制度・教育改革ワーキンググループ(第18回) 議事録

1.日時

平成30年9月7日(金曜日) 10時~12時

2.場所

TKP新橋カンファレンスセンター ホール2A(東京都港区西新橋1丁目15-1大手町建物田村町ビル 2F)

3.議題

  1. 高等教育の国際化について
  2. 多様なメディア(ICT)を活用した教育について
  3. その他

4.出席者

委員

(委員)日比谷潤子委員
(臨時委員)安部恵美子,上田紀行,金子元久,川嶋太津夫,小林雅之,篠田道夫,鈴木典比古,伹野茂,濱名篤,福島一政,本郷真紹,前田早苗,宮城治男の各委員

文部科学省

(事務局)小松文部科学審議官,義本高等教育局長,藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官,瀧本大臣官房審議官(高等教育担当),信濃大臣官房審議官(高等教育担当),平野大臣官房審議官(生涯学習政策局担当),蝦名高等教育企画課長,三浦大学振興課長,石橋高等教育政策室長,安井大学設置室長,進藤国際企画室長 他

5.議事録

【鈴木主査】  それでは,もう二,三人の委員の先生方がおいでになっておりませんけど,おいでになると思います。始めたいと思いますが,昨日北海道で地震がございまして,北海道全域ということで,大学の学生たち,あるいは北海道の人たち,大変な目に遭っていると思いますけれど,無事であるということと,1日も早い回復をお祈りしたいと思います。
 それでは,所定の時間になりましたので,第18回の制度・教育改革ワーキンググループを開催いたします。先生方,御多忙な中,御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 報道カメラ等のカメラ撮影は,議題の1に入る前までの冒頭部分のみとさせていただきますので,よろしくお願いいたします。
 前回は,リカレント教育の拡充に向けての御議論,実務家教員の登用促進についての御議論,さらに学部・研究科等の組織の枠を超えた学位プログラムについての御議論を行いました。また,国立大学法人等の人事給与マネジメント改革の動向及び今後の方向性について,事務局が準備した資料を御説明いただきました。
 本日は,大きく3点あります。
 まず,これまでにも本ワーキンググループで御議論いただいてきましたけれども,本日は,高等教育の国際化について,事務局において資料を準備いただいておりますので御説明いただき,委員の皆様から御意見を頂戴したいと思います。
 次に,多様なメディア・ICTを活用した教育についてです。事務局において資料を準備いただいておりますので,これを御説明いただき,委員の皆様から御意見を頂戴したいと思います。
 3点目は,宮城委員から主体的な学びを確立するための実践的な教育改革の方向性について資料の提出がございましたので,御説明いただいて,委員の皆様から御意見を頂戴したいと思います。
 それでは,事務局から本日の配付資料についての確認をお願いいたします。
【石橋高等教育政策室長】  失礼いたします。配付資料,今回少し多くなっておりますので,御説明させていただきますと,資料1から資料4が国際,海外展開の関係。資料1は今後の高等教育の将来像の提示に向けた中間まとめの概要でございますが,資料2から4が海外展開,国際化の関係でございます。資料2が大学の海外展開について,資料3が高等専門学校の機能強化の関係,それから資料4が我が国の学位等の国際通用性の向上についてというところでございます。資料5と6が,高等教育におけるICT活用教育と大学におけるメディアを高度に利用した授業についてという資料でございまして,資料7が宮城委員の提出資料となっております。資料8が中央教育審議会大学分科会将来構想部会制度・教育改革ワーキンググループの今後の日程でございます。不足がありましたら,お申出ください。
【鈴木主査】  資料は大丈夫でしょうか。
 それでは,議事を進めます。
 それでは,まず,高等教育の国際化についてであります。本ワーキンググループにおけるこれまでの議論も踏まえまして,高等教育機関の国際展開と学位等の国際通用性について,事務局において資料を準備いただいておりますので御説明いただき,委員の皆様から御意見を頂戴したいと思います。
 早速ですが,事務局から御説明をお願いいたします。
【石橋高等教育政策室長】  失礼いたします。まず本日の議論について,今後の高等教育の将来像の提示に向けた中間まとめのどの箇所をやるというところを確認させていただきたいと思いますので,資料1をご覧いただければと思います。
 今日は,赤囲みしておりますけれども,学位等の国際通用性の確保,高等教育機関の国際展開という教育研究体制の多様な学生の部分に対応した部分,それから高等教育におけるICT教育の部分は,その右側でございますけれども,多様で質の高い教育プログラムの中で扱っていきたいと思っております。
 ワーキングとしては専門的な御議論をいただくのは今回が最後になるかと思いますので,よろしくお願いいたします。
 説明を引き継がせていただきます。
【進藤国際企画室長】  それでは,大学の海外展開につきまして,資料2に基づいて御説明をさせていただきたいと思います。大学の海外展開につきましては,今年の4月のワーキングでも議論をさせていただきまして,その具体化を図った資料を今回,御説明をさせていただきたいと思います。
 この論点でございますけれども,これまで海外展開の意義を御説明させていただいたので,その上で,大学の海外展開に当たっての課題ということで,校地校舎の自己所有原則,そして海外校における定員管理について,前回も御説明をさせていただきました。
 また,こういった海外校に限らず多様な海外展開の促進方策について,前回も御説明させていただき,より具体的なものを今回,御説明をさせていただければと考えております。
 スライドの3番でございますけれども,大学の海外展開の意義ということで,これまでのことを簡単に整理をさせていただきました。
 世界的な動向としましては,グローバル化の進展ということもありますので,単に我が国だけではなく,諸外国の学生に対しても魅力的な大学教育の提供が必要だという世界的な動向。そして国内の動向としましては,18歳人口が減少しているということから,国内の学生だけではなく,学生の多様化を図ることが必要だろうということから,大学の海外展開が求められているだろうということでございまして,それによりまして,我が国の質の高い高等教育へのアクセスを向上するということは,持続可能な開発目標にも掲げられた万人への質の高い教育の提供,これの実現にも貢献をするだろうと。
 また,我が国の高等教育機関の教育力や研究力の向上,そして国際通用性の強化,こういったものにも通じるところであるだろうということで,国内において果たされる役割だけではなく,世界に開かれた高等教育機関としての役割を果たすことが,海外展開の意義だろうということです。
 ただ,その前提としましては,当然のことながら,我が国の高等教育機関の質保証の在り方,これは本ワーキングでもずっと議論されておりますけれども,そういった取組を当然の前提としまして,そういったものと両輪としてやっていくということを考えてございます。
 次のスライド4をご覧いただければと思います。大学の海外展開といいますと,パターンAと書いてございますが,海外の協定校との間で様々な国際共同学位プログラム,こういったものを構築するというのも海外展開になりますし,パターンBに関しましては,海外において海外校を設けると,そういったパターンもございますし,またパターンCとしまして,様々な多様なメディアを高度活用した,そういった授業を海外の拠点に置いてやる,あるいはパターンDのように,海外に現地法人を設立した上で,海外に外国の大学を設ける。こういったパターン,こういったものも含めて,大学の海外展開というのはあり得るだろうと考えてございます。
 こういった大学の海外展開,いろいろなパターンがございますけれども,そういったものをどのように推進すべきかということで,次の(2)番からは,海外校の設置に関して,いろいろな課題が指摘されておりましたので,その件に関して詳細を御説明させていただきます。
 スライド5でございますけれども,大学の海外展開に当たっての課題ということで,先ほども御説明しましたが,校地校舎の自己所有原則というのがございます。これは告示に書いてございますけれども,告示のニ,片仮名のニの下線部で書いていますけれども,「校地は,申請時において申請者の自己所有であり」と書かれております。こういった自己所有の原則があり,また,その後の片仮名のイのところの下線部にありますけど,開設時に20年以上にわたり使用できる保証があるということで,基本的には自己所有又は20年以上にわたる長期保有,こういったものが校地校舎に関する原則となってございます。
 ただ,赤い色で書かれておりますけれども,20年以上にわたり使用することが困難な特別な事情があり,また大学等の教育研究上の目的を達する上でやむを得ない理由がある,こういった場合においては,例外となっているというのが現在の規定でございます。
 1枚スライドをめくっていただきまして,スライドの6をご覧いただきたいんですけれども,制度の現状でございますが,海外の展開先の国の制度の制約によりましては,こういった自己所有,あるいは長期保有が困難な場合があると。例示としまして,前回も,中国では土地の全ては国有地ということで,こういったことはなかなか難しいということを御説明させていただいたところでございますけれども,こういったいろいろな海外の展開先によって事情があるということから,この海外校を開設する際の特別な事情,あるいはやむを得ない理由,こういったものがどうなのかが,今までは明らかになっていなかったということがございます。
 また一方で,国内における,どういった場合が例外措置に当たるのかは,実は通知で例示をされているということがございまして,それは参考資料になるんですけれども,スライドの18をご覧いただければと思います。ここの真ん中のオレンジで書かれている部分でございます。国内の場合には,どういう場合が具体的に例外措置に当たるのかというのは,一応示されているような状況になってございます。しかしながら,海外校において,このような例示がないということでございます。
 ということで,スライドをまた6ページに戻っていただきまして,こういったことから,海外校を設置する場合,どういう場合が特別な事情,やむを得ない理由なのかということを,きちんと具体例を示すことによって,このような校地校舎に関する例外規定の解釈,このようなものが明確化できるのではないのかということで,そのようなことを行うことによりまして,海外校を行う場合の校地校舎の自己所有原則に関して,どのような例外があるか明らかにするということを対応案として御提案をさせていただければと考えております。
 続きまして2番目の定員管理でございますけれども,スライドの現行制度のところをご覧いただきたいのですが,海外校の定員につきましても,日本国内の学部等と同様の定員管理がなされております。そのため,例えば平均入学定員超過率,これが一定以上の場合には,同一設置者が設置する他の大学等も対象としまして,新規の大学設置等の認可申請を認可しない,こういった取扱いが現行なされておりますけれども,海外校の定員についても,これは同様に適用されることになってございます。
 この平均入学定員の超過率に係る要件は,少し先のスライドの9の下にございますけれども,ここにありますとおり,このような基準が定められているところでございます。
 また7ページの課題のところに移っていただいて,もし海外校の定員を超過する,そういった入学者が生じてしまった場合には,これは海外校,当該海外校だけではなく,現在では同一設置者が設置する他の大学等も対象として,新規の大学の設置等の認可申請を認可しないと,そういった取扱いに該当する可能性がございまして,次のポツですが,日本国内の学部等の開設の場合であれば,これまでの経験から受験者や手続率,こういった予測というのは比較的つきやすいと考えられるのですけれども,海外校に当たっては,どれだけの受験者が集まるのか,あるいは入学手続をどれだけ行うのかを正確に予測して,定員を過不足なく学生を確保するのは,非常に難しいのではないかということを,これまでのワーキンググループで御意見を頂いていたところでございます。そのため,この定員の予測が外れた場合,これのリスクが非常に大きいというのが,海外校開設の消極的な要因の一つになることが指摘されてきているところでございます。
 そこで,そもそも定員管理は何のために行っているかということでございますけれども,これは教育内容の質を担保するということが目的でございますので,進出先国と我が国の国情の違いによって,この定員管理の困難さが非常に違うということと,海外校における教育内容の質の担保をどのように両立させるかというのが課題と考えてございます。
 スライド8をご覧いただきたいのですが,こちらは参考データでございます。これまで海外校というのは存在をしておりませんので,具体的なデータをお示しするのはなかなか難しかったんですけれども,日本の政府と協力をした上で海外に設置された大学。これは例えばエジプト科学技術大学や日越大学などがございますけれども,そういった大学での入学率,これは合格者のうち,どれだけ入学しているか,そういったデータを入手することができましたので,お示しをさせていただきました。
 こちらは大学院の段階なんでございますけれども,それぞれ各年度,合格者に対して,どれだけ入学をしたかという入学率,これが非常に大きくばらついてございます。それに比較しまして,下の方には国内の大学。これは幾つかのサンプルですけれども,国立大学,私立大学で見たのですが,同じく大学院のデータでとってみますけれども,この入学率というのは,国内の方が安定をしていると。これは当然,大学全体でございますけれども,これを細分化しますと,このばらつきはより大きくなるというのが現状でございます。
 こういった海外における定員管理の困難さがあるということでございますので,9ページの今後の対応(案)でございますけれども,海外校の定員管理に関しては大きな不確定要素があることを踏まえまして,このような基準告示の規定を緩和することとしてはどうかということを御提案をさせていただいております。ただ,この緩和の程度や期間等については,教育の質の低下を招かぬような観点から検討が必要だということです。
 また当然,前提でございますけれども,海外の定員管理というのは教育内容の質を担保することが目的でございますから,この基準を緩和した場合でも,海外校における教育の質が担保されるよう十分なフォローアップをすることが必要ではないかと考えてございます。
 以上が海外校の展開に当たっての,これまで課題と指摘されていた件でございまして,10ページからは,そのような海外校に限らず,多様な海外展開をどのように促進をすべきかという観点から,今回,前回も具体的なことがあまりなかったということなので,具体的なものを少し提示させていただきました。
 現状でございますけれども,この海外展開は,いろいろな目的や展開先の状況に応じて多様な形態を選択できるということが重要ではないかと。特に海外校との連携で提供される国際共同プログラムは,この後の日本の大学への転入学や編入学にもつながるという観点から,非常に意義があるのではないのかと考えてございまして,対応(案)でございますけれども,赤字でありますが,海外校と連携強化をした新たな海外展開モデル,このようなものを幾つか提示をした上で,取りまとめて大学に提示するというのが方策として考えられます。
 その具体的なモデルというのがスライドの11ページでございます。こちら,大きく図示をした例を二つ記載させていただきました。これは国内の大学,これはBと書いてございますけれど,それと海外のA大学で連携し共同の学位プログラムを構築した場合に実施できるのではないかと考えているものでございます。
 例1でございますが,まずは提携している国外大学に入学をした上で,そこで2年間,現地で過ごしていただく。そして3年次に日本の大学に転入学をしていただきますが,こういったツイニング・プログラムのような形で,教育内容をきちんと事前に共同で作成をしておりますと,転入学として入学前の履修について単位認定をすることができます。
 また日本の大学に転入学をした場合,その後,国外のA大学に物理的には場所を置いたまま,A大学が,日本のB大学が責任を持って提供する高度にメディアを活用した授業,このようなものも国内大学としては活用できるということもありますので,そのようなものを活用することによりますと,実質的には海外の提携校に3年間いつつも,日本の大学の4年目で日本の学位を,日本に転入学するということで提供する。こういったことは現行制度でも可能になっていると。
 あるいは例2でございますけれども,こちらは国内の大学に当初から入学をするものの,海外の大学での授業というのを,留学という形で単位認定をすると。それとまた,先ほど申し上げました高度にメディアを活用した授業,このようなものを行うということで,これは事前にカリキュラムなどについて,国外の大学と,きちんとした綿密な調整がなされているのであれば,そういった留学や高度メディア利用によりまして,その後,最後の4年次で日本の大学を卒業することによって,国内大学の学位を取る。こういったことが現行制度でも可能になってございます。
 このようなプログラムを活用することによりまして,現地の協定校との様々な協力というのが,より進む可能性があるのではないかと考えてございまして,実際このような形であれば,海外校との協力をより進められると,そのような大学もあるのではないかということを期待しているところでございます。
 こちらが多様な海外展開の促進のための方策ということでございまして,次のスライド12につきましては,このような様々な基準を例示したものでございます。
 さらに,最後にスライド13で簡単に御説明をさせていただきたいと思うのですけれども,このような多様な海外展開に行うに当たってですが,それぞれの展開先の国の事情の蓄積が進んでいるかというと,そうでもない事情がございます。こういった現地制度の事情に係る知見につきまして,なかなか大学が独自で調査を行うということは困難なことがございますので,対応(案)にあるように,幾つか展開先の候補となり得るような国の高等教育制度や事情,あるいは海外国の,他の国もその国に展開している場合がございますので,そのような海外大学の当該国への展開状況について幾つか調査をすると。そういった上で,どのような取組が可能なのかを調査をするというのは,各大学の海外展開にとって有益なのではないかと考えているところでございます。
 以上,多様な海外展開のための促進方策としまして,現状考えられるものを御説明させていただきました。
【寺坂専門教育課企画官】  それでは,続きまして高等教育の国際化ということで,高等専門学校の部分について,資料3を使って御説明をさせていただきたいと思います。
 資料3の1ページ目でございますけれども,高専につきましても,Society5.0の対応をはじめ産業構造の変化に対応できるような高専の教育の高度化でございますとか国際化に取り組んでいくということが課題となってございます。
 資料3の1ページ目につきましては,昨年度,将来構想部会の委員でいらっしゃいました前野先生のプレゼン資料を抜粋したものでございますけれども,この中におきましても,今後の機能強化の方向性,柱が三つございますが,新たな産業を牽引する人材の育成の強化,高専教育の高度化に併せまして,右側でございますけれども,高専教育の国際化ということが柱の一つとして位置付けられているところでございます。
 また,本年6月にお取りまとめいただきました今後の高等教育の将来像の提示に向けた中間まとめにおきましても,日本型高専制度の海外展開と一体的に我が国の高専教育の国際化を進めていくことによって高等専門学校の機能強化を進めていくための振興方策について検討することが必要であるということが示されておるところでございます。
 高専教育の国際化につきまして,具体的な取組について2ページ目のスライドの方にお示しをさせていただいてございます。
 真ん中の丸二つが重なっているところでございますけれども,高専の国際化につきまして,高専機構の方で,それぞれの教育,国の教育制度を踏まえた上で,左側でございますが,現地で高専教育を行う学校の設置に向けた支援,高専システムを輸出するという形で海外展開を行っておるところでございます。
 具体的には,カリキュラムの策定や,教材の開発支援,我が国の高専で現地教員に技術研修等を行うなど,研修やアドバイスを含めて日本型の高専教育制度の輸出を行っているということでございまして,それと併せて,右側の丸のところになりますけれども,我が国の高専に通う学生の国際化というところにも力を入れておるところでございます。
 例えばでございますけれども,海外からの留学生を受け入れて,その留学生と国内で交流をしていくというような活動でございますとか,海外インターンシップを拡大していく,また海外の単位互換協定を結んでいる学校への留学を後押しをしていくというような取組も進めておるところでございます。
 また国の取組といたしましても,トビタテ!留学JAPANのプログラムにおきまして,サイバーセキュリティでございますとかロボティクスなど,その類型の分野を対象とした未来テクノロジー人材枠というものを設けてございまして,工学分野の留学を推進する,高専生向けの採用枠を設けるといったような形で,国としても後押しをしておるところでございます。
 留学につきまして,その状況ですけれども,スライドの3ページにまとめさせていただいてございます。こちら国立高専のデータということでございます。高専の場合,国立がほとんどの数を占めておるところでございますので,大体の傾向は,こちらで分かるかなと思っております。国立高専は,約5万人の学生がございますけれども,そのうちの約4%,2,151名の学生が海外留学を2017年度に経験をしているというところでございます。
 下側の丸のところが留学期間でございますけれども,2週間未満の短期留学から3か月以上の長期留学というところまで様々バリエーションがございます。3か月以上の学生というところが,右上の表の丸のところに抜き出しておるわけですけれども,3か月以上の長期留学では,約6割の学生が留年をしているという状況がございます。
 この要因でございますけれども,次のスライドの4ページにまとめさせていただいてございます。4ページでございますけれども,留学に伴い留年をする要因といたしまして,進級に必要な科目を履修できない,出席日数の不足といった要因が挙げられてございます。また,そのような状況もあることから,あらかじめ休学届という形で提出をしていただいているようなこともございまして,学生の資質というよりは,むしろ必要な科目をとれないということが,長期の留学の後押しができないような妨げになっているのではないかということがございます。
 なお,後で出てきますが,一番最後のページのところに高専の卒業に必要な単位というのを表の一番上,赤の四角で囲っておるところに書かせていただいてございます。高専の場合,167単位が卒業に必要な単位ということでございますけれども,そのうち外国における学習については30単位を超えない範囲で認定をすることができる状況になってございますので,ここが一つネックとなっている状況でございます。
 また少しスライドをお戻りいただきまして5ページ目になります。こうした現状とは別に,実際のところでは,既に国際化を重点的に長期留学を取り入れて進めていくというような事例も出てきておるところでございまして,こちらは石川県の国際高専の取組,事例でございますけれども,真ん中の赤字で囲んでいるところでございます。3年次については1年間,全ての学生さんがニュージーランドへの留学をするような課程を有してございます。
 ただ,先ほども申し上げましたように,3年次の留学で取得をできる単位は30単位ということになりますので,その分,ほかの学年での取得単位数を増やさなければならないという状況がございまして,学生にとっても,そこの部分が負担になっているような状況があるということでございます。
 そういった状況も踏まえまして,6ページでございますけれども,外国の大学等に留学する場合の単位認定の弾力化を進めていってはどうかと考えておるところでございます。他の高等専門学校以外の状況も含めて,そこに表としてお示しをしてございますけれども,他の高等教育機関については半分を超えないような形で,外国で修得できる単位を認定しているという状況でございまして,そのうち高専につきましては,先ほど申し上げたように30単位を超えない範囲での認定ということで,全て卒業に必要な単位に占める割合というところも,かなり少なくなっている,小さくなっている状況がございます。ここの部分を増やしていくということで取り組んではどうかと考えておるところでございます。
 高専の下に書いてございますけれども,大学と比較をすると,そこに合わせるような形で,60単位という形で,まずは弾力化をすることに取り組んではどうかということで御提案をさせていただいておるところでございます。こうしたところも取り組みながら,また先ほど冒頭申し上げたような財政面の支援というところも取り組みながら,高専において世界で活躍できる技術者育成の支援に取り組んではどうかということで考えておるところでございます。
 高専につきましては以上でございまして,引き続き,また学位の国際通用性の向上に向けての説明を行いたいと思います。
【進藤国際企画室長】  続きまして,学位等の国際通用性につきまして,資料4に基づいて御説明をさせていただきたいと思います。
 こちら背景のところにございますけれども,これまで何度も御説明させていただきましたが,この国際的な人材の流動性が高まっておりますので,日本における外国の学位等の評定,あるいは外国における日本の学位等の評定に関しまして,円滑な承認に必要な情報が不足しているということがございます。
 また,以下でございますけれども,学位に付記する専攻分野の名称が非常に増加をしています。平成27年度で723件ございますけれども,諸外国から,学位を見ても「大学で何を学んだのか」が分かりにくいという指摘があるということが背景にございます。
 そして,これまでの議論のまとめでございますけれども,今年6月の中間まとめで,このような形でおまとめをいただいているところでございます。
 まず日本と外国の学位の国際的通用性を確保するために,様々な英語表記に関する整理を行うということと,ユネスコの枠組みで採択をされました「高等教育の資格の承認に関するアジア太平洋地域規約」,こちらの締結を受けて,国内情報センターを設立するということをまとめております。
 また,次ですけれども,学位の種類が700種類まで増加をしていることもありまして,英文表記として「Bachelor of(学術的に広く認知されている分野の名称)in(現在付記している名称)」とすることを国が推奨するというところを,今年の6月にまとめていただいております。
 3ポツで,現在の取組について御説明をさせていただければと思います。まず先ほどの高等教育の資格の承認に関するアジア太平洋地域規約でございますけれども,こちらは昨年の12月に我が国として締結をいたしまして,2ページ目に行きますけれども,この後,5か国が発効要件になってございますが,5か国が締結をしたということで,今年の2月に発効しております。
 また今年の5月でございますけれども,この東京規約,高等教育の資格の承認に関するアジア太平洋地域規約でございますが,こちらをより分かりやすく,それぞれの我が国の高等機関にお示しをするために,ガイドラインを策定しまして公表したところでございます。
 また,この規約の中で,国内情報センターの設立あるいは維持のために適切な措置をとることを規定しておりますので,我が国としても,この規定にのっとりまして,国内情報センターの設立を準備しているところでございます。
 この国内情報センターでございますけれども,小文字のaからeに書いてありますとおり,高等教育制度に関する説明,あるいはそれぞれの高等教育機関の概要,その一覧,あるいは我が国としてどのような質保証を行っているのかと,このようなことにつきまして情報提供をするという予定でございます。
 また,我が国の高等教育機関が,いろいろな他国の情報を知り得るように,他の締約国とのそのような情報交換も行うということになってございます。
 そして,この国内情報センターの設立に向けた具体的な取組としましては,昨年度,平成29年度より独立行政法人大学改革支援・学位授与機構におきまして,この国内情報センターが発信する日本の教育制度及び高等教育機関一覧に関する調査研究を実施しているところでございます。これは大学,短期大学,高等専門学校のほか,日本の特徴的な制度であります専門課程を有する専修学校,これが2,822校ございますけれども,こちらを英語による情報発信ができるような整理等を行ってございます。
 また,今年度になりますけれども,各学校種について必要な調査は継続するとともに,この英語表記の整理,あるいは掲載内容の検討,あるいは情報の英訳,こういった作業を進めておるところでございまして,早期の国内情報センターの設置に向けまして,取組を継続しているといったところでございます。
 続きまして,お願いします。
【高井大学振興課課長補佐】  学位に付記する専攻分野の名称についてですが,先ほど進藤室長からもあったように,学位の名称700以上になっているということで,中教審の平成20年の答申においては,学位に付記する専攻名称についての一定のルール化を検討する必要があろうということと,その際には日本学術会議や各協会等との連携協力を図る必要があるであろうということが提言をされております。それを受けまして平成26年に,日本学術会議から「学士の学位に付記する専攻分野の名称の在り方について」という取りまとめがされているところで,ここはおさらいになりますが,専攻分野の名称が必ずしも学部・学科の組織名称と学位に付記する名称で一致する必要がないといったことや,単純で共通性のある表現を用いることが望ましいといったことは,学術会議から提言をされているところでございます。
 以上を踏まえまして,中間まとめにも記載がありますが,国としては,学位を見て「大学で何を学んだのか」が明確に分かるような専攻名称とすることを奨励するとともに,国際通用性の観点からというところで,英文表記として「Bachelor of」と書いて学術的に広く認知されている分野の名称を付記していただき,「in」の後を現在付記している名称とすることを奨励していくということが一つでございます。
 もう一つとして,全国の大学が学士の学位に付記する専攻分野の名称がどのような状況にあるのかが必ずしも明確にされていないということで,そのようなことを知ることで,また専攻分野の名称の在り方について各大学が考えるきっかけにもなろうということで,国内情報センターをはじめ大学団体等と国とが連携をして,状況の見える化の方策を引き続き検討する必要があるであろうということがございます。
 国際分野に関する説明は以上でございます。
【鈴木主査】  ありがとうございました。大部の資料を御説明いただきました。
 それでは,ただいまの事務局の説明及び資料を踏まえまして,御意見,御質問等がございましたらお願いいたします。はい,金子委員どうぞ。
【金子委員】  すみません,細かいことですが,高専の外国での単位ですけれども,今,高等専門学校,必要単位167単位ですが,高等学校5年ですから,ここに高等学校は74単位と書いてありますから,簡単にそれを引き算しますと,94単位が大学相当の単位です。そうすると,60単位を外国で履修しておいてとなると,半分以上になってしまうんですね。それは,私は外に行くことを非常に奨励すべきだと思いますが,多過ぎないですか。何かそういう要求はあるんですか。
【寺坂専門教育課企画官】  高校の部分も含め,大学の部分も含め,全体5年間のところでの形ということになりますけれども,例えば国際高専は,今1年間行っているというところがございますので,そこの部分に加えて,場合によっては短期で更に行くところもあるということもございますので,そうしたところから広げてほしいというところで,まずは60単位でしてはどうかということを考えたわけでございますけれども,必ずしも60単位にしなければいけないのかというところについては,また御議論あろうかとは思います。
【金子委員】  少なくとも私は,論拠ははっきりしないとまずいと思いますが。3分の2ぐらい外でとるのはいいのかという問題は,大学相当部分についてはあるだろうと思いますので,何かやはり,こうする根拠というのは,もう少し具体的な根拠があった方がいいのではないかと思います。
【川嶋委員】  よろしいでしょうか。
【鈴木主査】  はい,どうぞ。関連してですね。
【川嶋委員】  はい。
【鈴木主査】  では,川嶋委員どうぞ。その後,本郷委員お願いします。
【川嶋委員】  今の金子委員の御意見ですけれど,根拠が必要だというの,私もお話聞いていて,そうだと思ったのですが。高等学校が36単位で,短期大学2年課程が30単位ということで,高専というのは3年,2年,計5年の教育課程ということで,高等学校相当の教育課程では36,短期大学相当課程では30単位と考えると,60単位ではなくて66単位までよろしいというような計算にもなるんですけれども。だから,やはり金子委員御指摘のように,きちんとした論理構成をした上で,つかみで60単位という御提案ではなくて,きちんと各関係の教育機関に説明できるような形で御提案をお願いしたいということで,高専については,私の意見は終わりです。
【鈴木主査】  事務局の方,いかがでしょうか。
【寺坂専門教育課企画官】  今頂いた御意見も踏まえまして,どういった形で何単位という形にするかというところも含めて,一度整理をさせていただきまして,また委員の先生方にも御相談を差し上げたいと思います。
【鈴木主査】  はい,ありがとうございます。
 それでは本郷委員,濱名委員,小林委員と,その順序でお願いいたします。川嶋委員もですね。
【本郷委員】  ありがとうございます。少し教えていただきたいんですけれども。大学の海外展開の意義ということで,ここからパターンのAからDまで四つの形態が示されておりますけど,もちろん,いろんな形があるというのは御承知のとおりです。ただ,やはりBに示されておりますように,キャンパスそのものの海外展開というのと,それ以外の例えば海外の大学との連携の上でということで,少し意味が異なるように思います。
 キャンパス海外展開以外の部分ですと,既に,後ろにも例示されておりますが,ジョイント・ディグリーとか,デュアル・ディグリーとか,あるいは様々な形での提携というのはこれまでなされてきていて,その部分で成果を上げている部分もあると思うのですけれども,やはり,キャンパスそのものを持っていくとなると,非常に大きな課題があると。その辺のところを,どういう形で順位付けと申しますか,優先といいますか,そういうことをお考えになっているのかというのを教えていただきたいと思います。
 パターンBの場合ですと,これは卑近な例ですけれども,先だってもマハティール首相が来られたときに,私どものAPUに来られて,そのときにマレーシアは日本の教育を非常に高く評価しているので是非とも海外キャンパスを作れというようなことをおっしゃって,一部の報道で,うちの理事長とAPUの学長が前向きに検討するというようなことを言うたと出ていたんですが,あれは間違いで,そんなことを言える道理もなくて,引き取ったわけです。これは明確に。
 もちろん,お示しいただいておるように,このキャンパスそのものの所有の問題,それから学生定員の問題も併せて,これまでも,この委員会でも何度か問題になっております,いわゆる教員の要件,専任要件等の問題,さらには,やはり,どちらかというと発展途上国などにキャンパス展開する場合には,為替差益等の関係から,どうしても財政的な裏付けというのは非常に難しくなってきます。
 例示されておりますE-JUSTとか日越というのは,これは明らかに国策的にやっていることであって,それであるからゆえにできるということはあると思うのですけど,なかなか大学単体でこのようなこと展開するというのは非常に難しい。
 そのあたりのところは今後,そういった部分の財政的支援も見越した上で積極的に支援していく,その方向でお考えなのか,そこまでは,まだ今後の課題ということで受け止めていいのか,そのあたりのところを教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
【鈴木主査】  お願いします。
【進藤国際企画室長】  大変に有益な御意見ありがとうございました。4ページのこの海外展開で幾つかパターンを示しているところでございますけれども,御指摘のとおり,パターンBのこの海外校を設置するというのは,実際に実例がなかなかないということが,本件を議論する発端でございまして,(2)番の自己所有原則,あるいは定員管理につきましては,まさにこの海外校設置に当たっての課題というのを書かせていただきました。
 そういう意味で,パターンAは,御指摘のとおり,実例は,いろいろな例が進んでおりますので,これをより広げるということでありますけれども,パターンBについて,今は全くこういった例がないものをどうしようかというのが,今回の説明でさせていただいたとおり,重点と考えているところでございます。
 また御指摘のとおり,こういった定員管理の問題以外にも,財政面でどうするのかが非常に大きいということもございました。それは進出先の国におきまして,まさに経営として成り立つかどうかがあるということでございます。日本の大学で国策として,まさに海外の支援ということでやっております,日越大学など,そういった例と違い,日本に限らず他の国では,まさに海外校に,きちんと経営として成り立つように進出をした上で実際展開している事例がございますので,財政的支援というのは今後の課題ではあります。そういった諸外国と同じように経営的にも成り立つように海外進出できる,そういった方策はないのかというのは考えているところでございます。
【鈴木主査】  よろしいですか。
 それでは濱名委員,どうぞ。
【濱名委員】  かなり前向きに考えていただいて,具体的な問題点も絞り込めてきたような気がします。この前,大学評価・学位授与機構のシンポジウムで,海外の専門家を呼ばれて,私も彼らに意見を聞いたのですけれど,そのときに,SUNYから来ていた,ニューヨーク州立大学から来た専門家と基調講演をした先生いわく,海外キャンパスに母国と全く同じような校地校舎の基準を要求しているような国は聞いたことがないというので,これをやっと見直すというのは遅きに失したのかなと思います。
 モナッシュのクアラルンプール校と,そのSUNYは,韓国の仁川でキャンパス展開をしているので,話をかなり聞いたのですけれども,基本的には教育の質を担保するということがポイントであって,やはりカリキュラム内容とかが,学位を与えるのに授与するだけのことがあれば,校地校舎の問題であるとか,専任教員の数とかを,全く同等のことを期待しているわけではないということを言っていました。そのような点では,それを,後ろの方に具体的にこれから調査検討すると書かれているので,その中で課題を潰していっていただくということに期待したいと思います。
 考え方の中で,11ページで,例1も例2も,最終的に4年生を日本で過ごすという考え方を例として挙げられているのは,それが絶対必要なものだということなのか,たまたまなのか。
 SUNYの例を聞くと,韓国の仁川でSUNYの現地校に入学した学生は2年間韓国にいて,3年の段階で海外へ行く場合と4年生で行く場合と,時期は別にいつでも構わない。モナッシュも,それは同じだと言っていました。つまり,カリキュラム全体で学位を与えるための一つの質保証というか,カリキュラム体系ができていれば,モナッシュの場合であれば,いつ行っても,いつキャンパスが変わっても構わないという仕組みです。
 やはりそういうようなところを考えると,最後の仕上げは日本でするのだということを余り例として強調する必要はないのではないでしょうか。3プラス1が具体的に今までの規定の適用の仕方によっては可能になるということは新しい知見としてすばらしいと思うのですけれども,そこから逆に遠隔授業も含めてということまで含めてセットに入れるとしたときに,4年生を日本で過ごさなければならないという要件の必要性が高いのかどうかということについて,どう考えておられるのか,ちょっと伺いたいと思います。
【鈴木主査】  どうぞ。
【進藤国際企画室長】  11ページの例で御説明を頂きました。この4年生を日本でというのは例示でございまして,高度メディア利用を4年次で行うということで,3年の間を日本で過ごした上で,また4年は海外で過ごしていただくということも,もちろん高度メディアをいつ適用するかというのはいろいろな例がありまして,これはあくまで例なので,御指摘のとおり,高度メディアをいつ使うのかも含めて,いろいろ選択肢はあるということでございます。
 両方とも4年次で日本にということを書いてしまったがために,それが要件のように受け止められるという,そういったことがないようには注意したいと思います。
【濱名委員】  はい。というのは,やはりアカデミック・カレンダーの違いが留学を非常に難しくしていると。要するに卒業研究をいつとるかというとき,4月入学と9月入学の制度の違いが非常に足かせになるので,高度メディアを活用する形で,留学の時期が決められるという形が可能になると,かなりフレキシビリティーがある。出ていくアウトバウンドの場合も楽になりますし,インバウンドの場合。海外キャンパスを作った場合,4月入学とは限らないと思うんですね。その国の現地化すれば,9月入学でスタートするとなると,そこのフレキシビリティーを担保しておかないと,日本に転入学してきてもらうとか,そういうチョイスがしにくくなるので,そのあたりをしっかりと書き込んでいただく必要があると思います。
【鈴木主査】  ありがとうございます。
 小林委員,川嶋委員,前田委員,日比谷委員の順でお願いいたします。
【小林主査代理】  最後の学位の国際的通用性に関連してお伺いしたいのですけれど,質問が二つあります。資料4の3ページで,これは非常に長い間ずっと懸案だった問題で,700以上の付記名称があるということで,それをどう整理するかということで,一つの提案をされているわけです。
 そこで,まず英文の方で,「Bachelor of(学術的に広く認知されている分野の名称)」ということでありまして,その後に付記名称を付すと。これはこれで一つの整理だと思いますが,問題は,学術的に広く認知されている分野の名称というのはどの程度のことを考えておられるのかということで,上の学術会議で必ずしも今までの学部・学科の名称と合わせる必要はないということを言っていますので,そうすると,ここがまたどれぐらいになるかによって,広がってしまうおそれがあるわけです。もともとは,学部名称というのは10ぐらいしかなかったわけですけれど,それがここまで広がってしまったわけですから,そこをどうお考えなのかというのが第1点。
 それからもう1点は,これは英語表記の話になっていますけど,日本語の表記はどうするのかということで,日本語については,その下に書いてありますが,今までのものと同じようにするということで書かれていると思うのですけれど,英語の方が先に整理されて,それに合わせて日本語を整理すると,そういう考え方でしょうか。そのあたりのことを少しお伺いしたいと思います。
【鈴木主査】  いかがでしょうか。
【高井大学振興課課長補佐】  英語の方についてで「Bachelor of」で考えられる名称の部分については,1点目にあるんですが,これについては,この資料の8ページを見ていただくと,かつてどういう形になっていたかということがございまして,昭和31年のときには25種類と,平成3年には29種類といったような形での定めがございました。こういう形での定めをしていく形に戻すということは考えてはいないので,ある程度,各大学の良識に沿って,一般的に通用性の高い名称にしていただくということを考えているところでございます。
 2点目についての国内の整理についてですが,必ずしも国際の方を整理して,その次に国内に行くということではなくて,国際的な通用性ということを考えて,しっかり名称を付けていただくというのが一つと,国内については,どういう形で,どういう名称があるかというのが非常に,700以上あるということで,それをきちんと整理をして分かるような形にしていくことで,ある程度,各大学においても,自分の学位はどういうものになっているのかを見える化していくことを考えていきたいというところでございます。
【鈴木主査】  はい,どうぞ。
【小林主査代理】  逆に言いますと,英語の方が先に,こういう形で整理ができるわけです。英文表記という形でできるわけですが,それに対して当然,このofの部分については対訳があるわけですね。日本語があるわけですから,それである程度整理ができるわけですね。それが今のお話ですと,30以上にはなることは間違いないわけですけど,それでも今の700に比べたら,かなり整理ができるわけですから,それを基にして考えることもできないのかという,ある意味,提案です。
【鈴木主査】  よろしゅうございますか。はい。
 次,川嶋委員どうぞ。
【川嶋委員】  資料1について確認と,あとコメントしたいんですが。3ページにあります意義については別に全く異論はなくて,特に一番下に書かれている,我が国の高等教育の質保証の在り方を見直す取組として一体的に推進というところは,まさにそのとおりだと思うんですが。
 まず幾つか,今日の説明資料の中で使われている言葉について,少し確認をさせてください。先ほどの本郷委員の御質問とも重なるところがあるかとは思います。
 4ページの4パターンがあって,先ほどの説明の繰り返しになりますけれども,A,D,Cというのは,現行そういう取組は我が国の大学でもあるということで,Bをどうするかと。この我が国の大学の海外校という言葉が書かれているのですが,これの具体的な組織形態とか制度上の位置付けというものをどうお考えなのかと。
 といいますのは,あちこちに海外校という言葉が出てくるんですが,ページ番号でいきますと10ページで,マル1のところで海外協定校との連携強化を通じたという言葉で見出しがあり,ただ現状の囲みの中で,二つ目の黒ポツのところに,例えば「海外校との連携により」という表現があって,この海外校というのは海外協定校のことなんでしょうか。読んでいると,いろんな言葉が出てくるので,しっかりと使われている言葉の定義は明確にしていただきたいと思います。
 そういう点でいくと,次の11ページで,先ほどの御説明では,この例1というのは共同学位であるというようなお言葉を記憶しているんですが,共同学位であるということはジョイント・ディグリーであり,ということは一つの教育課程を二つのA大学とB大学で作るという仕組みのことですね,共同学位課程。それなのに,ここでは卒業はBの学位を授与すると。共同学位であれば,A,Bの共通の学位として授与されるはずであるという仕組みですので,やっぱり言葉の使い方とか説明ということには,是非明確にしていただきたい。
 最後に,前回も定員管理の問題のお話でコメントさせていただきました。それで現在,定員管理で論点となっているのは,定員管理というのは,先ほどの御説明ですと,教育の質保証の観点から定員管理の厳格化を今求めているのだという御説明がありました。ただし,海外校の場合です。ここで言う海外校の場合は,合格者,入学者の予測が,国内の場合も,つきにくいという現状もあるので,もう少し緩和してはどうかという御説明でございました。
 ただ,この海外校の定員といった場合,先ほどの海外校とは何かということが明確にならないと,定員は現在ある学部・学科等の中の定員のことを言うのか,新たに外に出して定員を考えているのかということが,よく分からないわけですね。
 それから質の保証という観点で定員管理の厳格化というのは,むしろオーバーしている場合ですね。9ページにあるように,入学定員を一定の比率以上をオーバーした場合,大学全体として新たな設置を認めないという規定になっていると。一方,定員を割れている場合は,むしろ認証評価とか,そちらの方で問題になるんですが,定員をオーバーすることを議論している中で,この8ページで出されている,先ほどの日本のODA絡みの大学院の定員割れの話を持ってこられても,定員の予測が難しいからということのエビデンスとは必ずしもなっていないのではないかというのが私の理解です。
 最後に,定員管理を厳格にするということが教育の質保証であるけれども,海外に進出した大学の場合は,定員管理をある程度緩和してはどうかということは,前もお話ししましたけれども,国内の大学の質保証の基準と海外に進出した大学,日本の大学教育の質保証の基準を二つ作るということですね。これは海外から見たら,日本の質保証というのは,やっぱりダブルスタンダードなのかという印象を与えかねないですね。
 イギリスなんかは必ず,イギリスの大学の与える学位は,国内であろうと,海外であろうと,それは同等のものであるということで質保証の仕組みを作っているので,このような仕組みを安易に作ってしまうと,日本の高等教育の質保証全体の,むしろ,この意義のところに反するような効果をもたらすのではないかというのが,私の非常に大きな懸念です。
 以上です。
【鈴木主査】  はい,どうぞ。
【進藤国際企画室長】  御指摘ありがとうございました。
 まず海外校の定義でございますけれども,冒頭の説明で,確かに少し省略をさせていただきましたが,17ページを開けていただきたいのですけれども,これまで,申し訳ございません。海外校といった場合には,平成17年から,まさに我が国の大学,学部,研究科の一部,この教育組織を外国に設置することが可能になったと。この制度改正に基づいて設置できるものを海外校とするということで,これまで何度も説明をさせていただいたところでございまして,今回その部分の説明を割愛をしたところ,大変申し訳ございませんでした。
 ですので,海外校といった場合には,こういった新たに平成17年から可能になった,こういった海外で,まさに学位まで出すことができる,こういったものを海外校と,この資料の中で呼んでございます。
 そういった意味で,御指摘を頂いたものの中の10ページのこの現状である海外校というのは,これは明らかに誤植でございまして,これは海外大学の意味でございました。そこは大変申し訳ございません。
 そして,その次に,共同学位についてお話しさせていただきますが,4ページをご覧いただきたいんですけれども,国際共同学位プログラムといった場合には,ジョイント・ディグリーも,もちろん共同学位なんでございますけれども,ダブル・ディグリーやツイニングなど,そういったものを広く国際共同学位プログラム。共同で開設しているものを国際共同学位プログラムと呼ぶということで,狭い意味でのジョイント・ディグリーだけを指すという意味ではなくて,広い意味で,いろいろ国際的に共同で行うものを,私の説明の中では共同的な学位プログラムと説明をさせていただいたところでございます。
 そして定員管理についてでございます。この先ほどの17ページに基づいて設置される海外校でございますけれども,定員については,新規で海外で設ける場合もございますし,国内の定員というのを,そのまま割り振って海外を設ける場合,それぞれ,いろいろな場合があるかと思います。それについては,それぞれで,国内の定員をそのまま割る場合,海外新設する場合がございますけれど,それはいろいろなケースが,海外展開についてはあり得るというところでございます。
 そして,海外の定員管理に関しまして,先ほどのデータのところで,8ページのところで御説明をさせていただきました。定員割れということでございましたけれども,必ずしも,日本のように入学定員をきちんと決めてやっているところばかりでもございませんので,そもそもその概念自体もない場合もございますので,そういった意味では,これが定員割れということを必ずしも言えない場合もございます。
 そして,この資料でお話しをしたかったのは,実際に合格した場合,どれぐらい入学をするのかと,そういった部分について,実例として非常に大きな数値のばらつきがあって,それは国内とは違うと。そういった状況を踏まえると,新たに海外に設置をしようとする,そういった大学の経営者のマインドとしては,新たに設置するに当たって,もし万一のことがあった場合には,非常に大きなペナルティーを食らう可能性があると。そういった状況では,なかなか進出が難しいですねといったことが,このワーキンググループで,これまで指摘をされてきたと。現に,この前,意見があったということを踏まえて,そういった海外展開される際の,国情の違いによる,定員管理の難しさと国内の質保証をどうするのかということを,両立をしないといけないだろうということでございました。
 また,イギリスなどでは海外と全く同様だというお話もございましたけれども,実際に,濱名先生もおっしゃったとおり,国内と同じ基準を海外で設けているのかというと,それはいろいろな事情があると聞いてございますので,それは,これからよく実例を見た上で,どのように国内制度と海外制度の両立を図るかというのを検討してまいりたいと思っております。
【川嶋委員】  いや,よろしいですか。海外との質保証の考え方は違う。まずは定員があるかないかというのはそのとおりで,むしろ日本の方が,国際的に見ると定員を作っているというのは非常に例外的で,むしろ質保証,定員よりはST比等で管理していただくのがよろしいかと私は思いますけれども。質保証が国内と海外で違うというのは,先ほどの例えば校地校舎というような物理的なものについては当然出てきます。中国のように特殊な事情があって,当然,国の基準とは合わないかもしれませんけれども,例えば先ほど濱名委員も,教育課程とか,教員の資格とか,あるいはそれをどう評価するかということについて二重の基準を設けている国が多いというふうには私は理解していません。むしろ,教員の資格とか教育課程の在り方,あるいは質そのものについての基準というのは同一にしていると。
 むしろ,私はなぜこういうことを言っているかというと,御提案では,定員管理というのは質保証だとおっしゃるから,それで私はこだわるわけです。そこの論理というかね。そこが私の言いたいポイントでございます。
 以上です。
【鈴木主査】  はい,どうぞ。
【義本高等教育局長】  今整理いただきましたように,基本的には海外のものについては,先ほど濱名先生におっしゃっていただきましたように,カリキュラムとか,教育課程とか,それを担当する教員の数とか,あるいは資格をベースにして,そこはがっちり押さえていこうと。ただ,今お話しいただきましたように,それぞれの国の実情がありますので。例えば土地の所有とか校地の問題とか物理的なところについては,そこはある程度柔軟にと思っています。
 質の保証と言うかどうかの問題は別にしても,定員の規制ということについては,海外の延長線上であれば,物理的に,今のままでは機械的に適用されてしまうので,定員超過のペナルティーとかいろんなものが掛かってくるので,その分については何らかの形で緩和しないといけないという問題意識。一方,それをする場合においての代替措置を講じる必要があるのではないかということで,期間ですとか,そういうことを今後考えていきたいという方向性を出していただいていますので,考え方としては,川嶋先生がおっしゃったこととは大体同じような整理をさせていただきたいと思います。言葉として質の保証ということで,それが同一的というのであれば,それは私どもの説明が言葉足らずであったことについては整理をさせていただきたいと思いますけど,基本的には,申し上げましたように,それぞれの国の実情をベースにしながら整理できるところはしていこうということです。ただ,学位とか,あるいはカリキュラムの根幹でありますところについては,しっかり国のものについては維持していくという線で整理をさせていただきたいというところでございます。
【鈴木主査】  よろしゅうございますか。
 続きまして,前田委員,日比谷委員でお願いします。
【前田委員】  今のお話の中でほとんど出たような気はするんですけれども,例えばアメリカのアクレディテーションの場合は,機関別の場合ですと,必ずブランチキャンパスの評価方針というのを持っていまして,本部キャンパスと同等であることというのがうたわれているはずです。それが建物そのものまでを指しているかは別ですけれども,教育が同等であることは必須です。
  その他に海外で提供されるプログラムに関する質保証の方針というのを立てている評価機関もあります。こちらの方が非常に難しいそうです。非常に安定性がないプログラムなので,その保証を評価機関としてやっていくのは結構難しいようでした。
 オーストラリアの場合,モナッシュでは,「同等」以上で,同じ教員が海外キャンパスに教えに行くとのことでした。
 ですので,調査をいろいろされるとあったので,その質保証システムの中で,海外展開に関して,どういう質保証をされているのかというのも調査されたらいいのではないかと思います。
【鈴木主査】  ありがとうございます。日比谷委員,どうぞ。
【日比谷委員】  ありがとうございます。1点目は川嶋委員が聞いてくださったんですが,もう1回ちょっと確認したいので。11ページに書いてある例ですけれど,これはあくまでもB大学の学位を出すということですから,今もありますが,21ページにあるJDで,ジョイント・ディグリーで両大学併記とは違うという理解で,そこはよろしいわけですね。はい。
 それで,11ページに戻りまして,この海外A大学内のB大学,つまり日本の大学の海外拠点というものがあると。何かビルがあるようなことを想定していますけれど,それは,A大学というもっと大きなキャンパスの中にB大学の海外拠点があって何か看板を出していると。このA大学内のB大学海外拠点に通学というときは,そのビルに行って,そこで提供されている授業を履修するわけですよね。もちろん遠隔は遠隔でもと。
 国外大学Aで1年,2年のときに受ける授業というのは,そのB大学の建物ではなくて,A大学本体が出している授業をとると,そういう理解でよろしいんですね。
 それで,次なる質問は,例の1の方には,B大学の学位を授与するためには卒業単位の過半数,B大学であるべきではないかというのがあって,これは私も,ちょっとそうかなと思うんですが,下の例。例の2は,この例の2の3プラス1でも,ほとんどの単位はA大学及び海外拠点というところになると思うんですが,こちらに,この注記がないのは,なぜですかね。
 以上です。
【鈴木主査】  どうぞ。
【高井大学振興課課長補佐】  例1についてなんですが,1,2年について,転入学ということで考えていますので,1,2年はA大学のキャンパスで学んでいただいてというようなことを考えられる,あくまで例示という形になりますが,この例の中では,そういったものになっています。
 例2の方ですが,これ留学制度を活用しているような形になっていて,留学1,2年と書いてあります。どこで行くかという部分はあるんですが,B大学に入学をして,留学をして,プラス,メディアの授業を利用してということで,一気通貫で,基本的には,そのB大学に4年在籍しているような形になっていますので,注記を付記していないような形になっております。
【鈴木主査】  いいですか。
 かなり時間がこのようにとられているんですが,では手短に濱名委員と伹野委員とお願いいたします。それにて終了いたします。
【濱名委員】  11ページの今の例の2は,逆に言うと,3年ではなくて4年のところにこれを移しておいた方が,例としては分かりやすいかもしれない。SUNYが釜山でやっているのは,そういう展開なのです。最終的に学生のホームカントリーに戻ったところで仕上げをすると。逆留学に近いですね。
 それと,先ほどの学位の種別の話ですけれども,小林委員の質問にちょっと関わりますが,安井室長もおられるので伺いたいのですけど,今,届出改組数というのは,認可された学位の分野が同じであるならば届出改組になっている。その場合,複数の分野にまたがっているという改組転換のときには,例えば学際的と言われる二つとか三つとかでやっていったときに,いずれかの分野に乗っかっていれば原則的に届出改組の,いわば事前協議の対象になっているはずなのですね。そうすると,複数の分野にまたがっている学位を,さっきの高井補佐の説明のような形で,主な分野という,inとofの関係のときに,どう取り扱っていくのかという問題があります。設置時には,その分野というものを重視しているわけですよね。複数分野にまたがっているかどうかということで,設置審査が複数の専門委員会に掛かるかどうかが決まってくるわけですね。
 では,一旦出来上がってしまったものを,inとofというものを,いわば,ある程度効力を持たせる。国際的な英語の学位をやっていくときには,情報公開されるから,余りみっともない学位だと出せなくなるということを狙っておられるのかもしれませんけれど,本当にそれで効果があると思っておられるのか。あるいは,私は小林委員が言われたように,どこかの段階で,もう少し整理していかないと,英語の学位はそうだけど,日本語の学位名は違うという状態が,国内的な混乱をもたらしているのに,国際展開の問題を小さくしたら,国内における学位のこの混乱というものは何ら改善されないというのでいいと考えておられるのか。あるいは,それについては,今後どういうふうな方向性を考えておられるのか。
 通用している学位の種類というのも,ある程度,一旦例示なりをしていかないと難しいと思うのです。大学の見識に従って学位の種類が七百幾つになってしまっているのに,その見識がない人たちを相手にした方策を具体的にどう考えているのかというところは,是非聞かせていただきたい。
【高井大学振興課課長補佐】  国内大学の方の整理からいきますが,国内大学の話で言えば,今3ページで見ていただいたところの最後の黒ポツを見ていただきますと,我々としても,どう整理していくかも含めて,今後,そもそもどういう専攻名称があってということが,先ほど申し上げておりますとおり700以上あるということで,そういったことを見える化していくと。そういったことを見える化していくことが,まずは必要であろうと。その中で,各大学から見ても,自分の学位というのがどういうものになっているか。単独で一つだけあるぽつんとしたものなのか,通用性が高いものなのかといったことを見ていただきながら整理について考えていくということは,方策として考えているところでございます。
 国際の部分については,Bachelor of何々。これも何かしら,例えばローであれば,法律であれば法律であるというようなことを,そうしろと言っているのではなくて,あくまで,先ほどおっしゃっていた大学の形式に任せて700になってしまったという部分はあるんですが,その大学において,自分の学位名称というのが,国際的に見たときに,どういう形で置けば通用性が高いかということをよく見ていただいた上で付けていくことになりますので,そこは何かしら,重なっているところの学位名称を確実に分けて,こういったものにしなければならないということを規定していく予定はないというところでございます。
【三浦大学振興課長】  一つ追加して申し上げますと,学位の問題,非常に現状,現実はここまで進んでいるということをどう捉えていくのかというのは非常に難しいとは思っていますが,別途このワーキングでも御議論いただいています,学習成果をどうやって可視化していくのか,見えるようにしていくのか,何が学生には身に付いたのかと。学生自身が,私はこういうのが身に付けているんですよというのを社会にきちんと伝えられるような形にしていくにはどうしたらいいのかということを一方で御議論いただいているわけで,そういう話とセットで是非,学位名称の具体的な括弧書きをどうしていくのかというのも併せて検討していきたいと思います。
【濱名委員】  よろしいですか。ニュートラルに何々をするというのではなくて,この現在の学位数七百幾つがノーマルな状態だと考えているのか。当事者の大学は,世界に一つしかない学位はいいことだと思っている大学が少なからずあるのです。それを国際通用性があるものに収れんさせていかなきゃいけないということを今回明確にしておかないといけない。何のためにやるのかというと,新しいセンターを作るから,そこで見える化するためにやるのか,それとも現状は世界の常識とはかなり乖離しているので,ある程度収れんさせていく方向に向けての第一歩だということでやるのかでは全然,政策の効果が違ってくると思うのです。
 今,三浦課長が言われたことは分かるのですけれども,それだけではなかなか伝わらないので,より具体的に,そういうサインを出した方がいいのではないかと思いますが。
【鈴木主査】  ありがとうございます。その御意見も考えていただくということにして。
 伹野委員,どうぞ。その後,小松審議官の方に移ります。
【伹野委員】  高専のことを取り上げていただきましたので,現場サイドからコメントさせてもらいます。
 今,外国で取得した学修単位を認めていただけることになると,高専サイドとしても非常にありがたい話です。以前からの大きな懸案でございました。
 高専全体が様々な場面で国際化への活動を行っていますが,従来の高専制度が現状にそぐわない点がまだまだあります。一つ一つ整備することが重要と思っています。今回は,学生が外国できちんと勉強をしてくることへの保証です。
 特に留学希望の学生は非常に勉学意欲が高く優秀な学生が多いので,しっかりした体制をとりたいと思っております。どうぞよろしくお願いします。
【鈴木主査】  ありがとうございます。
 審議官,どうぞお願いします。
【小松文部科学審議官】  お時間押しているところ申し訳ありません。本日の御議論,ワーキングとしては,もう押し詰まっておりますので,これから答申に向けて,本日の議論なども含めて,主査とも御相談しながら,まとめていくという段階になるかと思います。
 そこで,今回,私どもの方から,今までの議論を踏まえて御提案して,御議論の材料に供したことと,本日の御議論と,それから,ここ10年,20年の,この問題に関する様々な阻害要因もあります。特に今,私が申し上げたのは,海外展開の問題でございます。現に制度を作りながら一例もないということになっておりますので,この点を,実効性があって,日本の大学が様々な展開や,そういったものを現実に考えられるような仕組みに直していかなければいけないということだろうと思います。
 そこで,それらを踏まえまして,極めて簡単に発言をさせていただきたいと思いますが,まず中間まとめまでの段階で,今までの海外展開については,大きな課題である物理的な自己所有と,それから定員については検討するということを既に述べていただいております。
 本日の御議論等を踏まえますと,この定員等との関係で,海外における場合の選任の考え方をどうするか。それから財政支援。これを,為替差損,差益の問題もありましたけれども,日本の税金をどこへどう使うかという学校法人の考え方なり,憲法上の公の支配の考え方なりをきちっと整理して,ありていに言えば,海外展開がきちっとできるように財政支援ができないものか,きちっと社会のコンセンサスが得られないものか,これを検討する必要があるだろうと思います。
 それからもう一つは,現地に行くと法人格ということが関係しますが,法人格と,今ここで御議論になりましたカリキュラムなり質の提供をどのように振る舞うかということは,法人格は独立の人格になりますので,この関係のきちっとした協定なり担保をどうするかという問題があろうかと思います。
 それから入学時期等の期ずれの問題は,修業年限とも関わりますので,かなり大きな問題になるかと思います。
 これらが,今日大体出てきているかと思いますので,これらを今まで言っていただいていることに加えまして,現実的にどう解決していくかということを,もし答申でそういう方向が得られるならば,専門的な詰めに掛かっていく必要はあるかと思います。
 もう1点申し上げますが,これらがなかなか検討が進まなかった一つの理由は,例えば国際的な学位ミル,言ってみれば学位あっせん的なものが体力の弱っている日本の学校法人に声を掛けてくるとか,それから国内の規制緩和等の問題で,海外の状況を尊重して,日本のものと必ずしも合わなくてもいいといって低いところだけ集めて,日本の学校に適用させようとするということなど,様々な他の要因もございます。したがって,これらについても気を付けて整理をしないと質の低下を招くと思いますので,これらの点について,言ってみれば消極的な要因の側から何があるかをきちっと整理したいと思います。
 それらを併せまして早急にというか,スピード感をもって,こうした問題を考えようといたしますと,どこかでは決めの問題というか,今までの私どものいろいろやってきたルールの中だけで整合性を考えようとしますと,私どももなかなか説明がし切れないと。そうすると,検討ができないということになりますので,ある種ルールを今,両方の点を考えながら,決めの問題として対外的に説明ができるというふうに柔軟に考える必要があるのではないかと思いますので,その点を御相談させていただきたいと思います。
 そのときに質の保証の問題というのは,過去にはST比率とか収容定員だけが,あるいは設置認可基準だけがその手段でございましたけれども,今は認証評価もありますし,アフターケアも発達しておりますし,諸外国にもそういうものがあります。その間の国際連携もありますので,収容定員も重要でございますけれども,そういった様々な手段を総合的に駆使する必要があります。これも置いておきますと,設置審で教員審査ができるかとか,諸外国の教員のですね。そういう問題になってくるわけですけれども,その発想でいる限りは,恐らく先が開けないと思いますので,そういった今までできている国際連携とかも含めて,一定のルールを構築していくということが必要ではないかと考えます。
 今までの御議論,本日の御議論,それから行政的にこれまで悩んできていること等を併せて申し上げました。答申にまとめていただく過程の中で,ここの御議論が生きるような形で何とか工夫をしたいと考えております。
 以上,事務的なというか,行政的な観点から,ちょっとお時間を頂きました。失礼しました。
【鈴木主査】  ありがとうございます。
 以上の留意点ということで。では,どうぞ。
【金子委員】  おっしゃっていることは分かりますが,ただ,大学の海外展開というのは非常に大きな問題になっているわけですね。ジョイント・ディグリーとかダブル・ディグリーをやる限りは,これは問題にならないわけです。受入れ国の認証メカニズムを使うわけですから。しかし,今回これは,日本の大学が出ていくために様々な問題が生じると。
 これはもう一つ,非常にこれについて大きな問題は,こちら側の認証の問題を論じていますが,向こう側の,主権国家として,出ていく先の国家も相当な規制をする。例えば中国なんか,外国から入ってきた大学について規制が相当あって,しかも,これはしょっちゅう変わるんですね。そういうふうに,かなり複雑な問題であるわけですけれども,あえて日本の大学の海外展開を考える理由は何かと私は伺いたい。
【小松文部科学審議官】  一番の理由は,事務方の中では相当議論をして整理したところは,ここのところに尽きると思います。このページの3ですね。これは基本だと思います。
 併せまして,まず,この中にも出てまいりますが,日本の高等教育というのは質が低い低いというふうに一般的に流布されておりますけれども,先ほどマレーシアの話が出てきたり,いろいろしますように,現に中東とかベトナムとかでも非常に高く評価をされているという面もたくさんありまして,こうしたものを諸外国との間で,日本の国内の,例えば18歳人口の減少とかも言われていますけれども,そういった考え方だけで動かすのではなくて,トータルとして動かしていかないと,日本の大学も,ある意味では,余りこの言葉は好きではありませんが,いわゆるガラパゴス化と言われるようなことが起きてくるのではないかと考えられますので。これは世界的な高等教育の有力な国を考えても,そうしたことは活発に行われていますから,その環境はきちっと整えておく必要があるかと考えます。
 日本の大学が国内で閉じている限りは,次第に体力を失っていくということもありますので,様々な手段が考えられるような環境というのを整えて,そして日本型の高等教育なり,それに対するニーズ,あるいは逆に,日本がそういうところとより本格的にグローバライズすると,そういうことを考えますと。それを実際,各大学がやろうとすると,制度的にはネックがいっぱいあるというのが今の状況かと思いますので,その部分については整理をした方がいい。ただし,気を付けてやらないと質の低下を招くと,そういうことではないかと考えております。
【鈴木主査】  ありがとうございます。
 それでは,大変このテーマに時間を費やしました。しかし,これは非常に必要な議論だったと理解しております。
 本日の御意見も踏まえまして,答申に反映していただくようにお願いいたします。
 続いて,多様なメディア(ICT)を活用した教育についてでございますが,事務局が準備した資料を説明していただいて,委員の皆さんから御意見を頂戴したいと思います。
 お願いいたします。
【寺坂専門教育課企画官】  それでは,まず資料5に基づきまして,ICTの活用の状況,またその課題といったところについて御説明をさせていただければと思います。
 まず,お開きいただきまして1ページから3ページまでにつきましては,学生の学習の利便性の向上のみならず,リカレント教育も含めまして,今後ますますICTを活用した教育というのが重要になってきてございまして,様々な政府文書,例えば1ページ目であれば,今年度から5年間の方向性を定めております第3期の教育振興基本計画でございますし,2ページは政府全体の成長戦略,そういったところにおきまして,ICTを利活用した教育を推進するといったようなところが位置付けられているという状況でございます。
 実際どれぐらい使われているかという状況につきましては,4ページ以降でデータを整理させていただいてございますけれども,多様なメディアを利用した教室等以外の場所における履修,遠隔教育でございますが,それにつきましては,約26%の大学が,平成27年度時点でございますが,実施をしているという状況でございます。
 また次,5ページ目でございますけれども,ICTの活用した教育の実施状況,どういった形で実施をしているかということでございまして,平成24年度と平成27年度を比べますと,特に伸びているようなところにつきましては,一番上のところのeラーニングによる遠隔教育,また上から三つ目のところの学修管理システムを利用した学習,またその下でございますけれども,eラーニングと教室の講義というものを組み合わせた学習,またその下,携帯端末を活用した学習,双方向型の授業が伸びているというところが出ているところでございます。
 また,6ページ目以降につきまして,大学側でICT利活用教育の体制をどのように構築をしているかというところもデータを整理していることでございまして,6ページ目は,その前段となるICT利活用教育を重要と考えているかどうかというところの認識についてアンケートをとったものでございますけれども,9割以上の大学が,ICTの利活用教育を大学としては重要だと考えているということが出てございます。
 7ページにつきましては,そうした意識といいますか,ICT利活用教育の推進を組織のビジョンやアクションプラン,中期計画に記述をしているかどうかということについて聞いたものでございます。学校設置形態の別によって差は出てきてございますけれども,大学全体で見ますと,約半分が位置付けをしているということでございまして,位置付け方としては,詳細な計画を年間作っている形というよりは,年度区切りの中期計画でございましたり,大枠の目標という形で位置付けているようなところが多い状況になっているということでございます。
 組織ということで見ますと,8ページ以降でございますけれども,8ページがICT利活用の教育のための運用ということでは制度の,システムの運用のための技術支援を行うような組織があるかどうかというところでございます。
 こちらも国公私でばらつきはありますけれども,全体で見ると,6割ぐらいがそういった組織を置いているという状況でございまして,その抱えている問題点という形で出てきておりますのは,予算,人員の不足ということが大きな要素として出てきている状況でございます。
 その次のページ,9ページ目でございますけれども,ICTを利活用した教育を運用するための教育支援を行う組織ということで,例えば手引を作成したりですとか,講習会を行ったりですとか,そういったところの組織が存在しているかどうかというところにつきましては,4割程度が,全体として見ると,設置をしているような状況でございまして,こちらも組織が抱えている課題ということで言われているものは,先ほどの技術支援のところと同じでございますけれども,予算や人員の不足が大きな要素としては挙げられているというところでございます。
 次に10ページ目でございます。こちらについてはオープンエデュケーションということで,MOOCを提供又は利用している大学の状況でございますけれども,こちらにつきまして,左側の提供というところは,自大学が自らの講義として提供しているところが提供という形で,右側の利用というところは,自学以外の大学等で提供されている講義を利用しているかどうかのデータでございますけれども,利用状況につきましては,どちらも,大学全体で見ると1割には満たないような形の状況が出ているということでございます。
 実際にこれを利用している大学が,どういった形で講義を提供,どういった理由で出しているかというところにつきまして,11ページ目でデータを整理をしてございます。真ん中あたりに自学の学生の学習環境の向上というところで,黄色のバーが飛び抜けて高いところの左側の方ですけれども,自学の学生の学習環境の向上を目指して提供しているというところはあることに加えまして,特徴といたしまして,一番左にある高校生向けの広報でございますとか,先ほどの自学の学生の学習環境の向上の右側にございますような教育情報の発信でございますとか,社会貢献でございますとか,そういったような趣旨で活用しているところもかなり多いというところが出てきている状況でございます。
 その次,12ページでございますけれども,ICTを利活用した教育に実際効果が得られていると実感をしているかどうかというところのデータでございます。破線につきましては,実際どういった効果が得られるか期待をしているというところで,実際に効果を得られたかが感じられているかどうかというところを実線で書いてございますけれども,総じてでございますが,期待されるほどの効果は実感ができていないというような形のデータとなってございます。特にプロジェクト・ベースド・ラーニング型ですとかアクティブラーニング型といったところの授業の活用でございますとか,学生の修了率の向上につきまして,期待していたほどというところが,まだ実感ができていないような状況でございます。
 次に13ページ目でございますけれども,そうしたICTを活用するといったところの導入を妨げるような要因がどういったものがあるかというところをデータとして整理をしたものでございます。上位,上にありますのは,先ほど技術支援,また教育支援のところの組織の課題で出てきたものと同じでございますが,人員や予算というところが出てきているということがある一方で,例えば,その3番目にあるような教職員のICT活用スキルの不足でございますとか,真ん中あたりにある教職員の理解の不足がありますというようなところも出てきているところでございまして,後ほど御説明申し上げます制度に関する部分をより周知をしていくでございますとか,また,この資料の一番後ろの参考資料,参考で付けてございますけれども,放送大学における取組。
 ここも真ん中のあたりで,他機関のオンラインによる講座の開発・配信への協力ということで,放送大学におけるリソースの活用ですとか映像配信プラットフォームの提供といったところを今後取り組んでいくというようなこともございますので,こうしたところで必要な提供も通じて,進めていくところは取り組んでいければと考えておるところでございます。
 全体的な考えとしては以上でございます。
【高井大学振興課課長補佐】  続きまして,多様なメディアを活用するに当たっての制度面の御説明,御紹介をさせていただきます。
 ページめくっていただきまして2ページです。大学設置基準上,25条において,授業を多様なメディアを高度に利用して行う,履修させることができるという規定がございまして,それがどういう形態かというものが告示で定められております。
 3ページご覧をいただきますと,まず告示の一つ目で,同時双方向型,いわゆるテレビ会議方式等で行うようなものが想定をされているということで,これは同じ時間に双方向型でやっていく授業になりまして,質問の機会の確保であったり,やりとりができるような形にしていくものということになっております。
 おめくりをいただきまして4ページになります。これがまた新しく平成13年に入ったということで,オンデマンド型,インターネット配信方式のものになります。これについては,例えば時間を決まったものであるとか,場所がどこであるとかといったことではなくて,オンデマンド型で,いろいろな形でICT教育を受けることが,いろいろな授業を受けることができるということになっております。
 とはいっても何でもいいということではなくて,きちんと指導体制が整えられていて,質疑応答に対する回答が得られるような状況であることということが重要になってまいりますので,例えば指導補助者等が学生等に対面で行ったり,あるいは教員若しくは指導補助者等が当該授業の終了後速やかに適切な方法を利用して行うということで,十分な指導が必要になってくるというところがポイントになってございます。
 ここにおいて多少いろいろな質問を頂くということで,いわゆる質疑応答。これが例えばタイムリーに行われる必要があるのかどうかといったことも含めてということを少し明確化するために,字が小さくなっているんですが,括弧内に記載をしております。
 例えば学生の質問について,当然質問ができる形,常に提出できる環境があることは重要でございます。当該質問が,授業の次の授業,次の講義に使われるものであれば,それは解決をしてあげないと,次の講義に学生が疑問たっぷりになってしまうということもありますので,そこは回答いただくと。それではなくて,もう少し広い形の質問であった場合は,講義期間中の適切な時期に答えていただくことで大丈夫であろうということがございます。
 回答の方法については電子メールやファクス,いろんな形があるということと,最近ではAIが質問を蓄積して答えるようなものというのもありますので,それについても,AIが回答できる範囲であれば,それで大丈夫であろうと。AIが判断に迷うような質問,複雑な質問については,担当教員若しくは指導補助者がフォローする形をとっていただくということで,かなり柔軟に,いろんな形での活用がいただけるということを周知したいと考えております。
 意見交換の場,これについては学生の意見交換の機会の確保は必要なんですが,例えば大学のホームページに掲示板を設けたりであるとか,学生が自主的に集まって学習を行えるような学習施設を設けたりする等といったことで考えられるであろうということでございます。
 修得単位の上限については,大学については,もともと30単位であったものが60単位に平成11年になっておりまして,通信制については全て大丈夫,大学院についても大丈夫ということで,短期大学については,2年制のものが62単位中30単位,3年制のものが93単位中46単位ということでございます。
 おめくりをいただきまして6ページです。学修時間,授業時間,これは通常の授業時間の考え方と変わりませんで,基本的には45時間の学修を必要とする内容をもって構成をしていただくということと,演習の時間,講義の時間についても15時間から30時間までの範囲で,1単位ということを考えております。
 留意事項ですが,これはインターネットあるいはテレビを通じて講義をしていただくということですので,黒板の文字が見づらいということであれば,レジュメやプリントといった教材を用意することであったり,あるいは一度で大量の学生を対象にした授業を行うことができるということもあって,一方で指導が損なわれることがあってはいけないので,受講者数については過度に多くならないようにということが,留意点として付されているところでございます。
 昨今よく言われているMOOCの活用についてもどうかということで,MOOCについても,かなり御活用いただけるような体制になっているということです。
 7ページ見ていただきますと,もちろん大学が外部機関と連携をして,自らMOOCを開設して,自らの授業科目として開設をしている場合は,単位の授与の対象になります。他大学が行っているものについても同様,単位互換といったことで活用いただいて,単位認定の対象になります。
 大学以外の団体・企業等が開設したMOOCについても授業の教材として御活用いただく場合,これについては全く問題ありませんということを言い添えたいと思います。
 説明としては以上でございます。
【鈴木主査】  ありがとうございます。
 それでは,ただいまの説明あるいは資料を踏まえまして,御意見を頂戴いたします。篠田委員,どうぞ。
【篠田委員】  ただいまの資料を御説明を頂きまして,ICT教育の総括的な現状というのが初めて分かったんですけれども。これを見ますと,御説明のように,シート6のところでは,重要でないと言っているのは2%ですので,ほとんどの大学が重要だと言っているんだけれども,実際にシート7のところで計画に乗せているというのは,平均でいえば2分の1。国立大学は中期目標,中期計画の作り方が多分影響しているのではないかなと思いますけれども,ほとんどの大学が計画に載せているんですが,全体としては2分の1。しかもシート4を見れば,実際に遠隔授業でやっているのは4分の1というようなことで落ちてきているということで,何が原因かということなんですが,これも御説明の中で強調されていたように,シート8を見ても,9を見ても,13を見ても,予算と人員の不足が圧倒的に高いということで,この分野どうしたらというようなところで,単純に考えますと,ここのところをどういう形で支援をしていくのかというか,どう解決をしていくのかということがないと,多分,問題は進まないと思います。そうなると,単年度でということもありますけれども,中長期的に,どういうところで,この予算とか人員,これがどういう現状になっているのかというのも少しきちっと見ていく必要があると思いますけれども,どこを改善をしたらいいか,どういう支援があり得るのか,そのあたりのところを,ある程度見通しというか,あったら教えていただきたいというのが一つのところです。
 それから二つ目に,シートの11と12で効果について書かれておりまして,実態このとおりだなと思いまして,やっぱり教育の情報発信。高校生に向けても含めてなんですけれども,社会人,生涯学習に対する効果だとか,自大学の,自分の大学の学生の学習にも,これ,学位プログラムだとか今,提起されている中にも多分,関連してくるのではないかなと思います。
 そういう外に向けての効果だけではなくて,教育の質向上だとかFDの効果。これ,効果実感している割合は,見ると,まだそんなに多くはないんですけれども。実は私の所属している大学院も去年からJMOOCというのをやって,体感してやってみると,授業内容を,MOOCに乗せていくためには,ある程度原稿化して説明をしていくということが求められますので,自分の授業の客観化とか,体系化だとか,資料も含めて精選だとかということについて非常に効果がありますし,一つのプログラムを提供するということになると,自分がその科目の中でどの位置にあるのかということを意識して説明をしないといけないので,重複だとかということについてもかなり,聞く方から見ると,それは許されないので,通常の授業だったら余り気にせずやっているところについても,客観的にプログラムが精選されるという効果。しかも,当然ながらオープンになるわけですので,受講生が聞くだけではなくて大学の関係者も聞くという形になりますので,授業自身を改善していく上でも,質向上の上でも,非常に重要な効果があるのではないかなということを,直接の体感で感じたわけですね。
 したがって,そういう意味でも非常に効果が高いというところを,もっともっと強調をして,支援をしていくことは重要ではないかなという,最後はちょっとコメントといいますか,感想になりますけれども,一つ,前半のところに御質問に,もし何かあれば,お願いできればと思います。
【鈴木主査】  何かございますか。
【寺坂専門教育課企画官】  今の時点で,こういうふうにというところが決まっているわけではないんですけど,今のところは,例えば各種授業をやっていくに当たって,オンライン教材であったり,オンラインのプログラムというものを開発するような経費を計上をしていくという取組の中で御支援をしている状況かなとは思ってございます。
 ただ,それぞれの大学によって,また事情も違っておるでしょうし,どういったところが実際どうなのかというところも,まだアンケートの結果ベースのデータでしか私どもも把握はできていないようなところがございます。
 実際,大学におけるICTの導入を推進するような協議会なんかも大学の間であったりしてございますので,そういったところと,よく情報交換もさせていただきながら,実際どういう状況かというところは課題を整理をした上で,どういったことができるかというところは,また検討を更に進めていきたいと考えておるところでございます。
【篠田委員】  すみません。
【鈴木主査】  どうぞ,局長。
【義本高等教育局長】  企画官の話に補足させていただきますと,この資料で,制度的には整備されているので,あとはお金と体制の問題なので,あとは大学勝手にやってくださいということを言うつもりは全くないので,そこは考えていかないといけない。
 ただ,この問題というのは恐らく,国でのいろんな形での支援のスキームを作っていくということとプラスアルファとして,やはり大学側として,一般的な必要性は感じるかもしれないけれども,いろんなリソースを使って,それをやってみようじゃないかというところまでいかないと。そこは何なのかということの場合としては,財政的ないろんな支援ということもありますけれども,結局これを使うことによって,やっぱり具体的に,非常に緊急性が高いニーズがあるかどうかという問題がなかなか把握できていないところがあるので,そこはむしろ,こういうところで明らかにしていくものではないかなと思っております。
 前回か前々回かのワーキングの中においては,大学間の連携の話がありまして,そこは結局,物理的に離れているところでは,同じ地域によってもなかなかできないよね。やっぱりオンラインを使って,しっかりやらないといけないというところがあれば,むしろ,こういう形で,そのニーズをもう少し顕在化させていくとかいうことも必要だと思います。また,先ほど寺坂から御説明しましたように,今,リカレント教育をしっかりやろうじゃないかということがございまして,そのためのいろんなスキームを作っていくとか,それから厚労省の事業と連携してプログラム開発ということもありますけれども,それもオンラインをベースにしているということはございますので,やはり,そういうところをもう少し強調する形で整理させていただく必要があるのではないかということとともに,現状でもできるということについて,もう少しアピールする必要があるのではないかなと思っております。
 それから,あともう一つは,どういう支援ができるかという観点からすると,これはまだ概算要求の段階ですので,年末の結果はなかなか言えませんけれども,今,私学助成の単位費用の積算の在り方とすれば,教員か事務職員かという形での単価の設定をしておりますけど,今,新しく専門的なタイプの職員ないし関係者についてもできないかどうかについての予算要求も一応盛り込まさせていただいておりますので,そういうことも少し,場合によっては使える余地が出てくるかもしれない。まだ,そこは年末予算編成の段階でございまして,それは分かりません。
 それからもう1点は,それを支援する方々。例えば教員でも,事務職員の方でも,手間暇掛かりますので,そのスキルをどう上げていくかという問題で,先ほど寺坂から紹介差し上げましたように,例えば放送大学とか,いろんなスキームを使いながら,そういうことをやるようなことを自己学習できるようなプログラムを作っていく,あるいはそれを広めていくということについてのことが,できないかどうか。
 例えば教員の免許更新においても,そういうプログラムを設けたりとかいう実績もありますので,そこは今後,放送大学の方とも,また連携してやらせていただくということもあろうかと思います。
 いずれにせよ,いろんな施策を講じる中において,大学側でニーズをしっかりした明確なものにして,それをやっていくということ自身が必要ではないかなと思っていますので,また活発な御議論頂ければありがたいと思います。
【鈴木主査】  今日は非常に司会の不手際がありまして,時間が非常に迫っておりまして,宮城委員からの資料も御提出いただいているんですが,宮城委員からの御発言,御説明は9月18日の方に回させていただきたいと思いますので,よろしく御了承いただきたいと思います。
 残りの時間が少なくなってきておりますけれども,濱名委員,安部委員,前田委員,福島委員,金子委員ということで,非常に手短にお願いいたします。
【濱名委員】  局長が御説明いただいたので,今日の二つの御報告で,かなり制度的に整っているということと,どういうふうにしてこれを大学が活用するかというサポートの問題もよく分かりましたし,社会人展開と,あと国際展開で,これをどう組み合わせていくかというメッセージを明確に答申の中に入れていただく必要があるというのが一つと,それともう一つは,資料6の5ページ目のところのスライドで,修得単位数の上限の中でメディア授業がどこまで可能かというのが出てきているのですけど,これ例えば海外展開の先ほどの例との組み合わせを明確にしておかないと関係性が分からない。
 つまり,これ,ダブル・ディグリーとかで3年次に編入学してくる学生,結構いるのです。その場合,残りも60単位までメディア授業全部可というのを適用できるのか,あるいは編入学とか,ダブル・ディグリーで来る学生については,短大と同じように30単位という形にしていくのか。そのあたりも,別に時間もないので回答していただかなくても結構ですが,明確に,そういう次の段階に合わせた形での記述をしていただければと思います。60単位丸ごとは無理だと思いますので。
【鈴木主査】  ありがとうございます。
 続きまして,安部委員どうぞ。
【安部委員】  ありがとうございます。先ほどの局長がおっしゃったこといいのですが,特に地方で小規模の単科大学や短期大学も含めてなのですが,それらの高等教育機関としての質の担保と向上,そして革新のためには,このICTを活用した教育というのを進めていく必要が,とてもあると思うんですね。
 ただし,先ほどから言われているように,人材の不足だとか,十分な財源が確保できないという問題があります。地方の高等教育の質の担保,地方も大都市と同等の教育を提供するということであれば,ICTを利用した教育は必ず必要になってくるので,先ほど連携というお話がありましたけれども,地方の大学等ができれば連携して, ICT教育を進める仕組みを作っていくことによって,地方の高等教育の革新につながっていけばなということを思いました。是非,予算的な配当をお願いをしたいと思います。
 以上です。
【鈴木主査】  ありがとうございます。
 前田委員,どうぞ。
【前田委員】  非常に細かいことなんですけれども。資料6の中で4ページのところで指導補助者という言葉が出てきまして,それなりに役割としては重要だと思うんですけれども,これはどういう人をイメージしているのかなというのがあります。やれることを見ていくと,多分TAではないんだろう。もう少しTAよりは教育に関して関わるのかなと思ったものですから,御質問させていただきました。
【高井大学振興課課長補佐】  指導補助者ということで,確かにTAよりはというところもありますけど,TAのような方をイメージはしているところでございます。
【鈴木主査】  よろしいですか。はい。
【前田委員】  TAでもいいんですけれども,かなりちゃんとした人でないとフォローできないという気がしますので,そのあたり,何か少し書いていただけるといいのかなと思いました。
【鈴木主査】  ありがとうございます。
 福島委員,どうぞ。
【福島委員】  お尋ねしたかったことは大体局長が答えていただいたんですが,その中で特にICT利用の必要性をどこにあるかというようなこともありましたので。私としては,これも繰り返し,ここでも述べさせていただいておりますけど,これからの高等教育の中でも特に,いわゆる分厚い中間層の教育ということになりますと,やっぱり少人数教育を徹底していかないといけないのではないのかということがありまして,そのためには,このICT活用の教育,特に講義についてはオンデマンド,あるいはeラーニング教材をということで,この領域がとても大事だなと思っているんですね。そのためには,やはり,お金と人がどうしても必要なので,財政的な支援は,どうしても必要かなと思います。
 それと,ここでも最後のところに記述されていますけど,放送大学で機材ですとか,技術ですとか,いろいろノウハウはため込んでおられるので,そういうところで,どういうふうに支援をしていただくことが可能なのか。例えば窓口をちゃんとはっきりさせていただくですとか,そういうことも含めてやっていただけますと,大分変わってくるのかなと思います。
 以上です。
【鈴木主査】  ありがとうございます。
 それでは,金子委員どうぞ。
【金子委員】  一つ,このデータを出していただいたんですが,これ両方とも,文科省のデータと,それからICT連絡協議会というところのデータなんですが,これは機関が対象でして,何でも,主として,その大学でやっていれば,全部やっていると答えるんです。ですから,これはかなり,やっていることをオーバーエスティメートしているので,本当にどれぐらい活用しているか,もう少し別の方法で確かめた方がいいと思います。
 特に,今かなり普及しているのは,授業で学生を把握するソフトというのがあって, Blackboardとか,そういうのはあるんですけど,それはかなり,あちこちの大学で使うようになっていますが,本当にインストラクションというか,授業で使うもの,活用している率は,そんなに高くはない。
 もう一つ非常に今問題なのは,パソコン持っている学生,少なくなっているんですよ。スマホを使いますから。ですから,かなり体系的なICTの利用というのは,むしろ退化している可能性がある。これ,ちゃんと調べないとまずいと思うんですが,私,その可能性はかなり強いと思います。もちろんスマホでもってクリックして授業で反応するということをやっているのもありますけれども,ただ私は,パソコンを使って,きちんと何かの課題に対して使うという使い方をしないと,やはりICTの能力は高まらないと思うので。そういう意味ででも,授業の質が高くないと,それから,さっきのお話のように,少数の人数でないと,逆に言うと,ICTは使えないですね。
 MOOCは,大量にばらまくように見えますけれども,実はあれも,ラーニンググループみたいなものを,どこでも使っているところで,やはり,ちゃんと効果が出てきているので,ICT使うと,何か効率的になって,みんな,わっと一斉にやるというのは非常に原則。そのために相当,やっぱり本来の大学教育が,質の高い教育がないと,これは使えないということは強調していきたいと思います。
【鈴木主査】  ありがとうございます。
 重ねて宮城委員にはおわび申し上げますが,9月18日ということで,それまでに答申の中に加えるという可能性は十分残っておりますので,そのことは申し上げたいと思います。
 そのほか。もう時間が,あと3分ほどございますけれども,あと一言加えたいという方がいらっしゃいましたら,どうぞ。よろしゅうございますか。どうぞ。
【小林主査代理】  もとに戻って恐縮ですけれど。おとといの将来構想部会で定員管理について,これは,ただ単に質の保証の問題ではないということを申し上げて,今日川嶋委員も全く同じことを言われたと思うのですけど。この前,大学の情報公開についても質の保証だと言われて,それも違うだろうということを申し上げたと思いますけれど,全体として,今回,非常に大きな問題,例えば大学の連携,統合とか,あれも地域との振興の関係で言われているわけですけれど,それだけの問題では済まないわけで,今日申し上げた学位の国際的通用性についても非常に大きな,実は大学が変わる可能性を持った提案です。
 ですから,そのあたりのことを,もう少し整理して,何かやはり,特にこのワーキンググループは,どうしても個別になってしまいますので,そのあたりは,もう少し事務局の方で大きな絵を描いていただきたいと思います。
【鈴木主査】  よろしいですか。はい,どうぞ。
【石橋高等教育政策室長】  ありがとうございます。将来構想部会の方の議論を受けて専門的な御議論をワーキングでしていただいていますけれども,当然その答申の中にワーキングの御議論も一緒に入っていく形になりますので,今,小林委員から頂いた御意見は,答申の中で,きちんと整理をさせていただきたいと思っております。
【川嶋委員】  よろしいですか。一つだけ。
【鈴木主査】  はい,どうぞ。
【川嶋委員】  私,上の部会には入っていないので,議論があったか,ないかというのは承知していない上で御質問ですけど。資料1に概要が書かれているんですけれども,ガバナンスとかあるんですけれども,地域配置の問題。今後ファンディングをどうするかというような議論をされているんでしょうか。
【鈴木主査】  はい。
【石橋高等教育政策室長】  はい。ファンディングに関しましては,前々回の将来構想部会で議論がございまして,それも答申の方に入れていくことになっております。
【鈴木主査】  よろしいですか。
 それでは,非常に活発な御意見を頂きました。このいろいろな御意見を答申に反映していただくよう,お願いしてまいりたいと思います。
 本日の議題は以上となります。
 次回は,制度・教育改革ワーキンググループの審議まとめをお示しして,議論を頂く予定です。
 では,今後の制度・教育改革ワーキンググループの開催日程等について,事務局から説明をお願いいたします。
【石橋高等教育政策室長】  失礼いたします。重ねて宮城委員には,今日不手際がございましたことをおわび申し上げます。
 次回,審議まとめをお示しいたしますが,その前に宮城委員からの御発表を頂きたいと思っておりますし,宮城委員から頂いた御提案は審議まとめの方に入れた形で御議論いただければと思っておりますので,よろしくお願いいたします。
 場所に関しましては,また追って御連絡いたします。資料の郵送等は,いつもどおりでございます。
 今日はありがとうございました。
【鈴木主査】  それでは本日の議事は終了いたします。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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