質保証システム部会(第10回) 議事録

1.日時

令和3年8月4日(水曜日)16時00分~18時30分

2.場所

WEB会議

3.議題

(1)質保証システムの見直しについて
(2)その他

4.出席者

委員

(部会長)吉岡知哉部会長
(委員)永田恭介委員
(臨時委員)浅田尚紀,飯吉透,大森昭生,川嶋太津夫,小林浩,杉谷祐美子,瀧澤美奈子,谷本和子,土屋恵一郎,曄道佳明,長谷川知子,濱中淳子,林 隆之,古沢由紀子,前田早苗,宮内孝久,吉見俊哉,米澤彰純の各委員

文部科学省

(事務局)伯井高等教育局長、森田大臣官房審議官(高等教育局及び科学技術政策連携担当),森高等教育局私学部長,絹笠文部科学戦略官,岸本主任視学官,西田高等教育企画課長,武藤高等教育政策室長,草野大学設置室長,髙橋高等教育企画課課長補佐,堀家高等教育政策室室長補佐,一色大学振興課課長補佐,大塚専門教育課課長補佐ほか

5.議事録

【吉岡部会長】  委員の先生方,こんにちは。所定の時刻になりましたので,第10回質保証システム部会を開催いたします。御多忙の中,御出席いただき誠にありがとうございます。
 本日は,新型コロナウイルス感染症対策のため,WebexによるWEB会議として開催し,その様子をYouTubeライブ配信にて公開します。会議資料,音声など,お手元で大丈夫だろうと思いますが,よろしくお願いいたします。
 議事に入る前に,事務局から連絡事項をお願いいたします。

【堀家高等教育政策室室長補佐】  失礼いたします。事務局でございます。
 本日は,WEB会議及びライブ配信を円滑に行う観点から,御発言の際は挙手のマークのボタンを押していただき,部会長から指名されましたら,お名前をおっしゃってから御発言いただきたいこと,また,御発言後は再度挙手のマークのボタンを押して,表示を消していただきますようお願いいたします。また,発言時以外はマイクをミュートにしていただくなど,御配慮いただけますと有り難く存じます。不都合が生じることもあるかと存じますが,御協力のほど何とぞよろしくお願い申し上げます。
 また,会議資料につきましては,議事次第に記載のとおり,事前にメールでお送りしております。また,本日,当日追加資料を本日の午後,委員の皆様に送付しておりますので,そちらも併せて御確認いただけますと幸甚です。インターネットを御覧の皆様に対しても,当日追加資料という形で掲載しておりますので,併せて御覧いただきますようお願いいたします。
 事務局からは以上でございます。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。
 それでは,今日はちょっと長めに時間を取ってありますが,議事に入りたいと思います。
 今日は,流れとしましては,まずオンライン授業について議論をするということで,通学制と通信制の問題を扱いたいと思います。それから次に,大学設置基準を議論の中心に置いてということですが,これも範囲が広いので,最初に設置認可制度というもの,それ自体についての考え方とかということを少し議論し,そしてその後,やや個別になりますけれども,専任教員,学内組織の問題,それから教員の在り方の問題という,やや個別的なテーマを扱うというふうにしたいと思います。ただ,どれも関連しておりますので,重なってくるところはあると思います。
 まず,前回審議した論点に関し,あるいはそれよりやや広い部分もありますけれども,委員の皆様より御意見を頂いております。その点につきまして,お手元の資料3に,委員の先生方の意見が配られております。
 それで,まずこの順番に従って,これを全部やっていたら大変ですので,ごく簡単に御意見を頂いて,個別の質疑をやっているとこれもまた時間を取ってしまいますので,今,6人の方々がここに上がっておりますが,6人の方々に発言していただいて,その後,質疑というよりも,それぞれ御意見を自由に発言していただくというふうにしたいと思います。
 日比谷先生が御欠席ですので,日比谷先生のところは短いですので,通信制についてということでメモが届いておりますので,御覧いただければと思います。曄道先生は私立大学連盟のかなり長い資料がございますので,これもここの問題全部に関わっているような議論ですので,この辺も曄道先生,省略ではなくて適宜まとめて,できれば今日関係しているところを中心に御発言いただければと思います。
 では,まずそれから入りたいと思いますが,これもこれだけで全部時間を取るわけにはいきませんので,それぞれ簡潔に御発言いただければと思います。
 それでは,この順番に従いまして,飯吉委員からお願いいたします。

【飯吉委員】  よろしくお願いします。3点大きく出させていただきましたが,オンライン教育に関してです。
 1点目は,前回意見させていただいたことに若干補足を加えたものであります。大きなポイントとしては,現在まで,ここ1年半ほどでやられてきたオンラインやハイブリッド授業の教育効果もまだ十分に検証されておらず,先生方もまだ熟達していない中で,いろいろと分類して結論づけるのは拙速・不十分ではないか,という点です。
 大事なのは,今後,そういうものをどうやってうまくブレンドしていくことです。そこで2ポツ目ですが,どのように授業の質保証や教育効果などを図るかが非常に大事なので,そこは慎重に議論した方がいいということであります。
2点目については,前回少しお話しさせていただきましたが,授業の質保証の基準や仕組みについては,対面のものが既にあるわけです。ただ,それがそのままだと十分と思えないところもありますので,基本的にはこれをベースにアップグレードして拡張するのがよいと考えます。
 その時に,「ただシラバスだけが,きちんと書けていればいい」ということよりは,正にベストミックス的な教育方法を取り入れていく中で,2ポツ目にいろいろ挙げましたように,これらをしっかりと包括した形で質保証を行うということが多面的に検討されるべきだと思います。
 それから3点目の「国としての効果検証の進め方について」ですが,これも何も一から全部新しいものを作り直すというよりは,既存の通学制・通信制の大学教育に関する効果検証は既にたくさん行われているわけですから,まずはそれらの知見をしっかり踏まえながら進めることが肝要です。ただ,今回のコロナ禍で行われたことをいろいろと踏まえ,ガイドラインのようなものを国や評価認証機関がある程度示すということを,やはり国が先導していくことが望まれます。トップダウンとボトムアップの双方からということで,大学の方でいろいろ努力して考えていくことはもちろん大事ですが,そこを両方合わせてやっていかないといけない。
 2ポツ目については,これは提案させていただきたいわけですが,ご案内のように,独立行政法人メディア教育開発センターが,2009年に廃止されています。同センターは,もともとは放送教育開発センターとして放送大学の附置機関として放送大学の教育を支援するという目的で設置されましたが,後に改組されて「日本の全大学のICT活用等を推進・支援する」というミッションも担っていました。今このような支援機関があれば,今回のコロナ禍下において国として可能な対応も大分違ったのではないかと思いますし,各大学が「泥縄」でそれぞれローカルにいろいろと似たような苦労させられるという事態をある程度緩和できたのではないかと考えます。今後,引き続き文部科学省高等教育局が大学といろいろと直接進めていくというのはもちろん大事ですし,国立政策研究所などもありますが,今,高等教育においてもDX化が進められようとしている中で,ICTの教育的活用に必要とされる研究開発や基盤整備の推進・支援を国レベルでおこなう組織が今一度必要なのではないかと個人的には考えます。
 以上です。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。
 それでは,大森委員,お願いいたします。

【大森委員】  大森でございます。ありがとうございます。資料を御覧いただければと思います。頂いたお題,丸1 ,丸2 それぞれに長い文章で示させていただきましたので,かいつまんでお話をさせていただきます。
 まず1つ目,頂いたお題のオンライン教育や授業内容の質保証の在り方についてということですけれども,これまでの議論等も踏まえると,効果検証した後に制度の見直しを進めるべきということで,おおよその共有されている方向性なのかなと思っております。その効果検証の後にというところが大事なのかなと思っています。
 一方で,それと同時に,現行の60単位上限という在り方についても,具体的に60単位が上限だと何が支障なのかというようなことも十分に明らかにしていかないと,即見直しというところまではまだいっていないのかなという感想を持っています。
なので,当面は現行制度を活用しながら検証を進めていくと。ただ,旧来型の,コロナ禍前に戻りましょうという間違ったメッセージが発信されるのもよくないので,検証の意味も含めて,限定的には,試行的にというか,新たな取組を一定程度認めるような仕掛けをしていくという方法もあるかなと思っています。
 ただ,その場合に,学生保護という観点から,通学制の大学だと思って入ったら,全部遠隔でした、みたいなことになるとやっぱりよくないと思うので,入学希望者が大学を選択するときに判断材料として,どのぐらいの割合がどうなっているのかみたいなことがちゃんと情報公表されることが重要かなと。それは制度改革が終わった後であっても同じことかなと思っています。
 それから,いろいろな資料の中で,今日の資料にも出ていますけど,通信制との関係もいろいろ議論の俎上(そじょう)に乗ってくると思うのですが,通信制と通学制の大きな差異というのは,双方向性の担保にあると思います。それは明確にされていると思います。今,リカレントとか働きながら学ぶことの必要性とか,そういう意義を考えると,双方向じゃなくても,ある程度時差があっても学べる仕組みとしての通信制の意義というのは,まだまだあるのではないかなと。むしろ高まっているのかなとも思うので,そこを一緒くたにしてしまう議論というのは,ちょっと慎重になっていいのかなと思っています。
 双方向性の担保ということを考えると,通学制の遠隔授業の制度を柔軟化するということを検討する場合には,双方向性が担保され得る授業規模とか授業運営体制,こういったことも基準として考える必要がある。これは対面でももちろん全く同じことですけれども,言えるかなというのが1つ目です。
 2つ目の大学設置基準の在り方についてというところは,幾つかの観点で語っていますけれども,地域の大学としては,地域の社会変化に伴うニーズに柔軟に対応していくという必要があるのだけれども,地方大学はその人口規模にも比例して小規模であることが常でして,そういった地方大学が,地域社会のニーズに臨機応変に対応するには,学部学科の設置に係る専任教員の基準の緩和みたいなことはどうしても必要だと思っています。
 ただ一方で,専任教員というのは,授業を教えればいいというものではなくて,学生の生活とか履修指導とか進路指導とか,いろいろな学生支援・指導の役目,それからもちろん大学運営業務,そういったところにも重要な役割を果たすので,単に業務量が相当するからといって,兼務教員のみというのもちょっと違うのかなと思っていて,今,半分が教授となっていますけれども,例えば半分はちゃんとそういう学生指導もできる専任教員で,半分は兼務だけども業務量が相当するみたいな先生というような在り方,それは半分がいいかどうか分かりませんが,そういった在り方もあるのかなということを述べさせていただきました。
 それから,教員の条件のところで,研究業績だけじゃなくて,今,地域貢献ってすごく重要だけど,設置基準の中に余りそれは書かれていない。そういうところもちょっと見直しができるかなと思いました。
 やっぱり教員は,これからクロス・ディシプリンみたいなこと,分野融合とか,それからチームでいろいろなことをやっていくということになると,自身の研究領域を超えて授業の担当をしていくとか共同で実践プロジェクトをやっていくとかということの必要も出てくるので,科目と研究業績の一対一の教員審査から,大くくりで教育上の能力を審査する方向に移行していく必要があるのではないかなと思っています。研究業績に非常に縛られた教員審査というのは,ちょっと見直す必要があるのではないかということを述べさせていただきました。
 以上です。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。
 それでは続いて,曄道委員,お願いいたします。

【曄道委員】  曄道でございます。どうぞよろしくお願いいたします。私からは,私立大学連盟の方で,資料にありますように,「ポストコロナ時代の大学の在り方」という提言書をまとめましたので,それを御紹介させていただきたいと思います。
資料の6ページ目にこの提言書の概要,要約した2枚物がございまして,その後ろに提言書そのものを資料として付けさせていただきました。先ほど吉岡先生がおっしゃったように,これを全て御説明することは到底時間がございませんので,かいつまんだ御説明をさせていただきます。
 私立大学連盟での議論は,コロナ禍で普及しましたオンライン環境あるいはデジタルの環境を,新たな大学教育の実現の契機にすべきという考え方に立っております。
 ここにありますようにポストコロナということをうたっておりますので,現状でのコロナの混乱期にあって,授業を今までは対面でやったものをオンラインでやるとどの程度質が下がるかといったような観点に立っているわけではなくて,オンライン環境を使った新しい教育環境を作るというときに,どういうものが支障になるのか,あるいはその質保証のために何を考えるべきかといったような観点に立っております。
 まず,この提言の特徴は,教育の自由度を上げるという,これは学生の学ぶ自由度と,それから教員の教育の自由度,双方ございますけれども,そのために規制緩和について考える必要があると。同時に,その規制緩和ということとセットで,大学教育の質の向上が図られる,オンライン教育が対面に準じるということではなくて,それによって更に大学の教育の質の向上ということに向かっていく必要があるということをうたっております。その中には,学習成果の可視化の問題であるとか,各大学の情報公表であるとか,そういったことも総合的に網羅をしております。
 オンライン教育を推進するに当たって,今はハイフレックスであるとか,あるいはハイブリッド型と呼ばれる場合もありますけれども,各大学,各教員がオンライン教育の質の向上のために,あるいはその方法論の進化のために,様々な教育開発を行っていると思いますが,これは日本の大学の国際化ももちろんですし,リカレント教育であるとか,あるいは大学間連携であるとか,そういった活用が今後大いに発展が期待されますので,これは1つの方向性であろうということを訴えております。
 次に,学びの場としての大学ということを考えておりまして,これは空間,そして時間,双方,この学びの場について大学の機能を再定義する必要があるだろうということをうたっております。
 これは,先ほど学生の学びの自由度ということを申し上げましたけれども,学生が主体的に学ぶということ,それはすなわち学びのキャリア形成ですね,学ぶキャリアの形成に対する多様化を意味しているということでもあります。その際に,遠隔授業に対する60単位上限であるとか,あるいは校舎面積等の一律の規定などが,いわゆる外形的な基準を設けることについて再考する必要があるということを主張しております。
 先ほど大森先生からの御指摘もありましたように,質の補償の問題ということは,あるいは検証ということは課題としてもちろん認識が十分されていると思いますし,今ここで提言申し上げていることは,ある授業に対して,それを対面でやるのとオンラインでやるのとどちらの質が高いのかという議論ではなく,学生の学び方の中で,オンライン環境を駆使して彼らのキャリアを多様化していくということを考えると,60単位の上限というものが意味をなさないのではないかといったような論点に立っているということでございます。
 大学の教育の自由度を上げるということに関する規制緩和の推進に際しては,もちろん大学教育全体の水準が下がらない,質が低下しないということが極めて重要なことであります。例えばですけれども,新しく大学を設置する場合には,現行の基準を適用して,完成年度以降の様子を見て,その緩和の対象とするといったやり方や,既存の大学においては,教育の質であるとか,あるいは定員の充足状況であるとか,情報公表の状況であるとか,そういった観点によって,大学の取組としての質保証が担保されていることを点検した後に,規制緩和の適用対象とするといったような,何か工夫ができるのではないかといった立場に立っているところでございます。
 最初に申し上げましたように,提言書はポストコロナ時代ということをうたっております。ただし,ここに提示した諸課題については,コロナ禍を仮に我々が経験しなくとも,我々大学が進めるべき改革であったであろうと考えておりまして,今回のコロナ禍を契機に,学習者本位の教育に転換していくというための契機として捉えたときの,我々にとっての,指標という言い方は適切ではないかもしれませんけれども,新たな教育の在り方を議論していきたいと。それがないと,高等教育の国際競争などで取り残されていくのではないかという危機感を提示しているものでございます。
 私からは以上でございます。ありがとうございました。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。
 では続いて,長谷川委員,お願いします。

【長谷川委員】  経団連の長谷川です。発言の機会をありがとうございます。私からは,オンライン教育や授業方法の進展に伴う質保証の在り方と,大学設置基準,設置認可制度の在り方の2点について主に意見を申し上げます。
 まずオンライン教育の質保証の在り方についてですが,前回も申し上げましたとおり,経団連と大学のトップで構成しております産学協議会での議論においては,ポストコロナでは,対面とリモートによるハイブリッド型,若しくはハイフレックス型の教育の常態化を目指すべきであるということで合意をしております。
 その観点から言いますと,遠隔授業と対面授業の効果を別々に検証することや、遠隔授業だけの上限単位を検討するということではなく,最初からハイブリッド型,ハイフレックス型の教育プログラムとして,それぞれの教育効果を高める方策を検討すべきではないかと考えております。
 また,国の役割ですけれども,国としては,ハイブリッド型による教育の質を担保するために最低限留意すべき点を示すことではないかと考えております。最低限留意すべき点としては,例えばハイブリッド型教育においては,学生の適切な評価方法の在り方などが産学協議会でも指摘をされております。効果的な授業方法ですとかオンライン教材を共有する,若しくは質保証を担当する学内専門組織の強化や外部委託などを通じて,ハイブリッド型教育の質の向上を図るといったことや,学生へのフィードバック,又は教員と学生間のコミュニケーションの円滑化・活性化などが挙げられております。
 上記に加えまして,中長期的には,現在の対面実施を前提とした授業,若しくは単位の考え方,それからダブル・ディグリーやジョイント・ディグリーの活用などによる国内外における大学間の教育連携の推進・強化なども必要であると考えております。
続きまして,大学設置基準,設置認可制度の在り方ですけれども,産学協議会における議論では,Society5.0において,各大学が時代の変化や情報技術の進歩に合わせて,文理融合カリキュラムや,AI、データサイエンスなど社会の新たなニーズに即した新しい学部をよりスピード感を持って柔軟に設置できるようにする必要がある、そのために,現在の設置認可制度の硬直的な運用を見直す必要があると指摘しております。
 特に今は,VUCAと呼ばれる非常に変化のスピードの速い時代ですので,設置認可届出の際に想定できなかったような社会の新たなニーズなどがすぐ出てくるということもございます。これらを積極的に取り入れて,教育内容をアップデートしていけるような機動的なカリキュラム改革を可能とする制度への刷新が求められると指摘しております。
 それから,ハイブリッド型教育の常態化を前提とすると,現在の設置基準,特に校地・校舎面積などの物理的空間に関する規制は全面的に見直すべきではないかと考えております。その際,校地・校舎については,物理的な空間の広さではなく,オンライン教育に対応するデジタル機能や設備が備わっているかどうかを確認することなどが必要ではないかと考えております。また,海外大学とのジョイント・ディグリー・プログラムにつきましては,先ほども申し上げましたとおり,より実施しやすくなるような制度の見直しが必要と考えております。
 それから,専任教員についてはより柔軟な制度が求められると考えておりますが,現行の基準を維持する場合であっても,クロス・アポイントメント制度の利便性を高めて,国内外の複数の大学で教員を共有することなどもできるようになれば,海外大学との教育連携が進んで,大学のグローバル化が更に進むのではないかと考えております。
以上です。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。
 では,米澤委員,お願いします。

【米澤委員】  ありがとうございます。38ページからの資料になります。かいつまんでお話をさせていただきたいと思います。
 まず,38ページ2ポツのところですけれども,既にお話が出ていますように,通信制と通学制という2区分の在り方について,どういうふうに対処するかという話だと思います。新しいことをやるべきだということが今起きていて,それを支援すべきだとは思っているのですけれども,そのときに,単純に通学制と通信制を一緒にするというのもまたちょっと無理があるかなというのは既に議論があったと思います。逆に,今,通学制のみの大学が,こぞって通信制を出していく,わざわざ設置認可を求めてくるような話になれば,すごく混乱すると思いますので,現実的には,通学制の中である程度通信制に近い形のものが一定程度認められるような形を考えるしかないのかなと感じております。
 そのときに特に問題になるのは,専任教員数の配置と定員の関係が非常に大きく異なっているということがありまして,例えば現状でもMOOCsをやった場合には,当然設置基準上とは全く違うような形で学生が集まっておりますし,その辺について,何らかの柔軟な仕組みを作っていくことが必要なのではないかということが1点でございます。
 3番目のポツになりますけれども,既に議論になっておりますが,60単位までは遠隔授業のみで実施することは可能であって,その後,残りの64単位について,対面で授業を行うものであれば,その一部,すなわち半数は遠隔授業で実施可能という今の規定ですけれども,これは設置指針とかの問題じゃなくて,規制緩和の中で出てきている1つの短期的な解決策ですけれども,これが意外と余りうまくいっていない感じがいたします。
 私は非常に横着な人間なので,これを見たときにすぐ思うことは,半分の授業は当日ほかの仕事を入れてしまって,オンデマンドにしてしまっていいのかな,とつい思ってしまうというのが本音です。その一方で,教師から見れば対面ですけれども,ハイフレックスにして,一部の学生が半分以上の授業をオンラインで受けた場合には,これはオンライン・遠隔教育になってしまって,この64単位の基準は当てはまらないことになるというようなことが想定されます。このような点について,少し工夫が必要なのではないかと思います。
 文部科学省の委託事業の中で既に明らかにされておりますが,アメリカでは2009年の時点で既に,リアルタイムのオンライン授業に関しては通学制の中でも認めるというような議論があるようでございます。その辺を少し調べていただいて,柔軟に対応していただく必要があるのではないかということが1点でございます。
 続いて,今度は39ページ目に行って,いずれにしてもこれから行っていくところについて,既に議論がありますように,柔軟に扱うときに,どういうふうにやるのかというときに,1つの考えとしては,それなりに支援を行っているプロジェクトが既にあるので,そういうところを中心にエビデンスを固めていくことが可能なのではないかということが,39ページの上の方であります。
 教員の在り方については非常に長いので,40ページ目に飛んでいただいて,太字で「提案」となっているところだけを見ていただければと思います。すごく大胆にまとめていきますと,まず,最低基準としては現行の水準を維持するか,むしろ向上させてもいいのではないかと私は考えています。タイムズ・ハイヤー・エデュケーションとか幾つかのランキングで世界との比較が可能ですけれども,簡単に言えば,社会科学系を中心とした大学では,日本はほぼ学生・教員比率が最低に近いという感じになっておりまして,逆に,医学系の単科大学で考えれば,世界最高に近いという形になっていて,現行の設置基準で定められている学生数に応じた教員配置の基準の合理性がまだ余りはっきりしていないということがありまして,少なくとも最低の方に合わせれば,決して日本の水準は自慢すべき状況にないと思います。
 日本以外の国では,基本的に既にフルタイム換算で教員配置を考えるというふうに変わっていると思います。これは,日本のようにそもそも設置基準でここまで詳しくやっていないという話があるので,ちょっと別の議論はありますが,少なくとも今のヘッドカウントでのやり方というのがベストなのかと考えた場合に,クロス・アポイントも含めて,フルタイム換算を基準とするものに変えていくことができるのではないかと思います。
 このことで最大の問題になるのは,今の専任教員の考え方というのが,基本的に科目授業の責任主体としての専任教員ということで重視されているという制度的な問題があると思います。
 これについては,逆にカリキュラムについて我々の今の理解が進んでくる,あるいは学位プログラム制度みたいなことを考えた場合には,むしろ個々の科目のレベルではなくて,カリキュラムあるいは学位プログラムのレベルの長(ちょう)・主任を単位とするところに責任主体を持つという形に組み替えることが可能なのではないかと思います。
 さらに,中長期的なところとして,40ページの一番下のところを見ていただきたいのですけれども,例えばクロス・アポイントの情報というのは,今のところ,設置基準上あるいは認証評価上,突き合わせるデータベースがないわけですね。ただ,イギリスのものがすぐに日本でできるかどうかは別として,論理的には,全ての大学教員のデータベースを作ってしまって,どこの大学で何%働いているのか,あるいは大学院でどれぐらい働いているかというのを調べて,データベースを1回作ってしまえば,これはいつでも検証が可能になるというようなことも将来的に考えていいのではないかと思います。
 続いて,今度は41ページに飛んでいただきたいのですけれども,施設の在り方ですが,端的に言えば,私はすごく誤解があると思っているのは,仮に今考えているオンライン,ハイブリッド,ハイフレックスみたいなものをやったときに,施設が要らなくなるというか,あるいは省略できるという発想は,必ずしも適切ではないのではないかと感じております。例えばBring Your Own Deviceですかね,コンピューターを持ってきたり,あるいはインタラクティブな議論をしたりというときには,むしろスペースが必要になったり,施設が充実しなければいけないというところも出てくるのではないかと思います。
 この辺についてはエビデンスが十分に固まってないところなので,今の段階でキャンパス環境への条件を緩めるというよりは,前と同じですけども,実験的に幾つかの例でエビデンスを固めてから動いても遅くないのではないかと感じております。
 その上で,最終的に,以上のことを真面目にやると,どうしても内部質保証をやる大学の裁量にかなりのところ委ねなければ,回らなくなってくると思うのです。全てのことを設置審上あるいは規定上で定めていくのは難しいと思いますので,ある程度大胆に内部質保証に対しての裁量を与えると同時に,逆に今度は,形式的に全部クリアしていても,設置審あるいは認証評価でノーと言えるような裁量を,設置審,それから認証評価団体に与えていくべきだと感じます。
 以上でございます。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。
 レポートというかメモを出してくださった委員の先生方は以上ですけれども,では,これからしばらく,今のことをもちろん踏まえた上で構いませんが,委員の方々の発言を頂きたいと思います。
 人数がたくさんおりますので,私がちゃんと手を挙げられた順番に指名できるかどうか分かりませんが,手を挙げるボタンを押して,それからしばらく私が気付いていなければ,声を出していただければと思います。よろしくお願いします。
 それでは,川嶋委員,お願いします。

【川嶋委員】  ありがとうございます。大阪大学の川嶋です。今,委員の方々の事前提出メモの御説明がありましたけれども,それをお聞きして感じていたことを述べさせていただきます。
 まず,遠隔教育とかオンライン教育の話ですけれども,議題としては通学制と通信制という形で出ていまして,いわゆる制度の話です。他方で,今日,多くの方々の御意見は,授業の提供方法の観点から,対面なのか,オンラインなのか,遠隔なのかという授業方法の話が主にあったように思います。
 それから,単位の上限についても,提供する大学側の上限の話なのか,受講する学生側の上限なのかという観点も必要かと思います。
 制度のレベルでは,通学制と通信制というのは対象となる学生さんも違いますし,また,もっと現実的な話では,授業料も全く違います。通学制というのはキャンパス型というふうに捉えていいと思うのですが,単に授業を受けるだけではなくて,キャンパスがあって学生が集うことによって成り立っている通学制のメリットがあるわけです。いわゆるコーカリキュラムとか,エクストラカリキュラムとか,正課外の学生生活といった面がありますので,単に授業方法が通信制と通学制の間の境界がなくなるというだけではなくて,それぞれの制度のメリットもきちんと押さえた上で,今後議論していく必要があるかと思います。
 といいますのも,通学制で,今回,大学の多くでオンラインになりましたが,その中のかなりの部分はオンデマンド型で,いつでも学生が好きなときに資料を見て学習してくださいという形ですけれども,通学制のメリットはやはり即時の双方向性だと思います。ですから,オンラインを通学制の大学で導入するにしても,この即応的な双方向性が授業の中で保証されない限り,これはやはり通学制のメリットがないということなので,この辺は必要条件としてきちんと保証していく必要があるのではないかと思っています。
 それから,今日は2つ議題があって,後半が設置基準の話ですけれども,それについてもお話しされていた方がありましたので,ついでということでお話しさせていただきますと,この通学制・通信制も,現状,各大学,オンラインにしても,どれくらいの割合でどういう評価がなされているのかという情報も全然手元にございません。先生方は御自分の大学での状況についてはきちんと把握されているかと思うのですが,国内800の大学プラス300ぐらいの短期大学で現状どうなっているのかという客観的なデータがない中で,失礼な言い方ですけれども,それぞれの委員の方々の個人的な体験等に基づいて議論しても,なかなかまとまらないと思います。
 ですから,設置基準を議論するときに,例えば専任教員の議論では,先ほど米澤委員から,ヘッドカウントじゃなくてFTにしてはどうかというお話もありましたが,教員についても,もう少し具体的に,常勤・非常勤の比率とか,学問別に卒業に必要な単位数はどういう分布になっているのかとか,その中の必修・選択・自由選択といったような割合とか,担当している教員が実際どうなのかとか,具体的な数字を,事務局には,働き方改革が求められている中,大変な作業をお願いするわけですけれども,今後の議論をしていくためには,現実に関するデータを是非今回出していただきたいと思います。
 ちなみに,なぜこういうことを申しますかといいますと,先月終わりましたけれども,大学入試の在り方に関する検討会議では,前提としてデータやエビデンスを踏まえて全員で議論するということで進めてきましたので,提言の中でも,今後の政策決定に当たってはそういうやり方を是非踏襲してほしいということを提言した手前,是非本会議でも,今お話ししたような形で,きちんと現状を踏まえた上で検討を進めていただきたいと思います。
 少し長くなりましたが,以上でございます。ありがとうございました。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。川嶋先生,整理していただいて,分かりやすくなったと思います。
 古沢委員,お願いします。

【古沢委員】  ありがとうございます。私の方では,事前の意見の発表について,質問を中心にさせていただきたいと思うのですけれど,1つは,大森先生の提案が非常に興味深くて,専任教員の審査で,現状,研究業績に偏り過ぎていると。確かにそういう面があると思うのですが,大くくりで教育上の能力を審査するというのは,例えば具体的にどのような方式が考えられるのかということです。
 もう一つは,曄道先生からお話のあった私立大学連盟の60単位の規制緩和についてなんですけれど,全て撤廃した場合,イメージされているものとして,状況によってはほぼ全てオンラインによって修得することも可能だというような想定で提言されているのかどうかということです。
 米澤先生の発表にもありましたが,個人的には,今の教員配置比率などを考えても,ハイブリッドはうまくいけば非常にメリットがあると思うのですけれど,学生から見て,上限が撤廃された場合,ちょっと不安になる,非常に素朴な意見だと思うのですが,見方はあるかと思います。
 以上です。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。先ほど川嶋委員のお話にもありましたけども,若干議論の中で混乱しがちなところは,60単位というのは卒業の条件で,1人の学生が124単位以上を取得して卒業するうちの60単位ということですが,このところでいろいろなオンライン授業なんかを展開してくると,大学がどれだけオンライン授業にしてもいいのかみたいな,そういう議論が混ざり込んでいるというか,若干分かりにくくなっているようなところがあると私も感じています。
 124単位中60単位ということは,だから,大学の展開の仕方によっては,学生は,例えばオンラインじゃない授業をむしろ取りたいと思って,対面の授業を取りたいと思ったのだけれども,それが余り展開されていないとか,逆に,対面授業でちゃんと取ろうと思っていたら,60単位以上がオンラインだったおかげで,卒業単位の条件を満たさないみたいなことが起こるという,そういう変なことが起こり得る。この124単位のうちの60単位というのは,卒業条件としての仕組みというふうに組み立てられているわけです。ですから,それを制度化するときにはどういうふうに考えるのかということを考えなくてはいけないのではないかと思いました。
 ほかにいかがでしょうか。
 すみません,私,曄道先生の私大連の提言のところ,これはかなり大きないろいろな話が入っているので,どこから手を付けていいのかというのが問題ですし,今後,ここでの議論の中で,いろいろな形で言及されることになると思いますが,1つだけ素朴な質問で,私も学生の修業年限は4年,今でいうと事実上8年ですかね,裏表と言われるもので,単位を取らなくちゃいけないという格好になっていますけれども,それはもっと広げていった方がいいと思うのですが,それをやると,学部ではなくて,大学レベルに変えたとしても,定員管理が不可能になるのではないか。それにプラス,留学生とリカレントの学生とかというのを外すと,事実上,定員管理ができなくなる,定員管理ができないというか,意味を持たなくなる。それから,専任教員の役割というのが,広い意味で学生教育全般の教育環境を担保する責任を負っている人たちというふうにやや漠然と捉えると,それもできなくなってしまうので,細かく言うと,修業年限を外すという話と定員管理というのはどういうふうに考えられているのかということを,もしも私大連等で議論があったのであれば,教えていただければと思います。

【曄道委員】  ありがとうございます。今,吉岡先生が提起された課題そのものが,そこにあると考えております。今おっしゃっていただいたように,大学という学びの場に,いわゆる我々がもともと想定している高校を出て学ぶ学生もいますし,リカレント教育の中で学びに来る社会人もいてといったような,学びの場がより拡大的になったときに,現行の定員管理の考え方というものは通用しなくなるわけなので,合わせた再考が必要だということが我々の考えているところでございます。

【吉岡部会長】  議論としては裏表といいますか。

【曄道委員】  おっしゃるとおりです。

【吉岡部会長】  両方,両面ある話になりますね。分かりました。今後の御議論の中で考えていきたいと思います。
 土屋委員,お願いします。

【土屋委員】  今日の議論,これまでもそうですけども,やはりオンラインとか,あるいは対面ということに問題を限定されていくと,大学というものが持っている意義は一体何だろうかということをもう一回考えざるを得ない。
 大学は,例えば首都圏であれ,あるいは地方であれ,やはり大学を中心とした,まちなり,文化というのが当然あるわけですので,それを考えると,オンラインだけでいいなんていう発想にはとても至れないと。やはり対面ということ,あるいは学生がキャンパスに来るということを前提にして大学は成り立っているので,そこは崩せないのではないのかなと私は思います。
 多分それは保守的に聞こえるかもしれないけど,大学の文化や,あるいは学生自身の文化を考えたときに,対面はなくてもいいとか,あるいはキャンパスに来なくてもいいという発想に立ったオンライン授業と対面との関係の議論は,私はできないだろうと。それが大学それ自身にとっても現実はそうだと思う。やはり対面を基盤にした上で,大学の教育や,あるいは文化は成り立っているので,そのことを前提にして話を進めていく必要があると思います。
 そのことで言えば,私は再三強調してきましたけど,やっぱりオンライン授業や,あるいはオンデマンド授業が持っている一番大きな意味は,大学の教育の質保証であると思っています。つまり,教員が教室の中で,クローズされた場所で,勝手なことと言ったら怒られちゃいますけど,自分の言いたい放題のことを言って,それで済んでしまうと。教員の層も,今や講座制がないので,教員相互の情報も共有できない。
 それを考えると,やはりオンライン授業あるいはオンデマンド授業を推進することによって,教員相互が,ほかの教員が何をやっているのかということの情報が共有できて,そして,学部全体,学科全体のカリキュラムプランが推進されていくということが私は前提であると思います。
 そのことで言うと,私は経団連さんが言っていることは大変よく分かりますが,ハイブリッド型を前提にした上で,しかも,なおかつ今申し上げたような大学の文化ということ,あるいはキャンパス文化ということを前提とした上で,オンライン授業あるいは対面授業との比率ですよね,それをどうやっていくのかということを考えることが大事かなと思います。
 完全にオンライン授業の制限を撤廃することが果たして主要な問題であるのだろうかと。むしろオンライン授業やオンデマンドに関しては全ての教員にやらせるべきだと。その上で,単位についてはやはり制限がある程度あっても仕方がないのではないのかなと私は思います。
 そこで制限撤廃云々(うんぬん)ということに議論がいくよりは,大学の質保証をさせるためには,教員全員がオンラインやオンデマンドをやって,教員のいわゆるFDがきちんと確認されるような方向性を考えていくことが大事なのではないのかなと思っております。
 だから,そういう意味では,オンライン授業は大事ですし,私もそれを推進する方ですが,国際的な大学間連携であるとか,リカレントであるとか,あるいは,私がかつておりました明治大学においても,オンラインが一番成功したのは図書館司書のオンライン授業とか,あるいは専門職大学院におけるオンライン授業はとてもうまくいった。現に,大学院と専門職大学院は,オンライン授業の制限がありませんので,幾らやってもいいわけです。そうすると,なかなか社会人は大学に出てこられないので,そうすると,オンライン授業が持っている意義は大変大きいものがあると思います。
 全然話は違ってくるかもしれませんが,今,大変議論されている専門職大学院に関しても,私は社会人教育というものを前提とするならば,専門職大学に関してはオンライン授業を義務付けるべきではないのかなと思っております。
 いずれにしても,教育の質保証の面から,オンライン授業あるいはオンデマンド授業が持つ意義を確認しておいた方がいいと私は思っております。
 以上でございます。

【吉岡部会長】  曄道委員,挙手されております。どうぞ。

【曄道委員】  度々発言の機会を頂いてありがとうございます。土屋先生とは私大連でも御一緒していましたので,私大連の意図するところは御理解いただいていると思います。
 先ほどの古沢委員からも御質問いただいておりましたので,私大連の方で60単位の上限をということをこの提言に盛り込んでいるのは,全てオンラインでもいいじゃないですかという,そういうことを提言しているわけではありません。逆に,その60という数字が一体何の意味を持つかということに関して申し上げているところでございます。
 極端に,例えばミネルヴァ大学のようにキャンパスを持たない大学という存在が,その教育自体も評価されているという実態もあり,どこまでをどうするかということは,これは,当然質保証の問題であれ,客観的な評価であれ,それに伴って,どういう教育形態が実現できるかということをそれぞれの大学が考えればいいと思いますが,それが教育の提供側の議論だけでは駄目で,先ほど申し上げましたように,もちろん対面の授業もキャンパスで行われている,だけれども,例えば学生が海外から自大学の授業を取りにいくとか,そういった新しい様態が実現できるような意味での規制緩和は図られるべきであろうという立場であることを,すみません,再度申し上げておきたいと思いました。どうもありがとうございます。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。
 時間のこともありますので,今挙手されている宮内委員の発言を伺って,それで,時間は既に大分押していますが,通学制・通信制,今,既に議論になっているところですが,それの制度上の問題を事務局がまとめてくださっているので,その問題に入っていきたいと思います。
 では,宮内委員,お願いします。

【宮内委員】  宮内でございます。冒頭,飯吉さんがおっしゃっていましたように,オンラインに係るルール作りは拙速に対応すべきではありません。今の60単位制限等,議論をすべきと思いますが,そういった議論をする際のもう一つの切り口を皆さんに御提言させていただきたい。
 今,曄道さんがミネルヴァ大学の例を出しましたが,我々の規制が余りにも厳し過ぎてしまって,ミネルヴァ大学のような大学を作ろうとしても,日本はうるさいからやめておこう,日本はパスしてしまおうとなることを危惧します。日本の規制がうるさいのでシンガポールに行こう,バーレーンに行こう,ドバイに行こうというふうにならないように,日本が素通りされないような柔軟な仕組みが大事と思います。
 日本の明治以来の画一的な教育制度は,成功例と言えますが,今はこの画一性がガラパゴス化の原因だという認識を私たちは持つべきです。今後は諸外国の大学が日本に参入しやすいように,また,日本で何かをやってみようと思わせるような策を,例えばビジネスでいうならば,外資導入策のような積極的な門戸開放や誘導策が必要と思います。
一般論からいえば,少子化が進む日本は,大学ビジネスとしては市場として魅力がありません。しかし、日本のこの画一的市場が非画一的なモノを売りにする外国勢にとっては,魅力ある市場になりうるわけです。
 ということで,このオンライン化,これもミネルヴァ大学が素通りしないようにするような切り口で物を見てみたらいいのではないか,また,大学設置基準についても,外資が,外国の大学が日本で大学教育をやってみたいと思うように,また,日本の大学と提携を促すような仕組みづくりを,是非ともこの委員会で議論させていただけたらと思っております。

 以上でございます。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。
 それでは,ほかに御意見があるかもしれませんけれども,一旦事務局に戻しまして,通学制・通信制に係る論点についての説明をしていただきたいと思います。
 事務局,お願いします。

【大塚専門教育課課長補佐】  失礼いたします。それでは,既に様々御議論いただいているところではございますけれども,資料1-1に沿って簡単に御説明をさせていただければと思います。
 こちらの資料の2ページ目は,大学通信教育の趣旨・目的をお示しした資料になっております。大学通信教育は,昭和22年の学校教育法制定時に法的根拠が整備されましたけれども,当時は特に大学教育の機会に恵まれない勤労学生をその対象としてきたものでございます。
 しかしながら,昭和40年代以降は,年齢構成が中高齢層にも拡散しまして,従来の教育の機会均等という趣旨に加えまして,様々な学びのニーズに対応するリカレント教育を提供する機関という形へと変化しているというのが実情でございます。
 学生の構成も通学制とはかなり異なっておりまして,年齢の高い学生や仕事をしながら学んでいる学生が割合として多くなってございます。
 3ページ目に行っていただきまして,こちらは通信制における授業方法の実態について調査した結果をまとめた資料になっております。こちらは,私立大学通信教育協会に加盟する通信制の大学に対しまして,4つの授業方法,印刷授業,放送授業,面接授業,遠隔授業のそれぞれがどの程度活用されているのかということを調査したものでございまして,それぞれの授業方法による開設科目数,登録人数,単位授与人数について回答をまとめたグラフをお示ししております。
 黄色の部分,遠隔授業については,やはり通信制におきましてもコロナ禍を契機に拡大している傾向が見て取れますけれども,依然として,以前からある印刷教材による授業が多く活用されているという実態が分かる結果となっております。
 4ページ目に行っていただきまして,こちらは通学制・通信制における遠隔授業に係る現行制度について,改めて要点のみまとめた資料でございますけれども,通学制の大学については,対面授業を前提としつつ,卒業に要する124単位のうち60単位までは遠隔授業のみで実施することが可能であるとともに,残りの64単位についても,主として対面で授業を行うものであれば,その一部(半分未満)については遠隔授業を実施可能となっております。
 一方で,通信制の大学につきましては,卒業に必要な124単位全てを遠隔授業のみで実施することも可能でして,遠隔授業の活用について,各大学の自由度が非常に大きい立て付けとなっております。多くの通信制大学が加盟する私立大学通信教育協会では,遠隔授業の実施に係る独自のガイドラインを策定・公表するなど,大学側が主体となった質保証のための取組もなされているところでございます。こちらのガイドラインにつきましては,配付資料のうち,参考資料2としてもお配りしておりますので,適宜御参照いただければと思います。
 5ページ目に論点として3つお示しをさせていただいておりますが,まず1点目として,通学制・通信制という区分について,今後の在り方をどのように考えるかという点でございますが,通学制・通信制という区分があることで,どのような教育を提供するのか,キャンパスでの面接授業をベースとした教育なのか,あるいは時間や場所を問わずに各学生のペースで勉強するスタイルの教育を主としたものなのかといった情報を学修者に明示をしているという側面があるかと思います。また,冒頭に御説明させていただいたような高齢者や社会人の学びの機会を保障するという通信制固有の特徴や社会的役割,こうしたものも考慮する必要があるのではないかと考えているところでございます。
 2点目は,通信制について,教育の質保証の観点やデジタル時代に対応する観点から見直すべき点はあるかというところですけれども,通信制の設置基準につきましては,現在もフルオンラインで卒業できたりするなど,相当に大学の自由度が高い仕組みになっておりますので,現行制度について見直しを求める御意見は余りないというのが現状ではございますけれども,一部,規定が古くなっている部分もございまして,それが例に挙げさせていただいているところでございます。
 例えば印刷事業の規定につきましては,本やCD-ROMといった有体物を前提とした書きぶりになっておりまして,例えばクラウド上に資料をアップロードして学生がそれをダウンロードして使うといった方法が,規定上は想定されていないということがございます。また,放送授業につきましても,設置基準上は放送その他これに準ずるものとなっておりますが,ここにインターネット配信が含まれるかどうかなど,これに準ずるものの範囲が必ずしも明確ではないといったこともございます。こうした規定ぶりについては時代の変化に応じてアップデートをする必要があるのではないかということで,例示として挙げさせていただいております。
 3点目として,質保証の観点を踏まえた今後の遠隔授業の在り方について,私立大学通信教育協会のガイドライン等,団体や大学における質保証のための取組状況や,通学制におけるコロナ禍での特例的な取扱いを活用した様々な創意工夫,技術の進展の状況なども参照しつつ,その成果や課題を検証しながら引き続き検討することとしてはどうかとさせていただいております。
 既に先生方からも御意見いただいているところでございますが,コロナ禍という非常時の遠隔授業の実践をもって基準の改正に結び付けるということは,拙速で適切ではないのではないかと御指摘も頂いておりまして,この点については引き続き成果や課題を十分検証しつつ,基準の見直しの必要性等を検討していく必要があるのではないかという形で論点として挙げさせていただいております。
 6ページ目以降は参考資料になっておりますので,適宜御参照いただければと思います。
 簡単ですが,説明は以上でございます。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。取りあえず,通学制・通信制,制度上の問題を中心に御説明いただきました。これまでの議論の中に既にその観点は入っておりましたけれども,何か御質問,それから御意見があればと思います。授業形態としてのオンラインかどうかという議論は置いておいて,制度の問題について御発言いただければと思います。
 では,小林委員,お願いします。

【小林委員】  先ほどの議論の中でミネルヴァ大学という事例が出てきたのですが,ミネルヴァ大学はオンラインで授業するのですけども,全寮制で,世界6か国か7か国を回ってインターンシップをしていくというような授業形態で,キャンパスを持たないため、授業料は通常のリアル型の授業料の4分の1で済むという形になっていると思います。これはフランチャイズ契約によって世界中で作れることになっているのですが,これは日本の設置基準でいうと,通信教育になるのでしょうか。それとも通学制の大学になるのでしょうか。これを日本で作ろうとしたときに,何が制度的な制約になるのかというのを教えていただければと思います。

【吉岡部会長】  では,次に吉見委員,米澤委員の発言を伺っている間に,事務局,今の答え,直接答えられるかどうか,検討をお願いします。
 では,吉見委員,お願いします。

【吉見委員】  ありがとうございます。これは事務局への半分質問ですけども,私,通学制の大学が全部通信制になればいいと思っているわけでは全くないのですが,しかしながら,通学制の大学が通信制の大学に学ぶべきことはかなりあると思っています。
 それはどういうことかというと,なかなか日本の大学で突破できない,非常に極度な年齢的同質性を,既に通信制の大学は突破してしまっているわけですよね。非常に多様である。年齢的にも職業的にも極めて多様な学生が集まるという状況が通信制においては既に実現している。
 もう一つは,通信制の大学の場合には,入り口管理ではなく,出口管理に完全になっているという,これも通学制の大学がなかなか突破できない論点を突破しているというところがあるかと思います。
 それがすぐさま通学制に移行できるわけではないのですけれども,なぜそれができているのか,また,どうすればそれを少しずつでも,あるいは部分的にでも通学制の中に埋め込んでいけるのかということが問いだと思います。
 そのときに,幾つか,通信制の大学で非常にダイバーシティーが実現している,出口管理になっていることの背景的な要因というのは当然ながら考えられるわけです。1つは経済的な安さ,授業料の安さ,これが1つですね。それからもう一つは,オンラインや通信制であることによって,様々なハンディキャップを比較的容易に超えることができるという,オンラインで言われていることと同じですね。それから3つ目は,重なりますけども,時間を自由にマネジメントしていくことができるので,自分の仕事とバッティングしないということ。それから4つ目には,多分通学制だと,現状の大学が極めて同質的ですから,全然異質な人が入っていったときに,何か圧力を受けるというか,圧力というか心理的なですね,そういう面が通信制だとないので,どんな人でも割とある種の同調圧力を感じないでやっていけるというようなことが普通考えられるわけですが,だけど,そういうことが実態としてどういうふうになっていて,そして,通信制の大学で実現している,つまり,ダイバーシティーを支えている要因がどういうふうに作用しているのか。また,それは通学制の中にどういうふうに組み替えていけば導入していくことができるのかという検討が,まだ十分にはなされ切れていないような気がします。
 ですので,これはむしろ文部科学省の方々に,その辺のリサーチ,サーベイと,それから制度的な活用ということについて,是非御検討いただきたいと思います。

【吉岡部会長】  では,米澤委員,お願いします。

【米澤委員】  先ほどありました事務局のまとめの論点の最後のところで,要はいろいろ参照しつつ,引き続き検討するというところで終わっているのですけれども,コロナ明けが目前に来ている感じがしていて,大学では例えば来年度,再来年度の授業をどういうふうにするのかということは当然考えているわけですけども,そのときに間に合うのかというのが正直一番不安なところで,ある程度見切り発車をしていかなきゃいけませんが,現状のやり方だと規制緩和の枠の中で決まってしまったものが結構な効力を持ってしまうようなやり方がいいのかというのは少し気になっています。
 したがって,何らかの形でタイムラインを示して,具体的にできるところからかなりフレキシブルに動けるような体制を作ることが必要かと思います。
 以上でございます。

【吉岡部会長】  飯吉委員,お願いします。一旦,そこで止めたいと思います。

【飯吉委員】  先ほどのミネルヴァに関連した小林委員のご質問に関することなので,もし事務局の方でお答えされる準備ができていれば,それに続けさせていただいた方が重複が避けられるのではないかと思います。

【吉岡部会長】  分かりました。では,よろしいですか。事務局,ミネルヴァの話をお願いします。

【大塚専門教育課課長補佐】  失礼します。通信制の大学ではフルオンラインで実施可能ですので,通信制の大学としてミネルヴァ大学のような授業を実施するということは可能でございます。
 ただ,通信制の大学であっても校舎等は保有している必要がございますので,その点はネックになってき得る点かなと思います。
 以上です。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。では,飯吉委員,お願いします。

【飯吉委員】  ありがとうございます。今のご説明の通りで,ご存じの方も多いかと思いますが,ミネルヴァ大学は,もともとミネルヴァ大学を作ろうとして作られたわけではなくて,当初はKGIというシリコンバレー発の教育ベンチャー企業が,独自に開発した新たなカリキュラムを既存の大学,特にトップ大学の教育プログラムに埋め込んで使ってもらおうと,売り込みをかけたわけです。ただ,やはりトップ大学であればあるほど,自分たちのカラーややり方が大事ですので,そんなものは入れたくないということで,ことごとく断られた結果,KGIは,それならば自分たちでそれを前面に出した大学を作ってしまおうということで,ミネルヴァ大学が作られました。
 それが大成功して話題になっているわけですが,例えばアジアであれば香港科技大学など,既に自分たちの教育プログラムの中にミネルヴァ式のカリキュラムを入れている大学もあります。
 それを考えれば,今の日本における通学制でも,一応半分までオンラインでカバーできるのですが,そこにミネルヴァ式カリキュラムを入れてしまうと,恐らくその大学がミネルヴァ式カリキュラム以外にオンライン授業でやろうとしているものができなくなる,というような弊害が起こると思われます。
 先ほど宮内委員も言われたように,外国勢がいろいろ参入してくると,そこでまた「国内の大学だけでなく外国の大学とも戦うのか」という話になるとも思いますが,カリキュラムの一部に,たまたまミネルヴァは外国産ですが,他で考案・開発されたものをブレンドしてよりよい大学にしていくということは今後十分にあり得ます。そう考えれば,ある意味で日本の大学のDNAをこのような形で自由に一部変えるということなのかもしれませんが,このようなことを制度的にやり易くしておいた方がいいと考えます。
 そこで(法令に定めれているメディア授業により修得可能な単位数の上限としての)60単位という数字がどうなのかという話があるので,その辺は,やはりよく議論していただきたい。恐らく学位に必要な単位の半分以上を超えると通学制と呼べなくなるという理由等で60となっているのではないかと推察しますが,「何をもって」という根拠の部分が大事だと思います。
 あと,設置基準に関しては,先ほど小林委員からもご説明があったように,ミネルヴァ大学は全寮制です。通学制の大学設置基準の観点から見れば,(学生がオンライン授業を受講する各自の寮の部屋は)教室ではないので教育施設には該当しません。また,ミネルヴァ方式については,オンライン授業の部分だけが取り上げられることが多いですが,PBL(Project/Problem-Based Learning)とか,地元のコミュニティーに対して教育的活動を通じて社会貢献をおこなうサービス・ラーニングというような部分も非常に高く評価されています。
 ただ,こういうものを実際に大学設置基準にどのように入れ込んでいくかを考えると,なかなか難しい。つまり,ただ寮があるということではなくて,寮があることで(授業は全てオンラインでも)生徒同士が対面で会える,その地域で教育的活動を授業外で行えるのが革新的なところなので,例えば大学設置基準では教育施設の面積等の基準が定められていますが,できれば今的には,もう少し柔軟に校舎・教室等の面積とか図書館の面積などは扱われてもいいのではないかと考えます。
 以上です。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。
 よろしいでしょうか。すみません,私が無知なところもあるのですけど,設置審の審議なんかをしていると,日本の大学も,通信課程を持っている大学というのは結構出てきます。表の上ではそれは通信課程として,一応定員として表の上には出てくるのですけれども,多くの場合,実はその定員って非常に大きくて,実際にそこに登録されている学生数は実はすごく少なかったりします。
 そういう意味では,日本でも,通常の大学というと変ですけれども,4年制の大学の中で通信課程を持っている大学はかなりあるので,その辺のところを事務局の方で,実態といいますか,実際どういう大学がそういうのを持っているのかというようなことが分かれば,参考になるかなと思います。実際にどういうことが行われているのかということも考えてみたいと思います。
 前期の,前の期のときに放送大学からの話もちょっと伺いました。通信制等の問題というのは,先ほど吉見委員の話にありましたように,ここにいらっしゃる方々は余り通信制の経験のない方が多いと思いますけれども,恐らくいろいろ学ぶべきところはあると思いますし,逆に通信制の今後というのも,今日の事務局のレポートの中にも出てきますけれども,明らかに技術的にはインターネットの発達によって全く変わってきている状況があるので,そちらの方もここでは考えていく必要があるだろうと思います。
ありがとうございます。ここでこの問題を一旦止めまして,続いて,設置基準等の議論に入りたいと思います。
 事務局,説明をお願いいたします。

【一色大学振興課課長補佐】  失礼いたします。それでは,資料2-1,資料2-2に基づき,御説明をさせていただきます。
 前回の部会では,時間の関係上,資料の説明のみとなりましたけれども,前回説明した論点に加えまして,学内組織等及び実務家教員等の関連する論点を,資料2-1の9ページ目以降に追加しております。なお,参考資料1について,前回もお配りしましたけれども,大学設置基準の構造を示すためのものとして配付させていただいておりましたが,前回,委員からの御指摘もありましたので,2ページ目に趣旨等の総則関係についても明示的に示す形で修正しておりますので,審議の際,適宜御参照いただければと思っております。
 それでは,資料2-1を御覧ください。前半8ページまでは前回御説明させていただいておりますので,論点を中心に簡単に御紹介をさせていただきます。
 3ページ目まで進めていただいてよろしいでしょうか。最初の論点として,設置認可制度に関しまして,大きく3点,論点を掲げております。
 1点目は,事前チェックである設置認可制度そもそもについてどのように考えるかということでございます。平成15年の準則化によって,事前から事後へという流れの中で見直しが行われたものでございますけれども,以降,中央教育審議会答申等においても,事前評価の必要性等が指摘されているところでございまして,そうした役割等の重要性も考えますと,今後も一定の役割として必要性があるのではないかと考えておりますけれども,本部会の御意見を伺えればと考えております。
 2点目は,その設置認可でございますが,適切に教育課程を実施する体制等を確認する観点から,教育課程を編成する単位で最低限必要となる教育資源である教員や施設設備等を確認するという基本的な仕組み,フレームワークについてどのように考えるかということでございます。ここで特に確認いただきたいのは,教育課程を編成する単位ということと,必要最低限の資源というその関係性について,基本的な仕組みのままでいいかという観点で御確認いただければと思っております。
 3点目は,学位分野を変更する場合も設置認可が必要となるというのが現行制度ですけれども,その仕組みについてどのように考えるかということでございます。
 米印を新たに追記させていただいておりますけれども,設置認可の際に,分野の変更等を判断する基準として,告示において,資料2-2の7ページにもございますが,現在,19の分野が定められております。その分野の種類についても,そのままでよいかという論点を補足しております。これらは設置認可制度の基本的枠組みやシステム全体にも影響する論点であることから,まず初めに委員の皆様の共通認識を得るためにも,審議いただければと思っているところでございます。
 続きまして,専任性についての論点を御説明させていただきます。ページが飛んで恐縮ですけれども,7ページ目を御覧ください。専任の概念についてですけれども,従来,講座制や学科目制において,専任の教授等が担当するなど,教員組織における教育実施体制に関連して基準上規定されておりましたが,その講座制・学科目制の規定は平成18年に廃止されているところでございます。
 また,専任の判断も,現在,基準上,必ずしも明確ではなく,設置認可審査の際,個々の教員の状況を確認し判断していることなどから,今回,専任の概念から転換し,最低限の教育資源としての教員数を算定するという観点から,より客観的な定義に見直す方向としてはどうか。
 その際に,教育の安定性・継続性や組織運営上の必要性の観点から常勤性を基本として考えるとともに,非常勤教員についてもチームの一員として授業を行うことが想定されることなどから,実際に教育を担当する業務量に基づく柔軟な算定方法が行えるよう定義を見直してはどうかということでございます。
 この場合において,見直し方の例として,2点,参考に掲げさせていただいておりますけれども,1点目は,本務教員で原則整理しつつ,兼務教員についてもフルタイム換算により教員数を算定するといった方法が1つ。もう一つは,専門職大学においてみなし専任教員規定というのがございますけれども,年間一定単位数以上の授業科目を担当する人数で整理するといった考え方などもあると思います。こうした専任教員の見直し方そのものについて,また,見直す場合の具体の定義の仕方について,御審議いただければと思っております。
 次に,8ページ目になりますが,こうした見直しと併せ,個々の授業科目を1人の専任教員が担当するという科目主義的な考え方から,組織的かつ体系的な教育課程編成の下で,必要となる授業科目の開設やチームとして教育を実践する体制に転換していくという方向で見直してはどうかということでございます。
 具体的には,後ほど御説明させていただく学内組織等に係る論点や,米印にもありますが,学生であるティーチング・アシスタントやスチューデント・アシスタントなどの教育補助者も参画できるよう,設置基準上,明確に位置付けてはどうかということでございます。
 続きまして,算定する教員数の定義についても整理が必要かという論点でございます。見直しの例として,3点掲げております。
1点目は,現在の別表について必要な教員数が定められておりますけれども,今の各分野別に必要な教員数を定めているものでもあるので,その数をそのまま活用してはどうかという観点でございます。
 2点目は,この際,改めて分野別に別表を見直していくかどうかということでございます。その際,各分野別に専門的見地からの審議が必要となることから,分野を含め,どのような形で,いつ頃までを目指して議論するかといったことについても併せて御意見いただければと思っております。
 3点目は,見直し方として,卒業修了に責任を持つ体制を確保するという観点から,指導可能な学生数の上限を基準として定め,学生数に比例的に最低教員数を算定するという考え方でございます。現行においても,分野によらず,別表で定める学生数を超えた収容定員を定める場合については,収容定員400名につき専任教員3人という考え方をなされております。
 こうした算定方法の変更などが考えられますけれども,これらについて御審議いただければと思っております。
 なお,専任教員の論点に関連しまして,本日,当日配付資料としてお配りさせていただいているものがございます。先ほど委員からも御指摘がありましたけれども,データとしまして,ここで挙げました本務教員,また,兼務教員の実態についてまとめたものでございます。
 1ページ目の左にあるのが本務教員であって,右側が兼務教員の数になりまして,下のグラフが本務教員1人当たりの学生数,また,右側の下のものが本務と兼務を合わせた場合の1人当たりの学生数の推移でございます。
 2ページ目を御覧いただきますと,本務教員1人当たりの分野別学生数がございます。また,その分野別について,本務・兼務を足した場合の割合であるということ。また,下側に行きますと,大学規模別の数,また,それに対して,本務だけでなく兼務を足した場合の割合というのがあります。
 なお,2ページ目の上側にあります左の分野別のデータですけれども,こちらは学校基本調査と学校教員統計調査を掛け合わせて作っておりますが,こちらで公表されているデータの分野別というのは,当該教員が専門として主たる分野を1つ記入するという形で書かれておりますので,所属組織の分野というよりは,教員の専門分野ということとなっております。
 そのため,4ページ目を御覧いただきますと,これは逆に所属別に整理し直したデータになりますが,こちらになりますと,ST比がある意味,悪くなる,数値が高くなるということになっております。
 この要因としましては,1つは,教員統計調査で数えられます教員数について,必ずしも学部等に所属していない教員というのがあります。附属研究所であったり病院であったりというところでございますけれども,そういったものが5分の1程度,3万5,000人ほどおりますので,その影響が出てくるというものでございます。また,それぞれ所属組織の分野とは関わらず,その先生の専門というのは別途ありますので,その影響も出ているものがあると考えておりますので,設置認可という観点から見ますと,4ページ目で示しております分野別の数字の方が,より実態を表しているものかと考えられるものでございます。
 以上,こういったデータも踏まえながら,専任教員数について御審議いただければと思っております。
 また資料2-1に戻りますけれども,9ページ目を御覧いただければと思っております。先ほどまでの論点は,教員個人を中心とした論点となっておりますけれども,組織的な教育の実施の重要性については,過去,幾度も中教審答申で指摘されているところでございます。
 他方で,設置基準上では,どの学内組織が何を担うかなどの関係性等については明確となっておらず,事務組織の役割等も必ずしも明確とはなっておりません。
 次に,10ページ目を御覧ください。こちらは平成30年度の大学における教育内容等の改革状況についてでございます。3つの方針の達成状況に関する点検・評価を行う大学は8割程度ございますし,半数以上の大学は何らかカリキュラム編成上の工夫が行われているというような状況でございます。
 次に,11ページ目に移らせていただきます。全学的な方針による組織的な教育を全学部で展開できている大学は49.3%,約半数程度でございますけれども,また,体制整備等も一定の割合でそれぞれ取り組まれているところではございますが,必ずしも全ての大学に十分浸透しているというまでは言えないという状況と認識しております。
 次に,12ページ目を御覧ください。事務局・事務職員の関係の一例としてデータを出しているものでございます。教職協同の取組を行うよう設置基準上規定されておりますけれども,その影響もありますので,ほぼ全ての大学で何らかの取組が行われているという状況でございますが,就職支援であったり学生募集などの学生支援関係は比較的高い数値を出しておりますけれども,教育方針の立案・推進であったり諸政策の立案など,教学マネジメントに係るような取組の割合は,それに比べて低い傾向にあります。
 また,IRを担当する専門部署や,また,そういったものを置かない場合については委員会を設ける大学などもございますが,それは併せて7割程度ございますが,専任の教員や専任の事務職員を置く大学は限定的になっております。
 次に,13ページ目を御覧ください。昨年度の委託調査によりまして,教学マネジメントの確立に資する好事例を収集したものの一部となっております。
 左上の事例でございますが,アセスメント・プランを策定し,それに基づく定量的な目標設定と点検・評価を行うことで,学内の評価文化の定着,また,評価負担の軽減につながったという例がございます。
 左下になりますけれども,ディプロマ・ポリシーに沿って,カリキュラムマップの作成や履修モデルの作成,また,アドバイザーによる履修指導を行うことによって,開設科目の偏りの把握や,カリキュラム調整が容易になるといったこと,また,将来的に,学修記録等からの課題の早期発見やアドバイザーによる積極的支援の可能性があるということでございます。
 右上に行きますけれども,教学IRの分析によって,部課長等会議を通じまして教育改善を検討し,FD・SDを通じて実施して体現していくことによって,教育点検のPDCAサイクルを作成し,教育活動の改善に反映しているという事例でございます。
 右下でございますが,クォーター制の導入等によって,週2回同一授業科目を開設するといった例や,そうしたことも含めて,科目数のスリム化を実現すること,それを通じて,学生の教育満足度向上や自学自習時間の増加につなげたという事例もございます。
 次に,14ページ目に移らせていただきます。学内組織関係の論点でございますけれども,内部質保証の実質化に向けて,大学全体で組織的・体系的な教育課程の編成等を行うことが必要ではないか。そのための体制の在り方としてどのようなことが考えられるか。また,事務組織・事務職員の役割・位置付けについても一体的に見直すべきではないかとさせていただいております。
より詳細な論点としまして,以下の例として3点ほど掲げさせていただいておりますが,1点目としましては,教員と事務職員等の協働によって全学的・組織的に運営するという理念が明確化されるよう,設置基準上の関係規定を一体的に再整理してはということでございます。
 2点目としましては,設置基準上は既にSD・FDともに研修の義務化はされておりますけれども,組織体制の整備と併せて,教職員の資質向上も重要な課題でありますので,法令上の位置付けのみならず,SD・FDの充実を図るために,国や大学団体,大学等の各主体が担う役割としてどのようなことが考えるかということでございます。
 3点目としまして,大学業務が複雑化・多様化する中で,IRや入試業務など分野ごとに一定の高度性・専門性が求められる業務が生じております。こうした業務への対応,また,教職員の負担軽減を図る観点等からも,専門的に対応する組織や担当する教員,事務職員等を置くよう努める旨の努力規定を設けてはどうかということでございます。
 ただし,大学の規模や,当該大学によって必要となる機能も変わってくることなどから,大学の規模や必要性に応じるといった一定の留保も併せて考えてはどうかということでございます。
 次に,15ページを御覧ください。1点目は,先にお示しした論点と重複しますが,ティーチング・アシスタント,また,スチューデント・アシスタントなど,教育補助者の位置付けを法令上明確にしてはどうかということでございます。
 なお,遠隔授業の基準であるメディア告示上,いわゆるオンデマンド授業においても,指導補助者が指導するということは認められておりまして,省令上もそうした指導補助者の関連を明確化してはどうかということでございます。
 次の論点は,学生も大学の一構成員ということでございますけれども,その学生が大学にどう関わっていくかということについてどのように考えるかということでございます。現に,学生に対し授業アンケートを採って,その結果を踏まえた授業改善を行う大学や,また,授業の企画や運営に学生が参加することを認めている大学などもございます。
 構成員の一つである学生の関わり方について,設置基準上位置付けるか,若しくは運用等で行うのかといったことも含めて,その在り方について御審議いただければと思っております。
 次に,16ページ目を御覧ください。論点が変わりまして,実務家教員についてになります。ここでは専門職大学を例に取り上げさせていただいていますけれども,専門職大学におきましては,必要専任教員の4割以上が実務家教員であるということが規定されておりまして,また,その半数以上は研究能力を併せ有することなどが求められております。
 次に,17ページ目を御覧ください。実務家教員の要件でございますが,経験年数だけではなく,具体的な実務の実績を示すことが求められております。例えば専門学校の教員歴そのものは実務の実績としては取り扱わないということを示しておりますけれども,その教員が業界の実務者に対する指導を行っている,又は実務者に広く用いられるテキスト等を執筆しているといった場合には,実務の業績として評価され得るとしております。
 また,研究能力に関し,企業等での研究上の業績については,著書や論文等の学術上の業績を必要とするものではなく,実務上の実践知識の形式知化,又は構造化・理論化し,発表したものなども業績として含み得るということを示しております。
 なお,大学設置基準上も,専門職学科では専門職大学と同様の規定があるなど,実務家教員の規定もございます。
 次に,18ページ目を御覧ください。以上のように,定義については一定示しているところでございますが,審査の過程で幾つかの課題等の指摘がなされており,例えば実務家の研究業績に係る定義に関し,理容や美容,調理等の分野などでは研究のイメージがしにくいことや,申請者側との共通認識が十分でないといったこと,また,実務の実績に関する定義に関し,専門学校での教育実績は含まれないけれども,業界の実務者へのIT研修などは含むといった実績の考え方が分かりにくいといったことなども指摘されているところでございます。
 こうしたことから,論点としまして,実務家教員の定義の明確化を図る観点から,設置認可の教員審査における業績の考え方についてどのような整理が考えられるかということとしております。具体的には,例としまして,業績の考え方を手引きやガイドラインなどで具体的に明示していくという方策も考えられますが,この点についても御審議いただければと思っております。
 恐縮ですけれども,以上となります。よろしくお願いいたします。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。多岐にわたる論点ですけれども,最初にちょっと申し上げましたように,そもそも設置認可というもの,極端に言えば設置認可が必要かという,その問題も含めて,設置認可というのは何なのかということについて,余りこれで時間を取っていると抽象的な議論になっていくに決まっているので,時間はたくさん取りたいと思いませんけれども,設置認可という制度の趣旨及びそれの実際について,御意見があれば伺いたいと思います。
 今,設置認可は必要ないという意見があればそれでも構わないですけれども,そういうところも含めて,設置認可が持っている意味ということについて,何か御意見はございますか。
 永田委員,どうぞ。

【永田委員】  ありがとうございます。設置認可がどういう意味を持っているかという前に,文部科学省並びに部会長に是非ともお伺いをしたいのですが,設置基準の問題では,長年,いろいろな細かい問題もたくさん出てきています。それはご存知のとおりだと思いますが、今回のこの議論では,どの水準で議論をすれば良いのかということを先に決めていただかないと,議論にならないと思います。
 一番重要なのは,大学設置基準の大綱化以来の大チャンスが今回巡ってきたと思ってよいかどうかという点です。つまり今回の大学設置基準に関するこの議論というのは,久しぶりに骨太の議論ができるのではないかと考えることもできます。そのことを文部科学省または部会長が同じように思っていらっしゃるかというのは大変重要なことです。先ほど,土屋先生が大学の文化について述べられました。そのほかにミネルヴァ大学のような新しい事例も出ています。このようなものをそれぞれの事例に合わせて議論をしてもおそらく十分ではなく,我が国の高等教育をどういう形で設置するかという議論を本気でするのであれば,骨太の話をしないといけないだろうと思います。
 そうではなくて,ここに出ている論点のように,既存の基準の中でここの部分についてどうなのか,という議論をするのであれば,それは先ほど米澤先生がおっしゃったとおり,早々にやるべきものは早々にやるのが良いではないか。ところが、そうではなくて,骨太でやるということであれば,早々にできるものではありません。軽々に物事を進めたら良くないことになると思います。
 そのためどちらの覚悟で話合いをするのかによって,個別論点の取り上げ方も全然違うと思います。ちなみに私は,大チャンスが来たと思っています。要するに,大学が山のようにたくさん増えていく中で,どんどん大学の基準を緩めながら進んできた。それはそれでいいと思いますが、それを今,再考するに値する時期に来ている。1つはコロナによって引き起こされた新しい学習方法が非常に重要なメソッドとしてありますし,もっと大きく言えば,これから18歳人口が減っていく中で,18歳人口の減少にどう対応しながら,二度目,三度目の学びの付加を大学として作っていくのかという議論があります。
 そういうものに合った設置基準にすると言うのであれば,本腰を入れてやろうということになるのですが,それは時が来たらその時に考えれば良いというのであれば,今回この論点の中の、どれが喫緊の課題なのかということを示してほしいと思います。
 意見はまた後で述べますが,そこをはっきりお聞きしておきたい。ここにいる委員の皆さんもそう思っていらっしゃるのではないかなと思いますが,いかがでしょうか。

【吉岡部会長】  ほかに御意見はございますか。
 今に関連の議論の方がいいかもしれません。川嶋委員,よろしくお願いします。それから吉見委員,お願いします。川嶋委員,どうぞ。

【川嶋委員】  ありがとうございます。今の永田先生の御指摘と非常に関連していますけれども,私,この前の10期はこの議論に参加していなかったのですが,その前は割と継続的に大学分科会のいろいろなところで参加してきました。
 3期ぐらい前ですけれども,学位プログラムという話が出てきて,その際,今の設置基準が,前回か前々回に申し上げたかもしれませんが,設置基準そのものの立て付けが学部・学科、研究科・専攻という組織を基盤としたものになっているけれども,先ほど御意見があったように,様々な形で大学教育に対するニーズが急速に変化する中で,それに対応するためにその度その度で設置申請をして対応するのは非常に時代遅れではないかという議論もあって,学位プログラム中心の設置基準の在り方に根本的に改めるべきだという議論があったと思います。ただ,それが数年間,放置されてきたというか,余り真剣に議論されてこなかったというのがあります。
 ですから,今,永田先生がおっしゃったように,設置基準の個々の条項を今後どうするのかという方向でこの部会で今後議論していくのか,あるいは,ゼロベースで,日本における大学の在り方も含めて,設置の在り方あるいは質保証の在り方を議論するのかというのは,年内に結論を出さなくてはいけないという制約もあるのかもしれませんけれども,そこは委員の間でしっかりと合意形成をしておくべきかと思います。
 以上です。

【吉岡部会長】  では,吉見委員,お願いします。

【吉見委員】  ありがとうございます。今の永田委員の御意見に私も全面的に賛成です。
 先ほどの説明を聞いていて,余りにも情報が多くて,とても自分の頭では処理し切れなくて困ったなと思っていたのですけれども,そういうときはやっぱり原点に戻って,つまり,教育のクオリティーあるいは学びのクオリティーとは何かということについて,やっぱりこの話は哲学が必要だと思います。教育のクオリティーについての哲学から出発しないと,なかなか軸が見えてこないという気がする。
 少なくとも私が思うのは,3つのことがあると思います。
 当然ながら今の問題は教員のクオリティーの問題と絡んでくるわけですけれども,このときに,教員のクオリティーの問題を個人の問題として考えないということが結構重要じゃないかと思います。つまり,チームティーチングということが極めて重要になってきますから,どういうチームを組むのかということと非常に関係しますし,しかも,若手の教員の場合には,だんだん力をつけていってもらわなくちゃ困るので,そうすると,時間軸の中でそれを考えなくちゃいけない。そうするとほかの先生方との関係というのが重要になってきますから,個人の単位ではない教員のクオリティーというものをどういうふうに考えるかという問題になると思います。
 2番目は,幾つかの教育資源の話が先ほど出ていましたけれども,これまでの議論で決定的にこぼれ落ちていて,しかし,これからますます決定的に重要になってくるのは,前から言っていますけど,資源としての時間だと私は思います。ですから,時間の問題ということ,教育の時間,教える時間あるいは学ぶ時間,この時間の問題をどういうふうにこの哲学の中に位置付けるのかということが2番目の大きな柱だと思います。
 それからもう一つは,分野多様性ということが先ほどちょっと出ていましたけれども,しかし,ますます分野は流動化していく。つまり,分野が変数になってきている。定数ではない。そうすると,分野が変数になっていったときに,じゃあ,そこの定数は何なのかという。個別の分野というのではない形で,しかし,その中にある固定点を見付けるということはどういうことなのかという,これももう一つの論点だと思います。
 何かそういうことを考えながら,ファンダメンタルですけれども,教育の質についての哲学ということから出発する議論ができると有り難いと思っています。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。
 米澤委員,お願いします。

【米澤委員】  ありがとうございます。是非大きな議論をしていただきたいと私も思います。その上で,杉谷委員がずっと前におっしゃったフィージビリティーの問題を少し考える必要があると思っていて,大きな話として,設置審でどこまでやるのか,認証評価でどこまでやるのかということは,少し真剣に考えた方がいいと思います。
 そのときにキーとなるのは,内部質保証という言葉とその在り方ですが,これはどこまでいっても抽象的な指針になると思います。例えば,設置基準の論点で,チームで教えるとかいうのを,TAの話があったのですけど,真面目にTAとか,毎年人が替わるし,リストなんか出せないので,今までみたいにはできないと思います。
 そういうものをどうやるのかといったとき,多分内部質保証についてはそれなりに実践も含めて蓄積があると思うので,その辺の蓄積,それからエビデンスみたいなものをきちんと出した上で議論することがどこかで必要かとは思います。
 以上でございます。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。
 飯吉委員,土屋委員,お願いします。飯吉委員,どうぞ。

【飯吉委員】  大きな話ということで,「杉をたくさん植林した際に,ここまで大勢の人たちがスギ花粉症になる」ということまでは考えていなかったわけですが,「これだけ日本の中で大学が増えてしまい,しかも大学院に進む人が減少し,大学院を出ても就職がおぼつかない」という状況を何とか是正していくことが急務だと思います。
 その意味で,そもそも国が大学の設置認可をするというのは,例えば明治時代を振り返れば,こういう大学を作ってこのように国力を育てたいという大方針があった訳で,ご存じのように,今でもシンガポール等,そういう大きな方針のもとで国が主導して大学づくりを進めていますし,日本でもある程度,このような形で大学や大学院が設置されて,政策的に誘導されてきたということはこれまであったと思います。
 ですから,永田委員が言われたこととも関係がありますが,やはりこのような大きな議論をする時に,よく言われる「日本の高等教育政策にビジョンがない」というのが問題です。一体どのような高等教育の風景を,ひいてはどのようなタイプの大学がどれぐらいあるべきか等について,10年後,20年後,30年後という中・長期的な観点から,大学の設置や設置基準をどう考えるか,さらにはどうやって大学にご退場願うか等も含め議論して進めていく必要があります。ただ「紙上で全部チェック,チェックで,申請し認可されたので大学を新しく作りましょう」では,もう立ち行かないところに日本の社会の中における大学や高等教育が置かれていると思いますので,大きな観点ということであれば,是非これらについて考えながら,大学の設置の在り方について議論すべきだと思います。
 以上です。

【吉岡部会長】  土屋委員,お願いします。

【土屋委員】  ありがとうございました。今議論になったこと,私も前から言ってきたのですが,大きな観点ということでいえば,私は日本の大学が,これからは混合大学,ミックスバーシティに向かうべきだと思っていましたし,これは前にも申し上げました。例えば今のチームティーチングにしましても,分野の融合した教育にしても,あるいはクロス・アポイントメントにしても,海外の大学とのクロス・アポイントメントをやっていくための,例えば教員のクロス・アポイントメントをやっていくためのもし障害が設置基準上あるとするならば,これは解決していかなきゃならないですし,また,チームによるティーチングや,分野融合型の,あるいは学部を超えたカリキュラムや学部を超えた学位ということもこれから議論しなきゃならないと思う。
 そういう各学部が混合した,あるいは各大学が混合したミックスバーシティを実現していくために,設置基準が何か障害になっていないだろうかということは是非お考えいただきたいし,あるいはそれを解決していかなければならないと思います。
 そういう意味でいえば,これまでの議論を1つ1つ具体的に,設置基準が一体どういう,これまでの大学像とは違うものを作っていく場合,どこがネックになっているのだろうか,あるいはそれを解決するためにはどうしたらいいのかということ,先ほどの文部科学省の方の説明でもその解決の方向はある程度示されていると思いますので,是非それを具体的にしていただきたいなと思っております。
 以上です。

【吉岡部会長】  宮内委員,お願いします。

【宮内委員】   ディテールズについて,これだけの人たちが集まって侃々諤々(かんかんがくがく)やるのは本当にもったいない。今,永田さんがおっしゃったような大変革の千載一遇のチャンスです。日本の文化を変える,また,大学文化を変えるというチャンスかなと思って,私もここに参加させていただいております。
 ところで、大学業界に来て驚いたことの1つが,教職員と言いますが,職員の地位が教員に比べ低い,つまり,先生が偉くて職員が2級市民であるような,アンダースタンディングがあるようです。これがまずい。例えば病院ならば,病院経営を回す事務局長がいて,そして医療のテクニカルトップがいるという体制が必要ですね。大学の設置基準等々を議論するときに,経営力,アドミニストレーションの知恵が必要です。経営管理専門分野の知識を活用できるチームを組成する力が必要です。どういう大学を作っていくかというときに,学者中心の計画立案ではなく,大学を経営の専門職として回す人達をもっと入れて議論するべきと思います。
 私は,大学を経営する専門のアドミニストレーションのMBAであるとかドクターコースを作って,大学経営のプロフェッショナルを育てるべきだと思っています。徹底的に質の高い大学を作る為に経営管理専門家をこのチームの中に入れていったらよいでしょう。また,そういう人たちの要請を是非ともこの審議会でまた提言させていただきたいと思っております。
 以上です。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。
 永田先生からのところに直接お答えすることになるかどうか分からないのですが,私も基本的には同じように考えております。永田先生の大学分科会の,ここは下の部会ですので,私としてはどういうふうにこちらのミッションを立てていいのかなというのはちょっと迷うところがあるのですけれども,つまり,大学分科会で議論した方がいいのかなと考えているところはありました。
 というのは,この部会の名称からというか,最初のミッションが,質保証システム部会で,システムという点にかなり限定された形で定義されていたというところがあります。直接には,つまり設置の基準及びその審査,それからその後のアフターケア等々,そして認証評価という,その3段階システムをどうするかという形で議論を始めるというのが基本だっただろうと思います。
 おっしゃるとおり,これまで大学分科会も含めて議論されてきたことのほとんどあらゆる論点が,ここに今,実は集中しているのです。というのは,例えば設置基準の個々の基準についてかなり技術的なように見えるものであっても,大学をどうするかということに全部関わっているということですね。
 私もやや大きな論点を立てていった方がいいと思っております。すごく大きく言うと,日本の社会の中で大学がどういう役割をしているのか,その中で教員は何をするのか,職員は何をするのか,大学というのが学生,教職員で構成されていて,地域の中に存在しているのであれば,その構成員が何をすべきなのかということ抜きには,設置基準を考えても,非常に些末(さまつ)な議論になって,余り面白くなくなっていくというのはおっしゃるとおりだと思います。
 そこで,もう一度整理いたしますけれども,やはりそういう意味では,少なくとも日本における大学,あるいはこれだけグローバル化が進んだ世界の中で,日本に少なくとも今のところキャンパスがあると言った方がいいかもしれませんが,その大学がどういう方向を考えるか,それから地域というのが,特に地方の,日本の地方というのがある意味で劣化していると言われる中で,あまねく日本の地域に大学があるわけですから,それがどういう役割をしていくのかということを考えないでは議論が進まないというのはそのとおりだと考えています。
 そこをどういうふうに議論を組み立てたらいいのかというのはずっと考えているのですけれども,基本的な考え方は,そういう意味では永田委員がおっしゃったことと私は,問題意識としては同じようなものを持っております。
 答えに全然なってないですけれども。事務局,今の論点についてどういうふうに考えているかということがあれば。

【堀家高等教育政策室室長補佐】  先生方,御議論ありがとうございます。事務局でございます。大変重要な御指摘,また,今後の議論の進め方に関する大変示唆に富む御議論だったというふうに聞かせていただいております。
 大きなビジョンという意味ですと,第8回,今期11期の一番初めの議論を始めるに当たって,議論のコンセプトという形で一度先生方に御議論いただいているところでございます。そのときの資料といたしましては,今回の質保証システムの見直しというものが,まずグランドデザイン答申から来ていて,そこにおける学修者本位の大学教育をどう実現するのかという観点,また,第10期における先生方の御議論の中から出てきました社会に開かれた質保証をどのように実現していくのかというものが大きな方針であろうという形で,そこから具体的に各制度を見ていくに当たっての視座といたしましては,客観性の確保や,厳格性の確保,透明性の向上,そして先導性・先進性の確保というような視座を持って議論していただいてはいかがかという形で御提案をさせていただいた次第です。
 そのときの議論の中では,そこから柔軟性という観点も必要ではないのか,また,実行可能性という観点も必要ではないのかという形で先生方から御提案を頂いておりまして,そうした中で,一定程度,先生方の今回の質保証システムの見直しに当たっての視座を,少し共通認識を作っていただいた上で,御議論に臨んでいただくというような,事務局としては,仕掛けにしていた次第でございます。
 恐らくそこで,もう少し大所高所といいますか,高等教育全体を見渡すようなビジョンという中で,この質保証システムの見直しというものをどのように見ていくのかという観点も更に必要ではないのかということかなと思いましたので,次回以降,また今後,先生方に御議論いただくに当たって,どのような視座を持っていただきながら議論していただくのかというところは,よく部会長と御相談をさせていただきながら進めていければなと思っています。
 また,それぞれの個別の制度に関して今御議論いただくという構成にしておりますけれども,質保証システム全体は,例えば設置基準に関して見直していくと,それは制度を緩めるのであれば,認証評価でどのように見ていくのか,どのように情報公表で担保していくのかというような形で,正にシステムとして全体として動いていく,全体を考えながら議論していく必要があるものと思っております。
 そうした中で,些末(さまつ)な点かもしれないですけれども,まず設置基準というところでどのようなことが必要になってくるのか,正に先進性・先導性を確保しつつ,客観性を確保し,透明性を向上し,厳格性を担保していく上で,設置基準の見直しをどのようにしていくのかという観点から御議論いただきつつ,また,全体に戻っての大きな議論という形で,総論,細かな論点と大きな論点というものを往還させていきながら,この質保証システムの議論を進めていただけるとよいのかなと思ってございます。
 事務局からは以上でございます。

【吉岡部会長】  やや事務局的なことを言いますと,グランドデザイン答申でも,それから内閣府の答申等でも,要するに設置基準の根本的な,全面的な見直しということが言われているので,それを受けてという部分がどうしてもあるのだろうと思います。それが多分,設置基準ということが直接の手掛かりになっているということだと思います。
 ただ,ここでの議論が小手先の技術的なものに閉じる必要はないと私は思っておりまして,例えばここで専任教員についての考え方というのは,やはり大学の中での教員の役割であるとか,それこそ大学分科会の方でやっている教育と研究の両輪のような言い方で表されるものを反映させるということだろうと考えてはいます。具体的な議論の中にどういうふうに入れるのか,時間も限られているのでなかなかうまくいかないところはあるのですけれども,そのことは常に念頭に置いておくべきだと思っております。
 いかがでしょうか。大事な点ですので,今日の予定が少しずれ込んでもかまわないと思いますので。
 飯吉委員,お願いします。

【飯吉委員】  専任教員についてですが,資料2-1の7ページ,8ページ目の丸4 ,丸5 の辺り,提案されていることには基本的に大賛成なのですが,大変難しいだろうとも思います。専任の判断基準が現在でも明確ではなかったのかということを改めて文部科学省の方から言われて,ややショックでもありました。個人的には,日本の大学に赴任して10年経ちましたが,やはり専任というと,日本的なテニュアの教員というイメージがあります。海外の大学のようなしっかりしたテニュア審査を行うべきかという課題もありますし,さらに特定教員のような任期付の教員の数も増えており,大学教員職の不安定さも増しています。国立大学だと,任期に絡んだ教職員の雇い止めのような,ややこしい問題もあります。
 そのような中で,非常勤講師,これは日本の大学で非常に多くなっているのはご承知の通りですが,非常勤講師率が全教育担当教員数の半分を超えている大学や部局もあります。例えば「アメリカの大学ではテニュアを持っていない教員が全体の3分の2いるのだから,それに近付いているだけのことだ」というような乱暴な議論もあるのですが,そもそもアメリカの場合,もう少し大学教員の役割分化がしっかりしています。テニュアを持っていない教員が皆非常勤という訳ではなくて,例えばトップ大学では,シニア・レクチャラーと呼ばれるようなノンテニュアですが教育専従のフルタイムの教員がかなりいます。この人たちは給料や待遇も非常によく,業績は教育のプロとして教育業績を中心に評価されています。こう教育担当の専任教員がいるので,教育と研究の両方をやらなくてはならない教員は大分助かっている訳です。さらに,TA(Teaching Assistant)やSA(Student Assistant)等の,しっかりとトレーニングを受け責任を持って教育・学習活動を支援する学生たちもいます。
 このように,フルタイムの教員と言っても,今のアメリカの例のように,100%教育担当の教員もいることなどを踏まえ,今後,日本でもこのような教員の役割分化が進む可能性を考えると,教員数を単に頭数で数えるのは乱暴なやり方になるので,今後は改めた方がいいと思います。
 とは言え,その辺のエフォート率等をどれぐらい細かく見ていくのかは難しいところです。資料2-1ページ8で提案されているように,「全体の体制としてのパフォーマンス」が十分かどうかをどのように測るか。もちろん,そこに既存の専任の教員数というのは一つの指標としてはあっていいと思いますが,それだけで測るという時代では、もはやないのではないかと思います。
 以上です。

【吉岡部会長】  いかがでしょうか。大森委員,お願いします。

【大森委員】  ありがとうございます。先ほど来の議論に関しての意見ですけど,私も永田先生がおっしゃったことはすごく大事なような気がしていて,設置基準が必要かとか設置認可が必要かみたいな,そもそも要らないのではないかという議論とかも,もしできるとすれば,例えばそれが要らないということは,本当にすごくいいかげんな大学ができるということも許容しましょうという,ある意味で社会的な合意を持つということですよね。そこを選んじゃった学生は,選んだ側の責任もあるというような,消費者に任せるみたいな,それでも日本の大学は,いろいろな多様なのがもっとたくさん出てきて,競争した方がいいというような覚悟をするのか,いや,そうではないと。やっぱりそれでは余りにも学生がかわいそうじゃないかとか,何かそういう議論がないと,個々の意見,つまり,永田先生がおっしゃったとおりで,大学がこれからどうあるかというのがないといけないという気がして,会議の在り方として,正直言うと,個々の条項を議論するには,この人数もちょっと多いなとか,それから,これだけの先生方がそろっていてというのは,やっぱりこの全体会はちょっと哲学的なことをもう少し議論した上で,もし個々の条項について少し具体的に急いで議論しなきゃならない部分もあるとすると,この部会の中に更にワーキングみたいなものがあって,原案提案型で,こんな原案を作ってみたけどどうかというふうにしないといけないのかなんていうふうにも,すみません,とても僣越(せんえつ)なことを申し上げているのは承知ですけれども,そのように感じました。
 会議の持ち方というか,全体で話すことと,個々の条項についてということは,ちょっと切り分けながら,同時並行せざるを得ないと思うのですけれども,会議の持ち方について感じたことを申し上げました。
 以上です。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。私も引き受けるまではこんなに大人数の大きな会議だとは全然思っていなかったので,いろいろな方々が発言されて,私,面白いと思っていますけれども,これがまとまるのかと若干不安に思っているところは確かでございます。
 濱中委員,お願いします。

【濱中委員】  ありがとうございます。事務局からは,設置認可のことについて議論した上で,認証評価の議論に移るという流れを説明していただいたと思いますが,今改めて考えますと,評価や質保証が「事前規制から事後評価へ」と軸足を移したのであれば,事前規制の方から議論することにどれほどの意味があるのかなということを素朴に思いました。設置後,しばらくすれば認証評価を受けなければいけないわけで,また,今後の情報公表のあり方次第のところがありますが,情報公表が質保証につながる可能性も考えられます。つまり,事後評価である認証評価,情報公表について議論し,整理したうえで,「だったら事前規制はこうあるべきではないか」と議論する方が,自然なような気がしました。
 設置認可に関して喫緊に解決しなければならない,例えば時代的に余りにもおかしいというようなことがあれば,今,議論してもおかしくないと思うのですけれども,やはり事後評価のことを考えて,情報公表のことを考えて,また振り返ってこちらのことを議論するということも一つかなと思いました。
 以上になります。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。
 前田委員,お願いします。

【前田委員】  ありがとうございます。頭の中が混乱して,まとまっていないのですけれども,今までも大きく制度が変わるとき,例えば専門職大学院ができるというときに,その質保証はどう保証すべきかという議論は余りされないままに来たと思います。ですので,今,新しい専門職大学院ができると,そこを誰が認証評価するのか,慌てて認証評価機関を作らなければいけないというおかしな状況になっています。
 比較的大きな課題というのはいろいろ文部科学省の方で挙げてくださいましたけれども,このようにまだほかにも課題があるのではないか。そういう大きな課題も考えながら,設置認可のことを,事前として何をやるべきか,その後,質保証が何を認証評価で担うべきなのかというのを整理する必要があるのかなと思います。
 ちなみに,アメリカだと設置認可は州ごとでやっていて,認証評価の段階では州とは関係なくやっていますので,大きな変更があるときは認証評価機関が,報告書を出してもらって,事前に実地に見に行って,それで認めないと変更させてもらえないというようなことがあるので,意外に大変です。
 これだけ大学数が多い日本において,今,認証評価機関にそれほどの大きな負担は負えないだろうと思っていますので,やっぱり設置認可は必要だと思います。
 あと細かいことですけれども,今,専任教員の定義ということがいろいろ問題になっていまして,それはそれで難しいと思うのですが,今の設置基準の別表というのは,大綱化以前のものをそのまま使っています。大綱化以前は意味がある程度あったと思います。1・2年生は教養教育,3・4年生で専門になるということで,3・4年生と専任教員の数というのがある程度考えられて別表があると思います。私もそういう感覚もっていましたが,今,それがなくなって,以前の一般教育の必要教員数は、大学全体でこれだけいればいいということになっているので,専任の頭数ではないという御意見もありましたけれども,それ以前に、やはりこの別表は見直さなければ,今までどおり使っていく意味はないだろうなと思っています。
 すみません,まとまらない意見をいろいろ雑駁(ざっぱく)に申し上げましたけれども,以上です。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。
 瀧澤委員,お願いします。

【瀧澤委員】  どうもありがとうございます。瀧澤です。毎度,素人の意見で申し訳ないのですけれども,今日の前半のハイブリッドか従来型の通学制かという話ですとか,今の専任教員の話とか,世界の大学も変わってきていて,大学の在り方も,特に力のある大学はいろいろ試してみたいだろうと思います。むしろどんどん新しいことを試していただきたいわけです。ですので,自由度を高めるということがまずは大事だと思います。
 物理学専攻の出身なものですから,物理方程式を立てるときに,仮のものを作っておいて,分母に0を入れてどうなるかというのを考えたりするのですけれども,そういう頭の体操で考えてみるということで,全く別の分野で例えてみます。例えば日本の食文化ですね,レストランは世界的に見ても日本は非常に多様性が高くて,おいしくて質の高いメニューを用意しているお店が多いと思うのですけれども,レストランに対する設置認可に相当するものは最低限ですよね。例えば食品衛生法ですとか調理師免許を持っているとか,そういったものですけれども,それでも質の高い食文化が成り立っているというのは,日本人の特性もあると思いますし,あるいは,最近で言いますと,利用者の声というものが誰の目から見ても分かるようになっていることが大きいと思います。口コミサイトが発達していて,具体的にどういうメニューが出されて,どういうサービスを受けたかというのが誰でも分かって,じゃあ,今度,自分も体験してみようかというので,駄目なところは淘汰(とうた)されていくという,非常に自由主義的なルールでうまくいっているわけです。
 もちろんこれを大学に適用するのは難しいです。入ってしまってすぐに退学するというわけにいかないので,単純にはできないと思うのですけども,これだけ世界の情勢が目まぐるしく変わっていく中で,いろいろなことを試してみたい大学の自主性を尊重すべきということを考えたときに,大学を卒業する学生さんの質をどういうふうに担保するかということや満足度,そういったところの情報の透明性を確保するという,まずそこを考えたほうがいいのではないかと思います。先ほど濱中先生がおっしゃっていましたけれども,考える順番として,後ろの方から考えて,それに対する制度がどうあるべきかというのをやった方が,私としても分かりやすいと感じています。
 すみません,ほかにも言いたいことがあったのですが,また思い出しましたら付け加えさせていただきます。

【吉岡部会長】  はい,また後ほど。
 林委員,お願いします。

【林委員】  ありがとうございます。私もなかなか頭の整理ができませんが,今までの御議論を聞いて,なかなかこの質保証システム部会で将来的な大学セクターの在り方まで考えて,そこから設置基準というのはやっぱり難しいなと思っていて,そうすると,今までの御議論を聞くと,これまで学生中心で高等教育政策が動いてきた,その変化に対して,設置基準が今変えなきゃいけないところはどこなのかという話と,それから今後,どういう方向に動くか分からないけど,ダイナミックに動くときに,足かせにならないで,質を担保しながらダイナミックに動ける体制に,基準にどうするかという2点だと思う。
 1点目の学生中心のところは,私,川嶋先生がさっき言われたプログラム化の話がずっと気になって,事務局に以前,説明していただいたときにも質問したのですけども,結局,プログラム化ができないという話が解決したかしていないのか,よく分からなくて,ずっと昔,川嶋先生は3期前とおっしゃっていましたけど,そのときはプログラム化が重要だという話だったと思うのですが,ただ,それ以降,例えば教員の組織と学生の組織は切り分けている大学が多くなってきたり,あるいは,設置基準の中にもスリーポリシーの関係の話とかが入ってきたりして,ある種,パッチワーク的にいろいろと整理されてきたと私は理解していて,ただ分からないのが,この現状の設置基準においても,プログラム化,プログラム中心の考え方を進めていくときに,足かせになっているところがあるのか,特に足かせになっているところはないけれども,ただ現状の哲学が,やっぱり組織を置いて,そこに教員を張り付けてというその発想のままなので,今までパッチワークでしてきたものを,シャッフルして,今のプログラム中心の考え方に合うように,ある種,順番とかを切り替え,あるいは微修正しながらやっていけばいいのかというのが,ちょっとそこがよく分からなくて,川嶋先生に聞くのか,文部科学省に聞くのか分かりませんけども,プログラム中心の考え方で今の設置基準はどこがどうまずいのかというのを是非整理していただきたいというのが一つです。
 それから2点目,ダイナミックに動けるようにという話は,結局,米澤先生が言われた認証評価あるいは内部質保証中心の考え方との切り分けだと思う。設置基準にどこまで書くかという話と,それから設置基準に書いてあるものを,例えばさっきの学部の新設もそうですけれども,設置審査を文部科学省でやるのか,それとも内部質保証ができているところは,新しい学位の学部も大学の中での内部質保証で,学内設置審査でいいようにしてあげるのかと。そういう切り分けをどう考えるかということだと思っています。
 現状,認証評価で関わって内部質保証とかの基準を見ていても,ざっくり言ってしまえば,大学の方も何で内部質保証,こんなに大変なのにやらなきゃいけないのかが分かっていないというか,余り合意ができてないような気がしていて,たまたま私,この間知ったのですけど,文部科学省の政策目標の1つに,一,二年後に大学で評価が負担だと思っている人の割合が減るみたいな,そういう政策目標が立っていて,財政諮問会議の骨太方針から来ている目標らしいのですけれども,恐らく今,この内部質保証が一体何のためにあるのかということの共通見解が大学と一緒にできないと,そういう指標は下がらないと思う。
 内部質保証が何のためにあるのかといったら,ダイナミックに大学自身が質を担保しながら変更ができるようなことを考えると,内部質保証の仕組みしかないという,そういう合意をきっと作っていくということだと私は思っているのですけども,そうだとすると,そういう発想の下で,設置基準,それから設置審査をどう考えていくのかということを議論する必要があるのかなと思っています。
 以上です。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。今,川嶋委員,小林委員,永田委員,谷本委員,杉谷委員が挙手されていますが,初めての発言をされるのは,杉谷委員と,あと谷本委員ですので,まず杉谷委員から御発言いただきたいと思います。皆様今手を挙げている方々は次に回したいと思いますが,杉谷委員,お願いします。

【杉谷委員】  ありがとうございます。本日のお話を伺っていると,将来的な高等教育のプランというのをイメージしたときに,そのイメージ像がかなり違うのかなという印象を持ちました。今までの規制を突破して,特段に優れた大学を作り出せるような,そういった土壌を生み出したいというお気持ちが強い先生も多くいらして,それはそれで非常に重要なことだとは思います。
 そのために足かせになっている設置基準を見直すというのは,もちろん必要な部分もあるかと思うのですけども,設置認可に携わる身としては,そういった規制の緩和や自由度を上げることによって,逆に穴が空(あ)いてしまい,そこをうまく利用されて,そうでもないような水準の大学が出てくるという可能性も,一方では懸念するところです。
 ですので,そこら辺を設置認可のところで見るのか,認証評価のところで見るのかという問題はあるかと思うのですけれども,どの程度の大学をイメージして,どういう将来図を描くのかというのは少なからず関連するところかなと思っています。日本の大学は,4分の3を私立大学が占めまして,言うまでもないことですが,規模も分野も,それから財政基盤も大きく異なると思います。ですから,そうした違いを前提にして,どこまでを設置基準で縛るのか,それ以外の運用上の面で見ていくのかということを切り分けて考えるべきではないかなと,本日お話を伺っていて,思った次第です。
 以上です。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。
 では,谷本委員,お願いします。

【谷本委員】  ありがとうございます。今日,私もいろいろな先生方のお話を聞かせていただきまして,やはり設置基準というのは大切なものだと思います。先ほど大森委員もおっしゃっておりましたけれども,いろいろな基準,いろいろな規制を取っ払ってしまうと,大学を作るということをもっと簡単にしてしまうと,大学の教育内容であるとか,あるいはそこで何が身について,そして4年後にでもその大学が存在しているのかどうなのか,そういうところを一体誰が責任を持つのかということにつながってしまいます。
ですので,やはり必要最低限な基準として,今,大学の設置基準があるわけで,それに問題があるとすれば,何が問題になっていて,何を改善していくべきなのかという,そこのところをもう少し見ていった方がいいのではないかなと思います。
 そして,認証評価というのは,その後,7年,時間が空(あ)いてしまいますので,それであれば,教育の内容の充実であるとか,世の中の学修,学んでいくもののトレンドが変わってきたときに,速やかに,しなやかに対応できるように,ある程度の経済的な基盤であるとか,教育の中身の充実に関しては,別の次元のところで,設置基準ではないところで,議論していくべきじゃないかと思いました。
 以上です。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。
 では,小林委員,永田委員の順で発言をお願いします。小林委員,どうぞ。

【小林委員】  ありがとうございます。私も大学の外の人間なものですから,時代の変化に対応してダイナミックに大学が変わっていくことを期待しています。そのためには,設置基準はなるべくハードルを低くしながら,ナショナルミニマムというものをきちんと設定して,セーフティーネットみたいなものを作っていく必要があると思っています。
 その1つの大きな理由が,レモン市場という言葉があるのですけれども,それは何かというと,いわゆるサービスを提供する側とそれを受け取る側の情報格差が非常に大きいというところで,消費者にとってそれが未知であるために不合理が生じると言われているマーケットです。
 将来的に多くの社会人が日本の大学で学べるようになればいいですが,今はやはりほとんどが18歳で進学する状況です。しかもそれが推薦とか総合型選抜では、17歳のときに進路を選択していくということになります。そう考えると、やはり普通の日常消費財マーケットとは違って,何度も購入することで、経験価値が積みあがるものではないと考えたときに,やはりきちんと国が認可して設置しているという基準は示すべきだろうなと思っております。
 さらに,認証評価のところも関わっているのですが,今の組織体制で認証評価に大きな負荷を持たせるのは,難しいのではないかと思います。なので,もし思い切って変えるのであれば,認証評価の団体に大きな支援をするとか,内部質保証のところの支援をしていかないと,まだ社会的に合意ができていないというところがありますので,そういった点は一つポイントになると思います。
 もう一つは,教学マネジメントの指針についてです。学位プログラムを通じで,しっかりと3つのポリシーを作って,人材育成をしていこうとしています。学修者本位の教育に変えていこうとしているのですが,やはり今の組織体制は学部ごとになっているので,その学部と学位プログラムの関係がどうしてもうまく結び付かない,分かりづらいということがありますので,こういったところの整理というのは,いろいろな先生がおっしゃっていましたが,必要なのではないかと思っております。
 以上でございます。

【吉岡部会長】  では,永田委員,川嶋委員と続けます。永田委員,どうぞ。

【永田委員】  ありがとうございます。今日は皆さんの意見を聞いているだけでも良いと思っていましたが,付け加えておきます。
数ある大学評価の中で国際的に受け入れられている評価というのは,認証評価しかありません。あとは全部我が国が独自に行っていることです。では,認証評価において,先ほど前田先生がおっしゃったような価値を今日本で持っているかですが、なかなか難しいかもしれません。それは,設置基準とタイアップしているからそうなっているのだと思います。
 そのため,設置基準がなくなれば,認証評価をすごく重くしないといけなくなります。つまり,認証評価は,あなたの大学は認証評価で適合を受けていなければ駄目ですよ、と外国の大学に言われるぐらいの世界基準のものです。認証評価で適合を受けていない大学からは留学もできません。
 それに比べて設置基準については,世界は何とも思っていません。だからといって設置基準はない方が良いと言っているわけじゃありません。そのようなコンテクストの中で,どこかには必ず設置基準のようなシステムがあると思っています。
 問題はたくさんあると思います。忘れてはいけないのは,今回一度も言葉が出なかったので気になっているのですが,大学あるいは大学のプログラムは学位を出しています。それは唯一大学が出せるものだということです。
 学位は要らない、学位は世界基準ではない。そんなことはないと思います。ですから社会人になっても学ぼうと言っているのです。学士に,あるいは修士に,博士にふさわしい教育内容を受けていく,それで社会に貢献していくということだと思います。
 ですから,全体としてはどんな意見が出ても驚きませんが,やはりとても重い1つの仕事をしていると思います。ここにいらっしゃる方は皆さん,学士、あるいは修士や博士を持っていらっしゃると思いますが、それを出す役割を担っている。どういう基準で,あるいは要らないなら,どう除くのか、を議論すべきだと思います。
 もちろん市場原理に任せるという意見もあります。それはそれで結構なことですが,ミネルヴァ大学でさえ,30数倍の競争率で,自重しながら数十人を入れているだけです。とにかく入れれば良いという問題ではなくて,彼らは彼らの教育プリンシプルがあるからそれができているということだと思います。
 ですから,そういうことを皆さんで話して,それでやはり必要なら必要ですし,改善すべきものは改善しなくてはいけないですし,どんどんやっていけば良いと思います。
 以上です。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。
 川嶋委員,お願いします。

【川嶋委員】  度々申し訳ありません。1つは,議論の進め方ですけれども,大森委員がおっしゃったように,やはり20人を超えるメンバーで1つ1つの基準ないし項目のところを1回ないし2回で結論を出すのはなかなか難しいとは思いますので,何らかの形でそれぞれ設置審査等に深く関わっていらっしゃる方でワーキングを作って,事務局と協力しながら,明確なワーキングとしての方向性を出していただいて,それをたたき台にして議論した方が効率的かと思います。
 それから,全体の質保証については,今,我が国における高等教育の質保証の公的システムというのは度々出てきておりまして,設置基準,設置審査,アフターケア,そして認証評価というので公的な質保証システムは成り立っているというのが現状です。
 この中で,永田先生も言及された学位ですが,大学というのは,万国共通,1つの特権を持っている。それは学位授与権です。この学位というのが万国共通の資格証明書ということになっていて,大学が学位授与権を有しているというのは非常に重いことです。
 設置審査のときは,学部とか学科ごとですので,ある意味,学位プログラムごとの学位授与権を審査しているわけです。日本の場合は,新しい学部とか学科を作るために設置審にかけて,学位授与権を認めていただいているという仕組みになっている。
ところが,海外の大学の例を見ますと,基本的に一度学位授与権を付与されたら,その大学は自らの責任でもって新しい学位プログラムを作っていけるということになっているわけです。それが学位授与権を与えられた大学が持っている自律性と責任ということになります。
 昨今,内部質保証システムは非常に重要だということがつとに指摘されており,例えば1つの考え方ですけれども,全く新設の大学については設置審査でやります。そこで一旦学位授与権をあるプログラムで認めて,7年後に認証評価を受審して評価を受けて,内部質保証の仕組みがきちんと機能しているということになれば,ある程度自由に,それ以降の新しい学位分野の設置については認めてもいいのではないかという方向性も含めて,是非今後議論していただきたいと思います。
 以上です。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。
 そろそろ時間ですので,細かい議論は次に送りたいと思いますけれども,私もここで個々の条項等について議論する必要はないと思っております。事務局は,それぞれのところで専任教員数とかということを提示してくれていますけれども,ここでの議論はそこの,例えば専任教員数というのはどういう考え方に基づいて成り立っていて,それが現在,桎梏(しっこく)になっているのであれば,それをどうするかということを考えるべきところだと思っております。
 浅田委員が挙手されていたので,浅田委員,お願いします。

【浅田委員】  すみません,時間のないところで,ありがとうございます。
 議論の進め方については,皆さんが言われていますように,大きな議論をこの場でして,ワーキング等で具体的な内容を決めていただいた方が効率的だと思います。
 内部質保証を我々の中では共通に認識するようになっていますが,実現していく上では難しいところがあるので,設置基準と認証評価とのリンクは,私も大事だと思っています。ただ、認証評価は細目省令で10項目,こういうものを見なさいというのが指定されているのですけど,それらと設置基準は,実は整合がうまく取れていない。
 設置基準は歴史的にいろいろ改正が積み重ねられてきましたけれど,認証評価で今最も重視しているのは,内部質保証です。でも,設置基準の方に内部質保証という明確な言葉はありません。それに類するものはいろいろ埋め込まれてはきたのですけれど,この重要な概念がきちんと定義されていないというのは大問題かなと思っています。
 それから,質を誰が保証するかというときに,本来的には大学が自ら質を保証するというのが内部質保証ですが,残念ながら大学によってはそれを十分理解できていないし,それが実現できていないという現実がある以上,やはり外部質保証がきちんと機能しないといけないと思います。そこのバランスをどうするかは,この部会できちんと全体設計をしていただくことになるだろうと思っています。
 以上です。

【吉岡部会長】  今,浅田委員の発言にもありましたけれども,それからこれまでの幾つかの発言にありましたが,全体として質保証システムというのは,事前の審査から事後評価へと変わってきているわけです。ただ,設置審議会自体は文部科学省の審議会ですが,認証評価機関は,正に認証されている評価機関であって,評価機関自体は自主的な機関という形になっています。それが文部科学省で,これも審議会,中教審ですけれども,そこで認証されるという形になっている。
 先ほどからの議論にありましたように,考え方としては,ある種,自由競争にしておいて,そこでそれぞれの大学が内部質保証を大体きちんとして,それを全部公表して,外に見えるようにしていて,かつ,それについての認証評価がきちんと行われ,それが公表され,それが各大学にもう一度フィードバックされるというシステムが動けば,極端に言えば何の問題もないというか,実は余り問題がなくなるわけです。
 ただ,実際問題として,事後評価システム自体が非常に難しいし負担が大きいということもあり,それから,今のシステムは基本的に機関の審査の形を取っています。ただ,認証評価の場合には,分野別の評価等々というのが実際には幾つか自主的に行われるところがありますけれども,今,制度的に組み込まれているのは,機関評価というのが中心になっている。
 それから,海外の評価機関でいうならば,これは専門の先生がいらっしゃると思うので,またこの次以降で発言していただければと思いますけれども,評価機関同士のある種の競争のようなものや,それぞれの基準の独自性のようなものあって,どこの評価を受けているのかということ自体が価値を持つわけです。だから,あそこで評価されていたって駄目だということも含めですね。
 だから,そういう形のシステムが国際的には動いているわけですが,日本はそこに半分乗っかっているような形を取りながら,実は十分乗れていないのだろうと思います。これをどういうふうにしていくのかというのが1つの課題だろうと思います。
 それから,学位のことですけど,私は今日,専任教員のことを議論するときに,専任教員というものの集合体の単位をどういうふうに考えるかという場合,基本的には学位認定をする責任主体はどこにあるのかというのがやっぱり非常に重要であって,それが,一方で,学生というものをきちんと指導できる教育環境を保(たも)てるということが教員数や,あるいは学生定員ということに関わっていると私は考えていますけれども,ちょっとそういう問題にも関わっていることだろうと思います。
 ということだけ申し上げて,ちょうど6時半になっちゃいましたので,毎回ですが,議論がなかなか細かいところまで入っていないようですけれども,実はそれぞれのところで事務局の発表等を前提にした議論にはなっていると思います。少し整理しながら,次に進めていきたいと思います。
 ということですが,いかがでしょうか,進め方はなかなか難しいですけれども,先ほど言いましたように,私としては,個々の細かい項目についての議論をしたいとは思っていなくて,その項目を支えている考え方というふうに議論をしていくことが大切だと思っております。うまくいくかどうか分からないですけども,そのような形で考えているということで,皆様もそのように考えていただければと思います。
 もう少し,例えばタスクフォースのような形にするみたいな形で細かいところをやるとか,あるいは,事務局の方で細かい部分を少しまとめるということは続けていきたいと思います。
 また,ここのところも何人かメモ,レポートを出していただいております。一応,今日の議論についてのメモみたいな言い方になっていますけれども,もちろん全部が関連しているということでありますので,これまでの議論を踏まえた上でということ,あるいは基本的な考え方ということについてでもいいですので,是非出していただければ,議論が少し充実できるだろうと思います。その際,ここに焦点がある議論であるということを分けた形でメモを作っていただけると,事務局も助かると思います。
 すみません,雑駁(ざっぱく)な話をしておりますが,まだ御意見がある方いらっしゃいますでしょうか。
 なかなか重たい議論をしているので,どこから入ってもどこに抜けるのか分からなくなるところがありますが,事務局と協力して,少し整理しながら,次の論点を提示していきたいと思います。
 今日お配りした資料,むしろ今日までにと言った方がいいかもしれませんが,どれも非常に重たい資料ですので,夏休みの間でもお時間があるときに目を通していただければと思いますし,そこでのメモをフィードバックしていただければと思います。できるだけ,それこそ大学というものについての哲学に触れるような議論をしていきたいと思っております。
 また,ここでの議論を,それこそ分科会の方にも反映できればと思いますので,よろしくお願いいたします。
 よろしいでしょうか。もしも御意見があればと思いますが,取りあえず事務局に戻したいと思います。事務局,お願いします。

【堀家高等教育政策室室長補佐】  先生方,本日もありがとうございました。大変活発な御議論を頂きまして,感謝申し上げます。
 本日,時間の都合上,御発言できなかった内容等に関して,今,部会長からも御案内ありましたけれども,是非事務局宛てに御連絡いただければと思います。
 以上でございます。

【吉岡部会長】  ありがとうございます。次回も多分まだ緊急事態宣言中ということで,顔を合わせて議論ができないというのは,永田先生がしょっちゅうおっしゃっていますけれども,何というか隔靴掻痒(かっかそうよう)というか,うまく意思疎通ができないわけではないですが,結局,言葉のレベルでの議論みたいになってしまうところがあって,議論は言葉ですけれども,ちょっとやりにくいところもありますが,次回も多分オンラインでやることになると思います。そのことを踏まえ,事前にメモ等をお送りいただければと思います。
 よろしいでしょうか。大変重要な議論をしているということがますます自覚されます。ありがとうございました。
 では,本日の会議,これで終了させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします。

―― 了 ――
 

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