質保証システム部会(第3回) 議事録

1.日時

令和2年8月31日(月曜日)13時~15時

2.場所

WEB会議

3.議題

  1. 我が国の高等教育の質保証システムの在り方について
  2. その他

4.出席者

委員

(部会長)吉岡知哉部会長
(副部会長)日比谷潤子副部会長
(委員)永田恭介委員
(臨時委員)浅田尚紀,飯吉透,杉谷祐美子,瀧澤美奈子,谷本和子,土屋恵一郎,長谷川知子,濱中淳子,古沢由紀子,宮内孝久の各委員(専門委員)大森昭生,小林浩,林隆之,前田早苗,吉見俊哉の各委員

文部科学省

(事務局)伯井高等教育局長,森大臣官房審議官(高等教育局及び科学技術政策連携担当),淵上高等教育企画課長,西田大学振興課長,森下大学設置室長 他

オブザーバー

山崎光悦一般社団法人国立大学協会副会長(金沢大学学長),清水一彦一般社団法人公立大学協会副会長・第2委員会委員長(山梨県立大学理事長・学長),田中優子一般社団法人日本私立大学連盟常務理事(法政大学総長),佐藤東洋士日本私立大学協会会長(桜美林大学理事長・総長),長谷川壽一独立行政法人大学改革支援・学位授与機構理事

5.議事録

【吉岡部会長】 所定の時刻になりましたので,第3回質保証システム部会を開催いたしたいと思います。御多忙の中,御出席いただき,誠にありがとうございます。本日は,新型コロナウイルス感染症対策のため,WebexによるWEB会議として開催し,傍聴者にも公開しております。
 資料,それから,今,音声がハウリングをしているようなのですけれども,よろしいでしょうか。
 それでは,議事に入る前に,連絡事項を事務局からお願いします。

【奥井高等教育企画課課長補佐】 事務局でございます。
 本日初めて使うシステムでございまして,御不便があるかと思いますけれども,何とぞよろしくお願いいたします。また,発言の際はいつものとおり「手を挙げる」ボタンを押していただき,部会長から御指名をさせていただきますので,御指名を受けて御発言いただきたいことと,あと,発言時以外はマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。音声が途切れたり,ハウリングをしたり,御不便がありますけれども,重ねてお願い申し上げます。
 また,会議資料につきましては,事前送付したものを使用させていただきます。今回,傍聴の方は,初めてのシステムでございまして,音声のみの公開とさせていただきますので,不明な点は議事録で御確認をいただきますようお願いいたします。
 以上でございます。

【吉岡部会長】 ありがとうございます。
 それでは,議事に入ります。本日の議題ですが,我が国の高等教育の質保証システムについて,関係団体よりヒアリングを行い,その後,質疑応答を含む意見交換をしたいというふうに考えております。
 まず,ヒアリングを行う前に,前回の議論の概要について事務局から説明をお願いします。
 なお,8月1日付で新たに高等教育企画課長が着任されたということですので,御挨拶も併せてお願いいたします。

【淵上高等教育企画課長】 失礼します。ただいま吉岡部会長から御紹介いただきました淵上でございます。
 8月1日付で高等教育企画課長を拝命いたしました。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは,早速でございますが,資料1に基づきまして,前回の主な御意見について,限られた時間でございますが,御紹介させていただきます。資料1の,黄色のハイライトで示している部分が前回の御意見でございます。
 まず1ページ目でございますけれども,本部会の役割についての御意見がございました。例えば,三つ目の丸を御覧いただきますと,本部会では,基本的に学部のこと,そして教育の質保証ということを念頭に置く必要があるという御意見などもいただいております。
 それから,2ページ目からは,検討の視点ということになってまいります。ハイライトのところでございますが,五つ目の丸では,学習の多様化・個別化等々の向上を図り,より多くの学生にどれだけ満足に大学教育を提供できるかということが日本の大学のニューノーマルとなるのではないかといったような御意見,あるいは,その次の丸でございますが,グローバルな大学間の流動性というものの中での質保証をどう考えるかということ。
 3ページに参りまして,地域との関係での質保証,あるいは情報公開について新しい方向性を見いだす必要があるというふうなお話,あるいは国際通用性ということと併せて地域通用性という考え方も取る必要があるのではないかというような御意見でございます。
 4ページからは,質保証の仕組みということでございます。三つ目の丸のところで,現行の質保証システムと大学の多様性・柔軟性との関係についての御意見。
 5ページに参りまして,最初の丸の最後の部分でございますが,各大学の内部質保証を含めたトータルで質保証の問題を考えていく必要があるというふうなこと,あるいは,大学の二極化に対応した,しっかりと確認をする部分と簡素化するという部分についての御意見,また,5ページの最後は,学位の質が保証されているかという御意見がございます。
 6ページからは,大学設置基準についてでございますが,総論的には「教学マネジメント指針」をきちんと具現化するという観点からの再構築という御意見,6ページの下は,オンラインやリカレントを踏まえた単位の扱いということについての御意見がございます。
 7ページの専任教員のところでは,専任教員の柔軟性とクロスアポイント,あるいはクラス規模割合,教員評価が研究至上主義になっているのではないかという御意見がございます。
 8ページに参りまして,内部質保証のところでございますけれども,8ページの下のところには,PDCAが各階層で回っていますが,そのサイクルの周期の違いというのをどう考えていくかという御意見です。
 9ページは,日本の内部質保証は教育プログラムごとの水準までチェックしているという状態になっていないので,基準として少し緩いのではないかという御意見がございます。
 10ページに参りまして,質保証は誰のために行うのかということで,公開性,社会的認知度,あるいは国際的視点の御意見がございます。
 11ページは,情報公表と質保証,あるいは情報公表の質保証についても議論する必要があるという御意見がございます。
 12ページからは,定員管理の在り方ということでございます。12ページの下でございますが,フルタイムではない社会人や留学生の参入についてどう考えるかというふうな御意見がございます。
 14ページに参りますと,授業関係で,オンライン教育について様々な議論がございましたけれども,オンライン教育の可能性に関する御意見やオンライン教育の質の保証についての御意見といったものがございます。
 めくっていただきまして,16ページに参りますと,二つ目の丸のところでは,これからは何を学習し何を学んだのかということが重要だという御意見,あるいは学位とは別の教育プログラムについての質保証の御意見もございます。
 17ページ,その他のところでございますけれども,三つ目の丸のところでは,学位の名称の整理の御意見,あるいは国際通用性という観点からの学位の種類や分野のレベルという側面の御意見,更に,次の丸では職員の位置づけ,17ページの終わりから18ページにかけましては,課外活動,あるいは大学の文化についての御意見がございます。
 御説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

【吉岡部会長】 ありがとうございます。
 それでは,早速ヒアリングに入りたいと思います。最初に,一般社団法人国立大学協会から,山崎光悦副会長,金沢大学長より御説明いただきます。山崎副会長,よろしくお願いいたします。

【山崎副会長】 皆さん,こんにちは。金沢大学の山崎でございます。
 表紙をめくっていただいて,2ページ目を御覧いただきます。最初のスライドは,質保証について考察するに当たり,高等教育が直面する課題と改革の方向性の背景として,私の私見ですけれども,ここに挙げた二つの視点が重要であるというふうに考えます。
 その第1点は,少子化を踏まえ,20年後,30年後を見据えた高等教育の在り方の視点です。自然淘汰(とうた)を待たない質的再編に向けて,教育内容の適切化・自由化を図りながらも,質保証を担保しながら効率化,学修の実質化・高度化を,低成長,少ない資源制約下で,知識基盤社会で活躍する,社会変革を先導するような人材育成が必要であると考えます。
 第2の視点は,指定国立大と比較しての国立大学の位置づけ,地方国立大学の役割という視点です。国の方針によって,歴史を経て配置されてきた今日の地方国立大学は,地域に必要な人材育成と供給,我が国の産業競争力,国際的な競争力を支える人材育成・供給を担ってまいりましたが,今後は更に地方創生を加速する人材育成への転換,地域公立・私立大学との大学間連携による人材育成が重要になってくるというふうに考えております。
 そうした視点を背景に捉えながら,日本の大学教育の質的保証について,私なりのまとめ,考察をお示しいたします。
 次の3ページ目のスライドを御覧いただきます。これは現在の日本の質保証システム全体構造を示したものでございます。設置認可,AC,そして内部質保証を前提とした事後チェックとして認証評価が位置づけられていますことは,十分御承知のことと思われます。
 次に4ページ目を御覧いただきます。ここから本論でございますが,一つ目の論点は,設置基準と設置審査についての,私が考える課題でございます。
 第1は,コロナ禍を踏まえた教育方法への転換に関してです。オンデマンドや同時双方向の遠隔授業を強いられ,現在の情報通信,あるいはICT環境下で遠隔授業の有効性をある程度実感しながらも,まだまだ使いこなすスキルの向上や教材提供方法の洗練なども必要ではございますが,その一方で,教員,学生,共に遠隔授業の限界を基本的に理解しつつあると思われます。今後は,遠隔と対面の併用,ハイブリッド型への転換によって,反転授業など,ディベート中心の深く考える能力育成へとシフトすべきであると考えます。そうした授業形態が普及すると,その新タイプの授業の教育効果の検証や単位数の上限設定の見直し,あるいはダブル・ディグリー・プログラムやジョイント・ディグリー・プログラムの単位互換基準の見直しなど,設置基準上,議論が非常に必要であります。そうすると,大学設置基準の定員の解釈,あるいは校地・校舎面積基準というのも多分再検討されるべきだというふうに考えますが,結論としては,そんな大幅な緩和ということにはならないのではないかというふうに予想はします。
 一方,設置審査などの関係からの課題について何点か指摘をさせていただきます。その一つは,学部・学科名称や大学院専攻名称と並んで,学位名称が乱立しており,当然,整理が必要ではないかと。先ほどのまとめのところにもございました。学位名称と教育内容の基本についての紐(ひも)づけ・統一化が,ある程度の粗さ,粒度で必要ではないかと考えます。その上で,骨太の方針をはじめ,いろんな場面で方向性を文部科学省が示していることも手伝って,最近では文理融合,あるいは異分野融合に関する学士課程や大学院課程の設置が流行(はや)りとなりつつあり,これらの分野にふさわしい学位の設定,ある程度の標準化が必要ではないかというふうに考えます。
 2点目は,現在の設置審査では三つの方針と教育体系,個々の科目のシラバスを全て提出させてチェックするという体制にはなっておりますけれども,今まで以上に教育の質保証の観点,教育水準の検証の観点を優先した審査内容・審査体制へとシフトすべきというふうに考えます。後述します機関別認証評価の国際通用性の観点からも重要なポイントです。
 3点目の課題は,現在,国立大学を中心に,大学院課程の改組の傾向,流行(はや)りとして,1大学1研究科あるいは2研究科への統合,分野を横断する学位プログラム制への移行が急速に進んでおります。その一方で,逆の方向,分野を絞った異分野融合型の小規模な大学院や,未来創造をもくろんだ小規模な大学院を新設する傾向も目立ちます。学士課程を含め,複数の学部・学科や複数の大学院専攻の専任制,あるいは場合によっては主専任,準専任など,エフォート管理による専任化の自由度についての議論が是非必要ではないかと考えます。大学院や学部が新設されたときの専任教諭のチェックはできておりますけれども,ACなどでは本来は既設の教育組織の教育体制についても検証されるべきというふうに考えます。
 4点目でございますが,少し具体的過ぎる指摘ですけれども,文理融合の分野とか新分野の審査体制について専門の審査委員会を立ち上げる必要性を感じています。たくさんの文系・理系の専門委員会が集まって文理融合の審査をやっているケースが多くございます。専門委員会についても,専門委員プールを作って,例えば科研費の審査体制のように,少し大がかりな分野横断的な体制に移行すべきではないかというふうに考えます。
 5点目,最後ですが,研究力に関する審査についてです。教員個人の研究力に基づく審査に加え,やや難しい問題であるとは思いますけれども,教員集団としての部局や大学全体の研究力,水準の審査も必要であるというふうに感じております。
 続いて,5ページ目を御覧いただきます。教育の質保証の課題と,私なりに考える展望についてでございます。私が理解している範囲でございますが。
 まず1点目,上のほうに青字で書かせていただいていますが,本来,大学,高等教育の質保証は,専門的な知識とスキルの到達度について,専門分野別基準を設けて,カリキュラムの標準化を目指した時期もございました。医師や薬剤師など国家試験や資格試験が整備されている分野ではそれぞれの専門分野の標準カリキュラムが準備されていますが,あまりにも専門分野について束縛が,拘束がといいましょうか,過ぎる嫌いがあるというふうに捉えております。逆に,それぞれの分野での現代的な課題への積極的な対応や,これからの大変革の時代を生きる,あるいは活躍するには,それぞれの大学が工夫して教育の特色をしっかりと導入すべきではないかと考えます。また,それ以外の専門分野では逆に標準化が少しされてもいいのではないかと考えます。それから2点目ですが,専門性以外には,人格形成に必要な教養を身につけさせ,国際性を磨くこと。そして,生涯学び続ける学習継続性の習慣を身につけさせること。コロナショックを契機に,自立性・自主的な学びを深める態度を醸成する教育へのシフト,さらにはその自主的な学びを支え育む教育へと,教育の不連続な変革,ジャンプアップが必要で,また,可能なチャンスというふうに捉えることができるのではないかと考えます。最終的には,学生一人一人が目の前の課題解決に対して独自に考え抜く力を醸成することが大学教育として最も大切だというふうに捉えます。
 そうした教育の観点から,質保証についてのこれまでの取組を振り返ってみますと,シラバスの整備や授業評価アンケート,あるいは満足度チェック,さらにはFDなど,あまりにも形式的な,あるいは外形的な事項に偏重した教育の質保証を保つ諸活動だったのではないかと反省が必要というふうに考えております。学生自身が着実な学びの軌跡と成長,そして到達度が実感できるような仕組みを大切にしたいもので,真(しん)に学びを深める教育・クラス運営を目指すべきであるというふうに私は考えます。
 それでは,6ページ目を御覧ください。認証評価のための内部質保証の取組と課題についてまとめた1枚でございます。
 質保証を確立するには,最初の流れ図でお示ししたとおり,認証評価では内部質保証の確立,そしてそのためのシステムの構築,PDCAサイクルの着実な実施が重要であるということはもちろんでございますが,ここでは,そのための原則と私が勝手に何点か挙げてみましたが,体制整備の観点からの課題について指摘をさせていただきます。原則1は,専門分野別の認証,プログラム別認証を基本単位として,その積み上げによって機関別認証がなされるべきとの考えであります。技術者や医師などのように国際的な相互認証が必要な分野ではその取組がソフトロー的な縛りによって機能してはいますが,残念ながら,全ての専門分野,プログラムにそれが将来波及するということは期待できそうにありません。原則2は,先ほども触れた学生の学修成果と学びの軌跡・成長や満足度をきちんと可視化すべきです。そのための研究開発が望まれます。原則3ですが,機関全体,学位プログラム単位,個々の授業科目のそれぞれのレベル・階層で質向上のPDCAサイクルが機能する内部質保証システムの構築が必須であります。原則4ですが,内部質保証システムが機能していることを,外部からの認証評価,外部委員を入れた自己点検など定期的に検証をし,サイクルの改善を促す仕組みの確立も必要であります。
 次に,ここでは内部質保証システム体制整備の課題を3点指摘しております。課題1は,内部質保証システム,機能の構築とその定着です。そのための自律的な規範と自己検証システムが問題なく機能している状態かをチェックする体制を大学内に作り出すことが課題であります。2点目ですが,質保証のPDCAサイクルがきちんと回っているか,機能が維持されているかの検証が必要であります。3点目は,最終的には教育水準の担保が必要であろうと考えます。例えば,欧州の国際的な単位互換システムのように,お互いの水準を認め合う相互認証システムが機能することが理想的であります。
 7ページ目を御覧いただきます。このスライドは,内部質保証の取組事例として,私の金沢大学の例を挙げて具体的に説明したものです。多くの説明は必要ないと思いますが,チェックとその結果を具体的なアクションにつなげるところが最も大切であると考えます。少しなりともチェックの結果が次のアクションで具体的な教育力のアップ,質保証につながるアクションに結びついているかどうかが重要なポイントであると心得ます。この後からも触れますが,左下にあるようなステークホルダーへの説明の機会を設けるなど,学外への情報公表も大切なポイントであります。
 8ページ目を御覧いただきます。このスライドは,機関別及び分野別認証評価制度の課題について整理したスライドで,まずは機関別認証評価についてでございます。
 第1点は,私の拙(つたな)い経験の範囲ではありますけれども,当然ながら法令遵守――事後評価という観点ですが――など外形的評価項目が多くて,教育研究活動の質的向上に十分に寄与するものとはなっていないのではないかということを大変懸念しております。例えば,現在の評価基準に加えて,特色ある教育研究内容あるいは活動を積極的に評価するような機能があるとよいと考えます。
 2点目は,もちろん評価結果を教育活動の改善につなげる内部改善システムが確立しているかどうかのチェックが重要でありますけれども,認証機関・団体間の評価水準,評価の厳格さが統一されるべきということも重要な課題というふうに考えます。
 3点目ですが,国立大学だけの事情ですが,公立大学も似ているかもしれませんが,中期計画による年度評価と法人評価の中間評価,期末評価,そしてそれとは別に機関別認証評価,専門職大学院評価,さらには工学や農学,医学,獣医学などの分野別の認証評価が並立しております。是非評価のダブりを解消し,分野別評価や法人評価の一部を兼用する,あるいは評価を部分的に省略するような全体システムを考えていただきたいと思います。
 4点目です。外国からの留学生を受け入れ,今後,人口減による人手不足を解消するために外国人労働者を受け入れるという観点から,また,海外の大学との単位互換を推進するためには,国際通用性の確保が重要なことになってまいります。ますますそのときには教育水準そのもの,そして評価水準が重要となると思われます。一つの積極的な取組として,機関別認証評価,分野別認証評価があります。
 5点目は,機関別認証評価をする側(がわ)からの要望ですが,専門職大学や専門職大学院が,言葉は悪いですが,乱立ぎみで,分野ごとに認証基準の作成,そして評価体制の整備が必要で,大学基準協会なんかでの私の経験からすると,極めて効率的ではないというふうに捉えられます。分野・系統別の整理をして大括(ぐく)り化をし,効率化を図るべきかと考えます。
 6点目は,法科大学院や教職大学院の認証評価では,現代的な社会課題への教育の取組を促進するような基準の整備が必要ではないかと考えます。
 下は,私の日本技術者教育認定制度での経験から何点か書かせていただいていますが,時間の制約もありますので省略させていただきます。
 次のスライドを御覧いただきます。日本の大学,これはJUAAのトライアルの一例を写真つきでお示ししたものでございます。国際チームを作って,相互認証をトライアルした例でございます。日本では国際教養大学,台湾では嘉南薬理大学ということで,台湾評鑑協会と大学基準協会が共同でやった例でございます。こうしたことが進めば,大学間交流の促進とか,ジョイント・ディグリープログラムやダブル・ディグリープログラムの促進につながるというふうに期待ができます。
 10ページ目を御覧いただきます。質保証向上に向けた情報公表の一例でございます。
 取組,活動内容について質保証の観点から情報公表が必要ですが,特に国立大学は,納税者を含め,多様なステークホルダーに大学の経営,教育・研究,社会連携活動などについて様々な情報を定期的に分かりやすく発信する必要がございます。それによって大学への理解と信頼を獲得することを目指します。
 以下は,金沢大学が実施しているステークホルダー協議会,あるいは新入生を対象とした保護者懇談会の例でございます。また御覧いただければと思います。
 最後の11ページ目はまとめでございますが,時間をオーバーしておりますので,これぐらいにさせていただきます。
 御静聴ありがとうございました。 

【吉岡部会長】 ありがとうございました。質問等は最後にまとめて行うようにいたしたいと思います。 
 続きまして,一般社団法人公立大学協会から,清水一彦副会長・第2委員会委員長,山梨県立大学理事長・学長より御説明をいただきます。
 よろしくお願いいたします。

【清水副会長】 公立大学協会から,資料3に基づきましてお話をさせていただきます。後半の部分,認証評価に関係する質保証については当協会の中田常務理事のほうから説明いたします。
 前半部分について私のほうから,大きく二つの点です。一つは,学修者本位のための教学改革について,その中の単位制度の見直しについて,まずお話をいたします。
 単位制度については,皆様御存じかもしれませんけれど,130年前,アメリカで開発された制度ですが,これはアバウトにできている制度です。もともと,1日8時間勉強して1週間勉強すれば1単位,4年間勉強すれば120単位と,そういう考え方で,1日9時間勉強する人にとっては4年間で144単位というようなことで上限も考えられてきたものです。ですから,大体1日8時間勉強すればという考えの下で作られたアバウトな制度であるということをまず共通認識とすべきではないかと思います。もう一つは,クレジットシステムとしての単位制度ができたと同時に,アメリカではFDとGPAという二つの制度が同時に開発・実践されたということです。我が国では60年後にFDが義務化されて,現在はGPAも一部の大学で導入されて――制度上は導入されていませんが,アメリカでは単位制度とFDとGPA,これが三位一体的に同時に開発・実践されたということです。FDは,もともと単位制度が選択制の導入を契機に作られた制度でございまして,どの科目を教えても等価値である。しかし,教え方だけは共通にしましょうということで,教え方を統一するために考えられたのがFDです。そして,アメリカの単位制度の定義の中には,満足な学修成果という定義が含まれている。満足な学修成果,これは質の保証のための制度ですが,そのためにGPAが開発されたということでございます。それに対して,我が国では,75年前に導入された単位制度は,1単位45時間の学修という量的な規定のみでございます。
 それを前提に,幾つか単位制度の見直しの提言をさせていただきます。一つは,今申し上げましたように,我が国の単位制度は量的な規定のみであるということで,質的な観点が入っていない。そのために,「教学マネジメント指針」等によって学修成果の可視化を推進している。こちらのほうに質の保証の担保を持ってきているというような状況です。ですから,GPAのような質的な規定の導入を検討してみたらどうかというのが1点目の提案です。
 二つ目は,単位計算方法です。これについては戦後から,講義,演習,実習という3段階の規定が設けられていて,それぞれ授業時間と自学自習の組合せの規定がございます。しかし,皆さんが共通にお感じのように,この規定と現実の実態とは乖離(かいり)しています。むしろ講義のほうが自学自習が少なくて,実習とか実験のほうがかなり自学自習を要するという実態でございます。この3段階の規定というのはアメリカにはなくて,アメリカは2段階で規定されているんですが,この3段階目の実習とか実験についての規定というのは,旧制大学から新制大学への移行のときに,苦肉の策で,単位数を減らすために作られた,言わばフィクションです。そういう苦肉の策,フィクションを導入せざるを得なかった状況が,75年間も続いているということになります。この辺の単位計算方法の見直しというか,私は削除してもいいと考えております。昭和40年代に,単位制度について,かなり文部科学省とか国立大学協会とかいろんな学会を交えて議論がされました。その中に,一つの例として,例えば,1単位の3分の1以上は授業時間にして,残りは各大学で自由に規定するというふうな提案もされました。いずれにしても,授業時間と自学自習というのは,教員の労働時間との関係,過重負担を含めてもう一度見直しをする必要があるというのが2点目。
 三つ目は,先ほど言いましたように,45時間というのは1日8時間で1週間45時間という単純な算術的なことで作られたわけですが,現在,労働時間も45時間から40時間に突入しているということで,労働者が40時間なのになぜ学生は45時間。こういうところの見直しも必要である。更に言えば,大学の1単位時間というのは根拠規定がないです。学校教育においては45分とか50分ということが規則で決まっているのですが,大学には根拠がない。ですから,認証評価をすると,1回の1コマの時間が80分の大学もあります。90分が多いのですが,80分の場合もあるし,あるいは100分の場合もある。1単位時間が45分なのか,50分なのかということもこれまで余り議論がなかったですが,是非これについても検討を加えたらどうかということが3点目です。
 以上が単位制度の見直しについてで,次は,専門職養成課程の過密化,特に看護とか,あるいは保育とか福祉とか,こうした厚生労働省関係のカリキュラムについては,例えば,看護は124の卒業単位のうちの102単位ぐらいは学校指定規則で決まっているわけです。がんじがらめのカリキュラムになっておりまして,他領域に関わる専門知識とか幅広い探究心の形成に割くための時間が取れない状況がある。これは文部科学省の問題というか,厚生労働省の問題かもしれませんが,教学という観点から,この辺の過密化をなくすような計らいが必要ではないかということが一つ目。
 二つ目は,オンライン授業による単位互換の推進です。コロナ禍によりまして,オンラインによる遠隔授業が各大学で行われております。それに関連した大学設置基準の見直しです。この間,いろいろな大学からも要望が出ておりますが,オンラインによる履修単位の上限数などの弾力化とか単位互換における「自ら開設」の原則の見直しとか,そういう規定の変更でございます。オンラインの授業については,オンライン評価とか学力担保の妥当性について各大学で検討する必要もございます。
 最後に,大学等連携推進法人制度における教学上の規制緩和,特例措置についての設計が今進められてきております。こうした,特に連携開設科目といった,従来の単位互換制度に代わる新しい連携開設科目制度,これについては現在,1法人複数大学,あるいは一般社団法人の大臣認可によったところがその特例措置を受けるということで進められておりますが,公立大学協会とか大学団体のような広域の連合体といったところでも,その規制緩和である,共同の科目を開設して従来の「自ら開設」の原則を取り外すといったことができないかどうかということの要望でございます。これを検討に含めていただければと思います。
 私のほうからは,以上,教学に関する改革について説明をさせていただきました。
 続いて,認証評価における質保証に関わることを中田常務理事のほうからお願いいたします。 

【中田常務理事】 時間の関係もありますので,簡潔に述べさせていただきます。
 まず,内部質保証の評価方法ということで,その実効性を高めるには,これは林委員の論文からいただいたんですが,やはり構成員のオーナーシップをきちっと得られるような評価ができているかということが重要です。内部質保証が機能しているかということについて実証的に評価するということは非常に困難でございますので,大学にとって変えにくい現状があればそれを変えていくような評価にしていってはいかがかということでございます。
 次に,情報公表の重点化ということでありますが,これは大学ポートレートも念頭に置いておりますが,やはり情報公表の徹底によって質保証を図っていくことが重要です。特に大学ポートレートは公立大学も参加しておりますけれども,費用負担も大きく,大学の外部に向けて,あるいは大学内部で活用できるものにしていただきたいということはずっと課題となっております。
 最後に,設置形態別の議論の可能性ということで,先ほど山崎副会長のほうからもございましたが,多様な評価の仕組みがそれぞれの設置形態別にありますので,そういったものを踏まえた設置形態別の議論というものも許されてよいのではないかと考えております。
 以上でございます。

【吉岡部会長】 ありがとうございました。
 それでは,続きまして,一般社団法人日本私立大学連盟から,田中優子常務理事,法政大学総長より御説明いただきます。田中常務理事,よろしくお願いいたします。

【田中常務理事】 いただいた時間は10分ですので,できるだけ時間を守りたいと思います。
 資料4を御覧ください。まず,中央教育審議会では「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン(答申)」(以下,「グランドデザイン答申」という。)が取りまとめられ,その考えに基づいて,質保証システム部会で大学設置認可等の在り方の具体策の検討が始まりました。しかし,新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が発生し,国内外の高等教育に大きな影響を及ぼし,日本の教育の課題も顕在化いたしましたので,「グランドデザイン答申」の見直しが必要になると思います。例えば,グローバル化やICTの活用,高大接続,社会連携等でポストコロナ社会では新しい観点が必要になるであろうと考えております。そして,本部会においては,コロナ禍によって顕在化した課題を分析していただくこと,それから将来の高等教育に必要な具体的な施策を検討していただくことを是非お願いしたいと思っております。
 このような問題意識を含めて,本日,日本私立大学連盟からは,質保証の仕組み,定員管理,オンライン教育・遠隔授業,そして情報公表,この四点について意見を申し上げたいと思います。
 はじめに,質保証の仕組みについてです。
 私立大学が質保証の具体策を実施する前提として,やはり人的資源と経済資源の充実が必須です。これは度々申し上げておりますが,公財政支出において国私間には約13倍の格差があります。是非この国私間格差をなくしていただきたい。その方向に向かっていくことで私立大学の人的資源と経済資源の充実が実現すると思っております。
 また,質保証の仕組みの基準の一つとして言われている,教員一人当たりの学生数についてです。私立大学は,多様な教育プログラムを提供するため多くの科目を設置しており,非常勤講師を多く雇用しております。実は,その非常勤講師はこの算定の対象にはなりません。一方で,研究のみに従事する教員は対象になるなど,現行の基準に矛盾があります。ですから,真の質保証とは何かについて議論することでこの矛盾の解消もしていただきたいと思っております。
 その質保証の仕組みの中で,まず一つ,大学設置基準に関する問題点があります。例えば,卒業要件にオンライン授業での修得単位は60単位までという上限があります。今後オンライン化がどのような方向に進むのかについては必ずしも明確ではありませんが,今回の経験で必ず必要になると思います。一時的に不要になったとしても,いつかまた必ず必要になります。そのため,オンライン化,オンデマンド化の単位数の上限の緩和を是非とも実現していただきたい。
 また,施設設備等についでです。これも今後どのような展開になるか分かりませんけれども,校地の面積や校舎の面積について非常に厳しく規定されております。このような物理的空間の規制はオンライン教育が普及・拡大していったときに実情にそぐわなくなっていく可能性があります。私立大学にとっては,これら施設のランニングコストの経費は非常に重く,むしろそのようなコストをこれからのICT教育に振り向けていったほうが有効ではないかと考えております。
 以上のことから,これらの基準の撤廃,あるいは緩和が求められると考えております。あわせて,大学通信教育設置基準についても全面的見直しが必要になってくるのではないかと思っております。同様に,図書館の設備について,例えば,閲覧室の座席数の規定がありますが,今はむしろ端末の設置数やネット環境整備のほうが必要になってきています。現在,図書のデジタル化が加速しており,学外からも読めるようになっています。ですから,そのような意味でも物理的空間についての設置基準の見直しは必要になってくると思います。
 また,教員と職員の役割と定義についてです。現在,専門的な職員が登場してきており,教員と職員の定義が非常に曖昧になっています。また,クロスアポイント制度の導入などによって教員の雇用形態も多様化しています。そうしますと,専任教員の概念が極めて曖昧になっておりまして,教員と職員の定義や職能,役割について明文化すべき時に来ているのではないかと考えております。図書館についても同様で,専門的職員の定義が必要になってきていると思います。
 次に,認証評価に関する問題点です。認証評価は質保証システムの中心的な役割を担っていて大変重要なものであることは認識していますが,各大学にとって,多大な手間と時間を要しております。特に7年に1回,5年に1回という周期のずれや目的の違いなどがあり,業務の煩雑化が起きています。これは,例えばこの周期を一致させることや関連業務を統合するということで,合理化が可能なのではないかと考えております。これも私立大学にとっては非常に重要な点です。
 それから,認証評価で不適合になった場合,これは当然報告は必要ですけれども,大臣の関与を認める仕組みが盛り込まれました。このことにより,大臣は認証評価を通じて,私立大学の中期計画にも関与することができるということになってまいります。認証評価はあくまでも大学の自主的・自律的な制度であるべきもので,過度な介入によって独自の建学精神をもつ私立大学の独自性を阻害するようなことにならないようにしていっていただきたいと思っております。
 次に定員管理の見直しについてですが,現在,大学はポストコロナの模索をしており,合理的な定員管理に見直していただきたいと思っております。
 定員管理については,入学定員から収容定員への転換,学部単位から大学全体への転換,それから単年度から複数年度への転換,この三つを求めております。
 これはなぜかといいますと,例えば,入学定員,これは入り口管理になりますが,現実に今求められているのは学修成果の重視,つまり,出口管理です。ですから,この二つが矛盾しているということになります。そしてまた,社会人教育の推進についても,大学全体で推進しようとしていますが,これに関しても矛盾してしまうところがあります。
 それから,学部については,今,文理融合が進んでいます。特にオンデマンド,オンラインが使えるようになりますと,この文理融合を更に推進して,複数のキャンパスをわたる,あるいは複数の大学につなぐということが可能になってまいります。これは幅広い学びのために大変重要なことですが,そのときにもやはり学部から大学への基準の変換が必要です。
 それからまた,複数年度での管理については,認証評価の受審ごととするなど,様々な方法があると思いますが,同様の理由で合理的な定員管理への転換の提案をしたいと思います。
 次に,オンライン教育・遠隔授業についてです。
 このオンライン教育の功罪,両方あります。特に私立大学の場合には,学生が主体的に様々な活動を行い学んでいますので,リアルな教育がまずは大事であるということは認識しています。しかし,同時に,オンライン,オンデマンドを使うことによって,反転教育など様々なことがこれまでよりも深く試されることになります。学生の能動的な学びにもつながるような教育ができると考えておりますので,やはりオンライン化は推進すべきと考えます。
 それからもう一つ,世界の大学が,今回,オンライン,オンデマンドに移行しました。もともと日本よりも外国の大学のほうがその制度が整っており,さらにそうなると思います。そうすると,今,日本がオンライン化を進めないと,世界のオンライン教育のプラットフォームの流れに乗り遅れるということになります。つまり,国際化の推進を掲げていますが,まさにその国際化に取り残されてしまいます。ですから,国際化のためにこそオンラインを利用して相互の留学を実現する,留学できないときにもできるようにすることが必要です。そのような方法も組み込むべきであろうと思います。
 それからもう一つは,リカレント教育です。単に社会人教育というだけではなく,生涯学び続けられる大学というものを私たちは模索していますが,なかなか実現は難しいです。オンライン,オンデマンドを併用することによって,あるいは通信教育の在り方を見直すことによって,より多くの人たちが生涯学ぶことができるようになると思います。もちろん授業料の問題をはじめとして様々な改革が必要ではありますが,そこにより近づくことができる方法を私たちは今回発見したのだと考えています。ですから,リカレント教育の推進のためにも,オンライン教育はより洗練させていく必要があるのではないかと思います。今は学生たちも不満を持っています。これはコロナの感染拡大によって急に始まって,稚拙なやり方でおこなっているということも多いので仕方がないと思います。しかし,それを乗り越えていく必要があると思います。
 もう一つは,地方創生や地方の大学の活性化です。先ほど申し上げた複数大学をつなぐということも,オンライン,オンデマンドで可能性が開けてきました。地方の大学と首都圏の大学の新たな連携,オンライン化によって物理的に行き来しなくてもできる連携の方法が一つ増えました。ですから,そのような意味でもオンライン化の推進が必要だと思います。
 以上のことを考えますと,国の財政支援の中にも,オンライン,オンデマンドのインフラ整備のための財政的支援,それから戦略的支援というものが必要であると考えております。
 最後に,大学の教育研究活動に関する情報公表の促進についての考え方です。
 この情報公表の主体については,あくまでも公表の主体は大学自身としなければならない。国は,関わっていただいてもよいのですが,その関わりは,あくまでも情報公表の支援・後押しであるべきだろうと思っています。
 それからもう一つは,現在は国内における情報公表が中心になっていますが,国外を意識した情報公表がさらに必要になっています。
 また,公表するときの懸念材料は幾つもありますが,私立大学の場合にはそれぞれの大学の独自性,個性,それから学部の組合せであるとか,様々な特徴があります。受験生にはその特徴をしっかり分かった上で受験してもらいたいと思っています。単に同じような大学がたくさんあるのではなく,自分に合った大学を選ぶためにその特性を理解してほしいと考えています。ですから,情報公表において例えば数字を出すときにも,その数字が何を意味して,それはどういう価値をもつのかということを解説する,それが必要です。ただし,大学教育を画一化させるような数字の取扱いについては注意しなければならないと思います。
 これはまとめて言いますと,私立大学においては,情報公表の目的を「大学教育の多様性に関する社会的評価の向上」というところに置くべきであろうと考えております。
 以上,私立大学連盟からの意見です。ありがとうございました。

【吉岡部会長】 ありがとうございます。
 それでは,続きまして,日本私立大学協会から,佐藤東洋士会長,桜美林大学理事長・総長より御説明をお願いいたします。

【佐藤会長】 よろしくお願いします。
 もう既に,国立,公立,私立からそれぞれ御意見が出ていますが,私どもから出させていただいている資料の前段のところは私立大学に共通の認識なんだろうというふうに思っております。強いて言うならば,私立大学は我が国の大学あるいは学部学生数では7割を占めているわけですから,私立大学に対するきちんとした振興を大学政策の中心に据えるということをまずはお考えいただきたいというのが総論としてはあるのではないかと思っております。
 その上で論点を二つに絞って,進めさせていただきます。
 一つ目は,今回の大きなテーマの,我が国の質保証システムについてということであります。
 まず,大学設置基準の在り方については,既にそれぞれお話がありましたが,今回,新型コロナウイルス禍にあって,大学ではその感染拡大防止と学生の学びの継続を第一義に挙げ,遠隔授業を軸に教育活動を維持し続けてきたわけです。そういう意味では,これからもまだ不透明なところがあって,遠隔教育が継続をしなければならないという状態もあるだろうと思います。また,先ほど来お話があるように,遠隔教育について,オンラインですることのメリット・デメリットがあったのではないかと思いますけれども,ポストコロナ社会というか,アフターコロナにおいても,オンラインによる遠隔教育のメリットを生かした授業が行われることは,これは誰も否定ができないのだろうと思っています。
 そこで,大学設置基準における授業というのは,基本的に対面授業で実施することが原則と解されているわけでありますけれども,面接授業と遠隔授業を組み合わせたような形,ハイブリッド授業の位置づけなど,大学設置基準における「授業」の概念・在り方について,やはり再構築が急務であるというふうに考えております。
 また,大学設置基準については,その第1条で,「大学を設置するのに必要な最低の基準」とされておりますが,世界規模で,研究開発やイノベーションなどの「知」をめぐる環境が激変している状況を見れば,今後も「知」の源泉たる大学の自主性や多様性を堅持することが重要と考えますので,今後も引き続き各大学の創意工夫の余地を残した最低限の基準とすることが望ましいのではないかと思います。
 その上で,大学設置基準については,18歳人口の減少に即した改正の方向も必要ではないかと思います。例えば,地方では求められる人材は多分野にわたるわけでありますが,一つの分野の人材需要規模というのは非常に小さい実情がある。そういう状況を見ると,現在より少人数の収容定員による教育研究上の基本組織の設置が可能になるように,大学においても専門職大学設置基準と同様の最低収容定員数,専任教員数等での設置を可能とする措置をしていただきたいというふうに思っております。
 次に認証評価の在り方であります。これについては「事前規制から事後チェック」への流れの中,平成16年度に第三者評価を行う制度として産声を上げてきたわけですが,第三者評価の精神というのは,各認証評価機関が独自に定める認証評価基準に基づく「ピア・レビュー」にあるんだというふうに思っております。
 一方で,その後の認証評価については,累次の省令改正などによって,大学設置基準との適合性の確認,あるいは教育研究評価の実施,適合認定が受けられなかった大学での文部科学省への報告が義務づけられるなど,割と外形的な制限を受けてきたのではないかなと思います。
 そういう意味では,ピアレビューに基づく第三者評価は本来国とは距離を置いて実施されるべきものであり,国の認証評価機関に対する干渉が,ともすれば各認証評価機関の画一化を助長し,その独自性や多様性,ひいては豊かな評価文化の醸成を阻害しかねないことを危惧しているわけであります。認証評価は既に第3期に入っているわけですが,その在り方についていま一度振り返って考え直す必要があるのではないかというふうに考えております。
 それから,2番目の論点の定員管理についてであります。
 中央教育審議会の「グランドデザイン答申」では,18歳人口の減少を踏まえて,国立大学の定員規模の検討の必要性が指摘されたわけですが,このたび,「経済財政運営と改革の基本方針2020」,いわゆる骨太の方針では,STEAM人材育成のため,地方国立大学を含めた地方での学生の定員増をすべきであるということが指摘されております。
 国立大学の定員増は,私立大学,あるいは公立大学に多大な影響をもたらす重要課題でありますから,中央教育審議会で「グランドデザイン答申」でも提言された国立大学の役割・使命,また,費用対効果を検討の上,今後の在り方,特に適正な定員規模がそれに先立って議論されるべきであると考えております。なお,STEAM人材の養成は,全ての大学に共通する課題でありますから,地方国立大学の定員増という形ではなく,国公私立,都市部・地方部の別を問わない公正な支援制度の下でなされるべきであると考えます
 それから,地方創生と定員管理についてでありますが,近年,私立大学の定員割れが悪いことであるがごとく問題視されて,私学助成の不交付や減額助成の強化がなされてきました。現在,それぞれの大学の努力によって定員割れは改善の兆しは見せるものの,学生納付金に過度に依存している私立大学財政の現状から言えば,相変わらず経営環境は予断を許さない状況にあります。しかし,地方には,その大学が所在する地域の人材需要に応えた学部構成と教育により,地域を支える貴重な人材を輩出し続けている私立大学も少なくはない。就職を見ても,地方の私立大学を卒業した者は地方に定着をすることがかなり高い率であるわけですから,地方に立地する私立大学は地方創生の拠点として重要な役割を果たしていると思っております。
 今後,地方の人口減少には拍車がかかり,地方私立大学の経営も一層厳しくなるとは思いますが,定員割れのみを理由に,地域人材を養成し,地域の発展に貢献している私立大学・学部がその地域から次々と失われてよいわけではありません。したがって,経営努力をし,質の高い教育や社会貢献により地域の貴重な高等教育機関として存在する私立大学については,むしろ国がアファーマティブ・アクション,積極的格差是正措置をして支えていくように,発想の転換が求められているところであります。
 もう一つ,リカレント教育と定員管理についてですが,リカレント教育については,経済界や産業界の協力により社会人が在職のまま大学で学ぶための環境整備が求められているというふうに思います。
 これまでも,大学では生涯学習社会に果たす大学の役割を考究し,実践の努力を払ってきたところではありますけれども,いろいろな隘路(あいろ)があって,なかなか機が熟さない,一頓挫の状況にあった。しかし,新型コロナウイルス禍のレガシーとして遠隔授業の進展に呼応する新しい展開ができるのではないかというふうに思っております。そのためには,先ほど,大学の定員管理を収容定員で見たらどうかというお話もありましたが,リカレント教育の推進策として,履修証明制度による履修者や科目等履修生の取り扱いを含めて,収容定員の在り方についても考える必要があるのではないかと思っております。
 以上であります。

【吉岡部会長】 ありがとうございました。
 続きまして,独立行政法人大学改革支援・学位授与機構から,長谷川壽一同機構理事より御説明をお願いいたします。長谷川理事,よろしくお願いいたします。

【長谷川理事】 よろしくお願いいたします。
 本日は大学改革支援・学位授与機構理事としてお話しさせていただき,当機構の事例を中心にお話しさせていただきますが,各認証機関により構成されております認証評価機関連絡協議会というのがございまして,そちらでの意見も披露しつつ,認証評価機関の現状及び認証評価機関がどのような課題を認識しているかについてもお話しさせていただきます。
 本日は,お手元のパワーポイントのスライドに加えまして,追加で発言骨子の文書についても配布しております。
 この質保証システム部会では,設置基準,設置認可及び認証評価制度を一体とした質保証システムの在り方について審議を行うと伺っております。我が国の認証評価制度は,学校教育法及び大学設置基準等の法令に基づき,各認証評価機関が大学評価基準を定めて実施しております。認証評価機関としても,この部会における質保証システムの議論に関心を持ち,注目しているところでございます。
 まずは,大学改革支援・学位授与機構について,ごく簡単に御紹介させていただきます。スライドのほうの2ページを御参照ください。そちらに沿革,目的,場所,組織等が記されておりますが,機構では高等教育に関わる多くの事業を実施しております。本日のテーマである評価事業では,認証評価機関として,大学及び高等専門学校の機関別認証評価を実施しております。特に,高等専門学校については当機構のみが実施しております。また,専門職大学院認証評価については,法科大学院の評価のみ実施しております。
 次に,認証評価機関連絡協議会について御紹介させていただきます。資料6の3ページを御覧ください。御存じのとおり,日本では複数の認証評価機関が設置されておりますが,認証評価機関連絡協議会は,その中で情報の共有,また,それに伴う意見交換を目的として,平成23年に設置されました。現在,私が座長を務めております。本協議会では,設立目的に基づいて,政策動向や各種課題に関わる情報交換や意見交換,認証評価の普及に向けた広報活動,認証評価機関の職員の能力向上のための研修の実施など,高等教育の質の保証と認証評価の充実に向けた取組を行っております。
 それでは,これから三つの論点についてお話しさせていただきます。文書のほうの資料で黒の四角で記したのが三つの論点でございます。
 最初が,内部質保証システムについてでございます。スライド資料の4ページ及び5ページも御参照ください。
 これまで中央教育審議会において,機関別認証評価と分野別評価の在り方について様々な議論が行われてまいりました。中央教育審議会大学分科会審議まとめ「認証評価制度の充実に向けて」が平成28年3月18日に公表されてございます。この審議まとめを踏まえて,平成28年3月には改正された学校教育法第百十条第二項に規定する基準を適用するに際して必要な細目を定める省令が公布され,この学校教育法第百十条第二項に規定する基準を適用するに際して必要な細目を定める省令では,スライドの5ページのほうにポイントをまとめてございますけれども,大学に対しては三つのポリシーに関すること及び内部質保証を要請しております。機関別認証評価においては,分野別評価の要素である教育プログラムの内部質保証を含め,それらを重点的に評価することとなりました。この省令の改正に伴い,私ども認証評価機関は,それぞれ教育の内部質保証と現行の機関別認証評価の関係について,改めて整理が必要となりました。
 私どもの機構では,研究開発部という教員の組織がございますが,そこに外部有識者を加えた研究会,「質保証システムの現状と将来像に関する研究会」を発足し,スライドにございますように,平成29年3月に「教育の内部質保証に関するガイドライン」を取りまとめ,公表いたしました。その後,ワークショップ等を開催し,大学との連携,大学との認識の共有にも努めてまいりました。
 そして,平成30年3月には,3巡目の大学機関別認証評価に反映させるため,大学評価基準の改訂を行ったところでございます。
 他の認証評価機関は,当機構に先んじて,大学評価基準の改定と普及に努めてまいりました。内部質保証の点検項目でございますけれども,文書資料のほうで3点まとめてございます。一つ目が,内部質保証のための組織体制をチェックすること,2点目として,その組織を運用して自己点検・評価を行って,その結果を改善向上に結びつける方法が確立されているかどうかのチェックを行うこと,そして3番目に,その組織体制及び方法によって内部質保証が実際に実現しているかどうか,それを外部的に点検することの3点でございます。文書資料のほうにございますように,大学基準協会,日本高等教育評価機構,それから私どもの大学改革支援・学位授与機構,それぞれが基準を定めておりますけれども,法令由来の部分に関してはほぼ共通で行っているところでございます。
 現在,改正後1巡目の評価を実施しているところでございますが,内部質保証については,各認証評価機関,評価担当者によって解釈が異なっていないか,又は大学から見たときに認証評価における扱いにばらつきがないかなどの検証が必要であり,各認証評価機関においてそれぞれが分析を行い,課題を把握し対応することとしております。その上で,先ほど申し上げました認証評価機関連絡協議会において情報共有し,意見交換を行ってまいりたいと思っております。
 論点の2点目は,認証評価の負担軽減についてでございます。これまでのヒアリングでも御指摘があったところでございますけれども,負担軽減についてお話しさせていただきます。
 スライドの資料の6ページにまとめてございますが,先ほど申し上げました審議まとめ「認証評価制度の充実に向けて」の中に次のような一文が書かれております。読ませていただきます。「重点評価項目の評価結果が優れているなど大学の内部質保証が有効に機能していると判断される場合については,次回評価の中で,例えば,実地調査における確認事項の簡素化や,事前の書類提出で代替するなどの方法の工夫等,評価内容・方法を弾力化・効率化することも考えられる」と提言されてございます。
 この提言を具体化させ,各大学高等教育機関による内部質保証システムが有効に機能している場合には,負担軽減の方法の例として,認証評価の受審期間の弾力化,また,提出資料の簡略化などインセンティブの付与を可能とする枠組みの検討が必要と考えております。
 3番目でございます。最後に,先の2点とは異なる視点ですが,専門職大学,専門職大学院に係る認証評価機関の課題についてお話しいたします。
 平成15年度に専門職大学院制度が創設され,平成31年度からは専門職大学制度も開始されました。専門職課程については,5年に1度,当該分野の認証を受けた認証評価機関による認証評価を受審することが法律に定められており,専門職大学,専門職大学院が1校のみ存在する分野であっても,それに対応した分野別の認証評価機関の設置が必要となります。認証評価機関にとって,当該分野の評価機関となるための認証の手続はもとより,認証の実施に必要な体制の確保に要するコストは,1校のみの分野の場合,複数の受審大学を有する場合と比べて非常に大きな負担となってございます。この点も御理解いただければと思います。
 これにて認証評価における現状と課題についての発表を終わります。御清聴ありがとうございました。  

【吉岡部会長】 どうもありがとうございます。
 ただいまで今日ヒアリングをさせていただいた諸団体からのお話は一段落ということでございます。これまでの御説明を踏まえながら,現行の質保証システムについて,質疑応答を含む意見交換を行いたいと思います。残り時間40分弱ということですので,短めにお願いしたいということと,具体的な御質問がある場合には,どの組織に対しての質問であるかということを明確にしていただければと思います。
 それでは,御意見あるいは御質問をお願いいたします。いかがでしょうか。では,杉谷委員。

【杉谷委員】 質問させていただきたいと思います。青山学院大学の杉谷と申します。よろしくお願いいたします。
 私立大学連盟の田中常務理事の御意見に関して質問させていただきたいと思います。
 資料の最後のところに,大学ポートレートのことに関して御指摘があったかと思うんですが,大学ポートレートの目的が総花的で,どの目的にも大きく資することがない制度にとどまっているという御指摘です。私自身,大学ポートレートのステークホルダー・ボードの委員をしておりまして,目的が複数あるということはそちらの委員会でも指摘があるんですけれども,特に私立大学連盟のほうから,重点を置くべき目的など,御意見,お考えなどがあれば伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。 

【吉岡部会長】 では,田中常務理事,よろしくお願いいたします。

【田中常務理事】 ありがとうございます。大学ポートレートの会議には私も何回か出席しましたが,問題点の一つは,アクセス数が向上してきているとはいえ,多くの方に関心をなかなか持っていただけないということがあると思います。その理由の一つは,各大学の情報が見やすいように整備されてはいますが,それぞれの大学のホームページ内にある様々な情報とほぼ同じ内容であるからだと思います。
 大学ポートレートには,安易な比較ができないようにという考え方がありますので,ある程度やむを得ないと思っていますし,私大連の意見でも,安易な序列化は促してほしくないといっていますが,序列化ではなく,例えば,同じ名称を持った学部同士のどこが違うのか,どういうところにそれぞれ特徴があるのかというような比較をしたいと思ってもなかなかうまくいかないとか,そういうところにポートレートの問題があると思っています。私自身も,自分の大学の大学ポートレートを見るということがあっても,なかなかほかの大学との比較が難しく,結局各大学のホームページを比較することになってしまいます。今後,海外に情報を出すときには,更に分かりやすくしなければならないと思います。
 そういう意味で,各大学のホームページ上にある様々な情報がほぼそのまま出ているだけの状態から,大学ポートレートは目的を設定してはどうかと考えます。さきほど,事例として申し上げましたが,同じ名称がある学部同士がそれぞれどういう個性を持っているのかとか,どのような教員がいるのかとか,何を目的にしてここの学部が成り立っているのかなど,そのようなことでもいいと思います。大学ポートレート上の目的が幾つか明確になっていくということが必要ではないかと常々思っています。ですから,大学ポートレートは少しずつ改善していっていますけれども,その改善の一つとして,目的の整備ということがあろうかと思って,意見書に書きました。
 以上です。

【吉岡部会長】 ありがとうございました。よろしいでしょうか。

【杉谷委員】 ありがとうございます。

【吉岡部会長】 現在,前田委員,小林委員,古沢委員の手が挙がっておりますので,まず,前田委員,お願いいたします。

【前田委員】 ありがとうございます。私からは,大学改革支援・学位授与機構の長谷川理事に御質問がございます。質問としましては,スライドの6にありましたが,「認証評価の充実に向けて」という審議のまとめを引用されていて,太線で書いてあるところの一つ,重要だと思われるところなんですが,内部質保証が有効に機能していると判断される場合は弾力化・効率化というふうに進むということになるかと思いますけれども,この内部質保証が有効に機能しているという判断に関しまして,認証評価機関連絡協議会等で話し合われるとか,合意を図るとか,そのようなことはなされているのでしょうか。これが御質問でございます。

【吉岡部会長】 いかがでしょうか,長谷川理事。

【長谷川理事】 今の御質問に対してですけれども,3巡目の認証評価は,まだ1巡目で,始まったばかりでございます。これまでの質保証システム部会の委員の発言の中でもございましたけれども,今,内部質保証がうまくいっているかどうかのところをきちんとモニタリングする段階でございまして,機関ごとにモニタリングを行っている段階でございます。この先,それらを併せてまた認証評価機関連絡協議会の中で検討していくことは当然のことでございますけれども,現在の段階ではまだ経過的な段階であるということでございます。

【吉岡部会長】 よろしいでしょうか。

【前田委員】 ありがとうございました。とても重要な点なので,ここをきちんと話し合っていただくことを期待いたします。

【吉岡部会長】 ありがとうございます。では,小林委員,お願いいたします。

【小林委員】 御説明ありがとうございました。私立大学連盟の田中常務理事の御説明の中で,認証評価について,不適合があった場合に,これは文部科学大臣への報告,資料提出義務があるということで,大臣の関与が高まってしまうのではないかという危惧が示されたというふうに思います。これは大変理解はするのですが,もともと,認証評価は飽くまでも大学の自主的,自律的な制度であるべきという記載がありました。私は大学の外の人間なものですから,この不適合の結果を見たときに,不適合になった大学の幾つかはホームページ上でもそれを公表していない,あるいは大学ポートレートにもそれを掲載していないというような大学があり,これは一般市民から見ると消費者保護の観点から問題があると思います。また,認証評価を多大な労力をかけて頑張っていらっしゃる大学の観点から見ても,大学自体の信頼の低下につながるんじゃないかというふうに思います。これは,文部科学大臣への報告,関与というのはちょっと違うんだろうとした場合に,これから人口減少が進んでくると不適合になる大学も出てくると思います。どのような対応をしていったらいいのかというのを,お考えがあればお示ししていただければと思います。

【田中常務理事】 ありがとうございます。不適合になった場合に大学が何をするかといいますと,不適合とされた理由に当たることを改善する努力をします。それはすぐに改善できることもあれば,長く時間がかかることもあります。外部に不適合という情報が出て大学として怖いのは,一旦そのレッテルが張られてしまうと,改善しているのに,改善したということが伝わらなくなってしまうということです。ですから,認証評価というのは,レッテルを張るためにあるのではなく,大学に改善を求めるためにあるのだということがもっと広く流布される,つまり,分かっていただきたいということがあります。そうすれば,不適合になりました,しかし,これからこういう点について改善していきます,次の機会には適合を出せるようにしますといった情報の出し方であれば正しいですし,それを守らなければならないという決意にもつながると思います。ですから,社会に対しては認証評価とはそういう仕組みなのだということとともに不適合・適合を大学自ら言っていくことが必要だと思います。他者に言われるのではなく,自ら言うということが必要だと思います。

【小林委員】 ありがとうございます。

【吉岡部会長】 ありがとうございます。では,古沢委員,お願いします。

【古沢委員】 ありがとうございます。よろしくお願いします。2点ありまして,手短に申し上げます。
 一つは,皆さんから,オンライン教育の継続がやむを得ない状況であるということと,オンラインのメリットを生かすことが大切だというのは,もうそのとおりだと思うのですが,その中で,今後の感染状況等が解消されて平常時が前提になりますけど,やはり飽くまでもリアルな対面授業を大切に前提としていくことをある程度明確にしていただく必要があるのではないかと。特に学生の立場から言うと,恐らく教員と学生の比率の問題,また,施設の基準等については,旧態依然の基準もあると思いますが,慎重に検討する必要があるのではないかと。
 二つ目は主に国立大学協会の山崎副会長に御質問なんですけれど,先ほど佐藤会長から地方国立大学の定員増について御意見があったんですけれど,国立大学協会として,まだ内容は明らかになっていない点は多いんですけど,どのようにお考えかと。ほかの団体からも,もしお考えがあれば,お時間があればお聞きしたいと思います。
 以上です。

【吉岡部会長】 それでは,次に吉見委員が手を挙げているので,吉見委員の御意見を伺ってから山崎副会長のお答えを伺うということでよろしいでしょうか。
 では,吉見委員,よろしくお願いいたします。

【吉見委員】 ありがとうございます。どなたにメインにお聞きしたらいいかちょっとよく分からないんですけれども,主に田中常務理事になるかもしれないんですけれども,先般の中央教育審議会の「グランドデザイン答申」の一番の目玉というのは,学修者本位の教育ということであったというふうに私は理解しております。そうすると,今日何人かの方からお話がございましたように,評価に関しても,外形的・形式的な評価よりもむしろ中身,つまり,学生たちが学んだ,その学びの質保証をどういうふうにしていくのかということがとても重要だというふうに思っております。そのときに,先ほど田中常務理事のほうからお話がございました定員管理の考え方の転換,すなわち,入学定員から収容定員へ,それから学部単位から大学単位へ,それから単年度単位から複数年度単位へという,これは私,全面的に賛成で,これは物すごく重要な転換だというふうに思います。ただ,分からないのは,質保証システム部会でこれを進めていくにはどうしたらいいのかというか,こういう転換をしていくためには,中央教育審議会なり,この質保証システム部会なり,ここの中で具体的にどういうふうな施策というかをしていくと大きな定員管理の在り方の考えの転換が実現していくのかということについて,これは本当にどなたにお聞きすればいいか分からないんですけれども,具体策をお聞きしたいというふうに思います。
 それからもう一つは,これも関わるんですけれども,オンライン化と非常に絡む形で,施設整備について厳密に規定するのではなくて,ICT環境とかいろいろな転換もあるんじゃないかというお話も何人かの方から出ました。おっしゃるとおりだと思います。これは,ざっくり言えば,脱空間依存といいますか,空間的な依存からむしろコンテンツやそういうものの依存への転換があるんだと思うんですが,そこでとても重要になってくるのは,やっぱり時間のマネジメントだというふうに思います。空間の依存から,むしろ時間に対する依存性が高まるというふうに私は思います。そうすると,今の質保証の仕組みの中で,施設等はすごく厳密なんですけれども,時間の組織化といいますか,大学によりますけれども,大学によっては学部によって時間割がばらばらであったり,学事暦もばらばらであったり,結構すごいんですね。この時間の問題というのは質保証の問題としてどう考えていったらいいのかということも全般的に御意見をお聞かせいただければ幸いでございます。

【吉岡部会長】 ありがとうございます。今のはかなり大きな問題を提起されているというふうに思いますので,それは後で時間を取って議論ということにさせていただいて,続いて,長谷川委員,林委員の順に発言をいただきたいと思います。
 長谷川委員,どうぞ。

【長谷川委員】 ありがとうございます。佐藤会長に御質問なんですけれども,今後,オンラインプログラムを推進することで社会人のリカレント教育がより推進されていくというのはそのとおりだと思うんですけれども,採用と大学教育の未来に関する産学協議会のほうでリカレント教育の大学側の課題を議論していたときは,主に教員の確保とか,リカレントプログラムの財政的な持続可能性という課題は指摘されたんですけれども,余り定員という課題は指摘されていなかったんですけれども,リカレント教育を推進していくことと,収容定員,入学定員の関係というのはどういうことなのでしょうかというのを御質問させていただきます。

【吉岡部会長】 それでは,今の段階で直接の御質問は,山崎副会長に対して,地方の国立大学の,とりわけ定員の問題を,私立大学側からは別の意見が出ていたということを国立大学協会としてはどう考えるかという点,それから,佐藤会長に,リカレントと定員の問題についての今の質問というのが出ています。具体的な質問ですので,それをまずお答えいただければと思います。
 では,山崎副会長,いかがでしょうか。

【山崎副会長】 山崎です。国立大学協会としては,特定の意見というか,まだまとまっておりませんが,国の方針自身がまだよく見えませんので,どういう条件の大学に対して定員増を認めるか,どんな分野で認めるかという中身,条件が決まってこないと議論はできないと思っております。ただ,今回のコロナ禍を始め,もともと,東京一極集中をどう是正するかというのが大きな社会問題になっていますので,それを緩和する一つのきっかけ,政策として,地方国立大学等の特定の分野,多分その地域に必要な人材をしっかりと育てるという足かせとか条件とかいろいろついてくるんだろうと思いますが,そんな場合に,人口を地方に分散させるという観点から,働く場所も地方にあるというような部分について,私どもは期待をしますし,そういう方向の施策でないといけないだろうと思っています。これは私の個人的な見解です。
 それから,同時に,古沢委員が御質問になったのは,今の遠隔からまた対面に戻るのがというふうにおっしゃっていますけど,私も発表の中で申し上げましたように,元にはもう戻らないと。戻れないし,戻らない。やっぱり遠隔のよさも分かったわけですから,両方ミックスしたら,どなたかもおっしゃっていますように,ハイブリッドという形で,ベストミックスが何なのかというのは分野とか専門分野とかによって違うとは思いますけれども,その辺を各大学は模索しながら,対面と遠隔と,一部,例えばプレスタディーに遠隔,オンデマンドを使って,教室では専らディベートを中心にするとか,いろんなことがもはや実際には試行が始まっていますので,元には戻らないと考えられます。私の個人的な考えです。
 山崎からは以上です。

【吉岡部会長】 ありがとうございます。
 佐藤会長,御質問に対して,定員管理とリカレントのことについて何か補足的な御意見はございますでしょうか。

【佐藤会長】 社会人を大学の中に取り込んだらいかがかというのはかなり昔から言われているんですね。例えば,現在,社会人を正規授業に受け入れる場合については,履修証明制度による履修者や科目等履修生という形がありますが,これは定員の外で受け入れますので,その数が増えますと正規学生との兼ね合いが問題となることもあろうかと思います。要するに,恒常的な定員ではなくても,正規授業に入れてもいいよという話ですね。それから,やはり勤務しながら学びたくても,学生が通い切れない場所にある大学というのはたくさんあるわけです。そういう中で,特にこの分野について学びたいという社会人がいたら,遠隔教育を含めて,それをもっと積極的に受け入れるために社会人の枠などについてもう一度議論したらどうでしょうかということでもあると思います。それが1点ですね。
 それから,先ほど吉見委員からの質問の中にもあった授業の実質化,要するに学修者本位の改革という問題については,これも長いこと言われていて,私どもの桜美林大学では,1コマ2時間授業を100分にしたんですね。つまり,そういうことによって,より実質化をしていく,学修者がきちんとそこで学修時間を費やせる。そういう面で言うと,先ほど清水副会長から単位制度についてのお話がありましたけれども,そこはある意味で大学にとってきちんと守らなければならない問題として考えるべきではないかと思います。少し不謹慎な話になるかもしれませんが,今回のコロナ禍は,ある意味で国際基督教大学のように3学期に移せるいいチャンスなのではないかとも思います。国際基督教大学がそうだったかどうか分かりませんけど,1コマ70分で,週複数回授業に当たって,それにふさわしい単位を授与するというようなことができているところもありますから,そういう意味では,それこそ学修者本位な取組をそれぞれの大学がすべきなのではないかなというふうに思っています。
 以上です。

【吉岡部会長】 ありがとうございます。
 現在手を挙げていらっしゃるのが,林委員,飯吉委員,大森委員でございますので,その順に御発言いただきたいと思います。では,まず林委員,お願いいたします。

【林委員】 二つ質問申し上げます。
 まずは国立大学協会の山崎副会長に御質問なんですが,パワーポイントの6ページ目で,内部質保証体制整備の課題として,教育水準の担保が必要ではないかというふうに挙げられていらっしゃいます。私もそのとおりだと思っていて,インプットを重視した質保証から学修成果を重視した質保証になるとすれば,ちゃんと学修の水準が担保されているかということを見るというのはそのとおりだと思うんですけれども,ただ一方で,山崎副会長はここで,例えば欧州のエラスムスの話を出されたり,あるいは大学基準協会のところでも,8ページで,留学生・就労人材受入れのために国際認証の必要と,国際の視点までここで挙がってきているんです。この理解としては,例えば金沢大学であったり大学基準協会であったりで,国際的な水準の共通性というか,同じレベルになっているかという,そういうことが既に課題となって問題が生じているのか,それとも,今後,コロナ禍であるとか,あるいはオンラインが進む中で海外の大学との協働の教育とかがもっと始まるという中で,こういうことに積極的にもっと取り組んでいくべきだという,よりポジティブなというか,これまでの課題があったというよりは,こういうことを進めるべきだという意味で書かれているのかという,そこをちょっと確認したいなというのが1点目でございます。
 それから,2点目,大学改革支援・学位授与機構の長谷川理事,最後のところの専門職課程の認証のところの意味をちょっと教えていただきたいんですが,これは専門職大学などで分野ごとの認証機関の認証の手続というふうに書かれていますが,例えば,大学改革支援・学位授与機構ですと,昔,分野を共通するような認証評価の方法のモデルみたいなものは出していて,恐らく分野が違っても評価の方法って基本的には一緒で,教育の中身が違うだけだと思うんですけれども,やり方はきっと一通りでできるようなところなのに,ここに書かれていることは,認証評価機関が認証されるときに分野ごとに1回1回認証されるのが,それが手間であって,その分野ごとの認証じゃなくて複数の分野を一遍に認証されるということであればよいという,そういう御提案という理解でよろしいですか。
 以上です。

【吉岡部会長】 時間があと10何分しかないので,すみませんが,今の御質問はそれぞれ山崎副会長,長谷川理事にちょっと考えていただいて,続きまして,飯吉委員と大森委員,それから谷本委員の御意見を先に伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。
 では,飯吉委員,よろしくお願いします。

【飯吉委員】 飯吉です。
 日米の大学の比較で,日本の大学は入りにくくて,アメリカの大学は卒業しにくいということはよく言われると思うんですが,定員管理のことと関連して,どのように学生に学ばせるのかということ,まずそこを議論しなくちゃいけないんじゃないかと思うわけです。つまり,アメリカの大学だと,4年で卒業する率というのが10%台から90%台まで非常にばらけているんです。その中で,必ずしも4年で卒業できないということがいけないというふうには言われていなくて,むしろ例えば1年間留学を課しているであるとか,サービスラーニングをさせるであるとか,多様なカリキュラムを提供するということによって年数の幅が広がっていくということがあります。
 これを,現在日本でやられているような非常に画一的な入学定員の管理ということだと,教育プログラムを豊かにしていく,多様にしていくということと非常に整合しにくくなってくると思います。それが押しなべてはリカレント教育に対する柔軟性ということですね。前のオバマ政権のとき,アメリカで言っていたのが,アメリカの高等教育に関わる人を100%にするということを言われたわけですけれども,それは学士を取るということではなくて,例えば大学の授業を幾つか取る,コミュニティカレッジみたいところでアソシエート・ディグリー,准学士号を取るみたいな,多様な高等教育の取り方,それによって,一旦社会に出た人もまた大学に呼び戻してこられるという非常に柔軟な考え方をしているわけで,正に今,世界的にも社会がそういう構造になりつつある中で,出たり入ったりする。また,時によっては,大学の方針としても,4年で卒業させないという,むしろそこに柔軟性を持たせるということも大事なんだと思うんですけれども,時間もないのでまた次回かもしれませんけれども,もし大学関係の団体の方で,ここら辺,どういうふうに考えられているのか。田中常務理事なんかは多分一番そこのところは定員の関わりということを強く言われたとは思うんですけれども。
 以上です。

【吉岡部会長】 ありがとうございます。では,続きまして,大森委員,お願いいたします。

【大森委員】 大森です。ありがとうございます。
 私は,質問というよりも,先ほど日本経済団体連合会の長谷川委員からの,リカレントと定員に関して佐藤会長のご発言に対してのご質問について,私も日本私立大学協会のメンバーなものですから,少し補足をさせていただきます。このことについては,二つの観点があると思います。
 一つは,大きな大学でたくさん学生さんを集められている大学にとっては,社会人の方にもっと学んでもらおうと思うと18歳の定員を押しやって社会人を入れてしまうということの課題感,だから別枠が必要なんじゃないかということ。一方で,地方においてリカレントを推進していこうと思ったときに,地方の社会人にとっては,働きながら学べるというところを考えると,短期間かつ安価な学修プログラムが求められています。そうすると,正規の学生というよりも履修証明プログラムやBP,あるいは科目履修生ということになります。しかし,それを受け入れても,逆に今度は,学生数にはカウントされません。地方の大学にとっては,それよりも,18歳がちゃんと入っていないと先ほどの佐藤会長のお話のように定員割れ云々(うんぬん)ということになるので,勢い18歳に注力をするので,なかなかリカレント,社会人のためのプログラムに力を入れようというふうなインセンティブが湧かないというところで,二局化されているわけです。よって,このリカレントと定員の問題も二つの問題を同時に考えていかなきゃいけないと思います。履修証明とか科目履修で来ている人も一定数の単位を取っているのであれば学生数にカウントしますよということであれば,地方の大学も頑張ってリカレントのプログラムをもっともっと開発できるのかなと,そんなふうに思っています。
 以上です。補足でした。

【吉岡部会長】 ありがとうございます。それでは,谷本委員,お願いいたします。

【谷本委員】 資料3の,清水副会長がお話しくださった単位制度の見直しについて,少し現場の声をお話しさせていただけたらと思います。1単位45時間の学修時間で,今回全面的に本学ではオンライン授業を展開したのですけれども,学生たちにアンケートを採ってみましたところ,1日8時間以上ずっとコンピューターの画面に向かっていた,課題を一つ一つこなしていったのだけれども,なかなか時間が取れなくて出せない課題もあった,そのような意見が結構多くございまして,1単位45時間という,この学修時間が果たして今,学生の学修の在り方に沿っているのかどうなのかという,その検討が必要ではないかなと感じております。
 本学では全てオンライン授業の展開をしたのですけれども,1単位45時間の学修という形で授業を実践してまいりましたところ,学生たちが,1日8時間の授業時間,勉強時間では済まないほどたくさん勉強しなければならなかったということで,課題の提出であるとか,土曜日,日曜日も授業あるいは課題に費やしたという意見が多数ございました。ですので,1単位45時間の根拠は,先ほど清水副会長のお話では根拠がないということだったのですけれども,1単位の学修の在り方というのを見直してみて,もう少し学生たちがしっかりと課題も授業もこなせるような形の在り方というのでしょうか,それを考えていくべきではないかなと思いました。
 本学が提携しているアメリカのコミュニティカレッジやアメリカの大学では,1科目につき3単位というところが多くございます。日本の大学でこの4単位を3単位にするとか,あるいは単位の在り方自体を見直していくというのは今の時期にやっておくべきことではないかと考えております。

【吉岡部会長】 ありがとうございます。そろそろ時間ですので,先ほど質問がありました山崎副会長と長谷川理事から,ごく簡単に,お答えできる範囲でお答えいただけますでしょうか。

【山崎副会長】 山崎です。林委員の御質問で教育水準のお話ですけれども,既に私ども,例えばASEANとかSEAMEO RIHEDの大学と二重学位というのはたくさんやっていまして,お互いの単位をどう認めるかといったときに,やっぱり質保証は極めて重要な課題になってきていまして,レベルはなかなか落とせないというか,何と何を教えているからいいではなくて,それぞれについてどれぐらいの水準で理解をしているか,修得できているかということは極めて重要であるというふうに考えています。これから先,そういった国際認証とか国際のいろんなことが進めば進むほどこれが重要になるという意味で指摘をさせていただきました。
 以上です。

【吉岡部会長】 ありがとうございます。では,長谷川理事,お願いいたします。

【長谷川理事】 林委員からの御質問ですが,評価に係る体制の整備にかかるコストが多くの大学でも1校の大学でもその負担は同じですので,1校のみということになりますと,ランニングコストが同様にかかるということで,むしろ費用対効果のところで認証評価機関が苦労しているということを申し上げたかった点でございます。
 以上です。

【吉岡部会長】 清水副会長,どうぞ。

【清水副会長】 清水です。先ほど谷本委員が1単位45時間の学修は根拠がないというようにおっしゃいましたが,1単位45時間の学修は根拠があります。これは1日8時間,1週間勉強すれば45時間というような形で作られたものです。先ほど根拠がないと言ったのは,1単位時間に根拠がない。つまり,今多くの大学では90分の授業を行っていますが,これは単位時間で言うと45分ということになります。ですから,45分を2回やって90分。中には,100分でやるところもある。筑波大学の3学期制のときは75分,国際基督教大学は今70分ですが,これは単位時間を45分か50分かにした違いです。単位時間については根拠がないのですが,1単位45時間の学修については根拠がある,そういうふうに理解していただきたい。問題は,学生の履修科目が多過ぎるということと,履修単位が多過ぎるということ,履修時間が多過ぎるということという3密にあると思います。これによって今,谷本委員が御指摘したような問題も生じているということだと思います。
 以上です。

【吉岡部会長】 ありがとうございました。
 先ほどの議論の中で,一つは,今後ここで何をどういうふうに議論していくかという大問題が実は吉見委員から提起されているわけですが,これはちょっと考えて,次回ぐらいにまた御相談していきたいというふうに思っております。
 現在の質保証のシステムの考え方というのは,一方で設置基準をもとに,基本的に最低限のものを定めるという形になっています。しかし,実際の設置審査においてはそれだけで済んでいるわけではなくて,そこさえ通ればいいと言っているわけではなくて,それぞれの大学であるとか学部であるとかが,こういうことをやりたいということを言った場合に,その目的であるとか,あるいは三つのポリシーという形で提示されているものと,それがカリキュラムにきちんと組み立てられているかということを実際に審査しているわけですね。ですから,設置基準での規制だけではなくて,そういう意味ではかなり立ち入った審査をしているわけです。
 それはその後の認証評価にまでつながっているわけですが,一方で,これも吉見委員がおっしゃっていたとおり,大学というのは,時間の中で常に変化していくわけです。新しいものを作り,当然一つの認可された範囲だけで動いているわけではないわけで,その辺の中で質保証を具体的にどういうふうにしていくのかという,そういう問題があるのだろうというふうに思います。全てを個別にやるわけにはいかない,どこかで類型化しながら判断し,かつ,それを公的な形で判断を開いていくという,そういうことを考えていかなければならないので,かなり大変なことではあると思いますけれども,それをここである程度の道筋をつける必要があるというふうに思います。そういうことで,具体的な法令上の問題のレベルと大きな考え方のレベルをどうつなぐかというところも含めて,今後考えていくということになると思います。
 ということで,途中でちょっと音声がおかしかったりして御迷惑をおかけいたしましたが,以上で本日の基本的な議論は一段落ということにさせていただきたいと思っております。ヒアリングに御協力いただきました各団体の皆様,どうもありがとうございました。
 では,今後の質保証システム部会の開催日程等について,事務局から説明をお願いいたします。

【奥井高等教育企画課課長補佐】 失礼いたします。本日は活発な御議論をいただきまして,誠にありがとうございました。次回は9月28日月曜日,13時から15時を予定しております。次回,短期大学関係の団体からヒアリング,そのほか,今後の位置づけについての意見交換を予定しております。開催方法,場所につきましては,追って御連絡をいたします。
 また,発言できなかった委員におかれましては,事務局までメール等で御意見をいただければ幸いです。以上です。

【吉岡部会長】 ありがとうございます。それでは,これをもちまして第3回質保証システム部会を終了いたします。どうもありがとうございました。


―― 了 ――

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