制度・教育改革ワーキンググループ(第13回) 議事録

1.日時

平成30年4月27日(金曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省東館3階 3F1特別会議室(東京都千代田区霞が関3-2-2)

3.議題

  1. 学部等の組織の枠を超えた「学位プログラム」と「工学系教育改革」について
  2. 高等教育の国際化について

4.出席者

委員

(臨時委員)安部恵美子,上田紀行,金子元久,川嶋太津夫,小林雅之,篠田道夫,鈴木典比古,福島一政,伹野茂、濱名篤,本郷真紹,前田早苗,溝上慎一,美馬のゆり,宮城治男の各委員

文部科学省

(事務局)小松文部科学審議官,義本高等教育局長,村田私学部長,伯井文部科学戦略官,瀧本大臣官房審議官(高等教育担当),信濃大臣官房審議官(高等教育担当),松尾大臣官房審議官(科学技術・学術政策局担当),蝦名高等教育企画課長,三浦大学振興課長,石橋高等教育政策室長,進藤国際企画室長,齋藤留学生交流室長 他

5.議事録

【鈴木主査】  所定の時刻になりましたので,第13回の制度・教育改革ワーキンググループを開催いたします。御多忙の中,御出席いただきましてまことにありがとうございます。
 もし報道のカメラが入っている場合には,カメラの撮影は議題に入る前までの冒頭部分のみとさせていただきますので,カメラの方がおりましたら,よろしくお願いいたします。
 前回は,学修の質の保証に向けて,学修成果の可視化と情報公開,教育内容・方法の改善等に係る教学マネジメントの確立の必要性等について,事務局から説明を頂きまして御議論を頂きました。
 また,「工学系教育改革」に向けた制度改正の方向性について御議論を頂きましたところです。様々な御意見を頂戴いたしました。
 本日は,「工学系教育改革」に関連するものとして,学部等の組織を横断した教育課程の機動的な編成を可能とすることを目指す「学部等の組織の枠を超えた学位プログラム」について,検討状況について振り返った上で,「工学系教育改革」について更に議論を深めていきたいと思います。
 また,高等教育の国際化という議題で,昨年度議論してまいりました「大学の海外展開」に加えて,「留学生30万人計画」の後を見据えた留学生政策及び大学の国際化に対応する「大学入学資格の見直し」について御議論いただきます。
 それでは,本日より新しく本ワーキンググループに御参加いただいております先生がいらっしゃいますので,その御紹介と,本日の配付資料についての確認を事務局からお願いいたします。
【石橋高等教育政策室長】  失礼いたします。まず,委員の交代について御説明させていただきます。4月17日付,前野一夫委員の御退任に伴いまして,独立行政法人国立高等専門学校機構理事,函館工業高等専門学校校長の伹野茂委員に御就任いただいております。
【伹野委員】  伹野でございます。どうぞよろしくお願いいたします。3年前に北大から高専機構の方に移りました。現在,高専機構では,モデルコアカリキュラムと教育の整備を担当しております。また,高専連合会の会長も兼ねております。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
【石橋高等教育政策室長】  続きまして,配付資料の確認をさせていただきます。配付資料は,議事次第に記載されているとおりでございまして,資料1から資料7までございます。不足がありましたら,お申し付けくださいませ。
 以上です。
【鈴木主査】  ありがとうございます。
 伹野委員,よろしくお願い申し上げます。
【伹野委員】  よろしくお願いします。
【鈴木主査】  それでは,議事を進めます。
 本日前半は,冒頭にも申し上げましたとおり,前回頂いた御意見を踏まえまして,「学部等の組織の枠を超えた学位プログラム」と「工学系教育改革」について,事務局から資料を準備していただいておりますので,これに関する説明を頂いた後,御意見を頂きたいと思います。
 それでは,早速ですが,事務局から,資料1及び資料2について,続けて御説明をお願いいたします。
【髙井大学振興課課長補佐】  大学振興課課長補佐の髙井と申します。資料1を御覧いただければと思います。
 まず,本日は,「学位プログラム」について,昨年10月30日のワーキンググループで一度御議論いただいておりますが,それの復習を兼ねた概要説明と,本日のコアでございます「工学系教育改革」との関係性について御説明を簡単にさせていただきたいと思います。
 資料1の最初のページですが,「学位プログラム」とはというところで,「学位プログラム」は,皆様御案内のとおり,学位の取得を目指す学生の学修の視点に立って達成すべき能力を明示し,体系的に設計されたプログラムになります。
 現状におきましては,学生の所属する組織,教員が所属する組織,提供される学位プログラムが1対1の関係となっていることが原則となっておりますので,なかなか境界領域や学際領域,現状必要となっている学位プログラムを組みにくいというような課題がございます。各大学においては,そうは言っても,学位プログラムは様々な工夫を凝らしながら実施しているところでございまして,例えば,筑波大学,新潟大学,九州大学であったり,様々な工夫を凝らされているところも,資料の一番後ろにも事例紹介ということで,後ろから3ページほどで事例を載せさせていただいております。
 そういった工夫もさることながら,しかしながらということで,まだまだ課題があるということで,総定員が増加しない場合であっても,専任教員,校舎や施設設備等の基準を満たすことが学位プログラムを設定する際には現状では必要であるということ。
 大学設置基準の第十二条における「一つの学部・学科に限り専任」との,教員の専任教員の運用の在り方も変わっていないということで,やはりなかなか柔軟な運用ができていないというのが現状でございます。
 1枚おめくりいただきまして次のページでございます。こういった課題に対応するためということで,今後は学部等の組織の枠を超えた学位プログラム,いわゆるこれまでの学部等とは異なる新たな類型として,こういった学位プログラムを設置できるような制度上の位置付けをしてはどうかということで,10月30日に御議論を,まずは論点整理ということでいただきました。
 論点として上がっていた主なものとしては,(1)から(7)を記載させていただいておりまして,例えば教学管理体制の在り方であったり,教員のエフォート管理の在り方であったりといったことが議題に上がってまいりました。今後は,こういったことを引き続き議論した上で,制度が確立しましたならば,博士課程リーディングプログラムに採択されている大学院など,既に様々な分野融合的取組を行っているところに制度を活用していただいて取り組むことを期待しているところではございますが,まだまだ議論の途上でございます。
 おめくりいただきまして次のページでございます。本日の議論の中心となる「工学系教育改革」との関係整理というところですが,さきほども申し上げたとおり,学位プログラムについては,学部の枠を超えて新たな類型として制度上位置付けるものになっておりまして,一方で工学系教育改革につきましては,工学部等内の教育課程の充実促進ということで,あくまで現行の課程制を前提とした上で,工学系の中で,例えば研究科と学部の連続性に配慮した制度を作ってまいるという視点での検討になっております。
 双方で共通性の高い事項といたしまして,例えば他学部との教員のダブルカウントであったり,こういったものについては,今後の学位プログラムの検討においても制度の導入について検討されていく事項でございますが,工学系教育改革の中でも他学部の授業科目開設に当たり,導入していく視点になってまいります。こういった共通性の高い事項もありながら,工学系教育改革は工学部内の改革として進めていき,本日の議論を踏まえまして,スケジュールとしては平成30年6月,本年の6月までに大学設置基準等の改正を目指してまいるということになっているところでございます。
 学位プログラムに関しましては,みなし専任教員等の議論も含めた専任教員の在り方,教学管理体制を含めて,今後まだまだ引き続き将来構想部会等において検討させていただき,平成30年度中に何らかの形で大学設置基準の改正を目指すところでございます。
 簡単ではございますが,説明は以上でございます。
【原田専門教育課課長補佐】  専門教育課の原田と申します。よろしくお願いいたします。
 私からは,資料2に従いまして,工学系教育改革に関する大学設置基準等の改正について説明いたします。
 工学系教育改革につきましては,これまでこのワーキングで2回,大学分科会将来構想部会合同会議で1回,御議論いただいておりますけれども,今回は前回のワーキングで頂いた御指摘を踏まえて,再度,整理した部分を中心に説明してまいりたいと思います。
 まず,1ページ目の資料,「工学系教育改革に向けた制度改正の方向性について(案)」を御覧ください。おさらいになりますけれども,工学系教育改革は,現行制度を活用して教育を展開しやすくするために,課程等を設けた場合の教員基準を定めること。それから,工学分野における学部と大学院との連続性に配慮した教育課程を編成することなど,必要な設置基準等の改正を行うものでございます。
 今回は,連続性に配慮した教育課程の編成を中心に説明いたします。2ページを御覧ください。
 まず,1,他の専攻分野の学部・研究科の専任教員の一つ目の丸ですけれども,連続性に配慮した教育課程を編成する場合には,工学以外の専攻分野の授業科目を開設するよう努めるものとするということを追記いたしました。ここでいう工学以外の専攻分野の授業科目とは,主専攻,副専攻の副専攻の部分を想定しておりまして,一般的な教養科目として他学部等で行われているようなものではなく,他の専攻の専門的な内容についての授業科目を想定しております。また,このような授業科目を開設する場合には,設置基準上,必要な専任教員数に加えて,プラスアルファで担当教員を置くものとするとしております。
 この加えて置く教員につきましては,学内の工学以外の学部・研究科の専任教員をもって充てることができるようにすることを考えております。
 それから,これを実現するための質保証としましては,大学として教員のエフォート管理の規程と計画を定めることを求めていきたいと考えております。
 次に,2,実務家教員の一つ目の丸ですけれども,こちらにも連続性に配慮した教育課程を編成する場合には,企業等との連携により実施する授業科目を開設するよう努めるものとすることを追記いたしました。このような授業科目を開設する場合にも,設置基準上,必要な専任教員数に加えて,プラスアルファで担当教員として実務家教員を置くものとするとしております。
 この加えて置く実務家教員につきましては,一線で活躍しておられるような実務家の方の登用を促進できるように,専門職大学院等の規程も参考にしまして,1年につき4単位以上の授業科目を担当し,かつ教育課程の編成その他の組織の運営について責任を負う者,いわゆるみなし専任教員でも可能としております。
 それから,質保証としましては,実務家教員の教育の質保証や教育力強化に向けた組織的なファカルティ・ディベロップメントの実施を求めていきたいと考えております。
 今説明いたしました連続性に配慮した教育課程につきましては,7ページ目でもイメージ図をお示ししております。7ページを御覧ください。
 現状では,上の図にありますように,卒業論文が学士と修士とで2回実施されていたりですとか,科目が重複したりするわけですけれども,連続性に配慮した教育課程を編成した場合には,それを整理,合理化するとか,学部で既に修得した科目を大学院では置かないとか,ナンバリング等の導入によって体系的な履修を可能にするですとか,このような授業科目の精選によって効率化を図った上で,下の四角囲みの部分に書かれておりますような工学以外の専攻分野や企業との連携による授業科目の開設を促して,主専攻,副専攻等を実現していきたいと考えております。
 その際の留意点としましては,一番下に書いておりますけれども,4年で卒業する者への対応や,学士としての学位の質保証,また大学院から入学者に対する配慮が必要であると考えておりまして,この点につきましては通知等でお示ししたいと考えております。
 次に,8ページ目を御覧ください。みなし専任教員につきまして,既に導入されております専門職大学院での扱いと比較して整理したものをお示ししております。
 まず,両者の共通事項ですけれども,みなし専任教員の定義は同じでありまして,どちらも専任教員以外の者であっても,1年につき4単位以上の授業科目を担当し,かつ教育課程の編成その他の組織の運営について責任を負う者としております。
 一方で,異なる点としましては,専門職大学院では,みなし専任教員が設置基準上,必要な専任教員数の内数として一定割合を配置することができる規定となっておりますけれども,今回の改正では,あくまでも設置基準上の必要教員数に加えて上乗せで配置することとしております。
 次に,9ページ目ですけれども,これは前回のワーキングでも配付した資料ですけれども,3月27日の大学分科会将来構想部会合同会議でもお示しいたしました先ほど説明した内容と重複する内容もございますので詳細の説明は割愛いたしますが,ここでは,大学分科会で御議論いただいた際のやりとりを報告いたしますと,まず,この改革は,工学部だけなのか,他分野へ今後展開していくのかどうかについての質問がございました。これに対しては,産業と特に密接に結び付いているという工学の特性ですとか,工学系教育の在り方に関する中間まとめを受けての一つの対応として,まず工学について現行制度を活用しながら特例的なものとして行っていくこと。今後については,他の分野でも同様の課題があれば,別途検討していく必要があることを回答いたしました。
 このほか,連続性に配慮した教育課程の中で,4年で修了する者の取扱についての質問も頂きました。これに対しては,4年が修了した段階で大学のディプロマ・ポリシーに照らして評価を行い,学位を出すかどうかの判断を行うこととなると考えていることを回答いたしました。
 最後に,10ページ以降ですけれども,こちらでは,大学設置基準等の改正案をお示ししております。前回のワーキングでお配りしたものと同じ内容ですが,現在,法令担当と協議中でございます。技術的な文言修正があり得ますので,調整中と書いておりますけれども,改正の方向自体に影響はございません。
 以上です。
【鈴木主査】  ありがとうございました。
 それでは,ただいまの事務局の御説明,あるいは資料を踏まえまして,御意見,御質問等がございましたら,お願いいたします。
【川嶋委員】  よろしいですか。
【鈴木主査】  はい,どうぞ,川嶋委員。
【川嶋委員】  前回のときも申し上げて,教育課程の柔軟化ということでは別に異論はありませんが,1点だけ確認しておきたいのが,例えば資料1ですと,3枚目,学部等の組織の枠を超えた「学位プログラム」と「工学系教育改革」との関係整理のところが分かりやすいと思うのですけれども,今回,工学系の学部・大学院の教育課程の柔軟化に当たって,「工学以外の専攻分野に係る授業科目,企業等との連携による授業科目の開設を努力義務とする」と書かれております。その下の「学位プログラム」との比較のところでは,右側の工学系のところで,<工学系分野の特殊性を踏まえた検討事項>というところに書かれていて,左側の「学位プログラム」の方にはそういうことが書かれていないのですが,この工学系以外の専攻分野に係る授業科目とか,企業等との連携,つまり,実務家教員を一定割合入れるということを努力義務とするということは,ほぼ条件であるということなのですが,これが今後の他の学位プログラムについても,このようなことが求められるというのは,少し懸念を覚えますので,これはあくまでもこういう工学系に限って今回はこういう2点を努力義務とするということを是非確認したいと思います。
 つまり,今は少し最後に御説明がありましたけれども,教育といいますか,学部・研究科のDC,CPなどの教育の目的等に応じて必要な場合はこういう措置も必要かもしれませんが,それが全ての教育課程にわたってこの二つの点が必要ということにはならないと思いますので,これはあくまでも今回の工学系について,その工学教育の特色からこういうことを努力義務化したということを是非確認させていただきたいと思います。
【鈴木主査】  いかがでしょうか。
【髙井大学振興課課長補佐】  先生おっしゃったとおり,学位プログラムについては,教員の在り方をどうしていくかも含めて,今後もまだまだ議論することにしており,今回の努力義務化については,工学系教育,今回の件についての改正については工学系教育改革に限られるもので,その学位プログラムをどうしていくかということは,今後も議論をしていくということになるかと思います。
【鈴木主査】  よろしいでしょうか。
【川嶋委員】  念を押させていただきたいのは,最近いろいろなところで実務家教員を大学が採用しなさいという要求が非常に強くて,実務家教員を単に採用すれば教育が良くなるというような単純な話だとは思いませんので、その辺は大学関係者として非常に懸念していますので,質問させていただきました。
【鈴木主査】  ありがとうございます。
 本郷委員,その後,濱名委員,お願いします。
【本郷委員】  ありがとうございます。私,人文系でございますので,先だってより同じ勤務先の工学系の教員にいろいろと意見を聞いてまいりましたのですけれども,10年前の学位プログラムがワーキングで検討されている段階と比べましたら雲泥の差で,今はもう積極的にこれを推進すべきであるという意見の方が非常に強いということです。それを支えている一つの理由は,昨今の就職状況からも,ほとんど4年生で卒業して大学院に進学しないということで,その教育効果ということにかなり懸念しているということです。
 ですから,総体的に工学分野で積極的に推進していくというような機運は高いんですけれども,ただ,厳密に申しますと,やはり学域分野によりまして若干温度差がありまして,行政との連動性の高い土木系などはすぐにやるべきだということを言っています。一方で,建築,電気という非常に技術系の高いところでは,特に今,指摘のありました実務家教員の位置付けというものに対して懸念されている向きがありまして,現状から申しますと,4年生で卒業しても,それぞれの企業に入ってラボ(研究所)でしかるべき技術は修得してくる。だから,その上でなにゆえに大学院まで行って,あるいは6年間学んで何をするのかということが,明確になっていない。その上で,さらに実務家,技術者の方が教員として来るのであれば,その前提としてやっぱり企業と大学との役割分担,すみ分け,あるいは連携というものを明確に位置付けておかないと,時の社会状況,経済状況によってまた左右されて,結局,大学院までの進学者が少なくなるということが起こるのではないかという意見が出されました。だからやめろという話ではなくて,結局,進む上でそのあたりのところも十分配慮しながら,これから制度設計が必要ではないかという意見でございます。
 以上でございます。
【鈴木主査】  ありがとうございます。
 濱名委員,どうぞ。
【濱名委員】  ありがとうございます。私も川嶋委員と共通しますけれども,前回の御提案から比べると,実務家教員に対する条件が緩くなっていることを懸念します。実務経験の年数が5年でしかなくなっているわけです。我々アカデミック・バックグラウンドの教員もFDを義務化されたのは,研究ができることと,それを教育指導することは同じではないということで義務化をされたということについて,私,前回は肯定的に評価をさせていただきましたが,その部分がすっかり落ちている。だから,実務家教員というのは,5年経験しただけで,4単位分担当して教授会へ出ていればいいではないかと,このような安易な提案をされると,これは悪影響が非常に大きいと思います。そもそも実務家教員というのが専門職大学院等々でうまくいっているのかということに,私は基本的に懐疑的なわけです。それを今回の実務経験教員と前回提案されたものの中では,体系的なトレーニングをしっかり受けてもらう前提というのが今回の提案で全く触れられていない。設置基準の改正案にも何一つそのことは記述されていない。こんなことでいいのか。これは工学以外にも実務バックグラウンドの教員が学位プログラムに参画しているのは,例えば看護の場合,そのために大学院にみんな行って,学位を取ってから教壇に立とうとしている領域が既にあるにもかかわらず,工学で産業界と接触するところは,5年間の実務経験があればいいということですが,看護教員は全員5年以上の実務経験を持っているといっていいわけです。その上でさらに大学院等々を受けている分野が既にあるにもかかわらず,工学についてはそういう質保証,教員の質保証メカニズムが全く付託されないで提案されるというのは,どういうふうに前回提案から見直されたのか教えていただけますでしょうか。
【鈴木主査】  よろしいですか。
【原田専門教育課課長補佐】  前回の提案から何か見直した,緩めたということではなくて,実務家教員に関しても,教育課程の編成等に関与していただくことを考えております。例えば,教育課程の編成については,担当する授業科目の教育内容などに責任を有することですとか,教育研究所の組織運営について,例えば教授会の出席などを通じて組織の運営に責任を持って関与していただくこと等が一般的に求められると考えております。
【鈴木主査】  どうぞ,義本さん。
【義本高等教育局長】  前回から後退したわけでは全くなくて,実務家教員についてもしっかり教育能力を高めていただかなくてはいけないということは,これはもうベースです。恐らく教学マネジメント指針の議論の中の項目の中にもありましたように,それは教えていただくのはアカデミック教員であろうと,実務家教員であろうと,ベースとして能力をちゃんと高めていくということを前提にしていますので,それは今回の資料で抜けているので,それは後退したということではなくて,しっかりこれは議論させていただいてやらなくてはいけないと思っております。
 ちなみに,実務家教員の議論は,リカレント教育の中でどう確保するかとありますけれども,これはあえて誤解がないように言えば,そこは実務家だからいいというわけではなくて,場合によっては体系的なことを教える能力が乏しかったりとか,あるいは,教育能力がないので,自分の御経験だけ語られて,15回の授業が十分できないということがありますので,そこはしっかりトレーニングしていただこうということも前回か前々回で御紹介したかもしれませんけれども,議論もしていますので,それは私たちもしっかりやりたいと思っていますので,またここでも議論いただければありがたいと思っています。
【濱名委員】  よろしいですか。
【鈴木主査】  はい,どうぞ。
【濱名委員】  やはり工学が先行すると言いながら,他分野に拡大するということを前提に議論するとすれば,やはり看護あたりとのことを考えていかないと,先ほどの原田さんの御説明では,ありがたく学外の方の御意見を承ってというような形に聞こえてしまう資料の作り方であり,御説明だと思います。やはりそういう点から言うと,ニーズについてとかは我々も真摯に受け止めていかなければいけないかも分かりませんけれども,学位プログラムの大きな課題は,基本的に言えば,かなり教育課程が細かく分断されている点にあります。要するに,2単位とか細かいユニットに刻まれているわけですから,やはり教員集団としての資質向上をしていくことが必要最低限の条件なので,そこについての読まれ方が違うというところについては,非常に懸念するところです。
 あともう1点は,学位プログラムについて,資料1の最初の説明に,やや私は違和感があります。「学位のレベルと分野に応じて達成すべき能力が明示され」,ここまではいいです。「それを修得させるように体系的に設計された教育プログラム」というところですが,実はもう今の学位プログラムの中には,後ろの方で使われている基盤共通教育とか,そのものをどう入れるかということの自由度がかなり規制緩和で自由になっているわけです。要するに,現実にはまだ出てきていませんけれども,基盤教育科目ゼロの学位プログラムの申請だって可能な状態になっているわけで,だから,そこらのことを考えていくと,共通教育であるとか,教養科目であるとか,そういうものも含めて,そもそも現設計の学位プログラムの中には取り込まれているというインプリケーションが少し弱いと思ったのです。その辺は「学位のレベルと分野に応じて達成すべき能力が明示され」という部分に含まれているとは思うのですけれども,表現としては,学位プログラムの達成のために設定されているのは,実は専門教育だけではなくて,学位プログラムが124単位1パッケージであるということのインプリケーションをもう少し分かるように伝えていただいた方がいいのではないか。つまり,工学の専門と他分野の専門を持ってくれば学位プログラムができるという意味で使われているとは思わないのですけれども,その辺の誤解がないような表現にしていただけるとありがたいと思います。
【鈴木主査】  金子委員,どうぞ。
【金子委員】  実務家教員の在り方が,今まで専門職大学院は,制度の発足上,必要だったので,ダブルカウントとか,いろいろなことがあったので,余り専任教員とか,みなしとかというのが,基本的にどういう位置付けを与えられるかということに関しては,余り議論がなかったのではないかと思います。
 例えば,みなしというのと,一般の実務家教員というのはどう違うのか。8ページの左側の図を見ますと,実務家教員の中に「みなし専任教員」というのと,それ以外の実務家教員というのがありますが,みなし専任教員は,教育課程の編成に関わったり,教授会に出たりすることができると書いてありますが,それ以外の実務家教員はできないのか。余りここら辺の問題がはっきりしていなかったのではないかと思います。要するに,一般の修士課程との併任の問題があったりして,こういう人たちをみなしにするという,そういうところから議論が始まっているので,みなしとか,実務家教員をどのような形で大学に取り込むかということは,実は余り議論されていなかった。
 例えば,アメリカなどは,実務家教員に相当する人たちは,プロフェッサーとか,修士プロフェッサーとか言わないで,クリニカル・プロフェッサーとか,そういう名前を付けているところもあります。全くその区別をなくすのか,それから,特に学内の行政に関わる義務をどの程度考えるのかといったことは,今まで余り議論されていなくて,少し曖昧になっていたと思います。これはやはりある程度議論しなければいけない時期ではないかと思います。
 それから,エフォートなどの基準についても,どの程度のエフォートがある場合,それは現実的かというのは議論されていないと思います。
 それから,私,非常に重要だと思うのは,入職時に5年の経験と書いてありますけれども,5年の経験も言うと怪しいと思うし,それから,実務家教員であるということは,実務を担当していることが,1回担当して,そのまま教員になったらそのままでいいのか,評価し直す必要とか,そういうものはないのかと。いわゆる実務家のバックグラウンドを持って教育するわけですから,そういった意味での再評価というのは何かの形で必要だと思います。
 ただ,問題は,それを設置基準に書き込むかどうかということで,今申し上げたようなことは,むしろ大学の判断でいいのかもしれません。ただ,それについても,一定の何か指針みたいなものも必要なのではないかと思います。それが一つです。
 ただ,その議論が出てきてしまいましたが,きょう,テーブルに乗っている工学系教育のみなし教員は,一応,外数ですので,今までの問題と一緒に議論するのは,それとはまた別の問題が入ってきていて,今までの実務家教員を認めているのであれば,ロジカルに言えば,外数にするんだから,まあ,いいのではないかという議論もあり得るとは思いますが,ただ,やはりこれについては,まとめで少し大学教員の処遇とか資格とかについて,もう少し体系的に議論しなければいけないのではないかと思います。
 それから,これは今まで余り議論になっていないですけれども,今度の提案は,教員の問題だけではなくて,修士と博士の連続的な教育をするというのも一つの目玉ですけれども,このときに,連続的とはどういう意味で,具体的にどうするのかということがあると思います。アメリカの大学などでやっているのは,4年生,これはナンバリングが書いてありますが,なぜナンバリングが書いてあるのかという説明が,そういう意図があるのかもしれませんけれども,一番上の4と付いているのは,修士で取ってもいいというようなこともあるし,大学院のナンバリングの一番下のものは学士で取ってもいいというようなことは出ている。だから,カリキュラム上,相互乗り入れが可能なシステム,具体的には相互乗り入れをすることでやっているんですが,そういったことについて今まで議論がないんですけれども,これ,設置基準上,同じ授業をそういうふうに相互乗り入れにするということについて,余り今まで議論がないのではないかと思います。そこもやはり必要なのではないかと思います。
 以上です。
【鈴木主査】  ありがとうございます。
 上田委員,お願いします。
【上田委員】  全体的には,やはり工学系の教育改革というのは大変必要だと思っておりますし,私たち東工大の現在の教育改革は,まさにこれを先取りしたような形になっていて,それは今のところうまく回っていると考えておりますので,こういった工学系の教育改革が進められていくということに関しては,大枠としては私は賛成したいところです。
 ただ,懸念点が二つあります。それは,これが先ほど来の実務家教員の話ではないんですけれども,例えば博士の学位というものがどのくらい重要なのかというようなことに関して,むしろそれをディスカウントするような形にはならないかということが非常に気になります。
 例えば,一時代前の東工大とかで,卒業生の割と重鎮の方が学校に来て講演をしてもらうと,研究室で役に立たない狭いことだけやっても,実業界では何も役に立たないんだから,君たち,早く会社に入りなさいみたいな講演をされてしまって,あとは,運動部だけやっていて,そこで人間関係だけを学んで,会社で全部やるんだから,みたいなことを言われて,本当に困ってしまうというような時代もありました。
 ただ一方で,例えば博士号でラボの中に入っていたら全然社会が見えなくて,その専門のことしか分からなくて,いまだ日本のPh.D.,特に工学系のPh.D.を取っても,社会で活躍できない人間を出してくるのではないかというような固定観念は社会の中にあります。しかしながら,一方で,世界に出ていけば,Ph.D.を持っていて活躍している工学系のマネジメントをやっている人はたくさんいて,例えば外国で企業の方々と交渉するときに,何とか部長はPh.D.を持っていない,しかしそこの部下にはPh.D.を持っている人がいる,そうすると,これは日本側がそうだったとしますと,向こうでPh.D.を持っている人は,部下だけと話をするんですね。部長に話すのではなくて。だから,Ph.D.を持っている人間は,そういった深い学識があるので,その人同士でそのレベルで話さなければいけないという部分がありますので,そのPh.D.を持っていない上司とは話さないで,部下でPh.D.を持っている人と話すということは,これは非常によく言われていることです。
 この話をした後で,この実務家教員ということを考えてみますと,この実務家教員の方が,もちろん産業界で大変活躍されているから,その方と交流をしていくというのは重要なんですけれども,学位とか大学の中でのそうした教育というものが割と薄くても,実業界で何か最先端でやっていれば,簡単に教授になれてしまって,そちらの方がむしろ重要なんだというようなテンションで招かれてしまうと,それが逆に私たちの昔の先輩たちが言っているように,大学で学んだところで,結局のところは狭い分野しか分からないんだから,どんどん学位なんか取らずに,早く実業界へ出てくださいといった,このテンションを与えないかということが大変気になるところです。それが第1点で,だから,先ほども金子先生がおっしゃったように,クリニカル・プロフェッサーとか,何か少し違うようにしておかないと,逆に大学の学位というものに対する権威が落ちてこないかというのが一方の心配であります。
 第2点目は,大学で何を教えるのか。つまり,申し上げたいのは,社会の中で,実業界の中でPh.D.とか学位を持っている人が,もっと優遇されるというか,実業界でPh.D.を持っている人は使えない人間なのではなくて,どんどん使うというような施策と一体となってまず進めてほしいということを申し上げたいんです。
 第2のところなんですけれども,その実業界から来た方が,それだけ有能なのかどうなのかということです。私たちは教育改革をする前に,MITとか,ハーバードとか,ケンブリッジとか,Caltechとか,いろいろなところへ行きましたけれども,特にMITの教授から言われた一言が割と強烈で,MITでは,最先端科学は教えない,と。それを言ったのは,宇宙工学の最先端科学をやっている教授で,学部教育担当のヘイスティングスという方なんですけれども,そう言われました。というのは,先端科学というのは5年で陳腐化してしまうんだと。もうその分野がなくなるという可能性すらある。だから,大学で教えるべきは,5年後に自分が習った先端の部分が使えなくなったときに,もう1回学び直しをするという,その基礎体力こそ養っておくべきなのであって,そこで大学で先端,ここが今はやっている,ここが今もうかっているということだけを教えてしまったら,その5年後にみんな使えない人間になってしまうんだということを言って,我々の教育改革もそれに基づいてやらなければいけないなという意を強くしたところです。
 この実業界の方で,今,一番最先端で,もうかっていてというような人たちだけがもしたくさん呼ばれた場合に,確かにそれは,今,最先端分野の実業界で一番活躍している方が呼ばれていいんですけれども,しかしながら,その分野は5年後,10年後には本当になくなってしまう可能性もある。そうすると,大学の基礎体力として,今もうかっているからここと組みましょうというのではなくて,本当の意味での工学教育というのは,その基礎体力を付けていく,常にイノベーションをどんなときでも,その分野がなくなってもそこで起こしていけるような人材を生み出していくという方向性なので,そのことの強調をしていただかないと,今最先端分野の実業界の人を入れましょうというノリだけだと,それは短期的には体力は高めるんだけれども,長期的には衰退していくということも考えられないこともないので,そこら辺の目配りをお願いしたいと,これが第2点です。
【鈴木主査】  いろいろ御意見を頂いていますが,溝上委員,それから美馬委員,お願いします。
【溝上委員】  時代の変化に応じた必要な取組だと思います。私の方は,内部質保証に関して,特に今後の工学以外のところまで広がっていくことも見据えて,一つ質問したいんですが,うまく理解できていないところがあるかもしれませんので,こうだと言ってくださればいいと思いますが,内部質保証に関して,今,三つのポリシーとか,いろいろ進めているわけですけれども,今のこの新しい学位プログラムの考え方,そこに行く手前の段階で多くの工学部,大学で今非常に苦労して作っていっているところだと思います。
 新しい学位プログラムとして広げていくのはいいんですけれども,申請があって認可していくときに,既存の大学とか学部の質保証の取組状況があります。そういうものが考慮されるのかどうかです。それがなくしていろいろ重ねていっても,しっかりした質保証になっていくのかというのが懸念されるんですけれども。
【髙井大学振興課課長補佐】  内部質保証の関係ですが,内部質保証は非常に重要になってまいります。学位プログラムについて,今後どうしていくかは,また御議論いただくことにはなりますが,三つのポリシーを含めて,学位プログラムごとに考えていくということも含めて,御議論を引き続きしていただくということになるかと思います。よろしくお願いいたします。
【溝上委員】  いやいや,そうなんですけれども,そこは理解しているんですけれども,申請母体が今まで十分に取り組めていないものをさらに広げるという可能性があります。そこに対する予防策というか,チェックポイントみたいなものがあるのかということなんですけれども。
【三浦大学振興課長】  昨年度お出しした資料には,大学全体としての学位の質をどうやって担保していくのかということ,まさに内部質保証だということだと思いますけれども,それは極めて重要であるという部分はきちんと盛り込ませていただいていると思います。
 その上で,個々の学際領域の学位プログラムを新たに作ろうとしたときに,それが例えば実務的に設置審マターになるのか,そうではないのかということの取扱は,またこれから詳細を詰めていかないといけないと思っていますが,従来の範囲内であれば,大学が自由に設定できるような制度設計にしたいとは思っていますので,そうなると,審査をする場というのは認証評価ぐらいしかないわけで,それを作るときに直ちにということにはならないんですが,繰り返しになりますけれども,その資料に盛り込んでいたようなものを制度化するときには,きちんと各大学にお知らせをするような形にしていければとは思っています。
【美馬委員】  二つあります。一つは,前回のコメントを反映させていただいてありがとうございます。前回,私が言ったのは,教養科目のようなものを単に持ってきて,そこに当てはめて,その人が単にその科目を講座すればよいというわけではなくて,持ってきた工学の中に合わせて開設するというところは反映されていると思いましたので,ありがとうございます。
 一方で,今日,もう一つの点は,先ほど皆さんから御議論に出ている実務家教員に関してです。もう1回,ここで改めて,実務家教員を持ってくること,目的というところから問い直してみたいのですけれども,ここに今日御説明いただいた資料の中では,実務家教員が必要であるというのは,PBLなど企業との連携というところにそういうことを生かしていきたい,生かしてほしいということで書かれていると思います。ただ,そうすると,今度はそれが5年の実務でよいのかどうかということです。この中には,実務家教員として入っても,やはり大学院での指導が入ってくるわけで,論文とか研究の指導について,この点について,今の条件だけですと,先ほどの研究指導というところができるのか。それから,その中で求められているのは,自分がやってきた実務をメタ化できるのかということですね。単に実務ではなくて,それをもう少し普遍的なものとして教育,研究活動としてそういうことができるのかということ。それにおいては,是非ここでお伺いしたいのは,どのような人を具体的にイメージしてほしいと思っていらっしゃるのか。ここで書かれているのは,ビッグデータとか,データ分析とか,そういうものが書かれていますけれども,そういうことと,最先端のと言ったときに,では,どういった人がそこに応募してくるのかということを少し,もし具体的に頭の中におありだったらお伺いしたいと思います。
 以上です。
【鈴木主査】  いかがでしょうか。
 局長,お願いします。
【義本高等教育局長】  大学の方から御相談がありまして,AIとかビッグデータの関係の新しい学部とか学科を作りたいんだけれども,なかなかその分野の人が来てくれない。ただ,結局,フルスペックで辞めてくるというのはリスクがあるし,一方,そういう方々については,むしろもう過去の話であって,実際上は先端ではないケースもありますので,生きのいい情報をやっていただくためには,やはりエフォート,特に教育のエフォートについては少し大学院の設置基準に,今,6単位として,それを4に落とそうとしますけれども,向こうに仕事に持ちながら来ていただいてということについて,もう少し緩和していこうというのがそもそもの発想です。
 ただ,その場合でも,基本的には,先ほど金子先生,あるいは本郷先生からお話しいただきましたように,採用のときにどうするかとか,恐らく職位をどうするかにおいては,研究指導の能力があるかとか,実績を見た上で,もちろん博士の学位があるかとか,そういうことももしかしたらケースがあるかもしれませんけれども,そこをしっかり見ていただくということもおそらくあると思いますけれども,いずれにせよ,実務家教員の取扱については,これは設置基準で細かいところまで規定できることは多分難しいと思いますので,前回でも御議論いただいたような,例えば教学のマネジメントの指針の中においても,そういうふうな標準的な在り方について御議論いただいて,少し必要な考え方のベースを盛り込んでいくとかということについて深められればいいのではないかと考えております。
【鈴木主査】  よろしいですか。
 篠田委員,それから濱名委員,そして金子委員ということにお願いいたします。
 篠田委員,どうぞ。
【篠田委員】  溝上先生の御発言にも関連して,質保証の仕組みについて少し発言をさせていただきます。
 今度の学部の枠を超えた,あるいは工学系教育改革の場合には,学科の枠を超えた柔軟な教育システムの設計ができるような構造で,柔軟な,あるいは特色のある教育を作り出していく,人材養成していく,この方向は非常に時代の変化に対応した重要な施策だと思いますけれども,この学部の枠を超えた,あるいは学科の枠を超えたというようなことで,本当に特色を打ち出して成果を出していく,そういう新しい試みを実現していくためには,やはりそれにふさわしいような運営の仕組み,仕掛けが不可欠だと思います。
 その点で,資料1の2枚目のところで,制度設計上の論点で七つ挙げていただきましたけれども,これは私も発言をさせていただきましたが,やはり(3)番とか(4)番のところで言っているような教学管理態勢だとか責任体制,教員組織,あるいは内部質保証の仕掛け,PDCAの在り方というあたりが非常に重要で,新しい特色あるシステムであるがゆえに,既存の縦割りの組織にその達成を任せるというようなシステムでは,なかなかうまくいかないのではないかと思いますし,これは三つのポリシーを全部作り直すのかどうなのかは分かりませんけれども,少なくともディプロマ・ポリシーといいますか,人材養成目標については,今までの縦割りの学部や学科でやってきた中身とは違ったものを設定して,それを実現するための質保証をしていくということになりますと,それにふさわしいような組織の在り方をどうしても設計していく必要がある。このあたりのところが非常に成果を出していく上では重要だということについて強調していく必要があるのではないかと思います。
 資料2のところで言っております工学教育についても,学科に変えて課程を置くということなんですけれども,これも同じ工学部の中ですので,学位プログラムとは多少性格が違うとは思いますけれども,ただ,やはり今までの学科の枠を超えて新しい人材養成,しかも他学部からも教員も入れながら新しい試みをしていくという形になりますので,これをどのようにしていくのか。
 例えば,資料2のところでは,カリキュラム・ツリーをちゃんと定めて学生に示すという形になっておりますけれども,このカリキュラム・ツリーがねらっている目的とかというのは,本当に達成できたかどうか,どこが評価をし,責任を持って推進していくのかという組織的な裏付けなりシステムを明確にしていかないと,プログラムだけ作ってもなかなか実行性が伴わないという形になろうかと思いますので,そのあたり,推進に当たっては是非御検討いただければ大変ありがたいと思っております。
 以上です。
【鈴木主査】  濱名委員,どうぞ。
【濱名委員】  誤解のないように言いますが,制度的に,私,反対しているわけでは全くないので,どうきちんと通用性を担保するかという点から言いますと,一つは,みなし教員とか実務家教員の名称の問題もあります。国立大学関係者の方に意見を言うわけではないのですが,様々な名称の教授がたくさんあるわけです。この名称と,このみなし専任教員の問題をどう整理するのか。やはりそれを整理しないと,大学によって呼び方が,恐らく「みなし教授」とは言わないわけです。そうすると,社会から見られたときに,今,マスメディアに登場する“なんちゃって教授”がたくさんいるわけで,その実態を把握して,やはり整理をしないと,同じ教授と言っても,客員教授ぐらいは専任とかでないことは分かりますけれども,招聘教授とか,特別招聘教授とか,特別待遇教授とか,結局,雇用条件を示しているのか,身分を示しているのか,これは全く分からないので,やはりこの際,そこらを整理して,併せて制度としてやっておく必要があるのではないか。例示なりを整理していただきたいというのが1点。
 もう一つは,こういう新しい制度をどんどん作っていくと,日本の高等教育はすごく複雑になっているのですね。それで,国際企画室がおいでなので聞きたいのですけれども,これを,どういうふうにして今の状態が海外に発信できているのか。要するに,DQF(ディグリークオリフィケーションフレームワーク)でも作らない限りにおいて,例えば今回のものも6年で1セットなのですね。じゃあ,アンダーグラデュエイトを6年でやっている分野があれば,4プラス2で修士レベルまででやっている既存分野もあるわけで,それらの国際通用性を担保しないと,結局,こういう制度を作っても国際的に通用しないということが懸念されるのですが,これはどういう形で現状なっているのかというのと,今期すぐにおやりにならないかも分かりませんけれども,やはりそういうディグリーに対する考え方を文部科学省として整理をされる御予定はないのかということについて教えていただきたい。
【鈴木主査】  金子委員,どうぞ。
【濱名委員】  回答してくれていないのですが。
【鈴木主査】  回答をお願いします。失礼いたしました。
【進藤国際企画室長】  国際企画室でございます。今,濱名先生から御指摘ありましたとおり,日本の制度が海外から分かりづらいという指摘は非常に多数ありまして,最近,ユネスコの資格の称号承認に関する国際規約に我が国が12月に締結して,2月に正式に発効いたしました。その中で国内情報センターを設置するということが規定されておりまして,その国内情報センターは,まさに我が国がどのような制度になっているのかを海外に分かりやすく一元的に情報提供するという形になってございます。そのような,まだ今,現時点で設置されているわけではございませんけれども,そういった制度が設置されましたら,日本の国内制度を分かりやすく情報提供するということです。
 現状に関しましては,文部科学省のホームページなどの英語のホームページはなかなか貧弱と言われておりまして,最新の制度が英語で分かりやすく発信できているかと申しますと,なかなか厳しいところがあるんですけれども,これから海外に向けた情報発信をきちんと構築していきたいと考えております。
【鈴木主査】  金子委員,どうぞ。失礼いたしました。
【金子委員】  私,特命教授なもので,特命が名前がないのではないかという説もあるんですが,私はいろいろなその種の教授ができているのは,雇用上の問題があると思うんですが,ただ,ここで危惧されているのは,教授という大学教員の資格が余りに広がってしまうと,質の担保がなかなか難しくなるのではないか。
 特に日本の,これは余り皆さん御存じないんですけれども,日本の大学は教授の割合が先進国の中で一番多いんですね。教授と准教授との比率が6対4とか,それぐらいで,これはかなり特殊です。ドイツなどは正教授は1割ぐらいしかいない。イギリスもかなり少ない。
 それは何を意味しているかというと,一定のところで教員評価が余り効いていないということなんですね。私は何でも評価すればいいかというと,それはそんなことはないと思いますが,教員評価は客観的に非常に緩いということは認識しておかなければいけない。これは単に実務家教員だけの話ではありません。アカデミックと思われる人たちの教員も相当大きな問題があるだろうと思います。
 一つそれはあるんですが,もう一つ,実務家教員については,さきほど申し上げたように,私は概念自体がかなり曖昧にしたままに来ているので,そろそろそういうものはきちんとして考えた方がいいとも思いますし,それから,言葉の使い方も,濱名先生がおっしゃったように非常におかしくて,「ダブルカウント」という言葉は,あれは非常におかしい使い方をしているんですね。あれはむしろ,アメリカだったら「デュアルアポイントメント」とかと言うところを,「ダブルカウント」とか言っているところがあって,その整理も必要だと思います。
 ただ,実務家教員がどういうふうに具体的にコントリビュートするかというのは,ある程度できないと分からないというか,やってみていい使い方ができてくるところがあるのは事実だと思うんです。
 私はリーディング大学院の審査員をやっていますけれども,リーディング大学院はアドバイザーと言って,企業の人をアドバイザーで入れてやっていますけれども,やはりかなり企業の人がやるのはもうかることだけを考えているのではなくて,それこそサイエンスの技術の将来をかなり視野は広く考えて,それが学生にかなりポジティブな影響を与えるということがあるのは事実だろうと思います。
 だから,今度,工学部を先行して出すわけで,かなり無理をして作るというか,議論の上ではかなり無理がありますけれども,ただ,やれたら工学部でどういう成果があるのかということをエバレートして,それをどういう実務家教員の在り方がベネフィットがあるのかということを示してもらいたいと思います。
【鈴木主査】  ありがとうございます。
 そのほかございますか。
 上田委員。
【上田委員】  先ほどは実務家教員の点で申し上げましたけれども,これは今までの工学系が本当に縦割りになっていて,隣の研究室とも何も交流がないし,学部が,学科が違うものになってしまったら全然交流がないといったようなところに,こうしたものでカンフル剤を与えたいという,その意図はすごくよく分かるし,あと,それは絶対推進するべきだと思っております。
 それで,実務家教員を入れたら,社会に対応して,こういうものを作ったら,一気にその壁みたいなものが崩れて活性化するかというと,そうでもなくて,やるべきは本当に,今,実務家教員のFDとか教育をやれと言っていたけれども,今まで旧態依然とした工学部あるいは文学部だってそうなんだけれども,そこの人たちのFDをどうやるかということで,学生などよりも,やはり教員の硬直性というのは大学の中でもすごく問題になっているところです。ですから,こういった学位プログラムとか教育改革をやる中で,活性化していくべきところは,これを見ていると,「社会に即応して」とか,そういうような文言で書かれていますけれども,より教育とは何なのかとか,やはりそこで自分の今までの島を守って,それをただただ伝統のように受け継いでいくのが大学なのではなくて,より活性化したものにしなければいけないんだというような根源的なことを言っていただかないと,ただ社会にタイアップしたとか,そこで実務家を入れろみたいな文言の言い方よりも,もう少し根本的に重要なことの文言も入れつつ,そのことを言っていただけると,より本質的な教育改革になるのではないかという気がいたします。
【鈴木主査】  ありがとうございます。
 どうぞ。
【石橋高等教育政策室長】  1点,今後の予定の関係で議論の進め方の観点で御相談なんですけれども,今後,5月15日に次のワーキングがありまして,このときには実務家教員の在り方も含めて,教員評価の在り方,今,金子先生がおっしゃっていただいた点は議題に上げたいと事務局としては考えておりました。
 また,学位の国際通用性に関しましては,それ以降のワーキングで議論させていただければと思っておりますので,それも踏まえて御審議いただければありがたいと思っております。

【義本高等教育局長】  1点,済みません。
【鈴木主査】  どうぞ,局長。
【義本高等教育局長】  上田先生の御指摘もごもっともでございます。どうしても制度の見直しになると,その部分についての合理的な説明となりますと,根源的なところは,今お話がありましたように,どうしてこれを作るかというと,お話にありますように,カリキュラム改革が進まない,学部縦割りになって,あるいは教員の意識自身も変わらないという点について,そこに一定の方向性を与えていく,それを起爆剤にして大学での自己改革を進めていただきたいというところがベースでございますので,その点は強調する形で,今後,学位プログラムを議論する場合においてはまとめたいと思っておりますし,また,大学院の問題,博士の質の問題がございましたけれども,これは別途大学院部会で今,議論を始めておりますので,その中できょう御指摘あったことについても踏まえた上で整理していきたいと思っております。
【鈴木主査】  ありがとうございます。
 きょうは本当に多方面から熱心な議論を頂きました。基本的には,この方向でいけるという,これでいってもらいたいという御意見が幾つもございましたし,また,実務家教員,みなし教員について,いろいろ考える点がまだあるのではないかということも御意見を頂きました。
 今,上田委員がおっしゃったように,もっと深いところで考えの枠組みを想定する必要があるということも意見として出てきております。
 先ほど,石橋さんからありましたように,5月15日,あるいはその後も議論の機会がございますので,そのことも考慮したいと思いますけれども,今までの議論の中で,「学位プログラム」と「工学系教育改革」というこの二つを議論していただくということにしておりましたけれども,学位プログラムに関しましては,今頂いた諸議論をなお継続して深める必要があるというふうな取扱で,皆さんの頂いた意見を統合,総合しながら入れ込むということが,どういうことができるかということを考えさせていただければと思います。
 それから,工学系教育改革につきましては,これにもいろいろ御意見を頂きましたけれども,御意見を収束といいますか,大筋で受け入れていただいたかと思いますので,工学系教育につきましては,ワーキンググループとして御了解頂いたと理解させていただいてよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【鈴木主査】  ありがとうございます。
 それでは,今申し上げたように,学位プログラムに関しましては議論を継続させていただく。それから工学系教育改革につきましては御了解頂いたといいうことにいたしまして,今後はパブリックコメントにかけさせていただきまして,その意見も踏まえて,本ワーキンググループの親会議でもあります大学分科会と将来構想部会の合同会議において議論をしたいと思いますので,御了承をお願いいたします。
 それでは,次に進ませていただきます。
 本日の後半は,高等教育の国際化についてであります。
 これまで大学の海外展開や学位等の国際通用性については御議論いただいて論点の整理も取りまとめたところでございますけれども,本日は大学の海外展開について,さらに進んだ議論をしていただきたいと思います。
 次に,2020年までの留学生30万人計画がございますが,これが受け入れ達成に近付いております。しかし,その後を見据えた留学生政策の方向性について,事務局で資料を準備していただいております。また,大学の国際化に対応する大学入学資格の見直しについても説明をしていただきまして,あわせて意見交換を行いたいと思います。
 それでは,事務局から,資料3,資料4,資料5について説明をお願いいたします。
【進藤国際企画室長】  国際企画室長の進藤と申します。今の高等教育の国際化の三つの論点のうち,まず一つ目,大学の海外展開につきまして,資料3に基づいて御説明をさせていただきます。
 大学の海外展開につきましては,昨年の9月にこちらのワーキンググループで御議論を頂きまして,12月末に論点の取りまとめを行っていただいているところでございます。
 9月の中でも,大学の海外展開の意義について御議論いただきましたので,その点をまとめた点をまず御説明させていただきます。
 社会,経済,文化のグローバル化が進展し,学生や教員も含めて国際的な流動性が高まっている中で,世界中の学生が国境を越えて進学先を選択する,そういった中で,我が国の大学が,諸外国の学生に対しても魅力的な大学教育を提供するためには,国内の大学の国際化,あるいは受け入れ環境の整備を進めるとともに,大学が海外展開を図り,現地で質の高い日本の高等教育へのアクセスを提供する努力が不可欠ではないかと整理をさせていただきました。
 また2点目でございますけれども,そういった現地で様々な大学がプログラムを展開しておりますと,そういった国や地域において大学の海外展開を図るということは,それらの大学と切磋琢磨をするとともに,多様な文化や社会的背景を持つ教員,学生の交流を可能にする。そして,魅力ある教育プログラム作りにつながるということから,我が国の高等教育機関の教育,研究力の向上,あるいは国際的通用性の強化,こういったことが期待できるのではないかと考えてございます。
 また3番目の丸でございますけれども,我が国においては,18歳人口が減少しており,国内の学生のみを対象とする大学教育には限界があるということから,我が国の大学が日本国内において果たすべき役割のみならず,我が国がこれまで培ってきました知見やリソースを活用して,世界に開かれた高等教育機関として期待される役割,こういったものを果たしていくためにも,大学の海外展開を促進することが求められているのではないかということで,意義を整理させていただきました。
 これまでの審議の整理でございますけれども,昨年12月28日におまとめていただいた論点の整理でございますが,(1)番,現行制度・現状でございますけれども,平成17年に学修機会の国際化及び日本の大学の海外展開の観点から,日本の大学が外国において教育活動を行う際に,日本の大学の一部と位置付けることが可能となった,そういった大学設置基準等の改正を行いまして,これにより,外国に学部,学科その他の組織を設置できることになっております。
 続きまして,(2)番の課題に移らせていただきますけれども,しかしながら,現在までに外国に学部等を設置することができる制度の活用は十分に進んでいない現状がございます。その背景としましては,日本国内での教育活動を前提とした制度を,外国での教育活動の条件として等しく適用する困難さ(校地校舎の自己所有,収容定員管理等),こういった課題が前回9月のワーキングでも指摘されたところでございます。
 そこで,(3)番の論点と検討の方向性でございますけれども,こういった日本の大学が海外に設置する場合の課題,上記の阻害要因等を整理し,対応の検討が必要ではないか。例えば,外国では日本と同様の条件遵守が難しい制度の改正や,海外展開に係る現地情報の提供等に関する在外公館や海外の日本関連機関等との連携の仕組み等,大学が積極的に海外展開をできるようなインセンティブを付与する等の方策の検討が必要ではないか,こういった論点整理をまとめていただいたところでございます。
 そこで,3.以降に,その後の検討状況について,事務局の方で少し整理をさせていただきました。
 まず(1)番の海外校の開設に当たっての課題についてでございます。この課題に関しましては,先ほどの論点整理でございましたとおり,校地校舎の自己所有,あるいは定員管理について御指摘がありましたので,簡単に御説明をさせていただきます。
 まず,校地校舎の自己所有でございますけれども,こちらは告示の「学校法人の寄附行為及び寄附行為の変更の認可に関する審査基準」では,校地校舎,下線を引いてございますけれども,校地校舎は基本的には自己所有,あるいは次の3ページ目でございますけれども,開設時以降二十年以上にわたって保証のある借用の校地であるということを基本として定められているところでございます。
 ただ一方,(ウ)で書かれておりますけれども,「開設時以降二十年以上にわたり使用できる保証を得ることが困難な特別な事情があり,かつ,大学等の教育研究上の目的を達する上でやむを得ない理由がある場合において,学校教育法に定める当該大学等の修業年限に相当する年数以上にわたり使用できる保証のある」,こういったものでよいということが今の基準で定められている。基本的には自己所有又は二十年以上の長期にわたる使用できる保証。ただ,そういったものになかなか難しいような事情がある場合には,修業年限相当でも認められる場合があるといったことが定められている。これが現在の基準でございます。
 また,今は校地の話でございますが,校舎その他必要な施設につきましても,ほぼ同様の規定になっているというのが現状の規定でございます。
 その後の丸,「例えば」以降でございますけれども,これは9月のワーキングで御指摘があったことでございますが,例えば,中国に展開をするといった事例になりますと,中国では,土地は御存じのとおり国有地でございまして,日本の大学が自己所有あるいは二十年以上使用できる,こういったことはまず困難であるということは明らかな状況であるということでございます。
 また,繰り返しになりますが,「一方」以降でございますけれども,もし二十年以上にわたり使用できる保証を得ることが困難な特別な事情があり,かつ,教育研究上の目的を達する上でやむを得ない理由がある場合には,修業年限に相当する年数以上で保証があればよいということにされていますが,その次の「しかしながら」でありますとおり,海外校を開設する際の「特別な事情」あるいは「やむを得ない理由」がどのような場合かが明らかではないというのが現状かと思います。そうしますと,大学側にしてみますと,海外校の開設にはどうしても消極的にならざるを得ない,こういった現状があるのではないかということで整理をさせていただきました。
 次に,定員管理について御説明をさせていただきます。
 海外校に関しましても,日本の国内の学部と同じ定員管理がなされていることとなります。日本国内の学部等を開設する場合でありますと,日本の国内市場でありますから,これまでの経験から,受験者数,あるいは手続率等の予測は比較的つきやすいと思いますけれども,課外校を開設する場合には,どれだけ受験者がいて,どれだけ実際の入学手続を行うのか,こういったことを正確に予測して定員どおりの学生を確保するということには,大きな困難が伴うものだろうと考えられます。
 もし海外校の定員を大幅に超過する入学者が生じた場合には,海外校だけではなくて,その同一法人が設置する他の大学等も対象としまして,いろいろな学科も含めて新規の大学設置等の認可申請を認可しないといった取扱に該当する可能性がございます。このように定員の予測が外れた場合のリスクが非常に大きいということも,海外校の開設に消極的になる要因の1つとして考えられるのではないかというふうに整理をさせていただきました。
 以上のような分析を踏まえて,今後の検討の方向性でございますけれども,海外校を開設するに当たって,大規模な投資を行って校地,校舎を自己所有ということも,あり得ると言えばあり得るかもしれないですが,非常にリスクが高いということとなって,大きな困難を伴うと考えられます。このため,これは9月のワーキンググループで実際の個別事情のヒアリングで御説明いただきましたけれども,海外協定校の校地,校舎,その他の施設も活用した海外校の開設がまず現状としては一番現実的ではないのかと考えてございまして,そのような海外校の開設も可能となるような,次のような制度の運用の改善を行ってはどうかということをこちらに記載させていただきました。
 まず,校地,校舎の自己所有の件でございますけれども,海外校の開設をする際に,「開設時以降二十年以上にわたり使用できる保証を得ることが困難な特別な事情」あるいは「大学等の教育研究上の目的を達する上でやむを得ない理由」,こういった場合が海外校の開設でどれだけあり得るのかということをまず明確化するということがあり得るのではないか。こちらがなかなか今,どのような場合があり得るのか分からないということもありますので,こういった協定校を活用した海外校の開設も念頭に置いた上で,こういった明確化,先ほどの困難な特別の事情,あるいはやむを得ない理由を明確化するということがあり得るのではないかというのが1点目でございます。
 また一方,次のポツでございますけれども,海外校の校地,校舎の自己所有などを求めていたものは,安定性や継続性を担保するというのが大きな目的でございましたので,そういったところをないがしろにしないためには,海外協定校との協定の内容を吟味しまして,学生等が不利益を被ることがないように安定性や継続性を担保することが考えられるのではないかというような点でございます。
 また,海外校の定員管理に関しましては,先ほども御説明いたしましたとおり,国内とは違いまして大きな不確定要素があることを踏まえまして,教育の内容の質を,教員,学生の比率などがございますけれども,きちんと担保できることを前提に,入学定員超過率の基準の在り方に関しまして,海外校に関しては検討してはどうかということを提案させていただきたいと思います。
 また,現状につきましては,大学設置基準に基づく日本の海外校についてでございますけれども,4番目にありますとおり,大学の海外展開に関しましては,海外校の開設に限らず,多様な形態による海外展開が重要なのではないかと考えます。
 例えば,海外の協定校との連携によって提供されるツイニングプログラム等の学位プログラム,こういった学位プログラムを締結しますと,日本の大学への転入学・編入学,あるいは大学院大学から日本への進学など,こういった規模の大きな日本への受け入れにもつながることから,優秀な外国人留学生の受け入れ促進,こういった観点からも有益ではないかと考えています。
 また,海外展開の形態の一つとしまして,日本の学校法人が海外において当該国の教育制度の認可を受ける,大学を設立する,そういった展開もあり得るのではないかと考えています。
 (2)番の今後の検討の方向性でございますけれども,日本の大学と連携をして,単位互換,あるいは転入学・編入学を含む学位プログラムを提供する,こういった海外の大学,日本の大学が増加をすることによりまして,日本の大学への転入学・編入学を促進することが期待されるのではないかと考えております。
 一方で,海外の大学になりますので,質保証はどうなのかということが次に議論になるかと思いますが,単位互換や転入学・編入学を行う際には,教育の質を保証するということから,相手の海外大学が当該国の高等教育制度の仕組みにおいて教育内容に関する質保証がなされている。また,日本の大学と協定の内容が適切に提供されている,こういったことを担保することによりまして,教育の内容に関する質保証を図ることが考えられると考えています。
 そのような海外との様々な共同のプログラムを展開することを増加させるためには,非常に有用な事例がもし出てきましたら,その取組を普及するということによりまして,そのような海外との連携による学位プログラムを振興するということが考えられると考えております。
 次の5番でございますけれども,海外展開に関するインセンティブということも9月で議論を頂きましたけれども,海外展開を行うに当たりましては,現地情報が不足するということが考えられますので,当省といたしましては,在外公館や,あるいは,海外にいろいろな日本関連の事務所がございますので,そういったところとの連携をより一層強化しまして,大学の海外展開を支援するということを考えてはどうかと思っています。
 また,これに関しましては,対象となる国や地域に応じまして,それぞれ状況が異なりますので,何らかの一律の制度を設けるというのは非常に難しいと考えておりますけれども,様々な個別のニーズに応じて,可能な体制を構築して,順次,支援を行っていくことが考えられています。
 また,こちらも非常によい好事例がございましたら,そういった好事例をそれぞれ他の地域へ横展開を図るということによりまして,こういった海外展開を図るインセンティブを大学に有することを考えてはどうかと考えているところでございます。
 以上,大学の海外展開について御説明をさせていただきました。
【鈴木主査】  ありがとうございます。
 それでは,資料4について御説明をお願いします。
【齋藤留学生交流室長】  それでは,続きまして,留学生交流室より,ポスト留学生30万人計画を見据えた留学生政策につきまして,資料4を基に御説明させていただきます。
 まず,現状・背景ですが,先ほど,主査から御紹介いただきましたように,留学生30万人を目指していく。2020年までの目標として取り組んでおりますが,真ん中のグラフにもございますように,日本語教育機関で学ぶ留学生を含めますと,現在,26万7,000人ということで,30万人の受け入れ達成にかなり近付いているという状況でございます。
 ただ,数としてはこういう状況でございますが,課題もいろいろあると考えております。
 まず,大学の国際化というところに関しまして申し上げると,先ほど申し上げました日本語学校の伸びが大きいということ。それから,この赤いグラフの中でも専門学校の伸びが大きいということで,実際には大学,特に学部段階での受け入れ増ということに関しては,やはり大学によって差があるということ。それから,海外においても特定の学校のプレゼンスはあるものの,幅広い大学について,なかなか周知されていないというような課題がございます。
 また,留学生を受け入れることによって,諸外国との架け橋人材を育成するという目的もございましたが,この点で申し上げますと,まだ留学生の9割以上がアジア出身ということで,幅広さといったところは課題。
 それから,留学に来ていただいた後の経験者のフォローアップといったところが,なかなか不十分であるといった課題があると考えております。
 また,それに加えまして,近年は,高度外国人材としての留学生に対する期待が非常に高まっております。国内の人材ニーズ等との関係で,留学生の我が国企業への就職を期待されている状況がございます。
 その一方,この下の※印にございますように,卒業後就職ということのみならず,例えば,働きながら学ぶ留学生が増えているといったことで,その中で日本語能力の獲得も含めまして,アルバイト等に専念することで学習面への影響,中途帰国,場合によっては犯罪への関与といったような問題も指摘されています。
 右の下の端の方でございまして,振り返って世界的な動向を少し見てみますと,右上のグラフにございますように,世界における留学生交流数の動向が,これまでかなり急激に増加してきていたところでございますが,2010年頃を境に少し鈍化しておりまして,大体400万人を超えたあたりで推移しているといった状況でございます。
 その一方,主要な受け入れ国として,これまで米国,英国を含む欧州といったことがございましたが,こういった受け入れ国においても,政権の問題,それから難民等の問題等もございまして変化がある。加えまして,新たな受け入れ国として,これまで送り出しが中心だった中国等が出てきているといった状況でございまして,全体として見ますと,これまで留学生交流が右肩上がりだった時代とまた異なった意味で優秀な留学生を受け入れていくに当たっての課題が出てくるといったことがございますので,これまで以上に戦略的な考え方が必要ではないかと考えております。
 2ページ目でございますが,これを踏まえまして,今後の政策といったことで,少し論点の提案をさせていただいております。
 まず,留学生の受け入れによって,そもそもどういった大学の姿を目指していたのかというところに立ち戻る必要があると思っております。一つ目の菱形にございますように,やはり留学生の受け入れをするためだけのプログラムといったところから少し踏み出しまして,日本人学生,留学生,社会人も含めて多様な価値観が交わることで新たな価値を生み出すといった意味の大学の国際化を目指していく必要があるのではないかということ。
 それから二つ目にございますように,これは都市部の大学のみの問題ではございませんで,地方の大学においても留学生が広く積極的な役割を果たしていただきまして,そういった先ほどの地域の就職のニーズも含めまして,グローバル時代の地域の発展を担う人材として,留学生を軸にキャンパスを作っていただくということも求められるのではないかということ。
 こういったことを踏まえて,三つ目の菱形でございますように,英語プログラムや日本語教育の充実,学事暦の柔軟化,留学生のサポート制度等,これまで大学の国際化のためのグッドプラクティスが取り組まれているところもございますので,こういったものを全国的に普及して,地域ごとに拠点を形成していくといった考え方が求められるのではないかと考えております。
 これを踏まえまして,留学生政策の方向性といたしましては,(1)から(3)まで掲げております。
 (1)といたしまして,大学の国際化を実現する多様な留学生交流の推進ということで,先ほど申し上げましたとおり,学部段階における受け入れを拡充していくというところ。
 それから,先ほど,前半の大学の海外展開のところでも触れられましたとおり,海外協定校と連携したツイニングプログラム等,多様な形態による留学生交流が必要ではないかということでございます。
 (2)番が,留学経験者のネットワークの拡大と可視化といったところでございますが,幅広い諸外国との架け橋を築いていくという観点から,受け入れ国・地域をもっと多様化していくといったこと。
 それから,日本留学経験者のネットワークを構築することによって,外交的な観点,それから研究面の観点,それから我が国の経済社会の競争力の向上といったいろいろな観点で,そことの連携を図っていくといったことが必要ではないかということでございます。
 (3)番として,高度外国人材としての留学生の我が国への定着促進ということでございますが,これは我が国の高度外国人材に対する企業等のニーズを踏まえながら,それぞれの地域ごとに大学,自治会,企業等が連携して留学生の就職促進を取り組んでいただいているところでございますが,こういったことを全国に展開していく必要があるということ。
 それから,海外における日本留学の発信の観点におきましても,日本留学の誘いのワンストップサービスといったところを通じまして,大学等での経験ということのみならず,大学を経て日本で高度人材として活躍するようなキャリアパスの魅力自体を海外で発信していく必要があるのではないかということでございます。
 そして最後に,その前提といたしまして,※印にございますように,留学生が日本で残念ながら途中で勉学を断念するようなことがなく,確実に学位取得・単位取得の上,キャリアアップを図れるように,大学における留学生受け入れの質を確保していくといった視点が必要ではないかということでございます。
 今後の施策は,もう少し細かいところで書いております。海外大学との連携による戦略的な留学生交流の推進のところは,先ほど,前半で御説明申し上げましたとおり,海外の協定大学との関係による交流の増加。それから,日本への転入学等の促進といったこと。それから,この後,別途御説明申し上げます大学入学資格の緩和といったような観点がございます。
 それから,日本語準備教育(ファウンデーションコース)の積極的活用といったところで,こちらは,非常に優秀な留学生であるものの,日本語能力が十分でないことにより,大学入学がなかなか難しい方につきまして,日本語能力を一定水準上げることを条件付きで受け入れていくための準備教育といったことを推進していくことは考えられないのかということでございます。
 それから,産学官による就職促進の仕組みの構築でございますが,今,文科省でも,留学生就職促進プログラムというモデル事業を行っておりますが,これをもう少し履修証明プログラムのような形で横展開することを考えていくといったこと。
 それから,そういった就職を目指す留学生に焦点を当てたような形での奨学金の重点的な配分ですとか,若しくは,まち・ひと・しごとの交付金等をうまく活用いたしました地域の活性化につながるような留学生・日本人学生混住型の住環境の整備といったことも考えられるのではないかということでございます。
 最後に,留学情報の一元化・海外でのリクルーティング強化ということでございますが,これまでばらばらに様々な機関で発信しておりました海外における情報発信を,ワンストップのものを構築していくといったこと。
 それから,留学経験者の同窓会等と連携いたしまして,新たな留学生に来ていただくといったこと。
 それから,留学生の共通試験として,今,「日本留学試験」といったものがございますが,こういったものがより海外で利用促進されるような方策といったことを考えていってはどうかということでございます。
 以降,3ページ目以降は,それを全体のイメージとして示しておりますが,左下の留学生の様々なニーズに応じて受け入れるルートを確保していくといったこと。それから,上側につきまして,留学生の特に就職を見据えて,企業とのミスマッチを解消していくといったこと。それから,その全体につきまして,右下にございますように,いろいろな機関が一体となりまして,海外で強力に情報発信をしていくといったことを少し考えてみてはどうかということでございます。
 以上でございます。
【鈴木主査】  ありがとうございます。
 それでは,資料5について,説明をお願いいたします。
【髙井大学振興課課長補佐】  続きまして,大学振興課でございます。資料5を御覧いただければと思います。「大学の国際化に対応する大学入学資格の見直し」について御説明をいたします。
 おめくりいただきまして,2ページを御覧ください。
 検討の背景でございますが,大学入学資格につきましては,基本的には外国において学校教育における12年の課程を修了した者に与えることを原則としております。ただ,国際化を推進していく中,グローバル化が推進していく中で留学生や帰国子女が増加する中,どのような形で大学入学資格があるべきかということで,様々な改正がこれまでなされてまいりました。例えば,昭和54年の国際バカロレアの大学入学資格としての認定をはじめ,様々な改革がなされてきたところでございます。
 しかしながら,いまだに学生募集や入学手続の段において,様々な大学から,まだまだ改革が必要であるという声が上がってきておりまして,本日は,そういった事例を御紹介させていただきながら改正の提案をさせていただきたいと考えております。
 次の3ページを御覧ください。大学入学資格が認められなかった事例です。
 事例1,ジョイント・ディグリープログラムの実施に当たっての問題でございます。この件については,WASCの認定を受けたインターナショナルスクールに在籍する学生が,18歳未満で日本のA大学と海外のB大学のジョイント・ディグリープログラムに入学をしたいということで手続をしようとした件でございます。アメリカB大学については入学が認められましたが,日本のA大学については年齢要件に満たないということで認められなかったということで,アメリカの大学からも改正の要望が上がっているところでございます。
 事例2についてです。事例2は,いわゆるインターナショナルスクールの早期卒業に係る課題です。インターナショナルスクールは,国にあるインターナショナルスクールにおいて,成績優秀ということで早期卒業を行ったものが,18歳未満という形で大学入学ができなかったというケースでございます。大学入学については,例えば海外の12年の課程を卒業して,早期卒業あるいは飛び級をして17歳で日本に戻ってきて大学を受験した場合には大学入学が認められますので,そことの均衡が問われております。
 おめくりいただきまして4ページです。事例3です。これは12年未満の課程に係る取扱でございます。平成28年3月の学校教育法施行規則の改正により,11年未満の課程につきましても,詳細な教育課程の確認を行いまして,大学入学資格を認めていこうという改正が行われました。これに伴って外務省等を通じて,11年の課程を有する各国,その当時は28か国でございましたが,こちらに周知を行い,個別指定のための申請を呼び掛けたのですが,実際に申請が行われたのはミャンマーとジャマイカの2か国だけということで,実際に課程が認定されているのは,現状ではミャンマーのみということになっております。今後,例えばウズベキスタンが2018年に12年の課程を11年間の課程に切り替えるというような話もございまして,様々な国々における学生が,申請が行われなかったということで不利益を被っているというような状況もございます。
 こういった課題を解決するためにということで,5ページを御覧ください。各事例に対応する見直しの方向性を示しているところです。
 事例1のようなジョイント・ディグリーで通らなかったという問題に対応しまして,国際バカロレア資格のような資格や,WASCをはじめとした課程を取得した者は,大学入学がその当該国で認められていること及び高等学校を卒業した者と同等以上の学力があると我が国においても認められていることに併せまして,年齢要件を撤廃したいということを御提案させていただきたいと思います。
 おめくりいただきまして6ページを御覧ください。インターナショナルスクールの早期卒業の課題に対応することでございますが,我が国において外国の高等学校教育相当として指定した外国人学校につきましては,飛び級や早期卒業がその当該国で認められている場合には,年齢要件を撤廃してはどうかという御提案でございます。
 事例3の対応,12年未満の課程についてです。12年未満の課程につきましても,11年以上の課程を有し,かつ課程修了者が外国の大学に入学が認められることが確認できた国につきましては,詳細な教育課程の確認を省いた上で,早期に個別指定をさせていただき,大学入学資格を認めてはどうかという御提案でございます。
 続きまして,7ページ以降,若干法律の図式化をしております。大学入学資格については,7ページを御覧いただきますと,学校教育法90条1項で,このような者に認められているという規定がございまして,8ページをおめくりいただきますと,そのような者の中で,さらに学校教育法施行規則の150条の中で文部科学大臣が指定するものが定められておりまして,それをさらに告示に落としました9ページで,外国の課程を修了した者の規定がございます。こういった規定の中を改正していくということで,最後の参照条文を御覧ください。12ページをおめくりいただければと思います。
 参照条文で,告示,「外国において学校教育における十二年の課程を修了した者に準ずる者を指定する件」という形でございますが,こちらに規定のある各号における「十八歳に達したもの」,ここを削除していくようなイメージを持っております。
 同様に,参考条文の3のところで,別の告示になりますが,「大学入学に関し高等学校を卒業した者と同等以上の学力があると認められる者を指定する件」の告示の第四十七号についても,「十八歳に達したもの」,これを削除していきたいと考えているところでございます。
 最後になります,14ページですが,参考条文4のところで,これは11年課程の詳細な課程の認定というところを3号で定めておりまして,こちらについても改正をしていきたいと考えているところでございます。また御議論いただければと考えております。
 以上です。
【鈴木主査】  ありがとうございます。
 それでは,ただいまの事務局の説明あるいは資料を踏まえまして,御意見あるいは御質問を頂戴したと思います。
【川嶋委員】  よろしいですか。
【鈴木主査】  はい,どうぞ,川嶋委員。
【川嶋委員】  日本の高等教育の国際化は,大前提として日本の高等教育の質や魅力の向上が大前提ということだと思いますが,その上で,一つ目はコメント,二つ目は意見,三つ目はお願いという形でさせていただきます。
 1点目は,入試の問題です。
 今,高大接続改革で入試改革がかなり山場を迎えているのですが,そのときの議論が全くグローバル化の視点を欠いたまま,シュリンクする日本の18歳人口を対象にした議論しか行われなかったというのは非常に残念なことです。
 各大学はいろいろ工夫をしながら,できるだけ留学生に対する入試を柔軟化しておりますけれども,やはり大きな障害としては,日本語が大きな壁になっていて,英語コースはなかなかできないということと,資料にも指摘がありましたけれども,原則,日本に来ないと受験できない,特に私費留学生は大きな問題です。こういう入試の観点から国際化をどう進めるかという議論は必要ではないかと思います。
 2点目は意見ですけれども,学生定員管理の問題です。
 これは国立大学の立場からになりますけれども,今,国立大学は文部科学省からダブルスタンダードで定員管理も求められています。ダブルスタンダードというのは,法人評価や交付金に関しては,国費留学生とか英語コースの留学生は定員の外数という扱いを受けておりますけれども,設置,新設等に関しては,全て内数でカウントしろということが言われております。ですから,英語コースを設置して留学生を増やしたり,国費留学生の受け入れを増やそうと思っても,設置のところで内数に入れられるので,なかなか増やすことができない。つまり,留学生を増やせば,それに応じて日本人の学生を減らすというゼロサムの中でしか英語コースの留学生とか国費留学生を増やすことができない。そういう意味で,同じ高等教育局の中で二つの違ったスタンダードがあるというのは,何とかしてほしいと思います。
 今回,海外キャンパスについては定員超過の例外措置にしてはどうかということについては,これは結局,国内と海外でダブルスタンダードを作るということではないかと思います。これもやはりいかがなものかと思います。恐らく,これが認められると,大手私学,特に都内23区の大手私学は,定員抑制を求められていますので,海外に進出して活路を見出すということになるのかもしれません。以上が意見です。
 3番目はお願いですけれども,入学資格の柔軟化ということについては,それぞれの国で大学入学資格になっていれば日本でも認めていいという提案で私は良いと思います。これに関連して,1点,実際に困っている点で言うと,文部科学省から情報提供されているので,相手国の教育制度は分かります。ただし,教育課程についてはほとんど情報がないので,志願者が来るたびに,特に学部入試の方ですけれども,志願者の高校にどういうカリキュラムですかということを問い合わせたり,あるいは,海外の教科書を取り寄せて,実際に教育の中身がどうなっているのかということを確認したりせざるを得ない。特に理系の学部の先生は,理科,数学の教育課程が日本の高校の教育課程と同等なのかどうか非常に心配されています。たとえ日本語がよくできても,日本の高校の教育水準に達していないと,入学してからついていくのが難しいということで,受け入れを躊躇されるというケースが非常にたくさんあります。ですから,先ほど,NICの話が出て,日本の高等教育の情報を海外に発信するということを御説明されましたけれども,是非海外の高校とか,あるいは高校教育の具体的な情報についてもNICで収集して各大学に提供してほしいというのが3番目のお願いです。
 以上です。
【鈴木主査】  ありがとうございます。
 何か事務局の方からございますか。
 どうぞ。
【進藤国際企画室長】  最後にNIC(国内情報センター)について御指摘がございました。この国内情報センターに関しましては,日本の情報を発信するだけではなくて,海外のそういった国内情報センターと連携をした上で,海外でどういう制度になっているのかというのもきちんと情報交換をするという枠組みになってございますので,まさに御指摘の方向できちんと具体的な情報がとれるような制度設計を考えているところでございます。
【鈴木主査】  どうぞ。
【齋藤留学生交流室長】  1点目でございました入試の観点でございますけれども,我々もそこが非常に大きな問題だと思っております。今,学生支援機構で日本留学試験というものをやっておりまして,なるべく日本に来ないでもそういった一定の学力が測定できるようにという思想で作っておりますが,その内容,それから使用されている範囲がアジアを中心になっているということで,なかなか大学の海外における利用が進んでいないということがございます。
 同様の問題意識は国立大学協会の方でも持って議論いただいているということなので,連携しながら留学生の共通試験として,渡日前の許可を拡大できるような方向で,少し検討してまいりたいと思います。ありがとうございます。
【鈴木主査】  どうぞ,お願いします。
【三浦大学振興課長】  法人評価と設置のときのダブルスタンダードという話がありました。私がお答えする立場ではないのかもしれませんけれども,法人評価と設置のときの入学定員の充足の考え方は同じでございます。運営費交付金の積算に当たっての予算上の積み上げのときの考え方は,若干外国人は外していいですよというような取扱はしておりますけれども,法人評価とはずれておりません。
【川嶋委員】  お金の話。
【鈴木主査】  よろしいですか。
 それでは,福島委員,それから濱名委員ということでお願いします。
【福島委員】  質問が中心になりますけれども,海外展開についての2点と,あと留学生政策について3点ほど質問させていただきたいんですが,まず,大学の海外展開についてですけれども,4年制大学だけではなくて,短大も含まれているかどうかという点です。
 と申しますのは,やはり4年制大学で,そこで入ってきた学生たちが,3年生になってからまた日本の大学へ編入学をするというようなことになりますと,そうすると,そこの大学はそれ以後どうなるのかですとかというようなことが考えられますので,例えば短期大学がそこで日本語教育も含めてやっていくことによって,留学生の財政負担も軽くなるということもあるだろうと思いますので,例えばそういうことを考えられないかと。
 それから,私も以前に勤めていた大学で考えたこともあって,大学の海外展開ということもいろいろ考えて,現地の大学ともいろいろ相談したことがあるんですが,やっぱりなかなか難しいことがたくさんあって,例えば,マレーシアなどの場合ですと,今はどうなっているか知りませんけれども,現地の大学と合弁でないとできないということを言われたようなことがあって,例えばそういうようなことも想定されているのかどうなのかというようなところです。
 それから,留学生の問題なんですけれども,世界的には伸び悩んできているということなんですけれども,その傾向と違って,日本では留学生がかなり増えてきているという,その理由はどのあたりにあるのかということです。
 それから二つ目には,これは私の認識不足なのかもしれませんけれども,留学生と言った場合に,大学院生は入っていないのでしょうか。
【齋藤留学生交流室長】  入っております。
【福島委員】  入っていますか。それだったらいいんですけれども。
 それと3点目に,ここでは留学生に対する経済支援のことについて何もないように思うんですけれども,そのあたりは全く考えておられないと受け止めてよろしいかどうかということです。
 以上です。
【鈴木主査】  お答えを頂く前に,時間がかなり切迫しておりますので,濱名委員からの御発言,それから美馬委員,宮城委員,安部委員ということで最終にさせていただきたいと思います。
 どうぞ,お答えがあれば事務局の方で。
【進藤国際企画室長】  では,御質問頂きました大学に限らず,短大などは含まれるのかということでございますけれども,海外校は,大学のほか,大学院も短大も含まれてございますので,こういった何か制度の運用改善を行う場合には,短大も含まれていると考えてございます。
 また,マレーシアでは,合弁でないとというお話がございましたが,それぞれの国や地域によりまして,それぞれの制度がございますので,それぞれの国,さっきの地域の制度に合った形での海外展開を考えていくことになると思います。
【齋藤留学生交流室長】  留学生の御質問二つでございますが,一つ目,日本が伸びている理由というところでございますが,ここは伸びているのは東南アジアの諸国,特定の国も含めて増えているということでございますが,そこはやはり日本の幅広い魅力をかなり理解されているということになるのではないかと思いますが,ただ,その魅力が,先ほど課題のところで少し申し上げたように,学位を取るという魅力なのか,就労ですとか,アルバイトも含めた魅力なのかというところで,そこはもう少し分析した上で,やはり正しい情報を出しつつ,質のいい方を受け入れていくことかと思っております。
 それから,経済支援のところも,正面には出てきておりませんが,就職促進のところで,就職を目指すような留学生に重点化して奨学金といった形では指摘しておりますが,そういった形で,ある程度,政策目的に応じて奨学金を活用していくといったことは必要かと思っております。
【鈴木主査】  よろしいですか。
【福島委員】  はい。
【鈴木主査】  では,濱名委員,どうぞ。短くお願いします。
【濱名委員】  はい。問題は,とにかく日本に来ているのが日本語学校の方が多いわけで,今,室長が言われたような認識ではないのではないかと思います。短期高等教育機関や日本語学校の方が多いわけですね。それはやっぱりコストの問題とかを考えれば,例えば,結局,資料3の1ページに書いてある平成20年の制度改正では不十分だというので運用を変えようという御提案だと思うのですけれども,海外キャンパス等々についての記載は,資料3で言うと,5ページのあたりに,先進的な取組事例の普及云々の話が出てきたり,あるいは,資料4で見ても,5ページ目に,「よりアクセスしやすい形の学位プログラムを構築し,留学生受け入れを拡大する」という方策云々のところがあるのですが,今日の御提案だと,資格の問題を規制緩和しようとしているのだけれども,海外キャンパスを作りやすくするというような攻めに出ていくことを考えないと,結局,海外から来てくれない。つまり,日本に来るためのアクセスが,4年来ないとアンダーグラデュエイトで卒業できないのはハードルが高い。今,2プラス2でダブルディグリーをやっているのに対して,それで今の状態なのだから,それをさらに推し進める提案を具体的にしていただかないと,この提案は資格の規制緩和ということでとどまってしまうので,おそらく,次はもう少し具体的なものを出していただけるのですか。あるいは,これで終わりだとすると,このような緩い話では問題は根本的に解決しないのではないか。つまり,3プラス1とか,0プラス4というので,海外の高等教育機関は留学生の取り合いをして,0プラス4がいいかどうかも含めてですが。今の場合,日本では,最低2年いなければ学士号は取得できないというプログラムになっているわけですけれども,そこらの規制とか考え方まで含めて考える御予定があるのかという問題と,あと,入ってからの問題で,私ども兵庫県と,今月,公営住宅を留学生に利用させる協定を結びました。全国初と兵庫県は言っておりましたけれども,逆に日本国内に来た場合の規制緩和というか,他省庁との連携政策等々をやらないと,やはり来たは来たで大変という問題が解決できないと思うのですが,そのあたりは,留学生増加の今回の提案の中にも視野に入っていないのですが,そのあたりも今後考えていかれる御予定があるのかという点です。
【鈴木主査】  どうでしょうか。どうぞ。
【進藤国際企画室長】  では,お答え申し上げます。
 先ほど,濱名先生の方から,2プラス2のような,そういったより具体的なことということで御発言がございました。今回で議論が終わりということではなくて,これからも本議題は御議論いただくと考えてございまして,そのような多様な2プラス2のようなツイニングプログラムのようなものを展開をもう少し進行していくということが,様々有益だという御意見を,是非そのような方向で具体的なものを考えていきたいと思っています。
【濱名委員】  是非海外キャンパスというのが実現していけるというような制度改革まで視野に入れないと,なかなか根本的な問題解決にはならないかと思いますので,御検討をよろしくお願いします。
【進藤国際企画室長】  はい。
【齋藤留学生交流室長】  留学生の特に宿舎の話につきまして,各所連携が必要だということと,公営住宅のように自治体との関係がございました。例えば,まち・ひと・しごとの交付金等で自治体と大学が連携した形で地域活性化をしていく中で,留学生の混住型の宿舎を作るといったことも制度上は可能になっておりますので,そういったところでやはり自治体ですとか各省と連携して取り組んでいくということは考えられると思っております。
【鈴木主査】  美馬委員,どうぞ。
【美馬委員】  簡潔に2点だけ。
 一つは,先ほどのナショナルセンターができれば整備されるのかということで,教育制度の各国と日本との対応の一覧みたいな,今,本学にもいろいろな東南アジアの学校からの依頼が来て,受け入れを考えているんですけれども,なかなかそこのところにたどり着けないという状況があります。ということで,制度,特に国と国との関係の中でのものが必要だと思います。
 2点目の質問は,今回の入学資格の見直しというところに,編入というのも入っているのか,これは単に大学入学のところだけか。というのは,私どものような工学系ですと,高専とか専門学校とか,それから短大に当たるようなものに海外で当たるような,日本ではそういうこと,そういうものがいろいろ依頼も来ておりまして,そのあたりも含めての今回の見直しなんでしょうかという2点をお願いします。
【鈴木主査】  どうでしょうか。
【進藤国際企画室長】  まず,NICにつきましては,御指摘のとおり,各国の制度が今分かりづらい状況になっておりまして,大学評価・学位授与機構などで,それから主要国につきましてはどういう制度になっているのかということをレポートなどをまとめたりしているところでございますけれども,なかなか大学側のニーズに全て応えられている状況にはないというのが現状でございます。このNICの整備を通じまして,そういったそれぞれの具体的なニーズに少しでもお応えできるように整備を進めていきたいと考えているところでございます。
【髙井大学振興課課長補佐】  引き続き,大学入学資格に係るお問い合わせなんですが,今回は基本的には大学入学資格における年齢要件の撤廃ということでございまして,編入学,短大,専門学校からの入学ということ,また,制度に支障がない場合はそういうこともあると思うんですが,今回はあくまで大学入学資格の年齢要件の部分であるという御理解を頂ければと思います。
【鈴木主査】  よろしいですか。
【美馬委員】  はい。
【鈴木主査】  では,宮城委員,どうぞ。
【宮城委員】  大学の国際化であったり,留学生の増加定着ということにおいて,規制緩和や制度改革の取組に関して進めようとしていただいているのは大変大事だと思っています。
 加えて,やっぱりこの領域は必ずしもこれまで戦略的に取り組みきれていなかった領域であったと思いますので,成果から逆算したときの総合的な戦略を打ち立てて臨んでいく必要があるかなというふうに思います。
 例えば,留学生の定着やネットワーク化ということにおいてみれば,これはやはりもともと国ですとか大学の取組としては,必ずしも得意としていなかった領域だと思うんですね。こういう領域も含めて,新しい取組ですとかプロデュースということが必要となってくる取組が並行して検討していく必要が出てくると思っていますので,是非そこは念頭に置いて進めていただきたいと思っています。
 一つだけ,例えば今回,留学生の支援で,留学生就職促進プログラムの試み,これは産官学が連携してという取組ということで,大変おもしろい仕立てだと思っているんですけれども,その手応え,始めてみていただいて,実際にうまく連動が起こっているですとか,結構課題を感じているというようなことがありましたら,コメントを頂けたらなと思います。
【鈴木主査】  いかがでしょうか。
【齋藤留学生交流室長】  ありがとうございます。就職促進プログラムでございますが,平成29年度から始まって,今年で2年目でございます。来年度,中間評価をする予定でございますが,12大学採択して,大学によって本当にキャリア教育ですとか,インターンシップ等も含めて,かなり現場の中小企業等に食い込んでプランニングをされているので,我々としては,期待できると思っておりまして,そういったいい取組を横展開していきたいと考えております。ありがとうございます。
【宮城委員】  ありがとうございます。各地域ごとのコンソーシアムだけではなくて,全国でそれを調整配分していくような機能も是非また御検討いただけたらと思っています。
【鈴木主査】  それでは,安部委員,どうぞ。
【安部委員】  資料4の2枚目のところなんですけれども,2枚目のところの上から二つ目の四角のところで,地方の大学の留学生がいるわけですけれども,そこの留学生は地域の発展を担う人材ということで,地域に定着していただくということが進められています。
 例えば,私の本務校が所属する産学官の連携のプラットフォームでは,介護を勉強したいという東南アジアの国々の方で,大学入学資格がある方に日本語を学んでいただいて,そして,介護福祉養成課程の学校,短期大学や大学で介護について学んでもらい,その間の,学費等については,受け入れる介護施設が奨学金等で補助する。さらに,在学中はその施設でインターンシップのアルバイトをすることによって学びやすくし,そして卒業後は,何年か地方の介護施設で働いて,帰国後には自国の介護技術等の発展に寄与する人材になっていく。そういう企画を立てていく一つの取組があります。日本が少し先を行っているような分野に対しての海外への留学生の受け入れというものを,地方,地域で行っていくということを,正規の課程だけではなく,履修証明プログラム等も含んだ留学生の受け入れを今後行っていくことは非常に大事だなと思います。地域からのニーズに大学が応えていることもありますので,そういうこともお考えなっていただければという,これはお願いです。
 以上です。
【鈴木主査】  ありがとうございます。
 これもいろいろ御意見を頂きまして,ここで結論というわけにもいかない面がございますので,なお引き続き議論をしていくということにしたいと思います。
 最後に,4月11日に開催されました「高等教育段階における負担軽減方策に関する専門家会議」第3回資料につきまして,事務局から御報告を頂きたいと思います。
【森友主任大学改革官】  失礼いたします。時間もございませんので,簡潔に御報告させていただきます。先般行われました新しい経済政策パッケージを踏まえました高等教育段階における負担軽減方策に係る専門家会議の状況について御報告させていただきます。
 資料6の,5枚おめくりいただきますと,資料2というのが出てまいります。先般の専門家会議におきましては,特に支援の対象となる学生に係る要件と,また,支援の対象となる大学との機関に係る要件につきまして御議論いただきました。そこのページをおめくりいただきますと,3,4ページがあると思いますけれども,ちょっと見にくくて済みません。
 上の欄に四角囲みで「新しい経済政策パッケージ」と書いておりまして,パッケージの中では,「支援対象者については,高校在学時の成績だけで判断せず,本人の学習意欲を確認する」と。大学に行った後には,「その学習状況について一定の要件を課し,これに満たない場合には支援を打ち切ることとする」とされております。
 パッケージの中では,特に進学後の給付継続要件といたしまして,1年間に取得が必要な単位数の6割以下の単位数しか取得していないときや,GPAが下位4分の1に属するときには警告を行って,警告を連続で受けたときには支給を打ち切るといった指標が例示されているところでございます。
 委員のやりとりの中では,こういった取得単位の6割以下ですとか,あるいは,GPAの下位4分の1を2年間連続してとって警告を連続して受けたときに支給を打ち切るということはあり得る基準ではないかといった御議論ですとか,あるいは,GPAの活用については,算出方法をある程度統一して,その分布を示すといったこともあるのではないかといった御意見がございました。
 それから次に資料の6ページでございますけれども,対象となる機関に課されている要件の1つといたしまして,「実務経験のある教員による科目の配置が一定割合を超えていること」ということがございます。その中で特に論点といたしましては,その次の7ページを御覧ください。
 例えば,当然と言えば当然なんですけれども,同一の学校種での教員経験,大学の先生であれば,ほかの大学の教員をしているから実務経験だということではなくて,そういう場合は実務経験に該当しないということとして整理をしてはどうかということですとか,あるいは,逆に実務経験のある教員が授業を担当しない場合であっても,オムニバス形式で授業の一部を実務家が担当する場合ですとか,また,学外でのインターンシップや実習,研修を授業の一環として位置付けている場合には,実務経験のある教員が授業を担当しているとみなしていいのではないかといった論点を提示したところ,そのような扱いについては十分考えられるのではないかといった御議論がありました。
 それから,さらにその次の外部理事,「外部人材の理事への任命」がございます。9ページ,10ページでございますが,これにつきましては,先般の中教審の将来構想部会においても議論がされておりますけれども,主な論点の白丸の1つ目ですけれども,2人以上の外部人材を理事に任命するということについて中教審で議論されておりますが,理事総数が多い場合には,特に私立の場合ですが,2割超とすべきといった意見も委員から示されておりまして,今回の支援対象となる大学の要件をどう考えるのかといった論点です。
 その下にありますが,国立大学につきましては,特に理事総数が3人以下の少数の場合についてはどう考えるのかといったこと。また,私立大学についてどう考えるのかといったことについて御議論を頂いているところでございます。
 議論の中では,特に大学ではございませんが,理事制度を設けていないところにつきましても,相応の対応を図るようなことを求めないといけないのではないかといった御議論がございました。
 それから,その次は,12ページでございます。これは支援対象となる機関の要件の3つ目でございますけれども,成績評価基準を定めるなど,厳格な成績管理を実施・公表していることということで,主な論点のところに記載しておりますが,必要な取組例といたしまして,授業計画が作成されて,それがきちんと実証されて公表されていることですとか,成績評価におきまして,GPAなどの客観的な指標を設け,上記基準に従って適切に実施して公表に努めている等々の取組例を掲げまして議論を頂いたところでございます。
 それから最後,14ページでございますが,パッケージの4つ目でございますけれども,「法令に則り財務・経営情報を開示していること」ということが示されておりまして,これにつきましては,基本的には各設置者ごとにそれぞれ定められている法令にのっとりまして,財務・経営情報を開示することを要件とすることが必要だと。
 さらに,学生が安心して質の高い高等教育を受けられるような環境を確保するという観点からも,例えば進学や就職に関する状況などにつきまして,法令にのっとって開示することを求めることとしてはどうかといった議論もされているところでございます。
 簡単でございますが,以上でございます。
【鈴木主査】  ありがとうございました。
 本件は,時間の関係から,報告のみとさせていただきます。
 本日の議題は以上となります。5分ほど経過してしまいましたが,大変申し訳ございません。最後に,今後の制度・教育改革ワーキンググループの開催日程等について,事務局から説明をお願いいたします。
【石橋高等教育政策室長】  失礼いたします。資料7でございますけれども,次回は,5月15日,10時から12時を予定しております。開催場所につきましては,追って御連絡いたします。
 資料について郵送を御希望の方は,机上に置いていただければと思います。
 御議論ありがとうございました。
【鈴木主査】  それでは,本日の議事はこれにて終了いたします。どうもありがとうございました。
――了――

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