制度・教育改革ワーキンググループ(第19回) 議事録

1.日時

平成30年9月18日(火曜日) 10時~12時

2.場所

文部科学省 東館3階 3F1特別会議室(東京都千代田区霞が関3-2-2)

3.議題

  1. 主体的な学びを確立するための実践的な教育改革の方向性について
  2. 制度・教育改革ワーキンググループの審議まとめ(案)について
  3. その他

4.出席者

委員

(委員)日比谷潤子委員
(臨時委員)安部恵美子,上田紀行,金子元久,小林雅之,篠田道夫,鈴木典比古,伹野茂,本郷真紹,前田早苗,宮城治男の各委員

文部科学省

(事務局)小松文部科学審議官,義本高等教育局長,村田私学部長,瀧本大臣官房審議官(高等教育担当),蝦名高等教育企画課長,三浦大学振興課長,松永専門教育課長,淵上国立大学法人支援課長,石橋高等教育政策室長,進藤国際企画室長 他

5.議事録

【鈴木主査】  それでは,所定の時刻になりましたので,第19回の制度・教育改革ワーキンググループを開催いたします。委員の皆様,御多忙の中,御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 報道カメラ等のカメラ撮影は,議題1に入る前までの冒頭部分のみとさせていただきますので,よろしくお願いいたします。
 前回は,高等教育の国際化について,事務局の資料を基に委員の皆様から御意見を頂戴いたしました。次に,多様なメディア・ICTを活用した教育について,委員の皆様から御意見を頂戴したところであります。
 本日は,大きく2点あります。
 まず,前回御発表いただく予定でありました宮城委員の御提供のございました資料についてです。主体的な学びを確立するための実践的な教育改革の方向性について御説明を頂き,委員の皆様から御意見を頂戴したいと思います。
 次に,前回お伝えしておいたとおり,制度・教育改革ワーキンググループの審議まとめ(案)について,事務局で資料を御準備いただいておりますので,御説明いただいて,委員の皆様からの御意見を頂戴いたしたいと思います。
 それでは,事務局から本日の配付資料についての確認をお願いいたします。
【石橋高等教育政策室長】  失礼いたします。資料は3点ございます。1点目が宮城委員の御提出資料,資料2が中央教育審議会大学分科会将来構想部会制度・教育改革ワーキンググループ審議まとめ(案),資料3が中央教育審議会大学分科会将来構想部会制度・教育改革ワーキンググループの今後の日程でございます。不足がありましたら,お申出ください。
【鈴木主査】  いかがでしょうか。ございますか。
 それでは,議事を進めます。
 まず,宮城委員から資料の御提出による御意見を頂戴しましたので,宮城委員から御意見を発表していただきまして,委員の皆様から御意見を頂戴したいと思います。
 それでは,宮城委員,資料の御説明を,10分程度でお願いいたします。
【宮城委員】  貴重なお時間を頂きまして,ありがとうございます。私は,きょうの場で,2040年という将来構想ということをにらみつつ,私自身がずっと大学生や若いリーダーの育成ということで現場で若者に向き合ってきたという視点からお話をさせていただきたいと思っております。ですので,制度面の検討を,是非また皆様からの補足を頂きつつ,御提案の方向を皆さんと議論できればと思っています。
 私は,この今の事業を1993年にスタートしたんですけれども,当時から起業家や次世代のリーダーを育てるということで取り組んでまいりました。
 この最初の1枚めくっていただいて提案の背景ということなんですけれども,97年からという数字を書かせていただいたのは,97年はインターンシップの三省合意が行われたタイミングでもあり,同時に私どもインターンシップをはじめ産学協働による人材育成ということに向き合ってきた,そのスタートの年でもありました。この約20年の間にも,本当に若者たちと向き合っていても,当然この間にインターネットの登場があったりですとか,大きく環境が変わり,また意識が変わってきているということを感じています。企業との協働による教育を進めてきたということもありますので,企業の側のニーズも大きく変化をしているということを感じております。また,それが更に顕在化してくる,その前夜にあるといいますか,意識の,どちらかというと水面下で,働くこととか学ぶことに対しての若者たちの意識や社会の期待が大きく変わろうとしている,そういうタイミングに差し掛かっているということを感じています。
 一方で,これから2040年をにらんでいくということで言えば,2040年というのはAIの進化に伴うシンギュラリティの時代が訪れる,AIが人間を超えていくというタイミングに差し掛かっていくこともにらむような時期になると思っています。そういう中で,高等教育がどう変化していくべきかというところに鑑みて,きょうのお話をさせていただきたいと思っています。
 この1,2と書かせていただいているんですけど,1は,いわゆる学力の3要素と言われるところになぞらえたときに,改めて私は,これからの高等教育の質ということを考えていくときに,この主体的に学び続ける力ということに着目すべきだなと思っています。そこをどう開発していけるかに向き合うべきではないかということ。
 そして2番に書かせていただいています。こちらは企業や社会との連動,協働による進化ということですね。高等教育は,特に教育ということを考えたときにも,進化し続けられるようなパートナーシップをどう作れるかということが大きなテーマになるのではないかと考えております。
 続いて提案の内容なんですけれども,働きつつ学ぶ学修プログラム推進ということで,こちらは後ほどイギリスの事例を取り上げつつ,お話しさせていただきたいと思います。
 2番目の,この大学における企業・地域連携のプライオリティを高めるということ。こちら,先ほどのインターンシップの三省合意の話もさせていただきましたけれども,これまで,あくまでも付随的な取組として,この協働による教育ということが高等教育の中でも位置付けられてきたことを,私は大きく,その位置付けを転換して捉え直していくべきタイミングに来ているのではないかということを申し上げたいと思っています。
 3番は,それに続くものなんですけれども,実際に,そのパートナーシップを進化させていくために,どういう体制を作るべきかというところに触れられたらと思っています。
 次のページなんですけれども,これ,きょう,イギリスのアプレンティスシップ,さらにはディグリーアプレンティスシップといったことを例として取り上げさせていただきたいと思っているんですけれども,これは,現状の今の日本の状況で照らすと,やや高い玉のお話かもしれませんけれども,こういう視点から改めて,この協働による,協働の形を捉えられると思っています。
 このアプレンティスシップ,いわば学びつつ働く。ここで言えば,仕事での実践経験と教育機関での学びを融合し,学位や職業資格の取得を目指す仕組みということで捉えられています。これは最近,イギリスの政権では大きくフォーカスを当てられつつありまして,ブレア政権のときに110万人だったものを,今回の現政権では2020年までに300万人を目指すということを取り上げています。
 その中でも,ここ数年,この一番,ある意味,高等教育との接続ということにおいては上位に位置するディグリーアプレンティスシップということが注目をされています。
 次のページです。こちら,年代的には大学に進学する18歳をターゲットにしているんですけれども,この企業で雇用されつつ,パートタイム学生として3から5年大学に通い,学士号,修士号を修得するということで,これは政府が肝いりで力を入れていますので,3分の2を国が学費を出し,3分の1を企業が負担するという形で加速をさせているものです。
 2017年度が4,850人ということなんですけれども,スタート以来注目が高まって,数が大きく増えつつあるというものです。
 次のページ,ごらんいただきます。これは大学も大きく関与しながら一緒に作られているものなんですけれども,実際に大手企業が新たな人材,優秀な人材の獲得という視点も含めて非常にコミットをしておりまして,学生にとってみれば,ある意味,一つのステータスと位置付けられつつあります。実際に卒業後の給与も,通常の学位に比べて高いということを認識されています。
 次のページはIBMの事例なんですけれども,IBMにおいても大変注力をして進めている取組として位置付けられています。
 次のページをごらんいただきます。この18歳における進路選択が,ある意味,新しい形で,さっきのディグリーアプレンティスシップがステータスになっているということも含めて,働きながら学ぶという選択肢が生じることによって,これまで経済的な事情であったり,あるいは既存の今の高等教育に対する興味が持てなかった,関心がなかった層に対しても新たな需要を喚起する,意識を喚起する契機になるのではないかと考えています。
 次のページは,これは児童養護施設の出身の若者たちを支援している組織から頂いた資料です。今,児童養護施設出身の若者たちの進学率というのは十数%,12%とかと言われているんですけれども,その進学率自体が低い,経済的事情等によって低いということに加えて,実際に大学の中退率も3割近くあると言われています。こういう側の運動をしている人たちからも,この働きながら学ぶという新しい選択肢を提案できないかということを言われています。
 次の10ページ目は,スターバックスとかウォルマートでアメリカで実施されている,まさに働きながら学ぶという仕組みを企業が後押ししているという取組になります。
 続いて,時間の関係もありまして,また参考資料として11ページをごらんいただきたいと思います。
 12ページ目。これは先ほどのプライオリティを高めるという点のまとめであり御提案になってくるんですけれども,自大学以外の人的・物的リソースを共有することで,一つの大学では成し得ない多様な教育プログラムを提供することを奨励していくべきではないかということで,アプレンティスシップ,先ほどの件もそうですし,長期実践型のインターンシップやリカレント教育等により協働の要素を高めていくべきではないかと。
 更に言えば,企業,地域,社会にイノベーションを起こし得る人材の育成,評価指標の開発と運用というところも,これまで,まだ途上になっているものだと思うんですけれども,改めて,この位置付けを高めるべきではないかと。
 さらに,それを進めていく体制という意味においての人材の育成とか活用ですね。これも大学内の,例えば専門職員というような位置付けをするなどして,継続的な育成,活用の基盤を整えていくべきではないかと。こうした取組を,教務への支援,関与を本務として位置付けていくということを考えるべきではないかと。
 それらを経営上にも,しっかりインセンティブとして,資金の配分ですとか,あるいはこの設置基準の19条にある自ら開設の解釈等を明確化するなどして,その,より位置付けをしやすくするべきではないかということも申し上げたいと思います。
 続いて13ページ。この体制づくりのために,全国の基盤組織であったり,認証機能,官民出資による運営の体制等を作っていくべきではないか。それに対して小さく,まずスタートを切っていくという意味においても,何かしらの形で,部署を横断した産官学民による検討会合等を始めるべきではないかということを申し上げたいと思います。
 14ページは,イギリスでは企業の元CEOとかが主導して,このInstitute for Apprenticeshipというような組織を作って運営されているということも,御参考にしていただければと思います。
 続いて15ページ。トビタテ!留学JAPAN地域人材コース。これは,まさに文部科学省が主導して進めてきた官民協働の成功事例になると思うんですけれども,こちらの地域連携協議会の取組というのも参考にしていただけると思っています。
 16ページも例として御参考ください。
 17ページ,提案のまとめということで,以上申し上げてきたことなんですけれども,働きながら学ぶ学修プログラムの共創,それに対する大学の積極的な参画,位置付けを高めていくということ,それを推進していく体制づくりを進めるべきではないかということを申し上げたいと思います。
 最後のページなんですけれども,きょう御欠席されている溝上委員からも,御相談させていただいていた経緯もありまして,コメントを頂いております。
 新しく学ぶ意欲を喚起していく,あるいは,これまで就職していた人,層に対しても,新たな学びへのインセンティブを創り出す,高等教育につなげていくような取組になるのではないかと。
 アプレンティスシップ,このディグリーを出していく,学位を出していくということに対しては議論があると思うものの,一方で,それぐらい踏み込んで考えることを通して,今,臨むべきではないかというコメントを頂戴しています。
 駆け足になりましたが,以上で私の御提案とさせていただきます。
【鈴木主査】  ありがとうございました。
 それでは,ただいまの御説明あるいは資料を踏まえまして,御意見,御質問を承りますので,よろしくお願いいたします。それでは上田委員,どうぞ。
【上田委員】  きょうは大変すばらしいお話をありがとうございます。こうした学生が大学の中に入ってくると,やはり大学生たちの意識も相当変わってくるというところがあると思います。たまに大学が世間とむしろ隔絶されていくがゆえに,インターンシップが寿命であるとか,あるいはいろんな社会との協働が必要なんじゃないかという方向で議論が進められているところですけれども,その中に,このアプレンティスシップの学生さんがかなりの多数入ってくるということは,このアプレンティスシップの学生さんはもちろんのこと,その大学全体の雰囲気というのを相当変えていくんじゃないかと思うんですが。
 一つ御質問なんですけど,何でこれ,イギリスではこんなに割とうまくいっているものなんでしょうか。あとは,これはイギリスだけではなくてアメリカとかでも相当のパーセンテージがあるのか。あと,もし日本でこれをやる場合に想定される困難性というようなところは,どの辺に想定されるんでしょうか。
【宮城委員】  これはヨーロッパで,もう七,八か国ぐらい広がりつつある取組と言われています。なぜうまくいっているのかということは,当然いろんな要因があると思うんですけれども,企業。
 一つは,政府がかなり踏み込んで,こちらを進めているという経緯があると思います。それは,いわゆる質の高い労働力の確保というところが当然背景になっていると思うんですけれども,それに対して企業の方も,かなり積極的に取組をされている。さっきのIBMの事例もそうなんですけれども,大手企業が非常に意欲的に推進をしていると。さっきの支えていく組織とかも,大手企業の元CEOだったような方が担っていらっしゃるということも含めて,高く位置付けられていると。それに対して中小企業とかベンチャー企業のような存在も追随してきているという経緯があると聞いています。
 日本でということで言えば,むしろ先生方ですとか文部科学省の皆様に御検討いただく必要があると思うんですけれども,現状で言えば,この学位,特にディグリーアプレンティスシップということで言えば,学位を出していくことにおいては,この,例えば8対2というような形で,現場8,大学での学びが2というような位置付けを通して学位を出していくことにおいては,まだハードルがとても高いのかなとは思います。ただ,そういうような学び方も位置付けていくということを一つの議論の契機にしていただきつつ,検討を進めていくという意義があるのかなと思います。
 一方で,このアプレンティスシップ自体は,もう少し裾野の広いものでもありまして,学位ということに限らず,日本で言えば準学士というような位置付けであったり,いわば,もうちょっと専門学校等と連動しながら,職業資格というところで位置付けていくようなお話の方が現状,裾野広く行われていまして,そのあたりも含めて,困難な新たな取組,向き合っていくと同時に,現状できるものの中で工夫の余地もあるのではないかと思っています。
【鈴木主査】  それでは安部委員,本郷委員という順番でお願いしましょう。
【安部委員】  本当に興味深い御発表ありがとうございました。私も短期の高等教育機関で職業実践性に結び付いた教育を実践するということの中で,学生が主体的に学ぶためには,大学の学びの中で,働くこと,つまり職業的な実践性というものを組み込んでいく重要性は日頃から感じております。
 この宮城委員の御発表を聞いて,今,学び直し等に注目が集まっていますが,どうやって大学を職業キャリアの向上あるいはキャリアチェンジに活用していくかという課題に関して,大学の教育課程が,職場と職業,つまり企業等との職場と結び付かなければいけないと思います。
 そしてもう一つ,先ほどから経済的な状況で大学に進学をしなかった層に関しての学びですが, 18歳を主な対象として書かれていますけれども,もう一つ,ある程度職業経験のある人が仕事を中断せずにキャリアに役立つ学びをしたいということに関しては,どうしても産官学と結び付いた学びを提供していかなければいけないのが,次の高等教育の新たな視点ではないかなと思います。
 ただ,職業実践性を包含する教育課程ということで,学位課程の質をどう担保するかというのは非常に難しい。今般新しい制度等が出来上がっておりますけれども,そこで学術性と職業実践性を,どう合体していくかというか,バランスをとっていくかということは,やはり高等教育の次の課題になるのではないかと思うんですけれども。
 宮城委員の最後にお伺いしたいのは,職業実践性と,それから学術性が,こういうプログラムの中にどのようにバランスをとるべきか,どうすれば学びつつ働くというシステムが十分に機能するかというのを,お聞きしてみたいなと思いました。
 以上です。
【鈴木主査】  宮城委員,いかがでしょうか。
【宮城委員】  ありがとうございます。まず,これはやはり,このディグリーアプレンティスシップなりアプレンティスシップそのものを導入すべきだという御提案というよりは,考えるきっかけとして御検討いただければと思っておりますので,18歳ということは一つ,主体的な学びを育むということにおいて注目してはいますけれども,これは,その後の学び続けるということにも大きく関わってくると,そういう意味での新たな高等教育の担い手を増やしていくということにもつながると思っています。
 これをどう実際に,学術的なところも含めて学位等の評価につなげていくかということは,まさにイギリスでは,この実践での働くということをアカデミックな評価につなげていくことに関して随分苦心したと聞いていますし,さっき評価の仕組みを整えていくべきだというような御提案も差し上げましたけれども,多分,現状の位置付けでは,なかなか評価という形に捉えにくいという,この実践の働く現場での経験ということを位置付けていくこと自体が大きなテーマであり,また結論が必ずしも出ていないものでないかと私もイギリスの事例を聞いていて思っています。ですので,ここに対して,これをどう位置付けられるかを議論していくということそのものが,今,私としては向き合っていくべき課題かなと思っています。
 実際には,高等教育の教員が,このアプレンティスシップの現場での実習ということに対して相当関与して,かなり個別に,このアカデミックな位置付けをできるべく設計をしつつ,また側面でサポートしながら進めているとは聞いています。ですので,相当労力を払いつつ,現状を確立していっている段階というのが,このディグリーアプレンティスシップの今の位置付けなのかなと思っています。
【鈴木主査】  よろしゅうございますか。
【安部委員】  はい,ありがとうございました。
【鈴木主査】  本郷委員,どうぞ。
【本郷委員】  ありがとうございます。私も大変貴重な御提言だと思います。
 実は私の現任校が,もともと明治期に,働く者の夜間主の大学として,夜間の大学として発足したという経緯もございましたので,二十数年前に私が現任校に赴任しましたときは,二部,夜間主というのはかなり機能していて,それなりに意味はあったと思うんですけど,残念ながら現在廃止に至っていると。
 何がいけなかったのかということで反省してみますと,一つは,やっぱり今話題になっています質保証の問題ですね。昼間主と同等の質保証はどういう形で成し得るかということが,なかなか研ぎ澄まされかねなかったということですね。そのあたりのところは,御提言のように,独自の学位プログラムというものをきっちりと構築することによって,それなりの,しっかりと質を兼ね備えた卒業生を出すと。それで初めて学位というものが認証される仕組みを作っていくということが大事だと思うことが第1点と。
 もう一つは,廃止に至った大きな問題は,私の個人的な意見ですけれども,やっぱり教員の意識がついていかなかったということだと思います。教員が,どうしてもこれは,本当にお荷物的にやらされているという印象が非常に強かったですね。昼間主を教えて,さらに夜間主まで負担させるというのは,これはとんでもない話であって,しかも,質的なことから言うと,昼間主の,それこそ専念している学生の方が質的に高いというようなことが非常にミスマッチを招いてしまった。
 ですから,これも今懸案になっております実務家教員。いわゆる現場の事情とか,その意味というものを本当に理解している教員がどれだけ,このプログラムにかんでくるのかというのは非常に重要な意味を持ってくると思いますから,そういう意味では,企業などとの,あるいは外部団体との十分な折衝の下で,効果的な教員の配置,教員の意識の改革ということを伴わないと,なかなか,こういうプログラムは難しいかなという感がいたします。
 以上でございます。
【鈴木主査】  宮城委員,何かございますか。
【宮城委員】  本当におっしゃっていただいたとおりかと思います。そういう意味では,私の御提案としては,このイギリスで実際成果を上げているディグリーアプレンティスシップということは大変参考になるものの,こういったことを踏まえつつ,実際に大学,高等教育と社会との協働,連携といったものをどう進めつつ,お互いが進化していくかといったことに本腰を入れて向き合うべき,そのタイミングに来ているのではないかと。そういう意味では,総合的な対応といいますか,先ほどの体制,教員の位置付け等のことも含めまして向き合うべきテーマなのかなという意味で,御提案を申し上げられたと思っています。
【鈴木主査】  ありがとうございます。
 そのほか,いかがでしょうか。どうぞ。
【義本高等教育局長】  今のディグリーアプレンティスシップの関係で,今,安部委員あるいは本郷委員からお話ありましたように,質保証とどう考えるかという問題で,多分ここでも関連してくると思うんですが,実践的な職業に関する学位を出すということで,専門職大学あるいは学部制度というのを発足し,かなりの部分については企業と協働してプログラムを作っていくとか,あるいはインターンシップですとか演習なんかも含めて,相当部分の時間を割いて協働してやっていこうじゃないかということで,まだまだこれから制度を育てていくという段階ではありますけれども。
 今,幾つかの大学を回らせていただくと,まさしくおっしゃったように,この専門職大学あるいは学部制度を使ってデュアル教育を実施できないか。例えば午前中は仕事をして午後から,夕方から学ぶという形で組み合わせることによって,経済的な負担と,それを用意させていくということを,ある程度企業が乗ってくるような,例えば観光とかそういう分野で考えてはどうかという話も実際上,非公式にはお話を伺ったことがありますけれども,今,御提案いただいたことと連動して,この制度を育てていくような発想を持っていただくことができるかどうかというのが1点と。
 それから欧州においては,NQFですとか,学位と恐らく職業との連関をかなり意識したような枠組みを作っていこうじゃないかという議論があり,その点は多分,先生方の意識とか大学関係者との共通の考え方もあるんじゃないかなと。これは推察でございますけれども,その辺のついての先生のコメントを頂ければありがたいなと思いまして。
【宮城委員】  私は専門職大学,大学院の取組においても,近い形の成果ということは期待し得るのではないかと思います。そのときに,実際に制度を作ることそのものということもさることながら,それがどのような形での協働を生み出し,また,まさに教育の成果を生み出すのかという,そのある種の結果をにらんだバックキャスティング的設計が求められるのかなと思っています。
 そういう意味では,イギリスでは既にこの成果が非常に上がりつつあって,このインパクトとしては,学生たちにとってみても,ある種の新たなステータスとして位置付けられているという,このディグリーアプレンティスシップの取組であったり,さらに,もっと裾野の広いアプレンティスシップの位置付けも含めて,参考にしながら設計をしていけばいいのかなと思っています。
 私,ヨーロッパの事情に特別詳しいわけじゃなくて,今の御質問にしっかりお答えすることはできないかもしれませんけれども,やはり,このイギリスのお話を伺っていても,教育の質ということに対しての,またその実践の学びを評価しつつ位置付けていくということに関して,大変高い認識を持って向き合っていらっしゃるというようなことを感じます。
 そういう意味では,私は,少し話はそれるかもしれませんけれども,日本はそもそも,実は徒弟制度みたいなものというのは,職人の世界だけではなくて,実践を通じて学ぶということに対して大きく歴史がある国でもあると思っておりまして,それが,やっぱり高等教育の中ではあまり重視をしてこられなかった歴史もあると思っています。
 そういう意味では,そこはかつての基盤があったことや,実際に企業で現状行われていることも含めて,その日本における高等教育の在り方,そこにおける,この実践的な学び,企業の現場等の連携ということを高く改めて見つめ直して,位置付けて向き合うべきではないかということを申し上げたいと思います。
【鈴木主査】  よろしゅうございますかさ。
 そのほかございますか。金子委員,どうぞ。
【金子委員】  大変おもしろい発表で,こういったことは必要になると思うんですが。イギリスの例は,ただ,まだ物すごく成功しているというわけでは必ずしもなくてですね。それと,もともとイギリスは職業教育と。職業人に対する中等教育をやる機関というのは,すごく多様にいろいろとあって,これは,ある意味では大学教育にそれを統合するというプロセスとも見えること,見えないことはないので,そういう意味では,その大学の内部自体に教育課程を多様化していくということは多分,重要な視点だろうと思います。
 それともう一つは,ただ,日本でもアプレンティスシップ,あまり思ったほど拡大していないですし,アメリカも,今のはノースイースタンでやっている,そういう1年間働くというシステムあるんですが,実は,これもあまり拡大していないんですね。
 一つの理由は多分,企業がそんなに前向きではない。企業にとって本当にこれはインセンティブがあるのかと。今の例だと,例えばIBMは,その後,その人を雇うということらしいですけど。そういうような制約を付けるんだったら企業はやるかもしれませんけれども,なかなか企業は,こういうようなアプレンティスシップを受け入れるインセンティブはなくてですね。
 ドイツは伝統的にこういうの非常に盛んだと言われていますが,それは一種の社会協約みたいなのがあるからで,一種の強制が,やっぱりあるわけですね。日本の場合,そういうのがなかなかできないのが問題。
 先生もそう。最後の方で協議会というか,社会と大学と企業,政府が協議会みたいなのを作るべきだとおっしゃっていますが,これが具体的にどのような形ができて,どのように調整ができるかが非常にクリティカルで。専門職大学も一応,社会連携委員会みたいなのを作ることになっているんですが,本当にどういう形でできていくのか,これがかなり,まだよく分からないので,そういうのをどういうふうに実質化できるかというところが問題だと思います。
 専門職大学は今,8割ぐらいが健康関連ですから。要するに,行き先は分かっていますし,それはある程度協力はできると思うんですが,もう少し一般的な職業の場合に,そういった協力をする企業がどれぐらい出てくるかということは,問題じゃないかと思います。これはどうでしょうか。
【宮城委員】  大変重要な点だと思います。私も企業にもこのテーマ,ヒアリングもしてみたんですけれども,実質こういう制度があれば,18歳で企業に来てもらうこと,とても歓迎であるという反応を複数の企業から頂いています。実名で言えば,ロート製薬さんが副業,兼業等をいち早く取れ入れて話題になりましたけれども,あちらでは,もう18歳で採用しつつ,働きながら学ぶことも具体的に検討していくというお話を頂いております。
 恐らく,このイギリスのIBMだとかの取組もそうなんですけれども,やはり,この高等教育に向かうタイミングにおいて,働きつつ学ぶということが,結局は高等教育での学びの質を高めていくことであり,それが結局そのまま高い質の人材を確保することにつながるという認識が,改めて高まってきているというようなことを感じます。
 例えば今回も大手企業にお話を幾つか,メーカーに聞いてみますと,本社の人材というのは非常に人気が高くて何百倍の倍率になるんですけれども,例えば子会社において見れば,その大手企業の名前の冠が入っていたとしても,なかなか優秀な人材が採れないということに対して,こういう新たなアプレンティスシップのような仕組みが導入できるのであれば本腰を入れたいという反応も頂きました。
 これは恐らく今,時代に求められるスキルであり,また,いわば,この問題解決や新たな価値を創造していく人材を育てるという意味において,早い段階で実際の企業等の現場と大学での学びが連動していくような教育の在り方が,結果的には企業としても頼りになる人材を育てていくことになるのではないかという認識が大きく変わりつつあるのではないかということを思っておりまして,そういう意味では,一時期,そういう意味で期待感やパートナーシップにおいて低迷していた面もあるかもしれませんけれども,改めてそこが着目されてくるというタイミングに差し掛かっているのではないかと私は認識はしております。
【鈴木主査】  ありがとうございます。
 そのほかございますか。この新しい可能性について,しかも2040年という,もう少し時間がある中で,大学等アプレンティスシップの在り方といいますか,構造的な,あるいは制度的な在り方というものも大きな可能性を持っていると受け止めております。
 ありがとうございました。本日いろいろな御意見を頂きましたものですから,それを踏まえまして,制度・教育改革ワーキンググループ審議まとめ(案)に反映していただくように持っていきたいと思います。宮城委員,ありがとうございました。
 それでは次に,冒頭でも申し上げましたように制度・教育改革ワーキンググループの審議まとめ(案)についてであります。
 事務局が準備した資料を御説明いただいて,委員の皆様から御意見を頂戴したいと思います。なお,この資料につきましては,大部ですので,先週木曜日,9月13日でございますが,委員の皆様にお送りしてございます。
 それでは,事務局から説明をお願いいたします。
【石橋高等教育政策室長】  失礼いたします。資料2に基づきまして説明をさせていただきます。
 まず,この中央教育審議会大学分科会将来構想部会制度・教育改革ワーキンググループ審議まとめ(案)の位置付けでございますが,12月の論点整理のときにも,将来構想部会の論点整理の後ろに,このような形で付けておりましたが,今回の答申は中央教育審議会の答申となりますけれども,その後ろに,この審議まとめは付けるということと,中間まとめのときには,それぞれの中間まとめの具体的な政策の中に,箱書きの中にワーキングの議論は紹介させていただくようにしておりましたけれども,同様に,この審議まとめとは別に,答申の中に具体的な内容が入ると,そういう位置付けになりますので,それをまず申し添えておきたいと思っております。
 形としては,論点整理のときの形を踏襲したように今回は整理をさせていただいておりますが,もちろんこれにこだわるものではありませんので,また,それについては御意見を賜れればありがたいと思っております。
 1ページ目から参ります。目次のところが「はじめに」,それからワーキングで議論すべき論点,個別事項となっておりまして,「はじめに」は今回の議論の御紹介をさせていただいておりますけれども,めくっていただきまして2ページ目で諮問事項との関連を書いていると。それから3ページ目に,今回,大きく言いますと11個の項目を御議論いただいたというふうに非常に多岐にわたる御議論だったわけでございますけれども,これを今,答申案を作っている中で整理をしている項目に沿って個別事項を再整理したという形になっております。
 机上資料のファイルの方を一緒に見ていただきますと,ファイルを開けていただきますと今後の高等教育の将来像の提示に向けた中間まとめがございまして,その後に,いつもご覧いただいている概要がございます。A3の見開きのものでございますけれども,この概要のところで参りますと,真ん中の緑のところが教育の質の保証と情報公表,その下のピンクになっているところが高等教育の教育研究体制となっております。現在整理をしております答申案では,この順番を入れ替えるようなことも考えているので,順番がこうなっておりますが,この高等教育の教育研究体制の充実という項目の中で1から8の項目,それから教育の質保証と情報公表の中で9から11の項目を扱わせていただくということで整理をさせていただいております。
 当然,御議論の中で御案内のとおり,非常に重たいものから少し軽めのものまで,そこは混じった状態になっておりますが,そういう整理で書かせていただいているというところで,これも,また御意見ございましたら頂ければありがたいと思っております。
 個別事項に関しましては,中身をそのまま御説明しますと,かなり長くなりますので,簡単にさせていただきたいと思っております。3ページ以降が個別事項でございます。
 一つ目が学位プログラムを中心とした大学制度についてでございまして,このときに見ていただきますように(1)で現行制度・現状,めくっていただいて(2)で課題,(3)で制度改正等の方向性という,このような整理で全て整理をさせていただいております。
 制度改正の方向性のところで重要なところだけ申し上げますと,4ページ目の丸の二つ目に,学内の資源を活用して学部横断的な教育に積極的に取り組むことができるよう制度を整える必要があるということで,5ページ目で,それぞれ教員組織,学生組織,それから校地・校舎等の施設及び設備,設置審査,めくっていただきまして内部質保証と教学管理体制,対象となる学位課程の範囲ということで,かなり丁寧な御議論を頂きましたので,それを全て盛り込んでいるところでございます。
 なお,工学教育につきましては,既に法令の改正等に入っているところではございまして,その観点から,ここには入れておりませんでしたけれども,先生方に先に資料をお送りさせていただいたときに,やはり入れておいた方がいいのではないかという御意見も既に頂戴しておりますので,ここは追記させていただきたいと思っております。
 それから二つ目が教育課程の改善,指導方法の改善等による学修の質の向上ということで,同じように現行制度・現状,課題,それからめくっていただきまして制度改正等の方向性というところになっております。
 制度改正等の方向性のところも,少し細かくはなりますけれども,教育課程の改善,それから学修に関する評価の厳格な運用,実践的な教育課程への改善,指導方法の改善というところで整理をさせていただいております。
 三つ目がリカレント教育でございます。同じく(1),(2),(3)というところでございまして,めくっていただきまして12ページでございますけれども,制度改正の方向性ということで,リカレント教育を大学等のミッションに明確に位置付けていくことであったり,社会人や企業がどのような知識やスキルを身に付けていくべきだと考えているのかというのを踏まえて明確にしながら教育内容や教育方法を開発することであったり,また自己のキャリアについて自ら考えるという意識も必要であるということの下に,産学連携による教育プログラムの改善・充実がございます。また社会人が学びやすい環境の整備の中には,特に履修証明制度を総時間数120時間以上から60時間以上に見直すという観点,それから単位累積加算等に活用できる必要な制度改正を行うというようなことを入れさせていただいております。まためくっていただきまして,プログラムへのアクセス改善というところでございます。
 今,宮城委員からの御提案にあったことについては,このあたりに少し記述を追記してはどうかと考えておりますので,そのようにさせていただければありがたいと思っております。
 四つ目が留学生交流の推進ということで,外国人留学生の受入れ数が今後2~3年のうちに,30万に達するであろうという現行制度・現状を踏まえまして課題,それから制度改正等の方向性でございますけれども,「日本留学試験」の海外での利用促進や日本語準備教育(ファウンデーションコース)の設置の推進,それから留学生の就職促進のプログラムの成果の横展開,日本での就職を目指す留学生へのインセンティブとなるよう奨学金の重点化を進め,また大学入学資格についても必要な制度改正もしたいということで書かせていただいております。
 五つ目が学位等の国際的通用性ということで,現行制度・現状,課題となっておりますけれども,制度改革等の方向性が17ページでございまして,国内情報センターの設立準備。それから専攻分野の名称の多様化ということで,前回も御議論いただきましたけれども,英文表記の整理をしていくということで整理を書かせていただいているところでございます。
 6番目が高等教育機関の国際展開の部分でございまして,めくっていただきまして現行制度・現状,それから課題でございますが,(3)の制度改正等の方向性で,自己所有原則の例外に関しては具体的な例を明示するということ,それから海外校の定員管理に関し,大きな不確定要素があることを踏まえ,定員超過の際の認可に係る規定を緩和するということ,海外協定校との連携強化を通じた新しい海外展開方策のモデルを示していくというようなことを書かせていただいているところでございます。また高等専門学校に関しましても,高等専門学校設置基準に定められている「高等専門学校以外の教育施設等における学習等」の規定の緩和ということを書かせていただいております。
 19ページ7番目が情報通信技術(ICT)を活用した教育についてでございます。ICTに関しましては,現行制度と現状ということで,多様なメディアを高度に利用した授業(メディア授業)の告示があり,また教室の講義とeラーニングによる自習の組合せ(ブレンディッド型学習)の導入,活用が進んでいるということ,また不特定多数の受講者を対象としてインターネット上で講義を提供するMOOC(Massive Open Online Course)のことなども書かせていただいております。(2),(3)と行きまして,制度改正等の方向性ということで,これも前回の議論でございますが,予算や技術的支援を行う人員の不足といった根本的な課題,教育現場の実態の把握にどう対応するかを考えていく必要があるということと,実際,今行われている,また可能であることをもう少しきちんと整理をするということで,同時双方向型(テレビ会議方式等)とオンデマンド型(インターネット配信方式等)について,それぞれどういうふうにすればよいかを明確にさせていただいたということでございます。
 また,21ページの二つ目の丸ですが,やはりICTに関しましては,どんどんと技術が進んでいくことが考えられますので,不断の議論と検討が必要であるということにさせていただいております。
 大学間の連携による教育プログラム等の多様化でございますけれども,単位互換制度,それから複数大学でコンソーシアムを形成し,共同開設した受領科目を履修した場合に各大学において単位認定するということが進んできておりまして,(1),(2),(3)ということで,(3)の制度改正等の方向性でございますが,単位互換に関しては,どのようにしていくのがよいのを,その後の部分で明確にしていくということで,必修,選択,自由のそれぞれの科目でどうするかということを書かせていただいているところでございます。
 最後の丸でございますが,大学連携推進法人(仮称)に関しましては,共同で授業を開設するような運用の仕方について引き続き検討を進め,少しメリットになるようなことができないかということは,まだ考えていきたいというところでございます。
 9番目が全学的な教学マネジメントの確立ということで,(1)が現行制度・現状,(2)が課題,それから(3),24ページでございますが,これも今後の高等教育の将来像の提示に向けた中間まとめのときに既にお示ししているところではございますけれども,参考のところに,どういうものを盛り込んでいくかという事項の例,それから好事例なども併せて周知をしていく必要があるということ,また認証評価や設置審査等の業務に関わる者が参照し留意することも期待されるということで,25ページの9番目の最後のところに書いているところでございます。
 それから学修成果の可視化と情報公開が10番目でございますけれども,現行制度と現状ということで,情報公開の義務について,また大学ポートレートの運用などのことを書いているところでございまして,めくっていただきまして26ページは,学生の入学から卒業に至るまでの教育に関する基本的な三つの方針(①卒業認定・学位授与の方針②教育課程の編成・実施の方針③入学者受入れの方針)についても義務付けの規定の整備を行ったというところでございます。
 課題,それから制度改正等の方向性でございますけれども,大学全体の教育成果の可視化の促進ということで,教学に係る取組状況の積極的な把握・公表が必要ということで,27ページ,参考1,参考2ということで,今後進めていく方向性を整理させていただいているところでございます。
 それから27ページ, 28ページでございますけれども,また満足度などを測っていくような全国的な学生調査であるとか,比較,一覧できるような機能ということで,大学ポートレートの活用も含めて検討するというところになっております。
 28ページでございますけれども,11番目が教育の質保証システムで,現行制度・現状ということで,まずは設置認可審査,認証評価審査,それから設置計画履行状況等調査(AC)のことも書かせていただいておるところでございます。
 それから課題,制度改正等の方向性でございますけれども,曖昧とされている規定について大学設置基準については解釈の明確化を図り,設置認可審査,それから認証評価審査できちんと対応していくように,解釈に関する通知を発出することが必要であり,将来的には,現状を踏まえ,さらに進展を踏まえて,大学設置基準の抜本的な見直しを検討するというところでございます。
 それからAC,そして認証評価審査に関しましても,やはり法令違反等に対しては的確また厳格に対応していく必要があるということ,それから機関別,分野別の在り方については,期間をそろえていくような方法で考えていくことはどうかということ,それから情報公表が各大学に義務付けられた際には,このようなデータを相対的に活用することなどの取組を進めるということを最後の丸に書かせていただいているところでございます。
 非常に駆け足ではございましたけれども,このような形で審議まとめということでワーキングの成果をまとめさせていただければと思っておりますので,御意見賜れればと思います。よろしくお願いいたします。
【鈴木主査】  ありがとうございました。非常に広範な分野をカバーした審議のまとめ(案)となっておりますけれども。
 それでは,ただいまの事務局の説明や資料を踏まえまして,御意見,御質問がございましたらお願いいたします。金子委員,どうぞ。
【金子委員】  いろんなことをやってきたんだなというのがよく分かりますけど。ただ,この個別事項が余りに個別過ぎるんじゃないかなと。ざっと見ていますと,1,2が制度と,それから大学のマネジメントというか,大学の特に教育改革に関することで,3から8までが,柔軟化といいますか,流動化というか,国際化,そういったことに関することで,9から11までが質保証に関することと大体分かれるんじゃないかと思うんですけれども,この審議まとめでも,何か少しそういった形で整理できないかなと。ざっと,ばっと出てくると何だかよく分からないという。
 それと,ただ,その中間報告との対応を見てみますと,一番下の9,10,11が中間報告では質保証の部分というのがあって,これが27ページから31ページで,ここが一応対応しているようにも見えるんですが。ただ,今度の項目の1から8までというのは,中間報告のセクション2で,17ページから26ページのところまでに掛かっているんですが。ただ,出てくる順序が逆になっていて。逆というか,そろっていなくて,この最初に多様な教員,多様な学生,それから単位互換制度というか,柔軟化の話があって,最後にガバナンスが出てくるという構造になっていて,これとなかなか,順序の上での対応がつかない,つきにくい,分かりにくいのではないかと思うので,いずれこれは中間報告にまとめられるんでしょうけれども,この大きな流れと対応関係ですね。もう少し工夫というか,分かりやすくした方がいいのではないかと思います。
 以上です。
【鈴木主査】  よろしいですか。何かございましたら,どうぞ。
【石橋高等教育政策室長】  ありがとうございます。少し大きなくくりの項目をまず設けるということは必要かなと思っておりますので,そのように対応させていただきたいと思います。あとすみません,同時並行で答申案の作業もしているので,なかなか整理が100%ついていないところがあって大変申し訳なかったんですけれども,答申案の基本的なストーリーと,それに合わせた形でワーキングの議論を入れていくということにはなるかと思いますので,またその全体は当然,部会の方で整合性をとっていただきながらということにはなりますけれども,最終的にそこはきちんと流れになるように,ワーキングの審議まとめも整理をさせていただいて,主査の方から御報告いただくときに,きちんと議論に入っていけるようにはしたいと思っております。
【鈴木主査】  ありがとうございます。
 そのほか,いかがでしょうか。前田委員,どうぞ。
【前田委員】  今のことと関連すると思うんですけれども。単位のところで,他大学との単位互換の関係のところですが,三つのポリシーがあって,そのプログラムで到達すべき目標はきちんと置かなければいけないはずですが,ここに来ると,何か非常に技術的になってしまっているので,この点が抜けていて単位の話だけになってしまう。その科目と同等であればいいというところが物すごく強調されるような気がしています。やはりプログラムのゴールがきちんと意識されるような形にされた方がいいのではないかと思いました。
【鈴木主査】  いかがでしょうか。一々お答えいただく必要はないんですけれども,何かございましたら,どうぞ事務局の方から。
【石橋高等教育政策室長】  そこは重要な観点だと思いますので,答申の中ではきちんと対応したいと思いますし,もう少し書き加えるべきところがあれば,少し審議まとめの方も整理させていただきたいと思います。
【鈴木主査】  ありがとうございます。
 小林委員,どうぞ。
【小林主査代理】  私も金子委員と同じような印象を持っていまして,構成についてはもう少し工夫する必要があるのかなと思います。
 その場合,観点が三つあると思いますけれど,一つは位置付けです。これについては最初のところに書いてありますけれど,諮問との関係が,今,金子委員指摘されたように,分かりにくくなっているので,そこのところをもう少し整理するということ。
 ただ,これは難しくて,諮問の1,2というのが実はかぶっているんです。ですから,事務局としては非常に難しいかもしれませんけど,その辺,工夫していただきたいということです。
 それから内容面で,これは今,金子先生が言われたとおりですけれど,幾つかのくくりにできますので,それに応じて,もう少し組み替えることもできるのではないかと思います。
 もう一つは射程の問題です。つまり,2040年までといっても非常に短期的にやるような話と,かなり中長期的に考えないといけない話とが混在していて,例えば学位プログラムの話とか教学マネジメントの確立というのはかなり大きなテーマで,設置基準の抜本的な見直しというのは物すごい長期的なことだと思いますけど,そういうことと比較的短期的な課題が混在しているので分かりにくい。
 それに関連して2番目ですけれど,これで言いますと21ページのところに,ICTの話で,ICTというのは非常に変わるので不断の議論と検討が求められるというようなことが書かれているんですが,これは今起こっていることというのは,ほとんどこういう問題で,予見できないわけです。予見できないことをやろうとしているから難しいわけで,グローバル化とか,それから情報化というのは,まさしくそういう側面を持っているわけですから,常に見直していく,検討していくことが求められるという問題と,少子化とか,比較的予見できる未来というのがあって,それは将来構想部会でやっていると思いますけれど,そういうことも区別する必要があるのではないか。
 この21ページのところはICTの話だけで書かれていますけれど,これは全体の話として,こういうことを書く必要があるのではないかというのが2番目です。
 それから第3番目で,これは既に石橋さんの方から言われたのですけれど,工学系教育の話ですが,これは,ただ単に工学系教育の見直しということではなくて,もうカリキュラム自体を縦と横に広げていくと,そういう一つの大きな試みなわけで,それをほかのところがやるのはいいかどうかというのは,まだ留保していますけれど,こういうようなことが起きているのは,ただ単に工学の話ではないということは少し書いていただければと思います。
 以上です。
【鈴木主査】  ありがとうございます。よろしゅうございますか。
 はい,どうぞ。
【石橋高等教育政策室長】  ありがとうございます。特に最後の工学教育のところはすみません,こちらの方で抜けておりましたので,今の小林委員の御指摘も踏まえて書かせていただきたいと思っております。
 その他の点も委員の御示唆のとおりだと思いますので,一工夫させていただきたいと思います。
【鈴木主査】  そのほかございますでしょうか。篠田委員,どうぞ。
【篠田委員】  私は少し,これは9の全学的な教学マネジメントの確立のところで出てきます教学マネジメントに関わる指針ですね。この指針は,ここに関わるだけではなくて,例えば2の教育課程の改善,指導方法の改善等の学修の質の向上の制度改正の方向は,教学マネジメントの指針の中に具体的には書き込むという形になっておりますので。具体化という点で言うと,結論的な部分は指針の中に最終的には具体的に書き込まれるということになると理解できると思いますので,非常にこれ自身は影響が大きい。将来答申が出た後,各大学が何をもって改革をしていくかというときに非常に影響が大きいものだと思います。
 最後のところでは認証評価についても,やっぱりこの指針で出された情報公開の中身が評価にも関連をしてくる。このあたりも具体的な,どんなイメージで考えたらいいのか,後で御質問でお聞きをしたいなと思いますけれども,非常に影響が大きいものだということで,具体的には,もちろん指針の中で検討されることになろうかと思いますが,方向性については,書かれる大きな中身については,この審議まとめの中で提示をされておりますので,そこのところが非常に重要になってくるのではないかなと。
 その際に,これ質問というか,希望なんですけれども。各大学がこういうことを読んでいく場合に,教学マネジメントの指針というのは,例えば前の大学教育部会で出した三つのポリシーのガイドラインの運用に関わる留意事項というところがあるんですけれども,ここのところで書かれている内容が下敷きにあるといいますか,各大学のところでは読んでいく上でイメージをされると思いますし,それより更に前のものでいけば,質的転換答申で書かれた教学マネジメントの確立の,文部科学省なり中央教育審議会の方向性というのが,当然その延長線上で何が展開をされているのかと読みますと思いますし,さらに背景としては,学校教育法改定を柱とした大学のガバナンス改革の学長リーダーシップの確立の方向というのと連動してくると思いますので,一つは,そういう全体の政策の中身の展開ないしは具体化,方向性が一貫して見えるような形で全体構造を示すというのが非常に重要になってくるのではないでしょうか。
 そのあたりのところは参考に事例の中で書いてある,多分冒頭のところで書かれるのではないかなと思いますし,その冒頭のところは,注の20というところで,24ページの一番下のところに小さい字で出てくる中身で,三つのポリシーに基づいて内部質保証体制やPDCAサイクルを稼働させる。適切な教育資源の配分の在り方というところにも踏み込んで書かれておりますので,ここで,やはり私は留意しなければいけないのは,教学マネジメントというのは直接的には,24ページの一番頭のところにありますような,三つのポリシーに基づいて適切な評価,改善,学修成果の可視化をして改善をしていく流れをきちっと作り出していくということだと思うんですけれども,ただ,これ教育分野だけではできないと思うんですね。
 国立大学の場合には学長一本ですので,教育と経営というのは一体でやれていますけれども,私立大学の場合には別に学校法人,理事会というのがあって,経営方針はそこで決めていきますので,こういうマネジメントを本当に貫徹させていくためには,私立大学の場合には学校法人全体がそのことについて重要で資源投下をするという方針を明確にしていかなければいけませんので,その点では審議の中間まとめの方に出ている,教学マネジメントの具体的な指針の書き方の冒頭で書いているような流れですね。こういうPDCAサイクルをやっていくには大学全体,学位プログラム,それから個々の授業科目,それぞれの単位でPDCAが機能していく。つまり,全体でそういう法人大学,私立大学の場合には,そこに集中していく構造というのを,どうしても作り出していく必要があるのではないかなと思いますので。
 併せて,ここのところでは,学位プログラム単位だけではなくて,一人一人の個人の授業単位といいますか,個別のところ,ここまで徹底をしていくというのが,今回のこのワーキングでの議論の一つの焦点でありますので,その辺の構造が分かるようにきちっと書いていくということが非常に重要なところではないかなと思います。
 参考のところでポツが1,2,3,4,5個ですかね,ありますけれども,最初のところは多分三つの方針の策定から入っていますので,PDCAのPについて,それから2番目のところはアクティブラーニング等が,あるいは3番目のところも一部入ってくるのかもしれませんけれども,D,それから学修成果,授業評価という形になってくるのがC。それがちゃんと改善につながっていくという,つまりPDCAの構造,こういう事例で,こういうやり方を使って,ちゃんとやっていけば成果が上がると構造的に理解できるというところが非常に重要なところでないかなと思います。
 そこのところに当たって,つまり具体的なやり方まで,どこまで示すのかということなんですけれども,これが25ページ,隣のページのところに,やはりこういう構造を作っていくのは大学の自らの責任でやるので,強制するものではないし,各大学の実情に応じて,模倣せずに創意工夫してやるということが強調されていて,これは非常に私は重要なところだと思いますので,そのあたりのところをちゃんと促していくような指針にしていく必要がある。
 その点で多少,読んでいて,どういうふうにしていくのが適切かと考えましたのは,次の項目です。10の学修成果の可視化と情報公開の27ページのところで,義務付けを新たにしていく情報について幾つか例示がされておりますけれども,参考1のところに書いてある義務付けの中身というのは,これはかなり客観的なデータといいますか,基礎的なデータですので,こういうものをちゃんと把握をして公表をして,しかも公表するだけではなくて,私は,それをいかに改善につなげているかというところをちゃんと見ていかなければいけないと思いますので,このタイトルが可視化と情報公開になっていますけれども,やっぱり大学の側としては,それを改善にどのようにつなげていって,成果に結び付いているのか。このあたりは26ページ前段のところで強調されていますので問題ないと思うんですけれども。
 その上で,参考の2のところに書いてある幾つかの改革のやり方ですよね。つまり,学修成果の可視化に対してアセスメントテストをやるとか,表彰制度をやっているかとか,ナンバリングとか,履修系統図を使っているかとかという,このやり方のところ。これは多分そういう趣旨ではないんじゃないかなと思うんですけど,一定の指針を示すということの内容なんですが,やっぱり,こういうやり方について情報を法で,これを公開しなければいけないということになってくると,そのやり方自身を,この大学がやらないといけないかのごとく受け取られかねないので,そのあたりのところというのは,かなり慎重にやっていく必要があるのではないかなと思いますね。
 そこは,やっぱり大学が自分の大学に合った形で質保証をしていくには,こういうやり方が重要なんだという,自ら考えて,それが公表されていくということで,法令でこういうやり方ということの一つをやっているか,やっていないか,あるいはやっている状況がどうだと指定をするということになってくると,やり方について,やはり一律化していく流れになっていくので,そのあたりは,慎重に考えた方がいいのではないかなと思います。
 それから最後に認証評価で,こういう,これは25ページの上の段の最後の丸のところに書いてあるんですが,教学マネジメントに係る指針で示す事項の一部を認証評価や設置基準の者が参照し留意することも期待されるということなんですが。認証評価の29ページの最後のところでは,こういうデータを相対的に活用するとあるわけですけれども,このあたりのところが,実際に評価のところでどういうふうにこれを連動する,あるいは使っていくのかというところ,これが誤解がないように,ある程度正確にしておいた方がいいのではないかなということで,今どんなイメージでおられるのかということも併せて,御説明いただければと思います。
 以上です。
【鈴木主査】  ありがとうございます。多岐にわたって篠田委員からコメントを頂きまして,この書き直し,あるいは審議のまとめの中で取り入れるということができれば,それをお願いしたいと思います。
 そのほかございますでしょうか。
【石橋高等教育政策室長】  篠田委員の御指摘について幾つか整理をさせていただきたいと思いますけれども。多分,言っていただいた方向性については,我々としてもある程度留意をさせていただきながら記述は整理をさせていただいているところかとは思っておりますけれども,もう一度見直させていただいて,もしまた足らない点がありましたら補足をさせていただきたいと思っておりますが。
 認証評価の関係で申し上げますと,最後にデータを相対的に活用することというところでございますけれども,これのイメージは,各大学が,やはり自分たちがどういうふうにやっていくかを考える,まさにチェックもしていくときに,相対的というか,ベンチマークというか,そういうものがあった方が,より改善につながることもあり得るだろうという観点から,各機関において,自分でどういうところと比べて,今どこに,どういう位置付けに自分たちがあるというようなことも併せて評価対象にしていってはどうかという御提案でございますけれども,これも,まだ今後いろいろと議論をさせていただきながら,特に評価団体の方とも,よく検討させていただきながら決めていく観点かなと思っているところでございます。
【鈴木主査】  どうぞ,三浦課長。
【三浦大学振興課長】  教学マネジメント指針に関しても御意見を頂戴しました。篠田委員の御発言の中で,恐らく御質問というよりは我々が答えるべき方向性も併せておっしゃっていただいたような気もしますので,具体的にこれについてということではないんですが。御指摘のとおり,9番の教学マネジメントの確立というのと10番の可視化,情報公開というのは,非常に密接に関連のある事柄だと思っておりますし,また24ページの制度改正の方向性の最初の丸の最後の部分ですけれども,網羅的にまとめた教学マネジメントに係る指針を大学分科会の下で作成し各大学へ一括して示す必要があるということで,この後さらに,この中央教育審議会大学分科会の枠組みの中で,これに特化した形での御議論をしていただいた上で,中央教育審議会として示す教学マネジメント指針なのか,方針なのかというのを作成していきたいと考えております。
【鈴木主査】  よろしゅうございますか。
 宮城委員,どうぞ。
【宮城委員】  先ほどの私の方のアプレンティスシップ等のお話のところで,金子委員から最後に質問いただいたことにお答えできていなかったことを思い出しまして,それも含めてコメントさせていただきたいと思うんですけれども。実際に産業界との連動等を進めていく上で,実質的な対話が行われるために,どういう工夫が必要かという問いでもあったと思うんですけれども。この点は,大きく捉えれば,教育の質保証という点にも当然絡んでくるでしょうし,ここで出されている項目で言えばリカレント教育ですとか,ICTの教育等にも言えると思うんですけれども,実際の産業や地域,社会等との対話や連動を実質的なものにしていく座組みをどう作っていくかというような点は,改めてフォーカスを置いて言及してもいいのではないかということを思っています。
 御参考として,私の方の先ほどの資料で14ページ,15ページに出させていただいているんですけれども,イギリスの先ほどのアプレンティスシップで言えば,このInstitute for Apprenticeshipという座組みが,実際に社会の方で,金融機関ですとか産業界が主導,イニシアチブを持ちながら大学,政府と連携しながら推進しているということを通して,質保証ということに対して真摯に向き合って,またその手法を開発しているというような背景があります。
 私としては,続いてのページの15ページのトビタテ!留学JAPAN,これも一つの成功モデルになりつつあるものだと思っているんですけれども,こちらも併せて私の方で申し上げたいポイントとなるところとしては,イギリスの方の事例で言えば,このトップに金融機関の元CEOが入って,そういう,要するに実質的にフルタイムで仕事されていると認識しているんですけれども,意図を持った,意思を持った存在がリードしつつ,こういう座組みを作っていくということが,とても重要になると思っています。
 これはトビタテ!留学JAPANで言えば,実際に民間から手を挙げて,この取組を推進していこうと参画された船橋氏という実質的なリーダーが中心となって推進していたという経緯があったと思います。そういうように進めていく担い手をどうアサインするかというようなこともとても重要だと思いますし,そもそもの姿勢として,そういう産業,社会に対して,この議論を開いていくという姿勢をどう位置付けるかということがあるかと思っています。そのことによって,リーダーだけではなくて,地域や産業界の主体的な参画をどう引き出していくかと。
 この主体的な参画ということで言えば,このトビタテの地域連携協議会において重視したのは,10社以上の企業が資金を提供して,地域の企業が参画をすることを担保するということを前提として展開をしています。
 これ,あえて,例えば1社の金融機関。私も,この設計に関わっていたんですけれども,1社の金融機関や大企業が資金を出すということではなくて,多様な主体が,それぞれ資金を提供する,拠出するというような参画の実態を伴う形で,この座組みの中に入ってくることで,この座組みの中の,ある種の緊張感であり,そこの議論の実質性が生まれてくるということを感じております。このような形で,実際のこの座組みがうまく機能し,実質的な形で価値を生み出していくための設計ということを意識して座組みを作っていくべきではないかと。
 これは,それぞれの項目に対して,今回のリカレント教育ですとかにおいて言えることでもありますが,全体のこの教育の質保証や,先ほど小林委員もおっしゃった,予見できない未来に対して新たな教育の在り方を創造していくという意味においても,この産業界や地域社会等と高等教育がどう対話し,その成果を実質的な形で反映していくかということに対して,改めて踏み込んでいくことを何かしら示していくということがされてもいいのではないかと思いました。
【鈴木主査】  いかがでしょうか。何か。
【石橋高等教育政策室長】  ありがとうございます。おっしゃるとおり産学連携の枠組みというのは非常に大事でございまして,将来構想部会の議論の中では,その地域におけるプラットフォームの策定なども議論されているところでございますので,ワーキングに書くか,答申案に書くかというのはちょっと整理をさせていただきながら,その意識というか,そういうのはきちんと入れていけるように工夫させていただきたいと思っております。
【鈴木主査】  ありがとうございます。
 それでは日比谷委員,どうぞ。
【日比谷委員】  既に複数の委員から御意見出ましたけれども,私も,この個別事項が11,非常にフラットに並んでいる感じがしますので,ここは是非,少し構造化して書いていただきたいということを私からも申し上げます。
 個別の項目については,15ページ以降,学位等の国際通用性のところですが,16ページで非常に専攻分野の名称がどんなに増えているかということや,一大学のみでしか用いられていない名称が実際,平成17年度時点では約6割ということを注に書き込んでいただいて,これは何とかしなければいけないということがよく伝わるようになったのは大変に結構だと思いますが,17ページに行きまして制度改正等の方向性というところで,翻訳の際の基準となるような英語表記を整理するとか,それから,この項目の一番下の丸,英文表記として何々ということを書いていただいているんですけど,設置認可の審査をしますと,日本語と英語で学位名称の整合性のないものがかなりございます。こういうふうに書くと,何か英語に非常に集中して注力すればいいという,あえて言えば誤解を生むかなという気すらしますが,やはり日本語の学位名称もきちんと整理をして,学位の専攻分野の名称は修得する学問の本質に従って定める,ここを是非しっかりしてほしいと思いますので,あまり英語だけにフォーカスが当たらないような書き方にしていただいた方がよろしいと思います。
【鈴木主査】  よろしゅうございますか。じゃあ,その点も御配慮お願いいたします。
 そのほか,いかがでしょうか。上田委員,どうぞ。
【上田委員】  もうほかの先生方からおっしゃられたことを私も非常に感じていて,やっぱりこれだけ11のものがフラットに並んでいて,どれが重要なのか,どれが重要でないのか。重要でないことは一つもないんですけれども。あとはタイムスパン。どのぐらいの時間の中で実行していくものなのかというのは分からないのと,あと主体性というんですけれども,これ,みんな,どこの主体性が問われているのかという,その辺もよく分からないところがあります。
 それで,そういうふうにフラットになるというのは,単にこの書きぶりだけの問題ではなくて,ちょっとそのことについて一つ御指摘しておきたいと思うんですけど。将来構想部会の方から降ってきて,これやれ,あれやれ,これやれ,あれやれという,その降ってき方自体はフラットに降ってきていたので,最終段階までフラットになっていると思うんですね。途中で,もう私,何か,我々が何をやらされているのか分からなくなってしまって,きょうはこれ,次の週はこれということなので,この会議が終わったときに,もうちょっと,この会議自体を構造化してくれと。今この全体の枠組みのどの部分を自分たちが話し合っているのかを見せてくれとお願いしたところで。学生にもシラバスで,今回の第3回の講義は全体の講義でどの位置にあって,どのぐらいの重要度があるのかということは示しているときに,この会議自体はそうなっていないということが非常に私たちにストレスを与えるんだということは申し上げましたし,入試にしたって,試験に出る英単語って,例えば参考書であったら,スリースター,ツースター,ワンスターで,まずスリースターの単語から覚えていきなさいみたいな,そういうのがあるわけで,最初から千幾つの単語が並んでいて,aからやりなさいみたいな感じは,やらされる方としても難しいというところがありました。
 ということですので,会議をなさるときに,どなたかがエディター的な感性をよくお持ちになっていて,全体のどこをやっているのか,あと私たちがもし学生なんだとしたら,その学生が納得するように,あと気持ちよく,あと創造性が最大限発揮できる場の中で,この議論が行われるにはどうしたらいいのかということを,どなたかが,ゼネラルプロデューサー的な形で統括してお考えになっている方が事務方の中にもいらっしゃるとありがたいのではないかなと思います。
 今回の場合,ある意味で,将来構想部会の人が例えば指導教員で,私たちは論文を書いている学生だとしますと,指導教員の方が君の論文にはここが足りないねといって指導されるんですけれども,それがどのぐらいの重要度を持っている指摘なのだか分からないんですね。この参考文献表がおかしいので,そこだけ直しなさいという御指摘もあれば,そもそも君の論文の論旨の一番中核の部分が,ちょっと僕は疑問を呈しているんだということも言うんですけど,指導教員によっては,物すごい重要なところをへろっと軽く言って,参考文献表のここの何月何日が間違っているというところをいじいじ言ったりする指導教員もいるわけなので,学生の方としては,どれが太い幹で,どれが細かいところなのか分からないというところがあって混乱します。
 そういう意味から言うと,最後にこれがフラットに単に並んで,この文書の編集能力が云々かんぬんという以上に,将来構想部会とこのワーキングの間の関係を小林委員も何回も何回も途中で御指摘なさったところですけれども,そこの編集能力を,このワーキングを1回1回やるときに,もう少し利かせていただいているということが,全体のこのフラット化も防いでいったところなのではないかなということを御指摘させていただき,あと我々は物すごい熱意で,このことを組み上げていって,単にばらばらの部品を一つ一つ議論したという,ある種の歯車としてやったわけではないので,何かその辺の我々の意欲みたいなところも,そこに反映できないとは思いますけれども,それを反映するという気で書いていただければ,ありがたいなと思った次第です。
 以上です。
【鈴木主査】  義本局長。
【義本高等教育局長】  上田委員の御指摘,本当ごもっともだと思いますし,また,この運営の問題について上田委員から,これまでの会議でも,いろんな御指摘頂いたというところがありまして。お話も頂きましたように,将来構想部会とこの問題との関係,それからアジェンダが,かなり先の話から目先の問題,それからいろんな教学の問題,経営の問題,将来のグランドデザインという中において,かなりたくさんあるという中において,それを十分整理し切れていないんじゃないかという御指摘を頂きまして,そこはしっかり。
 これ読み物として,さっき石橋室長が申し上げましたように,答申と一体として付けるといっても,結局これだけ読んでも,巻1巻としてストーリーが分かるということが大事だと思っていますので,今頂きましたような構成の問題,時間の問題,全体の話の整理ということも含めて,少し頂いた意見を踏まえた上で,しっかりした形のものにまとめていきたいと思っております。それは少しお時間を賜りたいと思いますけれども,それはしっかりやりたいと思います。
【鈴木主査】  ありがとうございます。この主査としては,先ほど上田委員がおっしゃった,何かまとめの役を主査がやれというニュアンスも多少聞こえてくるような感じもいたしますが。しかし,もう一つ考えるべきは,2040年という,これから20年後のことを,例えばここに11の個別事項にまとめられているわけですが,これすら,これで足りるのかという面があるわけで,2018年の現在で2040年はこういうところですよということが,ある意味,我々のこの思考,あるいは議論を狭めている可能性もないとは言えないと。その辺のところには,かなり柔軟性と,我々,将来予期できないということも出てきておるわけですから,その辺にも心配りをする必要があると思っております。ですから,いずれにしても,どちらかをとるということはなかなか難しいと私は感じております。主査としては一言。
 それでは伹野先生,どうぞ。
【伹野委員】  ワーキンググループで議論する論点というのが2ページに書かれておりまして,それに合わせた答申になっているということでございます。今確認しましたら,一番最初のところがちょっと気になりました。諮問事項マル1の関連で,大学,大学院,短期大学,高等専門学校,専門学校それぞれの機能強化に向けて,早急に取り組むべき具体的施策や制度改正の方策をまとめて提案することになっていますけど,その辺がいささか分かりづらいと思います。高専についてはところどころで触れていただいておりますが,高等教育機関全体としての位置付けですね。大学院,短期大学,高等専門学校,ほかに専門学校がありますので,それぞれが今回の答申でどういうふうに変わっていくのかが,はっきり見える形で何か整理されると宜しいかと思います。
【鈴木主査】  どうぞ。
【石橋高等教育政策室長】  ありがとうございます。諮問事項は,結果的には答申で全てお答えしていくような形になるかと思っておりまして,伹野委員も御出席いただいています部会の方で,各高等教育機関の役割等と。今後の高等教育の将来像の提示に向けた中間まとめでいきますと36ページ以降に書いているところで,ここは対応しているという,すみません,事務局としては,そういう認識ではございました。そこでまた足らない部分というのは,部会においての議論においても付け加えていく必要があるかとは思いますが,そのような整理というところでございます。全てがワーキングで御議論いただいていることというよりは,部会も併せてというふうに御認識いただければありがたいかと思っております。
【鈴木主査】  ありがとうございます。
 そのほか,いかがでしょうか。時間的に,あと20分,25分ほどございます。小林主査代理。
【小林主査代理】  ちょっと具体的な話になりますけれど。今までいろいろ,やはり,この位置付けということが問題になってきていると思いますけれど,これから先は将来構想部会と併せてどういうふうにするかという話になってくると思います。
 そこで,一つお聞きしたいのは,これだけエビデンスというのが言われていて,余りそういうことを強調し過ぎるのもどうかとは思います。いいエビデンスと悪いエビデンスが世の中にはあると思っていますので。そういう意味では,エビデンスということを余り言い過ぎるのもどうかとは思いますけど,やはりエビデンスに基づくというのは,それなりに重要性を持っているわけでありまして,資料をどういうふうに付けるかということですね。この議論をする中で非常に多くの資料が出てきて,それなりに,それに基づいて議論をしてきたと思いますけれど,このまとめだけでは,それが全然見えてこない。部会の方は部会の方で,またエビデンスに基づいて議論しているわけですから,そのあたりをどういうふうに。資料も二つ一緒にするつもりなのか,ばらばらにするつもりなのかというようなことですね。
 それから,それに関連して,エビデンスがないようなものというのは,実はたくさんありますね。それで,不足しているエビデンスは何かということも,やっぱりここでは指摘しておく必要があるわけです。例えば前回,金子委員の方から出てきた問題で,学生調査の問題というのがあって,学生調査は,幾つもやられているわけですけれど,では本当に今の学生の姿が全部捉えられているかいうと,まだまだ学生調査やらなければいけないという問題があるから新しい調査をやろうとしているということがあるわけですね。
 ですから,今回の答申のトーンというのは,学生をまず中心に考えていくということであるとしたなら,それは非常に重要な項目だと思いますので,学生の調査をどういうふうに進めていくのかというようなことについて,やはり書く必要があるかと思います。
 全体として,これは印象ですけれど,何回か,この議論で出てきたことなんですけれど,何かやらされ感というのが現場はあるのではないか。これ,大学だけではなくて,高等教育機関全体ですね。
 それは一つには,こうしろ,ああしろという意味の規制が非常にたくさん入っているのですよ。それに対して,例えば大学の国際展開のときに出てきた議論は,むしろ規制を緩和して,もう少しやりやすくしようという議論をしていたと思いますので,これについても検討すべき課題はたくさんあるということですけれど,規制すると同時に,やはり規制も緩和をしていくという両方の面も持って進んでいるわけですから,もう少し政策として高等教育の改革を支えているんだというようなトーンが欲しいんですね。そうでないと,何か締め付けばかりやっているというような印象になってしまいますので,その辺,少し考えていただければと思います。
【鈴木主査】  はい,どうぞ。
【石橋高等教育政策室長】  データに関しては,事務局もなかなか作業が追い付いているわけではないのですけれども。会議のときに相当の量のデータを出してきておりまして,例えば今お手元の机上資料の冊子を見ていただいても,今後の高等教育の将来像の提示に向けた中間まとめの後は全部データ的なものが入っているわけです。これは,まだ私の感覚なので,御意見賜れればと思いますが,ワーキングのデータというよりは,答申全体でデータ集の整理をして作っていくということで考えたいなと思っております。
 これは部会の方でございますけれども,9月26日の部会で答申案原案は出ますが,データはその後,少し整理をさせていただきまして,委員の先生方にも御紹介させていただきながら,最終的な答申のときに間に合わせていくというような感覚で今考えているところでございます。またこれは御意見頂ければありがたいと思っております。
 あと書き方で,それは小林委員おっしゃってくださったとおり,決して大学にいろんなことを,高等教育機関全体に,あれやれ,これやれということを中央教育審議会が出したいというわけではなくて,やはり2040年に向けて,ともにどうしていくべきかという議論が中央教育審議会の議論だったと事務局としても認識しておりますので,そこは答申の中で,きめ細やかに書いていくべきことでもあると思いますので,その点は,また工夫させていただきたいと思っております。
【鈴木主査】  ありがとうございます。
 いかがでしょうか。金子委員,どうぞ。
【金子委員】  これは議論していなかったので,どういうふうに扱うのかという問題ではないかもしれないですけれども。先ほど高等専門学校,短期大学,それぞれという話がありましたが,一つ余り議論されていなかったのは,異なる学校種というか,学校制度の間の学位の相互流通性とかシステム的な統合性というのは,余り議論されていなかったんですね。ただ,2040年とかいうと,いろんなキャリアパスができてきて,それから先ほどのお話のように,学業の参加の仕方もいろいろあるということになると,要するに学歴といいますか,学修歴をどのように評価して,それを異なる学校種の中でどう評価していくかという問題が,かなり重要な問題として出てくると思うんですね。
 そういう意味で,そのシステム統合といいますか,一つは学歴というか,学生の流動性の問題だと思いますが,ただ社会人に関しては,学修履歴をどのように保存するかという問題もあります。
 という意味で,そういうようなシステムとしての学位の統合性,制度のところですね。今,大学改革支援・学位授与機構でかなり,一応あそこが,あまりよく分からないところは,そこで評価するという形になっているんですが,この状態がいつまでも続くのかどうかって,やはり私は問題だと思うので,何かそういうことをどこかに入れていくことはできないか。宿題として。この部会でやるのか,あるいは親部会でやるのか知りませんけど,やるとすれば教育の質保証システムとか,そういうところに一文そういうことを入れておくことはできないかなと思うんですけれども。
【鈴木主査】  どうぞ。
【石橋高等教育政策室長】  金子委員が御指摘の観点は一度,将来構想部会で全体像で,どういうふうにつながるかというのは,図としてはお出ししましたけれども,そこまでの議論にはなっていなかったと認識しております。答申案の中では,やはり今後更に議論をすべきことというのは追加していかなければならないと思っておりますので,また御相談させていただきながら書き方を考えたいと思っております。
 それから,先ほど小林委員から学生調査の関係で御指摘いただいたところをお答えを忘れておりまして。今,学生調査について一文入っておりますが,どういうふうにするのか,何を聞き取るべきかというのは,部会の方でも,ワーキングの方でも,そこまでの議論には,まだなっていなかったかと思っております。これも御相談ですけれども,具体的にこうすると書くのか,それもまた含めて,もう少し時間をきちんととって考えるのかというところと,あと,これは文部科学省の概算要求の中では,これの施行のための予算を今要求させてはいただいておりますので,その中で専門家にお願いをして,設計をしていかなければいけないと思っておりますので。そのあたりも一つのプラットフォームとしては使えるのかなと思っているところでございます。
【鈴木主査】  ありがとうございます。
 もう議論は出尽くしたでしょうか。これが最後のチャンスというか,機会ですので,どうぞ忌憚なく。
 それでは,珍しいことなんですが,とにかく20分前に議論が終了したという感じなんですけれども。きょう御議論いただいたことは,それこそ2040年まで我々の発言あるいは考えが及んでいくと,そういう議論をしたわけでして,非常に重要な御議論を頂いたと,主査としては受け取っております。
 この審議のまとめ(案)につきましては,本日の御意見や,あるいは御欠席の委員の御意見の取扱いなどにつきまして,私に御一任いただきたいと思います。
 また,本制度・教育改革ワーキンググループの審議のまとめ(案)として9月26日に開催予定の中央教育審議会大学分科会将来構想部会において御報告させていただきます。
 本日の議題は以上となります。
 それでは,今後の制度・教育改革ワーキンググループの開催日程等について,事務局から説明をお願いいたします。
【石橋高等教育政策室長】  失礼いたします。この後,実際,将来構想部会は答申案についての議論をしていくというところになりますけれども,今,主査からお話がありましたとおり,次回の9月26日の将来構想部会で制度・教育改革ワーキングの審議まとめ,今,先生方に頂きました,特にどういうふうにこれを構造化して整理をし出していくかというところが一番大きな部分になってくるかと思いますが,タイムスパン,あと,それぞれの項目について頂いた御意見も,主査と御相談をして反映させていただいた上で,部会の方に御報告を主査から頂くという運びにしたいと思っております。
 次回のワーキングは,10月になりますけれども,10月25日の木曜日,10時から12時で予定をしておりまして,このときには答申案が,まだ案の状態でパブリックコメント中となるかと思いますけれども,そのような状況でございますので,またこの答申案について御説明をさせていただき,御意見を賜るという回にさせていただければと思っております。
 ただ,いずれにしても,答申案については,早めに先生方にはお送りさせていただきたいと思っておりますので,またこれは会議のみならず,お気付きの点がありましたら御意見賜れればと思っております。
 資料については,いつもどおり机上に置いていただければと思います。ありがとうございました。
【鈴木主査】  ありがとうございました。
 それでは本日の議事は終了いたします。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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