質保証システム部会(第14回) 議事録

1.日時

令和4年3月18日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

Web会議

3.議題

(1)質保証システムの見直しについて
(2)その他

4.出席者

委員

(部会長)吉岡知哉部会長
(副部会長)日比谷潤子副部会長
(委員)永田恭介委員
(臨時委員)浅田尚紀,飯吉透,大森昭生,川嶋太津夫,小林浩,杉谷祐美子,瀧澤美奈子,谷本和子,土屋恵一郎,曄道佳明,長谷川知子,濱中淳子,古沢由紀子,前田早苗,宮内孝久,吉見俊哉,米澤彰純の各委員

文部科学省

(事務局)増子高等教育局長,森田大臣官房審議官(高等教育局及び科学技術政策連携担当),里見大臣官房審議官(高等教育局担当),西田高等教育企画課長,新田高等教育局大学振興課長,柿澤高等教育政策室長,一色大学振興課課長補佐,竹花大学設置室室長補佐,堀家高等教育政策室室長補佐ほか

5.議事録

【吉岡部会長】  それでは,ただいまから,第14回質保証システム部会を開催いたします。
 御多忙の中,御出席いただき,誠にありがとうございます。本日は,新型コロナウイルス感染症対策のため,Zoomによるウェブ会議として開催し,その様子をYouTubeライブ配信にて公開いたします。会議資料,音声など,御準備はよろしいかと思います。いかがでしょうか。声は届いておりますね。よろしくお願いいたします。
 それでは,議事に入る前に,事務局から連絡事項をお願いいたします。

【堀家高等教育政策室室長補佐】  先生方,おはようございます。本日もよろしくお願いいたします。
 本日は,ウェブ会議及びライブ配信を円滑に行う観点から,御発言の際は挙手ボタンのマークを押していただき,部会長から指名されましたら,お名前をおっしゃってから御発言をいただきたいこと,また,御発言後は,再度,挙手マークのボタンを押して表示を消していただきますようお願いいたします。また,発言時以外はマイクをミュートにしていただくなど,御配慮いただけますとありがたく存じます。不都合が生じることもあるかと存じますけれども,御協力のほど,よろしくお願い申し上げます。
 また,会議資料につきましては,議事次第に記載のとおり,事前にメールでお送りしております。
 事務局からは以上でございます。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。
 それでは,議事に入りたいと思います。
 前回の部会では,審議まとめの素案を提示し,御議論いただきました。前回の議論も踏まえ,審議まとめ案としてまいりましたので,本日は,これらを基に御議論いただきたいと思います。
 それでは,資料1に即しまして,質保証システムの改善・充実について御説明いたします。資料1-1と1-2を御用意いただければと思います。
 質保証システム部会は,令和2年7月から1年9か月,計14回の審議を行い,質保証システムの改善・充実に係る議論を進めてまいりました。
 本日は,前回2月16日のシステム部会で委員各位よりいただいた意見を踏まえて修正いたしました審議まとめ(案)を用意いたしましたので,こちらに基づき御議論いただきたいと思います。
 まず,おさらいということで,資料1-1を御覧ください。一番上の四角囲みの部分を御覧いただければと思います。
 「大学設置基準」,「大学設置認可審査」,「認証評価」,「情報公表」という我が国の公的な質保証システムは,事前規制型と事後チェック型それぞれの長所を併せ持つように設計されており,これは一定程度機能しているということ。
 しかしながら,3つのポリシー,入学者受け入れ方針,教育課程編成・実施方針,それから卒業認定・学位授与の方針,この3ポリシーに基づく教育の実質化を進める必要があるという指摘,それから,グローバル化やデジタル技術の進展に対応する必要があるという指摘,さらに新型コロナウイルス感染拡大を契機とした遠隔授業の普及・進展を踏まえた対応を行う必要がある等の指摘があること。
 それらを踏まえて,大学における国際通用性のある「教育研究の質」を保証するため,質保証システムについて,1として,最低限の水準を厳格に担保しつつ,2,大学教育の多様性・先導性を向上させる方向で改善・充実を図っていくことが求められているということを共通認識として議論を重ねてまいりました。
 その上で,質保証システムで保証すべき「質」は,学校教育法の規定に照らすと「教育研究の質」であり,「学生の学びの質と水準」とともに,教育と研究を両輪とする大学の在り方を実現するという観点からは,持続的に優れた研究成果が創出されるような研究環境の整備や充実等についても一定程度確認する必要があるということが共有されております。
 また,改善・充実の方向性として,学修者本位の大学教育の実現と,社会に開かれた質保証の実現を二つの検討方針とするということとともに,各質保証システムの改善・充実を検討していく際の視座として,1,客観性の確保,2,透明性の向上,3,先導性・先進性の確保(柔軟性の向上),4,厳格性の担保の4つを設定して検討を行ってまいりました。
 大学設置基準・設置認可審査につきましては,学位プログラムを基礎とした内部質保証の重要性の明確化や,クロスアポイントメントなど,多様な働き方の進展を踏まえ,「一の大学に限り」という「専任教員」の概念を「基幹教員」(仮称)と改めること。
 設置認可審査に当たって,実務家教員の定義の明確化や大学名称の考え方を周知すること。
 機関として内部質保証等の体制が機能していることを前提として,オンライン授業の60単位上限の緩和など,教育課程に係る特例制度を新設すること等を盛り込んでおります。
 また,認証評価につきましては,学修成果の把握・評価や,研究環境整備・支援状況の大学評価基準への追加や,認証評価機関の質保証に資する取組の推進,内部質保証の体制・取組が特に優れた大学への次回評価の弾力化。
 また,不適合大学の受審期間の短縮化等を盛り込んであります。
 情報公表につきましては,「教学マネジメント指針」を踏まえて,認証評価において大学の情報公表の取組状況を確認することや,「大学入学者選抜に関すること」を学校教育法施行規則に規定する各大学が公表すべき項目に追加するということなどを書き込んでおります。
 その他の重要な論点として,遠隔授業に関するガイドラインの策定や,質保証を担う人材の資質能力を向上させる観点から,SD・FDの取組等を把握・周知すること。
 設置認可審査を経て認められた分野の範囲内なら大学の判断で新たな学位プログラムが実施可能であるということを周知すること。
 基盤的経費の配分や設置認可申請等における定員管理に係る取扱いについて,現行で入学定員に基づく単年度算定としているものについては,収容定員に基づく複数年度の算定へと改めるということなどを盛り込んだ提言としてございます。
 以上,1-1を概観いたしましたが,1-2を御用意ください。審議まとめ(案)の本文でございます。
 審議まとめの本文に関しまして,前回のシステム部会からの主な更新事項の部分を網かけしてございますので,その箇所を中心に御説明いたします。
 まず,9ページ目でございます。
 前回,曄道委員から,「学修者本位の大学教育の実現」という柱と,各システムの改善・充実方策の関係が見えないという御指摘がございました。項目ごとに詳述すると,後半部分が煩雑になってしまうということがありますので,今回は,この改善・充実の方向性の柱となる部分に,それぞれの改善・充実方策との関係性を追記してございます。
 また,11ページ目をお開きください。
 先導性・先進性を確保するためには,客観性を向上させる必要があるということ。また,透明性を向上させることが厳格性の担保につながることなど,それぞれの視座は背反関係にあるものではなくて,相互に関係し合うものであることに留意が必要である,このような文章を追記してございます。
 続いて,15ページ目を御覧ください。
 「専任教員」の見直しの部分ですが,林委員から,学部間で「基幹教員」(仮称)を兼ねることが可能かどうかという御質問がございました。
 その点が明確になるように,複数の大学や学部で基幹教員となることも可能となるという旨を明記してございます。「学部」ということを入れてあります。
 それから,吉見委員から,基幹教員の仕組みを導入することで,若手研究者らの処遇が低下するのではないかというような御指摘がございました。
 これを踏まえまして,一番下です,注16になります。「とりわけ若手教員の処遇等が不安定になることがないように制度設計の際には留意が必要である」ということを明記してございます。
 それから,17ページ目を御覧ください。
 大学設置基準の特例制度について,古沢委員から,特例を認めるのであれば,特例を申請する目的と教育効果を明確にした大学に対して認定をすべきという御指摘がありました。
 また,特例制度の活用は教育研究の充実を図るためにするものであるということから,それを踏まえて,要件部分の修文を行ってございます。17ページの要件のところです。真ん中の部分でございます。御確認いただければと思います。
 それから,21ページ目に飛びます。認証評価の関係の部分でございます。
 小林委員からは,認証評価結果の公表についての御指摘がございました。
 情報公表は社会に開かれた質保証の実現のために重要な要素でありという,その趣旨が明確になるように追記してございます。
 それから,25ページを御覧ください。情報公表の関係の部分です。
 前回の素案では,「大学入試のあり方に関する検討会議提言」を踏まえて,「大学入学者選抜に関すること」等を情報公表すべき項目に加えることは考えられるかという,そのような提起の形になっておりましたけれども,特段御意見がなかったことから,「追加する」という形で書き込んでございます。
 26ページ目です。その他の重要な論点の部分です。
 教育再生実行会議の第12次提言で,学事歴・修業年限の多様化・柔軟化が提起されております。学事歴・修業年限の多様化・柔軟化については,現行の仕組みの中で考え方を明確にして周知していくことで,その実現が促されるものがたくさんございます。今回の審議まとめにおいても,現行制度の運用によって行うことができる取組をしっかりと周知していく重要性を盛り込んでいるということから,26ページ目に,学事歴・修業年限の多様化・柔軟化を進める上での課題について記載してございます。
 それとともに,27ページ目,28ページ目,続きですが,優秀な成績で卒業が見込まれる者を対象に,修業年限に沿って配当された教育課程を早期に修了するモデルを大学が示すことが可能であるということの周知や,修業年限は「おおむね4年」の期間を示すものであって,厳密に4年間在籍することを求めるものではないということの明確化。
 それから,早期卒業・修業年限の柔軟化等による学費の変更等については,各大学が授業料などの設定・徴収の考え方を整理し学生等に説明すべきであること等を追加してございます。これは周知の問題と言っていいと思います。
 続いて,29ページ目,定員管理の見直しの部分ですが,算定単位を入学定員から収容定員に改めるに当たっては,過年度在学者の取扱いについて留意が必要となるということで,2つ目の米印の部分ですが,そこに記載しているとおり,1,全科目でシラバスに学修目標,授業方法・計画,成績評価基準の明示。
 2として,成績評価にGPA(グレード・ポイント・アベレージ)を導入する。
 3番目,成績不振の学生への個別指導(面談,補習等)を実施しているということを前提にして,修業年限を超えて在籍している者を控除して算出するということなど,成績管理の厳格化・明確化と両立が図られる仕組みとする必要があるということから,その部分を追記してございます。
 31ページ目,「おわりに」の部分ですけれども,今回の質保証システムの改善・充実は,前回,飯吉委員も御指摘されておりましたが,大学の先導性・先進性の向上に向け,大学の裁量をより高めていくものになっているというふうに考えております。これは翻って高等教育の質保証に対する大学自身の責任が強まっていくことの表れであるということでもあり,大学間で互いに刺激し,切磋琢磨し合い,安きに流れることなく教育の質向上に努め,社会からの信任を得ていかなければならないという矜持が大学・大学人に強く求められているということをここに明記してございます。
 33ページ目,別添の資料,前回,吉見委員が,パブリック・リレーションの重要性を指摘されておりました。まさに今回,現行制度において各大学の運用等で実施可能な取組例ということについて事務局で整理してもらっておりますので,この審議まとめの別添参考資料として添付することで周知を図りたいというふうに考えております。既にできることが必ずしも伝わっていないということが何度も指摘されてきたということでございます。
 こちらについては,後ほど事務局より補足いただきたいと思います。
 駆け足で前回からの変更部分を中心でお話しいたしましたが,以上が審議まとめ(案)ということになっております。
 本日の質保証システム部会での議論も踏まえて,年度内に審議をまとめたいというふうに考えているところです。
 なお,質保証システム部会でまとめた議論を受けた具体的な大学設置基準改正等の制度改正については,来年度,大学分科会に諮問され,具体的に検討されるということになります。この点も踏まえて御審議いただければというふうに思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 以上で,私の説明を取りあえずここで終わらせていただきます。
 続きまして,今申しました現行制度において,各大学の運用等で実施可能な取組例について,周知,広報が必要であるという観点から,審議まとめの中に入れ込んでございますので,この点につきまして,事務局のほうから御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【一色大学振興課課長補佐】  失礼いたします。それでは,事務局より,33ページから35ページにわたってあります別添参考資料につけております「現行制度において,各大学の運用等で実施可能な取組例」について,御説明をさせていただきます。
 まず,33ページ目の上段の上にあります(例丸1)でございますけれども,設置認可に関係するものでございまして,学位の種類の変更を伴わないものや,学位の分野の追加を伴わないものであれば,各大学で既に設置認可審査を経て認められた分野の範囲内であれば,各大学の判断で組織改組を含めた新たな学位プログラムの実施が届出等で可能となるというものでございます。
 なお,大学全体の収容定員の増を伴う場合は認可が必要となります。
 大学関係者の中では,学部の名称,また,学位記に記載する「学士(○○)」といった分野がこの設置認可審査を経て認められた学位の分野だというふうに考えられている方も一部いらっしゃいますけれども,設置認可における学位の分野は,学士課程では,原則として告示で定められておりまして,左下にありますオレンジ色の19の学問分野に大括り化をされておりまして,各大学,学部が学位授与できる分野は,これらのいずれかの分野,または複数の分野から構成されたものとして整理されております。
 各大学は,右下にございます設置審査の際に審査員に提出する書類に学部の分野を記載しまして設置認可審査等を受けておりまして,そこで認められた分野に関して学位授与権が与えられております。
 この認められた学位の分野は,各大学がつける学部名,また学位記に記載する専攻分野に付記する名称と必ずしも一致するものではありませんが,この点について,大学関係者の中で十分な周知,認識がされていない可能性がございます。
 中段の青字で記載しておりますものは,ある大学の届出による設置の例でございますが,新設された「情報データ科学部」の教育課程は,理学関係,工学関係で構成される学位の分野の教育を行うものであり,当該大学は,もともと理学関係として環境科学部が,工学関係として工学部が設置されておりまして,当該大学として,両分野に関する学位授与権を従前から有しているということから,届出設置が行えたというものでございます。
 このように,必ずしも学部名と設置認可で認められた分野は一致するものではなく,学内に新たな教育プログラムを検討する際には,自大学でどの分野の学位授与権を有しているのか,また,新たな教育プログラムとして行おうとする教育課程は,その分野内にとどまる範囲か,それとも自大学が有しない分野の学位授与権を必要とするものなのかといった点に考慮いただくことが重要と考えており,これらの点について整理した資料でございます。
 続きまして,下側の(例丸2)でございますけれども,学位記に付記する専攻分野の名称についてでございます。
 繰り返しになりますが,先ほど御説明しました19の学位の分野ではなく,各大学が付記する専攻分野の名称でございます。
 本部会でも一部御議論がございましたが,付記する専攻分野の名称が多過ぎるといった課題が指摘されておりまして,その点につきまして,日本学術会議においてこれまで検討がなされており,平成26年に提言がなされております。同提言では,大きく2つの視点で検討がなされており,1つは,大学で担われる学問の普遍性という観点に照らして,学問分野の名称という観点から,専攻分野の名称を再検証すべきではないかという点。
 もう1つは,特定の学問分野にとらわれない独自の対象を学修の主題とする例が増加していることを踏まえて,それらに対していかに適切な専攻分野の名称を付すのかという点で,特に後者の視点を踏まえて,各大学に対し改善の提案が示されております。
 中段のオレンジ色のところでございますが,特定の学問分野の枠組みをこういった取組を行う分野では,必ずしも「○○学」と称する形を取る必要はなく,その分野のテーマを直截に表記する観点から定めること,組織名称と同一の名称でなくてよいこと,分野の名称の意味をできるだけ明確化すること,分かりやすく,単純で,かつ同様の他大学の教育課程と共通性のある表現を用いることの4つの改善方策が示されております。
 他方,学位記の英文表記につきましては,青字の部分になりますけれども,学位の国際性の確保から基本的な考え方が示されておりまして,「学士」は「Bachelor」とする,分野名は,学術的に広く認知されている分野の名称を充てる,下位の専門として,重点を置く分野を合わせて示すこととして,階層構造を示す表記が提案されております。
 専攻分野の名称は,各大学が自らの判断で付記することができることから,同提言も参考に,適切に名称をつけていただくことが重要と考え,御紹介させていただくものでございます。
 次に,34ページ目の上半分の(例丸3)でございますが,学位プログラムの考え方や運用についてでございます。
 審議まとめ(案)におきましても,設置認可制度では既に各位プログラムごとの質保証が行われているものであること,各大学における内部質保証も学位プログラムを基礎として行われるべきであることなどについて記載いただいておりますけれども,この学位プログラムの考え方の定着や,その運用等について,各大学で現在行われているものを整理したものでございます。
 左上の丸1が,いわゆる学部・学科制による学位プログラムですが,1つの学位プログラムに対し,教員,学生が1つの組織の下で一体的に運用実施されているものになります。
 右上の丸1のダッシュは,その変形で,学位プログラムとしては1つではありますけれども,その中にコースやダブルメジャー,メジャー・マイナー制などを大学の創意工夫として取り入れ,学生に応じた多様な学修を提供しているものでございます。
 左下の丸2は,教員組織と学生の所属組織を分離したもので,学位プログラムに学生が所属し,各プログラムに必要な教員を割り当てていく組織運営形態でございます。これにより学位プログラムをニーズに応じて柔軟に新設,開設していくという取組でございます。
 右下の丸3は,既存の学部・学科制度や組織は維持しつつも,新たな学位プログラムをつくりたいというときに,既存の学部等の組織から教員等を兼務で切り出して運用するという学部等連携課程制度でございます。
 これらの運用は,先に御紹介した新たな学位分野を追加するものでなければ,現行制度において,各大学の判断で行うことができるものでございます。
 次に,下半分の丸4でございますが,授業期間についてでございます。
 多くの大学では,15週または10週の期間を設定し,2学期制,3学期制で運用されておりますけれども,各大学の判断により,例えば,8週を原則とした4学期制を導入したり,1コマ当たりの時間を増やし,短期間で集中的に学ぶ授業を実施したり,複数の授業形態を組み合わせたりと,自由な設計を行うことが現行制度でも可能となっております。
 ある種,これまでの慣習として,90分の授業を15回実施して2単位を出すといった授業科目運営が標準である,仕組みとして決まっているといった一部誤解もございますけれども,これらも各大学の判断で多様な設定が可能となっております。
 次に,35ページに移りますけれども,上半分の(例丸5)でございます。
 遠隔授業についてでございますが,ここに記載しております内容は,これまで昨年の4月の通知,また,Q&A等を通じてお示させていただいているものですが,それを図的に表現したものでございます。
 まず,上段でございますけれども,卒業に必要な124単位を各学年より平均的に配当した場合,年間で約30単位程度の履修となりますが,遠隔授業の上限は60単位であることから,約2年相当は完全なオンラインで学ぶということが可能となっております。
 このため,例えば2年目,3年目は海外に滞在しながらオンラインで学ぶ,また,地方に滞在しながらオンラインで学ぶということが可能となっております。
 また,その場合,1年目,4年目は対面での授業となりますけれども,各々の授業科目において,半分を超えない範囲であれば,オンラインによる教育を行うことが可能となっております。
 このように,最大限オンラインを活用する場合,青色が実施可能,実際の対面で行う授業の授業時数,黄色が遠隔による授業時数として,現行制度で可能な範囲となります。
 次に,左下に移りますが,オンラインを活用した対面での授業というものですが,これは全ての学生が半分以上の授業時数を対面で受講する機会を大学として設定する授業科目を対面での授業科目として整理するという考え方でございます。
 ここで例として2つ挙げておりますが,例えば,A班,B班と分けて,交互に対面と遠隔を実施する丸1の例,また,半分以上を対面で授業時数を確保した上で,残りについては,対面でも遠隔でも自由に行えるという授業科目設定でございます。
 次に,その右側に移りますが,では,大学として全ての学生に対面で半分以上受講させるような授業科目を設定したとしても,学生個人個人の履修が必ずしもそのとおりにならない場合にどう考えるかということでございます。
 考え方としましては,授業科目を大学がどう設計しているかということが問われているものでありまして,例えば,学生が病気等で対面の授業を受けられず,その学生が受ける対面授業が結果として半数未満になったとしても,授業科目が対面で設計されている限り,対面であるという扱いとなります。
 また,基礎疾患を有する,また障害を有するなど,やむを得ない理由により対面での授業を受けられない,遠隔授業を希望するという学生がいた場合でも,そういった学生の状況によらず,通常の学生に対して対面での設計をして行う授業科目は対面授業として整理されるということでございます。
 最後になりますが,一番右のところですが,オンデマンドを取り入れた授業についての例を御紹介させていただきます。
 例えば,90分の授業を45分に2分割し,その1つをオンデマンドにより学生の授業のタイミングで学修し,その内容を対面の45分で取り扱う場合にどのような整理になるかというものでございます。
 一般的に,授業時間を分割した時点で,個々の授業時間が1つの授業となりますので,オンデマンド部分が授業として成立するためには,メディア授業告示2号に従い,別途指導等や学生同士の意見交換の機会を設定するなどの措置が必要となりますが,オンデマンドで学修した内容を速やかに次の対面での授業の中で指導し,意見交換する機会を設けるという授業設計をするならば,45分というのは,それぞれ独立したものではなく,一対のものとして捉えてよいのではないか,その場合,半分以上の時数が対面となるので,対面授業として捉えてよいのではないかという整理でございます。
 以上については,既に通知等で周知をしておるものでございますけれども,このように各大学の判断で,相当程度まで遠隔授業を活用することが可能となっております。
 最後に,下半分の(例丸6)でございますけれども,コロナ禍における特例でございます。
 これも昨年の4月の通知で示させていただいておりますけれども,コロナ禍で,本来,対面の授業の実施を予定していた授業科目が,予定どおり実施することが困難な場合,遠隔授業を行う弾力的運用が認められておりますが,令和3年度以降は,コロナ感染症に限らず,他の感染症や地震等の災害の発生など非常時におきまして,対面での授業を予定どおり実施することが困難な場合は,同様の特例が適用されるということを明確化しておりまして,各大学は,その大学を取り巻く状況等を踏まえながら,この特例を用いることが可能となっております。
 また,一番下は通信教育の制度についてであり,大学等の判断で通信教育を行う教育課程を設ければ,修了に必要な124単位全てを遠隔授業で行うことが現行制度上可能となっております。
 このように,各大学が行いたい教育に応じ,その手法に応じた仕組みが現行制度上も一定措置されており,各大学の判断で様々な取組が可能性となっておりますが,こうした制度,仕組みについて,大学関係者に十分な周知,理解をいただくことも重要であることを改めて本部会で御指摘いただきましたので,以上,事務局より取組例を御紹介させていただきました。
 説明は以上となります。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。
 よろしいでしょうか。
 今の事務局の説明は,かなり細かいところもあると思いますけれども,非常に重要な部分ですので,また御確認いただければと思います。
 それでは,ただいまの私の説明も含め,この資料1に関しまして,御質問や御意見をいただければというふうに思います。
 まず,作業チームの先生方から補足,御意見を伺って,あと,皆さんで議論をするという形にさせていただきたいと思います。
 では,日比谷委員から御意見をいただければと思います。よろしいでしょうか。

【日比谷委員】  おはようございます。委員の皆様方から,前回,様々な御意見をいただきまして,作業チームでも検討をし,吉岡座長により今御説明があったように取りまとめが行われるということでございます。
 私から強調したいことというのでしょうか,数点ございますが,1点目は,今回,特例制度を導入するというのが1つの目玉になっていると思います。特に先導性・柔軟性の観点から,質保証がきちんとできている大学が,様々なことに意欲的に取り組める制度をつくる,その一歩を踏み出したことは大変によかったと思うんですけれども,この後,具体的に特例の検討に入ることになりますので,そこをやはりしっかりしていかないと,絵に描いた餅に終わってしまうと思っております。これが1点目です。
 2点目は,私,たまたま教学マネジメント特別委員会の座長を務めておりましたが,今回の審議まとめでも,情報公開の点ですとか,それ以外のいろいろなところでも,教学マネジメントをしっかりというポイントが貫かれていることは,座長としてもありがたく思いますし,これはやはり質保証の根幹でございますので,今後,引き続き努力して,各大学にも充実を促していく必要があると思います。
 3点目は,前回も申し上げたと思います。本日,大変に詳しく最後に御説明があってよかったと思うんですが,現行でできることがかなりあるというのは,どんなに周知してもし過ぎることがないほどに,いろいろな大学関係者とお話をしますと,あんなこともできない,こんなこともできないという話が多いんですけれども,いやいや,できますよというのが随分あるわけです。制約があってできないという前に,今の枠組みで何ができるかをやはりきちんと理解することはとても大事だと思います。その上での特例ですので,最後,今日,御説明いただいたのはよかったんですが,今後,周知徹底に御尽力いただければと思います。
 以上でございます。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。
 続いて,浅田委員,お願いいたします。

【浅田委員】  浅田でございます。おはようございます。
 重要なところは全部,日比谷委員がおっしゃっていただきましたので,私からは感想みたいなことになります。この部会は質保証システム部会ということで,システム全体を対象にしていたのですが,全体を見直すというか,充実させるのは難しい中で,まずは,設置基準の根幹部分のところは,今回かなり整理できたと思います。また,先進性のところで特例制度の導入などの議論ができたのはよかったと思います。
 ただ,これを運用することを考えると,例えば,認可審査のところでこれをどう生かすか,認証評価でこれをどう生かすか,情報公表についても,まだまだ議論が必要だろうと思います。
 今後,運用段階のところでもっと緻密な設計が必要ですし,まだ議論を残している部分があると思います。そこのところがこれから大事になってくるのではないかと思っております。
 私からは以上です。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。
 大森委員,お願いします。

【大森委員】  ありがとうございます。大森でございます。
 私も,もう大体まとめなので,この感じということでいいんですけれども,今,浅田先生がおっしゃったように,やっぱり次のフェーズの運用のところは,まだまだ,今回は考え方のまとめなので,基幹教員とはというところとか,特例を認めるときのそのプロセスであるとかというのは,もう次のほうに意識が向かっていく段階かなというふうに感じているところではありますが,審議のまとめとして,考え方としては,これでいいのかなというふうに思っているところです。
 1点だけ,このポジションでの発言としては場違いかもしれないんですけれども,時間短縮のために,ちょっと書きぶりで,29ページのところに書き加えていただいたGPAのことなんですけれども,これは文言の話です。GPAのところで,丸2「成績評価にGPAを導入」というふうに書いていただいたんですけれども,これは上の丸1が「成績評価基準の」とかというふうになっていますけれども,「成績管理にGPAを」と言ったほうが分かりがいいのではないかなという気がします。「評価」というよりも,成績を管理するときにGPAを使うのかなというふうに私は感じていますので,そこだけ気になったところです。
 私からは以上です。ありがとうございます。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。
 川嶋委員,お願いいたします。

【川嶋委員】  川嶋です。何点かありますけれども,座長はじめ委員の方々にいろいろ貴重な意見をいただいて,現在のこの最終まとめ案で,かなり十分な内容だと思うんですが,その上で幾つかコメントをさせていただきます。
 まず一つは,今,大森委員が指摘された29ページの収容定員の算出の際の3つの条件,これは高等教育修学支援のときの機関要件だったような記憶があるんですが,それを普遍化するという理解でよろしいですか。

【堀家高等教育政策室室長補佐】  この点,事務局から補足させていただきます。
 これは現行の私学助成において導入されている仕組みでございます。これを今回,入学定員から収容定員に改める際にも同じような形で導入をすることによって,過年度在学生が生じたときに,しっかりと成績管理というものと両立できるようにという趣旨で記載させていただいております。

【川嶋委員】  ありがとうございます。
 あと3点ほどあるのですけれども,1つは,例えば7ページのところに,情報公表や認証評価について触れて,その後,詳細にそれぞれまた項目立てて議論されているのですが,情報公表とか認証評価というのは,今までどうしてもやらされ感というか,受け身的に対応していたところがあると思うのですが,もう少しポジティブな立場に立って,情報公表にしろ,認証評価にしろ,各大学の強みとか,長所や,他大学との差異化を公表する非常に重要な仕掛けでもあると思うので,そういう点で,各大学には積極的にこの情報公表と認証評価について対応していただきたいと私は思います。
 もう1つは,設置基準の改定に関してなんですが,10ページの上のほうに,客観性との関連で,質保証システムであることが求められると書かれています。例えば,「大学設置基準を今の時代に合った,より客観性のある分かりやすい基準とするとともに,その基準に基づく考え方を十分周知し,設置認可審査において内規や運用に基づく審査からの転換を図る必要があろう」となっていますが,私の理解する限り,平成3年に設置基準が大綱化されて,準則主義に基づいて設置審査されてきたときに,逆に,様々なそれまであった設置審査の際のマニュアルというか,そういうものを廃したと聞いています。しかし現状では,改めて留意事項を付した際には,次の審査のときに改めてそれ以上厳しい指摘はできないなど,改めて設置審査に関する運用の規則あるいは内規のようなものをつくられたと思うんですが,より客観的な設置基準に改正した場合,実際に内規のようなものをなくして設置審査ができるのかどうか。運用とか内規等なしに審査が可能な客観性,透明性のある設置基準,規則がつくれるかどうか,そこを不安に思っております。
 最後は,非常に細かな表現上の問題なのですが,2ページの1行目からですが,「現行のシステムについては事前規制を弾力化することで高等教育機関全体の新陳代謝を促しつつ」とあるんですが,今お話ししたように,設置基準の大綱化や設置審査における準則化でどういうことが起きているかというと,確かに新規参入は増えたのですが,退出とか,大学等の統廃合というのはそんなに増えていないので,それをもって「新陳代謝」という表現は果たして適切なのかどうか。新陳代謝という言葉自体の意味は,古いものに代わって新しいものが出てくるという,そういう意味なので,古いものがずっと残った上で新しいものがどんどん入ってきているという,現実はあまり入れ替わりというのはないかなと思います。むしろ機関単位で届出審査とか改組が進み,機関内での新陳代謝は随分進んだと思うのですが,高等教育のシステム全体で新陳代謝が生じているかどうかというのは,少し私は疑問かなと思うので,ここの表現は,少し検討していただければと思いました。
 以上です。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。
 続いて,杉谷委員,お願いいたします。

【杉谷委員】  杉谷でございます。よろしくお願いいたします。
 今まで,先生方がいろいろおっしゃってくださいましたので,私からは,せっかく今回,このように大学側の裁量権をさらに増して柔軟に発展させられる可能性というのが開かれてきましたので,これを制度設計するときに,ぜひとも,今後,実行可能性のある形で,あまりにも厳格にし過ぎずに対処できるような形で制度設計をしていただきたいと強く願うところでございます。
 それから,改めてこの文書を通しで拝読いたしました。その際にちょっと気になったことが2点ほどございます。
 1点目は,1ページのところになりますけれども,設置計画履行状況等調査(AC)に関してなんですが,ACを含む「設置認可制度」というふうに,何か唐突に出てくる感じがいたしました。全体を通しても,ACというのが,社会にもそんなに浸透していないようなものですので,もう少し,このACに関する説明を,ある程度分かりやすくどこかしらに入れていただいたほうがいいのではないのかなというふうに思いました。
 それから,あくまでも文章上の問題なんですけれども,最後のほうの31ページの「「学修者本位」とは」という追加の部分です。ちょっとこの文が長く,「学修者本位」とは,「安易に大学を卒業させていくことではなく」,その後ずっと続きまして,「覚悟が問われている」というふうな終わり方になっていまして,ここのところが,「「学修者本位」とは」に対して「覚悟が問われている」という終わり方が適切なのかなというふうに思ったりもいたします。意味は通るかと思うんですけれども,御確認いただき,少し見直していただけたらと思います。
 私からは以上です。

【吉岡部会長】  それでは,米澤委員,お願いいたします。

【米澤委員】  米澤でございます。よろしくお願いいたします。
 私から,まずちょっと細かい点を2点お話しした上で,感想を述べたいと思います。
 まず,報告書の案のまとめの案の1ページ目の一番最後のところの字句だけの問題で,意図としては賛成なんですけれども,ここに書いてあるのは,概要にも載っているんですけれども,事前規制型の長所と,事後チェック型の長所を併せ持つという表現になっているんですけれども,ここを例えば,事前規制,「型」を取って事前規制の長所と事後チェックの長所を組み合わせた,組み合わせて設計されているとか,組み合わせるような形で設計されているみたいな書き方にしたほうが正確なのではないかという気がいたします。
 もともとの話は,いわゆるイギリス型のチャーターの仕組みと,それからアクレディテーションみたいな話があったその先のところで長い歴史の中でこの事前規制型,事後チェック型が出ているのは分かっているんですけれども,現状としては,どっちの型という話では既になくなっていて,両方をうまく組み合わせてというのが現状に近いのではないかということで,正確性の意味では,そのほうがいいのではないかということが1点でございます。
 その次に,今度は,17ページのところで,カラーがついている要件というのがございますよね。その下の下の下に留意事項というのがあって,その一番上に書いてあるのが,「大学の申請が要件を満たしていれば特例制度の活用が認められるような,意欲ある大学が活用しやすい仕組みとすることが必要」というところなんですけれども,ここを文意としてより正確にするために,例えば,「要件を満たしている大学に対して特例制度が幅広く認められるような仕組みとする」とか,そういうふうにすると,よりいいのかなと思います。
 ポイントは,要件を満たしていれば自動的に認められるんだというようなことではないということだと思うので,要件を満たしている大学に幅広く認められるというような感じにしたほうが,ここでの意図に近い形になるのではないかということが気になるところでございます。
 細かいところは以上2点で,その上で感想ですけれども,既にもう先生方から出ておりましたように,現状としては,かなりベストな形でよく配慮をいただいた形でまとめていただいたなと思っており,大変私自身も勉強になりました。
 また,現在,いろいろな形で行われている質保証システムの全体像の中で,どこまで話が実際のところでも進んでいるかもよく分かって,大変心強く思ったところもございます。
 その上で,最後に近いので,あえて大風呂敷の話をすれば,多分,今,私たちがやっているのは,幕藩体制の下で開国をしているような話なんだと思うんです。基本的に今,ニュー・パブリック・マネジメントがでてきてからの80年代から2020年ぐらいにかけての,非常に大きな質保証の流れの中で,できるところを詰めていった,PDCAも含めて,マネジメントというものを入れていったり,トータル・クオリティ・マネジメントの考え方を入れていったというものの延長線上でこの問題をやっているんですけれども,多分,世界的に見て,質保証システム自体がすごく曲がり角に来ていて,最後の飯吉委員のところで御要望で入ったところに近いところだと思うんですけれども,恐らく学修の仕方自体が大きく個別化という方向に変わっていって,かつ,大学というものが時空を超えることが可能なものが増えてきた中で,多分,コミュニティとしても,組織としても大きな変化を認めるというところに入り込んでいる中で,何とか現状の下にこれを整理して,フィジブルに持っていこうということを我々はやったのかなと思っています。そういう意味で,これをやりながら,特例というところを非常によく活かして,その次のステージを考えていくことが大事かなというふうに思います。
 以上でございます。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。作業チームの委員の先生方,ありがとうございます。作業チームの座長でもありましたので,今の御意見を聞いて,私が考えたことを申し上げたいと思います。
 1つは,今後,次のステップに入っていくときにかなり重要な,これは今はおっしゃいませんでしたけれども,浅田委員が繰り返しおっしゃっていたことで,シンプルな制度にしていかないとならない。つまり,特例自体はやや複雑化していく可能性がありますけれども,全体としては,やはりシンプルで分かりやすい制度,使えるフィジブルな制度にしていくということはとても重要なことだというのがまず1点目です。
 それから,川嶋委員がおっしゃっていた情報公表にせよ,認証評価にせよ,むしろこれが各大学にとってみれば,ポジティブな機能を果たしている,本来そういうものであって,それがポジティブに使われるようにしていく必要があると,つまり,強制されるものではないということだと思いますが,その点が大変重要だろうというふうに思います。
 それから,同じく川嶋委員がおっしゃっていた客観的な設置基準,あるいは透明性の確保というのは,まさにそのとおりなのですが,同時に,現在もそうですけれども,やはり実際の設置の審査等を行っている作業というのは,これだけの要件があればオーケーとかという話ではなくて,かなり前に「人間的」という言葉を使ったことがあるような気がするのですけれども,やはり人間の手を経てピアレビューをし,きちんと筋が通ってよく形になっているかということについての,委員の,そういう意味では丁寧な、専門分野や,あるいは,その外側からの意見を踏まえて設置審査が行われているわけです。
 もちろん川嶋委員はそのことを前提だろうと思いますけれども,そういう意味では,客観性を高めて,制度としての安定性を高めていくということと,それから,それが実際の審査過程において,様々な人の目を経て具体的に審査されていくということは両立することですので,その部分を,私は設置審のメンバーとして非常に強く感じるところです。
 「新陳代謝」というのも,この言葉は確かにそうですが,大学が出たり入ったりという意味での新陳代謝はされていないかもしれませんけれども,それでも,例えば学部が変わったり,内容的にある種の発展が進んできているということは実際にあるわけで,大学の統合等はまだそんなに多くありませんけれども,学部の改編等はかなり実際に行われてきている。そういう意味では,「新陳代謝」という言葉は確かにやや不適切かなと思いますけれども,ちょっと考えてみたいというふうに思います。
 それから,杉谷委員がおっしゃっていたACの説明を入れたほうがいいというのは,確かにそうかもしれません。
 31ページの文がちょっと長い文になっているので,ちょっと整理いたします。
 それから,米澤委員がおっしゃっていた最初のところの文で,「事前規制型」と「事後チェック型」というのではなくて,「事前規制」と「事後チェック」というふうに言ったほうが正確ではないかというのは,確かにそうかもしれません。これは文章がその前のところで歴史的な変化を説明しているので,こういう格好に引っ張られているのですけれども,そこは修正をするというふうにしたいと思いますし,もう1点の要件を満たしている大学にというところも,ちょっと修文を考えてみたいと思います。ありがとうございます。
 最後に,米澤委員がおっしゃっていたとおり,やはりこれは現行の状況を前提にした上での質保証のシステムを考えるという形で入っているものですから,そもそも次のステップ,本当の意味での次のステップというところが十分に見通せてはいない。それはやはり次にこれから考えていかなければならないですが,非常に重要な問題だろうというふうに考えているところです。ありがとうございました。
 それでは,全体のほかの委員の方々の御意見も伺いたいと思います。
 御自由に御発言いただければと思います。
 永田委員,どうぞ。

【永田委員】  よくまとめられています。ありがとうございます。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。

【永田委員】  少しだけ不満を述べさせていただきます。
 1つは,この質保証システム部会の話題ではないかもしれないので,どこかで継続していただきたいのが,学位名称の問題です。学術会議の提案をそのまま最後に説明いただいたのは非常に不満であり,ぜひともお考えいただきたい。それは先ほど米澤先生がおっしゃったように,現況のものを継ぎ接ぎしているからです。学位授与権を持っているのは大学だけですから,その学位とは何かから入らなければ本当はいけなかっただろうと思っています。ただ,これは今回間に合わなかったですし,今回の主なポイントではないと思います。ただ,学位名称については,やはり国際通用性のあるものに変えていって,そこからどう学位を与えるかというものとして質を保証していかなければいけないという大学院の問題も,あるいは,学士の問題も考えてほしいです。
 もう1つは,御提言いただいた中で,この矢印,両山矢印の中に,政令改正とか設置審改正とか通知とか書いてあります。これはこれですごく分かりやすくて,そのように今後されていくと理解しています。
 不満は,実は1-1で一番大きく書かれているが,どこにも,政令も,設置審改正も,通知もないものがあります。つまり,1-1の質保証システムで保証すべき「質」と書いてあって,わざわざ四角で,ポチ2つで書いてある「教育研究の質」,それから,研究環境の整備や充実も重要であると書いてありますが,実際の政令や設置基準改正,通知も何もなく,運用で行うのだろうと思っています。しかし,運用は,先ほどから議論になっているとおり,運用でいいのかという問題があります。
 例えば,今度から,設置の趣旨を説明する書類に,研究環境なり,研究の目指す方向を書き込むところをもうけるとしても,これでは運用でしかできません。それならば,1-1から青枠を外さなければいけないと思います。なぜなら,基本的に,質とは何かというのは,研究環境とか書いてあるにもかかわらず,具体的な施策の中には1つもありません。これが,運用のところで行うという理解ですが,それでは,またこれから数年間,同じ苦労を設置審がしてしまうので,今回これだけ一生懸命話して,大切なところにわざわざ四角書きまでしたのに,政令改正も,設置基準も何にも触らないとなっていてよいのかということです。

【吉岡部会長】  分かりました。その点で,1点は,設置基準のほうに書き込むかどうかというふうにはあれですけれども,認証評価の中にはきちんと入れようというのが,一応,この1-1ですと,下の段の(2)の認証評価制度の改善・充実の方向性のところの,学修者本位の大学教育の実現の二つ目の丸のところには,研究環境整備・支援状況の大学評価基準への追加という,評価のほうでは入れてはどうかというのが事務局の考え方だというふうに思います。
 永田先生がおっしゃっている設置審での苦労というのは,私は非常によく分かるのですけれども,認証評価のほうでは,こういう形で入れたらどうかというふうには考えているところです。
 事務局,何かありますか。

【柿澤高等教育政策室長】  認証評価のほうにつきましては,これは細目省令の改正ということで,省令改正事項として,20ページから21ページにかけて記載されているところでございます。

【吉岡部会長】  どちらにしろ,今後の制度化のところで考えていく必要があることだろうというふうに思います。

【永田委員】  しかし,設置のときに,それが書かれていなかったら,認証評価のときだけやれというのは……。

【吉岡部会長】  難しいですね。

【永田委員】  私は整合性がないと思います。認証評価は,まず,設置の基準を満たしているかどうかというところにのっとった上で,その大学の個性を見ていこうとしているにもかかわらず,設置のときになければ,見ません。見ても仕方がない。見られないです。どうしてこのようなつくりにしてしまったのか私は分かりません。それならば,この青い四角から外してもらいたいと思います。

【吉岡部会長】  分かりました。事務局,いいですか。後で追加で説明というか,考えがあれば,伝えて……。
 一色さん。

【一色大学振興課課長補佐】  事務局ですけれども,現行の大学設置基準におきましても,例えば,第2条のところにおきまして,「大学は,学部,学科又は課程ごとに,人材の養成に関する目的その他の教育研究上の目的を学則等に定めるものとする」と規定されていたり,また,研究環境,施設・設備に関する規定等もございますので,全体としては,既に現行の基準の中には研究環境整備を読み解く内容はあるかというところです。

【永田委員】  もちろんそれは分かっています。分かっていますが,守られていないわけです。だから問題です。分かりやすく書くなら,2つに分ければいい。「教育上の何々。及び研究上の何々。」と書き換えれば,同じ内容ですが,2つ書かなければいけないと分かります。研究教育上の云々かんぬんと書かれているわけですから,軽微な改正をすれば済むと思います。大きな改定を求めているわけではなくて,そのように読めるようにしないといけないということです。

【吉岡部会長】  はい。おっしゃることは,私は非常によく分かりますので。ちょっと考えたいと思いますし,実際,設置審では大変苦労してきたところなので,よく分かります。
 それから,最初のほうの学位名称の問題は,これも現場で非常に,常に苦労してきたことですので,ただ,ちょっとこの質保証のところでは十分に扱えていなかったわけで,むしろ大学分科会のほうで,この問題をちゃんと考えておく必要があるかなというふうには思いますので,考えていきたいというふうに思います。
 ありがとうございます。
 それでは,ほかにいかがでしょうか。
 飯吉委員,お願いします。

【飯吉委員】  ありがとうございます。先ほど,米澤委員が幕藩体制でというお話をされていましたが,今回のこの答申の目玉が特例制度ということで,これは出島になるわけです。出島は歴史的には1つしかなかったわけですが,この場合は、これからできるだけ多くの出島をつくっていきたい。ただ,今後そこをどのように認可していくのかというのはなかなか難しいところで,今回付け加えていただいた,11ページのところで,非常に素晴らしいなと思ったのは,とても簡潔に,先導性・先進性と厳格性が両立させられるということが述べられており,そのためには,客観性と透明性を向上させるということができればよいということになります。これが,この出島をつくっていくための非常に重要な考え方であり,大学としては,客観性と透明性を今後どのように上げていくのかを中心的に考えていくことが大変肝要です。これは非常に重要なポイントだと思いますので,資料1-1のポンチ絵の方にも何らかの形で,何か一言でも入れていただけるとパンチが効くのかなと思います。
 それと併せて,31ページの一番下のところについてもありがとうございました。「大学の裁量として多様な活動を行う中で,時には問題等が生じることもある」というところです。ささやかなお願いですが,この網かけ部分の一番上の「今回大学の先導性・先進性の向上に向け,大学の裁量をより高めていく見直しが」という箇所を受けているわけですが,間に学修者本位の話とかも入ってしまっているので,「大学の裁量として多様な活動を行う中で,時には問題等が生じる」という箇所が,あまりに漠としている感じがあります。まずは,大学に意欲的に色々なことをやっていただきたいわけで,普段やっている業務の中で何か色々問題がうっかり出てくるということではなくて,英語だとCreative Conflict MomentsとかCreative Challengesという言い方がありますが,あくまでも何か新しいことをやっていこうとした場合に,新たな克服すべき課題等が出てくるということだと思います。それをその1つの大学が,「いや,これはうちではどうしようもないからやめよう」ということでは出島ができないので,そこを他大学も巻き込んで皆の問題として考えて進んでいこうという方向性を,少しニュアンスとして入れていただけると,この辺りのところ趣意がより明確になるのではないのかと考えます。今申し上げた文言がそのまま使えるかどうかも分からないので,もし可能であればということで結構ですが,何かもう少しベクトルというか進む方向を,大学の背中を後押ししてあげるような形で入れていただければと思います。そうしないと,ただ問題を回避する,問題が起こらないように回避することが先んじてしまい,また大学が動かなくなり出島もつくられなくなるので,せっかくここまで書いていただいていることもあり,そこのところを最後のところでもう一押ししていただければというお願いです。
 以上です。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。
 続いて,宮内委員,お願いいたします。

【宮内委員】  宮内でございます。設置基準のほうではなくて,事後チェックの話をちょっとさせていただきたいと思います。
 認証評価の透明性,質を高めるために,この仕方,また認証評価をするメンバーの質向上,そして,共に成長していくという問題意識の重要性です。この透明性面では,認証評価をする人たちの,メンバー構成が大事です。例えば,学校会計というのは,素人には本当に分かりにくい,コンセプトが全く世の中の目線と違うというようなこと等々ありますが透明性を確保し社会と連携する為に例えば,第三者を入れる方向性を入れていただきたいなと思っております。
 また29ページのところで,質保証を担う教職員の資質能力の向上をもう少し資料1-1でも強調すべきで,職員の資質向上というところに焦点を当てる言葉が1つ入ってもいいかなと考えます。
 と申しますのは,そもそも論をやるだけでなく,このインプリメンテーションをしっかりやっていくという意思を表明したいと思います。そこで,私は,この運用の効果,活性化を狙うために,閉鎖的と言われる大学社会の開放を狙う風土づくりに向けた意思表示をしたらいいのかなと。
 そして,事務職員の高度化であります。事務職員高度化ということは,高度化されている人はいっぱいいるんだけれども,その必要性が何となくオーソライズされていないというところです。私の提案は,国として,もしくは各大学として,大学職員を高度専門職としてもっと鍛えて,マスターを出していく,ドクターを輩出していく研究機関,教育機関の設立であります。
 運営はオンラインでいくらでもできるし,フォーラム的なもので,制度を過去の学術研究成果を教えるという機関ではなく,アクティブ・ラーニング式な塾の形で,新しい大学社会をクリエイトしていくという,このイノベーションセンター的なものです。これを機会にできたら,日本の閉鎖性も多少は是正され,出島が出島でなく,本格的な力を持つ大きな動きになっていくのではないかなと考えます。
 以上でございます。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。事務職員の問題は大変重要だというふうに考えております。
 続いて,濱中委員,お願いいたします。私,少し順序を追い切れていませんが,濱中委員,お願いいたします。

【濱中委員】  濱中でございます。ありがとうございます。今回,改めてこのまとめを通しで読ませていただきました。本当に分かりやすいまとめになっていると思いまして,ありがとうございます。
 今から申し上げるのは,多分些細な点だと思うんですけれども,一言ちょっと申し上げたくて手を挙げました。
 改めて読みまして,特に事後チェックに関しては,特例制度という大きな話もある一方で,「周知徹底」という言葉が繰り返し出てくるなど,要は,既に取り組んでいながらも共有できていないことについて,改めて発信する必要性を説くことに力点が置かれたものだという印象を受けました。事後チェックに関して,骨格はかなり出来上がっているんだと思います。
 では,なぜいまだ学修者本位になっていないのか。これがなかなか悩ましいところであって,もちろん活発に学んでいる学生もいます。10年,20年前に比べて大学や学生が変わりつつあることは分かるんですけれども,やはり,マジョリティとして変わっていない。学修時間1つ取り上げても,伸びていないというデータもあるわけです。
こういった疑問を持ちながら,まとめを読み直しますと,大学が高校までの学習をどれだけ踏まえた教育ができているのかということに関して触れられていないことが気になりました。
 今,高校は大きく変わっています。この変わったところを,いかに大学が引き受けるのか。あるいは,いまだ変わっていないところがあるとすれば,大学はそれにどう対応するのか,という視点は,結構大事なような気がします。個々の学生,多くの学生にとって,学びは高校からの延長として位置づきます。学修者本位も,質の保証も,今の教育改革のキーワードである「高大接続」で考えるべきだというのは,これまでも言われてきたことです。にもかかわず,このまとめの中にはこの視点が入っていません。
 高校のことを知るとか,高大接続を意識するといったことは,例えばFDの運用のなかで改善すべきことであり,制度改革の次元ではないかもしれません。ただ,やはり,このまとめの2ページ目のところ,なぜ変わらなくてはいけないのかについて言及している部分で,グローバル化とか,少子高齢化とか,デジタル技術とか,そういったところの話は出てくるんですけれども,そこに高校が変わってきており,高大接続という視点がますます大事になってきていること,大学は教育システム全体の中の1つの役割を担うところだという視点が大事だというようなことを一文書き加えていただくと,また広がりが出てくるまとめになるのかなと思いながら拝読をしておりました。
 以上です。よろしくお願いいたします。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。ややこの部会での設定のところから外れていたんだろうというふうに思います。質保証システムという形で問題を立てているので,今の御指摘は,そもそも非常に重要な問題で,さらに言うと,大学の教員は高校のことを何も知らないというのはよく言われることですので,ここでどういうふうに書き込めるかどうかちょっとあれですけれども,それこそ,これからの高等教育の在り方の一番根本に関わっているというふうに,私は個人的には思っておりますので,どうもありがとうございました。
 続いて,吉見委員,お願いいたします。

【吉見委員】  ありがとうございます。審議まとめについては,いろいろよく御配慮をいただき,また大変バランスよくまとまっていると思いますので,私のほうからは特にこれ以上申し上げることはございません。
 ただ,前回,パブリック・リレーションズということを言及させていただきました。申し上げたのは,やっぱりここの部会や,あるいは大学分科会で議論している認識のレベルと,それから学部長とか研究科長まで含めて大学教職員,関係者の一般的な認識のレベルのギャップがものすごいので,それをやっぱり往還させていくというか,つないでいくようなプロセスがないと,なかなか浸透していかないのではないかという問題意識から,パブリック・リレーションズの重要性ということを申し上げさせていただいたわけです。今回,例を事例で1から6まで挙げていただき,かなり現行の仕組みでもできることについては分かりやすくなったとは思います。
 それで,もう一歩それを先に進めるという意味で,3点申し上げたいと思うのですね。言わずもがなですが,広報とパブリック・リレーションズは全く違う概念です。
 広報というのは,どちらかというと一方的に情報を広めるという意味を含みますけれども,パブリック・リレーションズというのは,第一に,双方向である。つまり,こちらから情報を与えるのと,相手からいろいろなことを言ってもらうのとの双方向である。もう1つは,相手によって違う,複数の相手があったら複数の相手ごとに調整していくという意味を含んでいます。そこからすると,多分この情報を誰にアプローチしていくかということによって,やり方が全部変わってくるわけで,大学執行部にアプローチする仕方,一般教員のレベルにアプローチする仕方,学生や父兄に対してアプローチする仕方,マスコミ,メディアに対してアプローチする仕方,それから企業に対してアプローチする仕方,これは全部違ってこなければいけないはずです。そして,相手によっては,具体的にこれをドラマ化するというか,具体的な主人公を置いて,ある種,物語にして伝えていかないと伝わらない部分があるように思います。
 それに加えて,パブリック・リレーションズをしていくときに重要なことは,先ほど米澤先生が幕藩体制下の開国ということをおっしゃられましたけれども,世界がどう動いているのか,その世界が動いていることに対して,どういうふうにこの部会では少しでもそれにアジャストしていこうとしているのかというような,世界の変化の視点をこの議論の中にぜひ入れていただきたいと思います。
 3番目ですけれども,ここから先の議論では,多分先ほど出た特例制度の話や基幹教員の話が具体的に議論のアジェンダになってくるのではないかと思いますけれども,そういうときに,相手を巻き込んでいくことが必要で,これはパブリックコメントという形がいいのか分かりませんけれども,とにかく,この中教審の外側にいらっしゃるいろいろな人たちから,いろいろ意見とか議論を入れてもらうというか,ある種の市民参加的な仕組みをここの議論の中に入れていくことも御検討いただければと思います。
 以上です。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。大変重要な視点で,おっしゃるとおり,設置基準を読んだことがある大学教員はほとんどいないというところから始まると思いますが,私もその一人でしたけれども,大学はどういう形でできているかということ自体,非常に重要なことで,大学人自体が認識すべきことだということから始まり,やっぱりそれは大学の外からきちんと見ていないとならないというふうに私も考えます。ありがとうございます。
 それでは,長谷川委員,お願いいたします。

【長谷川委員】  ありがとうございます。吉岡部会長,また,作業チームの皆様が,これまでの議論を本当に分かりやすくまとめていただいて,基本的には異存はございません。
 ただ,前にも申し上げましたが,最低限の質保証とする意味での厳格性と,先導性と先進性の確保という,このバランスをどう取るかというところだと思います。先導的な取組,例えば遠隔授業の修得単位の上限の緩和や,授業科目の自ら開講原則の緩和などの運用は,限定的にせずに,要件を満たしている大学には積極的に認めて,意欲のある大学がチャレンジをしやすい仕組みにしていただきたいと思います。同時に,認証評価で不適合を受けた大学については,受審期間を短くするとか評価をより厳格にするなど,メリハリのある対応をしていただくことが重要だと思います。
 もう1つは,基幹教員の件ですが,経団連では,人生100年時代,変化の激しい時代にあっては,大学は18歳の若者の教育をするだけではなくて,社会人の学び直しの場としての役割がますます求められるようになってくると考えています。その一環として,企業に勤めている,もしくは勤めた経験のある方が実務家教員となって大学で教えるということ,そして,企業と大学の間を行き来する,いわゆるリボルビングドアのようなキャリアの可能性を拓くことも非常に重要だと思っておりますので,今回,専任教員の在り方の見直しも入れていただいたのは,大変重要だと思っております。
 他方,この基幹教員と,それ以外の教員との間の処遇や待遇の在り方については,今後,適切なものとなるように検討していただきたいと思います。
 最後に,(3)の情報公表に関してですけれども,今回記載いただいている内容は,どちらかというと,質保証の面から,どういう情報を公開するかということが多くございますが,先ほど,吉見委員からの御指摘もございましたが,基本的には,その情報が実際にどう伝わるのか,もしくは,ステークホルダーにどう活用されるのかということが一番重要でございます。今後,情報公開した後のステークホルダーとの対話やエンゲージメントの在り方についても,検討もしくは記載をしていただけると,よりエンゲージメントの手法や内容が改善して,担当する教職員のエンゲージメントのスキルも向上するのではないかと思います。
 この点は別に企業ができているということでもございません。現在、企業においてもいわゆるIRで情報公開した後,どうやってステークホルダーとエンゲージメントするのかが実際に課題になっておりますので,そういった点も御検討いただければと思います。
 以上です。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。
 続いて,曄道委員,お願いいたします。

【曄道委員】  ありがとうございます。曄道でございます。本当に分かりやすいまとめをいただいて,感謝申し上げます。
 私からは,先ほども御紹介いただきました学修者本位の大学教育の実現というところを9ページに追加していただいて,最後,31ページのほうでもまた触れられていて,どうもありがとうございました。
 これは印象なんですけれども,この学修者本位の大学教育の実現の観点から9ページをいま一度読んでみますと,今回この新たな時代を見据えた質保証システムというものを考えたときに,学修者本位の大学教育のための質保証というものについては,まだまだこれから議論が必要なのかなと。
 と申しますのは,ここに記載をしていただいた様々な学修成果の把握は,本来の大学の機能として備えるべき点でもあって,学修者本位の大学教育ということに特化をして質保証について言及がまだし切れていない。逆に,そういう段階にあるのかなということもちょっと印象として持ちました。
 それから,先ほど濱中先生がおっしゃったこと,私,非常に同感,共感しておりまして,やはり質保証を大学がより高度化をしていこうというときに,例えばですけども,学修者本位の教育環境というものを高めていく,向上させるといったことをしていくと,本当に今の中等教育と高等教育の接続で,学修者本位に学ぶことができる人たちを我々は受け入れているかといった観点というものは,今回のこのまとめの中の具体的な記載にはならないと思いますが,そういう観点について,我々が今後考えていく必要があるということは,摘をしておいたほうがよいのではないかなと思います。
 それこそが大きな意味での高大接続です。選抜の問題もそうですし,それから,高大連携といったような新たな教育の枠組みを,だんだん広げていくというか,融和的に考える取組につながっていくような指摘をしておくのがよろしいのではないかなという印象でございます。
 以上でございます。ありがとうございました。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。
 大森委員,挙手されていますが,大森委員は2度目なので,最後というのも変ですが,後のほうにさせてください。
 瀧澤委員,お願いします。

【瀧澤委員】  ありがとうございます。これまで何回にもわたって,また作業部会の先生方にも非常に専門的な議論を重ねていただいて,すばらしくまとめていただいたと思います。
 私からは,文面上の話で恐縮なんですけれども,このまとめの最後のところです。終わりのところがちょっとトーンが気になりました。
 先ほどから先生方から幕藩体制の出島という話もありましたけれども,全体的にやっぱり大学の自由とか,クリエイティビティというものを,もう少しエンカレッジするようなトーンにして,少しその部分を加筆していただけないかと思います。
 例えば31ページの下のほうで,「「学修者本位」とは,決して学生の求めに応じて安易に大学を卒業させていくことではなく」という,この文章がありますけれども,これは恐らく学修者本位ということは何かと,もっと前のほうで定義をして書くべきことであって,ここに出てきてしまうと,ちょっと,ここでこれを言うかという感じがします。さらに印象論で申し訳ないんですけれども,例えばその下です,「社会からの評価を真摯に受け止め」とか,矜持が強く求められている,非常にこれは大事な問題ですので,先生方から政府にしっかりやれよという,その精神は伝わってくるんですけれども,一歩引いてみると,幕藩体制が強化されるようなイメージが,どうしてもこの文字面から伝わってきてしまいます。一方で,今,世界的な潮流が大きく変化していく中で,先進的なことを取り入れられている大学もあるように伺っていますので,そういった動きをちゃんと踏まえてエンカレッジするといったトーンも少しこの部分に付け加えていただいたら,バランスが取れるのではないかと思います。
 以上です。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。
 小林委員,お願いします。

【小林委員】  この部会が始まった頃,すごくえもいわれぬ広い範囲をどのようにまとめていくのかと気にしておりましたが,非常に詳細にまとめていただいて,本当にありがとうございました。
 また,前回申し上げた社会に開かれた質保証の実現というところを加筆いただきまして,ありがとうございました。
 やはり,認証評価にしても,大学自身の自己改善の取組としては,非常に機能し始めているなというふうに考えておりますが,今日も何度か「大学人」という言葉が出ていましたが,やはり大学人としての質保証にまだ若干とどまっている状況なのかなという気がしております。
 そのため,外部からのいろいろな声が強くなってきているというのも事実なのではないかなと思いまして,やはり大学の数も大幅に増えて,進学率も高まり,一方で学部・学科の名称も非常に多岐にわたっていることから,外から見たときに大学の中身が分かりづらくなっているのだと思います。そうした中で,大学は社会のこれからの中核を担う人材を育成する機関として,質保証というものを社会でその価値をしっかりと共有していくということが非常に重要なのではないかと今回改めて思ったところでございます。
 もう1点が,皆様がおっしゃっていたとおり,「出島」という言葉がありましたが,私は「特区」のような考え方なのかなというふうに思いました。デジタル化が進んで,コロナ禍で一気に浸透したというところで,今後も後戻りはしないと皆さんが思っているところだと思います。人生100年時代と言われる中で,もうリカレント教育ということだけではなくて,新たな領域に人材を流動させるためのリスキリングというようなことも生まれてきて,民間を含めてオンラインで教育を提供するプレーヤーがかなり増えているというような状況だと思います。教育を小口化して,アジャイル化して,それぞれをブロックチェーンとか,デジタル証明とかによって,学修履歴を認証していくという時代も,もう間もなくやってくるのではないかと思っております。
 だからこそ,学位の質というものがきちんと保証されていることが重要で,これについて,「おわりに」のところで,これから検証をしていくという文がありましたが,これで終わりではなくて,さらに不断の検証と改善を進めていくということを強く書き込んでいただければと思っております。
 どうもありがとうございました。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。
 前田委員,お願いします。

【前田委員】  前田です。部会長,作業部会の先生方,おまとめいただきまして,ありがとうございました。
 先ほど,この取りまとめに参加された先生方が,これからが大変であるということをおっしゃっていただいたので,安心した部分もあるんですけれども,今回,私は本当に認証評価にこだわってきました。それで,先生方の非常に前向きな新しいことを意欲的になさろうとする御意見を聞くたびに,そのとおりと思いつつ,認証評価は対応できるのだろうかということをいつも考えておりました。
 今,認証評価機関は連絡会というものがございますけれども,認証評価機関が,この審議のまとめの方向性を実現していくためには,一体どのような評価の考え方を変えなければいけないのかということを,共通の場を持って話し合っていただくということをお願いしたいなと思っています。
 というのは,前にほかの委員からも御紹介がありましたけれども,ある評価機関で落ちたら,次の評価機関で認定されたというような,それが内容的にいいことなのか駄目なことなのか,多様性なのか分かりませんけれども,現在でも,非常にいろいろなところで評価の在り方というのは違っています。これが違うことが本当にいいことなのかどうかというのも,考えていくいい機会なのではないかと思いました。
 その意味で,資料1-2の21ページのところの社会に開かれた質保証の実現のところで,「認証評価機関や評価を受ける大学の多様性に配慮しつつ」とありまして,認証評価機関の多様性というのは,現実をどのように捉えて多様性とおっしゃっているのか,少し気になったところです。
 例えば,現在,設置形態ごとに受ける評価機関が偏っていますが,これは多様性とは違うだろうと私は思っております。
 そして,この文章,何となくきれいなんですけれども,読んでいくと,「多様性に配慮しつつ,各認証評価機関の評価結果を例えば国等のホームページ等において公表する」,これは私がいつも公表を国がするべきだと申し上げていたことなんですけれども,多様性に配慮しつつ公表するなど,一覧性を持って公表するとあり,多様性への配慮という部分が,よくこの文章の中では分からないなと思っています。1つは,多様性をどう捉えているのかということと,多様性に配慮するということが,公表とどうつながっていくのか,どんなことができるのかというのが,イメージとして湧かないので,教えていただければと思った次第です。
 全体としては,やはり認証評価機関の責任は,自覚的に認証評価機関が考えて,これに沿うような方向性を出していくべきではないかなというのが私の意見です。
 どうもありがとうございました。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。
 では,認証評価の多様性の部分は事務局のほうから。

【柿澤高等教育政策室長】  前田先生,ありがとうございます。
 まず,21ページの2ページ前のところで,認証評価制度の制度創設時の参議院における附帯決議のほうも紹介をさせていただいております。
 そこにおきましては,「評価機関を認証する際の基準を明確にし,多様な評価基準・評価手法を持つ複数の評価機関が活動できるように努めるとともに」ということが言われております。まず,こちらの21ページの「多様性に配慮しつつ」というところも,こうした認証評価機関の制度創設の趣旨も踏まえての記述となっております。
 また,当然ながら,こちらの多様性に配慮しつつというところでございますけれども,各評価機関におきまして,これを踏まえて,多様な評価基準そのものも違うというところがございますので,そういったことへの一定の配慮は必要であろうと。しかしながら,こちらは国において,これまでそもそも認証評価の社会的な意義ですとか,あるいは,その結果の分かりやすい公表というところを,これまで国としても十分に取り組めていなかったというところが,今回,この透明性の向上という観点でも御提言をいただいておりますので,また,こちらにつきましては,具体的にどのような形にすると,より社会に開かれた質保証の実現という観点から望ましい公表の在り方となるかといった点につきましては,引き続き先生方の御意見,御指導を賜りながら検討を詰めていきたいというふうに思っております。

【吉岡部会長】  海外などだと,認証評価機関が複数あって,それぞれがある種の独自の評価基準などを持ちながらやっていて,大学のほうも,どの評価機関でどういう評価を受けたのかということが,先ほどの話ではないですけれども,むしろプレステージになっていたりという側面があるように思いますが,日本はまだそこまでいっていないというか,何となくランキングの話に必ずなってしまうというのは,やはり非常に大きな問題だろうというふうに思います。
 今後の課題といいますか,重要な問題だろうというふうに思っております。
 谷本委員,お願いします。それから,その後,大森委員,お願いします。
 谷本委員,お願いします。

【谷本委員】  ありがとうございます。谷本です。本部会では、とても多様な観点から意見交換をし、提案や提言がありました。部会長の吉岡先生,そして作業部会の先生方,その内容を大変分かりやすく,細かいことも網羅して取りまとめいただき,ありがとうございます。
私は地方の短期大学の教育に携わっている者ですけれども,幅広い観点からの内容を入れていただき,大変画期的なことも加えていただきました。基幹教員という考え方,そして図書,雑誌等はIT化を踏まえて,今度,電子的な学術情報について規定に整備をしていくこと。また,遠隔授業における修得単位の上限なども,現状は大学で60単位、短期大学は30単位ということですけれども,特例として柔軟に検討することは必要だと考えます。教育の中でデジタル化が進み,オンラインを使った様々な工夫が求められている中で、現状を踏まえて、先を見据えた内容になっていると思います。
質保証を担う人材の育成ということで,職員のことを加えていただきました。今後は新しい教育の在り方,その質保証というのはどういうことに配慮していくべきなのかの議論が深まると思います。学修者本位の大学教育の実現と社会に開かれた質保証の実現という大きな二本柱がございましたけれども,方向性がしっかり示されていて,大変分かりやすい内容になったかと思います。資料1-2の最後のほうの33ページ以降に,別途,参考資料をつけていただきました。現行の制度において何ができるのかというのを概観できる資料となっています。
こういう形で例示していただくことで,私たち,教育現場に携わる教員にとっては,新しい工夫というのか,これをもって何ができるのかということを大変考えやすくなります。審議まとめに加えて、このような資料も併せて出すことで,様々なステークホルダーにとって大変示唆に富んだものになると思いました。
私からは以上です。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。
 では,大森委員,お願いいたします。

【大森委員】  ありがとうございます。すみません。2回目の発言の機会をいただきまして恐縮です。
 様々な御議論をお聞きしていて,ちょっと,どちらかというと現場にいる側としてのということでなんですけれども,今回のこのまとめの中で,非常に重要な用語が,というか,質保証システムの中で最も重要なのが,やっぱり内部質保証ということになってくる位置づけになっていると思います。
 本文の中でも二十数回出てくるのではないかなというふうに思うんですけれども,今,現場にいたり,あるいはいろいろな大学と学びの機会を持たせていただいているんですけれども,内部質保証をやろうというときの最初の動機づけは,やっぱり認証評価とセットで我々は捉えてしまって始まってきた感じは正直あります。本当は内部質保証と言われなくても,各大学でやっていることのはずなんだけれども,言われて始まったみたいなところが少しあるかなと思っていて,ただ,やっぱりその内部質保証というものを,もう少し前向きに捉えてもらう書きぶりを少し加えてもいいのかなというのを,少しこの時間の中に感じたところです。
 というのは,やっぱりグランドデザイン答申で大学の多様性ということが言われた中で,やっぱりこれ,内部質保証がその多様性を担保する最後の砦なんだろうというふうに私は理解しています。これは完全外部質保証で一律のということになったら,例えばうちの大学が自信を持ってやっているオリジナリティというのは見えなくなってきて,そこを評価できるのは自分たちしかいないと,だから,各大学がしっかりと内部質保証をやることが,今の時代のいわゆる大学の自治ということにつながるんだという前向きな内部質保証の意味みたいなものが,少し書き加わってもいいかなという感じはちょっとしたというのが1点です。
 もう1点,先ほど瀧澤委員がおっしゃっていた学修者本位というところで,もう1回ここの書きぶりを見たときに,私たち,デフォルトで,教学マネジメント指針とかをしっかり読んで,もうそれがデフォルトになっている人が書くと,こうというところはあると思うんですけれども,実はこれを初めて読むという方も当然たくさんいらっしゃるということを考えたときに,もう1回立ち返ると,これは内部質保証と非常に関係がするんですけれども,学修者本位の真髄というのは,供給者目線から学修者目線へ時間軸の転換なのであると,何ができるようになるのかというDPをベースに,そこからバックキャストでいろいろな教育を考えていくということを学修者本位というのだということもまとまっていることだと思うんですけれども,この文章の中では,それを大前提とした上で,ただ,学生さんたちの,しっかり頑張れるようにとか,何とかというようなことが入ってきているんだけれども,やっぱり何の質を保証すると言ったときの,その学修成果を可視化するということが一丁目一番地になってくるわけなので,その意味での学修者本位ということの定義を,教学マネジメント指針にもう1回遡って,ちょっと丁寧に書き入れてもいいのかなというふうに,これを初めて読まれる方もいらっしゃるということになると,いきなり学生をいい子いい子して卒業させることではないよから始まるというのは,そうではなくて,我々の時間軸を変えていくということだよというのがあって,そこで内部質保証ということとつながって,学位プログラムはみんな違うんだから,独自に質保証しなければいけないよねというインセンティブにつながっていくと,そんなストーリーがもうちょっとあってもいいかなと改めて感じたところです。
 以上です。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。おっしゃるとおり,内部質保証ということと学修者本位というのは,非常に重要な一番中心的な2つのタームで,しかもこれは連動しているといいますか,裏表で同じもののある局面を表しているというふうに思います。
 ありがとうございます。
 以上でよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 非常にたくさんの御意見をありがとうございます。私から,半分お礼も込めて,ちょっと申し上げたいと思います。
 これまで本部会,非常に長い間ですけれども,何回も,基本的には4つの視座ということを基にして,質保証システムの見直しについて検討を深めてまいりました。その過程で,最初のときにたしか申し上げたと思いますけれども,注意したことは,まさに大学が時代の変化に対応して創意工夫ある取組ができるようにということで,いわゆる質保証のシステムということがですが,それを何か阻害してしまったり,足を引っ張ったりするということがないように,そもそもそこから議論が始まったというところがあります。
 その意味では,できる限りといいますか,取りわけ先進性・先導性の向上に資するように質保証のシステムが機能するようにということは,ずっと注力してきた,注意してきたところです。様々な見直しも,そこが一番基本にあるというふうに考えております。
 社会の有り様は急速に変化しているわけで,それに伴って社会の中での大学の役割というのも,時代とともに刻々と変化しているわけですけれども,しかし,大学が教育研究の機関として,社会そのものの未来を創造する場であるということに変わりはないということだと思います。
 これまでも何人かの委員の方もおっしゃいましたけれども,社会が真に発展していくためには多様性が不可欠であって,多様性の中からしか新しいものは生まれてこない。そういう意味では,先進性・先導性というのも,多様性の裏づけがあって初めて本来の機能を発揮する。ある1つの価値の中での先進性とか先導性というのでは,本当の意味での進歩といいますか,革新は生まれてこないだろうと思います。
 そういう意味では,質保証のシステムも,もちろん大綱化以前のような規制の体制に戻るということはあり得ないと思います。しかし同時に,学問の世界というのが,素朴な市場原理,競争原理の中で発展するということもやはりあり得ないということであります。
 終わりのところでも述べましたけれども,高等教育の質保証に対する各大学の責任ある取組が一層求められているということは言うまでもないですけれども,一方で,18歳人口が減少してきているわけですけれども,なおやはり大学,学部の新設が続いている。質保証に関する課題というものも様々な形で指摘されているわけです。
 そのことを踏まえますと,今後,実際にその大学が抱えている様々な課題というもの,それから,それに対する対応ということ,そういうことについても,この大学分科会,そういう意味では,上の親委員会といいますか,大学分科会等で、中教審で考えていくべき非常に重要な事柄だろうというふうに思います。
 これは,ここのところ,システム部会という,ある種,テーマを定めているところの中に入りきれてはいないことですけれども,この議論の中で明らかになってきた様々な問題というのを次に考えていくということだろうと思います。
 このまとめ自体は,この部会,質保証システム部会で交わされてきた様々な議論のエッセンスというものを質保証システムという観点からまとめたものです。ですので,これも何人かの委員の先生がおっしゃっていましたけれども,これを踏まえて次にどうつなげていくかということが,これから非常に重要なことだろうと考えているところでございます。
 それなりに議論が深まってきたことによって,いろいろな課題が明らかになってきていて,やることが増えてくるという,大変な問題がいろいろあるということが見えてきたということは,大変ではありますけれども,非常に重要ないいことだというふうに考えていくべきだと思いますので,まさに次のステップということを考えていく必要があるだろうと思います。
 それから,まさにこれを少なくとも早い段階で実行可能な制度として動かしていくということが必要で,その過程で,またいろいろな問題が生じてくると思いますけれども,その意味での次のステップ,次の段階に進めていくということが必要だろうというふうに思っています。
 以上,感想のようなことですけれども。
 様々な御意見をありがとうございました。ほかに何か御発言ございませんでしょうか。
 本日いただいた御意見を踏まえまして,本システム部会の審議まとめという形で取りまとめさせていただきます。かなり重要な指摘がございましたけれども,修正につきましては御一任いただければと思いますけれども,よろしいでしょうか。責任重大という気はいたしますが,よろしくお願いいたします。

(「異議なし」の声あり)

【吉岡部会長】  ありがとうございます。そのようにさせていただきます。
 本部会の審議まとめとして,次回の大学分科会において報告させていただくということになりますので,大学分科会にも御所属の委員がいらっしゃいますけれども,ぜひサポートしていただければというふうに思いますので,よろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。
 それでは,これで本部会は審議が一段落といいますか,終了するということになりますので,最後に当たりまして,一言お礼をさせていただきたいと思います。
 先ほども申し上げましたけれども,ちょっと重なるかもしれません。しかし,本当にこの間,14回の部会,それから,さらに作業チームの会議もございました。どれも大変充実した議論をすることができたというふうに思います。個人的な実感といたしましても,大変面白く楽しい会議でございました。
 私は,設置審にも関わってまいりました。設置審自体というのは,基本的には,やはり具体的な審議の場で審査するということが中心になっておりますけれども,本会議,この部会での議論を通じて,その設置審の一番基礎となる考え方を改めて見直したり,考えたりする機会を得ることができました。
 さらに,先ほど言ったことと重なりますけれども,この議論を通じて,さらに根本的なといいますか,大学とは何かとか,高等教育とはいかにあるべきかというような,そういう根源的な問いにも繰り返し立ち返るということになって大変勉強になりました。文字通りいろいろな多様なお考えをお持ちであったり,いろいろな立場の委員の方々から,大変多くの知的刺激を受けることができました。
 非常に重要な審議をしているというふうに思っておりましたけれども,同時に,それが楽しい,知的刺激と楽しさに満ちていたというのは,これは大変喜ばしいことだったというふうに思っております。本当に委員の先生方には,心からお礼を申し上げたいと思います。
 ここでの議論が具体的な制度にうまく反映されていくということ,そして,次の議論に有効に,有益につながっていくということを期待したいと考えているところです。
 本当にどうもありがとうございました。
 それでは,事務局からも御挨拶をお願いしたいと思いますので,事務局のほうからよろしくお願いいたします。

【森田大臣官房審議官】  高等教育局担当審議官の森田でございます。質保証システム部会の今日は最後でございます。御礼の御挨拶を申し上げたいと思います。
 この部会は,平成30年のグランドデザイン答申で提言された質保証システムの見直しのために,14回にわたり御審議いただきました。これまで,設置基準,認証評価,情報公表,定員の扱いなど,大変広い領域にわたって精力的な御審議をいただきましたことに御礼を申し上げます。
 コロナの影響でありますとか,あるいは,今日もございましたが,世界のどの国でも質保証の在り方の議論があるというような中で,そういったことを見据えて,大変重要な方向性を出していただきました。文部科学省としては,今回の内容を受けて,大学設置基準等の具体的な条文の改正作業を早急に進めまして,これはまた大学分科会にお諮りしながら,また,運用の見直しも含めて,これらを実現するために取り組んでまいりたいと思います。
 吉岡部会長,日比谷副部会長をはじめ委員の先生方に,改めて感謝申し上げます。
 また,作業チームで御検討いただいた先生方にも御礼申し上げます。
 最後に当たってのお礼の御挨拶とさせていただきます。また引き続きよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。

【吉岡部会長】  ありがとうございました。
 それでは,事務局のほうから,ほかの方々からも何か御発言があれば。
 よろしいでしょうか。
 それでは,堀家さん,どうぞ。

【堀家高等教育政策室室長補佐】  失礼いたします。先生方,長きにわたりまして,本システム部会の御議論,大変ありがとうございました。また,本日も活発な御議論をいただきまして,誠にありがとうございました。
 本日の時間の都合上,御発言できなかったこと,また,お気づきの点などがございましたら,改めて事務局まで御連絡いただければと思います。
 どうもありがとうございました。

【吉岡部会長】  どうもありがとうございました。
 先ほども申しましたけれども,これから修文して,今度は大学分科会に報告というステップを踏むことになりますので,お気づきの点,こう修文したほうがいいとか,この部分が不明確であるからこうすべきだということも含めて,御意見をいただければ,私の責任で修文したり,ちょっと組み替えたり,追加したりということをさせていただきたいと思います。
 以上で,本日の議事を終了させていただきたいと思います。本当に長い間,ありがとうございました。
 
―― 了 ――
 

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