制度・教育改革ワーキンググループ(第16回) 議事録

1.日時

平成30年7月17日(火曜日) 10時~12時

2.場所

TKP赤坂駅カンファレンスセンター ホール13B(東京都港区赤坂2丁目14-27)

3.議題

  1. 単位互換制度について
  2. 大学等連携推進法人(仮称)の制度設計について
  3. 質の保証について

4.出席者

委員

(委員)日比谷潤子委員
(臨時委員)安部恵美子,上田紀行,金子元久,川嶋太津夫,小林雅之,篠田道夫,鈴木典比古,伹野茂,濱名篤,本郷真紹,前田早苗,溝上慎一,美馬のゆり,宮城治男の各委員

文部科学省

(事務局)小松文部科学審議官,義本高等教育局長,藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官,瀧本大臣官房審議官(高等教育担当),信濃大臣官房審議官(高等教育担当),松尾大臣官房審議官(科学技術・学術政策局担当),蝦名高等教育企画課長,三浦大学振興課長,石橋高等教育政策室長,安井大学設置室長 他

5.議事録

【小林主査代理】  おはようございます。鈴木主査から連絡がないのでお見えになるとは思いますが,遅れておりますので,それまで私が主査代理として議事を進行させていただきます。
 第16回の制度・教育改革ワーキングを開催いたします。御多忙の中御出席いただき,誠にありがとうございます。
 報道等のカメラ撮影は,議題1に入るまでの冒頭部分のみとさせていただきますので,よろしくお願いいたします。
 それでは,議事に入る前に,文部科学省より一言御発言がございます。
【小松文部科学審議官】  失礼いたします。文部科学審議官の小松でございます。議事に入ります前に,お許しを得て一言発言させていただきます。
 7月4日のことでございますけれども,当省の佐野太前科学技術・学術政策局長が受託収賄の容疑で逮捕されるという事態が起こりました。同前局長につきましては,同日付けで大臣官房付に異動したところでございます。現職の職員が逮捕されたということは誠に遺憾でありまして,関係者の皆様をお騒がせもし,心配,御懸念,御批判を多く招いているということにつきまして誠に申し訳なく思っております。
 現在の状況でございますけれども,捜査中ということでございますので,文部科学省と致しましては,捜査に全面的に協力をしつつ,何が起こっているのか,事実関係の確認にしっかり基づいて適切に対処していくということにいたしたいと思っております。文部科学省と致しましてはこの事態を大変深刻に受け止めまして,行政に対する国民の信頼回復に向けて全力を挙げてまいります。
 大事なお時間を頂戴いたしましたが,御議論に入っていただく前に,現在の状況についてごく簡潔に御報告をさせていただきました。おわびを申し上げますと同時に,御審議の方どうぞよろしくお願い申し上げます。
【小林主査代理】  それでは,議事に入ります。前回の制度・教育改革ワーキンググループでは,6月に取りまとめられました「今後の高等教育の将来像の提示に向けた中間まとめ」を踏まえまして,答申に向けた今後の審議事項等について委員の皆様から御意見を頂きました。
 本日は,大きく3点あります。まず,単位互換制度についてです。大学によって単位互換制度に対する認識や運用の幅に差があり,各大学の解釈や運用で行われてきたことから,自ら開設の原則の考え方や,単位互換制度の解釈や適切な運用の在り方について,本ワーキンググループで議論したいと思います。
 次に,大学等連携推進法人(仮称)の制度設計についてです。将来構想部会では,国公私の設置形態の枠組みを超えて,大学等の機能の分担及び教育研究や事務の連携を進めるなど,各大学の強みを生かした連携を可能とする制度である大学等連携推進法人(仮称)の制度設計について議論されております。本日は,大学等連携推進法人(仮称)制度の設計の要件やインセンティブについて,事務局が準備した資料を御説明いただき,委員の皆様から御意見を頂戴したいと思います。
 さらに,これからワーキンググループで集中して議論を進める質の保証について,本日は,入り口として,事務局の資料を参考にして御議論いただきたいと思います。
 それでは,事務局から本日の配付資料について御確認をお願いいたします。
【石橋高等教育政策室長】  失礼いたします。配付資料は4点ございます。資料1が単位互換の在り方について,資料2が大学等連携推進法人(仮称)制度の概要,資料3が大学教育の質保証について,資料4が今後の日程でございます。
 委員の先生方の分は差し替わっているのですけれども,傍聴席の方々には,資料1の12ページに誤りがございましたので,おわびして訂正いたします。正誤表をごらんいただければと思います。
 以上でございます。
【小林主査代理】  それでは,議事を進めます。冒頭でもお伝えしましたが,まず単位互換制度について審議いたします。大学によって単位互換制度に対する認識や運用の幅に差があり,各大学の解釈や運用で行われてきたことから,自ら開設という原則の考え方や,単位互換制度の解釈や適正な運用の在り方について,事務局で資料を準備していただいておりますので,御意見を頂戴したいと思います。それでは早速ですが,事務局より資料1について御説明よろしくお願いします。
【高井大学振興課課長補佐】  それでは,資料1に基づいて御説明をしたいと思います。資料1をごらんいただければと思います。
 お開きいただきまして最初のところ,3ページでございます。昨年8月23日に大学連携に係る議題を将来構想部会で取り上げた際に,一つの課題として,自ら開設の原則に基づき,単位互換についても,相当程度の同等性のある科目を自大学で開設することが原則として,前提として単位互換を行うことができる,これが大学連携の一つの課題となっているということが議論としてございました。こういった議論も踏まえた本日の議論をさせていただきたいと考えております。
 4ページをおめくりいただきまして,単位互換制度についてです。これはおさらいになりますが,単位互換制度,現状では,大学院であれば30単位分の10単位,大学であれば124単位分の60単位ということで互換が認められているところでございます。
 5ページですが,現状として,単位互換制度,平成27年度の数字になりますが,83%の大学が実施を幅広く行っているところです。その形態についても,例えば複数大学コンソーシアム型で大学の単位互換を行っていたり,あるいは放送大学の科目を広く活用しまして単位互換を行っているような様々なケースが出てきているというところでございます。課題と致しましては,先ほど主査代理からもありましたように,単位互換制度において,各大学が最終的には判断を行って単位認定をしてまいりますので,その判断のところで認識の幅があるということで,各大学において運用が少しずつ異なっているという部分がございます。
 おめくりいただきまして,6ページは,どのぐらい単位互換が行われているかといった参考のグラフになります。
 7ページでございます。単位互換制度について,幅がある中でより柔軟な運用が求められている部分がございます。ICTの活用によってより遠隔な授業であってもしっかりと学習が行われるようになってきたということと,学生の需要の多様化という部分もありましてより柔軟に行っていきたいという要望と,一方で自ら開設の原則がそもそも入った理由としての,一部の大学において,残念なことに例えば資格予備校に丸投げをしてしまったケース,そういったこともあるので,それではどれだけ柔軟に行いながら,されど,大学の形を維持していくのかというところの部分でのバランス,それをどこで取っていくかということが重要になってまいります。
 おめくりをいただきまして,それではということで,多様な学修ニーズに応じるための柔軟な対応,そういったものについて,これはある意味現状でも行われていることを確認的にという部分もあるですが,もともと昭和47年の当時,単位互換は,一つの大学対もう一つの大学がバイで,1対1で行っていくということが想定されておりました。その際には,ある一定の範囲を協議して決めて,計画された範囲で単位互換を行っていくということが行われていたように思います。
 現状は,先ほど申し上げたとおり,様々なニーズが出てきたということで,全ての単位互換を学生が行いたいと思うものについて事前に計画することが難しくなってきた,あるいはマルチの関係が出てきたということで,9ページでございます。例えば多様な学生のニーズということで,事前に申請をしていない単位,これにつきましても,既に行われていることではございますが,例えば各大学の教務委員会や教授会として適当と認めた場合には,これについては単位認定をすることは差し支えないのではないかということを改めて明確にしていきたいと考えているところでございます。
 ただ,その際にも,全ての単位がやはり認められるわけではなく,教務委員会や教授会の判断によって単位認定がなされない場合がある,これについてしっかりと言っておかないと,学生が混乱するということもございますので,そういったことについても学内規則等において取り扱いを明確にしておくべきではないかということを明確にしていきたいということでございます。
 また,コンソーシアムや大学連合等マルチな関係における単位認定,これにつきましては,原則としてはバイの関係に準じてということで,単位互換協定をしっかりと締結いただいて,事前になるべく計画はしていく。これについては,まずは原則としてやっていただくということを改めて記載をしているというところでございます。
 おめくりをいただきまして,10ページです。これは現状行われている様々な単位互換を図示化していて,単位互換協定で伝統的に行われている1対1の大学のもの,放送大学を幅広く活用していただいて協定を結んでいただいて実施しているもの,あるいは協定はないものではありますが,事後的に認められていくもの,あるいはコンソーシアムや大学連合を活用した単位互換ということで,こういった幅広い学習ニーズに応えるような単位互換をやっていくということを推奨していくということでございます。
 その際にということで,11ページでございます。それでは,単位認定の基準,これはどういう形になるかということでございますが,先ほども申し上げたとおり,単位認定の最終的な判断はやはり大学ということで,今まで具体的な運用基準は示されてはおりません。ただ,ある程度幅がある中で,その考え方の整理を本日行いたいということで資料をお示ししております。
 おめくりといただきまして,12ページでございます。単位認定におきましては,原則としてというか,前提として,自大学の学位プログラム毎のカリキュラムポリシーやディプロマポリシーに即したものであること,これが前提にはなりますが,その上でということで,必修科目,選択科目,自由科目に分けて扱いを記載しておりますが,次の13ページの図を見ていただくと分かりやすいかと思いますので,こちらをごらんいただきながら,説明をさせていただきたいと思います。
 13ページでございます。必修科目,選択科目,自由科目というもので,各大学で自由科目の取り扱いは若干違うところもございますかとは思いますが,この分け方の中でどう考えていくかということです。必修科目,これについては,やはり卒業に必要な要件が実質的に欠けることをまず避けるためということもありまして,内容・水準に相当程度同等性を確認した上で,自大学の授業科目との1対1の対応関係がある場合に限り認定ということで,必修科目については単位互換はかなりしっかりと見ていただくということになります。
 選択科目については一方で,これについては必修科目よりは少しということで,自大学の選択科目の選択の範囲内とみなせる程度の同等性がある場合には,自大学の授業科目との1対1の対応関係まではなくてもよいのではないかということで,とはいっても,選択科目の中での範囲内でということで単位互換をしていくという解釈なのではないかということ。
 自由科目につきましては,これは真ん中に線を引いておりますが,いわゆる卒業単位に入るもの,卒業要件として必要とされる科目も自由科目の中にはございます。そういったものについては,選択科目と同様の扱いとしてはどうかということを考えております。一方で,自由科目でも,卒業単位ではなくて,その外にある,いわゆる学生が自由に自らの学修の豊富化のために取っている部分,この部分につきましては,必ずしも1対1の対応関係,これは求めていかなくてもよいのではないかということで,一応イメージという形で解釈の明確化ということをしていきたいと考えております。
 12ページにお戻りいただきまして,その他の部分でございます。教職については,多少組織によって基準が示されているので,これに従う必要があるということと,最後の「単位互換を行うにあたっては」というところで,最終的にはやはり大学が決めていくということになりますので,大学の単位やそれに基づく学位の信頼性や通用性を損なうことのないよう,しっかりと内部質保証の体制整備に十分留意する必要があるということを書き添えているところでございます。
 おめくりをいただきまして,14ページでございます。単位互換と「自ら開設」の原則との関係というところです。改めて解釈を見ていくとというところで,もちろん自ら開設の原則,必要な授業科目については大学でしっかりと自ら開設していくことが原則であるということで,丸の2の線のところでございますが,単位互換制度の利用を前提に,通常必要とされる授業科目を開設することなく,他大学の授業科目をもって代替させるような取り扱いは許されないということ,これが原則になってまいります。また,必要最小限の授業科目を開設すればよいという意味ではなくというところで,やはり学生の選択の幅をしっかり設けた上で大学は授業科目を開設する必要がある,これが基本的な前提にはなってまいります。
 他方で,本原則では,各大学が,いろいろな大学が開設している各大学独自性の高い科目全てを全ての大学で同様に開設することまでを求めるものでもなく,学生が受講する全ての科目を大学が自ら開設することまでやはり求めるものではないということで,教育の豊富化等の観点から,先ほど申し上げたような考え方の整理,こういうことについては自ら開設の原則には抵触するものではないのではないかということで整理をしているところでございます。
 15ページです。その他の論点の部分で,最初少し触れました大学連携との関係でございます。現在でもコンソーシアムや大学連合で単位互換を行っているところですが,確認というところですが,コンソーシアムや大学連合自体が授業科目を開設することはできないということが原則になります。また,授業科目について,担当専任教員の所属が不明確だったり,やはり成績評価の主体が不明確などといった教学上の責任関係が不明確になることは不適切であるということで,これは自ら開設の原則には違反してまいるということにはなります。
 他方で,今後,後ほど説明が資料2の方であるかと思いますが,開設されるというか,新しく制度化される可能性のある大学等連携推進法人(仮称)の制度の創設などが検討されている中では,合同授業科目のような取り扱いについて,参画する大学の教学管理体制の整備の在り方も含めて今後検討する必要があるのではないかと考えているところでございます。
 本日の資料の説明は以上でございます。
【鈴木主査】  ありがとうございます。主査が遅れるようでは仕方がないんですが,大変御迷惑をお掛けしました。
 それでは,ただいまの事務局の説明や資料を踏まえまして,御意見,御質問がございましたら,お受けいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 濱名委員,どうぞ。
【濱名委員】  ありがとうございます。課題を整理していただくという点では重要なポイントだと思うのですが,今日の資料を見ていると,国内の大学のみが視野に入っていて,海外に行った場合のことは全く想定されていないのではないかと思います。例えば近年の状態でいうと,海外の大学に留学して取得してきた単位の扱い等については,当然のことながら,行く先々によって単位制度もかなり異なる,単位の積算時間も異なるという問題は全く視野に入っていない。
 私が聞いた話でいうと,海外展開をされている大学の中でも,行った国の単位をそのまま認めておられるというケースがあると聞いていまして。それだったら,恐らく積算となる時間が違ったりする場合ももちろん出てくるだろうと思いますし,日本から行く場合の,例えば英語圏の留学の場合でいうと,ランゲージコースに行っている場合でも単位認定を否とはしていないというケースも多々あると聞いています。
 やっぱりそこらのことを考えると,その辺りをどう捉えていくのかという問題なのです。つまり,国内の大学の問題というのは比較的把握がしやすくて,設置審査の場合で,大学の学位授与権を持たない教育プログラムなりをアウトソーシングで単位認定することの問題点等についてはほぼ問題の整理が終わっていると思うのですけれども,海外の展開の場合をどう扱うのか。海外の場合は,取ってきた単位等の成果をどう認めるのかという原則とかアプローチがないと非常にまずいかと思うのです。その辺りどういうふうに情報収集なり今後検討する方向性をお持ちなのかを伺いたい。海外展開をこれからしていかなければいけないという日本の大学にとっては,その部分はより把握困難かつ原則が難しいと思うので,お尋ねしたいと思います。
【鈴木主査】  いかがでしょうか。
 お願いします。
【高井大学振興課課長補佐】  今回は確かに国内といったことも含めて,いわゆる単位互換制度の考え方の整理をしていて,具体的に海外展開をしたときに新しい組織づくりを含めてどういったものかということを入れてはいないんですが,基本的には海外についてもやはり最終的に単位互換,単位認定の在り方は各大学の考え方の整理という部分もあるので,必修科目なのか,選択科目なのか,より自由なものなのか,その中でそれがどれだけ単位互換として認められるものかということは考えていかなければならないのかなというところはございます。確かに今後,海外について考えるときにまた考えていく部分ではあるかと思いますが,基本的には今回は,単位互換について,今まで割と曖昧模糊となっていた部分についての考え方の整理をさせていただいたというところでございます。
【濱名委員】  ということは,一応国内の単位互換を先に議論して,海外展開はまた別途検討するというふうに理解してよろしいでしょうか。
【高井大学振興課課長補佐】  今回の考え方の整理自体に,海外,国内と明確に分けているわけではございません。基本的にはこういった考え方の整理を頭の中で持ちながら,海外であっても,国内であっても単位互換を考えていただくということは考えているところでございます。基本的にはそういった考え方にのっとっていて,あとは,海外展開についてまた別のいろいろな議論がある中で,ほかの制度なんかも作っていく中ではまた別の議論もあるかもしれませんが,基本的には単位互換については,これを海外,国内と分けているわけではございません。
【濱名委員】  とりあえず。
【鈴木主査】  とりあえずよろしいですか。ではまたどうぞ。
 本郷委員,どうぞ。
【本郷委員】  今の濱名委員の御質問に関連するんですけれども,12ページのところに,単位互換を行うに当たって,大学の単位やそれに基づく学位の信頼性,その上のところ,教職の課程認定,この問題が当該資格を管轄する組織によって基準が云々とございます。実は海外との関係云々ということで非常に懸念しておりますのは,以前にもあるところでもお話し申し上げましたけれども,例えば英語の教員の資格を取るときに,留学すると絶対取れない。留年は余儀なくされる。今のシステム上そうなっています。これだけ国際性あるいは4技能の充実ということが声高に叫ばれながら,実際に留学体験のない者しか4年で教職は取れないというのは非常におかしな話で,ところが,その点については,厳格に教職の課程を履修すればするほど,絶対に留学はできないということになっています。この辺りも視野に入れて今後やっぱり改革していかないと,ただ単に国内の単位互換の問題だけではとどまらない問題が必ず出てくると思いますので,ちょっと一言。
【鈴木主査】  よろしゅうございますか。何かこれについて,よろしいですね。
 そのほかいかがでしょうか。
 川嶋委員,どうぞ。
【川嶋委員】  ありがとうございます。こういう提案というか,出てきた背景がいまひとつ理解できないんですが,まず一つ,先ほどの留学の件については,交換協定を結んだ大学に学生が休学して留学してきて取ってきた単位をどう認めるかというのは,各大学でいろいろ工夫はしているところなので,おっしゃるように,海外での学修の成果を持ち帰ってきたときにどのように認定するかというのは重要な課題かとは思うんですが,単位互換制度の在り方を整理するという必要があるという,その背景というのは何があるんだろうというのが非常にいまひとつ私は理解できないということです。
 あと,何ページでしたっけ,こうやって在り方を,必修科目,選択科目,自由科目というふうに整理していただいて,これを大学に示すことは別に有益なことかもしれませんが,それだけだったら,わざわざ中教審のこの部会で時間を取って議論するほどのことなのかな,この先には何があるんだろうというふうに私ちょっと疑問に思うんですけれども,ここで議論した後,どういう扱いをされようと思っているのか,事務局の方から少しお聞きしたいと。
【高井大学振興課課長補佐】  単位互換制度のいろいろな解釈の幅があるということで,先ほどその考え方の整理を一度お示しして,様々な単位互換をしっかりやっていただくということも考えている一方で,また,最後のページのところで,15ページでございますが,こういった単位互換の話,最初のページにもございましたが,大学の連携,コンソーシアムや様々な連携の在り方,あるいは新しい大学等連携推進法人が出来ていく中で,どういった単位互換の在り方があり得るかということが一つの議題になってまいりますので,そういった議論にも今後つなげていくということで,これは引き続き検討していくという話を書かせていただいておりますが,そういったことの検討の入り口としてもお話をさせていただいたということでございます。
【川嶋委員】  もう一点。
【鈴木主査】  どうぞ。
【川嶋委員】  前にも何かのときに発言させて……,基本的にはそれぞれDP,CPがあるので,今日資料でお示しされたように,単位を互換するにしても,やはりそれぞれのDP,CPに適応する場合に限り認めるということが原理原則かと思いますが,今後,大学連携を強化するに当たって,そうすると,それぞれの大学の教育理念とかDP,CPというのはどういう位置付けになっていくのか。つまり,レゴブロックみたいに組み合わせというのを考えていくのか,あるいはもう少しモジュール化してそれぞれ組み合わせということを考えていくのか。しかし一方で,大学の独自の理念があるので,その辺の整理を是非していただきたいということです。
 それから,現状についていうと,やはり単位互換をするためには,もうほぼ100%の大学が実施していると思いますけれども,ナンバリングということですね。分野と内容の水準をより一層明確に分かるような形での情報公開をより一層進めた上でこういう単位互換制度をより一層推進するというふうにしておかないと,今でも相手のシラバスを取り寄せたり,いろいろ見てはいるんですけれども,やっぱり少し効率的な仕組みを今後構築していく必要があるのではないかなという,以上2点です。
【鈴木主査】  ありがとうございます。
 前田委員,どうぞ。
【前田委員】  私も同じようなことを感じていて,なぜ今この時期にと思いました。もう一つは,既修得単位も60単位まで認定できるわけで,単位互換だけがぽんと出てくるというと,確かにいろいろなところと連携していくことが重要になってくるかもしれないですが,既修得単位認定の関係でバランスが悪いと感じました。
 あと,認証評価の際には,単位互換も,既修得単位もほとんど見ていません。もしかしたらデータを出してもらえば,たくさんやっているところにはそこから一歩先に入ってみることができるかもしれませんが,これは一方的に言った切りで終わってしまうのではないかという気もします。以上です。
【鈴木主査】  いかがですか。よろしいですか。
 では,美馬委員,それで,濱名委員ということでお願いします。
【美馬委員】  簡単な質問です。これ,今なぜここで出てきているのかというのは,今日の議題2とどう関係してくるのでしょうか。多分それがあって,単位互換制度と連携推進法人ということ,これが並んでいるのではないかと思うのです。
【高井大学振興課課長補佐】  後ほど説明がある資料2の方で,大学等連携推進法人ということで例えば国公私を通じた連携の在り方を模索していくということがございます。そのときに,国公私でいろいろな資源を活用しながらよりよい学修をしていくということが目標になってまいりますので,その場合の単位互換の在り方が一般的な単位互換の在り方とはまた別にいろいろな形で検討ができるのではないかということです。それはもちろん教学管理体制を整え,成績評価がきちんとできるといったことも含めて考えていかなければならない話ですので,今すぐどういう案ということではなくて,引き続き検討してまいるということは書いているんですが,大学等連携推進法人を形作っていく中で,それでは,授業の在り方をどうしていくかということの議題の入り口ということでございます。
【鈴木主査】  よろしゅうございますか。
 濱名委員,どうぞ。
【濱名委員】  いろいろ御発言を聞いていますと,やはり,まず単位互換という言葉の議論なのか,あるいは学位の認定条件の中で他大学修得単位をどう扱っていくのかというのと,それを問題として重ねようとするとかなり無理があると感じます。例えば入学前の既修得単位60単位というのを考えると,多くの大学は,卒業要件単位上の必修単位数が60単位以下の大学は今,実は少ないのですね。要するに,現行の編入学等の制度ともう多分制度的に合わないのです。
 現在,編入学制度はかなり多岐にわたって,それこそ専修学校からでも編入学を認めている状態の中で,その単位は何なのかといった場合に,ここで言われている単位互換のスキームとは全然異質なものが入ってくるわけです。入学後の単位互換の場合は,確かに株式会社立の大学等の問題で指摘された,アウトソーシングで資格の取得を目的としている専門学校の科目をそのまま自大学のものと認定しているから問題だという話になったわけで,問題を,単位互換という話と学位の構成条件としての話は一緒にすると,話は多分かみ合わなくなるだろうと思うのです。
 それで,海外展開等の話というのは,やはり今までの編入学等の話と同じで,学位の国際的な,いわば他国の学位を認める形で文科省も条約を批准されたとたしか聞いていますけれども,そういう問題と,国内のドメスティックに複数の大学の中での科目をどう認定するかという話を同じ次元で議論すると,多分矛盾が出てきて議論が進まなくなると思います。
 ここのところは,在学中の他大学との,国内の大学との交換ということにほぼ限定して議論だったらできると思うのですけれども,そうでないと,もっと大きな問題で,例えば文科省がよその国で取ってきた単位のウエート付けの一覧を把握しておられるのかということすら僕はよく分からないのですね。つまり,国によって単位制度が違うわけですから,その単位制度について,何をリファレンスすればいいのかもわからない。各大学が,協定及び,学生が個別で休学して行ってきたものについて把握し,協定を結んでいない大学の単位制度については,現状としては各大学が調べなければいけないという形になるわけです。
 やっぱりそういう問題を置いておいて,申し訳ないですけれども,かなりディテールの国内大学との単位互換だけに焦点を絞ってやるというのは皆さんが違和感を感じるのも無理がないところだと思うので,その辺については,今日どこまで議論するのかということと,今後どういう整理をしていかれようとしているのかというところについて,やはり明確にしていただければと思いますが,いかがでしょうか。
【鈴木主査】  どうでしょうか。
 課長,お願いします。
【三浦大学振興課長】  次の議題との関係性において何か明確な意図があるのかというと,そんなにあるわけではないんです。むしろ今までこのワーキングでいろいろ御議論いただいております成績の可視化だとか,学位プログラムとか,ナンバリングとか,GPAとか,むしろその一体の中でこの単位互換の話も全部関係している話だと思っています。ただ,今,ワーキンググループを,回数を順序よくこなしていく上で,今日は単位互換について整理をさせていただいたと。
 個別についていえば,むしろ我々として,19年だったですかね,通知を受けて,かなり厳格な対応をしています。お問い合わせがあったときに,自ら開設という部分についてかなり厳しく御回答しているようなこともあるものですから,実質,コンソーシアムみたいなものが各地区で進められている中で,かなりばらつきもある。むしろ文科省に詳しく聞いていただいたところの運用がかなり厳密になっているというようなこともあったりするものですから,もう一度,本件についてもきちんと整理をしたいと。
 海外との関係性についても御質問ありましたけれども,もちろん今,高井の方から申し上げたとおり,基本的な考え方は海外の大学との関係についても同じですが,また様々な,海外の大学との固有の問題もあるでしょうから,だから,今度,日本の学生が海外に行くときに,日本の大学はGPAもきちんとないので認めてもらえないとか,そういった行ったり来たりの関係も,また海外展開という中ではきちんと整理をさせていただきたいとは思っていますが,何で今日これだけ特に取り上げて御議論いただくかということが我々として何か特別の位置があるということではない。うまく言いたいことが伝わったかどうか分かりませんけれども,そういうふうに思っています。
【鈴木主査】  ありがとうございます。
 そのほかいかがでしょうか。どうぞ。
【濱名委員】  一つだけやっぱり明確にしておいた方がいいと思うのは,ICT活用についてはちゃんと方向性をはっきりしておいた方がいいと思うのです。多分,サテライトキャンパスについての議論の中で,設置審査の中でも数々問題になってきたと思うのです。サテライトの場合には,そこに質問に対応できるような助手とか助教等以上の人間が配置されているかどうかで新設のときには審査をしています。海外とも国内とも関係してくるのは,ICTを活用してやっていく場合には,協定している大学の同じような内容の科目についてはどうするのか。やっぱりICT活用をしたものについての単位互換をどうするのかということは,早急に明確にしておく必要があるのではないかと思います。これは国内外を問わず,要件をしっかりしておいた方がいいというところはお願いしておきたいと思います。
【三浦大学振興課長】  御指摘のとおりで,こういう場合ならいい,こういう場合なら悪いというのは通知のレベルでは整理はしているんですが,日々様々な技術革新とかもありますし,今のお話は,他大学との関係もありますけれども,自大学の二つ以上のキャンパスの中でどうするんだとか,サテライトとの関係どうするんだとか,様々ございますので,それはいずれかの段階できちんと定義することが可能か,それがふさわしいのかということも含めてまた御議論いただければありがたいと思います。
【鈴木主査】  そのほかいかがでしょうか。
 金子先生,お願いします。
【金子委員】  これ自体は別にこういうのはいいんじゃないかと思うんですけれども,今,60単位まで認めるということについて原則がないのがおかしいのではっきりさせるということ,それで結構ですが,問題はむしろ大学間連携というのをどの程度まで実質的なものとして認めるという方向に持っていくのかということだと思うんです。1法人の中に入れるということは何かメリットがなければできないので,何がメリットになるのか。それは経営資源の共有だけではないと思うんです。むしろ教育上の資源についてどの程度共有することができるかということで,メリットがあるとすれば,そこなんですね。
 そうすると,自ら開設の原則というのはどの程度厳しく求めるべきなのかという問題が生じてきて,例えば端的に言えば,国立大学でも医学部が外れたところにある場合,別なところにある場合には,一般教育科目を取れないので,近隣の私立大学での教育科目を取るというような場合があり得るわけです。そうすると,これは大学全体としては自ら開設かもしれないけれども,学部によってはその原則を満たしていないとも言えなくないわけです。それは一つの例で,実際もうそれはかなりやっていることだろうと思いますけれども,これから起こってくる連携の法人の場合に,どの程度自ら開設の義務を厳しく要求するのか。特に専門職大学はかなりこれをやるという要求はあるのではないかと思うんです。
 考え方によっては,自ら開設というのは,それは原則であるけれども,一定の部分は別にそれにこだわらなくてもいいじゃないかという議論もあり得るのではないかと思いますし,実際に多分起こってきているのは,そういう要求が起こってきているんじゃないかなと思うんです。ですから,単位を認めるというだけではなくて,もし連携というのをわざわざ積極的に言うのであれば,自ら開設の原則というのはどこが一番守るべきところなのかということははっきりしておいた方が,これから議論の余地があるだろうと思います。
 それからもう一つ,必修科目,選択科目,自由科目も,これは法令上はないんじゃないですか。ですから,これはかなり大学の……,あるんですか。設置基準にはないみたいですけど。
【高井大学振興課課長補佐】  設置基準上にございます。参照部分,後ろに載っておりますが,20条をごらんいただきますと,教育課程の編成方法のところで,教育課程は,各授業科目を必修科目,選択科目及び自由科目に分け,これを各年次に配当して編成するものとございます。
【金子委員】  すいません。でも,これはかなり大学によって自由に設定することはあり得るわけで,今言ったように,やはり大学が一つの大学というときにどこまで完備しなければいけないのかということはそのうち考えなければいけないんじゃないかと思います。連携というものがやっぱり重要だとするのであれば,それで,実際にそれをしようとする動きが非常に強くなってきているのだとすれば,それをどの程度容認するのかということは考えなければいけないのではないかと思います。
【鈴木主査】  課長,どうぞお願いします。
【三浦大学振興課長】  度々恐縮です。まさに御指摘のとおりだと思っています。次の議題との関係もありますし,一方で,国立大学の1法人複数大学というような議論も出ております。ただ一方で,公立大学法人では既にそういうものもありますし,私立では1法人複数大学が既にある中で,新しく制度化しようとするものについて,どのくらいまで1大学とみなせるような部分があるのかということについて御議論を頂きたいと思っていますが,ある意味その前提として,この自ら開設の部分については,やっぱり授業の豊富化という観点はあるんだけれども,まさに最低限,卒業に,修了に必要な単位は自大学開設という,そこは揺るがない,ゆるがせにはできないのではないかということでこの資料を作らせていただいたというふうに思っています。
【鈴木主査】  よろしゅうございますか。
 濱名委員,どうぞ。
【濱名委員】  度々で申し訳ありませんけれども,恐らく大学間連携の話とつなげて考えるとすると,先ほどのような遠隔とかの手法を入れないと難しいと思います。私はコンソーシアムひょうご神戸の理事をやって,教育連携委員長を長らくやって,今年やっと交代したのですけれども,その理由は何かというと,余りにも単位互換で学生が来ないのです。大学間を移動して受講しないのです。
 というのは,昔と比べて出席等も各大学がうるさくなっていますから,京都の話は本郷委員に伺った方が分かるかと思うのですけれども,他大学に行かないのです。だから,自ら開設しようがしまいが,他大学に行こうとすると,これは地方に行けば行くほど,連携法人で整理しなければいけないエリアになると,大学同士離れているのです。だから,他大学へ行って取れればいいと言いながら,現実には,遠隔教育とかICTを使ってどこまでの範囲を認めるかということとセットで考えないと,今どきの学生は真面目ですから,ある意味で,自大学の授業を受講しないで他大学へ行こうとしていないのに,なおかつ,自大学開設じゃなくて他大学で物理的に取れるという話になったところで,現実にはアクションを起こせないわけです。
 振興課はコンソーシアムの所管課だと思うので,今,大体,大学間の単位互換の協定をやっている数は今日のデータで出ているのですけれども,現実にどの程度他大学まで取りに行っているのかという状況も把握していただいて,それがいかに難しい課題になってきているのか。私の知っている限り,以前よりも大学間の単位互換で他大学に受講する学生は減っているはずです。減っている状況の中で可能にするのはどうすればいいかということになってくると,定義もさることながら,技術論と条件的な整備をしていかないと,先ほど金子委員が言われた話の,どこまで認めるかということと,現実に学生たちの不利益にならないような大学連携法人化できるかどうかという技術論とはやっぱりうまく折り合いを付けていただく必要があるんじゃないかと思います。
【鈴木主査】  よろしいですか。
 三浦課長,どうぞ。
【三浦大学振興課長】  すいません,コンソーシアムの中で単位互換が進んでいきやすい,進んでいることがいいことだとか,進んでいないことが悪いことだとかということは一概に言えないと思いますが,進んでいるところというのは,やっぱりそれなりな工夫をしていると伺っています。そもそも授業時間を関係の大学で合わせたり,何曜日の午後はそういうものが積極的にできるような形でみんなで共同してカリキュラムを組もうみたいな取組をされているようなところもありますし,名ばかりコンソーシアムみたいなところもあるかもしれませんので,それは一概には言えないと思いますが,そういった積極的な取組を余り阻害しないような形で解釈をきちんと統一させたいと思っています。
【鈴木主査】  美馬委員,どうぞ。じゃ,美馬委員の次,小松審議官。
【美馬委員】  今の名ばかりコンソーシアムというのはとても失礼だと思います。本当に私たちも含め一所懸命やっています。
【三浦大学振興課長】  撤回します。すいません。
【美馬委員】  本学では今度9月に大学コンソーシアムの大会を開きます。濱名委員がおっしゃったように,開設しても,地方だと公共交通機関で行けないんです。車がないと。そもそも,コンソーシアムで組んでいて,短大とかいろいろ違う学部が入っていると,本当に毎週開設している科目に通うことはできない。だから,集中講義でやろうとしてワークショップ形式でとやっても,今度また,夏休みの位置付けとかいろいろな事情があって,とにかく本当に作っても来ないんです。行けないような状況が生まれている実態を是非とも把握していただきたいと思います。
【鈴木主査】  失礼しました。どうぞ,すいません,小松審議官,どうぞ。
【小松文部科学審議官】  ありがとうございます。今日のお話はまた後で整理もしていただかなければいけないと思うんですが,今日のお話の前に,10年とか20年とかさかのぼった全体の中での位置付けとの関係でちょっと申し上げさせていただきます。まず常に底流に流れておりますのが,大学というのは学位を出すところであって,大学というものが抽象的に存在していて,たまたま学位を出したり,それを独占しているのではなくて,学位を出す,自らの責任において学問の自由と大学の自治の中で学位を出すというものが大学でありますので,そこはしっかり守らなければいけないし,守っているということが世界的にも信用されるという基本なので,そこをどうするかということは常に議論の根底にあると思うんですけれども,それがいろいろな政府全体の政策の議論の中で様々な意見が出ます。
 それで,先ほど来お話があります,規制改革とか規制緩和とかいう方向の中で,それがまた大学が全然やらないで丸投げをしてしまうとか,半ば,学位あっせん業のようになってもいいのではないかとか,ディグリーミルのようになってもいいのではないか,事実上ペーパーカンパニー化するのではないかみたいな議論があって,そっちの方向への,そっちの方向へというのは言い過ぎですが,そういうことも懸念されるような議論が行われていた時期があったと。非常に激しい状況で行われていた。
 それに対して,大学制度を考える中ではそこはきちんとやるべきだということで,単位互換なども実質をきちんと担保するということは守るべきだということが打ち出されて,これは中教審でも議論していただきましたけれども,その結果として,今,非常に厳しくされている。そのことによって質を保とうとしているわけですが,今度は,技術革新とか,新しくいろいろな大学間連携というのが次の次元に来ている。外国との関係も国境も越えてきていることの中で,今のそのバランスをどこへ持っていくかというと,皆さん大学の方に我々も示せておりません。
 その中で実際の,例えば国内に限定してみますと,先ほど三つの,必修とか自由とか選択というのは設置基準にありますけれども,金子先生のおっしゃられたように,それをどう設定するかも結構大学によってバリエーションがあります。その中でどこまでの単位互換とかはできるのかということも,実はみんないろいろ,こうに違いないと思ってやってらっしゃるんですけれども,政府の方はどの程度そこができるのかというのもその後うまく示せていないという状態でありますので,これはこれで整理をさせていただきたいということは考えております。
 以上の中で,ICTとの関係,それから,海外との関係,そして,単位互換にとどまらない学位の構成要件の関係,今日はそういったところをいろいろ御指摘を頂いたと思いますので,それらの整理と,これはこれで非常に重要なお話だというか,これはこれでというか,それが重要なんだと思いますので,今後議論していただくということといたしまして,今のそういった,実際,現実問題としてその前に単位そのものもどう考えるかということについては,様々な解釈やお問い合わせに対して,我々は10年前,20年前のそういった議論,大学としての本質の問題と,どれだけ緩やかにするかということがはっきりしなくなっている面がありますので,そこはそこで,今日御提案させていただいたことも含めて併せて御議論いただきたいと思いますが,全部が出来ないと全てできないということになるとなかなか進まないので,技術論的なところと,今そういった全体との中で整理を一歩ずつ進めていただくということができれば非常にありがたいと思います。
 ちょっと長くなりましたけれども,立ち位置がさっきから御議論になっていますので,こんなふうに考えている,あるいは背景はこうだということをちょっと御説明したいと思いました。
【鈴木主査】  ありがとうございます。
 本郷委員,それから,溝上委員,このお二人でこのセクションというか,このパートは終了させていただきたいと思います。
【本郷委員】  先ほど少し濱名委員の方がおっしゃられましたように,京都は地理的要件が恵まれていることもあって,御承知のとおり,20年ほど前からコンソーシアムを本格的に展開して,しかも京都の駅前に京都市の方から提供していただいた場所で共通科目を開講するという,当初の頃は非常に幅広い学びの保証ということでそれなりに活況を呈したときがあったんですけれども,近年は,御承知おきのとおり,やはり開講条件の厳格化に伴って,先ほど濱名委員御指摘されたように,実質的に自分のキャンパスを離れられない。やはりそれだけの時間的余裕がないということで,他地域に比べて地理的に恵まれているにもかかわらず,やっぱりなかなか,特に対面システム,座学の授業を展開するのは難しい状況になっています。ですから,互換ということに加えて,また新たなそういった課題,仮に単位互換の問題が大学間で共通認識が持たれてうまく機能したとしても,なかなか現行のシステムでは難しいところがあって,やっぱりICTその他なんかの方法を,ツールを考えないとちょっと難しいのかなというような感があります。
 以上でございます。
【鈴木主査】  ありがとうございます。
 溝上委員,どうぞ。
【溝上委員】  いろいろ議論しておきたいということだと理解しましたので,出ていないことで1点だけ加えたいと思うんですが,皆様おっしゃられているように,単位互換,それ自体の議論と,学位ベースに絡む単位互換の議論,これは大分トーンが違うと思いますので,それを踏まえた上でなんですけれども,単位互換を実際進めていく上での,学生がなかなか移動とか受講が十分にできないという問題とか当然あると思うんですけれども,それを踏まえても,学位ベースとなってくると,成績の基準とか厳格化とか,学位に合わせて求めていく辺りなんかがやっぱりもっと問われてくるんだと思うんです。
 前田先生おっしゃったように,どこで見ていくかということはあると思うんですけれども,学位とか認証評価とか大きく見ていくときに,単位制度がどう影響しているのかという,見ていく構造がないと思うんです。自前の大学でオーケーと言うからオーケーになっていくんだと最後は思うんですけれども,ただ,いわゆる単なる単位制度ではなくて,学位につながっていくということになっていくと,ある程度水準をそろえて単位制度に基づく授業を運営していくにしても,基準が違いますよね。そういうことも何かどこかにちょっと言及しておく必要があるのではないかなと思います。これは意見です。
【鈴木主査】  ありがとうございました。まだまだ御意見おありかと思いますけれども,本日の御意見を踏まえまして今後の議論を深めていきたいと思いますので,よろしくお願いします。
 続きまして,大学等連携推進法人の制度設計についてです。将来構想部会では,国公私の設置形態の枠組みを超えて,大学等の機能の分担及び教育研究や事務の連携を進めるなど,各大学の強みを生かした連携を可能にする制度である大学等連携推進法人(仮称)の制度設計について議論がなされております。本日は,大学等連携推進法人(仮称)のイメージについて,事務局が準備いたしました資料を説明していただき,委員の皆様から御意見を頂戴したいと思いますので,事務局から資料2について御説明をお願いいたします。
【石橋高等教育政策室長】  失礼いたします。資料2をごらんいただければと思います。今も議論いただいてきましたけれども,特に地域においてどういうふうな連携を進めていくかというときに,どういう仕掛けができるのかというところが将来構想部会でほぼ1年前ぐらいの話になりますけれども,29年8月23日にまずその議題が出たというのが経緯でございます。
 当初は,やはり18歳人口が減少することを踏まえたときに,地域においてどれだけ質の高い高等教育やその機会を確保できるのかということを検討しなければならないというところでございますが,特に我が国の場合は,国公私それぞれの設置形態がきちんとございまして,それぞれでやっていただいている部分ではございますけれども,今後20年,2040年ということを見ていきますと,そのときにどういう形の高等教育の機会の提供があり得るのかというところが議論の出発点となっております。特に,今御議論いただきましたようなICTの活用なども,現在テクノロジーも発達してきておりますので,その段階の教育の提供の仕方というものを連携というキーワードで考えたときにどうあるべきかというところでございます。
 1ページ目のところで赤字にしておりますけれども,御案内のとおり,国公私それぞれの設置形態別の制度,それから,予算の支援の仕組みになっているというのが我が国の状況でございますから,もしどこかの大学同士が統合しようと思うと,どこかの形態になるというのが今の状況ということではございますので,当然,国公私を通じて統合するという仕組みはないということを書いております。
 ただ,国公私の統合ということに一足飛びに行くよりもやはり緩やかな連携の仕方があるのではないかということで,2ページ目でございますけれども,これは4月に入りまして,連携方策の一つとして,この大学等連携推進法人(仮称)を将来構想部会において提示をさせていただいたというところでございます。
 この議論の前提としましては,昨年12月の「今後の高等教育の将来像の提示に向けた論点整理」でも触れておりますけれども,地域の高等教育機関が,産業界や地方公共団体,それから,地域の自治体,学んでいる方々等も踏まえまして,具体的な高等教育の地域連携の在り方を考えるなり,高等教育の提供の在り方を考える地域連携プラットフォーム(仮称)を考えるべきではないかと。これはどちらかというと議論をする場になりますので,さらにそこでの議論の中で,国公私を超えた連携の仕方を考える必要が出てくるとすれば,この連携推進法人のイメージが使えるのではないかと御提示させていただいたものでございます。
 小さな図で恐縮ですけれども,これは非常に緩やかな仕組みでございまして,国公私を統合するというものではございません。ここに書いてありますように,連携推進法人は,一般社団法人の形で今,御提案としては考えておりますので,今も作ろうと思えば作ることができる仕組みでございます。ここに社員として,国立大学法人Aであったり,学校法人Bであったり,公立大学法人Cであったりという,こういうところが御参加いただくというところで,社員総会をする,若しくは理事・監事を置く,それから,大学等連携推進評議会といって,ここには学識経験者の方,地方公共団体の関係者,産業界,学生代表等に入っていただいて,具体的に法人で何を連携するのかということを決めていただき,それに基づいて各大学がそれぞれ実施をしていただくという,そういう非常に緩やかなものでございます。
 今の一般社団法人ですぐ作れるということと何を変えるかといいますと,右側に文部科学大臣の認定,認定の取り消しということを書いておりますけれども,何か規制緩和的なインセンティブ,先ほど金子委員からも御指摘頂きましたような,どういう資源の共有化ができるのかということ,それをもしやりたいということであれば,この認定ということを掛けて質の保証等を確保しながらさせていただけないかということで御提案をさせていただいたものでございます。これは,3ページでございますが,中間まとめに書かせていただいたところでございます。
 それから,めくっていただきまして,4ページにも,先ほど申し上げましたように,地域連携プラットフォーム(仮称)の件も書かせていただいているところでございます。
 では,何が規制緩和としてあり得るのかということで,まだ議論をこれからしていただきたいなと思っておりますので非常に大枠という形で書かせていただいておりますけれども,5ページ目でございます。まさに今御議論いただいてきました単位互換に関連してすべての科目を自大学で開設する「自ら開設」について,全ての大学に対して,教育課程上の位置付けに応じた単位認定の基準と方法を明確にするなどして,教育の豊富化等の観点から運用を拡大することができるのかという点が1点目。その際この連携推進法人をうまく活用していただくということで,教学管理体制や学修成果の見える化,情報公表などは当然必要でございますけれども,合同授業のような運用を考えることはできないかというところをまずの御提案として書かせていただいているところでございます。
 6ページ目は,設置基準の省令の施行についてで書かせていただきました,授業科目の開設についての参考を書かせていただいております。
 7ページ目は,まさに大学等連携推進法人を認定する際にどういう仕組みにしておく必要があるのかというところでございます。8ページ目に実は,参考にしました地域医療連携推進法人という厚労省の特に病院と一緒に連携していくというような仕組みがありまして,この認定の基準を参考までに書かせていただいております。これは非常に細かいことが書いてありますが,7ページ目に戻っていただきまして,主たる目的とか,実際それができるだけの経営的基礎があるかとか,何を連携するのかというのを明確にしていただく。それから,ガバナンスをきちんとしていただくようなことを踏まえた上で,先ほど申し上げました質保証の観点では,情報公表や,どういうふうな形で単位を,学修成果の可視化とか教学管理体制をどう整えているかということも踏まえまして,自ら開設などの設置基準の緩和が検討できないかということで,少し御議論いただければと思っております。
 説明は以上でございます。
【鈴木主査】  ありがとうございます。それでは,ただいまの事務局の説明や資料を踏まえまして,御意見,御質問がございましたら,承りたいと思います。お願いいたします。
 濱名委員,どうぞ。
【濱名委員】  結局やっぱり聞かなきゃいけなくなるのですが,5ページ目に合同授業というものが出てきますが,合同授業というのはどういうイメージなのでしょうか。先ほどの議論との関係でいうと,ICTを活用したような形での授業を想定しておられるのか,あるいはどこか1か所にまとめてやることを考えておられるのか。その辺,アイデアが具体的にあるのか,それとも,一応フレームワークとしてそういうことを考えているという段階なのか,その辺のところを教えていただけますか。
【高井大学振興課課長補佐】  現状としては,おっしゃっているとおり,どういう形でやるかということではなくて,フレームとしてどういうものを整備していくかということを検討している段階でございます。
【濱名委員】  そうすると,やっぱり先ほどのあれじゃないですけれども,これまで本郷委員も御指摘になられたところと併せて,ICT活用とかそこらについては,新設の場合と,こういう大学連携推進の中でどうやっていくかということ等について,これは一まとまりの束として具体的に考えているところを整理していただければありがたいと思います。
【鈴木主査】  どうぞ。
【義本高等教育局長】  今,高井補佐が申し上げたとおりなんですけれども,逆にこれは器なものですから,これを使ってよりメリットを出すためにはどういう形がいいのかどうかについての積極的な御提案なりがあれば,それをベースにして議論を進めるということもあるでしょうし,今,濱名委員がおっしゃったように,例えば参加するところで共通のプラットフォームを作って,ICTを使って授業を配信するようなものを構成してやっていくやり方もあれば,あるいは有力な大学で科目を合同授業という形でそこで配信してやっていくということもあるでしょうし,ですから,器をどういう形にすれば,このメリットを生かせるような形でのシェアリングが進んでいくかという議論を逆に頂ければ,我々としてはありがたいなと思っております。
【鈴木主査】  ありがとうございます。
 日比谷委員,どうぞ。
【日比谷委員】  ありがとうございます。同じく5ページの一番最初の丸の後ろなんですけれども,「教育の豊富化等の観点から運用が拡大する方向を目指してはどうか」と,これが余りよく意味が分からないんですが,教育の豊富化というのはどういうことをイメージしていらっしゃるんでしょうか。
【高井大学振興課課長補佐】  これは先ほどの単位互換の説明の部分につながるんですが,いわゆるいろいろな科目をいろいろな大学で開設をされていると。それは必ずしも自大学,自分の大学で開設し切れないようなすごく面白い科目もあったりするという中で,学生が自大学に限らずいろいろなところで科目を取りに行けるということは,学修の充実・豊富化につながっていくのではないかということでの表現になります。
【日比谷委員】  そうすると,基本的には科目のバラエティーのことを指しているという理解をすればいいですか。
【高井大学振興課課長補佐】  はい。
【鈴木主査】  そのほかいかがでしょうか。
 上田委員,どうぞ。
【上田委員】  人口が減少するという意味もありますけれども,やはり社会に対応した大学になっていくという意味でも,こうしたものが積極的に推進されるというのは必要なことなんじゃないかなと思っています。例えばうちの大学なんかにしても,もうちょっとどこかの大学の家政学部みたいなところと合体して,よりICTとかIoTのところをやっておきたいといったようなときに,中で作るというよりも,こういった連携が進められていけば,より多様な研究分野,教育分野を確保できるという意味では,大学を強靭化していくという意味でも非常に重要なんじゃないかなと思います。
 ただ,こうしたものが出来たときに,誰がどういうふうに認定するのかということを伺いたい。その話に戻ってしまうと嫌だなと思われると思うんですけれども,さっき最初に小松審議官からおわびがありましたけれども,あの収賄事件に関しては,本当に大学全体ががっくりというか,もう何か,何のために俺たちこんな物すごい書類を書いていて,大学の中で合意を取って,もうブラックになりながら夜遅くまでメールでやりとりをしながら書類を書いて,一つ一つに応募して認定を取るということを,それは大学の利益だけではなくて,我々の大学が何かやっていることが日本の教育を本当に上げていくことになるし,この日本を変えていくんだという,物すごく高いモラールで改革を進めていたところです。
 それでまたこういうものが出来てきて,また書類を書いたりして,それがよりよきものを作っていくんだという,その意識が我々の勤勉さとか我々のチャレンジを支えているわけで,ああいう事件が起こって,これ,立件されて有罪になるかどうかも分かりませんので,陰謀説もささやかれているところですし,本当にそういう事件があったのかなかったのかということは,あるかないかはまだ分からない。あったにしても,当該の局長の個人的なものなのか,あるいは組織的にそういったものがもう氷山の一角で繰り返されてきて,何か局長に利益を誘導すれば全てのものが通ってしまうということが時々何年に1回かは起こっていたのかどうなのかというのが分からない。全て分からないんですけれども,やっぱりそういう物すごく大きな社会からの疑念,疑惑があって,我々,教育をよくしていこうというふうに思っているんですけれども,結局そういうのってそういうところで決まっているんでしょうと社会の人からも見られて,何か本当にがっくりきてしまったというところが物すごくあります。
 この議題でそれを持ち出してこうるというのはどうなの,大人げないでしょう,粛々とこの議論だけやれよというのはあるかもしれませんけれども,やっぱり大学の中で教員も職員も本当にあれだし,中教審にもし出てくるんだったら,どういうふうに文科省の方々がそのことに関しておっしゃったのか,あるいは文科省,これだけ大学にコンプライアンスとガバナンスが求められているところで,疑惑が生じてああいう報道があった,なおかつ逮捕までされているということは,それが有罪になるにせよ,無罪になるにせよ,やっぱり何かすごい脇の甘さがあるわけです。大学でそれが起こったら,我々執行部は大変なことになってしまう。
 今後のやっぱりコンプライアンスとかガバナンスが文科省のところにどうあって,例えばこういう制度が出来て,これは大変いいことだと思いますけれども,それがどのように認定され,どのような方向で進められていくのかということに対して,やっぱり大枠の信頼みたいなものを回復していただかないと,何か非常に不透明なまま,そしてまた,こういった大学の経営が関わるという非常に重要なところが,また何か闇の中でというような疑惑を持たれたままやってしまうということが,非常にいいことをやろうとしているのに残念な気がするんです。そこら辺の認定のやり方とか,あるいはそこら辺というのは一体どうなっているのかということを伺いたいところがあります。
【鈴木主査】  審議官,どうぞ。
【小松文部科学審議官】  その話題を座ったままお答えすること自体が私としてははばかられるところですが,審議の場ですので,失礼してこのまま応答させていただきたいと思います。
 まず冒頭に,この審議が始まります前に発言をお時間ない中で求めさせていただきましたのは,今おっしゃられる問題意識からでございます。法令的にいえば,今現在は捜査中ということですので,私どもとしては,何が起こっていて,何が起こっていないのかということについては,捜査に全面的に協力して明らかにしていくというところから始めなければなりません。
 しかしながら,その一方で,今おっしゃられるように,そうした事態が,確かめなければいけないような事態が非常に大きな形で起こっているという自体について,私どもとしては大変申し訳なく思っていますし,それをどうやって信頼回復するかということは必ず強く求められることだと思っております。また,それが明らかになった時点で,それに基づいてきちんとした対応,適切な対応,厳正な対応をしていかなければいけないと考えております。ただ,個別の案件について,今捜査が進んでいる中で私どもから発言できることも限られておりますので,その点は御了解いただきたいと思います。
 それからもう一つは,氷山の一角であるとか,ずっとそういうことが仕組みとして起こっているのではないかということを疑われるということも,現実にこういうことが生じている以上それは私どもがどう思ってもやむを得ないことであって,それについてきちんとした対応をする必要があると思います。事実関係もそうですし,それから,そういうことが起こらないように,きちんと皆さんが安心できるような形を証明していくということも必要だと思っております。それはまた過去からの検証と今後の検証ですが,この点については,大臣の方から,内部のことですので,外部の方にお願いをして徹底的に検証を進めるということになっております。
 ここから先は一般論で申し上げさせていただきますが,こうした事件が文部科学省との関係で起こったことというのは,今回のような形で起こったことというのは,私どもの知る限りではありません。ただし,世の中で有力な地位に就いていらっしゃる方との関係でそうした疑惑が持たれたという事件は,文部科学省の事業とかとは関係なく,そういうことが起こったことがあります。六,七年前でしょうか。その案件を境にして,各大学や関係者の間でもそれが防止されるような一般的なルールは相当厳しくなっていて,その後は一度も私ども経験ございませんけれども,今回そういう疑われる事態が起きているということです。これがまず一般論です。
 それからもう一つは,今回問題になっている事業についていえば,その方式は,複数のそれぞれ独立,お互いに交通のないペーパーレフェリーがそれぞれの評価をして,それを上げたものを合議制の中で議論をして,そして,採択を合議で決めた後は,なぜ採択したかということもコメントを出すという形で行われておりますので,一般論としていえば,そういったことが軽々に起こるということは,誰がやってもなかなか考えにくいような体制は取られております。そういったことも点検した上で,どういうことが起こっているのか,起こっていないのかきちんと整理をして,社会的にも御説明する必要があると思います。
 こういったことにつきまして,私どもとしても十分真剣に全力を挙げて対応するということを改めてこの場で申し上げまして,その上で,今,行政課題となっております審議をお願いしている事柄についても,私どもの対応を見守っていただきながらということになりますけれども,御意見,御議論等を賜ることを是非とも私どもとしてもお願いしたいと思っております。
 長くなりましたが,以上でございます。
【鈴木主査】  ありがとうございます。
 どうぞ,川嶋委員。
【川嶋委員】  少し確認したいんですが,先ほどから質問が出ている5ページのところで,一つ目の白丸は,先ほど日比谷委員の方から,豊富化というところは,要するに,124プラスアルファのところということで,先ほどの,もう一つ前の審議事項の設置基準19条で,卒業に必要な124単位だけで終わるんじゃなくて,プラスアルファを各大学は提供しなければいけないというところのプラスアルファのところについて認めるというか,そこに関わることだと思います。
 二つ目の丸の合同授業ということについては,教育の豊富化等の観点からという,124プラスのところは,既にこういう連携法人がなくても,例えば関西の三つの教育大の間で教養教育の共有とか,あと,京都市内の府立大とか3大学の教養教育機構とか既にあるんですね。ですから,この一つ目の丸のところは,必ずしも連携法人を作らなくても,現行の枠組みの中でできるということかと私は理解しているんですが,それで,結局,二つ目の合同事業というところが,設置基準19条のどういう位置付けになるかによって,連携法人のメリットが随分変わってくると思うんです。先ほどの1のところの議題に出ていた専任教員の考え方で,一の大学の専任教員という今の考え方がある中で,今後いろいろな教育資源の共有・活用ということからいくと,124単位内のところも連携法人を作ることによって認めていくという方向になるのか,今現状でもいいんですけれども,その辺りの認識を御確認したいんですけれども,いかがでしょう。
【鈴木主査】  どうぞ。
【高井大学振興課課長補佐】  今おっしゃったとおり,丸の1については,連携推進法人にかかわらずあらゆる大学でといったところでございます。
 丸の2のところで,合同授業がどのような形でというのは,書いているとおり,現状,検討中ということで,確かにおっしゃるとおりでは,連携法人になったときに専任教員の扱いをどうしていくかとか,授業について,例えばおっしゃるとおり,合同授業ということでもう一つのところで認めるのかといったことも含めて,これは現在検討中ということでまた議論させていただければと思います。
【鈴木主査】  川嶋委員,よろしいですか。
【川嶋委員】  はい。
【鈴木主査】  それでは,小林委員,美馬委員でお願いします。
【小林主査代理】  先ほどの上田委員の質問にまだお答えになっていないと思うのですけれども,多分質問は認定をどういうふうにするかということだったと思います。認定といってもいろいろなやり方がありまして,ここで文部科学大臣が認定する形で書いてありますけれども,例えば文部科学省の中だけで行われる場合もありますし,大学設置審のような審査会を作るような場合もありますし,その辺りのことについてもう少し説明していただけますか。
【鈴木主査】  どうぞ。
【石橋高等教育政策室長】  ありがとうございます。もちろん御議論を経た上でとは思っておりますけれども,原案というか事務局の考え方としては,別に審査会というか,認定のための委員会を作っていただきまして有識者の方に入っていただいて,やはりこれまでの連携の様々な知識の蓄積というかノウハウの蓄積もありますので,それを踏まえた上で認定に向けてのプロセスを踏んで,結果的には最終的には文部科学大臣が認定するという仕組みを御提案としては考えておるところでございます。
【鈴木主査】  美馬委員,どうぞ。
【美馬委員】  今回のこの連携推進法人の制度ということで出てきましたが,ここに書いてある目的とか背景はとてもいいことが書いてあるように思います。しかし,地方に暮らしていますと,背後に何か意図があるのではないかとどうしても思いたくなります。それは例えばこうやって人口が減っていく中で,いろいろな大学が今ありますが,結局それをクラッシュランディングさせないで,ハードランディングなのか,ソフトランディングなのか,そのための何か仕組みであるというふうに思わざるを得ない。
 さらに,そこにはプラスアルファの労力が掛かるわけで,今回の単位互換の制度も含めて,質保証ということであると,結局,今ここで,自前のだけではなくて,単位互換でという中に,別途,今日の話には出ていませんけれども,例えば高専からの編入とか短大からの編入があって,それをまた結局認めるかどうかは大学が考えてくださいということで,更にまたプラスアルファの労力を掛けて,そういう制度は作っていくことになります。それはいいとしても,全体として本当に大学というものの存在というか,その質をどう保証していくのか,学位とかというものが迷走しているとしか思えないようなこの状況にあって,やはり将来,例えば2030年,40年ぐらいの人口がどうなって,これ,本当に将来検討の制度改革ですから,そこに絞って,そもそもどういう大学の在り方が理想なのかということが必要だと思います。その議論なしに,何か一つずつ細かいところをやって,全体が見えなくなって,それで不整合が起こるというような,さらにはそれを全部労力は大学の方の各自にお任せしますというのでは,余りにも議論として私は整理する必要があると思います。以上です。
【鈴木主査】  どうぞ。
【石橋高等教育政策室長】  ありがとうございます。ワーキングの方で御議論いただいているので,その辺の全体像が少し見えにくくなってしまっているのは大変申し訳なく思っています。前回御説明しました中間まとめにおいても,そのストーリーとしての整理と致しましては,やはり2040年を見据えたときに,18歳人口,これは推計でございますけれども,その段階で大学進学者数は現状から12万人ほど減るだろうという規模の議論がございます。一方で,各大学がこれまで多くの資源を国公私問わず投下しながら高等教育を担ってきていただいたことを考えますと,やはりそれぞれの大学が2040年の将来に向けてどういうふうにこれから動いていかなければいけないのかというふうに考えたときに,将来構想部会の中で,強み,それから,特色をどう伸ばしていくのか,そのときに連携ということも一つの可能性として模索できないかという流れの中で議論が進んできているところでございます。
 まさに制度設計は,大変申し訳ないですけれども,ここで専門的にどういうことが質保証の観点からよいのか,また,どういう制度設計が,実際大学で連携をしようと思ってしてくださっている先生方,今ここに多くいらっしゃいますけれども,その先生方の目から見ていただくと,こういうふうにやればうまくいくんじゃないかという,そういう御提案を頂けないかということで,ワーキングの方に部会から議論を少し移させていただいたというところでございます。将来のイメージとしては,今申し上げたようなところが一つの議論にはなってきているところでございますが,おっしゃったとおり,全体像の中でこれを捉まえつつ,やはり何が可能なのか,どういう制度設計がいいのかという御議論を頂ければありがたいなと思っているところでございます。
【鈴木主査】  どうぞ。
【義本高等教育局長】  今,石橋室長が申し上げたとおりなんですけれども,全体の将来構想部会での議論の背景を少し考えてみますと,昨年来,例の東京23区問題があって,ここでもいろいろな議論があって規制をさせていただきましたけれども,本来ならば,どの地域にあっても,必要な教育の機能をやっぱり受けられる機会をどう保証していくのかということを考えていかないといけない。一方,人口が減っていく中において,なかなかそれぞれの大学が厳しい状況がある一方,更に考えれば,地域でのそれぞれの大学が設置形態を超えて連携するということがなかなかなりにくいという中において,言ってみれば,一つの殻の中に閉じこもっているということ自身を解放していって,その地域での教育の資源をより有効に生かしていくためには何かできないかというふうなことを議論させていただいて,その中の一つが,我々として,この連携の形としてこういうふうな法人を御提案させていただいたというような議論でございます。
 ですから,恐らくは,さっきハードランディングとかクラッシュという話を頂きましたけれども,ここでも書いていますように,定員割れとか赤字の救済にならないような配慮をしながら,大学が体力があるうちにそういうふうなことを考えていくような仕組みを考えていけないかというふうなところから出発しているという議論でございます。ですから,そのための方策を考えていくということでございますので,赤字の救済とか,あるいはそういうふうな受け皿を考えるという議論よりも,むしろ地域での教育の機能あるいは機会をどういうふうに保証し,考えていくのかということを考えようじゃないかと。
 そのためには,地域での資源を生かしていくと同時,先ほど濱名先生からも御議論ありましたような,ICTを活用した,技術を活用していろいろな形を考えていくというふうなプラットフォームを作れないかという御議論を頂きたいと思っております。ですから,それにおいては,あえてここで自ら開設とか,あるいは1大学への教員の専任の要件も大胆に緩和する中において新しい姿を模索していけないか,一方の話としては,質の保証を考えた上で,専門家の御議論を頂いた上でしっかりした形を作っていけないかと,そういう議論を本格的にこのワーキングではやっていただければありがたいなというふうな意図でございます。
【鈴木主査】  ありがとうございます。
 篠田委員,どうぞ。
【篠田委員】  今,義本局長さんもおっしゃったように,やっぱり大学のこれからを考えると,非常に厳しい現実というふうに展開をしてくるんじゃないかなと思いますので,こういう連携法人だとかの枠組みをきちんとやっぱり整備して,いろいろな選択肢が出来るということは私はいいことだと思うわけです。もちろん各大学が自らの将来構想との関係で,自己責任でそういうところに参加をしたり,判断をしていくという形になろうかと思います。
 120万18歳人口時代がずっと10年ぐらい続いてきましたので,現場にいると,データがいくら厳しくなるといっても,体感的に想像ができないということだと思うんです。冒頭の御説明でも,2040年を展望するということなんですけれども,やっぱり40年どころか,もう20年代,つまり,5年先,7年先には110万とか105万人ぐらいのところに7年ぐらいにはなる。一旦また上がったりするんですけれども。という状況ですので,やっぱり相当厳しい状況を想定しながら対応していく。そのときの選択肢として,自分の大学の将来像ということをベースにしながらなんですけれども,そこに連携ができるようないろいろな可能性というか,条件を整備するということは非常にいいことじゃないかなと。
 もちろん金子先生おっしゃったように,その資源というのは,やっぱり教育上の資源の共有ということがベースになるんじゃないかなと思いますけれども,そういう枠組みを超えたような議論をするときに,もちろん提起をしているようなプラットフォームというようなものが議論の枠組みになってくるんじゃないかなと思いますけれども,局長さんおっしゃったように,開放的な議論というのが率直にできる場所というのが,法律上のこういう制度の整備というのはもちろん重要なんですけれども,やっぱりかなり他大学の本音だとか内部状況だとか,つまり,普通の情報では分からないようなところを率直に相談できたり,話ができたり,意見交換できるようなシステムが,つまり,ハードの整備と同時にそういうソフトの整備がないとなかなかこういうものを積極的に生かして形にしていくというところに,特に国公私を超えたということになると,余計そういうところが必要だと思います。
 だから,こういう形を整備していくと同時に,それをどうやったら形にして生かしていけるようなことが,後の方にも書いてありましたけれども,直接国が関与できるというところもある程度限定的だと思いますので,いろいろな工夫が要るんじゃないかなと思いますけれども,整備を進めていく上でそういうところも御配慮頂いた検討を是非お願いできればと思っております。以上です。
【鈴木主査】  ありがとうございます。
 それでは,濱名委員,前田委員,溝上委員ということでこのセクションを終わらせていただきたいと思いますが,お一人1分ずつということで。
【濱名委員】  分かりました。2ページ目のところの二つ目の黒四角のところで,連携方策の中で,「産業化」と書いているの,これ,産業界の間違いですね。
【石橋高等教育政策室長】  はい,間違いです。すみません。
【濱名委員】  それで,あと,このフレームワークを見ていると,コンソーシアムイメージなのか,例えば有志システムみたいなイメージなのかというのが,どちらでも取れる,ふわっとした感じで,焦点が非常に読みとりにくい。例えば地域の参画がこのポンチ絵には出てこないですね。要するに,地方公共団体がどう関わっているのかというのは,要するに,オブザーバーの話なのですかという話で,それだったら,今のコンソーシアムの幾つかと同じで,京都は社団法人化して,我々のコンソーシアムは一般社団法人化しているので,そのイメージと余り違わないのではないかということが一つです。
 それで,思い切った方策ということで言うならば,この法人に入れば,例えば60単位まではどこで取っても構わないとか,あるいは地方公共団体を入れてトランスポーテーションを強化する,要するに,公共交通機関が弱いから大学間移動ができないのだから,それを可能にできるメンバーに入れるとか,あるいはこのままでいうと,一般社団法人をベースにする。理事の数は限られていますから,参加する大学がオートノミーを差しだしてしまうようなイメージがあるので,それは払拭しないといけない。このままでは多分物にはなかなかならない。コンソーシアムに毛の生えた程度の規制緩和にしか見えないというのが私の意見です。
【鈴木主査】  ありがとうございます。
 前田委員,どうぞ。
【前田委員】  さきほどからICT活用が出ていて,今,学生が移動しないので,ICTが有効なんじゃないかということですが,私の大学は3キャンパスの間でICTも取り入れています。しかし,学生は余り取らないんです。なるべくスムーズに学位が取れればいいというようなところがあるので,何となく,ICTを使えば本当にうまくいくのかどうかについては,例えば成功例がたくさんあるといいと思います。やるのであれば,ICTの効用が本当にあるかどうかというのも考えた方がいいのではと思いました。
【鈴木主査】  ありがとうございます。
 溝上委員,どうぞ。
【溝上委員】  短くということなので。5ページ目のところですけれども,意見として言いたいことは,最後の「その際の質保証の留意点として,徹底した情報公表,学修成果の可視化等を求めていくこととしてはどうか」って,徹底した情報公表で徹底した学修成果の可視化というのを求めるぐらいのトーンが要るのではないかなと個人的には思います。
 先ほどの単位制度も学位ベースで進めるということとか,あるいは今回,国公私で制度的な枠組みを作っていくということですから,特に私学とか,今の第3期の評価サイクルも始まっていますけれども,ここでこういう学修成果とか内部質保証をどれぐらい達成していくかとか非常に怪しいなと思っているところがあります。こういう連携の枠を作るというのは,自前の大学でできない部分というか,それを先ほど,魅力につなげていこう話だったと,そういう話でいいと思うんですけれども,ただ,やっぱり自前の大学でもできないことを,枠を緩やかに広げていって水準が落ちていく可能性は非常に高いので,結局どういうふうに議論していっても,18歳人口の減少とか人口減少の問題を踏まえてこういうふうに進めていくときには,最後の質保証といいますか,多分次の議題だと思うんですけれども,結局はここの話になると思うんです。そのときに,やっぱり徹底した学修成果の可視化とか,それぐらいのトーンが私は要るのではないかなと思います。
【鈴木主査】  ありがとうございました。まだまだ御意見あるかと思いますけれども,今後の議論に譲りたいと思います。
 あ,失礼いたしました。どうぞ。
【義本高等教育局長】  今日は本当に貴重な御意見を頂きましたので,それを踏まえた上でまた整理させていただきたいと思います。濱名先生がおっしゃった点については,これ,一応,枠組みを作っていますので,また逆に詰めていって,それぞれのローカルルールを踏まえた上で考えていくということがあるんじゃないかと思っています。このポンチ絵でも2ページに書いていますように,大学等の推進評議会を作って,そこに地方自治体とか,あるいは地元の方も入っていただいて,その意見を反映させるような仕組みを考えるということをしておりますけれども,併せて,理事の中に自治体の方を入れるとかいうこともこれはあると思いますので,その辺,今後この仕組みをガイドラインとか方針を作っていくということを考えないといけないと思っています。
 一方,これ,参考にさせていただきました地域医療連携推進法人なんですけれども,これは法律設置をしています。そこで結局,議決権とか配分とかガバナンスについてはかなりぎちっと定めている一方,なかなか動きにくいというのもありますので,今のところは法律でがちっと定めるよりもむしろ,ある程度省令等の形で作らせていただいて,それぞれのよいところを生かす形で考えないといけない。そういうような法的な仕組みを考えようというような方向で今,議論を進めたいと思っております。
【鈴木主査】  ありがとうございます。
 それでは最後に,質の保証についてであります。これからワーキンググループで集中して議論を進める質の保証について,本日は,入り口として,事務局の資料を参考にして御議論いただきたいと思います。資料3について,説明をお願いいたします。
【石橋高等教育政策室長】  ありがとうございます。時間が余りないので,少し駆け足になりますけれども,資料3について御説明をさせていただきます。
 資料3の作りでございますが,冒頭の2枚で,質保証システムを経緯的に整理したものでございます。その後は,それぞれの仕組みについてもう少し詳細な資料を付けているという,そういう流れになっております。
 まず,冒頭2枚を中心に御説明いたします。昭和50年から平成15年の間は,事前規制型の質保証のシステムを取っておりますが,その中においても,やはり大学設置基準の大綱化,それから,自己点検評価のシステムを導入するということで,冒頭での,事前での規制ということよりも,各大学においてどのように自己点検評価,PDCAサイクルを回していただくかということにも意を用いて行われてきたところでございます。また,平成10年の21世紀の大学像の答申におきましては,積極的な情報提供をする義務を規定することで,ここで情報公表というものが出てきたというところでございます。
 平成15年からは,御案内のとおり,事前規制と事後チェックの併用型による質保証システムというふうに変わってきておりまして,設置認可の在り方の見直しということで,特に平成25年からは,需要見込みをきちんと出していくというようなことも加えております。認証評価に関しましては,第三者評価制度の導入ということで,平成16年から行ってきておりますけれども,平成30年からは内部質保証機能を重視するということが更に加えられたところでございます。法令違反状態の大学に対する段階的是正措置の導入が平成15年から入ったところでございます。また,その下でございますけれども,情報公表に関しましては,特に公表すべき情報の具体的な規定を,まず法律レベルで義務にしたのが平成19年,公表すべき教育情報を具体的に規定したのが平成23年,それから,認証評価における評価の対象に位置付けているというところでございます。
 めくっていただきまして,平成15年の質保証に関する制度改正の概要,4ページ目でございます。規制緩和の動きというところで,事前規制の部分をできるだけ見通しが立つようにしていくということ,それから,届出制の導入などもそこで入れたところでございます。それから,第三者評価制度の導入,そして,法令違反の状態というのは,これは規制緩和の流れだったということを振り返らせていただいております。
 今の質保証のイメージ図が5ページ目でございます。設置認可審査から,設置計画履行状況等調査,アフターケアでございます。そして,完成年度を迎え,その後は,内部質保証,それから,認証評価,そして,情報公表ということでサイクルを回しているというような状況でございます。
 6ページ目から少し各項目別になります。大学設置基準の概要ということで,大学設置基準の内容を簡単に表させていただいております。特に今日も御議論になりました専任教員に関しては,7ページ目に別表で大学設置基準上の専任教員数を付けさせていただいております。
 8ページ目の,校地・校舎の面積基準なども設置基準の中の御紹介でございます。
 9ページから参考が2枚続きますけれども,設置基準に関しても弾力化が図られてきたということで,基本組織,教員組織,そして,10ページ目においては,教育課程や卒業要件に関する規定の弾力化,校地面積基準なり,自己所有要件の弾力化なども進んできたという実績の振り返りでございます。
 設置認可制度につきましては11ページ目でございます。御案内のとおり,大学設置・学校法人審議会大学設置分科会において審査の基準を示して審査をしているということでございまして,設置計画についての審査と教員審査を中心にやっているというところでございます。
 めくっていただきまして,12ページにおいては,質保証の観点による設置認可・審査の改善例ということで,設置計画履行状況等調査について省令上の明確化や情報公開の義務化,情報公開の対象の拡大,それから,需要等の見通しをきちんと示すということで,各年度に行われてきたところでございます。
 13ページが認証評価制度の概要でございます。平成16年度から義務付けられているものでございまして,機関別認証評価と分野別認証評価ということで,それぞれの年数ごとでさせていただいているという仕組みになっております。また,大学評価基準を定めて,各認証評価機関がこの大枠の中で具体的な基準を定めて評価を行っていただいているというところでございます。公表に関しましては,最後でございますが,大学への通知,公表,文部科学大臣への報告を行わなければならないという形になっております。
 次のページは参考で,認証評価,それから,設置計画履行状況等調査,学校法人運営調査,国立大学法人評価,各大学における内部質保証と,こういう形で相互に関連しながら質保証の仕組みになっているというところでございます。
 認証評価の改善につきましては,中央教育審議会の大学分科会大学教育部会でも御議論いただきまして,28年の審議まとめを踏まえて省令の改正を行っておりまして,卒業認定・学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー),教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー),入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)の三つのポリシーに関すること,それから,内部質保証に関することについて重点的に認証評価を行うということで制度が改善されたところでございます。それにつきましては次のページも続きましてごらんいただければと思います。
 御参考までに,17ページは認証評価機関の一覧,それから,18ページは認証評価と再評価の実施状況ということで,これまでの結果を書かせていただいております。
 大学の情報公表制度につきましては,19ページでございますけれども,平成11年以降,19年,23年と法律の義務付けや具体的な項目についての規定を順次行ってきたところでございます。
 これについては,20ページに大学ポートレートの概要ということで,こちらの方で分かりやすく発信していくということになって進んできているところでございますが,ポートレートについてはなかなか活用が進まないというようなところもございまして,今後また見直しが必要かと事務的には考えているところでございます。
 21ページにおきましては,今回の中間まとめにおきまして,教学マネジメントの確立,情報公表,認証評価制度ということでまとめさせていただきましたので,その旨書かせていただいております。これを踏まえまして,このワーキングにおいては,質保証システム全体について,現状の課題,それから,どういうふうに見直しをしていくべきかということで御議論を頂ければと思っております。今日は本当に入り口の,まず歴史の振り返りでございますので,今我々としてありがたいのは,先生方の中で,ここら辺が課題だということをまずはお出しいただければありがたいと思っております。
 説明は以上でございます。
【鈴木主査】  ありがとうございます。それでは,ただいまの事務局の説明,資料を踏まえまして,御意見,御質問がございましたら,お願いいたします。
 では,金子委員,篠田委員,どうぞ。
【金子委員】  前の議題の内部質保証のところでも気になったんですが,質保証についてはいろいろと問題を列挙していただいてこれから大変だなと思いますが,前の議題と通底するのは内部質保証の問題だと思います。今まで大学の内部質保証というのは,学部教授会が基本的には基本的な単位になっていた。これは大学の自治という原則に一応立てばそうせざるを得なかったし,そうでよかったのですが,しかし,その後いろいろな規制緩和が進んで,大学,教授会に非常に大きな負担が掛かっていると同時に,学位プログラムとかそういったものを考えると,学部教授会自体で自己完結的に決定できるのかどうかということは非常に問題になっている。
 基本的に先ほどの単位互換の問題も,あれ,考えてみると,学位プログラムの問題は,学部を超えて教学管理をしなければいけないという問題ですし,先ほどの問題は,連携法人というような,大学を超えて質保証をしなければいけない,あるいは教学管理という言葉が出ていましたが,これはかなり飛躍しているというか,かなり問題というか,教学管理という言葉自体が今まできちんとそしゃくされていないところがあるので,ここら辺が非常に大きな課題になってくるのではないかと思うんです。
 今日の質保証のところでは,教学マネジメントと書いてあるんです。教学管理とマネジメントはちょっと違うかもしれない。教学マネジメントは,PDCAとか何とか書いてありましたけれども,基本的には改善が進むかどうかということで,教学管理は,一定の質の水準がきちんと保証されているかどうかということを判断する。そういう意味で,教学の管理体制を,教授会の中だけではなくて,教授会を超えた単位で,あるいは大学の単位で,あるいは大学を超えた単位でどうやって作っていくのかというのは非常に大きな問題で,設置基準にもそんなことは全然書いていないわけです。これはやっぱり教授会が自己完結的に決定するものだと思っていたわけですから。
 ただ,今は教授会が意見を言うことになっていますけれども,基本的には学長が決めることができるわけですから,学長の下にあって教学関係,教学の管理をするといった機関が具体的にどういった要件が必要なのかとかいったことが,個々の大学が工夫するだろうと思いますが,一応,大学制度全体を通じてこういったものが望ましいというか,どういうことが行われるかということを整理しておかないと,やはり実質的な質保証ができなくなる可能性があると私は思います。以上です。
【鈴木主査】  ありがとうございます。
 篠田委員,どうぞ。
【篠田委員】  今,金子先生がおっしゃられた問題も非常に重要で,またこれからの議論で是非きちんとした議論をしていきたいなと思っています。学士力答申では教学経営という言葉を,答申の中に3回出てくるんですけれども,使っていて,質転換答申,次のあれでは,教学マネジメントという言葉をずっと使っていて,三つのポリシーのガイドラインでは,教学PDCAという言葉を使っていて,それぞれ多分似たようなところだとは思うんですけれども,受け取る大学の方からは,ある程度一義的に,こういうふうにすることがこうだということを示していく必要があるので,重要なところだと思います。
 今日御発言させていただきたいのは,印象というか,21ページの今回の中間まとめの要約について,大学の立場から読んだときの多少印象のようなことで,だから,これで別に間違ったことが書いてあるわけではないので何なんですけれども,例えば教学マネジメントに係る指針の策定で,各大学は全学的な内部質保証を促進するために,国として教学マネジメントの確立を一層進めるというふうにあって,これ,本文も同じ表現になっているんですけれども,国として確立を進めるのではなくて,つまり,支援をするというような立場じゃないかなと思います。
 それから,そのための指針を示すという,一番最後の項も,具体的な指針になるものを「各大学へ一括して示す」という,かなり強い言い方になっているんですけれども,本文を見ると,留意すべき点あるいは充実を図っていく点について網羅的にまとめていきたいというような柔らかな表現になっていて,やっぱり内部質保証なので,これは各大学が自分で目標を定めて,自分で評価をして,それがちゃんと成果に結び付いているかどうかという,ここを厳しく点検するということであって,国が何か直接やるというようなことではないので,これは表現の問題なんですけれども,各大学が受け取ると,何でもかんでもこれ決めてくるのかという受け止めにどうしてもなってしまうので,そこのところは,やっぱり各大学が頑張ってもらわないと内部質保証は絶対できないと思いますし,成功に結び付かないので,表現上の問題。
 同じところでいうと,例えば情報公表の一番最後のところなんですが,学修成果や教育成果の可視化にとどまらず,一番最後のところで,その取組の参考となるような把握や活用の在り方についてマネジメント指針で提示するということになっていますけれども,把握の在り方とかは各大学がこれはちゃんと研究してやれというふうに本文ではしっかり書いていますので,これも受け取り方によってはそこまで出すのかみたいなふうに受け止られますので,この辺やっぱり,これが中教審からのメッセージになっていくというか,文科省からのメッセージになっていきますので,御配慮頂ければと思います。
【鈴木主査】  よろしゅうございますか。
 川嶋委員,どうぞ。
【川嶋委員】  1点だけ課題提起をさせていただきます。17ページに認証評価機関の一覧表があるんですが,専門職大学院の分野別評価のところですけれども,現状ですと,新しい分野の専門職大学院が出てくると,必ずそれに1対1で対応したような形での認証評価機関を作るというようなことが現状ですので,少し共通化できるようなところは共通な認証評価機関で評価できるような仕組みにしてはどうかということの検討を是非お願いしたい。
 分かりやすく言うと,経営ビジネス系というのがあるんですが,一般的にはMBAとかMOTなんですけれども,ここにありますファッション・ビジネスとか,ビューティビジネスとか,あるいは環境・造園なんかもかなりマネジメントに関する分野なんですけれども,こういう新しい分野が専門職大学院に出てくると,それぞれで対応しなければいけないという現状がありますが,例えば経営というものが基盤プラットフォームにあれば,そこにプラス専門分野という形での集約化というか,効率化という方向での検討を是非お願いしたいと思っております。
【鈴木主査】  よろしゅうございますか。
 濱名委員と,それから,伹野委員,お願いします。
【濱名委員】  ありがとうございます。3点あるのですけれども,1点目はやっぱり内部質保証という呼び方が外部には通用しない。やっぱりアセスメントポリシーとかの方が良い。どういう観点・基準でやっているのかということが伝わりにくく,内部質保証だけではどうも印象が悪いんですね。産業界の方なんかと話をしていても,そんなクオリティコントロールを内部でやっていますよというだけでは社会的通用性はないというふうにみなされるので,PDCAをやっていればいいというよりも,やっぱりどのような観点・基準に基づいてどの程度の達成度なのかというふうな発想の転換をしなければいけないというのが1点目です。
 2点目は,設置基準についての話,7ページ目のところなのですけれども,これの加算と割り引きの問題を考えていかないといけないということだと思うのです。現行設置基準は,大手大学にとって大変やりやすい。スケールメリットが得られやすい。要するに,T/S比,ティーチャー/スチューデント比をみると,申し訳ないのですけれども,圧倒的に大手私大の数字は悪いのです。それでもやっていけるのに対して,今のところ,設置認可申請でいうと,小さく新設でやろうとすると,入学定員何十人の規模とかにとどまる。定員充足率が補助金に連動していくとどんどん定員が少なくなっていって,短大の設置基準は見直ししているんですけれども,大学はそのままでいいのか。これは,そこらの状況,T/S比も含めた形で教育の質保証をやっていこうとすると,設置基準自体もやはりそこらの見直しが必要ではないかと。量的なところも触る必要があるのかというのが2点目です。
 3点目は,認証評価の話についていうと,18ページのところで,認証評価機関のかなりばらつきがあるのですね。認証評価機関の方と意見交換をすると,やっぱり認証評価機関のメタ評価が要るのではないのかという。それをやらないと,現状からいうと,補助金は定員充足率で減額されるけれども,認証評価を得られなくても減額されない。もともとの成り立ちからすると,認証評価と国の政策が連動しないというのは原点ではあるのですけれども,さはさりながら,そのままでいいかといったときに,認証評価結果が妥当になされているのかということを見直さなければいけないということと,分野別の評価をやることのインセンティブがないから認証評価が発展しない。アメリカを見ていると,やっぱりアクレディテーションの底支えをしているのは,分野別の質保証だと思うのです。リードするような部分を作ろうとすると,分野別の質保証を受けることのインセンティブを何がしか提供していかないと,分野別質保証は広がらないというところだと思うので,認証評価についてはその2点が必要ではないかということです。以上です。
【鈴木主査】  ありがとうございます。
 それでは,伹野委員,溝上委員で……,あれ? 今。よろしい?
【溝上委員】  もう時間かなと思って。
【鈴木主査】  そうですか。じゃ,1分ずつお願いします。
【伹野委員】  今回の教育改革案の大きな特徴には,学生の主体的な学びという言葉がありました。それについては非常に期待しています。教育の体制の中で一方通行ではなくて,学生がどのように受け止めるかをフィードバックすることすが,その中に今回の課題である大学の教育質保証がどういうふうに組み込まれるかが期待しています。最後の22ページにありますように, 三つのポリシーとの関係が分かりやすく示されています。やはり提供側の話であり、受け側の話,特に出口管理への議論を是非ここでしていきたいと思っているところです。以上です。
【鈴木主査】  ありがとうございます。
 溝上委員,どうぞ。
【溝上委員】  今,伹野委員がおっしゃったこととかなり同じ,近いことなんですけれども,教学マネジメントの確立,まあ,確立かどうかは置いておいて,教学マネジメントをしっかり支援したり,作っていくということだと思うんですけれども,目標を立てて,PDCAを回して学修成果とかを求めていく,こういうことなんですけれども,前回もお話ししたように,結局,認証評価をいろいろ進めていってもずっと進まないのは,今,伹野先生おっしゃったように,結局,学修パラダイムに基づく教育が転換できていないということだと思うんです。
 ですから,昔に比べると授業は随分よくなりましたし,先生たちも学生も非常に授業を受けて満足したりしている,こういう状況にはなってきていると思うんですけれども,今求められている,厳しい社会の未来に対して,学生がしっかり資質能力とか力を付けていくといったときに,結局,学生が何を学んだかという辺りが,どうしても教学の様々な現場を見ていて,かなり転換できていないと思います。学士課程答申以降ずっと出ていますよね。何を教えるかではなくて,何を学んだかと。あの辺りの言葉がこの教学マネジメントを説明していくところに強く入ってきてほしいなと思います。
【鈴木主査】  ありがとうございます。いろいろまだ御意見おありかと思いますけれども,時間が参りましたので本日は以上にさせていただきます。本日の御意見を踏まえまして,今後の議論を深めてまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
 本日の議題は以上となります。最後に,今後の制度・教育改革ワーキンググループの開催日程等について,事務局から説明をお願いいたします。
【石橋高等教育政策室長】  本日は活発な御議論を頂き,ありがとうございました。
 次回でございますが,7月31日の10時から12時で予定をしております。場所は追って御連絡いたします。
 資料については,御希望の方は机上に置いていただければと思います。
 今日はありがとうございました。
【鈴木主査】  ありがとうございました。

――了――

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