質保証システム部会作業チーム会合(第3回) 議事録

1.日時

令和4年2月3日(木曜日)10時00分~12時00分

2.場所

WEB会議

3.議題

(1)質保証システムの見直しについて
(2)その他

4.出席者

委員

(座長)吉岡知哉座長
(座長代理)日比谷潤子座長代理
(臨時委員)浅田尚紀,大森昭生,川嶋太津夫,杉谷祐美子,米澤彰純の各委員

文部科学省

(事務局)西田高等教育企画課長,新田大学振興課長,柿澤高等教育政策室長,一色大学振興課課長補佐,大塚専門教育課課長補佐,堀家高等教育政策室室長補佐,竹花大学設置室室長補佐ほか

5.議事録

【吉岡座長】  おはようございます。所定の時刻になりましたので,第3回質保証システム部会作業チーム会合を開催いたします。御多忙の中,御出席いただき,誠にありがとうございます。本日は,新型コロナウイルス感染症対策のためZoomによるウェブ会議で開催し,その様子をYouTubeライブ配信にて公開いたします。会議資料,音声などはよろしいかと思います。
 議事に入る前に,事務局から連絡事項をお願いいたします。

【堀家高等教育政策室室長補佐】  おはようございます。本日は,会議及びライブ配信を円滑に行う観点から,御発言の際は,挙手のマークのボタンを押していただき,座長から指名されましたら,お名前をおっしゃってから発言をいただきたいこと,また,御発言は再度挙手のマークのボタンを押して表示を消していただきますようお願いいたします。また,発言以外はマイクをミュートにしていただくなど,御配慮いただけますとありがたく存じます。不都合が生じることもあるかと存じますけれども,御協力のほどよろしくお願い申し上げます。 また,会議資料につきましては,議事次第に記載のとおり,事前にメールでお送りしております。
 以上でございます。よろしくお願いします。

【吉岡座長】  よろしくお願いいたします。
 それでは,早速本日の審議事項に入ります。前回に引き続き,質保証システムの見直しについて御審議いただきます。
 第12回質保証システム部会にて中間的に報告しました見直しの素案について,皆様からいただいた御意見を踏まえ修正してまいりました。
 まずは,修正した点を中心に御説明させていただきたいと思います。
 資料1-2を御覧ください。1-1がそれの概要になっておりますが,文書は1-2の方ですので,1-2の方を御覧いただければと思います。
 まず,タイトルですけれども,前回のときは見直しという言い方をしておりましたけれども,内容を考え「新たな時代を見据えた質保証システムの改善・充実について」というタイトルを考えております。
 それにしたがいまして,文書の中で,見直しという言い方はもちろんされていますけれども,改善・充実という言葉を使っている場所が増えています。
 まず,「はじめに」のところです。内容的にはこれまでを踏まえておりますけれども,やや書き換えておりまして,これまでの質保証のシステムについての概要が,この一つ目の段落のところに簡単に記してあります。大学設置基準があり,それから設置審査があり,AC等がある設置認可審査制度というのが最低限のシステムとしてまず存在するということ。それから,それを踏まえた後,実際に動き始めた大学に対して,情報公表を求める,あるいは認証評価を行っていくということで,これが公的な質保証システムを構成する主たる要素になっているということでございます。これはまとめということです。2段落目からは,あまり変化しておりませんけれども,これまでの制度的な経緯を2段落目のところに記してあります。
 ページめくっていただいて,質保証システムの現状と課題というところですけれども,ここもほとんど手を入れておりません。字句の説明を変えたりということは,細かいところありますけれども,全体のところは変わっておりません。1段落目のところに書きましたように,一定程度機能しているだろうということで,それに対していろんな現在の指摘が,そこの次に挙げられております。
 3ページ目,近年の大状況といいますか社会状況,あるいは技術的な進歩を踏まえて,様々な論点が生じているということです。
 新型コロナウイルスのところを1項目立ち上げてあります。新型コロナウイルス感染拡大を契機とした遠隔教育の普及・進展というところで,新型コロナウイルスの感染拡大によって,急速に大学の遠隔授業,あるいは学生生活の制限といった大きな変革,変化が起こっているということで,現状,多くの大学が遠隔授業中心の授業をせざるを得なくなっていたということが書いてあり,それをきっかけにして遠隔教育の急速な普及・進展が進んでいるということであります。
 その次の3ページ目の下の段落ですけれども,文部科学省の調査をもとにして,メリット,それから一方でデメリットといいますか問題点が指摘されているというところです。
 4ページ目を御覧ください。3ページ目から4ページにかけて,例えば海外の大学におけるオンライン環境を活用した教育プログラムの提供ということ,そういう世界的な変化も起こっているということで,新しい高等教育の姿を構築していくことが求められているとしてあります。
 その次ですけども,その際,学修者本位の視点に立ち,面接と遠隔の双方の良さを最大限に生かした教育の可能性を追求することが重要であるということ。また,大学というのは,単にその授業を通じて知識や技能を習得するための場だけではなくて,全人格的な教育の場であるということ。それから,授業についても,教員と学生との間のやり取りであるとか,あるいは学生同士の会話ということを通じて,知識が深められたり視野が広がったりということが起こっている。そういう点では,いわゆる面接といいますか,直接に教室で行われている授業と遠隔の授業の違いというのもあり,それぞれのメリットとデメリットをきちんと考えなければならないということを記してあります。
 次の段落ですけれども,遠隔教育の取組はまだ試行錯誤しながら改善を図っていく段階にあるということで,様々な技術的な支援体制とか通信環境の整備ということも必要であるし,それぞれのカリキュラム・ポリシーやディプロマ・ポリシーに適切に位置づけられているかということについての確認等も必要であろうということが記されており,これからの知見を蓄積していくことが必要であるということで,遠隔教育の今後についての,現時点で言えることが書いてあります。これが現状と課題意識という形で,最初の部分をまとめてあるわけです。
 
 続いて,5ページ目,質保証システムで保証すべき「質」についてのところは,基本的には大きく変化していません。ここでは,学生の視点から,学生が成長しているか,学修の成果が出ているかということをきちんと大学が確認していく必要がある。また,その多様な学生が学ぶキャンパスということの重要性を指摘し,更に,今般の新型コロナウイルス感染拡大で提起されている問題ということが記されています。
 めくっていただいて,6ページ,ここの保証すべき「質」とは何かということも,前回のところから大きく変えているわけではありません。
 それから,次のページ,7ページ,教育の質・学修の質を保証する上で必要なことということで,これも変えてありません。ポイントとしては,教学マネジメントの問題がここにも少し触れているところです。
 8ページ目,「2.改善・充実の方向性」というところは,基本的にはここも変えていません。8ページの括弧の具体的に制度を改善・充実していくための視座というところは,これも繰り返し考えてまいりました客観性の確保,透明性の向上,それから先導性・先進性の確保(柔軟性の向上),それから四つ目に厳格性の担保ということを掲げてあります。
 9ページから10ページにかけて,検討方針,学習者本位の大学の実現,それから社会に開かれた質保証の実現ということと,それから,今申した四つの視座ということが四角に囲んでございます。
 3番目からが,これまで,ここのところ作業チームでかなりいろいろな形で議論をしてきたところの,やや具体的な部分であります。
 11ページ目,大学設置基準・設置認可審査の部分ですけれども,その性質として,必要最低限の量的・質的構成要素を具備しているかということの確認のための基準であるということ。そして2段落目,設置認可審査においては,基本的に大学設置基準等の関係法令を大学としての実体を伴うための最低基準かつ,質保証の前提条件となるものとした上で,それが大学設置基準や関係法令に適合しているか,十分な学生の確保の見通しがあるか等について審査して,最終的には文部科学大臣が認可するという仕組みになっているということ。それから,これまでの設置認可審査においては大別すると「設置計画についての審査」と「教員審査」の問題があるということでございます。ここの部分は少し加えてありますので,マーカーをつけてあります。
 それから,11ページの下は,大学設置基準・設置認可審査の見直しの背景というところで,次のページのところで,3段落目になりますが,「また」のところで学位プログラムの重要性ということを書いてあります。それから,その次の段落,「現在の設置認可制度」というところで,既にこれが学位プログラムごとの質保証という考え方に基本的にはなっているのだということを記してあります。最後のところ,これらの指摘も踏まえ,大学設置基準については,丸1,時代の変化に対応しつつ将来を見据えた設置基準全体の見直しを行うとともに,丸2,共通となる最低基準性を担保しつつ大学教育の多様性・先導性を向上させていくような見直しが求められているというふうにしてあります。
 大学設置基準・設置認可審査の改善・充実の方向というところで,その四角の中を御覧ください。
 これまでに挙げてきたものが中心ですけれども,それぞれのところでどういう形でそれを行っていくかというところで,通知等で行うものと,それから,例えば客観性の確保のところの学位プログラムをめぐっての部分については設置基準の改正が必要ではないか。それから,クロスアポイントメント等多様な働き方が広がっていることも踏まえ,専任教員の在り方についての定義等を見直すという部分も設置基準改正に関わることであります。
 そこで「専任教員」の見直しのイメージというところを御覧ください。ちょっとここは読み上げましょう,「専任教員」の概念を「基幹教員」(仮称)と改め,その定義を教育課程の編成等に責任を担う者であって,常勤の教員や一定以上の授業科目を担当する教員とし,設置基準上最低限必要な教員の教員数の算定にあたり一定以上の授業科目を担当する教員については一定の範囲まで認めるということは考えられるかという提起をしてございます。例えば,半分まではそういう考え方で入れるとか,4分の1にするかという,そういう問題でございます。参考のところでは,みなし専任教員の制度が既にあるということが指摘されています。
 それから,その次のところは,学術情報についての重要性から,図書とか雑誌とかの表現をどうするか。それから空地の表現,これは設置基準の文言の改正に関わるところです。それからその次,これも重要なことだと思いますけれども,教員の考え方の中でTAとかSAのような教育補助者をきちんと規定していく必要があるだろう。これも設置基準の改正にかかわることになります。
 それから,その次,物理的な教材や放送授業を前提としている大学通信教育設置基準の現在の規定ぶりについて,クラウドでの教材提供やオンデマンド映像教材配信など,デジタル時代に対応する観点で,一定の見直しを行う。これは,要するにCD-ROMとかそういう物を送らなくてはいけないというのをオンライン化していく,デジタル化で対応するということで,これは多分技術的な問題だと思います。
 それからその次,実務家教員の定義の明確化ということで,専門職大学で示している例も参考にして,設置認可の教員審査においての業績の考え方について,より具体的に周知する。これは通知の問題で対応できるだろうと。
 それから,大学・専門職大学の名称の問題ですけれども,これも申請者・審査側の負担軽減,審査の明確化を図るために,審査においては設置基準上,原則,申請者の広い裁量が認められているということを踏まえた適切な審査を求めつつ,申請者に対しては,その名称に教育研究の内容が含まれている場合,それが適切に表現されていることを求めるという,そういうことで,これも通知等で対応していくのではどうだろうかということです。
 それから,柔軟性の向上のところですけれども,先ほどの専任教員の問題がここに掲げてあります。クロスアポイントメント等の働き方の変化に応じた対応ということです。
 それから,二つ目の丸ですけれども,柔軟な教育課程編成を可能とするために,国際通用性の観点等を踏まえつつ,講義・演習・実習・実験の時間区分の大括り化等,単位制度の柔軟な運用を可能にするような見直しを行うということです。これも改正に関わります。
 それから,これもかなり重要な点ですけれども,大学の創意工夫に基づく取組を促進し,今後の大学設置基準の改善につなげるため,内部質保証等の体制が十分機能していることを前提に,教育課程等に係る特例を認める制度を新設するということでございます。これは,設置基準の改正にかかわる。
 その下に特例制度のイメージということで,どのような形で特例制度を導入するかということで,その申請の受付であるとか要件として,機関として内部質保証の体制が十分機能していること,それから「教学マネジメント指針」に掲げられた情報公表事項を積極的に公表していること,申請計画の特例の対象となる学位プログラムに先導性があり,一定の質担保の方策が講じられていること等を要件として,有識者会議等において確認するということ。それから内容についてですけれども,学部学科等の教育研究の充実を図り,今後の大学設置基準の改善につなげるために,設置基準によらない取組を認めるとともに,当該取組の効果検証を行って各種データ,公表・報告を求めている。特例事項として考えられるものとして,遠隔授業による修得単位の上限,単位互換の上限,それから自ら開設の原則,校地・校舎面積基準等,これまで指摘されてきたことがここで考えられるものとして挙げられています。
 留意事項としまして,大学の申請が要件を満たしていれば特例制度の活用が認められるような,意欲ある大学が活用しやすい仕組みとするということが必要である。特例制度の効果を検証するためにも特例を認める期間を定めるということも検討すべきであろうと。それから,問題が生じた際の特例取消し等についても措置が必要であるということであります。これが,特例に関する点です。
 それからその次,学習室等の校舎等の施設については,「例えば」というところで,「その組織及び規模に応じて学生に対する教育及び研究に支障のないよう必要な施設を備える」といったような一般的な規定,機能に着目した規定として見直すということで,これは設置基準の改正にかかわります。
 それから,スポーツ施設や厚生補導施設についても同様に,「学生に対する教育又は厚生補導を行う上で必要に応じ運動場等を設ける」ということで,各大学の実情や必要性に応じて整備を行うべき施設とするような規定に改めるということがここで掲げられています。
 続いて,認証評価制度です。最初のところで認証評価制度の性質を掲げてありますが,その次に,見直しの背景ということで幾つか指摘がされています。真に有効に機能しているかどうかとか,あるいは教育研究活動の状況が十分評価できていないのではないか等々の論点,それから非常に重要なことですけれども,国際通用性のある仕組みとして信頼性の向上が必要であるということであります。
 評価結果についても,結果の公表ということが行われているわけですけれども,しかし,そもそも認証評価制度というもの,制度自体についての認知が足りないのではないかということが言われている。
 それから,大学の負担のことが17ページ目の2段落目のところに掲げてあります。
 17ページのところの真ん中から下,マーカーがかかっているところですけれども,認証評価機関が単なる7年に1度外部評価を実施する機関としてではなく,受審前から受審後,そして次の受審まで,大学の自己改善のプロセスに伴走し,大学教育と認証評価が一体となって大学全体の質向上につながっていくような在り方が望まれるという,ある種の理念的な文章をここに置いてあります。
 続いて,改善・充実の方向ということで,これは,内容的にはあまり大きな変化はしておりません。それぞれのところに通知等とか省令改正とかということで,やり方といいますか,方策の例が考えられています。
 マーカーがかかっているのは,次のページ,18ページの透明性の向上のところですけれども,認証評価機関や評価を受ける大学の多様性に配慮しつつ,各認証評価機関の評価結果を例えば国等のホームページ等において公表するなど,一覧性を持って公表するということを検討するということにしてあります。
 
 続いて19ページが,情報公表の部分であります。最初のところが情報公表制度の性質ということで,社会に開かれた質保証の実現のために非常に重要であるということ。それから,教学マネジメント指針でもその点が指摘されているということ。それから,大学ポートレートの運用のことがここにまず記してあります。現在の状況です。
 見直しの背景というところですけれども,幾つかの指摘が,これもこれまで掲げてあったものです。成果の確認がしにくいとか,実際には大学による取組状況に差があるとか,あるいは20ページのところですけれども,実際に学生が学ぶことになる学位プログラム単位で公表していることが必要ではないかということです。
 次の次の段落,大学ポートレートの論点がここでまとめてあります。そこの最後のところ,有益な情報が分かりやすい形で提供されていない状況にあるということは否めないのではないかということです。
 その次に,公表の論点ですけれども,共通のプラットフォームを通じて提供するということで,そのことが実際には様々なコストを削減していくということにもつながるということが書かれてあります。この部分は大きくは変化していません。
 それからその次,方向性のところ,これも,通知等でやるというようなことが付け加えられていますが,丸の2番目のところは,少し文章を変えてあります。認証評価機関や評価を受ける大学の多様性に配慮しつつ,各認証評価機関の評価結果を例えば国等のホームページ等において公表するなど,社会が利用しやすい形で一覧性を持って公表することを検討すると,先ほどのところはこの四角の中に再掲されております。
 この部分は以上ですが,22ページのところでフルタイム・イクイバレント換算で公表することも有益ではないかということが,最後のところに注に付いてあって,更にそれの注のところでフルタイム・イクイバレントというのが何であるかという説明の注が下に加えられています。
 
 23ページを御覧ください。その他の重要な論点というところでございます。この部分はかなり書き換えてございます。
 1から3までは質保証システムを構成する設置基準,審査,それから認証評価,情報公表についての方向性,改善・充実の方向性を整理してきたということで,しかし,大学関係者等から寄せられる質保証システムに係る様々な弾力化の要請等については,現在の制度,現行制度下において対応可能なものも少なからず含まれているということで,例えば,遠隔授業についても,124単位のうち60単位を除いた64単位についても,授業時数の半分未満であれば遠隔授業で実施可能なことが通知されており,制度上は大学の運用で相当程度まで遠隔授業の活用が可能であるということ。それから,新しい学位プログラムを実施するために,設置基準の弾力化,設置認可審査の柔軟化などを求めるということもあるけれども,大学が既に授与している学位の種類及び分野を変更しないところであれば,届出による設置が可能であるということ。それから,学部等連係課程制度をはじめとした様々な柔軟な取扱いを可能とする仕組みというのも既に設けられているということ等,既に存在している制度の中の運用で対応できる問題というのもかなりあるということで,これは後で,もう一度事務局から詳しくといいますか,分かりやすく説明していただけることになっております。
 加えてのところです。現行制度のより効果的な運用を促すことも,高等教育の質保証における重要な課題であるということで,ハイブリッド型教育の確立に向けたガイドラインの策定等を行っていく必要があるだろうということであります。
 それから次の「また」というところが,入学定員管理の問題です。定員管理をどうするかということで,これについても一定程度の弾力化が必要であろうというふうに考えております。
 「更に」のところで,次のページにかけて,大学が各保証システムの特性を理解しつつ教育研究の質向上に取り組む上で,事務職員の資質・能力の向上やハイブリッド型教育を含む授業改善が重要であるということで,近年,教育研究支援,学生生活支援における職員スタッフの重要性の認識が高まってきたということで,SDの取組のことが掲げられています。職員,大学の運営面や教育研究活動を支える大学運営の専門職である事務職員が果たす役割は極めて大きいということが指摘してございます。これをどういう形で考えるかということはまだ課題だと思いますけれども,職員の役割というのが質保証にとって非常に重要だということをここに書いてございます。
 四角の中を御覧ください。現時点でのその他事項に関する改善・充実の方向性ということで,学修者本位の大学教育の実現で,最初はガイドラインの策定,それから質向上の観点を踏まえた今後の遠隔教育の在り方についてということで,引き続き検討を行っていこうということでございます。
 それから,25ページのところまで飛ばします。先導性・先進性の確保(柔軟性の向上)というところの二つ目の丸,基盤的経費の配分や設置認可申請等における定員管理に係る取扱いについて,大学設置基準,大学設置基準自体が収容定員を基に管理していることと合わせ,現行で入学定員に基づく単年度の算定としているものは,収容定員に基づく複数年度の算定へと改めていくということをここに掲げてございます。
 
 「おわりに」というところを御覧ください。本審議まとめが提言した質保証システムの改善・充実は,全ての学修者が自らの可能性の伸長を実感できる大学教育を実現するためのものであり,国においては,本審議まとめを踏まえて,質保証システムの改善・充実を着実に実施していくことが求められる。その際,質保証システムの意義や今般の改善・充実により目指すべき姿等について,改めて大学や認証評価機関等の関係者に対して丁寧な説明を行い,その理解と協力を得て進めていくことができるよう留意することが必要であると。
 また,本審議まとめにおいては,今後の大学設置基準の改善につなげるため,大学設備の特例制度を設け,取組の効果検証を行うことを提案しているが,国においては,特例制度の下での取組に限らず,今般の質保証システムの改善・充実の取組が大学の教育研究等に対して,どのような影響をもたらしているのかについて,適切な評価・検証を行うことが求められる。具体的には,例えば,高等教育をめぐる国際的な動向に留意しつつ,ICTの普及・進展状況を踏まえて更に見直すべき基準はないか,専任教員に係る規定の見直しが教員の働き方や大学の研究体制等にどのような影響を及ぼしているのか,認証評価の見直しが大学の受審負担の軽減や教育研究活動の改善につながっているのかなどについて,データやエビデンスに基づいた分析や評価・検証を行い,質保証システムの不断の改善・充実に努めていくことが求められる。
 更には,こうした高等教育の質保証に関する取組を実質化していくためには,大学自身が学生や社会の声を受け止めながら自己の教育活動を振り返り,学修者本位の観点から不断に改善・充実ということが求められる。国や大学はこれらの取組について,産業界や地域社会をはじめとした社会に対しても積極的に情報発信を行い,我が国の高等教育が目指すべき姿について社会的コンセンサスを得ていく努力を期待したい。
 最後のところは全文読み上げましたけれども,審議会としてといいますか,まずはこの作業チームですけれども,質保証システム部会を経て国に対して,あるいは外の社会に対してどういう姿勢を持っているかということをまとめているという形を取ってございます。
 
 以上でございます。
 何か事務局,今のところで言い間違え等も含め,何か。よろしいでしょうか。
 それでは,続いて,先ほどもちょっと触れましたけれども,制度上見直しが必要なその他の事項について事務局で整理をしてくれています。現行制度において各大学の運用等で実施可能な取組例に関する基礎資料とあわせて,事務局から説明をお願いいたします。よろしくお願いします。

【一色大学振興課課長補佐】  失礼いたします。それでは,資料2の現行制度において,各大学の運用等で実施可能な取組例について,御説明させていただきます。
 まず,2ページ目を御覧いただければと思いますけれども,まず1点目でございますが,設置認可に関係するものでございまして,学位の種類の変更を伴わないものや,学位の分野の追加を伴わないものであれば,各大学で既に設置認可審査を得て認められた分野の範囲内であれば,各大学の判断で組織改組含め,新たな学位プログラムの実施が届出等で可能となるというものでございます。なお,大学全体の収容定員増を伴う場合は認可が必要となります。
 この仕組みそのものにつきましては,大学関係者に一般的には広く認知がされているものの,この分野という考え方については十分な認識が共有されていないのではないかという点がございます。
 大学関係者の中では,学部名称,また学位記に記載する学士(〇〇)といった分野が,設置認可審査を経て認められた分野だというふうに考えられている方もいらっしゃいますが,設置認可における分野は,学習課程におきましては,原則として,左下にありますオレンジ色の19の学問分野に大括り化されておりまして,各大学学部の分野というのは,これはいずれかの分野または複数の分野から構成されたものとして整理をされております。各大学は,右下にあります申請書類に学部等の分野を記載しまして設置認可審査等を受けており,すなわち,それら認められた分野に関する学位授与権が,その大学に与えられているということでございます。
 この認められた学位授与権の学問分野につきましては,各大学が付す学部名,また学位記に記載する専攻分野に付記する名称と必ずしも一致するものではありませんが,この点についての認識が,関係者の中で十分にされていない可能性がございます。
 中段に青字で記載しておりますけれども,ある大学の届出による設置の例でございますが,ここでは環境科学部と工学部を基盤として情報データ科学部を新設している例ですけれども,当該大学で行う情報データ科学部の教育課程は,理学関係,工学関係で構成される分野の教育を行うものであって,当該大学は理学関係として既に環境科学部,工学関係として工学部が設置されておりまして,当該大学として両分野に関する学位授与権に有していることから届出設置が行われているというものでございます。
 このように,必ずしも学部名と設置認可で認められた分野というものは一致するものではなく,学内で新たな学位プログラムを検討される際には,自大学でどの分野の学位授与権を有しているのか,また,新たな教育プログラムとして行おうとする教育課程は,その分野内にとどまる範囲なのか,それとも自大学が有しない分野の学位授与権を必要とするものかという点に考慮したことが重要と考えておりまして,これらの点について整理した資料でございます。
 
 次に,3ページ目を御覧いただければと思います。 学位プログラムの考え方や運用についてでございます。
 今回,吉岡座長に取りまとめいただいた案にも,設置認可制度では既に学位プログラムごとの質保証が行われているものであるもの,各大学における内部質保証も学位プログラムを基礎として行われるべきであることを,大学,または社会に対して分かりやすく明確化すべきだといった御指摘があるように記載いただいておりますけれども,この学位プログラムの考え方の定着,また,その運用等について,各大学で現在行われているものを整理したものでございます。
 左上の丸1が,いわゆる学部・学科制による学位プログラムですが,一つの学位プログラムに対し,教員,学生が一つの組織の下で一体的に運用実施されているものになります。右上の丸1のダッシュですが,それは一つの変形でございまして,学位プログラムとしては一つではありますけれども,その中にコースであったり,またダブルメジャー,メジャー・マイナー制などを大学の創意工夫として取り入れ,学生に応じた多様な学習を提供しているものでございます。
 左下の丸2でございますが,教員組織と学生の所属組織を分離したものでございまして,学位プログラムに学生が所属し,各プログラムに必要な教員を大学の方が割り当てていくという組織運営形態でございまして,これより,学位プログラムをニーズに応じて柔軟に新設したり改廃するといったことが行える取組でございます。
 右下の丸3は,既存の学部・学科制度や組織は維持しつつも,新たな学位プログラムをつくりたいというときに,既存の学部等の組織から教員等を兼務で切り出して運用するという,学部等連係課程制度でございます。これらの運用につきましては,先に御紹介しました,新たな学位分野を追加するものでなければ現行制度において各大学の判断で行うことができるものでございます。
 
 次に,4ページ目を御覧ください。授業期間についてでございます。
 多くの大学では週15週または10週の期間を設定し,2学期制または3学期制で運用されておりますけれども,各大学の判断により,例えば8週を原則とした4学期制を導入したり,また,1コマ当たりの時間を増やして短期間集中的に学ぶ授業を実施したり,複数の授業形態を組み合わせたりと,自由な設計を行うことが現行制度でも可能となっております。ある種,これまでの慣習として,90分の授業を15回実施して2単位出すといった授業科目運営が標準だという考え方,また仕組みとして決まっているんだといった誤解なども一部ございますけれども,これらも各大学の判断で多様な設定が可能となっているものでございます。
 
 次に,5ページ目を御覧ください。遠隔授業についてでございます。ここにある内容は,既にこれまでの通知,またQ&Aで続いてお示しをさせていただいているものでございますが,それを図的に表現したものでございます。
 まず,上段でございますが,卒業に必要な124単位を各学年で平均的に配当した場合,年間で約30単位程度の履修となりますけれども,遠隔授業の上限が60単位であることから,約2年相当が完全なオンラインで学ぶことが制度上可能となっております。このため,例えば2年目,3年目は海外にいながらオンラインで学ぶ,また地方にいながらオンラインで学ぶということが可能となっております。また,その場合,1年目,4年目は対面での授業ということになりますけれども,個々の授業科目におきまして,半分を超えない程度であればオンラインによる教育を行うことが可能となっております。
 このように,最大限オンラインを活用する場合,青色が実際の対面で行う授業時数になり,黄色が遠隔で行う授業時数になりますけれども,現行制度上でもここまで可能になっているということでございます。
 次に,左下に移りますけれども,オンラインを活用した対面での授業というものでございますけども,これは全ての学生が半分以上の授業時数を対面で受講する機会を大学として設定する授業科目を,対面での授業科目として整理するという考え方でございます。
 ここで,例として二つ挙げておりますが,A班,B班と分けて交互に対面,遠隔を実施する丸1の例。また,半分以上対面での授業時数も確保した上で,残りについては対面でも遠隔でも自由に行える科目設定をするといったものでございます。
 その右側になりますけれども,では,大学として全ての学生に対面で半分以上受講させるような授業科目も設計したとしても,学生個々人の履修が必ずしもそのとおりにならないという場合にどう考えるのかということでございます。その考え方として,授業科目を大学がどう設計しているかが問われているものであって,例えば,学生が病気等で対面の授業を受けられず,その学生が受ける対面の授業が結果として半数未満になったとしても,授業科目が対面で設計されている限り対面という扱いになります。また,基礎疾患を有する,また障害を有するなど,やむを得ない理由により対面での授業を受けられない,遠隔授業を希望するという学生がいた場合でも,そうした学生の状況によらず,通常学生に対して対面での設計をして行う授業科目は対面の授業として整理されるということでございます。
 また,最後になりますが,一番右側でございますけれども,オンデマンドを取り入れた授業を行う際の考え方の例を御紹介させていただきます。
 ここでは,例えば90分の講義を45分に2分割をし,その一つをオンデマンドにより学生の授業のタイミングで学習し,その内容を対面の45分の授業で取り扱う場合に,そういった授業はどうなのかという整理でございます。一般的に,授業時間を分割した時点で個々の授業時間が一つの授業という考え方にはなり,オンデマンド部分が授業として成立するためには,メディア授業告示の第2号に従い,別途指導であったり学生同士の意見交換の機会を設定するなどの措置が必要となりますけれども,オンデマンドで学習した内容を速やかに次の対面での授業の中で指導し,意見交換する機会を設ける授業設計をするならば,この45分はそれぞれ独立したものではなく1対のものとして捉えてよいのではないか。その場合,半分以上の時数が対面となるので,対面授業として考えてよいのではないかという整理でございます。
 
 以上につきましては,既に通知,またQ&Aで示したものでございますが,このように各大学の判断で相当程度まで遠隔授業を活用するということが可能となっております。
 また,これまでの審議でも,事務局等からも御紹介しておりますけれども,通信制であれば全ての遠隔授業で行う教育課程を編成することが可能となっておりまして,各大学が行いたい教育に応じ,その手法に応じた仕組みが現行制度上も一定整備されておりまして,各大学の判断に様々な取組が可能となっている状況でございます。
 以上,事務局より取組例を御紹介させていただきました。

【吉岡座長】  ありがとうございます。今の事務局の説明はよろしいでしょうか。
 現在の法制度上でできるということであり,当然ながらこのような体制を取り,このような授業展開している大学もかなりあるんですけれども,実際には知られていないという部分がかなりあるので,いろんな質問が来たりということとか,躊躇(ちゅうちょ)してしまったりするということがあるということでございますので,整理していただきました。よろしいでしょうか。
 それでは,これまでの説明を踏まえて審議に入りますが,今のところで何か聞いておきたような質問等ございますでしょうか。審議に入ってよろしいでしょうか。
 それでは,審議に入りたいと思います。今回の審議をもって作業チーム案として仕上げていくということになります。それを部会,分科会の方に上げるという格好になりますので,これが,そういう意味では今日の審議が審議としては最終的な段階になるということでございます。その観点から御意見いただきたいと思いますが,論点をやや整理するために,以下の順番で考えたいと思っています。最初に,専任教員の見直しというところです。専任教員の考え方について,それから2番目に特例制度,それから3番目に認証評価・情報公表,それから今のことも含めた周知事項が4番目,それからその他部会に向けた検討課題という,そういう順番で,一応分けて議論していきたいと思いますが,当然重なる部分があると思いますので,その辺は自由に審議していきたいと思います。
 それでは,まず,専任教員の見直しの点について,御意見をいただければと思います。よろしくお願いいたします。どなたからでも結構でございます。
 浅田委員,どうぞ。

【浅田委員】  浅田です。ありがとうございます。
 専任教員に関しては,今の説明いただきました資料の13ページの枠囲いの中になるんだと思います。クロスアポイントメントのような雇用の多様性が増えている中で,専任教員の考え方を見直して,基幹教員というのを導入しようということが,ここで述べられています。
 これは,現在の大学の様々な状況を考えると,多くの大学で歓迎されることだと思います。教員組織がかなり柔軟に構成できるということだと思いますが、これは設置基準の改正ですので,特例ではなくて全ての大学に適用されることになります。
 基幹教員の条件が,一定以上の授業科目を担当する教員という書き方をされているので,例えば非常勤講師の方でも多くの授業を持たれている方は,こういう枠組みに入っていく可能性があると思うんです。ただし,基幹教員になる人は,役割とか責任を明確にしておいた方がいいと思います。単に授業をたくさん持っているから基幹教員ですというのは,やはりちょっと違うだろうと思いますので,学生の入学から卒業までどこまでの責任をもってきちんと対応できる人なのかというのは,条件を整理した方がいいのではないかと思います。
 それからもう一つ,教育の質保証というのはすごく大事な本部会でのテーマですけれど,それを保証する重要な要素として教員の質保証というのがあります。基幹教員というのは正にそれに関わる部分で,現在、専任教員の他に,兼担や兼任の教員も教育に参画していますが,恐らく兼担や兼任の先生も基幹教員に含まれていく可能性があると思うんです。今大学に求められている情報公表の中で,教員の学位や業績を公表しなさいというのがあります。基幹教員をどのように定めるかというのは大学が判断されると思うんですが,大学教育の質を保証するに値する教員として認知されているということであれば,学位とか教育業績や研究業績はもちろんですけど,経歴等も含めて,基本的にこの人が大学の学位プログラムを支えている基幹教員ですということが明らかになるような形,いわゆる教員の質保証ということで情報公表とも絡めて条件をつくっていただいた方がいいんじゃないかと思っております。
 以上です。

【吉岡座長】  ありがとうございます。大変重要な論点だと思います。ここでも,一応教育課程,13ページのところですけれども,「その定義を教育課程の編成等に責任を担う者であって云々」ということで,これは非常に重要なところで,本当に授業だけやっているというようなことではなくて,学生の入学から卒業までを担い,学位プログラム全体の構成に何らかの形で関わってという幾つかのメルクマールをきちんと立てないと,本当に書類上は何とでもなってしまうということになると,審査自体が空洞化してしまうと思いますので,その点は非常に重要だと思います。ありがとうございます。
 いかがでしょうか。大森委員,どうぞ。

【大森委員】  ありがとうございます。
 私も,そこのところ,最初資料を拝見した時に,ちょっと表現,私も勘違いというか,私だけなのかもしれないんですけど,基幹教員という名称にした時に,取りあえず仮称なので,これで上の会には出す,今回は良いと思うんですけど,基幹じゃない教員がいるというイメージを持って,基幹教員と非基幹教員というか,基幹という表現が何かという感じもしたりというふうにはちょっと思ったんですが,いずれにしても専任教員という呼び方をやめて基幹教員というふうに呼んでいくというふうになると思うので,誤解はいずれなくなる,それは大丈夫かなという気もしなくもないんですがというところが1点と,あと,今浅田委員がおっしゃったところと関連して,これ,実際,まだスタートなのであれなんですけれども,現場とすると,さっきおっしゃった非常勤講師の先生でも,例えば4コマとか,あるいは語学だったらもう少し持っている先生もいるかもしれないような時に,その先生は基幹教員になり得るかといった時に,ポイントは,教育課程の編成等に責任を担うお仕事をその先生がされているかというところになると思うんですけれど,そうすると,そういうお仕事されながら一定程度の授業を持つということは,ほぼほぼ今までの専任教員と変わりないのかなというところで,そうすると,これが有効になってくるのは,例えば他大学や,浅田委員がおっしゃったように他学部の,今は一つだけだよとなっている専任教員が,複数の大学や学部で基幹教員になり得るというところであって,各大学が,正直に言うと,少しそのコストを抑えながらも新しいチャレンジをしようというニュアンスでみたいなところには,あまり作用しないかもしれないなと。例えば,教授会に参加する非常勤講師の先生というイメージはあまりつきにくいなと思うので,良い意味で制限がかかっているけれども,そんなに柔軟になるかというとそうでもないのかなという感じは受けています。そういう理解でよろしいのかどうかということをちょっと確認できればと思いました。
 それが1点と,教員のところと関係するんですけれども,今までの議論の中で,組織そのもの,例えば今回お付けいただいた参考資料の6なんかの中でも,学内組織の在り方で事務職員というところが,最後触れてはいただいているんですけど,今回はちょっとそこまでは全体としては踏み込めないかなということですよね。その重要性だけは述べておくけれども,例えば専門性を有する職員とか,そういったところとか,教職協働の新たな組織のニーズとかというのは,ちょっと次のステージかなという理解でよろしいでしょうかという2点。

【吉岡座長】  ありがとうございます。大森委員のお話はそのとおりで,非常勤講師という,そういう意味では身分といいますか職であっても,実際にある大学の課程に非常に深く関わっている先生方はもちろんたくさんいらっしゃるわけです。逆に専任教員だけども基幹ではないような先生もいるということだと思いますけれども,その辺のところを実際にきちんと腑(ふ)分けしていくということは,かなりの部分きちんとやらないと,例えば非常に重要な役割をしていながら非常勤講師ということで,例えば給与の問題みたいなのに関わってくるようなことが起こってしまうと逆効果になってしまいますので,きちんとそこのところはどういう役割であるかということを明確にしていくことが必要だろうというふうに思います。それは,それこそ身分といいますか,給与等に直接関わってくる問題でもあるので,押さえておく必要があることだろうと思います。
 それから,職員の問題は非常に重要な問題なのですけれども,ここで提起しておいた方がいいというふうに私も考えております。法令上は,職員というのは教員も職員も職員という言い方になっていて,したがって,この中で事務職員という言葉を使ったりするのですが,事務職員というと,いわゆる事務方の机に向かっている事務職員をイメージしてしまう。実際には,研究補助者や教育補助,それから,それこそ国際センターであるとかキャリアセンターのような,留学生を実際に担当して事実上教育に関わっている職員の方々がたくさんいらっしゃるわけです。研究領域はもっとかもしれません。そういうことを含めると,ちょっと言葉の問題までを含めてどうするかということが課題だと思います。そういう意味では,ここの作業チームとしては,提起をすることで,むしろ上の方で,大学分科会レベルできちんと議論していただいた方がいいかなというふうには私は考えているところです。24ページのところでは,スタッフ・ディベロプメント,スタッフという言葉を使ったりしているのはそういうところでございます。教員と職員というその二分法自体が意味がないといいますか,その境界領域の部分が実は非常に重要であるということを私も痛感しているところですし,ここにも書きました,学生の授業以外の,キャンパスの学生生活のようなものというのは,実質的には職員が支えているということを考えると,その重要性はきちんと考えて,場合によってはそれを評価するようなシステムというのを考えていくべきかもなというふうには思います。
 そういう意味では,将来的なことというのはここできちんと提起しておこうということでございます。

【大森委員】  ありがとうございます。国際的なところもそうだし,地域連携なんかでもコーディネーターとしての職員の役割とか,学生を事前指導しながら連れて行ったりとか,あるいはキャリアもそうですけども,教育を一体的に進めていく上で,そういうメッセージを発することが,新たな,いわゆる今までの事務職員という立場でいた人たちへのメッセージとしても非常に有効になるのかなというふうにも思うし,管理者に対してのメッセージにもなるかなと思って,重要なポイントかなと思いました。ありがとうございます。

【吉岡座長】  ありがとうございます。 ほかにいかがでしょうか。
 川嶋委員,どうぞ。

【川嶋委員】  川嶋です。
 専任教員から基幹教員への制度変更については,浅田委員や大森委員が御指摘されたように,まず,基幹教員,特に常勤ではない教員について,その定義や条件を明確にすべきで,その際,何単位以上の授業担当なのかという量的な側面と,教学マネジメントにどの程度コミットしているとかいう教育以外の業務などの質的な面からの定義をしっかりしておくということが重要かと思います。
 また,浅田委員から兼任,兼担というお話があって,学内で,例えば先ほど一色補佐から御説明あった新しい学部をつくる時の必置教員数の考え方に影響するのかどうかという点と,学外の方が基幹教員になるというときの考え方など,現在ではまだイメージが漠然としているので,実際現在の専任教員の制度に比べて,どういう効果やメリットがあるのか,また必置教員としてのカウントの仕方があるのかなどについて,具体的なシミュレーションが必要かなと思います。
 それともう一つ,細かい話なんですが,設置審査するときに,ページ下の参考に書いてあるのですが,専門職大学院とか専門職大学では,みなし教員という形でフラグが立つんです。要するに専任,みなし専任,非常勤という形で教員リストが上がってくると思うんですが,もし基幹教員という考え方に変わった際に,設置審査の際は常勤の専任教員,つまり今度の新しい制度では常勤の基幹教員と,新たな制度の下で基幹教員とみなされる教員の方,それから非常勤という教員リストになると思うんですが,その際,何かフラグを立てるということになるのかならないのか。立ててしまうと,基幹教員にした意味もなくなるような気もしますし,一方で,立てないと,大学の教育責任という観点からすると判断が難しいのかなという印象も持ちます。
 更に,大学外の人と大学内の人という観点からは,先程大森委員からも,非常勤講師との関係の話もございましたけれども,例えば,全く理論的な話なんですけれども,月曜日にAという大学で3科目ぐらい教え,4時限目に教授会などがあって,そこで教授会にも参加して,次に水曜日になったらBという大学でまた3コマ教えて,午後に教授会があって,そこで教育のマネジメントに参加して,金曜日にまたCという大学で3科目を教え,教授会にも参画して,それぞれの大学で基幹教員扱いになるということも,あくまでも理論上ですが,あり得ます。教育の質保証の点から,基幹教員,とりわけ常勤ではない基幹教員の条件というか要件を,最初に申し上げたように,明確に定めた上で,この基幹教員という考え方を導入していかないと,いろいろ問題も起きそうなので,ぜひ具体的なシミュレーションというのを示していただきたいというふうに思っています。
 最後に,教員と職員の話で,スタッフという話がありましたが,恐らく日本は,FDとかSDはアメリカから導入した取組かと思います。とはいえ,教員と職員と言っても,アメリカの場合はアドミニストレーターなので,日本的な事務職員とは、かなり性格が違うと思います。他方,イギリスは,教員も職員も含めて大学は全部スタッフなので,FDではなくてスタッフ・ディベロプメント(SD)と言っています。アカデミックスタッフとノンアカデミースタッフという分け方はしますが,全てスタッフなんです。最近はプロフェッショナルディベロプメントという言葉も出てきていていますが、アメリカの大学のいわゆるアドミニストレーターの人はプロフェッショナルな職位なので,プロフェッショナルディベロプメントと呼んで教員のFDとは違うというふうになっていると思います。このように、国によって大学に勤務している教職員の捉え方が違うと思いますが,教員と教員以外の方でいうと,教員以外の方の,専門職性というんですか,要するにアドミニストレーターとクラークというか,つまり、事務的なルーティンワークする人と,企画とか運営に携わるアドミニストレーターという教員以外の職員の役割分化も,すでに日本のいくつかの大学ではできているので,今後の大学の機能強化を考えていくと,設置基準上でも、明確にする必要があるのではと思います。
 以上です。

【吉岡座長】  ありがとうございます。日本でAO入試というのと,本来のアドミッションオフィス入試とは全然違うものになっているというようなことだというふうに思います。
 あと,事務局,何か。

【一色大学振興課課長補佐】  すみません,失礼いたします。
 学内,学外をどうするかみたいな詳細の部分については,まだ少し事務局として具体のイメージが整理されていないところがございますので,その辺りを少し整理をさせていただきたいと思っております。
 あと,理論的に,月曜日,水曜日,金曜日みたいなお話がございまして,そこは,正に一定の基準をどう定めるかというところで,そこは低いと複数の大学での兼務ができるようになるだろうというところがあるのかなというふうに考えていますので,正に御指摘いただいたとおり,その辺りの条件が質保証上も重要になっていくんだろうというふうに考えております。
 あと,職員関係の議論のお話につきましては,中央教育審議会でも,大学分科会の方でも,26年から29年にかけてかなり議論がなされていたところではあるんですけれども,大学によって様々事情が異なるというところで,設置基準としては,最低基準として一律に求めるべきかどうかというところが,結局議論がその点でまとまらなかったということもあって,議論を行ったけれども制度に入ってはいかなかったというところではあるので,また引き続き,吉岡座長からもお話ありましたけれども,また上位の大学分科会等でも御議論いただければというふうに思っておるところでございます。

【吉岡座長】  ありがとうございます。
 米澤委員,お願いいたします。

【米澤委員】  失礼しました,ありがとうございます。
 川嶋委員がおっしゃっていただいたこととほぼ同じ論点になると思うんですけど,ちょっと具体的な言葉のところで,幾つか,13ページを中心に確認というか質問させていただきます。一つは,今の直近にあった職員の話に関して,客観性の確保というのが四角の中で真ん中ぐらいにございます。その1行目のところから,その段落の最初のところ,最後のところは良いと思うんです。つまり,「教員や事務職員,各種組織に関する規定を一体的に再整理する」というのは,かなりポジティブなメッセージに聞こえるんですけれども,その段落の最初のところを「教員・事務職員等が連携して」というのを,もうちょっと,事務職員という言葉を使わないで,例えば,教員のみならず,多様な専門性や役割を持つ職員が連携してとかいうような感じにすると,随分実態に近くなるのかなと思ったというようなことが一つございます。
 その後なんですけども,もう一つ同じ行で気になるのが,最後のところ,「実施して」というふうになっているんですよね。この言葉と,その二つぐらい下の「専任教員」の見直しのイメージのところに出てくる,基幹教員のところで出てくる,教育課程の編成等に責任を持つという言葉があって,ここで具体的に実施と編成という言葉が日本語では表れているんだと思うんです。既に幾つかの委員で御議論あったように,多分企画などをどういうふうに考えるか。つまり,カリキュラム開発みたいなものを,これは教員の専権事項と考えるのか,あるいは職員,あるいは専門性がある業務教員みたいな形の方が関わるということを想定するのかで,かなり話が変わってくると思うんです。少なくとも,元に戻ると,連携して実施というところで,もうちょっとディベロプメントに近い言葉がここに入ってもいいかなという感じがするのが1点でございます。
 もう一方は,多分基幹教員の最大のポイントは,今申し上げた編成等に責任を担うというものだと思うんですけども,責任を担うというのがどこまで何を意味しているのかは,具体的なイメージを持っておかないと困るかなという感じがします。その辺りは,背景として整理はしておいた方がいいかなというふうに思いました。
 以上でございます。

【吉岡座長】  ありがとうございます。そうですね。ディベロプメントというのを日本語に訳すのは非常に難しい言葉だと,それこそ開発なのか発展なのかから始まり,確かにカリキュラムを編成し,かつ内容まで考えて立ち入っていくという要素もあるでしょうから,実施というといかにも決まったものが実施されているという感じになってしまうというのは御指摘のとおりだと思います。ちょっと少し広めにといいますか,内容に関わるという部分が出るような言葉をちょっと考えてみたいと思います。それで,それは同じように責任を担うものというところに関わると思いますので,ここは重要な点だと思います。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 非常に重要な,基幹教員という考え方を入れるとした場合の区別ですね。特に設置の際に基幹教員はこれだというふうにやって非常勤の人が結構入ってきたりした場合に,どうやって実際の審査をするのかとか,本当にその人がちゃんとその後,最低限4年ですけれども,その後大学の新設学部,新設大学に責任を持つのかということを,ある程度きちんと分からないとならない。現行の専任教員でさえ抜け道になってしまう場合があるということが指摘されてきたことですので,その点は重要だろう思います。
 それから,職員の位置づけ,これは本当に言葉の問題が絡むんですけれども,イメージはかなりここでは共有されているような,現在の職員の重要性についてのイメージは共有されていると思いますけれども,実際の教育課程を含めて,大学の運営等に職員がどういう形で関わっているのかというのは大学によってものすごく違うところもありますので,一律にするのはなかなか難しいですけれども,今後の大きな課題だというふうに考えています。これは,それこそ分科会の方に上げていって,そちらでももう一度きちんと議論していただければとに考えています。ありがとうございます。
 それでは,少し先に進んで,必要に応じてまた元に戻るということにしたいと思いますが,続いて,特例制度について御意見があればと思います。よろしくお願いいたします。
 米澤委員,お願いします。

【米澤委員】  言葉の問題に近いかもしれないんですけど,15ページのところでグレーがかかっている,留意事項がございますよね,真ん中ぐらいに。この一番最初の三角のところが,こういうふうに書いてあるんです。「大学の申請が要件を満たしていれば特例制度の活用が認められるような,意欲ある大学が活用しやすい」と書いてあるんですけど,ぱっと見たときには,満たしていればやれるんだなと思うんだと思うんです。こちらとしては,多分,実際に審査をするときには,意欲があるというところを結構見るんじゃないかと思うんです。どういう意欲なのかとか。それがむしろ前に来るようなイメージにしておいた方が趣旨に合っているかな。つまり,意欲の中身は見るんだというか,ある程度審査をした上で認めるか認めないかということだということは,少し分かるような書き方にしておいた方がいいかなと思ったということだけです。 趣旨としては分かります。
 以上です。

【吉岡座長】  分かりました。そうですね,ここは,趣旨としては,その要件を満たしていればということではなくて,やはり要件は幾つか設けてという,そういう意図ですけれど,確かにすっと読むとそういうふうに読めるかもしれませんので,ちょっと考えます。
 一方で,非常に壁を高くして,特例制度が本当の一部の特例というふうにしない方がいいだろうという議論が一方にあるので,その辺のところだと思います。もちろん,やはり特例というのはあくまでも特例だということと,それから特例が抜け道になってしまわないような配慮というのが必要ですので,やはりこれも先ほどの問題にも関わりますけど,やはり基準を少しきちんと考えないとというふうには思います。ありがとうございます。
 ほかに。大森委員,どうぞ。

【大森委員】  ありがとうございます。
 私も,今米澤委員がおっしゃったところが,ちょっと分かりづらい表現になっているかなと思ったところが一つあって,この「大学の申請が要件を満たしていれば」という表現は,特例させてくださいという申請内容がその要件を満たしていればというふうに読めると思うんです。大学自体がどうであれ。
 ここで言いたいのは,申請大学が要件を満たしていればということだったかなと思うので,その辺ちょっと誤解のないように。少なくとも,機関として大学さんがちゃんと要件を満たしてないと,まず申請のスタートラインには立てませんよということ,だけども,要件を満たしてさえいれば申請ができるという,そういうニュアンスと私は理解していたけど,これだと,申請内容だけさえ要件を満たしていればというふうにも取れなくないかなというのが1点です。
 それから,細かいところでいくと,先進性というところで,学位プログラムに先導性がありというのが上のところに文章があるんですけれども,特例にチャレンジすること自体が先導性があるということも言えなくもないかなというふうにも思っていて,例えばその地域のニーズとか社会のニーズを捉えたときに,設置しようと思っている学部が,そんなに最先端とかではなくても,それが地域に,例えばその県に何とか学部がなくて,どうしても作ってほしいと言われて,でもいろんな制約が,リソースも少なくて,だけどもというようなときに,地域と一緒に作りましょうみたいなときに,中身がそんなに先導かどうか。だからそこら辺が,一定程度の先導性はもちろん,学び方も含めて求められると思うんですけれども,その辺,少しもうちょっと議論を,申請してつくりたいものの中身が先導的じゃないとやっぱり駄目なのかどうかということは,ちょっと議論があってもいいかなというふうに思ったところです。
 それから,特例事項の中で,これで良いと思うんですけれども,自ら開設の原則も特例の事項としてもし上げた場合に,これは書きぶりの話ではないので,ここで議論しなくてもいいかなとは思うんですけれども,自ら開設をされるということは,おのずと専任教員の数みたいなところにも当然関わってくるので連動していくなということと,もう一つ,これを制度設定するときには,自ら開設が緩めていける唯一の制度は大学等連携推進法人を組むということだと思うんですけれども,例えばこっちの設置基準の方が,特例の方が大学等連携推進法人よりも緩い,緩いという言い方が正しいかどうかだけれども,柔軟性のあるものになるとすると,大学等連携推進法人を組んでいく,つまり,大学等連携推進法人という新たなチャレンジの制度が骨抜きになるということもあるので,大学等連携推進法人を組むなら,更にそこから特例的に自ら開設を30単位をもっととかというふうにするのか,そこら辺のバランスは並行して議論をする必要があるんだろうなと。これは後からの話になりますけれども,そんなことを感じて,今,説明をお聞きしたところです。
 あと,これも制度設計のときに注意してやらなきゃいけないなと思うのは,特例の取消しみたいなときに,期間が終わって,一応審査をして,また継続していいねみたいなことは必要かなと思うんですけれども,その取消しだといったときに,例えば校舎面積とかを特例であれしていたのが取消しになって,急に校舎を建てなきゃならないみたいなことというのは,どういうふうにしていくのかというのも,ちょっとシミュレーションをしておく必要があるだろうなと。実質取消しは取消しにならないみたいなことも起こり得るかもしれない。ちょっとあんまり厳しいことは言いたくない派なんですけれども,そういうことは,シミュレーションは必要かもしれないなと感じているところです。
 以上です。

【吉岡座長】  学位プログラムの先導性というのでも,例えば研究における先進性ということももちろんあるでしょうけれども,恐らく大森委員が考えられているのは,例えば地域連携みたいな形でいろんな形で展開されるプログラムみたいなものが恐らく念頭にあるのかなと思ったのですが,そういう学生教育の中のプログラムの中に,他の地域であるとか他の職種や何かと連携していくような,そういうシステムの先導性みたいなことで,その中で,例えばオンラインをもっと増やしていった方がいいとか,そういうことは十分あり得ると思うので,ここでいう先導性というのは,研究における先進性とはやはり別のものとして,先進性も含むと思いますけれども,考えていった方がいいと私も考えます。
 今のそのことで,自ら開設等で,事務局の方で何か補足等ありますでしょうか。よろしいでしょうか。もしもありましたら。一色補佐,何か。

【一色大学振興課課長補佐】  先ほどの吉岡座長からありました先進性の話なんかは正にそのとおりかと思っておりまして,まだこれから議論になるとは思いますけれども,一つはやはり,まず,特例でありますので,この基準を超えた取組をするというのがまず前提になるかと思いますので,そこがある種一定の先進性があるというところで,あとは,それでまたその取組の方向性が本当の意味でよい取組なのかというのもあるとは思いますので,後でまた御議論いただければというふうに思っております。
 あと,自ら開設の議論に絡んで,特例制度をどこまで設置基準の中で対象としていくのかというところがあろうかと思います。要は,設置基準の全てを対象とするのかどうかということですけれども,一方で各大学の判断で基準によらないことができるようになってくると,言ってしまうと大学制度全体にも影響を及ぼすものになりますので,今回の趣旨で言いますと,先導的な取組を行っていく大学の妨げになっているものをその大学に外していって,そこを見直していくというお話かというふうに理解しておりますので,その辺りでどの基準が適切なのかというところについても今後議論を深めていただければというふうに思っております。
 以上でございます。

【吉岡座長】  ありがとうございます。よろしいでしょうか。
 では,浅田委員,まずお願いします。

【浅田委員】  ありがとうございます。
 先ほど大森委員が指摘されましたように,期間とか取消しというのはどうするかというのは,事前によくシミュレーションしておいた方がいいと思います。教育は,走り出すと急には舵を切れないです。例えば効果を見るといっても,学部なら4年間1サイクルは回らないと,そもそもその教育効果があったか見られないし,4年でおしまいというのも難しいので,卒業生まで見ようという話になるともう少し長くなるので,期間をどう設定するかというのは,結構難しいという印象です。
 それから,取消しの場合,既に教育課程が始まって学生がいる段階で,どこで取消しするかというのは,事前に予告をして,取り消すに当たっても大学が対応できるようにしないといけないし,学生に犠牲といいますか被害が出ないような運用を考えていかないといけないので,できるだけ丁寧な設計をしていただきたいなと思います。

【吉岡座長】  ありがとうございます。おっしゃるとおりだと思います。大学の方があるカリキュラムをやめるという場合も含めて,実際には学生がいるわけですので,これは非常に大きな課題になると思いますので,どういう形で期間を定め,取消しの場合というのがどういう形で,どうなれば取消しだというだけではなく,取消しが起こった場合にどういう事態が生じるか,それに対する対応策というのも考えておく必要があるだろうというふうに思います。
 川嶋委員,お願いします。

【川嶋委員】  川嶋です。先ほど大森委員から,特例を申請すること自体が先導的な大学じゃないかというお話もあったんですが,今後具体的にどういうふうに審査内容を設計するかを更に検討していくことになりますが,この先導性という意味は,現在の教育に先導性があるという意味なのか,申請する内容に先導性がある,つまり,例えば,オンライン教育の上限の60単位を外してもらえば,こういうもっと先導的な教育ができるという,そういう構想を審査していくのか。この点が,つまり実績なのか構想なのか,特例を認める際の審査の制度設計とか要件については,今後十分具体的に詰めないと,先ほどの取消しのことも含めて,大学にとってはどういう意味なのかが分かりにくいのではと思います。現在,非常に優れたことをやっていて,更に上限が外れればもっとこういうことができるのかという,多分そういう申請内容を認めるということになると思うんですけれども,実績プラス構想というところをどういうふうにして実際評価していくのかというのは,今後実際の審査する際には肝になるのかなというふうに思いました。
以上です。

【吉岡座長】  ありがとうございます。大変重要な点だと思います。
 ありがとうございます。いかがでしょうか。
 それでは,また元に戻って,また先の議論で戻っても構わないと思いますので,続いて認証評価,情報公表について御意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。

【川嶋委員】  よろしいですか。

【吉岡座長】  川嶋委員,どうぞ。

【川嶋委員】  情報公表について少しお話しさせてください。
 教学マネジメント指針で既に情報公表すべきということが整理されておりまして,本日の参考資料の140ページ以降に,教学マネジメント指針の中で示されている情報公表の項目は整理されているんですが,その中の,144ページの一番上に,入学者選抜の状況という項目があるんですけれども,ここで幾つかいろんな入試に関わる情報公表するようにということで,受験者数とか合格者数,入学者数等を公表するようにというようなことが示されているんですが,実は大学入試のあり方会議の方でも,入試に関わる情報公表のことも議論しておりまして,例えば,医学部入試で,女子生徒とか多浪生の合格率が現役生よりも低いとかという問題が生じて,それが是正された結果,女子の合格率が高かったというようなニュースが最近出ておりましたけれども,もう少し入試にかかわる詳細な情報を公表すべきではないかというのがあり方会議で議論されておりまして,同じ参考資料の150ページを見ていただきますと,これが大学入試のあり方に関する検討会議で議論した,大学の入試情報の公表ということを整理した内容になります。
 それで,そこに書いてあるとおりなんですけれども,大学入試の公平・公正性の観点からは,実質的公平性という観点が極めて重要であるということから,2段落目にありますように,これまでも公表を求めてきた合格判定の方法や基準,試験問題,解答・解答例や出題の意図などに加えて,受験者数・合格者数・入学者数や,その後に記してあるように,学部ごとの男女別入学者数などの属性別の内訳,障害のある学生への合理的配慮の提供状況,多様な背景を持つ学生の受入れ状況や関連の支援制度をはじめ,志願者の大学選択に関わる様々な情報の適切な公表を各大学に求め,一定のものは省令上の情報公表の対象とすべきであるという提言をしておりますので,今回の質保証システムの改善充実の提言の中にも,このあり方会議での提言もぜひ入れていただきたいというのが,私からの発言の趣旨でございます。
 以上です。

【吉岡座長】  分かりました。ほかにいかがでしょうか。
 浅田委員,どうぞ。

【浅田委員】  ありがとうございます。
 最初に御説明いただきました資料の18ページの枠囲いの一番下の厳格性の担保のところなんですけれど,不適合の大学については受審期間を短縮化ということで,例として3年と出ています。これがどう機能していくかというのは,考えなくてはいけないと思って見ていました。
 というのは,今,幾つかの認証評価機関があって,それぞれ法令適合性については丁寧に見られて,法令に明らかに違反しているというのはめったにない話だと思うんですけれど,法令の内容によっては解釈に幅があるようなもの,いわゆるグレーな部分については,各認証評価機関が丁寧に内容をチェックして判断されている中で,不適合と出るのはかなり重大な違反であるとか,明らかな問題を抱えているときに出ると思うんです。それで大学が,これは大変だからすぐ直そうということで,自主的,自律的に正すというのが制度趣旨だと思うんですが,中には,こういう言い方は良くないですが,確信犯的に,これでいいんだと思っている大学もあったりすると,期間を短くしたところでほとんど効果がないと思っています。
 今の認証評価制度というのは,認証評価機関が,強制力を持って指導したり改善させることができない制度です。不適合が出るというのはよほどの場合ですので,この場合はやはり文部科学省が引き取って,きちんと改善指導をされるしかないと思います。単に期間を短くしたから良くなるでしょうというものではないような気がします。
 本文の方に,認証評価機関は大学に伴走する形だというふうに書かれていますけど,基本的には,大学の進むべき方向とか,あるべき姿をガイドしているんだと思うんです。あくまで自律的に大学が適切な方向に走ることを前提にしているわけで,大学に逆走されたときには,認証評価機関は手の打ちようがない状態になっているんです。
 だから,そういう意味でいうと,不適合が出るというのはよほどの場合ですので,認証評価制度の枠組みで改善ができるだろうという,そういう楽観的なものではないということで,不適合を文部科学大臣に報告して,文部科学大臣が確認できるようになっていると思うんです。だから,そちらの枠組みで不適合の対応をされるというのが現実的ではないかと思っております。この辺りはどういうふうに動きそうなんでしょうか。教えていただければありがたいです。

【吉岡座長】  では,事務局,どうぞ。

【堀家高等教育政策室室長補佐】  失礼いたします。高等教育政策室の堀家でございます。
 今,浅田委員に御指摘いただいた文部科学大臣の報告聴取の仕組みというものが,参考資料でお配りしておりますものの116ページ,認証評価制度の概要というところを御覧いただければと思います。
 令和2年4月に施行されました改正学校教育法に基づきまして,認証評価機関が不適合の判断をした場合には,文部科学大臣は,その大学に対して報告または資料の要求をするということになってございます。その中で,正に今浅田委員に御指摘いただいたような,法令違反のようなものがあった場合には,既存の学校教育法であったり私学法等の関係法令に基づいて,しっかりと段階的な対応を取っていくということになってございます。
 ですので,法令違反等に関しては,文部科学省の方がしっかりと対応するという仕組みになっております。それを発見するために,不適合になった場合には報告資料の提出を求めるということが,現行の仕組みの中でビルトインされているというところになってございます。
 事務局からは以上です。

【吉岡座長】  いかがでしょうか,浅田委員。

【浅田委員】  その制度が十分機能してほしいなということなんですが,文部科学省が指導されて良くなった状態でもう1回認証評価を受けなさいという,そういう趣旨なんでしょう。

【堀家高等教育政策室室長補佐】  法令違反に関しては,正に今御指摘いただいたような形になるかと思います。ただ,法令違反以外にも認証評価で不適合になっている事由といたしましては,大学のガバナンスの関係であったり,収支状況の観点であったり,入学者の定員の充足状況等,不適合の理由として指摘されているというところでございます。そうした点に関しては,一概に法令違反ということは言い切れない部分もございます。そうしたところは,認証評価の仕組みの中で,認証評価機関が大学に伴走していただく中で自己開設に努めていただくと,そのための在り方ということを,今回評価サイクルの短縮化という中で得られればというふうに思っております。

【浅田委員】  よろしいですか。例えば財務状況がかなり危機的状態で,学生サービスも低下している大学が見つかり、不適合となったとして,それが3年後に改善されているという保証があるんだろうかと思います。先ほど言いましたように,認証評価制度はペナルティがなく,認証評価機関も乗り換えていける制度に今なっています。だから,法令違反以外のところで,学生にとってかなり大きな不利益が出るような状況の運営をされているような大学に関しては,やはり強い指導が必要という意味では,文部科学省の方で質を保証する仕組みをきちんと入れられないと,性善説で自律的に大学が良くなるという前提は,かなり不安を持っているところがあります。
 私からは以上です。

【吉岡座長】  ありがとうございます。 杉谷委員,どうぞ。

【杉谷委員】  ありがとうございます。
 私も,情報公表の方で意見を申し上げたいと思います。21ページから22ページの囲みのところでございます。
 3点ほど申し上げたいことがございます。 順序がちょっと逆になるんですけれども,22ページの囲みの最後ですか。「どのような項目がどのような手法で公表されていることを担保することが適当か引き続き検討する」ということで,これは今後検討していくことになるかと思います。現行の学校教育法施行規則で義務づけられている情報でもかなりのところが提示できるかと思いますので,何度か申し上げたかと思いますけれども,今後はどのような目的の下に,どのような利用者を対象として,どのような項目をどう提示していくかというのが,恐らく対象者によっても変わってくるところがあるかと思いますので,そういうことに留意しつつ検討していくのが重要なことかなというふうに考えております。ですので,この項目は非常に重要な点かなというふうに思っております。
 2点目は,その上の大学ポートレートに関するところですけれども,恐らく高校生とか保護者に向けて,それから大学関係者に向けて教学IRの観点からも利用できるようにということが期待されているかと思います。この点に関しても異論はないんですが,ただ,やはり情報というものは公表して,その数字が独り歩きしていく危険性もあるかと思いますので,その情報や数字が何を意味しているのか,あるいは大学選択においてどういう意義があるのかなどを,大学側からの解説や説明などもできる範囲で加えながら,情報の読み取り方に関しても注意喚起できるようにしていくことが重要なのではないかなというふうに思っています。
 本文の方には,全国学生調査に関して,その情報の見方に関する言及があるんですけれども,それ以外のところにちょっとなかったかと思うので,できればこの囲みの中に何らかの形で反映していただけるといいのではないかなというふうに思いました。
 3点目は,囲みの最初に戻ってしまうんですが,教学マネジメント指針のところになります。これは,読み取り方としては,認証評価において,この教学マネジメント指針に該当するような部分を確認するということを意味しているんでしょうか。やっぱりそうですね。
 それで,改めて教学マネジメント指針を読み返しますと,大変丁寧に,詳細に例示が書かれていて,項目自体の重要性は十分によく分かります。ですが,ちょっと懸念としましては,そこに出ている,例示されている情報を学位プログラム単位で細かく記載しなければならないとか,それを認証評価でリジッドに見ていくというふうな方向になっていくと,認証評価の負担軽減ということとうまく両立していくのかなというのが,少し杞憂かもしれませんが,懸念するところでございます。
 教学マネジメント指針でも,非常に自主的,自律的に情報を発信していくということの重要性も指摘されていますし,そこに例示された情報をうまくまとめ上げて示していくということが重要なんだろうなと思うんです。けれども,運用面で,それがあまりにもリジッドになり過ぎないかなというのが,この数字等の書きぶりにもよるかと思うんですが,ちょっとそこら辺が懸念点かと。この点、通知等を出す際にでも何かしら留意していただけたらなというふうに思ったところです。
 私からは以上です。

【吉岡座長】  ありがとうございます。確かにそうなんです。情報公表の前からの問題は,結局それが部分的に切り取られて独り歩きしたりというようなことを,どういう形で防ぐといいますか修正するかということも含めて,公表の仕方というのはかなり重要な論点なのです。公表が重要であるというところは恐らく異論が出ないのですけれども,具体的にどういう数字をどのように出すかというようなことになると非常に難しいので,その辺はきちんと考えていく必要があると思います。
 日比谷座長代理,お願いします。

【日比谷座長代理】  ありがとうございます。
 ちょっと情報公開といっても,今の話と少しずれてしまうんですけれども,ただ今日,大変に重要なものとして資料の2を御用意いただきましたので,これをどういうふうに,ここに書かれている情報をどういうふうに伝えていくかという観点から,一言申し上げたいと思います。
 タイトルが示しているとおりで,現行制度において各大学の運用等で実施可能な取組というのがかなりあり,いろいろしているところもあるわけですけれども,大学関係者の中もそうですし,それから作業チームはもうそういう問題はないんですけれども,質保証システム部会,更に大学分科会等に上がっていったときに,実際に大学で仕事をしている人とか設置認可に関わっている人は細かいところまで熟知していて,こういうこともできますよということは言えるわけですけれども,やはり少し外の側から見ていると,ああいうことをしたい,こういうことをしたいのに,あれがある,これがある,だから規制があってできないんだという議論が非常に私は多いと思います。
 それはきちんと説明をしてこなかったところ,不十分であった我々にも責任があるんだと思いますけれども,やはり今の中でできることはどんどんやってくださいというのが一つの姿勢だと思いますので,この資料2を大いに活用して,大学関係者はさすがに知っていると思うんですけれども,もう少し大学以外のところで,この問題に関心を持っていらっしゃる方々には,現行でこれだけできるんだということを分かりやすくぜひ示していく必要があるのではないかなと思っています。
 以上です。

【吉岡座長】  ありがとうございます。大変重要なことで,かなりの多くの議論がそういう議論で,そのために費やされている時間というのはかなり大きいので,やれるところは,これこれのことがやれるということは非常に重要だろうと思います。実際に申請を出すということになれば,窓口等での相談の中でいろいろと進んでいくことができるんでしょうけれども,その前の段階で,こういうのがあるとこういうのができないという議論というのはかなり多いと思います。
 大学の教員でも,実際に申請の書類を書くところまで経験していると大分分かるのですけども,かなり細かいところは事務の方々に任せてしまうというところもあると思いますし,事務の方も必ずしも分からなかったりするので,おっしゃることは非常に重要だろうと思います。大学の中においても,重要なことだろうというふうに思います。ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 認証評価の問題,確かに非常に重要です。前にも議論のところで出てきましたけども,認証評価団体がどういうスタンスを持つかということで非常に大きな差が出てきてしまうということがありますし,それから,先ほども議論がありましたけれど,不可といいますか,認証評価で不可を出すというのは,よほどのことのようなところがありまして,実際に法令違反でない限りなかなか不可が出ないと思うんです。そうすると,逆に一定程度のことをきちんとやっている大学からすると,苦労した割には単に不可がつかないという,それ自体がどういう形で評価されて外に出ていくかということについての意欲が湧かないといいますか,そういう側面も恐らくあって形骸化してくるのだろうというふうに思います。
 実際に認証評価団体の質の向上というのもこの中に入っていますけれども,認証評価団体がどういうスタンスでやっていくのかということも含めて考えていかなければならない。ただ,認証評価団体は,基本的には大学間の認証評価の団体ということですので,方向について提言することはできると思いますけれども,やはり,それぞれは各認証評価団体がより良いものになっていっていただくということが必要なのだろうというふうに思います。
 繰り返し出てきますけれど,認証評価が国際的な基準ですので,この認証評価の問題というのは非常に重要ですし,認証評価を受けることによってその大学のレベルが国際的に認められていくという,そういうことの重要性は強調していくべきだろうと思います。
 いかがでしょうか。

【川嶋委員】  よろしいですか。

【吉岡座長】  川嶋委員,どうぞ。

【川嶋委員】  日比谷座長代理のお話しされた,この資料2の件ですけれども,結局,例えば新しい学部とか新しい学位プログラムを設置するということについてですが,今,私も認証評価に関わっていいますが,内部質保証という観点からは,大学改革支援・学位授与機構では認証評価の際に,大学が改組とか新設の際に,どういう手順で,どういう組織で,どういう検証をして,新しい学部なり研究科,専攻・学科をつくるのか,そこを確認する基準,分析項目はあるんですが,実際には,これまでのところ,この点の大学の自主的な質保証の仕組みが、日本では明確になっていないんです。イギリスの大学ですと,セネットというか評議会の下にディベロプメントコミュッティーとレビューコミュッティー,要するに新しいプログラムを設置する際にきちんと審査する組織と,既存のプログラムを点検・評価するレビューコミュッティーと二つあって,アメリカだとカリキュラムコミュッティーといって,新しいプログラムをつくるときは,新しく提案された学位プログラムが,その大学が授与する学位としての基準に達しているかどうかということを学内で審査するわけですが,残念ながら日本では,大学の中に新しいプログラムをつくる際の審査の機能というのは必ずしも十分に確立できておりません。また,先ほど吉岡座長がおっしゃったように,学内でも文部科学省での設置審査に関わった人はよく仕組みは分かっているのですが,それ以外の先生方はほとんど設置基準とか設置審査の仕組みは分からない状況なので,ボトムアップで新しいプログラムをつくるというのは,現状ではなかなか難しいのかなと思いますので,先ほどの職員の能力開発問題にも関わってくるんですけれども,学内で大学制度の仕組みをしっかりと理解した教員なり職員なりを育成したり,そういう人たちが内部質保証とか,新設,改組の仕事ができるような,そういう体制に持っていくことも,今後日本の大学としては質保証の観点からは必要なことかなと,今のお話を聞いていて感じたところです。
 以上です。

【吉岡座長】  ありがとうございます。非常に重要な,正にそうだと思いますので,ここでのこのレポートが,そちらの方向の刺激になればいいなというふうに考えております。
 ほかにいかがでしょうか。
 それでは,もう一つ,周知事項,先ほど日比谷座長代理の御意見の中にありましたけども,周知事項についてということを含めて,何か御意見ございますでしょうか。

【大森委員】  大森です。

【吉岡座長】  大森委員,どうぞ。

【大森委員】  その他も含めちゃってよろしいですか。

【吉岡座長】  結構です。

【大森委員】  ありがとうございます。
 周知事項のところでいくと,やっぱり届出のところというのが十分に理解されてないというか,そういうところがあるかなと思ったんですけども,ただ最後のところに行くと,そういう制度はある程度,自分の大学がこれでこうできるのかというのは,結局分からないみたいなところはやっぱりあるんですよね,議論を学内でスタートした時に。これは,周知とともにお仕事増やしちゃうことになるかもしれませんけども,設置室なりの相談のハードルというか,敷居をもう少し下げるということがあっても,現場にいると,ある程度まとまったものを持っていかないと相談しちゃいけないんじゃないかみたいな,それは誰も言っていないんだけれども,勝手にそう思い込んでいる節があって,でも,スタートの段階で,こういうことがチャレンジできるかなというのを確認してから詳細を詰めていけるといいなというところもあるので,そういう各大学のいろんな改革を促すんだとすると,そこのところは,今日の周知とはちょっと違いますけど,周知とともに,そういうことがあるといいなというふうに思ったということと,もう一つ,オンライン授業に関しても,この間,コロナで様々な通知を出していただいたり,本当に要件いろいろ考えていただり,QAを出していただいたりしてきて,今日もまとめていただいているわけですけれども,いろんなところにそれがあったりするので,ここで一旦,それだけの,例えば,私もこの間質問しちゃったんですけど,オンデマンド授業,通学制大学の遠隔授業は,即時性とか双方向性が求められるといった即時性の意味みたいなものが,オンデマンド授業を流しているその場でいろいろなきゃいけないみたいに思い込んでいたりとかもしたりもするので,今できることの一覧というのが,改めて今日の資料をベースに,オンライン授業に関してというまとめをしていただけると,各大学,助かるなという感じはしているということが1点です。
 最後に,その他なんですけれども,最初の今日の資料1-2で最初に書き込んでいただいたところの,ページ数でいうと4ページのところで,このオンラインというものが,カリキュラムポリシーやディプロマポリシーに触れていただいたのは非常に良かったというふうに思っています。やっぱりDPを達成するために,それが適切な教育方法なのかどうかということが一番重要なポイントになってくるんだと思うので,そのことが書き込まれたというのは重要で,そうした時にちょっと文章が,「各大学のカリキュラムポリシーやディプロマポリシーに遠隔授業が適切に位置づけられ」というふうになっているんですけど,カリキュラムポリシーに遠隔授業が位置づけられというのは分かるんですけど,こういう人材に育てたいというディプロマポリシーに遠隔授業を位置づけるというのは,遠隔授業がディプロマポリシーの達成に寄与するということが明らかだみたいな,よくあれですけど,つまり,DPの中に遠隔授業はというのが書き込まれるというのはちょっと違和感があるかなと思ったので,カリキュラムポリシーはDPを達成するためにこういうカリキュラムにしますというところなので,そこに位置づけられるというのはすっと入ってくるんですけど,DPに位置づけられるという表現はちょっと書きぶりを考えていただいてもいいかなと思ったところです。
 以上です。

【吉岡座長】  ありがとうございます。後半の方はまとめちゃっていますけれども,そうだと思います。階層性というのはちゃんとしておいた方が分かりやすいと思います。ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。 米澤委員,どうぞ。

【米澤委員】  ありがとうございます。
 私も,その他のところに入るんですけども,25ページの,「おわりに」の前の定員管理のところなんですけれども,話として最終的に具体的な落としどころというか,こういうところでいきましょうという話は理解できるんですけども,それを前提とした上で,いま一度,何のためにこれを入れたのか,何をしたいのかということは,ちょっと丁寧に説明しておいた方がいいかなという感じがいたします。
 それの意味は,まず,引き続き学部・学科を単位とするというところはこれが大体懇切丁寧だと思うんですけども,多分,この話が出てきた半分ぐらいのところは,定員の管理の仕方が,一人単位で厳格過ぎてしんどいということがあって,それに対して何とかしてくれということが背景があると思うんです。これは具体的に,これを運用していった時にそういう効果があるのかがいまいち分からないんですよね。例えば,変な話ですけど,中退が普通にあるわけです。中退学が普通にある世界で在席学生数が2割減りましたと。そうすると,それを埋めるということが経営上あるかもしれなくて,今年はその分だけ多めに取りましょうと。あるいは,留年が多いということで減らしましょうみたいなことをやって,それからまた一人単位で合わないとか合ったとかいう話をするというようなことなのか,そういう話ではないのかみたいなところは,はっきり趣旨と合うのか,意味を理解できるようにした方がいいということです。
 もう一つは,先ほどのハイブリッドの授業に当たると思うんですけど,資料2で,具体的には,要するに60単位の中で,授業で,資料2の5ページ目です。ここに書いてあることは,よく整理が進んできたと思うんですけど,要はハイブリッド授業をどう考えるかということだと思うんです。つまり,ここで60単位を遠隔授業でやるということは,その先の各論のところで言えば,大学としては対面の授業を用意しているんだけども,学生のやむを得ない事情があればオンラインで参加してもいいというような趣旨だと思うんです。しかし,経営マインドを持ってみれば,初めから100人いて20人しか対面で来ないことが分かっているときに,20人分の座席だけ用意して80人分はオンラインで済ませましょうということを考えても当然だと思うんですよね。それのときに,そうは言いつつ100人分の授業の場所は用意して,結果的に20人近くないということを求めるのかとか。多分,定員の話はそういう話と絡んでくるような話だと思うんで,この部分は今すぐに結論は出ないと思うんですけど,まず,考え方として何を目指しているかは,整理をきちんとして,ある程度柔軟にしたいということを言っているのか,あるいは単純にここは総定員の話をしているのかということは明確にしておいた方がいいというのと,遠隔授業をここだけやっていけば,多分間違いなく通信制の持っている,ある種の幅広い定員の考え方というものとをどう取り扱うかということは,少し方向性を示しておいた方がいいかなというふうに思ったということでございます。
 以上でございます。

【吉岡座長】  ありがとうございます。一色補佐,何か,今の,特に2番目の点について何か御意見ありますでしょうか。

【一色大学振興課課長補佐】  失礼いたします。
 定員管理というかオンラインの話になりますけれども,ハイブリッド教育をまずどう展開するかというのは,かなり個別ケースによって違ってくるとは思うんですけども,先に示したように半分以上を対面でやればという形になっているというのが一つと,あとは,ここは正に通学制の大学と通信制の大学と,そもそも制度が変わるわけですけども,そこで先ほど言われたとおり,初めから80人オンラインで学びたいんだという学生で,オンラインで学ぶ,正に先ほど大森委員からもありましたけれども,DP,CPを達成するためにオンラインがいいという教育をするんであれば,一義的にはまずそれは通信制でやるというパターンがあるんじゃないかというところだと思いますので,そもそも大学として何がしたいのかというところの整理がまず第1にあった上で,通学制と通信制の制度をどういうふうに使っていくか。通学制の中では,先ほど資料2の5ページ目に示させていただいたとおり,相当程度,通学制であってもオンラインをかなり使えるという仕組みになっておりますので,そもそも大学はどういう教育を展開したいのかということの議論で,今般,コロナ禍で各大学がオンラインを様々取り組まれる中で,いろいろなアイデアが今出てきているところだと思いますので,そういうところも引き続き議論を整理いただきながら,また制度も見ていくというところになるのかというふうに考えております。
【吉岡座長】  ありがとうございます。恐らく今の米澤委員のお話の中にあった,例えば教室面積とか座席数みたいな話とも絡むことですし,意図的にそれこそ,実際には通学で来るのが非常に少ないにもかかわらず,それを全部定員としてある抜け道ができなくはないということになると,難しい,ちょっと別の問題が生じてくると思いますので,やはりそこは丁寧にケースを考えておいた方がいいと思います。方向というのは多分これですし,現にこういう形で行われているので,制度上は可能だという例ですので,その辺のデメリットといいますか,問題点というのはちょっと事務局の方でも確認しておいていただければというふうに思います。
 定員管理の方もおっしゃるとおりで,前に問題になった,定員というのの単位をどこで取るかというのは結構重要な問題で,おっしゃるとおり,退学者がたくさんいるからといってある学年をたくさん取ったとすると,その1年生の学習環境というのは明らかに落ちることになる可能性があって,教室あふれちゃうみたいな話があり得るわけですので,ちょっとその辺のところも含めて,一応,どういう問題があるかということも確認しておく必要があるかなというふうに思いました。
 浅田委員,お願いします。

【浅田委員】  今の議論を聞いて,1点,用語が気になったので質問です。
 定員管理のところの注のところなんですけれど,「引き続き学部・学科を単位とする」と書いてあるんですが,ここは学位プログラムではなく,学部・学科という概念を残すんですか。ちょっと分からなかったので,教えてください。

【吉岡座長】  そうですね。これはどうですか。

【堀家高等教育政策室室長補佐】  定員管理の規定自体は,参考資料の167ページを御覧いただければと思います。これはシステム部会の方で御議論いただいていた内容です。
 定員管理の,上が法令及び運用の世界ですので,設置基準等の規定の世界になります。下が政策上の取扱いということで,設置認可の基準の話であったり経常費の配分で,今回特に問題になったのは下の方の世界というところでございます。
 法令及び運用のところが,正に現在の設置基準の規定という形になっておりますけれども,学科課程を単位として学部ごとに定める収容定員に基づき管理ということになってございますので,こちらの現状として,この設置基準上の必要な大学における教育環境の確保の観点というところでは,単位としては,学部・学科というものを単位として定員管理をしていきましょうという趣旨が,こちらの米印で記載されているところです。
 ただ一方で,政策上の取扱いの中で,現在は平均入学定員超過率というところで見られていたり,運営費交付金等の私学助成の配分の際に,収容定員に基づいて算定していたり入学定員に基づいて算定していたりという形で,必ずしも収容定員だけで見られるわけじゃないという現状がございますので,そこは設置基準に合わせた形で,収容定員というものに基づいて算定をしていくというふうに見直していってはどうかというところでございます。
 その背景,目的というところは米澤委員からも御指摘ございましたけれども,特にこの課題というところが,正に今回見直す背景というところになってくるのかなと思ってございます。設置認可の取扱いの部分に関しましては,どこか一つの学部で定員超過が起こっていたりした場合に,この新しい申請ができなくなってしまうというところが,新しい大学内での学部・学科の再編が円滑に行いにくいといったことが指摘をされたりしております。
 また,経常費の配分のところに関しましても,過度な入学者の調整ということが発生していて,補欠合格であったり追加合格といったような形で,受験生にとって不安定な状況に置かれているというところがあったり,各大学にとって経常費の配分が増減してしまうというところで安定した大学経営や教育研究が困難になる可能性があるというところを指摘されているところで,これを少し柔軟化してはどうかというところになってございます。
 ただ一方で,こうした取扱いと併せて,その取扱いの基準というものを,学部・学科単位から大学単位全体で見るようにしてくれというような御意見も頂戴しているところでございましたけれども,そこに関しては,例えば文学部で定員が割り引いた,その分を法学部の方で定員超過していて,また大学全体としては,定員はきちんと枠の中に収まっていますよというところが,教育研究の環境を確保するという定員管理の趣旨からしてどうなのかというところが,質保証システム部会においても議論があったところでございます。
 それを踏まえて,米印のところで,定員管理の単位は大学における教育研究確保の観点から,引き続き学部・学科を単位とするという形で記載していただいているという形になってございます。

【吉岡座長】  浅田委員,よろしいですか。

【浅田委員】  丁寧に御説明いただいて,ありがとうございます。ただ,学部・学科と学位プログラムの関係が随分変わってきていると思うので,今の制度下では学部・学科なんだろうと思うんですけど,これから学位プログラムを中心に教育の質保証をしていくときには,学生が所属する学位プログラムとしての定員といいますか,収容定員的な考え方が入ってくるのかなと思います。必ずしも学部や学科に所属せず,学位プログラムに所属する学生も出てくるんじゃないかなと思ったので,質問しました。ありがとうございました。

【吉岡座長】  その点はそうだと思います。現に,事実上学位プログラム所属学生というのは出てきているわけですから,考え方としては多分そうだと思うのですが,今まだ学位プログラムというのが大きな単位になっていないので,今後ちょっと考えていく必要があることだと思います。そういう意味では,学位プログラムの規模まで含めて,どういうものになっていくのかということが今後の課題であることは確かです。
 ちょっとすみません,事務局,お願いします。

【堀家高等教育政策室室長補佐】  補足でございますけれども,要は,大本は設置認可制度が学部単位で見ていくというところにありますので,そこの制度が根幹にあるというところです。
 あと,加えて言えば,教教分離をしている組織なんかも法令制度上認められていまして,それも学部という扱いになりますので,教教分離をしているタイプの学位プログラムについてはすぐに見ていけるということですけれども,今厳密には教育課程のみで設置認可をしているわけではなくて,それを実際に担う組織である学部等を見ているということになりますので,そこがちょっと根っこにあるというところでございます。補足でございます。

【吉岡座長】  ありがとうございます。そういうことだと思います。
 川嶋委員,お願いします。

【川嶋委員】  時間も来ていますので,手短に。
 今の定員問題ですが,いろんな観点からの御意見があると思うのですが,質保証の観点から,学年定員,収容定員がある限り,実際には単位認定や卒業・修了判定が厳格にできない。つまり,単位認定を厳格化し,結果として留年者がどんどん増えていってしまって,収容定員を超えてしまうと,先ほどの話のように,ある学年は入学者を減らさざるを得なくなります。ということで,収容定員が厳格であるということは質保証にも非常に大きく関わる論点だと思います。教育の質保証,学生の学びの質を保証していくとすると,厳格な定員があるというのは,特に収容定員は、質保証と矛盾するわけで,これは大きな問題かなと思います。
 以上です。

【吉岡座長】  おっしゃるとおりだと思います。その点はやはり基本で,収容定員がルーズになってしまっていくらでも学生が取れてしまうみたいな話に極端になると大変まずいので,その辺のところはきちんと押さえていくべきことだと思います。ありがとうございます。
 一応ざっと全体についての御意見を伺ったということになると思いますが,何か付け加えて,あるいは今までのところで抜けている部分等がありましたら,もう時間過ぎているのですけれども,御意見があればと思いますが,よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは,本日の御審議いただいたことを踏まえて,更に修正を加えて,作業チーム案という形にして部会の方に報告をしていくということになります。案の作成については御一任いただければと思いますが,よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 もしも,それこそこの文章の誤字脱字も含めて,ここはおかしいとかちょっと言い回しとか,あるいは組み方,こちらにしないと意味が通じにくいとかということがありましたら,事務局の方に御連絡をいただければ検討していくということにさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは,事務局から,何か今後のことも含めてお願いします。

【堀家高等教育政策室室長補佐】  本日は活発な御議論をいただきまして,ありがとうございました。今,座長からもございましたけれども,時間の都合上,御発言できなかった内容等がございましたら,事務局宛てに御連絡いただければと思います。
 事務局からは以上でございます。

【吉岡座長】  ありがとうございます。
 それでは,本日の議事,終了させていただきます。どうもありがとうございました。
 
―― 了 ――
 

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