資料1-6認証評価制度に対する意見

平成29年8月9日
日本高等教育評価機構

認証評価制度に対する意見

1)はじめに
  多くの大学が認証評価を通じて、法令遵守はもちろんのこと、組織などの整備、FD、SD、また自己点検評価の継続的実施などの大学の改革・改善に努力したことは認証評価の大きな成果と言えます。また、14年間の認証評価の実施により、評価を受けることは大学にとって重要な仕事のひとつであると考えられるように意識が変わってきており、大学における評価文化はある程度定着しつつあると考えます。

2)教育の質保証の評価の在り方について
  大学の質保証のためには、学修成果や卒業時に求められる能力などが身についているかを含め、教育の中身であるプログラムの質の評価が必要となってきます。そこで機関別評価とプログラム評価の役割とその範囲を明確にする必要があります。今後、プログラム評価を専門職大学院以外の大学院でも実施するのか、学部レベルでも実施するのかなどの検討が必要と考えます。例えば、機関別では、法令や仕組み、実施体制などを適切に整備して、大学の最低限の基準をクリアしているかどうかの質保証、プログラム評価では、教育の内容を詳細にチェックし、教育を中心とした質保証にするなど、役割と範囲の明確化が必要です。さらには、機関別でも地域や規模などに分けて行うことも有効だと考えられます。例えば、大都市と中小都市に位置する大学、数万人の学生を擁し多くの学部、研究科を持っている大学と、千人以下の学生の単科大学などでは、学生募集や組織、財務規模などで大きく異なっています。大学設置基準などの法令は一律でも問題ありませんが、それ以上の質の保証を評価することになると、多くの大学を単一の基準で評価することには、限度があるかと思います。

3)届出制度における改組転換の在り方について
  届出制度により学部・学科の改組が容易にできるようになりましたが、一方で、届出による改組時の不備が、のちの認証評価で指摘されることもあります。また、届出により開設した学科が完成年次に募集停止した事例もいくつかあり、改組時に一定の質が保証されているかどうかの確認が必要であり、届出制度に課題があると考えます。

4)認証評価機関の危うさ・安定した評価機関となるために
  現在の認証評価制度では、いつどの機関で評価を受けるかは大学の判断となっており、そのため第1期、2期ともに、受審大学数の年度ごとの偏りがありました。期の前半は10大学の年度もあれば、後半の年度は90大学からの申請があるという状況です。評価機関側としては、必要な評価員や職員の数が、年度によって大きく異なる状況は、安定して質の高い評価を担保し実施するにあたって、大きな課題となっております。早急に受審大学数の平準化を図り、安定した評価ができるようにしなくてはなりません。

5)おわりに
  最後に、教育の質は保証されていても、近年では学生募集や財務の点についての指摘により保留や不適合になる場合が多くみられます。特に財務については、例えば私立大学に対しては、日本私立学校共済・振興事業団や文部科学省の参事官室がすでに経営改善計画の提出などで対応しており、それに加えて、認証評価機関がピアレビューの観点から評価を行うべきかどうかは疑問であります。財務への指摘により、教育の質が保証されなくなる場合も想定され、大変危惧しています。
  以上、制度上の問題と評価機関での当面の課題も含めて説明いたしました。

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