう少し大きな枠組みの新たな評価制度をイメージできるような形になったらいいと思います。
【森主査】
ありがとうございます。新たな評価,先ほどの最初の議論ですよね。そういう意味では少し範囲が狭まっているところで議論されているのではないかという御意見だと思いますけれども,いかがでしょうか。では,石橋課長,お願いします。
【石橋大学振興課長】
ありがとうございます。ここもとても大切な観点だと思うので,少し逆質問になってしまうかもしれないのですけれども,認証評価が誕生したときには,国から離れた形で評価機関が出来,それを国が認証する形で20年前に始まったというところでございます。このようなやり方を,まず国と認証評価機関との間の関係性はこのままでいいのか,それともそれも変えるべきなのかというのも一つの論点かと思っておりまして,事務局としては,一旦それは変えないでどうかというのがこの案ということにはなります。
今,浅田委員がおっしゃってくださった,文部科学省が主体ということになりますと,それは第三者性というか,第三者には国も入るかもしれないのですけれども,そうではないピア・レビューという,さっきの話に戻りますけれども,国は少し離れた形で大学の評価はやっていくというこれまでのやり方よりも,また違う形にしたほうがいいんじゃないかという御意見と理解してよろしいでしょうか。
【浅田主査代理】
違う形も必要な段階に来たのではないかと思っています。第三者評価としての認証評価機関というのは今まで機能してきましたし,これからも役立つ部分があると思っています。先ほど言いましたように,質の保証と質の向上は違うと思いますし,それぞれ主体としての責任の取り方とかも含めて,整理していかなければいけないと思っています。
だから,四角囲いのところに協議会のことだけ書いてあるのですけれども,主体というものがどうあって,それらがどう役割分担していくかというのも一緒に,大きな枠組みとして議論いただいたほうがいいと思っています。第三者機関があって,それが機能するというのはもちろん今後も続いてくれたらいいと思いますが,そこに全部の機能を期待して動くかというと,難しいので,いろいろ考えなければいけないなと思っています。
【森主査】
重要な御指摘だと思います。そういう意味では,私も聞きながら整理をしていたのですけれども,一体何をしたら学生一人一人の能力が上がるような教育プログラムを評価できるのかというところに関しては,先ほど浅田委員がおっしゃったように,保証の部分と向上の部分と,あと情報公開の部分と,もしかしたら3つに分けるとしたらそういうものがあるときに,それを全部認証評価機関が評価するのかという形に書いてしまうべきなのかということだと思います。そこにはもしかしたらそれの部分を確認するということであれば文部科学省ということもありますので,そういったような部分の評価の主体の在り方も書き込むべきかというご意見かと思います。その辺りも御検討いただいてもよろしいでしょうか。
【鈴木大学設置・評価室長】
浅田先生と,森先生もまとめていただき,ありがとうございます。浅田先生の御意見については,さきほど浅田先生からも,今後さらに検討すべき,考慮すべき点の中で書いてはどうかというお話もありましたので,そこについては,今後検討する際に考慮すべき点の中に今の浅田先生の御意見も考慮しながら書き込んでいきたいと思います。
【森主査】
ありがとうございます。あと,私が強く思うのは,この後出てきますけれども,段階別評価になるというときに,段階別評価の公平性というものがすごく重要になってくると思います。そうするとそれが納得し得るような形の評価主体でないといけないという,そのように逆から考えていくことが重要かなと思っていて,そういう場合にはどういうシステムが必要なのかというところに関して,今回協議会しか書いていないのですけれども,それで本当に担保できるのかどうかというところなので,ぜひ公平性を担保できるような評価の在り方というものも考えるということをぜひ検討事項に入れていただくと,大学とすれば安心して受審ができるかなとは思っております。ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。6ページ,7ページのところでございますけれども。先に行ってよろしいでしょうか。また後で全体について御意見をいただくようにいたします。
では続いて,第2部の2になります。評価対象【評価する単位・対象はどこか】ということで,先ほどディプロマ・ポリシーのところの話にも重なってくるかと思います。これに関しまして,8ページになります。何か御意見がありましたら,お願いいたします。
小林さん,お願いいたします。
【小林委員】
8ページの丸の3つ目ですかね,赤い字で今回訂正していただいたところです。これは多分これから議論になってくるところだと思うんですが,ここに書いていることは,おっしゃることはよく分かり,ここの書きぶりだと,「思考力,判断力,俯瞰力,表現力の基盤の上に,幅広い教養」というふうに書かれているのですが,前回の産業界等のヒアリングをしたときにも,どうもやはり外から期待されているのは,こういったいわゆる非認知能力と言われるようなコンピテンシーの力自体を期待されているような気がします。これを踏まえて教養を求められているかというと,教養もあるのだけれども,高大接続改革や新学習指導要領の中でも学力の3要素という形で定義し直しましたし,この非認知能力なり,基盤の前に書かれているもの自体が何か必要とされている力のような気がします。
これを今まで文科省は学士力と言っていたりとか,経産省は社会人基礎力と言っていたりとか,先日,文科省においてもアントレプレナーシップというようなものも可視化されたのですが,これが何かばらばらにあるような気がします。これを一つにしていくのか,それともこれを幅広く見ていくのか,評価するのは難しいと思うのですが,何をコンピテンシーベースで大学が育てているのかというのが,さっきおっしゃっていただいた学修成果の価値の部分につながってくる部分じゃないかなと思います。この書きぶりだと少し違う,少し弱いのではないかなと思った次第でございます。
【森主査】
ありがとうございます。コンピテンシーの話になるとすごい議論になると思うのですけれども,今の御指摘いかがでしょうか。
【石橋大学振興課長】
ありがとうございます。これはこれまでの答申等で言ってきた文言を実は使わせていただいた言い方にはなっているのですけれども,小林委員がおっしゃっていることは非常によく分かりました。そうすると,思考力,判断力,俯瞰力,表現力の基盤と幅広い教養みたいなイメージでしょうか。
【小林委員】
何かパラレルにあるような気がしていまして,コンピテンシーのところはいわゆるさっき言った測れるものと測れないものみたいなところはあると思います。それをきちんと体系化するのかどうかは別にして,この4つ力で終わってしまうのはまず変だなと思います。例えば思考力,判断力,俯瞰力,表現力「等」というのがないと,これ自体がこれで定義されているのかというと,少し違和感があるような気がします。まず,この段階では問題の提議という形である程度の幅を示した上で,きちんとコンピテンシーベースで学生の伸びを評価していくような形の程度にしておくのがいいのかなと思いました。
【森主査】
いかがでしょう。何か御意見ありますか。
【石橋大学振興課長】
ありがとうございます。多分,知識,技術,技能のみではないということがこの前の御議論だったので,少しこれまでの言い方で修正をさせていただいたのですけれども,おっしゃるとおり,この4つの力だけではないということもあると思いますので,「等」を入れた上で,さっきおっしゃったのは基盤の上ではないということでしょうか。
【小林委員】
これを基盤にして教養がついているのかというと,そうなのですかねという疑問です。教養を身につけるためにはこの基盤がないとできないのかというところに少し違和感があるというのはいかがなんでしょうか。
【森主査】
多分この辺はすごく議論があるところなので,反対に松浦委員に少しお伺いをしたいと思います。教養論というのはすごく難しい話になりますが,お願いいたします。
【松浦委員】
そこを議論し始めたらもう切りがないのですが,もうここの表現としては,思考力,判断力,俯瞰力,表現力とともに幅広い教養ぐらいにして,議論は後半戦に先延ばしするのがよいのかなと思いました。おっしゃるように,「教養」という言葉は本当にマジックワードなので,こういうところに書き込むのは難しいかなと思います。
【森主査】
さらっと逃げられた感じがありますけれども,難しいということです。
あともう一つやっぱり気になるのは,学士力は記載がなくて大丈夫ですか。せっかく日本の大学の学士として持つべき非認知能力のような形で定めたものが,言葉がどんどん消えてしまっているのですけれども,今のまま,現行のままではなくてアップデートしなければならないなとは思いますけれども,この辺り文科省としてはいかがでしょうか。
【石橋大学振興課長】
おっしゃるとおり,これまで御議論いただいて,中教審で議論いただいたものではございますので,一旦引用して書かせていただくことは十分問題はないかなと思っている上で,今おっしゃった見直しも含めてどこまで後半戦で議論をするのか,そこはどこまで議論ができるのかというのはあるかなとは思った次第ですけれども,そこはどういうふうに主査がお考えいただくかというところかとは思います。
【森主査】
ありがとうございます。やはり全国学生調査等でもある固定のキーコンピテンシーは間接評価であっても取っていかなければいけないかなと思うときに,一体何を取るのかなというところにはこういう課題が出てくるのかなと少し思った次第でございます。ありがとうございます。
溝口委員,よろしくお願いいたします。
【溝口委員】
今議論をしていたところとは別のところになるのですけれども,2つ目の丸の下から2行目のところ,「それが高等教育機関の果たすべき大きな役割である学生の「教育の質」の向上に向けた取組」と書いてあって,若干何を言っているのか,何を指しているのか不明になっているのですけれども,ここというのは,「学生の」を取ってしまって,要は,学科,研究科ごとの教育の質向上に向けた取組というのが教育機関の果たすべき大きな役割であるというような理解でよろしいのでしょうかという確認になります。
【鈴木大学設置・評価室長】
ありがとうございます。溝口先生おっしゃるとおり,そういう理解で書いておりますので,文言の適正化を図らせていただければと思います。
【森主査】
よろしいでしょうか。突貫工事が続いたので,いろいろとありますね。
斎藤委員,オンラインからお願いいたします。
【斎藤委員】
ありがとうございます。先ほどの「専門性のみならず」のところに関わるところなのですが,恐らく,思考力,判断力とかいろいろな構成概念を並べていくと収拾がつかなくなるのではないかなというふうな意見です。あと,コンピテンシーも,非常に多義的で恐らく立場によって変わり得るもので,この辺りの話をし出すともう本当にややこしいことになるのかなと思います。
単純になんですけれども,以前の指摘は,知識,技術,技能をというような形になっていて,いわゆる態度とか価値観とかと言われるKSAの枠組み,知識,スキル,あとアティチュードの態度みたいなこういったものが含まれていないのではないかというすごく簡単な指摘だったんじゃないかなと思います。なので,これは「知識,スキル,態度を修得させ」という以前の見え消しのところにあるような形のやつを復活させて表現すれば特によかったのではないかなと思ったのですが,ここはいかがでしょうか。あるいは,今の書きぶりですと,専門分野固有の能力と汎用的能力を学位という形で証明しているみたいな形でもいいのかなと思います。なので,あんまり個別の細かいものを挙げずに,もうちょっと大枠で示すというのができるといいのではないかなと思ったのが一つです。
あと,さっき森先生がおっしゃっていた学士力というのは非常に重要なキーワードかと思いますが,今回は研究科とかも含むので,学士のみじゃないところでそういう専門分野だけじゃないものをちゃんと包含するような言葉があれば,それを使うというのも一つの手かなと思いました。
以上です。
【森主査】
コメントありがとうございました。参考にしていただければと思います。
先ほど事務局からありましたように,これまでの答申の内容を持ってきているということなので,その辺りの表現も合わせていただければと思います。本当はこういうところと学習指導要領の接続性みたいなことを考えないといけないのかなと思ったりもしますけれども,ちょっと苦笑いされているのであまり言わないことにはいたします。本当は学力の3要素であったらそういうものをこうやってつなげていくほうが分かりやすいですよね。
では,もう少しありますので,ちょっと駆け足ぎみで参りたいと思います。次は3の評価の視点でございます。【何をもって評価するか】ということで,(1)が評価の基準・項目,そして2がそれを評価する段階別評価の話,(3)が,だからこそディプロマ・ポリシーを再検証してくださいという話です。これに関していかがでしょうか。
浅田委員,お願いいたします。
【浅田主査代理】
「学位プログラム」という言葉を使ってほしいというのがあります。この資料では8ページのところの,3つ目の丸の最後のところに,「学位プログラムごとに評価を行う視点が必要である」とありますが,学位プログラムはここにしか出てきません。
9ページの4つ目の丸のところ,6行目ぐらいになるのですけれども,「その高等教育機関そのものの評価ではなく,学部・学科,研究科の「教育の質」」と書いてあるのですけれども,ここは「学位プログラムの教育の質」となりませんか。というのは,学部・学科,研究科というのは確かに今の制度上の単位なのですけれども,ここで問いたいのは,学位プログラムとしての教育の質だと思うので,学位プログラムとはっきり書いていただくと,多くの人が学位につながったプログラムの質を意識するのではないかと思います。実際に実施されるときは,学部・学科,研究科という単位で動くというのは今の制度上はそれで結構だと思うのですけれども,概念的な話としてはそういう言葉が入ってほしいと思いました。
【森主査】
ちょっと揺れているということだと思いますけれども,この辺いかがでしょうか。
【鈴木大学設置・評価室長】
浅田先生,ありがとうございます。8ページでも,学位という形で必要な能力が身についているかどうかを評価するということであれば学位プログラムごとだろうということですけれども,下の4つ目の丸の中で,いわゆる学部・学科が今まさに基本的組織として設置されておりますし,教員もそこに配置されていることであれば,評価をするのであれば,そこは学部・学科,研究科ごとというのが現実的じゃないかということでございます。
おっしゃるとおり,理想としては,当然,学位プログラムごとにその学位に必要な能力が身についているかどうかというところは見るべきところでありますけれども,実際それを評価するに当たって回すときになかなかそこは難しいということでありますので,そこの浅田先生のお考えをここの中にも少し加筆するような形で,ただ,実際の中ではやっぱり学部・学科,研究科ごとで現時点ではやらざるを得ないのかなとは考えているところでございます。
【浅田主査代理】
実際に学部・学科,研究科の中に複数の学位プログラムが走っているのは結構あります。だから,こういうまとめ方をすると曖昧になってしまうと思います。先ほどから出ているように,ディプロマ・ポリシーは学位プログラムごとに定めないといけないはずです。その関係性からすると,やっぱり学位プログラムという概念をうまくここに埋め込んでもらって表現してもらうといいかなと思います。
【森主査】
単位の話と重なってくると思いますので,この辺も御議論よろしくお願いいたします。
(2)のほうでは段階別という非常に大きなところを扱っておりますけれども,ほかにいかがでしょうか。
溝口委員,お願いいたします。
【溝口委員】
(1)の丸の4つ目のところになるのですけれども,これは「アカウンタビリティ」というところを省いて,代わりに社会からの理解や信頼というところに変わっているかなと思うんですけれども,そもそも論として,今回この大学の認証評価の基準や項目の足並みをそろえていくというところが,社会からの要請のためにやるのかというお話なのか,それともやはり大学として自律的にそういうところは足並みをそろえていこうという話なのか,そこのどちらが先に来るのかという結構大事な観点かなと思います。
今の書きぶりですと,やはり社会に御理解してもらうためにそこをそろえていくべきだと読めてしまいますので,どちらかというと,その結果としてそういうこともあるというようなふうにしていったほうがいいのかなと思います。認証評価というものの立ち位置を考えたときにも,大学としてそういうことが必要だよねというような説明にここはしていくべきなのかなと思いますが,この辺りいかがでしょうか。
【森主査】
これは先ほどと一緒でよろしいですかね。書きぶりのところですので,御検討ください。ありがとうございます。
葛城委員,よろしくお願いします。
【葛城委員】
9ページの最後の丸のところです。「なお間接評価に関しては,今年度から本格実施する全国学生調査を効果的に活用していくべきである」というふうなことが書かれてあって,私もそうすべきだろうなとは思うのですけれども,その一方で,既存の今走っている全国学生調査を使われるとイメージされると,ちょっとミスリードを招くかなというか,変に慌ててしまったりとか,これ使われると困るなとか,これで本当に実質的な評価ができるのかとか,不要な議論が起こりそうな気がするので,全国学生調査の枠組みを使って適切な質問項目を用いて云々とかというふうな説明が必要かなと思いました。なお書きなのでどこまで入れるかはあれなんですけれども,ちょっとそこら辺が気になりましたというところです。
以上です。
【森主査】
事務局,いかがでしょうか。
【石橋大学振興課長】
学生調査の担当でございますので,おっしゃるとおり,本格実施はまずやりたいとは思っておりますけれども,やはり今の項目そのものをどうするかということも併せて今回の議論の中に入れていただいて,実際新たな評価が走り出すときには,全国学生調査の在り方も変わって,項目がということになると思いますが,変わって,それがビルトインされるということを我々としても意識したいと思っております。あるとすれば,「本格実施する全国学生調査の枠組み」とかということをちょっと追記するのが,今葛城先生がおっしゃったような不要な不安を抱いていただかなくて済むのかなと思いました。ありがとうございます。
【森主査】
よろしくお願いいたします。ほかいかがでしょうか。
林委員,嶌田委員の順番でよろしいですかね。林委員,お願いいたします。
【林委員】
3点です。1点目は,先ほどの各プログラムの話に戻って,その1個前のところでも非常に悩んでいたんですけれども,学部,研究科と書いてあって,そうすると,研究科は修士と博士,学位レベルが違うと当然ディプロマ・ポリシーも違うから違うだろうなと思うわけです。
それから,先生が言われるように,学部の中にだって,通常,学科があったら恐らくディプロマ・ポリシーも全然違うから,プログラムが違うと。基本的な発想として,ディプロマ・ポリシーがあって,それをちゃんと達成しているかを学修成果して見ようというポリシーで書いてあると思うので,そうすると,ディプロマ・ポリシーが違えばみんな違うものだから,本来はそういうところでそれぞれの単位で評価をすべきだと思うのですけれども,それをやるととても大変になってしまう。そうすると恐らくこの議論は,実際に分野別の話をどういうふうに実現していくのかという,その仕組みと併せて考えなければいけないと思っています。
ただ,恐らく,ほかの国を見ても,例えば学部で評価をするときも,学科とかあるいは学部の中のプログラムのデータはそれぞれの単位で出てくるとか,さっきのパネルレビュー,ピア・レビューでもいいのですが,パネルレビューで評価をする単位とそこに出てくるデータの単位はまたきっと違う可能性がある。その辺りを,具体的には書ききれないと思いますけれども,学部,研究科と書いてあるところのときに,それが学位プログラムとどういう関係になっているのかと,評価あるいはデータを見るときにどの単位で見るのかということを今後検討していかなければいけないということは少しクリアにしていただければいいなというのが1点目です。
それから2点目は,先ほどの間接評価のところですので,9ページの一番下のところです。私はこれを見ていて,逆に直接評価のところが十分じゃないというふうに書いてあるように読めたので,これを大学の人が読んだら,一体何をしなければいけないのだろうときっと思うんじゃないかなと思っています。ここで言う直接評価のイメージがどういうことをお考えになっているのか,もし書けるのであればもう少し書いてもいいなと思っています。
これまでも様々な大学が共通で試験をしたり,あるいはコンピテンシーのテストをしたり,eポートフォリオをつくったり,あるいは卒論・修論みたいなものを学修成果と考えればルーブリックをしっかりつくって評価するとかいろいろな取組をやっていて,それでそういう取組をさらに進めればいいですという話であれば,きっと大学は受け入れられると思う。その辺りはもしそうであるのだったら,その辺りをしっかり書いてほしいなと思いました。これが2点目です。
それから3点目ですけれども,これは10ページの2つ目のところ,分野の基準の話ですけれども,これ,どう読んだらいいか分からない。まず私は,分野別にやるのだったら,分野ごとの視点・基準というのはあるべきだろうと思っていますので,そういうものはしっかりと見るべきだと思っています。
2つ目が,学部,研究科によっては,共通的な基準・項目のほかに当該分野の独自性と照らして別途評価基準・項目を追加することは許容すると書いてあって,これどおりに読むと,個別の学部・学科,個別の研究科によっては,もし望めば追加してあげるよとも読める。ただ,そうではなくても,やっぱり分野によって例えば当然ながら学修成果がどういうものが求められるかも違うので,もう少しそれぞれの分野ごとの項目・基準を検討するような場をまずつくって議論していくべきだと私は思っています。なので,この辺り,丸2のところをどう読んだらいいのかなというのはぜひお聞きして,少し文章を修正していただければと思っています。
以上です。
【森主査】
今3点いただいております。学位プログラムと学部・学科というのは何回か御指摘がありますので,この辺については少しあんばいを考えていただくということと,あと,直接評価のところですね。確かに直接評価はこれまでなかなか,分野によってもその方法が違うところなので,何か具体なところを書くかどうか。ただ,これだけ具体的に書いたら,ほかはどうなのだという話にもなりますかね。
【林委員】
ただ,間接評価については学生調査が使えますよと書いてあるのに,直接評価については何も言及がないので,どうかなと思います。もし一,二行何か書けることがあるのであれば,あってもいいかなと思います。
【森主査】
卒業研究の評価や何とかなどみたいな形ですかね。どうですか。書きますかね。この辺りも文面の話なので,少しまた議論させていただくということとさせていただきたいと思います。
【斎藤委員】
すみません,ちょっと今の視点でよろしいでしょうか。
【森主査】
どうぞ。斎藤委員ですね。
【斎藤委員】
ありがとうございます。林先生がおっしゃってくださったように,直接評価自体が行われていないというようなところはそんなことはないと私も考えますので,直接評価も行われてきたというところを踏まえて,課題をうまく書いておけばいいのではないかなと思いました。例えばこれまで科目ごとの成績評価とか,卒業研究,あと,外部テスト等を通じて直接評価は既に実施されている一方で,それらの評価が各学位プログラムのディプロマ・ポリシーと体系的に紐付けられていないとか,あと,学生の成長を縦断的に把握する仕組みが不十分であるみたいな形で,直接評価は行われてきたけれども,ここは少し足りないというところがあるというのを示せば,あまり直接評価の具体性とかには紐付ける必要はなくて,この辺りを今後補完していかなければいけないというような文言の書き方が一つあるかなという提案でした。
以上です。
【森主査】
ありがとうございます。また文面にして事務局のほうにお送りいただければ助かります。ありがとうございます。
では続きまして,嶌田委員,お願いいたします。
【嶌田委員】
この辺りのところを仮に自分が大学の評価担当者だったらどんなふうに展開するんだろうなと思って,そんな脳内シミュレーションをちょっとしてみたのですけれども,法令適合性チェックに関しては,日頃から認証評価の観点でチェックしているから,さすがに叱られない程度にはできているかなと思います。段階評価で何か点をもらうということについては,確かに国立大学の場合,法人評価でも似たようなことをやっているわけですが,あれはどちらかというと特筆的な活動の状況で質が高いかどうか,というところで見ているわけですね。例えばDPに対してどうなのかというよりも,おそらく大学のミッションや置かれている立場,それに照らしてどのように頑張っているかみたいなものをアピールする場になっていると思います。例えばこの前報告させていただいた法人評価の現況分析みたいなやり方ですが,あれを6年に1回とか7年に1回やれば著しく質が上がるのかというと,少々違うような気もします。例えば学内だったら,学部さん同士がそれで競ってくれていろいろなことやってくれて,確かに競争が発生するから段階化によって何かいい方向に進む可能性もあるかもしれませんが,下手するとアピール合戦で中身がスカスカになる可能性もあるのではと思います。
日常的に内部質保証体制を用いて教育活動や成果を点検しようと思ったときに,どのようにやっているかというと,多くのところは自分が受ける認証評価機関の基準や観点を参考にして「こういうところを点検していけばいいんだろう」と考えて行うのでは,と思うのですね。要するに,法令はこういうところに留意しなければいけないよね,とか,高等教育の政策で今重要なのはこういうことだよね,それらが現場にわかりやすく翻訳されているのが各認証評価機関の基準や観点でしょうから,それらにもとづき点検と改善を学内で展開させるわけですね。
それで分からないことがあれば認証評価機関から学べばよい,と。各評価機関は何年も評価事業をやっているわけですからさまざまな知見やノウハウが蓄積されているので,「これはこういうふうにすればいいんだな」というようなサジェスチョンが研修会などで得られたりするので,そういうものを参考にしながら進めれば良いわけです。大学だけですと,いきなり何か点検しろと言われてもつらいので,ふだん使いの点検評価ということについては,やっぱり参考になる基準・観点みたいなものがあるとうれしい。
何が言いたいかというと,何年かに1回の段階評価が,仮に法人評価の現況調査みたいな手法で入ってきた時に,では日常の点検評価をどうするの?というところが問題になってくるわけですね。日常的な評価をやるときに誰が手伝ってくれるんだろう,ということです。要するに,日常的な大学の改善活動を支援してくれるところがどこなのかというときに,今の評価機関が手伝えばいいのか。どこがフォローしながらこれを進めていくのか。
要するに,現在の案も,適度な競争が生まれて,いろいろ新たな未来が垣間見られるのですが,実際にやっていこうと思ったときに,どういうふうにやったら各現場が,点取り合戦のような感じにならないで本質的な改善を続けていけるのかというところです。まあ,だけど,やっぱり高い点は欲しいみたいなところは正直ありますからと,どのように両立させればいいのかなというのが分からないなと思って,難しいなと思いましたという感想です。
【森主査】
ありがとうございます。まだ評価項目が出ていないので,一体何をするのか,皆さん,多分今ユーチューブ配信を見ている方々も不安になっているのかなとも思います。ただ,どんなものが出たとしても,私も常々考えているのは,やっぱり支援が必要と考えています。そういうスタッフが充実しておられる機関とそうじゃないところはやっぱりありますので,どこか何か支援をしたり,それを読み砕いたりするところが必要かなと思います。そういうところをどこが担っていくのかということも重要な観点かなと思いました。ありがとうございます。
では,中村委員,お願いいたします。
【中村委員】
ありがとうございます。今のことに関して,私も嶌田委員と同じようなことをずっと考えておりました。段階別の評価にすることによって大学にとっても世の中にとっても明るい未来が見えるといいのですが,何となくちょっと厳しい,特に医学の分野なんかは厳しい方向に行ってしまうのかなということをとても心配いたします。
例えばもしもそういう,不認定と認定だったら明らかに段階として違うものなのですが,認定の中を金銀銅に分けるということになりますと,例えば基準に合った数とか,ルーブリックをつくるとか,あとは何か基準に重みづけが実はあって,その重みづけで大事なところはみたいなことで段階的な評価ができるかもしれないですが,この段階評価をすることの目的がなんだろうという,そこに非常に疑問を感じて,その辺りの御意見をいただければと思います。
あともう一つは,これも先ほど出ましたが,10ページの2つ目の丸のところで,「学部・学科,研究科によっては,前述の共通的な基準・項目のほかに」という,共通的な基準・項目というのは,もしかしたら認証評価のほうの例えば同じことを評価するのに幾つか団体があるとそこの基準が違うと問題だと思うのですけれども,分野別の場合は,嶌田委員がおっしゃったように,それぞれDPも違いますし,文化も違うので,それはここで共通的な項目を無理につくる必要があるのかなとも思います。最低限こういう項目は入れてくださいということは必要かもしれないのですが,あまり共通的な基準・項目は考えなくてもいいのかなと思いながら拝見いたしました。
以上です。
【森主査】
ありがとうございます。では,石橋さん,お願いいたします。
【石橋大学振興課長】
ありがとうございます。分野別のところは少し読みづらいところもあるかもしれませんので整理をしたいと思うのですけれども,今回もちろん学部・学科,研究科ごとではあるものの,教育の質というところに関しては,それぞれのDPは別としても,それに向かってどういう教育を重ねていただいたかというところ,それを学生の伸びというのか学修の成果というのかはまたちょっと整理が必要ですが,それは共通的なものだろうという認識でここの「共通」という言葉が使われております。
ただ,それ以外にも,それぞれの分野によっては,例えば資格試験の合格率はとても大事な分野なので,それはもし共通の項目の中に入っていなかったら入れるべきだというような議論とか,今いい例があんまりぱっと出てきていませんけれども,そういうことは加えてやることも当然あり得るということをここで表現したかったので,そこは少し整理をさせていただきたいと思っております。
それから,段階別のところでございますが,やはりはここにもたしか書いておりますけれども,悪いところということよりも,むしろ非常に教育をしっかりと展開してくださっている学部等を評価して,そこに対してよりよいインセンティブ,さらに頑張っていただけるようなインセンティブをつけていくということも含めての段階別の評価と考えております。そこはもちろんもう少し項目とか,どういうところで,まさにおっしゃってくださった,何を重みづけるかとか何項目達成すればいいと考えるかというのはまさに後半の議論になると思いますが,それをベースに頑張っていらっしゃるところをより応援できるような仕組みにしていきたいと。それで今,両先生がおっしゃった明るい未来が描けるようにしたいというのが趣旨でございます。
【森主査】
ありがとうございます。今も挙手いただいておりますけれども,そろそろ時間が近づいてまいりましたので,そういう意味では,今のところと,あと,4,評価手続,5,評価結果の公表・活用も含めまして御意見をいただければと思っております。大変申し訳ありませんけれども,1分程度に収めていただくということでよろしくお願いいたします。
では,笠井委員,お願いいたします。
【笠井委員】
ありがとうございます。今,議論があった点に関して,例えば法科大学院など,あるいは医学もそうかもしれませんけれども,共通の部分に関しても,医学なら医学,法科大学院なら法科大学院という特性に合わせてある程度変えるというか落とし込んでいくというかそういう作業が必要になってくると思いながら伺っておりました。もちろん付け加えなければいけない部分もあるだろうと思います。
それから,段階別に関しては,前にも書面で提出しましたけれども,あえて段階をつけなくてもいい,みんな十分できていますねという意味での評価だって,結果としてそうなること自体を否定する必要はないのではないかと思っております。
【森主査】
ありがとうございました。続いて,浅田委員,お願いいたします。
【浅田主査代理】
ありがとうございます。段階別評価については,私もこれがうまく機能するのか非常に不安を持っているところです。先ほど森主査が言われたように,公平性というか納得感が得られるようなものにならないと機能しないと思います。
それで私の意見ですが,内容というよりも構成で,10ページの下の(2)の評価結果の在り方と書いてあるところです。この項目のところは, 3の評価を視点【何をもって評価するか】ですけれども,分かりやすくかつ改善につながる段階別評価というのは,その次の4の評価手続【どのように評価するか】の内容を含んでいるので,この辺,構成を整理いただいたほうがいいかなと思います。
以上です。
【森主査】
ありがとうございます。ついでで言えば,(3)のディプロマ・ポリシーの再検証もここの場所かなというところがあって,ここは何をもって評価するかというところなので,ここももしよろしければ一緒に御検討いただければと思います。
では,林委員,お願いいたします。
【林委員】
13ページ最後の丸,インセンティブのところにもうちょっと書き込んでほしいということです。もちろん段階判定することによって,偏差値ではない教育の質という形での競争が起こって学生獲得の市場が出来るというのもあるでしょうけれども,ただ,それに加えて,優れた教育をしているのだったら学生の定員をもっと緩和するとか,あるいは優れた教育を持続してほしいから公的資金をちゃんとそこに配分できるようにするとか,そういうインセンティブをつけるべきだと思っています。どこまで書けるかというところがあるんだとは思いますが,委員からはこういう意見があったということでよろしくお願いします。
【森主査】
ありがとうございます。では,中村委員,お願いいたします。
【中村委員】
検討事項としてちょっとコメントさせていただきたいのですけれども,今,医学は82医学部・医科大学があって,7年周期でやっていてぎりぎりです。ですから,今後分野別評価を実施するときに,大学数がとてもたくさんある場合に,実際どうやって動かしていくかということも検討が必要かと思います。
以上です。
【森主査】
ありがとうございます。またしてもフィージビリティーの問題になってくるので,多分今シミュレーションいただいていると思いますけれども,その辺りも含めてよろしくお願いしたいと思います。
小林委員,お願いいたします。
【小林委員】
13ページの5の評価結果の公表のところですが,上から3番目の丸,「新たな評価結果の公表においては,各高等教育機関の序列化を惹起するようなことがないよう」という,かなりネガティブな落とし込み方になっています。大学の皆さんの不安はよく分かるのですけれども,もうちょっとポジティブに,例えば先ほど申し上げた高等教育機関の多様性・個性・特徴を明らかにして分かりやすく提示するとか,そういった大学のもっと個性が出てきて,それが社会に分かるような形になるということを書き込んでいただけるといいかなと思いました。
【森主査】
ありがとうございます。おっしゃるとおりかと思います。
いかがでしょうか。まだまだ,すみません,司会の不手際で,4,5,6と少し駆け足になってしまいました。まだ御意見がいただける可能性があるかなと思っていますので,短い時間で大変恐縮でございますけれども,またメール等についてお知らせいただければと思います。
ということで,本日の議論はこれで終了とさせていただきたいと思います。今日はとてもたくさん御意見をいただきました。本当に事務局にはお手数でございますけれども,短いスパンになりますが御検討いただきまして,最後,修正案に関しましては私のほうに一任いただきますようにお願いしたいと思っております。
8月中旬に予定をされている部会はいつでしたしょうか。
【鈴木大学設置・評価室長】
21でございます。
【森主査】
21ですね。21日に報告をするということにさせていただいておりますので,そのようなスケジュールで進めさせていただいてよろしいでしょうか。ぜひ御意見を追加でいただきますようにお願いをいたします。ありがとうございます。
この修正版に関しましては,当然ながら,部会に提出する前に皆様に共有をするということですので,また見え消しのほうでお願いできればと思います。
最後に,今後のスケジュールにつきまして,事務局のほうから説明をお願いいたします。
【鈴木大学設置・評価室長】
この後,もしかしたら委員の皆様から御意見をいただけることもあると思います。その際に,大変恐縮ですけれども,日程的には8月21日に部会ということでございますので,それに合わせて我々も修正等をしなければいけないことを考えますと,可能であれば,今週の水曜日,木曜日辺りまでに御意見賜りますと大変幸いでございます。そうしないと,作業的にもなかなか厳しいかなと思いますので,その点御容赦いただければと思います。よろしくお願いいたします。
【森主査】
少し短い期間でございますけれども,ぜひ御意見を。ただ,抽象的な意見ですとなかなか書き込めませんので,できましたら具体的な文章の案等も含めて御提案いただければと思います。
では,すみません,事務局,もう一度スケジュールをお願いいたします。
【中島大学設置・評価室室長補佐】
ありがとうございます。先ほど主査からお話がありましたとおり,今後は本日の議論を踏まえまして修正した議論の整理を,8月の中旬の質向上・質保証システム部会に報告させていただく予定となっております。
その後についてなんですけれども,部会からいただいた御意見等を踏まえまして,個別の論点につきましてはこちらのワーキングで9月以降に議論していくことを考えておりますので,引き続きよろしくお願いいたします。9月以降のワーキングの日程につきましては調整中でございますので,近づいてまいりましたら改めて御連絡させていただきたいと思います。
以上でございます。
【森主査】
ありがとうございます。本当にこれを大学が読んだときに,こういう趣旨でこうだからこういうふうに変える,じゃあ,頑張ろうと思えるかどうかというところが非常に重要かなと思っています。今の議論だけすればその思いは伝わると思っていますけれども,それらを文章に文字化するというのは大変難しい作業かなと思います。皆様もぜひ事あるごとにいろいろなところでの御説明をお願いできればと思っております。
それでは,本日はこれにて閉会をしたいと思います。御参集いただきまして,ありがとうございました。
―― 了 ――
高等教育局高等教育企画課大学設置・評価室