令和7年10月8日(水曜日)10時00分~12時00分
WEB会議
(部会長)伊藤公平部会長
(副部会長)森朋子副部会長
(臨時委員)浅田 尚紀、太田 寛行、大野 博之、小林 浩、田中 正弘、林 隆之、平子 裕志、松居 辰則、松浦 良充、松尾 太加志、松下 佳代の各委員
(事務局)小林私学部長、安井高等教育企画課長、石橋大学振興課長、佐藤高等教育局参事官(国際担当)、寺坂高等教育政策室長、鈴木大学設置・評価室長、遠藤専門職大学院室長、花田高等教育企画課課長補佐、太田高等教育政策室室長補佐ほか
【伊藤部会長】 定刻になりましたので、第5回質向上・質保証システム部会を開催いたします。本日も対面とウェブのハイブリッド会議ということにしますので、ユーチューブライブ配信しますけども、その準備はよろしいでしょうか。
では、今から配信ということで、まずは事務局から連絡をお願いいたします。
【花田高等教育企画課課長補佐】 失礼いたします。本日は、会議を円滑に行う観点から、御発言の際は挙手のボタンを押していただき、御指名されましたら、お名前をおっしゃってから御発言ください。また、御発言後は再度、挙手のボタンを押して、表示を消していただきますようお願いいたします。
本日の会議資料は事前にメールでお送りしているとおりでございますが、会場のiPadには、本日の会議資料をチャットにてURLをお送りしてございます、紙の資料と併せて御活用ください。
以上でございます。
【伊藤部会長】 ありがとうございました。
では、議事に入ります。まず、議題の第1、これは質向上ということで、新しい取組ということで、学士・修士5年一貫制度についてでございます。
本日は、東京大学の小関敏彦執行役・副学長にお越しいただいております。小関先生から発表していただいた後、事務局から説明をしてもらい、その後、意見交換の時間を設けたいと思います。
では、小関さん、よろしくお願いいたします。
【小関執行役・副学長】 東京大学の小関でございます。このような機会をいただきまして、どうもありがとうございます。2027年の秋から開設を予定しております学士・修士5年制のプログラム、UTokyo College of Designという名前でございますけれども、これにつきまして御説明させていただきまして、皆様の御意見を賜ればと思います。資料1-1で御説明させていただきます。
ページをめくっていただきまして2ページでございますけれども、まず、UTokyo College of Designの全体につきまして、ごく簡単に御説明いたします。これは2027年の秋に開講予定です。秋入学でございます。学士・修士の5年制のプログラムでして、1学年100人、日本人、インターナショナル約半々を予定してございます。学びは全て英語で行います。また、初年次は全寮制を予定しています。本学は目白台にインターナショナルビレッジを持っておりまして、そのワンフロアに100人全てが住むようになりまして、一緒に議論したり協働したりする場というのを初年次に設けております。
学びはアクティブラーニングが中心になります。それから、プロジェクトベースのラーニングが中心になります。これにつきましては後ほど御説明させていただきます。それから、学生本位の主体的な学びというのは、学生が自ら自分の学びを組み立てていくというようなことでございまして、自分の興味関心に従ってどんどん学びを深めていくといったようなことをこの中で進めていきたいと思っています。そのための様々なサポートも用意してまいります。これも後ほど御説明させていただきます。
スタジオを中心とする多様な学び、これも後ほど御説明いたしますが、学びの拡張ですとか定着のために、スタジオというコモンスペースを設けまして、上級生、下級生、あるいは学内外のいろんなメンバーとの交流を通して知をどんどん深めたり広めたりというような場を設けたいと思います。東京大学のほかの学部の学部生もここに参加できるようなアフィリエイトの制度も進めてまいります。
一番下、アドミッションでございますけども、これは海外からも約半数の学生を受け入れるということで、これまでのペーパー試験ではない、新しいアドミッションをこの中で設けてまいります。また、東京大学は最初の2年間は駒場キャンパスで学ぶことになっていますけども、このCollege of Designについては、学びは全て本郷、初年次から本郷で学ぶことになっています。
次のページですけども、College of Designという名前を発表しましたときに、世の中から、デザインというのは何かと、東京大学でデザインを教えるのかというような声は多々ございました。どうしてもデザインというと、物のデザインのイメージが非常に強くて、東京大学で美大や芸大で教えているようなデザインを教えるのかというような誤解につながっておりますけども、私たちがここで教えようとしているデザインというのはもっと広い意味、本来デザインはそういった広い意味がございまして、しばしば我々がグランドデザインというような言葉を使いますように、大きな社会のデザインですとか、社会のシステムや価値の創造、さらに社会にいろいろあります課題の解決、こういったところにデザイン的なアプローチのできる人材を育てる、そういったものを目指しております。
下に書いてありますように、デザインは21世紀に入って急速に拡張してございます。20世紀まではどちらかというと、物のデザインが中心でした。工学とつながるデザインも多くございます。また現在、世界中に工学とつながるデザイン教育というのも既にございます、例えばスタンフォードであるとかMITであるとか。後ほど申しますように、東京大学では全ての学術分野とつながったデザインを構想してございます。右側に書いてありますように、21世紀になってデザインは急速に拡大しております。これは社会課題を解くために、デザインの適用というのは、例えば20世紀の末にデザインシンキングのような提案があって、それを使う企業や政府機関が多くございますけども、社会課題がどんどん複雑化して、単一の学術では解けないようなところに来ておりますし、また、個人の欲求や要求、こういった価値観も非常に多様化して、こういった非常に大きな分野でデザイン的に新しいものをつくっていかないといけないという背景がございます。そういったことで、この右側にあるようなソーシャルデザインですとかポリシーデザインというようなものにどんどん拡張されてきたわけでございまして、こういったものの根底にあるデザインをもう一度きちんと教えて、しかもそのデザインを使うためには、これまで以上に幅広い学術の学びが必要であるというのが大前提でございます。
そういったことで、UTokyo College of Designでは、社会課題の解決ですとか、社会システムの創成や価値の創造、これが我々ターゲットとするところで、こういったところでリーダーシップを発揮できるような人材を輩出しようと思っています。そのために、デザインの基本的な考え方ですとかアプローチ、メソドロジー、倫理、こういったものに加えて、多様で非常に幅広い学びをこの中で実践するということになります。さらに、このデザインが本当に知として定着するために、様々なプロジェクトですとかフィールドワーク、そういったところの実践を繰り返し繰り返し行って、いろんな社会課題にチャレンジできるような多面的な視野ですとか俯瞰的な視野をこの中で醸成していきたいと思っています。
次のページに移っていただきまして、4ページ目でございます。今申し上げたようなことをここに書いてございます。デザインと広範な学術知を、自ら学びのパスを組み立てて主体的に学ぶ。さらにそれを組み合わせて、多様なプロジェクトを通して課題の解決や価値創造に取り組み、そのプロセスをこの中で経験する。その結果、幅広い学術視点から社会の課題解決を進めて、リードできるような人材を育成するというのが基本的な考え方でございます。
次の5ページですけれども、それを実現するためのカリキュラムをごく簡単にまとめてございます。横軸にイヤー1からイヤー5まで取ってございます。その前に入学前というのがございますけども、9月入学でございます。これは世界的に、いろいろな国から学生に来てもらうために秋入学にしておりますけども、日本人の学生に対しては、合格発表から入学までの間、この期間、様々なサポートを考えてございます。特に英語力の強化というのは重要でございます。秋から完全に英語でスタートしますので、いろんな国から価値観の違う学生が来て、そういう学生たちとしっかり議論できるような日本人を、まずここまでで育てたいと思っています。
イヤー1のところ、2段になってございます。上段のほうはInterdisciplinary Foundationsと書いてありますけども、これが多様な学術の学びです。東京大学に10の学部がございますけれども、それらの学部と連携して、ここでは全ての学術の基礎を1年間しっかり学びます。法学の基礎、経済、農学、工学、医学、そういった基礎を1年間学びます。もちろんこれは全く基礎の部分だけでして、その発展形が2年、3年のInterdisciplinary Perspectivesのところで、続いて学びを深めることになります。
その下段にありますのは、白いところですけども、8 Track Design Seriesというのは、これはデザインの基礎を1年間、これも必修で学ばせます。その後、2年、3年のChange Maker Design Projectsというのは、そのデザインの基礎をベースに、様々な社会課題にデザイン的なアプローチで取り組むプロジェクトでございます。この2年間の間に5つから7つのプロジェクトに取り組みまして、例えば気候変動に取り組む、次にヘルスケアの問題に取り組む、次に農業の問題に取り組むといったようなことを何度も何度も繰り返します。その過程で必要な知は、上段のInterdisciplinary Perspectivesのところでも学びますし、また、必要に応じ、自分でどんどん深めるといったようなことを進めていきます。
次のページに移っていただきまして、このInterdisciplinary Perspectivesの構成を少し御紹介いたします。
5つの領域の学びを用意しております。Environment & Sustainability、Technology Frontiers & AI、Governance & Markets、Healthcare
& Well-Being、Culture & Society、このそれぞれはこれからの社会の中で極めて重要な領域ですけども、実際の社会課題あるいは社会の価値創造のために、この5つが複雑に絡み合って、検討が必要でして、この5つの中から様々な科目、約100ほどの科目を今用意しておりますけども、右側に幾つかの例を示しておりますけども、その100の講義を自分の興味関心、あるいはChange Maker Design Projectsの中でもっと深めたいと思うような科目を選択して学んでまいります。もちろん100だけでは足りない学生も出てまいりますので、その場合は、東京大学の中にある数百の英語で進められる講義もつなげてまいりたいと思っています。
それから、次の7ページ目でございますけども、デザインの2年生、3年生の部分でしますChange Maker Design Projectsの例を御紹介しています。これは例ですので、もっと様々なテーマがここで起こってまいります。このテーマを学生が、例えば、やはり自分は環境のことについて取り組んでみたいとか、あるいはこれからのヘルスケアに取り組んでみたいというようなことで選択してプロジェクトを選んで、グループとして取り組んでまいります。ここの部分は、デザインの教員に加えて、それぞれの分野に関連する東京大学の教員でありますとか、あるいは我々の専任教員、さらに外部の様々な企業にも参画いただいて、このプロジェクトの議論をそれぞれ進めていく予定でございます。そういった中で課題解決のプラクティスを繰り返すと同時に、グループワークの中でリーダーシップも養成していくといったようなことを考えています。
次のページにお移りいただいて、8ページ目でございます。こういった3年間しっかり学ばせた後に、少なくとも半年あるいは1年、できれば1年、外でのインターンシップを計画しております。これも5年制になって初めてこういったものが入れられるようになって、もちろんヨーロッパやアメリカでは当たり前なのですけども、少なくとも自分たちの学びが社会でどうなっているかと、もっと言うと、3年間学んだもので、社会のいろんな場面で自分たちが貢献できないかというようなことをここで経験させます。昨日も実は多くの企業に集まっていただいて説明会を行いましたけども、非常に多くの企業から、ぜひ学生を受け入れたいとおっしゃっていただいていて、学生と企業とのマッチングの中からいろんな経験がここで積めるのではないかと思っています。
そこから帰ってきまして、5年目に総まとめのプロジェクト、これはソロで行う、1人で行います。自分で課題を立てて、社会にインパクトのある、社会に貢献する課題を立てて、1年間自分でそのアプローチも含めて考えて結論まで持っていくと。もちろんスーパーバイザーはおりますけども、学内学外いろいろな人とコミュニケートしながら自分の道を考えていくと。これは社会に出たら当たり前のことなのですけども、自分たちが学んできたものをベースにどうやったら社会につながっていけるかということをこの1年間考えさせて、総まとめとしたいと思っています。
次のページに移っていただきまして、9ページでございます。こういったカリキュラムを通して我々UTokyo College of Designで何を実現しようとしているかといいますと、この3つでございます。1つは新しい人材育成でございます。世界の多様性を十分理解して、そういう多様な背景を持つ人たち、多様な意見を持つ人たちと議論や協働ができて合意形成ができて、それをリードするような人材を育てたいと思っています。また、多面的・俯瞰的な視点から課題を掘り起こす、社会に対する意識を非常に高く持って、社会とつながりながら新しいものをつくり出す、そういったような人材をここでは育成したいと思っています。
学びの改革でございます。多く指摘されているように、まだまだ日本の高等教育、国際化が途中のところがあると思います。私たちはもっともっと国際的な学びの環境をここでつくりたいと思っています。秋入学ですとか、新しいアドミッション、それから英語による学位取得、こういったものをこの中で進めてまいります。学生自ら自分の学びをつくっていく、深めていく、主体的にそういったものに取り組む、知を定着させる、そういったこともこの中で実現したいと思いますし、社会とのつながりを持ったまま、そういった知を社会につなげていくといったような訓練もさせたいと思っています。
3つ目は学際的な学びですけども、冒頭申し上げましたように、非常に多面的な視点が今の社会課題の解決には求められていますので、学際的な学び、もちろんこれは、いろいろな社会課題の解決は1人ではできませんので、どういった専門性を持つ人とつながって課題に取り組むかという、チームアップも含めて学際的な視点を持たせる。その中で、デザインの根幹であります当事者の目線、あるいはユーザーの目線、ステークホルダーの目線、そういったものをしっかり意識した課題の取組も学ばせたいと思っています。
次のページにお移りいただきまして、こういった説明をしますと、では卒業生は社会に出てどうなるのだという質問は大分いただきます。自分で学びを組み立てていきますので、その出口も百人百様でございます。自分の関心を深めて新しい事業を起こす者もおりますし、また、社会の様々なセクターで、ソーシャルインパクトと書いてあるところですけども、社会の様々なセクターで活躍する者も出てくると思います。企業の中で企業の変革に貢献したり、あるいは、クエスチョンマークをつけていますのは、今はない、新しいいろいろな取組、事業、そういったものを起こす者も出てくると思います。これも自分でつくっていくというのがこれからの時代だと思っています。
その中で、我々チェンジメーカーと呼んでいますけども、チェンジメーカー1人ではもちろん変革はできませんので、社会の様々な専門性のある方とどうつながればいいかということをよく考えられるような人材、分野の違う人ときちんとコミュニケートできるような人材をつくるのが重要だと思っています。
次のページでございます。これがほとんど最後でございますけども、今日ここでお話しさせていただきますので、我々の学・修5年の考え方について、少しだけお話しさせていただきたいと思います。5年の新しい人材育成、学びを実現したいと思っています。これは従来の4年ではやはり実現できない、あるいは4年プラス2年で間にミシン目が入るようなつながりでは実現できないような設計裕度のあるプログラムをつくりたいというのが一つベースにございます。もちろん5年で修士まで行くわけですから、その点において質保証は極めて重要でございます。それも併せて行いながら、5年間の裕度のあるプログラムをつくりたいというのが一つでございます。
我々が思っていますのは、この5年の中で、まず基礎をしっかり、これは必修として学ばせた後に、主体的に学びのフェーズがあって、さらにそれを社会で確認するフェーズがあり、最終的には社会との接続性を意識しながら学びを集大成する、これを5年で組み立てたいと思っております。その中で、幅広い学び、これも時間的な裕度が必要でございます。それから、繰り返しの実践経験、社会との連携、こういったものを組み込んでいく。それから、5年で修士を取るというのは、5年一貫か、あるいは学部プラス修士で5年かというのはいろいろありますけども、既に世の中にございまして、海外から優秀な学生を取り込んでいく中では、やはりこの5年のプログラムということで海外に対してもアピールしなければなりません。そういったことで5年でのデザインに至った次第でございます。
また、5年でこういった思いを実現するための設計でございますけども、当然ながら3ポリシーは一貫したもので、学部と修士別々というようなことではなくて、5年通したカリキュラム、アドミッション、それからディプロマの各ポリシーをこの中で設定していきたいと思いますし、先ほど申しました実質化と質保証に関しては、これは主体的な学びでは必須なのですけども、アカデミックアドバイザーですとかメンター、チューター、そういったものを配置して、例えば科目の選択ですとか、学びの途中でのいろいろな悩み、そういったものを随時相談できる体制をつくってまいりたいと思いますし、先ほど御説明しましたように、入学前、秋入学の前、それから学期の間、例えばサマーですとかウインターですとかスプリングのブレークのとき、あるいは課外、それからオンラインのマテリアル、こういったもので学びをサポートするような仕組みを整えております。さらに、先ほど申しましたように、ここで足りなければ全学のリソースを使うというようなことも入れて質保証していきたいと思っています。
スタジオ中心にと申しましたのは、次のページをちょっとだけ見ていただきまして、講義ですとかプロジェクト、フィールドワーク、そういったものの中心にスタジオというコモンのスペースを設けまして、学生は必ずここに戻ってくると。ここで上級生、下級生と学んだものを確認し合う、新しい議論をする、そういったことを実現したいと思っています。この中には、東大内のいろいろな教員や研究者、学部生も入ってくることができますし、また、学外からアルムナイですとか産業界の様々なエキスパートの方、こういった方にも入っていただく。こういったことで学生がいろいろなセクターの方とコミュニケートして自分の考えをまとめていく、知識を深めていく、そういったことを考えてございます。当然、右側にあるように、長期のインターンシップですとか全寮制、こういったところでも多様な人とのコミュニケーションが極めて重要だというふうに考えております。
前のページにお戻りいただきまして、そういったようなプログラムの設計を支えていくような資保証ですとか学びのサポート、こういったものが同時にあって、こういったプログラムは実現すると思っています。一番下の部分はもう言わずもがなでございまして、学士・修士5年の期待効果は、さらに上位の学位にどんどん進んでいくと、やっぱりこの点で日本はまだ遅れている部分があると思います。博士課程への進学のバリアを下げてやる、さらに高度人材を世の中に短期で送り出すというような効果もあると思っています。
こういったことを考えながら構想を立ててまいりまして、準備を進めてございます。2027年まで、もう少し準備を進めてまいりますけども、皆様の御意見いただければ幸いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【伊藤部会長】 ありがとうございました。
続きまして、事務局から説明をお願いいたします。
【石橋大学振興課長】 ありがとうございます。事務局の資料は、資料1-2と参考資料1を御覧いただければと思います。資料1―2で、今の学士・修士を一貫するような課程の状況ということを御説明させていただきます。
まず2ページ目でございますけれども、この学士・修士5年一貫教育に関しては、さきの「知の総和」答申の中で、まさにこういう施策を講じながら大学院修了をスタンダードにしていくといった発想の転換ということ、これのために大学院設置基準をはじめとする法令等を見直すというようなことが提言されておりまして、これをまさに実現していくためにどういうことができるかということが今日の事務局の資料でございます。
3ページ目を御覧いただきますと、ここに今何ができるかというのを書かせていただいておりまして、通常は学部4年プラス修士2年ということになりますけれども、学部の早期卒業という形、これは早期修了制度をお使いいただくか、入学前の既修得単位の認定制度などの活用が可能ということでございます。修士課程については、優れた業績による大学院の早期修了ということで、これは学部と同様でございますが、修士が1年になるものと、実務の経験による標準修業年限の短縮、要は社会人の方で実務経験がおありの場合はというようなものが今準備されているところでございます。
めくっていただいて4ページ目でございますけども、専門職学位課程におきましては、教職大学院、それから法曹コースなどで、もう既に同じような、このような形での在学期間の短縮が可能になっているということでございます。
5ページ目でございますが、こういう中で、ただ、これはそれぞれの学生さんに着目した形でのやり方になりますので、今回、個人の優秀性に依拠したものではない形で、体系的な教育課程の編成を制度的に促進する仕組みとしてはどうかということで、以下改正の方向性の丸1以降、御説明させていただきます。
1つ目は、学士・修士が連携した体系的な教育課程の編成というものを、大学設置基準及び大学院設置基準に編成することができる旨明記してはどうかというのが1つ目でございます。その際、3つのポリシーが大変重要になるわけですけども、学部と大学院を一つの単位として策定が可能であることを、これは学校教育法施行規則上明記してはどうかということでございます。
めくっていただきまして6ページ目でございますが、今の明記をしたところで、それは4足す2ということが連携でできますということになりますので、その上で、質の確保を制度的に担保した上での5年間の履修を可能としてはどうかということで、文部科学大臣の認定をしたいというふうに思いますけれども、コースとしての標準修業年限の短縮、もしくは学部時代に単位を獲得することができるということで在学期間の短縮をすると、このようなことを考えてはどうかというふうに考えております。ただ、これは今、大学院設置基準は大学院の修業年限のところがポイントになりますけども、学部の標準修業年限は学校教育法というところに書かれておりますので、学部のほうをもし短縮するというような議論をする場合は法改正も視野に入れるということになります。
次でございますが、7ページ目、入試の取扱いでございます。当然、学士・修士両方の学位を取得できるということになりますけれども、学部における学修の成果に係る試験とか審査等に合格することをもって大学院入学者選抜とするような、そういう仕組みを入れていただく必要があるかなというふうに思っております。
それから、ほかの大学との連携の取扱いでございますが、まずは始めていくというところで、最初のステップとしては、一つの大学の中もしくは緊密に連携が取れている大学間、もしくは大学等連携推進法人の社員が設置する他大学というような形で、非常に緊密な連携を取れたところに限定してはどうかというふうに思っております。
また、設置認可上の取扱いですが、設置認可上は両課程、学士課程、修士課程それぞれを認可にかけていくことになるのですけれども、今回は連続性に配慮したというところで、審査手続の弾力化を考えてはどうかということでございます。
最後につけております参考は、さきの修業年限を短縮する場合の仕組みとして、既に教育課程等に係る特例制度ということで、中教審で御議論いただける場をつくっておりますので、ここを活用して先ほどの修業年限の短縮の認定をしていただければどうかということでございます。それ以降は参考資料になっております。
もう一つ、参考資料1のほうでは、実は大学院部会でもこれらについては議論するということになっておりましたので、一度簡単にイメージを御紹介したところ、表裏になっておりますけれども、このような御発言がございました。もちろん反対というよりは、いろいろなところをクラリファイしていこうということでしたので、今日の議論も踏まえて、また大学院部会でも御議論いただくということになっております。
以上でございます。
【伊藤部会長】 ありがとうございました。今、石橋課長から御説明いただきましたことを、もう一度簡単に私の言葉で説明し直しますと、まず、この「知の総和」答申の中において、学士・修士の5年一貫教育の推進というものがうたわれていて、ではそれを実際にできるのだろうかという中において、今、東京大学のCollege of Designが、それを先行してデザインをしてくださっていたということでありましたので、一体このCollege of Designというものがどういう形で法的に認められていくのだろうかということが、まず私たちの問題意識でありました。
この部会でも私、一度紹介したのですけども、今でもCollege of Designのホームページに行くと、学位の詳細に関しては、学士4年と修士2年から成る教育プログラムですが――つまり4プラス2の教育プログラムですが――成績優秀者は修士課程の早期修了制度を活用することで5年で修了可能ですというふうに書かれているわけです。ただ、これは、「知の総和」答申でもされた5年プログラムで新しい教育をつくっていくべきではないかといったことに対して、要は成績優秀に依拠した場合のみ5年で終わるということになると、プログラム全体として、入学、それから設計が難しいということで、今回法制化ということを、この部会で議論を始めたということであります。
5年の方法については松浦委員からも、今どういう形で5年ができるかということを、様々な事例を示してもらって、我々勉強といいますか、状況確認を行ってきたところではあるのですけども、今回の提案におきましては、体系的な教育課程を全て認めるのではなく、文部科学大臣が認めた内容である場合には認めていこうではないかということがまず一つ。そのときに、学部を卒業しないでいきなり修士をやるのではなく、学部も卒業するという形で4年間で卒業して、そのプラス1年で修士を取れるという体系的なプログラムとして認めようではないかということがもう一つです。そのときに学部4年をどこか、東京大学でやって、最後の1年間を違う大学でやるというのは、絶対に禁じるものではないけども、基本的にはそれはないように、つまり一貫教育という考え方の下で特例的にこの5年一貫を認めようではないかということでありますよね。よろしいでしょうか。ということで、そのような趣旨の下で、今回この法制化の方向性というものを石橋課長から提案いただきました。
これから11時過ぎまで、まずはこのCollege of Designに関する御質問または様々な意見交換、プラスこの法制化に関する議論ということを、2つしていきたいというふうに思います。どの委員からでも結構です。両側面において、時間を区切って最初の10分とやるといろいろややこしくなりますので、皆様の興味の下に御意見、コメントをいただきたい、御質問もいただきたいと思います。どうぞ皆様、できるだけ御発言していただきたいと思いますので、それぞれ3分以内ぐらいでやっていただくと皆さんに回るのではないかと思います。
では、まず田中委員、よろしくお願いいたします。
【田中委員】 資料1-2の5ページの最後の一文に、「3つのポリシーについては、連続性に配慮した教育を実施する学部と大学院を一つの単位として、策定が可能であることを学校教育法施行規則上明記してはどうか」とありますが、こちらに関しまして、私は大いに賛同いたします。その上で、学位プログラムで学士・修士をつなぐということが理解しやすいように、文言も改めたほうがよいと提案いたします。具体例として、一つの学部学科の中に既存の学士4年の学位プログラム、修士2年の学位プログラムと並行して、隣に学士・修士5年一貫の学位プログラムを置く、そしてその5年一貫プログラムは、AP、CP、DPは既存のプログラムとは別に新たにつくる、といった方法を文言の説明だけではなくて、図示化して提示することをお勧めいたします。
既存の学位プログラムと併置するメリットとして、学生のプログラム間の移動が容易になることが挙げられます。例えば、既存の学士4年プログラムに入学した学生であっても、GPAが例えば3.0以上であれば、希望すればいつで一貫学位プログラムに移動することができたり、あるいは逆に、5年一貫プログラムに入学した学生であっても、GPAが2.5未満の場合は学士4年プログラムに移動させたり、といった制度が想定されます。
この制度を普及できれば、大学院修了をスタンダードにすることや、あるいは縦の連続性を向上できると予想いたします。また、5年一貫プログラムは優秀な成績を修め続けなければ修了できないという社会的認知が広まれば、修了生を受け入れる企業などにとっても、ぜひとも採用したいという機運が高まるのではないかと推察いたします。また同時に大学にとっても、学生が真剣に学ぶ、成績がよくないと移動させられるということもありますし、そういう雰囲気が学内に醸成されればよいことだと思います。
私からは以上です。
【伊藤部会長】 ありがとうございました。事務局よろしいでしょうか、コメントとしてお受けするということで。
【石橋大学振興課長】 はい、コメントで大丈夫です。
【伊藤部会長】 ほかの方いかがでしょうか。
では、森委員、お願いします。
【森副部会長】 ありがとうございます。まずは小関先生、御説明ありがとうございました。大変刺激的なお話だったと思います。その中で、今、田中先生の御発言でちょっと確認なのですけれども、いわゆる今までの学士課程プラス2年のものと、5年一貫のものに関しては、私は目的が違うというふうに理解していたのですけれども、今のお話ですと、そこに差別化があって、5年間のほうがよいといったようなものをつくることを意図しているのでしょうか、そこのところお聞かせいただければと思います。
【田中委員】 すみません。確かに少し誤解を生じさせる発言でした。5年一貫プログラムのほうは、5年間で、初めから修士を得て修了したい学生を対象としたプログラムであって、4年プラス2年のほうは、4年を実際に卒業してみて、さらに上に進みたい学生は2年のコースに進むという、初めの目的が異なる学生を受け入れるという形になっています。内容的には4年生の段階で、5年一貫のところは修士のプログラムを取りにいく形になるので、併置をしても提供する科目は同じで構わないと思います。ですので、入学する学生、あるいは途中で希望が変わった学生に対応するために2つを併置するのがよいというのが私の提案になります。
【森副部会長】 ありがとうございます。あくまでも学生が希望する場合に移動可能という話であって、優劣の話ではないということで承知いたしました。ありがとうございます。
【伊藤部会長】 では、松尾委員、お願いします。
【松尾委員】 松尾でございます。設置認可上の取扱いのところでお伺いしたいのですけども、一応これは制度上独立で、課程ごとに設置認可の必要があるのですけども、今、学位の分野が、既に持っている場合は届出でいいという形になっているわけです。時々あるのは、学部はその学位の分野を持っているのだけども、修士課程は持っていないと、そうすると、従来であると学部は届出で、修士は設置認可になるというケースが出てくるわけです。この一貫制にした場合、その辺りの取扱いはどういうふうになるのかということをちょっとお伺いしたいのですが。
【鈴木大学設置・評価室長】 設置・評価室長の鈴木でございます。松尾先生おっしゃるように、今まさに設置認可の手続としては、学位として今ある分野を持っているのであれば、そこは届出で、ない分野をつくるのであれば、そこは設置認可手続になります。まさに今言われるように、4年制の大学は学位の分野があって、大学院のほうで学位の分野がないということであれば、大学院のところの部分については当然、認可の手続が必要になってくると思いますので、そこは大学と併せて設置認可の手続は踏んでいただくことになるというふうに、原則としてはそう考えております。
【伊藤部会長】 よろしいでしょうか、松尾委員。
【松尾委員】 ここで「課程ごとに」という表現をされているのですけど、つまり、別々にやるわけじゃなくて、一貫した形でそれは設置認可にするということなのでしょうか。学部も併せて、学士課程も併せて。
【鈴木大学設置・評価室長】 5年制で一つの課程になるわけですから、そこは5年の新たなコースをつくるのであれば、全体で設置認可を受ける必要があると考えております。
【松尾委員】 ありがとうございました。
【伊藤部会長】 松浦委員。
【松浦委員】 小関先生、ありがとうございました。以前、伊藤部会長と一緒に詳しいお話を伺うことがありまして、そのときにもやはり制度的な整備が必要だという結論になったのが、今回新しい展開が文部科学省からも提案されているので、非常によかったと思います。
私が伺いたいのはアドミッションに関してでございます。こちら基本的に国際標準で、日本人とインターナショナルで一緒にということですが、アドミッションの仕組みも同じプラットフォームで行われるという理解でよろしいのでしょうか。日本人とそれ以外を区別せずに。
【小関執行役・副学長】 先日、入試の概要を公表いたしまして、詳細につきましては追っていろいろ御報告するところはあると思うのですけども、入り口は2つつくってございます。1つは日本の共通テストを受ける、いわゆる一条校の卒業生向けでございます。もう一つは、国際バカロレアですとか、いろいろ世界の標準試験を受けて入ってくる方、2つの入り口をつくってございます。
【松浦委員】 ありがとうございます。それで、5ページの図に、合格発表が2から3月で、入学前のいわゆるギャップタームのようなものが設定されているのですが、これは日本人もそれ以外も合格発表が2月から3月という理解で。
【小関執行役・副学長】 はい、その予定でございます。
【松浦委員】 分かりました。ありがとうございます。
【小関執行役・副学長】 ですので、日本人じゃなくても、このギャップタームに参加できるようなサポートはつくっております。具体的には英語ネイティブじゃない国の学生さんたちも、この英語のプログラムは参加できるとか。
【松浦委員】 基本的な想定としては、もう入学前から海外在住の学生も日本に来ること。
【小関執行役・副学長】 いえ、これは全てオンラインベースでございます。
【松浦委員】 オンラインで日本人もということ。
【小関執行役・副学長】 当然、海外の学生さんは5月、6月まで大学がある場合もありますので、それはオプショナルな形で、学生さんたちの希望があれば参加いただくということになっています。
【松浦委員】 ありがとうございました。
【伊藤部会長】 平子委員、お願いいたします。
【平子委員】 ありがとうございます。College of Designについて質問させていただきます。これまでの大学改革の議論をしてきた中で、このアイデアはいろんな課題解決に向かっていると感じました。
質問させていただきたいのは、オフキャンパスの件です。特に産業界との連携を考えた場合、オフキャンパスでの経験が非常に重要になってくると考えていますが、5ページの図ですと半年間ぐらいの期間を想定しているように見えますが、この期間を有効に活用するために、産業界にどういうことを期待するのか、考え方があれば教えていただきたいということと、オフキャンパスの対象が日本の企業だけではなく海外の企業も対象になっているのかどうか、教えていただければと思います。
【小関執行役・副学長】 ありがとうございます。非常に重要な御質問で、私たちもここのつくり込みが一番重要だと思っています。ここの絵では半年ですけども、可能であれば1年もできるようにしていきたいと思います。日本の企業だけじゃなくて、世界の様々な企業にもお声がけしているところです。この半年あるいは1年の中で、できれば日本人の学生は必ず海外に、インターナショナルの学生は日本あるいは海外に出ることを想定しています。そういった中で、企業様にとってはいろいろな機会が用意されると思いますので、これは個社ごとにこの仕組みをつくらないといけないのです。どういったインターンシップであれば相互に受け入れられてメリットがあるかと、また学生とのマッチングも必要でございます。そういったことを今、個社ごとに議論をスタートしたところでして、画一的なインターンシップではない、テーラーメード型のインターンシップをつくっていって、先ほど百人百様と言いましたけども、興味関心が非常にダイバースな学生がそれに応じた経験ができるように、産業界とつながっていきたいなと思っています。そういった協力を今仰いでいるところでございます。
【伊藤部会長】 林委員、お願いいたします。
【林委員】 ありがとうございます。東京大学のほうはコメントだけですけども、非常に野心的な話で、資料1-2の学士・修士5年ということでイメージしていたものから、もっと全然アドバンスドな話で、特に非常に面白いなと思ったのが、9月入学、秋入学の話を、結局これ、5年と言っているのですけれども、入学前に半年あるので、実質的に日本人にとっては5年半という、きっとそういう形になると思うのですけども、秋入学の問題をこういう形で6年間を5年に圧縮することで、学生にとってもそんなに不利益がない形で移行できるというのは、非常に面白いデザインの仕方なんじゃないかなと思ってお聞きいたしました。
その上で、文部科学省に対して3つ簡単に質問していきたいと思うのですけれども、1点目、先ほど松尾先生から御質問あったところですか、届出制とかその辺りなのですけども、もし学士工学、修士工学を持っていて、工学で一貫、5年一貫になるとしたら、それはもう一回設置審を受けるのですか、全部届出ですので――分かりました。1点目がそれと。
そうすると2点目に、この5年制プログラムにするということの政策的な目的をどういうふうに考えていて、大学に対してこれから御説明されていくのかというところなのですけれども、理系だとみんな今も修士まで行くので、大体6年間で学士・修士を取っているわけです。今みたいに届出制だという話であれば、幾つかの大学は、6年間ではなくて5年とすることで学生に対してアピールをして、入学してもらおうというふうなことも考えるかもしれないと思うのですけども、そういうことも目指すのか。あるいは、私が見たときはもう少し、人文社会系の学生が修士まであんまり行かないから、それをもっと行くようにしようということをお考えなのかなと思って見ていたのですけれども、もしそうであれば、そういう今まであまり修士まで行っていなかったところに行くようなプログラムをつくりますということで、審査をするときもそういうのをしっかりと見ていくという形にしていくのかという、この5年一貫制ということが一体政策的にはどこを目指しているのかというのを、もう少しクリアにメッセージを伝えていただいたほうがきっといいのかなというのが2点目です。
それから3つ目ですが、やはりほかの部会でも御議論あったようですけども、修士・博士の一貫、博士一貫、そことの関係をどうするかで、今までリーディング大学院とかでそういうのを一生懸命各大学つくってきたので、それとの整合性をどうするのかなと思っています。先ほど田中先生の移動できるというのは非常にいいアイデアだと思っていて、つまり、学士・修士5年に入ったのだけれども、自分は途中で博士まで行きたいと思ったら、修士・博士一貫に移動できるとか、そういうのももしあり得るのであれば、しっかりと大学にそこもちゃんと設計してもらって、できるような仕組みにしたほうがいいかなと思っていて、あまり、一度18歳のときに学士・修士一貫で入っちゃったから、その後、本当は修士・博士一貫も非常に興味があったのにみたいなことが、学生に不利益が生じないようにしていただきたいなというふうに思っています。その辺りどうお考えなのかが3つ目です。
【伊藤部会長】 事務局、お願いします。
【石橋大学振興課長】 ありがとうございます。学士・修士一貫の場合、連携する教育課程をつくること自体は各大学で御判断いただければと思っているのですけども、実は修業年限を短縮する場合は全て中教審の委員会を経ていただくということにしますので、今おっしゃっていただいた、理系の中で今まで4年プラス2年でしっかりと教育をしていただいているところが5年にする意味ということを、やっぱりそこでしっかりと確認させていただきますし、一方で、人社系の方々で、やはり修士にもっと進んでいただきたいというのも中教審の答申のメッセージでもございますので、それも併せてやっぱりアピールをしていかなければいけないかなと思っておりますが、短縮する場合は中教審から確認をいただくという仕組みにしたいなというふうに思っております。
それから、最後の3点目のお話、修士・博士一貫の話は大学院部会でしっかり議論いただこうかなと思っておりまして、ただ、学士・修士に行ったからといって、次、博士に行かないという意味でこのプログラムをイメージしているというよりも、学士、修士、博士とつないでいかれるような大学もおありかと思いますし、東大もそのようなことも構想されているというふうには理解をしておりましたので、そこで切れるということよりも、どう先につなげていくかというのは、それぞれのプログラムの目的にもよってくるかなというふうに思っております。
以上です。
【伊藤部会長】 では続きまして、松下委員、お願いいたします。
【松下委員】 ありがとうございます。まず小関先生のほうに2点、それから文部科学省のほうに1点、質問があります。
まず、このCollege of Design、本当にとても野心的な試みだと思うのですけども、1つは教養教育をどうするかということです。ヨーロッパでは以前から5年で2学位ということで言われてきていて、今回日本でも5年で2学位ということを今目指されているわけです。多分このYear 1のInterdisciplinary Foundationsといったようなところが教養教育に代わるものになるのかなというふうに思うのですが、今行われている教養教育は必ずしもインターディシプリナリーなものばかりではなくて、ディシプリンベースで、割とその学問分野の見方を教えるようなものも入っていると思います。ですので、このInterdisciplinary Foundationsというところで教養教育の代わりが務まるのか、まずそれも目指されているのかの確認も必要ですが、教養教育をどう考えておられるのかというのをお聞かせください。
2番目の質問はOff-Campus Experienceのところですが、このCollege of Designという組織の目標を考えると、多分、キャンパス外でいろいろな、例えば企業とか自治体とかと一緒に連携してやる活動というのは正課教育外の、例えば準正課活動のようなものでも行われるのではないかなというふうに思います。そうしますと、Year 4のインターンシップだけではなくて、恐らくそのOff-Campus Experienceというのがもう少し前から様々な形で行われていくのではないかと私は想像しているのですが、今日はちょっとそこのところについて言及がありませんので、もし補足がありましたらお願いします。
それから、もう一つは文部科学省に対してですが、この5年一貫ということで、以前からちょっと気になっているところは、学位の切下げにならないのかということです。レベルをどう維持しつつ、時間を短くできるのかということです。日本の今の学位プログラムですと、大体4年のところで卒業論文、卒業研究をやり、修士課程でまた2年の修士課程、修士研究、修士論文をやるということになっています。この2段階というのが、かなりのレベルの修士論文を書き、修士号のレベルを保つのに有効に機能しているというふうに思います。今回この東大のCollege of DesignでもGraduation ExhibitionというのがYear 5の最後になっていますので、多分そのような研究はこの5年目のところで行われると思うのですが、ほかの大学にこの5年一貫というのが広がっていったときに、そこはどういうふうになるのか。今までの学士4年、修士2年、その学士号、修士号のレベルを維持したまま5年というふうに1年短縮するということがどのようにして可能になるのかということを改めて確認させてください。
以上です。
【伊藤部会長】 まずは小関さん。
【小関執行役・副学長】 御質問ありがとうございます。教養教育についてですけども、1年の、この全ての分野の講義を受けるというのが一つの教養教育と思っておりますけども、私たちはその後に非常に幅広い学びが続きますので、教養教育と専門の教育のボーダーがはっきりしないところはあるかと思います。一方で、この1年目の全ての学術分野を学ぶというのは、その存在を学びのスタートでしっかり認識すると。つまり、法学というものがあって、その中に例えば人権ですとか法の精神というものがあるとか、あるいは経済が世の中のいろんな課題にどうつながっているという非常にベースのところを理解するとか、そういった全ての学術の存在を意識して、それが先の自分たちの議論に進んだときに戻ってこられるようなものになるように1年目は学ばせますということで、教養教育であると同時に、次の学びのベースになると思います。
また、我々はオンラインの学びを全ての科目に用意しますので、ここで足りないものはオンラインで強化する、あるいはチューターやメンターを用意しますので、そういった人と学びの途中でいろんな議論をして、さらにアドバンスドなそれぞれの分野の学びを1年の段階からできるといったようなことを進めていきたいと思います。また、これを必修にしている意味は、そういった全ての学術の存在を認識した上で、では自分はどこを深めるのだというような、考える起点になりますので、そういった意味でもベースにはなってくると思います。
次にオフキャンパスのほうですけども、これはいろいろな企業様であるとか、あるいはいろいろな国際機関、そういったところで経験を積ませていただいて、これはクレジットがつくものでございます。もちろんそのほかにも産業界や、いろいろな方と連携する科目がございます。特にChange Maker Design Projectsなどでは学外に出ることもあると思いますし、学内の様々な施設を使うことがあると思います。それも全てカリキュラムの中で、外とつながる、つまり外とつながることはエキストラじゃなくて、学びの中の内側であるというふうに我々理解していまして、オフキャンパスだけじゃなくて、このカリキュラム全体で産業界なり社会とつながっていきたいと思っています。
最後のGraduation Exhibition、これもそうでございまして、社会とつながって、社会に自分たちでやったことを発信していろんなフィードバックをもらうということも重要でございます。今までの学びはどうしても、大学は大学、そこで育てた人間を産業界に送って産業界で活躍してもらうということになっていましたけども、人材育成も、外の産業界をはじめ、いろんな方と一緒に人材育成をしていくと。それによって日本の力をどんどん上げていく、あるいは世界にどんどん発信していくといったようなことにつなげたいと思っています。そのためにはもちろん質保証が重要でして、我々、進級要件ですとか成績評価の在り方についても今検討を進めていまして、きちんと社会につながって貢献できるような人材を育てていきたいと思っています。
以上でございます。
【伊藤部会長】 ありがとうございました。
後半部分、まず私のほうから一言。私、「知の総和」答申でもこの5年制に関わった、提案した一人でもありますので、その中において、ただでさえ皆学生たちが焦って就職をしようとしている中において、プラス1年の時間を費やすということはそう簡単なことではなく、そのプラス1年の時間を、しかも学費も払って費やすというからには、大学側も相当のプログラムを用意しないと説得ができないという、ある意味、性善説的な前提にのっとってこれを提案しているところがありまして、でも、そうであれば当然のことながら、今回の提案のように、それなりのプログラムであることを確認しないと5年は認めないということだと思うのですけども、ここで事務局のほうにお渡しします。
【石橋大学振興課長】 ありがとうございます。松下先生おっしゃってくださったところでございますけども、学士課程の卒業の要件は、124単位以上修得する、ほか大学が定めるというふうに設置基準上なっておりますし、修士課程も同様に、30単位以上、それから修士論文または特定の課題についての研究の成果の審査及び試験に合格するということになっておりまして、この条文を変えるという予定はございませんので、これが5年の中で可能かということを確認していくということと考えております。
以上でございます。
【伊藤部会長】 太田委員、お願いいたします。
【太田委員】 私も、平子委員、松下委員の御質問のオフキャンパスのところです。質問の趣旨はもう平子委員のほうから言われたことと同じです。本学も地域未来共創学環を昨年度立ち上げて、これは学士課程ですが、3年生の第3クオーターにコーオプ実習を行います。学生は、有給で自治体や企業で働いてもらうという取組です。その前に今年は、今の2年生に、プレコーオプ実習を実施していて、10日間ぐらいの派遣で、これは無給です。実習の前には、学生40人が、企業側と自治体側と学生との間で何をするかというマッチングを行います。ただ今、その実習が終わった後の事後評価をしていますが、たった10日ですが、これはかなり大変です。なので企業さんも一生懸命になるので、やっぱり3年生の有給の実習は、ちゃんと働いてもらうかという観点で、まずオフキャンパスに出る前に、何かプレ的なものがあったほうがいいんじゃないかと思います。あと本当に学生と真剣になされるためには、多分東大さんですから、いろいろお金出しても構わないところはたくさんあるかと思うのですけども、その辺のところのマネジメントはどうでしょうか。本学は1人のUEAでやっていますが、そういう専門職も必要なのかなと思っています。何かその辺の計画はどうでしょうか。
【小関執行役・副学長】 先生の今の御意見、本当に重要だと思います。我々も意識して制度設計を進めてございます。マッチングは、学年で言うと3年の1年間かけてやらないといけないと思っています。そういう中で、例えば学生がいろんな国に行くときの準備も必要でございます。MITは学部生の7割か8割、海外に出します。MISTIというプログラムですけども、その場合、出す半年前に、行く国の文化ですとか歴史ですとか、あるいは言語も含めて準備をさせます。我々も、それが全てできるかどうか分かりませんけども、十分準備をさせて出したいと思っています。マッチングもきちんとやりたいと思っていて、それを実現するために、それぞれの企業さんとやっぱり個別に話をすることが重要だと思います。どういう学生だったら受け入れてもらえるかとか、受け入れてもらうとすれば、どういうような経験がそこで得られるかというようなことをそれぞれきちんとお互い納得して、そういうものを学生に提示して、選ぶか選ばないかということだと思います。そういったプロセスは、やっぱり時間とある程度のリソースを投入しないといけないと思います。
今、企業さんには有給をお願いしています。給与をいただきながら、給与をいただくに値するぐらいちゃんと貢献するように我々エンカレッジしますので、いろんなばらつきは出てくるかもしれませんけども、そういうことを意識しながら。実際送り出すのが2030年です。ですから2029年までには制度をつくりたいということで、まだ3年ほどございますので、しっかりそれぞれのパートナーと議論してつくっていきたいと思います。
【太田委員】 ありがとうございました。
【伊藤部会長】 では、松居委員、お願いします。
【松居委員】 ありがとうございます。東京大学のプランは大変刺激的で、勉強になりました。幾つか質問させてください。
時間がありませんのでちょっと簡単にですけど、どんな学生が入ってくるのかなということを考えた場合に、かなりもう中学、高校あたりから、非常に自分なりに起業精神を持っていたりとか、かなりそういう子が希望するんじゃないかなという予感がしていまして、そういった場合に、非常にこの魅力的なカリキュラムで、悪く言うとちょっと縛ってしまうというのが彼らにとってどういうふうに映るのか。つまり、やっぱりこういうことを一から学びたいという学生と、それから、かなりもうアントレプレナーシップマインドを持った学生諸君が入ってきた場合の併存が可能なのかなというのは興味深く思いました。
その辺り教えていただきたいのと、もう一つは、この全寮制というのは私、非常に魅力だと思っていまして、ここに何かインフォーマルな教育プログラムを入れられる予定があるのかとか、その辺りを少し教えていただければありがたいと思いました。よろしくお願いいたします。
【小関執行役・副学長】 ありがとうございます。どういう学生が来るかというのは、我々もわくわくして、いろいろ考えております。国内のいろんな高校の生徒さんとインフォーマルな会話をさせていただいています。中には非常に意識の高い学生さんがいて、恐らく既存の大学では満足しない、そういった学生さんもいらっしゃいます。そういった生徒さんが選んでくれるといいなと思っています。一方で、入った後、先生がおっしゃるように、縛ることにならないようにはしたいと思います。ただ、1年生の段階は必修を設けています。こういった講義も座学ではなくて、インタラクティブで全部進めていきますので、それぞれ学生の個性もよく把握しながら進めていければと思います。2年生以降はもっと少人数のアクティブラーニングですので、まさに教員と日々議論したり、いろいろワークして、個性が発揮されると思います。
5年プログラムですけど、ここでこういうことを言うのはあまり適切ではないかと思いますけど、途中で自分で起業するような学生が出てきてもおかしくないと思います。そういった自由度を持たせたいなというふうに考えております。
それから、2つ目の先生の御質問は……。
【松居委員】 全寮制を生かした教育プログラムについていかがでしょう。
【小関執行役・副学長】 全寮制も、私たちは、まずコモンスペースとしてスタジオをつくりますので、基本的な学びはそこでなされると思っています。わいわいがやがやの場所になるかと思いますけども、加えて寮で学びを要求すると、かなり重なりますので、一方で寮では、チューターですとかアシスタントを寮には配置して、いろんな相談に乗れる体制はつくりたいと思っています。
以上でございます。
【松居委員】 ありがとうございます。
【伊藤部会長】 小林委員、お願いします。
【小林委員】 御説明ありがとうございました。小関先生に1点と、あと文部科学省に2点、お伺いしたいことがあります。
非常に意欲的なプログラムだと思ってお聞きしていたのですが、このプログラムは5年一貫で、これまで育てようとしている人材像と大きく変わっているように思います。そうなってくると、やはりアドミッションの在り方が随分変わってくると思うのですが、先ほど入試のところで、日本人については共通テストによる選抜というお話をされましたが、これまでとは違って、かなり意欲的であったりとか、社会課題に対する認識が強い生徒さんが受験してくるんじゃないかと思いますが、そこら辺のアドミッションの在り方というのは、今、総合型選抜とかいろいろありますが、共通テストだけなのか、ほかに何か考えていらっしゃるのか、こちらをお聞かせいただければと思います。
文部科学省につきましては、先ほどの御説明の資料の中に、今のアドミッションのところでいくと、5年一貫課程について3つのポリシーも、学部と大学院を一つの単位として策定が可能であることを学校教育法上、施行規則に明記すると5ページに書いてありまして、これは可能なものであって、策定しなくてもいいということを示しているのかどうかというのをお聞きしたいのが1点目です。選択として、策定しなくても良いのかということです。
それからもう一点は、先ほど何人かの方が学位の切下げということをおっしゃっていましたけれども、やはり今、特に文系、人文社会系というのはなかなか学生が大学院まで行かないというところがあって、大学が学生募集のために安易に5年制ということを選択しないような何か仕組みをつくっていかないといけないと思っていまして、これまでは個人が優秀だから5年間で卒業できるというのが売り、魅力だったわけですけども、これがシステムとして5年に定着したときに、卒業後の学生の受入れ側の多様なキャリアパスを考えたときに、特に企業側からすると、逆に質が足りていないんじゃないかと受け止められる可能性があるように思います。安易に5年じゃないかというような風評が広がらないようにこのシステムをつくっていかなければいけないと思うのですが、そこら辺のところどうしていくのか。
2点、よろしくお願いいたします。
【小関執行役・副学長】 ありがとうございます。まず入試についてですけども、もちろん大学入試共通テストですとか国際バカロレア、国際Aレベル、そういったものはミニマムな学力という意味ですけども、我々は評価基準を非常に幅広く用意しておりまして、詳細については入試に関わりますのでお話しできないですけども、非常に多面的な評価をして決定していきたいと思います。あくまで試験の結果でどうこうという話では全くございません。それは一つの要素でございまして、そのほか面接ですとかエッセイもございますし、様々な評価書やリコメンデーションもございます。そういったものを幅広く、特に面接は言うまでもありません。本人の意識の高さ、そういったようなものをきちんと評価できるようにしていきたいと思います。
【石橋大学振興課長】 ありがとうございます。今御確認くださった、策定が可能であることの意味でございますけれども、これは、大学によっては別々に立てた上で連携するというような考え方と、一緒に立てたいという両方があり得るかなというふうに思いまして、その2つを選べるという意味で、このような「策定が可能であること」というような、要は、できる、策定できるというような言い方にして、マストではないということがいいのかなというふうに思って、今、一案としてこのように示させていただきました。もしさらに御意見ありましたら、いただければと思います。
あと、おっしゃっていただいた、やっぱり5年に短縮するときに、中教審の教育制度の特例を見ていただく委員会のほうでどういう基準でチェックいただくかということが重要になってくるかなというふうに思っております。今の先導特例のところは8ページに、今実際、「以下を行う大学であること」ということで、丸2のところに例えばということで書かせていただいておりますけども、このような基準をどういうふうにつくっていくかということは、また事務局の中でも考えていかなければいけないなというふうに思っておりまして、この制度は実際策定していく中で、また部会にも御報告させていただければと思っております。
以上です。
【小林委員】 ありがとうございます。
【伊藤部会長】 よろしいでしょうか。では、最後、森委員。
【森副部会長】 私だけ2回、申し訳ありません。私のほうは、この制度全体についての意見と、あとは小関先生に幾つか事実確認をしたいと思います。
まず、私、いつも重ねて申し上げているのですけれども、5年一貫のこの教育制度というのは、すごくすばらしいと思う反面、18歳で道を決めてしまうという、先ほど委員からもお話がありましたように、狭めてしまうような、そういったようなことが起こり得るのかなというふうに思っています。特に中間層の学生たちは、まだまだキャリアしかない中で、20歳で学士入学、22歳で違う研究大学への大学院進学みたいなことでステップアップを図る学生もたくさんいますので、そういう意味では、今回お話を聞きながら、うちの学生が東京大学のここに行くことはできないのねとちょっと思いながら話を聞いていたところもあります。これをどういうふうに循環するのか。あと、5年で出た後に、リカレントでもう一度大学に戻ってくるような仕組みもつくっていかないと、一方通行になってしまうのかなというふうに思いながら聞いておりました。また、5年一貫になりますと、いわゆる日本の大学の特徴であるゼミです。徒弟制度の中でしっかりと一人一人を見るという、このゼミが、2回が1回になってしまうということになりますので、質ということに関しては大きく変わってくると、これが意見でございます。
あと、小関先生のほうに質問ですけども、3点ございまして、まずはこれは9月入学から始まると、9月、9月、9月という年次進行で行くので9月で終わるのか、あとは、私的にはこの辺もっとダイナミックに、年次というよりもナンバリングで、もうどんどんどんどん学生が主体的に進めていくような形になるのか、その辺りを1点聞かせていただきたいということと、博士の話でございますけれども、既存の博士課程への進学ということなのか、これを発展的にするような博士の設置といったようなものをお考えになるのか。
最後、3つ目でございますけれども、今回すばらしいなと、これはイシューベースなので新しいなと思っていたのですが、コンピテンシーベースではあんまりないのかなと。つまり、この5年間でどういう資質能力を身につけるのかといったようなところに関してはあんまり書かれていないなというふうに思っております。それが先ほどの小林委員の御質問のところにもつながっていって、総合型入試で知識だけではないところを見ていくということにつながるのかなというふうにも思いますので、この3点、よろしければ教えていただければと思います。
【小関執行役・副学長】 ありがとうございます。9月から始まるということで、学年の単位は9月、9月で進んでまいりますけども、学びはもうコンティニュアスでして、当然ながら、100用意する科目にもナンバリングで、学びのレベルというのは示します。ただ、どこからでも学んでいいわけで、そのためにアカデミックアドバイザーやメンターを配置して、学びのパスも自分で決めると、そこが重要でございまして、これを学んだ後、次これを学びなさい、これを学びなさいと、そういうルートはこちらからは示さない。ですけども、もちろん議論はするというようなことで学ばせたいと思っています。
それから、2つ目の博士ですけども、これはこの先の話ですけども、この上に博士課程はまた検討していきたいと思っています。このプログラムを出て、さらにデザイン領域でもっと深めたいと思う学生はそこへ行くと、そうじゃない学生は、ほかの研究科、あるいはほかの大学の博士課程にも進学できる。あるいは、5年修了して社会に出てまた戻ってくると、いろいろなパターンがあると思いますけども、必ずしもその上に真っすぐ行くようなイメージは持っていません。それは学生が選択することで、その次の御質問にも絡みますけど、どんな資質とか能力が養われるかというのも、それも学生の興味関心で、学生が決めることだと思います。
ですから、これまでのディシプリンベースの学部、ここに来ると経済を深く学んで、そういう能力がつくとか、あるいはここに来るとエンジニアになるというようなルートではない。もちろん東京大学は年3,000人受け入れますので、そのうち2,900人はそういったディシプリンベースの学びに入っていくわけですけども、これだけ社会が複雑化する中で、そこに横を通すような人材もやっぱり東京大学として輩出したいということで、100人というユニットをつくっております。ですから、この100人はそれを横から見て、それぞれ自分の個性で学びを幾つか深めていくというようなことだと考えています。それが従来の縦軸のディシプリンベースと違う、新しい人材の能力、資質になるんじゃないかと思っています。
ということで、最後に、今日この御説明をさせていただいてどうもありがとうございます。事前に伊藤先生、松浦先生にお話聞いていただいて、こういった制度が必要ということで議論いただいたことは本当にありがたくて、今日ここでこういう議論につながったということで、改めてお礼申し上げたいと思います。ありがとうございます。
【伊藤部会長】 ありがとうございました。以上、ちょうど時間になったところですけども、まず今回はCollege of Designについて詳しく説明いただき、皆でその内容について理解を深めて、懸念点も含めて、留意点も含めていろいろ質問させていただきました。その上で今回、資料1-2、学士・修士5年一貫教育の促進に向けた検討についてということで、事務局のほうから法制化に向けた道筋を提示してもらったわけでございますけども、それに対して様々な留意点というのはもちろん今御意見いただきましたけれども、基本的にこの方向性で進めるということに関しては、私たち今、同意が取れたというふうに私は理解していますけども、皆様、よろしいでしょうか。もし強い異議がいらっしゃる方がいたらでございますけども、よろしいでしょうか。
ありがとうございました。では、この法制化についてさらに前向きに検討するということで、事務局のほうはどうぞよろしくお願いいたします。
では続きまして、議題の2、学士課程教育の在り方についてであります。まずは事務局から説明をお願いいたします。
【石橋大学振興課長】 ありがとうございます。前回、新たな評価の中間まとめを部会で御議論いただきました。その際に、やはりディプロマポリシーの在り方も含めてどういうふうに考えていくのかというようなお話もございましたので、今回の後半の議論におきましては、学士課程の中身、それから学士力について、一旦これまでの中教審の議論をおさらいさせていただく形で、新たな評価でどういうことを評価していくのかというようなことも少し念頭に置いていただきながら、学士力がこのような形でよいのか、さらに何を考えていくべきか、学士課程教育の今の現状などを少し振り返っていければなというふうに思っておりますので、少々お時間いただきますけれども、よろしくお願いいたします。
まず、資料の2-1を御覧いただければと思います。学士力についてということでございまして、学士力が提議されたのは平成20年の「学士課程教育の構築に向けて」という中教審の答申でございます。答申で示された参考指針は4分野13項目から構成されておりまして、1が知識・理解、2が汎用的技能、3が態度・志向性、4が統合的な学習経験と創造的思考力ということで、これらを総合することで、学士力は、単なる専門知識だけではなく、幅広い教養・汎用的スキル・主体的態度・課題解決力を含む「21世紀型市民」にふさわしい学修成果を指すという整理がされたところでございます。
めくっていただきまして、この学士力については、そのまま引き続き中教審答申で引用される形で続いておりまして、平成30年のグランドデザイン答申においては、予測不可能な時代を生きる人材像として、普遍的な知識・理解と汎用的技能を文理横断的に身につけていくこと、また、積極的に社会を支え、論理的思考力を持って社会を改善していく資質を有する人材、こういう人材が必要ではないかという整理がされ、それを踏まえた教学マネジメント指針では、DPを策定する際の留意事項ということで、以下2点が示されたということでございます。イメージですが、学士力と分野別参照基準を参考にした上でDPがつくられているというふうに理解をしているところでございます。
「知の総和」答申でも、学士力のことに関しましては特に新しいことが言われたというよりも、引き継がれているようなことでございまして、特にこの「知の総和」の数掛ける能力の「能力」の部分では、当然、学士力の実質化が目指されているというところで、ではこの学士力をどう高め保証するかというところで、出口における質保証や新たな評価制度という議論につながったということでございます。
最後のページに、学士力と社会人基礎力と育成すべき資質・能力の3つの柱ということで、学習指導要領も含めて整理をしておりますので、また議論の参考にいただければと思います。
資料2―2は、学士課程教育そのものについての指摘や課題がどのように出ていたかということで、学士課程答申の中では、教育内容・方法、学修の評価を通じた質の管理が緩いというような言い方であったりとか、かねてから、入るのが難しく出ることが易しいと評されているというようなところに関して書かれておりまして、平成20年の段階で入学生の約8割が修業年限で卒業するというようなことが書かれているところでございます。その後、24年の質的転換答申におきましては、いろいろな工夫をしてはどうかということが書かれている中で、総学修時間の確保が不可欠ということが提言されたところでございます。
めくっていただきまして、その質的転換答申の続きでございますけれども、教学マネジメントの確立などもここで言われているということでございます。それからグランドデザイン答申は、学修者本位の教育への転換ということでございまして、教学マネジメントに資する指針の策定と大学設置基準の見直しということで、すみません、早めに行って申し訳ありませんけど、4ページ目に教学マネジメント指針の概要、特に学修成果・教育成果の把握の可視化は少し細かめに記述しておりますので、また見ていただければと思います。また、大学設置基準も、グランドデザイン答申を踏まえまして改正が行われたということでございます。
これが「知の総和」答申におきましても、やはり引き続き重要ということで、学びの質を高めるための教育内容・方法の不断の改善というところで、質保証・質向上のところまで進めていくべきだということをまとめていただいたところでございます。
資料2―3は大学教育の現状でございまして、少し数字的なところでございますが、めくっていただきまして3ページには、専門分野別の入学者数の推移というようなところを書かせていただいているところと、国公私別の学生数・構成比率なども入れておりますので、御参考いただければと思います。
分野別学士修了者の進学率の推移でございますけども、5ページ目でございまして、全分野で横ばいですが、理学、工学、農学系は増加傾向にあるというところでございます。また、分野別進路も6ページ目に入れさせていただいております。
7ページ目は、私立大学の会議でも紹介されておりましたけれども、私立大学のいろんな機能というところで、このような方々の輩出ということをやっているということも入れさせていただいております。
また、学修時間、平成24年の質的転換答申で言われておりましたけれども、今回学生調査の中で学修時間について整理をいたしましたので、それも入れさせていただいているということと、11ページ目は単位制度でございます。1単位の授業科目は45時間の学修を必要とする内容をもって構成することを標準とするとなっておりますが、その整理についても入れさせていただいているとともに、学びの密度を高めるために各大学がいろいろと取り組んできていただいているのを12ページにもまとめさせていただいております。また、ST比に関しましては13ページに入れているというところですので、また御覧いただければと思います。
参考資料に移ります。参考資料2は、先ほど御説明したことをもう少し詳細に、全ての答申を、めくっていただいて目次のところに分かりやすくしておりますけども、3ポリ、シラバス等々、これがそれぞれどのように書かれているかということと、今の現状までの具体のデータまで入れたものになっております。また、参考資料3が、令和4年に大きな大学設置基準改正をしていただいておりますので、その改正の内容、それから参考資料4が全国学生調査の全体版ということでございますので、併せて御参考いただきながら御議論いただければと思います。
私からの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
【伊藤部会長】 大変な資料をまとめていただき、基本的には、この内容についてはこの部会の委員は把握しているという前提でございますけども、この部会がオンラインで公開されているということで、御覧になっている方々におかれましては、学士力というものに対して様々な個人的な御意見もお持ちだというふうに思いましたので、一度ここで資料を事務局のほうにまとめてもらい、そもそも私たちが、国がどのように学士力を定義してきたのか、そしてそれに対する問題点は一体何だったのか、問題というか問題意識は何だったのかというのが、今この資料2-3の後半のところでまとめてもらったというところであります。
この内容について、学士力の定義をもう少しこういうふうにアップデートしたほうがよいのではないかとか、様々な意見をお持ちの場合はここで御意見をいただければというのが今回の趣旨でございます。御意見のある方いらっしゃいますでしょうか。
ここの部会は、皆様御存じのとおり、質向上と質保証、認証評価という質保証の部分、両方をうたっているところでありますので、まず質保証、認証評価というところで最低限の学士、大学としてどういう形が最低限求められているかという部分と、それから、さらにみんなで必要なのは、あくまでも、いつまでも向上を目指すという質向上の部分ですので、そういう意味で今回、質向上・質保証という両方の名前がこの部会はついているわけでありますけども、学士力をさらに上げるためにはというのは質向上の部分で、最低限の学士力とは一体何なのかというのが質保証の部分ということになると思います。そういうようなことも含めて、世間との隔たりとか、何かお感じになる方もいらっしゃるかと思いますけど、コメントあればと思います。どうぞ。
田中委員、お願いします。
【田中委員】 資料2-3の12ページの左上に、履修単位の登録上限を設定している大学がグラフとして示されており、令和3年度の場合、ほぼ全ての大学である717校、95.3%が設定していると書かれていますが、この数値は注意したほうがよいと思われます。というのも、その上限が、例えば半期30単位とか、年間60単位がCAP制度で定められていたりします。こういう「ゆるゆる」の設定では、ほとんど意味をなさない上限だといえます。結局、科目を詰め込み過ぎて時間外学習がほとんどできないという、毎回、問題とされる同じような結果になってしまうと予測できます。ここは質保証の観点から何とかしたほうがよいので、まずは登録上限の実態を調査されて、上限がどの程度になっているのかを把握されることをを提案いたします。なお、この点について大学の先生に聞くと、優秀な学生にはたくさん取らせてあげたいのでCAPの上限をかなり高く設定しがちとのことでした。
私からは以上です。
【伊藤部会長】 ありがとうございます。これはコメントとしてでよろしいでしょうか。――ありがとうございました。
では、松尾委員、お願いいたします。
【松尾委員】 ちょっとまとまりのない話になるかもしれませんけども、こういう学士力というのは、理念的には分かるし、それはそれでいいだろうと思うのですけど、実際に現場で教育をしていて感じるのは、学生が個人個人、やっぱりかなり違うのですね。得意不得意というのがあって、今回といいますか、コロナ禍になって、学生の中には、コロナでリモートのほうが人と会わなくてできるからいいと、グループワークが苦手だとか、そういう学生がやっぱりいるのですよね。そういう学生も一様にみんな同じような形で、この学士力を高めるのだということではなくて、やはり個々に個性を持っている学生がいるので、ここはできなくてもいいよと、ここさえこの学生は伸ばしてくれればいいよと、そういう視点も必要なのかなというのはちょっと日頃思っていて、今それこそ、先ほどの東京大学の事例なんて、ああいうのに得意な学生もいるけど、やっぱりああいうのは苦手だという学生もいて、それはそれで別にちゃんとした形で教育をしていって伸ばしてあげればいいのかなというのがあるのです。
だからそこも、マクロ的にはいいのですけども、ミクロに見るとやっぱり個別にかなり考えなければいけなくて、大学全体として学修成果だとか、何とかかんとかしていると、その辺がちょっと埋もれてきてしまうんじゃないかなと、そういうのを日頃感じているというところでコメントを述べさせていただきました。
【伊藤部会長】 ありがとうございました。
小林委員、お願いいたします。
【小林委員】 先ほど部会長がおっしゃっていた学士力が使われていないというのは、私がよく言っていることだと思うのですけども、学士力が平成20年、2008年ですので、もう作られて十七、八年経っているのですが、どうもやはりこれが浸透しているとは思えなくて、社会人基礎力のほうは、経済産業省が社会人基礎力コンテストとかを開催して、それを目指して学生や高校生が応募するみたいな形で、かなり浸透してきたのだと思います。この学士力については、これを今回整理していただいて、このような位置づけなのだなというのも理解できたのですが、これを大学のほうでは、まず、例えばDPをつくるときに、この学士力をどう育成するかみたいな議論をしてDPをつくっていらっしゃるのかどうか。これを社会に出た後に、例えば企業や、そういった受入れ側のほう、社会のほうに、どのように学士力というものを発信しているのか、この2点、お伺いできればと思います。
【伊藤部会長】 小林委員、まず、誰に対する質問かを言っていただいたら、その方が答えますので。
【小林委員】 これ、最初のほうはどうですか、伊藤先生にお伺いするのも変ですし、文部科学省でもし分かっていれば、大学のほうでどのように学士力というのをDPつくるときに生かしているのか、把握できているのであれば教えていただきたいですし、そして、これを社会に向けてどのように発信しているのかも文部科学省のほうにお伺いできればと思います。
【伊藤部会長】 では、今、森副部会長が質問に答えると言っていますので、森さんからお願いします。
【小林委員】 そうですか。お願いします。
【森副部会長】 それでは、私のほうからお答えをということではないのですけれども、小林先生も御参加いただいておりますワーキンググループ、今あちらのほうでは、やはり何かジャパン・スタンダードというものがないと、なかなかDPが日本の大学の質というものを担保しづらくなるということから今回このような話も出ているということですので、今できているかどうかということは横に置いても、これからはそうしてほしいという議論になるのではないかなというふうに思います。
以上でございます。
【伊藤部会長】 よろしいでしょうか、小林委員。
【小林委員】 分かりました。あと、この学士力というのが、社会人基礎力みたいに何々力となっていないので、これが力なのか何なのかが見てよく分からないというのも大学の外から見ているとあるのではないかというふうに思うというのが意見でございます。
以上でございます。
【伊藤部会長】 では、松下委員、お願いいたします。
【松下委員】 ありがとうございます。この学士力の資料、資料2-1で、2ページ目のイメージというのはとても分かりやすいなと思います。恐らくこういうふうにちゃんと理解されていないのではないかなというふうにも思います。この図は分かりやすいのですが、ではこれが実際機能しているかといったら、多分、学士力のほうも、学術会議の参照基準のほうも、それを基にDPを設定するというふうに多くの大学ではなっていないのではないかと、今の小林委員の御質問に対して大学側からお答えするとそういうふうに感じています。
というのが、その前の1ページのところで、学士力の定義といいますか、「各専攻分野を通じて培う学士力~学士課程共通の学習成果に関する参考指針~」となっていますよね。先ほど学生によっても得手不得手があるのでというお話もあったのですが、大学ごとに見ても、これが学士全体、日本の大学が授与する学士全体に全て共通すべきものだと、もともと文部科学省も考えておられないのだと思うのですね、あくまで参考指針であると。学術会議の分野別参照基準も参照基準なので、この参考指針とか参照基準というものの意味合いが多分、あえてあまり詰めて定義されていないというか、割と緩やかに解釈できるようになっているのかなという気もしているのですけれども、この参考指針というところに込められた意味合いというのを文部科学省の側ではどういうふうにお考えになっているのか、この際ちょっと確認させていただければと思います。お願いします。
【伊藤部会長】 どなたか。
【石橋大学振興課長】 松下先生、ありがとうございます。文部科学省として、これは大学教育行政をつかさどる担当としてずっと常に考えているのは、やはり大学の教育の内容というものは大学がお決めになることだというふうに、多分平成20年にはさらにそれを抑制的に考えていただろうというふうに思いますので、やはりこの学習成果とか、こういう学士力というものは、本来ならば大学の中からこういうものだということを御説明いただいてやっていくものだろうと思うということが大前提だと思うのですけども、中教審の中で、これを一つ参考とできるのではないかというものをまとめた上で、この参考とか参照とか、そういう言葉を使いながら大学にお伝えしたというのが経緯ではないかと思います。
【松下委員】 ありがとうございます。
【伊藤部会長】 浅田委員、お願いします。
【浅田委員】 ありがとうございます。学士力という言葉をここでもう一度確認しようというのは、非常にいいなと思っています。というか、私自身は、すごく懐かしい言葉として振り返っています。学士力答申が出たとき、大学には結構インパクトがありました。学士に相応しい能力って何、というのを考え直す機会になったのですが、4分野13項目は、結構幅広く、これにどう対応するのか、現場では戸惑った記憶があります。
その後、3つのポリシーをきちんと定めることになって、DPは能力表記になって、その能力表記は抽象的なものではなく計測可能にすることになってきました。そうしたときに、この学士力として書いてある多くの能力は、計測可能なのかという話になってくると思うのです。これを各大学がDPに埋め込んでいこうとしたときに、全部じゃなくても、必要なものをピックアップしながらでも、いわゆる測れる能力ということになってきます。この部会でもワーキングでも、学生の伸びという言葉がキーワードになっていて、どれだけ伸びたかが測れる、それを学生が自覚できるということになったときに、学士力をアップデートするならば、計測可能という考え方を入れた形で再定義して、計測方法もある程度示す形にしないと、本当に実質化していかないのじゃないかなというのが、学士力を再確認したときに思う感想です。
以上です。
【伊藤部会長】 ありがとうございました。
林委員、お願いします。
【林委員】 今のコメントと基本的には同じ方向だと思うのですけれども、学士力を入れて、知識、技能、態度という3つの要素に基づいてDPをつくるのだというのはもうかなり浸透していると思うのですけれども、ただこれは、4分野13項目は項目であって、やはりその水準であったり達成度合いをどうはかるかについての話はここには何も書いていないのですね。そうすると、社会人基礎力も、あるいは先ほどの4ページに初中等のところもありますが、みんな知識、技能、態度とほとんど書いてあるので、では学士力の学士をどの水準だというのは何も実は語っていないと、そういう状態になっていると思っています。
本当は、分野別参照基準は、学士だったらこのくらいの知識、この分野のこの知識を持っているべきだと書いてあるので、あっちをもうちょっとしっかりと参照していただいていたら、そうしたらそれは学士としての、学士学位を保証するような形になっていたのだと思うのですが、そこがうまく機能していないというのが基本的に課題かなと思っています。ただ、やはりこれを一律に当てはめるというよりは、大学において、この項目の下でどうやって測定して可視化していくのかという取組をもっと促していくというのが一つの話だと思います。
それから、ちょっと前もお話しして、ここではなくて大学院部会だった話でしたけれども、やはり修士力、博士力をどうするかというのも一緒に考えないと、先ほどの5年一貫で、では5年一貫で修士まで行くのだといったときに、それは学士とどう違うのだというのをやっぱりはっきりさせていただかないと、さっきも学位の低下とかそういう話がありましたけども、そういうことにつながってしまうので、そこはしっかりしていただきたいというのがまず1点目です。
それから2点目ですが、しばしば学士力とか、こういうのをもう一回考えるべきだという話は、様々社会構造も産業構造も変化してきているし、あるいは様々な地政学的な変化もあって、本当にマクロ、国際的なレベルで見ても対立があって、さらに社会レベルで見ても様々な価値観の対立みたいな状態があって、それがきっと2008年の社会とはまた大分違うので、そこをアップデートしなければいけないという話になったときに、でも恐らく項目自体はそんなに変わらなくて、やはり大学が育成する人材像、育成した人材が一体どこの社会に入っていくのか、どこの産業に入っていくのかと、それをもう一回考え直して、その上で、この項目の下でどのくらいの能力を身につけさせるかというのを再度考えるという、そういうプロセスを促していかなければいけないのだと思いますので、項目自体というよりは、やはり人材像と併せてプロセスと可視化の方法を考えていくというところが必要なのかと思います。
以上です。
【伊藤部会長】 ありがとうございました。
平子委員、お願いします。
【平子委員】 ありがとうございます。先ほど松尾先生おっしゃったことに共感しています。今の日本の大学は入難出易と言われていますが、これから少子化が進んできますと、入難ではなくて入易になってしまうことが想定できますので、学生のばらつきがますます大きくなる可能性があります。その中で個性を殺さず、むしろどう生かすかという観点は必要ではないかと思います。それは学士力の中のどこに位置づけられるのかを考えてみていただきたい。もう一つ、コミュニケーションスキルがこの13項目の中にあるのですが、前回もAIについて議論しましたように、これからの世代は、AI抜きでは高等教育どころか、初等中等教育も語れない時代になってきますと、「日本語と外国語による読み・書き・聞き・話す能力」という表現でいいのかどうか。
申し上げたいのは、AIとのコミュニケーションは人間と話すことと同じだということです。プロンプトのつくり方、レベルによってAIからは全く違う答えが返ってきますので、その反応を見ながら会話のレベルを上げていけるかどうかが肝要です。AIの時代であっても「対話力」に大きな重点が置かれると思います。AIを活用できるできないは対話力のレベルの高低に大きく依存するということです。ということで、コミュニケーションスキルの表現について少し見直してみたらどうかと思います。
以上です。
【伊藤部会長】 ありがとうございました。
では、太田委員、お願いします。
【太田委員】 学士力という言葉遣いは多分、管理者、先生方が持っていることで、学生に対しては、こういうのが大事だからねというふうに言っているわけですが、学生側にとってみると、こういう項目で分野、項目を身につけることはそれなりに意義があるというふうに分かったけれど、実際にそれをどうやって学生はそれに励むかというあたりを、サポートする仕方をどうしたらいいのだろうかと考えています。そして、学生がそこにつぎ込む時間、エネルギーを我々はどうやって見たらいいのだろうかと考えています。最近、学生関与理論という文献を読む機会があり、そこでは、管理者というのは財政的な資源の配分とか蓄積ばっかりに関心があるけども、学生の時間のマネジメント、学生の時間も資源として扱って、それをどうマネジメントするかということも大事じゃないかという部分を読んで思ったことは、我々がつくったプログラムにどれだけ学生が、プログラムだけじゃなくて、サークルとか、大学内のいろんな活動に対してどれだけ学生が取り組んでいるかということをちゃんと把握しないと、多分我々が言う学士力というところには行かないのだろうなと思っています。だから、もう少し学生の行動とか、その辺りの評価、いろいろなプログラムとか、いろんなものの評価もそういった観点で、どれだけ学生たちはエネルギーと時間をつぎ込んでいるのだというあたりをモニタリングするのが大事だと考えています。DPの達成度の伸び方という見方だけでなく、そのような学生活動の見方も必要かなと、考えています。
【伊藤部会長】 松浦委員、お願いいたします。
【松浦委員】 これまでの各委員の御発言と重なる部分があるのですが、松下委員が御専門かと思いますが、教育学ないしは教育に関わって、学力という言葉がマジックワードのように使われて、しかしみんな思っていることは違うということがあります。こういうふうに参考指針として示されるというのは、理念としてはもちろん理解できるのですけれども、やはりこういう「○○力」というのを教育の文脈で提示するとすると、やはり必ずプロセスとペア、どうやってその能力を、何々力を身につけさせるのかという構造的な提示の仕方をしないと、DPでこれを入れろと言われてもなかなか難しいところがあるのかなと思います。
計測可能なものに限るということもあると思うのですが、この中の資質・能力という言葉がいつもペアで使われますけれども、能力は教育によって形成可能かもしれませんけど、資質というのは、もともと持って生まれたり、あるいは学士課程に入る前から備わっていたりということもあると思います。やはりもし学士力というのを今後議論して組み直していくとすると、教育によって形成可能な力とそうでないものとはやっぱり切り分けるというのが、評価のワーキングのほうとの兼ね合いでもいえば重要になってくるのかなと思っていますというコメントです。
【伊藤部会長】 松居委員、お願いします。
【松居委員】 ありがとうございます。学士力、もうほとんどほかの委員の方から御意見が出ていたように、少し今の時代のAIというものとの共存、共生を意識したような能力観みたいなものももっと積極的に入っていていいのかなと。例えば情報リテラシーというのはやや古い感じがいたしますので、この辺りはもう少しAIという言葉を、直接的に使うかどうかはともかくとして、今風の内容にしたほうがいいのではないかなというのは思いました。
それから、問題解決力というのは非常に重要なのですけど、これは多分、4の「統合的な」のところに含まれるのかもしれませんが、むしろ問題発見能力のほうが恐らく重要ではないかなというふうなことを、最近学生を指導していてもすごく強調しているところですので、そのような解決力の前に、やっぱり発見できるかというようなところがもう少し明示的に入ってもいいのかなというふうにも思いました。
それからもう一つは、昨今、VUCAの時代とか、BANIの時代なんて言われますけども、そうすると、論理的思考力というのはもちろん大事なのですけど、やっぱり論理では説明できないような物事にどうアタックしていくかみたいなところもあるので、そういった今まで大事だとされていたいろいろな能力はあるのだけども、それだけではやっぱり解決できないので、そういうふうな、何て言ったらいいのですかね、いい名称はないかもしれませんが、その限界を知っておくということも大事ではないかなというふうに思いました。
もう一つは、能力の測定可能という言葉は、私は非常に危ない言葉だというふうに思っていまして、学内でもやっぱり測定可能とか可視化という話をすると、もうそれは無理だという話になってしまうので、測定というと、どうしても定量化、数値化ということにやはり直結してしまうので、そこにはもう少し間接的な評価も多分含まれましょうから、測定可能という言葉はあまり使わないほうがいいかなというふうには思いました。
以上です。
【伊藤部会長】 まだ、あれば。皆さん、意見。
【森副部会長】 まだもうちょっと大丈夫ですか。
【伊藤部会長】 大丈夫ですよ。では、森副部会長、お願いします。
【森副部会長】 ありがとうございます。今の御指摘、とても重要かなというふうに思います。ただ、全く測定しないということではないのかなというふうに思いますので、測定する努力であったりとか工夫であったりとか、また多面的に評価をする。何か1つのデータだけで物を言うということではなくて、複合的に見るとか、複数人が評価をするとか、そういう意味でやはり努力をするということが重要なのではないかなというふうに思っております。
また、この学士力ですけれども、事務局にそれこそ、これから見直すという話でしょうか。それとも、もうこの項目……。
【伊藤部会長】 状況を把握する。
【森副部会長】 状況把握ということですね。まず状況把握ということですので、ぜひ、この後のワーキンググループの活動にも直結いたしますので、よりよいものをということでお願いをしたいというふうに思います。
また、1つ質問なのですけれども、頂いた資料の2-3の一番裏側のST比のところです。これは多分、学校基本調査から取っておられるということなのですけれども、結構私たちのイメージと違うので。ST比です、大学が公表しているものと若干違うイメージが。それで、「その他」だけが物すごくST比が高くなってしまっているように見えるのですけれども、教養学、総合科学みたいなものがST比が高いというふうに見えてしまっていいのかな。この辺はやはり皆さん参考にされる資料なので、この辺は何か、あるデータの中ではこうですよということなのか、これを文部科学省として出されるのでいいのか、この辺はどうでしょうか。
【伊藤部会長】 では、これは後ほど確認で。
どうぞ、寺坂さん。
【寺坂高等教育政策室長】 このデータにつきましては、学校教員統計調査で出されている、各大学からいただいたものを集計したものの本務教員の数というところを学校基本調査の学生数のベースで割ったものということでございますので、本務教員という形であればこうでありますけれども、実際、例えば兼務の方とかも含めてみると、また違うというようなところはあるかと思います。
【森副部会長】 その他の分野がこんなに高いという、これは平均値ですかね。
【寺坂高等教育政策室長】 そうですね、これはその他の中で、各大学が分類して出されているものでございますので、こういういろいろな融合分野、個別の、例えば医学とか工学だけにとどまらないような、例えば理工とか、そういったこともその他というような形で分類されれば、そういった形で含まれているということになります。
【森副部会長】 ありがとうございます。数値上はそうだと思うのですけども、これを見ると、その他分野が物すごくST比が高い学士課程にちょっと見えてしまったので、大丈夫かなと思っただけです。ありがとうございます。
【伊藤部会長】 おおよそ時間になりました。この部会の目的は、「知の総和」答申、つまり、要は若者が激減していく中においてどうやって我が国の総力を高めていくかということを考えたときに、大学におけるあらゆる――どのようにはかるかは別にしても――能力を高めていかないと、知の総和はどんどんどんどん減っていってしまう。人口が減少しますから、みんな一人一人の能力が同じまんま人口が減少していくと知の総和は減ってしまう、それを何とか回避して、知の総和を高めていきたいというところからスタートしています。そういう意味では、非常に上の、例えば上をひたすら伸ばせばいいわけではなく、よい意味でもボリュームゾーン、またさらに全員が伸びていくような形をつくらなければいけないということで、そのための質保証や、そのための質向上ということを議論していくというのがこの部会の目的であります。
というわけで、これまでこのような形で学士力というのは定義してきたのですけども、今日、小関さんから説明があったように、College of Designとか、様々な新しい試み、多様性というものも出てくることはとても大切ですし、あらゆる手段を使って知の総和を増やしていくということで今議論がされているのだと思います。計測可能か不可能かということはもちろんいろいろ議論があるのですけども、私、先ほど太田委員がおっしゃった、実際に見ているかどうか、これは非常に大切なことであって、子育てにおいても、子供にいろいろ口出しするかは置いておいても、子供の行動をしっかりと観察しているかというのはとても大切なことだと思うのですね。ですからみんな、その内容、自分たちの大学、自分たちの学部が行っていること、そして学生たちが、先ほどサークル活動も含めたとおっしゃっていましたけども、キャンパス活動という範囲の中で学生たちが何をしていて、それをさらにどうやって高めていけるかということをまず観察して把握していないと、もう全くそれを伸ばすことはできないと思いますので、ある意味、数値的に説明するということも、可能であればそれは大切なのですけども、それ以上に大切なのがやはり説明できるかどうかということだと思いますので、こういう形で、今こういう現状なのだけども、これをこういうふうにしていきたいということが説明できるかどうか。そして、自分たちの現状がほかの大学と比べてどういう立ち位置にあるかということが説明できるか、自分たちの大学の特徴、そして最低限はこういうことで保証していますということをDPにも絡めて説明できるかどうか、これが全てなんじゃないかというふうに思っていますので、その説明に対して聞いた人たちが納得できるかどうかというのは結構重要なことなのではないかというふうに思っています。
あらゆる意味で知の総和を高めていくということを私たちは責任を持っているということで、今回の議論は、現状把握の上でさらに進めていくということでございますので、本日も熱心な議論ありがとうございました。
本日の議題は以上となりますので、最後に次回の開催日程について事務局から説明をお願いします。
【花田高等教育企画課課長補佐】 本日は活発な議論をいただきまして誠にありがとうございました。次回の部会は11月18日火曜日14時から、ハイブリッド形式での開催を予定しております。本日御発言できなかった内容がございましたら、事務局まで御連絡ください。
以上でございます。
【伊藤部会長】 以上で本日の議事を終了します。活発な議論ありがとうございました。以上でございます。
―― 了 ――