令和7年2月20日(木曜日)10時00分~12時00分
【松下座長】 それでは所定の時刻になりましたので、第119回中央教育審議会大学分科会法科大学院等特別委員会を開催いたします。御多用の中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。
本日はウェブ会議として開催しております。本委員会は公開が原則のため、この会議の模様はユーチューブライブ配信にて公開いたします。
ウェブ会議を円滑に行う観点から、御発言の際には挙手マークのボタンを押し、私から指名されましたら、お名前をおっしゃってから御発言をお願いいたします。御発言後、終わった後は挙手マークの表示を消していただくようお願いいたします。また、御発言をいただくとき以外はマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。
また、御出席された委員の方全員が御発言できますように、大変申し訳ありませんが、御発言は1回当たり上限二、三分程度を目安にお願いいたします。さらなる御発言、御意見等があるという場合には、会議終了後に事務局宛てにメールでお寄せいただければ、今回の議事録に反映したいと考えております。委員の皆様方の御協力のほど、毎度のことで恐縮ですけれども、お願いを申し上げます。
それでは、本日も活発な御審議をお願いいたします。
まず事務局から配付資料の確認をお願いいたします。
【遠藤室長】 事務局でございます。よろしくお願いいたします。
今回につきましては、資料の1から4までが全94ページとなっておりまして、また、参考資料が1から17まで、これが全190ページとなってございます。今回の資料と参考資料につきましては、文科省のホームページでも公開しております。過不足等あれば御指摘いただければと思います。
事務局から以上でございます。
【松下座長】 ありがとうございます。では、お手元の資料、議事次第に従って議事を進めたいと思います。
議題の1は、令和6年司法試験予備試験口述試験の結果等についてです。本件は、司法試験予備試験を担当している法務省から説明をいただき、その後、質疑の時間を設けたいと思います。それでは、まず、法務省大臣官房司法法制部司法法制課長の早渕委員から御説明をよろしくお願いいたします。
【早渕委員】 法務省の早渕でございます。よろしくお願いいたします。
令和6年の司法試験予備試験の最終結果について御説明をいたします。この結果は、本年2月6日に公表されたものでございます。お手元の資料1-1から1-7が予備試験の結果に関する資料でございまして、結果の概要を御説明申し上げたいと思います。
今お映しいただいておりますが、資料1-1、「令和6年司法試験予備試験口述試験(最終)の結果について」の1枚目を御覧いただければと思います。2のところに合格者の推移として、歴年の結果が記載されておりまして、その一番下がこの令和6年の司法試験予備試験の結果でございます。近年、短答受験者数が増加傾向にありましたが、令和6年の短答受験者は1万2,569人で前年から803名減少しております。同様に最終合格者は449名で、前年から30名の減少となっております。対短答受験者合格率は3.57%で、前年とほぼ同様の水準でございました。
続きまして、この令和6年司法試験予備試験の受験者・合格者の属性について御説明をいたします。資料1-3にお飛びいただけますでしょうか。こちらが予備試験合格者に関する職種別人員数の推移でございます。令和6年分のところを御覧いただきますと、受験者数と合格者数が最も多かった職種は、いずれも右から3列目の大学生で、受験者数は3,659人、合格者数は279人でございました。それに対して、右から2列目の法科大学院生につきましては、令和4年とお比べいただきますと、令和4年は受験者数が1,067名、合格者数124名でございましたが、在学中受験が始まった令和5年以降は大きく減少しており、令和6年も受験者数が411人、合格者数が8人と更に減少しているところでございます。現段階で、まだなかなか傾向の断定まではできないところでございますが、法科大学院生のうち、相当程度が予備試験ではなく在学中受験を選択する傾向が出てきていると見ることもできるのではないかと思っております。ただいま御説明した点のほか、大学別、あるいは法科大学院別の受験状況、結果等につきましても資料の続きに記載してございますので、適宜御参照いただければと存じます。
次に、法務省と文部科学省におきましては、令和5年度法学部に在籍する学生に対して法曹志望に関するアンケートを実施しております。その結果については、一部予備試験絡みのところを前回御報告させていただきましたので、重ねての御報告は省かせていただきますけれども、この調査結果を参考資料の1としてお配りしておりますので、こちらにつきましても、お時間があれば適宜御参照いただければと考えております。
私からは以上でございます。
【松下座長】 御説明どうもありがとうございました。
ただいまの早渕委員からの御説明につきまして、御質問や御所感等があれば、お願いしたいと存じます。重ねてで恐縮ですけれども、御発言の際には1回当たり、上限二、三分程度を目安にお願いできればと思います。それでは、どの点からでも、どなたからでも御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
法科大学院生の予備試験受験者が、あるいは合格者が、かなり顕著に減っているのは確かに特徴的だなと思いました。私の手元では挙手は確認できていないのですが、それでは、また必要があれば戻るということにいたしまして、取りあえず一旦は質疑を締めさせていただきます。必要なら、また議題1、令和6年の予備試験口述試験の結果等について戻れるということにして、それでは、この議題は取りあえず、ここで締めさせていただきます。早渕委員、御説明どうもありがとうございました。
それでは、続いて、議題の2、法科大学院等の教育に関する定量的な数値目標(KPI)等についてです。それでは、まずは事務局から御説明をお願いいたします。説明の後に質疑の時間を設けたいと思います。それでは、よろしくお願いします。
【遠藤室長】 ありがとうございます。事務局でございます。資料の2、通し番号19ページを開いていただければと思います。
今、画面共有をしておりますけれども、各法科大学院の皆様の御協力をいただきまして、令和6年の司法試験の在学中受験資格に基づく受験結果についてまとめております。上の表が令和6年のもの、下の表が令和5年のものということで、直近の1年目、今年と昨年のものということで掲げさせていただいております。左側の合計の欄を御覧いただきますと、令和5年と比較した場合でありますけれども、特に在学中受験資格取得者数、受験者数、いずれについても、実際に司法試験を受験する学生が増えておりますし、最終年次在籍者数に占めるその割合についても上昇しているという状況になってございます。合格者数も昨年に比べて増加しているという傾向がございます。合格率につきましては、4ポイント程度下がっているという状況がございますけれども、これは令和5年に比べて令和6年の司法試験の合格者数が少ないことも踏まえますと、おおむね在学中受験の資格で受験された方々の合格率については、まさに健闘いただいているなというところが読み取れるかなと思います。
なお、既修者と未修者に分けて記載をさせていただいてございます。既修者と未修者につきましても在学中受験資格取得者数及び受験者数については増加しているということで、在学中受験というものが浸透してきたんじゃないかなと考えている状況でございます。この状況のみをもって安易に判断することなく、引き続き状況を把握、検証していきたいなと考えているところでございます。
さらに次のページをお開きいただけますでしょうか。通し番号21ページでございます。座長よりお話のありました、KPIについてでございます。前回の特別委員会でも、資料として配付しておりますけれども、その後、実際に事務局のほうでも、どのような取扱いにするか検討させていただきました。改めて御覧いただきますと、数値目標については、令和6年度の段階の目標については全てクリアしているという状況です。まさに法科大学院の皆様の御協力のたまものかなと考えております。その上で、数値目標については事務局といたしましては、従来の数値目標についてから変更せず、現状の形で維持をさせていただきたいと考えております。
その理由につきましては、例えば(1)累積合格率のbポツ、未修者のところのように、各年によって数字のぶれが大きい項目があることもございますし、さらには在学中受験を経験した学年の修了者についても、輩出が始まってまだ2年目ということがありますので、安易にこれでいいとか悪いとかということを評価するというよりは、しっかりとその状況を把握、検証していく必要があると考えております。また、これは大事な話でありますけれども、数字が何%上がったとかというところに固執するというよりは、あくまでもKPIの使い方として、なぜ上がったのかとか、各大学にどういった具体的な努力があったのかというところをしっかり意見交換したり検証していくことのほうが各法科大学院にとっても成果の横展開という意味でも意味があるであろうという、こうした理由がありまして、現在のKPIについては、引き続きこのまま維持をさせていただきたいなと考えている状況です。
もちろんもう数年程度状況を見た上で必要な数値目標についても改めて検討させていただくというのは、必要となってくる可能性が十分あるということも併せて申し上げたいと考えております。いずれにしても、現時点では、現行の数値目標を維持してはどうかと考えている状況でございます。
なお、KPIの一番下ですけれども、赤字で少しだけ注を書かせていただきましたけれども、法科大学院の入学者数について、これは2,200人以上ということを令和11年度の目標とさせていただいてございますが、この数字が入学定員上、2,200人を下回るようなことも実際に予想されることから、この数値目標については、令和11年度時点の状況も踏まえて評価してはどうかということで注を入れさせていただいているというものでございます。
KPIにつきましては、今申し上げた形で皆様方に御提示をさせていただいてございます。こちらの方向性でいかがかということで、御意見、御質問等あれば頂戴したいと考えてございます。
事務局からは以上でございます。
【松下座長】 どうもありがとうございました。現時点ではKPIについて原則として変更しないという御説明、理由とともに御説明をいただきました。
ただいまの御説明につきまして、御質問や御所感等があればお願いしたいと思います。繰り返しで恐縮ですけども、御発言の際には1回当たり上限二、三分程度を目安にお願いできればと存じます。それでは、どの点からでも、どなたからでも御質問、御意見等をお願いいたします。いかがでしょうか。それでは、酒井委員、お願いいたします。
【酒井委員】 ありがとうございます。酒井です。御説明ありがとうございました。KPIについては、ひとまず維持をして見守るということで、私もその方針には共感するところです。また、事務局からも御指摘があったように、そういった経年の変化を見ていくという中で、特に特筆するような数字が出た年について、その原因を分析するとか、また、良い点があったところは維持をしていく、また、広げていくというようなことが非常に重要かと思います。今見ましたところ、令和元年度の未修者の累積合格率が突出して高くなっているという数字が目立つと感じておりまして、私なりに考えてみたのですけれども、コロナのど真ん中世代の未修者にちょうど当たるのではないかなと思っておりまして、当時、ICTを活用した教育がかなり積極的に取り入れられて議論をされたという経過があったところ、そういった成果が一定の未修者の成果につながっているという可能性はあるのではないか感じております。今はコロナが落ち着いて、現場回帰傾向が強くなってきているところがあるかなと思いますが、今後の教育に、ICTも併用しながら未修者教育をしていくというようなことも、こういった数字もよく分析しながら検討されていくとよろしいのではないかなと感じました。ありがとうございました。
【松下座長】 どうもありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。土井委員、お願いいたします。
【土井座長代理】 それでは、私からはKPIの取扱いについて意見を述べさせていただければと思います。掲げられているKPI、それぞれ単独で見れば、より高い数値を示すことが望ましいと思われますけれども、実際には相互に影響を及ぼして一定の状況、あるいは、条件の下では、ある指標の数値が高まることが他の指標の数値を下げる効果もあり得るところです。
したがって、多くの指標について目標値を満たしつつあるということですけれども、KPIはあくまで政策内容を実現するために掲げられているものであるということを考えますと、この段階で安易に目標値を上げるのではなくて、こうした指標が示している状況を十分に分析した上で、今後の方向性を検討するために役立てることが重要ではないかと思います。その意味では、御提案のように、これを維持することがよいと思いますので、よろしくお願いいたします。
以上です。
【松下座長】 土井委員、どうもありがとうございました。中川委員、お願いいたします。
【中川委員】 中川です。私もお2人と同じ意見でございまして、現在設定されているKPIが、数年後を考えますと既修者は75%、未修者は55%ですけれども、多分論理的に考えてそれぞれ上限値があるはずなので、そんなに高く設定することはできないだろうと思います。例えば9割とかとやってしまうと、それは論理的に達成不可能です。製品などの売上げとは違って、数値を上げればいいというものではなくて、繰り返しお二人からも御発言ありましたように、うまくいったらいったで、なぜうまくいっているのかという要因分析が非常に重要です。先ほど酒井委員が一つ未修者についておっしゃいました。一つはこれらの関係の要因があるんじゃないかということをおっしゃいましたし、それ以外にも、とりわけ未修者の場合は人数が少ないのでかなり上下するんですが、上下した原因が何なのかと、それぞれうまくいった年は何で、うまくいかなかった年は何なのかということの発見が非常に意味のあること、それこそがKPIを設定する意味だと考えます。
既修者についても3プラス2のうちが一つはよかった要因なんだろうと思いますけども、それも例えば大学によって違うといった場合、当該大学の3プラス2の運営に問題があったのか、それともそれ以外なのかということを各大学が分析するというところに意味があって、ただKPIの設定値を上にして喜ぶということは全く目的ではないんです。繰り返しますが、製品の売上げではないので、必ず受験者数に対する合格者数というところから、客観的に決まってくる数字ですので、その数字を上げることが目的なのではなくて、数字が何によって達成できたりできなかったり、あと各大学でどう違うのか、そういう意味で非常に重要なデータを今出してくれているところですので、そこの分析に注力すべきであると考えます。
ですので、事務局からの御提案には賛成でございます。以上です。
【松下座長】 ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。いずれも重要な御指摘であると考えますけれども、ほかの委員からはいかがでしょうか。久保野委員、お願いいたします。
【久保野委員】 ありがとうございます。久保野でございます。私は19ページのほうの資料についてなのでございますけれども、これが何を意味しているのかということ自体、検討してみなくてはいけないと思いますので、見当外れかもしれないのですが、大きく数字が変わっている点としまして、法曹コース修了者のうちの早期卒業等をした方の非協定先からの進学者の合格率が今年、令和6年については非常に高く出ているという点、84%となっておりまして、前年は協定先と非協定先で10%の差だったところが、令和6年は非協定先の方の合格率が非常に高くなっているというところが目についたところです。
ただ、先ほど申しましたとおり、その意味については、偶然の何かの要因で数値が高く出ているだけかもしれませんので分かりませんけれども。なぜ気になるのかと申しますと、早期卒業をされるような優秀な学生さんの動き、進学先の選択について、何らかの傾向があるのかといったことについて、特に私は地方大学からものを見ているということもございまして、例えば都心への志向があるのではないかといったことなども気になっていることから、注視したいということでございます。
【松下座長】 ありがとうございました。確かに、今、久保野先生、御指摘だったのは去年は57.14だったところが、今年は84.00だという、この部分ですね。
【久保野委員】 はい、そうです。
【松下座長】 もともと分母も分子も数が少ないのでぶれやすいところかとは思いますけども、もし何か事務局のほうで、こんなこともあるんじゃないかということがあれば、御披露いただければと思いますが、事務局いかがでしょうか。
【遠藤室長】 ありがとうございます。御指摘をいただきました、既修の法曹コース修了者のうちの早期卒業等であって、非協定先ということでありますけれども、まず、御覧いただくと分かるとおり、まず、数という意味で、全体の数という意味で、実際の資格取得者数が少ないということと受験者数も少ないということがあるので、これは触れ幅が大きくなるんだろうなというのは想定がされる状況であるかなと思いますし、実際に状況はよく見なければいけないと思っておりますけれども、特定の大学に見られる傾向ということでよく分析をして、全ての大学でそういう傾向が出ているというわけではなくて、特定の大学において、そういった傾向が出ているというように、実際に調査、収集したときには受け止めさせていただいておりますので、これも安易にこれでいいとか悪いとかというわけではなく、もう何年間か傾向と、あと個別の大学の状況みたいなようなものも併せて、見ていきたいと考えてございます。ありがとうございます。
【松下座長】 ありがとうございました。久保野委員、よろしいでしょうか。
【久保野委員】 大丈夫です。ありがとうございました。
【松下座長】 ありがとうございました。分母、分子が少ないということもあり、久保野委員の御発言の御趣旨も、これから問題視するということではなくて、こういう項目については引き続き注意しましょうということだと思いますので、今年以降の分析の際に見るべきポイントとして御指摘いただいたと、そういうふうに受け止めさせていただきたいと思います。
それでは、ほかの委員からいかがでしょうか。冒頭から、私のほうから発言を制限するようなことばかり言ったものですから、委員の皆様におかれては何か遠慮されているかもしれず、すみません。そこはおわびしなきゃいけないかもしれませんが、現時点で私のほうでは挙手を確認できていません。それでは、これも議題の1と同じで、必要であればいつでも戻っていただけるということにさせていただいて、取りあえず、次の議題に進ませていただければと思います。
続いて、議題の3、第12期、今期の審議の取りまとめ案についてです。今期の審議の取りまとめにつきましては、前回の議論を踏まえて、事務局においてその案を作成されましたので、改定案について御説明をいただき、その後、質疑の時間を設けたいと思います。それでは、事務局から御説明をお願いいたします。
【遠藤室長】 ありがとうございます。通し番号の23ページをお開きいただければと思います。前回も御提示をさせていただきました、今期、第12期の審議のまとめということで、概要をつくらせていただいてございます。大きな修正点はございませんが、今回は、前回から追記させていただいたところを中心に申し上げたいと思います。
おさらいでありますけれども、1ポツのところで20年の歩み、2ポツのところで、実際の現状と法曹に対する評価、法科大学院教育への期待等という構造にしておりますし、さらに次のページ以降、実際に法曹等に対する評価であるとか法科大学院教育への期待というものがあった上で、今後、課題等々が求められる取組の方向性ということで、まさに今回御審議をいただいた各法科大学院における特色、魅力ある取組等の推進について、実際にまとめさせていただいたということで、こちらも最新のデータ等にアップデートさせていただいた上で概要をまとめさせていただいてございます。
さらに、次のページ、通し番号26ページのところで、おわりにおいては、まさに今期審議いただいた内容をさらに来期に向けて課題として引き継いでいくという趣旨でまとめさせていただいてございますけれども、今期の大事なポイントをまとめさせていただいております。
上から3つ目の丸でありますけれども、本日も御覧いただきました特別選抜や在学中受験の状況も踏まえ、この制度による法曹養成の成果と課題の把握及び検証が引き続き求められるということでございます。こちらはしっかりデータ等をまとめながら我々も把握していきたいと思っております。また、その次の丸、未修者教育の充実、先ほど酒井先生からも御指摘いただきましたけれども、こちらについても、引き続き実態の継続的な把握、分析を行っていくことが必要であるという形でまとめております。
さらに、その次でありますけれども、今後の法科大学院の方向性ということで、その意義の発信であるとか、法科大学院ごとに培ってきた特色や魅力、これをいかに伸ばしていくのかという段階であるだろうと考えてございます。
さらには、特に人口減少については、厳しい状況でありますけれども、こうした状況においても、地方の司法を支える人材の養成であるとか、各法科大学院の教員の確保に係る取組、こうしたところも御審議いただきました。こちらの諸課題についても検討を行っていくという形でまとめさせていただいてございます。
さらには、政策的な手段でありますけれども、現在、法科大学院等に対して行われてございます公的支援見直し強化・加算プログラムにつきまして、これまで御審議いただいた現在の状況を踏まえつつ、かつ、法科大学院の皆様の御意見もいただきながら、その実施の在り方を含め、随時に見直しを行っていくことが求められるという形で書かせていただいてございます。やはり各地方における学生の学びであるとか、さらには法科大学院ごとの特色、魅力をどう伸ばしていくのかといったところ、こうした大事なキーワードや御指摘をいただいているところでありますので、従来の加算プログラムの在り方についても随時見直しを行っていくということが大事かなと考えてございます。
また、その次の丸のところでありますけれども、今期、特別に御審議いただいたわけではないんですけれども、現在、中央教育審議会大学分科会のほうで、法科大学院とほぼ同時期にできました認証評価制度について、評価の在り方やその活用方法を含めて、こちらは質の確保や負担軽減のバランスを踏まえた本制度の抜本的な見直しが必要であって、新たな評価制度へ移行することというのが提言されております。この点は法科大学院に限った話ではありませんが、全ての研究科、学部等に関わる話であり、認証評価についてはこれまでもその在り方を審議いただいている内容でありましたので、記載をさせていただいてございます。こちらも今後の動向を注視する必要があるという形で記載をさせていただいているところでございます。こちらのところが、さらに新しく概要の資料に追加をさせていただいた内容になってございます。
こちらに限らず、前回御指摘いただいた内容については、各報告の中の個別のところで見え消しの形で反映をさせていただいてございますので、適宜この中でもお気づきの点があれば御指摘を頂戴できればと思ってございます。
事務局からの説明は以上でございます。ありがとうございます。
【松下座長】 御説明ありがとうございました。ただいまの事務局からの説明について、御質問や御意見等があればお願いしたいと思います。
今、御説明があったとおり、資料の3-2では、前回からも変更点については赤字で下線を付して、変更箇所が分かるようになっていますけれども、それでは、なお、本日は今期、第12期最後の委員会でありますので、最後に、委員全員から一言ずついただく予定です。そのため、現時点の議題では、審議まとめに必ず反映する必要がある箇所の御指摘をいただければ幸いです。繰り返しますが、今期全体の総括としての御発言は別途最後に一言ずついただく予定ですので、第12期の審議の取りまとめに関する御発言をお願いしたいと思います。繰り返しで恐縮ですけども、1回当たり、二、三分程度を上限と目安にお願いできればと思います。
それでは、清原委員、お願いいたします。
【清原委員】 ありがとうございます。清原です。第12期の審議の取りまとめ案については、今期の審議の内容を大変筋道を立てて構成して記載していただいています。また、前回までの私の発言についても随所に反映していただいておりますので、賛同し、異議ありませんが、その上で、次期に向けて、2点申し上げたいと思います。
1点目は、今後の課題についての取組です。今後の課題については、特に取りまとめ案の41ページ以降の「おわりに」に列挙され、充実されています。私は今期の取りまとめの「おわりに」に記載されていることは、第13期の「はじめに」に当たる事項であって、大変未来志向の内容が列挙されていると認識しています。2つ目の丸にありますように、「理念の実現に向けて不断の改革、改善に取り組んでいくべく、今後もこれまでの改革や議論の成果と課題、法科大学院教育を取り巻く現状と課題等について審議を重ねていくことが必要である」ことは言うまでもありません。
中でも、5つ目の丸に記載されていますように、「法科大学院の意義の発信」や、「これまで培ってきた特色、魅力の伸長を図っていくよう発信していくことが望ましい」との記述については、ようやく改革の経過を経て一定の成果が上がった今、今期、前向きな協議の端緒となることを大変感慨深く思っています。ですから、ぜひこれは次期、大いに取り組んでいただければと思います。
そして、6つ目の丸で、地方の司法を支える人材の養成、教員の確保に係る取組などは、少子化の中での地方創生の視点、地域の持続可能性の視点、さらに法科大学院のファカルティの維持の観点から欠かせない課題です。加えて、かねて私がお願いしてきました「法科大学院教育と司法修習との連携強化」については、しっかりと全体の中の5番目の項目として、いわゆる柱として位置づけられました。どうぞ引き続き、さらなる有意義な連携の充実に向けて、審議の継続をお願いいたします。
2点目に、最後に「認証評価制度」について紹介されました。記述が付加されました。明日21日、中央教育審議会の総会が開催されまして、「急激な少子化が進行する中での将来社会を見据えた高等教育の在り方について」の答申が審議されて提出される予定です。そして今後、具体的な政策パッケージが作成される予定と伺っています。この答申は、高等教育システムの再構築に関する内容がふんだんに含まれているわけですが、私は、本特別委員会の委員として審議に加わらせていただいて、その中から得た知見などを総会でも発言させていただいてきましたけれども、この第12期の取りまとめというのは、明日答申される内容の重要な柱である「大学院教育の強化」であるとか、先ほど御紹介があった「認証評価制度」などの項目と密接に関連しています。本特別委員会、法科大学院の取組が、まさに有意義な先行例になると思いますので、ぜひ今後の高等教育政策の具体化に向けて、12期の取りまとめを含め、本特別委員会の皆様の御貢献をお願いしたいと思います。
以上です。よろしくお願いいたします。
【松下座長】 どうもありがとうございました。13期に向けてのつなぎとなる点についての御指摘、あるいは、本委員会では今期、特にこの点について議論をしてこなかったと承知していますけども、認証評価制度についての一般的な枠組みと当委員会、法科大学院への影響について御指摘をいただきました。いずれも非常に重要な点かと思います。どうもありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。それでは、大貫委員、お願いいたします。
【大貫委員】 大貫でございます。取りまとめ全体については、十分に精査して文言を選んでいただいていますので、基本的には賛成です。その上で、今の段階で何か変えてくれという発言ではありませんが、少し意見を申し述べさせていただきたいと思います。それは認証評価制度のところで、今回新たに入ったところです。今、清原委員からも御紹介がありましたように、中央教育審議会で認証評価に関して大きく動きがあるということは私も承知しておりますが、法科大学院の認証評価というのは既に長い歴史を持っていて、関係者の努力もあって立派な制度になっていると思います。中教審の議論は法科大学院の認証評価に限らず、大学の機関別の認証評価とか、そういうのを含めた認証評価の全体構想の話だと思うのです。
そこでお願いしたいことは、清原委員にお願いすることではないかもしれませんけれども、これから行われる議論に対してお願いしたいのは、法科大学院の認証評価制度、これまで培った評価制度とうまく接合するような認証評価制度の全体構想を提言していただきたいと思っております。決して認証評価制度の見直しの流れを否定するのではなくて、我々がつくってきた法科大学院の認証評価制度を、全体のまさに高等教育における認証評価制度の在り方、制度、構想とうまく接合していただければと思っております。
以上です。
【松下座長】 ありがとうございました。法科大学院の認証評価制度、これまでの20年の取組を十分に生かすような形で、全体的な認証評価制度については検討していただきたいという重要な御指摘かと思います。
今のでも、ほかの点でも、ほかの委員からいかがでしょうか。通しでいうと、68ページの脚注の45ですか。注ではありますが、中央教育審議会の認証評価制度一般についての答申案に関して、かなり詳しい御説明があります。これは注ではありますけども、かなり重要な点かと思いますけれども、そこに限らず、どの点からでも、どなたからでも御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
それでは、この時点で御発言がないのは、この取りまとめ案について御異議がないというように理解してよろしいでしょうか。今のところ、挙手は私のほうでは確認できていません。それでは、あまり急ぐのもどうかと思いますが、御発言がないようですので、第12期の審議のまとめ案については、基本的には当委員会として御承認をいただいたということで、今期のまとめとさせていただきたいと思いますが、御異議ないということでよろしいでしょうか。細かい文言の修正については、申し訳ありませんけども、座長である私と座長代理の土井先生、あるいは事務局と御相談の上で、中身を変えない程度の文言の修正をさせていただく可能性があるということを含んだ上で、それで御承認いただいたとこでよろしいでしょうか。
ありがとうございました。それでは、審議まとめの公表のタイミングにつきましては、事務局にお任せをしたいと思います。事務局におかれまして、しかるべくタイミングでの公表をよろしくお願いいたします。
今日、冒頭申し上げましたとおり、ここで皆様から一言ずつ御発言をいただくのがよいのかもしれませんが、ここで事務局から、先ほどから清原委員の御指摘にもありましたとおり、来期の審議関わる事項について、御報告をいただきたいと思います。これは事務局から資料4に基づいて御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【遠藤室長】 ありがとうございます。それでは、資料の4、通し番号でいうと93ページを御覧いただければと思います。今、画面のほうにも上げさせていただきました。まさに今、大貫先生や清原先生からも御指摘いただきましたとおり、御報告という形で内容を紹介したいと思います。
まさに今、大学分科会のほうで審議をいただいている認証評価制度について、先ほども触れましたとおり、非常に大きな影響が大学側に生じるかなということなので、この場をお借りして御報告申し上げたいと思います。ここの中で記載をさせていただいている内容でありますけれども、特に下線を引かせていただいている部分であります。認証評価制度については、評価のための評価から脱却し、評価の在り方や内容、活用方法等を含め、質の確保や負担軽減のバランスを踏まえた制度の抜本的な見直しが必要であるということ。さらに、新たな評価制度では適合、不適合を判断、マル・バツみたいなものではなくて、大学等の教育の質を数段階で示すなど、多様で高度な研究活動も裏打ちされた高等教育による付加価値を明確化する仕組みとすべきであるという形で御指摘をいただいております。
具体な方策でありますけれども、下の四角囲みのところで記載をされておりますけれども、新しい評価のやり方、在り方として、例えばという形で、学部、研究科等に応じた定性的評価を導入していく。これは学部や研究科等に関わらずということでありますけれども、これを導入していくとともに、教育研究情報に基づく定量的な評価を行い、これは客観的に誰が見ても分かるような、データ等を見れば分かるようなものとありますけれども、こういった定量的な評価を行って、大学等の教育の質を数段階で示した上で公表するなど、新たな評価制度へ移行するための制度改善を行うというような御指摘がなされているところでございます。
こういった具体的な定性的評価や定量的評価、どのようにやっていくのか、どういった評価基準でやっていくのかというところは、まだこれからの御審議をいただくという形を担当から聞いているところでありますので、我々、法科大学院特別委員会としても、しっかりその状況はウォッチしていきたいと思っておりますし、御参考につけさせていただきました、参考資料のほうに飛んでしまって恐縮でありますけれども、参考資料の137ページのところで、一応おさらいをしたいなというのが少しございます。
令和2年の段階で、法科大学院と特別委員会のほうで、まさに認証評価の充実の方向性についてということで御審議いただき、まとめをさせていただいたということがありましたので、こちらのほうもしっかりと振り返りつつ、しっかり踏まえながら新しい評価のほうを考えていくべきだなと私ども、考えてございます。今ほども大貫先生や清原先生からもお話ありましたとおり、ここでまとめられているような内容というものの大事なポイントや大事なエッセンスということ、全てここで触れるお時間はないので御参考までに紹介しましたけれども、ここで御指摘をいただいている内容というのは非常に重要な論点だと私ども考えておりますので、新しい評価を考える上でも、こういった法科大学院と特別委員会での審議やその内容を少しでも打ち込んでいくといいますか、大事なポイントがほかの学部、研究科等でも生かしていただけるような形で、しっかり情報として審議いただけるように伝えていきたいなと考えているものでございます。
このぐらいは、今後また我々、法科大学院等の特別委員会のほうのみならず、全体の動きとして進んでまいりますので、来期においてもタイミングがずれることなくしっかり審議をしてまいりたいなと考えているところでございます。
私のほうからは以上でございます。ありがとうございます。
【松下座長】 御説明ありがとうございました。現時点では、この委員会としては、何かここで議論するというのは時期尚早かなという気もしますので、現時点では御報告をいただいたということにとどめて、来期の審議事項として受け止めたいと思いますけれども、何かもしこの時点で、特段、御意見、御発言等があればよろしくお願いいたします。
それでは、土井委員、お願いいたします。
【土井座長代理】 ありがとうございます。今、座長の取りまとめのとおりで結構かと思うんですけれども、1点述べさせていただきたいのは、評価を改善していく上で、それを指導する理念はとても重要で、今回述べられている理念についても理解できるんですが、実際に評価を実現していくためには、具体的な手法の確立ですとか、それを支える体制の整備ですとか、かなり経験的、実証的に確立していかなければならない点が多くございます。
法科大学院の評価についても、20年にわたる経験の成果だと思っております。その意味では、いたずらに理念先行型で一挙に全て新しいものを導入していくんだというよりも、丁寧な進め方、議論の段階でもそうですし、それを実現していく過程においても丁寧な進め方をしていただければと、そういう要望だけ述べさせていただきます。ありがとうございます。
【松下座長】 ありがとうございました。それでは、続きまして、中川委員、お願いいたします。
【中川委員】 中川です。今、土井委員がおっしゃったことをもう少し、激烈にとは言いませんが、正直に申します。私は恐らく現役の大学院の教員の中では最古参で法科大学院の認証評価にずっと関わってきた一人だと思います。そこでの経験に踏まえますと、認証評価の一番の問題は、認証評価制度の受益者である学生が全く関心を持っていないということなんです。
幾ら認証評価でいい評価を出しても、およそ誰も見ていなくて、入学試験にも何の影響もない。つまり、学生が知りたいことを知らせていないということだと思います。学生は何を知りたいかというと、例えば、法科大学院であれば、差し当たりは司法試験を通るということなんです。知りたいのは合格率以外は何もないんです。どれだけ伸びたかといっても、伸びた結果が司法試験に通るところまで伸びなければ意味がないし、司法試験に必要なクオリティーを超えて伸びたところで、それはある意味、オーバースペックな伸びで、それはもちろん個々の学生や、個々の大学にとってはとてもいいことなんですけども、一般的な学生は、そこまで自分に自信があるわけじゃないので、関心がない。その意味では、今回、中教審がやられようとしていることが、私たちが法科大学院でやってきた認証評価の経験からすると危ういといいますか、「評価のための評価」にまさになりかねないという気がいたします。
例えば、今回示された中教審答申、これは元の資料の23ページですか、「評価のための評価」から脱却するとありますが、じゃあどうするのかというときに、学校、研究科等に応じた定性的評価の導入、教育研究情報に基づく定量的評価を行い、在学中にどれぐらい力を伸ばすことができたのかといった大学等の教育の質を数段階で示すということが記されています。しかし、これは法科大学院の認証評価をやった身からすると、学生の伸びを示す定性と定量というのが思いつかないんです。先ほど申しましたように、学生が知りたいのは、どれぐらい伸ばしたかということではなくて、司法試験に通るだけの伸びがあったかということなんです。あるいは、力は既にある学生については、本番で失敗しないような、そういうノウハウが欲しいとか、そこに彼らの学生のニーズがあるわけです。認証評価は評価のための評価になっているという危機感を非常に私は強く持ちますので、中教審に対しては、法科大学院でやってきた、いい意味でも悪い意味でも様々な、ほとんどは苦い経験ですけども、要するに評価の負担だけが増えていったという経験ですけども、それをしっかりと踏まえて今後の認証評価の在り方を検討していただきたいと思います。そのためには私たちも委員会からいろいろな情報を提供したい、してはどうかと考えております。
ちょっと厳しい言葉ですが、よろしくお願いいたします。以上です。
【松下座長】 どうもありがとうございました。今の土井委員、中川委員の御発言については、可能な限り複数のチャネルで、認証評価に係る審議をしているプロセスに反映ができればいいなと思っております。これは事務局、あるいはほかの委員の皆様方にも御協力をいただく必要があるかと思います。どうもありがとうございました。
ほかの委員からよろしいでしょうか。大貫委員、お願いいたします。
【大貫委員】 来期の課題だということで申し上げないつもりでいたのですけど、発言します。土井委員、中川委員のおっしゃっていることと基本的に同じなのだと思いますが、もう少し言いますと、今後の認証評価は、全体の認証評価はアウトカム、どういうアウトプットをしたのかということを中心に多分構築されるのだろうと思います。アウトプットが司法試験に受かるだけということであってはならないわけで、では、どういう能力をつけてあげられるかというのが評価の中心になると思います。むしろ、その後の法曹としてのパフォーマンスにつながるような能力を獲得させたかということが問われるべきだと思うのです。この点はとても評価が難しいのだと思うのです。ですから、土井委員が発言されたように、評価基準をどうするかはとても慎重に検討しなくてはいけないだろうと思っています。
私の専門の行政法学の世界では行政活動の司法審査で、結果がなかなかチェックできないときはプロセスをチェックするという方向に行くという思考がありますが、これは結構むずかしくて、プロセスばかり見てそこがうまくいっていれば結果のほうを軽視するというようなことになってはいけませんので、適切な認証評価を行うためには、我々20年の経験で分かっていることですけども、結果も見つつ、プロセスもきちっと見ていくというような適切なバランスを持った評価をしなければいけないと思っています。この20年我々は相当苦労したわけですよね。そういった苦労を先ほど遠藤室長がおっしゃったように、高等教育の認証評価の在り方の検討にぜひ反映していただければと思っております。
以上です。
【松下座長】 ありがとうございました。それでは、続きまして、田村委員、お願いいたします。
【田村委員】 ありがとうございます。中川先生、率直におっしゃっていただいて、非常になるほどなと思いながら、やはり発言しないといけないなと思って挙手させていただきました。おっしゃるとおり、伸び代、伸びても合格しないと学生のニーズには応えられないというのは、それはそのとおりなんだろうと思いますし、それは教育の先に試験があるからという厳然たる事実があるということなんだと思います。その一方で、伸び代を評価していただかないと、未修、あるいは地方、こういったところは救われないし、光が当たらない状況が続いていくのではないかということを強く思っていますので、この点だけ発言をさせていただきました。
以上です。
【松下座長】 ありがとうございました。それでは、続きまして、久保野委員、お願いいたします。
【久保野委員】 久保野でございます。認証評価の中で、別の観点というか、直近の御発言と重なる面がありますけれども、法科大学院の教育がどれほど充実しても全員が司法試験に合格して、全員が法曹になるわけではないということは、客観的な事実として学生や志願者や社会にも分かる中で、かねてよりの課題として、法曹以外の進度で活躍している修了生の状況について明らかにしていくことが課題になっていると思っております。それを明らかにすることが認証評価自体の目的に完全に合致しているとは限らないかもしれませんけれども、しかし、認証評価について、質を考慮し、重点を置いていくという動きの中で、法曹以外の職業として修了生が社会や経済を支える活躍をして、各地域を支えているということ、これは先ほど御提示いただいた報告書の中にも明記していただいていることだと思いますけれども、そのような面について、明らかになることにつながっていくとよろしいなと思います。以上です。
【松下座長】 ありがとうございました。それでは、続きまして、加賀委員、お願いいたします。
【加賀委員】 1点だけ簡単に申し上げます。一番上の93ページの上のほうに認証評価疲れという表現がありますけれども、実をいうと、小規模法科大学院におきましては、認証評価に臨む作業というのは教職員総力戦になっております。その意味で、確かに法科大学院の詳細な評価項目といいましょうか、評価基準、ほかの学部や研究科に対するサゼスチョンには相当なると思います。しかし、もう一つ、ここにもありますように、簡素化という今後の方向性に入れていただいたほうが、私はよろしいかと思っています。ぜひ評価疲れを軽減するという観点、お願いしたいと思っています。
以上です。
【松下座長】 ありがとうございました。ほかはよろしいでしょうか。ここは事前には事務局から御報告をいただいて、加えましたということで済まそうかなと思っていたんですけども、うれしくも図らずも、いろいろな御意見がたくさん出てきて大変ありがたかったかなと思います。
それでは、特に今、挙手は確認できていないので、認証評価についての話題は以上とさせていただきます。それでは、事前に各委員にお伝えしているところだと承知していますけれども、最後に、本委員会が今期最後の委員会であるために、今後の法科大学院教育の展望や期待等について、委員の皆様から一言ずつ御発言をいただければと思います。御発言の際には、この人数、全員で私を除いて20人いらっしゃいますので、北川委員、菊間委員が今日御欠席なんですが、ほかに、まだ入っていらっしゃらないかもしれない方がいらっしゃるので人数の数え方が難しいんですけれども、委員名簿の順番に発言をいただきたいと思いますが、ただ、途中で退席の御予定がある委員については、先に御指名をさせていただきます。事務局の方にお尋ねしますけども、中途退室の方は、今のところはいらっしゃらないという理解でよろしいですかね。
【遠藤室長】 いらっしゃいません。
【松下座長】 それでは、委員名簿の順番に御発言をお願いいたします。それでは、まず、清原委員からお願いいたします。
【清原委員】 ありがとうございます。杏林大学客員教授、前東京都三鷹市長の清原慶子です。私は2017年からこれまで8年間、中央教育審議会委員として本特別委員会に参画させていただいてきました。「法科大学院制度20年」のうちの大きな変革の8年間、本特別委員会に参画してきたこと、そして、このたび、「法科大学院制度の20年の歩みと法科大学院教育のさらなる発展、充実」という題のついた第12期の審議のまとめを取りまとめることができましたことを誇りに思っています。今期、座長の松下先生はじめ、歴代座長、委員の皆様には大変に建設的な審議を御一緒させていただいてきましたことに深く感謝申し上げます。
本特別委員会の委員に就任するまでの間、私は2002年、2月から32回の会議を重ねた司法制度改革推進本部「裁判員制度刑事検討会」及び同時期に14回の会議を重ねた「公的弁護制度検討会」の委員として参加しました。三鷹市長在任中とほぼ重なる16年間、「日本弁護士連合会市民会議」の委員を務めました。そして、「法務省法曹養成制度検討会議」や文部科学省「法科大学院公的支援見直し強化・加算プログラム等審査委員会」の選考委員を務めさせていただきましたが、私自身は法学者ではありません。政治社会学を専攻する研究者の1人です。ただ、自治体経営において市民との協働を進めた市長経験者でございますし、法治国家としての民主主義の持続可能性を目指す国民市民の1人の立場から、法治国家を支える人材育成を担う法科大学院の望ましい在り方を目指して、この特別委員会に積極的に参加をさせていただきました。
今期は「法曹コース、特別選抜、在学中受験」等について実施が進み、進捗が見られ、司法試験の合格率をはじめとして、成果を確認できました。このことはまさに委員の皆様を含む法科大学院の皆様の格別の御尽力のたまものです。法科大学院協会の諸活動にも敬意を表します。私はこの審議活動そのものが、課題発見と課題解決のための実践的議論の場となり、コンペティションの意味での「競争」よりは、解決のために協議し、提案する、コクリエーションの意味での「協創」の場になっていると思います。
その上で、国、文部科学省、法務省、最高裁判所、日弁連、法科大学院協会等のコラボレーション、「協働」の場になっているのではないかと思います。法科大学院20年の歩みを振り返ると、その過程は法治国家を維持するために必要な制度の確保、国民、市民にとって安全安心の日常生活の保障、適切な法曹人材の養成の確保などによって、社会の民主主義的価値の確保、変動する社会のあるべき秩序の在り方を模索し、共有し、発信する機関としての法科大学院の存在意義を可視化できたのではないかと思います。
どうぞ引き続き、急激な社会変動に決して翻弄されない法治国家としての理念、価値の創造、確保、発信を果たす法科大学院のために皆様の御活躍をよろしくお願いします。私はここで本特別委員会の委員を退任する予定ですが、来期以降の皆様の御活発な活動を期待し、心から応援させていただきます。皆様どうもありがとうございます。以上です。
【松下座長】 どうもありがとうございました。
それでは、続きまして、佐久間委員からお願いいたします。
【佐久間委員】 よろしくお願いします。名古屋大学の佐久間です。今期も、いろいろな事項について、多岐にわたる議論ができたと思っております。先ほど、出ておりますが、法曹コースであるとか在学中受験であるとか、これまで検討を重ねてきたことの実現にはこぎ着けることができたわけですけれども、実際にやってみてどうだったのか、といったことについては、引き続き、今後の動向を見守っていく必要がありますし、また、本来の法科大学院の理念である未修者教育の充実であるとか、多様な背景を持った法曹の確保であるとか、そういった論点については、次期の本委員会においてさらに深掘りができればいいなと思っているところです。
それから、もう既に大勢の方からご指摘のあった認証評価の件ですが、中教審の答申に書いてあることは、それ自体はもっともですし、やるべきことだろうとは思います。ただ、これもやりようによってはかなり大変なことになってしまいかねません。法科大学院については、認証評価の長い歴史があるわけですし、また、加算プログラムとの関係もありますので、どういう評価の在り方がよいのかということについては、次期の本委員会で、ぜひ論議を深めていければと思っているところでございます。
引き続きどうぞよろしくお願いします。以上です。
【松下座長】 ありがとうございました。
それでは、この後は専門委員の皆様ですかね。それでは、青竹委員、お願いいたします。
【青竹委員】 大阪大学の青竹と申します。今期初めて委員を務めさせていただいておりますが、その間には法曹コース修了生の受験や在学中受験が実施され、また、研究者の志望者不足が大きな問題とされましたし、かねてより課題とされていた未修者教育へのさらなる対応など、簡単には解決できない大きな問題に直面いたしました。委員の先生方の御意見、各大学の取組をお聞きしまして、大変勉強になりました。お礼を申し上げます。
【松下座長】 どうもありがとうございました。
それでは、続きまして、石井委員、お願いいたします。
【石井委員】 司法研修所事務局長の石井でございます。発言の機会をいただきありがとうございます。今期の途中から参加させていただきましたけれども、先生方や、法科大学院の様々な取組などをお伺いしまして非常に参考になりました。また、今期は司法修習と法科大学院教育との連携についても説明をさせていただく機会をいただきまして、どうもありがとうございました。
司法修習については、現在修習を行っている修習期が間もなく終わるというところで、3月から、また新しい修習生が研修所に入ってくるということになります。本委員会でも、法科大学院教育との連携が重要であるとの御指摘をいただいたところでございますけども、私どもとしてもこの点は重要であると認識をしているところでございます。ちょうど1月末にも法科大学院協会との意見交換会を実施したところですが、引き続き、このような法科大学院教育との連携により、法曹養成教育の充実に努めてまいりたいと思っております。どうもありがとうございました。
【松下座長】 どうもありがとうございました。
それでは、続きまして、井上委員、お願いいたします。
【井上委員】 井上でございます。私は、日本ペイントホールディングス株式会社のジェネラルカウンセルを務めており、企業法務を担う立場でこの委員会に参加させていただいておりました。第10期から経営法友会の御縁でご一緒させていただいており、その推移、これまでの活動を振り返ってお話をさせていただきたいと思います。
当時はたしか、あまり法務を学ぶ、法律を学ぶということが不人気でして、法科大学院の人気も少し落ちているというような状況だったと思いますけれども、大分、復活とまでは言えないにしても、右肩上がりにはなってきているのかなと、今回のまとめを見て思いました。それは、これまでのここでの議論を反映して、各法科大学院の御尽力で学生が少し戻ってきているということだと思います。
私は特に企業の目線だったり、あるいは女性という観点で関心を持ってお話を聞いておりますけれども、大学院によって、様々な特色ある、魅力ある教育を展開されている実例がたくさん紹介されました。各大学での実際の取組の内容は充実しており、聞いていても非常に楽しく、将来期待できるなと思ったところでございます。今後もこのような特色ある、魅力ある教育の展開は不可欠だと思っておりますけれども、さらにそれを学外に発信していくところがとても大事で、まだまだそこら辺の発信力については課題が、やりようがたくさんあるだろう、と思っております。学生さんに対しても発信が必要ですし、あるいは、社会に広く発信していく、それぞれの関心のある方々へ、こんな活動しているんですよということを法科大学院、あるいは我々、委員会に携わる者が発信していくことで、皆さんにより高い関心を持っていただけるのではないかなと改めて感じました。
まだ終わりはない改革の道ではございますけれども、今後ともまた御指導いただければと思っています。ありがとうございます。
【松下座長】 どうもありがとうございました。
それでは、続きまして、大澤委員、お願いいたします。
【大澤委員】 ありがとうございます。早稲田大学の大澤でございます。第12期の議論に加えていただきまして、開設20年に至る法科大学院の歩みを改めて振り返るという非常によい機会を与えていただいたと思っております。
当委員会としての20年の振り返りは本日、とりまとめに至った報告書の中に的確に書かれているということで、今回の報告書というのは20年の歩みを正確かつコンパクトにまとめていて、資料としても価値が高いといいますか、使い勝手のよいものかと思いました。会議をここまで導いていただきました座長、そして様々な調整の労をお取りいただきました事務局の方々に心から感謝申し上げたいと思います。
私個人として、法科大学院の20年を振り返ってみますと、当初想定どおりにいかなかったような部分もあって、そういう点では遺憾なというのか、悔しいというのか、そういう思いをしたこともありましたけれども、本日のまとめの中でも確認していただいたように、20年の間には確かな変化があって、それは法科大学院を中核とした新しい法曹養成制度を立ち上げなければ多分実現しなかったものだろうと思います。そのような法科大学院にここまで関わってくることができたことは、率直に自分としてよかったなと思っているところです。
その上で、一つだけ申し上げると、そういう歴史を振り返るとき、人を育てる制度に関する改革の成果がそれなりの形で出てくるには長い時間がかかるなということを改めて思いました。言い方を変えると、現在の私たちが法科大学院で行っていること、あるいは、この場で議論していることというのは、現在はもちろんですが、これから先、10年、20年先の我が国の司法制度の在り方に関わっているということを改めて再認識させられたということです。法科大学院の20年は確かな成果を上げましたけれども、そこにとどまることなく、私たちとしては、次の20年に向けた構想をつくり上げていかなければいけないのだということを感じさせられたところです。
現状を現状の中で見るというだけではなくて、20年後の司法制度の在り方を頭の中に思い描きつつ、その中で現状を見ていく、何を改めていかなければいけないのかということを見ていく、そういうことはついつい忘れがちになりそうですけれども、それをしっかり意識しておくことが必要ではないかなということを感じた次第です。それで、20年後のことは特に今後、若い方々にぜひ頑張っていただきたいなということも申し上げたいと思います。
最後になりますけれども、この委員会の中で、今期いろいろなお話を伺うことができ、皆様と議論できたことは非常に勉強になりました。ありがとうございました。以上です。
【松下座長】 どうもありがとうございました。
それでは、続きまして、大貫委員、お願いいたします。
【大貫委員】 ありがとうございます。大貫でございます。これまでの皆さんから、格調の高い、将来に向けての展望が示されました。私は、考えてきたことが少し違っており、現状で何を感じているかということを申し上げたいと思います。私は法科大学院の問題に携わって20年になりますが、その間の思いも含めて、先ほどの委員の皆様とは違った話をさせていただくことになろうと思います。
まず、何度も繰り返しておきたいことは次の1点です。審議の取りまとめにも書いてありますけれども、法曹コース設置及び在学中受験制度が適切なパフォーマンスを示すよう、今後も関係者が努力すべきということは大事だということです。とりわけ、未修者に対して適切な対応をできているのかということは決して忘れてはならないと思います。同時に、これも既に井上委員からも出ておりましたけれども、臨床系教育など法科大学院ならではの教育を、法科大学院はさらに充実させる必要性があろうと思います。特色ある教育の一端は取りまとめにも記されております。司法試験に合格させるだけではない法科大学院というのを常に目指さなくてはならないと思います。
このような言葉を言えるようになるとは、ある時期まで思いもよりませんでした。いかに合格率を上げるかということ、世間からきちっとパフォーマンスを出しているかということを言われ続けた20年だったと思います。女性法曹輩出に向けた取組が論じられようと私は思いもよりませんでした。そういう意味で、今の制度は、ある程度小康状態を保っているのですけども、これに安住せず、法科大学院らしさを追求するというのは、幾ら強調しても強調し足りないのだろうと思っております。
それから未修者教育の充実については取りまとめにも書かれてあります。今後も、酒井委員も発言されたように、ここはやらなければいけないのですが、特に申し上げたいのは、未修者、とりわけ社会人が学ぶ場所の確保という問題も考えるべきではないかと思っています。これまで、未修者教育の充実はかなり議論しておりますが、加えて、充実した教育をどこで行い、享受してもらうのか、教育の場所の確保を考えるべきです。その意味では夜間法科大学院をどのように充実していくのか。次のことは恐らく何を言っているのだと言われそうですが、通信制法科大学院の可能性も検討すべきだろうと思っております。
次に、法科大学院創設後、着実に法曹弁護士の供給は増やしております。しかしながら、法曹需要への対応の仕組み、あるいは入学者数の動向等を踏まえて、現在、法科大学院全体の定員はキャップをはめられているわけですけれども、法科大学全体の定員がこのままでいいのかということも今後は検討をすべきだろうと思います。その際には、当然司法試験合格者数が現在のままでいいのかという検討がセットになるだろうと思っております。
最後に、着実に弁護士を増やしておりますけれども、特定の地域に偏在するというのでは、あまねくリーガルサービスを日本国中にという要請には沿えませんので、偏在しないようにする仕組みが必要だと思います。委員の皆様御案内のように、現在既に弁護士の偏在が指摘されております。これをどうするかというのは喫緊の課題かと思います。
という次第で、格調は高くないのですが、現在感じていることをつらつら申し上げました。本当にいい議論に参加させていただきました。委員の皆様、事務局の皆様に感謝申し上げます。以上です。
【松下座長】 大貫委員、ありがとうございました。
それでは、続きまして、加賀委員、お願いいたします。
【加賀委員】 早いもので、私は4期、8年を務めさせていただきました。来月、創価大学を定年退職いたします。それに伴いまして、この委員も退くことになります。浅学非才の私でありましたけれども、先生方の見識と、それから情熱に教えられることが多々ございました。誠にありがとうございました。
この間、一つは法曹コースを設置する検討、そして、実際の設置、そして、その後の法曹コースの検証、在学中受験というようなことがあり、また、法科大学院志願者の減少傾向から回復していく流れを確認し、なおかつ多様な人材を未修者、未修者コースにという懸命の努力をしていく、こんなことがあった期間だったと思っております。座長も最初は井上先生、それから山本先生、そして現在の松下先生に務めていただいたわけですけれども、難しい時期を本当にリードしていただきまして、感謝しております。また、文科省の方々の御努力に心より感謝申し上げたいと思います。
私は小規模法科大学院の代表のつもりでおりました。小規模ということを全く定義しないまま、いつも小規模、小規模というようなこと言う委員だと思われていたかと思います。ただ、20年間で法科大学院数が半減しておりますので、小規模校の中ではまだ数校、閉鎖する可能性も今後あるのではないかと思っております。しかし、学生側からのアクセスや、それから個性ある法曹の輩出ということを考えると、現有の法科大学院はどうしても私は残す必要があるかと思います。アメリカ合衆国でも小規模の法科大学院が現に存在をしてロースクールを形成しているということは模範とすべきかなと思います。
今後も、小規模校も視野に入れていただいて、この委員会で検討をお願いして、私は退任をいたしたいと思います。これまで大変お世話になりました。本当にありがとうございました。以上でございます。
【松下座長】 ありがとうございました。
それでは、続きまして、笠井委員、お願いいたします。
【笠井委員】 京都大学の笠井でございます。今期の審議を通じまして、各法科大学院の多様な取組を伺うことができまして、とても勉強になりました。どうもありがとうございました。
今期はいわゆる3プラス2、法曹コース、在学中受験、先ほどから出ておりますけれども、この制度改革について、最初の司法試験受験者や法科大学院修了者が出まして、一定の成果が上がっていると感じております。ただ、これもまとめにも書いてありますけれども、この改革についての評価をするためには今後の状況もよく見ていかなければならないなと考えておりますので、今後さらに注目していきたいと思っております。
そして、大学の教員としては、今後の法学研究者の養成が気になるところでございます。前の11期の審議まとめでも法科大学院の修了者の進路という観点から研究者への道について触れられましたけれども、今期の審議まとめでは、法科大学院教育を担う教員の確保という独立した項目が立てられました。法科大学院は実務と理論を架橋する教育機関でありますし、法学研究者は法律学や法制度の発展に資する研究を行っているということからしましても、教育と研究の両面において、法科大学院制度の発展と法学研究者の養成というのは切り離せないものであると思っております。そこで、当然、各大学において法学研究者の養成にしっかりと取り組む必要があると思っておりますし、そういった取組を支援していただく仕組みなどもさらに充実させていく必要があるのではないかと考えております。
私からは以上でございます。どうもありがとうございました。
【松下座長】 どうもありがとうございました。
それでは、続きまして、北居委員、お願いいたします。
【北居委員】 北居でございます。私も恐らく今日が最後の発言をさせていただく機会になるかと思います。長い間ありがとうございました。
ただいま笠井委員からございましたとおり、教員の確保、特に研究所教員の確保というのは非常に喫緊の問題だと感じております。また、先ほど大貫委員からありましたとおり、未修者の教育の在り方でございますが、ただ、教育を充実してもミスマッチの問題は解消しない。選抜の在り方というのを抜本的に見直すような、そうした制度の議論ということが今後取り上げられてもよろしいのではないかと考えております。
この20年、私が感じております、苦節20年でございましたけれども、その中で、在学中受験の結果はもちろん短期で今後、どうなるか分からないということで、いろいろ慎重な御意見が今日もありましたけれども、久しぶりにいいニュースだったんじゃないかなと私は思っておりまして、これを活用しない手はないんじゃないか。法科大学院の問題ばかりではなくて、こんなに立派な成果が出ていますよという前向きな発信に結びつけた上で、今後、人文社会科学系の大学院の社会的評価、この大学院学位の社会的評価というのを上げていく。その中に法科大学院の位置づけもあり、司法試験がそのプロセスの一つになるというような大きな枠組みが出来上がっていくことを私は望んでやまないところでございます。
以上でございます。
【松下座長】 ありがとうございました。
それでは、続きまして、久保野委員、お願いいたします。
【久保野委員】 ありがとうございます。東北大学の久保野でございます。今期の議論は、苦節20年というご指摘もございましたけれども、私は、俯瞰的な観点からは経験し、考えてみることのできていなかった20年というものを振り返らせていただく大変貴重な経験となりました。社会的にももちろん重要な位置づけの議論がされたと思っております。本当にお礼申し上げたく思います。
俯瞰的にと申しつつ、俯瞰的に見ることについては個人的には限界を感じつつも、志願者が増加しているということが何よりも大変よかったと思っております。法曹という職業に関心を持っていただく、志願をしようと思っていただくということは全ての基本ではないかと思っているので注視しておりました。同時に、ほかの委員の先生方からの御発言と重なりますけれども、法科大学院制度が、研究者教員、法学研究者養成に対して与えた影響については、繰り返し述べられてきてはおりますけれども、ここ一、二年の大学における研究者の採用という身近な、日々経験している場面におきまして、もう限界に来ていると申しますか、積み重ねの影響の深刻さを本当に痛感しているところでございます。この点については、重視しての議論が必要だと思っております。
もう一つだけ、これは途中でも発言させていただきましたが、地方の司法を支える人材の確保、養成ということにつきましては、未修者教育とも組み合わせつつ、大事な課題として進めていくことに私も引き続き尽力できたらと思っております。ありがとうございました。
【松下座長】 ありがとうございました。
それでは、続きまして、酒井委員、お願いいたします。
【酒井委員】 私も今期で専門委員の修了証書を無事いただけることになりましたので、最後の御挨拶をさせていただきたいと思います。
今回は法曹コースが本格的に始動し、また、いよいよ在学中受験開始という法曹養成制度の新たな挑戦を注視していくという重要な期だったと思っております。ひとまずのところ、法曹コースは順調に滑り出したと言ってよい状況で、また、在学中受験者たちが予想よりも高い合格率を出してくれており、本当に頼もしい思いであったとともに、また、未修者についても果敢に在学中受験にチャレンジをし、一定の成果を上げていることについては、個人的に非常に喜ばしい状況と感じております。
また、今期は様々なロースクールの個性的な取組について発信された期でもありまして、インハウスロイヤーを育成する教育の在り方ですとか、国際人材の教育の手法、また、リカレント教育の在り方など、新たな時代の要請にいかにロースクールが応えていくかという観点から、現場の努力を知るとともに、有益な情報をいただく機会となったと受け止めております。
また、来期に向けての課題も明確となったかと思いますので、次期委員の皆様には引き続き法曹養成制度の改善に向け、議論を続けていただきたいと願う次第です。私としては、法曹コースからの既修者と、また、多様性を支え続ける未修コースが両輪となって適切に機能していく体制を引き続き模索していただければと思う次第です。また、抽象的な話になってしまいますが、私ども法曹は法治国家の必要不可欠な人的インフラと思いますので、社会の要請に応える質の高い法曹を輩出していくということは、社会にとっても必須の課題と考え、私自身、法曹路線の問題に取り組んでまいりました。一方、社会の要請は時代に応じて変化をしてまいりますので、終わりのない課題であって、ゴールのない改革を求め続けられているのではないかなとも感じております。完璧というものが想定されませんので、制度に課題があるときはもちろん、うまくワークをしている時期においても、よりよい制度を目指していくという改善の繰り返しが必要なのだろうと感じています。
法科大学院の出身者として、また、一弁護士として、4期8年中教審委員を務めさせていただきまして、その議論の中心に関わらせていただいたことは私にとって非常に貴重な経験でした。座長をはじめ、委員の先生方に感謝を申し上げるとともに、支え続けてくださった事務局の皆様にもお礼を申し上げたいと思います。また、最後に、公の場ではございますが、一弁護士、一個人としての気持ちを述べさせていただきたいと思います。
私自身、法曹を志して法科大学院に学ぶという選択をしたことは、自身にとって非常に貴重な時間であって、非常によい選択であったとつくづく思っています。また、日々弁護士業務に従事をしてまいりまして、この職業を選んでよかったと、心から思っております。委員は退きますけれども、今後もより多くの方々に法曹を志していただき、また、その方々への適切な教育を支えていけるよう、引き続き私なりに微力を尽くしてまいりたいと思っております。
以上をもって挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。
【松下座長】 どうもありがとうございました。
それでは、続きまして、髙橋委員、お願いいたします。
【髙橋委員】 ありがとうございます。一橋大学の髙橋でございます。第12期も様々にお世話になりまして、誠にありがとうございました。
今期も法科大学院と法学部の両方で学生に接しているという一教員として、現場からの視点で発言をさせていただきまして、大所高所からの提言というのとは程遠い、時に非常に瑣末な点についても申し述べさせていただいておりました。場にそぐわないような発言も多かったかと存じますが、そのような発言をお許しいただきました松下座長、委員の皆様、それから文部科学省の事務局の皆様にも厚く御礼を申し上げます。
今期は法科大学院開設20年の成果を様々な側面から学ばせていただきまして、私も個人的に大変勉強させていただきました。ちょうど本日、KPIは分析のための指標であって、目的ではないという旨のお話もございましたが、教育はどうしてもそれ自体が一定の時間を要するものでございますので、短期的に目に見える成果を求められがちな昨今の社会情勢の中においては、本質的に厳しいところもあると感じております。ただ、20年にわたって、日々、一人一人の学生と向き合いながら教育制度の改善に努められてきた各法科大学院、そして、それに御協力いただいている関係各位の皆様の御努力に心から敬服いたしております。
新制度が始まったことで、また新しい課題も既に生じてきている側面もあると思いますが、この20年の経験が問題解決の糧となり、また、より有意な法曹養成制度につながるということを願っております。この場をお借りしまして、関係各位の皆様には今後とも、法科大学院、そして法学部の教育、そして何よりも学生たちに御支援をいただけるようお願い申し上げたいと存じます。今期も参加の機会をいただきまして、誠にありがとうございました。
【松下座長】 どうもありがとうございました。
それでは、続きまして、田村委員、お願いいたします。
【田村委員】 ありがとうございます。札幌で弁護士をしております田村でございます。今期の大きなテーマの、制度の20年の歩みを振り返るということでありますが、これについては、審議のまとめに記載のあるとおりでありますし、いろいろな関係者の方、本当に大変な努力を積み重ねられて改革が行われてきたということについては、私も本当に敬意を表したいと思っているところであります。その反面で、東京や大阪には法科大学院はある、あって当たり前である、定着してきているということなんですが、その一方で、地方には法科大学院がない、あるいは、あっても限られる、地方から法曹を目指す若者が学ぶルートが非常に限られてしまったということが率直な感想でもあります。
日弁連には52、全国に単位会がございますが、今、地方に新規登録する弁護士の数がとても少ないわけでございます。これはもちろん合格者の数が様々な要因で少ないということも原因しているところでありますが、ロースクールが淘汰されてしまった結果、地域に適正な配置がなされなくなってしまっているということが私は最大の原因であると思っています。私たち弁護士会は、全国津々浦々に法の支配を実現させる後輩の法曹を育てることにこれからどうやって関わっていくべきなのか、実は、今月の日弁連の法科大学院センターでも議論していたところでありました。今はもうコスパが重視されます。結果を早く出さないといけないということの中で、その一方で、長い目で見て失われるものが大きくならないかということについて、これは運用の中でこれからも注視していかなければいけないと思っているところでございます。
また、同じ視点で私、20年前に教員をしておりましたが、ローヤリングを教える私のクラスの半数近くが未修者でありました。在学中受験導入後も、未修者は本当に追いつこうとして頑張っていると私も思っています。ただ、割を食っているということも厳然たる事実であります。認証評価のこれからの方向性の中で、教育の質、伸び代を具体的に段階で示すという方向性も示されています。これ、佐久間委員がおっしゃったように、きっと大変なことだろうと私も思っているんですが、でも、これなしには、これから少子化を迎える社会の中で、ロースクール及び大学界全体を生き残らせることはできない、そのために必要なことなのではないかなと思っています。
以上でございます。ありがとうございました。
【松下座長】 ありがとうございました。
それでは、続きまして、土井委員、お願いいたします。
【土井座長代理】 ありがとうございます。京都大学の土井でございます。私自身、法科大学院制度の設計、創設の段階から法曹養成教育に携わってまいりました。この間、非常に厳しい時期を幾度となく経験しましたが、今期の特別委員会におきまして、法科大学院制度創設20年の歩みを的確にまとめ、今後の展望をする上で、とても有益な審議のまとめを取りまとめることができましたことを大変喜ばしく思っております。格別の御尽力をいただきました座長及び事務局に改めて御礼を申し上げます。また、まだまだ注視すべき点があるとはいえ、KPIの達成に向けて、結果が順調に出ており、法科大学院制度が安定してきていることに安堵をしております。ただ、そこで落ち着いてしまうことなく、制度の将来に向けた布石を打っていくべき、またとない時期であると思います。それに関連して2点ほど述べさせていただきます。
第1に、今期の委員会におきまして、各大学から御紹介いただいた挑戦的な取組が示していますように、今後は、法曹が様々な分野で活躍するために必要な能力を、法科大学院教育を通じてどのように身につけてもらうか、そして、法科大学院と司法試験等の関係など、法科大学院においてそのような教育を行うことができる制度的環境をどのように整備していくかが重要な課題になってくると思います。このような教育の取組はすぐに効果が出るわけではありませんが、今後の法曹の活躍を見据えて、このような教育に積極的に取り組むことは法科大学院にとって言わば悲願であったわけですから、各法科大学院が時期を逸することなく、方向性を定めて着実に歩みを進めていければと存じます。
第2に、制度を長期にわたってより安定させていくためには、今なお残っている地域間、あるいは法科大学院間の格差を是正していく必要があると思っております。もちろん各法科大学院の自助努力は重要でございますが、ただ競争させるだけでは苛酷な事態を招いて、かえって制度を不安定化させるおそれがありますので、先ほど議論になりました認証評価や加算プログラムの在り方、あるいは法科大学院間の協力関係の構築を含めて、そのような格差是正の取組を支援する制度的仕組みを整えていく必要があると思っております。今回、これまでの歩みを踏まえて将来を展望していただきましたので、制度を取り巻く風向きといいますか、空気感の変化を見過ごすことなく、新たな施策を講じていくことができればと思っております。
最後になりましたが、今期、当委員会の議論に参画させていただきましたことに心より御礼を申し上げます。ありがとうございました。
【松下座長】 ありがとうございました。
それでは、続いて富所委員、お願いいたします。
【富所委員】 読売新聞の富所です。皆さん大変お世話になりました。
教育の問題というのは、いつの時代も理想と現実の間で揺れ動いているものだと思っています。法科大学院に関して言えば、法曹に求められる幅広い人間形成が要求される一方で、現実の問題としては司法試験に合格させなければならない、そのためのメソッドも必要だというような側面もあるのだと思います。結局、この二者択一ではなくて、可能な限り両者を追い求めていくしかないということになるのだと思うのですが、現実的には幅広い人間形成といっても一朝一夕にはいかないでしょうし、一定の人生経験も必要になってくるというところもあるのだと思います。
その中で法科大学院には、改めてではありますけれども、多くの学生がなぜ法曹を目指すのかということを突き詰めて考える場であってほしいなと願っています。その際、ただ法曹になりたいというだけではなくて、どんな弁護士や検事、裁判官になって何をするのか、それは社会にどんな役に立つのかというところを、それこそもう必死に考えてもらいたいと思っています。在学中受験制度が始まりましたので、今後の法科大学院が、そういう時間と機会を提供できるような教育機関であってほしいと思っていますし、その実現のためにできることは何なのか、私も、それこそ必死に考えていかなければいけないなと考えています。
今期は大変ありがとうございました。引き続きよろしくお願いいたします。
【松下座長】 どうもありがとうございました。
それでは、中川委員、お願いいたします。
【中川委員】 中川でございます。私は今私自身が抱えている課題感を少しお話したいと思います。
先ほど何人かの方からお話ありましたように、20年が経って、司法制度改革審議会の答申が想定していた法科大学院像がやっと軌道に乗ってきたところかと思います。とりわけ既修者につきましては、3プラス2とか在学中受験という思い切った工夫をすることで、KPIを達成でき、本来の姿にやっと軌道に乗ったというところだと思います。
他方で、20年たったということで、外部環境がもう極めて大きく変化しております。そこでそろそろ答申の枠を変えるというか、あるいは、それを乗り越えるような検討を始めてもいいんじゃないかと考えています。具体的には3つぐらい領域がありそうです。未修者教育、それから先端教育、つまり司法試験に通るだけではない先端的な教育、そして教員養成、この3つなんです。未修者については、これまでのように既修者と同じように入試をして1年で追いつくないし3年で追いつくという当初想定していたような制度がなかなか難しいということだと思います。もちろん学生さんはそれぞれみんな伸びていっているんですけれども、入学前の蓄積の違いが既修者との間でいかんともし難い。既修者学生が学部時代を過ごす10代、ティーンエージャーとか20前後の蓄積ってすさまじいものがありますので、なかなかそう簡単に未修者の多くが追いつくというわけにはいかない。
それから、20年前は未修者コースにたとえば理工系から学生が来てくれるんじゃないかという甘い期待があったんですが、今は様変わりです。理工系は物すごく人が足りないというので、とてもじゃないけど法律になんか転身してくれない。そのまま理工系でいることで、はるかに多くのお金が稼げるという状況になっています。こうしたことから、20年前の想定をそのまま維持して、未修者の制度を維持するのは無理だろうという気もいたします。入り口をどうするのか。あるいは極端に言えば、入り口も出口も全部別にして、別の司法試験をするという手もあります。それはまた法務省さんが、そんなことけしからんと言うかもしれませんので、もう少し入り口、制度的なよりよい仕組み、現状の人の動き方に合った未修者コースのつくり方というのを根本的に考え直す、見直すということが必要かなと思います。
医学部では、医学部出身でない人を医師にするという取組をやっているようで、実際それを老ぴそて、法学部出身で救急医になっている人がいるんですけれども、それはどのようにやっているのかといったら、かなり小さな人数規模でやっているようです。そのあたりを少し調べてみてもいいのかなと思いました。これが未修者教育についてです。
先端的な教育につきましては、在学中受験が主流になりましたので、実は基本半年ぐらいしか先端教育の時間はないんです、法科大学院在学中は。学生に先端教育をしても本当にさわりといいますか、関心を持ってもらうぐらいに止まります。実際の実務家は仕事を始めて5年、10年ぐらいして、そろそろ今のままでは駄目だぞ、新しい仕事を始めなくてはならないと考え始めます。たとえば、法科大学院では習いもしなかったけども、最近であればロビイングなんてよく聞く話ですけれども、どのようにして制度をつくっていくかというようなことを弁護士としてもやらなきゃいけないなどということです。ところが、法科大学院では解釈論しかやってないので、今ある制度を超えるという発想がなかなかできない。こういうニーズがあるわけですが、大学は全体としてみればそういうことも研究していますので、大学に戻ってきてもらうことに意味があると思います。先ほど大貫委員が社会人教育とおっしゃいましたけど、まさに法曹5年目、10年目に対するアドバンストな、かつ我々教員だけが教えるというよりも、先端的な実務家も、教員として加わって出会いの場、マッチングの場のような教育の場になると思うんですけども、それが先端的教育の場だろうと思います。ただこれは法科大学院じゃなくなってしまうんですけれども、だけども法曹のニーズなんだからという形でこの委員会で検討するということがあってよいと思います。これも司法制度改革審議会から想定しなかったことだと思いますけども、考えるべきじゃないかと。
最後3番目が、皆さんおっしゃっていた教員養成、研究者養成です。これはもう本当に危機も危機で、崖っぷちに来ています。外からは見えないと思うんですけれども、法科大学院は研究者がいなくなって、教員がいたなくなるといってもいいぐらいの状態です。もう研究者の若手が全くいませんので、教員のほうの持続可能性がないというところです。これも受皿は法学研究科とか法学政治学研究科になるんですけれども、しかし、法科大学院の側から発信していく、いろいろ検討していくという必要があります。先程の弁護士の再教育と教員養成はいずれも、拡大法科大学院といいますか、法科大学院の枠を超えた検討をする必要があります。それから未修者については、司法制度改革審議会が考えたような制度で今後うまくいかないんじゃないかということを踏まえた検討をすべきじゃないかと思っております。
このほか、認証評価については、いろいろ言いたいことはありますけど、先ほど申し上げましたので、今日はここまでにしたいと思います。今回の検討に参加させていただきまして、ありがとうございました。
私からは以上でございます。
【松下座長】 ありがとうございました。
それでは、続きまして、早渕委員、お願いいたします。
【早渕委員】 法務省の早渕でございます。今期の途中から参加させていただきました。実際に法科大学院教育に携わっている先生方、あるいは、非常に深い御知見をお持ちの先生方から様々なお話を伺って多くのことを学ばせていただいたと思っております。ありがとうございました。松下座長、それから各委員の先生方、事務局の皆様に改めて御礼申し上げます。
私どもとしまして、法曹養成制度改革の成果というのは引き続き、文部科学省とも一緒によく見ていきたいと思っておりますし、法曹の魅力発信という取組も行っておりますので、法科大学院の魅力発信ともなるべくタイアップしてやっていきたいなと思っておりますが、もう1点、次期に向けて関心を持っているところとして、多くの先生から御指摘がありました、地方の司法人材という点がございます。例えば、私ども司法法制部では、総合法律支援法を所管しておりますが、法テラスが司法過疎地域事務所というのを日本全国各地、34か所ほど置いていて、そこをどうやって運営しているかというと、スタッフ弁護士という、給料制で、法テラスから給料をもらう形で働いていただいている弁護士さんに2年とか3年おきに転勤していただいて、何とか運営しているというのが実情でございます。ですが、なかなかこれは厳しいという話を法テラスからも聞いておるところでございます。
人口減少という日本社会全体に関わる問題ということもあって、そう簡単にアプローチできる問題ではないところもあるとは思いますし、次期、この特別委員会で、どういう形でお取上げいただけるのかというところはあるかと思いますけれども、取り上げていただければ、ぜひ我々も更にその点について検討を深めさせていただけると思っております。どうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。
【松下座長】 ありがとうございました。
それでは、前田委員、お願いいたします。
【前田委員】 ありがとうございます。神戸大学の前田でございます。私、こちらの委員会には今期から参加させていただきました。私自身は、かつて法科大学院の学生でありまして、その後は、長らく一教員として法科大学院の教育に携わってまいりましたけれども、今期、こちらでの委員会の議論に参加させていただきまして、法科大学院制度全体について俯瞰する機会をいただきまして、大変、個人的にも勉強になることが多かったです。事務局の皆さん、松下先生をはじめとする各委員の皆様にはお礼を申し上げたいと思います。
法科大学院が始まってから20年たちまして、ようやく安定期に入りつつあるのかなと感じているところです。法曹コースによる5年一貫型教育も始まりました。法科大学院教育の形というか、枠組みというものについては、ようやく定まりつつあるのかなと思っております。ただ、その枠組みの中で個別的な課題を解決し、制度の安定的運用を続けていくことが今後必要になってくると認識しております。そういった課題の中で、既に他の委員の先生方から御指摘のあったところですが、私が気になっております点を2つ申し上げたいと思います。
1つは、未修者コースへの入学者の確保という点です。多様なバックグラウンドを持った人材が法曹を目指すことが必要ということで、そもそも法科大学院制度が始まったところがあると思います。そして、その目的自体は今もなお有効だということだと思います。未修者教育の内容そのものについては、かなり改善を重ねてきておりまして、行きつくところまで来たという部分もかなりあるのではないかと思っております。そういった中で、先ほど中川先生からもお話ありましたように、人材確保の方策について、何か抜本的な見直しというものが必要かもしれないと感じておるところです。
もう一つは、法科大学院教育を担う教員の確保の問題です。法科大学院というのは実務家養成機関であるわけですけれど、本来、法学のような、いわゆる実学にあっては、実務家と研究者というのは、社会において期待される役割に違いがあるのはもちろんですけれども、知的な営為として、本質的に差異があるというわけではないと私自身は思っております。新たな知を生産して、それを社会に還元していくという大きなサイクルがあって、その中で担う役割が異なるということだと思っております。そういった意味では法科大学院も、あるいは研究者養成の大学院も、研究者や実務家も、その役割の違いというのは相対的なものと思っております。そういった中で、法科大学院が持続可能なものとして存続していくサイクルを確立するということが今後必要だと思いますので、その点について、議論を継続していくことができればと思っております。
私からは以上です。どうもありがとうございました。
【松下座長】 どうもありがとうございました。
本日の議題、議事は以上なのですけれども、最後に事務局から御挨拶をいただければと思います。よろしくお願いします。
【奥野審議官】 法科大学院担当の審議官の奥野でございます。松下座長をはじめ、委員の皆様方には、第12期において計9回にわたり精力的に御議論いただきまして、誠にありがとうございました。
法科大学院開設から20年を迎えましたが、今期におきましては、質の確保に特化した議論のみではなく、これまでに培ってきた特色、魅力の伸長という点に着目した議論も行えたことは、私どもも非常に大いに意義があったと考えてございます。このように法科大学院教育は転機を迎えつつあるのだと感じております。
また、前期に続いて、令和元年度制度改正の運用状況の把握、分析もご審議いただきました。特に今期は、司法試験の在学中受験が初めて実施されるとともに、法曹コース出身の法科大学院修了生が輩出されました。制度改正に対するKPIも令和6年度においては達成することができ、各法科大学院や学生の努力が実を結んだものと感じております。制度改正の成果については、今後も検証を重ねていく必要があると考えておるところでございますので、来期以降も、本委員会において審議をお願いしたいと考えておるところです。
また、本日、委員の皆様から来期に向けて様々な御意見を伺いました。未修者教育をはじめとする多様性の確保の問題、また、地方の司法を支える人材をどのように養成していくかという観点、そして当然、専門職大学院という観点と法学研究科と、より広い観点に立った上で法科大学院の教育体制という観点での教育の確保に関する取組、こういった課題は、私どももこの制度において重要な観点であると考えてございます。本件につきましても、来期においても継続的に御審議いただきたいアジェンダであると考えておるところです。今後もプロセスとしての法曹養成の中核として、法科大学院教育の充実に向けて、法務省をはじめ、関係機関とも連携しながら取り組んでまいる所存です。
そして最後に、今期で御引退される委員の皆様を含め、今後とも大所高所から御意見御指導をいただければと存じます。引き続きよろしくお願いいたします。
以上です。
【松下座長】 ありがとうございました。
最後に座長として、手短に御挨拶を申し上げたいと思います。ちょうど法科大学院創設20周年を迎え、制度の変革期に特別委員会のメンバーとして、審議に当たることになりました。座長を務めるのは今回初めてでありまして、座長としてのスキルはいつもひやひやものでございます。いつも時間の制約のことばかり申し上げて大変心苦しく思っております。ですが、非常に充実した議論をいただき、今期の取りまとめができて大変うれしく思います。ちょうど今、分かるとおり、委員の皆様の御協力でぴったり12時になろうとしているのは、今期の当委員会の審議を非常に象徴的に示しているものだと考えます。
それでは、以上をもちまして、第12期の法科大学院等特別委員会を終了させていただきます。本当にどうもありがとうございました。以上です。
以上
高等教育局専門教育課専門職大学院室法科大学院係