教学マネジメント特別委員会(第11回) 議事録

1.日時

令和元年11月21日(木曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省東館3階 第1講堂

3.議題

  1. 教学マネジメントに係る指針及び学修成果の可視化等について
  2. その他

4.出席者

委員

(座長)日比谷潤子座長
(副座長)小林雅之副座長
(臨時委員)浅野茂、大森昭生、沖裕貴、佐藤浩章、清水一彦、伹野茂、林隆之、深堀聰子、松下佳代、益戸正樹、森朋子、両角亜希子、吉見俊哉の各臨時委員

文部科学省

(事務局)田口サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官、平野大臣官房審議官(総合教育政策局担当)、牛尾高等教育企画課長、奥井高等教育企画課課長補佐、平野大学改革推進室長 他

5.議事録

【日比谷座長】 おはようございます。定刻になりましたし,皆様時間厳守でおそろいですので,第11回教学マネジメント特別委員会を開催いたします。御出席ありがとうございます。
 本日は,佐藤東洋士委員,川並委員,小林浩委員,溝上委員の4名が御欠席です。
 初めに,事務局より配付資料の確認をお願いいたします。
【平野大学改革推進室長】 失礼いたします。机上の議事次第に記載のとおりでございます。机上資料の方はタブレットにございます。抜けなどお気付きの場合には,事務局の方までお声がけをお願いいたします。
【日比谷座長】 ありがとうございます。
 本日の議事についてですが,皆様議事次第を御覧いただきまして,メーンテーマは1番,教学マネジメントに係る指針及び学習成果の可視化等についてでございます。指針取りまとめの時期もどんどん近付いているところでございますので,それに向けて議論をしていきたいと思います。
 それから,2つ目のこととしまして,本委員会の5回目に,文科省から全国学生調査の試行調査について説明がありました。これにつきまして,先般,参加大学や調査時期などが公表されましたので,この点について文部科学省に御説明いただき,若干の質疑の時間を設けたいと考えております。
 それでは,早速ですが,マネジメントの指針の取りまとめに向けた議論に入りたいと思います。
 皆様,前にも申し上げましたけれども,この教学マネジメント特別委員会は,文科省の委員会としては極めて出席率が高いと言われております。過去10回議論を重ねてまいりましたが,別に何も意図していませんから大丈夫です,全体としてですね。その中で大変皆様に活発に御意見を頂き,10回の積み重ねということで,これまでの集大成として指針案を事務局に用意してもらいましたので,本日はこれをもとに御議論いただければと思います。
 それでは,最初に事務局から説明をお願いしますが,10回分のそれぞれの議論をベースとしておりますのでやや長めに時間をとりまして,40分程度で説明をお願いします。
【平野大学改革推進室長】 失礼いたします。本日の資料2-1が教学マネジメント指針の案でございます。これまで教学マネジメントに係る指針と言っておりましたけれども,タイトルとしては「教学マネジメント指針」でよろしいかなということでこのようにつけさせていただいております。
 資料2-2,2-3,2-4が別紙という形でございます。資料2-2というものは,今回初めて御覧いただく資料になってございます。資料の3というものか概要でございます。俗に歯車のポンチ絵と言っていただいていたものでございますけれども,これをこれまでの議論を踏まえて修正を行っているものでございます。
 最初にお断りを申し上げておきますが,今日お配りしたものに加えて,最終的には教学マネジメント指針のいわゆるサマリー・要旨, 10ページ多くいかないようなものだと思いますけれども,作ってまいります。また用語集,こちらの方も併せて並行して作業を進めていく予定でございます。また,後ろの方には大体こういうものの常でございますが,委員の各位の名前でございますとか,また開催実績というものが加わっていくということでございます。
 あと,後ほどの質疑応答の部分にも関わってくるかもしれませんけれども,来年度以降,またこれは予算の都合もあるわけでございますけれども,指針ができた暁には,そういうものに照らして事例集のようなものの作成というのを検討していきたいと思ってございます。ここについては,それと最後はセットで流通していけるようになればいいなと思っておりますが,これはまた収集や整理,また実際の予算面の関係もございますので,そういう方向で考えていきたいということだけを今の段階では申し上げておきたいと思います。
 それでは,指針の方の説明に入らせていただきます。
まず,「はじめに」という部分,1ページ目からでございます。ここは前回お示しをしたものの変わった部分を主に説明をさせていただきたいと思います。
 1ページ目,今回から行番号が消えてございますけれども,頭の部分でございます。ここの部分,前のバージョンでも趣旨として,自律的な学修者というものになっていかなければいけないのだということについては書かれていたのでございますけれども,今回このグランドデザイン答申で学修者本位の教育というものを強く打ち出すに当たっての最も重要な動機の部分を表した部分でございますので,この表現というものを一番頭の方に持ってこさせていただきまして,まず,しっかりと予測困難な時代にあって,学生が卒業後も学び続けていかなければいけない,その学習の成果というものを適切に評価し,さらに必要な学びに踏み出していく自律的な学修者となることが求められていると。こうしたことを背景としつつ,グランドデザイン答申においては,学修者本位の教育の実現をうたっていると,このような流れにさせていただきました。
 1ページ目の一番下でございます。学修者本位の教育の実現については,供給者目線を脱却し,学修者目線の教育を捉え直すという根本的かつ包括的な変化を各機関に求めていると。これにさらに上乗せするということでありますけれども,これに応えることは非常に大きな困難を伴うものであるけれども,高等教育機関がその社会的使命を十分果たしていくために多くの努力を重ねる必要があるものなのだということを改めて強調させていただいてございます。
 2ページを御覧ください。教育の質保証の課題という部分の最後の段落を追加してございます。これまで教育の質保証については課題があるのだと,二極化している,また,学生の行動も変わっていない,大学教育に課題があるのだということで,その後いきなり教学マネジメントとはという話に入っていたのですけれども,最後の段落を加えた上で,このような様々残された課題というものを乗り越えて,大学教育が学修者本位の観点から十分効果が上がることができるようにするためには,教学マネジメントという考えを重視していく必要があるのだと。その上で,教学マネジメントとはこうであるというつなぎの部分というのを改善させていただきました。
 3ページをごらんください。「教学マネジメント指針とは」の上の部分でございます。ここについても,教学マネジメントの確立というものが個々の取組の別個に確立したもので行うのではなくて,有機的に関連付けて,根本的,包括的な教育改善につながらなければいけないというところに特有の難易度があるのだということを明記させていただきました。
 3ページの下でございます。これまでもずっと目にしてきていただいている表現でございますけれども,過去の中教審答申でもしっかりいろいろ教学マネジメントに関することは言っていたけど,分散して記載されていたとだけ書いてあったのですが,例えば,どういうことかということをさらっと書かせていただいています。具体的に申し上げますと,教学マネジメントという言葉が出てきたのは平成24年の質的転換答申であります。ただ,一番初めの頃にA3の資料で,過去の答申のものを網羅的に配らせていただいたことがあると思いますけれども,例えば,シラバスについては,質的転換答申以前に実はしっかり書かれていた。また,めくっていただきましてFD・SDという部分については,20年の学士課程答申という部分に特に充実して書かれていると。このような形というのを,1つの分散の例ということで書かせていただいております。
 5ページでございます。ここの部分,前回かなり重点的に御議論いただきました,正課外活動の部分でございます。前回,正課外教育活動という形で進めましたけれども,ここは正課外活動の方がふさわしいのではないかということで,正課外活動にさせていただいてございます。
 また,下の部分にあるような,いわゆる正課外活動においても,大学が主体的に関与するようなものと,大学側の手を離れた学生の主体的な活動ということで,このようなCo-Curricular,Extra-Curricularみたいな概念があるのではないかということで言われておりますので,そういう考え方とひも付けして対応できるように注釈を加えさせていただいてございます。
 6ページから7ページにかけてでございます。この四角の中でございます。ここら辺あたりからは,私どものいわゆる文体といいますか,日本語力が問われた部分でございますけれども,こちらの文につきましては,しっかりと文を分割させていただいております。一々お断りはしませんけれども,後ろの方についてもなるべく長文は避けるようにということで,数人が何行を超えているかをチェックしてということでやっておりますけれども,意味が通じる範囲において文章を分割させていただいていることを申し上げさせていただきたいと思います。このような形で,総論は主に修正をさせていただいてございます。
 続きまして,10ページからがいよいよコンテンツということになっていくわけでございます。まず,最初に全体の編集に当たってのということでございますけれども,過去,幾つか議論が繰り広げられる中で,いわゆる段階を追ってしっかり取り組めるようにするべきではないかといった御意見を頂きました。この文末という部分に御注目をいただきたいのですが,まず,この指針自体は拘束力を持たないということが大前提の上でありますけれども,文末は「必要である」,「求められる」といったような表現,「期待される」といったような表現,「考えられる」といったような表現,このような形で,主に3段階程度に分割されています。たまに特に強く期待されるとか,こういった形でちょっとプラスアルファがついているケースもありますけれども,そのような形になっておりまして,「考えられる」というところはあくまで例示として示している部分,逆に「必要である」という部分は,これは最低限今後取り組んでいただくことが,まずは求められるという意味でございます。だから,そこは実はかなりいろいろ御意見がある部分かもしれませんけども,そのような考え方で整理がされているというふうに御理解いただきたいと思います。
 また,これ以降の部分につきましては,各回のこれまで配らせていただいた論点資料,各委員の御意見,各回でヒアリングを行わせていただいた有識者の方から御発表いただいた内容,このようなところを基本的にはソースとして編集をさせていただいているものでございます。
 それでは,10ページの1,「三つの方針」を通じた学修目標の具体化ということでございます。四角の中というのは,この章のサマリーということでございます。各大学の強みや特色が反映された三つの方針は,教学マネジメントの確立に当たって最も重要なものであり,学修者本位の教育の質の向上を図るための出発点ともいえる存在であるということで書かせていただき,また,ディプロマ・ポリシーについては,学生の学修目標として,また卒業生に最低限備わっている能力を保証するものとして機能すべきものであり,具体的かつ明確に定められることが必要である。また,大学教育の成果を学位プログラム共通の考え方や尺度(アセスメントプラン)に則って点検・評価することが教学マネジメントの確立に当たって必要であると書かせていただいてございます。
 後で本文が出てまいりますけれども,このアセスメントプランというものにつきましては,ちょっと先走って申し上げますと,11ページの方で注釈を打ってございますけれども,過去,質的転換答申などでアセスメントポリシーというふうに言われていたものそのものでございます。これは極めて教学マネジメントにおいて重要な考え方でありますけれども,グランドデザイン答申を作る過程において,このアセスメントポリシーという,ポリシーという用語は,3つのポリシーということと並んでいるのはいかがなものかといったような分科会委員の御意見がありました関係で,グランドデザインにおいてはアセスメントポリシーという略称を付さない状態で,いわゆるプログラム共通の考え方や,尺度という形で置かれているものでございます。
 さはさりとて,これは非常に重要な概念でありまして,中核となる概念でありますけれども,略称がないのがいかにも流通させる上でも支障があるだろうということで,アセスメントプランといったような名称を付するということも必要ではないかといったことで御意見を頂いておりますので,それを反映しております。
 なお,10ページ以降,説明させていただきます。2つ目の丸,3つ目の丸から,以前,過去回でお配りした資料についてはガイドラインがありますとさらっと書いて,ガイドライン以外にもこういうことについて理解を深める必要があるという形でつないでいたのですが,一々またガイドラインを引っ張り出してきていただくのも大変な部分もございますので,ガイドラインの中で書かれている中核的な部分というものについては,幾つか丸を起こして追記をさせていただく。その中で,アドミッション・ポリシー,カリキュラム・ポリシーとの一体性,整合性等についても改めて触れさせていただいてございます。
 11ページでございます。11ページの大学全体レベルについては,1個目の丸はアセスメントプランということを打ったというのが大きな修正点でございます。
 2つ目の丸でございます。ここは今回,書き下ろしでございます。これは各回の意見の中で,やはり学修目標というものを立てる中に当たって,自分たちのプログラムの目標を自分たちで立てて,自分たちで検証するといったことが,客観的にしっかりと検証できるということではなく,学修目標の維持という部分にもつながってしまうのではないかということから,しっかりと学位プログラムの多様性は十分尊重しながらも,大学としてしっかり体制を整えた上で,学位の名称にふさわしい学修目標になっていることを事前に確認するということが期待されるのではないかということを書かせていただいてございます。ここは,後でまた学位プログラムレベルで似たような表現が出てきますけれども,大学全体レベルとしては,まず期待されるというような表現にさせていただいております。
 12ページの方にいっていただきまして,この学修目標を作る際にしっかり大学全体として学位プログラムというものの中身を検証するということに合わせまして,三つの方針に即しながらアセスメントプラン等,このようなあらかじめ定められた手続に従って日常的に点検(モニタリング)を行うとともに,定期的には様々な角度から掘り下げた分析を行うなど,総合的な点検・評価を行うということが期待されるのではないかと。
 その点検・評価というのを行う際に,次の丸でございますけれども,分野別参照基準等の基準,専門職団体が学士に期待するような資質・能力,各種の資格試験の実施要項など,モデルコアカリキュラムなどでございますけれども,このような外にある資料を活用しながら,また他の大学の類似プログラムとの学修成果との比較,このような形でしっかりと客観性,適切性を確保していく。また,外部からの評価というのを活用するということもあるのではないかということを書かせていただいております。この11ページから12ページにかけての2つの丸は,新たに追記をさせていただいたものでございます。
 12ページの学位プログラムレベルでございます。ここの部分の2つ目の丸でございます。ここは「卒業認定・学位授与の方針」の学修目標という部分については,何を書くのかといった部分,幾つか議論がありましたけれども,これは確かに過去のガイドラインなども含めて,「何を学び,身に付けることができるのか」という観点で,ディプロマ・ポリシーの中の学修目標というのは策定していくということでありますので,「何を学び,身に付けることができるのか」ということをしっかりと適切に分類して明らかにするということ。ただ,学修目標というものはしっかり客観的に評価できるということが必要でありますので,その記載ぶりとしては,例えば,ここは「学生は○○することができる」といった,CAN DOでしっかり位置付けていくということが考えられるということで,学修目標として,「何を学び,身に付けることができるのか」という範囲で,いろいろ様々多様性はあると思うのですけれども,客観的に評価できるという観点から,「できる」という形の形式で記述するということで,これまでの記述との調和を図っているという部分でございます。
 13ページを御覧ください。13ページの方も,先ほど申し上げた,いわゆる学修目標を設定した上で,しっかりとそれをいわゆるレビューするといったような観点でございます。13ページの最後から2つの部分の丸がそのような内容でございます。大学全体レベルにおいて,学位プログラムの内容というものが,学位の名称のふさわしいものになっているかどうかということについては,期待されるというような表現で書かせていただいておりましたけれども,学位プログラムを構築する方そのものがしっかりと自分たちの学位プログラムというものが適切なものになっているかどうかということを説明できることは必要なことであるということでありますので,ここについては,そのようなことを行うことが求められるといったような,一段強い表現で書かせていただいております。また,その際にはいろいろな外部のものを使うなど,点検や評価の客観性を確保することは強く期待されると。また,実際のディプロマ・ポリシーを策定する際に,外部の意見を踏まえるということがあるということが前に書かれてございますけれども,その場合には当然当該外部の関係者の意見というものを,評価というものを活用することが期待されるということで書かせていただいてございます。
 続きまして,14ページに,授業科目・教育課程の編成・実施でございます。1の部分は,三つの方針を通じた学修目標の具体化ということで,DP,三ポリという部分にレベルを切っておりますけれども,その三ポリというものを踏まえて,じゃあ具体的にどのように授業科目・教育課程に落とし込んでいくのかというのが2の段階でございます。
 ここの部分,四角の中は読み上げることはいたしませんけれども,サマリーになってございます。
 2つ目の丸については,質的転換答申の後,またガイドラインについて,カリキュラム・ポリシーの内容とかも含めて,今までの資料は触れておりませんでしたので,ここは改めて抜粋しているということでございます。
 3つ目の丸でございます。3つ目の丸は今回追記をした部分でございます。「卒業認定・学位授与の方針」に定められたような学修目標を,授業科目や教育課程の編成において具体化し,客観的な点検・評価を可能とすることが求められる。この観点から,学位プログラムの構築・運営に責任を負う学部長と,実際の運営に携わる教員等に分野別参照基準などの情報を活用しながら,当該学修目標を達成でき,かつ点検・評価も可能な授業科目・教育課程を具体的に構築することができるような当該学問分野における専門性が必要。その観点から,大学としてしっかり取り組めることとして,試験問題等の具体的な題材を対象とするような関係者間での意見交換,このようなものを通じて,しっかり関係者間で学修目標の範囲や水準というものについて,共通理解というものを醸成していくということを確認するとともに,当該学問分野の専門性というものの涵養につなげていくことが必要である。これはエキスパートジャッジメントということで,各回において触れていただいておりました。
 この議論というのは,また国レベルで今後しっかり考えていかなければいけないということは,各回から御指摘を頂いておりまして,今後しかるべきところで議論が必要なことも出てくるのかなと思っていますけれども,今回の指針においては,大学レベルで,じゃあまず何に取り組むのかということで言うと,学修目標,三つの方針というものと具体的な授業科目・教育課程をつなぐというところが一番重要な概念でございますので,このレベルの,この間の部分に配置をさせていただいて,その流れが見えるようにしたということでございます。
 15ページでございます。15ページにつきましては,大学全体レベルで教育課程の編成・実施というものを行うに当たって,まずしっかりと確認すべきことというのが期待されるのだということを書かせていただいております。ここについても,学修目標ということとはまた別に,教育課程とか授業科目というものがしっかりとふさわしいものになっているかを,日常的に大学全体としてもモニタリング,定期的な総合点検・評価ということを行うことが期待されるというふうに書かせていただいてございます。
また,これも先ほどと同じでございますけれども,このような点検・評価を行う際には,しっかりと外部の必要な情報の活用ということが必要であるということを書かせていただいてございます。
 続きまして,16ページ,17ページのあたりについては各回の資料に基づいて書かせていただいている部分でありますけれども,先ほど申し上げたように,ディプロマ・ポリシーにおいて観点別に示される学修目標は,全部「何を学び,身に付けることができるのか」という形で統一をしております。
 17ページを御覧ください。17ページの上の部分でございます。ここはこの特別委員会でも相当議論になりましたような,学生の学修意欲を保ち,密度の濃い主体的な学修を確保するための,学生が同時に履修する授業科目についての大胆な絞り込みという部分でございます。このあたりの回でも議論になったところでありますけれども,資格免許等の関係というもので,授業科目が法令等で記載されているケース,○○に係る授業科目2単位とかいうケースなど,やむを得ない場合があるのだということについては,少し言及をさせていただいてございます。
 17ページの丸としては1つ目の部分でございます。最後の2行でございます。履修指導を行うに当たってということでございますけれども,障害のある学生の支援とか,アカデミックハラスメントへの対応など,様々な学生支援部門の相乗効果を高めるという観点から,集約,部門を超えた体制の構築ということも考えられるということを挙げさせていただいてございます。
 次の丸,シラバスでございます。シラバスの部分は,学位プログラムレベルとしても,もちろん個々の教員の先生が作られるということは普通は念頭にあるのだと思いますが,真ん中あたりでございますけれども,例えばということでありますけれども,学位プログラム単位でシラバスの記載内容の骨子をある程度統一して,教員個人がそれを具体化していくというプロセスを経ることとか,教員間で相互チェックをする機会などを設けるというような学位レベルで取り組むことがあると。そこは教員に全て投げて,教員の方で書いてくださいということではない,学位プログラムならではの役割があるのではないかということを書かせていただいてございます。
 17ページから18ページについては,各回において少し議論があったところでございますけれども,キャップ制でございます。キャップ制については,各回の資料ではかなりさらっと書いてあったのですが,そもそもキャップ制とはどういう趣旨で導入されたものなのかということを,17ページの下の部分で書かせていただいております。
 18ページの1個目の丸でございます。キャップ制の運用については,大学に委ねられる部分が非常に大きいということではあるということを前提とした上で,優秀な学生については除外するといったようなことを書かれていた部分があるんですけど,優秀な学生とは何ぞやといったような議論もありましたけれども,基本的には大学が設定された授業科目ごとにふさわしい水準で設定された到達目標というものを,総じてクリアできるような優秀な学生ということで書かせていただいてございます。また,キャップ制の部分につきましても,免許・資格の取得に必要な単位,教職とかそういうものは自由科目といったような扱いになっているケースもあるわけでありますので,こういった部分についても,除外をすることも考えられるのではないかということを書かせていただいてございます。
 19ページでございます。シラバスの内容でございます。シラバスの部分は,各回の資料の方では契約書だというようなことを書かれていたわけでありますけれども,契約書だと変更できないのかといった御指摘も一部頂いたところでございます。これは非常に重要性を強調したいという趣旨でございますけれども,誤解を招くとよろしくないということもありますので,米国では教員と学生の契約書と理解されている例もあるということで,それぐらい重要なものだよということを書かせていただきました。
 また,各盛り込む項目については箇条書きにさせていただくとともに,最後の部分でございますが,ここの授業ごとの到達目標という部分もしっかりと当然ディプロマ・ポリシーの到達目標というものに照らして作られる必要があるのですが,ここについても,例えば学生は「○○することができる」といったような形式で記述するということも考えられるのではないかということにさせていただいてございます。
 続きまして,20ページからが学修成果・教育成果の把握・可視化でございます。ここについては,2回にわたってかなり御議論をいただいたところでございます。
 20ページでございます。3つ目の丸でございます。ここは消化という議論が幾つかあったと思うのですけれども,教育改善というものに情報を生かしていくという観点からは,そのままの形であっては関係者が当該情報を理解したり,学長や副学長,学部長等が意思決定を行ったりすることは難しいという観点から,しっかり当該情報に教育改善という目的に照らした加工や分析の付与を行うこと。複数の情報の統合,適切な情報流通経路の確保等が行われることが必要だと。学修成果の可視化,教育成果の可視化というものを行うに当たって,この部分,いわゆる生データだけが流通するという状態が,データだけが大量に流れ着いて押しつけられてきて,何をやっているかわからない,理解が乏しい。結果として消化できないということでありますけれども,なかなか消化とは書きにくい部分があって,このように書かせていただいているということでございます。
 20ページから21ページにかけては,学修成果・教育成果の把握・可視化については,やはり一定の限界があるのだということについてはしっかりと触れる必要があるという議論をいただいております。全ての学修成果・教育成果を網羅的に把握することはできない。把握した学修成果・教育成果の全てが必ずしも可視化できるわけではないという限界が存在すること。また,学問分野間で把握・可視化に関するこれまでの取組の有無でありますとか,蓄積というものの格差も大きいということ,これに留意をする必要がある。また,教育成果・学修成果の把握という部分については,これはただでできるものではないわけでありまして,学生,大学の双方にとって,相応のコストを要するという側面もあるという御指摘もございました。そのため,これらの取組というのは,あくまで「測定のための測定」に陥ることがあってはならないのだということをしっかりと常に意識する必要があるのだということを,総論の部分に位置付けさせていただきました。
 21ページからが,また各レベル間の話でございます。申し上げ損ないましたけれども,前回の総論のときに申し上げましたが,成績評価と学修成果の教育成果の把握・可視化というものは,一連のものとしてまとめさせていただいてございます。ここについては,御意見ある部分かもしれませんけれども,読む方の可読性の観点から,成績評価という,ある程度ころっとしたものは1回抜き出した形で書かせていただいているということでございます。
 各回の内容というものを基本的に展開する部分でございますけれども,23ページを御覧ください。23ページの一番上の部分でございます。学修成果の把握・可視化,また情報公表の在り方については,実は各回でそれぞれの個別の情報というものが一体何に使われるのか,それはディプロマ・ポリシーの達成状況というのをしっかり測定するために使われるものなのだというような御説明を申し上げてきたわけでございますけれども,やはり個々の情報というのは一体どういう形でつながっていくのかというところがイメージしにくいといったような御指摘も数度頂いているところでございます。その観点から,各大学がみずから様々な情報を組み合わせて,「卒業認定・学位授与の方針」に定められた学修目標の達成状況を明らかにすることが強く期待されると。この同方針の各項目にひも付けて整理し,分かりやすい形でまとめ直して,しっかり同方針に定めた資質・能力を身に付けていることを示すことが考えられるということで申し上げていたわけでありますけれども,言葉だけで言っているとちょっとやはりイメージがということがありますので,今回,資料2-2ということで,別紙1を用意させていただいてございます。
 これはイメージということでございますけれども,これまでの議論で意図していることを図示しているものでございますが,まずディプロマ・ポリシーに定められた学修目標,これは資質・能力ということで過去言っていますが,これはちょっと振れがある部分は直さなくちゃいけないのですが,全部こういう形で位置付けているわけでございますけれども,それぞれまずディプロマ・ポリシー,この緑の部分になりますが,様々多様なものが大学の御判断で盛り込まれるということは当然の前提とした上で,学修目標というものがその中に含まれてくると。
 その学修目標というものをどのような形で説明するのかということで,右側に個々の学修目標を達成しているかどうか,ディプロマ・ポリシーをひいては達成しているかどうかを明らかにするためのエビデンスを並べていくと。つまり,学修目標1,資質・能力Aというものを身に付けているかどうかを判断する上から,例えばこの右上の部分,各授業科目における到達目標の達成状況。この授業科目Bや授業科目Dというのは,ここに書いてあるとおり,俗に言うアセスメント科目をイメージしている部分でございますけれども,このように直接的に評価できる科目ではかる。または卒業論文や卒業研究ではかる。資格取得や受賞,表彰歴等ではかる。このような形で,直接的にやっているものに加えて,関係するものということで,アセスメントテストの結果。また,各項目貫いてでございますけれども,学生側からの成長率感・満足度などの間接的なもの,このような多様な情報を組み合わせながら,個々の資質・能力の達成状況というのを把握していくのだということを述べさせていただいております。
 その上で,学修目標4の下に「…」とありますけれども,ここの部分は学修目標というものがリジットに入ることだけをディプロマ・ポリシーというのは意図しているのではなくて,様々なものが入り得るけれども,ここは資質・能力,学修目標に係る部分だけを抜き出しているということを意図しているものでございます。
 このような形で組み合わせるということを,別紙1,本日の資料2-2という形で示させていただいているものでございます。また,オレンジの部分は,そのような学修目標の達成状況に関連するその他の情報というものを掲げさせていただいているということでございます。
 続きまして,本文に戻りまして,23ページでございます。別紙の2,いわゆる学修成果の可視化の項目がつらつら並んでいるペーパーにも関わってくる部分でございますけれども,この内容について,この23ページの下以降,書かせていただいてございます。
 大きな変更点は2つでございます。1つは,最初がグランドデザイン答申からの経緯で,単位の取得状況というふうになっていたところでございますけれども,前回の議論だったと思いますけれども,単位の取得状況という言葉が非常に範囲を狭く捉えられる。特に何単位取っているという以上の情報というのがなかなか読み取りにくいといったような趣旨の御指摘もあったわけでありまして,ここは各授業科目における到達目標の達成状況という形でさせていただきました。この各授業科目には,いわゆるアセスメント科目,特定の資質・能力といったものの習得状況を直接的に評価することができるような授業科目を含むということで書かせていただいています。
 もう一つは,学修の意欲。ずっと斜体で置いてありましたけれども,意欲がついに消えたということでございます。長い間,時間かかりましたけれども,一応このタイミングで消えました。
 次が24ページのところでございますが,実はもう1個,これはちょっと私ども内部の方でいろいろ検討した結果落とさせていただいているのは,留学の状況でございます。留学の状況というのは,留学した上で何を,その留学の中身をどう評価するかということになりますと,個々のコンテンツに還元されますので,またちょっと位相が違ったものが紛れ込んでいるのではないかということで,ここは落とさせていただいてございます。
 24ページの(2)の下の部分でございます。これらの項目は,把握・可視化に関する情報として考えられるものをあくまで例として示したものであるということでございます。その上で,(1)という部分,つまり,今回については大学の教育活動に伴う基本的な情報であって,全ての大学において収集可能と考えられるものの例というものについては,趣旨を述べた上で,(2)の方については,各大学の判断の下で収集されることが想定される情報だということで従来から書いていたのですが,特にということで追記をさせていただきまして,(2)で分類された情報の収集の必要性というもの,重要性というものは,学位プログラムの内容や学修目標によってそれぞれ異なるものと考えられるということで,(2)というのはそれぞれかなり相当性格によって違いがあるということをさらに強調させていただいているところでございます。
 ちょっと本文の方を先に説明してまいります。25ページでございます。ここ以降は,各項目について,本文としてはさらっと説明している部分ではございますけれども,25ページの2つ目の丸については,略称を濫用して申しわけありませんけれども,俗に言うアセスメントの科目と,卒業論文というものでございます。卒業論文というものは非常に大学の学修成果を把握・可視化する上で重要な位置を占める,我が国の優れた取組であるということを書かせていただいてございます。
 25ページの下の部分でございます。ここも何度か議論があるところなのですが,学修ポートフォリオでございます。学修ポートフォリオについては,ポートフォリオは入れ物でありまして,学修ポートフォリオの中に様々な情報が入ってくると。このような理解の下で,しっかりこのようなエビデンスというものを様々な形で体系的に蓄積・収集していく上で,ポートフォリオの利用というのは効果的に機能するということで書かせていただいてございます。ここは少し後で議論があるかもしれませんけれども,あくまで入れ物であって,そのコンテンツというものをしっかり体系的にやるということでございます。ほかのものはコンテンツベースで,基本的には説明しているつもりでございます。
 26ページでございます。26ページについては,これまでは卒業生に対する評価として,雇用主や進学先からのヒアリングということを書かせていただいてございましたけれども,今回,卒業生からの評価ということ,卒業生自体がどう評価しているかということを加えるべきではないかという御指摘がございましたので,こういったものについては加えさせていただいております。
 また,授業科目レベルの部分の成績評価についても,前の部分の達成目標の書き方と,その具体的な記載の方法として考えられる,することができるというものにどう照らして判断するのかということを書かせていただいております。
 27ページの1つ目の丸でございます。ここは横浜国立大学さんからヒアリングを頂いたときの内容でございますけれども,到達目標を設定した上で,それをどう成績評価に反映していくのか。その成績評価というものの結果を踏まえて,どのように授業改善に生かしていくのか。このような観点から,到達目標を大きく上回る学生が多数とまった科目というものは,到達の水準を上げて授業内容を高度化していくといったようなことが考えられるし,また,到達目標に達しない学生が多数となった科目というのは,到達目標を切り下げるということよりは,学生の理解がさらに深まるような授業内容を検討するといったような成績評価結果の分布を踏まえて,個々の授業改善につなげていくことが必要なのだということを記載させていただいてございます。
 続きまして,4番の教学マネジメントを支える基盤でございます。28ページからでございます。ここの部分は,私どもが言うのも変なのですが,4とか5のあたりになってくると,各回の資料が相当肉厚になっておりまして,1,2,3のあたりはかなり詳細なものがないところからスタートしておりましたけれども,ここからは相当各回の資料がそのまま移ってきている,色合いがより強くなってくる部分でございます。ただFD・SDについては,最初の総論の部分に3つを書かせていただいてございます。FD・SDや教学IRというものは,学修者本位の教育を実施する上で行われるというものであって,その観点から適切な水準で行われる必要があるのだと。両者の密接な連携が必要なのであると。
 2つ目の丸でございますけれども,FDやSDとか教学IRというのは,単に教職員の能力を向上するとか,教学に関する情報を収集・分析するとか,典型的にそのように認知されてきた範囲,これは一般の教職員がということでございますけれども,だけの活動として狭く捉えるべきではないと。ここは学修成果の把握・可視化の結果などを踏まえて,多くの教職員の参画を得ながら,教学マネジメントの一環として実際に教育活動を改善していくと。ループを閉じるといったお話をいただいた先生もいらっしゃったかと思いますけれども,そのような側面を有するような重要な活動として理解される必要があるのだということでございます。
 ちょっとここだけで触れて恐縮ですけれども,いわゆる歯車のポンチ絵の改良バージョンというものが別紙,資料3として配られてございますけれども,これは基本的には,今日御説明している指針の案というものを落とし込んでいるという理解であるんですけれども,前,FD・SD,IRは,右側に縦に書いてあって,基盤ではあるのだけれども,ループとは若干離れたようなイメージがありましたけれども,私ども,二次元で一体こういうのをどう表現すればいいのかというのは四苦八苦したところでありますけれども,基盤であるということはある程度におわせつつ,しっかりこのサイクルの中で重要な役割を果たすということがわかるようにということで,こういう形でさせていただいていますけれども,なかなかこれ以上いいアイデアが出てこないので,ここはこういうものだというふうに受け止めていただけると幸いでございますけれども,サイクルにしっかり貢献するものなのだということを明確にしたところでございます。
 28ページの3つ目の丸でございます。ここはちょっと前回申し上げなかったのですが,いわゆるFD・SDという言葉について,特にSDという言葉が少ないんじゃないかとか,どうこうとかという御意見も頂いたところでありますが,法令上の根拠というものを書き漏らしておりまして,いわゆる大学設置基準の25条の3において,授業の内容,方法の改善を図るための組織的な研修,研究というものと,設置基準42条の3の,教育研究活動の適切かつ効果的な運営を図るための能力,資質の向上の研修というものに分けて書かれていると。我々の出させていただいている通知なんかですと,前段の方はFD,後段の方はSDというふうに称して整理をしていますので,実はいわゆる大学の関係者間のFD・SDという範囲と少し違う部分,つまり,FDは教員向けで,SDは職員向けのような理解をされている方もいらっしゃるかもしれませんけれども,一応法令にのっとった形で言葉は定義させていただいて,ただ,後ろを見ていただくと分かるのですが,そういうことになった結果によって,いわゆる教育課程の話とか,そういう部分はSDということになりがちですが,結果として一体のものですので,全ての部分はFD・SDという形で書かれてくるという,こういう結論になるわけでございます。このような整理をしっかり導入させていただきました。
 29ページ目の3つ目の丸でございます。ここの部分は,先ほどのFD・SDというものが単なる職員の能力向上ということ以上の重要な意味を有するのだということについて書かせていただいております。細かく説明いたしませんけれども,後ろの方もしっかりと,学修成果の把握・可視化の結果を踏まえてどうやっていくのだというような記述を少し追記させていただいている部分がございます。
 30ページの方でありますけれども,教学IR体制の確立という部分。3つ目でございますけれども,教学IRの実施の,いわゆる体制についてはっきり触れてなかったのですけれども,大学の規模とか様態というものに応じてIRの体制については多様な在り方が考えられるので,そこは大学さんにおいてしっかり適切に考えていただく必要があるということでございます。また,ベンチマークの必要性という部分についても,改めて明確に触れさせていただいているところでございます。
 続きまして,この後,FD・SDの部分,IRの部分については大きな修正はありませんので,情報公表の方にいかせていただきたいと思います。情報公表が36ページでございます。この部分も,いわゆる情報公表の意義とか,こういう部分について御意見があったというよりは,各項目の内容と,特に整理の在り方,分類の在り方という部分について御議論を頂いていたということでございます。ここについては,ページで申し上げますと,39ページまで飛ばさせていただくことになります。
 39ページの方に分類の在り方を,39ページのここの丸,すごく長いですけれども,触れているということで,手厚く書かせていただいている部分でございます。実は大きく変更しておりまして,何を変更したかと申し上げますと,前の配ったときには,まず情報公表の項目がたくさんあるものを,学修成果に関する情報と,その後,それ以外の教育の質の向上させるために情報を理解しましたと。これが網羅性が高く感じられるので,もう1回全大学で収集が可能な情報と,各大学の判断で収集する情報ということで,もう1象限復活させて4象限にしたのですが,そのとき一番初めの分類軸が,実は前回お示ししたときまでは,全大学で収集可能な情報はこれです。そのうち,学修成果に関するものはこれで,教育の質に関するものはこれですという形で,全大学で収集可能というところが先立っていたものですから,学修成果の把握・可視化に関するものが2つに分かれているような状況になっておりました。
 今回からは,(1)という大きな分類の方を,学修成果,教育成果に関する情報の例ということでさせていただいた上で,その中で全大学で把握可能と考えられるようなものと,各大学の判断でという形で,象限の優先順位を変えさせていただきました。これによって,今回の情報公表というものが一体何を狙っているのかということが,一定明確になったのではないかと思っております。
 また,(1)番と(2)番のタイトル,長いというような御指摘もあろうかと思うのですけれども,この情報というものが一体何のために集められているのかということについては,この会の議論の中でも相当御指摘がありまして,よく見れば分かるんだというような論法もあるわけでありますけれども,この情報があくまでディプロマ・ポリシーの達成状況というものを明らかにするためのものなのだということについては,何度でも強調しておいた方がいいのだといったような指摘もあったわけであります。
 そのようなことで,この資料の情報公表の方もそうですが,「卒業認定・学位授与の方針」に定められた,学修目標の達成状況を明らかにするための学修成果・教育成果に関する情報なのだと。単に学修成果・教育成果ということではなくて,あくまでDPの達成状況を明らかにするためのものなのだということを強調させていただいているということでございます。
 このような整理の変更を行った上で,先ほどの学修成果の部分で書かせていただいたとおり,教学マネジメントを確立する上で,各大学の判断の下で収集することが想定される情報というものについては,相当程度学位プログラムの内容や,学修目標に伴って異なるのだということを丁寧に書かせていただいたということでございます。
 本文の内容というのは,細かく逐語的に説明しませんけれども,そういうことになっておりまして,41ページの「おわりに」の部分は,最後何かの形で,今日の議論も含めて,詰めるところをしっかりと相談していきたいと思っているわけであります。
 その上で,資料2-3と2-4は,今少し中途半端に触れる形になっておりますけれども,表でございます。表については,資料2-3は学修成果の把握・可視化,教育成果というものに関しての情報ということでありますけれども,基本的には学生さん個人という部分に着目して,どういう情報を収集するのかという観点でまとめられているものでございますが,資料2-3,2-4を通じて大きな部分は,この表の頭の部分に,この表が一体何を意味するものなのかということについて,かなり詳細に本文の方からエッセンスを抜かせていただいているということです。大事な部分を抜かせていただいているわけでございます。
 この情報の表が何なのか,この分類というものの中で,各大学の判断で収集することが想定される情報というものが持つ位置付けは何なのか。このような観点について,両方共通して触れているものでございます。また,学修ポートフォリオの重要性などについても,この中で触れるという形で,ほかの情報のコンテンツとは違った位相の話かと思っておりますので,入れさせていただいているということでございます。
 内容については,これまで御覧いただいたものと大きく変わっておりませんけれども,1個だけ,資料2-3,2-4のいわゆる学修時間の部分の把握・可視化の方法という部分については,ずっと斜体で御意見をお待ちしていたところですが,御意見は余りありませんでしたので,ここについては1時間単位で把握する。集計期間というのは,平均的な1週間とするということがいいのではないかということを書かせていただいているということでございます。
 また,この間の議論も伴って,一番後の部分でございますけれども,卒業生に対する評価の前に,卒業生からの評価を入れさせていただいたということ。また,各大学で収集することが想定される情報の例という部分で,アセスメントテストから順番が並んでいたわけでありますけれども,この部分については様々な手法がある中で,順番についてはグランドデザインのものをそのまま置いてあったわけですが,改めて検討した結果,やはり卒業論文,卒業研究といったような正課の中で,大学の教育活動として行われる,もちろんアセスメントテストも外部業者を使う場合ではなくて,各大学みずからが行うものもここには含まれてくるわけでありますけれども,成果との密着度という観点から,卒業論文,卒業研究というものを一番上という形で挙げさせていただいているという修正を行わせていただいているものでございます。
 以上で,大体資料2-1,2-2,2-3,2-4,そしてこのポンチ絵の方を御説明させていただいたということになるわけでございます。非常に雑な説明で恐縮でございますけれども,私からの説明は以上とさせていただきます。ありがとうございました。
【日比谷座長】 御説明ありがとうございます。
 それでは,これから,11時40分までをめどに議論に入りたいと思います。いつものように札を立てていただきたいのですが,事前に資料4として,5名の委員の方からは意見の書面による提出がございましたので,適宜それを参照していただければと思います。
 それでは,益戸委員,佐藤委員,林委員,こっち見たらばっと3本上がっていて,誰からいきますかね。浅野委員,沖委員,両角委員の順でお願いいたします。益戸委員,どうぞ。
【益戸委員】 去年一昨年とグランドデザイン答申に関わった私からの感想を述べさせていただきますと,ここの教学マネジメントの部分は,まさに重要な宿題だったわけですね。グランドデザイン答申そのものが約50ページ,今日ここに出てきたのが宿題部分の41ページ,合わせると100ページ近いものが出来上がってまいりました。この教学マネジメント指針をお読みになった方が,様々な大学でどうお感じになるか,ないしはそれができる,できないかということは別として,非常に重要なメッセージを届けたと思います。
 もともとグランドデザイン答申は,2040年にはこの様に世の中が変わっていくのではとの言及でした。その中での大学における教育の在り方,かつその教育のアピールの仕方に触れていただくという,非常に良い重要なメッセージです。
 それから,先日の大学分科会に大森委員に来ていただいて,地域連携プラットフォームのお話を聞き,深堀委員と会議の前にお話をしてふと思いましたが,やはりグランドデザイン答申では,何度もステークホルダー,または産業界,経済界との連携であるとか,意見交換ということについて触れていました。しかし,この教学マネジメント指針の中には,この部分は余り出てきていないかなと思います。ですから,今後作成予定の41ページ以降で,教学マネジメント指針においても,学長の強いリーダーシップの下という使い古された言葉だけではなくて,外との接点を持ちながら,こういった教学マネジメント指針を作っていくことは重要である点についても,触れていただきたいと思います。
 そしてもう一つ,事例集の件ですが,各委員から非常に活発ないろいろ御意見が出たと思います。この事例集の中には,なるべく色々な事を入れ込んでいっていただきたい。多くの方の理解の為に重要だと思います。以上です。
【日比谷座長】 佐藤委員,お願いします。
【佐藤(浩)委員】 では,ペーパーを用意しておりますので,そちらの方を御覧いただければと思います。3ページということでナンバリングされております。
 まず1ページ目の総論のところなのですけれども,「供給者目線」から「学修者目線」ということで,一貫して始まった当初からそのキーワードは使われていたかと思うのですけれども,議論の中で,やはり「入学段階の一元的な偏差値による教育の質」から「卒業段階の多元的な学修成果による教育の質」へのパラダイムシフトという議論も多くなされていたような気がします。また,大学の関係者を動かすためにも,この表現が何とか入れられないかなと思っております。
 それから,2ページ目でございますけれども,12行目に,「実際の学生の学修時間その他の学修行動についても」というのがあるのですが,この学修時間についてはここでも議論して,入れるということで私もそれは構わないと思うのですけれども,余り強調しないということをお勧めしたいと思います。「学修時間」を削除して,「実際の学修成果についても」という表現で問題ないかと思います。
 5ページ目でございますけれども,脚注に「Co-Curricular」,それから「Extra-Curricular」という表現が出たのはよかったと思うのですけれども,通常使用する場合には,「Co-Curricular Activities」,あるいは「Extra-Curricular Activities」という名詞がついておりますので,それを入れていただくといいかと思います。
 それから,6ページ目に,小見出しとしては「教学マネジメント指針の構造」と書かれているのですけれども,文中では,そこのパラグラフの6行目に,「本指針の構成は」というふうにありますので,どちらかに統一する。「構成」でいいのかなと思うのですけれども,統一した方がいいかと思います。
 それから,12ページ目に,学位プログラムの書き方で,「~することができる」というのがあるのですが,具体例を示した方がいいかなとも思いましたが,別途事例集を作るという話がありましたので,そこまで待ってもいいか,若しくはここで事例を提示するか,検討が必要かなと思います。
 次に書かれている13ページの話ですが,これは後ほどまとめてお話ししますので飛ばします。
それから,次の28ページの話もちょっと飛ばさせていただきまして,その次に事例の挿入ですね。これも事例集の話がありましたので,削除させていただきます。
 それから,全体を通して,個々の授業レベルという箇所があるのですが,これは私,個人的には「個々の」を取って「授業科目レベル」に統一した方がよいと思っています。本文中にも実は2回表現が出てきておりまして,「授業科目レベル」で統一した方がいいと思っていますけれども,ここの部分が余りうまく書けていないように思えます。
 まず,10ページ目ですけれども,「『三つの方針』を通じた学修目標の具体化」というところは,大学全体のレベル,それから学位レベルという2つはあるんですけれども,授業レベルはないんですね。学修目標の具体化というものを授業レベルで考えると,いわばシラバスで到達目標をしっかりと定めるということかと思います。留意点としては,例えば,全学や各学部のディプロマ・ポリシーで定められた学修目標との関連がなければならないとか,動詞で終止するとか,測定可能にするとか,要するにシラバスの書き方研修で,私どもがよく言っていることなのですけれども,そういったものが示されるべきである。この次にシラバスの話がまた別途出てくるのですが,そこの記述をこちらの方に移してくればいいのではないかと思います。
 それから,2番目の授業科目・教育課程の編成の実施というのが14ページからありますけれども, 18ページに,授業科目レベルで唐突にアクティブラーニングが出てくるんですけれども,順番としてはまず設計の話がありますから,シラバスの話を先に持ってくるべきだろうと思います。それから,ここでは15回の連続した授業だけじゃなくて1回分の授業ですね。レッスンプランと呼ばれますけれども,それについてもここに入れるといいんじゃないかというふうに思います。
 また,あまりアクティブラーニングとかICTの活用のみに焦点が当たっているのは,やや偏っている印象がありますので,「目標に対応した適切な教育方法を選択する」ということを強調するといいかと思います。
 TAに関する記述が18ページに出てくるんですけれども,これとアクティブラーニングの話は一体化されていますが,別途切り分けて書いた方がいいのではないかと思います。
 19ページに,これは以前に指摘したのですが,講義概要とか,講義の方法,講義の計画というのがあるんですけれども,講義はあくまで一教育方法ですので,授業に修正すべきだというふうに考えます。
それから,20ページに学修成果・教育成果の把握・可視化の話がありまして,これ,構造としては各レベルにおいて成績評価と学修成果,教育成果の把握・可視化というふうにまた2つに分かれるんですけれども,私の考えでは,後者の方に前者は包摂されると。つまり,学修成果・教育成果の把握・可視化のうちの1つが成績評価ではないかというふうに考えておりますので,順番としては逆の方がいいのではないかと思います。
 それから,私の書いたペーパーの4ページ目ですけれども,学修成果・教育成果の可視化の部分に関して,授業科目レベルを見ますと,成績評価のみなんですね。やはり授業レベルでも学修成果・教育成果の把握・可視化という様々な実践はありますので,ここもバランス的に考えると,何かを記述するべきでありまして,ルーブリックを使うだとか,ポートフォリオを使うだとか,様々な評価方法,多様なものがありますので,それを入れるべきかと思います。
 3ページに戻っていただきまして,先ほど飛ばした28ページのFD・SDの高度化というところなんですけれども,タイトルには高度化という言葉があるんですけれども,本文の中に高度化という記述がないんですね。そのため,何をもって高度化なのかというのが説明されていない。FD担当者の立場から言うと,余り高度になっていない。なので,もう一歩踏み込んで,例えば,資格を付与するとかいうところまで踏み込まないと,跳躍感というか,飛躍感がない感じがしますので,もう一歩踏み込んだ記述が必要かと思います。
 それで4ページの方になりますが,ここでは別紙の2,別紙の3のところについていろいろ書いているのですけれども,一番申し上げたいことは,この2と3を一緒にした方がいいんじゃないかと。2つあると,ほぼ中身が一緒ですので,これは公表の話だとか,可視化の話だとか,それは右側に丸つけたりすれば済むことなので,似たような指標が2つあるというのが大きな問題かなと。これを1つにまとめられないかというのが提案です。あとは文言が長いというのは,先ほど事務局からも指摘がありましたので,よりシンプルに表現するということで提案をさせていただきました。
 以上です。
【日比谷座長】 続きまして,浅野委員,お願いします。
【浅野委員】 では,同じく資料4の1ページ目に戻っていただきまして,私の方からコメントさせていただいた点を中心に確認いたします。
 まず本文のコメントを5点挙げさせていただいておりまして,まず1点目はかなり大きなところですので,ここを少し重点的にお話ししたいと思います。11ページの学位プログラムの話が出てくるのですが,以前御確認させていただきましたように,現状,多くの大学では,どの単位でポリシーを作るべきかというのは大学に任せられています。それはそれでいいのですが,それに伴う混乱として,学部・研究科単位でしかディプロマ・ポリシーがないケースも多く見受けられますし,逆にディプロマ・ポリシーは1つなのだけれども,カリキュラム・ポリシーが5つ6つある,といった不整合が生じている現象が確認されます。
 そうなりますと,大学としてもまずここの大もとの方針を定めるというところでつまずいてしまい,全てが影響を受けます。特に,学修成果の測定への影響が大きくなります。こうした実状から,学位プログラムという名称を使うと,大学の現場では恐らく学位単位で定めればいいのだろうという風に理解していると言えます。ただ,現状,日本の大学の学位というのは,例えば理学,工学というのは非常に大きな単位になっていますし,特に学術となると非常に大きな単位になります。そこで,この単位でディプロマ・ポリシーを定めて本当に意味があるのかという問題もありますので,個人的には,括弧書きで書かせていただいていますけれども,基本的にはカリキュラムが異なるものは恐らく教育目標も異なると類推できますので,カリキュラム単位で策定するということを促してはどうかということであります。
 2点目が,17ページの3段落目の部分であります。ここはシラバスに関係するところであります。「例えば」のところはいいのですが,その前段にもう少し強い表現として,「到達目標の関係の確認等を責任を持って行われる必要がある。」と記載いただいていますが,それをした上で適切なシラバスが作成されていることを検証していくということも重要だと思います。学位プログラムレベルであっても,本当にシラバスがしっかり作成されていて,大学が意図しているものになっているのかどうかを検証する仕組みがないと結局はシラバスの問題は改善されませんし,以前,益戸委員が御紹介されていましたけれども,大学によってはシラバスと呼べないようなものを公表しているという現状につながりますので,そういったものを是正していくという意味では,この検証の仕組みをこのガイドラインで示すことは重要だと考えます。
 次に,3点目が,先ほど佐藤委員のお話にも少しありましたけれども,学修成果について21ページ辺りにあるように、いきなり成績評価から始まるということに対して違和感を覚えてしまいます。これは現状,大学でもやっていることですので,それを挙げることによって何が問題なのかというのが少し見えにくいというのもあります。
 加えて,学修成果を測定・把握するという意味においては,アセスメントポリシーまたはアセスメントプランとは不可分な要素もあります。20ページの総論で若干述べていただいていますが,プロセスとしては,大学全体レベルでまずアセスメントポリシーを策定し,それを踏まえて測定していくということが必要になってまいります。次に,学位プログラムレベルで見ていきますと,それを踏まえて,学位プログラムレベルによりフィットした,あるいは具体化したようなものから測定していくということが必要になりますので,その点が欠けているような印象を受けました。
 それからもう一つが,28ページであります。以前,私からも話題提供させていただいたときにも触れましたが,現状,多くの大学ではデータ収集や活用に関する規則等がない状況です。その時々の執行部や担当者によって担われているというのが現状であり,それを組織のルールとして置くという意味では規則等に定めるということも促してはいかがかということでコメントさせていただいています。
 最後になりますが,これは本文というよりは,本日お出しいただいた資料でいきますと,資料2-2に該当する部分です。これ,エッセンスとしては恐らくこういうことなのだと思いますが,ともすれば,大学はいきなりこの様式を使って何かを説明しようとすることになるかと思います。そういった誤解を生まないためにも,ここにたどり着くための手法として,恐らくカリキュラムマップであったり,カリキュラムツリーであったりがあるはずですので,それを使ってここにたどり着いていただきたいというふうに明示した方が混乱は少ないかなと思いました。
 私の方からは以上になります。
【日比谷座長】 それでは続きまして,沖委員,お願いします。
【沖委員】 失礼いたします。2点申し上げたいと思います。
 27ページですが,今回付け加えていただいたというところで,「例えば」という2つ目の丸がございます。ここに書いてあるのは,到達目標を大きく上回る学生が多数となった,あるいは達しない学生が多数となった場合,到達目標の水準を上げたり,あるいは変えずに内容を検討したりとございますけれども,これだけの文面では,到達目標は各担当者が自由に動かしたりしていいというような誤解も与えかねません。到達目標とはDPとの関連で規定されるものですし,学位プログラムに関係する先生方の中の合意で基本的には作られるものですので,その辺り少し補足が必要かと思います。ただ,本人が自分の授業の内容を検討するということが非常に重要ですので,そこも併せて上手に書いていただけるとありがたいかなと思います。
 それから,33ページです。これはちょっと難しい話なのですが,新任教員あるいは実務経験のある教員の必要な研修の内容を34ページも含めて書いていただいています。これは非常に重要なことだと思いますが,もう一歩,もし踏み込めるならばなんですが,新任教員研修のプログラムの基準枠組みのようなもの,各大学が共通に,ここまでもう書いていただいたらかなり共通化ができるわけですけれども,そういったものを学協会で検討するというようなことも踏み込んで書いていただけると,ある大学に赴任したときも受講して,また次の大学に移ったときも受けるというようなそういう手間も省けますし,新任教員プログラムの質の保証ができるかなと思います。
 以上です。
【日比谷座長】 林委員。ごめんなさい,ちょっと順番がずれましたが。
【林委員】 ありがとうございます。「はじめに」で大学教育の転換を強く訴えていただいて,その上で指針を書いていただいていて,非常によく書いていただいていると思っております。その上で4点ないし5点のポイントを挙げたいと思います。
 まず,1点目が12ページです。12ページの丸としては1つ目の丸,2段落目というか,1つ目の丸なのですが,これ,新しく入れていただいたところで分野別参照基準のお話とかそういうところが入っているんですけれども,学位プログラムのところにも同じような話が13ページにあります。私の意見としては,12ページの表現を,大学レベルで参照基準等で「比較を行うこと等が期待される」になっているのですけれども,基本的には,各分野の教育でこういう比較を行ったりして自らの学修目標あるいは教育カリキュラムが妥当かを検討するのはやはりプログラム自身がやるべきです。
 内部質保証の議論でも,やはり内部質保証が機能する要件としては,プログラム実施者自身がオーナーシップを持って自ら検討することだということが先行研究等でもいろいろ調べられております。そうすると,今の書き方だと,大学が何か上から比較をしてという形に読めてしまうんですけれども,基本的にプログラムごとにそういうことが行われているかを期待するというメタな比較というか,メタなチェックをするということで書いていただいた方がいいのではないかと思っております。
 それから次ですが,15ページです。授業科目・教育課程の編成のところの大学全体レベルなのですが,ここはちょっと悩ましいなと思っています。例えば「大学全体レベル」と書いてあるところの1つ目の丸ですけれども,4行目ですかね,「その上で,大学としても,各学位プログラムを横断して……踏まえ」と書いてあります。内部質保証の議論とかをしていても難しいのが,学位プログラム中心となったときに,全学教育,共通教育の扱いが非常に分からなくなってしまうんですね。
 もちろん大学によって,例えば4年間の課程のプログラムの中で全学教育も考えるというスタンスもあれば,一方で,多くの大学でやはり全学共通教育を担うところがちゃんとあって,そこがしっかり考えていて,また,大学の目標ということから考える。例えば地域に根差した教育とか,あるいは大学自身が考える学修目標とか,そういうものはやはり共通教育のところで担われている。そう考えると,共通教育,全学教育について教育課程の編成とかそういうものをちゃんとしっかりやって確認をするという,何か共通教育のようなキーワードが入っていただいた方が,大学全体としてそういうところを漏れなくちゃんとやるのだということが分かるんじゃないかなと思っております。そういうキーワードが入れられないかということでございます。
 それから,飛びますが,24ページです。学修成果のところですけれども,学位プログラムレベルの学修成果のところで,24ページの一番下の丸です。ここに書いてあることは,私そのとおりだと思っていて,「「卒業認定・学位授与」の方針に定められた学修目標の達成状況を明らかにするための前提として,個々の授業科目において設定される到達目標を達成することで,同方針に定められたどの資質・能力を伸長させるかが明らかになっていることが必要である」。特にその下,2行下ですけれども,これらを組み合わせて分析することでということで,個別個別の授業科目の評価を組み合わせることでプログラム単位の学修目標が達成されているかが見られますというふうにここには書いてあって,私はそのとおりだと思っています。いろいろな大学の取組を見ても,今は個別個別の授業の成績評価の結果を重み付けで組み合わせたりすることによってプログラムごとの学修目標の達成を見ているから,実際に活動と合っている。
 ただ,それが2-3とか2-4の資料に行ってしまうとその視点がよく見えなくなってきて,横長の2-3のところを見ると,各授業科目における到達目標の達成状況ということで,個別個別の授業科目の達成状況を見ると。それプラス,卒業認定に書かれたことを直接的に評価することができる授業科目があればそれも見るという,そういう話になっていて,授業科目群の成績を組み合わせることによって,プログラムとしての学修目標が達成されているかの確認をするというそういう視点がこの2-3になると見えにくいなと思っています。なので,ちょっと分からないですけれども,例えば直接的に評価することができる授業科目を含むという括弧に加えて,授業科目を組み合わせるなどしてプログラム単位の学修目標を達成するとか何かそういう文言も入ってもいいかなと思っております。
 それに関連してということでもないですけれども,今,24ページの一番下を見たのですが,2つ上になりますかね,丸がないんですけれども,1個上の丸のその上ですけれども,(2)から始まっていて,「これらの項目は」云々という段落があります。最後のところですが,各大学においては,これらの項目や分類も参考としつつ云々で期待されると書いてある。これでもいいのですけれども,できれば書いてほしいのは,大学がここに書かれている方法以外のものも積極的に自ら学修成果を把握するための取組として検討することが望まれるような,ここに書いてあること以外もやってもいいし,そういうことを検討すること自体も求められているのだという,そういう雰囲気が出るような文章にしていただけないかと。先ほど申し上げたようなことも含めて,ここに書かれていること以外もいろいろなやり方は恐らくあり得るだろうし,今後も出てくると思うので,余り絞るようなことはしたくないということでございます。
 最後,ちょっと細かい点でございますが,25ページの丸としては下から2つ目の丸ですが,学生の学修時間のところです。先ほど佐藤委員も学修時間についてコメントされていまして,私も基本的に学修時間はアウトカムという感じではないなとは思っているんですが,ただ,2行目で書かれているように,必要な前提を満たしているかに関する情報としてということであればいいとは思うのですが,その次の句ですが,「一人一人の学生が自らの学修成果を説明したり」と書いてあるのですが,学修時間の情報で学修成果を説明することはほぼ無理だろうと思っているので,この句は取っていただいた方がいいのかなとは思っております。
 以上になります。
【日比谷座長】 両角委員,お願いします。
【両角委員】 ありがとうございます。今回のこの指針(案),あと,別紙の1,2,3なども,私はとてもよく整理されているなという印象を受けました。これをしっかり読めば大丈夫だと思うのですが,こういうことが議論されているということをいろいろな大学の方と話していると,必要なのだけれど,こういうことやれというのは分かるけど,どうやってやるんだと言います。人も減らされているし,お金もないのにどうやってやるんだという悩みをぶつけられることが多くて,そういった面からもう少し書いておいてもいいかなと思ったことについてコメントをさせていただきます。
 どこに書くかというのは難しくて,基盤のところなのか,むしろ最初のリーダーシップのところなのかなという気もしたりするのですが,1つはやっぱり人が減っている中でいろいろしなければいけなくて,そこでこういうことをするときに,例えば17ページのところで,部門を超えた修学支援体制の構築を図るというのは,おそらく教職員の個々の能力を少し上げるとかではもう済まないぐらいいろいろなことをやらなければいけなくなっているので,書かれたことについてどこまでやるのか,ということもですが,本当に今の仕事の割り振り方でいいのかとか,その体制でいいのかというところ自体の見直しをそれぞれの組織内で検討したほうがよいということをもう少し強調してもいいのかなという気がしました。
 また,これは学内の部門をどう調整するかということですけれども,ところどころ書いてはあるのですが,例えば学修時間の把握にしても,学修成果の把握にしても,ここで出てくることは,自分の大学だけで知恵を絞るというよりも,他大学と基盤的な教学経営基盤みたいなものをもっと共有することで,効果的に,効率的にできる面が多く,その辺りのことをもっと視野に入れてもいいのではないかと思います。自前で既にやっているところは良いのですが,これから取り組みを始める大学については,例えば文科省のやる学生調査,今日後で説明あるようですけれども,ああいったものも活用するのも1つの方法かと思いますし,学内の人的資源も経済的資源も本当に限られている中で本当にどうやってできるかというところで,資源の再配分とか学外の資源の活用みたいなことを入れるのもあるかなと思って聞いていました。
 あと,トップのリーダーシップのようなことを強調するのはとても大事で,今言ったことはトップがやる気にならないとできないことではあるのですが,先ほど林先生ほか何人かやっぱりおっしゃっていましたけれども,基本的にはプログラムレベルでかなり本質的なところは責任を持ってやることが重要になります。トップの役割は重要なのですが,トップがこうしたことをすべて全部やるわけではなくて,そういうふうに学内の議論を促すことが大事だとか,そっちに向けさせる形でのリーダーシップが大事だというようなところが少し明示的に例えば学長のリーダーシップとかのところに書かれてもいいのかなという気がしました。教員の自律的,主体的関与をぬきに,こうした教学改革は成功しません。
 国際大学教授職の比較調査の結果を見ていますと,日本の大学教員の特徴として,学部・学科間で互いの教育について全然議論しないという,諸外国と比べてもすごく自分の中だけに閉じているというところが特徴で出てくるのですけれども,そこにいきなり外の枠組みとかトップが出ているというのも私はかなり違和感があって,まずは専門の教員同士が学科レベルなどでの議論がきちんと大事で,それができるように促すというところこそがまずトップがすることかなと思いました。
 あともう一つは,浅野委員もちょっとおっしゃったことと関係するのですけれども,こういった教学マネジメントのサイクルを確立するというのはかなり長期的な視野が大事なことなので,学長のリーダーシップを強調し過ぎるとおかしなことが起きます。学長の任期より長いところを確立しなければいけないのに,いろいろな大学を見ていますと,学長が代わるたびにこのサイクル,つまり基盤が変わるということが起きていて,ちょっとそれはまずいんじゃないかと。学生の在籍期間とほとんど同じ4年間で学長の任期も終わってしまうケースが圧倒的に多いのに,ころころこういう仕組みが変わらずに安定的な体制を構築し,運用することが大事だと思います。こういったものを最初確立するときは作るんですけれども,それが継続的にできるようなことが大事だということを,当たり前ですけれども,それが意外とできていないので,書いてもらいたいなと思います。
 こういう指針などが出されると,本当にいろいろな大学の方から,「こういうのできる人いないから,うちの大学でそれを引っ張ってやってくれるような人を紹介してもらえませんか」とかすごく言われるんですけれども,そんな人は突然に降ってくるはずがなくて,やっぱり長いことそういう積み重ねがある中でいい人材は育ってくるのだと思いますが,そういう役割を担う人材の重要性が強調されながらも,その雇用が不安定であって,期待されるような人材がなかなか育ちにくいという面があると思います。ですから,長い目でみてもらい,学長のリーダーシップの発揮は大事ではありますが,それだけではなく,もうちょっと継続的な活動として定着できるようにというメッセージがどこかに入るといいなと思いました。
 以上です。
【日比谷座長】 それでは,この後,松下委員,深堀委員,大森委員,森委員の順でお願いいたします。松下委員,どうぞ。
【松下委員】 ありがとうございます。それでは,私も事前に意見を出しておりますので,9ページを御覧ください。大きく内容面と表現面で分けているのですけれども,まず内容面の方からです。
 一番長く書いているのが,教学マネジメント指針の構造とPDCAサイクルの関係です。先ほど歯車モデルとの関係で事務局が御説明されたところでもあるのですけれども,私はこの本文を拝見したときに,A(Action)と,教学マネジメントを支える基盤であるFD・SD,教学IRとを対応付けることには少し無理があるのではないかなと感じました。
 教学IRは特にそうですけれども,改善に向けての情報収集をする。それから,FD・SDも,これは例えば文科省の調査でもずっとファカルティ・ディベロップメントの調査がありますけれども,「大学教育の内容及び方法の改善を図るための教員の組織的な研修等」となっているんですね。改善にはつながるのだけれども,改善そのものではない。FDの意味がプロフェッショナル・ディベロップメントとエデュケーショナル・ディベロップメントという2つを含むので,エデュケーショナル・ディベロップメントの方は割と改善に近いですけれども,どうもやっぱりここでActionのところとこの2つの基盤という部分が対応付けられるのだというのは,私は少し無理があるのではないかなと思っています。
 やはり基盤はあくまでも基盤であって,FD・SDとか教学IRは,その前のところ,PDCAのPとかDとかCのところにも関わるわけです。別にAのところだけと関わるわけではないと思いますので,そこを少し再検討していただけないだろうかというふうに思います。個人的には,教学マネジメント指針では,Aについてはガイドラインを示さず,その基盤を示すにとどめているということをむしろ積極的に書くというやり方もあるのではないかと思っています。多分これは賛同を得られないかなと思いますけれども。
 それから,もう一つは,「教学マネジメントに関係するPDCAサイクルは,課題が存在しないようにすることを目的とする一回限りの営みではなく,むしろ積極的に課題を明らかにして次のサイクルへの改善に結びつける営みとして理解することにこそ意味がある」ということを明記してくださった点は非常にいいと思うのです。しかしながら,普通のPDCAの後に,5に情報公表があるわけですね。そして,そこで説明責任を果たしていくということが強く求められていることを考えると,課題,つまり,いろいろな問題点があるということを情報公表したがらないというようなところはやっぱりあると思うんです。
 これまで大学評価論の中でも,評価が改善とアカウンタビリティの二重構造を持つことは非常に困難だと言われてきています。私はここのところをうまく乗り越えるためには,課題があったとしても,その改善策を示し,一定の期間内に改善できれば肯定的に評価されるような風土作りが必要であるというようなことを,そこで言及していただければいいのではないかなと感じました。
 それから,今のところと関連して,ちょっとここに書いていないのですが,資料3についてです。この資料は,事前に意見を提出したときにはまだ出ていなかったので,今拝見しているのですが,先ほど言った基盤のところが,Actionのところにくっついているという点は,やはり少し無理があるのではないかと思います。これが1点です。
 それと,このようなサイクルモデルというのはいろいろあるのですけれども,すごく細かいことで申し訳ないですが,ここでは反時計回りに描いてありますね。普通,サイクルモデルというのは時計回りに描くものなんですね。このモデルも時計回りでも描けますので,そういう工夫をしていただければと思いました。
 それから,また9ページに戻りますが,別紙1(資料2-2)の今回新しく出してくださったイメージ図,分かりやすいのですけれども,左側の学修目標の方は1,2,3,4としか書いてありません。右側のエビデンスとなる情報の方はかなりいろいろなバリエーションがあるということが書かれているので,どういうふうなエビデンスとどういうふうな目標が対応するのかという点について,もう少し目標のタイプの説明を簡単にでも書いていただければなと思いました。ただ,先ほど事例集というお話があったので,そのときにそこを入れていただくのでもいいかもしれません。
 それから,別紙3(資料2-4)です。先ほど学修時間を入れるべきかというお話が佐藤委員と林委員から出ていましたけれども,私は,学生の成長実感・満足度というのも,大学の教育活動に伴う基本的な情報なのか,少し疑問に思います。ここで②の縦の欄のところに,「関連する法令等」というのを大体入れていただいていまして,今入っているところと入っていないところがあるのですが,例えば最初の到達目標の達成状況などは大学設置基準とかそういう法令と結び付けて書くことができると思うんです。それに対して,学生の成長実感・満足度というのが,情報公表を義務付けられるほど,大学の教育活動に伴う基本的な情報なのかというのは,もう少し議論が要るのではないか,関連する法令等の裏づけが必要ではないだろうか,と思います。
 ほかのものは全部,大学で必ず取っているような情報だと思います。そういう意味で非常に基本的だし,それが公表を義務付けられることは問題ないかなと思うのですが,成長実感・満足度と学修時間に関しては,(1)に入れるよりも,むしろ(2)なのかなというふうにも思います。つまり,学修成果・教育成果を保証する条件に関する情報の方ですね。特に学修時間などはそちらの方に入れることも考えてもいいかもしれないし,あるいは(1)の中の②,各大学の判断で収集することが想定されるという方に入れてもいいのかもしれませんし,そのあたりもう少し議論が必要なのではないかなと。もし法令などで根拠付けられるのであれば,それを是非入れていただきたいと思います。
 それから,10ページの「4.アクティブラーニングの定義について」です。アクティブラーニングの定義は今回,注4のところにこういうふうな定義が挙がっているのですが,私が見落としているだけかもしれませんが,行政文書では今まで余り見たことのない定義です。よく知られているのは「質的転換答申」の定義なので,何で今回はこういうふうな定義を使われているのかなと思いました。もし定義を変更するのであれば,その説明も必要ではないかと感じました。
 それから,表現面の方で細かいことで恐縮ですが,これは以前から感じていたことなのですが,PDCAのときのAというのはActionとするのと,Actとするのとありますよね。P,D,C,PとCは名詞か動詞かよく分からないですが,Doは明らかに動詞なので,本来はActとする方が動詞でそろえるということになるのかなと思うのですが,多分文科省ではずっとActionとされていると思いますけれども,この辺りはもう変更は難しいのでしょうかということです。
 あと,授業科目と講義のところは,先ほど佐藤委員がおっしゃったのと同じです。
 「資質・能力」のところ,他に「能力・資質」,「能力や資質」,「知識や能力」というのもありまして,この辺りの表記ゆれは,依拠している条文からの引用などの場合は仕方ないと思いますが,できるだけ表記ゆれがないようにしていただければと思っています。
 以上です。
【日比谷座長】 それでは,深堀委員,お願いします。
【深堀委員】 ありがとうございます。まず,大変な情報量の指針をおまとめくださいまして,お疲れさまでございました。
 私からは,事前に資料を提出させていただきました。資料4の5ページから掲載していただいておりますが,既に各委員が御指摘された内容もありますので,3点に絞って御報告させていただきます。この指針が各大学の教職員によってどう受け止められるのか,趣旨を十分に理解して受け止めていただくために,追記すべき内容はないか,より簡潔にまとめられる部分はないかという観点から,コメントさせていただきます。
 まず5ページの2つ目の箇条書きの箇所ですが,本指針で示されている用語について,これまでの答申と違って,学修成果を「プログラムレベル」と「授業科目レベル」で分けて整理していること,そして,「目標としての学修成果」と「結果としての学修成果」の概念を分けて整理していることは,これまでの混乱を克服する上で,非常に重要な進展だと考えます。
 具体的には,プログラムレベルの目標としては「学修目標」,結果としては「学修成果」,授業科目レベルの目標としては「到達目標」という用語が区別して使われています。ここで,授業科目レベルの成果に関する用語が明記されていないので,概念の区別をより明確にする観点から,整理することが望ましいと考えます。さらに,図1に教学マネジメントの仕組みを例示させていただきましたけれども,用語の使い方を視覚的にも捉えられるように,このように図示しておくことも重要ではないかと考えます。
 第2点目として,指針の11ページのプログラムレベルの学修成果の評価に関する記述について,コメントさせていただきます。ここでは,プログラムレベルの学修成果は,大学が「客観的に評価することができるものとする必要がある」,「学生が,~することができるといった形で記述することが考えられる」と述べられています。
 実際には,プログラムレベルの学修目標は抽象的にならざるを得ません。例えば,日本学術会議の分野別参照基準の「学生が身につけることを目指すべき基本的な素養」等がプログラムレベルの学修成果の抽象度に相当しますが,客観的に把握するレベルの具体性を持って書くことはできません。客観的に把握するためには,プログラムレベルの学修目標を授業科目レベルの到達目標に紐付け,具体的な知識や能力の文脈の中で,達成度を確認していくことが求められますが,結果的に非常に限定された範囲の到達目標の達成度の評価になってしまいます。学修成果の評価の客観性を確保することは,簡単なことではないので,今後,専門団体や大学間連携などにおける方法論の開発に期待するところです。この箇所は,他の箇所において,例えば19ページで「全ての学修成果・教育成果を網羅的に把握することができない」とか,「把握した学修成果・教育成果の全てが必ずしも可視化できるわけでもない」というように,非常に慎重に記述されているスタンスと齟齬が生じていますので,再検討するべきではないかと考えます。
 最後に3点目として,17ページから18ページにかけて,非常に丁寧にシラバスに「盛り込む必要がある」要素が示されている点について,コメントさせていただきます。学位プログラムと授業科目の設計原理が理解されていなければ,シラバスの要素をことさら強調したところで,シラバスは形骸化し,無用の長物になりかねないからです。
 むしろ,学位プログラムと授業科目の設計原理をしっかりと明記することが重要だと考えます。つまり,学位プログラムの学修目標を達成するために編成された教育課程を構成する個々の授業科目には,学修目標の達成に向けて担うべき役割があり,したがって,授業科目の到達目標は,授業科目が扱う教育内容の文脈の中で,学位プログラムの学修目標具体化したものでなければならないという考え方を明記する必要があります。プログラムの学修目標と授業科目の到達目標を紐付けて考えていくことが,日々の教育実践の中で極めて重要な意味を持ちます。指針をじっくり読めば理解できることではありますが,特にわかりやすく整理しておくことが望まれます。
 さらに,学修時間がどのような意味を持つのかという点についても,誤解を招かない書き方をする必要があると思います。授業科目は,1単位45時間相当の学修量(workload)を単位に設計されます。学修量とは,所定の学修時間内に「標準的な学生」が達成すること期待される学修の量です。教員は,授業時間と「標準的な学生」の事前・事後学修の学修量の総和が,1単位当たり45時間に相当するように授業科目を設計することが求められているのです。シラバスに学修時間を記載する根拠として,この学修量の考え方が共有されているかというと,必ずしもそうではないのではないかと思います。学生一人一人の学修時間を実際に確保すること自体が目的なのではなく,それに相当する学修量を授業科目の中で実現していくこと,そうした観点から事前・事後学修を計画することが求められているのです。それが授業科目の到達目標の達成,ひいてはプログラムの学修目標の達成に結びつくという前提のもとで,大学教育の仕組みが成り立っている,,そういう考え方をこの指針の中で示しておくことが重要ではないかと思います。
 以上です。
【日比谷座長】 あと三方ですね。やや急ぎめでお願いいたします。大森委員,よろしくお願いします。
【大森委員】 ありがとうございます。私も委員提出資料を出させていただいています。2ページ目をごらんください。
 まずこの指針全体に関しては,本当に勉強したくなるというか,早く完成して,学内で教職員と一緒に読み合わせ会というか読書会をやってみんなで共有したいなと思わせていただけるような内容になっていると思います。
 2ページ目のところに,私からは,細かいところと言えば細かいところですけれども,今,委員の御議論を聞いているうちに少し課題が分かってきたというか,今さらおまえそれ言うのかというところがあるのですが,私のような素人学長がこれをやろうといったときに,やっぱり私が混乱したということは混乱するかもしれないなと思うので,あえて申し上げます。
 まず1つ目は,授業科目に関する記述で,これは一般の授業と,それから,重要科目というか,それが一緒に書かれているのですけれども,松下先生が御報告いただいたときに,新潟大歯学部さんの例なんかで,重要科目というのはまさにアセスメントのための科目なので,そこは分離されて,そういう方法を使う大学もあれば,そうじゃない大学もあるので,(2)の方に移っていってもいいのかなと感じたというところです。
 2番目のところは,先ほど始まる前にも事務局とちょっと打ち合わせをさせていただいたり,前回も議論になって。ルーブリックなんかを使った,直接的にDPが達成されたかどうかを最後評価するというものが入っていないのではないかというのを,私は,うちの大学がやっているからみたいなところがあるんですけれども,主張していたわけですけれども,それはこういったデータが全部ポートフォリオの中に蓄積されて,最終的にルーブリック等でというので,ああ,なるほどと腑に落ちた瞬間があったんですけれども,ただ,例えば松下先生に教えていただいたそういうアセスメント科目とか,それから,山形大学さんがされているアセスメントテストとかというのは,最終的にエビデンスの1つになり下がるのか,テストの結果がすごく良かったけれども,ほかのものが何なので達成できていないという評価になったりするのか,つまり,最後にDPが達成できたと言えるところが,例えば資格取得とかそういった様々なエビデンスのレベルと,アセスメントテストという,最後に学生が本当に到達できたねと分かるレベルというのは,やっぱりフェーズがそこも違うのではないかという気がしています。
 それから,新潟大歯学部さんも,授業でだんだんと上がっていって,最終的にその授業で達成できたと評価をする。達成できるためには,いろいろな活動や様々な資格に向けて頑張ったこととかがエビデンスにはなっていることが確かだとするときに,私のような学長が, DPを達成できたか分かるようにしろと言ったときに,テストだけじゃだめなんだよとかいうことになるのかというのが,今さらながらの議論になってしまうのですけれども,何となく,ルーブリックを使ってこういう指標に基づいて達成できましたとか,アセスメントテストの結果がここまで行ったので達成できましたとか,アセスメント科目でこういうふうに評価できたので達成できましたというのはワン・オブ・エビデンスではないような気がして,そこのフェーズをもう一回しっかりしないといけないのかなと。それをやったことで達成できたと評価できるのは何なのかというのがもしかすると見えづらいかなということで,今さらの議論ですけれども,でも,そこはすごく重要なところなので,分かりやすくなるといいなと思いました。
 以上です。
 すみません,そういう意味で,そういうふうに考えれば,ルーブリック等を活用したというのも,やっぱり直接的な評価というのは,科目のところでも触れられていますけれども,1つとして入れられていいのではないかと感じたということです。しつこくて,申し訳ありません。ありがとうございます。
【日比谷座長】 どうぞ。
【森委員】 まず各論として読ませていただいて,一個一個の論は私も腑に落ちる,とてもいい文書が出来てきたなと思っております。御苦労があったと思います。
 資料2-2も,よくここまで踏み込まれたなと思いました。大変分かりやすい具体例になっていると思います。お話にありましたように,具体例を出すと,こうしなければならないのかと言われてしまうので,その提示の仕方は難しいですが,やはり事例を見せてもらわないと分からないというものあり,イメージしやすいと思います。
 その上で何か引っかかるなと思っていたのは,学位プログラムと大学全体レベルの内容が少し混在して書かれているのではないかというところです。特にローマ数字の1と3の,目標と評価のところです。大学全体レベルにおいて教学マネジメントは,ということで,11ページの一番初めに書かれているように,大学その教育目標を達成するために行う管理・運営と,これはいいと思います。これはすごく重要で,特に私立大学のような特色あるような教育をされているところは,当然ながら,その教育目標を具現化するために,共通教養や部局横断型のプログラム,さらには正課外プログラム等にそういったような特徴を反映されます。しかし本文にはその目標そのものの話が出てこないなと思いました。
 これは最初にこの歯車モデルが出てきたときに,この3つの方針のPDCAを回すというのは何となく分かるけれども,そもそもこれは大学の理念に基づいていないとおかしいですよねという話を出させていただいたところでもあり,ポンチ絵上でも枠外にその理念部分を書き足していただいたと思うのですが,それでも教育目標に基づいて教学マネジメントは展開されていくことを考えると,歯車モデルよりも,教育目標を入れ込んだ入れ子式の方がやっぱりしっくりくるのではないかなというのがどうしても気になるところです。この大学全体の教育目標の位置づけの話と,学位プログラムレベルのマネジメントをさらに取りまとめる共通のフレームワークや基盤整備,支援といったものが大学全体レベルのところに書かれることが必要だと思います。
 次に松下先生のご意見のところ,基盤になっている力というところでIRとSD・FDの話のところで,私はIRに関しては,学修成果の可視化のところを支えているので,これはPDCAのCを担うといって問題ないのではないかと思っていますし,FD・SDも,今回この教学マネジメントに特化するとしたら,やはり基盤というよりも,データ,エビデンスベースの教育改善を行っていくといったようなエデュケーショナル・ディベロップメントがメインになりますので,Actionと位置付けて適切なのではないかと思っています。
 最後に満足度のところは,やはりこれは直接評価,間接評価の話が出てきてしまうと思うんですけれども,私とすれば,やっぱり今まで学生主体と言いながらも,学生の意見を全然聞いてこなかったといったような現状がある。そういう意味では,学生調査といったようなものの必要性を強めていくためにも,この文言は残すべきではないかと思っているということです。
 以上です。
【日比谷座長】 清水委員,お願いします。
【清水委員】 学生調査の話が出ましたけれども,そちらの方に私自身もより興味を持っております。
 今回の教学マネジメント指針は,平成20年代に出された中教審の答申,それの教学部分をきちんと取りまとめたものとしてかなり歴史的な意義があると私は思っております。初等中等のいわゆる学校教育においては既に学校改善システムが確立されておりますが,それの高等教育版がこの教学マネジメント指針であるということになります。これで日本の教育体系の中で学校・大学改善システムが整ったという意味も私はあると思います。
 拘束力を持たないということでこれを各大学に公表したら,多分多くの大学は何をしないと思います。だから,大事なのは,文部科学省が高等教育のマネジメント,大学版の学校改善のシステムを作ったわけですから,これをいろいろな団体とかいろいろな場所,いろいろな層を対象に伝達講習型の普及活動をしてほしいと思います。むしろそちらの方をこれから期待したいと考えております。
 以上です。
【日比谷座長】 ありがとうございます。それでは,まだ御意見のある方もいらっしゃるかと思いますが,議題1はここで終わりとします。
 残り時間が少なくなってしまって申し訳ないですが,学生調査について,お願いいたします。
【牛尾高等教育企画課長】 高等教育企画課長の牛尾でございます。私の方から,現在,実施の準備を進めております全国学生調査の試行実施について御説明させていただきます。資料5をお手元に御用意ください。
 この調査の背景ですけれども,御案内のとおり,昨年11月にまとめられましたグランドデザイン答申の中で,このようなものを実施すべきということを御提言いただいております。
 概要でございますけれども,全国共通の項目で学生目線で大学教育や学びに関する調査を実施しようとするものでございます。大学の学部生を対象に,大学での学習状況,学習時間,知識・能力を身に付けるに当たって大学教育が役に立っているかなど在学中の学びの実態について把握しようとするもので,その結果を使って,大学での教育改善や大学教育に対する社会の理解促進,国における政策立案の基礎資料として活用しようとするものでございます。今年度につきましては,適切な調査方法,設問項目などの整理・検証を目的とした試行調査として実施をしたいというものでございます。
 左下のオレンジところに中身の概要をまとめてございます。今回いわゆる4年制の学部をお持ちの764大学に対して御協力いただけるかどうかの調査をいたしまして,結果,515の大学から御協力いただけるということでございました。対象学年は,4年制であれば学部3年生,5~6年制であれば4年生ということで,41万人ということになります。
 調査方法ですけれども,Webによるアンケート調査ということで,スマホやパソコンで回答できるようなものとしております。調査時期,つまり,学生にお答えいただく時期でございますけれども,11月25日からの4週間で,12月20日までということでございます。調査項目は後でごらんいただきます。
 調査結果につきましては,来年の4月頃を目途に公表したいと思っておりまして,全体の調査集計・分析結果,それから,本格実施に向けての課題等を分析して公表したいと思っております。今回の試行に当たりましては,参加大学ごとの集計結果の公表は行わないとしております。それから,御参加いただいた大学には,それぞれの大学の個別の調査結果をフィードバックしたいと考えております。
 1枚おめくりいただいて,質問項目,具体的なものを付けさせていただいております。ここにあるようなものをチラシとして学生にお配りしてWebでお答えいただくというようなことを想定しております。
 大きな問いとして5問ありまして,問1では,大学に入ってから受けた授業のいろいろな工夫として,アシスタントがいたかどうかとか,グループワークとかディスカッションの機会があったとか,そういったことについてお聞きするものでございます。
 問2につきましては,大学の教育上の様々な経験についてお聞きしております。研究室・ゼミでの少人数教育を受けたかどうかとか,あるいはインターンシップ,海外留学などに行ったかどうかといったようなことをお聞きしております。
 問3におきましては,授業期間中の平均的な生活時間についてお聞きしております。授業への出席時間,あるいは授業以外での学習時間,アルバイトの状況,スマートフォンをどのぐらいさわっているかといったようなこともお聞きしております。
それから,問4でございますけれども,これはそれぞれの学生が身に付けた知識・能力について,大学教育がどのぐらい役に立ったと思いますかということでございます。専門分野に関する知識とか,将来の仕事に関連する知識・技能,あるいは外国語を使う力,統計数理の知識・技能などについてお聞きしております。
 それから,問5でございますが,こちらは授業の人数・規模についての問でございます。大講義あるいは演習・ゼミがどのぐらいの割合でありましたかということをお聞きするものでございます。
 問6,問7では,大学の学びについて,あるいはこの調査についての自由記述もできるようにしているというものでございます。
それから,その次から,具体的に御協力いただけます参加大学の一覧と,それぞれの大学での対象学生数を一覧としたものをお付けしております。その他,参考となる資料を付けておりますが,それは適宜御参照いただければと思います。
 なお,この質問項目の作成におきましては,本特別委員会に御参加いただいている小林先生をはじめとする有識者の先生方の御協力も頂いていることを付言させていただきます。
 以上でございます。
【日比谷座長】 御説明ありがとうございます。もし御質問がありましたら,1つ2つはお受けできるかと思いますが,どうでしょうか。じゃ,浅野委員,どうぞ。
【浅野委員】 技術的なお話で申し訳ありません。今回4週間という限られた時間でこのアンケートを実施されるとなりますと,恐らくこのチラシを送った段階でいろいろな大学が一斉にやり始めることが想定されます。そうすると,同時アクセスにどこまで耐えられるかという問題があろうかと思いますが,その辺いかがでしょうか。
【奥井高等教育企画課課長補佐】 仕様書の段階で,集中的なアクセスに対応できるような形で,業者の方が対応できるような仕組みを作っていただいております。
【浅野委員】 あともう一点,学生さんに配るときに,できればQRコードを埋め込んでいただいて,このチラシを見てQRコードを読み取れば回答できるような配慮をしてあげるとよいかなと思いました。
【奥井高等教育企画課課長補佐】 ありがとうございます。実際は大学ごとに個別のQRコードを付けておりまして,それで配布する形にさせていただいております。ありがとうございます。
【浅野委員】 もう一点だけ済みません。スマホでやった場合,同じ人が何回も答えるというケースがありますので,そこを排除する仕組みは検討されておりますでしょか。
【奥井高等教育企画課課長補佐】 同じ端末からの回答ははじくような形にしております。なので,違う端末でやられると,対応しづらいというのは課題としてあります。今回どういう回答があるかも含めて,いわゆる不正,なりすましについては更に検証していく必要があると思っています。
【浅野委員】 アプリとかだとMACアドレスが取れたりしますので,それではじくことができると思います。今後検討いただくといいかなと思います。
【日比谷座長】 ほかはよろしい……,松下委員,どうぞ。
【松下委員】 公表の仕方について,一番後の紙に書かれていることですが,今回は学生の回答結果を一覧化したもの及び参加大学・学部ごとの集計結果の公表は行わないということになっているのですが,これは試行調査に限ってということなのか,それとも,本調査でもそうなのかというのはどういうふうに考えておられるでしょうか。
【牛尾高等教育企画課長】 公表の在り方ですけれども,最終的な本格調査においては,個別大学ごとの結果を公表するということを目指して制度設計を進めていきたいと思っておりますが,試行の段階では,どのぐらい回答が集まるかとか,あるいは設問自体についてもこういう聞き方でいいかとか,いろいろな御懸念の声もございましたので,個別については差し控えることとしたという経過でございます。
【日比谷座長】 どうぞ。
【益戸委員】 後ろの方に全国学生調査参加大学一覧がありますが,67.4%参加意向ということであります。逆に参加しないという大学等は,もちろん非公表で結構ですが,文部科学省から,なぜ参加しないのかについてはよく御議論いただきたい。なぜこういう新しい試みに対して参加しないのだろうかと単純な疑問を感じます。私は非常にびっくりいたしました。
【日比谷座長】 どうぞ。
【牛尾高等教育企画課長】 今回御協力の依頼をするに当たっても不参加の理由も聞いておりまして,それはこういうことに消極的というよりは,やはり十分な時間がなかったので,既存の各大学でやられている調査との調整が付かなかったとか,あるいはうちの大学の特性からするとむしろ4年生の方がいいのだとか,そういう声でございまして,消極的な理由ということでも必ずしもないのですが,次回以降に向けてはより積極的な参加をいただけるよう心掛けていきたいと思っております。
【益戸委員】 安心しました。
【日比谷座長】 ありがとうございます。それでは,そろそろ終了の時刻となっております。この委員会のロードマップでもお示ししておりますとおり,次回がいよいよ取りまとめに向けた最終回となります。今日いろいろ御意見を頂きましたけれども,ここは言い足りなかったとか,新たな御意見等ありましたらば,事務局まで文書にてお送りいただければ,次回の資料として配付いたしますし,御意見を取り込むということを考えたいと思います。
 それでは,事務局から連絡等お願いいたします。
【平野大学改革推進室長】 ありがとうございました。今日,委員の先生方から頂いた意見については,しっかりと受け止めて検討させていただきたいと思います。私,今日この会議,応答をほとんどしておりませんので,内容については,でも,しっかり聞いておりますけれども,またこの内容を取りまとめて,座長,副座長ともよく相談して取り扱いは検討していきたいと思っております。
 本日の資料を郵送希望される先生は,附箋で郵送希望と書いていただければ,また職場の方に送らせていただきます。
 次回の日程・場所については,調整の上追って御連絡を申し上げます。
 以上です。
【日比谷座長】 それでは,以上をもちまして終了いたします。ありがとうございました。

―― 了 ――
 

お問合せ先

高等教育局大学振興課大学改革推進室

学務係
電話番号:03-5253-4111(内線3334)