将来構想部会(第9期~)(第1回) 議事録

1.日時

平成29年5月29日(月曜日)16時~18時

2.場所

文部科学省東館3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. 部会長の選任等について
  2. 将来構想部会の運営について
  3. 我が国の高等教育に関する将来構想について
  4. 「地方大学の振興及び若者雇用等に関する有識者会議」の検討状況について
  5. 「私立大学等の振興に関する検討会議」の検討状況について
  6. その他

4.出席者

委員

(部会長)永田恭介部会長
(委員)有信睦弘,村田治,山田啓二の各委員
(臨時委員)安部恵美子,石田朋靖,金子元久,黒田壽二,小杉礼子,小林雅之,佐藤東洋士,千葉茂,福田益和,古沢由紀子,前野一夫,益戸正樹,両角亜希子,吉岡知哉,吉見俊哉の各臨時委員

文部科学省

(事務局)小松文部科学審議官,村田私学部長,中川サイバーセキュリティー・政策評価審議官,浅田大臣官房審議官(高等教育局担当),神山大臣官房審議官(生涯学習政策局担当),瀧本大臣官房審議官(初等中等教育局担当),塩見高等教育企画課長,角田大学振興課長,小山国立大学法人支援課長,蝦名私学行政課長,淵上私学助成課長,濱口主任大学改革官,堀野高等教育政策室長 他

5.議事録

(1)部会長の選任等について

 委員の互選により永田委員が部会長に選任された。
 副部会長については,永田部会長から日比谷委員が指名された。


(2)将来構想部会の会議の公開について

 事務局から,将来構想部会の会議の公開について資料2の説明があり,原案のとおり決定された。
 また、公開に関する規則に基づき,この時点から会議が公開された。


(3)将来構想部会の開催にあたり,永田部会長から以下のとおり挨拶があった。

【永田部会長】  それでは,ただいま本部会の部会長を仰せつかりました私の方から,簡単に御挨拶をさせていただきます。
 部会長に御指名いただきました永田でございます。我が国だけにかかわらず,世界はグローバル化された状況の中で,本当に日々激動の中にあるというのが,まず基本的な認識です。その中で,我が国は,もちろん産業界の問題もあるとしても,やはり人材育成ということが,この資源のない国にとって,本当に大切な課題であると考えています。
 その中で,高等教育の全体の在り方ということを久しぶりに中央教育審議会で考えようというわけであります。平成17年の「我が国の高等教育の将来像(答申)」の考え方を元に高等教育が展開されてきた中で,今様にもう一度これからの日本における高等教育全体の在り方を考えようというのが,大臣から頂いた諮問の内容であると理解をしています。
 そのような中で,物理的に絶対変えられない条件というのが二,三あるわけです。その中で一番重いのが,やはり人口の減少ということであります。あえてここで何年に何人とは言いませんけれども,本日生まれた人が18年後に大学に入るということは,本日より過去についてはもう変えようがないということであり,統計学の中では確度が非常に高い統計値というのが人口であります。
 そうした中で,我が国を支える人たちをどうやって育てていくかというのは,非常に大切な問題であると認識をしています。もちろん物理的には,そのほかにもいろいろと困難な問題が我が国にはあるわけですが,一番の問題はそこにあるだろうと考えています。
 そうした中で2点だけ,本日言うべきこととして,私の考え方を述べさせていただきます。一つは,この将来構想で何が一番大切かといえば,受益者,つまり,学生たちの視点に必ず戻って考えるべきであるということを忘れないようにしたいと思います。いろいろなお立場から御意見があるかもしれませんけれども,要は,学生たちがいかにしたら公平に,そして,すくすくと育っていくかという観点で考えていくことが必要であると思います。
 そういった中で,例えば,大学の配置その他を考えたときにも,経済的事情を考えれば,日本中どこにいても一定の高等教育にアクセスができて,人文学だって,社会学だって,農学だって,工学だって,理学だって,医学だってアクセスできるような環境自体は整えておかなければいけないだろう。そこでは少なくとも規模,それぞれ得意な分野,不得意な分野というのが,その地域地域であるかもしれませんけれども,大変重要なポイントであろうというふうに考えています。
 それから,地域の問題を考えるに当たっては,例えば,ITのことを考えていただくと,既に東京に本社がないところがあります。地域に根差して,例えば四国に会社を移して,そこで運営されているところも出てきているわけで,これから何が大切かといえば,それぞれの地域の特性を生かした,そういう産業やそういう社会構造を支える人というのを育てていくことです。
 農業や水産業,あるいはもっとほかの業態を考えても,5年前,あるいは10年前にスマートフォンがなかったのと同じで,10年後のこの国の産業は多分,もう中央集権的な産業ではなくて,いろいろな地域の中で必ず花が咲いていくような産業になるであろう。そこを支えるのは誰かということを考えてみるのは,非常に重要なことであろうと思います。Society5.0と考えるまでもなく,スマートフォンのことをどうぞ考えてみてください。10年前にスマートフォンをお持ちであった方はほとんどいらっしゃらないと思いますけど,今は実はお年寄りでもタブレットを見ながら農業をやっている時代に入りました。ほかの産業においても,それは必ず今やっているような中央集権的な形ではきっとなくなるだろう。だとすれば,そういう特性を持った地域における現場で働く高度な職業人を一体どうやって育てればいいのかということになるだろう。私の方からは,学生のこと,それから,今後のそういった新しい地域に対する考え方を是非とも頭の隅に置かれながら,この国全体の高等教育について議論を進めていきたいと思っております。どうぞ御協力よろしくお願いいたします。


(4)引き続き,浅田大臣官房審議官(高等教育局担当)から以下のとおり挨拶があった。

【永田部会長】  それでは,文部科学省を代表して,浅田審議官にお願い申し上げます。
【浅田大臣官房審議官(高等教育局担当)】  高等教育局長の常盤がほかの業務で遅れておりますので,代わりまして私から御挨拶をさせていただきます。
 まず,委員の皆様方には,大変お忙しい中,本部会の委員をお引き受けいただきまして,本当にありがとうございます。これから大変大事な御議論を重ねていただくことになります。どうぞよろしくお願いいたします。
 また,本日は随分大勢の方に傍聴にも来ていただいています。この課題への関心の高さ,あるいは責任の重さというのを感じるところです。
 中央教育審議会としては,平成17年に「我が国の高等教育の将来像」という答申を頂いております。ただ,それからもう12年がたち,社会の変化も大きい中で,新しい中長期的なビジョンを策定する時期を迎えたということで,今回,大学分科会に新たに将来構想部会を設置させていただくということになった次第です。
 これからの日本と世界がどう変わっていくのか,その中で,高等教育がどういう役割,機能を果たしていくのかということは,日本の将来を左右する大変大事な課題だと思っています。
 高等教育を取り巻く状況としても,例えば,IoTとかビッグデータとかAIとか,様々な技術が進んでいますし,第4次産業革命は,もしかすると,産業構造,就業構造を一変させるのではないかと言われてもおります。
 それから,今お話にもございましたが,18歳だけがもちろん高等教育の対象ではありませんけれども,18歳人口というところに目を向けますと,大体120万人前後で推移しておりましたが,これがわずか二十数年後,2040年には約88万人にまで減るという推計もございます。
 文部科学省としては,こうした様々な大きな変化の中で,人材育成と知的創造活動の中核である高等教育機関が,これから一層重要な役割を果たしていく必要があると思います。そのためには,高等教育全体の規模,あるいは分野別の社会的な需要なども踏まえながら,教育の内容,質の抜本的改善はもとより,高等教育機関の在り方自体の大きな構造改革も不可欠だと感じています。
 こうした観点から,3月6日に松野大臣から中央教育審議会に対して,おおむね2040年頃の社会を見据えて,目指すべき高等教育の在り方や,それを実現するための制度改正の方向性など,高等教育の将来構想について御審議いただきたいという諮問をさせていただいたところです。
 この将来構想部会で,これからの時代にふさわしい新しい高等教育の将来構想をお示しいただきますように心よりお願い申し上げまして,御挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
【永田部会長】  ありがとうございました。


(5)将来構想部会の審議体制について,事務局から資料3に基づき説明があり,その後意見交換が行われた。

【永田部会長】  それでは,早速議事ですが,議事を始める前に,審議体制そのものの確認をさせていただきたいと思います。事務局から説明をお願いいたします。
【堀野高等教育政策室長】  資料3を御覧ください。この資料は,3月29日の大学分科会において決定されたものでございます。大学分科会全体の部会構成を記しておりますが,1番目にあるのが,本日お集まりいただいている将来構想部会でございます。
 ここでは,今後の高等教育機関全体の機能・役割等々について,大きな方針について御審議いただきたいと思っておりますけれども,その下に,制度・教育改革ワーキンググループというのがございます。今回御議論いただく上で,大学設置基準等々,制度的な専門的な内容について御議論いただく場面も多々あろうかと思いまして,こういった制度面を中心に御議論いただくワーキンググループを設置してはどうかということで,米印にございますとおり,3月29日の段階では,本部会において設置が認められた場合に設置するものというふうに整理をされております。このことについて,本日御決定いただければと思います。
 以上でございます。
【永田部会長】  ありがとうございます。
 今の点ですけれども,後で詳細は資料を使って述べられることと思いますが,既に文部科学大臣から諮問された内容の中に,非常に細かく設置や認証評価,あるいは学位そのものの問題等,非常に詳細にわたる制度設計に関わるような部分が含まれています。つきましては,私としては,全部この将来構想部会そのもので対応するには,やはり議論が詳細にわたることから大変なことになるのではないかと思い,是非とも制度についての,また教育改革についてのワーキンググループを置かせていただきたいと思っておりますが,いかがでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【永田部会長】  よろしいでしょうか。こちらの方は非常に細かな内容の議論になると思います。ワーキンググループにこれから選ばれる委員の先生方,どうぞよろしくお願いいたします。


(6)我が国の高等教育に関する将来構想について,事務局から資料4-1から4-3に基づき説明があり,その後意見交換が行われた。

【永田部会長】  それでは,いよいよ審議に入らせていただきます。本日は1回目ということですので,お互いに情報を共有するということが一番の大切な内容になっております。
 3月6日に開かれました中央教育審議会の総会で,文部科学大臣から「我が国の高等教育に関する将来構想について」諮問が行われ,中央教育審議会の会長である北山先生から,本件については大学分科会を中心に議論を進めるということで,先ほどお示ししたとおり,本部会が大学分科会の下に設置されたという経緯であります。したがって,本日,まず諮問の内容について,もう一度情報共有を図りたいと思います。
 それでは,事務方から,御説明をお願いいたします。
【堀野高等教育政策室長】  それでは,資料4-1に基づきまして,3月6日に松野大臣から行われた諮問の内容について,簡潔に御説明申し上げます。
 1ページめくっていただきまして,冒頭の段落ですけれども,大きく二つございます。一つは,第4次産業革命は,既存の産業構造,就業構造,さらには人々の生活を一変させる可能性があるという状況,もう一点は,18歳人口の推移でございますが,2005年に約137万人であったものが,2016年には約119万人,そして,2030年に,ここでは約100万人とありますが,諮問の少し後に新しい統計が出まして,約102.5万人にまで減少,更に2040年には約80万とありますが,約88万人という最新の推計になっております。いずれにしても,大幅な減少が見込まれるということでございます。
 こういった中で,次の段落に書いてある,目指すべき人材育成については,自ら問題の発見・解決に取り組む力を育成することが特に重要であること,また,自主的・自律的に考えて,他者と協働しながら新たなモノやサービスを生み出し,社会に新たな価値を創造する,そういった人材を育てていかなければならないとされております。
 そして,下の段落ですけれども,中央教育審議会では,2005年(平成17年)の答申「我が国の高等教育の将来像」(以下,「将来像答申」という。)において,2015年から2020年頃までを想定した高等教育の将来像を提示していただいております。この内容については,後ほど,その後の状況とともに御説明をしたいと思います。
 次のページでございますけれども,その後,将来像答申を踏まえて様々な施策を講じてきたわけですけれども,進学の機会というのはしっかりと着実に確保されてきたけれども,質の保証等,まだまだ課題もあるという指摘がある。こうした状況も踏まえて,これまでの取組と成果の課題について検証するとともに,総合的な検討をしていただきたいということで,真ん中の段落にございますように,中長期的観点から,おおむね2040年頃の社会を見据えて,目指すべき高等教育の在り方や,そのための制度改正の方向性など,将来構想について御審議をお願いしますということでございます。
 ここから4点,審議事項を書いてございます。1点目は,各高等教育機関の機能強化に向けて早急に取り組むべき方策ということでございます。次の段落の真ん中あたりにありますように,大学,大学院,短期大学,高等専門学校,専門学校それぞれの機能強化について,前期の中央教育審議会で今後の各高等教育機関の役割や機能の強化に関する方向性を整理した論点整理ができておりますので,教育課程や教育方法の改善,評価の厳格化,社会人学生の受入れ等々,早急に取り組むべき具体的施策や制度改正について検討をお願いしますとしております。これは要するに,ワーキンググループの方で御議論されることかと思います。
 2点目につきましては,変化への対応や価値の創造等を実現するための学修の質の向上に向けた制度の在り方ということでございます。現在の制度は,学部・学科,研究科といった組織に着目した大学政策の在り方ということで構成されておりますけれども,学問の進展や社会の変化に柔軟に対応していくためには,学位を与える課程,学位プログラムに着目した在り方をより重視して考えていく必要があるということの指摘がございます。こういった学位プログラムの位置付けですとか,最後の行にありますように,学生と教員の比率の改善,あるいはICTの効果的な利活用,そういった学修の質を向上させるための課題について,設置基準,設置審査,認証評価,情報公開の在り方を含めた総合的かつ抜本的な検討をお願いいたします。このあたりについても,ワーキンググループである程度御検討いただいた後で,ここで御議論いただければと思っております。
 その下にありますように,グローバル化,学位の国際的通用性,社会に出た者が何度でも学び直せる環境整備,高等教育機関同士,あるいは企業との間での教員・学生の流動性の向上等々についても検討をお願いしますとしております。
 3点目が,高等教育全体の規模も視野に入れた,地域における質の高い高等教育機会の確保の在り方ということで,先ほど申し上げたとおり,18歳人口は大きく減少しております。こうした中で,高等教育機関全体としての数や入学者数は減少しているわけですけれども,4年制大学の数については若干増加しておりまして,入学者数についても若干増加している。これについて国際比較をすると,学士課程への進学率49%というのは,OECD平均の59%と比べると低いという評価もある一方で,専門学校まで含めた全体の進学率は80%,これはOECD平均68%を上回っているという状況で,今後どう考えるかということでございます。
 さらに,留学生や社会人の割合は他国と比べて低い状況である。また,国内の各地域によっても進学率や進学者収容力も異なっているという中で,少子化の進む中,地方の私立大学ほど厳しい経営状況にあるとしております。
 こうした状況を踏まえて,次の段落で,既存の学部・学科等の構成や教育課程の見直しを促進する方策はもとより,教育機関間の連携,あるいは地方自治体・産業界との連携の強化も含めまして,地域の教育機会を確保する抜本的な構造改革の在り方の検討をお願いします。そして,その際に,最後の段落ですけれども,分野別・産業別の人材育成需要の状況についても十分考慮するとともに,国公私立の設置者別の役割分担の在り方,国公私立の設置者の枠を超えた連携・統合の可能性なども念頭に置きつつ,御検討をお願いしますとしております。
 最後のページですけれども,4番目に,改革を支える支援方策ということで,厳しい財政状況の中,人件費,研究費の確保が困難になっているということも踏まえて,基盤的経費,競争的資金の充実,透明性確保の観点も踏まえた配分の在り方,そしてまた,学生への経済的支援の充実など,教育費負担の在り方についても検討をお願いしますとしております。
 そして,2016年12月に閣議決定された,まち・ひと・しごと総合戦略において,地方大学の振興,東京における大学の新増設の抑制や地方移転の促進について,これを教育政策の観点も含めて総合的に検討するということでございます。これも後ほどの議題で御説明させていただきます。
 諮問についての説明は以上でございます。
【永田部会長】  今の御説明のとおりですけれども,資料4-2に内容を1枚にまとめてあります。検討事項1,2,3,4と書かれていたものがまとまっております。
 それでは,次なんですが,これから諮問の内容を議論するわけですが,その前に,諮問の中に,これまでの取組の成果と課題について検証しなさいという部分がありました。それが何を意味しているかというと,先ほど御説明のあった,以前の将来像,平成17年の中央教育審議会の将来像答申でございますけれども,それを一旦振り返ってみることは十分価値があるというふうに考えます。
 そこで,資料4-3等について,事務局から,御説明をお願いいたします。
【堀野高等教育政策室長】  それではまず,参考資料1「高等教育の将来構想に関する参考資料」という資料がございますけれども,24ページをお開きいただきますと,平成17年の将来像答申のポイントが載っております。
 これが平成17年,前回の将来像答申でございます。ここでは,基本的な考え方から,矢印で示されておりますけれども,特に二つ目の囲みの下の部分に,括弧書きで18歳人口が約120万人規模で推移するということ,また,大学の学部等の設置に関する抑制方針が基本的に撤廃をされているということ,こういったことを踏まえて,それまでは18歳人口は右肩上がりの時代があったり,それが下がったりとありましたけれども,過去には高等教育計画という形で,どの地域にどれだけの人を収容しなければならないかという計画を立ててきました。そしてさらに,国の関わり方としては,大学や学部を設置する際の事前の認可というところを厳しく見ることによって質保証してきたという歴史がございますけれども,右肩下がりの時代になりまして,計画の策定という時代ではなくなったということで,その下の囲みにありますとおり,高等教育計画の作成と各種規制の時代から,将来像の提示と政策誘導の時代へと移行したとするという考え方を示しております。
 そして,その事前規制である設置認可については一定の基準を満たしていれば認可をされる,そして,認証評価という第三者評価で,事後にチェックしていきましょうという考え方に変わったわけでございます。
 1ページめくっていただきますと,25ページの冒頭にありますように,当時の予測としては,大学・短期大学の収容力というのは100%になっていく,誰もがいつでも学ぶことができるユニバーサル・アクセスの実現になっていくだろうということが示されております。
 そして,大きな2番目ですけれども,高等教育の多様な機能と個性・特色の明確化ということで,様々な高等教育機関が自らの個性・特色を一層明確化していく。そして,各大学は,自らの選択によって緩やかに機能別に分化していくだろうという見通しが示されております。
 大学につきましては,七つの機能について,どれか一つというわけではありませんけれども,それぞれの大学がこういう様々な機能のうちの,自らの大学がどの機能を強みとして生きていくのかといったようなことを,皆さんが選択していくだろうという将来像が示されております。
 3番目の部分で,質の保証ということで,これについては事前・事後の評価の適切な役割分担と協調の確保です。かつては,事前評価としての設置認可を厳しくして,質保証という考え方から,事後評価の認証評価というのをより重視していきましょうというような,そこは二つ,事前・事後と両輪であるといった考え方でやっていこうということが示されております。
 26ページですけれども,高等教育機関の在り方として,枠囲みの中にありますように,様々な制度改正をするべきであるということでございます。
 そして,その下に,高等教育の発展を目指した社会の役割として,この中で,二つ目の丸にありますように,高等教育への公的支出を欧米諸国並みに近付けていくよう努力をするということ,それから,今後の財政支援は,やはり機関補助と個人補助の適切なバランス,基盤的経費助成と競争的資源配分の有効な組合せで,多元的なファンディング・システムを作っていこうといったことが17年の答申で示されたわけでございます。
 その後,これがどうなったかということにつきまして,資料4-3という横の資料で御説明させていただきたいと思います。資料4-3を御覧ください。
 資料4-3,1ページめくっていただきますと,上の囲みの中に,今申し上げました将来像答申の内容がございまして,下にその後の状況を並べるという形式になっております。初めの部分で言いますと,大学・短期大学の収容力,これが平成19年には100%に達する,量的側面での需要はほぼ充足されるだろうということが書いてございます。
 そして,今後,その下の段落で,少子化の影響で在籍者数は大幅に減少して,経営が困難となる機関も生ずることが予想される,その対応策が必要だということが書かれておりますけれども,下のグラフの答申後の状況丸1を見ますと,大学・短期大学の収容力は,まだ100%には至っておりません。グラフの上の100%になっている部分が予測でありまして,下の濃い紫が実績でございますけれども,100%にはなっていない。その理由として,下の緑の折れ線グラフがありますけれども,当初の予測では,下の方の50.9,51.2%ぐらいの進学率だろうという予測が,実際には5%ぐらい進学率が上がっておりまして,結果として,思ったほどは減っていないと。規模が小さくなっていないという現状でございます。
 その右のグラフは,高等教育全体としての,折れ線グラフが様々な進学率を示しておりまして,下の棒グラフが入学者数を示しております。
 そして,左下の答申後の状況丸3というのが次のページにありますけれども,高等教育機関の数の推移でございます。一番下が4年制大学で,下から2番目の青が短期大学,細い枠が高等専門学校でありまして,上の大きい枠が専門学校でございます。一番上の高さを見ていただきますと,学校数全体としては既に減少の過程に入っておりますけれども,一番下の大学の学部についてのみ微増の傾向となっております。
 右が私立大学における定員割れの状況を年度ごとに追ったものですけれども,一番右の28年度で言いますと,下から,紫の部分が定員割れのないところでございまして,赤い部分が80から100%,黄色が50から80となっておりまして,定員割れ大学が4割ぐらいになっている。ちなみに廃止された私立大学は10校ということでございまして,これを多いと見るか少ないと見るかということはあろうかと思います。
 次のページですけれども,地域配置の考え方として,将来像答申では,大都市部における過当競争,地域間格差の拡大といったことについての課題が指摘されておりました。工場等制限法制定からの人数をグラフで示しております。下から2番目の平成14年というが工場等制限法廃止直後ですけれども,このときと最近とを比べますと,東京圏全体の人数というのはほぼ横ばいでございますけれども,その中で23区の学生数というのが割合としてやや増えているということでございます。
 次のページ,答申後の状況丸2ですけれども,左上のグラフですが,都道府県別の大学の進学者収容力でございますけれども,東京と京都が200%近くで,突出をしているという状況でございます。一方で,定員充足率を満たしていない地域もございます。
 そして,右側ですけれども,都道府県別の大学進学率ですけれども,これが一番高い東京と比べまして,平成14年と27年を比べても,進学率の差が広がっているという状況でございます。
 次のページから2ページにつきましては,こうした状況を踏まえまして,各地域の振興のための様々な政策に取り組んで,いろいろな学校がチャレンジしているということでございます。
 もう1ページめくっていただきまして,7ページでございます。人材需要の見込みを的確に把握して,情報提供する仕組みを整えるべきであるという御指摘がございました。これについて,理工系人材につきましては,現在,産学官円卓会議という場で,そういった人材需要についても議論をされておりまして,一定の取りまとめが間もなくできるかと思います。
 そういったことは部分的にはございますけれども,医学とか看護とかそういった資格職以外につきましては,人材需要の見込みというものと,大学の組織の整備といったものが直接情報提供して結び付くといったようなところまでは行っていないという状況だろうと思います。
 下の図で見ますと,大学の分野別の学生数の推移について,だんだん年がたつにつれて四角が大きくなっていく,つまり学生数が増えているわけですけれども,特に右下の保健分野で学生数が増えているというのが目立つところでございます。
 次のページ,8ページですけれども,先ほど申し上げました大学の機能別分化ということで,七つの機能が示されて,それぞれ機能別に分化していくだろうといったことでございますけれども,答申後の状況丸1として,国立大学につきましては,二つ目のぽつ,三つ目のぽつを御覧いただきますと,大学と国との間で意見交換を行って,どこが強み・特色なのか,その大学のミッションは何なのかということを再定義するということで議論が行われ,今の第3期の中期目標期間中においては,国が示した三つの重点支援の枠組みのうち,大学が自ら一つを選択するという仕組みをとっております。先ほどの5ページの部分でそれが書いてありますけれども,地域のニーズに応える人材育成がトータルで55大学,分野ごとのすぐれた教育拠点やネットワークの形成が15大学,世界トップ大学と伍(ご)して卓越した教育研究を推進する大学が16大学といったように申請が行われております。
 8ページに戻っていただきまして,私立大学についても,そうした地域連携ですとか産学連携,グローバル化,こういった大学からの申請に応じて強みを生かすという意味での私学助成の補助の仕方が行われております。こちらは国立大学の場合と違いまして,どれか一つを選ぶということではなくて,自らが力を入れているものを幾つでも申請して選ぶということですので,機能別分化という面では,緩やかな誘導の仕方がなされているということだろうと思います。
 その他,国公私立大学を通じた,スーパーグローバル大学創成支援事業ですとか,地方創生に資する事業というのもメニューとしてございまして,各種取組が行われているということでございます。
 緩やかな機能別分化というところが,国立大学は比較的強めの政策誘導,私立大学は建学の精神を踏まえた緩やかな誘導が行われてきたということであるかと思います。
 そして,12ページあたりを御覧いただきたいと思いますけれども,留学ですとか,こういった国際化の進展への対応,eラーニングの対応について一層進める必要があるということで,様々な取組が行われております。
 外国人の受入れについては若干増えつつありますけれども,むしろ日本語教育機関への留学生が増えています。それから,右側については,日本人の海外留学ですけれども,若干減っているというところですけれども,これをしっかり伸ばしていく政策を進めつつあるということでございます。
 次に,15ページを御覧いただきたいと思います。先ほどの事前の設置認可と事後の認証評価ということでございます。事前の設置認可については,ここにございますように,ある程度の学生の見通しがしっかりあることを確認するとか,審査の初期段階で全体構想を聴取して,社会的ニーズや現実性がしっかりあるかチェックするといった意味での改善が行われております。
 次の16ページに認証評価についてでございますけれども,これにつきましては,一番上の囲みにありますとおり,法令適合性などの外形的な評価項目が多く,必ずしも教育研究活動の質的改善が中心となっていないのではないかという指摘,あるいは評価結果を改善に生かす仕組みが十分でないのではないか,あるいは社会一般に認証評価が認知されていないのではないか,こういった問題点に対して,昨年の中央教育審議会の審議のまとめで,一定の改善を行っております。
 (1)として,三つの方針ということで,教育内容について,下の表の少し上に,細かい字で恐縮ですけれども,卒業認定・学位授与の方針,そして,そのための教育課程をどう組むかという方針,そして,入学者をどういう人を受け入れるかという方針,こういったものについてしっかりと評価基準に定めること,そして,(1)の中の丸2にありますように,教育研究活動の改善を継続的に行う大学内部の仕組みというのがきちんとできているのか,内部質保証に関することを評価基準にするということ。
 そして,(2)にありますように,内部質保証について重点的に認証評価を行うということ等々について,一定の改善というのが行われているところでございますけれども,ただ,認証評価の在り方については,引き続き本当に質の保証というものをきちっと見られるのかということ,また,評価疲れということも随分言われておりまして,機関別評価があり,分野別評価があり,国立大学法人評価があり,様々な評価がたくさんあって,非常に苦労が多いために,もっと効率化できるのではないかと,多々御指摘があるところでございます。この認証評価の在り方については,この部会でもしっかりと御検討いただきたいと思っております。
 次のページから情報公開について書いてございますけれども,一定の情報公開が進んではいるものの,まだまだ足りないのではないかという御指摘もあるところでございます。
 それから,19ページ以降については,それぞれ制度改正が行われましたことが書いてございます。19ページでいいますと,教授,助教授,助手という制度から,教授,准教授,助教,助手という制度に変わったことですとか,それから,22ページ,短期大学については,短期大学士の学位を授与するという制度改正をすべきという答申に基づいて制度改正が行われたこと,高等専門学校につきましては,30時間の履修単位というのを,大学と同じように45時間1単位という計算方法に改めるべきということで制度改正をされたこと,24ページは,専門学校におきまして,新たに高度専門士の称号を付与することとしたこと,また,一定の要件を満たす専門課程の修了者に大学院入学資格を付与したこと,これも答申に基づいて制度改正が行われたところでございます。
 最後に27ページですけれども,高等教育に対する公的支出を欧米諸国並みに近付けていくよう最大限の努力をするといったことが述べられておりますけれども,高等教育に対する公財政支出はOECD平均を大きく下回る状況というのは変わっていないということでございます。
 また,左下にありますように,教育費の公費・私費負担の割合,棒グラフの赤が私費負担ですけれども,日本は私費負担が高い。そして,4象限の図でも,グループ3ということで,授業料が高く,支援も少ないというところに分類されております。
 そして,次の28ページ,国立大学の運営費交付金については減少傾向にずっとありまして,ようやく今年度,25億円増というところになっております。
 右のグラフにあるとおり,私立大学においての経常費の割合というのは,2分の1までできるという法律に対して最大が30%,この割合が落ちて,9.9%,10%を割ってきているという状況が示されております。
 こうした結果,右下にありますように,国立大学の若手教員の雇用の不安定化ということで,任期付きのポストが増えて,任期なしのポストが減っているという若手教員の状況がございます。
 その次のページ以降は,産業界との関係等々について,産学連携が進んでいる部分もありますけれども,学士・修士・博士等の学位取得者の採用・処遇の問題については,改善が進んでいないという状況でございます。
 説明は以上でございます。
【永田部会長】  どうもありがとうございました。諮問の内容,それから将来像答申のまとめについて,今,御説明がありました。
 それでは,少し時間を使わせていただいて,今までの説明についての御質問,あるいは前向きな御意見等ございましたら,お受けいたしたいと思います。いかがでしょうか。
 益戸委員,どうぞ。
【益戸委員】  益戸でございます。第8期では,実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関する特別部会で専門職大学の議論に参加をさせていただきました。今回もどうぞよろしくお願いします。
 二つ意見を述べさせていただきます。一つは,専門職大学の議論は,職業が議論の切り口でした。先ほどの部会長からの御説明では,将来を考える上では,地域という切り口で考えていく必要があるとのことでした。各地域で産官学の議論はされていますが,地域での高等教育で今後大切なことは,研究を経済界と一緒にしていくということではないかと思います。社会では,採用,教育,人材育成は,ひとつのキーワードです。それは同じ職業という意味でつながっていくことだと思いますが,地域という形で捉えたときは,研究を通じてその地域における悩み,問題点を浮き彫りにして,解決していく過程での教育は,地域人材を効果的に育てていくのではないでしょうか。今まで以上の地域が連携した研究の型が必要と思います。
 二つ目は,日本に留学生を受け入れる過程での問題です。日本語教育機関は,文部科学省がみている専門学校と,入国管理局が管理している学校ではない塾があります。今後の人口減少の中で,海外からの人材受入れは重要なテーマです。日本語を学ぶしっかりとした仕組み,ルート作りがその基本だと思います。
【永田部会長】  ありがとうございます。
 そのほかはいかがでしょうか。それでは,有信委員。
【有信委員】  設置認可と認証評価に関連して少し意見を言わせていただきたいと思うんですけれども,設置認可が,ある意味で形式的な要件を満足していれば設置認可を認める,その後,認証評価で評価をするという仕組みになっていて,仕組みそのものはこういう形になっているんですけれども,一つは,現実的に設置認可のところで,やはりいまだに学問上のディシプリンの議論が行われてきているという事実もあります。ですから,この辺をもう少しきちんと見る必要があるという点と,それから,認証評価に関して,先ほどの意見とも関連するわけですけれども,以前からいわゆるグローバル化という視点で認証評価をどういうふうに考えるかという観点が,かつては意識されていたんですけれども,だんだん希薄になっているんですね。
 例えば,ヨーロッパでは,ボローニャ・プロセスという形で,学位そのものがある意味で共通化されてきています。それに対して,日本の高等教育についても,いわば同等性をどこかで担保しなければ,今後のグローバル化の中で,お互いに教育を受けたということそのものの同等性が保証されないということになっていきます。
 米国では,様々な教育認定機関がその役割を果たしていますし,欧州では,先ほど言いましたように,EUの枠組みの中で制度化が進められている。これに対して,日本も様々,外国から人が入ってきますし,日本人も外に出ていかなければいけない。あるいは地域もある意味で世界に開かれているという状況の中で,これをやはり共通化していくという観点での議論も必要な気がしています。
 以上でございます。
【永田部会長】  ありがとうございます。
 それでは,佐藤委員。
【佐藤委員】  平成17年の将来像答申以降のことというのでいろいろデータを出していただいたのは非常に有り難いのですが,一つ伺いたいのは,2ページ目,答申後の状況の丸4のところで,廃止された私立大学は10校とあります。昭和25年から平成17年度までは2校であったということが表記されているのですけれども,この廃止された中で,例えば,同一法人の中で3大学設置していたのが一つになったケースとか,それも含めて,この10校という形になっているのでしょうか。
 それで,なかなかこれ,統合がスムーズに進まないというか,その分については,多分,認可制度の中で,同一法人の中で複数の大学を持っているところを一つにしようと思うと,一つは残して,それに対してほかの大学を新増設,学部増みたいな形で根本からやらないといけないみたいなことがあったと思うのですね。そういう意味では,大学の適切な数とか,いろいろなことを言っているのですけれども,統合しないというような場合,それに対してやりやすいような仕組みというのがあると,もう少し事が進むのではないかなというふうに感じていますが,その数のところの質問です。
【堀野高等教育政策室長】  基本的に,この10大学については,どこかに移ったということではなく,正にそのまま廃止してなくなったということでございます。
【永田部会長】  黒田委員,どうぞ。
【黒田委員】  ありがとうございます。今の設置と廃止の問題は,今のルールからいったら,改組転換においても廃止するものは廃止し,新しく設置するということになりますから,設置した大学がこの代わりに増えているということになるのですね。廃止は廃止,設置は設置ですから,同じものが移行するとダブルカウントになります。だから,今後は統合するときには,そういう形はなくして,何かいい方法がないか,そういうことを考えるべきだろうと思います。
 それから,もう一つは,先ほどもありましたが,設置認可審査と認証評価,この関連がまだはっきりしていないということがあります。認証評価は一応,第三者評価で民間評価になっていますから,余り文部科学省の意向そのもので評価するということではないのですけれども,今の段階では,認証評価を受ければいいということになっていますね。適合であろうが,不適合であろうが構わない,認証評価を受けていればそれで一応義務は果たしたということになっていますので,認証評価機関としてはいろいろな指導をしているのですが,その指導の中身が反映されない,受けてしまえばどっちでもいいんだ,適合でも不適合でもいいんだという感じになっていますから,その辺のことを少し考えていく必要があるのではないかと思います。
 それからもう一点,これは私,前から言っているのですが,日本にはNQF(国家資格フレームワーク)というシステムがないですね。ですから,学位のプログラムを作ったときに,それと併せて,国家資格のところとのつながり,関連性,これも全く日本の場合見えていない。見えるような形でNQFを作っていく必要があるのではないかというふうに思っています。
 以上です。
【永田部会長】  ありがとうございます。
 いかがでしょうか。これからこういう話を延々とやるわけですが,本日,平成17年答申から推移してきた中での問題点が今,幾つか挙がってきました。こういうぐあいに,問題点が挙がってくれば,これを書き留めておいて,また集中的に審議をしようという進め方を考えております。
 それでは,小林委員。
【小林委員】  ありがとうございます。NQFの問題とか,それから,黒田委員言われた設置審査と認証評価の関係というのは,この前の作業部会で両輪だという位置付けだったんですけど,両輪ということは,逆に言うと,非常に中途半端に終わっているわけです。そこのところをどう考えるかというのは,この将来像答申のときには,入り口コントロールから出口チェックに行くというふうになっていたのを,今は両輪だという位置付けに変わっているわけですから,その辺はもう少しきちんとこれからどういう形にするかというのは検討していかなければいけないと思います。
 それからもう一つ,タイプ分けの問題というのも非常に重要な問題だと思っているんですけれど,7類型が,結局,国立大学3類型,私立大学5類型という形で進んできているわけですが,これに関連して,指定国立大学が法案として通っているわけです。この位置付けというのがここに出ていないようなんですが,これは事務局としては指定国立大学は,この類型とは違うという位置付けなんでしょうか。
【永田部会長】  事務局,いかがですか。
【堀野高等教育政策室長】  今,国立大学法人支援課が誰もいないので,次回以降,御報告したいと思います。
【永田部会長】  それでは,千葉委員,どうぞ。
【千葉委員】  ありがとうございます。こういう将来構想部会を含めて,文部科学省の様々な会議に出させていただいていますけれども,その基になっているのが,第4次産業革命,あるいはIoT,ビッグデータ等々の,割とIT系の技術者の需要というものの変化というところが大きな論点になっていると思うんですけれども,学部の構成を見てみますと,工学というところがなかなか人材が伸びていかなくて,その他というところや保健というところが非常に伸びてきているわけなんですよね。でも,これは設置を自由に,自由化を進めているわけですから,以前のようにこういう分野だけ認めるというところから改めてきたわけですから,それを元に戻すのがいいというふうには思いませんけれども,やはりこれからのIT社会の中で活躍できる人材を創っていくには,そういう分野を強化するということと,それ以外の分野が他大学との連携というのを図っていくということがやはり必要なんではないのかなというふうに思います。
 また,最近,工業高等学校の先生方とお話をしたんですけれども,工業高等学校の卒業生たちがなかなか工業のものづくりやITの方へ行かずに,一般職に就くという傾向が最近非常に強くなっているということで,特にそういう工業高等学校と大学の連携というのも,これもこれからの社会に向けて重要なのではないかというふうに思いますので,御意見を申し上げさせていただきます。
 できれば,その他というところがどういう分野なのか,次回以降でも結構なので,教えていただければと思います。
【永田部会長】  ありがとうございます。
 私の方からも一言だけ。17年答申から現在に至るところで欠けている議論というのは,個々の大学のスケールメリット,あるいはそれに関する議論ではないかと思います。日本の大学は海外と比べて小さい。それは小さな個性を生かすという意味では,一つの方法です。スケールに関する議論はされていないと思います。
 それからもう一つは,大学の役割は教育基本法上,研究と教育と社会貢献となっているわけですけれども,平成17年の頃,そういう観点では言われていないんですね。研究としてはどうなんだ,大学の社会貢献というのは何なんだという議論もないわけです。だから,もう一度,やはり今この時代になって考えなければならないことだと思っています。
 それでは,また後で時間を作らせていただきますが,まだ共有しなければいけない情報がありますので,先に進ませていただきます。


(7)地方創生に資する大学改革に向けた中間報告,私立大学等の振興に関する検討会議の審議のまとめ(案),高大接続改革の進捗状況について,事務局から,それぞれ資料5-1から5-3,資料6,資料7に基づき説明があり,その後意見交換が行われた。

【永田部会長】  それでは,地方大学の振興及び若者雇用等に関する有識者会議の検討状況について,情報を共有したいと思います。内閣官房まち・ひと・しごと創生本部というのがあるわけですけれども,そこで地方大学の振興及び若者雇用等に関する有識者会議というのが開かれていて,一応,中間取りまとめまで行われているわけですが,御存じのとおり,東京の23区の中の大学を今後どうするのだというような議論が行われてきました。今月22日に中間まとめの最終版が出てきたということは既に御存じかと思いますけれども,その末尾のところに,彼らは今後中央教育審議会への報告や連携を行いますということも述べておりますので,我々としては,この内容についても把握しておくべきであろうと思います。
 それでは,事務局から説明をお願いします。
【堀野高等教育政策室長】  それでは,資料5-1を御覧ください。
 まず,最後から2ページ目,14ページを御覧いただきたいと思います。内閣官房に設置された有識者会議でございます。ここにございますとおり,東京一極集中の是正に資するよう,地方大学の振興等々について,まち・ひと・しごと創生大臣の下に置かれた有識者会議ということで開催をされております。委員については以下のとおりでございまして,知事,市長,町長等の方々もいれば,大学関係者として石田委員,金子委員,それから黒田委員,それから鎌田総長もメンバーとして参加をされてきたところでございます。右のページ,15ページにありますとおり,2月から議論を重ねまして,中間報告に至っております。そもそも机上資料で山田委員から配付いただいたとおり,昨年末に全国知事会から緊急決議がなされたというのも,この会議発足のきっかけとなっております。
 それでは,中間報告の内容ですけれども,1ページ目をめくっていただきますと,大学をめぐる基本問題認識等々といったことが書かれてございます。
 少し省略をいたしまして,4ページを御覧いただきますと,(3)に,東京一極集中の現状と課題とあります。丸1にありますとおり,12万人規模の東京圏への転入超過が続いており,その要因は特に進学時,就職時の学生や若者が中心となっている。都道府県別の大学進学者収容力には大きな差があり,先ほどグラフで御覧いただいたとおり,東京,京都の大学進学者収容力は約200%と突出している。また,一方で,長野県,三重県,和歌山県は40%を切っている。
 そして,丸2にありますとおり,東京一極集中が進む東京都は,出生率が全国で最も低く,また,世界の首都の中でも最も自然災害のリスクも高い。こうした観点から,過度の東京一極集中を是正すべきであるとされております。
 右の5ページですけれども,丸3として,地方大学の振興策のみならず,東京の大学の新増設の抑制施策をセットにして,法的な枠組みを含めて抜本的な対策を講じるべきであるとしております。
 なお,丸4の部分で,なお書きですけれども,東京圏への進学希望が多い理由として,東京にいた方が有利であると感じることや,一度は都会で生活したいといった率直な希望があること等を踏まえて,東京の大学の入学定員の抑制や削減を検討するに当たっては,こうした点にも留意する必要があるとしております。
 そこから大学改革の方向性等々ありますが,7ページを御覧ください。4ぽつに,取組の方向性とございます。(1)として,地方大学の振興とされております。そして,具体的には丸1の部分で,首長のリーダーシップにより,産官学連携を強力に推進する。その際,個人間レベルではなく,組織対組織の包括的な連携体制による持続可能なコンソーシアムを構築する。あわせて,地方行政,地方産業における地方大学の役割・位置付けを強化する等々とございます。
 次のページをめくっていただきますと,丸4とありまして,国立大学については,全国一律の地方貢献ではなく,地域に合った施策,地方公立大学とは違った視野での広域的政策を打ち出す。そして,教育・研究はもとより,地域の社会・経済・産業・文化・医療・福祉等の拠点としての役割を担う人材として,その配置の在り方については,国全体の高等教育のグランドデザインを策定する過程で検討を進めていくと。この場で検討するということでございます。
 また,丸5ですけれども,3行目あたりから,地方大学が地方公共団体,産業界との間でコンソーシアムを構築し,地域の中核的な産業の振興とその専門人材育成など,地方創生の視点に立った振興計画を策定し,有識者の評価を得て認定し,国と地方が新たな財政支援制度の創設の検討を含め全面的に支援を行う。その他,その際には,首長のリーダーシップ等々,地域が一丸となった本気で改革に取り組むプロジェクトに限定すべきとしております。
 9ページの(2)というところが,東京における大学の新増設の抑制でございます。丸2にございますとおり,特に東京23区の大学生は増加傾向,そして収容力は約200%と突出して高い。そして,ここ数年も東京圏の大学の定員増加が続いている。そして,市場原理に委ねて東京23区の定員増が進み続けると,更に地方大学の経営悪化や東京圏周縁地域からの大学撤退等を招きかねないことから,東京における大学の新増設の抑制が必要としております。
 丸3として,具体的には,東京23区においては,大学の定員増を認めないこととする。その際,総定員の範囲内で対応するのであれば,既存の学部・学科の改廃等により,社会のニーズに応じて新たな学部・学科の設置,社会人や留学生の受入れは認めることとする,スクラップ・アンド・ビルドの徹底としております。
 注意書きといたしまして,これについては,我が国の研究教育の発展に貢献し得ると認められる定員増等については,規制の対象から外すべきとの意見,東京23区の大学の定員は現状よりも削減しても差し支えないとの意見もあったということでございます。
 次の10ページを御覧いただきますと,その際の留意事項が四つありますけれども,丸4の2番目では,新たな学部・学科を新設することに伴い,旧来の学部・学科を廃止するとしても,学生が適切に学修できるための移行措置期間への配慮が必要であるとしております。
 そして,(3)からは,東京における大学の地方移転の促進ということで,サテライトキャンパスの設置等について書かれております。
 丸3の4行目にありますとおり,特に大学進学収容力の低い県については,サテライトキャンパス等の地方移転を優先して検討する。その際には,十分マーケティングリサーチを行い,既存の地方大学の学部・学科との競合が起きない学部・学科,あるいは新たなニーズのある地域への移転等,単なる学生の取り合いにならないようにするといったことが示されております。
 そして,次の11ページの(4),地方における雇用創出,若者就職の促進とあります。丸1,国・地方公共団体に求められる取組,丸2は,経済界に求められる取組,12ページでは,丸3という中で,例えば,2番目にあるような,本社機能の地方移転,地方採用枠,地域限定社員等の実施状況等々を分析して,必要な対策を講じる。そういう企業に対しては,支援措置を講ずることも検討するとしております。
 その下,4とありますように,東京圏の大学と連携して,3年間は東京圏で学修し,4年次に地方に戻って学修をするプログラムや,地域企業と地方大学とのコンソーシアムを作って,様々な教育研究活動を進める等,学生が地元に残る取組を進める等々としております。
 そして,5番目,「おわりに」ということで,最後,右の13ページですけれども,なお,本有識者会議等において検討した施策を実施するに当たり,現在,国会で審議されている,これは成立いたしましたけれども,専門職大学の取扱いについては留意が必要であるということ。
 そして,また,先ほど永田部会長からございましたとおり,将来構想の諮問が中央教育審議会でなされているので,当会議の中間報告を示し,連携を図ることが必要であるというような中間報告が出ております。
 今後更に政府の中の会議等々で議論が行われ,閣議決定という形で一定の方向性が示されますけれども,具体的にどういう制度にしていくかということについては,その後また更にこの部会においても具体化については検討の相談をさせていただきたいと思います。
 以上でございます。
【永田部会長】  ありがとうございます。
 一方で,文部科学省において私立大学等の振興に関する検討会議というものも進められてきて,15回ほど検討して,その議論のまとめ(案)というのが出ております。これについても関連しますので,続けて御説明いただきたいと思います。
【蝦名私学行政課長】  資料6を御覧いただければと存じます。「私立大学等の振興に関する検討会議「議論のまとめ」(案)」というものでございます。
 私立大学等の振興に関する検討会議は,昨年の4月に設置されまして以来,15回にわたって検討を行ってまいりまして,15回目が最終回ということで,現在,最終的な議論のまとめの成案に向けて調整中でございます。
 この会議のメンバーにつきましては,最後のページに委員の名簿をお付けしてございます。大学関係者,産業界,マスコミ関係者等による会議でございます。
 1ページ目にこの議論のまとめの位置付けについて整理をしてございますけれども,私立大学は大学の数で全体の8割を占めてございます。我が国の学校教育において,大変大きな役割を果たしているところでありますけれども,そうした私立大学の教育等の一層の充実の必要性とともに,18歳人口の減少等により大変大きな影響をこれらの大学は受けてございます。経営困難校の顕在化,あるいは一部の私立大学における管理運営上の不適切な事例など,様々な課題が指摘されているところでございまして,昨年の4月から1年間掛けまして,私立大学の果たすべき役割,あるいは私立大学のガバナンスの在り方,それから私立大学への経営支援や,経営困難な状況への対応,それから私立大学の財政基盤の在り方などをはじめとする全般的な振興策について,15回にわたって検討を行ってきたものでございます。
 このまとめ,「案」が付いておって,調整中でございますけれども,私立大学の振興の方向性と,それから今後の推進方策を明らかにするということを目的として取りまとめを行おうとしているものであり,個別具体の改善策というよりは,今後更に検討していく必要があるものが多いわけでございますが,そのときの大きな方向性を示すということを旨として取りまとめを目指してございます。
 特に,これまで私立大学の経営モデルとして18歳人口の規模の拡大を念頭に置かれていたところがなきにしもあらずだったわけでございますが,今後,大変大きな環境の変化があることを前提にしながら,そうした変化に即した経営モデルへの転換というものが強く求められているというふうに考えており,全体を通じて,私立大学の多様性や機動性を最大限に生かしながら,社会からの要請にいち早く対応できるように,また,高等教育にふさわしい教育の質を確保できるように,学生の学びを徹底的にサポートできるようなきめ細かな教育が行えるようにといったような,私立大学のダイナミズムを生かした特色ある取組が図られるようにということで,この取りまとめを行っているところでございます。
 2ページ目に,2番として,私立大学がこれまで果たしてきた役割について整理してございます。冒頭申しましたように,戦後の高等教育の普及や,先端的・独創的な研究の進展,高等教育機関の社会貢献の促進の面でそれぞれ大きな役割を果たしてきたということ,特に二つ目の丸にございますように,大学の数で8割を占めるとともに,学生の数では4分の3が私立大学に在籍してございます。我が国社会の発展と,その安定に必要不可欠な極めて厚い中間層の形成にも大きく寄与してきたのであろうというふうにまとめてございます。
 また,大学の数で8割でございますし,県庁所在地以外にも私立大学というのは多数設置されてございますので,地域の知的基盤としての様々な役割というものが地域から期待されているということもございます。
 また,私立の短期大学については,特に女性の社会進出や地域の発展と教育の機会均等に大変大きな貢献をしているというふうに,これまで果たしてきた役割を整理してございます。
 その上で,3ページ以降に,そうした私立大学を取り巻く状況の変化と課題について整理をしてございます。3ページに,人口の減少でありますとか経済社会のグローバル化,産業構造の変化等々を挙げてございます。特に18歳人口の減少という点については,私立大学の多くがこうした人口減の影響を受けております。特にその中でも,地方に所在する中小規模の私立大学が大変大きな影響を受けており,特に,例えば事業活動の収支の差額がマイナスとなっている割合は,こうした地方所在の中小規模の大学が4割を超えるといったようなことで,深刻な経営上の影響を受けているところでございます。
 そうした状況も踏まえつつ,こうした厳しい環境に備えながらも,各大学が経営力を強化し,教育と研究の質を不断に向上させる取組を通じ,地域や社会の信頼と支援を得ていくということが極めて重要であり,社会に対する説明責任を果たしていくということも同時に大変重要な課題であるということでございます。
 こうした課題に応えるため,今後どのように私立大学の振興を図っていくかについて,4ページ以降にこれまでの議論を整理いたしたところでございます。全体として,一つには,私立大学のガバナンスの在り方,それから,経営力の強化の在り方,経営困難な状況への対応,財政基盤の在り方,特に公的な財政支援である私学助成の充実,仕組みの改善の方策というふうに大きく五つのパートに分かれてございます。
 私立大学のガバナンスについては5ページ以降でございますけれども,特に6ページの学校法人の管理運営制度については,平成16年に私立学校法の大変大きな改正があり,現在の学校法人のガバナンスの制度が構築されてございますが,この検討の成果としては,基本的にはそうした平成16年の改正の趣旨が十分に果たされるように,本来期待されている役割が十分に果たされるように機能の活性化を図ろうということで,理事会でありますとか評議委員会それぞれについて,機能の実質化のための様々な改善点が指摘されてございます。
 また,7ページの一番下の括弧のところで,「情報公開の推進について」とございます。これは教育情報公開については,国公私立を通じた枠組みをどうしていくかという大きな課題がございますが,特に私立大学を経営している学校法人の法人としての経営に係る情報の公開については,例えば社会福祉法人などに比べて,現在少し遅れ気味という状況がございます。
 8ページにございますように,様々な経営に関する情報も含め,制度上も公開の対象とするというようなことを一層進めていく必要があるということについて提言をしてはどうかという方向性で議論がされてございました。
 また,8ページからは,私立大学の経営力の強化についてということで,18歳人口の影響を大変大きく受けている私立大学ではございますけれども,今後の各大学等の運営に当たっては,一方で,私立大学が建学の精神に支えられた多様な教育・研究上の強みがそれぞれの大学にございますので,こうした強みをより伸ばす方向で,各大学の中での選択と集中を行い,有望分野への展開を進めるなど,社会の変化に柔軟に対応した取組というのを一層進めていく必要があるだろうというふうにしてございます。
 その際には,8ページの一番下にございますように,中長期的なビジョンをまずはきちんと大学として策定をし,学内で共有するとともに,9ページからは,大学間の連携を一層進めていくということを方向性として示してございます。
 9ページの大学間連携から始まる括弧の二つ目の丸にございますように,各私立大学の特色化・強みのある分野への資源集中を本格的に促していくため,複数大学が協力した授業や学生の募集,施設設備・調達・事務処理等の共同化や教育研究資源の有効活用のための連携を一層促進し,効果的・効率的な学校運営を可能としていくということが必要ではないかということが指摘されてございます。
 そして,その次の丸にございますように,特に地方の大学では,大学間連携から一歩進んで,都道府県等の地元の自治体や産業界などと大学が,いわば教育機会の提供のためのプラットフォームを形成し,地域の高等教育に関する中長期的計画の策定や,地域政策と連動した産学連携に基づく研究も含めた活動を行うなど,地域と大学が密接に連携する取組を支援し,それを地域に大学が貢献すると同時に,大学が地域から支援を受けるなど,大学を取り巻く各種主体と幅広い連携を進めていくといったようなことを今後進めていく必要があるのではないかというようなことが指摘されてございます。
 また,その次の丸として,例えば各法人の成り立ちや独自性を生かし,一定の独立性を保ちながら緩やかに連携し,規模のメリットを生かすことができるような経営の幅広い連携・統合の在り方,あるいは国公私の設置者の枠を超えた連携・協力の在り方や,事業譲渡的な承継方法など,多様な連携・統合の方策について検討していく必要があるのではないかということが指摘されてございます。
 10ページからは,経営困難な状況への対応ということで,こうした各大学との連携を更に進めていく,あるいは地域との関係を深めていく,場合によっては事業譲渡的な承継等もしながら,できるだけ強みのある分野を残していくような取組を行ったとしても,なお経営困難な状況に陥る学校法人が生ずるということは避けられないということで,二つ目の丸にございますように,できる限り学校法人が経営破綻といったような状況に陥らないよう,経営悪化傾向にある学校法人に対し,経営状況をよりきめ細かく分析した上で,早期の適切な経営判断が行われるよう,国,文部科学省や私学振興事業団などが役割をしっかり果たして,踏み込んだ指導・助言を行うということが必要であろうということを指摘してございます。
 また,いざ経営破綻というような状況に陥った際にも,11ページにわたりますけれども,学生の修学の継続,あるいは最終的に解散を行った場合の学籍簿の扱いや,破綻の際の処理手続に関する法制度や運用全般について,より適切な方法がないか引き続き検討し,いざそういった状況に立ち至った場合のセーフティーネットをしっかりと構築しておく必要があるということを御提言いただくこととなる見込みです。
 11ページからは,私立大学の財政基盤の在り方について,特に13ページに,財政基盤の多元化が大変必要ではないか。何にしても,現在,教育研究経費が現役の学生の負担に大変大きく依存しているというような構造から,できる限り効率的な運営を基本としながら,大学間連携を含めて,広く学内外の資源を活用しながら,社会全体で大学という学びの場を支える構造へと転換することが必要であろうということで,研究資金の充実に向けた取組が必要ではないかということが二つ目の丸にございます。また,三つ目の丸では,寄附金募集の促進や資産の有効活用などを一層進めていく必要あること,3点目として,産学連携について,組織対組織への発展を図りながら,産業界からの一層の支援を獲得していくこと,それから,先ほど申し上げた地域と大学の新しい関係づくりということを考えていく必要があるのではないか。そうした地域からの支援ということも取り込んでいくようなことが考えられないかということが指摘されてございます。
 その上で14ページには,私学助成の充実や仕組みの再構築ということで,こうした大学自身の財政基盤の多元化を図っていくことによって強化しつつ,私学助成についても総額の確保・充実を図っていく必要があるとし,これまでの私学助成の取組に対して,以下,丸1から丸7で掲げているような方向で,その仕組みを再構築していく必要があるのではないかということを述べてございます。教育研究活動の成果の見える化を図りながら,その質の向上に向けた取組を一層支援していくような形で見直していくことや,大胆かつ機動的な改革の促進や,自らの強みのある分野にできる限り取組を集中していくようなことなど,今後の私学助成の見直しの方向性としてはどうかということが提言される見込みです。
 その上で,最後の5については,今後,国公私立を通じた高等教育の将来像につきましては,本部会での御検討ということとなってまいりますし,その他様々,この私立大学等の振興に関する検討会議では大きな方向性を示しましたけれども,それ以降,全体を通じた検討や個別具体の検討について,引き続き様々な機会においてこうした検討の成果が勘案されるということが期待されるということを述べているところでございます。この報告書につきましては,最終回の会合が終了いたしまして,現在,最終的な文案の調整中ということであり,近日中に「案」が取れた形でまとめが行われる予定でございます。
 私立大学等の振興に関する検討会議につきましては,以上でございます。
【永田部会長】  ありがとうございました。
 ここで意見を伺おうと思っていたんですが,近々になって文部科学省の方から高大接続改革の進捗状況がはっきりと出てまいりました。これについても受け止めておいた方がいいと考えておりますので,文部科学省が公表した内容について,これも事務局の方から簡潔に御説明をお願いいたします。
【角田大学振興課長】  大学振興課でございます。資料7を御覧ください。高大接続改革につきましては,高等学校教育,大学教育,大学入学者選抜も一体で改革をするものでございますが,これまで平成25年の教育再生実行会議の提言,また,平成26年の中央教育審議会の答申,さらにはそれを受けました平成28年の高大接続システム会議の最終報告を踏まえまして,有識者による検討を進め,先般5月16日に現在の案を公表したところでございます。今お手元にございますのが,その案の入学者選抜に関する資料の抜粋ということでございます。
 資料のポイントといたしましては,2枚目おめくりいただきまして裏側,通し番号が抜粋ということで飛んでおりますけれども,31ページを御覧いただければと思います。表題「高大接続改革(大学入学者選抜改革)」という資料でございます。ポイントは三つございます。一つ目のポイントは,記述式問題の導入,共通テストに導入するというものでございます。内容としては,右側の箱にございますように,大学入試センターが作問,出題,採点を行うと。さらには採点に当たりまして,民間事業者を活用するということでございます。国語と数学,それぞれ3問程度,記述式の問題を導入する,さらには平成36年度からは,地歴・公民あるいは理科分野でも導入するというものでございます。これが1点目のポイントでございます。
 2点目のポイントでございますが,その下のところ,英語についてでございます。英語につきましては,4技能評価へ転換するというものでございます。高等学校の教育,英語教育,かなり改革が進んでおりまして,これを受けまして,大学入学者選抜におきましても,4技能を評価するということで改革をしたいと考えているところでございます。現に民間事業者によりまして広く実証され,また,一定の評価も定着しております資格・検定試験を共通テストの枠組みの中で活用するという形で実施をしたいと考えているところでございます。
 また,この資格・検定試験の活用に当たりましては,大学入試センターが認定するという仕組みを導入いたしまして,学習指導要領との整合性,実施場所の確保,セキュリティー・信頼性等を担保する,さらには受験の機会,回数についても一定の制限を加えるということで,受検者の負担が重くならないように配慮したいと考えているところでございます。
 また,これに伴いまして,共通テストの英語試験の取扱いにつきましては,二つの案ということで,平成32年度から取りやめ,検定試験に移行するA案,一方,平成35年度までは共通テストを継続して実施し,資格・検定試験と併存させて大学の選択利用を可能とするB案,この二つの案をお示ししているところでございます。これが二つ目のポイントの英語ということでございます。
 最後の三つ目のポイントでございますが,大学入学者選抜に関する新たなルールということでございます。これにつきましては,高等学校・大学関係者で協議を行っていただいておりまして,今,区分といたしましては,一般,AO,推薦と三つございますが,いずれの区分におきましても,学力の3要素の評価を求めること,また,本来の趣旨に添った丁寧な選抜の実施,あるいは高等学校教育への影響等を考慮いたしまして,AOにつきましては,出願時期の後ろ倒し,また,AO・推薦につきまして,現在設定しておりません合格発表時期について,新たに設定するということを考えているところでございます。
 以上,三つがポイントでございますが,詳しい内容につきましては,32ページ以降が共通テストの実施方針,また,40ページ以降がこの実施方針についての策定に当たっての考え方,また,71ページ以降が大学入学者選抜の全体のルールについての資料ということでございます。後ほど御覧いただければと思っております。
 文部科学省といたしましては,今後,専門家あるいは高等学校・大学の関係団体から意見を聴取いたしまして,また,今実施しておりますパブリックコメントの内容も踏まえまして,6月末を目途に最終的な案として固めていきたいというふうに考えているところでございます。
 雑駁(ざっぱく)でございますが,説明は以上でございます。
【永田部会長】  ありがとうございました。
 今,三つ立て続けに説明がありました。これらについて,まず御質問あるいは御意見はございますでしょうか。では,村田委員,どうぞ。
【村田委員】  地方創生に関するところで少し意見といいましょうか,質問もあるんですけれども,政策の整合性というところから少しお話しさせていただきます。本日御説明がございました我が国の高等教育の将来像のところに書いてあるのは,正に政策は「各種の規制」から,「将来像の提示と政策誘導」となっているんですが,23区ではこれは規制になるわけで,このあたりは今後,政策の整合性という意味ではどう考えればいいのか,あるいはその辺が少し問題なのかなと思っております。
 それから,もう少し小さな話で言いますと,いわゆる収容力が200%以上超えているのは東京だけでなくて京都も超えています。ところが,東京だけが対象となっているのが,これの整合性もどうなのでしょうか。
 更に申し上げますと,「地方創生,まち・ひと・しごと」という点から考えますと,若者を地方へというのは,やはり地方の産業が活性化しない限り若者は行かないわけです。ところが,一方で集積のメリットというのがございまして,これもRIETIの論文に幾つかありますけれども,東京一極集中は一極集中でそれなりの理由があって,知識基盤社会におきましては,そこに集積しているから生産性が上がっていることも指摘されているところです。全ての産業ではありませんが,そのあたり,どういう形で東京一極集中にするべき産業と,あるいは先ほど永田部会長にもお話がございましたように,地方に持っていく産業はどうあるべきかということを少し考えた上で,全体としての見通しをした上で政策を立てないと,いきなり大学のところだけを規制するというのは,この将来像答申のときにせっかく政策誘導になったものがまた規制に戻るのか,その辺がどうなのかというところは,慎重に考えていくべきではないかと思います。
 以上です。
【永田部会長】  山田委員,どうぞ。
【山田委員】  この地方創生については,私は全国知事会の会長をしておりますけれども,机上にお配りをしております知事会の決議が火付け役なっているということでございます。その背景を少し言わなければいけないのではないかなというふうに思っております。今もお話がありましたけれども,今地域の現状はどうなっているのか,そうしたことについては,この資料の中にはどこにも触れられておりませんけれども,端的に申しますと,この前の国勢調査を見ますと,日本の人口自体は95万人減っている。そして,東京都の人口は35万人増えている。つまり,東京以外が130万人減っているんですね。つまり,小さな県2県分ぐらいが5年間でなくなったわけです。今一番高齢化の進んでいる県においては,平均年齢51歳という県があります。そして,その県では大体毎年1%ずつ人口が減っております。
 こうしたことが今,日本全体に広がってきていて,このままでいけば,日本は必ず地域から衰退をしていく,そうした状況にあるというのが私どもの現状認識でありまして,そして,それが危機感になって,今回緊急決議に至ったわけであります。
 その中で,日本の人材育成自身が,こうした中でゆがみが生じているのではないか。東京に一極集中することによって,地方はどんどん今大きな危機に面しているのではないかということでございます。
 一つは,東京が人材のブラックホール化していて,東京は人口が日本の10%,1割でありますけれども,学生については25%が来ていて,その7割が23区に来て,そこが今増え続けている状況にあります。
 そして,今お話がありましたように,確かに東京の役割はあるんだろうと思いますし,東京のニーズはあるんだろうと思います。しかし,地域のニーズもあり,地域の役割もあるのです。そこのバランスが大きく崩れてきているのではないかということが私どもの認識であります。それだけに,ニーズ自身の偏りも出てきているのではないか,こういうことを是正していかなければ,日本全体の発展というものは非常に難しいのではないかと思うわけです。
 地方創生ということを政府自身も掲げていただいたわけでありますけれども,その中で地方は正に人材不足ということに直面をしております。地方を元気にしようと思っても,人がいない。一つには,ものづくり自身がそうした中でどんどん海外へ出ていってしまっています。地方が担っている,例えば介護や福祉といったものについてももはや人手不足で,地方が受け切れなくなってきているのです。
 こうした中で,日本全体のバランスをどういうふうにすれば取り戻せるのか。私たちは別に東京から大学生を追い出すと言っているわけではなくて,東京の23区の定員をこれ以上増やさないでもらいたいとだけ言っているわけです。そうした中で,緊急決議自身も実はもっと厳しい意見もたくさん出ていたんですけれども,私どもといたしましては,47都道府県が折り合いをつけなければいけないということで,かなり妥協的な面もあって,東京都も反対はしないという中で,23区の定員抑制ということだけは決議をさせていただいたわけであります。
 こうした全体のゆがみというものを背景にして,日本の人材育成,高等教育の在り方を考えていかなければなりませんし,その中において,東京とそれ以外のバランス,地方のニーズと東京のニーズのバランス,こうしたものを含めれば,地域との関係の再構築が必要であるということが,これが我々都道府県の共通認識に今なっているということは御理解いただきたいというふうに思います。
 そして,その中において,例えば,子供の貧困問題等についても,結局,高等教育に対する公的な支出が少ない。そして,地方の大学の運営交付金が削られていく。地方大学は衰退していく。それに対して外部的な資金を導入しやすいところは非常に何とかそれを維持できるという中で,地方大学自身も経営的にも厳しい。子供たちは,どちらかというと,アルバイトの先を見付けるためには都会の方がいいという形になってきて,都会へまた出ていくという形にもなってくる。様々なゆがみをどこかで直さなければ,このままではどうしようもないということを我々知事会は決議をしたという背景だけは,御理解いただきたいなというふうに思っているところです。
 取りあえず本日は初回ですから,私からは以上です。
【永田部会長】  ありがとうございます。
 それでは,古沢委員,どうぞ。
【古沢委員】  済みません,私は,私立大学等の振興に関する検討会議で少し御質問したいと思ったんですけれど,この中の10ページから11ページにかけて,経営困難な状況への対応というところで,一番下の丸で,経営困難な状況に陥ったときに,各大学が選択の判断を各学校法人の自主性に任せるだけでなく,経営状況をよりきめ細かく分析した上で,早期の判断が行われるよう支援して,踏み込んだ指導・助言を行う必要があるということなんですが,今後やはりこういう対策が必要になってくるのかなというふうには思っているんですけれど,なかなかどういう仕組みを作るのか,イメージが湧かないというか,難しい面があると思います。
 それで,今,この提議,非常に興味深いと思ったんですけれど,今後どのような形で具体的に検討していくかというのをもう少し詳しくお伺いできればというふうに思いました。
 以上です。
【永田部会長】  私立大学等の振興に関する検討会議のまとめは,もうすぐ最終まとめが出ると思います。今の段階で,この会議内容の詳細については一旦置いておいて,宿題にさせていただいて,最終版が出てからということにしたらいいかと思います。
【古沢委員】  分かりました。
【永田部会長】  吉見委員,どうぞ。
【吉見委員】  東京大学の吉見でございます。私,初めてこの場に出させていただきましたので,十分文脈が分かっていないこともあるかもしれませんけれども,せっかくですから,本日お話をいろいろお聞きして感じましたことを一言申し上げさせていただきたいと思います。
 とにかくいろいろ御報告をお聞きして,山のように課題があるということは大変よく分かりました。そういう状況を踏まえて言うと,私たちがすべきことは,大学の危機意識をきちんと国民に伝えるという,答申を通して伝えるということではないかと思います。そのために必要なことは,個別的なことはあると思いますけれども,非常に大きな大学の未来に向けてのビジョンを示す。国民に向けて示すということだと思いますし,それはある種の大学の再定義と言ってもいいような作業が必要なんだというふうに思います。
 先ほど山田知事からお話がございましたけれども,このお話は,2040年に向けて,単に高等教育のここをこう直そうという小手先では済まないレベルにもう来ているという認識が必須であり,そして,そのためには,大学を変えていけばいいということだけでは終わらずに,むしろ大学の視点,高等教育の視点から見たときには,日本全体は2040年に向けてこういう形になっていかなければいけないという視点を示すことがとても大切です。それがないと,「大学だけの話でしょ,それは」ということで終わってしまうんではないか。そうではなくて,大学,高等教育の視点から見たら,日本全体が2040年代にこうなっていくということが示せないと,やはり説得力を答申自体が持ってこないのではないかという気がいたしました。
 本日のお話を聞いていて私自身が感じましたのは,常日頃から感じてはいるんですけれども,日本の大学に一番欠けているのは,質の高い流動性の欠如だと思います。オープンですとか,あるいは風通しのよさと言ってもいいと思いますけれども,例えば,先ほど有信委員からお話がございましたグローバル化の問題にしても,なかなか学生が外に出ていけない。これは具体的には6月と7月が空けられないということが非常に大きいんですけれども,海外に行けないということ,それから,交換留学ができないというのも,これも日本の大学は英語での授業がとても少ないということに具体的な原因がかなりはっきりあるんですけれども,それから,留学生との交流を持てないというのも,大学の教育カリキュラムの中にチームワークのプログラムがきちんとないとか,極めて具体的なことがたくさんあります。
 知識基盤型の社会ということが前回の答申の中で出てきて,そこでもっと強調された方がよかったのは,知識基盤型の社会というのはスタティックなものではなくて,非常に複雑で流動的な,知識の形そのものは複雑で流動的に変わっていると。そのときにそれに合わせた大学教育の仕組みというのはもっとフレキシブルで,もっと流動性の高い仕組みを作らなければいけないという,この辺の危機感です。
 だから,恐らくこの議論の中で,今個別の議論がすごくありましたけれども,ざっくり言うと,やっぱり大学の将来の形,それから地域連携の形を含めて,今まで点,点,点でそれぞれ大学が個別に考えてきた。国立大学もそれぞれの国立大学で個別に考えてきた問題を,国立大学は国立大学で,全体的にシステムとして,それも点の集合体としてではなくて,大学を国立大学なら国立大学,私立大学なら私立大学で,つながったネットワークなり構造化されたシステムとして考えたときに,その全体のシステムそのものが日本の将来に対してどのように貢献できるのかというかなり大きなビジョンが,私は次回の答申で出されるべきなのではないかという気がいたします。もちろん永田部会長は十分その辺はお考えのことだろうと思いますが,大変僣越(せんえつ)ながら,そういう感想を述べさせていただきました。
【永田部会長】  佐藤委員,どうぞ。
【佐藤委員】  本日は1回目ということですから,今後の一つの課題で,先ほど部会長が触れられたことで,今までやっぱり議論を避けてきたのか,しなかったのかよく分からないのですが,大学の適正な規模,大きさというのは何なのかということは,一度議論した方が良いのではないかと思っております。例えば,私立大学も入学定員50人から1万人を超す大学まであります。今問題で,多分経営困難だというところは,非常に規模の小さいところについて問題がいろいろ起きているのだろうと思います。
 例えば,寄附金を募ろうと産業界からサポートを得ようとしても,あるいは私学助成の規模を拡大しようとしても,基本的に小さな50人の入学定員のところができることというのは非常に限られている形ですから,本当にこの議論の中に将来構想として規模のことを一度きちんと調査した方が良いのではないかというふうに思っています。これ一つ,先ほど多分,部会長が規模とおっしゃったのは,その辺を議論しなかったというのはそれではないかと思います。
【永田部会長】  ありがとうございます。
 吉岡委員,どうぞ。
【吉岡委員】  立教大学の吉岡です。23区内の私立大学は多分私だけということで,発言させていただきます。
 大きな枠組みで,規制の方向性が違うのではないかというのは,先ほど村田委員の方からお話がありましたけれども,もう少し内実のことで言いますと,今,吉見委員がおっしゃったように,人材を創っていくときにやっぱり非常に重要なことというのは,多様性を作っていくということだと思うのですね。私の大学などでも,実際にそうなのですが,大体7割から8割ぐらいが東京及びその周辺の学生です。どの大学もそうですけれども,できるだけ地方の学生をそういう意味では呼び込もうという努力を実はずっとしてまいりました。これは非常に重要なことで,東京の学生はやはりどうしても均質的であります。そこに地方の学生が入ってきてくれるということは,非常に大きな意味を持っているのです。このことは,先ほどの話にもありますけれども,要するに,国際化に対応して学生をできるだけ外に出そう,あるいは外から学生を入れようということと,基本的な動機は,根本的なところでつながっています。
 さらに,これもうちの大学がやっていることですけれども,学生を例えばインターンシップ等で地方に出すとか,農業体験とか,うちは林業体験とかやっておりますけれども,キャンプをやったり,そういうプロセスを経て,できるだけ地方の学生と触れる,地方の人々と触れるということを行っているんですね。そのことというのは非常に重要で,そういう意味での緩やかな流動性というものを作っていくということが,まず人材育成という点から考えても非常に重要です。
 それから,部会長が最初におっしゃったように,やはり学生の視点からしても,学生が育っていく,自分の力をつけていくという面でも,いろいろなものを体験できるということは非常に重要だというふうに思います。
 東京集中の問題は,私どもも,もちろん非常に大きな問題だと思います。それに賛成しているわけではありませんけれども,しかし,大学ということで言った場合に,定員を抑えるとか,学部・学科の増設とか,動かすのをやめるということになると,結局のところ,例えば,入試を考えた場合でも,地方の学生を東京はできるだけ受け入れられないようにするというようなことに実質的にはなっていく可能性があるでしょう。つまり,入試をした場合に,地方の学生は優秀な学生,あるいは受験に受かった学生だけが東京に出てこられて,受からない学生は地方にとどまるみたいなことが起こってくるというのは,非常によくないことだろうというふうに思っています。できるだけ東京には地方の学生が出てこないというメッセージを含むことになってしまうでしょう。これは本当に固定化を進めることになるのではないかというふうに思います。
 もう一点,学部・学科の増設というのは,これは私立大学だけではなくても,どこでもそうだと思いますけれども,必ず何らかの形で,一時期学生が増えてしまったりという時期がどうしても生じてきます。これだけ流動化している世界の中で,学部・学科の転換とか増設とかというのはどうしても必要だというふうに思います。そのことを抑制するということが起こってくるということになりますと,これは本当に日本の人材育成にとってマイナスではないかというふうに思います。特に私立大学は,お金は学生からもらわない限り次のステップが踏めないので,抑制して減らしていって,お金はないけれども現在の最先端の研究をしろとか,教育をしろというのは非常に難しいことだというふうに考えております。
【永田部会長】  ありがとうございます。
 次回以降,もっともっと議論をしていくということで,本日,時間も来ましたので,最後に少しだけ述べさせていただきます。
 いろいろなキーワードが出ました。規模の問題とか,国公私設置者の問題,あるいはその設置者を超えた問題,それから地域の問題,あるいは途中で少し出ました分野,いろいろな分野によってまた考え方が違うであろうと。それから,多様性を確保していくという意味合いから,地域と東京というのはどういう関係にあるのかという議論も最後に出てきましたし,当然ながら大学種,あるいは高等教育の種類によってもいろいろ考え方がある。それらいろいろなキーワードを背景にこれから議論していかなければいけないのですが,大学というのは希望があるところだと考えています。欧米に倣えば500年ぐらいたっていて,いまも大学は存在しています。つまり,それだけ大学というのは柔軟性を持って各時代を超えて人々の期待に応えてきた,ここが自信であり,知恵を集めれば,今の時代の新しい大学像というのをもう一回考えていくことができるはずです。大学が時代を超えて発展を続けてきた理由,そこに大切なことがあるんだろうと思いながら聞いておりました。
 本日は1回目ということで,ここまでにさせていただきたいと思います。次回からの議論に期待をいたします。
 どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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