令和8年7月10日(金曜日)13時00分~15時00分
【松下座長】 それでは、所定の時刻になりましたので、第124回中央教育審議会大学分科会法科大学院等特別委員会を開催いたします。御多用中の中、御出席いただき誠にありがとうございます。
本日は、ウェブ会議として開催しております。本委員会は公開が原則のため、この会議の模様はYouTubeライブ配信にて公開をいたします。
ウェブ会議を円滑に行う観点から、御発言の際には挙手のマークのボタンを押していただき、指名されましたら、お名前をおっしゃってから御発言いただきますようお願いいたします。また、御発言後は再度挙手のボタンを押して、挙手マークの表示を消していただきますようお願いいたします。御発言時以外はマイクをミュートにしていただくなど、御配慮いただけますと幸いでございます。
また、御出席された方全員が御発言できますよう、大変申し訳ありませんが、御発言は1回当たり上限二、三分程度を目安にお願いできればと存じます。
なお、さらなる御意見がある場合には、会議終了後に事務局にメールでお寄せいただければ、今回の議事録に反映したいと考えております。委員の皆様の御協力のほど、よろしくお願いいたします。
それでは、本日も活発な御審議をどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、まず、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。
【三木係長】 文科省専門教育課の三木です。本日の資料ですけれども、昨日の時点で掲載しておりました資料に一部誤植が見つかりまして、訂正を入れております。当該資料は資料1-4でございます。修正に関しては、本日午前10時に新しい資料をホームページ上にアップロードしております。委員の皆様に配付しております資料と、本日投影します資料にも修正を反映しております。
その上で、今回の資料は資料1-1から資料3-5、それと参考資料1から4で、合計297ページとなっております。
以上です。
【松下座長】 ありがとうございました。
それでは、議事に入ります。まず、議題の1ですが、文部科学省は例年どおり、今年度に実施した調査により、法科大学院の入学者選抜や司法試験受験状況等について、最新の状況が取りまとまっており、本日の議題も含め、議論の前提となるデータでございますので、事務局より御報告をお願いいたします。
【三木係長】 今回、資料の1-1から1-5に関しては、今年度の入学者数のデータとなっております。資料1-2ですが、本日の前半の議題で未修者教育を扱いますので、未修者コースと既修者コースの内訳による棒グラフを示しております。
折れ線グラフのほうは、未修者コースに占める非法学部出身者の割合ということで、当初49%だったものが、現在30%台に低迷している様子であったり、棒グラフのほうでは平成23年度以降に未修者と既修者の数が逆転しているという傾向が示されております。
同様に、社会人経験者のグラフですけれども、法学未修者コース(オレンジ色)、法学既修者コース(グレー)の折れ線グラフで、それぞれ社会人経験者の割合の推移を示しております。こちらも若干の低迷を示しています。
その後、資料1-4になります。本日、東京大学と福岡大学のほうからも個別の発表がありますけれども、資料1-4、1-5に関しては、これら個別の大学を全て別の行で示しているものになります。
その次に、修了者数のデータが資料1-6と1-7になります。特に標準修業年限修了率を資料1-7に示しております。ここでは、下のほうの米印で書いておりますけども、長期履修者は除く修了率となっております。
その後、資料1-8、こちらが令和2年度に策定しておりますKPI(法科大学院等の教育に関する定量的な数値目標)でございます。昨年同様の傾向にはなっておりますが、1点だけ(1)のBの部分、未修者の修了5年目までの累積合格率、昨年計測した令和元年度修了者のデータですと56.6%ということで、令和11年度目標も達成していたというところでありますけれども、令和2年度の修了者の累積合格率は48.7%となっております。これは令和6年度目標も下回っているということで、若干の変動があるということになります。
その後、資料1-10ですが、直近の制度変更として、在学中受験の開始があります。単年の司法試験合格率の推移ですと、3色のグラフの中で一番上の青いグラフ、ここが令和5年度に開始している在学中受験の合格率になっているということで、ここが一番高いという傾向が見てとれます。
そのほか、資料1-11が連携協定の一覧で、あと資料1-12が加算プログラムの結果になっておりますので、適宜御参照いただければと存じます。
以上です。
【松下座長】 ありがとうございました。ただいまの事務局からの説明について、御質問、あるいは御所感等がありましたら、次の議題2の際にまとめて御発言いただければと思いますので、議題の2に移らせていただきます。
続きまして、議題の2、未修者教育の充実についてです。まずは、日本弁護士連合会の岡副会長及び二川副会長から多様なバックグラウンドを有する法曹の意義と活躍状況について、御発表をいただきたいと思います。質疑応答は、その後、福岡大学と東京大学の御発表、そして事務局説明の後にまとめて実施したいと思います。
それでは、資料2-1について、岡副会長及び二川副会長より御説明をお願いいたします。
【二川副会長】 今、御紹介いただきました日本弁護士連合会副会長の二川と岡でございます。
【岡副会長】 岡でございます。よろしくお願いします。
【二川副会長】 まず、レジュメのほうを御覧ください。1番と2番と大きく分かれております。まず、1番のほう、多様なバックグラウンドを持つ人材とはについて、まず、副会長の二川のほうから御説明させていただきます。
今回、未修者に関しましては、多様なバックグラウンドを有する法曹の意義について発表の機会を頂戴いたしましたが、まずは、多様なバックグラウンドという観点から、議論の対象となる未修者について、確認的に述べさせていただければと考えております。本来的には未修者とは、他学部出身者であり法学を学んだ経験がない者を指すものと存じますが、未修者コースに在籍する学生の属性はそれにとどまらず、様々な方がいらっしゃいます。具体的には、他学部出身者で社会人経験のない方、他学部出身の社会人経験のある方、法学部出身者ではあるものの既修者コースに進学せず、未修者コースに進学した方、法学部卒業後、数年経過している社会人経験者などがいらっしゃるかと存じます。このように未修者コースに在籍する学生が全て多様なバックグラウンドを持っているわけではありません。
他方で、社会人経験者という観点から多様なバックグラウンドを有する法曹ということを考えますと、既修者として進学した、法学部等で法律を学んだことがある社会人経験者も、多様なバックグラウンドを有する法曹になる人材と考えてよろしいかと存じます。今回の発表におきましては、このような観点から、形式的な未修者コースの枠にとらわれずに御報告させていただければと考えております。
さて、今回の主題である多様なバックグラウンドを持つ人材を確保する意義でございますが、遡れば司法制度改革審議会意見書において、「質的側面については、21世紀の司法を担う法曹に必要な資質として、豊かな人間性や感受性、幅広い教養と専門的知識、柔軟な思考力、説得・交渉の能力等の基本的資質に加えて、社会や人間関係に関する洞察力、人権感覚、先端的法分野や外国語の知見、国際的視野と語学力等が一層求められるものと思われる」との要請が示されていたわけですが、この点が現時点でも妥当するものであることは言うまでもないところかと存じます。
法曹が扱う事件は、純粋な法律知識だけで解決できるものではありません。実社会の様々な分野で生じた課題を解決するために、当該分野の知識や実務慣行などを踏まえて対処する必要がございます。そのため、法曹は、取り扱う事件の分野に応じて必要な知識を都度に学び、実務慣行を理解するよう、研さんを積む必要があるものと存じます。しかしながら、日常的な業務を行いながら研さんをするというのは簡単なことではなく、事件に必要な範囲での断片的な知識の習得となってしまったりすることもあります。体系的に学問として修めたり、抽象的な知識を超えて特定分野の実務の具体的な運用を身につけたりすることは容易ではありません。
この点、特定分野について体系的に学問を修めた方や、具体的な実務を経験した方などは、法曹となる以前から当該分野における専門性を有するため、当該分野についての事案の理解や分析の精度が高く、当該分野の法律問題について確度の高い解決をすることが期待できます。社会が複雑となっている現代において、社会の隅々まで法の支配を行き渡らせるためには、様々な分野に精通した法曹が必要となりますが、そのためには多様なバックグラウンドを持つ人材が法曹を目指していただくというのは非常に有用な手段になるものと言えます。
そこで、具体的に未修者出身の弁護士の活躍について御紹介をしたいと思います。まず、大前提として、未修者の方でも何か特別な技能や経験を生かして先端的分野で活躍をするのではなく、国民に寄り添う一般民事や扶助事件、国選事件等のごく普通の弁護士業務に取り組む未修者出身の弁護士が多数いることは言うまでもありませんし、その方々は自覚的でなくても、純粋な法学部出身の法曹と異なる視点や感性で業務に取り組むなどしており、未修者としての真価を発揮しているものと存じます。それを大前提としつつも、例示をするとなると分かりやすい活躍例のほうが良いだろうという観点から、幾つかの例を御報告いたします。
なお、日本弁護士連合会におきましては、個々の会員が未修者か否かなどを把握できる仕組みを取っておらず、また、どのような業務を行っているのかを個別具体的に調査しているわけではございません。そのため、日弁連が作成しているパンフレット、あるいは特に会内で優れた取組として取り上げられた事例などを組織として把握できている一部の例の御紹介となります。その観点から、当会のパンフレットなどをもし御覧いただいている方には既知の情報も多いのかもしれませんが、御容赦いただければと存じます。
まず、医学部卒業後に、医師としての社会人経験を経て法科大学院に進学した方がいらっしゃいます。この方は専門的知見と医師としての経験を生かして病院内の弁護士として活動し、医療安全対策に注力されているようです。
次に、一級建築士としての実務経験を経て、法科大学院に進学した方もいらっしゃいます。この方は、建築に関連する事件等について、個別の企業の依頼を受けて活動するにとどまらず、社会資本整備審議会建築分科会の委員として、国土交通大臣の諮問に応じて、建築等の重要事項についてルールづくりにも関与しているとのことでございます。
3人目は、政治経済学部経済学科在籍中に、大学の部活動でスポーツにいそしんだ後に法科大学院に進学した方がいます。この方はスポーツ庁にて日本版NCAAである、「一般社団法人 大学スポーツ協会(UNIVAS)」の設立に関与し、各大学、部活、競技団体との利害関係の調整や組織設計、各種ガイドラインの策定、学業充実のための方策の検討といった大学スポーツの健全化に取り組んでいるようです。
4人目ですが、大学で宇宙工学科を学んだ後に法科大学院に進学した方です。宇宙工学の知見を生かして、個別の企業の依頼を受けて活動するにとどまらず、広く国内の宇宙分野に携わる企業等が講ずべき対策、宇宙分野の国等の研究開発プロジェクトにおける発明の保護の在り方や知財関連の支援策の在り方等をまとめた報告書の作成に関与して、専門分野の国際競争力を高めるなどの活動をされているそうです。
5人目は大学において教育学、心理学、障害科学を学んだ後に法科大学院に進学した方です。この方は罪に問われた障害のある方を支援する一般社団法人の代表理事として、刑事事件における福祉専門職の派遣や刑事弁護における福祉専門職との連携に取り組んでいるとのことです。
これらの方が特定の事業者の代理人として、当該事業者の司法アクセスを高めたというのみならず、社会に新たな価値を創造していったと言っても過言ではありません。その意味で、多様なバックグラウンドを有する者を育てるというのは、特定の当事者や事業者の利益になる等の次元を超えて、社会全体の利益につながるものと言えると存じます。
そこで、今後も未修者を育てるということに、国として力を入れて行っていただけますよう、文科省には期待をさせていただきたいと存じます。
では、引き続き、岡副会長のほうから大きな2番について説明申し上げます。
【岡副会長】 日弁連副会長の岡でございます。資料2-1、2 法科大学院に望むことというところについて、(1)から御説明申し上げたいと存じます。
まず、法曹養成制度改革がもたらした現状というところでございますが、現在の法科大学院は、いわゆる「3プラス2」と在学中受験の導入という制度改革を経て、既修者コースの学生について、安定的に高い合格率を出しているものと思います。しかし、既修者コースは法学部出身者を中心としておりますので、多様なバックグラウンドを有する法曹の育成という点では、司法制度改革審議会意見書以来の多様性の期待に十分に応えられる形にはなっていないとの指摘があり得ます。多様なバックグラウンドを有する法曹という観点から、未修者の合格率に着目しますと、やはり合格率が低いという課題が依然として残されていると考えます。
(2)の今後の未修者教育の在り方についてでございます。そのため、未修者の合格率を上げることに、いま一度視野を向け、特に純粋未修者にフォーカスした未修者教育の再構築が必要であると考えます。未修者教育の在り方については、直近では、2022年4月の本委員会における「法科大学院における法学未修者教育の更なる充実に関する調査研究」での報告がございましたが、それ以降は十分な議論、検討がなされているとは言い難い状況であると存じます。既修者コースの合格率が安定した数値を維持している現状に鑑みて、未修者教育の質の向上や合格率の向上に向けた議論が必要かと存じます。
例えば、我々弁護士も御協力できる点としては、未修者1年目から研究者教員とともに、いわゆる実務家教員が司法試験に合格するために学修した経験を踏まえて指導することや、法科大学院を修了した実務家を補助教員として積極的に登用し、学修支援を行うことなどが考えられます。最近の法科大学院等特別委員会では、新たな認証制度の議論もされてきておりましたが、その問題に関連して、未修者教育に力を入れる法科大学院が、法科大学院全体の合格率などとの関係で不利益に扱われることがないようにしていただき、未修者教育に取り組むことのインセンティブ、支援が制度的に担保できるようにしていただくことについて取り組んでいただきたいと存じます。それを超えて、未修者教育に特化した法科大学院に対する特別な支援を積極的に行う仕組みも検討されるべきではないかと存じます。
次に、(3)の多様なバックグラウンドを持つ人材を呼び込む方策についてでございます。このように充実した教育を行う前提としては、そもそも多様なバックグラウンドを有する方に法科大学院に入学してもらうことが必要となります。制度改革によって、法科大学院志願者数は増加傾向にありますが、法曹コースなど法学部出身者が中心となっており、未修者や社会人経験者など、多様なバックグラウンドを持つ人材を法科大学院に呼び込む方策については不十分な状態にあると考えます。
そこで、法科大学院において多様性を重視した入試を行うことも御検討いただきたいと思います。また、多様なバックグラウンドを有する方が安心して入学できるように、そのような人材に対して、きめ細やかな教育を提供していくことが必要であると考えます。また、有職社会人が法科大学院へ進学し、学ぶことができる環境的配慮や、経済的負担に対する配慮も欠かすことができません。何より、多様性を重視した入試やきめ細やかな教育、在学中の支援などにより、法曹となろうとする未修者が、法科大学院に入学し、しっかりと学べば司法試験に合格して法曹となることができるという、安定的な制度の確立が重要であり、未修者教育の在り方を再構築しつつ、志望者の誘引に努める必要があります。各法科大学院において、既にこれらの取組をしてきていただいていることは十分承知しておりますが、いま一度、その重要性をあえて発言することで、文科省、法科大学院、法曹三者など関係者各位が改めて認識を共通とするとともに、今後とも引き続き協働して課題の解決に取り組んでいければと存じます。
日本弁護士連合会におきましても、パンフレット「弁護士になろう 8人のチャレンジ(社会人編)」の制作のほか、未修者・社会人の法曹志望者が社会人経験のある弁護士に相談ができる、「弁護士に聞いてみよう」企画、社会人の法曹志望者に向けて、法曹を目指す際の疑問や不安などに応えるためのオンラインセミナーなどを実施し、社会人入学者の誘引に取り組んでおります。
以上、述べてまいりましたとおり、日弁連といたしましては、多様なバックグラウンドを有する人材が多く法科大学院を経て法曹として活躍することは、社会の隅々まで法の支配を行き渡らせ、社会の法曹に対する期待に応じるという意味では極めて重要であると考えています。
「3+2」と在学中受験の導入という制度改革を経て、残された課題である未修者教育について、中教審において十分に御議論をいただけますようお願いいたしますとともに、法科大学院及び関係各位と協働しながら、よりよい法曹養成制度の拡充に取り組みたいと考えております。
以上となります。
【松下座長】 二川副会長、岡副会長、御説明ありがとうございました。
続きまして、福岡大学の藤村教授より、資料2-2について御説明をお願いいたします。なお、藤村教授は用務のため、14時30分頃までで途中退席されます。その後、福岡大学の発表について御質問等があれば、同じく福岡大学の井上先生、児玉先生からお答えいただけることになっております。
それでは、藤村先生お願いいたします。
【藤村教授】 福岡大学法科大学院で院長を拝命しております藤村と申します。本日は貴重な機会を賜り感謝いたします。それでは、福岡大学法科大学院における法学未修者教育の取組について発表いたします。
法学未修者教育の取組の発表に先立ち、本法科大学院の概要を紹介いたします。スライド2ページを御確認ください。本学法科大学院は、「地域社会の法的需要に応える実務法曹の養成を基本として、地域社会における人々の生活及び権利の擁護を図るとともに、地域社会の発展に寄与する地域に根差した実務法曹を養成すること」を目的として設置されました。この目的を達成するため、本法科大学院は、「社会正義を実現する法曹」、「社会の発展に貢献する法曹」、「地域のあらゆる法律問題に対応できる法曹」の養成を教育理念、(人材養成、教育研究上の目的)として定め、教育研究活動に取り組んでございます。
続きまして、本法科大学院の基本情報を簡単に説明いたします。スライド3ページを御覧ください。本法科大学院は福岡市内にある私立大学の法科大学院でございます。平成16年に設置されました。現在、九州・沖縄地区に法科大学院は3校(私立大学では本学福岡大学のみ)でございます。「地元を支える法曹」の養成の役割は年々重要性が増していると考えています。入学定員は1学年20名、法学未修者コース(標準修業年限3年)の募集人数は15人程度、既修者コース(法曹養成連携協定による特別選抜を含む)の募集人員は5人程度でございます。本年5月1日現在の在籍学生は51名、所属専任教育職員は12名、(うち実務家教員は6名)です。全国的に見ても非常に規模が小さな法科大学院の一つでございます。在籍学生のうち、九州・沖縄地区の出身者が約88%(福岡県の出身者は約69%)それ以外の地域の出身が約12%であり、九州・沖縄地区出身者が多い点も大きな特徴でございます。
続きまして、入学者選抜の状況を説明いたします。スライド4ページを御覧ください。本法科大学院の直近5年間の入学者選抜状況を示しております。令和7年度入学者選抜を除き、基本的に直近5年間の受験者数は増加傾向を示しており、競争倍率も2倍以上を維持しております。受験者数を安定的に確保するため、例えば、入学者選抜説明会を対面と遠隔のハイブリッドで開催し、説明会の動画をオンデマンド形式で本法科大学院のウェブサイトに掲載するという取組や、オープンキャンパス、学部のほうですけれども、公開模擬裁判等を行っており、地道な取組の成果と捉えております。また、本法科大学院は全国の法科大学院の中で授業料等納入金が最も安く、経済的な負担が少なく学ぶことができる点も受験者確保に結びついているものではないかと判断してございます。
続きまして、法学未修者の割合、社会人割合を説明します。スライド5ページを御覧ください。本年5月1日現在の在籍学生数51名のうち、法学未修者は49名、法学既修者は2名であり、在籍学生の96.1%が法学未修者です。また、本法科大学院創設以来の修了者の237人のうち、法学未修者は219人であり、92.4%が法学未修者です。このように他法科大学院と比較すると法学未修者の割合が突出して高い点が大きな特徴でございます。学内外の会議でよく、「法学未修者が多いのは入学者選抜の方法や難易度に起因するのか」等の御質問をいただきますが、その際に説明しているのは、「入学者選抜における法学既修者コースの難易度が高い、または法学未修者コースの難易度が低いことはありません。法学未修者が多い要因は、受験者の志願動向に起因する可能性が高い」との理由でございます。
本法科大学院は全ての入学者選抜日程で、同日に既修者コースと未修者コースの併願が可能であり、併願の場合でも入学検定料は同じです。そのため、未修者コース合格を第1志望とし、必ずしも既修者コースに合格する自信を持って挑戦できていない方も多く併願しております。その結果として、合格者が未修者コースに多くなっていると考えています。つまり既修者コースに合格できる方を集めることができていないという点が課題でございます。今後、司法試験合格率を維持・向上し、既修者コースに合格できる力を持った受験者に選択してもらえるよう努力する必要があります。また、本法科大学院と他法科大学院を併願し、双方の法科大学院に合格した結果、他大学に進学される方も多く、受験者・合格者の第1志望校として認定されていない部分がある点も課題として判断しているところです。
続きまして、社会人割合を説明いたします。直近3年間における実績として、令和8年度入学者17人のうち、社会人の割合は11.8%、令和7年度入学者15人のうち、社会人割合は13.3%、令和6年度入学者26人のうち、社会人割合は23.1%であり、年々社会人の割合が減少しております。
続いて、法学系・非法学系割合と在籍学生の出身学部や年齢構成を説明いたします。スライド6ページを御覧ください。直近3年間の法学系・非法学系の割合の実績として、令和8年度入学者17人のうち、非法学系出身者の割合は17.6%、令和7年度入学者15人のうち、非法学系出身者の割合は26.7%、令和6年度入学者26人のうち、非法学系出身者の割合は26.9%で、非法学系割合は減少しています。
在籍学生の出身学部や年齢構成ですが、本年5月1日現在の在籍学生の出身学部は法学系学部出身の学生が最も多いものの、教育学部、経済学部、商学部、文学部、外国語学部、経営学部、国際文化学部、医学部とバラエティーに富んだ構成となっております。また、在籍する学生の多くは20歳代となっていますが、50歳代以上の学生も1割程度在籍しております。
本法科大学院生の修了後の進路はスライド7ページのとおりでございます。昨年3月末時点では、累計修了者220人のうち、司法試験に合格して法曹として活動している者は87人です。司法試験合格者の進路の内訳、司法試験合格者以外の進路の状況等は、円グラフを御参照ください。
続いて、「本法科大学院が法学未修者教育に重点を置くことになった背景・考え方」を説明します。スライド8ページを御覧ください。1つ目の理由は、「多様な背景を持つ人材を法曹に養成する」との法科大学院制度開始当時の趣旨を現在も堅持しているためです。2つ目の理由は、前述のとおり、九州・沖縄地区に法科大学院が3校のみとなり、アジアと密接な関係のある福岡の地理的条件から、国際的な経済活動や取引分野で活躍するため、法学以外の専門教育を修得した人材に高度な法学教育を提供し、多様な専門知識や経験に裏づけされた「地元を支える法曹」を養成する役割を果たすことも重要な使命であると考えているためでございます。
それでは、ここから本法科大学院の「教育の特色」を説明いたします。スライド9ページを御覧ください。本法科大学院では少人数での授業を通じて、法の理論と法的思考能力を身につけさせる点を重視しており、法律問題が専門化、多様化、複雑化する現代において、問題解決の在り方や技術を体得するためのカリキュラムを整備しています。最大の特徴は法学未修者割合が非常に高い点を考慮し、法律基本科目の一部を2年次に配当することで、初年度に法律基本7科目全てを組み込むカリキュラムとはしていないという点でございます。
また、民法、刑法を細かく分けて科目数を増やし、丁寧に学習させるとともに、2年次後期に実務系科目を履修することで、訴訟法、実体法の理解を深めるカリキュラムを編成している点も大きな特徴と考えています。さらに入門科目として、「判例講読」、「法情報・法文書入門」、「裁判制度概論」、「刑事訴訟法入門」、「法律基本演習」を1年次に配当し、学生のニーズ等を調査した結果を適宜反映して内容を充実させています。
以上のカリキュラムを編成することで、下位年次では法の理論教育を徹底して行い、その上で特定領域に特化した専門的な実践教育を多様な形で展開し、最終年次では総合的な問題解決能力を養うという形になってございます。
スライド11ページを御覧ください。本法科大学院では、在籍学生が在学中受験に挑戦できるよう、「司法試験在学中受験プログラム」を設けています。なお、同プログラムは学生の約96%が法学未修者であることを前提とした独自の取組でございます。当該プログラムは2年次の上限単位数を緩和し、2年次後期の必修の実務系科目を3年次後期に、3年次後期の総合演習を2年次後期に入れ替えることで未修者向けのカリキュラムを維持しつつ、在学中受験の要件単位数を取得できるように工夫しています。プログラムの履修には所定の成績要件があります。当該プログラムの履修者は、一部の法分野で基本科目と応用科目を並行して受講することとなるものの、基本科目で学習した内容をその後、応用科目で取り扱うことができ、学習効率が上がる利点があります。他法科大学院の在学中受験者と比べると学習の負担は重いと思われますが、プログラム経験者からは、「他の2年次生よりも授業数が多かったが、思ったより負担は大きくなく短期集中で学習できた」との声が上がっております。プログラム履修生のレポートや成績を見ても通常コースの3年次生に比較して遜色はなく、他の学生もプログラム履修生の積極的な授業態度に刺激を受けています。
続いて、法学未修者の学習を支援する取組を説明します。スライド12ページを御覧ください。本法科大学院では法学未修者の入学者が多いことに鑑み、受験前から法科大学院の授業を体験できる「授業体験」、「早期履修制度(本学法学部在学生が対象)」、「科目等履修制度」等の諸制度を充実させています。また、入学者選抜合格者への入学前教育として、プレセミナー、在学生や修了弁護士との懇談会等を開催し、入学後の授業に円滑に移行できる環境を整えています。さらに、入学予定者が学習上の相談ができるよう、入学前から専任教員が仮の担任として一人ひとりに付き、サポートをしております。
スライド13ページを御覧ください。既に説明したとおり、本法科大学院の入学定員は1学年20人であり、教員と学生の距離を縮め、一人ひとりに寄り添う細やかな個別指導を徹底する学習支援体制を取っています。本法科大学院棟の自習室フロアのすぐ上には専任教員の研究室があり、学習中に生じた疑問点を直接研究室に行って質問し、解決できる体制を取っております。本法科大学院は担任制を導入しておりまして、定期的に個別面談を行う等、一人ひとり学習・生活面を担任教員がサポートします。担任教員1人当たりの学生数は平均4人から5人程度でございます。また、小テスト成績等の情報を集約した「学生カード」によって各学生の学力、問題点を適切に把握し、専任教員間で共有するとともに、個別指導を行っています。そのほか正課外教育の取組として、アカデミック・アドバイザー、チューター、教科指導、自主ゼミ、オフィスアワー等も整備しています。
法学未修者の学習を支援する取組の成果ですが、令和7年司法試験の本法科大学院の受験者31人(修了者27人、在学中受験者4人)のうち、最終的に合格した7人は全員法学未修者でした。なお、合格者7人のうち2人が在学中受験者です。また、本法科大学院開設からの累計司法試験合格者94人のうち、法学未修者が81人、法学既修者が13人であり、累計の司法試験合格者における法学未修者割合は86.2%です。なお、令和5年度から開始された司法試験在学中受験制度を利用して司法試験を受験した本法科大学院の受験者は累計8人ですが、そのうち5人が司法試験に合格し、その5人は全員法学未修者です。
このように本法科大学院の未修者教育は一定の成果を上げているとは捉えておりますが、様々な苦労があることも事実です。法学未修者に関しては学習姿勢の形成、学習習慣の確立、論述能力の育成等も苦労する部分があります。司法試験予備校型の学習に傾斜している学生もおり、本法科大学院が求める能力と姿勢との間にギャップが見られることもあります。加えて、未修者の中には、入学時点で司法試験合格に向けた道筋を意識できておらず、学習意識の改革やキャリア意識の形成等に時間を要することもあります。さらに、学生のメンタルヘルスの支援等も年々重要になっており、本法科大学院における細やかな個別指導、学習支援体制は、関係教職員の熱意と少なくない負担、苦労によって維持できているとも言えます。
続いて、「修了生の地域社会での活躍状況」を紹介します。スライド15ページを御覧ください。本法科大学院修了弁護士の九州・山口地区への登録割合は、本年4月時点で81%です。地域別の弁護士登録状況は円グラフを御参照ください。本法科大学院は、教育理念として掲げる「地域に根差し、地域に通じ、幅広く人々の暮らしを支える法曹」を着実に輩出していきます。修了生弁護士の中には、日本各地の司法過疎、偏在問題を解消するために設置された公設の事務所である「ひまわり基金法律事務所」の弁護士として、司法サービスを提供する業務に取り組む弁護士もおります。九州・沖縄・山口地区における弁護士登録割合の高さは、本法科大学院の法学未修者の多さと関連すると捉えています。本法科大学院修了後に地元に戻り、弁護士活動を行っている修了生には、入学前の様々な経験(社会人経験や非法学系学部での学習経験)を通じて、「地元で権利擁護活動をしたい」、「地元で法曹として活動したい」との明確な志望動機を持って入学者選抜に臨み、合格・入学された方が複数おり、そのような志向、背景を持つ方が遠方である関東、関西ではなく、地元または地元に近い福岡の地にあるこの法科大学院で学習後、初志を貫徹して地元に戻って活動していると、そういうためだと考えているところです。
次に、「3+2」法曹コース制度開始以降の変化を説明します。スライド16ページを御覧ください。本法科大学院は、法曹養成連携協定を福岡大学法学部とのみ締結しているため、法曹コース出身者が少なく、制度開始以降の変化はあまり感じておりません。ただし、「3+2」制度で、入学後、本法科大学院の「在学中受験プログラム」の履修生になった学生からは、「入学後1年3か月で司法試験受験との日程は、司法試験対策を行う時間が短く、対応に苦慮した」との声が上がっていました。
最後に、本法科大学院の今後の課題を説明します。スライド17ページを御覧ください。全国的に在学中受験が主流になりつつあるということは感じているものの、法科大学院制度開始時の理念である「多様な人材の確保」や本法科大学院の存在意義等に鑑みると、未修者向けの現在のカリキュラムを維持し、充実させる必要があると考えています。他方、成績優秀者には、積極的に在学中受験に挑戦し、合格してもらいたいと考えており、「法学未修者向けカリキュラムの充実」と「在学中受験に挑戦し、早期に合格する取組」とを併存させる体制を維持・発展させることが重要であり、今後の課題と考えています。また、引き続き司法試験合格率の向上を図るとともに、「司法試験合格」以外のキャリア形成を支援する取組を推進すること、「地域に根差した法曹」を育成する取組を推進し、地域の法曹を支える体制を整備することも今後の重要な課題と考えております。
以上で発表を終了いたします。御清聴ありがとうございました。
【松下座長】 藤村先生、御説明ありがとうございました。
最後に、東京大学の前田教授より、資料の2-3について御説明をお願いいたします。
【前田委員】 東京大学の前田でございます。本日は私のほうから東京大学法科大学院における法学未修者教育の現状について御説明をいたします。また、それと絡めまして、私自身が法科大学院に未修者として入学して法学を修めたという経験があることを踏まえまして、未修者教育における課題について、委員個人として、若干の私見を述べさせていただきます。
次のスライドお願いします。東京大学の法科大学院は、今ここで御覧いただいているような理念を掲げ教育してまいりましたけれども、養成しようとする法曹像として、国民の社会生活上の医師となる法曹というものを掲げております。この実現の上では、多様なバックグラウンドを持つ法学未修者の育成は重要な柱の一つとなると言えると思います。
次のスライド、入学者数の推移を御覧ください。本法科大学院では、例年全体で200名程度の入学者を受け入れておりますが、そのうち法学未修者は毎年55名前後となっております。全体の約4分の1です。ここ数年は安定してこのような構成となっております。
次のスライドを御覧ください。入学者の経歴です。未修者コースにおいては、安定して5割前後の社会人、または他学部出身者の入学者を確保できているということもできますが、最近はやや減少傾向にあると言えると思います。
次のスライド、進級状況についてです。未修者は入学後、最初の1年次に法学の基礎を学ぶわけですけれども、1年次から2年次への進級率は年度によって変動がありまして、直近の2025年度では78.3%ですが、過去の年では90%を超えている年もあるという状況です。その次、2年次から3年次への進級率については、未修者の場合、75から90%台で推移をしております。未修者において、1年次から2年次への進級率と、2年次から3年次への進級率には大きな差はないように思います。一方で、法学既修者を含めた全体の数値と比較した場合には、遜色のない数値を示している年もある一方で低い数値を示していると言える年もあります。既修者と比較したときに、全体としては、やや苦戦していることがうかがえます。
次のスライド、標準修業年限以内での修了者率についてです。3年間の標準修業年限以内で修了したものは、未修者の場合、おおむね50から60%程度となっております。これに対し、既修者の2年以内での修了率は50%台から80%に達する年もありまして、いずれの年度におきましても、既修者が未修者を上回る状況にあり、年によってはその差が大きく開いていることもございます。法学未修者が法学既修者と比較して、法学を修めるためにより長い時間を要しているということを示しているかと思います。
次のスライドをお願いします。司法試験の合格状況についてです。司法試験の合格率については、未修者と既修者で大きな差があると言えると思います。全体として比較した場合、未修者が直近で26.3%、おおむね20から35%程度で推移しているのに対し、既修者は直近で74.6%、およそ70%前後の数値を安定して示しております。これは在学中合格に絞ってみても、あるいは修了者に絞ってみても同様の傾向を見てとることができると思います。在学中合格率については、未修で32.4%から44%、既修で76%ぐらいから86%ぐらいという数字が最近では出ていると思いますが、在学中合格率のほうが修了者の合格率よりも高いわけですけれども、その傾向自体は未修、既修とも同じですが、既修者は未修者よりも一貫して高いと言えます。法科大学院の中における学習において、未修者は既修者よりも時間がかかっている傾向がうかがえましたが、その差は司法試験においてもより顕著に表れていると言えるかと存じます。
次のスライドお願いします。本法科大学院のカリキュラムについてです。本学では、春から夏学期のことをSセメスター、秋から冬学期のことをAセメスターと呼んでおりますけれども、1年次のSセメスターから始まって3年次のSセメスターまでの間に、各法律基本科目が配置されております。法学未修者は1年次の間に、法律基本7科目を一通り学習して、2年次からは既修者と合流するということになります。法学未修者は、2年次以降は少なくとも授業としては既修者と同一のものを受けているということが想定されております。
次のスライドお願いします。東京大学法科大学院では、未修者に対して、こちらにお示ししたような独自の支援策を用意しておりまして、未修者指導講師という制度を導入しております。これは本学の同窓会と協力をいたしまして、修了者の実務家や研究者に講師を委嘱して、個別の起案指導を実施するものです。未修の1年次は全員が対象となりますが、2年生の希望者も指導を受けることができます。2025年度の実績としては、1年生は62名、2年生も27名が指導を受けております。具体的には各授業担当教員が問題を作成いたしまして、未修者指導講師が個別に添削等の指導を行うというものです。正規の授業との連携も図っておりまして、授業担当教員が作った回答のポイントを受講生に配布し、学生が自習に活用できるように図っております。作成した答案についての具体的なフィードバックの強化や文書作成上の疑問点についての相談などの学習上の相談の機会を拡充することが重要であるという認識の下、未修者とのコミュニケーションのさらなる活性化を図っております。対面で即日起案と即時の講評をやるという企画が開催されておるのですけれども、その開催回数を増やす取組もしております。また、1年次の年度初めに、指導講師による起案解説を実施していますが、これはなるべく早期に法律文書起案の基本的な考え方を身につけることが重要であるという認識に基づくものであります。
次のスライドをお願いします。本学法科大学院の紹介は以上でございますが、ここから先は私自身の経験を踏まえた、私個人としての御意見を若干申し上げたいと思います。未修者教育の課題というのは幾つかあると思いますが、最も重要な課題は、法学特有の思考形式に未修者がなかなか順応できない場合があることだと思っております。他分野の学問を勉強してきた者、あるいは、社会人としてしばらく法学から離れていた者にとっては、法学特有の考え方に理解が追いつかないということがあるのだと思います。
私が特に問題と思っておりますのが、法文書の起案の技法がなかなか体得できない場合があるということです。私自身も思い返してみますに、文書の起案といったものには、ある種のお作法と申しますか、型と申しますか、そういったものがあるということに気づくことができず、苦労した経験がございます。一見すると形式的であるというように考えてしまうところでもございますので、真面目な学生ほどを見逃しがちであるというように思っております。
とはいえ、そういった法学特有のコツを早期に伝授したら全て問題が解決するのかというと、そういうことではないと思っております。ここでは制度的な課題として、法学学習の程度のばらつきの問題と学習時間の不足の問題を指摘させていただきます。
未修者コースには、いわゆる純粋未修者と言われる方々と、法学の学習がある程度進んでいる方が混在する場合があります。学習の程度が異なるものが混じっておりますと、一般的に申し上げて教育はやりにくくなる部分があると思います。 もっともこういったことが悪いことばかりではなく、学習の進んでいる者がそうでない者の身近なアドバイザーとなれる場合もあると思いますし、私自身、そういった友人からのアドバイスに助けられた経験もございます。
また、学習時間の制約についてですが、既修者が学部で数年かけて学んだことを未修者は1年で学ぶということが求められる場合があるわけです。多くの学生にとっては、1年間で完全に追いつくということはなかなか難しいわけで、特に働きながら学習する社会人学生にとってはそうかと存じます。法科大学院のカリキュラムによっては、1年間で同じ授業を受けられる水準に達するということは求められているわけですが、しかし、完全に同等に追いつくことが求められているわけではないのだと思います。本学の未修者指導講師は2年以上も活用できるという体制を取っておりますけれども、そういった1年で完全に追いついているわけではないという前提の下、未修者への必要な配慮をするものと思っております。
次のスライドお願いします。未修者参入の意義、課題に関しても、個人的な意見を申し上げます。そもそも本法科大学院において未修者の参入を一定程度確保することは、これも既に繰り返されておりますとおり、多様なバックグラウンドを持った法曹人材を確保していくという観点から必要なことと思います。理系分野など法学ではない学問分野を修めたものや、社会人としての経験を有し、現在は法学の学習からやや離れてしまった者を法学未修者として法科大学院に受け入れて、改めて一から法学教育を施して、法曹として社会に輩出していくということをするためには、未修者コースへこれらの者の参入を確保し、法曹となるための教育をしっかり施していくということが欠かせません。多様な人材を確保することは、法曹が社会の中で期待される役割を十分に果たすためには必要なことであると思います。現在の社会は高度に複雑化することによって、バックグラウンドのない者にとっては法的な問題点の把握が必ずしも容易にはできない場合があります。法的問題点を早期に把握して法的解決に早期につなげていくためには、法曹には常に多様なバックグラウンドを持った人材が一定数いることが重要だと思います。多様な人材を確保することは、例えば都市部における高度に専門的な問題を解決することにつながるわけではないと認識しております。地域においても、それぞれの様々な問題が発生するわけですが、そういった問題の早期発見に多様なバックグラウンドを有する人材が資すると認識しております。
次、最後のスライドお願いします。しかし、先ほど来、指摘されてきていますように、現状の法科大学院において多様な人材が十分に確保できているかというと、必ずしもそうではないという状況がございます。他学部出身者、社会人経験者の割合は必ずしも高いとは言えない状況が続いております。また、入学後の学習状況についても、必ずしも十分ではありません。こういった問題の一つの要因には、未修者の中に法学への学習への適応が難しい者が一定数存在しており、入学試験においてその見極めができていないことがあると思います。法学既修者の場合は、法学部における教育を通じて必然的にそのような見極めがされるわけですが、未修者の場合はそういった機会はございません。
私としては、入学試験の適正化の努力はもちろん継続すべきですが、1回の試験のみでそういった見極めを行うことは難しく、ある程度、適応が難しい者も入学してくる前提で柔軟な進路変更や、あるいはその者の適正に合わせたゆっくりとした学習を許容するなどの体制の整備が重要であると考えております。また、働きながら学ぶ社会人が法科大学院に挑戦しやすい環境を整備することも重要と考えております。ミスマッチがあったとしても元のキャリアを失うことがないまま、法曹の道に挑戦できる体制が整備されることが重要ではないかと思います。例えば、法科大学院側としては、夜間コースなどの柔軟な履修が可能な仕組みを拡充することが考えられます。
いずれにいたしましても、法学ではないバックグラウンドを持つ者にとっては、それまでのキャリアを捨てて法曹の道に挑むということは大変なリスクのあることだと思います。そのリスクをなるべく軽減して法曹の道に挑戦してみようと、もし駄目ならば元に戻ればいいと思えるような環境の整備が望ましいのではないかと思っているところです。
私からの発表は以上です。御清聴ありがとうございました。
【松下座長】 前田先生、御説明ありがとうございました。
それでは、最後に資料2-4について、事務局から御説明をお願いいたします。
【石川補佐】 文科省専門教育課専門職大学院室の石川でございます。私から資料2-4、通し番号で166ページに基づいて御説明させていただきます。
未修者教育につきましては、これまでの法科大学院等特別委員会においても御議論いただいてきたところでもございますので、まずはその過去の議論を簡単に御紹介させていただければと思います。今、映しておりますのが未修者教育について集中的に議論を行った第10期の際の議論のまとめでございます。この議論のまとめにおいては、左下のところにございますように、法学未修者教育の充実に向けた課題として、多様な経歴や能力に配慮した学修者本位の教育の実現、また法科大学院間の協働による全体の教育水準の向上の必要性などが述べられてございます。
右側に移りますけれども、そうした課題を踏まえた5つの対応策として、1番目の学修者本位の教育の実現、また、2の社会人学生等の実態に配慮した学修体制、3の効果的・効率的な学修に向けた法科大学院間の協働、また、4の共通到達度確認試験を活用した学習の充実・改善、また、5の法科大学院修了生のキャリアパスの多様化を踏まえた進路の把握や発信などの重要性が述べられているところでございます。
次のページに行っていただきまして、その後の第11期・第12期においても、未修者教育について触れられている部分がございます。左側、第11期のまとめの中では、(1)の第10期の議論のまとめを受けて実施した調査研究の成果として、アクティブラーニング、スモールステップの視点の重要性、また、入学前の導入的教育や補助教員の活用などの重要性が述べられているとともに、(2)でございますが、社会人学生に対する教育として、学習時間の確保などの課題に対応するための取組例が挙げられている、また、(3)で共通到達度確認試験について、継続的な実施が必要であることなどが述べられているところでございます。また、右側、第12期のまとめでございますが、ここは2つ目の丸のところでございますけれども、各学部における学修ですとか社会人経験などが法曹として活躍するに当たって重要であることについての情報発信の必要性等が述べられているところでございました。
また、今期の右下でございますが、第13期においても、「留年率の高さや標準修了年数修了率の低さというよりも最終的に合格できているかどうかが重要」「未修者の5年目までの合格率が49.1%から56.9%に上昇しているというのは、一つ未修者教育の充実の成果ではないか」といった御意見もいただいたところでございました。
次のページに移っていただきまして、この資料では近年の制度改正等と、その上で本日御議論いただきたい事項としてまとめたものでございます。上の近年の制度改正等のところでございまして、平成27年度から加算プログラムの導入が実施されたところでございます。加算プログラムについては、法科大学院に対する評価結果を予算配分に反映させる仕組みでございますけれども、その基礎額算出率部分においても、また、加算率部分においても未修者の合格率ですとか未修者教育の取組ということを含めて評価が行われてきたところでございます。ただ、この加算プログラムについては、令和8年度評価、令和9年度予算に反映させる評価をもって廃止することは、方向性として決まっているところでございます。
また、右に行っていただきまして、令和元年度の連携法の改正によって、3+2制度、また、在学中受験資格、在学中受験の制度が開始されたところでございますけれども、これら、どちらかというと、法学既修者の学修のルートという側面が強い教育の仕組みが整えられてきたという経緯があるところでございます。また、右下のグラフでございますが、オレンジ色は入学者の比率について未修者と既修者の比率を示しているものでございまして、低下の傾向が見られる、未修者の比率の低下の傾向が見られるということ、また、水色については、法学未修者コースに占める非法学部出身者の割合ということで、3割台を推移しているという状況もあるところでございます。
その上で、左下、本日御議論いただきたい事項として、第10期以降、未修者教育に関する様々な課題や対策が一通り議論されてきたという一方で、未修者の比率や未修者の司法試験合格率、また、合格率ということだけでなくて、法科大学院が累積してどれだけの多様な未修者を法曹として輩出してきたのか、その量の観点もあると思いますけれども、そうしたことも含めて、多様な法曹養成のための未修者教育というのは引き続き重要ではないかとさせていただいております。また、その下に各法科大学院において未修者教育のさらなる充実が期待されるとともに、国の制度として、加算プログラムの廃止も踏まえて、法科大学院に対する新たな制度において未修者教育の取組の充実を後押しするようなインセンティブを設けることということが考えられるのではないかということとさせていただいております。
事務局からの説明は以上でございます。
【松下座長】 ありがとうございました。
それでは、ここまでの日本弁護士連合会、福岡大学、東京大学の御発表と、それから事務局説明に対して、御質問、御所感等があればお願いいたします。繰り返しで恐縮ですが、御発言の際には、1回当たり上限二、三分程度を目安にお願いできればと存じます。それでは、どなたからでも、どの点についてでも御意見等、よろしくお願いいたします。富所委員、お願いいたします。
【富所委員】 よろしいですか。
【松下座長】 お願いします。
【富所委員】 皆さん、どうもありがとうございました。日弁連の皆さんの御説明の中にもありましたが、社会課題が非常に多様で複雑化している状況にあって、法律知識だけでは解決できない問題が増えてきているというのはまさしくそのとおりだと思います。そういう意味では、多様なバックグラウンドを持った方、特に社会人の方に法曹を志してもらうということは非常に重要だと思いますし、司法制度改革の当初の理念にもかなうものだと思います。
その中で一つ、福岡大学さんに質問です。これまで福岡大学さんは、非常に未修者教育に力を入れてこられて、実績も残されてきている。2年ほど前に私、現地にお邪魔させていただいて、学内や授業を見せていただき、大変感銘を受けた記憶があります。未修者教育をこれだけ力を入れてこられて、その一方で、先ほどの説明だと社会人の割合が減ってきていると。特に非法学部系の社会人の方は減っているというお話だったと思います。これはどういう理由があると分析されているのか、教えてください。
【松下座長】 お願いします。
【藤村教授】 福岡大学、藤村でございます。御質問ありがとうございます。実は志願者ベースでは特に変わっておりませんで、案外、特に社会人の方に関しても受験生は多いんですけれども、恐らく入学者ということを考えた場合には、法学系や、あと最近が、他の法科大学院の未修者コースを修了して司法試験を受験したけれども、結果につながらなかった方が再度うちに入学してくるということもありまして、そうなると、うちが入学定員が1学年20人しかおりませんので合格できないというか、点数が取れないで、結論として入学者につながっていない。結果として、徐々に少しずつ合格者としては減ってきていると認識しております。これは非常に悩ましいんですけれども、一定範囲に関しましては、未修者コースの入学予定者全体のうち3割に関しては、社会人および法学系以外の出身者の特別考慮を行うことがあるという運用をやっておりますので、そこで何とか3割は確保したいと考えているところでございます。
以上です。
【富所委員】 よく分かりました。ありがとうございます。
【松下座長】 富所委員、よろしいでしょうか。
【富所委員】 結構です。ありがとうございます。
【松下座長】 それでは、続きまして、田村伸子委員、お願いいたします。
【田村(伸)委員】 先生方におかれましては、詳細な御説明ありがとうございました。創価大学の田村でございます。日弁連の先生方のおっしゃるとおり、まさに多様な法曹の確保というのは非常に重要なことだなと実感をしております。その上で、一つ意見と、あともう一つ質問をさせていただければと思います。
日頃、法科大学院の教育現場にいる身としましては、未修で入ってくる方の最初の1年間の伸びというのは非常に目を見張るものがあるんですけど、2年生になって既修者と合流した後の伸びとのギャップといいますか、そういったものは少し気になっております。合流をした後に未修者のメンタルをどういうふうに保つかというところとも関連するのですけれども、あと1年3か月ほどで司法試験を受験しなければいけないという焦りがあるのではないか。現在の学生のトレンドを見ますと、在学中受験あるいは修了後1年目くらいで合格できなければ、もう合格できないのではないかという不安感からか卒業して3年、4年と続けていく学生というのは少数派なのではないかと実感をしているところでございます。
先ほどメンタルという話もありましたけれども、そういう意味で、未修者の方はプレッシャーを非常に感じていて、じっくり法律の実力をつけるというよりは、時間に追われて上っ面の勉強になってしまうという、そういった側面もあるのではないかなと心配をしているところでございます。そういう意味で、司法試験制度自体、短期での合格を目指すという、そういう制度設計自体についての問題点があるのではないかなというように日頃感じているところですので、その点は意見として述べさせていただければと思います。
それから質問になりますけども、福岡大学の先生、それから東大の先生方、両方にお尋ねできればと思うんですけども、未修者のメンタルケアといいますか、そういったものに対して何か対策をされているか。それから、修了生、これは未修者に限らなくても良いのですけれども、やはり在学中で合格できなかった修了生に対して、法科大学院として何か対策を立てていらっしゃるか、その辺りがもしあればお聞きできればありがたいと思っております。
以上です。
【松下座長】 ありがとうございました。それでは、まず、藤村先生にお願いしてよろしいでしょうか。
【藤村教授】 私のほうから、まず、メンタルケアについてですけれども、恐らく御承知のように、結構いろいろと難しい問題があります。ただ、先ほど報告の中でも申し上げましたように、まず、担任が1人ひとりについており、個別的、定期的にお話をしております。あと本法科大学院は小規模校ですので、メンタルケアに関しては専任教員全員できちんと対応いたします。また、本学には、全学組織としてメンタルケアに関係する相談室やセンター等がございますので、そちらと連携をして、きちんと対応したいと思っております。
ただ、そうは言ってもなかなか確かに難しい点がございます。修了生に関しましては、修了しても担任制度は継続いたしますし、法務研修生という形で自習室等もそのまま使えます。基本的に在学生と法務研修生は同じ施設・環境で勉強しておりますので、さほどそういう影響がないのかなという、そういう制度的な担保をしているところでございます。
【松下座長】 ありがとうございました。それでは、前田先生よろしいですか。
【前田委員】 これは、私からお答えするよりも、本学法科大学院からは、宍戸委員もいらっしゃるので、そちらからお答えいただいたほうが適切ではないかと思います。
【松下座長】 突然振って恐縮ですが、宍戸先生、対応可能でしょうか。
【宍戸委員】 それでは、東京大学の宍戸でございます。御質問に対して私のほうからお答えしたいと思いますが、未修者特有の言わば不安とかいったものについて、特別の対応を本研究科において行っているわけではありません。ただ一般に、法科大学院生、学生、いろいろ試験も含めていろいろ不安あるかと思いますので、学習相談室というものが我が学部研究科にございまして、そちらでの対応を図るということを一つ行っているということが正面からのお答えになります。
私からは以上でございます。
【松下座長】 宍戸先生、突然の御指名にもかかわらず、お答えをくださり、どうもありがとうございました。
【田村(伸)委員】 ありがとうございました。
【松下座長】 それでは、次に行かせていただきます。髙橋委員、お願いいたします。
【髙橋委員】 ありがとうございます。一橋大学の髙橋でございます。本日は大変有益な御報告をいただきまして、誠にありがとうございました。非常に貴重な機会ですので、具体的な点につき2点御質問をお許しいただければと思います。
1点目は、未修者の1年次の教育の適切な範囲についてでございます。東京大学様の御報告の164ページのスライドでは、未修者教育の課題として、1年次に法律基本科目7科目を配置しているということと、時間の制約という点を挙げておられました。この点、福岡大学様では145ページで1年次の配置科目を限定しているということをお示しいただいたかと思います。2年次以降に初めて学ぶという法律基本科目がございますと、それらの科目の学習は追いつかないという状況になることが予想されます。この辺りはどちらが良いのか、在学中受験を試みる未修者の割合など各法科大学院の状況によって異なるのではないかと存じておりますが、福岡大学様、東京大学様におかれましては、それぞれの比較についてどのようにお考えか、御教示をいただければと存じております。
2点目は、本日の報告とは少し文脈違いで大変恐縮なのですが、日弁連様に御出席をいただいているという機会ですので、実質的な就職活動の早期化というものが未修者に与える影響について検討されておられるようでしたら、その状況を御教示いただければと存じております。在学中受験が始まりましてから、特に都市部の大学を中心に、実質的な就職活動がかなり早くなっているという印象がございます。直近では既修者のみならず、1年次、2年次の在学中の未修者にも、直接、間接にそうした就職活動の早期化の影響があるようで、純粋未修者で、まだごく基礎的な知識も定着していないという段階から授業を欠席したり、あるいは極端に浮き足立ってしまって腰を据えた学習が全くできていないというようなこともあるようでございます。
こうした問題は学部の民間就職の問題とも共通致しますが、法科大学院の場合には特に専門知識を習得して初めて職を得るという関係にあるというところもございますので、さらに深刻な問題であるように思います。本日、進路変更の示唆や長期履修制度の活用というような御提案もあった一方で、現状、在学中受験の存在によってかなり焦りを感じてしまっている未修者が増えている状況になっているのではないかというところがございまして、こちらは法科大学院の課題としても認識しているところではございますが、就職活動の早期化に関しては日弁連様や各弁護士会様との協力というのも必須になるかと存じております。もし、この点御検討されているような方策等がございましたら、御示唆をいただけますと幸いでございます。
以上です。
【松下座長】 ありがとうございました。御質問、2点あったかと思いますが、まず、1年次の科目について、これもまず、福岡大学からお願いしてよろしいでしょうか。
【藤村教授】 承知しました。ありがとうございます。法律基本科目の配置ですが、本法科大学院の未修者に関しては2年かからないとなかなか知識の修得が難しいというようなこともありますので、基本的に1年次の配置科目を限定する構成としております。そのため在学中受験を受ける場合には、GPAの要件をつくっておりまして、全体として対象科目のGPAが2.5以上であり、かつ、先生方と面接をして、当該学生は今後優秀な成績で単位を修得できるだろうということを確認した上でしか司法試験在学中受験プログラムの履修を認めておりません。実際には、2名から5名程度しか司法試験在学中受験プログラムを履修できていませんので、そういう意味では、選抜要件を乗り越えられる人向けという形でそもそも制度をつくっていると、こういう形になっております。
【松下座長】 ありがとうございました。これも前田先生にお願いしてよろしいでしょうか。
【前田委員】 私からお答えします。
1年次に全体をやることについてどうかという御指摘があったと思いますが、本法科大学院は私が認識するところ、開学以来、このカリキュラムを取っておりまして、こういった教育方式に一定の成果が認められるということで継続しているものと認識しております。私自身もこのカリキュラムで勉強した身から申し上げますと、1年次の段階において、全ての科目において既修者と同等に追いつくというのは、ほとんどの学生にとってはなかなか難しいことで、ある種のデメリットが存在するということは事実だろうと思います。そういった考え方から違ったカリキュラムを取られている法科大学院があることも認識しております。
ただ一方で、法律学の学習というのは、全体像をまず、身につけて、多少穴があったとしても全体を捉えた上で、さらに何度も上塗りする形で勉強を重ねていくというほうがより早く学習が進むという面もあろうかと思います。私自身は、東京大学のカリキュラムはそういった考え方に基づいてつくられていると理解をしておりまして、既修者に完全に追いつくことは不可能だとしても、早期の段階で全体像をつかむということをさせるということは、今後の教育をやる上で有益だろうと理解をしております。
以上です。
【松下座長】 ありがとうございました。髙橋委員、よろしいでしょうか。
【髙橋委員】 ありがとうございます。
【松下座長】 それでは、御質問の2点目です。これは日弁連に就職状況について何か検討したことがあるということであれば、御教示いただければと思います。
【二川副会長】 御質問ありがとうございます。日弁連の副会長の二川でございます。未修者、既修者ということで、特に分けて検討したことは日弁連ではございません。ただ、昨今、御指摘のとおり、就職活動が非常に早期に始まってしまっているやに見受けられます。そのせいか、東京のほうで結構な方が就職されるということで、地方に就職される方が非常にどうしても少なくなってしまっているということで、そういう問題意識を持っております。
そのような問題意識も踏まえて、しっかりと司法修習等をしていただくためにも、修習生に対して、就業活動に関して、あまり早く内定等を出さないようにということで、日弁連としましては、各弁護士会に対して、司法試験合格発表に先立って文書で要請をしてまいっておるところです。具体的には、司法修習生等の採用内定については、司法試験合格発表後に行うこと、あるいは、司法修習生等の修習や学習スケジュールに配慮した採用活動を行うことなど、そのようなことを要請しておりまして、さらには弁護士会のみならず、司法修習生、あるいは法科大学院生、法曹コースを設置する大学の法学部生に対しましては、関係各所に御協力いただいて、就職内定時期については御配慮いただきたいということの要請を行っていることを周知していただいておるかと思いますので、今後もその周知に御協力をいただきたいなと考えているところです。
以上でございます。
【髙橋委員】 ありがとうございました。
【松下座長】 ありがとうございました。私の手元で見るところ、ただいま松井委員、田村智幸委員、久保野委員、佐久間委員、土井委員から手が挙がっていると拝察しますが、御発言、取りあえずここまででよろしいですか。時間の関係もありますので。では、まず、松井委員お願いいたします。
【松井委員】 委員の松井でございます。本日は大変有意義な発表をいただきまして、誠にありがとうございました。福岡大学におかれましては、きめ細やかな教育により、多様なバックグラウンドを持つ法律人材を輩出されているとともに、地域における法曹人材の基盤づくりにも貢献されている点について、非常にすばらしい取組であると感じました。また、東京大学におかれましては、比較的規模の大きな大学でありながら、未修者指導の充実に取り組まれている点について、こちらも非常に重要な取組であると感じております。
私個人は、法曹資格を有し企業に勤務する者として、大学生や高校生にキャリアについてお話しする機会をいただくことがありますが、最近は、掛け算でキャリアを描いてほしいという話をしております。例えば、弁護士になれば、一定程度法律を扱えることは当然であり、むしろそこからが本当の勉強であり、本当の勝負であると考えております。そこに何を掛け合わせるかによって、法律家は無限の可能性を秘めている、そのため、ぜひ法律の世界に飛び込んでいただきたいというお話をしております。
その観点からも、法律以外のバックグラウンドや経験を有する方々は、むしろスタートダッシュを切ることができるような貴重な存在ではないかと考えております。しかしながら、就職活動においては苦戦を強いられるという話を、私自身も、当社のエクスターンシップでお預かりしていた法科大学院生や司法修習生から聞いております。特にどのような点が難しいのかと伺うと、合格率の観点から合格可能性の推定が働きにくいため、早期に内定を得ることが難しいという話も聞いております。どの程度一般的な状況なのかは分かりませんが、少なくとも私の知る範囲ではそのような話を耳にしており、非常に残念な現状であると感じております。
私自身は法科大学院における教育そのものに関与している立場ではありませんので、少し外部の立場から申し上げますと、今後、多様な人材の流入を促進するためには、まず、各法科大学院において入学者のバックグラウンドや社会人経験の有無、また、修了後にどのような分野で活躍されているのかといった情報を、共通の基準で共有していただくことが考えられるのではないかと思います。また、この点については、今後議論されると理解しております法科大学院の評価の軸も、一定の役割を果たし得るのではないかと考えております。
また、法科大学院、または法律家側から他分野へアプローチするという観点では、例えば理系学部や医学部、ビジネススクール、企業、研究機関などに対し、法曹というキャリアの可能性を積極的に発信していくことも非常に重要であると考えております。また、企業法務の観点から申し上げますと、企業法務の世界では長年プレゼンスを有する教育機関の一つとして、米国テンプル大学ロースクール東京校があります。同校では、終業後の時間を活用してLLMのコースを履修することができたり、より短期のプログラムを修了することによって、その後のLLMにつなげたりすることができる仕組みがあります。日本における企業法務人材の中にも、同校の出身者が多くいらっしゃいます。
現在、企業法務の世界でも日本の法曹資格を有する方は急速に増えており、日本の法曹資格を取得したいと考えている方も潜在的に相当数いらっしゃると感じております。しかし、夜間に通うことができるかどうかといった点が課題となり、なかなか一歩を踏み出せない、決意に至ることができないという方が一定程度いるのではないかと思います。そうした社会人の中に存在する、日本の法曹資格を取得したいという潜在的な需要にアプローチしていただくことも有意義ではないかと考えております。
【松下座長】 ありがとうございました。それでは、続きまして、田村智幸委員、お願いいたします。
【田村(智)委員】 ありがとうございます。先生方、どうも御発表ありがとうございました。私からは御発表のような優れた取組に対して、どのようなインセンティブを与えるべきなのかという、本日、事務局からのペーパーにもあります、御議論いただきたい事項に沿って御意見を申し上げたいと思っています。
資料3-5というのは、この後の議題に関わる資料でございますが、そこに、これまで私ども確認してまいりました加算プログラムの課題というのは、評価結果の固定化、司法試験合格率の偏重にあるということにございました。もっとも私ども専門職大学院である以上は、司法試験合格率の指標、これを外すことはできないと思います。そうであるのであれば、各法科大学院における未修者教育にひもづけられる具体的な様々なインプット、アウトプット、全体で言うとアクティビティーというように平たく置き換えていいと思うんですが、そういったものについて、定性的な評価を踏まえつつ、定量的な数値化を行って、そこに一定のボリュームをしっかりつけていくということが考えられると思っています。
アクティビティーの定量的な数値化としては、例えば私立の大学であれば、事業活動収入に占める未修教育経費にひもづけられる教育内容の割合を算出して、その割合の高さをしっかりと評価していくですとか、同様に、国公立であれば、経常費用に占める未修教育経費の割合の高さをしっかりと評価するということが考えられると思います。また、その算出割合においては工夫の必要があると思いますが、TA、あるいは補助教員を含めた教員1人当たりの未修学生数というものをしっかり算出して、1人当たりの学生に多くの教員配置を行っていれば、そこに高いポイントを与えるということも考えられることだと思います。
今日、福岡大学や東京大学のような、まさに特徴ある未修者教育に意欲的に取り組んでおられる法科大学院の定性的なアクティビティー、さらには、日弁連のペーパーの中には研究者と実務家の共同事業というような法科大学院教育らしい定性的なアクティビティーの記述がありました。私も20年前にロースクールの教員をしたときに、研究者教員との共同事業というのを行ったことがございましたが、一つ前で申し上げたような定量的なアクティビティーを組み合わせることで、一つは学生の成長につながる取組を通じて高い成果を期待させる取組であるというような整理、さらには、優れた取組を通じて高い教育成果を上げていると認められる、こういう2段階の評価を行うことが可能になるのではないかなと思います。この点は、次の新しい評価制度に関する議論にも関わってくるかなと思っています。
また、加算プログラムでは、基礎額と加算率の割合って前者が2、後者が1、おおむねそういった割合であったと記憶しておりますが、これをイーブンにする、多様なバックグラウンドを持つ人材養成というのは、法科大学院制度発足の理念ですので、司法試験の合格率と同じ割合で評価をするということが必要なことなのではないかなと思っています。
そして最後に、本日の資料にもありますが、例えば1-7で標準修了年限修了率のペーパーがございます。これはもちろん数値をしっかり理解することは大事なことですし、また、1-10で、在学中受験が一見メインストリートに見えるような、そういう資料がございます。資料を公開するときに、別にそんな意図は全くないわけでございますけれども、今後新しい評価制度を情報公開という形で学生や社会に公表していくということとの兼ね合いで、学生、特に社会人がこういった資料をどう読むかという観点からも、資料のつくり方に対しては十分な御配慮をいただきたいと思っています。
私からは意見になりますが、以上でございます。ありがとうございました。
【松下座長】 ありがとうございました。久保野委員は手を下ろされたと理解してよろしいですか。もし御意見があれば、会議終了後に事務局宛てにメール等で御意見をお寄せいただければ議事録に反映いたしますので、よろしくお願いいたします。
それでは、佐久間委員お願いいたします。
【佐久間委員】 よろしくお願いします。佐久間でございます。日弁連の皆様、それから福岡大学、東京大学の皆様、ありがとうございました。
それで、今の田村智幸委員の御意見とも重なるところがあるんですが、先ほど司法試験に早く受かればそれでいいのかという話がありました。その一方で、在学中受験が導入されたわけですし、これまたご指摘がありましたが、それと関連して就職の早期化ということも起こっていて、とにかく早ければいいんだという方向性がある程度できてしまっているように思います。もちろん法曹を養成するというゴールはあるわけですから、早いに越したことはない部分もあるのかもしれませんけれども、これまでの法科大学院の評価も、若干そっちの方向に傾き過ぎていたのではないでしょうか。それに対して、法科大学院設置の理念を考えれば、未修者教育というのは法科大学院の根幹に関わる大事な柱で、早く法曹資格がとれさえすれば良いという方向性とは相容れない部分があると思います。早い方が良いという方向性ができている中で、それをどう引き戻すのかはなかなか難しいところではありますが、次の議題になるのかもしれませんけれども、法科大学院の評価の中に未修者教育への取組ということを入れていくことがまずもって必要ではないかと思っております。
新しい認証評価制度では、質の保証と質の向上の両面を見ましょうということで、質の向上のほうは、まさにそれぞれの大学、大学院のDP、養成すべき人材像に合わせて積極的な教育改革に取り組んだところを評価しましょうということになっています。ですから、法科大学院についても、未修者を法曹に育てることが法科大学院の人材養成目的であるならば、そういったことに資する取組を評価の対象にする必要があります。そして、それを重点的、積極的に評価するということがないとなかなか方向性は変わらないと思いますので、今後、法科大学院の評価制度を考える上では、その辺りをぜひ御検討いただきたく存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
【松下座長】 ありがとうございました。それでは、土井委員お願いいたします。
【土井委員】 土井でございます。本日は貴重な御報告ありがとうございました。大変参考になりました。私からは、3+2年の制度と未修者教育との関係について、一つ意見を述べた上で、日弁連からの御報告について、一つ質問をさせていただきます。
3+2年制、あるいは在学受験の導入等が既修者を中心とする制度の運用を招いているのではないかという懸念があるということは理解できるところです。ただ、かつての制度ですと、既修者は学部4年、法科大学院2年を経て修了後受験をしていましたので、司法試験まで6年余り、法学の学習をしていました。それに対して、未修者が法科大学院で3年を経て、修了後受験でしたので、3年余りで受験ということでした。両者を比較すると学習量が倍違った、3年ぐらい違ったということになります。しかし、3+2年で在学受験ということになりますと、既修者は学部入学から4年数か月で受験することになるのに対して、未修者が修了後受験をすることを前提にしますと、法科大学院で3年学んだ上で修了後受験になりますので、3年3~4か月あたりで受験ということになります。その意味で学習量の格差は解消する方向で動いているということになります。
しかし、本日も他の委員から御指摘がありましたように、未修者も在学受験を選択することになりますと、2年数か月で司法試験に合格したいということになるわけですが、法学の教育に携わっている者からすれば、2年数か月で司法試験に合格できる方法を編み出せと言われても、それはできないというのがほとんどの先生方の感触ではないかと思います。周りがみな受けているので在学受験を考えたいという未修者がいることも分かりますし、また、受ける機会があるわけですから試しに受けてみるということを止めませんが、基本的には3年間しっかり学習をした上で司法試験に臨んでもらうというのが,本来の制度を前提とする本筋であって、未修者の在学中受験に対応するのは難しいんじゃないかというのが私の意見です。
それから、もう一つ質問ですが、日弁連さんの御報告のとおり、司法制度改革審議会に示した基本理念に基づいて、社会の隅々まで法の支配を行き渡らせる、そういう意味で多様なバックグラウンドを持つ人材を輩出するということに強く共感しますし、多様な分野で現在、活躍されている非法学部社会人出身の弁護士の御紹介いただいたことも心強く思いました。それを踏まえて、3ページのところに記されていますように、既修コースの司法試験合格率が安定した数字を維持している現状に鑑みて、未修者教育の質の向上と司法試験合格率の向上に向けた議論が必要であるということもそのとおりだろうと思います。ただ、その際に、非法学部社会人の司法試験の合格率を向上させるために、ようやく安定している既修者の司法試験の合格率を下げるということを意図されているわけではないと思うのですが、そのような理解でよろしいでしょうか。また、そうだとすると、どのようにすれば安定した既修者の司法試験の合格率を維持しつつ、他方で非法学部社会人の司法試験の合格率を大きく向上させることができるのか、何か良いアイデアといいますかお考えがあればお聞かせいただけますと幸いです。
以上です。
【松下座長】 なかなか難しいと思いますが、日本弁護士連合会いかがでしょうか。
【岡副会長】 副会長の岡でございます。土井委員、御質問ありがとうございました。
2つ御質問いただいたと認識しております。一つは、未修者の合格率を上げるということが既修者の合格率を下げるということを意味しないということでよいかということでございますが、これはもちろんでございます。既修者合格率については、適切な状況というものをより一層目指していくべきものと認識しております。
2つ目については、そうだとすると、そうした中で、未修者の合格率を上げるための施策、これをどうするかということでございますが、その回答というものをこれから議論しながら決めていくということになろうかと思いますが、一つは、これは日弁連内部で固めた議論ではなくて、私が実務科教員として現場に立っていたときの感想も踏まえてということで、御意見として伺っていただければと思うんですが、未修者独自の進み方というものを提示していくことも必要ではないかと思います。というのは、「3+2」に乗らなくてもいいんだと。修了してから直ちに受かることはもちろん目的なんだけれども、在学中合格とか修了後、すぐに合格するということを目標としつつも、一定の年次を区切って、例えば3年以内には確実に合格できるんだとか、あるいは、5年たったら、もうほとんどが合格できるんだというような、しっかりと学ぶということを一つの価値として共有すると。その上で、未修者に特化した、あるいは、個々の未修者の特質に応じた教育というものをきめ細やかに進めていくというのが大きな枠組みではないかと私のほうは思っております。
特に先ほどのメンタルの問題でもありましたけども、未修者が既修者と合流していくと。このことももちろん良い刺激を持って切磋琢磨することとして重要な観点はあるかと思うんですけども、私も現場にいまして、直前に3年生になってクラスが同化しても、未修者がずっと未修者という名前で呼ばれること自体、これも何か違和感がありまして、実務家になっても未修者だということになっていくわけなんですけども、そうした呼び方自体も変えていくという工夫、未修者という、ずっと未という字がついていること自体も何か違和感を感じておりまして、未修者が未修者として堂々と一定の修業年度を大きく捉えて、しかし、確実に合格できる、そして、そのことを評価制度でもしっかり評価していくという形でのある意味、区別ではないんですけども、特性に応じた法科大学院における教育というものにかじを切っていくことも必要なのではないかと考えております。
こちらは私の意見でございます。以上となります。
【松下座長】 ありがとうございました。土井委員、よろしいでしょうか。
【土井委員】 ありがとうございました。非常に示唆に富んだお考え聞かせていただきました。そのような方向で法科大学院の教育が改善されていった結果、司法試験の合格率が向上できるような仕組みを考える必要もございますので、当委員会の役割を超える部分があるかもしれませんけれども、法曹三者、あるいは法科大学院で議論を進めることができればいいんじゃないかと思います。
以上です。
【松下座長】 ありがとうございました。それでは、まだ御意見あるかもしれませんが次の議題に進ませていただきます。
議題の3、中教審大学分科会における議論について(新たな評価制度)です。既に何回か言及もされましたけども、事務局から資料3-1から3-5について御説明いただいた後に、議論の時間を設けたいと思います。それでは、事務局から御説明お願いいたします。
【鈴木室長】 大学設置評価室の鈴木と申します。よろしくお願いします。私は資料3-1に沿って御説明させていただきたいと思います。
新たな評価の在り方につきましては、大学分科会にワーキングを設けまして、議論を進めてきたところでございます。先月、一定の議論をまとめて公表したところでございますので、その点を御説明させていただきたいと思います。米印に書いてありますように、本ワーキングの議論の射程といたしましては、基本的には大学のボリュームゾーンと考えている、いわゆる学部、短大の学科等を想定しておりまして、研究科の評価の在り方につきましては、法科大学院等特別委員会も含めて大学院部会等で検討しておりますので、そこでの検討状況を踏まえて、新しい評価に組入れていくということにしたいと思っているところでございます。
1ページ目でございますけども、第1部として、なぜ新しい評価ということを今、議論しているのかというところをまとめたところでございます。左上のところでございますけども、認証評価の現状ということで、もちろん認証評価におかれましては、内部質保証システムが導入するという意味では非常にプラスに働いているかと思いますけども、その一方で、社会からは、いわゆる法令適合性だけじゃなくて、入学後、どの程度学生を成長させることができたかという教育の質を、第三者かつ専門家の評価を通じて可視化していただきたいということが求められているのではないかとか、評価の負担感、徒労感であったりとか、なかなかカリキュラム改善までつながっていないのではないかというところは御指摘されたところでございます。
合わせて、右側の上でございますけども、今の現下の高等教育を取り巻く状況を考えますと、一番大きい課題としてありますのは少子化でございまして、こういう状況におきましては、学生一人一人が能力を最大限高めていくということであるのであれば、教育研究の質の保障、向上を通じて、高等教育の機能強化、教育の質の向上を図っていくことが必要であろうと。ということであれば、高等教育の質が社会から適切に評価される仕組みを実現していくことが必要であろうということで、新しい評価を実施していこうということでございます。
新しい評価の基本的な方向性としては、1ページの下にありますように、3つの方向性が示されたところでございます。在学中どのくらい成長したかについて、学生一人一人が知識、能力をどの程度身につけたかという学修成果をきちんと可視化する評価をしていくべきではないかと。であるならば、質保証だけではなくて質向上のところを評価すべきじゃないかということが(1)。(2)でございますけども、社会からの理解、支持を得るのであれば、分かりやすい形で公表すべきではないかということ。(3)につきましては、徒労感等ございましたので、いわゆる教育の質の向上を測るために真に必要な項目に厳選して、評価のデータプラットフォームの構築、活用を通じて、徒労感等の解消を図っていくと、そういうような形の大きい方向性の下で、新しい評価の基本的な枠組みが示したところでございます。
それが次の170ページで、まず、評価の対象でございますけども、これにつきましては、高等教育機関全体で質保証を評価した上で、より学修者に近い単位である学部等を切り口として、高等教育機関における教育活動を評価するということでございます。
2ポツでございます。何を評価するかでございますけども、機関全体の評価につきましては、いわゆる内部質保証が図られているかどうかというところに厳選して評価するということでございます。その上で、学部等の評価については、2つの視点で評価を行う必要があるだろうと。要は、法令等で求められている数字に達しているかという質保証の視点と、いわゆる学生一人一人の能力を最大限高めるために、教育水準を向上させて教育成果を明確に挙げているかという質向上の視点から評価すべきであろうということでございます。質保証の視点につきましては、点線囲いにありますように、4つの基本方針、7つの評価基準、15の評価項目に沿って厳格に判断していく。質向上のほうの視点につきましては、要は優れた取組と、ディプロマ・ポリシーに掲げる資質・能力を備えた学生が育成できているかという教育成果で評価をしていくと。教育成果は、いわゆる直接評価、間接評価、社会からの評価を総合的に勘案して評価していこうということが示されたところでございます。
3番の評価手続でございますけども、ここにつきましては、段階別の評価を導入していくということが示されたところでございます。いわゆる先ほど言いましたように質保証の視点が満たしていないということであれば、灰色の要是正になりますし、それを満たした上で、いわゆる教育成果、取組と成果を見て、星1つから星3つの段階別の評価をしていこうということでございます。評価のサイクルにつきましては、高等教育機関の様々な学位の部類によって修業年限がありますが、医学部が6年制を取っているということや国立大学法人評価とのバランスを踏まえて、6年を前提に考えていきたいと考えているところでございます。続きまして、171ページでございますけども、効率的な評価のために、いわゆるデータ入力機能とか、データ閲覧・評価支援機能とか、データ公表機能、データプラットフォームをいわゆる大学改革支援・学位授与機構に設置したいと考えているところでございます。
評価の主体につきましては、これについてはピア・レビューを原則にしていきたいと思ってございますし、それぞれの学問分野に沿って、専門家に評価をいただくということを考えているところでございます。これにつきまして、さらに評価の機関でございますけども、大学全体の評価、学部等の段階別評価を総合的に担う機関と、特定の分野を専門的に評価する機関を併せて設置することで、仮に特定分野の評価を受審した場合については、それをもって総合評価機関の評価に替えるということができるようにしたいと考えているところでございます。
合わせて、評価機関が複数ある場合については、ばらつきをなくすための調整組織の役割の明確化を図るとともに、5ポツでございますけども、評価結果をデータプラットフォームにおいて一元的に公表し、公表内容を統一化するということを考えているところでございます。評価結果については国の政策に活用したり、要是正機関があれば、文科省において厳格な対応を行っていきたいと考えているところでございます。
最後、6ポツでございますけども、我々といたしましては、新しい評価を導入するに当たって、当然学部、学科等も見ていくことになりますので、できる限り重複を排除した評価制度にしていきたいと考えているところでございます。今、機関別と分野別、2つの評価が走ってございますけども、学部等まで見ていくということであれば、より機関別評価は、分野別の認証評価に機能が近づいていくということになりますので、機関別と分野別の統合を図っていくとともに、国立大学法人評価の現況分析、そこの重複解消も図っていきたいと考えているところでございます。
このような形で新しい評価につきまして、スタートさせていきたいと考えているところでございます。
私からは以上でございます。
【若林室長】 すいません、引き続きお願いします。通し番号の180ページ目を御覧いただければと思います。今、議論のまとめの概要の説明でございましたが、この中のちょっと小さいんですけど、下の脚注のところ、法科大学院における評価の在り方については、これまでの経緯も踏まえまして、大学院部会での議論を踏まえ、別途、本法科大学院等特別委員会で検討するということを先ほど説明ありました議論のまとめの中にも記載をさせていただいておるところです。
続いて、今度は大学院部会での議論を簡単に御紹介させていただきたいと思います。通し番号で言うと224ページを御覧いただければと思います。基本的には学部の考え方を踏襲しておりますが、基本的な考え方としまして、1番目、大学院段階における評価についても、しっかりと質の保障と質の向上という2つの要素から構成をすると。2番目として、大学の質保証については、大学全体としての質が保障されているかを確認するとともに、教育の質が質保証、向上されているかについては、大学院であれば基本組織が研究科になりますので、研究科における教育活動を評価していくと。3番目でありますが、大学院における各種評価ということで、今までの機関別評価、国立大学法人のみですが現況分析、あとは専門職大学院の分野別評価、法科大学院のみですが、加算プログラムと、こういったものの蓄積や成果をしっかりと尊重するということと重複感をできるだけなくしていくというようなことが大学院全体でも言われておるというところです。下の部分の大学全体の部分と、研究科ごとの評価の要素から構成をしていくと。
次の225ページ目を御覧いただければと思います。基本的に学部と同じような考え方で、現時点で、段階を学部全体で4段階にするというような方向性でありますが、大学院部会において、これを3段階にするか、4段階にするかということは少し議論がまだ分かれているところでして、直近の大学院部会で配付された、こちらの資料については3段階ということにはなっております。
続いて、通しページの235ページ目、御覧いただければと思います。基本的なコンセプトとして、各研究科における優れた教育の成果をどのように測るのかというイメージでございます。こちらも大学院部会の資料になりますが、下の部分の赤字だけ、ポイントとしては、視点の1つ目として、ディプロマ・ポリシーに掲げる資質・能力がしっかり伸びたかどうか、1、2、3というような形で、大学の取組と学生の伸びとそれを活用した社会での活躍の状況なんかを見ていこうと。視点の2として、右下になりますが、学生が伸びるための環境をしっかりとつくって取り組んでいるという、そのような点から評価をしていこうというのが大学院全体の考え方になります。
続いて、250ページ以降、本特別委員会におけるこれまでの主な意見をまとめたものになりますが、今は時間が足りませんので割愛をさせていただきます。
次に、256ページ目を御覧いただければと思います。先ほど割愛した、今までの意見も踏まえて、今後の法科大学院の評価の在り方の方向性について事務局でまとめた案になります。これまで左側にあるような各種評価、いろんな仕組みがありましたと。真ん中の部分で、一部重複があったり負担感があったりというような課題もありましたということで、右側になりますが、法科大学院における新たな評価の在り方として、赤字のこれまでの各種の蓄積や経緯というものをしっかり尊重しながら、できるだけいいところをしっかり生かすと、課題のところは解消していくというような方向性になっております。下の機関全体、大学全体の評価というのは学部や大学院段階と同じく、内部質保証が担保されているか。これは法科大学院に限った話じゃないのかなと。その下の法科大学院の単位、各法科大学院ごとの評価として、事務局としては、ほかの評価の仕組みと同様に質保証の観点として、法令適合性等を最低限確認をするというような観点と、あとは質向上の視点ということで、こちらについて、しっかりと法科大学院における教育成果を測れるような、そんな評価であるとよいのではないかということを考えております。
質保証までは、おおむねほかの分野と重なりますので、質向上について、次のページ御覧いただければと思いますが、法科大学院においては、濃い青色、ディプロマ・ポリシーに定める資質・能力を備えた学生をしっかり育成をできたという点と、下の青いところですけども、そのための学修・研究環境がしっかりと整備されているという、大きく2本柱というのが大学院全体と共通するのかなと思う一方で、1の水色、薄い青色、法科大学院全体として共通的に求められるようなこと、例えば司法試験の合格率というようなものと、あと1のマル2として、法科大学院それぞれが養成する、要は法科大学院ごとの特徴、個性をしっかりと発揮をして評価するというような要素、1番は1のマル1とマル2の2つの要素をしっかりと分けた上で評価をしていくということが重要になるかなと思っております。これまでの加算プログラムでいうと、基礎額部分と加算額部分というようなイメージになろうかと思っております。これらをしっかりと伸ばすために、つまり、学生のポテンシャルだけでその成果が出たのではなく、2番にあるような学修・研究環境が、大学院の取組がしっかりとそれらに効いてくるというような形になろうかと考えております。どういった要素を共通部分に入れるのか、どういった部分を個別の部分に入れるのかというのは今後、先生方からも御意見頂戴できればと思います。
事務局からは以上でございます。
【松下座長】 どうもありがとうございました。
予定の終了時刻まで、あと2分ぐらいしかないんですが、どなたかお一方、御発言は可能かと思います。それでは、笠井委員、お願いします。笠井委員、中川委員でお願いいたします。
【笠井委員】 すみません。重なることも多いので簡単に済ませますけども、私は、ワーキンググループの委員をしていたもので、少しその観点も含めて、お話しさせていただきます。まさに180ページで、法科大学院についてこの委員会で考えるということになっており、どこまでこの委員会が考えられるのかということもあるので、そのことも質問もしたいのですけれども、そういったことで、法科大学院としてこのような評価をどう考えるかについて、これから検討していくことになると思います。
特に169ページの改革の方向性の(1)について、具体的にこういうことについて評価をしてもらうという話になっているのですけれども、どのようにしてこういう評価をしていくのかを具体的に考えていくということで、今、事務局のペーパーにもありましたけれども、そういったことについて具体的に考えていかなければなりません。従来の認証評価は適合と不適合だったわけで、これは質保証のところに大体当たるだろうと。以前も言いましたように、加算プログラムのほうが質向上のところになってくるだろうという、大体のイメージなのですけども、ただ、加算プログラムの項目よりも項目は恐らく多くなってくるのではないかと思います。この趣旨からいきますと、そういったことを考えていく必要があると思っております。当然、未修者に関することというのは重要な課題として入れなければいけないとも考えております。
それから、先ほど学部のほうについては、4段階という、星がなしと1つ、2つ、3つというのが出てきたわけですけれども、法科大学院も4段階でいくのかどうかといったあたりも検討できればと思います。これも大きな枠組みの中で動ける余地があるのかどうかというあたり、特に大学院については、今、3段階になっているようですので、大学院が3段階なのか、4段階になるのかというのはまだ分からないようですけれども、そういったことについて、法科大学院はまた別途考える余地があるのかということを伺いたいと思います。
それから、法科大学院は今、認証評価については3つの機関がありまして、恐らくこれは維持されると個人的には思っているのですけれども、171ページの中にありましたけれども、ばらつきが生ずる可能性があるということで、公平を保つためにどのように調整が図られるのか、具体的に文科省のほうで何かされるのかというあたりは少し気になるところです。もし具体的に何かありましたら、教えていただきたいと思います。
それから、最後、大きな枠組みとしては、学部のほうについては、まとめの本文の183ページの上のほうにあるのですけれども、それから大学院については228ページにありますが、大学全体が評価基準を満たしていない、いわゆる要是正と判断されると、学部や大学院の判断にそもそも行かないという仕組みになっています。これ自体はかなり大きな枠組みで、法科大学院については、現実にその心配はあまりないと思っておりますけれども、仕組みとして、従来の経緯も踏まえて法科大学院について仕組みをつくるというときに、そういう仕組みで本当に良いのかというあたりは課題になるように思っております。
以上です。
【松下座長】 ありがとうございました。事務局からお返事できることがあれば。
【若林室長】 法科大学院等特別委員会で検討するとありますが、その前提としては、大学院部会等の検討も踏まえてということになっております。どの部分を踏まえて、どの部分は自由なのかというのは正直、カチッと定まっているわけではございませんので、むしろ法科大学院等特別委員会でいただいた御意見を踏まえて、また大学院部会と、事務的な調整も含めてさせていただくのかなと考えておるところです。何段階にするかだとか、そういったところです。
あと評価機関間の調整はどうですか。
【鈴木室長】 評価機関の調整につきましては、まさに今、我々といたしましては、協議会のようなものをつくって、評価機関間で集まっていただいて、そこに文科省も支援、助言するような形で、評価の目線合わせ、どういう評価の項目、資料を出すかとか、そういうところも含めて事前の調整を図っていくということを、我々としては想定しているところでございます。
【笠井委員】 ありがとうございました。
【松下座長】 それでは、司会の不手際で本当に申し訳ありませんが、若干延長することをお許しください。中川委員、お願いします。
【中川委員】 ありがとうございます。私からは法科大学院の評価の在り方について、本日、前半のお話を伺ったことを踏まえまして、一つ提案といいますか、思いつきではあるんですけども、既修者と未修者を明確に分けて評価の対象にするということがあり得るかなと考えました。既修者のほうは、今まで加算でもやってきたような司法試験合格率であるとか、あるいは標準年限でどれだけ修了しているかという、そういう定量的なものになじみやすい、すなわちどれだけ伸びたかというよりは、司法試験合格のところまで伸びなきゃいけないというところさえ確認できれば、それ以上あっても評価しようがないし、それ以下では駄目だと、幾ら延びてもというところがはっきりしていると思うんですが、それに対して、未修者のほうは建前上は同じなんですけれども、建前は。今までそれでやってきたんですけれども、本日いろいろ御指摘がありましたし、それから我々も今までの経験上、未修者の場合はいろいろ違う事情があると。
一つは、どなたがおっしゃいましたか、最初の1年目は結構伸びるんだけれども、既修者と一緒になると、急にその差でいろいろびびってしまうといいますか、いろいろメンタル的にも苦しくなるというような部分があるという特殊な環境であるとか、あるいは、前田委員がおっしゃったような、どうしても法学固有のロジックなるものには違和感があって、ついていけないと。これが年数をかけて克服できる人もいれば、できない人もいるんですよね。それは本人の問題ではないし、それを無理やり法学的に考えろというのも、これはまた無理な話、無理な人には無理ですので、その意味では、むしろ未修者のほうこそ、どれだけ伸びたかというところの評価によりふさわしい対象であるように思います。未修者の場合、極端な場合は未修を2回やると。あるいは、未修を1回やって、次は既修に行くと、大学を変えて。そういう人も珍しくはないので、その意味では何年で修了したかとか、司法試験に合格したかということよりも、どれだけ伸びたかというほうが、より大学としては丁寧にやっているということの評価だし、また、未修者もそういうことを求めているんじゃないかと思います。
問題は、いわゆる隠れ既修が実は多数を占めているというところで、本当は未修者コースの存在意義は今日ずっとありましたように、多様なバックグラウンドでありまして、それは他学部出身とか社会人経験者なんですけれども、そこをもし徹底してやるならば、評価に関して言うと、他学部出身と社会人の人に限って、そういったどれだけ伸びたかというのを測るということもできるかもしれません。ちょっとあこぎかもしれませんので、そこら辺は最終的にどうなるか分かりませんけれども、未修者と既修者というのは、もうはっきりとセクションを分けて評価の対象にするというのがいいんじゃないかなと考えました。
私からは以上でございます。
【松下座長】 ありがとうございました。それでは、田村智幸委員、お願いします。大変恐縮ですが、手短にお願いできれば幸いでございます。
【田村(智)委員】 時間のない中、申し訳ございません。違和感を覚えた部分がありますので、意見にわたる部分は次回以降に発言することとし、違和感を覚えた部分だけ発言させていただきます。
資料の3-5、先ほど笠井委員からもお話があったことに関連します。3-5の1ページの右、真ん中、機関全体の評価がございます。その下の米印に、機関全体の評価において、基準を満たさないと判断される場合、法科大学院ごとの評価を実施しないとあって、この基準を満たさないという意味が不明なところもあったり、それから、大学院部会を中心に、法科大学院はこれまでの経緯も踏まえて検討していただけるというお話はあったんですが、万が一、大学全体が不適とされた場合に、この評価のサイクルって6年ですので、6年間法科大学院の評価が何も示されない、そういう状況になるということは、社会や受験生に対して与える不利益というのがあまりにも多過ぎると思いまして、違和感を覚えたという次第でございます。
もう一つ、これは資料3-1ですので、ワーキングの資料ではないかなと思うんですが、先ほど事務局から4ページの部分の御説明がございませんでした。4ページの学部等ごとの段階別評価の理由、真ん中よりちょっと下です。米印の2つ目、どこかの学部の評価で要是正があると、機関全体の内部質保証も図られていないということで、期間全体が要是正となって、要するに他の学部全部、法科大学院まで巻き込まれてしまうという言い方が適切かどうかというところはありますが、そうであれば、あまりにもペナルティの程度が大き過ぎるなと思いました。
今回は時間の関係でこの点だけ発言することとし、いろいろ今後、大学院部会で御検討いただくときにも御検討いただければと思っております。
以上でございます。
【松下座長】 ありがとうございました。よろしいですか。
それでは、司会の不手際で延長してしまいまして大変申し訳ありませんでした。冒頭にも申し上げましたけど、さらに御意見がある場合には、事務局宛てにメールでお寄せいただければ議事録に反映することは可能ですので、御意見がある場合にはぜひお寄せいただければと思います。
それでは、既に10分近く過ぎていますが、本日の議事、これで終了してよろしいでしょうか。今後の日程については、事務局から追って連絡をしていただきたいと思います。
本日はどうもお疲れさまでございました。
―― 了 ――
■会議終了後に頂戴した御意見
◆議事(2)未修者教育施策について
【宍戸委員】
未修者教育の支援に当たっては、既修者との比較における合格率が強調されるきらいがあるが、それと同時に、法科大学院を経由して法曹として社会に送り出されてきた絶対的な数も、成果として重要であると思われる。また、現在法曹として活躍している方々の相当の割合を法科大学院修了者、なかんずく未修者として修了した方が占めるようになっており、それによる法曹また法実務の変化をトータルに捉えて評価した上で、未修者教育のあり方を議論すべきものと考える。
さらに、未修者の合格者数を増やす、合格率を上げることについては異論がなかったものと思われるが、それは根本的には司法試験の合格者数、換言すれば社会に法曹として送り出されるべき数との関係で議論されるべきである。
高等教育局専門教育課専門職大学院室法科大学院係