質保証システム部会作業チーム会合(第2回) 議事録

1.日時

令和3年12月10日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

WEB会議

3.議題

(1)質保証システムの見直しについて
(2)その他

4.出席者

委員

(座長)吉岡知哉座長
(座長代理)日比谷潤子座長代理
(臨時委員)浅田尚紀,大森昭生,川嶋太津夫,杉谷祐美子,米澤彰純の各委員

文部科学省

(事務局)絹笠文部科学戦略官,西田高等教育企画課長,新田大学振興課長,柿澤高等教育政策室長,草野大学設置室長,西大学改革推進室長,一色大学振興課課長補佐,大塚専門教育課課長補佐,堀家高等教育政策室室長補佐

5.議事録

【吉岡座長】  おはようございます。所定の時刻になりましたので,第2回質保証システム部会作業チーム会合を開催いたします。御多忙の中,御出席いただき,誠にありがとうございます。
 本日は,新型コロナウイルス感染症対策のため,WebexによるWEB会議と現地開催のハイブリッドで開催し,その様子をYouTubeライブ配信にて公開します。会議資料,音声など,御準備はよろしいでしょうか。大丈夫ですね。
 それでは,議事に入る前に事務局から連絡事項をお願いします。

【堀家高等教育政策室室長補佐】  皆さん,おはようございます。

 本日は,会議及びライブ配信を円滑に行う観点から,WEB会議で御発言の際は,挙手のマークのボタンを押していただき,座長から指名されましたら,お名前をおっしゃってから御発言いただきたいこと。また,御発言後は再度挙手のマークのボタンを押して,表示を消していただきますようにお願いいたします。また,発言時以外はマイクをミュートにしていただくなど,御配慮いただけますと有り難く存じます。不都合が生じることもあるかと存じますけれども,御協力のほど,よろしくお願い申し上げます。
 また,会議資料につきましては,議事次第のとおり,事前にメールでお送りしております。資料1といたしまして,吉岡座長から質保証システムの見直しに関する論点メモをお出しいただいております。資料2,資料3に関しましては,今回事務局から後ほど説明させていただく資料でございます。
 参考資料に関しては,前回のものと基本的には変わっておりませんけれども,参考資料の8といたしまして,規制改革推進会議の子育て・教育・働き方ワーキング・グループにおける議事の概要を今回追加でお入れしております。本作業チームの議論とも関係してくる部分もあろうかと思いますので,御参照いただけますと幸甚でございます。
 以上でございます。

【吉岡座長】  ありがとうございます。
 それでは,本日の審議事項に入ります。前回に引き続いて,質保証システムの見直しについてということを議題にしております。

 前回御議論いただきました論点メモについて,名義を部会長から座長へと変えた上で,頂いた意見を踏まえて修正しております。まずは, 修正した点を中心に御説明をさせていただきたいと思いますので,資料1を御覧ください。
 修正した部分を中心にお話ししていきたいと思います。最初に,(1)保証すべき「質」というところですけれども,ここは特に修正してございません。保証すべき「質」とは何かという点の基礎になる部分でございます。
 2の見直しの方向性を御覧ください。そこのところも,複合的なシステムである,全体のバランスについて留意する必要があるということを書いておりますが,その下,グレーのマーキングがしてあるところです。短いですので読み上げます。
 この際,大学における教育研究の質保証は,行政や大学関係者の取組のみで完結するものではなく,社会とりわけ産業界等との関わり合いの中でも規定されていくものであることを踏まえ,各質保証の仕組みに加え,社会との相互作用の中で営まれるエコシステムとして質保証システムを捉えていく視点も重要となる,と入れて,大学と社会の関係の部分を付け加えてあります。
 ページおめくりいただいて,3のところ,各質保証システムの見直しというところで,ここが具体的な論点に入るところですが,最初は,大学設置基準の性質,それから見直しの背景というところで,この部分は前提部分として変わっておりません。
 4ページは,学修者本位の教育の実現ということで,枠の中の部分ですが,少し言い回しを変えてあります。客観性の向上というところを御覧ください。5ページ目になると思いますが,専任教員の考え方について,その定義等を見直してはどうかということで,教育に関わる教員とその組織の明確化の問題ということで,この場所が,客観性の向上のところが的確かどうかということはあるかもしれませんが,ここではその組織の明確化ということも含めてここに入れてございます。定義等を見直してはどうかという言い方にしております。それから,同じ文章が先進性・先導性の確保というところに,最初の丸に入っています。
 3番目です。大学の創意工夫に基づく取組を推進するためというところで,教育課程等に係る特例を認める制度を新設することが考えられるかどうかということで,その下に,対象としては,設置計画履行状況等調査(AC)を経た後,認証評価を受審して「適合」認定を受けているなど内部質保証の体制が十分に機能している等の一定要件を満たす大学から申請を受け,有識者会議等において申請計画の先導性や情報公表等の質担保の方策について認められた大学の学部・学科等の学位プログラムを対象としてはどうかということでございます。特例の考え方です。
 次のポツです。内容については,教育研究の充実を図るため,大学設置基準によらない取組を認めるとともに,今後の大学設置基準の改善につなげるため,当該取組の効果検証を行い,各種データの公表・報告を求めることとしてはどうか。
 3ポツ目です。特例事項としては,例えば,遠隔授業による修得単位上限,いわゆる60単位の上限ですが,それから単位互換上限,これも60単位,授業科目の自ら開設の原則,校地・校舎面積基準等が考えられるのではないかということで,これまで議論に挙がってきたものを特例として考えていくことができるかどうかということでございます。
 その下は変わっておりません。

 (2)認証評価制度のところです。認証評価制度,2段落目を御覧ください。認証評価機関は,文部科学大臣が定める細目を参照しつつそれぞれが大学評価基準を策定し,大学からの求めに応じて各評価機関の基準に適合しているか否かを評価する,ここは変わっていないのですが,その次です。
 制度創設当時の参議院における附帯決議においても「認証評価制度の導入に当たっては,大学の個性・理念を損なうことのないよう,公正,妥当かつ透明性ある評価を確保するとともに,全ての大学が適正に評価を受けることができるよう,認証評価機関の整備充実に配慮すること。また,評価機関を認証する際の基準を明確にし,多様な評価基準・評価手法を持つ複数の評価機関が活動できるように努めるとともに,評価が与える社会的影響を認識しつつ,評価の在り方についても必要に応じ見直しを行うこと」とされており,その趣旨に基づく運営がなされてきているということでございます。評価機関の多様性ということがここで附帯決議の中に入っているということでございます。

 それから,その続きのところですが,7ページ目のところになると思いますが,ここのところでマーキングをかけてあるところですが,国際通用性のある質保証の仕組みとしてという言葉を入れてあります。質保証システムの中で,この認証評価というのが国際的な基準として機能しているということで,そのことを明示するということです。認証評価の国際性,あるいは国際的な通用性の問題をここに明示してあります。

 それから次に,認証評価の見直しの背景というところですけれども,この部分は特に手を入れてありませんが,元の文章のところを入れてありますが,8ページ目,四角の中の部分です。ここは,認証評価の受審が大学にとって過大な負担でしかないとみなされないよう,例えば,大学設置基準の特例を認める際に認証評価で「適合」の評価を受けていることを要件とするなど,認証評価を受けることの意義を高めることは考えられるかということで,認証評価の負担軽減といいますか,負担の問題で,その認証評価のプラスの面をどういう形で強化していくかという部分です。

 次の客観性の向上というところで,これも認証評価機関や評価を受ける大学の多様性に配慮しつつ,認証評価機関の質保証に関する取組というところで,その例として,認証評価機関連絡協議会の機能強化や認証評価機関に関する審査委員会のさらなる活用等という形で,連絡協議会のことをここに入れてあります。
 それから,透明性の向上の次,先進性・先導性の確保というところの2つ目,1つ目はサイクルのズレとか,受審負担の軽減ということですが,2つ目の丸です。認証評価で内部質保証の体制・取組が特に優れていることが認定された大学に対しては,次回の評価においてその内部質保証が維持・向上されていることを確認しつつ,評価項目や評価手法を簡素化するなど弾力的な措置は考えられるかということで,既に内部質保証の評価が確定しているといいますか,認定されている場合に,次のところでそれを簡素化するということが考えられるかということでございます。
 3つ目の丸です。法令適合性等について適切な情報公表を行っている大学に対して,法令適合性等に関する評価項目や評価手法を簡素化するなどの措置は考えられるかということで,ここでも簡素化のことに触れてあります。
 以上が,質保証の中の認証評価の部分ですが,(3)番目として,情報公表の部分を,ここはかなり大きくいろいろ手を入れてあります。大部分がマークがついているところです。
 これまで情報公表のところの議論というのは,必ずしもまだこの作業チームでは十分されていないかと思いますけれども,今日,後半にこの部分を集中的に議論したいと思いますけれども,そのためのたたき台として御覧いただければと思います。
 全部そのとおり読むと時間がかかるかもしれませんので,少し飛ばしながら読みます。

 最初,情報公表制度の性質ということで,大学の教育研究活動等の状況を公表していくことは,社会に対して説明責任を果たしていく上で重要であるとともに,積極的な情報公表を基盤とする社会とのコミュニケーションを通じて各大学の教育研究活動の質を維持・向上させていく上でも重要な取組であるということで,ここは,この言い方は,一方的な情報の開示というよりも,社会との相互性ということを入れたいということで,社会とのコミュニケーションという言い方をしてあります。
 また,そうした営みを通じて社会からの信頼と支援を得ることで,さらなる教育研究の質の向上につながるという好循環を目指すことも期待され,情報公表の徹底は「社会に開かれた質保証」の実現のために極めて重要なものであるということです。
 情報公表制度については,平成11年当時の大学設置基準の規定があり,その後,平成19年の学校教育法において教育研究活動の状況を公表することが義務付けられて,平成23年以降は学校教育法施行規則において具体的な規定がなされているということです。また,「教学マネジメント指針」の中で公表の問題が扱われているということでございます。
 2段落目の「また」というところで,大学ポートレートのことが書かれております。大学ポートレートについては,令和3年8月現在1,056校,国内の大学の95.3%が参加しており,その運営方針というのは,大学ポートレート運営会議で決定されているということ,そして,大学コミュニティによる自律的な運営が行われているということでございます。
 見直しの背景というところですけれども,こういう仕組みの充実があり,それから,各大学の取組があるということで進んでいるけれども,しかし,法令上公表が義務化されている項目では,実際に学生がどのような知識や能力を修得し,大学が実際にどのような教育成果を挙げたかなどの成果の確認ができないという指摘があるということであります。
 10ページ目です。文部科学省による「平成30年度の大学における教育内容等の改革状況について」という文書では,大学による情報公表で,就職率,就職先,それから入学者選抜の状況,シラバスの内容等は多くの大学で公表されているけれども,単位の取得状況や学生の学修時間,それから満足度,教員1人当たりの学生数と,学生の学びの質と水準に大きく関わる項目については,必ずしも十分な公表がされていないということであります。
 また,入学前の情報提供が不十分で,ミスマッチが生じるという指摘もあるということです。内部質保証の単位は学位プログラムであるということを確認した上で考えると,学修者本位の観点からは,情報公表においても,学位プログラム単位で公表をしていくということが考えられるだろうということであります。
 もちろん社会から多く有形無形の様々な支援を受けている大学は,社会の公器として,自ら積極的に情報公表をしていくことが求められるということであり,大学がその情報公表を積極的に行っていくことで,認証評価機関自体の機能がある意味では実質的に拡充されるということで,外形的な評価を簡素化していくこと。実際に教育研究の改善に係る取組を重点的に評価することが可能になると考えられるだろう。

 それから,大学ポートレートがあるわけですけれども,ただ,国公立版と私学版でそのプラットフォームが違うということで,必ずしもその情報が一元的に入手できないというような問題があるということ。それから,社会の関心が学生の学修成果や大学全体の教育成果に向けられることがないまま,偏差値とかランキングというようなところに関心が行ってしまうのをどうするかということは課題なんですけれども,しかし,これもその有益な情報が分かりやすい形で提供されていないことと関連しているだろうということであります。
 「なお」というところで,教学IRに触れてあります。教学IRにおいて,それぞれの「強み」と「特色」の分析やベンチマークを行う上でも有意義であると考えられる。また,全国学生調査については,本格実施では,大学・学部単位で調査結果を公表すること,その際,結果の数字の羅列だけではなく,調査結果の見方等と併せて結果に関する各大学の取組を記載することにより,大学・学部間での順位付けではなく,各大学の強み・特色の発信につながるよう,特段の工夫を行うこととされている,ということで,その公表ということが,学生目線からの学修成果等に関する情報の公表が重要であるということに触れてあります。
 その四角の中は,以上のところをまとめた形で,社会とのコミュニケーションということ,それから,「社会に開かれた質保証」の実現のために重要であるということが1ポツ目。2ポツ目では,一方では,必ずしも分かりやすい一元的な情報というものがないということで,これからの徹底した情報公表の取組と情報公表を促進するための環境整備が求められているとまとめてあります。

 次は,情報公表制度の見直しの観点ということで,情報公表に係る仕組みについて,以下のような観点で見直しを行ってはどうかということで,基本はその四角の中ですが,「学修者本位の教育の実現」及び「社会に開かれた質保証の実現」ということですけれども,大学における教育研究の質保証に資する情報公表についてどう考えるか。また,どのような手法で情報公表をされていることを担保することができるかということです。
 それから,「例えば」ということで,「教員一人当たりの学生数」の算定の際にはフルタイム・イクイバレント換算で公表することも有益ではないか。それから,学生への説明責任ということで,授業方法等で,例えば,対面・遠隔で設定している授業科目の数や割合とかを公表することも有益ではないかと付け加えてあります。
 次の丸,認証評価における情報公表に関する評価を実施するに当たっては,「教学マネジメント指針」において,(1)は学修目標の達成状況を明らかにするための学修成果・教育成果に関する情報の例。(2)番目に,学修成果・教育成果を保証する条件に関する情報の例のうち,「大学の教育活動に伴う基本的な情報であって全ての大学において収集可能と考えられるもの」と整理されているわけですが,当該指針を踏まえて確認を行うことにしてはどうかということです。
 次の丸です。このような情報について,「大学ポートレート」に分かりやすく掲載するということを基本にすることはできないかということ。また,教学IRに生かすということから,立地や分野等が共通する大学との間で比較ができるように改善することは考えられるか,としてあります。
 次の丸,各評価機関の評価結果を社会が利用しやすい形で一覧性を持って公表することを検討してはどうか。これは評価機関の評価結果についてです。その際,設置計画履行状況等調査,ACですが,ACにおける指摘事項等も併せて公表してはどうか。
 それから,これも再掲になりますけれども,適切な情報公表を行っている大学に対しては,簡素化することが考えられるかどうかということを挙げてあります。
 (4)番目,その他というところですけれども,この部分については,特に手を加えているわけではありません。
 以上が,駆け足で御紹介いたしましたが,論点メモの主な修正部分でございます。
 次に,これについて今後議論をしていく,今日議論をするわけですが,次に,前回の作業チーム会合で私から依頼をする形で,論点メモに含まれていないけれども,制度上見直しが必要なその他の事項ということで,これを事務局に整理をお願いしてありました。それについて,情報公表に関する基礎資料と併せて事務局からの説明をしていただきたいと思います。事務局,お願いいたします。

【一色大学振興課課長補佐】  それでは,事務局より資料2に基づきまして,その他事項に関する論点を御説明させていただきます。
 8月の第10回質保証システム部会においても配付させていただきましたが本日,参考資料7の3ページ目,4ページ目になりますけれども,設置基準等に係る各種論点のその多くは,先ほど吉岡座長から御説明いただきました論点メモに多くは含まれておりますけれども,設置基準の見直し等につながる論点以外のその他の論点について,事務局において資料2として整理をさせていただいております。
 まず,1点目の論点でございますけれども,実務家教員の定義に係る課題でございまして,8月の質保証システム部会でも御紹介させていただきましたが,実務家教員の研究実績や実務の実績に係る定義についての共通認識が十分ではないという課題がございまして,また,大学においては,実務家教員の取扱いが必ずしも明確になっていないというような課題がございます。
 このため,見直しの方向性として,大学における実務家教員の定義の明確化を図る観点から,専門職大学で示している例も参考に,設置認可の教員審査においての業績の考え方について,より具体的に周知することとしてはどうかとしております。

 2点目の論点でございますが,大学名称に係る課題です。これも大学で行う教育研究内容が大学の名称に含まれている場合に,大学で行う教育研究内容と異なるといった指導を受けることがあるなど,申請者側との共通認識が十分でないといったことがある課題がございまして,見直しの方向性として,大学等の名称に教育研究の内容が含まれている場合,大学が行う教育研究の内容を適切に表現したものとするように周知することとしてはどうかとしております。

 3点目の論点ですが,大学等を設置する際に,施設等について,必ずしも自己所有でなくてもかまわないこととなっておりますが,そうした施設等の借用・共有が可能であるということが十分知られていないという課題がございます。
 このため,見直しの方向性として,施設等の共有について,次のページになりますけれども,学生や教員が施設等の使用を希望する際に利用を可能とする。また,長期にわたり使用できるよう契約を行うなど,教育研究上支障がないということを前提とした上で,施設等の共有が可能であることを分かりやすく周知してはどうかとしております。

 4点目の論点ですが,SD・FDの充実でございます。教職員の業務多忙化や遠隔授業の質向上などの観点から,SD・FDのさらなる充実が求められているところでございますが,制度上は,既に各大学への義務付けが行われていることから,見直しの方向性としては,各大学での創意工夫はもとより,大学団体や大学間で共同実施されているSD・FDの取組等を把握・周知することで,SD・FDの充実を促進してはどうかとしているところでございます。

 次に,5点目の論点になりますけれども,学修の実質化でございます。大学教育の質向上を図るためには,卒業・成績要件の厳格化や,学修時間の増加等の学修の実質化を図っていくことが必要と考えられますが,制度上は,成績評価基準等の明示義務付けや履修科目の登録上限設定の努力義務化等が各大学に既に課されているなど,制度的には既に一定の措置がされているところであり,各大学の学修の実質化に向けた取組を促していくことが重要となります。
 このため,今後の見直しの方向性として,学修の実質化に向けた取組を促進する方策として,どのようなことが考えられるかについて御議論いただければと考えております。

 6点目の論点,学位の分野についてでございます。設置認可審査におきまして,学士の学位の分野は現在19分野が設定されておりまして,各大学は審査を経て,設置が認められた分野がございますけれども,その分野の範囲内であれば,また大学全体の総定員増を伴わないものであるならば,学部等の組織の改組や,またその当該分野を組み合わせた融合領域を創設するなど,そういった活動につきましては,各大学の判断で実施することが可能となっております。
 しかし,こうした仕組みであることが大学関係者に十分知られていないという課題もあることから,見直しの方向性といたしまして,設置認可審査を経て認められた分野の範囲内であれば,組織の改組や融合領域の創設を含め,当該大学の判断で新たな学位プログラムを実施可能であるということを周知してはどうかとしております。
 なお,分野に関係する議論として,質保証システム部会でも,各大学が付記する専攻分野の名称が多数存在していることなどが課題であるといった御指摘もございましたが,これに関しましては,平成26年に日本学術会議におきまして検討がなされ,報告書の取りまとめが行われておりまして,各大学に際し,資料の3ページ目の枠囲みにございます改善策を示されておりまして,各大学での検証を求められているところでございますので,参考として御紹介させていただきます。

 続きまして,情報公表に関する議論の参考に資するよう,基礎資料を資料3に取りまとめておりますので,御紹介させていただきます。
 1ページ目は,先ほど吉岡先生から御紹介いただきました制度の設定経緯でございます。中段にあります学校教育法施行規則第172条の2第一項各号のところで,それぞれの情報公表に係る事項が義務付けられているところでございます。
 また,2ページ目から3ページ目にかけまして,その各事項の情報公表の考え方について周知をさせていただいているところでございます。
 また,4ページ目に移りますけれども,4ページ目は,日比谷委員に座長として令和2年におまとめいただいた「教学マネジメント指針」でございますけれども,同指針でも情報公表に関して一定の整理がなされておりまして,下の5の情報公表というところに記載がございます。
 具体的な内容につきましては,5ページ目から11ページ目にかけまして,同指針で取りまとめられた内容を付けさせていただいております。
 5ページ目の破線の枠囲みの方にございますけれども,大学における学修成果や教育成果,これらを保証する条件に関する情報として意義あるものと考えられる情報として,(1)「『卒業認定・学位授与の方針』に定められた学修の目標の達成状況を明らかにするための学修成果・教育成果に関する情報の例」と,(2)「学修成果・教育成果を保証する条件に関する情報の例」の2項目について,それぞれ,マル1,「大学の教育活動に伴う基本的な情報であって全ての大学において収集可能と考えられるもの」と、マル2,「教学マネジメントを確立する上で各大学の判断の下で収集することが想定される情報」として分類されております。
 これらの情報は,公表が考えられるものを例として示したものであるということ。また,これらを参考としつつ,各大学の自主的・自律的な判断と,その責任の下で情報公表が進められることが期待されているものとされております。情報公表の審議に当たっては,これらの資料も御参考いただければと考えております。

 ページが飛びまして,12ページ目は,各大学が公表を行った教育研究活動等の情報のデータでございまして,先ほど吉岡座長から御紹介いただきました論点メモの中にも記載がございます。
 また,13ページ目,14ページ目は,海外の情報公表の状況に関する資料となります。
 また,15ページ目でございますが,令和3年7月に取りまとめられました大学入試の在り方に関する検討会議の提言におきましても,各大学の入試情報の公表について触れられておりまして,文部科学省は,合否判定の方法や基準,試験問題,解答・解答例や出題の意図(あらかじめ問題を蓄積して活用し,複数回実施を可能とするため試験問題を非公表とする場合を除く),受験者数・合格者数・入学者数や,学部ごとの男女別入学者数などの属性別の内訳,障害のある学生への合理的な配慮の提供状況,多様な背景を持つ学生の受入れの状況や関連の支援制度をはじめ,志願者の大学選択に関わる様々な情報の適切な公表を各大学に求め,一定のものは省令上の情報公表の対象とすべきとされているところでございます。
 こうした提言も踏まえながら,情報公表について今後御審議いただければと考えております。

【堀家高等教育政策室室長補佐】  続きまして,16ページ目でございます。認証評価における情報公表に関する確認についてでございます。
 認証評価に関しましては,細目省令の中で,大学評価基準として含めるべき事項といたしまして,「教育研究活動等の状況に係る情報の公表に関すること」が含まれてございます。それを受けまして,こちらに掲げておりますのは,機関別の評価機関ですけれども,5つの機関別の評価機関全ての評価基準におきまして,情報公表に関することが見られているという形になっております。ただ,基本的には,法令適合性という観点から確認をされているという形になってございます。
 17ページ目,大学ポートレートについてでございます。大学ポートレートにつきましては,データベースを用いた大学の教育情報の活用・公表のための共通的な仕組みとして構築されてございます。大きく分けて3つ目的がございまして,1つ目の丸,上の箱の部分ですけれども,国内外の様々な者に対する分かりやすい情報発信,2つ目の丸,教育情報を自らの活動状況を把握・分析することに活用すること,そして,各種調査等への対応に係る大学の負担軽減ということになってございます。平成27年3月より大学ポートレートによる国公私学の大学情報の発信が開始されているという状況でございます。
 18ページ目でございます。先ほど吉岡先生から御紹介ありましたけれども,大学ポートレートの活用状況といたしましては,現在95.3%の大学が参加しているという状況でございます。
 19ページ目,大学ポートレートの運営体制でございます。大学ポートレートの運営方針につきましては,「大学ポートレート運営会議」が決定をしております。大学コミュニティによる自律的な運営が行われるという形になってございます。
 3つ目の丸,国公私立共通のプラットフォームの提供及び国公立大学の情報の取扱いについては,大学改革支援・学位授与機構が,私立大学の情報の取扱いについては日本私立学校振興・共済事業団が担当しているという形になってございます。
 実際にページのイメージとして20ページ目,トップページにあります国公私共通の検索画面という形になってございます。詳細検索条件というところが下の四角の中に出ておりますけれども,ここに設置形態,国立,公立,株立から選択すると詳細検索が表示されますという形になっておりまして,詳細に検索をしていこうと思うと,国公と私学でそれぞれプラットフォームが異なってくるという形になっております。
 具体的な公表項目に関しまして,21ページ目が国公立版,22ページ目が私学版という形になってございます。例えば,認証評価の結果ですけれども,国公立版ですと,大学基本情報の評価結果というところの中に認証評価及びその他の評価の結果というものが含まれております。一方で,私学版でございますと,学校の公表内容のところの基本情報の中の下から2つ目に認証評価の結果というものが入っているという形になっています。
 また,学部・研究科の情報でございますと,21ページの国公立版で御覧いただくと,例えば取得できる資格ですと,国公版だと資格のところに取得できる資格というものがございますけれども,私学の方で見ようと思うと,22ページ目,進路・就職情報の上から3つ目に取得可能な資格という形になっておりまして,そのような形で,公表されている内容のそれぞれの配置状況が少し異なっているという形になってございます。
 事務局からの説明は以上でございます。

【吉岡座長】  ありがとうございます。
 ということで,これまでの説明を踏まえて審議に入りたいと思います。最終的には,この論点メモを作業チームとしての見直し素案という形でまとめていくことを考えております。それを部会に上げることになりますので,その観点から御意見を頂ければと思います。
 議論ですが,認証評価制度までの部分と,情報公表部分について,分けて議論をしたいと思いますので,まず,これまでかなりまとめた形で議論をしてまいりました認証評価制度までの部分について審議したいと思います。何か御意見はございますでしょうか。
 米澤委員,お願いいたします。

【米澤委員】  非常に丁寧に前回の議論を拾っていただきまして,まとめていただきまして,ありがとうございます。対応に関しては,特に異議はございません。その上で,少し精神的なところで確認をしたいところが2点ございます。
 1つが,2ページ目の今回変更になっているところで,要は,「社会との相互作用の中で営まれるシステムとしてのエコシステムとしての質保証システム」という考え方のところなんですけれども,ここの部分の考え方というものはすごく大事だと思っておりまして,かつ,多分この質保証システム部会の親部会というか,本部会の議論との関わりの中で,この意味をある程度共通のコンセンサスを持った方が良いかなと思いました。
 要は,社会との関わりというときに,見方としては,どうしてもコンプライアンスというか,社会に対してきちんと説明するというか,透明性があることが重要だというのはそのとおりなんですけれども,たまたま昨日の夜と今日の夜,別の場で,OECDの高等教育専門家会議というのがあって,それに参加していて各国の状況を見ているんですけれども,単純に国際的通用性というのを考えた場合に,要するに情報がきちんと伝わっているということだけではなくて,そこで世界的な共通の課題,各国の共通の課題として,人材育成をきちんと進めていく。特に高齢化社会に,日本は最先端ですけれども,なったときに,高度人材,それからリカレント教育みたいなものも含めて,どのような形で直接的に社会の人材育成ニーズに貢献していくのか。それから,同時にデジタライゼーションが進む中で,どういうふうに人材の,あるいは知的な創出のところで貢献していくのかみたいなところは,かなり中身として問われているような議論が出てきたのです。
 多分,前回の質保証システム部会の中で話している話というのは,かなり,例えば経済界の方の話というのはそういう話が出てきていて,それに対して迅速に対応できるのかみたいなところがずっと問われている感じもいたしますし,多分その教育再生実行会議の話もそういうようなところが入っていますので,その辺のことを含めたことが,ここで言われている社会とともに営まれるエコシステムであるということは,共通のコンセンサスとして持っていても良いかなということがございました。
 その上で,それを規定として,5ページ目の最後のところ,これから特例を認めていくという制度を作っていくというときに,多分この問題はこの問題,そのこととかなり関連していて,迅速な社会の変化に対してどういうふうに対応できるかというところがどうしても必要になってくるので,1つは,社会とのきちんとした話し合いが必要であると同時に,ある意味で迅速な対応みたいな,アジャイルな部分というものがシステムとして持っている必要があるということなのだと思うのです。
 ここに書いてあることは,私はもっともだと思っていて,基本的に,ACを経た後,認証評価を受審して適合認定を受けたというようなところで進んでいくんですけれども,見方によっては,要するにこの特例が認められるまでに相当に実績が長い期間をかけてないと特例に認められないという見方も,読めてしまうんです。
 そこで考えられるのは,特例として認めて,それがそれなりにうまくいくということがはっきりした場合には,単純に特例にとどめないで,より迅速にそれを,設置基準そのものを変更に結び付けていくようなことを1つビルトインしておくと,随分社会に対して説明がしやすいかなという感じがするところでございます。
 取りあえずここまで,以上でございます。

【吉岡座長】  ありがとうございます。ほかの御意見はいかがでしょうか。
 大森委員,お願いします。

【大森委員】  大森です。よろしくお願いします。
 今,米澤委員がおっしゃったところに続けて,少し違う観点ですけれども,今回この見直しのところの一番のポイントになってくるのは,この特例の在り方なのかと思っています。一定の基準,質保証をしっかりとしながら,でも,一方では先進性を確保,促していきましょうというのがトレードオフだという問題の解をなかなか見付けられずに,ずっと堂々巡りの議論をしていた感じがあるんですけれども。
 それのトレードオフに対するソリューションとしての特例ということが1つ出てきて,これは今回の見直しの大きなトピックになるのだろうと理解しています。
 その上で,前回の議論の中で私が申し上げた,私が当初イメージしていたのは,その特例が特例ではないというか,そこの基準をクリアしたところは,何だろう,野球で言うとFA制度のような,あるいは,大学で言うとキャップ(CAP)制を成績優秀な子は外してもらえるような,資格を得られて,あとはここをかなり自由に自分たちでチャレンジしていけるというぐらいのイメージでいたんですけれども,今回は,その特例として,その取組を認めていきましょうということになっていくのかなというところで,正直に申し上げると,私がイメージしていたものよりは,正に特例なのだというふうには理解しています。

 ただ,今までにないことをやっていこうとしていることなので,特例というところでスタートするというのも,制度のスモールスタートとしてはあり得るのかなという理解も持っているところなのですが,その上で,その特例の取組自体を,また審査をしてといったときに,そのプロセスもまた大変かなというのはあるんですけれども,もう一つは,普通に真面目にやっているところが,それをチャレンジできるというぐらいのイメージというか,設置基準を大幅に上回って頑張ってできているところだけが特例を受けていくということになると,そもそも特例は使わなくても良いわけですよねということにもなりかねないというところです。
 すみません,発言のバックグラウンドとしては,地方で普通に真面目に頑張っているところが,地域のニーズというのはすごく小さなニーズでありながらもいろいろ変化をしていく,それを受けてしっかりと人材育成をやっていこうとしたときに,そういった大学さんが,よろしくないことをやっている大学さんはもちろん駄目だけれども,普通に真面目にやっている大学さんが新しいチャレンジをしやすいような,何か資金的に余力があるところだけができるみたいなことにならないようなものにしていかないと,結局は,ある特定のところだけがというふうになりかねないのかなとも少し危惧をしていて,その先進性というものを広く,特に地方創生の観点からも促していけるようなということを意識した制度設計が必要ではないかと。正に大学がチャレンジするときにもスモールスタートができるような,新しいチャレンジへ。フルスペックスタートではなくて,スモールスタートができるような特例というか,そういうふうになっていくと良いなという思いが背景にあっての,今,特例制に関する発言ですということが1つ。

 もう1点,関連して教員のところなんですけれども,特例の中でこういうことも項目として考えていって良いかなという中に,教員の在り方,提示自体をこれから考えていくので,そっちでクリアされてしまうかもしれないんですけれども,教員数というのも1つ特例の中に出てくるポイントになるかもしれないとは思っています。
 その上で教員の定義について考えていったときに,これから,実務家教員の定義だけではなくて,一般の教員に関しても,これはもしかするとここの議論というよりも設置審の方での御議論になるかもしれないし,私もソリューションを持ち合わせてないんですけれども,研究と授業の1対1の審査関係というよりも,その人の幅広い教育力みたいなものでこの人にこれをやってほしいということを現場は思ったりするところがあるので,何か教育という観点を入れていかないと,各大学がいつまでたっても,昇任人事も含めて,研究を重ねた人でないと昇任できないとか,何かあらゆることが研究が第一主義になってしまうと。研究は非常に重要なポイントなので,それは軽視できないけれども,もう少し多様な評価・観点は,各大学に促していくということも必要かと思っています。これはこちらで決めることではないことは重々承知ですけれども,何かそういうメッセージが出されると良いと感じています。
 すみません,まとまりのない発言になりましたけれども,特例制の考え方の話と,教員の審査の考え方のお話でした。
 以上です。

【吉岡座長】  ありがとうございます。
 川嶋委員,お願いします。

【川嶋委員】  ありがとうございます。川嶋です。
 大きく2点あります。米澤委員が指摘されたように,今回,議論しているところは,特例のところが非常に社会的な関心,あるいは大学関係者の関心を呼ぶところかと思いますが,この点について,特例の対象とする事項によって,この特例の大学に及ぼすインパクトが相当変わってくると思います。ここに例として挙げてある遠隔授業の修得単位の上限を柔軟化するとか,単位互換とか,校地・校舎,あるいは,自ら開設の原則とか。これは言い方が難しいんですけれども,この程度の特例なのか,もっと,そもそも大学の在り方,例えば,既に学部・学科はある程度届出で改組できるようになっているのですが,現在は設置審査の対象となっているような新設や改組も大幅に特例として認めるのか,この特例とする事項によってかなり影響力が大きいということを少し考えながら,特例については慎重に議論をする必要があると思います。
 また,特例の可否については審査をするということですけれども,このインパクトの大きさからいくと,特例を認める期間を設定するのか,無期限に一旦認めたものをずっと特例というか特区的な形として認めていくのか,この特例の実質どうするのかというところが,大きな検討課題だろうと思います。

 それからもう1点は,この全体の枠組みなんですけれども,先ほど座長の方からは,認証評価までと,情報公表を別にというお話で,情報公表は今回新たに加わったところなので,議論の仕方としてはそれでかまわないと思うのですが,最終的な形からすると,その設置基準と設置審査という事前チェックのところと,それから,認証評価と情報公表という言わば事後チェックのところというふうに、大きな枠組みとしては2つのパーツに分けられて,なおかつそれぞれの中で,例えば設置基準と設置審査の関係をどうするのか。そして,事後のチェックのところで,認証評価と情報公表をどうするのか。認証評価と情報公表に関わっては,浅田委員が,設置基準のコンプライアンス的なところはもう簡素にして,より教育や学修のところの充実・改善がどうなっているかというところにもっと焦点化した方が良いという御指摘をずっとされていますけれども,そうなると情報公表がきちんとできていれば,そこはもうある意味自動的に,例えば教員数が設置基準を満たしているかどうかとかは確認ができて,認証評価の中では,教育や学修のところの改善・向上のところが,仕組みがうまくいっているのかというところにより注力できるようになると思います。
 ですから,最終的には,恐らくその事前と事後と,それぞれ事前の中,事後の中での関係性をきちんと整理していくというのが,今回のこの作業部会ないしは質保証システム部会のミッションなのかなと思っています。

 最後に,ここで聞くべきことなのかどうか分かりませんけれども,ポートレートのところです。いろいろここに課題が,今回情報公表のところで,学修者本位になっていない状況があるという課題等が指摘されているのですが,これは何が大きな原因なのかというところを正直に議論した方が良いのかなとは思います。そもそも国公立と私立と分かれているという,確かにその設置形態が違うとか,それぞれ各個別の大学でも事情が異なるということは,大人としては理解できるんですけれども,我々が目指す方向とした場合に,何が障害となっているのか。ここに書かれているような方向に目指すとしたら,それをクリアしないことには絵に描いた餅になってしまうので,ここはきちんと議論をした方が良いのではないかなと思います。
 以上です。ありがとうございました。

【吉岡座長】  ありがとうございます。
 日比谷委員,お願いします。

【日比谷座長代理】  ありがとうございます。日比谷でございます。
 私も特例についてコメントをしたいと思います。今回の作業チームから出していくこと,これがやがて質保証システム部会に上がり,大学分科会へという流れになるわけですが,特例がある種の目玉になることは間違いないと思っています。大学関係者からも非常に注目されるでしょうし,一般社会からもそれなりの注目を集めることになるのではないかと思います。
 この間の議論,この一,二年を振り返ってみますと,大学でいろいろ自由なことをしたいと思っても,ある種の規制が多いという声が非常に強い。私が,コロナが始まる直前ぐらいからいろいろ出ておりましたところでも繰り返し繰り返しその話がございました。そこへコロナ禍がやってきて,オンライン授業の上限60単位というようなことがある種の引き金になって,この規制は何だみたいな話になっているかと思います。
 座長がお作りくださいましたメモの中にある先進性・先導性,柔軟性というのは,私は大変に大事なことだと思いますし,日本の大学が開かれたものとして,世界の大学に伍していくという観点から,是非ともこれを推進すべきだと思いますが,一方,本当にいろいろなタイプの大学がたくさんあるわけですね。これは,先進的な研究大学等,地方で頑張っている大学というようなことだけでなくて,かなりとんでもないことをしている大学は残念ながらないわけではない。私も結構長い期間,こういう文科省関係のいろいろな仕事をしておりますと,そういうところの実態を見るような機会も多々ございましたし,今あります。そうすると,何か本当に普通では想像できないようなことが起こっているところもありますので,特例がものすごい特例で,本当に特別でないとできないというのはよくないと思いますし,ある種のタイプにしか当てはまらないような特例もよくないとは思うものの,余りにも問題なところが,非常に問題な,何といいますか,改組をすっと届出でできてしまったりとか,あるいは,そもそも学部・学科,大学を作ってしまうということのない,そこのところもきちんと詰める必要があるということは痛感しています。
 今まで特例についての御意見を伺っておりますと,これから作業チームで詰めていくべきことは,では,その特例って何なのかと,どういう特例をどういうふうに認めるかということを,これから1つ焦点化して議論をしていけば良いのかなと思いました。
 以上です。

【吉岡座長】  浅田委員,お願いします。

【浅田委員】  ありがとうございます。今,日比谷委員の御意見をお伺いしまして,私も基本的に同感でございます。
 特例制度が今回大きな転換点になるかと思うんですけれども,多くの委員が言われているように,基準と審査をどういうふうにしていくのか,制度全体として特例をどう生かせるのかというのは,これは特例を作れば良いよというだけの提言ではなくて,その後がすごく大変な感じがいたします。特例制度を生かすという観点から今後議論が深まれば良いと思っています。
 というのは,本来ならば,設置基準全体,あるいは設置基準に絡む様々な関連する法令も含めて,全体の再設計が必要なのだろうと思いますが,これは大き過ぎて,多分今回は無理だろうと思っています。まずは,できるところから始めるという現実的な選択肢としては,ここで出された特例というのは1つの解決策なのだろうと思っています。これが最善かと言われると,なかなか難しさは残るなと思うんですけれども,まず一歩を踏み出すという意味での御提案だと思っていますので,基本的にはこれで議論をしていくのだろうと思っています。
 それと,先ほどから,では条件をどうするんだとか,資格はどうするんだというお話が出ていて,これも議論をすればなかなか悩ましいのですが,日比谷委員がおっしゃったように,大学というのはすごく多様なんですね。世界と勝負していくような研究重点化した大学,大規模大学もあれば,本当に小さくて地元でやられている大学,中には,大学というもののそもそもの捉え方にも随分幅があって,我が大学はすばらしいし,きちんとやっていると言われているんだけれども,認証評価などでは,法令解釈的なこととか様々な実態を見たときに,必ずしもそれではよろしくないですねというところもあったりするというのも現実です。だからそういう意味では,いろいろなものが全部一斉に自由化されるということについては,現状を見るとかなりリスクはあるのだろうというのが私の認識です。特例が今回のところが最善かと言われるとよく分からないのですが,少なくとも一歩踏み出す,解決策としての1つの方向性は示されているのではないかと思いました。
 以上です。

【吉岡座長】  ありがとうございます。
 杉谷委員,お願いします。

【杉谷委員】  ありがとうございます。ずっともう特例の議論が続いているかと思うんですけれどもそれに関して一言だけ。
 その特例を認める対象ですけれども,前の会議で,認証評価の適合の認定を受けているところが望ましいのではないかと申し上げたかと思います。そのように書いてくださっていますけれども,実際, 適合を受けたところとなりますと,かなり広い範囲になってきます。適合を受けた中でも,特に認証評価機関の方で優れていると判断されるような,そういうふうなものを認証評価機関の方で判定してくださるか分かりませんが,1つそういうやり方があるのかなというのは,当初思っていたイメージです。
 ただ,そうなりますと,また数がかなり絞られてくるのかと思いますので,大森先生もおっしゃっていたように,普通の大学が地道に真面目にやっていることも評価されるように,認証評価機関の認証評価結果の中で評価される部分がどの程度書き込まれているのか,そういった情報も参考にしながら,改めて審査をしていただくという感じになるのかなと思った次第です。
 以上です。

【吉岡座長】  ありがとうございます。
 大変難しい問題なのですが,1つは,その特例の考え方ですが,これは私の個人的な意見ですけれども,特例は飽くまでも特例であって,法制度的な形で設置基準の方の改正につなげていくということは念頭にあるべきかなと思います。特例が特例として固定してしまうと,そこがいろいろな形でまたぐすぐすになってしまったりするので,考え方としては,特例というのはやはり特例であって,本体には設置基準があるということが前提だと思います。
 もう一つは,その特例の対象の問題ですが,対象をどうするかというのが1つ。認証評価と結び付けた場合,これは結び付けるべきだと一方で思いながら,ただ,現在の日本の認証評価というのは機関に対する評価なので,要するにとりわけ大学全体に対する評価ということになっているので,そうなると,大学という単位でその特例を認めるのかということです。
 ただ,実際の大学が恐らく特例を認めてほしいと思う場合には,新しい学部であるとか,あるいは学位プログラムを作る場合にということになると思うので,そうするとそこの関係,学位プログラムを,要するにその機関が認証評価で一定の資格があると認めた場合に,その大学がやるものであれば,何であれというわけではないんですけれども,特例として認めるという形にするのかどうかですね。
 ただ,個別のプログラムないし新しい学科やコースを作るというところを審査するとなると,またこれも少し特例としてはやりにくいということになってしまうので,そこのところの考え方は整理する必要があるかと思いました。それによってその特例のイメージが随分変わってくると思います。そういうことですね。実際に特例が使われるのは,多分新しい学位プログラムが今後出てくる場合に重要な役割を果たすのではないかと思うので,それをどういう形で認めていくかということだと思います。

 一方,例えば60単位問題のような形であれば,既存の今の大学でやっている普通の授業のところを広げれば良いという,特例を認めるというレベルの話なので,その特例の考え方に関わるなと思いました。そこのところは,整理する必要があるかと思ったところです。
 あと,すみません,今のことと少しずれますが,2ページ目のところに書き加えた部分ですが,「社会とりわけ産業界等の関わり合いの中でも規定されていく」という形で,エコシステムというところにつないでいるのですが,ここは産業界だけではなくて,「社会とりわけ産業界,地域等との関わり合い」で,「地域」という言葉を入れた方が良いかなと思いました。
 これを入れたのは,産業界という言葉を入れたのは,直接的には,例えば,就職の問題みたいなものが一番大きい問題なので産業界というのを考えたんですけれども,しかし,社会との相互性といいますか,社会の中の大学ということを考えるならば,地域ということの方が場合によってはもっと重要かと思いますし,大森委員の発言も踏まえ,ここは「地域」というのを入れようかなと,細かい修正ですけれども,考え方に関わるので発言をさせていただきました。
 川嶋委員,お願いします。

【川嶋委員】  ありがとうございます。
 今の吉岡座長のお話の前半のところで少し考えたんですけれども,先ほど,どの程度を特例にするのかという発言をさせていただき,どういう事項を特例の対象にするのか,発言をさせていただきましたけれども,今の吉岡座長の前半のお話のところで,機関別認証評価のお話をされて,そこで少し考えたのは,究極の特例というか,今の日本の大学の設置の仕方の中での究極の特例というのは,海外の大学のように,1度政府なり国王なりから学位授与権を認められた学位授与機関である大学としては,ほぼほぼ自由にいろいろな教育プログラムを自己裁量で開設できるということではないでしょうか。ところが,今は,日本の大学ですと,これまでも説明がありましたように,19学位の分野があるというお話でしたけれども,19の分野の中で新しい教育プログラムを開設したり、既存の分野を超えてというか,別の分野の教育プログラム,学位プログラムを作ろうと思うと,届出をしたり,設置審査を受けたりしないといけない。本当に自律した学位授与機関として,自由に学位プログラムを設置できるというのが、究極の特例の在り方かなと思いました。
 以上です。

【吉岡座長】  ありがとうございます。
 そうなんですよね。だから,実際にいろいろな基準を緩めるとか,外していくということの積極的な効果ということを考えるならば,ある一定の資格を持った大学に対して,最初に米澤委員がおっしゃったんだったかな,要するに資格を与える,大森委員がおっしゃったのかな,資格を与えるみたいな形で,それを確認して,そこがやることは基本的にオーケーにしていくというのが1つのやり方だと思います。
 ただ,その場合は,どの大学を認めるのかということと,それから,大学という単位で十分か,大学によっては,学部ごとでの自律性とか,教育の単位の性格が強いとか,それから,新たに先ほど言ったように学位プログラムをどうやって作っていくかみたいなところを考えているところと,どういうふうに調整するのか。
 それから,1つの大学が,これは浅田委員が前にもおっしゃっていたように,1つの大学がいつまでもその大学の体制を取り続けるかというと,そういうことはなくて,学長が代わったら方針が変わったり,理事長が代わったら方針が変わったりとかということは幾らでもあり得るので,大学の柔軟性ともそれは結びついているので,その辺のところはなかなか難しいですね。その期間をどうするかという,川嶋委員が先ほどおっしゃったことともつながっているところです。
 何か御意見はございますでしょうか。大森委員,どうぞ。

【大森委員】  今の議論のところでいくと,でも私はその機関別認証というふうに,あれですけれども,機関別資格付与にならざるを得ないのではないかという気はします。
 例えば,確かに学部ごとにいろいろなチャレンジを複数の学部があってされていてということはあると思いますけれども,その学部を設置しているのは大学であって,ある学部はすごくすばらしいんだけれども,例えばある学部は少し駄目だったとして,でも駄目だった学部をそのままにしてしまっているという実態がもしあるとしたら,新しいチャレンジをしてもらうわけには,もしかしたらいかないかもしれないですよね。ということも考えると,やっぱりその機関なのではないのかなという気はいたしますけれども,どうなんでしょう。ただ,さっきの,そうか,60単位をどうするかとかいうのは,学位プログラムごとのあれになるんですかね。ああ,そうか。

【吉岡座長】  学位プログラムも管理しているのは機関だと考えれば,一定の資格と条件が整っていて,それについての十分な説明がされるということは必要だと思いますけれども,ということはできるかなとは思います。
 ほかにいかがでしょうか。あと,これは米澤委員がおっしゃっていた,米澤委員,ごめんなさい,手を挙げていらっしゃいました。では,米澤委員,どうぞ。

【米澤委員】  失礼いたします。ありがとうございます。
 今,大森委員がおっしゃったように,私も機関別かなと思っているのですが,その上で,これはどれぐらいの期間という時間の問題と同義かもしれないんですけれども,特例を取り消す,あるいは,状況によっては即時に取り消すような感じの規定というのもどこかで作る必要があるのだろうと思っておりました。
 別の話で申し訳ないんですけれども,2ページ目の,さっきの「地域」を入れるという話なのですが,すみません,すごくマイナーな話なんですけれども,もしそれをされるようであれば,例えば,国際社会とか,グローバル社会とか,地球課題とか,何か国際の話も入れていただくとバランスが取れるなと思ったということでございます。
 以上でございます。

【吉岡座長】  そうですね,分かりました。広い意味での大学が置かれている周りの環境という意味での,正にエコシステムなんですけれども,そうですね,その辺は入れておいた方が良いかもしれません。あんまり広げるとぼやけてしまうので,少し考えさせてください。分かりました。
 それと,もう一つは,今のその期間ということとも関わる,認めた後の期間の話ですが,もう一つは,認めるまでの時間の問題で,これは米澤委員が最初におっしゃっていたことですけれども,認証評価待ちだと7年に1度みたいなことになってしまうので,その辺の問題も1つありますよね。
 つまり,改善,認証評価で何らかの問題点が指摘されたとしても,それが迅速に改善されて次のステップに歩もうとしているのが,次の認証評価まで待たなくてはいけないというのだとなかなか難しい。その特例を認めるというのは,状況に対する迅速な対応という側面が含まれていないとならないので,その問題も考えなくてはいけないということで,何か振出しに戻るようなところがありますけれども,その特例を認める認め方であれ,そこでは迅速な対応ということと,それから,駄目だった場合にどういう形でそれを収束させるかということも考えなくてはならないかと思います。
 単位の枠組みぐらいだったら少し余裕を持てば良いのですけれども,プログラムで学生を取っていたりしてというようなことになってくると,その学生の行き場がなくなるようなことが起こらないように,そんなことは考えておかなければならないと思いました。
 ありがとうございます。議論は尽きないのですが,情報公表の方の議論をして,必要があれば戻るということにさせていただきたいと思います。

 それでは,いかがでしょうか。情報公表関係の部分について,これもかなり御意見があると思うので,御自由に御発言いただければと思います。
 口火を切りますけれども,情報公表が極めて重要であるということ,それから,先ほどのところで既に発言がありましたけれども,その質保証の一番実際の社会との関係というところも含めて,基礎になるのが情報の公表ということ,社会との共有と言っても良いかもしれませんが,それが必要だということについては,多分御異論はないだろうと思います。
 情報公表が明確な形でかつ機能をしていくならば,様々な問題が実質的には解決していくといいますか,いちいち設置審が審査し直したり,認証評価が細かいところに口を出したりする必要というのが実際なくなっていくということになり,理想的な自律が生じてくるとは思います。
 それと,情報公表が重要なのは,先ほど日比谷委員がおっしゃったように,かなりいろいろな大学があって,把握ができないといいますか,かなりとんでもない大学というか,そういう教育機関というのが,きちんと目に見えるような形にならなければということとも関わっています。
 ただ,どういう形で情報公表を促すかということはかなり重要で,各自が好きな形で,ホームページでやっていますよというだけでは恐らく難しいと。ただ,余り一律な基準を立てて,そこに合わせて,例えば数値化したものだけを出すということになると,結局偏差値の問題であるとか,あるいは就職率であるとかという,有名企業に何人入っていますかみたいな,そういうレベルの議論に結局また収れんしてしまうので,難しいです。つまり,基準の立て方みたいな話,それから,どこまでその情報公表に強制力といいますか,力を持たせるかということを併せて考えないとならないだろうと思います。そのようなことがあるかなということで発言しました。
 いかがでしょうか。杉谷委員,どうぞ。

【杉谷委員】  ありがとうございます。
 特に今回取り上げられているのが大学ポートレートのことかと思います。私自身も大学ポートレートステークホルダー・ボードの方に入っていて,ここ数年この議論に関わってきたのですが,もちろん情報公表の重要性と分かりやすさというのは非常に大事なことだとは思います。その議論の中でも度々上がるのが,こちらの資料3の17ページ目ですか。大学ポートレートについて、概要・趣旨が出ているかと思うんですが。資料3の17枚目です。
 まず,ここに上げられている概要・趣旨はどれも重要だと思うのですが,非常に目的が多様です。なおかつ情報を見せる対象者も社会とは言っていますけれども,実際には,高校生,保護者,それから企業,一般の人も含めて入ってくるかと思うので,なかなかその辺りの情報を分かりやすく提示するということ自体が難しいのではないかという議論がこれまでステークホルダー・ボードで上がってきています。
 特に,産業界の方から,こんなに多様な目的を1つのこのポートレートで実質化していくというのはなかなか難しいと。どこに重点を置くべきかが議論されるべきだというお声が何回か上がっています。
 今,ともすると進学希望者の進路選択情報のためという部分が強調されがちですけれども,その一方で,認証評価を簡素化するための情報公表であったり,IRのための情報公表であったりという議論が錯綜しています。そうかといって何か解が見つかるわけではないのですが,そういった見地からもきちんとこの問題は検討をする必要があるのではないかとまずは思っています。
 その上で,どの情報をどういう基準で提示していくのかということについては,かなり実質的な細かいことを議論していかなければならないのかなとは思います。ひとまず。

【吉岡座長】  ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。米澤委員,お願いします。

【米澤委員】  少し杉谷委員のお話と絡めて,進め方でよく分かっていないのですが,どこまでここで話をするのかというところがもう少し分かっていなくて,まずここで言わなければいけないこととして,質保証システムの上で,情報公表というのはかなりの柱になるということをはっきりさせるということが1つであると。
 それから,その中で認証評価について,あるいは設置基準も含めて,質保証の観点からこのような情報が必要だということをはっきりさせるというところまでが仕事なのかなと思っていたのですが,同時に,社会に開かれた情報公表であってほしいというのは当然な議論ではあると思うのですが,この部分というのは,要するにここで全部抱え込んで,ポートレートまで含めて細かく議論をすることが求められているのか,こういうような精神で我々としてはこういうふうにしてほしいということを要望するというか,情報公表に向けてエールを送るようなことをここで話合いをすべきなのかが,少し理解ができていないんですけれども。

【吉岡座長】  私もこれをやりながら,その辺が少し,どの辺までがうちの仕事かなということは考えていたのですが,一般的に情報公表の意味みたいなものだと,むしろ部会とか,あるいは大学分科会マターみたいなところがあると思うのです。ここは作業チームですので,作業チームの議論の中で,しかし,やはりその重要な柱になるので,こういう情報公表がないと実質的化しないという部分の,そういう意味ではやや技術的な部分をここで考えるということかなとは思ってはいるんですけれども,おっしゃるように,ここで全部その情報公表についての論点を全て抱え込むというふうには,やれないだろうとは思っています。
 事務局,何かその辺のところのイメージというのはありますでしょうか。いきなり振ってすみません。

【堀家高等教育政策室室長補佐】  ありがとうございます。事務局でございます。
 情報公表につきましては,例えば学教法の施行規則,先ほど御説明させていただきましたけれども,施行規則の中に公表される事項が定められております。一方で,教学マネジメント指針の中で公表すべき,各大学が共通して公表することが望ましいといったものも,先ほど御説明させていただいたとおり整理をされているところでございます。
 ですので,この作業チームといたしましては,どのレベルまで大学として情報公表していく必要があるのか,どういう事項について公表していくことが望ましいのか,それをどのように担保していくのが望ましいのかといったことを特に御議論いただければと思ってございます。
 ポートレートの関係で申し上げますと,先ほど杉谷委員からも御紹介がありましたけれども,ポートレートの方が自律的な運営という形になっておりますので,こちらの質保証システム部会で議論をされていることが,そのままポートレートの世界に反映されますというわけではないのだと思っております。
 ですので,先ほど米澤先生からおっしゃっていただきましたとおり,こういうのが望ましいよねという方向性をお示しいただき,それをまた受け止めていただいてポートレートの方で考えていただく,そういう関係性になるのなと思ってございます。

【吉岡座長】  ありがとうございます。

【米澤委員】  ありがとうございます。
 もしそうであれば,1つは,認証評価,設置基準まで含めると思いますけれども,認証評価の負担を軽くするというか,要するにふだんこういうものが出ていれば,認証評価のときにものすごく苦労しなくて済むというものが何なのかということを特定するというのは,技術的には可能だと思うので,そういう作業は1回にした方が良いかなというのが1点でございます。
 その上で,1つの基本的なメッセージとしては,国公私にたまたま分かれて,その情報が不均衡であることもあるし,一緒に寄せて議論はしにくいというのは,多分学修者の視点から考えれば,質保証の仕組みとして望ましくはないということぐらいまでは言ってしまっても良いかなという感じがします。
 以上です。

【吉岡座長】  ありがとうございます。
 非常に簡単な,情報公表の関係で言うと,1つは,認証評価でどういう評価がされたのかということすら公表していない大学が結構たくさんあるということから始まっているのだと思います。最初は,記憶をたどってみるとそういう議論があって,認証評価をせっかくしてもそれが社会の中に対して共有されない。大学によっては,前回,1つ前の評価がホームページに載っていたりするとか,そもそも載っていないところがあるとかというようなところが,その認証評価の問題との関係では議論をされたことがあったと思います。
 それと,そういう意味では,ポートレートの問題と若干違っていまして,ポートレートは,受験生等に対するその選択を容易にするというような議論がかなり中心的に行われていましたが,今回の議論で言うと,例えば,教員数であるとか,学生数であるとか,いろいろな施設等の問題等についての公表の問題と絡んでいるので,そのポートレートに何を載せるかというようなことがここでも扱う可能性があるといいますか,扱うことになるという。幾つか確かに筋があるのだと思います。
 いかがでしょうか。浅田委員,お願いします。

【浅田委員】  ありがとうございます。
 情報公表に関してポートレートが話題になっていますけれども,先ほどからお話がありますように,ポートレートは既に動いていて,一定の機能を果たされているわけですし,また,中でいろいろ議論をして改善されているので,そこに関して直接ここで議論するというのは,分けて考えた方が良いかと思います。
 情報公表に関してですけれども,まず最低限として法令で定められた項目があるので,これは出さなくてはいけないし,ほぼ皆さん出されているだろうと思います。ただ,設置基準等々の法令適合性について,法令に適合している大学であることを説明する責任は大学にあると思います。認証評価などでもそこを丁寧に見られているんですけれども,法令適合性についての第一義的な説明責任は大学にあるのだから,そこのところは大学がきちんと説明するべきなのだろうと思います。だから,そこは最低ラインとしては求めて良いのだろうと思います。
 先ほどの特例の話で絡めて言うと,より大学を発展させたい意欲的な大学は,当然質の保証も自信を持たれているわけだから,そういう大学は,先ほどから出ている情報公表に関して,例えば,教学マネジメント指針で示されたような幾つもの項目について積極的にどんどん出されて,そういう大学は,当然質保証についても堂々とされているのだから,特例対象のインセンティブになるような,そういうメカニズムがあったら良いと思っています。
 つまり,強制して出させるという枠組みというのは,なかなか多様な大学の中で難しいと思いますが,どんどん前進したい大学は,自分の大学をより良くして,その内容をどんどん社会に公表して,それが特例適用をされるインセンティブになっていく,そういうメカニズムをうまく作っていただけると,その特例制度に向かうための情報公表の活性化といいますか,活発な進展というものも起こり得るのではないかと思います。
 もちろん,そのためにどういう項目であるとか,あるいは公表の様式をどうするのかという細かいテクニカルな話もあると思うんですけれども,大きな枠組みとしては,大学が強制されて全部出さねばならないという枠組みではなくて,大学が意欲的に出していく,それに向かう方向として,先ほどの自由度を高めるというものがうまく機能するような仕組みを作っていただけたらと思います。
 私からは以上です。

【吉岡座長】  ありがとうございます。
 川嶋委員,お願いします。

【川嶋委員】  川嶋です。
 何人かの委員の方々のお話を聞いて感じたことですけれども,情報公表といったときに,個別の大学が公表をしている情報がそれで十分か,あるいは,公表の仕方が社会とか,保護者や高校生から見て,分かりやすい形にできているかどうかということの検討がまずは必要ということと,もう一つは,そのポートレートに見られるように,国というか,ナショナルレベルでどのようにして大学の高等教育の情報提供をしていくのかということを,分けて考えていく必要があるかと思います。
 大学が個別に公表をしている状況は,今は教育情報の公表であったり,あるいは法人が公表しなければいけない情報とか,法律などで決められた情報が確かに公表はされているのでしょうけれども,なかなか外側から見て分かりにくいところが多いと思います。ですから,個別の大学については,もっと分かりやすい形での公表というのを求めていくべきだろうと思います。例えば,アメリカなんかですと,10人以下のクラスの比率とか,あるいはアクティブラーニングの授業の比率とか,かなりそういうところまで含めて個々の大学が公表をしています。
 それから,今日の配付された資料を見ますと,イギリスでは,国のレベルでの情報公表のところで,ナショナル・スチューデント・サーベイの結果を一覧できるようにしているのだと思うんですけれども,そこでも,進路選択の際に参考になるようにということでここまで公表しているのでしょう。個別の大学での情報の公表,項目,仕方,それから,この国レベルでの一覧の仕方というところを分けて考えて,最終的には,社会に開かれた,それから,学修者本位という観点から、それぞれどうあるべきかということを議論していくことが必要ではないでしょうか。米澤委員が御指摘のように,どこまでこの作業部会とか質保証システム部会で議論をするのか,ポートレートは運営会議があり,認証評価の協議会があるので,そこにある程度任せるというようなスタンスで良いのか,システム部会でかなり細かいところの議論をしていくのかという,そこの仕分は必要かなと思います。
 以上です。ありがとうございました。

【吉岡座長】  ありがとうございます。
 日比谷委員,お願いします。

【日比谷座長代理】  ありがとうございます。
 教学マネジメントの座長を務めました者といたしましては,1年かけても大変な議論の後にこれを作り上げましたので,全てとは申しませんけれども,情報公表関係について,こういうものは公表した方が良いのではないかと私どもから御提案したものの中から,幾つか是非項目としては生かしてほしいなという,これは個人的なお願いがございます。
 その上で,本日頂きました資料3のところに,情報公開関係ということで少し具体的な例が挙がっているのですが,例えば,一番上に上がっているものを使って私が申し上げたいことを少し御説明しますが,各授業科目における到達目標の達成状況を出すと,公表を考えられる内容として,例えば,入学年度別・年度ごとの平均履修単位数を出すということを書いてあります。ここでも,あるいは質保証システム部会でも少し議論をしたかと思いますが,できれば1年,2年,3年,4年とバランスよく単位取得をしてほしいわけですけれども,現実には,卒業論文があるというようないろいろなことがありますけれども,その就職のために1,2年,3年ぐらいでもうたくさん単位を取ってしまって,4年は科目はがらあきであるというような状況が実際にはあるわけです。これは,本日の座長のメモに加えられた産業界との連携というようなこととも関係がありますけれども,情報を公表したときに,この大学は4年間満遍なく単位を取っている人が多い大学,A大学。B大学は1,2,3年でほとんど取ってしまうというのを比べたときに,A大学の方が良いんだとみんなが思ってくれるようなある種の啓蒙活動がないと,同じ情報だし,B大学へ行ったら4年生のときはずっと就職活動ができるからBに行こうというふうに選択されてしまうと,私たちの意図とは違うと思いますので,どういう情報を公表するかということと,その意味は何かということを,これはここですることではないと思いますけれども,大学教育というのはこういうものであるというのをしっかり伝えていく必要もあるのかなと思っております。
 以上です。

【吉岡座長】  ありがとうございます。
 川嶋委員がおっしゃったように,各個別大学がどういう形で自分をアピールしていくかというか,私学であれば建学の精神であるとかということと関連付けてということがあるかもしれませんが,そのことを,例えば強制するのはなかなか難しいと思いますけれども,その場合のある種の指針のようなものを日比谷委員がおっしゃったような形で出していくということは,ここがやるべき仕事かどうかというのは別ですけれども,方向としてはあり得るかなと思いますし,ある種のフォーマットがあった方が良いかなとは思います。それに乗らない大学がもちろんあっても良いというレベルだと思いますけれども,そういうことを進めていく。それに乗ってこられない大学は,独自でやるなり,別の基準を持っているというところを,完全にそういうことは認めないとするというのはなかなか難しいと思います。
 既に,ここ多分数年ぐらい,10年ぐらいの間に多くの大学がホームページを拡充して,その中でそういう点,つまり自分の大学がどういうことをやろうとしている大学であって,そのためにこういうシステムを学内で作っていてというようなことを公表するということは,進んではいると思います。
 問題は,そういうことをしていない大学だと言えばそうなんですけれども,一方でそういうことをしている,進んでそういうことを積極的にやっている大学というのを評価するというか,システムを作り,それを先ほど浅田委員がおっしゃったように特例等のシステムに結び付けていくことができれば,それは確かに好循環が生じるかと思いますが,具体的にどういうふうにやるのかというのはなかなか難しいかもしれませんが,考え方としては,そういうことはあり得るだろうと思います。
 一方で,とにかくホームページで各大学がある種勝手な概念をお持ちで,勝手な枠組みでやったというのを,一般の人たちが外から見て比較できるかとか,考えられるかというと,これはなかなか難しいので,その辺は何らかのモデルというか,指針というか,もう少し行けばフォーマットのようなものを提示していくということが必要かと思いますが,これはここでやること,中教審レベルがやることかどうかというのは,別かなとは思います。方向としてはそうかなと思いますが,これは個人的な意見です。
 大森委員どうぞ。

【大森委員】  ありがとうございます。
 私もその情報公表に関しての,今,委員の皆さんのお話を聞いていて,まずほぼほぼ共有できているのかなと思ってはいるんですけれども,学教法の施行規則で定められているような項目を公表してない大学というのは,基本的にはないという認識で,本当にまれにそういうところがあるかもしれないけれども,それはもう本当に論外中の論外であって,私もいろいろな大学さんに呼んでいただくときに少し予習をするために見ますけれども,今までそれを公表してない大学さんに出会ったことがないです。
 なので,何か,多分ここで議論,それはもうデフォルトになっているので,その内容で質が担保できているのだとすれば,もう議論をする必要はないということですよね。その議論がここでされれば良いのかなとは思っていますということと,そういうふうにもう共通の数的なものというのは,むしろ各学校のホームページよりも,それこそポートレートの方に移してしまって,何か毎年両方を直したりとかしないといけないことも起こっていて,それは1個1個の学校のホームページに行って見るよりも,それこそそういう数字的なものはポートレートで見ていけるというふうに,もうそっちに統一してしまった方が良いなという感じはしています。
 その上で,こういうものが公表されると良いというのが,更にプラスの部分で,ここなのか,どこかで議論をしたものというのが,それを指針を示すことで,ポートレートの方の項目がそこでまた変わってきて,ポートレートで結構いろいろな項目,アクティブラーニングとか,PBLとか,項目があって,それについてその解説まで書いてあって,それに対してその大学はどう対応していて,少人数のクラスもどういうふうになっているかとかを全部書くようになっているわけなので,そこに求められる項目みたいなものが入っていくことで,各大学の教育の取組自体の改善にもつながっていくと思うので,何かそっちで良いのではないかなという気は,そういう流れで良いのではないかなという感じはしていますけれども,という感想でございます。

【吉岡座長】  ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
 1つは,それこそ最低限の法令上の公表義務があるものについて公表をするのは当然なので,これは少なくとも一覧化することも,統括することも可能だろうと思いますので,ポートレートは基本的にはそういう形で作られていると思うので,そこの部分は取りあえずは良いと思いますけれども,ただ,そこで表れている数字が,では質保証に結びついているかとなると,なかなかそう簡単にはいかないかなというところが,そこからは読み取れない部分が難しいかな。

【大森委員】  これは少し難しいなと思って,難しいというか,つまり,その量的な部分と,それから質的な部分とが当然あって,日比谷先生御指導の下,まとめたあれでも,例えば学修成果の可視化といっても,その可視化の方法論は各大学に当然委ねられていて,そうあるべきであって,それはもうある程度文章で書いていかざるを得ない形になっていきますよね。それは,何か一覧化はなかなか,最終的には難しいという覚悟を持って項目を考えていかないといけないのではないかなという気がしますけれども。

【吉岡座長】  非常に普通に単純に,例えばその大学,一時よく言われたように,日本の大学は入るのは難しいけれども,出るのは簡単だと言われていて,大体みんな4年で卒業していくわけですけれども,例えば,ある大学が卒業を非常に難しくして,中で留年は当然あり得るという形で自分たちの教育方針を立てていったという場合に,多分数字上に表れるというのは,それはほかの大学から見たら変な大学だと思われますし,例えば,単位がきちんと取れないで,アメリカの大学のように,成績不良であった場合には退学を勧告するような形で,要するに退学者が一定数いるような大学というのは,見方によっては教育が悪いというふうにも見えてしまうし,実は非常にきちんとした教育をしているという場合もあると。その辺はなかなか数字で,例えばその退学者数というのは,割と分かりやすいようであるけれども,考え方によっては難しいので,その辺の拾い方というのは結構大きいかなと思います。
 それから,しかもこれはリカレント教育であるとか,その教育の柔軟化,高等教育全体の柔軟化みたいな話で言うと,大学は何も4年間で卒業する必要はなくて,例えばその間に留学したり,あるいは昔で言うと世界一周をするみたいな,そういうような余地をむしろ残していくというのも,今後十分考えられることだと思うので,そういうものも含めて,大学の広い意味での教育ですよね。人材育成というか,人間の育成というようなことを考えていった場合に,なかなか指標を立てるのは難しくなってくると思います。
 それを含んだ上で,なおかつ比較可能にするためには,ある程度のその数値化が必要で,かつその数値化したものの意味を,どこか文章は当然必要になるにしても,公表していくということが,両方やっていく必要があるのだろうと思います。
 指標,とにかく何をもってその成果,私,この10ページのところに,学生の学修成果や大学全体の教育成果に社会の関心が向けられることがないまま,偏差値や職業実績に関するランキング等によって一面的に判断される傾向にあると書いてあって,ここで成果,学修成果や教育成果というふうに言葉を使っていて,これは教学マネジメントの中で使われている言葉ではあるのですが,では,何をもって成果とするかというのは実は難しくて,例えば,企業への就職率とか就職実績というのは,ある意味では正に社会からの評価であって,成果であるとも言える部分があるわけです。だからその辺の考え方とか価値観にも関わるので,何をもって成果とするかということが難しい。
 それから,その指標の立て方は難しいですし,必ずこういうときに,私もよく言う議論ですけれども,その学生の成長というのは,何もそこで,4年目の段階で分かるわけではなくて,何年もたった後にしか成果なんて出てこない,分からない,自覚もされないと。その辺のところを,社会がむしろそういうことを含めて評価するといいますか,理解しながら大学というものを見ていくというふうにしていかなければならないと。それは,社会の啓蒙という話とも関わっているかもしれません。
 米澤委員,お願いします。

【米澤委員】  ありがとうございます。
 多分ここで,何というか,国として要求すべきなのは,非常に基礎的なデータ,例えば学生数とか,教員数とか,例えば届出をしているのであれば,アクティブラーニングとかも含めた部分ですけれども,一般的に大学が義務として出しているものを,きちんと定義に基づいて出しているところまでが仕事かなと思っております。
 そこから先,2つのことが多分入っていると思うんですけれども,1つは,認証評価自体,あるいは我々の質保証システム自体が,内部質保証というものを前提として組んでいる以上,その中で大学がその指標,あるいは更に追加の指標,追加の数字のデータを使って,独自の考え方によってベストな指標を作ったり解釈をしていくという余地を残して,それの透明度を高めていくということは,蓋然的に評価することはできるんですけれども,それは飽くまでその中で,内部質保証の中で見てくる話かなと思っているというのが1つです。
 もう一つは,例えばフルタイム・イクイバレントにしても,調べていただいて私も改めて分かったんですけれども,定義できないというか,1つに定義ができるほどまだ固まってない感じがあって,いろいろな余地が,論争の余地があるのだと思うのです。
 そうなると,例えば,マスコミでもあるし,あるいは外部の第三者的な機関があっても良いと思いますし,その間で論争できるような形で状況を作る。いろいろな形の解釈があって,それを闘わせていって,大学の方も大学の方で主張していくというようなことが望ましいということになるので,基本的には,例えば学校基本調査に出ているようなデータは,必ず出しても困らないわけですね。何が問題かというと,多分認証評価をするときに,いちいち出してくださいと言えば二重に何回も出すことになるのですが,大学が,逆に言えば,ここにもうデータを出しているので,公表もしているので,それを見て勝手に計算してくださいと言えるというような感じのものを作っていくということがお互いの手間を減らしていくことになるのではないかなということを考えております。
 以上でございます。

【吉岡座長】  今,米澤委員がおっしゃった,基本的に公表を,数字上の問題が主になるかもしれませんけれども,もう公表してあるという,その都度書類を作って出すというのではなくて,もう公表済みという形を作っていくということは,認証評価を含め,新しい学部の設置等も含めてですけれども,実際に機能することだろうと思います。改めて書類を作り直すという必要がない部分というのは,ある程度義務付けることのできる範囲でもあると思うので,設置のときとか何とかに必要なものの基礎資料というものは,公表をしていくということでは可能かなと思います。
 私も私学にいた人間として,公表をめぐって議論になるときに,非常に不安になるのは,公表したものがきちんとその社会に伝わらず,変な使われ方をするというのが一番心配なわけです。どうしても週刊誌であるとか何とかで,割とまた新しいランキングを作っていろいろなものでやるとか,ランキングが幾らでも作られるので,そういうところで何位になったとか何とかみたいな話というところに巻き込まれたくないけれども,意識せざるを得ないという。特に私学はそのことによってその受験生に結構影響を与えるので,私学は敏感になるというのは,その辺のところだと思います。
 不都合だから公表したくないというだけではなくて,公表が持っている副作用ということが結構意識されるので,そういうことがないような形で公表をする,あるいは,数字について説明の余地というのを作っていくとか,米澤委員がおっしゃるように,正にそれが基になって議論がされるというような社会環境ができれば,これは本当に日本の高等教育にとって一番良いことなんですが,なかなかそうはいかないので,その辺は悩みどころですけれども,そういう基盤を作っていくということが,それはメディアも含めてですけれども,ここが進めていく,中教審の高等教育の考え方の中にそういう基盤を作っていって,今後の教育,20年後,30年後の教育の基礎というものをどう作るか,それでそれのデータとなるべきものは何かということを考えるという考え方は,意味があるかなと思いました。具体的にはなかなか難しいですけれども。
 川嶋委員,お願いします。

【川嶋委員】  一言だけ。先ほど,各大学の公表の仕方というところで,法令に定められた外形的な数字,教員数とか,学生数とか,敷地面積とか,そういうのはほぼほぼ出ていると思うんですけれども,見る側のことを考えると,例えばST比については,よく言われるのが,教員数と学生数があるから,ST比は自分で計算すれば出てくるだろうという,そういう乱暴なことをおっしゃるのは結構あるんですね。必要であれば、自分で計算すれば出るだろうと。しかし,そういう姿勢というのは改めていただくべきかなと思います。最後ですけれども,そういうことを言わせていただきました。ありがとうございました。
【吉岡座長】  杉谷委員,お願いします。

【杉谷委員】  もういろいろ先生方の御議論を伺って,もっともだと思うんですけれども,法令で規定されている範囲のことを,例えばその大学ポートレートの方にまとめた形で提示する,大学ポートレートから情報を提供しているということ自体が意味があることだと思います。そこは最低ライン確保しつつ,また,認証評価のシステムともある程度連動をするような形で必要なデータをそこに集約するという,そこぐらいまでが言える範囲ではないでしょうか。教学マネジメント指針でも繰り返し各大学の自主的・自律的な判断とその責任の下で情報公表が進められるということが述べられ,成果に関しても,ある大学はそれこそ就職率で判断する,ある大学はまた別の成果で示していくというふうな,そういった自由度と多様性が認められるような形です。基盤としての情報提示のボードはあるにしても,その情報の出し方に関しては,本当に各大学の責任で進めていただくというのが,一番望ましい形かなと思います。浅田先生が言われたように,更にそれを積極的に使っていくところを奨励していくという,そういうことをこのチームの方から示していければ良いのではないかと思いました。
 以上です。

【吉岡座長】  ありがとうございます。
 全体的なイメージというのが大分できてきたような気がいたします。具体化は少し難しいかもしれませんけれども,いろいろな問題があるにしても,特例制度,それから情報公開,それから質保証のシステムの評価の仕方や考え方というものについての,ある程度のイメージが今日の議論の中で共有されてきたなと思いました。
 ということで,そろそろ時間なのですが,何か御意見はほかにございますでしょうか。
 大森委員どうぞ。

【大森委員】  最後,資料2のその他で示していただいたところの中で大事だなと思って,大事だなというのはこのとおりだなと思っているのは,6番の学位の分野というところで,現場にいると,このことを私自身もよく分かってないというか,どこまでが届出でよくてみたいなこととかが,でも最終的には相談をして判断していかなければいけなくて,各大学の判断では分からない部分というのが相当にあることは事実なんですけれども,その分野の範囲内であればという部分,各大学が届出でできますよというところが,もう少し明らかな,明確な道筋みたいなものがあって,各大学がよりチャレンジできると良いなと思っているけれども,何か結構躊躇(ちゅうちょ)している感じがあるかなという気がしています。というところで,ここを周知してはどうかということに関しては,賛成ですというお話です。
 以上です。

【吉岡座長】  ありがとうございます。
 事務局がまとめてくださった資料のところで,周知するということは,既に制度的にはある程度可能なものが,実は分かっていないためにそれこそ躊躇(ちゅうちょ)したり,考え方がそのためにすんなり出ていないような申請書が出てきたりということがありますので,そういう意味では,ここは結構幾つものものが周知の問題としてまとめられているということですので,その点は,事務局の今後も含め,公表といいますか,それこそ情報公表といいますか,をしていく必要があるだろうと思います。
 いろいろな新しい試みが,実は既存の制度の中でできるということを明確にしないと,その特例の範囲というのが定まりませんので,その辺は事務局に整理していただければと思います。今できるのに,変な形で特例を作ると,必ず抜け道になりますので,そういうことは避けましょうということでございます。
 いかがでしょうか。よろしいでしょうか。事務局,何かありますか,今までの議論に関してですけれども,よろしいでしょうか。

 ありがとうございます。それでは,今日の議論を踏まえて,論点メモに更に修正を加えたいと思います。作業チームの素案という形にして,質保証システム部会に一度報告をすることにいたします。そこでも当然議論が,もう少し大きな視点も含めて議論があると思いますので,それを踏まえて,また作業チームの方に作業を下ろすというということにさせていただきたいと思います。
 見直し素案の作成については御一任いただければと思いますが,是非このことはということがありましたら,メール等で事務局に御連絡を頂ければと思います。皆様の御意見をできるだけ反映した形でメモを作成させていただきたいと思います。よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【吉岡座長】  ありがとうございます。それではそのようにさせていただきます。
 本日の議題は以上となります。今後の開催日程等,事務的な連絡をお願いいたします。

【堀家高等教育政策室室長補佐】  事務局でございます。本日は,活発な御議論を頂きまして,誠にありがとうございました。次回の作業チームの日程につきましては,調整の上,また御連絡をさせていただきます。
 なお,本日,時間の都合上,御発言できなかった内容等につきましては,また事務局宛てに御連絡いただければと思います。どうもありがとうございました。

【吉岡座長】  ありがとうございます。
 メモについては,それこそ例えば言い回しが分かりにくいとか,この話はこっちに入れた方が良いというようなことも含め,御意見を頂ければと思いますので,お忙しいところを大変ですけれども,よろしくお願いいたします。
 では,以上で本日のチーム会合を終了させていただきます。どうもありがとうございました。
 
―― 了 ――
 

お問合せ先

高等教育局高等教育企画課高等教育政策室

(高等教育局高等教育企画課高等教育政策室)