法科大学院等特別委員会(第110回)議事録

1.日時

令和5年2月16日(木曜日)14時00分~16時00分

2.議題

  1. 第11期の議論のまとめ(案)について
  2. その他

3.議事録

【山本座長】  それではこれより、第110回中央教育審議会大学分科会法科大学院等特別委員会を開催したいと思います。
 御多用の中、本日も御出席をいただきまして誠にありがとうございます。なお、本日はこのような形で、ウェブ会議で開催をしております。
 また、本委員会は公開が原則ということで、この会議の模様はYouTubeでライブ配信で公開をしております。
 どうか本日も活発な御審議をよろしくお願いいたします。
 それでは、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。
【保坂(事務局)】  事務局でございます。
 私、新しく専門職大学院室長を拝命いたしました保坂と申します。よろしくお願いいたします。
 配付資料ですけれども、資料の1から資料の3まで、全て通し番号つきで、1ページ目から45ページ目までの資料ということになっております。お手元にございますでしょうか。もし、問題ないようであればと思いますが、いかがでしょうか。大丈夫でしょうか。
【山本座長】  それでは、早速議事に入りたいと思います。
 本日は第11期の議論のまとめ(案)についてであります。
 前回、御議論と、それからその会議後に委員の皆様から個別に頂戴した御意見を踏まえまして、事務局において、この第11期の議論のまとめ(案)を作成していただいておりますので、まず、この点の資料の説明をお願いいたします。
【保坂(事務局)】  それでは、事務局から御説明いたします。今ほど御確認いただきましたお手元の資料1から資料3につきまして順次御説明をいたします。
 まず、資料1ですけれども、こちら、前回の会議における議論のまとめ、素案についての御審議、会議後に委員の皆様からいただいた御意見、また共通到達度確認試験についての法科大学院協会、片山理事長からの御報告、司法修習との連携についての法科大学院協会司法修習連携等検討委員会、和田主任からの御報告。これは御報告を踏まえた御審議などを踏まえて修正を行いまして、内容に係る部分について、変更箇所を見え消しでお示ししているものでございます。なお、用語の統一、公用文表記等の細かな文言修正は溶け込みとしております。
 それでは、前回からの主な変更箇所につきまして説明いたします。
 以下、通し番号での御説明になります。資料1自体のページ数もあるのですが、基本的に右下にございます通し番号になりますので、御利用いただければと思います。
 通し番号5ページの17行目を御覧ください。
 法曹コースの質の確保に係る部分でございます。
 素案では法曹コースを置く各大学の法学部にあっても、その進学実績等の情報公表や自己点検評価等を通じて、不断の改善・充実に努めることが必要であるとしておりましたが、前回の会議で、北川委員より、開放型選抜では論文試験を課すけれども、学部成績も重視することとなっていることから、法曹コースを持っている法学部の成績評価の信頼性を担保することが重要であるとの御指摘をいただきました。この御指摘を踏まえまして、特別選抜にも活用される学生の成績評価を、客観的かつ厳格に実施するという旨を追記しております。
 次に、同じページの21行目、御覧ください。
 こちらは文部科学省においても、各法曹コース修了者の進学等の状況と新たな一貫教育制度の実施状況を継続して把握することが必要と記載しておりましたが、前回の会議で髙橋委員より、法曹コースを取り巻く状況についての調査把握の必要性について御指摘をいただきました。
 この御指摘を踏まえ、新たな一貫教育制度の実施状況の例示として、法曹コース以外の学生を含め、法学部生の動向ということを追記しております。
 次に、ページ変わりまして、通し番号の7ページ、22行目、御覧ください。
 ICTの活用について、修了生である補助教員の協力を得るためにも有効であるとしておりましたが、会議後に、大貫委員より、この文脈における補助教員は修了生に限られるものではないのではないかという御指摘をいただきました。この御指摘を受けまして、ここは修了生であるということを削除することといたします。
 また、補助教員について同じページの脚注の7として、説明を加えております。
 次に、同じページの23行目、御覧ください。
 素案では、ICTの活用によって、補助教員が法科大学院に来ることなく、学生の答案添削や指導・助言を行うことができると記載しておりました。
 司法試験の合格に資するような教育を行うことは、法科大学院の本来の役割である一方、司法試験での回答の作成方法に傾斜した技術的教育は不適当であるということとされております。ここで、答案添削や指導・助言という表現を用いることによって、このような不適当な技術的教育を進めているように受け止められないか懸念があるということから、法文書作成の指導・助言ということで、改めております。
 次に、同じページの一番下の25行目から、次のページ、冒頭にまたがる部分です。
 ICTの活用には、有職社会人を含む法学未修者教育を充実する観点からの有効性が指摘されたところであるという記載がございます。この点については、前回の会議で、酒井委員から御報告いただいた日弁連法科大学院センターが、社会人経験者の法科大学院修了生に実施した調査においても、同様の結果が示されておりました。このため、通し番号の8ページの下にあります脚注の8として、その旨を追記しております。
 次に、通し番号8ページ。10行目から12行目の司法試験等の実施時期でございますけれども、こちらの変更に係る部分について、変更後の具体な実施時期が分かるよう修正をしております。
 次に、通し番号の10ページ、御覧ください。こちらは前回の会議で、司法修習との連携について、法科大学院協会司法修習連携等検討委員会、和田主任から御報告いただいた内容、また、その御報告を受けた御審議を踏まえて追記したものでございます。
 法科大学院と司法研修所の連携の重要性、近年取組が強化されている状況、それによって得られた気づき、今後の課題等を2ページにわたってまとめております。
 少し飛びまして、通し番号の16ページ、御覧ください。
 16ページの下にあります脚注の18ですが、第107回の本委員会における筑波大学法科大学院様からの社会人学生への支援に係る御発表を踏まえまして、社会人経験を経て、法科大学院を修了した補助教員の活用について、学修支援だけでなく、社会人学生としての勉強の仕方等についての指導を行う機会にもなり、学修力の向上に資する旨を記載しておりました。この点について、前回の会議で、酒井委員から御報告いただいた調査においても、社会人経験を経て法曹になった者が補助教員として学修支援を行うことの有効性が報告され、また、酒井委員により、そのような人材が法科大学院の枠を超えて支援に当たる体制の構築が必要であるという御指摘をいただきましたので、その旨を脚注として追記をしてございます。
 次に、通し番号の18ページ、御覧ください。
 こちらは脚注ですが、脚注の23です。本文において、社会人学生の支援策について、昼間の課程でも、オンデマンド方式の遠隔授業の活用や科目等履修による入学前の単位修得の推進は、社会人学生が学修計画を立てる際に、選択肢を広げることにつながる旨を記載していたところです。
 前回の会議で、酒井委員より、有職社会人への学修支援にICT活用や先取り履修が有効であるということが報告をされました。これを受けてその旨を記載しております。
 また、同じページ、18ページの13行目から16行目です。こちらについて、企業や官公庁における環境整備の記載について、会議後に水島委員から、表現が不正確な点について御指摘をいただきました。こちらを受けて修正をしております。
 具体的には、主語が企業や官公庁であるため、職員にではなく、従業員及び職員にと表現すべきということでしたがここは職員がなくても文意が通じるということから、これを削除することといたしました。
 また、勤務先での理解についての勤務先は、そもそも主語である企業や官公庁であることから、こちらも削除をしております。
 次に、19ページ、1行目から3行目です。
 佐久間委員より、法科大学院において、どのような人材に入学を期待し、法務博士の学位を得ることにより、どのような能力を身につけることができるのかということをしっかりと発信していくことが必要であるという御指摘をいただいております。その旨を追記させていただきました。
 また、これに続く、すぐ下の4行目から5行目ですけれども、こちら、前回の会議で酒井委員より、法曹界からも社会人を経て法曹となった者が、その経験や能力をどのように生かすことが望まれているのか。積極的な情報発信をする取組が必要であるという御指摘をいただいたことを踏まえまして、その点について法曹界に期待をするという意味で追記しております。
 続いて同じページですが、7行目以降、続きます。(3)の共通到達度確認試験の在り方についてという部分、御覧ください。
 こちらは前回の会議で、本委員会の委員でもあります、法科大学院協会、片山理事長から御報告いただいた内容。また、その御報告を受けた御審議を踏まえて追記したものです。
 共通到達度確認試験が、法科大学院で進級判定にとどまらず、広く利用されており、多くの法科大学院が存続を望んでいること、また、学生自身においても、全国的な到達度の把握に活用されていること。これらのことから、共通到達度確認試験の継続的な実施が必要であるということについて、記載をしております。
 少し飛びまして、通し番号の25ページ、御覧ください。
 14行目からでございます。前回の会議で富所委員より、司法試験合格のみを目指しているわけではなくという誤解を招く可能性があるということから、付加的なニュアンスを出す表現に修正をしたほうがよいのではないかという御指摘をいただいておりました。この御指摘を踏まえ、司法試験合格や専門的な法律知識の修得にとどまらずという表現に修正をしております。
 次に、通し番号の27ページ、2行目から9行目、御覧ください。
 法曹の業務分野、領域の拡充に係る部分でございます。会議後に、丸島委員より、自治体や福祉施設、学校等の行政機関、公共機関において、人権擁護や公益活動の分野で活動する弁護士の重要性、活躍状況について御意見いただき、パラグラフを追加しております。
 これに関連して、一つ前のページの17行目から19行目にあった非営利組織に所属したり、公益活動に参加したりする弁護士の記載については、このパラグラフで改めてまとめて記載をすることとしましたので、26ページからは削除をしております。
 また、このような弁護士の活躍状況、社会的意義について、教育課程の中でも学生に明示する必要があるという御指摘をいただきまして、同じページ27ページの15行目から16行目にわたりまして、多様な進路があることに加えて、その活躍状況や社会的意義についても併せて伝えることが必要である旨、追記をしております。
 少し前後して恐縮ですが、同じページの10行目から11行目です。
 前回の会議で笠井委員から研究者の活動の例示として、教育だけでなく、研究についても追記が必要ではないかという御指摘をいただきました。これを踏まえて、法律学や法制度の発展に資する研究を行うという旨を追記しております。
 また、その下、同じですね。ずっと27ページなんですけども、13行目から14行目の部分ですが、素案では法科大学院を修了した後のキャリアパスは法曹三者のみならず、企業や公益団体などを含め、広がりを見せておりとしておりましたけれども、企業や公益団体で働く弁護士も当然ながら、法曹三者に含まれるということで、不正確な表現となっておりましたので、修正をしております。
 以上が資料の1、議論のまとめの案の変更箇所の御説明となります。
 加えまして、本日は資料の2として資料を用意してまして、本議論のまとめの概要、2枚物で御用意をしております。ページ番号としては、通しで31、32ページ目に該当しますが、こちらを御用意してるということと、資料3としまして、33ページ目以下、参考資料集をそれぞれお配りしております。
 この資料の1から3が一体となって議論のまとめとして完成形となる予定でございます。
 なお、資料の3の参考資料の部分ですが、法科大学院の入学者選抜に係るデータがございます。こちら、昨年の5月の第106回の委員会で示した数字と一部異なっている部分がございます。理由としましては、会議後に複数の大学から数値の訂正の連絡があったということによるものになります。今回の会議の資料3の基礎データは最新のものとなっておりますが、第106回の会議資料につきましても、数値を訂正したものを、後日ホームページに掲載をすることといたします。
 私からの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
【山本座長】  ありがとうございました。
 それでは、議論に入りたいと思います。
 本日、今回は第11期の最終回となることを予定しているわけですが、これまで現下の法科大学院を取り巻く様々な課題につき、皆様に御議論をいただいていたわけでありますが、その内容は、今回のこの報告書で大分まとまってきたのではないかと思っております。
 本日のこの資料には、各委員のこれまでの御発言の趣旨が基本的に反映されているものと理解しておりますけれども、最終的な取りまとめに当たりまして、なお、お気づきの点がありましたら、御指摘をいただければと思います。
 なお、御発言の際には、恐縮ですが、今の通しページのページ数、それから、該当箇所の行数をお示ししていただければとお願いをいたします。
 いかがでしょうか。
 いつものように、もし御発言あれば、挙手機能を使って挙手をいただければと思いますが。特段ございませんでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、第11期の議論のまとめ(案)については、基本的には当委員会として御承認をいただいたということで、今期の議論のまとめとしたいと思いますけれども、御異議ございませんでしょうか。
【清原委員】  異議ありません。
【山本座長】  ありがとうございます。
 それでは、この資料1について、基本的にはこの形で、当委員会の議論のまとめとさせていただきたいと思います。
 なお、この公表のタイミングにつきましては、事務局のほうにお任せしたいと思います。事務局におかれましては、よろしくお願いをいたします。
 それでは、以上で、この議論は取りまとめることができたわけでありますが、先ほどもお話ししました。本日は、今期11期の最終回となりますので、今期の議論、全体の振り返りや今後の法科大学院教育の展望等につきまして、もし可能であれば、委員の皆様から一言ずつコメント、感想、何でも結構ですので、いただければと思います。恐縮ですが、時間の関係上、お一人、二、三分程度で御発言をおまとめいただけますれば、大変助かります。
 なお、途中退席の御予定がある委員につきましては、先に指名をさせていただき、他の委員の皆様については、便宜上名簿順で上からということで指名をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
 それでは、まず、笠井委員からお願いいたします。
【笠井委員】  ありがとうございます。
 私の不手際によりまして、進行に関しまして、勝手なことを申し上げて申し訳ありません。一言感想を申し上げます。
 私は今期に初めて委員として審議に参加させていただきまして、その審議全体を通じて、法科大学院教育の在り方について、大変勉強になることがとても多かったと感じております。
 各会議で御説明いただきました皆様をはじめとして、御準備いただきました関係者の皆様に心より感謝をしております。
 特に、今回未修者教育の在り方、それから社会人学生への教育、法科大学院間の連携、そして司法修習への接続等について、様々な取組がされていることを伺いまして、私自身、勤務する法科大学院においても、さらに努力しなければならないとの思いを持っております。
 特に、法科大学院教育の魅力や特色の発信については、とても重要な課題であると考えております。
 今後は、いわゆる3+2の成果が姿を現してくることになろうかと存じます。
 その課題については、性急な評価をしないように気をつけなければならないところでありますけれども、実務法曹と、それから研究者なども含めた広い意味での法律家の養成が質・量ともに、さらに充実したものとなるよう、法科大学院や法学部がより一層貢献して、その成果を発信していくことができるようにするため、努力しなければならないと思っております。
 以上でございます。ありがとうございました。
【山本座長】  ありがとうございました。
 それでは、続きまして、大澤委員、お願いいたします。
【大澤委員】  御配慮いただきましてありがとうございます。
 まず、第11期の議論に参加させていただきましたことにつきまして、感謝を申し上げたいと思います。
 今期は全てオンライン会議形式での実施ということで、他の委員の皆様方と対面する機会がなかったということは、ある意味残念でありますけれども、活発な議論には大変刺激を受けましたし、大いに勉強させていただいたと思っております。
 そのような議論を本日のまとめへと導かれました座長、そして、事務局の皆様の御尽力にも敬意を表したいと思います。
 まとめの中にも言及がございますけれども、今期は課題や改善点ということだけでなくて、各法科大学院や関係者の創意工夫に基づいたグッドプラクティスの共有にも意識的な努力がされてきたように思います。
 社会人学生の教育でありますとか、法科大学院間の連携でありますとか、地域社会との連携等に関しまして、努力をされている法科大学院のヒアリングがございましたけれども、そのようなヒアリングは、グッドプラクティスを共有する機会として、非常に楽しくお話を伺うことができ、また議論に参加することができたように思います。
 今後、法科大学院の教育がより充実していくためには、足らざる点の洗い出しと、それに対する修正ということ以上に、多分、積極方向での創意工夫に基づいた、よい意味での競争が重要なように思います。
 今期の本特別委員会がそれを促すような方向の取組へと一歩踏み出したということは、私としては大変喜ばしいことだったと思っております。
 法曹コースと連携した一貫教育制度を充実させるとともに、未修者教育の充実・拡大を図っていくという二つの法科大学院が現在追っている課題を考えましたときに、今後に向けて非常に大切だと思うことは、これも今期のまとめに示されておりますけれども、法科大学院だけを見つめるのではなくて、むしろ中高校生から大学の他学部、そして社会人を含め、広く法学への関心を喚起して、法学学習者の裾野を広げていくということではないかと思います。そのような取組が、これも幅広い関係者の連携の中で今後進んでいくということを期待したいと思います。
 私からは以上でございます。どうもありがとうございました。
【山本座長】  ありがとうございました。
 それでは、続きまして、清原委員、お願いいたします。
【清原委員】  ありがとうございます。清原です。
 私も第11期の議論に参加することができまして、大変光栄に思います。山本座長はじめ、委員の皆様が、終始熱心に学修者本位の議論を進めてこられました。そのプロセスに参加することができて光栄に思います。
 実はもう20年以上前になりますが、司法制度改革推進本部の取組みの中で、私は「裁判員制度・刑事検討会」等と「公的弁護の検討会」で委員として議論に参画をしており、その間、法曹養成については、「プロセスとしての法曹養成制度をいかに確立していくか」という熱心な議論がなされていました。
 そして、その中で、大変重要な課題は、例えば、裁判員制度という国民参加の刑事事件の判断をする場合に、裁判官も、そして検事も弁護士も、その国民とともに、司法の質の向上と、そして、多様化する犯罪等にいかに対応していくかということが重要であるので、幅広い分野から司法の人材を確保する必要があるし、だからこそ、今回集中的に議論をいたしました、「法学未修者教育」や、「社会人学生に対する教育」の充実というのは、当初から重要とされてきたわけです。
 けれども、近年、残念ながら、そうした学生数の減少が、ニーズとは裏腹に課題になっている中、やはりいかに適切な未修者教育を行うかということが議論されたという意義は大きいと思います。
 2点目に、長引くコロナ禍にあって、本当に大澤先生も言われましたように、皆さんと対面でお会いできず、今日は偶然、私は事情があって文科省の会議室から参加しておりましたところ、何年ぶりかで山本座長のお隣に座っております。でも、委員の皆様と本当にお目にかかれないのは残念なんですが、しかし、ICTの活用が推進され、「オンデマンド」でありますとか、「オンライン」でありますとか、そうした手法を活用することで、地理的不利や、身体障害等の条件がある学生でも、学びを充実することができるようになっています。もちろん、社会人やその他の事情のある皆様にも機会を確保できるということで、ICTの活用についても、ネガティブな面を踏まえつつもポジティブに議論されたということが重要だと思います。
 3点目に、私は、心から敬意を表しますが、この間、法科大学院の皆様が「競争」してよくなる、競い合うということから、協働して創造する「協創」の段階へと連携を深めていただいていることです。
 そして、日弁連の皆様と連携しての共通到達度確認試験についても、存続という方向性が確認されたということも、極めて有意義なことだと思っています。
 「連携・協働」ということが前期からキーワードになっているわけですが、今回本当に、その成果がいろいろな取組みで現れており、刮目すべきは「司法修習との連携」です。これは、私が心からかねてより願っていたことが本当に着実に進捗して、「2.法科大学院等における教育の充実」の(3)として、「司法修習との連携」が明記されているということ、これは極めて重要な意義があると思っています。これは法科大学院や司法研修所の皆様に一定の御負担はあるのかもしれませんが、「学修者本位」の「プロセスとしての法曹養成」の象徴的な方向性ではないかなと、お取組みいただいている皆様に感謝をいたします。
 さて、最後に申し上げたいんですが、この4月1日から、「こども基本法」が施行されます。既に民法改正で、成人は18歳以上となり、その前に公職選挙法が改正されて、18歳から選挙権が行使できるわけなのですが、「こども基本法」というのは、大変重要な理念が明記されています。その理念というのは、第3条に書かれているんですけれども。例えば、第3条の4、六つの項目のうち、3には、「全てのこどもについて、年齢及び発達の程度に応じ、自己に直接関係する全ての事項に関して意見を表明する機会・多様な社会的活動に参画する機会が確保されること」とあります。
 4項目が、「全てのこどもについて、その年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮されること」と規定されており、11条には、「国及び地方公共団体は、こども施策を策定し、実施し及び評価するに当たっては、当該こども施策の対象となるこどもまたはこどもを養育する者、その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする」と規定してあります。
 この「国及び地方公共団体」というときの「国」の意味について確認しましたら、これは行政だけを指さないのであり、立法も司法もあっての国だということでございますので、司法の分野でも、「こども基本法」のこの理念を実現する責務が生じるとなると、一体どのような形で、こどもたちの意見を反映していくことになるのかというのは、一つの大きな課題になってくるのかとも考えます。法科大学院の取組の中で、学生たちをこども・若者とするならば、その意見をどのように反映させていくかということも重要でしょうし、こどもに関する事案、事件などのときに、こどもたちの意見をどのようにくみ取り、反映していくかということも課題になってくると思います。
 議員立法で、「こども基本法」が施行され、「こども家庭庁」が設立される令和5(2023)年度は、「こどもまんなか」の様々な取組が進んでいくと思いますし、こどもの意見表明権の保障のことなどが、司法の分野でも課題になっていくと思いますので、次期の法科大学院等特別委員会の中で何らかの形で、この「こども基本法」の施行の影響などが議論されることになるのではないかとも想定しているところです。
 結びに、山本座長はじめ、委員の皆様、そして事務局の皆様、今回のこの取りまとめというのは、法科大学院の教育に重要な現場として、5番目に、「地域の自治体や法曹界、産業界との連携」が明記されていることは有意義です。また、最近は「女神(テミス)の教室(フジテレビ系列)」というテレビドラマで、ロースクールが舞台になっていることなどから(内容にはいろいろな御意見があるかもしれませんが)、法科大学院教育のさらなる充実だけではなくて、「魅力と特色の積極的な発信」について、テレビドラマなども活用しながら、幅広い皆様に訴求されていくことを心から願って、感謝の言葉といたします。皆様どうもありがとうございます。
【山本座長】  ありがとうございました。
 それでは、続きまして、佐久間委員、お願いいたします。
【佐久間委員】  よろしくお願いします。今期から参加させていただきまして、私は、法科大学院に直接関わっているわけではないので、いろいろ勉強させていただいたというところでございます。
 このまとめの中にも法科大学院で学ぶことの意義が書いてあるわけですが、法科大学院はいろいろなことを背負わされてて、これは大変なことだなと感じたというのが正直なところでございます。
 具体的には、法曹資格を取る取らないにかかわらず、みたいなことは、まとめの中にも書いてあるわけですけど、一方では、法曹コースで短期間で法曹資格が取れますよということが看板として掲げられているわけですから、法科大学院のミッションはかなり幅が広い。このまとめにもあるように、今後は一層積極的な発信が必要だとすごく思いますけど、発信するときにうまくやらないと、受け取る側が、法科大学院って結局どういうところなんですかということになって、イメージが分裂しかねないところがあると思うので、そこは今後の課題なのかなと思っているところでございます。
 また、未修者教育が大事であると、その中に社会人を呼び込んでいかなければいけないというのは、そのとおりだと思うんですけど、社会人にいかに大学院に来てもらうかは、専門職大学院だけじゃなくて、大学院全般の課題であるわけですね。それに対して、当然法科大学院側から積極的に発信していく、また、関係の機関と連携していくことはもちろん大事なんですけど、より広く社会を巻き込んでいかないと、なかなか社会人も簡単に来てはくれないわけですので、そこはやはり具体的にどうしていくべきかを考えていく必要があるんだろうと思います。
 また未修者、要するに法学部以外の学生さんにもぜひ来てほしいというのは、これもそのとおりですけど、名古屋大学の法科大学院を見ても、直近で決して増えているわけじゃなくて、むしろ減ってるような実態があります。今回のまとめの中でも、未修者に対して、こういうふうに教育していくのがいいんだということは書いてあるんですけど、学生さんが来なければ教育のしようがないわけですので、いかに来てもらうか、そこら辺の方策についても、もう一歩検討する必要があるのではないかと感じたところでございます。
 というわけで、いろいろ勉強させていただいたところですが、大変勉強になったと同時に、今後ともぜひ関係の皆様の連携の下、また、さらに広く社会を巻き込むことで、法科大学院が一層発展していくことを願っているところでございます。
 以上です。どうもありがとうございました。
【山本座長】  ありがとうございました。
 それでは、続きまして、一場委員、お願いいたします。
【一場委員】  司法研修所事務局長の一場でございます。
 私のほうから申し上げますと、先ほど清原委員が御指摘いただきましたとおり、今期の取りまとめに、司法修習との連携というのが入ったところが、非常に司法研修所としても意義深いことではないかなと思っております。
 なかなか司法研修所における司法修習の実情というもの、正直、これまで情報発信が不足していたのかなという反省もございまして、最高裁の修習のホームページを開いても、あまり何も書いてないという状況でございますので、正直皆さんによく御理解していただけなかったのではなかったのかという反省がございまして、法科大学院協会との意見交換会においては、できる限り、なるべくオープンに情報を発信していこうということで、務めてやってきたところでございます。
 今回東大の和田先生におかれて、その意見交換会の概要をおまとめいただいて、非常に積極的な評価もいただいたところですので、私も非常に心強くは思ってはおりますが、まだ連携していく部分、非常にあるかと思いますし、その連携の成果を、今度法科大学院においては、法科大学院教育の改善だということだと思いますが、司法研修所においても,修習の内容の改善ということで、そういうところに反映していかないといけないと非常に思っておりますので、また、そういった改善の成果を意見交換会において、法科大学院協会の皆様とも、情報公開というか発信して、今後とも意見交換してお互いに内容を改善していきたいなと思っております。今後ともよろしくお願いします。
【山本座長】  ありがとうございました。
 それでは、続きまして、井上委員、お願いいたします。
【井上委員】  井上でございます。私は日本ペイントホールディングスのゼネラルカウンセル、いわゆる企業法務の中から今回この委員会に参加させていただきました。10期に引き続きましての参加で、非常にこの2年間で議論も大変深まったのではないかと思い、いろいろ勉強させていただいてありがとうございました。
 法科大学院修了後の進路につきましては、産業界も非常に期待しております、卒業生に。そういう意味で、世の中のニーズですね。コーポレートガバナンス強化、あるいは、環境問題、ESG等々、様々な課題に企業は対処していく必要がございまして、その中で、法科大学院修了生の貢献というのは、とても大きなものがあると考えております。論理的思考力、あるいは、文章力を磨いて社会に貢献する形は様々だと考えておりますので、引き続き法科大学院の教育をしっかり深いものにして、世の中の社会に役立つ人材の輩出の場となっていけるようにと思っております。
 大変、今回はありがとうございました。
【山本座長】  ありがとうございました。
 それでは、大貫委員、お願いいたします。
【大貫委員】  大貫です。まず、第11期の議論に参加させていただきありがとうございました。委員の皆様、それから山本座長、事務局の皆様にも御礼申し上げます。
 私はこの委員会、5期ぐらいになるのでしょうか。本委員会は、私が参加する前も含めて、これまでの期においては、多少表現が不穏当であることを承知で申し上げますと、様々な問題、課題を外から突きつけられて、それに対応する議論をひたすらしてきたように思います。
 今期は、法曹コース及び在学中受験制度の導入という改革を行った上で、ある程度落ち着いて課題を検討できたと思っております。その意味で、あまりギスギスしてなかったと
いうか、非常に前向きな議論ができたなと私は思っております。
 来年度は御案内のように在学中受験が初めて行われることになります。法曹養成制度改革の成果が見え始めるわけであります。本委員会は継続することになると思いますが、検討課題には事欠かないだろうと思っております。様々なデータ、ファクトがもたらされると思いますが、笠井委員がおっしゃったように、これは本委員会の共通認識だと思いますが、性急な評価をせずに、制度を育てるという視点に立った検討、評価がなされるべきだと思っております。この点は強くそう思います。
 なお、そうした検討の中でも、先ほど来、何人かの委員の方からも出ておりますけれども、新たな法曹養成制度における未修者教育の在り方は継続的に検討されるべき課題であろうと思っています。
 私は、未修者教育というのは、法科大学院制度の最もよいところの一つであろうと思っていますので、未修者教育の在り方の検討は今後も継続されるべきだと思っています。
 その関わりで一つだけ申し上げますと、新たな法曹養成制度は、端的に申し上げて、法曹コースを中核とすることにより、既修者中心の制度になっているわけです。そういった制度、建前を前提として、今期は特に法科大学院における未修者教育の在り方を深く検討しました。
 先ほど佐久間委員がおっしゃったことと重なるのですが、私はさらに、未修者に法科大学院に来ていただきやすくする方策という観点から、検討がなされるべきだと思います。来ていただいたときに、教育はこんなによいのですよと言えるようになっている。教育を受けてもらうため前提として、未修者の方が、社会人がロースクールに来やすくなるような制度設計を考えなくてはならないと思っております。
 まだまだジャストアイデアで今後詰めなくてはならないのですが、例えば、通信制の法曹コースを設け、このコースに社会人を中心とする未修者を迎え入れることは検討に値しないでしょうか。また、かなり難しいことは承知しておりますが、通信制の法科大学院の設置も、今後検討してほしいと思っています。
 なお、これらの提案は、現行制度でも不可能ではないのですが、ハードルはそう低いものではありませんので、どうすれば、こういう制度がよりスムーズに導入できるかということも、今後、議論できたらなと思っております。
 以上でございます。
【山本座長】  ありがとうございました。
 それでは、加賀委員、お願いいたします。
【加賀委員】  第11期の審議に参加させていただきましたことを心より感謝申し上げます。3+2の法曹コースと未修者教育について充実した議論になったと思っております。
 さて、これまで何度も申し上げておりましたけれども、私は、小規模法科大学院を代表する委員のつもりでおります。全34法科大学院中、例えばです、これは。定員30名以下の法科大学院は13大学、令和4年度の入学者数が30名以下の法科大学院は16大学ございますけれども、その入学者の合計を全体で割ると、約15%ということになるわけであります。
 この約20年間の法科大学院の多大な努力を経て、小規模校でも、立派に有利な法曹を育てていけるという自負を持っておる次第であります。
 その上で、法科大学院の現状について、気になることを2点申し上げさせていただくことをお許しください。
 一つは認証評価の在り方です。
 法科大学院の認証評価の準備には、大学側も評価側も膨大な時間、費用、労力を費やしております。これまで法科大学院を健全育成するためには、5年ごとに、評価基準に適合していることを適格認定するという必要があったと思います。
 そのためには、詳細な各基準に基づき、現地調査では、採点答案に至るまで点検するという方式が取られてきました。その結果、各法科大学院は、認証評価基準を日常的に徹底していくという運営が行われてきております。法科大学院が発足してほぼ20年、そろそろ認証評価の在り方を見直してもいいのではないでしょうか。
 もう一つは、加算プログラムについてです。
 現在KPIを用いた方式が取られていますけれども、小規模校では、例えば、司法試験合格者が1名ないし2名、見込みと異なるだけで大きなパーセントの違いとなります。
 むろん人数設定を何名とするかは、大学に任されているわけですが、KPI方式は大規模校には適合的であるという一方、小規模校にはあまり適合的ではないのではないでしょうか。
 今後、この方式の適用の見直しが必要かと思われます。法科大学院の関係者はこの約20年間、粉骨砕身して運営され、未修、既修ともに安定する兆しが見えてきた感があります。どうか今後は、これまでの路線から、より以上に、支援、サポート、法科大学院に対してということですけれども、これを旨とした方針変更をしたほうがいいのではないかと思う次第であります。
 感想めいたお話と、小規模校の抱える課題ということでお話をさせていただきました。
 以上です。
【山本座長】  ありがとうございました。
 それでは、片山委員、お願いいたします。
【片山委員】  慶應義塾大学の片山でございます。今期11期の特別委員会の議論に参加させていただきまして、誠にありがとうございました。また、山本座長はじめ、委員の先生方、そして何よりも専門職大学院室の事務局の皆様方の御尽力に心から敬意を表したいと思っております。
 私は、実はかなり長いこと、この委員をやってきたようでございまして、専門職大学院室の方からは、「先生、もう10年おやりですから、これで卒業させていただきます」と宣告を受けました。
 考えてみましたら、私は2011年に、本邦の慶應義塾大学のロースクールの委員長に就任いたしまして、6年間それをやり、その後2017年からは、今度は法科大学院協会のほうで3年間、専務理事、そしてその後の3年間、理事長を務めさせていただきまして、そのような立場から、この専門職大学院室、この特別委員会の議論に参加させていただいたことを大変ありがたいことであったと思っております。
 思い返しますと、前半というのは、特に職域拡大、多様な人材の養成ということを主として議論をしてまいりまして、そして、この特別委員会と別に、教職とか、会計の専門職大学院も含めた専門職大学院の別個な委員会も立ち上がりまして、そこに参加させていただいたこともございます。
 そのような経緯から、本校のほうでも様々な多様化な人材養成に向けた科目の設置等を検討させていただきましたし、また、グローバル化に対応できるような人材を養成するための、LLMの開設といったようなものも他の専門職大学院室の枠で行わせていただいたという前半でございました。
 後半は、他方、新たな法曹養成制度の改革として3+2、それから在学中受験という新たな制度改正、これにいかに対応していくかということが論じられ、その中で、未修教育をいかに実施していくかということが、車の両輪として議論されてきたと思っております。
 新しい法曹養成制度は、これは、実は恐らくほかの国に例を見ないような連携型の法曹養成制度、法曹コース、それからロースクール、そして司法修習という三つの連携をするというのは、恐らく、これは他の国では見ないもので、何としても我が国において成功させる必要があろうかと思います。ここまで準備期間の5年間をかけるというようなところかと思いますけれども、これから5年、いよいよ、在学中受験も今年から実施されますけれども、それを経て、いろんな先生方からもありましたように、この1年で見るのではなく、ぜひプラス5年というぐらいの時間をかけて、ゆっくりこの制度を育てていっていただければと思っております。
 法曹コース、学部の教育との関係は必ずしも十分にまだ論じられていないところもございます。そこ、しっかり論じていただきたいと思いますし、ようやく軌道に乗りました司法修習との連携は、かなり加速化していただければと思っております。
 この委員会で、毎回、清原委員に叱咤激励をいただけるのを、何よりも我々にとって、勇気、元気を与えていただいたとあらためて感謝をしております。競争から協創へ。協働へを超えて、協力して新たに創造するという、協創へというワードも、今日お与えいただいたと思っております。
 また、未修者も含めた多様な人材の養成ができるような、そういうロースクール制度を目指して、皆様に御尽力をいただければと思っております。
 長い間、どうもありがとうございました。
【山本座長】  ありがとうございました。
 それでは、続きまして、加藤委員、お願いいたします。
【加藤委員】  法務省の司法法制課長の加藤でございます。
 私、今期の途中から参加させていただいております。御案内のとおり、法務省司法法制部では、昨今、司法制度改革の中で、質・量ともに豊かな法曹人材を確保していくという観点から様々な取組をしているところでございますが、本委員会におきましては、プロセスとしての法曹養成の充実・強化を図るという観点から、法科大学院におきまして、カリキュラム、あるいはその制度について創意工夫を凝らした運用例などをお示しいただき、改革の着実な実施に向けて、多大な御尽力を皆様方にいただいているなということを深く感じた次第でございます。この場を借りて敬意を表したいと思います。
 ところで、現行の法曹養成制度を所管する法務省としましても、様々な課題がございます。また、法科大学院教育も含め、現行の法曹養成制度については、様々な御意見があるのも事実でございまして、決して楽観視できる状況にはないというのが率直なところでございます。
 ただ、そのような状況において、皆様方が活発な御議論をいただくのを聞くにつけ、非常に力強く感じているところでございます。他方、ロースクール教育だけではなくて、その前後も含めた全体として、現行の法曹養成制度というものを俯瞰して課題に取り組んでいくべきだと感じているところでございます。
 昨今、社会情勢の変化に伴いまして、法的ニーズというものは、非常に多様化しているというのが率直な感想です。本委員会では、そのような多岐にわたるニーズに応えられるような法曹人材を育成すべく、留学や海外派遣に係るプログラムを実施すること、社会人を含む法学未修者に対する支援の充実を図っていること、あるいはその地域の自治体や法曹界、産業界と連携を図っていくことなど、色々な新規の取組がされているということが照会されましたが、こうした取組は、法科大学院にとって、非常に大きな魅力になるものだと感じております。
 こうしたことも含めまして、法科大学院やその教育の内容、さらには、その先にある法曹の魅力を若い世代に向けて、積極的に発信していかなくてはならないなと考えております。
 本取りまとめで御指摘いただいたとおり、来年度以降、法曹養成制度改革の真価が問われていく重要な時期に入っていくものと考えております。その過程で、また新たな課題も見いだされることになると思います。
 法務省としては、こうした課題に対して、真摯に取り組んでいく考えでありまして、新たな制度が定着し、より多くの有為な人材が法科大学院を志望し、充実した教育を受けて、様々な分野で活躍していけるといったことが実現できるように、本委員会で、また来期以降、様々な御意見があろうかと思いますので、そういったことを踏まえながら、情報発信を始め、環境整備に積極的に取り組んでまいる所存でございますので、引き続き御指導いただければ幸いでございます。今日はどうもありがとうございました。
 以上です。
【山本座長】  ありがとうございました。
 それでは、続きまして、菊間委員、お願いいたします。
【菊間委員】  弁護士の菊間です。よろしくお願いします。今期も大変お世話になりまして、ありがとうございました。
 私が第10期から参加させていただいておりますが、第9期で法曹コースの設置を決めて、第10期で未修者教育の方向性を議論して、この第11期はそれらをさらに細分化した前向きな議論ができたのではないかと思っています。
 企業には働き方改革というのが求められていますが、これは、従来の画一的な就業モデルを企業が従業員に一方的に押しつける、そういうことではなくて、従業員個々人の多様な働き方を認めていきましょうという要素もあると思います。
 それでリモートワークやフレックスタイムなど、様々な選択肢を与えられる会社が、これから従業員の方に選ばれ続けていく会社になっていくということだと私は理解しております。
 そういう観点からすると、学びも同じであって、いつまでも画一的なモデルに学生を押し込めて、あれは駄目だ、これは駄目だとやっていては、やはり駄目なのではないかと思います。
 学生が置かれている環境というのは千差万別でありますけれども、その一人一人と向き合って、法科大学院に興味を持ってくれた学生を一人も取りこぼさずに、最後まで学習を支援していくという姿勢が大切だと思っています。
 そういう意味では、今期は、様々なロースクールの独自の試みですとか、工夫を多数紹介していただきまして、それに端を発してオンデマンド授業や補助教員の活用、入学前の導入教育など、議論を通して、画一的ではない、きめ細やかなサポートが、生徒さん、学生さんに必要だという認識の一致があったということはとてもよかったと思っています。
 また、令和4年の司法試験では、未修者の合格率が30%を超えまして、3回目までの合格率は既に50%を超えたということで非常に喜ばしい結果だなと思いました。これは、ロースクールの未修者教育の成果が着実に現れているということではないかと思っています。
 私が入学する前は、ロースクールは医学部のようになるので、卒業すれば8割ぐらいの人は司法試験に合格するという触れ込みがありまして、それで入ったところ、実際2割前後という合格率を見て、国家的詐欺だと同級生みんなで騒いでいたことを思い出しました。
 まだまだ8割には及んでいませんが、着実に合格率は伸びていますので、さらに、ロースクール教育を充実させて、社会に役立つ、優秀な方を多数、引き続き輩出していただきたいと思っております。ありがとうございました。
 以上です。
【山本座長】  ありがとうございました。
 それでは、続きまして、北居委員、お願いいたします。
【北居委員】  慶応義塾大学の北居でございます。今期議論に参加させていただきまして、どうもありがとうございました。
 大変立派な取りまとめが出来上がったところで、決してそれに異論を唱えるものではございません。その取りまとめに、さらに、若干加えて、私自身が気にしておりますこと、3点だけ簡単にお話しさせていただきたいと思います。
 私、元来心配症でございまして、3+2、プラス在学中受験が始まるということで、時間と費用の節約といううたい文句で、大変学生に魅力的に映っていると思いますが、うまく受かったらそうなりますけれども、うまくいかなかったらどうなるのかということを、今大変危惧しております。
 実際に、今年から司法試験の結果が出てまいるわけですけれども、うまくいった人はともかく、うまくいかなかった場合について、我々法科大学院がどのように対処していくのかを真剣に向き合う時期が参ったと考えております。
 2点目が、未修教育の在り方について、大変充実した議論がなされ、取りまとめられたと思っております。その上で、もし可能であるなら、未修者コースへの入学の在り方をもう少し議論する余地を考えていただけないか。今のこの入学試験が果たしてうまくいってるのかどうかに、私はかなり疑念を以前から抱いておりまして、これを考える余地がありはしないかということを考えております。
 3点目、法務博士号の取得の意義でございまして、これを発信すべきだという取りまとめがなされております。これは大変そのとおりでございますけれども、逆に社会で評価されるには何をしなければいけないのかという視点が非常に重要ではないかと思っておりまして、これは法務博士号だけではなく、とりわけ文科系の大学院学位の社会における評価の意味ということが、広く今後問われるはずでございます。こうした広い観点を含めて、法務博士号の位置づけ、あるいは発信の在り方、これを今後さらに考えていく必要があるのではないかと思っております。
 以上でございます。
【山本座長】  ありがとうございました。
 それでは、続きまして、北川委員、お願いいたします。
【北川委員】  早稲田大学の北川です。第11期から初めて参加させていただきました。このように活発で貴重な議論をしている場に参加させていただく機会を与えられましたことを大変ありがたく思っております。
 山本座長をはじめ、委員の先生方、そして事務局の皆様方にも感謝申し上げます。
 ひよっこ委員ですので、大局的な見方がなかなかできておりませんが、最後に一言申し述べさせていただく機会を頂戴しましたので、1点だけ申し上げたく、この場をお借りいたします。
 新たな法曹養成制度について、現段階は、既に他の委員の方々も言及されましたように、今年の夏から、初めて司法試験の在学受験が始まり、かつ、法曹コースの第1期生がロースクールに進学して、ようやく1年を終えようとしている、まさに変革の真っただ中にあって、新たな制度が立ち上がり、実施、運用と過程を経て、今後は、制度を実際に動かしてみて、現実に生じる様々な課題について適切な対応が求められるという段階に移行していくのだと認識しております。
 そうした状況の下で、法曹コースの実施に向けて、教育現場の教員はこれまでも、特別選抜入試の導入、実施、あるいは、カリキュラムの改革など、様々な現実的な喫緊の対応を迫られ苦慮してまいりました。
 そこで、今後の本委員会での検討においては、ぜひ教育現場の声、要望を最大限酌み取る工夫を講じていただきながら、これまで以上に、実態を踏まえた有益、有効な提言、提案を可能としていただけますようお願い申し上げたいと存じます。
 以上でございます。
【山本座長】  ありがとうございました。
 それでは、久保野委員、お願いいたします。
【久保野委員】  東北大学の法学研究科から参加しております久保野でございます。前期から参加させていただいておりますけれども、正直申しまして、日々の営みとしましては、法科大学院等の日々の教育等だけで手いっぱいという面がありますところ、このような場におきまして、より広い視点から考える機会をいただいていることを本当にありがたく思っております。
 それで、取りまとめについて簡単に2点申し上げて、あと1点ありますけれども、一つは、北居先生と大きく重なりますが、新たな一貫教育制度につきましては、在学中受験が来年度控えて、いよいよ始まるということで、短期的な結果だけに着目するのではないということが何度も出ていますが、司法試験の合否だけではない面での影響ということについて注視が必要だと非常に思っております。
 何かと申しますと、在学中受験が7月に行われるということで、かねて課題となっております3年次教育が中途半端なものとならないようにということ。これは合格でなかった学生にとってだけではなく、合格した学生にとっても、非常に注目すべき大事な問題だと考えておりまして、司法試験の合格、不合格のいずれの学生にとっても、法科大学院教育で力をつけるという機能を3年次教育において果たせなくなるということにならないよう注視して、各法科大学院のスタンスですとか、柔軟な対応、きめ細かい運用というのが非常に大切だなと思います。これが1点目です。
 2点目はやや大きくなるのですけれども、情報発信等に関しまして、大澤委員のおっしゃったことに共感するところがございまして、つまり法科大学院教育の重要性や意義ということももちろんですが、取りまとめで全般に書かれていることに通底するものとして、実は、法的な思考というものの特徴や価値というものを、裁判や訴訟といった、一般的に法と結びつけて抱かれがちなイメージを離れて、具体的に言語化してどう伝えていくかということが大事なのだろうなと改めて思ったところでございます。それが2点目です。
 最後に、少し取りまとめから離れますけれども、法科大学院制度がその課題に追われるばかりではなく、安定的に前向きにといったようなことが指摘されましたけれども、そのような状況の下で、改めて潮見委員が強調されていたことだったかと思いますけれども、法科大学院制度ができて以来、非常に重大な課題のある状況になっております、実定法研究者の養成につきまして、改めて、手後れにならないうちにと言いましょうか、この機に機能回復ということをしていくよう努力したいと思いますし、それが進むことを非常に強く期待いたします。
 以上でございます。ありがとうございました。
【山本座長】  ありがとうございました。
 それでは、続きまして、酒井委員、お願いいたします。
【酒井委員】  ありがとうございます。弁護士の酒井です。
 今期中教審の感想と来季に向けての意見を幾つか簡単に申し上げさせていただきたいと思います。
 今期中教審では、多岐にわたる論点について、それぞれに積極的な議論がされたかと思いますが、私としては、前期から引き続き、未修コース改革に関する議論、さらに社会人学生向けの取組について特化したヒアリング、また、議論の機会があったことは非常に有益だったと感じております。
 ICTの活用を軸に、未修コース改革、また社会人学生向けの改革を実行できるものとしていくことが、今後の課題と理解しておりますので、中教審においても、引き続き、その成果を把握していくこと。また、適時に必要なサポートを行っていくことが期待されるところと考えております。
 また、いよいよ法曹コース出身者が在学中受験にチャレンジする時期が近づいてまいりました。取りまとめにもあるように、短期的な結果に一喜一憂するのではなく、中長期的な成果を裏づけるような教育を目指し、法曹コースにおける教育の在り方について、まずは実態の調査、さらにそれを踏まえた積極的な議論が求められるものと考えております。
 また、一弁護士、また、一実務家教育に対しまして、法曹コースの新設により、当該コースにおける実務入門教育をどのように実践すべきかという課題に大きな関心がございます。
 一方で、法科大学院においては、在学中受験によって少なからず実務教育のカリキュラムが影響を受けている現状が聞こえてまいります。現状を踏まえた上で、いかに法科大学院での実務教育を効果的に実践していくのか。また、法曹コースで、どのような実務教育を行うことが期待されるのか。それぞれの課程における教育を議論するに当たり、一つの視点として盛り込んでいただければと考えるところです。
 また、今期においては、日弁連法科大学院センターが実施いたしました、社会人経験者向けアンケートについて、資料提供の機会をいただきましたこと。また、取りまとめにも多く反映をいただきましたことを改めて御礼申し上げます。
 多様性確保の受皿となる未修コースに、いかに社会人を迎えられるかという議論を続けていくに当たり、今後も適時に参考資料としていただけますと幸いです。今期も法科大学院出身者である一法曹として、様々意見を申し上げる機会をいただきまして大変光栄でした。改めていつも柔軟な御差配をくださる山本座長、委員の皆様、御尽力いただいている事務局の皆様に感謝いたします。ありがとうございました。
【山本座長】  ありがとうございました。
 それでは、続きまして、髙橋委員、お願いいたします。
【髙橋委員】  一橋大学の髙橋でございます。まずは第11期の議論につきまして、参加の機会をいただきまして、誠にありがとうございました。様々な御配慮をいただきました山本座長、委員の皆様、そして、文部科学省専門職大学院室の皆様に厚く御礼申し上げます。
 既に他の委員の皆様に御指摘いただいたところに重なりますけれども、今期は先般の改革からその成果が現れるまでの端境期ということで、少しずつデータが出てきたという段階ですので、おおむね前向きの視点からの議論が主であったように思いますが、来年度以降、いよいよ真価が問われ、シビアな観点も出てくるのではないかと思います。
 大きな改革であったがゆえに、社会からの注目も集めるところになると思いますが、いわゆる3+2の対象である学生の皆さんは、コロナ禍の影響を強く受けた世代でもございますし、加えて学部生は、学習上の問題はもちろんのことですが、多様なキャリアの間での選択に迷いながら学生生活を過ごしているという側面もありますので、数字にまとめられてしまいますと、なかなか見えてこない個別の事情もあると感じております。
 KPI重視の方向とは必ずしも一致しないかもしれませんけれども、数字のみに偏らない、きめ細かな追跡調査を行った上で、皆様の御指摘にもあったように、中長期的な視点を持って評価していくということが重要であろうと思います。
 また、複数の委員からの御指摘もあったように、やはり法学を学ぶ方の裾野を広げるという試みの工夫は一層必要になると存じます。特に、これまで対象としての意識が希薄であった中高生、および他学部生に向けた紹介の方法を、関係者間で知恵を絞って図っていくことが必要になるのではないかと思います。
 こうした広報の点では、専門職大学院室の皆様に、日常の活動の射程外まで御配慮をお願いするということにもなるかと思いますので、難しいところも多くあると存じますが、引き続き御検討いただければ幸いに存じます。
 以上です。ありがとうございました。
【山本座長】  ありがとうございました。
 それでは、続きまして、富所委員、お願いいたします。
【富所委員】  11期の皆様、山本座長、それから事務局の方々、皆さん、大変ありがとうございました。
 私は法科大学院関係者でもなく、法学部出身者でもないという立場から、法科大学院の制度というのは、外部からどう見えているのだろうかという観点を中心に、これまで意見を述べさせていただきました。ピントがずれた発言もあったかもしれませんが、その辺りは御容赦いただければと思っております。
 今後の課題についてお話をさせていただきたいと思います。法科大学院が74校でスタートして、その後、紆余曲折があった時代から比べると、改革がかなり進みまして、法曹コースもスタートしたというところで、明るい兆しも見えてきていると思っております。
 それでも、まだ課題は少なくないと思っております。今後は法科大学院出身であるということの付加価値をいかに高めていくかということだと思います。
 司法の役割の一つというのは、紛争を抱えて困っている人の助けに、いかになるかということだと思っています。そうした中で、頼りになる法曹というのは、困っている方の思いをきちんと代弁をしてくれて、心に響く書面を書いてくれるとか、あるいは労を惜しまず行動してくれるなど、つまり相手が何を求めているのかということに共感して、その解決のために一緒に考えてくれる人、こういうような方々なのだと思っています。
 そういう能力というのは、なかなか一朝一夕には身につかないとは思うのですが、先ほども話がありましたように、法科大学院には実務教育という非常に特性があると思うので、やはりこの点を地道に伸ばしていくことが活路になってくるのではないかなと思っています。「法科大学院の出身者は頼りになる」という評価をぜひ積み上げてほしいし、そうした法科大学院が増えることに、期待したいと思っています。
 皆さん、本当にありがとうございました。
【山本座長】  ありがとうございました。
 それでは、続きまして、中川委員、お願いいたします。
【中川委員】  神戸大学の中川です。私は、第10期からですか、今回の前の期から参加したような記憶でございますけれども、とりわけ今回の議論に参加いたしまして、法科大学院に関する議論の仕方が少し質が変わってくるきっかけかなと感じました。
 と申しますのが、これまでの20年間は、先ほど大貫委員がいろんなところからいろいろ言われて大変だったとまとめておっしゃいましたが、例えば合格率が低いであるとか、あるいは、就職がないとか、志望者が少なくなってきたなど、量的な問題にこれまで悩んできました。とは言え、こうした問題については、今はかなり安定しているように見えます。就職難を聞くこともなくなりましたし、入学希望者も安定している状態です。まだもちろん予断は許しませんが。合格率も8割に届いてはいませんが、それに肉薄しているという状況と思います。以上は言わば量的な問題ですね。
 それに対して、今回とりわけ未修者の教育の在り方について、たとえば、憲法、民法、刑法とそれぞれ分けてやるんじゃなくて、もう少し連動する部分を取り出すことで効率化できないかということを私は申し上げ、私以外にも同様の御指摘をいただいたように思います。こうした質的な部分ですね。量から質的な課題にやっと我々の視点が向くようになってきたのかなと思いました。
 質という点では、特にここ10年ぐらいですかね、2010年ぐらいから以降ですけども、法的サービスが単に多様化するというよりも、むしろ根本的に変質し始めているといいますか、やっぱりデジタル技術ということで、新たな法制度設計をしなきゃいけない。それがやはりなかなか難しい。法律家がうまくそれに対応できていないという分野が全てに関わってきていると思います。
 それから、ちょっとこれは先端的過ぎるかもしれませんが、いわゆる安全保障と法はどのように関わるのかという問題。自分のことを思い出すと、30年前に、ハーバード・ロースクールにいたときは、「テロリズムと法」なんて普通に授業やっていたんです。でも、日本ではいまだにそんな授業がありません。何て言いますかね、非常に古典的な内容の教育だけをまだやっているいうところがあって、このままでいいのかという問題関心もそろそろ持ち始めなきゃいけないんじゃないか。
 未修者の教育を効率化することによって、そういう現在の法的ニーズ、今、発生しつつある法的ニーズに少しでも関心を持つ。あるいは頭の働かせ方のヒントを得るというような教育を提供できないか。既修者についても、法学部と連携、それから、未修、既修にかかわらず、司法修習所との連携、それから企業法務との連携も始まってるわけですけども。単に連携するだけではなくて、その連携の内容ないし質が、現在のまさに現場で、先端で困っている問題について、古典的な法理論がどこまで応用できるかの教育になっているか。私結構応用できると思っていますけれども、古典的な問題しか知らないのではなくて、授業で受けている、あるいは判決でできたものの先に、こういう難問が待ち構えているというような認識を連携の中で持たせるということまで必要ではないか。
最終的には、研究者養成についても関わってくることで、理論と実務というのは、私、どちらも同じ水準で進展するといいますか、どちらも同じように進展したり駄目になったりするという印象を持っているんです、どの国でも。
 理論がしっかりしていないと、実務は、昨日と同じ実務を明日もやるということになるし、実務が斬新なことをやってくれないと、理論も全然進歩しないんですね。お互いに非常に密接に支え合う関係であるんです。法科大学院の教育目標として実務家だけを今まで一生懸命やってきた。それはかなり実現されてきた。その一方で若手の研究者がもう本当に今危機的にいなくなってしまっている状況であります。我が大学院でも――多くの大学院がそうだと思いますけども、研究者をどのように養成するかということを、法科大学院で真剣に今始めているところです。
 そういったところも、こちらの委員会で検討すべきではないか。結局はデジタル技術であるとか、安全保障であるとか、今まで考えたこともなかったような問題をどのように考えるかという理論と、それから実務の連携ということになりますので、その理論研究者を育てるということも、法科大学院の卒業生からということも考えなきゃいけない。そのように、質的な部分に、議論は始まる境目の年かなというふうな印象を持ちました。
 山本座長をはじめまして、皆様の様々な御知見をいただきながら、私自身もいろいろこのようなことを考えてまいりました。
 最後に、コメントとして申し上げます。
 私から以上でございます。ありがとうございました。
【山本座長】  ありがとうございました。
 それでは、続きまして、松下委員、お願いいたします。
【松下委員】  東京大学の松下です。私は座長代理というのを拝命していましたが、この2年間、山本座長を具体的にお支えするとか、お手伝いするということを何もせず、本当に申し訳なかったなと思っております。
 前期に続いて、今期11期も未修者教育について様々な議論をできましたが、教育というのは、息の長い話ですので、次の期にも引き続き、いろんな形で取り組んでいくことになります。分かり切ったことではありますが、未修者教育というのは、恐らくロースクールの永遠の課題だろうと思いますので、引き続き議論を続ける必要があろうかと思います。
 これまた、次の期に向けてということなんですけれども、3+2ですとか、在学中受験というのが結果が出てきて、これについては、既にいろんな委員から性急な評価というのはすべきではないと、中長期的な視点で見るべきであると。そこはそのとおりだと思うんですけれども、しかし、起きていることをしっかり注視し、分析をすることはもちろん大事なわけで、短期的な評価をしないということは何もしないことではないということではないかと思います。そこは十分に気をつける必要があろうかと思います。
 それから、熱心な議論をし、議論の質と厚みを十分なものにした委員の皆様方、それから、それを適切に取りまとめた事務局の皆様、そして毎度のことながら、非常に適切に議事をさばいてくださる山本座長に心より感謝をしたいと思います。
 本当に蛇足なんですけれども、文科省の方、特に、今この会議に参加していらっしゃらない方にお願いしたいのですが、委員の継続性に比べて事務局の継続性がかなり乏しいような気がいたします。ここは、誰にどうお願いしていいのか分かりませんが、御配慮をお願いしたく存じます。
 私からは以上です。
【山本座長】  ありがとうございました。
 続きまして、丸島委員、お願いいたします。
【丸島委員】  丸島でございます。
 今期の委員会には、法テラスの業務等のため十分に参加できず、申し訳ございませんでした。今期のテーマについては、社会人や、未修者の法科大学院出身の常勤弁護士や職員が法テラスでも大いに活躍していることから、関心を持っておりましたが、この間、社会人や未修者に焦点を当てた様々な提案をしていただき、こうした提案が、今後教育現場で具体的に活かされ成果をあげていくことを期待しております。
 法曹養成の問題にこのように関わる機会も、恐らく最後になると思いますので、少し振り返りを含めて述べさせていただきますが、かつて1990年代に、司法試験制度改革問題として行われていた議論が混迷していた頃、当時ハーバードロースクールで教えておられた柳田幸男弁護士が日本にもロースクール制度の導入をということで提言をされ、大きな刺激を受けた記憶があります。
 そうした経緯も踏まえながら、1999年から2年間司法制度改革審議会の事務局で仕事をさせていただき、司法部門の機能強化とその役割の拡大を目指して、新しい法曹養成制度をめぐる大変熱のこもった議論がされるのを間近に見聞きさせていただきました。
 その後私は法曹養成問題とは少し離れていたのですが、2010年代に入って、様々な議論が起きる時期となり、文科省等の関連の会議に参加するようになりました。
当時のことを思いますと、この間、この新しい制度を担ってこられた先生方、実務家教員の皆さん、そして、ここにチャレンジして法科大学院で学び、現在活躍しておられるたくさんの修了生、法曹関係者の方々が、本当にこの制度の定着と発展を支えていただいたことに、改めて敬意を表したいと思います。
 新たな法曹養成制度は、その理念を含む大きな方向性については、かなり共通認識を持ちながらこの制度の準備が始められたと思いますけれども、何といっても非常に短期間に旧制度を、大きく変える改革を進める取組であったことから、課題も多く残され、そういう意味では足りない点も様々あったのだろうと思います。旧制度を引き継ぎながらこれだけの大規模な改革を進めることは、その時代時代の制約もあり、また社会の様々な意見がある中で合意形成を図っていくプロセスを要することから、当然に多くの妥協も含みながら前進していくものだったのだろうと思っています。
 そういう意味では、学部から法科大学院、新司法試験、司法修習、継続的研修、その過程に予備試験も加わり、また法曹人口論も含め、接ぎ木細工のような構造がつくられたところからスタートした。その点での困難も抱えていたように思います。
 一連の司法制度改革が、大きな社会課題解決の取組の一環でもあるということを考えますと、法曹養成制度改革の現段階は、引き続く継続的な改革の最中にあり、その発展の途上にあるという位置づけにあるのではないかと思います。
 法科大学院教育に携わってきた四宮啓弁護士は、裁判員制度の創設にも大いに貢献された方ですが、その彼が改革に取り組む視野や展望について述べられていたことがあります。そこでは、私たちは制度改革を論ずるにあたって、何がない、これは不十分だと批判しがちであり、そのように批判することは様々に可能であるけれども、ないものを数え上げるばかりではなく、むしろ改革の中で生まれたあるものが、改革のスタートとしてどのような意味を持つかを考え、改革のさらなる進展のために使い尽くす、そういう努力を私たちはするべきではないかという趣旨のことを言っておられます。
 法曹養成制度の改革についてもこのような問題意識は大切であると感じております。新しい法曹養成制度は、法曹をプロフェッションとして明確に位置づけ、その上で、プロフェッションとしての法曹の養成がいかにあるべきかを考えて、この法科大学院という構想が生み出されたとされます。
 その理念には、専門的資質や能力の習得とともに、社会に生起する様々な問題に対して広い関心を持ち、人間や社会の在り方に関する思索や、実際的な見聞、体験を基礎として、法曹としての責任感や倫理感を涵養されるよう努めるとともに、実際の社会への貢献を行うための機会を提供しうる場とすることなどが掲げられていました。
 そして、このような理念を活かしていくための教育現場での様々な努力がされてきています。そのような観点からは、多くの社会課題が指摘され、その解決に取り組む多様な人材が求められている時代に、様々な困難を抱える人々の人権の擁護や、またそれに連なる公益活動の担い手となる弁護士の確保、養成ということが、大変大きな時代の要請となっていることを感じております。その面でも法科大学院は、より積極的に社会的役割を果たしていくことができるのではないかと考えます。
 全国各地の地域で権利擁護活動に従事する法テラスのスタッフ弁護士と呼ばれる常勤弁護士や、弁護士会が過疎地に展開しているひまわり法律事務所、都市型の公設事務所、そして、多くの人権課題に取り組んでいる一般の法律事務所も、どの分野でも活動の範囲は広がるものの新人弁護士の採用には大いに苦労しているところです。
 また、社会人経験を経て法科大学院に学ぶ方々の中には、このような分野の活動に強い問題意識を持つ法曹志望者が少なからずおられますが、資格取得まで非常に苦労しておられるということもあり、もう少しスムーズに法曹への道を歩めるような制度にどうしていけるのかも引き続き大切な課題でありましょう。
 現在、法科大学院のエクスターンシップでは、全国各地の法テラスの法律事務所の活動を通じて、それぞれの地域の方々が抱える様々な困難の解決のための取組や人権課題に取り組む弁護士たちの活動に接して体験する方が毎年、四、五十人ほどおられ、こうした経験を経た学生さんからは、弁護士の在り方を考える上で貴重な経験をすることができたという声もたくさんいただいております。もちろんその方々が皆スタッフ弁護士になるわけではなく、企業法務や裁判官、検察官への道を進む方も少なくありませんが、法曹養成課程でそのような経験も積んでいただくことは非常に貴重なことだと思っています。
 こうしたエクスターンシップの貴重な経験を重ねるほかにも、弁護士が活躍する実際の姿を通して、自らの弁護士像を考える企画などにも学生さんたちの参加を促していただきたいし、諸外国やあるいは一部の大学院でも実施しているようですが、法科大学院教育とリーガル・エイドの活動を連携させて学び、実践する機会を法科大学院の正規の課程の中で取り入れていただくことなども法科大学院ならではの取組であろうと思いますし、そのようなことが可能になれば、大変ありがたいなと思います。
 以上、私の立場で、今後への大きな期待も込めて感想めいた意見を述べさせていただきました。この2年間、大変お世話になりましてありがとうございました。今後とも、法科大学院教育と制度の充実に向け引き続きのご尽力をいただきますようよろしくお願い申し上げます。
【山本座長】  ありがとうございました。
 それでは、最後になりましたが、水島委員、お願いいたします。
【水島委員】  大阪大学の水島でございます。第10期に引き続き、今期の議論にも参加させていただき、大変勉強になりました。山本座長、委員の皆様、文科省の事務局の皆様に感謝申し上げます。
 今期は各法科大学院における取組やグッドプラクティスの共有など、前向きな議論がほとんどで、法科大学院教育をよくすることについて、皆様方の熱意を感じ、大変刺激的で楽しい議論でした。
 また、既に何人かの委員がおっしゃっていますが、私も法科大学院間の競争から、協働にステージが変わったということを実感しました。
 社会人学生に対する教育について一言申し上げます。
 最近リスキリングが話題になっています。自身のキャリアを振り返り、将来を考え、学び直しを意識する中で、法曹への挑戦を考える社会人もいらっしゃると思います。今後、リスキリングの動きが加速すれば、企業が自己啓発休職制度を設け、それを利用して、法科大学院に進学する者が増えることも期待できますが、今後、人々のキャリアに対する意識、関心が強まると法科大学院に進学すれば法曹になれるというだけではなくて、どのようなキャリアパスになるのか。また、より具体的にどのようなスキルを獲得できるのかということをしっかりと示す必要があると考えます。
 これまでも社会経験がある法曹は貴重であるなどと言ってはいましたけれども、より具体的に何が期待されているのかが分かると、社会人も法科大学院に進学するという選択をしやすくなると思います。
 今回のまとめでは、この点につき法科大学院と法曹界の発信が必要と追記いただき、大変ありがたく思いました。
 私からは以上です。ありがとうございました。
【山本座長】  ありがとうございました。
 それでは、最後になりますが、私からも一言感想を申し上げたいと思います。
 私がこの間、座長とか座長代理等を務めます最初に御挨拶をするときには、毎回毎回、今期が法科大学院制度にとって正念場であるということを申し上げてきました。まさに、法科大学院制度というのは、ある意味ずっと土俵際で踏張ってきた、なかなか苦しい局面をずっと続けてきたのかなという印象を持っております。
 今期は第9期で、既修者3+2の制度改正を議論し、第10期においては残された未修者の問題について集中的に議論をすると。その後、今期は、そういった制度改正あるいは未修問題についてのフォローアップを行うとともに、従来、議論しなければいけないと分かっていたけれども、なかなかその時間がなくて議論できなかった重要な問題について、ようやく議論をする、ある種時間的な余裕ができたのかなと思います。
 そういう意味で、自治体、法曹界、産業界との連携の問題であったり、法科大学院の魅力、特色を積極的に発信すること、あるいは司法修習との連携といったような問題について、何人かの委員からグッドプラクティスの共有であるとか、あるいは、明るい面、前向きな面について議論ができたというお話がありましたが、私も同様の印象を持ちました。
 そういう意味で、初めてとは言いませんけれども、楽しい議論ができた場面もあったかなというふうに思っている次第であります。
 その背景には、このロースクールの状況について、少し明るい面がやはり見えてきたというところはあるのかなというふうに思います。数字的に言えば、司法試験合格率とか定員充足率等、受験者数等、少し回復の兆しが見えてきているという部分があるのかなと思います。
 ぜひとも、このようなところを確かなものに、今後していくということが必要かなと思っている次第であります。
 来期については、何人かの委員から御指摘がありましたけれども、この制度改正が何というか、現実のものとして現れてくるということがあろうかと思いますし、松下委員からは永遠の課題と言われた法学未修者の教育の充実ということも当然議論になっていくんだろうと思います。
 そのほか、本日皆様方からいただいた御意見の中には多くの示唆的なところがあったと思いますので、ぜひ、事務当局におかれては、それは精査していただいて、また、来期も、充実した議論が展開されていくことを期待したいと思います。ありがとうございました。
 それでは、本日の議題、議事は以上ですが、最後に事務局から御挨拶があるということでございますので、よろしくお願いいたします。
【池田(事務局)】  高等教育局長の池田でございます。
 山本座長をはじめ、委員の皆様方には、この法科大学院等特別委員会の精力的な議論に御参画いただきまして誠にありがとうございました。
 今期、この第11期は、令和3年6月から本日まで、8回の議論を積み重ねていただきました。どうしてもコロナ禍でリモートが中心にならざるを得ない中で、御不便をおかけした点もあろうかと思いますが、大変密度の濃い、充実した議論をしていただいたと思っております。
 今期は、いろいろ先ほども御意見が出ておりましたけれども、いわゆる3+2の取組状況ですとか、在学中受験に向けた教育課程の工夫、未修者教育の充実の状況など、前向きな課題で、いろいろ工夫について御意見をいただいたと思っております。
 また、令和4年司法試験では5年間の累積合格率が、数値目標の7割を初めて超えまして、未修者に限っても、目標である5割まであと僅かというところに来ておりまして、これは、法科大学院関係者や受験生の皆様の努力の結果が実を結んできているものと思っております。
 今期の議論のまとめにもございましたように、今後、法科大学院の意義や魅力について積極的に情報を発信していくことも必要だと思いますし、また、先ほども申し上げたリモート、ICTやデジタル技術が、コロナ禍で、デメリットももちろんありますけれども、可能性が非常に見えてきたと思いますので、教育は対面が原則ではあるとは思いながらも、メリットをいかに効果的に組み合わせて活用していけるか。これは、法科大学院に限らず、学部教育や大学院教育全般にわたる大きな課題だと思っておりますので、この点もまた、次の期でさらに議論をしていただければと思っております。
 来期は、先ほど座長からもございましたように、本日の御意見やそれから審議のまとめも踏まえて、さらに掘り下げていただく課題、見えてきていると思いますので、私ども事務局としても、しっかりとサポートをしてまいりたいと思います。
 蛇足ながら、松下先生から少しお話あった、事務局同士でも今新しい仕事がどんどん増えている中で、ちょっと回転が速くなっておりますが、しっかりと引継ぎをして、万全の体制でサポートしてまいりたいと思いますので、引き続き、よろしくお願いいたします。
 委員の皆様には、今後とも、いろいろな形で大所高所から御意見をいただければと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
 本日はどうもありがとうございました。
【山本座長】  ありがとうございました。
 最後に、座長として一言だけ申し上げたいと思います。
 今期の任期途中で、潮見佳男委員がお亡くなりになられました。先ほどたしか久保野委員からも、名前が上がりましたけれども、潮見委員は当委員会についての議論について、積極的にリードをしてこられたわけでありまして、誠に痛恨の極みでありました。いつも、厳しい御意見を言っていただいていたところでありまして、本日取りまとめになりました報告書、潮見委員に合格点をいただけるかどうか、若干の不安はございますけれども、納得いただけるものになったのではないかと思っております。
 改めて潮見委員の御冥福をお祈りしたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、委員の皆様におかれましては、改めてこの2年間の任期にわたりまして、本委員会での御審議に積極的に御協力をいただきましたことに、私からも改めて御礼を申し上げたいと思います。
 2年間本当にありがとうございました。御苦労さまでした。
 それでは、以上をもちまして、第11期の法科大学院等特別委員会を終了いたします。本当にありがとうございました。
 
―― 了 ――
 

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