令和7年8月21日(木曜日)14時00分~16時00分
WEB会議
(部会長)伊藤公平部会長
(副部会長)森朋子副部会長
(臨時委員)浅田 尚紀、太田 寛行、大野 博之、小林 浩、田中 正弘、濱中 淳子、林 隆之、日吉 亨、平子 裕志、松居 辰則、松浦 良充の各委員
(事務局)合田高等教育局長、先﨑大臣官房審議官、松浦大臣官房審議官、安井高等教育企画課長、石橋大学振興課長、佐藤高等教育局参事官(国際担当)、鈴木大学設置・評価室長、石川地域大学振興室長、遠藤専門職大学院室長、花田高等教育企画課課長補佐、太田高等教育政策室室長補佐ほか
【伊藤部会長】 定刻になりましたので、第4回質向上・質保証システム部会を開催いたします。本日も対面とウェブのハイブリッド開催とし、ユーチューブライブにて公開いたします。会議資料、音声など準備はよろしいでしょうか。
では、初めに当たり、事務局から連絡事項をお願いいたします。
【花田高等教育企画課課長補佐】 失礼いたします。本日は会議を円滑に行う観点から、御発言の際は挙手のボタンを押していただき、御指名されましたら、お名前をおっしゃってから御発言いただきたいこと、また、御発言後は再度挙手のボタンを押して、表示を消していただきますようお願いいたします。
本日の会議資料は事前にメールでお送りしているとおりでございますが、会場のiPadには、本日の会議資料をチャットにてURLでお送りしておりますので、紙の資料と併せて御活用ください。
また、事務局に人事異動ございましたので、御紹介させていただきます。
7月15日付で、合田高等教育局長、先﨑大臣官房審議官、松浦大臣官房審議官、安井高等教育企画課長が就任しております。
事務局からは以上でございます。
【伊藤部会長】 ありがとうございました。
では、早速、議事に入ります。まずは、議題1「教育・学習の質向上に向けた新たな評価の在り方ワーキンググループ議論の整理」です。
まずは、事務局から説明をお願いいたします。
【鈴木大学設置・評価室長】 大学設置・評価室長の鈴木でございます。よろしくお願いいたします。資料1-1と1-2でございますが、主に資料1-1を使って御説明させていただきます。
まず、本ワーキングでございますけれども、4月24日の本部会の決定を受けて設置されたものでございまして、本部会から森副部会長、浅田委員、小林委員、林委員、松浦委員に御参画いただきまして、5月12日の第1回開催から約3か月間で6回の審議を行ったところでございます。認証評価を実施している機関別認証評価機関、分野別認証評価機関、認証評価を受審する高等教育機関の各種団体、高等教育等接続という観点から高等学校関係者、経済団体からも幅広く意見をいただくとともに、委員の皆様からの意見を踏まえて今回の議論の整理をまとめたところでございます。
では、内容につきまして御説明させていただきます。資料1-1を御覧いただければと思います。大きく第1部と第2部に分かれているところでございます。第1部につきまして、新たな評価の基本的な考え方でございます。左上でございますが、認証評価制度の現状と課題ということでございまして、認証評価制度、導入から20年経過したところでございますけれども、これは各高等教育機関の努力と認証評価機関における様々な工夫・改善で、内部質保証システムという導入はかなり進んだのではないかと考えているところでございますが、ただ、一方でヒアリングであったりとか、これまでの答申とか報告書において様々な課題も指摘されているところでございまして、今回3点に課題をまとめさせていただいたところでございます。
1でございますが、社会的機能の再確認の必要性ということで、社会からの期待は「教育の質」を明らかにすることで、複数の評価基準等によって評価結果の分かりづらさが生じているのではないかということ。
2つ目でございますけれども、いわゆる評価の確認事項が多いということ、負担感と十分な動機づけがなされていない等の徒労感ということで、なかなか評価の負担というものが大きいのではないかというのが2つ目。
3つ目でございますけれども、いわゆる内部質保証の意義の浸透ということでございまして、いわゆる高等教育機関全体の改革にはつながったところでございますけれども、いわゆる学部・学科、学生の学びと成長に寄与するカリキュラム改善まで至っていないのではないかという課題が指摘されたところでございます。
その上で、その右でございますけれども、「新たな評価」への転換ということで、これから教育の質を不断に見直すことが必要であるということと、高等教育機関が自ら行う活動を継続的に点検・評価して質の保証を行うということと併せて、絶えず改善・向上に取り組む、いわゆる教育の改善が必要だろうということで、教育の質と教育の改善を内部質保証と現行の認証評価制度の見直し等を通じた第三者評価で確認する「新たな評価」へ転換することが必要ではないかということをまとめさせていただいたところでございます。
その上で、改革の方向性として3点挙げさせていただいたところでございます。1つ目につきましては、学修者本位の教育を引き出す評価制度の構築ということで、いわゆる学位を授与する過程で3ポリシーを基盤とする教育成果と学生が在学中にどれくらい成長したかについて、いわゆる学生自身の成長実感やステークホルダーによる評価により可視化して、その結果を踏まえて各高等教育機関において教育改善が進められているかという観点から評価すべきだということが1つ目でございます。
2つ目でございますけれども、社会に開かれた高等教育機関の質保証及び質向上の実現ということで、やはり高等教育機関はこれまで以上に自ら行う教育活動に対して社会からの理解と支持を得るというためには、社会に理解されやすい形で「新たな評価」の結果というものも公表される仕組みが必要ではないかというのが2つ目でございます。
3つ目でございますけれども、いわゆる効果的かつ効率的な評価の実現ということで、教育の質を測るということは必要でございますけれども、それを実現するために真に必要な項目に厳選して、データベースを積極的に活用するなど、いわゆる指摘いただいた徒労感とか負担感の解消のための評価制度の抜本的な見直しを図るべきではないかということが大きな方向性の3点でございます。
この方向性を踏まえまして、裏面でございますけれども、第2部ということで新たな評価制度の基本的な枠組みにつきまして、評価の主体、評価対象、評価の視点、評価手続、あとは公表の在り方という5点で、大きい方向性をより具体化する形で今の議論の整理をまとめさせていただいたところでございます。
1番の評価の主体でございますけれども、いわゆる現行の認証評価機関は16機関ございますので、各評価機関、それぞれ大学教員とかを中心とした評価委員会による定性的評価(ピア・レビュー)を基本として実施しているところでございます。それを維持した上で産業界とか、高校関係者の参画を促進したり、学生代表者の評価への参画も検討してはどうかということ。あわせて、評価機関が複数存在するということでありますので、評価の基準・観点のばらつきをなくすために調整組織の設置を検討してはどうかということ。
評価機関に対して認証を与えた文部科学大臣が、評価が適正に行われているか確認するシステムを設けることも必要ではないかということが指摘されたところでございます。
2ポツ目の評価の対象でございますけれども、学生が学修成果を上げられているかという点の可視化を重視するのであれば、学位の分野に基づく学部・学科、研究科ごとの教育の質の評価を重視する制度の設計を引き続き追求すべきではないかということが指摘されているところでございます。
3ポツでございます。評価の視点でございますけれども、1つ目のところでございますが、「新たな評価」では、養成すべき人材像やディプロマ・ポリシーに照らして学生が必要な学修成果が上げられているかという点を可視化して、それが教育改善に活用されているかという点を評価の中心に据えていくと。この観点からの評価に注力できるように検討してはどうかという形でございます。
その上で、じゃあどういう項目、指標を使っていくかというところですけれども、ここについては共通化を図った上で、具体的な評価基準・項目、指標等のモデルを示すことを引き続き検討するということでございます。
3つ目でございますけれども、学修成果の可視化というものにつきましては、成績等の直接評価と学生アンケート等の間接評価の双方の観点で行う方向で検討してはどうかという形を指摘いただいているところでございます。あわせて、国際的な評価や先行している分野別評価については、「新たな評価」との関係性を整理して、これまでの取組が損なわれないよう検討するということと、「新たな評価」制度につきましては、各高等教育機関が将来を見据えた養成すべき人材像、それを含めてDPに照らし合わせて学生が在学中に必要な資質・能力を見つけることができたか、そういう学修成果を評価することになりますので、いわゆる社会の変化、地域のニーズの変化も伴いまして、現在、各高等教育機関が掲げているいわゆるディプロマ・ポリシーの再検証もより具体的かつ十分なものとなっているかということを実施してはどうかということが議論の整理の中ではまとめているところでございます。
4番目でございます。評価の手続でございますけれども、まず、1つ目でございますけれども、これは評価の結果についてでございますけれども、これにつきましては、より詳細に補足いたしますと、大学を初めとする高等教育機関の役割というのは、いわゆる学生の資質能力を最大限伸ばすと。社会の原動力の人材を育成するということになりますが、現在はいわゆる偏差値とか立地等に逃げていた、必ずしも各教育機関のいわゆる教育の質とは直接関係のない価値判断で社会的評価とか進路選択が行われているということが現状でございます。この現状を打破するために教育の質を分かりやすく評価・発信することが必要であるということ。
各高等教育機関で高く評価された先進的取組・課題を把握しやすくすることで、いわゆる自己改革・自己改善の取組が進むということで段階別の評価の導入を検討してはどうかということでございます。なので、ちょっとここ、「分かりやすく、かつ、改善につながる」というところを今補足させていただきました。その上で、自己改善につながる評価、いわゆる絶対評価にすることを検討してはどうかということでございます。
評価の手続の効率化につきましては、先ほどもちょっと出ましたけれども、いわゆるデータベースの構築・活用を検討した上で、現在、細目省令で認証評価につきましては実地調査が義務化されておりますが、その実施義務を撤廃して、一定の条件下のみの実施の方向で検討してはどうかということでございます。
5.評価結果の公表・活用でございますけれども、評価結果を分かりやすく社会にアピールするということも含めて一元的に公表して、公表内容やフォーマットは統一するということ。評価結果については、国の政策に活用するということや、インセンティブを検討してはどうかということが現在の議論の整理でまとめられているところでございます。
もちろん、現在まだ議論の過程でございますので、「知の総和」答申の方向性を踏まえた上で大きい方向性を議論いただいたと思ってございます。引き続き、この大きい方向性を踏まえながら、より具体的に新たな評価制度をどうしていくのかということをこの秋以降、検討いただきたいと考えているところでございます。
私からは以上でございます。
【伊藤部会長】 ありがとうございました。この部会の副部会長であります森さんがワーキンググループの座長も務めてくださっていますので、森副部会長からも紹介をいただければと思います。
【森副部会長】 ありがとうございます。ワーキンググループ長を務めております森でございます。これから委員の皆様に御意見を伺うことになりますけれども、その前に、短い期間に熱い議論をいただきました副査の浅田委員、小林委員、林委員、松浦委員に、ほかワーキンググループの委員の方々にお礼を申し上げます。そして、突貫工事でおまとめいただきました事務局にも厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。
4月にこの部会からミッションをいただきましてワーキンググループが立ち上がり、そして認証評価を中心とした新たな評価の在り方を検討するというものが今展開されておりまして、今回このような形でまとめさせていただいたということになります。その根幹には、「知の総和」答申にありますように「学生一人一人の能力を最大限に伸ばす」、というところに尽きるのかなと思っております。すなわち、教育、研究、社会貢献という、大学は本当に多岐にわたったミッションを持っている中で、今回は特に社会のニーズを受けて人材育成機能を強化する、イコール教育の質の向上が非常に重要だということだと思います。これは国公私に限らず、短期大学、大学、または高専も含めてそのようなミッションを持っている。つまり、学生を有するところは全てこのミッションを持っているということだと思います。
ここを向上させていくということ、その理由は非常に簡単で、生成AIを中心とする目まぐるしい社会の変化に大学が取り残される可能性があるという危機感を非常に多く持っているということになります。学生が生きていく社会というものは、私たちが経験したことがないものでありまして、大きな違いがあるということを想定しております。もちろん、いつの時代でも普遍的な教育があるということは前提になっておりますけれども、でも学生が社会に出たときに、自分の学びと成長はまさに大学の時代にあったと、そこが基盤になっていると思ってもらわなければ、大学は人材育成という社会的機能を失うことになってしまうのではないかと危惧します。だからこそ、今、日本全体で近未来を見据えて、大学は養成する人材像や大学のミッションを再定義する、ということが必須です。そして、学生がそれらを達成するだけではなくて、成長したと思うような実感を持つ学生中心のカリキュラムの構築をお願いしたいと思っております。
そして、先ほど室長からもお話がありましたように、その際に重要なのは学修成果の可視化だと思っております。上述の大学の教育に関する努力や開会の結果が学修成果の可視化として現れると思っておりますが、これまでのように内部質保証のエンジンとして機能するだけではなくて、生徒を送っていただいております高校や、あとは学生が巣立つ社会にその学びの質や伸びといったようなところをお示しすることで、大学の社会機能を高められるはずだと思っております。
これらは決して楽な作業ではございません。先ほど負担感や徒労感という話もございましたけれども、そういうものはできるだけ少なくするということを前提にしながらも、今こそ今一度、真摯に教育に向き合い、現在のカリキュラムの総点検を行う、そういう時期が来ているのではないかと思っておりますし、今回の認証評価の改革は、今こそ私たち大学が学生のためにこれらに取り組むきっかけになったらいいなと思っております。ぜひ活発な御議論をお願いしたいと思います。
私からは以上でございます。
【伊藤部会長】 ありがとうございました。私も認証評価についてはいろいろな人から質問されて、よく考え方が混同していることが多くて、認証評価イコール大学として認められるかどうかということを勘違いしている方もいらっしゃいます。ですから財務状況とか、教員の数とか、それから実際に公的、いわゆる公益法人としてしっかりできているかとか、そういった全体を見られているというふうに勘違いされることがあるんですけれども、基本的にはそういうことではないというのが今回の大きなポイントなんじゃないかなと思っているところでございます。もちろん、寄附行為とかに基づき、例えば私立大学であれば私立大学、国立大学であれば国立大学、公立大学であれば公立大学、それぞれの法律の下でしっかりとした高等教育機関として、ていをなしているかどうかはしっかりと調べられているわけでありますけれども、それとは別の次元で質の向上、教育の部分ということをどうするかということで、今回、質保証というよりか、質向上を相当意識した議論をワーキンググループがしてくださっているということであります。
その中で、今まで徒労感というのが過去にあったとすれば、一番の徒労感の原因は評価者たちがコメントしたことに対して、評価している機関がそれに基づいて向上している感覚があるかないか。つまり、自分たちが一生懸命評価して、それに対してこういうコメントをしたんだけれども、それに対して、自分たちが前向きにコメントしたことが、その対象機関にとってよいことだと、だったら頑張ろうと言ってそれによって伸びているかどうかということが実感できるかどうかというのが、多分一番大きなポイントだったんじゃないかと思っています。それがないと、本当に形だけの認証評価になって徒労感というものを感じるということだと思いますので、そういう意味では、今回、質向上というものに相当力を入れて、皆さんに議論、ワーキンググループでは議論されてこられて、そしてできれば評価者の方々にも徒労感ではなく、貢献してきた満足感が得られるような寄与ができるような、しかも、それほど複雑ではないシステムにしたいというのが目的だと思いますので、そのような観点から、本日、御出席の部会の方々から今回の整理の概要につきまして御意見をいただければと思います。どなたからでも構いません、よろしくお願いいたします。
では、太田委員、お願いします。
【太田委員】 改革の方向性、3点、本当に私は賛成です。特に大事なのが2番目の社会に対する評価制度の認知度だと思います。徒労感というのは、内部だけの作業という感覚から生じるもので、頑張ってやったけど、それがどういうふうに社会に対してアピールできているかどうかというところにつながる必要があると思います。特に高校生、それから卒業して、その後の社会、産業人の方々がどれだけ評価システムを認知してくれるかが非常に重要だと思っています。
私は、夏になると、毎年、高校を訪問したり、それから学長室に高校生に来てもらって大学での学びということについて説明しているんです。何を説明しているかというと、ディプロマ・ポリシーというのがあって、これをどういうふうに卒業までに達成していくか。それが大学での学びなんだよという、そこでそういうことを説明しなきゃいけない、今の状況なんですね。それを何とか改善するようにしないと、高校側もどういうふうに大学がそういうシステムを持ってちゃんとやっているか。それをこういう評価システムによってそれをちゃんと認知してもらうということは非常に重要だと思っています。この改革が単に大学内部に閉じるんじゃなく、社会の中にさらにアピールできるような、特に高校生ですね。高大接続というのは入試の観点だけで見ているけれども、その観点の中にどうやってその大学が学生を伸ばすようにしているかどうかというのをはっきり示すということは非常に重要だと思うし、この内容で進めていくことは、私は頼もしい、うれしい限りだと思います。
以上です。
【伊藤部会長】 ありがとうございました。
オンラインで田中委員、よろしくお願いします。
【田中委員】 私からは2つ提案させていただきます。まず、1つ目は評価の主体、誰が評価するのかに関しまして、概要版の2ページの評価の主体のところに「学生代表者の評価への参画も検討する」という一文が加えられたことを、高く評価したいと存じます。ただし、この一文では不十分だと思います。この一文のままでは、例えば既存の学生と学長の懇談会などで学生の意見を聞くだけでよいと受け止める大学が多く出てくると予想いたします。それでは何も変わらないおそれがあります。
懇談会のよくないところは、学生の改善意見を実現するか否かの決定権が学生に与えられていないため、教員側の一存で全て決められてしまうことです。学生の意見がその後どのように扱われたのかについて、学生側に伝えていない機関も多いと思います。そこで提案なのですが、新たな一文として、「評価委員会の委員として学生代表を教職員と対等な立場で参画させることを検討する」、こういう一文をぜひ書き加えていただきたいと存じます。この点について御議論いただけるとうれしいです。
2つ目ですが、評価手続、どのように評価するかに関しまして、評価手続の効率化のために、リスクベースド・アプローチの採用を提案したいと存じます。リスクベースド・アプローチとはイギリスの評価で用いられている手法で、リスクの高低に応じて評価手続の負担にグラデーションをつけるというものです。イメージとしては、運転免許証の更新に近いものです。ゴールド免許証の更新は簡易で、その更新料も安く、免許証の有効期間も長いです。その一方で、違反運転者の免許証の更新講習は時間が長く、費用も高く、かつ免許証の有効期間も短くなっております。
大学の評価も同様に、段階別評価を次のサイクルで採用するのだとすれば、その評価で最も高い評価を受けた機関に対しては、適格認定の有効期間を例えば長くしたり、次の評価は簡便化したり、費用も減免したり、そういうことも考えられると思います。あと先ほど出てきた実地調査を免除するということも考えられます。評価で高い評価を受けるインセンティブになりますし、この点に関しましても議論していただけたらうれしいです。
私からは以上となります。
【伊藤部会長】 続きまして、オンラインの松居委員、よろしくお願いします。
【松居委員】 よろしくお願いいたします。私が気になっているのは、可視化という言葉が幾つか出てくるのですけれども、能力の可視化と言ったときには、可視化の対象になるようなところに、逆に限定されてしまうというふうな嫌いがあって、ここで恐らく議論があったのではないかと思いますが、なかなか可視化しにくいような能力というのが実はもっと大事だったりする。昨今は非認知能力なんていうことも言われますけれども、そういったものなんかをこういった可視化という考えの中で扱えるのかどうか。いわゆる対象にする能力の範囲というのはどうなっているのかなというのが、少し疑問に思った点が1点です。
もう1点は、この議論とは関係ないのかもしれませんけれども、いくらこうやって内部質保証のことを頑張っても、もう少し外側の仕組みの影響というのはどうしても受ける。すなわち、今で言うところの就職活動のようなものがあって、学生諸君はもう3年生、私の学部では3年生からゼミに入ってくるのですが、入ってくるなり就職活動、それに向けてのインターンシップで奔走して、ほとんど研究活動ということに注力しないという2年間を過ごすというふうな現状があります。すなわち、大学の中だけの話ではなくて、外側との関係というのをいかにこれから改善していくのかという議論もセットなのではないかというふうな印象を受けております。ただ、これは今回のワーキンググループの皆様の議論とは別のところにあるということは重々承知しておりますけれども、外側との関係というのを整理していかないと、新しい評価の仕組みというものの実効性が伴わないのではないのかな、少しそういう危惧を持っております。
私からは以上です。
【伊藤部会長】 ほかの方、いかがでしょうか。ワーキンググループの方も含めて、平子委員、お願いします。
【平子委員】 ワーキンググループの取りまとめ、非常に参考になります。ありがとうございました。方針については全面的に賛成ですが、細かなことでいくつかちょっと聞いていただきたいと思います。
1つは、このペーパーに沿って話しますと、概要2の中の最初の項番1の2つ目のポイントに「評価の基準・観点のばらつきをなくすための調整組織の設置を検討する」とあります。このまま読んでしまうと、何か基準や観点を統一するようなイメージが湧くのですが、これからの時代は、評価軸はもっと多様であるべきだと思っていますので、そういう意味に解されないような表現に変えたほうがいいのではないかと思います。ここで言うばらつきとは恐らく評価が甘いとか辛いとか、そういう意味ですよね。
【森副部会長】 それも含めてだと思います。
【平子委員】 評価軸は多様であるべきだということを、ぜひここで述べておいていただきたいということと、そのために調整組織を設置するのは屋上屋のような感じがします。AIを使ってできないのかなと感じました。
それから、項番2の学部・学科、研究科ごとの教育の質の評価は、私も賛成なんですが、それぞれ縦割りを助長することになりはしないかと心配になりました。それを補う仕組みをぜひ必要、入れていただきたいと思います。
項番3番ですが、3番目の学生アンケート、これも私は大賛成なんですが、学生だけでいいのか、教員・職員はどうなのかと。彼らはどう評価しているのか、そのような声を拾うような仕組は必要ないのかと感じています。
国際評価や国際認証も大事になってくると思います。それが新たな評価との関係性を示していると思うんですが、これに加えて、環境が変わっていく中で、生涯学習ができる環境をどう整えていくのかということも必要になってきます。企業も変わっていきますし、それに伴って学ぶべき中身も変わってきますので、大学を卒業したらおしまいということではなくて、大学も生涯学習を提供できるような仕組みが必要なのではないかということをぜひ明記していただきたいと思っています。
最後、項番5番ですが、公表内容とかフォーマットは統一するということですが、分かりやすさの点からはいいと思うのですが、画一的な表現にならないようにお願いしたいということです。これから先はむしろ大学ごとの多様性が問われますので、その多様性を表現できるようなものにしたらいいと思います。評価が目的化してはいけないと思っていますので、この評価を使って、学生が学修成果をどう感じ、それに伴って大学がどう変わっていくかということだと思います。最初の1ページ目の改革の方向性の一番下の(3)にある、データベースの積極的な活用は、まさにAIを活用することにほかならないと近いしていますので、アカデミア専門の生成AIを国家レベルで作ってみてもいいのかな、と感じました。
以上です。
【伊藤部会長】 日吉委員、お願いいたします。
【日吉委員】 ありがとうございます。それでは、私のほうは第2部のほうの1.評価の主体【誰が評価するのか】というところの視点から意見のほうを述べさせていただきます。私も全体的な方向性としては大いに賛同したいと思っています。資料をあらかじめ見させていただいて、お話も伺ったんですが、実は埼玉県でもほぼ同時期、20年ほど前からやはり似たようなことを県立学校、高校と、あと特別支援学校、あと一部中学校もあるんですが、県立学校を対象に同じような評価をやっております。その中で第三者評価というのも実はやってきて、今ちょっとそれをやめてしまったんですが、そういった中で私も関わってきた面がございまして、やはり似たような課題が大学においても生じていたんだなというのはよく分かりました。
そこで今回、多面的・多角的な評価という観点から、産業界の方であるとか、高校関係者等の参画というものを促すというようなところについては、私もそのとおりだなと思うんですが、1点だけ懸念といいますか、心配があるのは、結局この評価を誰がやるのかということもあるんですが、それと同時に期間というか、労力をどのぐらいこれに対してかけるのかという問題があります。
実は、埼玉県で第三者評価をやっていたのは、3年サイクルで第三者評価をやっていたんですが、1年目と2年目にそれぞれ1日ずつ学校を訪問して、見て、そして3年目に評価を出すというような形を取っていたんですが、なかなか、やはり外部から評価をしていただく際に、学校に1日だけ行って、そしてそれを見て評価するというのは、どうしても評価委員さんのほうから見ると、他人の家に土足で入り込んでいくような、そのような感覚をどうしてもお持ちになってしまうようで、なかなか踏み込んだ物の言い方もしづらい面がございました。そして、お忙しい方もたくさんおられるので、その中でどのぐらいそれに対して時間を取れるのかというようなところの視点も一つあるのかなと思います。ですから、ある程度ゆとりを持ってしっかり大学の中を見られるような、そういうことも重要なのかなと思っています。
もう1点は、先ほど会長がおっしゃられたコメントで、向上している感覚が実感できるかという話なんですが、まさしくそのとおりで、今のお話とちょっと関連してくるんですが、ある程度ゆとりを持ってしっかり見る覚悟が第三者委員のほうにないと、なかなか踏み込んだ表現がしづらい。そうすると、逆に抽象的な物の言い方になってしまって、なかなか相手に伝わりにくいというような内容もありました。ですから、そこのところをやはり評価をしっかりやっていくというのであれば、ある程度いろいろなゆとりを持って制度設計をしていく、こういうことが必要なんじゃないかなと思います。
ちょっと長くなりましたが、以上でございます。
【伊藤部会長】 ありがとうございます。
では、濱中委員、お願いします。
【濱中委員】 ありがとうございます。今、日吉委員からも評価者の話が出ましたけれども、私も申し上げたかったのはその評価者のことになります。今回、「学位の分野に基づく学部・学科、研究科ごとの教育の質の評価を重視する制度の設計に」とありますけれども、この切替えは、要は評価をする単位が膨大に増えることを意味するかと思います。
現在の評価について、すでに評価される側の負担感とか徒労感といったキーワードが出ていますが、これが各学部・学科、研究科でなされるようになると、今度は評価者のほうの負担感、徒労感ということも大きな課題になる気がいたします。大学の教育は、言うまでもなく専門性が高く、やはり評価をするためにはある程度の知識だったりとか、経験だったりとか、そういうことが必要になることを考えますと、評価できる人間も限られてくるはずです。学生だったりとか、産業界だったりとか、高校関係者の参画を促すというのは、これはとてもすばらしいことで、多様な意見を含めていくことは大事なんですけれども、一方で、大学はかなり制度などに縛られながら、縛られているというか、枠組みの中で動いているところがあります。その知識がないままにいろいろ意見を言われますと、現状の説明、文脈の共有を行わなければならず、そういったところも含め、今回のこの切替えは、数が膨大ということと同時にやらなければならないことが増えるように思えます。そして評価ができる関係者は、おそらくすでに本業の授業、研究、学内業務で手いっぱいというところもあり、この辺りの議論を今後深めていっていただけたらなと思います。よろしくお願いいたします。
【伊藤部会長】 ほかにはいかがでしょうか。
では、大野委員、お願いします。
【大野委員】 大野です。ありがとうございます。まずもってワーキンググループの先生方、大変お疲れさまでございました。しっかりとまとめていただいたと思います。その上で、拝見して、私も短期大学の認証評価の制度に携わったという立場から幾つか申し上げたいと思います。課題の整理はまさしくこのとおりと思いますし、現状、幾つか問題があるのも私も承知しています。その上で、新たな評価への転換ということで教育の質に着目しているのはとても大事だと思いますが、認証評価の団体でも機関別評価というのは、そもそも事前規制から事後規制という、そういう文脈の中で使われてきたことですので、教育の質は次のレベルだねということで分野別評価をすべきだという議論はかなり昔からございました。
短期大学の例ですけれども、アセスメントテストと言われるような客観的に学生の学修成果の質を測るのが全ての分野において備わっているわけではなく、例えば保育の分野でいうと、そういうのはないんですね。埼玉県では短期大学の関係者が集まって、自分たちでそういうものをつくろうと。ベンチマークでどれだけの自分たちが成果を上げられているかというものをやろうというふうに取組をしています。ちょっと戻して、現行の認証評価制度においても分野別に近い取組は既に行われております。というのも全く関係のない分野の先生が認証評価に携わっても、多分、教育内容については見ることがかなわないんですね。ということで可能な限り分野の先生方に集まってもらって、当該短期大学の教育の質について見てきたと。ですから、機関別評価はしっかり残して、分野別というのを発展させるというような考え方もあるのではないかと思います。つまり、転換という文字から伝わってくるのは、この20年やってきたことが何か、確かに課題はあるんですけれども、全く変わってしまうというイメージになってしまうと、関係者の人たちの力がそこに結集しにくくなるんじゃないかという問題意識です。教育の質については今申し上げたとおり、分野別というものをしっかりと追求していくということが必要じゃないかということです。
もう一つ、負担感、徒労感に関してですが、これもタイプにもよるんでしょうけれども、かなりマニアックになって、そういう方もいらっしゃいますし、そうなるとどんどんそこに入り込むという話ですが、もともと機関別評価でいうと、ミッションドリブンのように大枠でちゃんと方向に向かっているかということだけ押さえてあれば、あとは教育の質についてはしっかりと別の分野で見ていこうということを考えたときに、今、テクノロジーが発展していますので、どんどん合理化を図っていくことは大賛成です。他方、いろいろ大変な思いをしながら評価活動を通じて、実は評価委員の方々が育っているといいますか、評価活動を通じて、教育の仕組みを変えていくエンジンに育ってきたというのがこの20年だと思います。ですから、全部シンプルにしていくということですと、人が育つというような要素も奪ってしまうおそれがあるということですので、やっぱりケース・バイ・ケースで評価を通じて人を育てていくということも必要ではないかと思います。
最後にもう1点ですが、改革の方向性の中で社会に開かれたということで、やっぱり情報公開、公表は非常に大事だと思います。大学、短期大学、高専、それぞれ教育機関としてはアカウンタブル、つまり、きちっと説明を果たすという責任を負っておりまして、既に教育情報の公表等々いろいろなものがありますけれども、それが外部から分かりづらいという指摘があるということを考えると、評価とはまた別にそういったことをきちっと整理するというだけでも自らが社会にちゃんと説明責任を果たしていくということが言えるんじゃないかと思います。
以上、教育の質については分野別でやっていただいて、それから徒労感等々ありますけれども、やっぱり人を育てる。あとは各教育機関が自らというところで、ぜひこれまでの取組を尊重しながら新しい方向に向かっていくという、書きぶりにしていただけると大変ありがたいと思いました。
以上です。
【伊藤部会長】 太田委員。
【太田委員】 結局25年前の廣中レポートに戻っちゃうんですけど、教員中心から学生中心の大学にするんだ。この25年かけて、どこまで学生中心の大学にできたか。それを多分、そこをチェックするのが、例えば認証評価もそういうような観点からやるべき方向に変わってきた。今回そういうものが出ていると思うんです。やっぱり徒労感とか、そういうのは教職員側の感覚、学生、学修者は別に徒労感とか、そういうことは関係ない。彼らがどうやって学びをちゃんと伸ばしていくかということ、それに対して我々は客観的にどうやってちゃんと測ってちゃんと把握するかということが大事。その過程においてどれだけ負担感というのをなくすことは大事でしょうけれども、まず、伸びをどうやってちゃんと測って我々は理解して、その後どういうふうに改善していくかということの仕組みをちゃんとそれぞれつくり上げていくということなんだと思うんですけれども、あまり徒労感とかそういうことは、それは次の話だと思いますので、まず、ちゃんとした仕組みをつくろうという。
いつもちょっとこういう冊子を、私、本学は持ち歩いているんですけど、アンケート、学修者から学び、学生自身がどれだけ伸びたかという評価するとき、ディプロマ・ポリシーの要素、能力に基づいて毎学年終了時、例えば世界の俯瞰的理解という要素・能力はどれだけ身につきましたかというのを、全部の学生から聞き取って、4年生になるにつれてだんだん上がっていくことを確認しています。それから就職先にも、うちの卒業した学生は、就職先でも身についていますかね、と聞いています。それから学生自身が3年後にどれだけ活用しているかを聞く。それはルーチンでちゃんと仕組みをつくれば、それほどあまり徒労感もなく、それなりにできていくはずなんです。だから、そういう面でそれなりの仕組みをちゃんとつくれば、あとはいけるんじゃないかと思います。
以上です。
【伊藤部会長】 ほかいかがでしょうか。ワーキンググループのメンバーの方々もこの辺り、林委員、お願いします。
【林委員】 ワーキンググループの委員です。皆様、コメントありがとうございました。ワーキンググループとしては、中教審の答申がまず先にあり、その方向性を見ながら、様々なステークホルダーの意見を聞いて、総論として合意できるところを今ここに書いたという段階だと思っています。ですので、まだ幾つも残された議論のポイントがあって、それを今いろいろと委員の先生方からコメントをいただいていると思っています。
3点ちょっと申し上げたいと思います。まず、一番大きいのが、濱中委員がおっしゃった分野別の学部、研究科の教育の質の評価を重視する制度というものを一体どうつくっていくのか。これを本当に学部、研究科単位でやろうとすると、もう1万を超える数の学部、研究科があるわけ、大学院まで入れればですけれども。なので、それをするというのはかなり難しい話だと思っていますので、それを例えば一番今と変わりがないのは、機関別の中で学部、研究科の視点を持ってやっていくことだと思いますけれども、それでなくても、例えば海外を見れば、サンプルを取って、本当に内部質保証がうまく機能しているかを見るために幾つかの学部、研究科を見るというのもあれば、優れているところにインセンティブを与えるために手挙げ方式で出してきてもらうというところもあったりして、学部、研究科の単位で見ると言っても様々にやり方はあると思いますので、その辺りは今後議論していくところだと思っています。
2点目がそれに絡むんですが、インセンティブのつけ方なんです。ここも一番最後に、「受審期間延長等のインセンティブを検討する」と書いてあって、これも、先ほど田中委員からリスクベースド・アプローチの話もありまして、ただ、それは基本的に面倒な作業を、いい点を取ったら、ちょっと受審期間を延ばしてあげるという、そもそも認証評価が面倒な作業だという前提に基づいたインセンティブのつけ方になっているわけですが、ただ、もっとほかの国を見ても、例えば優れた教育をしているところは学生の定員を増やしたり、規模を拡大して、ちゃんとその教育が持続できるようにするという形で予算をつけたりとか、そういうインセンティブのつけ方もあると思いますので、この認証評価の結果をどういうふうに活用して大学の人が関与していくようにしていくかというところは、またもう一つ議論すべきところだと認識しています。
3点目ですが、3点目は、先ほど森ワーキングの会長からもいろいろお話ありましたが、この認証評価を受けるということがDPやミッションの見直し、つまり、今、社会がこんなにも変わってきている中で、どういうふうに教育をもう1回考え直すかという、その機会になるようにちゃんと使っていくべきだと思っています。ともすると内部質保証の中でDPを立てているかをチェックするというのが、本当に何年か前に立てたDPがあるということをただチェックしているだけの、形骸化して、まさに徒労以外の何でもないような作業をしているというのがしばしば見られるところで、そうではなくて、この認証評価を一つの機会にして、この変わっていく時代の中で自分たちの教育は一体何のためにやっているのかということ、あるいは人材像はどういうふうにもう1回見直さなければいけないのかというのを考え直すという、そういう機会にしてもらうように促していくべきだと思っています。
そうなると、学修成果のところも単に学生が伸びたかどうかのアンケートだけではなくて、そういう人材が外に出ていって社会や地域にどういう効果を及ぼしているかという、そこの視点まで持ってちゃんと見ていくようにするということを求めていく。それが先ほど太田委員が言われたようにPDCAが回るような、そういう教育改革につながると思いますので、そういうのを今後ちゃんと入れられるように検討する必要があるんじゃないかなと思っています。
以上です。
【伊藤部会長】 ほかの方はいかがでしょうか。
松浦委員、手が挙がりましたので、よろしくお願いします。
【松浦委員】 松浦です。ワーキンググループのメンバーです。そこでも申し上げたことで、今、コメントいただいたことで改めて考えたことが2つあります。1つは徒労感、負担感ということがもう少しきちっと我々のワーキンググループでもこれから分析していく必要がある。誰がどういう理由で、どういうふうに徒労を感じていて負担を感じているのか。それを解消するにはどうすればいいのか。もう疲れるからやめましょうという話はやっぱりちょっと仕組みとしては違うわけで、それを考えれば全ての業務は徒労や負担を伴うものなので、誰がどういうことによって疲れるのか、負担なのか、あるいはそれが達成感につながらないのはなぜなのかということは、もう少し我々の中でも丁寧に議論や調査をしたほうがいいかなと改めて感じました。
それからもう一つは、学部・学科の学位プログラムごとの評価ということについては、御指摘のことはずっとワーキンググループでも出ていたと思うのですが、一方で、これは大学によって認証評価の前提になる自己点検評価のやり方はそれぞれ違うのかもしれませんが、私どものような大学では、まず、学部・学科のほうに自己点検評価を投げて、それを集約して機関別認証の材料を作っていくというやり方をしていますので、少なくとも自己点検評価活動自体は部局別に行ったものがベースになっていますから、これを今度は評価する側の仕組みをどうやってつくっていくのかという問題になるのかな。だから数が膨大にもちろんなりますし、いろいろな評価基準の問題とか、あるいは評価機関がどういうふうにそれに関わっていくのかということはあるにしても、一方で、日本学術会議では33分野に教育課程の参照基準を設定していますので、あれがほぼ私の認識では活用されないまま眠ってしまっているのではないのかなと思いますので、ああしたこれまでの作業の実績というものも生かしながら、評価をもう少し合理的、システム的に行っていくということを考えれば、部局別の学位プログラムごとの評価というのも不可能ではないのかなとは私自身は思っています。
以上、2点です。
【伊藤部会長】 ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。
小林委員、お願いします。
【小林委員】 私もワーキンググループの一員として参加させていただいております。このようにまとめていただきまして、ありがとうございました。初めてこれを見ると、この裏側に膨大な議論があったこともあり、なかなか分かりづらいところもあるのかなと思って聞いていたところです。ただ、私は大学の外の人間なものですから、今感じているのは、大学と社会とのコミュニケーションが圧倒的に不足していて、いろいろな要望が大学、高等教育機関に来ているのだろうなと思います。人口が大きく減少する過程の中で、知の拠点となる大学を強化しなければいけないと言っているのですけれども、国の予算はなかなか増えない。それは大学自身が発信力を強化し、信用性をもう少し高めていかなきゃいけない、というところもあるのだと思います。人口増加時の数十年前の価値観にとらわれることなく、社会が大きく変化し、新たな価値観の中での評価に変えていかなきゃいけない。その方策にしなきゃいけないんだろうなと考えています。
特に、平子委員もおっしゃいましたが、そうした中で一元的に大学という十把一からげと言われるのではなくて、各大学の個性や特色を生かして卒業時の多様な価値というものを実現して、入学時の単純な序列化から、それを発展させていくことで社会に分かりやすい発信というのが、多分先ほどから出ているアカウンタビリティーということにつながることになるのではないかと思いました。
その中で、特に幾つかある中で、1つ平子委員が、基準が複数あるべきじゃないかみたいなところがちょっと分かりづらいというお話があったんですが、特に第1部の1ページ目の課題のところの1のところに「複数の評価基準等により評価結果の分かりづらさ」というのは、これは複数の評価機関による異なる評価基準というところなんだろうなと思います。これが調整機関という言葉になっているので、基準がたくさんあるというよりは、複数の評価機関が複数の基準を持っているということが、分かりづらくなっている。そうした状況を外から見るときに生んでいるんだろうなと思います。
もう一つ、ディプロマ・ポリシーの再検討を促すというのが本質的なPDCAサイクルの質向上の目的になっているのだと思います。私たちは高校生にいろいろアンケートを取っているんですが、この3月に卒業した高校生は、半分以上が年内入試で大学に進学しています。そうしたときにアドミッション・ポリシーのことを聞くと、9割以上がアドミッション・ポリシーを知っているんですね。2017年ぐらいから始まって2019年にアンケートを取ったときは7割ぐらいしか知らなかったのが、現在では9割知っていて、それを個別大学について調べた生徒も7割近くになっています。ただ、アドミッション・ポリシーが役立ったかって聞くと、非常に役立った等の回答は約4割になっています。なのでDPから始まって、DPに基づく人材像があるからこそCPがあって、こういうカリキュラムで、その教育についてくるためにはこのような準備をしてくださいというのがカレッジ・レディネスとしてのAPにつながってくると思うんです。しかし、それがつながっていないというように外から見るとき見透かされちゃっているのかなという気がしますので、このDPを絶え間なく検証し、改善していくことで教育を改善して、それが先ほど、最初、太田委員がおっしゃったような入り口であるAPのところにもつながってくるんだろうなと思います。そういった形で何か改善の仕組みが新たにできればいいのかなという私からの感想でございます。
以上でございます。
【伊藤部会長】 ありがとうございました。
では、浅田委員、お願いいたします。
【浅田委員】 私もワーキングの一員として、この議論の整理に対してコメントするのはちょっと難しい立場かなと思いながら聞いていたのですけど、皆さんの御意見の中で、私自身が少し頭の整理につながったと思うのは、平子委員がおっしゃった多様性の話です。この報告の中でも高等教育機関の多様性、個性や特性は尊重されるべきであると明言しています。この部分と、先ほどの一元的とかフォーマットを統一という話が分かりにくいことになっているなと思っていて、これからの議論になると思うのですけど、やっぱり質の保証と質の向上は違うものだと思います。
最低限の質の保証というのはやはり統一基準で、フォーマットもきちんとそろえた上で信頼性のあるものとして質保証をするのは大事だと思っています。逆に言えば、こういうことをするのに複数の評価機関は要らないんじゃないかと思うのですが、質の向上のほうは、大学の個性、多様性を尊重するなら、評価も多様であるべきだろうと思います。というのは、分野ごとにいろいろな伸ばし方があるわけで、当然その評価の観点であるとか基準が多様であっていいと思うので、今たくさんの評価機関があるのですが、それらが個性を生かした評価をして大学をどんどん伸ばしていくような仕組みができたらいいなと思います。その辺のところが、議論としては混在したような形になっているのかなという印象を持っています。
以上です。
【伊藤部会長】 ありがとうございました。
もう一巡はしているんですけれども、皆様の中でまだ、森委員、お願いします。
【森副部会長】 すみません、2回目になります。まずは、たくさんの御意見ありがとうございました。ワーキンググループの中でも懸念した事項もありますし、私たちが気がつかなかったこともたくさん御指摘いただいておりますので、また、事務局のほうでおまとめいただきまして、今後ワーキングのほうで議論してまいりたいと思っております。
その中でもやはり太田委員がおっしゃったように、教職員は、徒労感とか負担感って学生のためには全然いとわないわけですが、それが議事録のここがないとか、会議の日付に整合性がないといった細かい話では、学生の学びに関係性が薄い指摘ですと、どうしても徒労感が出てしまうと。冒頭に申し上げたとおり、学生のためにもう一度ねじを巻き直しましょうという話であれば、誰しもそのとおりだと言っていただけるはずだと思っておりますので、ぜひそういうテイストで今後も議論を進めてまいりたいと思っております。決してテクニック的なことで話を終わらせてはいけないと思っていますので、いま一度、自分たちの教育を一度立ち止まってしっかりと整理してアップデートして、それで臨むというような、そのような機会になるような形に持ってまいりたいと思いますので、今後とも御意見のほどよろしくお願いいたします。ありがとうございます。
【伊藤部会長】 この議論に対しての予定された時間は、もともとの予定ではまだ30分あるんですけど、無理に引き延ばすつもりはございませんけれども、事務局から何かありますか。
【石橋大学振興課長】 ありがとうございます。大学振興課長でございます。今、先生方から様々な御意見をいただきまして、森主査が言ってくださったとおり、ここからさらに後半のワーキンググループの議論の中で取り込んで議論いただけるようにしていきたいなと思っております。いただいた中で、特に我々として何か、先生方に誤解を招くような表現だったところがもしあれば大変申し訳なかったなと思うんですけれども、今議論の中で、大体ここに書いてあることは御理解いただきつつあったのかなと思っておりまして、いただいた意見は、本当に森主査がおっしゃったとおり、ワーキングの中でもこれからもうちょっとここはもまなきゃねというふうに言っていただていた観点かと思っております。
一方で、今回こういうふうな形で、部会で説明させていただきましたので、これを恐らく多くの関係者も聞いていただけていると思いますが、我々事務局としては常にいろいろな情報をお出ししながら、関係者の皆様も御理解を深めていただいて、実際の制度設計ができるようにしていきたいと思っております。ありがとうございます。
【伊藤部会長】 ほかの方はいかがでしょうか。プラスでオンラインの方々も何かあれば結構ですけれども、よろしいでしょうか。
では、最後に私からも。私、実は先ほど浅田委員のおっしゃった質保証と質向上の関係というのを私も最初からずっと考えていたことであります。質保証ということであれば、最低限のポイントを押さえればいいということで、実はそういう意味であれば学部ごととか、分野ごとというのも不可能ではないというのは私も考えていたことであります。ただ、これは比較的機械的になるものであって、それは最低限を満たしているかどうかという非常に機械的、システマチックなものだろうと思っています。それに対して点数がしっかりと満たされているものであれば、だったらしばらくこの審査は3年後でもいいですねとか、4年後でもいいですねとか、それが変わっても構わないのではないかなとは思っているところであります。でもそれに対して質向上ということになると、これは全く別の次元なんだろうなというのは思っているところです。
私も海外の大学の、例えばアドバイザリーコミッティーというようなことをすることがありますけれども、その場合は毎年その大学に行って、でもその場合は本当に世界からそういうアドバイザリーが集まってくるので内輪ではないわけですよね。内輪ではない状況で2日間かけてその大学の中を見て、こういうことを変えたらいいんじゃないかということを真摯に議論すると。それからそれに対して学長らも皆、資料も準備していますけれども、学長が議論したい点というのはもちろんありますけれども、それ以外の点についても徹底的に皆で議論して、来年また帰ってきますねということで、それの結果として去年からの変化ですね、去年のアドバイスに基づいて採用したこと、採用しなかったこと、採用しなかったことに対してはしっかりとした説明があり、それに対して継続的な議論が行われるということもあるということで、これは徒労感は全くございません。そこまで議論すると、先ほど評価者が学ぶということを大野委員が指摘されましたけれども、こちらもやはり大学の運営とか、グッドプラクティスという、我々の知らないことも知ることになるので、非常に向上、自分たちの機関に対するフィードバックもできるということになるわけで、ただ、それは非常に時間も労力もかかります。ですから、それは、例えばヨーロッパの大学ではそういうことをやることが求められているのでやっているところはあるんですけれども、でもそれは非常にお互いにやっていて価値があることだなというのは感じるところであります。
ですので、質の保証ということにおいては、幾つもの評価機関があるのがいいのか悪いのかというと、やはり機能別に評価の内容が違ってくるでしょうから、それは各、例えば設置形態、短大、高専、それぞれによって評価項目もというか、求められることも違うと思うので、それごとの評価もあるでしょうけれども、全体として質保証ということを考えたときには、何か高等教育に一気通貫する求められるものもあるだろうということで、そこら辺のバランスが恐らくワーキンググループで議論していて一番難しいところなんじゃないかなというのは私も想像しているところでございます。
質向上、質保証、この2つの中において、もし両方が混同されながら、点数とかがもし表になるような形になって、それによって国から回されるお金が変わるとか、また、ランキングが変わるとかということがあるとすると、もともとの質向上の目的とはちょっと違ってくるんですね。それぞれの機関を最低限保証しながら質向上を毎年するかどうかということがやはり国策としては大切なことだということなので、その辺のバランスが非常に難しいところで、どういう形で評価というものを行っていくのかというところが、どこに焦点を当てるかということが非常に難しいというのは、今、私もこのワーキンググループからの様々な意見を聞きながら理解しているところでございますけれども、いずれにせよ、国として一人一人の学生の力を伸ばすということが「知の総和」に向けて最も大切なことでありますので、引き続きこのようなバランスの中においてワーキンググループの皆様が徹底的な議論をしてくださって――もう既に何回行われたんでしたっけ。
【森副部会長】 何回ですかね。
【鈴木大学設置・評価室長】 6回です。
【森副部会長】 6回。6回だけれども。
【伊藤部会長】 何か月間の間で6回。
【鈴木大学設置・評価室長】 3か月です。
【伊藤部会長】 3か月の中で6回、毎回1時間半、2時間は行っている。
【鈴木大学設置・評価室長】 2時間から2時間半。
【伊藤部会長】 毎回2時間から2時間半行っていただいて、結果がこの僅か2ページの概要にまとめていただいているところで、それがいかにこの裏にたくさんの議論があり、林委員がおっしゃったように様々な意見がある中において、この行間にはたくさんのものがあったということは小林委員も指摘してくださっておりますので、そのような状況の中において、今後、妥協の産物ではなくて、皆でこれだったら前に進めるだろうなというものが私どもとしても出していければと願っておりますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
以上でよろしいでしょうか、この議題1に関する議論は。ありがとうございました。
続きまして、議題2「地域における高等教育機会の確保のための取組に関する制度改正」についてです。まずは、事務局から説明をお願いします。
【石川地域大学振興室長】 それでは、資料2-1、地域における高等教育機会の確保のための取組に関する制度改正について説明をさせていただきます。
最初に、1.制度改正の趣旨でございます。今後、大学進学者数の大幅な減少が見込まれる中、地域から学びの機会が縮減・消滅ということ、大変懸念されているところでございます。高等教育機会の確保に多大な支障が生じるおそれ、または地域の人材需給のバランスが崩れることによる地域生活や産業基盤に大きな影響を与えると、そういった懸念があるところでございます。
こうした中、「知の総和」答申では、地域にとって真に必要な一定の質が担保された高等教育へのアクセス確保を図るための仕組みの構築でありますとか、さらなる高等教育機関間の連携の取組の推進が提言されているところでございます。これを踏まえまして、大学設置基準等の改正によりまして、地域の高等教育へのアクセス確保に資する取組に関する特例を創設することとしております。
こちらにつきましては、令和7年4月に地域大学振興室が創設されまして、そこに地域大学振興に関する有識者会議を設置して、小林委員にも特別委員として参画いただいております。
資料2-2のほうで、7月に議論したものを簡単に紹介させていただきます。地域大学振興に関する有識者会議の中では、県内唯一の幼稚園教諭・保育士養成の課程について県が多大な支援をしていると、そういった例も紹介されているところでございます。そういった中で地域アクセス確保の観点や地域の人材需給を踏まえ、複数の大学が教育資源を共有化し、共同での人材育成がしやすい環境整備ということも大変重要というところでございます。
点線印の中でございますけれども、そうした中で、認証評価適合等の機関要件でありますとか、大学等連携推進法人等による他大学との連携を前提に、地域の高等教育の状況に照らして高等教育の機会の確保に資する取組を行うため特に必要があると認められる場合には、必要な範囲で、他大学と連携して科目の開設が可能となる授業科目の自ら開設要件の緩和でありますとか、オンライン等の授業科目の上限単位数の緩和、また、制度趣旨範囲内での外部基幹教員要件の柔軟化、そういった特例適用を検討するというものでございます。
また、専門人材養成の基準が別途ある場合には、先ほど幼稚園教諭・保育士課程もそうでございますけれども、分野所管省庁、これはこども家庭庁でありますとか、文部科学省の幼稚園教諭担当のところでございますけれども、そういったところとの基準の柔軟化でありますとか、支援策等の連携も重要というところでございます。
これにつきましては、中教審の大学分科会の下に「教育課程等特例制度運営委員会」、こちらは浅田委員、小林委員にも関わっていただいておりますけれども、この枠組みを活用して個別に認定していくということを想定しているものでございます。
2-1に戻っていただきまして、2.制度改正の概要でございます。具体的に改正するものでございますけれども、1で大学設置基準等の改正、こちらは短大とか、ほかの学校種も含めてございます。大学が高等教育の機会の確保に資する取組を行うため特に必要があると認められる場合であって、当該大学が、他の大学と連携して当該取組を行うことなどについて文部科学大臣の認定を受けたときは、下記の特例対象規定の全部又は一部によらないことができることとするとしております。こちらには先ほど申し上げましたような外部の基幹教員要件でありますとか、一部の上限単位の緩和、そういったものを特例対象規定としております。
2でございますけれども、文部科学大臣の認定ということでございますが、認定に関する規程の整備をいたします。ポツの2つ目でございますけれども、最初の3つのチェック印は情報公表でありますとか、認証評価等の規定でございます。チェックの4つ目からでございますけれども、申請計画書には、地域における高等教育の機会の確保に資する教育の実施が必要であるとする事情でありますとか、他大学と連携して行う教育の実施内容、また、学生に対する適切な配慮のための具体的な措置を記載いただくほか、申請計画書の内容が大学等連携推進法人等と連携して行われることでありますとか、協議会、これは地域構想推進プラットフォームといったものを想定していますけれども、そういったものと連携して実施されると見込まれること。また、資格養成課程につきましては、分野所管省庁と連携して取組をするという意味で特例適用の必要性を認めていることを条件とするものでございます。こちらにつきましては、先ほど申し上げましたように大学分科会の審査を経て認定するかどうかを決定するというものでございます。
続いて、3のところでございますけれども、先ほど協議会の話がございましたので、協議会に関する規程も置くものでございます。ポツの2つ目からでございます。大学等、地方公共団体、産業界等地域の関係者が協議会を組織することができるものでございます。
ポツの3つ目でございますけれども、地域に所在する相当数の大学、また地方公共団体、産業界等地域の関係者の参加や関係者間の円滑な情報共有を図る措置を講じた協議会について、文科大臣に届けていただくというものでございます。そのほか、届出を行った協議会につきましては、国と連携できるようにということで情報提供等の協力を求めることができることなどについて規定するものでございます。
4の大学等連携推進法人の規程につきましては、事務の共同運営でありますとか、産学官連携推進事務にも活用いただきたいという意味で、そういったところの明確化でありますとか、社員に地方公共団体、民間事業者を含め得ることを明確化するものでございます。
施行期日につきましては、令和8年1月1日を検討しているというところでございます。
説明は以上でございます。
【伊藤部会長】 石川地域大学振興室長、どうもありがとうございました。ここで説明いただきましたのは、ここは質向上、質保証ということで、この改正が行われた暁には、最終的には評価認証にも関わってくるということで説明いただいたということでよろしいでしょうか。
【石川地域大学振興室長】 今、座長おっしゃっていただいたとおりでございます。まさにこちらのほうは地域の高等教育の質の向上を図るというところも大きな目的としておりますので、この部会でも御紹介させていただきまして、この後、また大学分科会でも説明させていただく予定でございます。
【伊藤部会長】 ありがとうございました。このような改正というのは、私も地域振興のために、高等教育が中心とした地域振興というためには不可欠だと思っているところでございますけれども、それが質の低下にいっては元も子もないということであって、正しい改正を行うことによって、さらに向上するような状況がつくれればという目的というふうに理解しております。これに関して、皆様、そのような形で、またもっと大所高所でもいいんですけれども、コメントをお持ちの方がいらっしゃいましたら、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
小林委員、お願いします。
【小林委員】 御説明ありがとうございました。1つ、3のところの協議会について質問させていただきたいのですが、今、地域連携プラットフォームって文部科学省のデータによると273あって、それがあまり実質的に機能していないという実態があります。そこで協議会を創るのですが、いかにこれを機能させるかというところが重要なポイントになってくると思うのですが、そこのための取組とか施策というのは、何かお考えになられているところはありますでしょうか。
【石川地域大学振興室長】 御質問、ありがとうございます。まさにその部分につきましては、中教審でも大変議論いただいた部分でございます。我々もそういったたくさんあるプラットフォーム、それぞれ役割を持ってつくられていると思いますので、それ自体はしっかり尊重したいというところでございますけれども、ただ、こちらのほうで今回届け出ていただく協議会につきましては、相当数の大学、また地方公共団体、産業界とかとしっかり連携した取組を進めていただきたいと思っております。そういったところで、そういったところにつきましては届け出ていただくと。あわせて、この後、我々の支援策という意味でプラットフォームへの支援策ということも、この有識者会議では議論いただいていますので、そういった支援策と併せてプラットフォームの中身の充実を図っていきたいと思っております。
【小林委員】 ありがとうございます。もう1点だけ、その下の4の大学等連携推進法人の認定等に関する規程の改正のところで、社員に地方公共団体や民間事業者というのも入っているんですが、この民間事業者の何かイメージというのがあれば御教示いただきたいんですが。
【石川地域大学振興室長】 こちらのほうは産業界のイメージでございます。個別の、もちろんその地域で中核を担っている企業ということもあるかもしれませんし、商工会議所でありますとか、そういった企業の連合体ということも想定しているところでございます。
【小林委員】 ありがとうございます。
【伊藤部会長】 ほかいかがでしょうか。
恐らくこの動きに対して反対の方はいらっしゃらないということ、皆さんうなずいていらっしゃいます。まず、それは皆さん賛成だということが、ごめんなさい、オンラインの方々もうなずいていらっしゃった雰囲気でしたので、少なくとも私たちの中では、これは賛成意見がほとんどだということで、それに対して何か、浅田委員、お願いいたします。
【浅田委員】 御説明ありがとうございます。教育課程等特例制度運営委員会の枠組みを活用して個別認定ということは、そちらに審査が回ってくるということでしょうか。
【石川地域大学振興室長】 また大学分科会でも議論いただくことになろうかと思いますけれども、そのような形で個別認定をしていくということでございます。また別途、相談させていただくということになると思います。
【浅田委員】 委員会での審査について、いろいろ考えを巡らせていたのですけど、もともと教育課程等特例制度というのは、前回の大学設置基準の改正のときに新たに特例を認めようということになったと記憶しています。設置基準の制限がある中で、より発展的な新しい教育モデルの提案に対して、特例を認めて実験的に、チャレンジングに実施して、それがうまくいくのだったら、ほかの大学にも広げて設置基準も改正するといった、いわゆる試行的なものとして、発展的に使おうという特例制度だったと思うのですけど、今回の地域の発展につながる制度というのは同じような枠組みで捉えてよろしいのでしょうか。
【石川地域大学振興室長】 その部分がまさに今回新たにつくった趣旨でございます。先導特例のほうは、まさに設置基準の改正に向けてというような部分でございます。一方で、地域アクセス確保につきましては、各地域で大変地域アクセスにとって厳しい状態がある地域も今後出てき得るというところでございますので、必ずしも設置基準の改正に至らないものであっても連携を促進して、より地域の学びの機会を維持、また向上させるような取組についても認められるようにという、そういった趣旨でございます。
【浅田委員】 ありがとうございます。
【伊藤部会長】 ほかいかがでしょうか。よろしいでしょうか。オンラインの方もよろしいでしょうか。ありがとうございました。
では、本日の発表、全体を通じた御意見や次回以降の部会で議論すべき事項等に何か御意見があれば、今御発言いただいてもよろしいですし、後ほどお寄せいただいても結構ですけれども、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
ありがとうございました。本日の議題は以上となります。
最後に、次回の開催日程について事務局から説明いただきます。
【花田高等教育企画課課長補佐】 本日は活発な御議論をいただきまして、誠にありがとうございました。次回の部会は、10月8日水曜日10時からハイブリッド形式での開催を予定しております。本日御発言できなかった内容ございましたら、事務局まで御連絡ください。
以上でございます。
【伊藤部会長】 ありがとうございました。
では、本日の議事は終了いたします。ありがとうございました。
―― 了 ――