教育・学習の質向上に向けた新たな評価の在り方ワーキンググループ(第2回)議事録

1.日時

令和7年5月28日(水曜日)13時00分~15時00分

2.場所

文部科学省 ※対面・Web会議の併用(傍聴はWeb上のみ) (東京都千代田区霞が関3-2-2)

3.議題

  1. 認証評価機関からのヒアリングについて
  2. その他

4.出席者

委員

(主査)森朋子
(主査代理)浅田尚紀
(委員)笠井正俊、葛城浩一、小林浩、斎藤有吾、嶌田敏行、林隆之、松浦良充、溝口侑

文部科学省

森友大臣官房審議官(高等教育局担当)、吉田高等教育企画課長、石橋大学振興課長、北野国立大学法人支援課企画官、髙見高等教育企画課高等教育政策室長、遠藤専門教育課専門職大学院室長、若林教育人材政策課教員養成企画室長、鈴木大学設置・評価室長

5.議事録

【森主査】 
 それでは,所定の時刻になりましたので,第2回教育・学習の質向上に向けた新たな評価の在り方ワーキンググループを開催いたします。
 まずは,御多忙の中,御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 議事に入る前に,委員の出欠について御案内いたします。本日は,中村委員が御都合により御欠席と聞いております。その他10名が出席しております。また,本日もオブザーバーといたしまして,機関別認証評価機関の5機関に御参加いただいております。
 それでは,議事を進めます。本日は,認証評価機関からのヒアリングを実施いたします。機関別認証評価を行っていただいています5機関からは発表,そして,分野別評価機関からは,事前に提出いただいております資料を基に,事務局から御説明をいただく予定でございます。
 まずは,機関別認証評価機関の5機関から発表をお願いいたします。7分以内でお願いしたいと思っております。その後,まとめて質疑,意見交換の時間といたします。
 まず,公益財団法人大学基準協会の田代事務局長,お願いいたします。
 
【公益財団法人大学基準協会田代事務局長】 
 ありがとうございます。大学基準協会からは,田代が御説明差し上げます。
 資料2ページ目を御覧ください。本協会は1947年に創立されまして,1996年から現在の大学評価システムの確立をいたしまして,以後,大学評価をはじめとする各種評価事業を展開しております。
 めくっていただいて,大学基準協会の評価の目的ですけれども,大学の教育研究活動の質を社会に対して保証すること,また,大学の改善・向上を継続的に支援すること等を目的に掲げておりまして,4ページ目にありますように,これら大学評価の役割を全うするためには,まずは,左のほうにありますが,各大学の内部質保証システムを有効に機能させ,さらにそれを向上させて,学生さんの学習を豊かにしていく,それが重要な役割だと認識しております。
 5ページ目が,本協会の各種評価事業の一覧になっております。
 6ページ目,大学評価の評価プロセスに当たります。書面評価,実地調査を含めまして,約1年かけて評価結果を出しております。不適合大学にも異議申立審査の手続が用意されております。
 7ページ目は,専門職大学院認証評価の評価プロセスで,これはおおむね大学評価と同様ですけれども,左下のオレンジ色のところにありますように,評価結果に対し大学院より改善計画報告を出していただき,これに基づく評価委員会との意見交換を通じて,大学院の改善を支援しております。
 8ページ目が,大学基準の構造です。基準は全部で10あります。理念・目的を中心に,3ポリシーを基盤にした教育・学習を中心とする各種取組を確認する中で,内部質保証の適切性を評価するという構造になっております。
 9ページ目を飛ばして,10ページ目,大学評価の体制です。20名で構成される大学評価委員会の下,1大学当たり1つの分科会が担当しております。1つの分科会は5名で構成しておりまして,それら分科会委員に対しては,実際の評価作業を模したワークスタディを含む研修セミナーを実施しております。これら大学評価委員会,また,分科会委員については,正会員大学から推薦いただいた候補者の中から主に選んでいるという形になります。
 めくっていただいて,11ページ目は,これは第1期目の大学評価の体制です。当時は学部・研究科ごとの専門分野別の評価を内包した評価を実施しておりましたので,参考までにその体制を御案内した次第です。
 13ページ目,第4期目,今期から始まります大学評価ですけれども,幾つかある特徴の中で,「評価結果の分かりやすさ」というものが下のほうにあるかと思います。具体的には,「評定の公表」等が挙げられるのですけれども,14ページ目に「評定の公表」について説明しております。
 本協会の大学評価におきましては,各大学の理念・目的の実現状況を,基準ごとに「S」,「A」,「B」,「C」の4段階で評定をつけております。従来,これら評定については大学に対してのみ提示しておりましたけれども,第4期からは,社会に対しても公表する予定になっております。
 15ページ目,本協会は,評価以外にも,大学の質保証を支援する活動を幾つか行っております。例えば,右下のほうに大学進学セミナーということで,高校の先生を対象にしたセミナーも開催しておるところです。
 16ページ目に,大学評価の有効性の検証結果を御紹介しております。各年度,申請大学に対してアンケートを行っているのですけれども,例えば,課題が明確になったとか,成果を出している取組が明確になった等々,おおむね8割から9割強の大学が,大学評価の有効性について肯定的な評価をしてくださっているところです。
 17ページ目以降が,大学教育の改善に評価が与えた効果,具体的な事例を列記しているところです。いろいろありますけれども,例えば,18ページ目の一番下のところでは,各種学習成果の把握の方法と学位授与方針に示されている学習成果の関係性が明確でないという評価結果を示したところ,その大学では,卒業時コンピテンシー及び達成目標を明確にしたコンピテンシー・マトリックスを策定したというような改善等を行っている等々の事例が見られるところであります。
 22ページ目以降が,現行の認証評価制度に対する課題認識であります。評価対象に関連してのことですけれども,現在においては,専門分野ごとの質保証は,専門職大学院等のみを対象に行っており,分野ごとの直接的な質保証にという点ではちょっと偏りがあるのではないかということ,また,評価負担についても問題がある。
 めくっていただいて,23ページ目に,認証評価の認知度,あるいは評価機関ごとにも差異がある。評価機関によって特色があること自体は否定するものではないのですけれども,この差異があるということについて,どのように解決したらいいのかということもあります。
 また,24ページにありますように,機関別評価と専門分野別評価との関係性についても整理が必要だということであります。
 25ページ目以降が,新たな評価制度に期待することでございます。
 まずは,この認証評価制度の目的をどのように設定するのかということなのですけども,やはりそれぞれの大学の目的に即した大学自身による改善を支援する評価であるべきなのではないか。それを期待したいということ。
 また,学部・研究科ごとの質保証を行う場合であっても,大学全体に対する質保証を全くなくしてしまっていいのか。そのバランスということについても配慮していただけたらというようなこと。
 また,26ページ目には,学生の学習成果の直接的な評価を実施する場合には,一律の指標だけではなくて,各大学の理念・目的に応じた指標を加味した上で慎重にこれを行っていただくような制度にしていただきたいということをお願いしたいところです。
 いろいろ足りない部分はありますけれども,私からの説明は以上でございます。
 ありがとうございます。
 
【森主査】 
 田代事務局長,ありがとうございました。
 続きまして,独立行政法人大学改革支援・学位授与機構の成相評価事業部長,よろしくお願いいたします。
 
【独立行政法人大学改革支援・学位授与機構成相評価事業部長】 
 大学改革支援・学位授与機構評価事業部長の成相と申します。本日はこういう機会をいただきまして,ありがとうございます。
 それでは,早速ですが,説明に入りたいと思います。
 まず,2ページ目でございます。機構の評価の目的,基準を書かせていただいておりますが,機構の目的としましては,大学の教育研究活動等の質を保証する,それから,質の向上,改善を促していく,社会の理解と支持を得られるようなことを目指すということで進めてきております。
 この評価に当たっては大学評価基準を設定しております。この設定としましては,6領域を設けまして,その中に,27の基準,4巡目には22の基準をもって評価を行うという形で進めています。
 特に,領域2としている,大学が継続的に自ら教育研究活動等の点検及び評価を行い,その結果を改善につなげることによって質の維持・向上を図る仕組み,すなわち内部質保証でございますが,この体制が整備され機能していることを重点的に評価するために,重点評価項目として設定しております。この箇所につきましては,また後ほど説明いたします。
 3ページでございます。評価のプロセスです。機構が実施する評価につきましては,大学による自己点検・評価と機構による評価で構成しております。大学から提出された自己評価書に基づいて,まずは評価を行います。その際,評価作業を円滑に行うために,大学が自己評価書等を提出する前に,大学側の疑問点の解消を図るための事前相談というものを行っているというところでございます。
 機構の評価においても,書面調査,訪問調査の二本立てで行っておりまして,書面調査においては,自己評価書と機構が独自に調査した資料・データ等に基づいて実施します。訪問調査については,教職員や学生との面談,それから授業見学等によって実態調査を実施しているというところでございます。このような評価プロセスを経て,大学の教育を中心とした活動状況を明らかにして,大学評価基準との適合状況を判断していくというかたちで進めております。
 なお,評価の作業に当たっては,1大学当たり3~8名の委員が対応して,おおむね6か月の期間の中で延べ44時間程度を充てていただいているという形で,かなりの労力がかかっていると考えております。
 4ページは,内部質保証を重視した適合認定でございます。そもそも大学評価基準を満たしている場合は当然適合しているという判断になりますが,一部満たしていない基準があった場合でも,全ての基準に係る状況を総合的に勘案して,大学としてふさわしい教育研究活動等の質を保証しているという状況が確認できる場合には,全体として評価基準に適合しているという判断をしております。
 ただ,先ほどお話ししました内部質保証の基準,資料の4ページの下段に書いておりますが,これらの基準を満たせないという確認が取れた場合には,ほかの基準の状況にかかわらず,不適合という判断を下すことになります。
 5ページに,機構の行っている大学機関別,認証評価以外の事業を書いておりますが,一つは高専の機関別評価,それから,分野別評価として,法科大学院の認証評価も行っているところでございます。
 それから,認証評価とは別に,国立大学法人評価の一部として,国立大学の教育研究評価を文部科学省からの依頼に基づいて行っております。この中では,教育研究の内容を把握するために現況分析というものも行っておりまして,学部・研究科等の目的に照らして,教育と研究の水準を質の向上の状況も含めて分析して,それらを4段階で総合的に判断しております。
 それから,一番下段にある大学ポートレートでございますが,こちらにつきましては,大学の教育情報を公表・活用する仕組みとして導入しておりまして,大学進学希望者等への情報発信や,大学関係者が教育情報を分析する上でのデータベースとしての役割,それから,大学がマスコミ等いろいろな方面からの情報提供を求められる際の負担軽減の役割として設置されているというところでございます。
 6ページが,評価による改善と課題の認識でございます。これまで行ってきた認証評価において,質の改善を具体的に促すために,改善を要する事項があれば,改善を要する点として指摘しておりまして,それら指摘があったところについては継続的に確認を行います。また,質の向上を促すために,優れた成果が確認できる取組については,優れた点として明示して,それぞれの大学のインセンティブとなるように取り組んでおります。
 改善を要する点につきましては,大学に問題点を気づかせて改善を後押しする効果がございまして,優れた点については,大学の励みや他大学の参考事例とする効果がございます。
 具体的な改善事例としては,内部質保証体制が整備され,マネジメントの改善が促進されたという事例ですとか,学内での教育研究活動の情報が本部に集約化されたといった効果も出ているというところでございます。
 ただ,一方で,現在の制度の課題認識としましては,まず認証評価制度自体の社会一般に対しての訴求が弱いと感じておりますし,また,大学からは評価を受審するメリットが,コストの割に得られるものが少ないといった感想が寄せられているというところでございます。こういったところを改善できればとは認識しております。
 最後に,新制度への期待ということで書かせていただいておりますが,先ほど申し上げた社会一般への訴求ですとか,大学側の評価に対してのメリットということを考えますと,学部・研究科等において教育の質を段階判定するという中教審の御意見もございますが,そういったものを導入するということも,一つの方法としてあり得るものと認識しております。大学の現場に,評価を受けることの意義が届く仕組みとなることを,この新しい見直しの中で期待したいと考えております。
 なお,実現に当たりましては,このページの下段の方に書かせていただいておりますが,評価の透明性・公平性の確保が求められますし,学生をはじめとするステークホルダーの意見を活用するとか,大学を含めて各方面の負担軽減が重要になってきます。
 それから,評価結果につきましても,適切な活用を行って,大学等のインセンティブをさらに高めるような仕組みが必要ではないかと考えております。
 雑駁ではございますが,以上,私からの説明となります。よろしくお願いします。
 
【森主査】 
 成相評価事業部長,ありがとうございました。
 それでは,続きまして,一般財団法人大学・短期大学基準協会を代表いたしまして,短期大学認証評価委員長の志賀先生,よろしくお願いいたします。
 
【一般財団法人大学・短期大学基準協会短期大学認証評価委員会志賀委員長】 
 志賀です。よろしくお願いします。
 本日の立場としては,大学・短期大学基準協会理事兼認証評価委員会の委員長の立場として説明させていただきます。
 まず,資料をめくって,はじめにとあるところですけれども,本協会の概要といいますか,特色についてですけれども,設立当初から海外の評価機関と連携して,学習成果を焦点とした教育の質保証に努めてきています。
 本協会では学習成果とは,2番目のポツにあるとおり,「大学で何を学んで,何を身に付けて,何が出来るようになるか」ということを事前に表明し,学生がその課程を修了した時に獲得するものと定義しておりまして,3つのポリシー及びそれを査定する仕組みが機能しているかどうかということを評価することが基軸となっております。
 表現はやや異なりますが,これらは,令和2年の教学マネジメント指針にも類似の記載があり,本協会は,それに先駆けて,この取組を積み重ねてきたと自負しております。
 次のページに,手続についてですが,これはほかの評価機関とも類似していて,基準内容も,分け方は違いますが,ほぼ同じような形で手続を進めております。ですが,ほかの評価機関と比較しますと,評価作業の評価員及び会員校の皆様方への負担が大きいと。今日も,ほかの評価機関は専従事務職員の方が来ていますが,私だけ会員校の代表で,一学校法人をやっているのに出るというふうに,みんなでつくっているという部分がありますので,負担があるところもありますが,一方で,ピア・レビューの精神は最も息づいているというふうに自負しているところでございます。
 次のページですけれども,認証評価の具体的事例の前に,第3期では,ここに記載はないですけれども,短期大学250校,そして,途中から四大も評価を始めたので,大学12校の評価を行いました。その中で,評価取消しが1校,不適格が1校でした。
 この表なのですけれども,本協会は,評価結果本文とは別に「三つの意見」というものを付議されるのですが,特に優れた試みというのが延べ1,341件,向上・充実のための課題が556件,そして,早急に改善を要すると判断される事項が160件,これは改善報告書が出て駄目だったら不適格となるものなのですけれども,ほとんどのところが改善報告書で改善されたとみなされて,適格になったものです。
 具体的には,基準2の教育課程と学生支援あたりが学習成果についてですが,事例としては,この中身は,学習成果や3つのポリシーの関連性であったり,授業内容との関連性がなかったものなどを指摘した事例が多くあります。特に,かつては文部科学省も厳しく指摘して,最近はあまりしなくなったものとして,授業時間の15週確保については,キャップ制の導入状況をチェックしたり,あるいは授業期間内に試験をやっていたなどという事例があって,これらを改善の指摘をして,改善に寄与してまいりました。
 ただ,一方で,一番下の右端のほう,やはり改善事項で一番多いのはガバナンス関連で,理事・監事・評議員の役割や,教授会や学長の職務について,いろいろ不備があって指摘を促してまいりました。ガバナンスについては,今後文科省がやってくれるという考えがあるらしくて,それはとてもありがたいのですが,これらの指摘のほとんどは,理事会,評議員会,あるいは教授会,それと,常任理事会とか,運営会議とか,幹部会議の議事録を全部精査する中で見つけて指摘したものです。文科省はみんなそれを提出させてチェックするのかなと思うと大変ですが,ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 次のページが,その早急改善の指摘です。今説明した内容ですので,後ほど御覧ください。
 5ページ目,現行の課題認識なのですけれども,やはり今のところ会員校の負担増,特に評価員の成り手不足,200人程度の評価員が要るということなのですけれども,お願いしてもなかなか登録されないという状況があります。
 一方で,ピア・レビューの精神ということで,評価校も見詰め直しができる一方,評価員のほうも勉強になるということで,その意義については,今日は資料なしですみませんけれども,アンケート等では,8割以上の評価員あるいは評価校がよかったと回答してくださっている一方で,負担は重いという意見があります。また,どこまで踏み込むかライン引きが難しいところですけれども,評価結果が私学助成や修学支援金の要件等に反映されるわけでもなく,また,昨今,専門学校は別に認証評価が義務づけられていないのに,国際的なレベルとしては大学と同等であるというふうなのが先日決まってしまいました。このようなことをされますと,何のために評価をやっているのかというところでは,徒労感が残るところであります。
 次のページの今後の評価に期待することなのですけれども,ちょっと話はそれますが,評価機関の在り方については,中教審の大学分科会第179回あたりでいろいろな意見がありまして,評価機関によって差があるとか,機能していないといった厳しい意見もありました。
 ただ,今にして思うと,一部の大学分科会の委員の方は,不適合を一定数出している評価機関がよくて,出していないところはよくないとお考えのような方もおられたようで,これは認識違いかと思います。本協会は,先ほど述べたように,不適格こそ少ないですが,改善事項を指摘し,その内容は評価結果にもちゃんと記載しておりまして,評価校も今後再発防止ができますし,報告書さえちゃんと読めば,ステークホルダーにも判断材料として使うことができます。
 ほかの評価機関もそうなのですけれども,認証評価の趣旨・目的は,会員校の改革・改善のための支援であって,不適合とか不適格を乱発して大学をふるい分けることではないと思います。本協会は,設立趣旨にのっとって,会員校の支援に寄与してきたと考えております。ですので,そういった評価結果をきちんと読み解いていれば出ないはずの意見が出てくるという,そういう方がおられることそれ自体が認証評価の課題ではないかと思います。
 アンケートでもあったのですけれども,認証評価は会員校の改革・改善には寄与していることは間違いなく言えます。一方で,外部への説明責任を果たす役割があるならば,内輪でしかやっていないように揶揄されるのは,評価機関としても真摯に受け止めなくてはいけないと思う一方で,これは本当に評価機関だけのせいかと思うところもあります。こっちは情報開示をしてかれこれ20年以上たっています。しかし,世間は誰も評価結果を見て大学の評価をしてくれないというのが現状であるかと思います。これは先ほどの要件等にも組み込むことで,政策にも反映できると思いますし,あるいは,報道機関等も,例えば,3つのポリシーランキングとか,下世話なことをしてくださってもいいのです。しかし,マスコミも全然そこまで踏み込んで調べてくれないというところも,ちょっと歯がゆい思いがあるところです。ですから,やはり周知が課題かと思います。
 それから,ここに記載はありませんけれども,段階的評価につきましては,本協会でも既に質保証ルーブリックというものを導入しておりまして,レベル1から4までの段階的評価,できるか,できないかと言えば,可能ではあります。ただし,それはあくまで質保証システム,システムのほうがどうやって充実しているかという点であって,今議論されているような学生がどこまで伸びたかの数値化というのは,やはり大学の分野によって非常に難しいと思うところであります。段階評価するというのは,それ自体は否定しませんが,学問分野によって不公平なことが生じないようお願いしたいと思います。
 また,このワーキンググループ第1回の議論を伝え聞くと,委員の皆様は非常によくこういった問題を理解くださっているようで,大変ありがたいと思いますけれども,2番目は事務局が書いたので,やはり最初に撤退を促す仕組みと出たものですから,これについては,言葉としては大分消えてはいますけれども,退場でなくても経営に関与するような権限は,現行のピア・レビューを基に行っている評価結果では非常に困難であると思います。
 私も実は中教審の間で立ち話で言ったこととしては,こういうことをやって評価の在り方を見直すのであれば,もう現行の評価機関ではなくて,もっと独立性と秘匿性を持った組織を文科省の責任で立ち上げてやらないとできないのではないかというふうなことを申し上げました。百歩譲って評価機関が評価報告を出すとしても,経営に関与するような判断は文部科学大臣とかがやるような,そういう法令改正をしないと難しいのではないかなと思うところでございます。
 最後に,負担軽減というところで,これは中教審にも出ているわけでありまして,負担軽減をしながら,学部ごととか分野ごとの評価もどんどん増やすというのは若干矛盾するように思います。成り手不足というところも課題ではございますので,そういったところを全部踏まえまして,今後慎重な御議論をいただきたいと思います。
 私からは以上でございます。ありがとうございました。
 
【森主査】 
 志賀委員長,ありがとうございました。
 続きまして,公益財団法人日本高等教育評価機構の陸評価事業部長,よろしくお願いいたします。
 
【公益財団法人日本高等教育評価機構陸評価事業部長兼評価研究部長】 
 日本高等教育評価機構の陸と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 早速ではありますが,当機構の認証評価事業について説明をさせていただきます。
 1ページを御覧ください。日本高等教育評価機構は,日本私立大学協会を母体に設置した認証評価機関で,大学・短期大学の機関別認証評価と,ファッション・ビジネス系専門職大学院の分野別認証評価を行っています。昨年度までの20年間で実施した認証評価の校数は,延べ1,000校を超えています。
 2ページでございます。評価基準につきましては,内部質保証を中心とした6つの基準で展開していますが,当機構の特徴としては,共通の評価基準以外に,各受審校の個性・特色として重視している領域で,例えば,社会貢献,国際協力,研究活動などの独自の基準を設け,自己点検・評価を行うことができます。また,独自基準以外に,受審校が特筆したい取組などを記述することも可能です。このように,受審校の個性・特色に配慮した評価を行っています。
 3ページに参ります。評価のプロセスについては御覧のとおりですが,当機構では,評価を開始する前に,評価の諸準備などについて受審校からの事前相談や,評価結果確定後では,評価の内容等に関する事後を実施しています。また,評価チームのメンバーを見ていただくと,教員系,事務系とのバランスを取っております。そのほか,受審校とコミュニケーションを重視しているため,意見申立ての機会を2回設けています。
 4ページ目,認証評価の効果等については,当機構の調査研究の一環として,定期的に受審校へのアンケート調査を行っています。その中の設問で,評価を受けたことで実現や促進につながったものについて,学内の改革・改善への意識の向上,教育の質の保証,管理・運営における質の保証の項目では,「大いにつながっている」,または「ある程度つながっている」と併せた回答が,どれも90%を超えています。一方,今の発表の中で他機関にもありましたが,社会からの理解と支持はちょっと低い値となっています。
 また,5ページに参りますが,同じく,この調査では,直近の認証評価を契機とした取組という設問に対し,内部質保証体制の整備,各種規則類の整備,学修成果の測定の方法の改善などが高い数値となっており,前のページを含め,これらの設問の回答から,受審校は認証評価を受けたことで,内部質保証へより一層の充実が図られていると言えます。
 6ページでございます。一方で,認証評価の課題認識として,同調査にある認証評価を受けることで負担を感じているかという設問に対して,エビデンス集や自己点検書の作成に負担が大きいと感じていることが分かります。そのため,当機構では,本年度から全ての資料をデジタル化するとともに,提出する資料を指定することや,受審校が公開している情報を活用するなど,受審校と評価員双方の負担軽減を目指しています。
 7ページ目でございます。もう一つの課題は,内部質保証に関するものです。第3期,340校の評価を実施した結果,内部質保証の基準に改善を要する点として指摘した件数は,資料を御覧のとおり,延べ100件を超えているため,当機構として,内部質保証の実質化をさらに図ることが急務と認識しております。また,学生などのステークホルダーの意見を踏まえることも非常に重要と考えています。
 8ページでございます。そのため,第4期の内部質保証の基準では,責任体制,自己点検・評価の有効性及び教育と運営全般のPDCAサイクルの機能性を引き続き求めるとともに,学生及び学外関係者の意見や要望の活用などを基準に組み込んで求めることとしました。
 最後のスライドとなりますが,この「知の総和」答申では,認証評価制度の見直し策の一つとして,学生が在学中にどれぐらい力を伸ばすことができたのかといった教育の質を数段階示すなどの評価制度への移行が提言されています。当機構としては,在学中にどれぐらい力を伸ばしたのかなど,達成度を評価することは重要であると認識しております。
 一方,問題点として2つあります。1つ目は,数段階の評価を示すなどの工夫は,各評価機関の判断に委ねるべきであり,一律制度上整備し,全評価機関に求めることは,スライドのとおり,2002年8月の「大学の質の保証に係る新たなシステムの構築について」の答申では,「様々な第三者評価機関が特質を生かして評価を実施することにより,大学がその活動に応じて多元的に評価を受けられる」という提言と相反することとなります。
 2つ目,分野別への評価制度の変更は,評価機関では分野ごとの評価員の確保や,評価の統一性の確保が困難となります。さらには,多様な教育研究を展開している高等教育機関にとって,一層の負担増が想定されるため,段階的な制度の移行や整備が求められます。
 簡単ではありますが,日本高等教育評価機構の説明は以上となります。
 御清聴ありがとうございました。
 
【森主査】 
 陸評価事業部長,ありがとうございました。
 では,最後になります。一般財団法人大学教育質保証・評価センターの近藤代表理事,よろしくお願いいたします。
 
【一般財団法人大学教育質保証・評価センター近藤代表理事】 
 近藤です。よろしくお願いします。
 資料1-5を御覧ください。本センターの評価と今後の制度改正への期待を説明します。
 2ページを御覧ください。本センターの組織とこれまでの評価実績です。認証評価機関として,2019年8月に認証を受け,翌2020年度より評価事業を始め,現在5年目を終えたところです。会員数は,公立大学81大学です。評価実績は表のとおりで,2024年度までの5年間に63大学の評価を行いました。
 次の3ページを御覧ください。本センターの設立の経緯です。2004年度から導入されました認証評価制度一巡目の経験を振り返り,公立大学協会がおよそ10年をかけ,新たな認証評価機関を構想いたしました。その構想の評価の基本は,大学評価ワークショップの実施経験に基づく対話型の評価の可能性,その有効性の検証でした。
 4ページ,次のページを御覧ください。10年の検討結果から,評価の目的別に3つの評価基準を設計しました。表のように,判別と改善を基準ごとに設定しています。
 基準1では,まず厳格に法令適合性を判別します。基本的には細目省令に基づく評価基準です。
 基準2では,教育研究の水準向上の改善活動を評価・支援します。内部質保証の実質化をここで見ます。
 基準3では,大学の理念等に基づく特色ある教育研究の進展への改善活動を評価・支援します。ここでは内部質保証活動の成果を見ます。
 5ページを御覧ください。評価のプロセスです。書面評価と実地調査を行います。
 書面評価は,基準1,2,3について,評価実施チーム全員において厳格,丁寧に行います。
 実地調査は2回行います。書面調査で確定できなかった点を評価・確認・支援します。1回目の実地調査はオンラインで,評価実施チーム全員による責任者面談等及び特に基準3に関して,学生やステークホルダーとの対話である評価審査会を実施します。この評価審査会については,後ほど説明します。
 2回目の実地調査は,主査及び評価担当幹事が1回目から時間を空けて大学を訪問し,対面で行います。表にあります二重丸・丸は,重点度を示しています。
 6ページを御覧ください。大学が提出する資料です。負担の軽減も含めて,点検評価ポートフォリオという様式を使用します。社会から見やすいように,大学の自己点検・評価の結果や法人評価の結果等の公表情報をエビデンスとして整理したものを求めます。
 次の7ページを御覧ください。点検評価ポートフォリオの記載内容です。3つの基準ごとに記載し,およそ50ページの資料を作成します。
 8ページ,次のページを御覧いただければと思います。前に触れました学生・ステークホルダーとの対話である評価審査会の説明です。これはイメージ図ですけれども,実地調査の1回目に,責任者面談の後に評価実施チーム全員が参加し,ワークショップ型の意見交換会を実施します。基準3に取り上げた取組について,関係の教職員,在学生,卒業生,修了生,企業,地域住民,設置団体の関係者等ステークホルダーが参加し,取組の内容,成果,学び,課題,今後の期待などが意見交換されます。
 9ページを御覧ください。まだ5年間ですけれども,5年間の評価実績と効果について,まずは4点ほど挙げています。
 まず1点目,点検評価ポートフォリオの採用により,大学が行う内部質保証活動の全体像が一覧でき,情報公開が促進されております。
 2点目,実地調査を2回,2段階で行うことで,大学関係者の内部質保証への理解度が深化しています。さらに,評価審査会の導入により,大学の内部質保証活動が多くの教職員,多様なステークホルダーの理解につながっていると思っています。
 3点目,これは公立大学の特徴ですけれども,設置自治体の法人評価委員会の評価が優先される傾向があるので,そのメカニズムを念頭に内部質保証活動を効果的に指摘しています。例えば,これは地方独立行政法人法にもありますけれども,実際には法人組織と教学組織,それを峻別するという指摘の仕方,かなり特徴に応じた指摘をするということができております。
 4点目ですが,会員校の職員が評価する側に参画することで,評価経験者が増加し,そのことが自学の内部質保証活動の活性化をもたらしつつあります。
 最後,10ページです。認証評価の課題と新制度への期待です。
 まず,上のほう,課題について2つ挙げております。
 1つ目は,受審大学は適合を判別する評価への対応が優先されがちで,内部質保証の実質化に課題があり,なかなか改善はまだ進んでいないと考えております。
 2つ目,評価疲れの課題に関してですが,その一つの理由として,受審の効果が対応コストに見合ってないこと,それから,継続的ではなく,受審年度の前に作業が集中するということが考えられるということで,この辺の改善が必要になるではないかと考えております。
 最後に,新たな制度への期待として,2点ほど挙げております。
 まず1点目です。判別と改善を行うために,評価の役割分担があり得るかもしれないと考えています。これは一つの例ですけれども,例えば定量的な評価指標を基に,法令適合性の保証を文部科学省が主導で統一的にプラットフォームとして行うという可能性があるかもしれない。それから,アカウンタビリティー,社会的な説明責任に軸足を置いた法人評価とのすみ分け,これは特に公立大学の場合,設置自治体とのいわゆるすみ分けを明確に行う必要があるのではないかと考えております。それから,認証評価機関が主導するものとしては,質の向上を支援する定性的評価を認証評価機関が担う可能性があるかもしれないというふうに,一つの例としては考えております。
 2番目の期待としては,「知の総和」答申にとって重点項目として挙げられています,学修者本位の教育を行う上での学修成果の把握・評価の多様性の方法を少しでも前に進めて確立していただきたいと思っております。2020年度の教学マネジメント指針をベースに,その改革を進めていただければと思っております。
 私からは以上です。
 
【森主査】 
 近藤代表理事,ありがとうございました。
 皆様時間を守っていただきましたので,ここから十分に議論の時間が取れると思います。
 今の御説明の中で,5つの評価機関の中で,共通すること,または個別の特徴があるもの,それぞれあったかと思います。ここから,御意見でも御質問でも構いませんので,ぜひ御自由に御発言ください。
 なお,評価機関の皆様におかれましては,発表者からの回答におきまして,今御発表いただきました発表者の方からの御発言でも結構ですし,後ろのオブザーバーの方の御発言も可能ということになっておりますので,よろしくお願いいたします。
 では,御発言がある方,どうぞ挙手をお願いいたします。オンラインの方は,挙手ボタンでお知らせください。いかがでしょうか。
 松浦先生,お願いします。
 
【松浦委員】 
 ありがとうございます。とても基本的なことを3つ質問させていただければと思います。
 基本的に個別の評価機関に関してです。まず,大学改革支援・学位授与機構さんの重点評価項目の設定ということについて,これはどこでどういう仕組みで決まって,どれを重点評価項目にするのかということが決まっていくのか。サイクルごとで違うものが設定されるのかどうかと,その設定がどういう手順で行われるのかということについて伺えればと思います。
 もう一つは,大学・短期大学基準協会様に,基本的に短期大学の評価から始まって,4年制大学も始まるようになったということでしたけれども,こちらは,普通の形としては,4年制大学と短期大学が併設されているところが対象になる4年制という理解でよいのか,それとも,短期大学は有していないけれども,4年制大学も評価の対象になっているかどうかということです。
 最後3つ目は,これは大学教育質保証・評価センターと日本高等教育評価機構さんにですが,評価者は基本的に会員校から選ばれるという理解でよいのか。私が関わっているのは大学基準協会さんなので,例えば,私立大学の評価を国立大学の評価員も含めたチームで行うということがあり得るわけですが,公立大学は公立大学の評価員が行う,あるいは,私立大学は私立大学の評価員しかいないという理解でよいのかどうかということです。
 以上,よろしくお願いします。
 
【森主査】 
 ありがとうございます。
 今3点御質問があったと思います。まずは成相様,お願いします。
 
【独立行政法人大学改革支援・学位授与機構成相評価事業部長】 
 1点目の御質問でございますが,まず,重点評価項目も基準の一部ですので,大学評価基準を定める際に設定します。この基準につきましては,各評価サイクル,7年に一度のサイクルのところで決めますので,そのサイクルに入る前に,機構内に大学機関別認証評価委員会がございますので,そこで議論した上で設定するという仕組みにしております。
【松浦委員】 
 それは期ごとによって違うという理解でよろしいですか。同じものが続くということもありますか。
 
【独立行政法人大学改革支援・学位授与機構成相評価事業部長】 
 期ごとに検討しますが,続くことはあり得ます。
 
【松浦委員】 
 ありがとうございました。
 
【森主査】 
 では,続きまして志賀委員長,お願いいたします。
 
【一般財団法人大学・短期大学基準協会短期大学認証評価委員会志賀委員長】 
 2番目の,4年制大学併設しているところだけか,別でもいいのかというところですが,どちらも対応しております。ただ,併設しているところは,最終的に,特にガバナンス関係等は,整合性を持たせるために評価員は別々ですが,分科会において統合するようなことはありますが,どちらも受け付けている。結果として,ほかの評価機関とも取り合いになっている部分もありますが,そこはどちらも広く受け付けるだけの基準もつくっていますし,組織的な対応をしておるというところです。
 以上です。
 
【森主査】 
 ありがとうございます。
 最後,2機関に御質問があったと思いますので,陸さんからお願いいたします。
 
【公益財団法人日本高等教育評価機構陸評価事業部長兼評価研究部長】 
 では,私のほうから先に。
 松浦先生,御質問ありがとうございます。
 当機構では,先ほども説明ありましたとおり,日本私立大学協会を母体にしておりますので,評価員につきましては,評価員候補者として当機構の会員校及び日本私立大学協会の会員校に御協力いただいて,毎年定期的に募集をしております。そういう意味では,先生おっしゃるとおり,当機構で実際に評価を受けているのもほとんど私立大学ですので,評価員も私大協会,当機構もほぼ私立の会員校ということで募集をして,御推薦をいただいております。
 その中では,教員系,事務系の先生も両方いらっしゃって,現在では約800名の候補者を確保しております。毎年の評価につきましては,申請の大学・短期大学の規模や地域,分野によって,そこから教員系,職員系の先生を選定しております。
 大学は基本的に1大学5名,1人の先生は基本的に1大学担当ということで,昨年73大学を行って,そういう意味では,約400名近くの評価員をお願いして実施しております。
 以上です。
 
【一般財団法人大学教育質保証・評価センター近藤代表理事】 
 それでは,評価センターのほうから。御質問どうもありがとうございます。
 御指摘のとおり,会員制をセンターのほうも取っております。先ほど申しましたように,今,81の公立大学が会員校としております。
 まず,評価委員については,候補者の推薦という形で,会員校から推薦していただきます。そういうリストを作るということです。そのリストをもとに,基本的には,評価実施チーム編成会議で検討し,認証評価委員会で決定しています。実際には,会員校以外の国立,私立の先生方も含まれるという形になります。
 公立大学の一つの特徴として,先生方の中には,国立から公立,私立から公立に移られた方,その逆の場合もあります。そういう場合もありますので,どこというふうな形で所在を限定することは難しいのですけれども,我々にとっては,公立のことがよく分かる方,それから,透明性のためには,国立や私立,それ以外,OB・OGの方も含めて,さまざまな方をリストアップしながら,そして,先ほど申しました会員校からの推薦という形の枠も設けながら,評価実施チーム編成会議のほうで,適宜,そのときにどういう大学が受審するかということに対して,専門性も考慮した上で評価委員を決定するという手続を取っております。
 
【森主査】 
 ありがとうございました。
 続きまして,笠井委員から挙手がされていると思います。笠井先生,お願いいたします。
 
【笠井委員】 
 本日御説明いただきました各機関の皆様,お忙しい中どうもありがとうございました。
 私は法学研究科の人間で,法科大学院の関係で評価を受ける側の経験等があるので,どの機関に伺ってもよいのですけれども,法科大学院でなじみのある大学基準協会さんと大学改革支援・学位授与機構さんに伺います。
 今日,どの機関の方からも,評価疲れとか,受ける側の負担,もちろん評価される側の負担というのも大変だと思いますけれども,今日いろいろとそういうことに対する御理解がある御発言がありました。それについては,電子化を図るなどで対応しておられるというお話がありまして,各機関としては,評価疲れへの対応というのは,これまでもしてこられているのだろうと思います。
 ですが,法科大学院の例を言いますと,直近の評価でも,機関が評価疲れへの対応をして簡素化されたと標榜されて,評価に来られたのですけれども,他大学の話とかもいろいろ伺っていると,やはり評価疲れをもたらすような評価はあまり改善されていないというか,場合によっては,輪をかけているというような意見を聞くこともあります。これはいろいろな原因があるかもしれませんけれども,ピア・レビューであるということから,やはり専門家として評価に来られる評価員の方々のある程度個性みたいなものがどうしても出てしまうところがあるような感じを受けております。
 これは何も評価疲れだけの話ではなくて,一般的に,今後大学評価というのはこういうふうにあるべきだと,我々もこれから一生懸命考えて,中教審等で御検討いただいて一定の方向が出たとして,それについて評価機関にそれが伝わったとして,しかし,その方針どおりにきちんと運用されるのかというのは,結局,各評価の現場での対応次第というところがどうしても残ってしまう懸念がございます。
 その辺りについて,将来の話でもありますので,お答えしにくいかと思いますけれども,大学基準協会さんと大学改革支援・学位授与機構さんに,今後ピア・レビューで専門家の知見を生かさなければいけないことは私も大事だと思っているのですけれど,それと評価の方法の統一みたいなものとの関係について,どのように調整されることをお考えかということについて御質問したいと思います。
 以上でございます。
 
【森主査】 
 ありがとうございました。
 大変難しい問題かと思うのですけれども,今ピア・レビューの良さのところと難しさのところをどう見ていくのかという御質問だったと思いますが,田代様,いかがでしょうか。
 
【公益財団法人大学基準協会田代事務局長】 
 笠井先生,ありがとうございます。
 やはりこちらの認証評価,私どもの評価もそうですけれども,ピア・レビューというものがすごく重要なのですよね。大学のことを一番よく知っているということで,そういう方々に評価をやっていただくということ,自らの大学に帰って評価に臨んでいただくことも併せて重要かと思っております。
 肝心なのは,評価員,評価をされる方への研修というものがすごく重要になってくるかなと思います。大学基準協会におきましては,大学評価の場合なのですけれども,具体的に実際にどのように評価をやるのかということをワークショップ形式で,こういう場合はこういう形で,というように,実際に架空の大学の点検評価報告書を用意して,特に評価で課題になりそうなところを潜ませておいて,その上で分科会方式を取って模擬評価みたいなものをやっていただいて,評価結果をある程度つくって,それを最後に発表してもらって公表するとか,そのような形で,実践を通じて評価者の先生にいろいろな知見を高めていただいています。
 そういうようなことで,ピア・レビュー,いろいろな先生がいて,その個性を生かすことが重要なのですけれども,ある程度先生方の質というのでしょうか,質というよりはモチベーションというほうが大きいかもしれないのですけれども,それを高めていただく,そのような仕組みを設けております。
 あと,評価疲れということで言うと,単純に評価作業が大変だということもあるかもしれないのですけれども,本日の発表でもいろいろな方がおっしゃっていましたけれども,評価の意味というものがどうしてもすくいづらいというようなこともあるということになると,実際に評価が意味を持って社会に認知される,あるいは,大学が学生さんにも生かされる形に持っていくような仕組みも用意した上で,評価疲れに対応していく。
 ちょっと違う2種類のことを申し上げましたけれども,そのようなことで対応していきたいなと思っております。
 
【森主査】 
 ありがとうございます。
 では,成相様,よろしくお願いいたします。
 
【独立行政法人大学改革支援・学位授与機構成相評価事業部長】 
 改革支援・学位授与機構,成相です。
 今,大学基準協会の田代局長からもお話があったとおりで,やはりピア・レビューというものが非常に重要だと認識しております。その場合,先ほど笠井先生の御指摘のように,各委員の個性が出てくるというのは,完全には防ぎようがないところではありますが,そういうところも含めて,評価者研修をもって意思統一といいますか,できるだけ評価の視点をそろえるという形で進めているというところでございます。
 また,委員会の場でも最終的に調整を図った上で,最終的な決定をするというところもございますので,そういった形で改善を図っていくというところはございます。
 あと,評価疲れの話も,先ほど田代局長からもございましたけれども,機構の方でも評価の検証というのを毎回行っておりまして,その中では,評価の透明性ですとか,評価の意義が感じられないといったところが評価疲れの要因となっていますので,そういったところも改善できるような取組を進めていきたいと思っております。
 以上でございます。
 
【森主査】 
 ありがとうございました。
【笠井委員】 
 ありがとうございました。
 私もピア・レビューの重要性というのは非常に大事だと思っておりますし,大学にいる人間として,やはりできるだけ大学の自由というのを確保したく,それに対して何か御意見をいただくのだったら,やはり専門家の御意見を伺いたいということは強く思っておりますので,その辺の重要性についてはおっしゃるとおりだと思います。
 あとは,おっしゃるとおり,意義が見えるような形の評価の在り方というのを考えていく必要があるなと改めて思いました。
 ありがとうございました。
 
【森主査】 
 ありがとうございました。
 今4名の委員から手が挙がっておりますので,順番に参りたいと思います。
 まず,林委員からよろしくお願いいたします。
 
【林委員】 
 ありがとうございました。
 関わっていて知っている機関もあれば,今日初めてくらいに細かくお聞きした機関もあって,非常に多様性はありながらも,お話を聞いて分かったのは,機関によっては,例えば,ルーブリックをつくったりとか,ある種の段階判定のようなものはもう既に行われているような状況もあるというのも分かりましたし,あるいは,学修成果についても,各機関,やはり大学あるいはプログラムの目的に即して,実際にプログラム終了時に何が実現されているかという,それぞれのプログラム,それぞれの大学に基づくものであるということを御認識,表明されていたというのは共通してよく分かったところでございますので,そういうのはやはり今後もそういう方針を堅持するべきなんだろうなと思ってお聞きしました。
 その上で,質問は2つなんですけれども,1点目は,ざっくり言えば,内部質保証システムを評価してみて,今,大学で内部質保証システムがどのぐらい有効に機能しているとお思いになっているかというところです。今回,中教審等で分野別という話が出たときには,設置審等でかなり細かくチェックするのに対して,認証評価でのチェックというのがそれほど十分じゃないと思います。設置審では,ディプロマ・ポリシーに対して,カリキュラムを見て,この科目が手薄いんじゃないかとか,そういうレベルまで細かくチェックしているんですが,認証評価においてはそこまでのことはしていないと思います。
 そもそも今の構造としては,そういうプログラム別というか分野別というのは,まさに内部質保証で大学がしっかりと見てくれという話として今は動いていると認識しているんですけれども,ただ,そこが十分じゃないというのがもしかしたら中教審の問題意識なのかなと思っていて,その辺り,実際に評価をされてみて,特に分野まで,あるいはプログラムまで落ちたときの質保証が,大学,内部質保証をつくれということによって,本当にうまく機能していると思っているかどうかというのをまずお聞きしたいのが1点目でございます。
 それから,2点目ですが,社会の認知の話です。認証評価はある種,消費者保護なので,入学してみないとどういう教育サービスがあるか分からないから先に示しておこうというのが基本的な海外等での発想ですが,20年ぐらいやってみて,結局,質保証というかプロセス情報を幾ら出したって,社会はそんなに興味がないというのは非常によく分かったところだと思ってお聞きしていました。
 ただ,近藤先生の話で非常に興味深かったのは,ワークショップをやることで,つまり,社会への情報提供が,日本国全体じゃなく,そんなのみんな知りたがっているわけじゃなくて,ステークホルダーはもう決まっていて,そこと対話しながら評価をするという参加型評価ですよね。こういう形も確かにあり得るし,その方が本当はいいのではないかなとは思いながら聞いていたところです。
 それは今回,新しくそういう方向もあるんだというのを理解したところですけども,もう少し一般的,社会に対して,質保証のプロセス情報でなくて,求めているのはやはり学習成果,パフォーマンス情報というか,どれだけ伸びたのかをいかに客観的に,あるいは,近藤先生の中でもほかの大学と比較してとか時系列でとありましたけれども,いかにそうした情報を出していくことで,うまく社会に学習成果の情報が届くかというところこそが重要なのかなと思ってお聞きしていました。その辺りで,学習成果が大学から出てくるとは思いますけれども,そこに対して,社会あるいは入学希望者とかそういう人たちが見てよく分かるような形で,何か工夫して外向けに提示しているようなものとかがもしあればお聞きしたいと思います。もしあればということで特にどこの機関にということはないので,もしコメントがあればということでお聞きしたいと思います。
 
【森主査】 
 ありがとうございます。
 では,自由に御発言いただく形を取りたいと思っております。
 まず1点目でございますけれども,内部質保証,機関別のところで,重点項目としてやってきたと思いますが,それが,学部・部局の内部質保証にどれだけ影響を及ぼしているんでしょうかというところの感覚の話になると思います。2点目は,社会の認知ということですので,どうぞ自由に御発言いただいて結構かと思います。いかがでしょうか。
 
【公益財団法人大学基準協会田代事務局長】 
 林先生,ありがとうございます。大学基準協会が考えている内部質保証というのは,基本的には各部局の質保証があってこそのことなんですね。それぞれの学部・研究科等がきちんと自己点検評価をして,学習成果に基づいた質保証をして,その上で全学的な教学マネジメントに結びついている。それを見ていることであって,建前としては各プログラムの質保証がきちんとできているということを前提としております。だから,かなり厳しめに見ているんですが,そういった面もあって,基準協会で内部質保証というのは,なかなか長所がつかない。問題がないというところもなかなか少ない状況です。ただ,第3期の初めに比べると,大分改善してきているなという実感はあります。
 年度によってばらつきはあるんですけれども,当初は,問題点がつかなかったのが3割とかそのぐらいだったぐらい,あとは課題等がついていたんですが,今は,課題がつかない大学が半分あるいはもうちょっと少ないか,正確ではないんですけども,多くの大学が問題意識を持っているなというようには思っているところであります。ただ,それが実際に各大学のプログラムごとの質保証に本当に息づいているかということまでは正直言って分からないんですけども,評価をした限りでは,そういう認識であります。
 あと,学習成果を社会に対して明らかにしている大学というのは,多分,個別を見ていれば,そこそこ事例はあるんじゃないかなと思います。そういうようなところは,長所等からも,すくい上げることができるんじゃないかなとも思っています。ただ,今,具体的にこういう大学をということでは紹介できないんですが,せっかく学習成果を把握するのであれば,それを教育の改善に役立てるということ,学生さんに貢献することが重要ですけれども,きちんとやっているんだ,これだけの成果を収めているんだということを社会にアピールすることも重要ですので,そういった側面に力点を置いている大学もあるようには理解しております。感覚的な話で恐縮ですけれども。
 
【森主査】 
 ありがとうございます。
 今,委員からたくさんお手が挙がっているところではございますけども,今の2点に関して,もしほかの機関からもご意見いかがでしょうか。近藤様,お願いいたします。
 
【一般財団法人大学教育質保証・評価センター近藤代表理事】 
 林先生から御指摘いただきました,2点目のことに関してなんですけども,アカウンタビリティーということをどう考えるかといえば,認証評価機関だけでは限界があるだろうと考えています。それで,センターとしては,認証評価という場にこれを取り入れてしまおうと。すなわち,それがワークショップ,評価審査会という,基準3に関した,第1回目の実地調査のときに行う取組です。
 この背景には,本センターが認証評価に3巡目から参加したということがあります。1巡目,2巡目の経験,それぞれ,公立大学は当時86ぐらいあったんですけど,半分が大学基準協会,半分が大学評価・学位授与機構(現:大学改革支援・学位授与機構)を受審するという段階で,どうしても評価にある種の限界というものを感じて,そこからどうするかという議論を始めました。そのときに上がったのが,対話型が必要であろうということです。ただ単に判別型で,いわゆる一方的な評価ということではなくて,評価をした上で支援していく,そういう改善というところにどういうふうに関わるかが重要ということです。
 公立大学の一つの特性として,設置自治体が大学をつくっている。そのために,設置自治体に対しての説明責任というのは非常に大きいわけです。多くの場合,公立大学は地域貢献をその特色あるいは理念の最初に挙げています。ですから,それに対してのひとつの答えを出す場をつくるというのが基準3の評価審査会です。関係者という形でステークホルダーが実際に参加します。
 最初は非常に躊躇しました。といいますのが,ステークホルダーを集めるというのは大変な負担が各大学にはかかります。悩みながらのスタートでしたが,本センターのスタートは,2020年からでした。そのときに,コロナが発生して,実地調査がオンラインの形になりました。
 これが,評価審査会をやる上で非常に有効でした。評価審査会には,設置自治体あるいは地域住民,卒業生,修了生が参加します。実際にやってみると,海外からこれに参加したという修了生もいました。非常に多くの人が,一つの大学の取組,いわゆる地域貢献活動に対してのPDCAを回したということに関して評価をする。評価委員はそこに参加しながら,地域でどれほど受け入れられているか,あるいは課題があるのかということを考えながら,そこを評価していくということを制度として実際にやっています。まだ実際に始めて5年目ですから,時期尚早で,大きなことは言えないんですけれども,手応えということは確かに感じているというのがアンケート調査などから分かっているということです。
 それから,内部質保証について,1点目,御質問ありましたけども……。
 
【森主査】 
 端的にお願いいたします。
 
【一般財団法人大学教育質保証・評価センター近藤代表理事】 
 公立大学で非常に悩ましいのは,1学部のみのところもあれば,複数の学部を有しているところもあります。1学部のところは機関別と全く変わりません。しかしながら,学部間においては非常に差があると認識しています。
 以上です。長くなって申し訳ありません。
 
【森主査】 
 とんでもございません。ありがとうございました。
 今,多くの委員から手が挙がっておりますので,これからは端的に御質問いただくと。端的にお答えいただくという形でよろしくお願いいたします。
 では,浅田委員,よろしくお願いいたします。
 
【浅田主査代理】 
 ありがとうございます。大学基準協会にお尋ねいたします。
 認証評価制度が始まる前から大学評価というのを先進的にやられていて,非常に多くの経験を積まれていると思います。認証評価が始まる前は分野別で認証評価もされていて,現在は機関別という形になったと思います。
 法令で認証評価が始まる以前と以後で,大学評価は前進したのか,あるいは,大学基準協会から見て,いわゆる制度化される前の自由な評価の形のほうがよかった点があるのか,それをお尋ねしたいと思います。
 それから,大学改革支援・学位授与機構に質問です。学部・研究科の現況分析を評価するところに私も加えていただいて,その中身を見せていただいたことがあります。膨大なデータを収集して,システマティックに評価し段階をつけておられて,感心したのですけれど,これは相当な負荷がかかっているんじゃないかと思います。こういう評価を,今議論されている,例えば全大学を対象にということは実現可能なのかどうか。その辺,感覚でいいですから教えていただければと思います。お願いします。
 
【森主査】 
 ありがとうございます。
 では,田代様,成相様,続けてお願いいたします。
 
【公益財団法人大学基準協会田代事務局長】 
 浅田先生,ありがとうございます。認証評価制度になってどうかということですけども,制度化されたことで,評価を受けるということの意識を全ての大学が持つようになったということについては前進ですけれども,評価を受ける大学全てにモチベーションがあるかというと,そういうわけではない。義務化していなかったときのほうが,評価をきちんと受けるんだぞという意識というものは高かったのではないかなと思います。一概に言えないかもしれないんですけども,そういった意味で,義務化されたことのよしあしというものはあると思います。
 以上でございます。
 
【森主査】 
 ありがとうございます。
 成相様,いかがでしょうか。
 
【独立行政法人大学改革支援・学位授与機構成相評価事業部長】 
 2点目でございますね。ありがとうございます。
 現況分析でございますけれど,これは国立大学の教育研究という,数が限られた中で行えてきているものと認識しておりまして,これを全大学でやるとなった場合は,かなり機械的に整理する必要があろうかと思います。今回,4年目終了時評価を来年度行うんですけど,そこでも資料等をかなり簡素化はしているのですが,それを踏まえても,分野別に行うとなると件数が膨大となり,かなり機械的な処理が必要ではないかと思っていますので,今のままのやり方でやろうとすれば,かなり難しいかと思っております。
 
【森主査】 
 ありがとうございました。
 小林委員,斎藤委員,溝口委員,葛城委員の順番でお願いいたしたいと思います。
 では,小林委員,お願いいたします。
 
【小林委員】 
 御説明ありがとうございました。私も大変勉強になりました。
 お話を伺っていると,やはり2つ課題があって,一つは負担軽減の問題,もう一つは活用の問題だと思います。
 後者の活用の方から端的に1点御質問しますが,志賀委員長から,5ページ目に,認証評価の結果が国の制度と連動していないことが徒労感という記載がありました。どちらかというと,今,消費者保護の観点から,消費者がどう活用するかとか,そういったステークホルダーのお話が多かった中で,国の制度と連動というのは,私にとって新鮮だったんですけども,この適格・不適格の活用について何か御意見があったら,大学分科会の委員でもあられるので,御意見をいただければというのが1点目です。
 それから,負担軽減のところでいうと,今回,5つの機関があって,言葉が微妙に全部違っていて,例えば,いい点でも,「長所」と言っているところと,「優れた点」,「優れた試み」って,微妙に違うんですね。これって,5つの機関で,横串を通した協議会とか何か連絡会,そういうのはないのでしょうかというのが2つ目の質問です。
 さらに,それに加えて3つ目になりますが,この答申の中でも,ポートレートに代わる新たなデータプラットフォームというのを提言していて,(仮称)Univ-mapというのをつくって活用していこうという案が出ているのですが,こういったものができると負担軽減になるのか。何か要件的なものがあるのか。
 この3点についてお伺いできればと思います。
 
【森主査】 
 ありがとうございます。まず,国との連動に関しまして,志賀様からお願いいたします。
 
 
【一般財団法人大学・短期大学基準協会短期大学認証評価委員会志賀委員長】 
 これは5ページにも書いてありますとおり,正直,段階的評価とかにもありますので,優れた取組が多ければ補助金をたくさんあげるとか,そういうのはやっぱりなかなか難しいかもしれないんですが,〇×のもの,つまり,修学支援制度とかは,何で適格をもらっているのに,定員充足率が満たされていないだけで,支援制度から外れるのかという,全く別の案件があります。ですが,海外とかを見てみますと,評価機関と連動してそういった国の補助制度とかをやっているものもあったりしますので,そこも考えていただきたいというところです。ただし,これ,法令でそういうのじゃないと言われているので,ちょっと無理筋なのは分かっていますけど,言い続けないと直ってくれないかなと思って言ったところでございます。
 併せて,次の質問もついでに私の立場で言うと,連絡協議会は評価機関の間であるんですけれども,やっぱりそれぞれ創設された方々の思いとかがあって,例えば短期大学基準協会は,ほかは適合・不適合と言っているのに,ずっと適格・不適格という表現をしていたり,取組とか表現とかも多分思いがあるので,私の立場としては,特に統一しろと言われない限りは怖くてできないんですが,それはどこかが音頭を取っていただけたら,合わせるものは合わせられる可能性はあるかなというところでした。
 2つ目の質問も併せて,私からは以上です。
 
【森主査】 
 ありがとうございます。
 では,3つ目のデータプラットフォーム,Univ-mapですかね,これで負担の削減ができるのかに関しまして,もしよろしければ,陸様,いかがでしょうか。
 
【公益財団法人日本高等教育評価機構陸評価事業部長兼評価研究部長】 
 ありがとうございます,小林先生。今も実は,今志賀先生から話がありましたとおり,連絡協議会が音頭を取っていただいて,認証評価に関する基礎的なデータは,5機関全て同じフォーマットを使っております。ただし,ポートレートの延長線でのお話ですので,私学に関してはまだ連携が取れていないので,大学にフォーマットを渡して入力していただいているというのが実情です。
 ただ,これは既に統一していますので,確認等はできると思いますが,今先生がおっしゃったような,将来的にUniv-map的なものがもし設置されれば,当然,データが自動的にそこに反映されるということであれば,大学の負担軽減にはすごくつながるかなと私個人的には思っています。
 
【小林委員】 
 ありがとうございます。
 
【森主査】 
 ありがとうございます。
 では,斎藤委員,お願いいたします。
 
【斎藤委員】 
 先生方,ありがとうございました。
 志賀先生にお伺いしますけれども,学習成果の評価に大学・短期大学基準協会としてかなり重点的に取り組まれていらっしゃったということで,その上でお伺いしたいんですが,学習成果の評価といいますと,目標としての学習成果ということで,何を目指していくのかというのと,各科目との対応関係,すなわちカリキュラムの整合性みたいなところを強調した取組というのは,ここ何年かでかなり進んできたのかなと思います。
 一方で,課題は,実際に学生が到達しているのかどうかという直接的な評価における学習成果のところかなと考えております。
 そこでなんですけども,そういったものに取り組んでいる大学あるいは短期大学において,先生方の認証評価鑑識眼からして,こういった取組は優れていたですとか,内部質保証の取組としてこういった学習成果の評価は有効であるみたいな形で,もし御知見があればお伺いできますでしょうか。特定の大学名とかは出さずに,こういったものとして説明いただければと思います。
 
【一般財団法人大学・短期大学基準協会短期大学認証評価委員会志賀委員長】 
 ありがとうございます。基準協会で優れた取組としてそういうことをしているのは多数あるんですけれども,やはり多くの場合は,学習成果と三つのポリシーを具体的に示して,その中で,各シラバスにおいてどの能力を伸ばす,この科目はどの能力を伸ばすに相当するというので,各科目の評価の仕組みにまで言及しているようなシラバスがあるところは,優れた取組と判断している場合が非常に多いです。
 ただ,昨今,大学間連携という言葉が出てきて,科目等を連携すればと言っているんですけど,そのときに,じゃあ,学習成果や三つのポリシーが違う学校だったら,当然全く違う,同じ科目名でもシラバスを同じにしなきゃいけないというときに,これを今後,優れた取組としていいのかどうかというところはちょっと悩ましいんですが,これまでは少なくとも,そういった取組をしている学校は,非常に特色があって優れたものと判断してきました。
 具体的にはいろいろありますけど,実名が出てしまいますので,こういった形で,小規模な大学は割と,シラバスをよく見ると,カリキュラムマップとか連動とか,いっぱいしているところがあります。
 以上です。
【森主査】 
 ありがとうございました。斎藤委員,いかがでしょうか。
 
【斎藤委員】 
 ありがとうございます。
 今御説明くださったのは,目標としての学習成果のところに関する議論かと思います。実際にできるかどうかという評価結果,こういったものとかを出すみたいなことは,特に求めてはいらっしゃらないのでしょうか。
 
【一般財団法人大学・短期大学基準協会短期大学認証評価委員会志賀委員長】 
 基本的にそれらは,最終的な成績評価,そして卒業するときの判断の指標として使っているかどうかというのを確認しています。
 これは別のところで言おうと思っていたんですけど,基本的に評価機関というのは,そういったシステムを判断しているのであって,その中身がいいかどうかというものはやはり学校ごとの判断に委ねるものであって,それらは分野によっても差がありますから,そこまでは判断できないと。だから,規則があり,組織があり,それを回すシステムがあり,PDCAサイクルが回っているかどうかというチェックの中で,そういう項目を体系的にやっているのであれば,優れた取組と判断しているというのが評価機関の実態であり,これ以上の踏み込みがどこまでできるかというのは,非常に難しいことになるかと思います。
 以上です。
 
【斎藤委員】 
 ありがとうございます。
 
【森主査】 
 ありがとうございました。
 では続きまして,溝口委員,お願いいたします。
 
【溝口委員】 
 皆さん,御発表ありがとうございます。ほかの方々の視点と違うのか,誰にというわけではないのですが,皆さんの御発表の中で,次に向けて,各大学のステークホルダーの意見を活用していくというお話が様々な観点から出たかなと思うんですけども,高校の関係者であったりとか企業の方あるいは地域の方というお話が出たと思うんですが,そういったところを意見として取り込んでいくときに,大学の方が集めると,ちょっと適切な言い方ではないかもしれないですが,その大学の中で頑張っている,割と皆様に見せたい,よくできた学生を連れてくるということがどうしても行われてしまうのかなと思います。その大学の中で,これも言い方が適切ではないと思うのですけども,その大学に多くいるような,平均的に,普通に頑張っている学生たちというのは,どちらかというと意見としてあまり出てこない,吸い上げにくいという現状にあるのかなと思うのですが,そういった中で,ステークホルダーの意見を評価の中で活用していくということに対して,今後どのような方向性が考えられるかということと,大学に対してどういうことを求めたいかというところ,少し御意見を伺えたらなと思います。どうぞよろしくお願いします。
 
【森主査】 
 ありがとうございました。
 いかがでしょうか。5機関の中で,何かステークホルダーに関する意見の活用についてです。
 
【公益財団法人日本高等教育評価機構陸評価事業部長兼評価研究部長】 
 じゃあ,私のほうから。
 まず,学生の意見,確かに先生おっしゃるとおり,我々の評価機関では,ある程度,属性,男女等,バランスを取っていただいて,指定はしているんですが,当然選ぶのは大学ですので,おっしゃるとおり,優秀な子が入ってきます。ただし,学生は意外と素直です。優秀な子でも,素直に大学の不足している部分,意見等は述べていただける。
 なので,我々の評価では,特に第3期からは,学生の面談を,いろいろな面談の前に行っています。学生の意見を聞いて,それからさらに大学の関係者に確認するということを慎重に行っておりますので,そこは,そういう意味では,先生は御心配することもあるかと思うんですけれども,学生は意外と素直ですので,優秀な学生でも,やっぱり大学に対して率直な意見は出ているというのが現状でございます。
 
【森主査】 
 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。バイアスの問題だと思いますけど,田代様,お願いいたします。
 
【公益財団法人大学基準協会田代事務局長】 
 ありがとうございます。大学基準協会におきましては,今期からなんですけれども,今までの実地調査での学生インタビューに加えて,事前に在学生に対するアンケート形式の調査を行いまして,無記名で,大学の状況ですね,教育指導のことであるとか,あるいは学生支援のことであるとか,そういったことについての調査を行って,それを基に,実地調査において,大学関係者あるいは学生さんへのインタビュー等に生かして評価に役立てるような取組を行うようにしております。
 それに加えて,大学関係者ではない,学外関係者みたいなステークホルダーの方についてのインタビューも今期から始めることにしております。ただ,それは,溝口先生おっしゃっているように,どちらかというと,大学の推し面というんでしょうか,そういった部分をすくい取るような側面が今の時点では大きくて,外の視点から大学のいいところをすくい上げるというような意図で,今の時点では企画しているものでございます。今後,それはいろいろな方面に発展させていきたいと思っております。
 以上でございます。
 
【森主査】 
 ありがとうございます。いろいろと取組をされていると思います。
 溝口先生,いかがでしょうか。
 
【溝口委員】 
 ありがとうございます。
 
【森主査】 
 ありがとうございました。
 では続きまして,葛城委員,オンラインからよろしくお願いいたします。
 
【葛城委員】 
 皆さん,ありがとうございました。
 私からは大学改革支援・学位授与機構様に御質問させてください。5ページに,学部・研究科等の現況分析のお話がありました。私,実は今,新しく模索している評価の在り方を考える上で,学部・研究科等の評価がかなり負担じゃないのか,現実的に可能性があるのかということを感じておりまして,皆様から頂いた資料の中にもそういうふうなことが見える中で,国立大学法人評価における学部・研究科等の現況分析というのが一つの解決の糸口になるのではないかということを少し思っているところです。
 つまり,機関別評価の中にあって,そこに学部・研究科等の評価も組み込まれているというようなことで,しかも段階的に評価も行われているということなので,今,新しい評価の案を考える上で,この現況分析のモデルがどれだけ実用可能性があるのかなということをお伺いしたいという観点からお尋ねするのですが,今,学部・研究科等の現況分析において,何が課題であると考えられますか。
 
【森主査】 
 成相様,いかがでしょうか。
 
 
【独立行政法人大学改革支援・学位授与機構成相評価事業部長】 
 現状分析では,各大学からそれぞれ優れた取組とか特色ある取組というのを提出いただいて,その中で,各評価委員において優れたものを抽出していただくという形になるのですが,その際に評価のバランスがまちまちにならないようしっかりと横串で見ていかないといけないというところがございます。そういったことを行う上では,各機関でもいろいろ評価委員を使われているとは思うんですけど,やはりバランスの取れた評価委員を多数確保していくという部分はなかなか難しいところがございます。
 そういったところを解消する上では,先ほど1回お話ししましたけど,何かベースとなる評価ポイントを設定し,その評価を踏まえてある程度良否を取捨選択していければ,ピア・レビューの要素も減らせて,委員の負担が減らせるんじゃないかと思っております。
 答えになっていますか分かりませんが,以上です。
 
【森主査】 
 葛城委員,いかがでしょうか。
 
【葛城委員】 
 それが今ぱっと思いつく一番の課題だということで認識いたしました。ありがとうございました。
 
【森主査】 
 ありがとうございます。
 続きまして,嶌田委員,お願いいたします。
 
【嶌田委員】 
 僕はコメントだけです。評価疲れの話が出てきたのですけども,うちの研究開発部でも,評価疲れって何なのだろうみたいなところは結構前からこつこつ研究を進めていまして,基本的には,不透明感,不信感,負担感という,この3つのキーワードの中に整理できるのではないのかと考えています。
 不透明感は,評価の目的がよく分からないけどやらされる,みたいなことです。だから,それは明示的にこういうふうにやりましょう,みたいな目的がはっきりすれば,もう少しみなさん前向きに作業ができるようになるのではないのかなと思います。
 不信感ですけども,これは簡単に云えば,評価機関が勝手に懐の中に手を突っ込んできて,自分たちは頑張っているのに,頑張っていないだろうみたいなことを言われてしまうみたいなところです。だから,非排除的で双方向的な評価をやっていけばいいのではないのか,という解決策があるのではないのかということを考えています。
 最後は,負担感で,これはやっぱり目的が分からないし,憂いはあっても備えはないみたいな状況の中で,お巡りさんが来て,とにかく駄目だみたいな感じの,駄目出しを食らうみたいな感じの中で,目的も分からないし,どうしていいか分からないけれど,とにかくひたすらいろいろ対応しなきゃいけない。その徒労感みたいなものがあるのかなというところが,総じて評価疲れということになっているのではないかと思います。もちろん人によって結構捉え方は違うのでしょうけれど,どこかで機会があれば,評価疲れについて,もう少し整理した形で,御提示できればと思っております。
 
【森主査】 
 ありがとうございます。3つ,何でしたでしょうか。
 
【嶌田委員】 
 不透明感,不信感,負担感という3つです。
 
【森主査】 
 標語みたいになりますね。その負担感というもの,もし肌で感じられているものがありましたら,少し御紹介いただける機会もあっていいのかなと思いますが,いかがでしょうか。
近藤様,いかがでしょうか。
 
【一般財団法人大学教育質保証・評価センター近藤代表理事】 
 先ほど申し上げましたように,今,7年に1回という形で制度がありますので,やっぱり受審の前年度など,直前に整備をしてしまおうということで,その時期に対応が集中してしまうということが非常に大きな負担になるだろうという気がしています。継続的にやればいいんだけども,それがなかなかなされていないと思っています。
 
【嶌田委員】 
 目的がはっきりしていて,やればやるほどその大学さんがよくなるのだという実感があれば,評価する,要は評価委員の先生方も,やってよかったなと思うのですけども,のれんに腕押しみたいな感じで,大学さんも嫌々対応しているなという感じですと,お互いに気持ちがつらくなって来るのかと思います。一部,そういうケースがどうしてもある気もしますので,どのように改善していくかが重要と思います。
 評価自体がそもそも後ろ向きなわけですね,本当は前のほうを向いて進むために評価をやっているわけですけど,どうしても後ろ向きでやってしまって,今回も駄目だった・よかったみたいな話に終始する傾向にあるので,いかに前向き思考に評価を持っていけるのかみたいなところがポイントなのかな,ということを,ここ10年,20年,思っています。
 
【森主査】 
 大変重要な御指摘だと思います。前向き評価ですね。ありがとうございます。
 委員の先生方,一通り御意見いただいていると思いますけど,もう少し時間がございますが,いかがでしょうか。嶌田委員,お願いいたします。
 
【嶌田委員】 
 ピア・レビューの件で御指摘ありがとうございます。こちらでもいろいろ考えてはいまして,認証評価ですと,法令適合性の確認の部分がベースにあって,各評価機関がそこにそれぞれ担当する大学の特性に応じた上乗せ部分を乗せて,評価基準というのをつくっているわけですね。
 法令適合性に関しては,確かに判断が難しい部分もありますが,マルかバツかというところはある程度判定ができます。問題はその上乗せ部分で,例えば国立大学だったらこういうことができていればいいよねとか,この規模の私立大学だったらこういうことがあったらいいよね,みたいな相場感みたいな部分に関しては,恐らく肌感覚みたいなところがあります。また大学は十分だと言っているけど,実際には学生は困るのではないのかとか,そういうところも肌感覚といいますか,現場の状況が分かる方が,想像力を多少働かせて考えないと判定できないという部分があるわけですね。ですので,法令適合性の確認が必須な1階建て部分,大学の特色を見ることができる上乗せの2階建て部分を分けて後者に注目して行けば,もう少しポジティブで楽しい評価ができるのではないかと思いました。そうすれば犯人探しみたいな感じのイメージの評価からはもう少し先に向かえるんじゃないのかなというのを,皆さんのやり取りを聞いていて思いましたという感じです。
 
【森主査】 
 ありがとうございます。今ありましたように,横並びで見ることができる法令適合部分に加えて,教育の質の話になってくるのかなと思いました。ありがとうございます。
 私からも一つ御意見をいただければと思うのですけれども,そもそも認証評価というのはピア・レビューを基盤としてこれまでやってきたというところがあって,そこでは非常に大きなメリットがあったということが今回の御発表でよく分かったところでございます。
 ただ,先ほど志賀様からもお話がありましたように,そこではちょっと乗り越えていけない部分もあるのかなと思っておりまして,あえてデメリットのところを考えるとすれば,どんなことがあるのかお伺いします。先ほど志賀様からお話があった以外に何か課題やデメリットがございましたら,教えていただきたいと思います。
 成相様,いかがでしょうか。
 
【独立行政法人大学改革支援・学位授与機構成相評価事業部長】 
 仕組みとしてのデメリットというのは,今ぱっと思い浮かばないんですけど,やはり評価する側の目線を揃えるという部分はかなり難しいところでして,質保証人材の育成というところが,今後,評価を拡充していく上では大事と思っていまして,機構の方でも質保証人材育成セミナー等いろいろな取組は行っているんですけど,まだ一部の方の参加にとどまっているというところがございますので,そういったところを改善していきたいと思っております。
 
【森主査】 
 評価者の話ですね。ありがとうございます。
 ほかにもし御発言がありましたら,いかがでしょうか。
 では,田代様,お願いいたします。
 
【公益財団法人大学基準協会田代事務局長】 
 あくまでも個人的な意見なんですけれども,外からの目で,大学人同士,仲間内だけで評価をやっているというような認識を持たれると,それは非常に危険だなと思います。実際にピア・レビューをやっていただいている先生方を見ると,そういうようなところは全くないんですけれども,外から見て,全然知らない人から見ると,そういうふうに思われてしまうかもしれないという素地がないわけではないので,そういうことを払拭するような仕組みというものは必要かなと思います。
 以上です。
 
【森主査】 
 ありがとうございました。
 それでは,そろそろ御意見も出尽くしたかなと思いますので,ここで,分野別評価についての情報をいただきたいと思います。現状認識等について,資料2のとおり,書面で資料を頂いておりますので,事務局から説明をお願いいたします。
 加えて,時間もそろそろ参っておりますので,前回会議で出ました意見等,資料3,そして,審議経過及び当面のスケジュールを資料4としてまとめておりますので,資料2から資料4まで,まとめて事務局のほうから御説明をお願いいたします。
 
【鈴木大学設置・評価室長】 
 では,事務局から,分野別認証評価機関からの書面意見について,まとめて御報告させていただきます。
 今回,事務局からも機関別認証評価をしていただいている機関の皆様に御出席いただき,貴重な御意見をいただきましたこと,改めて感謝申し上げます。当然,認証評価につきましては,機関別だけではなく,分野別の認証評価機関による評価というものもございますので,分野別認証評価についての書面意見をいただきましたので,概要をかいつまんで御説明させていただきます。
 分野別認証評価を行っている機関につきましては,機関別認証評価機関を除きますと11機関ございまして,今回は,日弁連法務研究財団,ABEST21International,国際会計教育協会,日本助産評価機構,日本臨床心理士資格認定協会,教員養成評価機構,日本技術者教育認定機構,専門職高等教育質保証機構の8機関から御意見をいただきました。それぞれ頂いた意見につきましては7ページ以降についておりますが,こちらのほうでいただいた意見の概要を事務局で作らせていただきましたので,それに基づき御説明させていただきます。
 まず機関で実施している認証評価の現状につきまして,伺ったところ,例えば経営マネジメントに関する分野別評価を行っているABEST21につきましては,受審校が目指すべきマネジメント教育の質維持向上についての基本的戦略であるQuality Improvement Strategyの提出し,評価委員会において適合・不適合を決定しているが,適合・不適合の判定に加えて,AからDまでのグレード付けを行って,文章にて結果を認証評価証・審査報告書等に記載しているとの取組を紹介いただきました。
 また,国際会計教育協会におかれましては,評価基準に当たりましては,国際団体,国際協会といろいろ検討しながら基準の設定を行っているという御意見がございました。
 続きまして,認証評価が大学教育の改善へ与えた効果や具体的事例ということでございますけども,これにつきましては,認証評価において改善点を指摘して,受審校の教育改善・向上につながっているという御意見をそれぞれからいただきました。具体的には,例えば日本助産評価機構であれば,実習の過剰拘束期間を単位数に合わせた適正な週数に修正するといった具体的な改善が図られたであったりとか,日本臨床心理士資格認定協会であれば,ある大学院では認証評価受審時50%程度だった合格率が,次回受審時にはほぼ100%になった事例,また,教員養成評価機構であれば,他の教職大学院の改善の参考になっているとか,それぞれ様々な改善の効果や具体的事例を挙げられているところでございます。
 次に,現行の認証評価制度に対する課題認識でございますけども,機関別認証評価のサイクルと分野別認証評価のサイクルが違うことで,一時的に評価が集中する年度が発生することで負担が生じているという,日弁連法務研究財団や教員養成評価機構からの御意見がございました。
 1枚おめくりいただきまして,日本技術者教育認定機構からは,ピア・レビューを行うための人材が不足しているとか,国際会計教育協会からも同様に,自己評価を行う体制の継承・後継者育成が大きな課題であるということ。あとは,同じく国際会計教育協会でございますけども,分野別認証評価機関の存在意義や社会的役割については,時代の変化を踏まえつつ,絶えず問い直すべき課題ではないかという御意見をいただいているところでございます。
 日本技術者教育認定機構からは,アウトカムズ評価が弱く,学修到達目標について修了生一人一人の到達度点検が弱いということであったりとか,そもそも受審する専攻が少ないという御意見もございました。
 最後に,「知の総和」答申を踏まえた新たな評価制度に期待することでございますけども,日弁連法務研究財団からは,ステークホルダーとの実質的なエンゲージメントの実施及びいかなる事項をどのように評価して教育の質や教育力の有無・程度を判断するのかについて,慎重な検討が行われることを期待するという御意見や,専門職高等教育質保証機構は,国際通用性の高い高等教育における学習成果アセスメントの取組が必要であるという御意見をいただいております。
 日弁連法務研究財団からは,データベースの整備等,受審校の事務手続を軽減するための的確な施策が行われることを期待するとご意見,また,ABEST21からは,教育研究上の特徴についての分析結果が広く公表されることにより,当該校の教育研究上特色の社会認知度が向上することを期待するという御意見をいただいております。
 日本助産評価機構からは,受審教育機関へのインセンティブを考えていただきたいという意見がございました。
 日本臨床心理士資格認定協会からは,教育の質を評価するための基準・指標を各認証評価機関が独自に設定していては,答申にあるような,大学間の比較や国民への情報公表には適さない。より適切な指標が検討・設定されることを期待するという御意見が挙げられております。
 また,教員養成評価機構からは,新たな評価制度と分野別認証評価の関係を整理し,明確にすみ分けることを期待するという御意見がございました。
 雑駁ではございますけども,分野別認証評価機構からいただいた主な御意見を御紹介させていただきました。
 続きまして,前回のワーキンググループでいただいた御意見を,前回お示しした課題の論点の項目に沿って,並び替えた形で意見を整理させていただきました。
 1ポツ目,現在の認証評価の現状認識と,第三者評価として果たすべき役割,目指すべき姿はどのようなものであるかという点については,現在の認証評価制度は,一定程度外圧という形で,大学改革の下支えとなっていることは事実であろう。ただ,社会変化が激しい中で見直しを図っていく必要があるのではないか。今日も内部質保証の話がかなり出ましたけども,内部質保証として大学自身で認証評価を踏まえてPDCAサイクルを回し,自らを高めていくべきなんですけども,必ずしもそれが機能していないのではないかとの意見もありました。
 次に,大学の責任者は,学内の改革や大学の活動をアピールするために積極的にこの評価制度を使っていくべきじゃないかという御意見がありました。
 今回のヒアリングの中でもお話がありましたけども,認証評価の結果が社会に向けて認知されていないこと,何のために認証評価を受けるのか,何のために認証評価を実施しているのか目的意識が分からないのが現状であるとの意見もいただきました。各大学が教育の質を向上させなければならない必要性について共通認識を持って,教育改善や学生のために活用されるために,現在の評価制度においてどのような改善が必要かということを考えるべきではないかという御意見もいただきました。
 また,教育の質保証をしっかり取り組んでいる機関もあれば,十分取り組めていない機関もあって,二極化が進んでおり,内部質保証が機能していない機関は,外部評価でしっかり見ていく必要があるけども,機能している機関については,外部評価で細かく見られても徒労感を感じるのではないかとのご意見がありました。
 次に,現状の教育を肯定するだけの認証評価じゃなくて,10年後,将来の日本が国力を維持・向上するために高等教育機関として何をすべきかというところを,まさにそういうことを考える機会になるような認証評価にすべきではないかとの御意見がありました。
 最後には,制度は必ずしも規模の適正化と連携するわけではなく,規模が小さくても頑張っている大学はたくさんあるので,教育の質を高めるべく頑張っている機関はしっかりと評価し,支援していくような仕組みにしていくべきではないかという御意見が1番のところでありました。
 その検討に当たって,御示唆いただいたのは,現在の認証評価制度の実態把握をすべきではないか。この意見を受けて,今回,各認証評価機関からヒアリングをさせていただいたところでございます。あわせて,これまでの議論の検証とか,内部質保証のための大学評価と適格認定という面は整理しながら議論すべきではないかとか,イギリスのTEFなど海外の事例も参考にすべきではないかというような議論の進め方について御示唆もいただきました。
 2点目でございますけども,今後,高等教育機関の質を一層高めていくために,新たな評価制度としてどのように評価を行っていくべきかということでございますが,学部・学科ごとというのは答申で示されているところでございますので,その提言は踏まえつつ,どのような単位で評価対象としていくのが望ましいのか,小さい単位にすればするほど評価する側の負担が大きくなる点と,全学的な教学マネジメントをどう担保すべきかという点に留意しながら議論する必要があるのではないかという御意見をいただいております。また,二極化が進んでいるとの指摘がございましたけれども,定量的な情報で不足している機関についてはしっかりと定性的な評価をするなど,内部質保証ができているか否かに応じた評価制度も考えていくべきではないかという御意見がありました。
 また,さきほどの分野別評価機関からの意見でもございましたけども,新たな評価と専門職大学・専門職大学院で行われている分野別評価との関係をどう整理していくのかというような御意見がありました。
 どのように評価を行っていくのかという点を検討するに当たっては,法科大学院での取組を参考にしてはどうかという御示唆もございました。
 次に,新たな評価というのは,どのような評価基準・項目で評価を行っていくべきかということでございますけれども,評価基準において,機関によってそれぞれ項目や言葉遣いが異なるので,やっぱり外部から見て,分かりづらさにつながっているのではないかという御意見。
 また,在学中にどれくらい力を伸ばすことができたかの検討に当たっては,学習成果として標準テスト等のこれまでの取組をどのように評価するかを考えるべきではないかという御意見や,学生の成長ということがよく言われていますけども,その伸びをどう捉えるか,伸びた先にあるべき姿をどう考えていくかが重要ではないか,そのような御意見をいただきました。
 また,新たな評価を行っていくに当たっては,将来像を見据えた人材育成や教育を評価すべきということであれば,今の各高等教育機関において定められているディプロマ・ポリシーの見直しも検討する必要があるのではないか,また,そのディプロマ・ポリシー,粒度がそれぞれ違いますので,平仄を取るために考え方を提示したほうがいいのではないかという御意見がございました。
 卒業生につきましても,卒業生が卒業した大学の教育をどのように評価しているのかといったデータを集められるような仕組みにしてはどうかという御意見や国家試験がある分野につきましては,国家試験の合格率で測られる傾向であるが,学生が身につけるべき資質能力をどのように評価すべきかをきちんと検討していく必要があるのではないかという御意見をいただきました。
 3点目の評価結果をどのように公表していくべきかということでございますけども,評価結果につきましては,これも基準と同様に,項目によって言葉遣いが異なるということで,外部から分かりづらくなっているのではないかという御指摘や,公表に当たっては,グランドサマリーのようなものを作って,一般の方が比較検討しやすいような分かりやすい方法を検討してはどうか, という御意見もいただきました。
 また,社会に対して各大学がどのような教育をしているかということを明らかにしていく仕組みをしっかりとつくっていくべきではないかという御意見もいただきました。
 また,評価結果の公表・活用の検討するに当たっては,高校関係者など認証評価結果を活用する側のステークホルダーの現状認識も確認してはどうかという御示唆をいただきました。
 4点目の,効果的かつ効率的な評価を行っていくために,いわゆる評価疲れの話もございますけども,機関別認証評価,分野別認証評価だけではなくて,国立大学法人評価がありますので,負担軽減を議論する際には,認証評価だけではなく,大学全体として負担軽減につながるように考えていくべきであろうという御意見をいただいております。
 最後,その他留意すべき事項としては,大学の新設につきましては,設置認可手続から履行状況等調査(アフターケア)まで,教学面について丁寧に確認しているけども,認証評価との間に連続性が図られていないので,そこを一本化するような方策も考えるべきではないか,また,認証評価機関が自らの評価を省みて,外部に説明していくことも考えていく必要があるのではないかという御意見をいただいたところです。
 以上が資料3の説明となりますが,前回の議論に間に合わなかったんですが,このワーキングの上の会議体である大学分科会及び質向上・質保証システム部会からいただいた意見のうち本ワーキングにも関連する意見も御紹介させていただきたいと思います。
 まず,4月23日に行われました大学分科会の主な意見から紹介させていただきます。
 基本的には,先ほど資料3でご紹介した,前回本ワーキングでいただいた御意見と重複するところがございますので,しぼって御説明させていただきます。評価の目的をちゃんと見定めて議論すべきというご意見,各大学において,レベルの高い研究とか職業教育をやっている大学,研究に特化した大学など様々あるので,そういう違いを踏まえた評価基準をつくらなければいけないのではないかという御意見がありました。
 あとは,海外では,前回の認証結果からどれだけ伸びているか,伸び代についての評価が行われており,その結果についても,認証の可・不可だけではなくて,3年の認証,5年の認証など,認証の期間にインセンティブを与えていること,
 既存の大学も新しい大学も挑戦して成長する必要があることから,その挑戦・成長を正しく評価して,それを国が支援する仕組みも重要であろうというのが大学分科会での御意見でございます。
 さらに,4月24日に開催された質向上・質保証システム部会の御意見ですが,基本的には今御紹介した意見とほぼかぶるところでございますが,例えば,新たな評価制度は高大接続を高めるために非常に重要であり,高校では,主体的・対話的で深い学びについて,一人一人の生徒の学びの質を高めることに注力しているので,大学でさらに伸ばすために,高等教育機関の評価においても学習成果とか教育効果を定量的・定性的に示す必要があるだろうということでございます。
 雑駁でございますけども,これまでのワーキングもしくは分科会システム部会で出てきた意見でございます。
 最後に資料4でございますけども,ワーキングでいただいた検討に当たっての御示唆,こういう意見を聞いてはどうかというご指摘を踏まえまして,次回以降,評価を受ける機関を代表する団体からのヒアリング,具体的には,大学の団体,専門職大学コンソーシアム,先ほど法科大学院を参考にしてはどうかという御意見もございましたので,法科大学院協会など,第3回で評価を受ける各機関を代表する団体等からのヒアリングや,高校関係などの評価を参照するステークホルダーからのヒアリングとか,海外の状況も報告いただくなど予定して議論を深めていきたいと考えているところです。
 事務局からは以上でございます。
 
【森主査】 
 駆け足でありがとうございました。
 本日の議事は以上になります。本日は,本当に短い時間でございますけれども,充実した資料と,あと,短い時間で大変恐縮でございましたけれども,5つの評価機関から現状について御報告いただいたということでございます。ピア・レビューで多面的な評価まで踏み込んで進化してきているこの評価の体制を,何のための評価かというお話も出ましたけれども,何を評価するのか,どう活用するのかといったようなところを含めて,今後議論してまいりたいと思っております。
 
【鈴木大学設置・評価室長】 
 よろしければ,最後,まとめの議論,意見交換の時間が十分ではなかったかもしれませんので,必要に応じて,今事務局が説明した資料も含めて,御質問,御意見等ございましたら,書面等でお教えいただければと思います。
 
【森主査】 
 ありがとうございました。
 時間になりましたので,何か御意見がありましたら,書面で事務局のほうにお送りいただければと思います。
 それでは,本日はこれにて閉会とさせていただきます。本日はありがとうございました。
 
―― 了 ――

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