令和7年12月23日(火曜日)15時00分~17時00分
WEB会議
(部会長)伊藤公平部会長
(副部会長)森朋子副部会長
(臨時委員)浅田 尚紀、太田 寛行、大野 博之、小林 浩、田中 正弘、濱中 淳子、日吉 亨、平子 裕志、松居 辰則、松浦 良充、松尾 太加志、松下 佳代の各委員
(事務局)先﨑大臣官房審議官、安井高等教育企画課長、石橋大学振興課長、三木私学行政課長、寺坂高等教育政策室長、鈴木大学設置・評価室長、柴田国立大学戦略室長、花田高等教育企画課課長補佐、太田高等教育政策室室長補佐ほか
【伊藤部会長】 定刻になりましたので、第7回質向上・質保証システム部会を開催いたします。
本日も対面とウェブのハイブリッド会議で開催し、また、この様子をユーチューブライブ配信にて公開いたします。では、会議資料、音声の準備はよろしいでしょうか。よろしいでしょうか。
では、事務局から連絡事項をお願いいたします。
【花田高等教育企画課課長補佐】 本日は、会議を円滑に行う観点から、御発言の際は挙手のボタンを押していただき、御指名されましたら、お名前をおっしゃってから御発言ください。また、御発言の後は、再度挙手のボタンを押して表示を消していただきますようお願いいたします。
本日の会議資料は、事前にメールでお送りしているとおりでございますが、会場のiPadには本日の会議資料をチャットにてURLをお送りしてございますので、紙の資料と併せて御活用ください。
以上でございます。
【伊藤部会長】 それでは、議事に入ります。
本日は、議題1、大学における質向上・質保証に向けた取組事例発表、ベストプラクティスを教えていただけるということで、楽しみにしております。今から6名の方々に約10分ずつ発表していただき、最後にまとめて質疑応答をさせていただきたいと思います。
では、まず最初、茨城大学学長の太田委員から御発表をお願いいたします。
【太田委員】 それでは、茨城大学の取組を紹介させていただきます。
今日の内容ですけれども、本学の質保証、教育の質保証システム、それから、受験生、社会、高校生にどう説明しているかということ、それから、今取り組んでいるスチューデント・サクセスについて御紹介したいと思います。きっかけは、APプログラムに採択されて、それからその成果を本に出しました。『現場が動き出す大学教育のマネジメントとは』。それが今日の発表のベースになると思います。
これは本学全体の内部質保証体制です。この一環として教育の質保証を行っているということでございます。まず、4階層のシステム。これはまず、ディプロマポリシーを全学共通にすることによって、全学レベルから教員レベルまで4つの階層に分けて、データを基に全学的に議論ができる体制をつくったということです。DPに基づくデータを共有しながら、それぞれの部局等でFDをやってもらうということ。それが基本になるかと思います。
本学のDP、ディプロマポリシーなのですけれども、絵にするとこのような感じで、これは本に載っていたものをちょっと借用しましたけれども、5つの要素・能力ということで、世界の俯瞰的理解、一番左側、地球を眺めている風景から、一番右側、5つ目のディプロマポリシーの要素で地域活性化志向。まさに茨城県に花を咲かせようと、そういうようなイメージでございます。
学生に自己達成度を聞きます。そのとき3つ目の要素については、課題解説力、コミュニケーション力、それから実践的英語能力、3つに分けてその部分では聞いております。
どういうふうに取り組んでいるかといいますと、まず、入学式後にフレッシュマン・サクセス・セレモニー・。今日別途に対面の方にはパンフレットをお渡ししましたけれども、上級生からそれを新入生に説明してもらうというセレモニー。それから、大学入門ゼミというところで紹介しています。
それから、毎学年末にそれぞれ達成度という自己評価していただいて、それをまとめています。それから、卒業時にアンケートを取り、それから、3年後にDPの要素・能力をどれだけ活用していますかというのを聞いています。それから、就職先にも本学の卒業生はDPの要素・能力を身につけていますかということを聞いております。
データを基に、今、右側、自律性、教育改善で、教員間でのFDにそのデータを使い、教育改善に反映させる。もう一つは、今、今年から取り組んだのですが、個人データとして学生が個々に自分自身の学びを深める、そういうようなデータ提供ということを始めたところでございます。
早速、成果ですが、2016年から昨年2024年まで、5つの要素・能力を平均して、身につけている、ある程度身につけている、どちらでもない、あまり身につけていない、全く身につけない、というふうに回答してもらっています。その中で青と緑の部分というのは身につけている。というように、だんだん年々身についたという自分の自己評価というのは上がっているということ。どちらとも言えないという割合が減ってきたということです。全く身についていない、身についていないというところは、なかなかこれは減らせないというところが現状でございます。
どういう要素が伸びているか伸びていないかということのレーダーチャートを右側に示しています。伸びているのがコミュニケーション能力、DP3bというところが伸びて、伸びていないのが実践的英語力なんです。この部分がなかなか伸びない。その対策をどうするかということです。
これは学部ごとにコミュニケーション力と実践的英語力というのをまとめたものです。人文社会学部から農学部までです。3bというのがコミュニケーション、3cというのが実践的英語力。これは面白いことに、2000年からコミュニケーション力というのは上がり始めているのです。それから、英語のほうで最初は立ち上がりはよかったのですが、なかなかその後に伸びないというのが現状です。コロナ禍を経て、入ってくる学生たちも少し変わってきたのかなというふうに思っております。
もう一つの分析は、左側の図は2018年から22年までのデータで、卒業時のDP達成度と就職先の評価というのは非常にパラレルで、非常にパターンが似ているということが見てとれたので、この2つの軸でプロットすると、直線状になりました。すなわち、自分たちの達成度というのが就職先の評価と大体イコールになるはずなので、大体その直線に乗っているのですけれども、やっぱり英語能力というのは低いし、課題解決、専門分野というのはある程度お互いに認め合っている。ただし、コミュニケーション力というのは、学生たちの評価はよくないときもあるのですが、企業というか、就職先がそれなりに評価しているというあたりが、ちょっと何かあるのかなと思います。
右側のほうは、学生の卒業時のDP達成度と3年後にどのぐらい活用していますかというのをまた同じように両軸に並べてプロットしたものです。これは大体線上に乗ります。ということは、4年間なり卒業時に身につけたということが、その後の学生の活用度というか、本当にそれに影響している、結びついているということではないかなと思います。
ちょっと低いところが、プラスのところが低いのです。これはコロナ禍です。コロナ禍で社会に出た人たちは、やっぱり活用という面ではかなり苦労したのではないかなとこのデータから分かるかと思います。こういう意味では、学生の自己達成度という間接的な評価ですけれども、それはある程度ものが言える尺度ではないかなと思っています。
じゃあどうするか。次は、伸びないところをどう伸ばすかということで、学部横断型のプログラムというのを用意しています。1つはiOP(internship Off-campus Program)。これは3年次の第3クオーターを学外で学びなさい、必修は原則入れませんということで、長期のインターンシップ、海外研修、それからボランティアをやってもいいし、芸術系が得意な人はコンテストに挑戦してもいいという、そういう期間を設けました。
そういう活動が、棒グラフにありますように、どういうものに挑戦したかを示しました。まだそんなに数は多くないです。コロナがあったので、ちょっと減ってしまったのですけれども、だんだん増えて、2025年は途中経過です。200は超えていると思います。こういうような取組をして、学外に出て学びをもう一回確かめてもらうというのが趣旨です。
もう一つ、昨年度から「プラス-I-プログラム」、これは学部横断型の12~26単位の授業科目構成で、これは認定書を出すというものです。英語を伸ばしたいという場合には、グローバルコミュニケーション。あと、最近では、数理・データサイエンス・AI。それからサステナビリティ。これも気候変動とかで非常に重要ですけれども、そういったことも修士のプログラムを学士課程版に変えて行っています。あと、アントレプレナーシップについてもプログラムを作りました。
高校生にどう説明するか。DPの要素をそのまま言っても分からないだろうということで、例えば、“世界の俯瞰的理解”は“世界の見取図を持とう”に翻訳し、それから、“専門分野の学力”は“学問を自分にインストールしよう”というように、それらを“扉”と表現した形で、受験生の前に立つときには、そういうような話をしております。
実際に夏は私自身がいろいろ高校を訪問するのですけれども、そのときに、学びとはという、これは「learning」を訳させるのですけれども、勉強じゃないよ。大学ではまだ学びだよ。勉強ではない。佐藤学先生に言わせれば、世界づくり、自分づくり、仲間づくり、こういうことが大学で学ぶことなのだということを話します。あと、本学での入学から卒業までにどういうプロセスで学ぶかということを一応お話しするようにしております。
もう一つ問題がありまして、もう一つアンケートを取っております。どういうアンケートかというと、入学時に悩みを持ったかどうか。カテゴリーの中の、将来に関すること、学業、経済的なこと、交友関係等から、ピックアップしてもらいます。その中で将来に関することが5割を超えて、いろいろ悩みがあるのですね。当然、学業のほうも悩みがあります。交友関係については、コロナのときに入った学生にとっては交友関係が一番悩みだったことが、このデータからはっきり分かります。
ということで、この将来に関することを含めて、大学としてはどう対応するか。実際に先ほどのフレッシュマン・サクセス・セレモニーで昨年、4年生に語ってもらったことがあります。新入生を前に。何を語るかは全然知らなかったのですけれども、まさにそこに書いてあるように、たくさん失敗して云々ということが書いてあります。自分が将来どうありたいかとか、何をしたいか、どんな職業だったら自分に誇らしく生きられるか、そういうことをたくさん悩んでほしい。これはまさに学生が思っていることで、またそれを新入生に伝えるという、そういう今の若者たちの心境じゃないかと思います。
そこで、昨年からスチューデント・サクセスということを立ち上げて、要するに、まだ相談体制がしっかりできていないということで、1つ、一元化して窓口をはっきり学生目線になるようにしました。それから、窓口を分かりやすくする。あと、私自身もいろいろ勉強すると、Astinが言う「学生の時間も大学の資源として扱う」という考え方が、そういうことがだんだん必要じゃないかと思っております。
もう一つ、今年度から全学で取り組んでいるのはDPルーブリックというのをやっています。学生たちに個人個人でどのレベルを目指そうか、そのときに何が更に上を目指すのに必要か、それを「プラス-I-プログラム」の履修等も含めて指導できるような、そういう体制をつくっております。これは学生自身のPDCAを回すシステムで、何とかつくりたいなと思っている次第です。
最後です。質保証・質向上という部分と、もう一つ、学生側からすると、対話と承認の場ということが非常に重要になってきて、大学はもちろんDPベースでちゃんと学んでもらうことはあるけれども、もう一つ、学生同士がどうやって対話し、お互いに自分の存在価値とは何だろうということを議論し、承認し合えるか、そういうような場をつくっていく必要があるかなと思っております。
以上でございます。
【伊藤部会長】 ありがとうございました。
続きまして、静岡県立大学の今井学長から御発表をお願いいたします。
【今井学長】 本日は、中教審の質保証部会での発表の御機会をいただきまして、誠に光栄にございます。
教育改善の取組につきまして、困難さを実感しているのが現状です。また、今年、東海・北陸地区の公立大学協会の議長校になりましたので、そこで質保証と質向上に向けた取組状況の説明、それから、質向上とその評価について出された意見を含めて御説明したいと思います。
まず、公立大学なのですが、大学の概要を申し上げます。よく静岡大学と混同されるので。私どもは公立です。1987年に図で示した大学が合併しまして、所在地は静岡市の駿河区。学生数が今、約3,500名ぐらいです。2つのキャンパスがあります。
公立大学の場合は、6年ごとの中期目標が定められ、それを基に各年度計画を策定します。毎年度報告書をつくって、県の評価委員会から評価されておりました。それが第3期までの状況ですが、一方、大学の認証評価は7年ごとの期間で認証されています。本学は2004年度から2030年度の期間、大学基準協会から適合認定を受けております。
一方、地方独立行政法人法が改正されまして、中期計画の策定時に定めた数値目標によることとなりました。本学は2025年度から2030年度が第4期の期間です。
それで、このような二重の評価をずっと続けてきて、特に質保証につきましては大学認証評価に特有であったために、中期年度計画の委員会とは別に質保証委員会を立ち上げた経緯があります。現在、年度計画の廃止がありましたので、大学の活動状況を自己評価する委員会は質保証委員会に一本化したということになります。下の従来と現在と変わってきたということであります。
実際の活動の概要としては、質保証の体制・活動というのは、各学部とか大学院とかその他の部局の活動が、それぞれ質保証活動をしております。それをこの法人の質保証委員会に報告、あるいは対応策を挙げていただいて、法人質保証委員会のほうからそれに対する支援をする、あるいは問題提起をするということをしております。
図に具体的な取組例を示しますけれども、先進的というより非常に地道なことを続けています。1つは教員活動評価です。これは教育、研究、社会貢献、大学運営を毎年度実施して、活動実績が優れた教員を学長が表彰しております。また、教員活動実績報告書は、自分の活動状況を振り返る機会となっております。
それから、授業参観です。ほかの教員から授業評価(ピアレビュー)を実施しております。その結果は教員本人にフィードバックし、場合によっては、会議でそれについての論評を加えたり、学部ごとにやっております。
それから、学生による授業評価の結果は、これは個別ではないですけれども、学生に全体状況について開示をしています。
また、同窓会組織と教授会の意見交換会を定期的に実施しております。
さらに、これは当たり前のことだと思いますけれども、卒業時のディプロマポリシーへの達成度を学生が自己評価するようにしております。
また、地域のコンソーシアムですが、そこで地域大学と単位互換の授業を行って、共同でファカルティ・ディベロップメントとかスタッフ・ディベロップメント研修会を実施しています。という地道な話なんです。
それで、3ポリシーに基づく教育改善についてに入りますけれども、3ポリシーの仕上げはディプロマポリシーと考えます。順番としては、ディプロマポリシーのためにカリキュラムポリシーがあって、そのためにアドミッションポリシーがあるということだと理解しています。
では、ディプロマポリシーはそもそも何であるのかということなのですが、極端な話、私は全面的に賛成はしていないですけれども、採用する企業の立場から見た場合に、卒業生の質を予測するためであるという考え方もあるでしょう。賛成はしていないですが、そういうことがあるということは理解しています。
では、ディプロマポリシーを満たした学生、卒業生のアウトカムをどのように測定できるかという問題ですが、1つのエビデンスとしまして、例えば、日経の『キャリアマガジン』で卒業生の活躍度が分かる「新・就職ランキング2005-2006」というのが出ました。そこの中規模大学版があり、入学定員2,000人以下の大学が該当しております。これは企業の人事担当者に対してアンケートを取って、新しく入社した卒業生の資質と姿勢、及び大学の取組に対する評価、これを数値化して集計したものです。
静岡県立大学は5学部とそれから短期大学部を合わせた定員が、入学定員が915ぐらいですから、この中小規模大学に該当します。その中で全国総合3位になっております。二次情報の使用に当たるので、資料としてはお示ししませんでしたけれども、ほかの大学の情報の一部を口頭で申し上げますと、1位は国立の長岡科学技術大学です。2位が名古屋市立大学。これは公立です。3位が、本学と国立の室蘭工業大学となっております。
それが1つですが、もう一つの観点、全く違う観点で申し上げますと、ディプロマポリシーが別の高等教育機関のアドミッションポリシーに直結している可能性があります。例えば、学部の卒業生が海外の大学院に挑戦するという可能性があります。その場合、先生方はよくやっていらっしゃると思いますけれども、従来は推薦書を書いてその中でこの学生はよくできるとか書いて送るだけなのですけれども、最近、全部の大学ではありませんが、このように評価項目が、段階で評価をするようにというところが結構増えてきていて、推薦者の立場から被推薦者の学生を段階的に評価する。これは世界的なやり方なのでしょうか。上位2%か上位10%か、幾つかの項目について書くことが求められることがあります。
評価項目としては学業成績も一部含まれます。学業成績の例としては、例えば、授業のGrade Point Averageです。加えて学問分野に関する知識、それから実験技術を学生が持っているかどうかということについての段階評価をしろ。それ以外、個人の能力と潜在能力について、多くの項目で判定が求められます。
図に示した例として申し上げますと、独立して思考する力、independent thinkingがあげられます。さらに信頼性や責任感、対人スキル、困難な状況からの復元力、いわゆるレジリエンスになります。それから、倫理及び誠実さです。ethicsと誠実さですね。integrityです。それから、ほかの人のウェルビーイングに対する配慮もあげられます。そういったことについてその学生がどういう位置にあるかということを言わないといけないという例が増えてきております。
次に、私たちの目標ですけれども、基本的には、学生に学んでよかったと思われるということが本学の主な目標と考えています。そのためには優秀な教員を集めるということで、教育の質の向上のためには研究能力が必須であると考えております。
教員の研究能力のアウトカムの例をあげますと、1つは科学研究費補助金の獲得状況で、令和7年度のデータで公立大学で9位で、配分額で4.3億です。件数では11位で149件。ほかの公立大学の配分額を見ますと、大規模な大阪公立大学が21億、東京都立大学で11億、名古屋市立大学で9億ぐらいです。本学の規模からすると、十分に健闘しているかなと思っております。
重要なのは優秀な教員をリクルートするという意味で見ると、新規課題の採択率が、公立で1位で38%あります。それから、比較的若手の教員が研究代表者である割合が32%で、これも公立大学1位になっています。これは1つのエビデンスと考えています。
それから、もう一つの教育の研究能力についてのアウトカムですけれども、今、世の中でよくトップ10%の研究者が日本で減っているということを問題にしていますが、トップ2%の研究者というのが、スタンフォード大学とオランダの大手出版社のエルゼビアによる調査で公表されています。本学に今年の10月に在学している研究者で、2024年度の引用実績を見て調べると、分野内でトップ2%に入る研究者が本学に6名おりました。そういう形で研究能力に優れた人を集めているということが分かると思います。
それから、公立大学協会の地区協議会で出た意見を多少申し上げますと、1つは評価ですが、研究の評価は論文の発表の数や引用度などで数値化ができますが、教育の質の評価方法や評価軸が不明なのではないか。評価結果として適合・不適合だけではなく、序列をつける方向性は安易に行うべきではないというのが皆さんの一致した意見になりました。
また、分野別評価を認証評価に加えることは、今後進められる可能性はありますけれども、評価の作業量が莫大となることが予想されて、非常に現実的ではないという意見がありました。
それから、一部の分野でありますけれども、分野別評価も大学認証評価とは別に行っている現状があります。ただ、評価機関からの提言が大学の置かれている状況を十分理解していると言えない点があるというのが1つ気がかりな点です。
本学の場合は、分野別評価、食品栄養科学部の食品生命科学科について日本技術者教育認定機構、JABEEですけれども、そのJABEEの認定委員会から、2025年度から2030年度の間、認定されております。
それから、薬学部の薬学科で、一般社団法人の薬学教育評価機構の第2期、2024年度に適合認定を受けまして、2025年度から2031年度の期間認定されています。この薬学の認定の場合は、最低レベルの教育が保証されていることを担保する社会的責任が基本ですが、大学独自の特色を生かした自己点検・評価を考慮するということが第2期から追加されております。
ただ、問題点として一例を挙げますと、薬学の評価で、薬学部の専属の事務員が少な過ぎるので増員すべきだという提言がなされました。ところが、今、本県の状況を御存じの方はいらっしゃると思いますけれども、設立団体から人件費を含め経費の節減が求められております。それからもう一つ、専任の事務員がなくても複数の学部にまたがるように業務を整理・分担しているという現状が全く理解されていない。そういうこともありますので、ちょっと気をつけなければいけないかなと思っております。
最後になりましたが、私たちの目的は、質向上にしろ質保証にしろ、目的は卒業時に県大で学んでよかったと学生に感じてもらうことと考えております。
以上で発表を終わります。どうもありがとうございました。
【伊藤部会長】 ありがとうございました。
それでは、続きまして、日本女子大学の篠原学長から発表をお願いいたします。
【篠原学長】 それでは、日本女子大学における質保証と質向上に向けた取組ということで、篠原からお話をさせていただきます。この機会をいただきまして、ありがとうございます。このような流れで話をさせていただきます。
日本女子大学は、1901年に日本の女性にとって初の組織的な高等教育機関ということで、広岡浅子や渋沢栄一のお助けをいただきまして、成瀬仁蔵が設立した学校でございます。信念徹底、自発創生、共同奉仕という三綱領、成瀬がつくったこの教育理念は、私たちのDPにおいては今も非常に大きな意味を持っているところでございます。
現在、学部・学科再編をしておりまして、家政学部が2028年に募集を停止するという発表をいたしましたが、株分けをするようにそれぞれの専門性を高める形で、現在7学部16学科、大学院は6研究科17専攻になっております。
総合大学として学生に学びをということを言っているわけですが、特に家政学は文理融合のプラットフォームでございましたから、そういうことを全学にも展開していき、それぞれの学部・学科の中で、あるいは、基盤教育の中での文理融合ということもありますが、それ以外にも、1キャンパスに全部の学部・学科がございますので、学部・学科を超えた共同研究に競争的資金を出す他、全学生に対して卒業論文(卒業研究、卒業制作)を課しておりますので、学部・学科を超えた論文や制作の発表会なども近年は実施しております。
さて、本学における質保証の基本方針について御説明します。6年ほど前に私が学長に就任したときに、教学の最高の意思決定機関として、学長、副学長、学部長を中心とした大学執行部会議を置きまして、学長を中心とした内部質保証の体制を構築いたしました。
これがPDCAのPでございまして、ここで中期計画に基づいた毎年の目標を立て、学部、研究科、委員会、センター事務局に実行指示を出し、計画の達成状況をチェックするために自己点検・評価委員会があり、そこからまた大学執行部に戻ってくるというような体制になっております。
細かくて恐縮なのですが、大学執行部の下に先ほど申し上げましたように様々な委員会や部局があり、それぞれにおいて自己点検を実施しています。また、自己点検・評価委員会に提言を行うCの機関として外部評価委員会を置き、毎年テーマを決め、外部評価委員とのディスカッションを行っています。それを自己点検のほうに戻し、自己点検・評価委員会より改善の方策と併せて大学執行部に報告し、また次のプランに反映できるようにしております。
もう一つ、大学執行部会議の諮問会議として大学改革運営会議を置いています。これは学長、副学長、学部長に加えて、実際に学生と相対しながらプランを実行している学科長に入っていただきまして、大きな目標を立てるとき、あるいは変更するとき、また議論が必要なときにディスカッションを行い、PDCAのPを立てるところに反映しています。
質向上に向けた取組としては、授業改善サイクルの強化、教員の質向上の強化、それから、学生の意見を取り入れる仕組みということでお話をしたいと思います。
先ほども教員を学長が表彰するという仕組みについて御説明がありましたが、本学でも、優れた教育をしている、つまり、特に優れた授業をしている教員を表彰しております。昨年度までは学部からの推薦に基づき選考委員会で受賞者を決定していたのですが、今年度より授業アンケートで評価基準を定量化いたしまして、ポイントの高かった教員より選考を行い、今年度は表彰をいたしました。
この教育賞受賞者に対しては些少ながら表彰金が出る他、セミナーを実施していただいております。優れた授業であると学生が評価したものを、FDセミナーということでレクチャーをしていただきまして、これは全教員必須で受講するということになっております。
ここで課題なのは、学生からの評価が高い授業というのは比較的30人とか20人とかの演習的なものが非常に評価が高いということなので、100人を超える全学共通の基盤教育の科目等のノウハウをどのように皆さんと共有するか、次年度は教育賞の受賞の仕組みを少しまた考えたいと思っております。
それから、授業改善を図る制度の仕組みといたしまして、各授業の最後にアンケートを取っております。さらに学生の意見を踏まえて、授業期間の中間にあたる時期でも簡単なアンケートを追加で実施しています。例えば、パワーポイントの文字が見にくいとか、資料の出し方が遅いとか、割と具体的な様々な要求が学生から来ます。
授業アンケート結果は非常勤を含む全ての教員にフィードバックするということと、授業改善を要望するコメントが複数回書かれる等々で課題があるとした教員には、個別に面談を実施して、改善をお願いしています。 そして、2026年から学科DP達成度のルーブリック評価の導入を予定しています。全学生必修の卒業論文等やゼミをアセスメント科目として位置付けて、ここにおいて学科のDPの達成度を評価するということを、今、用意しているところでございます。
質向上に向けた取組の成果というところでは、令和6年全国学生調査ポジティブリストで、文学部、理学部が計6項目で1位、大学全体だと計43項目で掲載をいただいております。本学の少人数教育、そして授業改善の取組が学生にも評価されたのではないかと思って、大変嬉しく思っております。このように細かく項目を分けて出していただけると、本学の教育のどのような点が評価されたのかが具体的に分かり、ありがたいなと思っております。
続いて、学修成果の可視化の取組をご紹介します。入学から卒業時までの流れといたしましては、まず、新入生オリエンテーション時に初年時教育の動画を用意し、教育理念やDPへの理解を深めています。それから、社会人基礎力を測定するPROGテストを1年次と3年次に実施し、学生自身で結果を分析するPROGの解説会などをやっております。学生たちは非常に興味を持って聞いてくれております。
それから、2年次と4年次には全国学生調査を用いて学修時間の自己評価を行います。4年次にはDPの達成度の自己評価、卒業時アンケートを既に実施しておりますが、今回、新たにルーブリック評価を始める予定です。
また、1年次から毎年目標を設定し、次年度にはその目標を振り返る、ポートフォリオを導入しております。本学では独自に「マイステップ@JWU」と呼び、学生が入力した内容に対し、アドバイザー教員が頑張ってるねとかコメントを入れるということをやっております。
今後の展望といたしましては、創立120周年を機に、大学改革、特に学部・学科再編を実施しているわけなのですが、2021年にはキャンパスをワンキャンパスに、西生田に人間社会学部がございましたが、これを目白のキャンパスに持ってきて、全学部が集結いたしました。
これはやはりすごく大きいことで、学生同士の様々な学びのプラットフォームを共有するということもありますし、例えば、人間社会学部の心理学科と児童学科、今度はこれが1つの学部になりますが、もともとは西生田と目白におりました。それが共同で子育てサイエンス・ラボを運営するとか、キャンパス統合して学部・学科が連携して動けるというところは非常によかったなと思っております。
2022年に理学部の学科名称変更、2023年に国際文化学部、2024年に建築デザイン学部と建築デザイン研究科、2025に食科学部の開設、それから、2026年は文学部の学科名称変更と2027年の経済学部、食科学研究科の開設を予定しております。2028年のファッションデザイン学部と―これは家政学部の被服学科を母体としておりますが―今申し上げました心理学科と児童学科を再編した、人間科学部の開設を予定しており、これで一段落というところではございます。
比較的細かな学部に分かれましたが、むしろ学部が大きく固まって塀を高くするのではなくて、塀を低くして、ワンキャンパスにいるので、様々に連携をした研究・教育をしていきたいと思っております。
以上でございます。ありがとうございました。
【伊藤部会長】 どうもありがとうございました。
続いて、日本文理大学の橋本学長からお願いいたします。
【橋本学長】 日本文理大学の橋本です。本日は、このような時間を頂戴して、誠にありがとうございます。今日、本学が10年にわたり積み上げてきた質向上・質保証の実践と、2025年度からの新たな挑戦について御報告いたします。少し早口になりますけれども、御容赦ください。
最初にお伝えしたい要点は1つで、質保証はあくまで手段であるということです。私たちの真の目的というのは、学生を自ら成長し続ける人材へと育てることにあります。我々の使命である、世代を継承するということが我々の使命だと思っています。表紙にあります「化けるぞ」というのは、卒業後も生涯にわたって進化し続けてほしいという私たちの願いが込められています。
次に行きます。右下の地図にありますように、本学は大分市に位置していまして、42万平米、ワンキャンパスの大学です。2027年に60周年を迎えます。工学部、経営経済学部、保健医療学部の3学部から構成されており、2026年には新たに文理融合型の社会デザイン学環を設置します。学生数2,300名の実学系の大学です。2007年の人間力宣言以来、学びを社会の実践に結びつけることを追求してまいりました。
次は、日本文理大学の建学の精神、教育理念、教育改革の概要です。私たちの命とも言える建学の精神、教育理念は3つです。産学一致、人間力の育成、社会・地域貢献です。右上にありますように、2014年からこの教育理念を基にCOC事業を推進し、「地域をキャンパスに」を合い言葉に、地域とキャンパスの中で学生を育てる産学一致教育を深化させてきました。この10年にわたる教育改革が現在の教育の基盤となっております。
次になります。COC事業における日本文理大学の教育改革の歩みです。大きな転換点は、左の2014年のCOC事業への取組でした。それまでの学内完結型の教育から、地域をキャンパスに、学びのフィールドにするという決断をいたしました。その構造改革の結果、右側にありますように、収容定員140%、県内就職者数は150%に伸びました。地域から選ばれる大学へと進化を遂げることができました。
この10年間で常に問い続けてきたのが、学生をどのように伸ばして、学生が何ができるようになっているかという点です。教学マネジメント改革もこの問いから始まっています。COC事業で学生を地域で育てるサイクルを我々は理解しました。現在、高等教育グランドデザイン答申の実現に向けて、教学マネジメント改革に取り組んでいます。また、COC事業は、教員のマインドチェンジ、意識改革につながりました。さらに、教員採用の基準も、研究実績から教育地域貢献への熱意へと変化しております。
次は、地域をキャンパスにした豊後大野市の事例です。一番下段を見ていただきますと、体験交流活動から知識の修得、課題解決型学修へと流れていきます。現在、大分県下18市町村全てにおいて、授業、ゼミ、プロジェクト、正課外活動を展開しています。成果の地域志向科目は全体の40%を超えています。
次のページです。10年の教育改革の成果として、授業評価を取り上げます。10年間の教育改革の1つの成果として、2014年のCOC事業への取組以降、授業評価は右肩上がりに向上いたしました。
次のページは、卒業時のDP達成実感です。卒業時のDB達成実感は、4つのDPに対し、学生自身のDP達成実感は5点満点の4ポイント以上で一定の成果を上げていると考えています。
次のページは、就職先によるDP達成度評価です。教育の質を評価するのは成績表ではなく社会であるというふうに考えています。就職先からのDP達成度評価も一定の評価を得ていると考えています。
次のページは、学生を採用した企業の入社後の働きぶり等の総合評価です。企業向けのアンケートでは、左下、人材像と60%がマッチしています。右中段の地方の学生の持つ社会人としての伸び代、その左下の真面目さや素直さ、協調性、その左下の熱心さを評価していただいております。
次のページは、入学時からのコンピテンシーの成長の推移です。入学時には人間力は高くなくても、入学後にしっかり伸びる。ここは私どもが最も大切にしている点です。このグラフは全学生を対象にした調査です。入学時に対人基礎力が必ずしも高くなかった学生が2年間で著しく成長している例です。
次のページは、教学マネジメント委員会です。上から2段目にあるように、本学のコアメンバーで構成する教学マネジメント委員会は、2023年4月に教育の質向上の成果をもっと分かりやすく可視化するために立ち上げました。
次のページでは、DP検討ワーキングです。DPは使われて初めて意味があります。DP検討ワーキングでは、学生に分かりやすく可視化できる形をコアメンバーで議論しました。この議論をスタートに、新しいDPへつなげることができました。
次のページは、2025年度から入学生に適用する全学DPです。この新しいDPは、人間力、職業能力、専門能力の3層構造で全学DPを再定義しました。上段の3つのDP達成のためにどのような力をつけるのかを、人間力を構成する10の要素、職業能力を構成する4の要素にまとめました。問いは1つだけです。入学後、学生がどのような力をつけ、成長するかです。DPは実効性を持って初めて意味があるというふうに考えています。
次は、2025年度入学生から適用の全学CPです。中段の3つ、教育方法のところで、実践的教育、アクティブラーニング、ハイブリッド教育というのは、地域をキャンパスにしたこの10年間の蓄積をベースにしています。
次は、学修成果の可視化のための新たな取組です。質向上・質保証のためには、学修成果・教育方法の可視化が不可欠です。2026年度からアセスメントシステムを本格導入します。システム導入の目的は、学生をランキング付けするのではなくて、教育改善と履修指導にあります。
次のページは、学生の個別のDP達成度の可視化です。DP達成度の可視化も教育改善に生かすためです。グラフは、カリキュラムマップを基にした各学生の達成度を可視化したものです。教職員の役割は評価点検ではなく、学生の成長を支える伴走者であると考えております。
次は、学修活動のショーケース公開です。学修活動を各学生が記録化することで、学生個人の活動の裏づけを社会と共有する形にしていきたいと考えています。
次のページは、学生の目標設定・リフレクションについてです。学期ごとに目標設定・リフレクションを行い、次期の履修に生かしていきます。担任教員による履修指導にも活用していきたいと考えています。
さて、次は、先ほど御紹介した2026年度4月に設置されます社会デザイン学環です。これは30社が成長に伴走する社会デザイン学環です。産学一致教育を深めた新たな学びの場です。この社会デザイン学環は、これまでの2014年から取り組んできた教学改革の実績を基に、その延長線上にあります工学部、経営経済学部の科目をセレクトし再編成した文理融合型の学びの場です。大分をキャンパスにから、更に地域、日本、世界をキャンパスにしていこうという試みです。
次のページは、社会デザイン学環の構造です。基礎教育であるコーナーストーン教育、S-team教育、社会デザインプロジェクトで実践と理念から多角的な視点を養い、専門性を高めていきます。
次は、実践的人材を育てる越境学習プラットフォームについてです。市場が縮小するときに、方法は2つあります。1つは、単独で生き残る。2つ目が、協力・連携するかです。我々は大学間連携による質保証を選択しました。桐蔭横浜大学、東京家政学院大学、京都文教大学、日本文理大学の4大学で連携し、越境学習プラットフォームで学習のつくり込みを行い、データベース化し、学生の成長を見える化していきます。
次のページは、大学間越境学習の展開の実践例です。各大学のプログラムを持ち寄り、大学間の越境学習の実践に取り組んでいます。スライドは桐蔭横浜大学、日本文理大学の越境学習プログラムです。2024年3月から現在、3つ目のプロジェクトに既に取り組んでいます。
次のページは、4大学事業共通の指標です。4大学共通の評価指標を作成しました。多面的評価への転換が不可欠です。コンピテンシーの評価としてルーブリックを作成しました。
次のページが、学びと成長の評価、閲覧システムVUEです。4大学用の学修成果の可視化と取組事例です。新システムは学生の学びと成長の軌跡とも言えるものです。学生の成長を社会と共有できる仕組みを開発しています。ルーブリックの3つの力を自己評価と他者評価で蓄積し、ショーケース化する構想です。
最後になりますが、地方大学として更なる質向上・質保証に向けて、質保証政策でなければ、質保証政策で避けて通れない論点として、地方大学が本気で質保証に取り組むほど、人手もコストも手間もかかります。それでも質保証に取り組まねば、人材を育て世代継承することはできません。安易な道を選ばず、中身で勝負する。それが私たちが選んだ道です。各大学は、ディプロマポリシーを起点としたカリキュラム改革を推進し、卒業までに学生が習得すべき能力について真剣に検討しています。
質向上・質保証により、可視化された学修成果、教育課程、活動実績による地域貢献など、一律ではなく評価すること、それにより多様な各大学の特色を生かし、各大学が担う社会的使命に即した人材輩出の質を確保することが可能ではないかと考えます。
時代の変化に応じて教学の改善を行い、社会で活躍できる学生を育てた大学が評価される。その改善活動そのものが評価される制度設計こそが日本の高等教育の質を真に高めると確信しております。
本日はこのような機会を頂戴し、誠にありがとうございました。心から感謝申し上げます。
【伊藤部会長】 ありがとうございました。
続きまして、北海道科学大学の川上学長からお願いいたします。
【川上学長】 北海道科学大学の学長をしております川上でございます。本日はこのような機会を与えていただきまして、誠にありがとうございます。ここで、我々の取組の内容を発表させていただきます。
もう一つ、現地に伺うことができずに大変申し訳ございません。今日我々が用意した資料、ちょっとページ数が多いものですから、はしょりながら説明させていただきます。できれば、投映している画面のほうを見ていただけるとありがたいなと思っておるところでございます。では、始めさせていただきます。
今日お話しさせていただくのは、まず、大学の紹介をさせていただいて、質保証の我々の仕組みの話を御紹介をします。先達ての知の総和答申で示されている内容を我々なりに解釈しますと、質保証の仕組みづくりは、おおむね多くの大学でできている。いよいよ質をどうやって高めるかといったところかなと我々は認識しておりますので、我々が取り組んでいる質の向上に関する話を少しその後で御紹介させていただきたいと思っています。
まず、大学の紹介でございますけれども、我々の大学、名前のとおり北海道にございます。私立大学でして、在籍の学生数、現在が4,500名ほどというような収容定員といいますか、在籍数でございますので、いわゆる小規模大学と中規模大学のちょうど境目ぐらいにあるような大学でございます。
こちら学部・学科の構成でございますけれども、こちらに示しているとおり、全部で5学部13学科あるのですが、おおむね実学系といいますか、専門性をしっかりとつけて卒業していく学生が多いタイプの大学でございます。
そこで、我々の大学で大事にしております教育のスローガンとブランドビジョンというものをちょっとお示ししたいのですけれども、これは後でも関係してくるものですから、少し御説明させていただきたいのですが。
まず、教育のスローガンとしては、我々はプラス・プロフェッショナル人材というものを育成したいと考えております。これは先ほど申し上げました学部・学科構成が専門性が高い卒業生を出していきたいということでございますので、当然プロフェッショナルを育成するのですが、そのプロフェッショナルは、今、難しい複雑な世の中で活躍をするために、人間として、あるいは社会人として、職業人として、プロとしてのスキル以前に持つ力を我々は基盤能力と呼んでおります。これを学士力と呼ぶケースもありますし、コンピテンシーと呼ぶケースもおありになると思いますけれども、我々は基盤能力と言っている専門の分野によらない力、これをしっかりつけたプロフェッショナルを育成したいということでスローガンに掲げております。
さらに、もう一点、これも後で関係性が出てくるのですけれども、今、我々学校法人としてのブランドビジョンを「とことんひらこう」と、ちょっと分かりづらい表現なのですが、これを掲げております。これの趣旨は、中身はいろいろ細かいことはあるのですけれども、大まかに申し上げますと、学びの境界線をなくして、領域ですとか、あるいは様々な属性、そして空間・時間軸に対してもオープン、壁を取り払ってオープンに学びを展開しようということを考えているといったようなものでございます。
続いて、まずは、質保証のための仕組みでございます。これは多くの大学でやられておりますので、そこまで珍しいものではないかもしれませんが、まず、こちらの図、こちらのページは、学内における機関から見た質保証の仕組みということで、当然、質保証をどうして、どのようにしていくかという企画をするような機関、大学内の組織がありまして、それを実際の実行をする機関、ここが学部・学科であったり、学生たちであったり、そのためのセンターであったりというものになります。
そして、その結果が点検・評価のための機関に戻ってきて、これをぐるぐる回していく。ただし、その中の点検・評価の中でも、点検・評価の仕方、これでいいのかというようなことをそれぞれが点検サイクルを回していますので、我々はダブルPDCAサイクルと呼んで回しております。
続いての図が、先ほどのイメージだとなかなか伝え切れないところもありましたので、これは学内、学生も含めて教職員で教学の機能から見た点検・評価の仕組みでして、こうやって見たほうが分かりやすいということで、共通認識を得るための図でございます。
例えば、授業のレベルで考えますと、教員がシラバスを作ります。授業をしますよね。その結果、授業の改善アンケートが得られて、我々、改善アンケートに対しては必ず、それに対する教員がコメントを受講した学生たちに返す仕組みにしておりますので、このぐるぐるというサイクルを回すことで、1つの授業、1つの科目に関するFD活動が行われる。
また、この同じ授業というのは、全体の動きから見ますと、DPですとかCPの作成、達成目標の設定などがあって授業が行われて、教育目的の達成度調査が行われていますので、この結果をもって、全てがうまく回っているのか、これが教育目的、目的達成状況の点検・評価の改善のループが回ります。
同様に、1人の学生から見ますと、自分の履修計画を立てて、受講して成績が得られて、達成目標を自分なりに修正していく。こういった学生の成長に合わせた点検の仕組みというのがございます。これをPF面談と呼んでおりますけれども、教員とのやり取りの中で修正をしていくという仕組みをつくっております。
この辺はちょっとはしょらせていただきますが、今お話をしたサイクルを回すためのアウトプットといいますか、資料として様々なものが出るような仕組みをつくっております。細かくは今説明できないので、資料で後で御覧いただけると幸いですが。授業レベル、1つの授業においてはGPAの分布ですとかいろいろなものが得られて、教育学位プログラム単位で見ると、先ほどのようなものが全部集まってきて、全体として学位がDPに対してきちんとセッティングできているのか、授業構成ができているのかというようなことも全部回っています。
授業の中でも、学生の評価、アンケートを含めてこのような形、あるいは、それぞれのカリキュラムの中での点検の内容というのもつくってやっております。最終的には、機関レベルでは、これを全学的に、学位プログラムの責任者たちがこういったものをつくって、うまく回しているというようなことを行っています。
ちょっと時間がないのですけれども。そして、質向上のための取組として我々が取り組んでいるものを少し説明させていただきます。我々、2024年度からなのですが、先ほど申し上げたプラス・プロフェッショナルを育成するための根幹となす基盤能力、これをもう一度考え直して、しっかりつけていきたいということで、それまで行われた教育を一度ゼロベースに戻して、企業様あるいは医療機関も含めてヒアリングをして、DPの見直しも含めて、ここに関係する部分を全部一からつくり直して刷新をいたしました。
その内容は、実際の運営は、地方自治体ですとか企業さんですとか近隣の皆さんと連携をしながらで、この事業を直接担当している部署に丸投げするというようなことは一切ないような仕組みで動いております。
これがDPから見たプラス・プロフェッショナル人材と言っているものなのですが、我々はDPを大きく6つセッティングしておりまして、そのうちの1番から4番は基盤能力と呼んでいるものになっております。これも皆さんからヒアリングをして、皆さんと一緒に決めたDPということになっています。これをHUSスタンダードと呼んでいる科目でつけるような仕組みをつくっております。当然、我々の中で専門教育を行って、卒業研究なども含めて基盤能力もついていくのですけれども、最終的には、これらを全部組み合わせて卒業時点で力がついているという形にしています。
それを設計するために、このDPの中を中項目に分けて、それらの具体的に使われる場面とかいうようなものを想定しながら、細かくDPを精緻化してつくっていきました。そのときに気にかけていたのは、長期ルーブリックをぜひつくりたいということで、このDP、先ほども申し上げましたが、我々が呼んでいるスタンダードという科目群だけでつける力ではありませんので、全体の長期ルーブリックの中で、スタンダード科目でここまではつけよう、そして、それ以降の専門教育の中で残りの部分を伸ばしていこうというような設計思想でつくりました。
ここに書かれているのが、今回つくっているHUSスタンダードという科目群であります。特に地方自治体とか中小企業家同友会と連携をして組んでいる事業ですとか、全学部・学科において共通で必要と思われるものを最低限、ミニマムな形で置いております。
さらに、これらの科目というのは、かなり多くの科目で学部・学科混成チームでPBLで動かしておりますので、全学、我々の大学で学んだ学生がしっかりと身について出ていくという内容にしてございます。
ただ、これをつくっただけでは、まただんだん陳腐化していくということが分かっていましたので、このセッティングをしたのと同時に、学長直下でこの仕組みをしっかり見守る教育イノベーション推進機構というものを、全学的なものをつくりました。今お話ししたスタンダード科目群をしっかりと評価したり、そして、基盤能力と呼んでいるものがしっかりついているのかどうか、これらを検証できるような仕組みをつくりました。
具体的には、ここにお示ししていますけれども、例えば、ある特定の科目で基盤能力の中のDP1、DP2というのがどれぐらいついていたのか。今お話ししたとおり、全体長期ルーブリックの中で3段階目ぐらいまではこの1・2年生の科目でつけたいと考えて設計したのですけれども、評価をしたところ、例えば自己表現力であれば、授業に入る前、入学時には自己判定でこれぐらいだったのが、授業を終えた後には、ここらぐらいまで、レベル3以上に到達できたと。残る部分は専門教育、卒業時までにしっかりつけていくというような想定で、全ての科目を動かしてございます。
ちょっと時間がないので、最後、もう一点だけ。これは、「とことんひらこう」と申し上げているのを、大学だけではなくて、高校と大学の垣根を外して、そこもオープンに動かしたい。これは高校生、特に我々の大学の系列高校に対して、高校から本学に入学を希望している高校3年生に対して、大学1年生の中に一緒に、全く同じ条件で授業の科目の中に入って、そこで先取りで授業を修める。そして、入学後そのまま入学してくれれば、生まれた余裕を生かして、そのときじゃなければできない活動を通して、より成長してもらおうというような仕掛けをしております。これも始めたばかりなのですけれども。
通常のよくある科目等履修生とは違って、この図は、履修した単位に対して習得できた単位数が、実はそれほど全部取れているわけではないというグラフを表してございまして。ここの意味は、大学の教員たちには、これは高校生を特別扱いする必要はないと、大学生と全く同じ基準で課題も評価もしてくださいというようなことをお話しした結果、こういう状況になっていて、これら新たな挑戦を促せる層と、要サポート、サポートが必要だねというような層、これを新たに先取りで見極めることもできるというようなメリットもありました。
この時間ができた学生たちはいろいろ、大学生だけではなくて一般の様々な企画に参加することができるようになっていまして、ギャップタームができた学生たちがこれらの取組、特に大学間の越境プログラムには空き時間だけではなくて本格的に取り組んでいるというようなことも言えます。
申し訳ありません。最後ですけれども、今お話しした質保証のための取組、そして質向上を目指して我々は取り組んでおります。今後もいろいろな改善をしていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
【伊藤部会長】 ありがとうございました。
最後は、武蔵野大学の大学教学改革・大学入試担当の北條副学長から、発表をよろしくお願いいたします。
【北條副学長・理事】 皆様、こんにちは。本日はこのような機会を頂戴いたしまして、誠にありがとうございます。心より御礼を申し上げます。
それでは、私ども武蔵野大学における質保証・質向上の取組、それから、人材養成も絡んでおりますので、その概要につきまして御紹介を申し上げたく存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、本学、武蔵野大学の概要でございますけれども、創立は1924年で、昨年100周年を迎えました。創立者は、当時の国際的な仏教学者であった高楠順次郎博士でございます。キャンパスは有明キャンパスと武蔵野キャンパスの2キャンパス体制で、現在の学生数は1万人ちょっとということでございます。また、学部・学科はこちらに、ちょっと細かい字で恐縮ですが、下のほうに書かせていただいたとおりで、現在13学部21学科ございます。
どういう形で発展してきたのかというところもまとめさせていただきましたけれども、1924年にもともと武蔵野女子学院ということで創立をいたしましたが、その後、西東京市に移転をいたしまして、1965年に武蔵野女子大学を設立してございます。それからしばらくの間は、文学部と短期大学部を中心とする女子大学として活動してまいりましたけれども、2000年代に入りまして、非常に大きな改革を次々に成し遂げていくという形でございます。
まず、2003年に武蔵野大学に校名を変更させていただき、そして、翌年には男女共学化を実現いたしました。併せて薬学部を開設するとともに、その2年後には看護学部開設といった具合に、不断の改革実行によりまして急速に規模を拡大させていただいておりまして、先ほど申し上げたとおり、現在は13学部21学科を要する少し大きめの総合大学に成長をしてきたところでございます。
本学の建学の精神は、3ポリシー、質保証と関連がございますので簡単に御報告をさせていただきます。建学の精神は、仏教の根本精神である「四弘誓願」を基礎とする人格教育を掲げてございます。これを今の学生の皆さんにもより分かりやすく展開すべきだということで、資料に書かせていただいたとおり、現在はブランドステートメントとして「世界の幸せをカタチにする。」という形で展開をさせていただいております。
この「世界の幸せをカタチにする。」というブランドステートメントをどのようにDPの中に盛り込むかということですが、世界の幸せを形にしていける人材を育成するということで、DPとしては、「多様な人々の中で「アクティブな知」を獲得し、創造的に思考・表現する力を備えて、世界の課題に立ち向かう」とし、そのために身につける力ということで、知識・専門性、関心・態度・人格、思考力・判断力、交感力・発信力という形で、「アクティブな知」と私どもが整理しているものをブレークダウンして、4つのDP能力に整理をしております。
それをさらに学部・学科ごとに細かく設定をしているということ、そして、それに対応する形でアセスメント・ポリシーも設定をしているところでございます。
このアセスメント・ポリシーでございますが、機関レベル、それから教育課程レベル、科目レベルということで、ほかの大学の皆さんと同様に設定してございますけれども、私どもは、学科のDPルーブリック評価というのを教育課程レベルにおいて2015年ぐらいから実施してございまして、各学科のDPに基づく教育課程の効果を継続的に検証してございます。
それを用いて、3・4年生の学生、それから薬学科だけは6年制ですので5年生・6年生で展開してございますが、このDP到達度を測定し、3年生のときにはどうだったのか、それが4年生になってどうなのかというところをしっかりと把握できるようにしてございます。
こちらは学生自身が自分のDP到達度を自己評価することが基本になってございますが、それだけではなくて、ゼミの指導教員が自分の担当する学生、個々の学生の達成度、到達度を同じフォーマットで評価してございます。それらをつき合わせて、どのような形でずれがあるのかなどを検証し、その後のFD活動や授業改善等に資する形で資料化を行っているということでございます。
この取組は随分早くからやっておりましたので、第3期の認証評価の際に高い御評価をいただいて、ありがたいと思ってございます。これを全学展開しています。
また、本学が育成する人材像でございますが、仏教系の大学でございますので、仏教精神を根幹として、学識、情操、品性ともに優れた人格の育成を教育上の目的に掲げてございます。また、最近の第2期中期計画の中では、より社会のニーズ、動向等も勘案をして、ウェルビーイング社会の創造及び形成に貢献する人材の育成・輩出ということで、先ほどはブランドステートメントとして世界の幸せと申し上げましたが、ウェルビーイングという概念も取り入れながら、新しい展開も見据えているところでございます。
こういう中で、第2期中期計画の中で私どもが掲げておりますのは、「スチューデント・サクセス」という概念です。これをどうして用いることにしたのかということなのですが、本学の学生は、先ほどのDPルーブリック評価でも、教員からの評価はかなり高いのですが、学生の自己評価がそれに比べると低いというところがございます。つまり、教員から見ていても自信がないというところが出てくるわけです。ですので、客観的にはかなり力があるはずなのに、自信がないから引いてしまうということがあります。
ですので、より自信を持ってもらいたい、それから、成長実感や満足感を持って、そして、武蔵野大学で学んでよかったと思って卒業ができるように、主観的な評価を重視した形にいたしたいということでございまして、個々の学生が目指す将来像や目標達成等の自己実現に向けて成長実感や達成度、自信というものを「個としてのサクセス」という形、言ってみれば、自信・成長実感として位置付けてございます。
また、他方で、建学の精神に基づく本学での特色ある学びを通じて、未来のウェルビーイング社会の創造及び形成に貢献できる能力・マインドを習得するということで、こちらは「社会におけるサクセス」という言葉を使っています。こちらは、DPとほぼ同様のものと私どもは整理しております。このDPに裏打ちされた状態での自信をしっかりと持ってもらうために、あるいは、教員にもそれを意識してもらうためにも、「スチューデント・サクセス」という概念を掲げて、しっかりと教育等を行っていきたいということでございます。
そういう人材育成に向けた取組ということですと、いろいろなものがございますけれども、1つ、ここ数年間で手を入れたところですと、本学独自の学修のスタイルというものを構築してございます。これは、問う、それから、考え行動する、カタチにする、見つめ直すという4つのステップで様々な学習のあり方を表すことができる。そして、見つめ直すということを媒介にして、次の問い、新しい問い、問題意識というものに結びつけていく。学習というのは、このようなスパイラルをもって構築されてくるのではないかという考えの下に、このような学習スタイルを提唱してございまして、各学部・学科等にも展開をしております。
授業を担当する教員にも、こういうステップを意識して学生の御指導をお願いしておりますし、あるいは、カリキュラムの中でどのような科目履修の導線がこれに対応できるのかということで、カリキュラムのマップも教学スパイラルを意識した形で検討していくということがございます。
また、2つ目は、アクティブな知を育む共通基礎課程として「武蔵野INITIAL」、これは全学生が1年次に履修する共通の基礎課程ということでございますけれども、各学科での学びにつなげるための基礎力をこの基礎課程で育成しております。
また、3つ目は、最近力を入れているものとして、学生の学修意欲に応える副専攻の充実ということで、学部・学科を超えて横断型の副専攻課程を2つ用意してございます。1つはAI活用エキスパートコースというものです。今、AIが非常に進化してきているわけですけれども、それを積極的に適切に利活用できる能力を涵養したいということで設置をしているものでございます。
ですので、このコースを履修しますと、AI×専門というのがDPの中で問われるようになってくるということでもございます。また、この副専攻課程を取らなくても、そのコースの基礎の部分については、先ほど申し上げた「武蔵野INITIAL」、全学共通基礎課程の中に入れ込んであるということでございます。
また、仏教プラクティスコースというのも昨年度から展開をしてございます。これをどうして置いたのかと言いますと、現代社会の直面する課題の解決に、仏教の視座から有効な役割を果たす可能性を追求できるようにということに加え、もう一つ大事だと思っているのは、AIの時代であるからこそ、しっかりとした考え方に基づいて人間力を強化したいということでございます。ですので、AIをしっかりと利活用できるための人間力の育成ということで、このようなコースをつくってございます。また、あと2年ぐらいをかけまして、さらに2つの副専攻コースをつくろうと考えているところでございます。
また、4つ目が、地方や社会の課題に対峙する「フィールド・スタディーズ」というものですが、これは全学の1年生の必修の授業でございまして、国内外60以上のプログラムから選択できるようになってございます。2,500人以上の学生を全員外に出すということをやってございまして、社会の様々な現場で何が起こっているのか、いろいろな社会課題というのは、人が関わる形でいろいろな地域やいろいろなところで起こっているんだというところをしっかりと自分で経験し、そして、現地の人たちとともに解決に向けて何か取組をするとか討論をする、一緒に活動するということを通して、問題意識を醸成してもらいます。そして、だからこそ自分の所属学科において専門的な学びが必要なんだ、あるいは、こういう副専攻でこういう知識を学べるといいなというような意識を作り出したいということで展開しているものでございます。
さて、そういうものを全部ひっくるめて、教育の質保証に関する全体の体制というのはこの図のような形になってございまして、常任理事者会というのが一番上にございますが、その下に武蔵野大学教学審議会という組織を作ってございます。こちらが内部質保証の推進組織にもなってございまして、各学部・学科等との間では学部等運営会議というのを行ってございます。こちらは教学審議会側からは副学長が出てございますけれども、各学部・学科からは学部長と学科長等が参加をする形になっております。学部のこれまでの取組を踏まえつつ、様々なIRのデータ等も使って、今後の展開をどうしていくのかということを相談しながら調整していく、そういう会議でございます。
全体としては、自己点検・評価委員会が全体の内部質保証体制及び教育課程全般への評価もしていますし、客観的な評価としては外部評価委員会もつけてございますので、それらを学内にフィードバックして、全体としてPDCAサイクルをしっかりと回すという体制を構築しているところでございます。
また、中長期計画の推進という点では、先ほど申し上げた「スチューデント・サクセス」の実現が問われる形になってございますので、その実現に向けて、今、様々な指標等を更に検討中で、再構築しようという取組をしているところでございます。そして、それに基づきましてFDやSDも展開するとともに、カリキュラムの再構築であるとか、各科目授業の仕方等を刷新することを推進中でございます。
そして、もう一つの柱は、響学開発センターです。これはIR、FD部門を統括するセンターですが、こちらが教学IRの情報を収集・分析をしまして、各学部・学科、全学、それから各授業等に対しまして、ファカルティ・ディベロップメント(FD)への展開に資するデータ等を展開するとともに、FD活動を中心的に指導しているということでございます。
そして、最近、「スチューデント・サクセス」を掲げておりますので、更に力を入れようと思っているのが、学生参加ないし学生参画型の取組というのを推進したいということでございます。
以前から、全学の学生FDという、学生が参加して授業のありようを学生の視点で評価をしてもらう取組もしていたのですが、それを各学科でも展開をすると同時に、今年からは学生参加型のワークショップというものを行ってございます。今年のテーマは「キャンパスの居場所、居住性を考える」ということで、下に写真を載せてありますけれども、キャンパスの特定の階の模型や設計図等も用いて、教室や共同学習スペース等の施設・設備をどういう形で展開をしていったら学生にとって、より快適な空間になり得るのかとか、学修活動や課外活動等にどのような形で生かせるだろうかということをみんなで考えていくという取組をしてございます。
このような形で、今、私どもが力を入れたいなと思っているのは、これまでのものに加えまして、学生に質保証体制にいかに参画してもらえるか、その仕組みづくりというものをしっかりと検討・実施したいと考えているところでございます。
説明としては以上でございます。御清聴くださいましてありがとうございました。
【伊藤部会長】 ありがとうございました。
1名の委員、そして5名の有識者の皆様から、大変丁寧に準備された資料に基づき、それぞれの大学における取組、特に質向上・質保証の内容について御説明いただきました。今日は13名プラス私が出席していまして、あと30分ほどディスカッションの時間がありますので、まずは、早い者勝ちで質問、コメントをお寄せいただき、その中でも少し短めに簡潔に質問いただけますと、できるだけ多くの方に回ると思います。
どなたからでも結構です。ただいまの6名の方々発表に対して御質問、コメントある方は、挙手をよろしくお願いいたします。小林委員、お願いします。
【小林委員】 簡潔に質問させていただきます。御説明ありがとうございました。非常にすばらしい取組をいろいろされていて、大変勉強になりました。2名の方に御質問させていただきたいと思います。
まず、日本女子大の篠原学長に、全国学生調査の結果、ポジティブリストで6項目において1位ということで、広報活動に使われているということでした。かなりすばらしい取組だと思うのですが、この全国学生調査の結果をどのように学内において、内部質保証システムの一貫として御活用されているのか、活用される予定があるのかについて教えていただければと思います。
2つ目が、日本文理大学の橋本学長にお伺いしたいのですが、今、4大学でいろいろ連携を進めて、授業等も進められているということで、そこにVUEというのもつくられて学修成果を可視化しようとされているというお話でした。これから、地方大学は先ほど人員も教職員もなかなかリソースが足りないというお話もありましたが、こういった連携の中で、人的リソースを含めて連携・共有していくことがこれから広がっていくと思います。このような取組において、授業や学修成果について、連携を進めるなかで質を向上させるためにどのように取り組んでいくお考えがあるのかについてお聞かせいただけますでしょうか。この2点でございます。
【伊藤部会長】 では、まず、篠原学長、お願いします。
【篠原学長】 まず、この全国学生調査の結果を学科長も出席している大学改革運営会議で共有いたしました。教育の効果を外部から評価される機会は貴重なため、エンカレッジするためには非常によかったかなと思っています。
今後は、JWU女子高等教育センターというのが基盤教育、全学教育のところを質保証も含めいろいろ検討しているところなので、そこに戻して、本学で実施している学生のアンケートなどとの関連を見ながら、もう一度分析して使いたいなと思っております。まだそのぐらいの段階でございます。
これでよろしいでしょうか。
【伊藤部会長】 では、橋本学長、お願いします。
【橋本学長】 4大学連携の事業成果、質向上ですけれども、1つは組織と人の連携です。リソースが足りないので、各大学は人のリソースを持っています。その中でもう既に、例えばZoomでの話し合いをしたり、いろいろなノウハウの共有、情報化も人の連携というのは非常に大きいですね。それが組織の連携につながっていくことで、先ほど申し上げましたように、VUEというシステムだったところにつながっていくというのが4大学連携の1つの大きな成果です。
もう一つは、質の向上のアウトプットは、やはり学生です。学生がどのように育ったかというのが一番のアウトプットになるのですけれども、これは他流試合をして、4大学の学生が集まって、女子ばかりの学生のところにちょっと面倒くさい男子が入ったときにどういういろいろな融合が起こるかというのは実際我々は見ていますので、実際、4大学連携によって他流試合をすることで学生が成長していくというのが一番の4大学連携のアウトプット。
ですから、組織としての連携によるアウトプットと、それと学生自身のアウトプットによる連携効果というのがあるのではないかと考えています。
【伊藤部会長】 ありがとうございました。
では、松尾委員、お願いします。
【松尾委員】 どの大学も非常にすばらしい取組で、大変勉強になりました。ありがとうございます。
お伺いしたいのは、茨城大学の太田学長先生に、スライドの7番目で、卒業時のDP達成度の自己評価が年々上がっているというのは非常に興味深く拝見させていただいたのですけれども。この中で2点、1つは細かい点なのですけれども、nの数が実は年々少なくなっているのですが、これはどういう理由によるものかということが1つです。
それから、もう一つは、上がっているというのは非常に興味深いんですけれども、上がっていることの要因、理由を示す何かエビデンスというものを持たれているのか。もしそういうものがなければ、各先生の実感でもいいのですけれども、先生方の推測でもいいのですが、なぜこのように上がってきたのかということが分かる理由があれば、教えていただければと思います。よろしくお願いします。
【太田委員】 nの数がだんだん減って、これは入力の仕方をウェブに変えたので、始めた頃は全部書かせていたわけですけれども、そういう面で、入力する学生が減っていると思います。一生懸命入力するようには伝えているのですけれども、卒業間際になるとなかなか徹底しない部分があるということで、結果的に下がってしまっている。これは我々も課題だと思っていまして、今、一生懸命、ちゃんと入力してよというキャンペーンをやっているところでございます。
上がっていくというのは、さきほど述べましたけれども、次の8ページを見ていただくと、学部ごとに見てお分かりのように、なぜか、コロナ明けと関係するかどうか分からないですけれども、入学生自体がそういうコミュニケーション力を身につけている世代が増えてきているのではないかなと思っています。大学として特に何か力を入れているというわけではないのですけれども。
あと、いろいろiOPや学外に出る取組やそういうことを経験した学生たちは、当然、学外に出ると、インターンシップや海外研修に出ますと、そういう能力というのは上がってきますので、そういうことも影響していっているかもしれません。全体的にはっきりとした理由というのはまだつかんでいないですけれども、私の感触としてはそうじゃないかと思っています。
【伊藤部会長】 ありがとうございました。
【松尾委員】 ありがとうございました。
【伊藤部会長】 では、田中委員、お願いします。
【田中委員】 私の質問は、どの大学という指定はしないで質問させていただきます。
学生のDP達成度を学生自らが自己評価する試みが多数紹介されましたが、その自己評価の信頼性がどの程度高いのかについて、特に他己評価である学業成績との関係を調べていらっしゃる大学があるようでしたら、どのような調査結果が出ているのかをここで御紹介いただけるとうれしいです。
私からは以上となります。
【伊藤部会長】 学生DP達成度について、学業との関係ということで、どなたか今日御発表された方でいかがでしょうか。どなたでも結構です。太田委員。
【太田委員】 そのことに今一番関心を持っています。自己評価というのは間接的なので、直接的には、就職先とかそういうところである程度相関してくるようになって、実感を含めてそれなりに意味があるだろうと思っています。ただ、本当に成績と相関するかどうかということを今ざっと調べているのですけれども、明確にはまだつかめていません。
DPを、5つの要素をどう分けながら、授業科目もどの要素をDPに関連させていくかと、そういう細かい作業をしながら、そのDPと授業科目、GPAとの関係とか、そういうことをしっかり調べていかなきゃいけないと思います。
【伊藤部会長】 ほかの方はいかがでしょうか。北條先生、お願いいたします。
【北條副学長・理事】 御質問ありがとうございます。本学では、先ほど申し上げたように、学生の自己評価と同時に教員にも評価をしてもらっていますので、そのずれというのを測定できるということになっていますけれども、いろいろな能力値について、学生の評価と教員の評価というのは、方向性としては同じ方向になっている。ただ、ちょっとその程度が違うというところが出ております。教員評価のほうがちょっと高めというのが通常の状態となっております。
また、GPAとどのように結びついているのかということは、ある年にやってみたことはございますが、各学部・学科レベルで成績評価のつけ方というのが少し違いますので、各学科の数値を検証したことはございます。そうすると、大体、GPAと正の相関がある程度あることは分かっております。
以上です。
【伊藤部会長】 北海道科学大学、よろしいですか。
【川上学長】 ありがとうございます。
今、先生方がおっしゃられたこととほぼ同じでございますけれども、自己評価、これはとても大切だとまず我々は大前提として押さえております。生涯学習者であるためには、自己評価をどのようにしていくかということは、これも教育の中で、自己評価を正しくできるかということも身につけなければいけない力だと思っていますので、それをすごく大切にしているというのは前提。
その上で、GPAとの相関はもちろん見てはいるのですけれども、先生方お悩みになられているとおりで、これという解決方法というか、これのうまい見分け方というのはなかなかできてはおりません。
一方で、やはりGPAと相関しているのも確かでございます。かなり強い相関はございますので、途中ほかの御発表の先生の話でもありましたけれども、比較的我々の大学も自己評価がまず低いのですよね。ですので、自己評価をさせると必ず低めに出てしまう。そして、これはちょっと話が飛びますけれども、我々が基盤能力と呼んでいるコンピテンシーのようなものは、そのときそのときで感じ方が彼ら、彼女たちが変わってくるので、実は学年を終えると、その数字が下がったりということもあるわけですよね。そんなわけないだろうという内容なのですけれども。
ですので、GPAと自己評価との相関をこれからより学生たちにどう示すか、学生本人に自分は力がついているのだということを何となく納得させるというか、腑に落ちるような仕組みを考えたいなと思っています。現状では、それを個別の面談で、いやいや、そんなことないよ、君これだけ伸びているよというような話で理解をしてもらおうということを取り組んでいますけれども、もうちょっと仕掛けとしてできないかなというのを悩んでいるところでございます。
以上です。
【伊藤部会長】 ありがとうございました。非常に重要なポイント。田中委員、よろしいですか。今のお答え。ありがとうございました。
では、松浦委員、お願いします。
【松浦委員】 ありがとうございました。私もどなたにということよりは、少し大きな問いを投げかけて、お答えいただければと思うのですけれども。
ここの部会での質向上・質保証というのが、もちろん大学教育の質保証・向上ということは承知しているつもりです。しかし、大学教育である以上、教育の質向上・保証に研究というものがどう関わっていくのかということは不可欠な問題なのかなと思います。
くしくも、6人の方に御発表いただいて、研究のことをおっしゃったのは静岡県立大学の今井学長のみだったかと思います。あるいは、日本文理大学では、ある一定の時期から教員採用をどちらかといえば研究能力よりは教育能力のほうへシフトさせて、というお話がありました。静岡県立大学以外に、研究というものを質保証・向上のサイクルの中に、研究の能力や評価をもし要素として入れておられるという大学があれば、教えていただきたいと思います。
特に、保証はともかく、質向上を目指すためには、研究の要素というのは非常に重要になってくるのかなと思っているものですから、ぜひ伺えればと思っています。よろしくお願いします。
【伊藤部会長】 恐らく言わずもがなのことだったので、今回、時間も限られていたということだと思うのですけれども。では、まず、橋本学長、お願いします。
【橋本学長】 1つは、教員の多様性ということが非常に大事だと思っていて、確かに研究業績から学生を育てる熱意というところにシフトはしたのですけれども、別に研究を無視しているわけではないです。
ただ、学生を育てるときに、その学生を育てる担保となるのが、実務家とっては実務経験であるし、研究者にとっては研究者の研究実績であるわけです。ですから、研究を軽視しているわけではなくて、学生を育てるということを考えたときに、研究者は研究者なりの力を生かしてください、実務家は実務家、教員としての力を生かしてくださいと考えています。
それと同時に、教員の多様性をやっていくということは、例えば、実務家教員が研究家教員と協力していくという体制もできるわけです。実際、私は実務家教員ですけれども、研究者の教員と一緒に様々な研究活動をやります。ですから、そこでいろいろな、多様な教員がコラボして、そして学生を育てていく、質保証をしていくという視点が大事ではないかなと考えています。
【伊藤部会長】 ほかにもう一大学ぐらい、篠原学長、お願いします。
【篠原学長】 今のお話と近いのですけれども、本学の場合には全学部、卒業論文(卒業研究、卒業制作)に取り組むので、3年生のときからゼミに配属になり、そこで、理学部であれば研究の実際の技術から、理論から学んでいくというような体制になるということになります。先ほどもちょっと申し上げたのですが、せっかく同じキャンパスにいるので、学部・学科を超えた共同研究なども今推進しておりまして、そこから新しい気付きが生まれてくるというところです。
ただ、どちらかというと、共同研究でそれなりの成果を上げるというのは、大学院ベースになることが多いかなという気はしています。そういうものに対してエンカレッジするような仕組みをつくるということが考えられると思います。そしてまた、修士論文や博士論文になれば、それらに対する評価というのは当然、国際学会で発表するとか、査読付きを出すとか、そういうことのエンカレッジというのは各研究科や専攻ごとに実施しているところです。
特に今後は、垣根を越えた共同研究、学内の共同研究、それから学外との共同研究というあたりで力を発揮できればいいなということで、支援する体制を整えているところでございます。
以上でございます。
【伊藤部会長】 では、松下委員、お願いいたします。
【松下委員】 ありがとうございます。私が質問したかったことは、先ほど田中委員が質問されたことと同じだったのですが、ちょっと角度を変えて伺いたいと思います。
1つは、非常に興味深かったのが、学生の評価のほうが教員の評価よりも低くて、彼らがあまり自信を持っていない、それを何とかしたいというお話が複数の大学から聞かれたことです。これは国際調査などを見ましても、日本の生徒たちは、質問紙調査で、ネガティビティ・バイアスと言われる、割と否定的に答えやすいという傾向がありまして、そこがこういう場合にも表れているのかもしれないなと思いました。
もう一つ気になりましたのが、先ほど、学生の自己評価能力を高めることが大切だというお話がありました。私も全く同じように思います。ただ、今回見られた自己評価というのは、ほとんどが質問紙調査についての自己評価でした。実際には、例えば、彼らはプロジェクトをやったり、レポートを書いたり、プレゼンテーションやったり、いろいろなことをやっていると思うのです。そのときに自己評価とか、それから教員からの評価とか、あるいは、外に出てのプロジェクトであれば、ほかの方々からの評価だとか、そういったものと突き合わせてだんだん自分の自己評価能力を高めていくというような試みも必要になってくるのではないかと思います。
自信がないということについて、質問紙調査の結果を上げるということは、直接には難しいと思うのです。何らかの活動を通して成長の手応えを彼らが感じる、あるいは、自分のやっていることに対してほかの人から自分……。
【伊藤部会長】 今、松下委員、急に聞こえなくなってしまいました。今、プロジェクト、プレゼン等を通して成長することによってネガティビティ・バイアス等が払拭されていくというようなコメントがありましたが、それは皆様、プロジェクトとか結構早い学年の段階から行われているというのが私の先ほどのプレゼンから理解したところで、その辺に対して何かコメントをお持ちの方いらっしゃいますか。北條委員、お願いします。
【北條副学長・理事】 松下先生、どうも御質問ありがとうございます。
私ども、先ほど申し上げたように、1年生のときに必修でフィールド・スタディーズというのをやっていますけれども、更に発展形として、各学科に発展フィールド・スタディーズという科目を上位学年でも取れるようにしてございます。そのような形で、外に出ていく、外の人と一緒に何かをするというような実践的な活動という中でいろいろな学び、あるいは自信を持ってもらえるような、そういうこともやってございます。あるいは、学部・学科によっては、様々な外部と連携したプロジェクト系の授業というのもございます。
また、資格課程においては、従前から現場に出ていく実習がありますよね。そういうところに行って戻ってくると、顔つきが変わって帰ってくるということは昔からよく言われているというところでございます。
そのように外部の人と一緒に何か活動する、あるいは、外部の人から何かサジェスチョンをいただける、そういうことの中で学生の成長は、自信に裏打ちされた形で涵養されてくるんじゃないかなと思ってございますので、そういうプログラム、学外との連携、大学の外部に出ていくというプログラムを私どもはかなり重視した形でカリキュラム設計をしているということもございます。
以上でございます。
【伊藤部会長】 まだ御発言の機会がない今井学長、何かありますか。これに対して。
【今井学長】 どうお答えするか少し考えさせてください。
【伊藤部会長】 では、橋本学長先に。
【橋本学長】 自己評価能力を高めるというところは、全く北條学長と同じ意見なのですけれども、関わりの中で育つというふうに考えています。ですから、我々がCOCでやってきたのは、常に出会いの場をつくっていく。
出会いの場をつくるというのは、地域に出して、おじいちゃん、おばあちゃん、近所のおじさん、おばさん、また、メーカーの人、小売業の人とたくさんの出会いを経験していく中で、自分自身が第三者からどういうふうに見られているか、また、関わりの中で自分がどういう成果を上げていくかということをやることで、だんだん自分を客観視できるようになると捉えています。
ですから、その中で育ってくるのが自己有能感と自己効力感です。ですから、自分自身がいろいろやってきたなという気持ちと、何かあるけれどもできるんじゃないかと、そこまで自己評価できるようになってくると自分自身を客観視できてくるということは、10年間やってきて実感しているところです。
【伊藤部会長】 それだけの機会を用意されているということで。
【森副部会長】 ご一緒させていただいて。
【伊藤部会長】 では、今井学長の後に。
【森副部会長】 すいません。
【今井学長】 簡単に申しますと、簡潔に2つの例を申し上げますと、1つは、自然科学系の学部・大学院ですと、研究室で研究します。そういう大学生や大学院生が、高校の探究学習の発表を指導する、あるいは発表会で、いろいろ意見を言ってもらうことを行っています。世代を超えた教育効果があると思います。
もう一つは地域の自治会です。課題が地域でありますから、それに対してどう取り組むかということを、教員と学生からなるグループで町内会と共同してやる。単位にはしていませんけれども、活動としては随分進んでおります。
【伊藤部会長】 関連するということで、森委員、お願いします。
【森副部会長】 すいません。途中から失礼いたします。森でございます。
先ほど日本文理大学の橋本先生の24ページのところに、私どももご一緒させていただいていますシステムVUE、これ「ビュー」と読むことになったと記憶しておりますのでお伝えいたします。聞き及ぶところによりますと、松下先生チームも同様にシステムを開発されたと聞いておりますが、学生の学びが多様化する中で、いろいろな方が今後評価していく多面的な評価が重要なのかなと思いました。それをしっかりとこのようなシステムで形として可視化していくことも併せて重要に感じます。
また、このビューでございますけれども、複数の評価者がコメントを書けるようになっていて、それらのコメントをAIが読み取って、あなたの評価として一本化できるというものを考えています。他者は自分をそのようにみてるんだな、ということを繰り返していくことが必要なのかなと思っています。
それによって先ほどのようなネガティブバイアスがかからなくなってくるのかなと思いました。
以上でございます。
【伊藤部会長】 では、松居委員、お願いいたします。
【松居委員】 ありがとうございました。全ての取組がうまくいっているということで、非常に感銘を受けて聞いております。非常に素朴な質問させてください。
学生たちが、このいろいろな仕組みにうまく乗って(仕組みを使って)といいますか、非常に成果を上げておられるというのはよく分かったのですが、教職員の方々はどれぐらいこういうふうな考え方、取組のポリシーが浸透しているのかというのがすごく疑問というか、大事な問題ではないかと考えております。
大学の規模にもよると思いますけれども、全員というのは無理かもしれませんが、どの程度の先生方、職員の方が賛同して尽力されているのか。何となく一部の先生が孤軍奮闘して動かしているイメージがあるのですけれども、その辺りの実態はどのような感じでしょうか。可能な範囲で教えていただけるとうれしいです。
【伊藤部会長】 では、2校ぐらいの方々にお返事いただいて、次に進みたいと思いますが。太田委員、お願いします。
【太田委員】 教員は研究者なので、ああいう自己達成度とかデータを見せれば興味を持ちます。そこでDPの何が弱いかといえば、当然FDの中で議論が始まります。そういうのが好きな人たちが集まっている。データが好きな人が先生になっているわけですから、当然議論が起こります。だから、そういう意味では、ほとんどの教員が参加すると思います。
以上です。
【伊藤部会長】 もうお一方ぐらい、どなたかいらっしゃいますか。では、橋本学長。
【森副部会長】 川上先生も手を挙げています。
【伊藤部会長】 では、川上学長、お願いします。
【川上学長】 よろしいですか。我々の大学も、ほとんどの教員がもちろん、しっかりとここに興味を持ってといいますか、熱意を持って関わってくれています。データで示すこともそうですし、日頃いろいろな場面で、教授会の場面でもこういう話題をしっかり出しながら、学長のほうからメッセージもお伝えさせていただいていますし。これに対して、やりづらい、あるいは、もうちょっとこうということも、たくさん意見を拾い上げながらやらせていただいているので。
そして、目の前にいる学生たちが成長していく姿、これが何よりも教員にとっては、教員は研究者でもありますけれども、やはり教育者ですので、学生が成長するのは本当にうれしいですので、そこにつながる動き、よく言われる徒労感が全くないとは言わないですけれども、ただ、少なくともそれで学生たちが成長している姿を見ていると、しっかりと前向きに取り組んでくれているというところでございます。
以上です。
【伊藤部会長】 濱中委員、よろしくお願いいたします。
【濱中委員】 ありがとうございます。御発表ありがとうございました。本日の御報告を伺いまして、現行制度の下でも質保証を実質的に機能させている大学があることがとてもよく理解できました。
他方で、そうであるとすれば、これからの論点は、やみくもに新しい制度をつくるということよりも、今の制度をより多くの大学で動く制度にしていくために何が条件として大事なのか、重要なのかという点に移っているのではないかということについても改めて感じました。
ただ、一方で、この動く制度の今後の方向性を考えていく際に、これほど取組が高度化していく中で、質保証そのものが目的化してしまったりとよく言われますけれども、あとは、教員のほかの活動、先ほど松浦委員からも研究という言葉が出ましたが、教員の研究活動の比重が下がるなどバランスが崩れ、結果として持続可能ではない働き方になってしまわないかといった点についても併せて吟味していく必要がそろそろ出てきているのではないかなと感じております。
質問で伺いたいことは、こうした改革の背後に潜み得る課題について、その向き合い方について、もし既に取組を進めていらっしゃる大学の方々から何か御示唆があれば、大事な観点かなと思いますので、お聞かせいただければと思いました。よろしくお願いいたします。
【伊藤部会長】 ありがとうございました。これほど高度に取り組んでいらっしゃる方々から我々がアドバイスをいただきたいということでございますけれども、いかがでしょうか。北條委員。
【北條副学長・理事】 ありがとうございます。
私どもが一番大きな課題だと思っているのは何かというと、高度な質保証制度というのをつくっていくと、いろいろなところで測定が行われていくわけです。その測定の仕方というのが、アンケート調査であったりいろいろなテストであったりということになりますので、そうすると膨大な量の調査、テストが行われているということになります。
ですので、個々の学生からすると、またこれに答えなきゃいけないの、また授業評価アンケートだよとか、こんなコンピテンシーを測るアセスメント調査もやらなきゃいけないのといった具合に、すごく学生の負担感というのが出てくるということになります。そうすると、調査やテスト等でデータを集めているものについては、だんだん参加者数が減ってくるという事態に直面をするという部分がございます。
そうすると信頼度も落ちてきてしまうわけですから、そういう意味で、今、私どもがやらなければいけない喫緊の課題として、どの調査のどういう項目が学生の成長あるいは本学のDPをしっかりと表す形になっているのかというところを精査して、より簡略といいますか、効果的なものを学生の手間が少ない形で再構成したいと思ってございます。こちらが今、私どもの喫緊の課題ということです。
それから、先ほどの御質問のところでも関連するものがありましたけれども、教員によっては少し忙しくなってきていて、全てのものができない。例えば、私どものDPの評価ルーブリックがございますけれども、それを自分のゼミでは、学生にはやらせることができているけれども、自分では自己評価ができないというような形になっているという方もいらっしゃったりします。
そういうところには響学開発センターの教員が少し出かけていって、こういうふうにするともっといいんじゃないかとか、そういうようないろいろなサジェスチョンをしているということもございます。場合によっては、いろいろな形で個別的なアセスメントというか、寄り添うというか、そういうサポート体制というのがより大事になってくる部分もあると思ってございます。
以上でございます。
【伊藤部会長】 実際に取り組んでいらっしゃるだけに分かる包括的、全体をよく御覧になった、本当に我々にとって非常に参考になるアドバイスをいただき、ありがとうございました。
では、日吉委員、お願いいたします。
【日吉委員】 ありがとうございます。埼玉県教育委員会の日吉と申します。
私は1点、茨城大学の太田先生に御質問させていただきたいと思うのですが、ディプロマの5番目の地域活性化志向というこの観点で、さすが地域の国立大学ならではの重要な視点だなと、私は思います。本県の高等学校でも地域探究というものには積極的に取り組んでおりまして、地域の空き家探索であるとか地域の企業との連携なども進めているところです。
質問は、この視点が向上しているという御報告をいただきましたけれども、この視点を向上させるための大学としての具体的な教育活動の内容とか、あとは、実際にどのような活動がこの向上に結びついているかについて、詳しく教えていただければありがたいと思います。
以上です。
【太田委員】 ありがとうございます。地域活性化志向はあまり高くなく、中ぐらいなのです。1つは、全学開講、どの学部も茨城学という授業科目を必修で開講しています。そこには地域のいろいろな方々に登壇いただいて、県内のいろいろな企業とか、そういうところでいろいろな地域の課題とかそういうことを講義をしてもらうようにしています。学生たち、茨城出身でないにしても、いろいろなところから来た地域においても同じような共通性を見いだしてもらうねらいです。
それから、もう一つ、「プラス-I-プログラム」というのがありまして、それで地域の活性化の地域志向教育プログラムというのをつくっています。それはまさに地域の自治体、企業たちと連携しながら、学生たちがそこに入っていくというプログラムです。そういうような仕組みでやってきております。
【日吉委員】 どうもありがとうございました。
【伊藤部会長】 では、最後に、大野委員、お願いいたします。
【大野委員】 大野です。本日はありがとうございました。
先ほど田中委員それから松下委員からもありましたけれども、学生の自己評価は本当にすばらしいと思いますが、教員の評価で、フィードバックがどうなっているのか。個別に学生が自己評価してメタ認知能力を上げるのはすばらしいのですが、教員がフィードバックすると更にパワーアップするというか、見込み点のような形でつけたりとか、学生をエンカレッジできると思うのですけれども。
2つあって、1つは、時間的にものすごく本学も手間暇がかかって、そうするとやはり先生方から悲鳴に近い声が上がってくるということと。それから、もう一つ、教員間のばらつきというのはどうしてもありますので、教師の絶対的な主観を更に高めるためのFDとか、そのような工夫があったらぜひ教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。
【伊藤部会長】 どなたか。よろしいですか。北條委員。
【北條副学長・理事】 御質問いただきまして、ありがとうございます。
教員と学生との評価のギャップですけれども、これをフィードバックという観点で御質問いただいたかと思いますが、私ども全学の執行部といたしましては、各学科というか各ゼミの中で、御担当の先生から個人面談でフィードバックをぜひしていただきたい。あるいは、そこまで行かなくても、個々の学生といろいろな形で面談をすることがございますので、そういうものの指導のための基礎資料として、できるだけコミュニケーションが増していく形で使ってほしいというお願いはさせていただいているところでございます。
幾つかの学科については、それに基づいて学生とのコミュニケーションができているかと思いますけれども、なかなかそこまで踏み切れないというところもないわけではございません。ですので、先生御指摘のとおり、これは様々な形でのFD活動、それから、私どもは毎年毎年、前期・後期に学長と副学長で教員に対して大学方針説明会というのを行ってございますけれども、そういうところで、毎回毎回、口が酸っぱくなるぐらいに言っていくということが実は大事だと思っております。
私どもとしては、しっかりと考えた内容を全学のいろいろな機会で御説明、御報告をしている、あるいは御協力を呼びかけるということをしていますが、実は聞いていらっしゃる各先生方からすると、自分の仕事に関係ないと思って聞いていらっしゃる場合も結構ありそうで、十分に説明しているはずなのですが、より詰めて個別的にお話をすると、実は全然理解していらっしゃらないということも実は最近いろいろな形で経験をさせられてございます。
ですので、そういう意味でも、常日頃からいろいろな形で口を酸っぱく御説明を申し上げていく、御協力をいただけるように申し上げていく、説明していくということが実はすごく大事な取組なのではないかなと感じている次第でございます。
以上でございます。
【大野委員】 ありがとうございます。
【伊藤部会長】 よろしいでしょうか。
大変活発な議論をいただき、ありがとうございました。大変丁寧に資料そして御発表を用意していただいた結果として、非常に多くの質問、まだまだたくさん質問はあると思うのですけれども、時間の関係上、ここで閉じさせていただきます。本当にありがとうございました。
本日発表全体を通じた意見や次回以降の部会で議論すべき事項、委員の皆様、ありましたら御発言いただきたいのですけれども、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
では、本日の議題は以上となりますけれども、次回以降の開催について、事務局のほうからよろしくお願いいたします。
【花田高等教育企画課課長補佐】 本日は活発な議論をいただきまして、誠にありがとうございました。
次回の部会の日程につきましては、またお知らせさせていただきます。
本日御発言ができなかった内容がございましたら、事務局まで御連絡ください。
以上でございます。
【伊藤部会長】 では、以上にて今回は閉会をいたします。ありがとうございました。
―― 了 ――