法科大学院等特別委員会(第107回)議事録

1.日時

令和4年7月27日(水曜日)16時00分~18時07分

2.議題

  1. 社会人の法曹志望者の増加、社会人学生への支援について
  2. その他

3.議事録

【山本座長】  それでは、所定の時刻を若干過ぎておりますけれども、これより第107回中央教育審議会大学分科会法科大学院等特別委員会を開催いたします。
 本日も御多用の中、また、このようなウェブ会議という形でありますけれども、御出席をいただきまして誠にありがとうございます。
 本日、このようにウェブ会議で開催しておりますけれども、本委員会は公開が原則ということになっておりますため、この会議の模様はYouTubeのライブ配信にて公開をいたしております。どうか本日も活発な御審議をよろしくお願い申し上げます。
 初めに、事務局に人事異動があったということでございますので、事務局から御報告をお願いいたします。
【森下専門職大学院室長】  事務局でございます。
 法科大学院の担当の審議官と担当の課長に異動がございました。7月1日付で、高等教育担当審議官に里見に代わりまして西條が、また、専門教育課長に塩川に代わり塩田がそれぞれ着任をし、本日、出席をさせていただいてございます。
 一言御挨拶をさせていただきたいと思います。西條審議官からお願いします。
【西條審議官】  はい、ありがとうございます。
 7月1日付で里見審議官の後任として着任いたしました西條と申します。山本座長をはじめ、本特別委員会の先生方には大変お世話になりますが、どうかよろしくお願いいたします。
【塩田専門教育課長】  同じく7月1日付で専門教育課長を拝命いたしました塩田と申します。5年ほど前に専門職大学院室長をしておりましたので、何人かの先生方とは当時から御一緒させていただいているところでございます。引き続き、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 以上でございます。
【山本座長】  西條審議官、塩田課長、どうかよろしくお願いいたします。
 それでは続きまして、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。
【森下専門職大学院室長】  事務局でございます。
 配付資料でございますけれども、本日は資料1-1と1-2、あと参考資料1、2ということで、大部でございますが、全45ページの資料をお送りさせていただいております。またその後、別送で、本日欠席の清原委員から御意見を賜ってございますので、配付いたしているところでございます。御確認いただけたらと思います。
 以上でございます。
【山本座長】  それでは早速、審議に入りたいと思います。
 本日の議題は、社会人の法曹志望者の増加、社会人学生への支援についてということであります。
 法科大学院制度の趣旨である多様な法曹志望者の確保、さらに法科大学院志願者の増加に向けて、この社会人学生への対応というのは非常に重要な問題であると認識しております。そこで、社会人学生の実態を踏まえながら、どのような支援が必要か、また可能か等について、御審議をいただきたいと考えている次第であります。
 後ほど御紹介いたしますけれども、本日は筑波大学と日本大学の関係者をお招きし、御報告、御発表をいただく予定でありますが、その前に、まず資料1につきまして事務局より御説明をお願いいたします。
【森下専門職大学院室長】  事務局でございます。
 関係資料につきまして、私から御説明をさせていただきます。
 資料1-1を御覧ください。社会人学生に係る関係資料を御用意してございます。
 まず、通し番号2ページ目を御覧ください。
 上段でございますけれども、入学者数の推移でございます。制度創設の頃と比較すると減ってきているところではございますけれども、近年は横ばいでございまして、一番右側、令和4年度でございますが、全体の入学者が1,968名いるうち、社会人は未修コース181名・既修コース164名の合計345名の方が入学しているということでございます。
 下段でございますけれども、全国における法科大学院の配置図でございます。右の緑の網かけで※印を振ってある学校名があると思いますが、本日お招きしている筑波大学、日本大学に加え、福岡大学、琉球大学の4校が夜間コースを設けているところでございます。
 次の3ページ目でございますけれども、前期、第10期の議論のまとめの概要でございます。前期は未修者教育の充実ということをテーマに御議論いただいたところでございますけれども、その中で一部、2のところで社会人の学生についても取り上げていただいてございまして、ICTの活用であるとか、入学前の学習機会の提供などについて御提言をいただいているところでございます。
 次の4ページ目からはその本文ですので、ここでは割愛をさせていただきまして、12ページからの資料にポンチ絵が3枚ほどついてございます。「大学院設置基準等の一部を改正する省令について」と題した資料でございます。今年3月に行われた最新の省令改正で、いわゆる履修証明プログラムについて単位認定ができるようになったというものでございます。
 2ページめくっていただいて14ページ、「履修証明プログラムとは」という資料を御覧いただけたらと思いますが、社会人などの学生以外の方を念頭に置いて、正規の課程よりも短い期間、具体的には総時間数で60時間以上と下限が設定されていますが、一定のまとまりのある教育プログラムを大学や大学院が編成してそれを提供し、その履修者に対して履修証明書を発行することができるという規定がございます。
 これにつきまして、今年3月に設置基準を改正いたしまして、こうした大学院段階の履修証明プログラムにつきまして、証明書を発行するだけではなくて、単位互換や科目等履修のように、一定の範囲で、具体的には法科大学院で30単位が上限となりますけれども、単位として認定をすることができるようになったというものでございます。
 前期の取りまとめでは、社会人に対する入学前の学修機会の提供について御提言いただいておりまして、そのための選択肢が科目履修以外にも増えたということで御紹介をするものでございます。
 資料1-1につきましては以上でございます。
 続きまして、資料1-2、通し番号16ページでございます。本日の論点を整理させていただいたものでございます。
 まず一つ目でございますけれども、社会人の法曹志望者の増加に向けまして、どのような広報、情報発信が必要か、法曹になりたい、あるいは法科大学院に通って学びたいと思っていただくためには、どのようなことができるか。具体的には、法科大学院教育であるとかその魅力、例えば法科大学院の授業を一部視聴できるようにしたり、あるいは修了生の活躍を紹介したり、あとは各種の制度、例えば入試であったり奨学金であったり、長期履修や科目等履修のような特別な制度の情報提供などが必要ではないかと、前期のまとめも踏まえて記載をさせていただいてございます。
 また、二つ目でございますけれども、特に有職社会人の方、働きながら学ばれている方には学修時間の確保が厳しいところでございますので、どのような配慮や工夫が必要であろうかと。例えば、長期履修制度を柔軟に活用することができるようになったり、科目等履修であるとか、先ほど御紹介をしたような履修証明プログラムの活用など、学生が学修計画を立てる際に、個々人の事情を踏まえて選択肢を広げられるような工夫として、どのようなことが考えられるか。また、授業の中において、ICTを活用してオンデマンドの講義を併用することであるとか、あとは授業のみならず成績評価の在り方についても、今日御提言があるかと思いますけれども、主流であるペーパーテストに対して、ほかの方法はないかどうかということ。
 あと、三つ目でございますけれども、これら以外にも、入学前や修了後なども念頭に置いて、ほかにも支援として考えられることはないか、こうしたことを本日、御議論を賜れればと思っております。
 御議論の参考のために作成したものですので、必ずしもこの範囲にとらわれず、社会人の志望者増、社会人学生の支援について、幅広く御議論を賜れればと考えているところでございます。
 私からは以上でございます。よろしくお願いいたします。
【山本座長】  ありがとうございました。
 ただいまの御説明について何か御質問等もあろうかと思いますけれども、基本的に審議については、後の筑波大学、日本大学からの御発表の後、まとめて行いたいと思っているところです。もし、今の段階で事実確認等について御質問等があれば、お伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。また後で、まとめる形で聞いていただいても結構です。
 それでは、よろしければ続きまして、資料2及び資料3に基づいて、筑波大学及び日本大学からの御発表をいただきたいと思います。
 本日は筑波大学から、筑波大学大学院人文社会ビジネス科学学術院法曹専攻長の姫野博昭先生、日本大学からは、日本大学大学院法務研究科教授・専攻主任、須藤典明先生に御参加をいただいております。
 現在、コロナ禍によって在宅勤務の導入など働き方も多様化しており、社会人を取り巻く環境も日々変化してきているということであります。このような中で、社会人学生に対する支援策や、社会人学生がまさに持っている現代の課題など、両大学から御発表をいただき、審議をしてまいりたいと考えております。
 それでは、まず筑波大学の姫野先生から、よろしく御報告をお願いいたします。
【姫野法曹専攻長】  筑波大学の姫野と申します。法科大学院長、正式には法曹専攻長をさせていただいております。
 今回このような報告の機会をいただき、誠にありがとうございました。実務家の専任教員をしておりまして、私自身も働きながら、司法試験の旧試験でありますけれども、勉強して合格したという経験がございますので、そこら辺も思い出しながら報告させていただきたいと思います。
 資料の17ページになります。基礎資料が最初の「第0」というところにございますけれども、そちらは後に参考に見ていただければと思います。その中で少しコメントさせていただきますと、入学定員につきましては36名ということで、未修者教育中心にやってきました関係で、未修者コース26名程度、既修者コース10名程度となりまして、定員は毎年、おかげさまで充足をさせていただいております。
 それから、入学者の平均年齢ですけれども、社会人専用ということもございまして、令和4年度が39歳、令和3年度が42歳、大体40歳前後ぐらいが入学者の年齢平均です。恐らく昼の大学院ですと24歳前後だろうと思いまして、その点、やはり学生の構成は大きく違うところでございます。
 それから、職種の別がございますけれども、社会人大学院でございますので、このように全員が社会人経験を有しているということで、未修者が中心の構成となっております。
 現在の在籍状況ですけれども、在籍者129名、このうち休学者22名、長期履修者26名でございます。やはり職を持っているということで、業務が忙しいことによって休学する場合も結構あるという実情がございます。社会人は何分、時間がないというところに支援策が必要であるとともに、どうしても仕事を持っている関係で、勤務先の状況の影響を受けるというところも重要なポイントでありまして、いずれにしても多様な支援策が必要だということは、我々の法科大学院でも教員皆で共有しているところでございますので、何らかの支援策を今後も検討していっていただきたいと思っております。
 司法試験の合格状況について簡単に御説明しますと、18ページの(7)の上下段でありますけれども、下の表に近年の未修者・既修者別の最終合格率が書いております。令和2年度、既修者は全国平均には足りませんでしたけれど、未修者だけですと全国平均を上回っております。令和3年度も既修・未修単体で見ると、全国平均をおかげさまで上回っております。ところが、どうしても未修者の数が多いものですから、上の段の全国の未修・既修を合わせた最終合格率というところを見ていただきますと、やはり全国平均からは10%ぐらい低くなっておりまして、引き続き支援策が必要だという共通認識を持っているところでございます。
 それから、18ページの(9)でございますけれども、本学のカリキュラムの状況を書いてございます。平日は夜間しか授業科目が入れられないというところもございまして、夏季休暇、冬季休暇なども、通常の昼の学校と比べて僅か7日間とか5日間。春の休暇は全部履修が終わってあるわけでありますけれども、有職社会人ということで、この期間も仕事に邁進しているという状況で、結局、時間との兼ね合いが非常に厳しいというところでございます。
 19ページに行きまして、その中でどうやって社会人を掘り起こして法曹を目指していただくかというところで、まず第1で広報活動を簡単に御紹介させていただきますが、基本的にはほかの昼の大学院と大きくは変わらないところだと思います。冊子やウェブサイト中心で、最初に本学を知るきっかけとなるのは、やはり今はインターネットの時代ですから、ウェブサイトで知ることが修了生に聞くと多いようでございます。それから特別なところでいきますと、第1の1に書かせていただいたように、比較的、人的なつながりというものが要素でございます。社会人用の大学院が少ないので、職場にいる本学の修了生から口コミで勧められて、本学を知るに至ったということが結構あると聞いております。
 それから、先ほども御報告がありましたけれども、近年の社会人志願者増加の背景について若干分析させていただきますと、19ページの2の(1)のように、もともと司法試験の制度の改革で、社会人なども目指しやすい環境が整ってきたというところはありますが、(2)のように近時は特に、コロナの影響を受けたこともありますけれども、仕事のテレワーク化で勉強時間が確保しやすくなったところがございます。通勤時間とかそういうものが勉強時間に充てられるというところでございます。
 それから、これも発端はコロナの影響などもありますけれども、大学院でのオンラインやオンデマンドを利用した遠隔授業が増えてまいりました。これは有職社会人にとっては非常に大切なシステムであると思われます。それから司法試験自体、全体的に従前に比べて合格率が上がってきたということで、社会人としてもチャレンジしてみようかという動機づけになっているところがあると思います。
 さらに、近年はインハウスロイヤーが非常に増えておりまして、私の知る後輩弁護士などもそうですが、一旦弁護士事務所に就職した後に、ライフ・ワーク・バランスなどを考慮してインハウスへ行くという方も増えております。2の(2)に、日本組織内弁護士協会のウェブサイト上から数値を入れておりますが、20年前にはインハウスロイヤーと言われる方は66名ぐらいでしたけれども、その10年後には587名、現在では2,820名もいるということでございます。そうしますと、職場内に法曹資格を持った社員がいる、身近なところに法曹資格者がいるということで、それも社会人が法曹資格を目指すハードルを比較的下げてきているのではないかと見てとれるわけであります。
 それから、19ページの下の(3)でございますけれども、志願者がここのところ増えている本学独自の増加要因としては、本学での合格者数や合格率が徐々に向上してきているというところがございます。
 また、先ほど申し上げたとおり、学生全員が有職社会人でございます。そして平均年齢40歳ということで、同じような環境、同じような年齢構成の方と、学生同士として切磋琢磨できる認識があるのではないかと思われるところであります。
 そして、ICTを活用した学習環境。これはもともとコロナになる前から、本学が社会人大学院として整備をしてきたことが、比較的周知されているというところでございます。
 それから、長期履修制度というのは有職社会人にとって重要なものですから、これも従前から制度として活用してきたというところで、ここら辺の周知もあるかと思います。
 あとは、チューターゼミを設けて補講的なものを行っておりますけれども、その担当講師も、社会人として受かった本学の修了生ということで、学修指導のほか、社会人としての学修の工夫などが教われるという環境でございます。
 それから、20ページに行きまして、社会人が通える夜間の法科大学院というのは全国でも数が限られていて、その中でも社会人専用としては本学1校のみということで、そこら辺も選択肢として、本学への志望可能性が高まったと言えるところだと思います。
 そして、20ページの第2のところでございますけれども、有職社会人が本学で学修をしていく上での取組支援として、入学前の取組としては、筑波大学全体で各部局が行っている市民講座エクステンションプログラムというものがございますが、そこで市民向け講座ということで、法学入門を2019年から継続的に毎年行っております。ここで専任教員全員が講義を担当するということで、どのような人物がどのような教育をなされるかというところを垣間見ることもできまして、これをきっかけに出願される方もいたりします。ただ人数的には、それほど多くはないというところでございます。
 それから、入学前の科目等履修生につきましても、入学後に単位が取れることで、学生の勉強時間の確保のためには役立っているところでございます。大体1人2単位から10単位ぐらい、入学後の単位認定の申請があるのが今の実績でございます。
 そして、20ページの第3のところでございます。学生からの要望ということで、毎年アンケートを行っておりますけれども、そこで、垣間見ることが出来るところが支援策の一つの素材になろうかと思います。
 リモート授業については、アンケートでも7割以上の者が引き続き望んでいると明確に読み取れます。それは、やはり有職社会人にとっては時間的・距離的な弊害がリモートだと少ないというところ、それから在宅勤務の状況の変化なども影響しております。大学の近くに勤務場所があったので、コロナ前であれば通いやすかったが、自宅で勤務になるとなかなか通いにくいというような、特殊な事例もあったりするわけであります。それから、これも社会人という年齢から来ることでありますけれども、コロナ感染の危険を回避できるというのが、コロナ禍では現実的な問題として、高齢の家族と同居の場合もあるというところでございます。
 他方で、対面授業の場合は質問のしやすさとか学生との交流の機会の確保、それから自宅からのオンラインだと家族がいてなかなか授業に集中できないだとか、3割程度はそういう対面の重要性も認識しているというアンケート結果もございます。ただ、これはリモートを否定しているというよりも、対面の場合のメリットについてこういうものがあるという意見が中心だったと思います。そのため、今後もリモート授業と対面の組合せの要望というのは、特に有職社会人の学生にとっては支援策として非常に重要であると思っております。
 また、開講科目の関係で、他大学と単位の互換協定など連携を結ばなければいけないということがございまして、実際、筑波大学でもそういう協定を結んでいるわけでありますけれども、やはり提供を受ける科目は昼に行われているということがございますので、どうしてもオンデマンド授業が必要になってくるというところがございます。今後も引き続き、この状況というのは強い要請がある、支援策としては重要だという認識を持っております。
 それから、期末試験の実施方法につきましてですけれども、レポート形式を望む声が9割以上ございました。勉強時間が日中なかなか確保できないという学生、そして科目特性に応じれば、何か暗記をして吐き出すというよりも、レポートで深い理解を試す試験のほうがよりよい学習になるという意見が多数寄せられておりまして、このようなレポート試験の継続した実施と双方向性を確保するような手当てもしていくことが望まれるところであると認識しております。
 それから、22ページの第4のところ、本学で社会人学生の支援のために取り組んできたものを少しだけ御紹介させていただきます。
 第4の1ですけれども、入学前から法曹資格取得まで一貫した学生支援を試みております。その下の表で書いてありますように、入学前におきましてはガイダンスで学習方法の指導、これは各校もされているところと思います。また、入学後にスムーズに授業についていけるように、補講的な意味合いでもチューターゼミを入学前用に用意をしていたりします。
 それから入学後においては、先ほども御紹介したとおりICTの活用、それから、就業時間が夜でのチューターゼミ、長期履修制度の活用、あとは個別の担任制を設けておりまして、各学生が一対一の専任教員の担任制を持っておりますので、有職社会人ならではの相談などにも対応して支援をしているというところでございます。
 それから、ICTの活用と同じような要素になってくるかもしれませんけれども、従前から筑波大学では授業を全て録画させていただいているというところで、社会人が少ない時間の中でも有効に復習ができるように、授業を見て復習をする機会を設けております。
 それで、この図で簡単に申し上げますけれども、修了後におきましては法曹学修生という制度を設けまして、それに基づきまして、同じように筑波大学の設備を利用できたりする機会を設けさせていただきます。
 また、修了生に向けた先ほどのエクステンションプログラムという講座も用意しておりまして、修了してから司法試験があるまでの間、学修が途切れないように、近時の判例や学説の動向などを科目別に指導するような講座も設けているところでございます。
 あとは司法試験が終わった後に、次に向けてのきっかけづくりということで、昨年は司法試験の再現答案会というものを修了生の発案に基づいて実施しまして、いい機会になったという意見を聞いております。
 それから、さらに合格後の話でございますけれども、これは正式なプログラムではございませんが、司法修習に向けて、元司法研修所の刑事・民事教官が専任教員としているものですから、やはり司法試験合格発表後、司法修習までの間、有職社会人は仕事漬けになってしまって、なかなか昼の学生さんが受かった後のような準備は十分できないということで、法曹資格を取って自分が目指した最終目標に行くための支援として、よき修習を過ごせるように、修習前と修習中にゼミ的な指導をしてフォローしているということでございます。
 さらに、法曹資格を取得した後におきましても、今度は学生から大学に還元してもらう機会があります。エクステンションプログラムの講師を担当したり、あとは非常勤として実際に講義を担当してもらうとかいうことで、円環構造と申しますか、また帰ってきて、大学のために今度は尽力してくれるというようなつながりを持っております。
 最後、23ページにございますけれども、先ほども申し上げたとおり、さらなる支援策はどうしても必要だという認識を持っているところでございます。教育面では、先ほど申し上げたとおり、科目特性に応じたレポート形式の試験の実施ですね、これはぜひ皆様方とも、支援の一策になるという認識を共有していただければ大変ありがたいと思っております。
 また、オンデマンド授業を活用した履修ということでございます。先ほど申し上げたとおり、昼の他大学さんと協定等を結んだ場合には、どうしてもオンデマンド授業が必要になりますし、また、科目特性に応じては、そのほうが学習効率がいいという意見も多数寄せられておりまして、それは他の法科大学院の状況とも同じようなところがあろうかと思いますので、そうしたところの支援策が大変必要になってくると思われます。
 あと、最後に書きましたことは、支援策というよりも、やはり社会人が法曹を目指すための一つのハードルになっているものとして、お仕事を辞めなければいけない、辞めて修習に行かなければいけないという状況が見てとれるわけであります。これは社会全体の問題ではありますけれども、なるべく法曹資格を取りやすい状況が勤務先でもつくれるということになると、法曹志望者もさらに増えていくのではないかというところでございます。
 少し時間をオーバーしてしまいまして、すみませんでした。筑波大学から、まずは報告とさせていただきます。どうもありがとうございました。
【山本座長】  姫野先生、どうもありがとうございました。
 それでは続きまして、日本大学の須藤先生、よろしくお願いいたします。
【須藤法務研究科教授・専攻主任】  日本大学の須藤でございます。よろしくお願いいたします。今日は機会を与えていただきまして、ありがとうございます。大変感謝しております。これからお話しさせていただきます中で、意見にわたる部分は私の個人的な意見でございますので、その前提でお聞きいただければと存じます。
 早速ですが、資料の通し番号24ページからでございます。
 今日は主に社会人学生の実情について御報告させていただきます。通し番号25ページの上を御覧いただけますでしょうか。
 日本大学は平成16年の最初からロースクールを開講しまして、平成27年から夜間コースを設けました。日本大学は、もともと明治22年(1889年)の日本法律学校がルーツで、夜間部の学生を受け入れていた歴史がありまして司法試験の成績もあまり振るわなかったこともあり、建学の精神も考えて夜間コースも実施しようではないかということで、平成27年から実施になりました。私は、平成27年から日本大学に奉職しましたので、この開始前の議論は十分には承知しておりませんが、内部では本当に激論で、反対意見も強かったようですが、最後は押し切るかたちで、この夜間開講を始めたというのが実情のようでございます。
 当初の定員はもともと100名でしたけれども現在は60名で、既修45名・未修15名という内訳で、募集に際して昼夜の区別はしておりません。実際に今年入学した人は、60名募集して41名です。受験したのは250名で、合格者は59名合格としましたが、手続をしたのは44名です。そのうち3名が、合格後4月に入るまでに、仕事上の都合で通えないので辞退するということで、実際に入学したのは41名、昼間14名・夜間27名という状況あり、夜間が倍になっております。
 学内では、もう少し多く合格者を出しておけばいいのではないかという議論がないわけではありませんが、過去に日本大学が失敗したのは、定員充足率を気にして数合わせをし、選抜がやや甘くなってしまった結果ではないのかと反省しまして、質を重視することになりました。アドミッション・ポリシーにもありますように、入試の厳格化をして無理に取らないということで、後で申し上げますけれども、司法試験の合格率なども改善してきているのが実情でございます。
 資料25ページの下のほうですね。60名の定員で、実際には40名程度が入学してきますけれども、現在の在校生は88名です。先ほど、筑波大学のご説明で在校生がこんなに多いのだと知りまして、日本大学とは実情が違うのではないかということを感じました。日本大学の場合には、長期履修者は、各学年に1名か2名であり、全体でも9名です。休学者は数名しかおりません。筑波大学の休学者の数が多かったのには少々驚きました。
 では、日本大学がどういうことで社会人学生に選ばれているかというと、実は奨学金を受けることを目当てにしている学生も少なくございません。日本大学の場合には、ロースクール(大学院法務研究科)の奨学金、日本大学全体の奨学金、それから外部の奨学金に加えて、学生支援機構の貸与制奨学金もありますので、奨学金が潤沢に出るというところを学生は結構よく知っているようでございます。
 次に、26ページで、司法試験の最近の状況でございます。これは順位で挙げてございます。昨年は71名受験して17名が合格し、最終合格率は23.94%でした。令和4年はまだ短答試験の結果しか発表になっておりませんが、75名中61名が合格しまして、人数順で言いますと全国で第10番目ということでございます。
 この合格率は81.33%でして、これは全国で13位ですけれども、実際には受験生が1人とか2人だけで、全員が受かりました。合格率は100%ですという大学が、3校あったりしますので、合格率順位も実質的には1桁のところに来ているのかなと考えております。先に触れましたとおり、アドミッション・ポリシーを厳格に適用したことがここ数年の成果が表れているのではないかと考えております。
 資料26ページの下のところ、修了生の進路としましては、もちろん受かれば弁護士や企業内弁護士ということになりますが、実情を申し上げれば、40歳を超えると普通の弁護士事務所はなかなか採用してくれません。そのため、社会人学生は就職先をどうするかを、併せてある程度考えないといけません。日本大学の場合には、日大法曹会が全面的に協力しておりまして、今のところ合格者の就職率は100%でございます。それから、人によっては就職が簡単ではないというところから、地方自治体に自ら働きかけて、修習に行く期間、休職ができるように条例を改正してもらった人もいます。また、修習に行かずにそのまま会社に残るという人もおります。
 受からなかった人はどうかといいますと、裁判所の職員とか公務員になっている例もございます。一般の会社員、司法書士、行政書士の資格を取る者、それから法律事務所に勤めるという人もいます。中には、実家を継いだという人もございます。書きませんでしたけれども、司法試験浪人も実はおります。再度ロースクールを希望しているという人もおりまして、その多くは、日本大学ではなく他のロースクールに進学しているのが実情ではないかと思っております。
 なお、合格した人は日大法曹会で登録をしていますので把握できていますが、受からなかった人の把握は容易ではありません。受からなかった人の進路がどうなっているかを把握するよう言われますが、これは、隘路があり難しいのが実情です。そもそも受からなかった本人が、受からなかったことをいつまでも言われたくないので、こちらから連絡を取っても返事が来ないのです。それでも、進路を把握しようとこちらから何回か接触しますが、本人から嫌がられますので、事務方が疲弊してしまいます。そのような無駄なことをあまり強調するのはどうなのかなというのが、個人的な感想です。
 次に、27ページでございます。合格者から見た日本大学ロースクールの特徴というのは、やはり適正規模だというところが一番大きいのではないでしょうか。講義科目でも1クラス大体20名、演習科目であれば15名以下ぐらいで行っていますので、教員から見ても学生の顔と名前が一致しています。「ああ、今日は○○さんは体調が悪そうだな」とか、いろいろ分かりますし、授業の合間に少し話をしたりもできます。
 また、多くの学生が、日本大学ロースクールは都心にあり通いやすい、ということを大きな理由として挙げています。それから昼夜開講なので、夜に都合が悪くても、昼間に時間ができたら昼間の授業に出席できる、昼間に都合が悪くても夜間の授業に出席できる、こういったことで昼夜開講のメリットがあると言います。
 それから、コロナでオンライン授業になりました。実は平成27年に夜間部を行う際に、筑波大学が先行でいろいろ行っていましたので、そこからお教えを受けて、日本大学もICT授業に必要な設備などをいろいろ整えておりました。したがって、新型コロナウイルスの感染拡大のときも、日本大学は何の問題もなくオンライン授業ができるようになっていました。ただ、学生側の体制が整っていませんでした。PCを持っていないとか、スマホでは契約している通信容量が足りないとか、大量の資料やレジュメを自宅ではプリントできないなど多くの問題がありました。日本大学ロースクールでは、PCの貸し出しや、画面に顔を出さなくてもいいことにして通信容量を抑えることなどのほか、授業のレジュメなどについては、学生一人一人の履修科目を全部洗い出して、選択している全科目の資料やレジュメのプリントしたものを3回に分けて発送するという膨大な事務作業を行いました。そういったことで、学生の学修を支援し、学生から非常に喜ばれました。
 それから、筑波大学からのご発表にもありましたように、日本大学ロースクールでは、修了後も引き続き研修生として登録すれば、年間1万円で自習室や図書室を使うことができますし、自主ゼミと称しておりますけれども、年様々なゼミや答案練習に参加することもできます。のようなアフターサービスも充実していますので、非常に研修生からは喜ばれております。
 次に、今年入学した社会人学生の実情が、27ページの下側でございます。41名の内訳として、20代が13名、30代が13名、40代が11名、50代が3名、60歳以上が1名です。資格を持っている公認会計士、企業の法務担当、公務員、会社経営、それからマスコミ関係も結構おります。そして、一般の会社員ですね。それから今年の入学者ではありませんが、在校生の中には、医師、税理士、司法書士、行政書士、会社役員もおります。それから国会議員の秘書も、昨年までに3人ほど司法試験に合格しております。今後のことを聞きましたら、将来は国会議員を目指したいという人もいました。
 今年度の実情としては、法曹5年一貫コースも始まり、在学中受験ができるようになったことで、ロースクールに再チャレンジするという人の数が増えてきております。既修で入学して、1年我慢すれば、ロースクール2年目には司法試験を受験できるということで再チャレンジ組が増えたというところがございます。
 それから中身を見ていますと、実際には、未修といっても法学部を出ている人もいますし、反対に既修といっても法学部を出ていない人も結構な数がいます。これは、予備校で勉強してきて予備試験も目指したけれども頭打ちを感じていて、「きちんとロースクールに行ったほうが良い」と先輩から言われたて来たという学生もおります。
 それから、40歳後半から50歳ぐらいの人というのは、人生リセット、将来へのチャレンジという感じが結構多いです。今は75歳とか80歳ぐらいまでやろうと思えば弁護士ができますので、40歳を超えてくると、「将来は今の会社ではなく、弁護士になって何とかならないか」ということでチャレンジしてくるということです。頭のいい人が多いので受かるのですが、先ほど申し上げたように、事務所探しに苦労する場合が少なくありません。
 次に28ページ、社会人学生の実情ですが、先ほど筑波大学の発表でもありましたように、予習・復習の時間が取れないというのが一番の悩みでございます。したがいまして、学修や授業の効率化、隙間時間の活用、授業がない期間の学修サポート、こういったものが大変重要になります。それから、自習室の利用時間を広げてほしいなど学習環境の整備に関する要望が非常に多いのも特徴のひとつです。
 学修環境の整備については、次から次へ細々とした要求が出てまいります。社会人学生は要求や交渉をし慣れているところがありまして、例えば、プリンターは学内に何台も設置していますが、それでも「○○さんが一度に何台も使っているので使えない。自分も時間がないので今すぐ使いたいから、もっとプリンターを増やしてほしい」とか、冷蔵庫も幾つか設置していますが、さらに増やしてほしいなどです。中には、「冷蔵庫に賞味期限が切れたものを入れている学生がいる。これをきちんと処分するように言ってほしい」とか、大変な細々とした要求をいってきます。それから、コロナのせいもあるのかもしれませんが、自習室警察みたいなことをする社会人学生も出てまいりました。例えば、「○○さんはが予備のトイレットペーパーを持ち出して自習室の自席でティシュ代りに使っている」とか、「学生ラウンジで食事をしたあとが汚いので、何とかしてほしい」などと、逐一言ってくるため、対応に事務方が疲弊するといったようなこともあります。
 もう一つ、日本大学の場合、社会人学生の3分の1ぐらいは、勤め先にロースクールで学んでいることを報告していません。ですから、会社の自分の部屋や会議室などからオンラインで参加することができません。ではどうしているのかというと、実際にオンライン動画で見ていると、駅のベンチで、電車が入ってくる音が後ろからするようなところで授業に出ている、もしくは会社の外のベンチで授業を受けている、もしくは通信環境が悪いので途切れてしまうような場所で受けているとか、そんな状況になっております。
 もちろん、オンライン授業やオンデマンド授業の要望は強いです。ただ、忙しくて授業に出られない学生が本当にオンデマンドを見たのか、オンデマンドで十分勉強できるのか、これは非常に問題があるように感じています。そういった意味で、オンデマンド授業のときには必ず課題を出してその課題に答えてもらうことをセットで行っていますけれども、その課題も、授業を見ないと答えられない内容にしないと意味がなくなってしまいます。そのため、実施には様々な苦労があります。
 そして、社会人学生の悩みや弱点は様々です。家族の悩み、仕事の悩み、親の圧力、受験や学修のストレスなどです。実際に年間何人かはストレスで勉強があまり手につかなくなる人が出てまいります。
 それから別の意味での弱点として、再度ロースクールに入ってくる人というのは、既に一定の知識はあるのですが、変なプライドやコンプレックスがあったりします。授業でもほかの学生を見下そうとしたり、素直になれない人も結構います。そういう学生は、もう一歩で合格できるのですが、どうしても知識にこだわった答案になりがちなのが弱点ですので、教員側は、にどうやって素直になってもらうかを考えるということになります。
 また、理系の学生の弱点は、地頭は良いのですが、法律のルールがなかなか腑に落ちないという点です。自然科学では、真理というものは動かないし、動かしてはいけないものですが、法律の世界では、条文に書いてあっても、解釈で勝手にいろいろいじってしまう。議論の前提に普遍性がない、「ルールは人が決めて、人がつくるのですね」という感想を言った学生がいて、私は大変ショックを受けました。ルールを実情にあわせて相対化して説明するといっても腑に落ちていないので、形は分かっていても、それを個別具体的なケースに適用するというときに、なかなか納得できないのです。
 それから、28ページの下側、昼夜開講の実情でございます。昼間の授業は1日に5コマありますけれども、実際には学生も時々アルバイトしたりしていますので、1限目はあまり希望しません。そこで、大体、2限、3限、4限、5限で、5日間に20コマの中にカリキュラムを入れます。これに対して夜間は、1日に6限、7限の2コマしか取れません。土曜日も実質は4コマですので、合計14コマの中に、昼と同じ科目数を入れますので、こうした入り具合になります。しかも、学生も7限(20:10~21:40)はあまり希望しません。7限は自分の勉強をしたいというわけです。ですから、どうしても6限の科目が多くなります。そうなりますと、必修科目を優先的に入れますので、それと競合する選択科目や先端科目を取りたくても取れないような状況も生じてきます。そこで、そういったところを柔軟に調整することも必要でございます。
 それから、29ページのカリキュラムですが、昼間と夜間の授業内容をどう調整するかという問題も生じてきます。昼間と夜間に同じ内容の授業をやるためには、担当の教員が違えば調整しなければいけませんので、これも大変な苦労が必要でございます。
 学生から見れば、仕事をしているのに1日2科目授業を受けるというのは大変なことです。仕事関係の資料だけではなく、授業のための資料等も持ってきますので、かなりな荷物になっている人もいます。何とかそこをサポートできないかということで、例えば日本大学の夜間コースは、六法は持参しなくても、教室棟の入口にケースに入れて置いてありますので、司法試験用六法とポケット六法は、大学に出てきてもらえば見ることができる状態です。先ほどのオンライン授業等で、学生に質問をすると、社外のベンチに座って授業を受けているので、「すみません、条文が手元にありません」とか、「判例百選が手元にありません」と言ったりするのです。オンライン授業には、やはり長短あって、そう簡単にいいとばかりはいえない実情もあるということを申し上げたいと思います。
 そして、30ページ、予習・復習の軽減です。コロナ禍で時間がないということですので、予習をどう減らすかということでございます。演習科目の場合、判例を前提にするのであれば、「事実の概要」と「判旨」だけは読んでくるよう伝えます。その解説などの中身は授業をやってから読むほうがずっと効率がいいのです。理解していないものを幾ら読んでも、学生は分からないと言うわけです。多くの資料を事前に学生に投げて、「これを十分に予習してきなさい」という授業もロースクール当初は結構ありましたけれども、それはもう社会人学生はやめてくれと言います。
 それから、復習を授業に組み込むというものですが、私はこれを実施しています。1回90分の授業のうち30分~40分は前回の復習をします。そして50分~60分で今日の分をします。積み残しになることはありますけれども、基本を説明しておけば、積み残しになっても、自分である程度学修できます。そして次回に復習しますので、学生からは、理解が高まると結構好評です。
 それからもう一つ、資料には書きませんでしたが、学生のモチベーションをどう維持するのかということも、社会人学生には非常に重要なテーマでございます。私の場合には、社会人学生に対して、授業内で「弁護士になって自分ならどうするかを考えて」といっています。説明のときに、「実務でこんな事件があった。代理人はこんな苦労をしていた。皆さんもこういうことに気をつけないと自分の依頼者に訴えられたりするんだからね。」などという話をはさむことで、法律家になるというモチベーションを少しでも維持してもらえればという気持ちです。
 それから、様々な学修支援についてですが、これは筑波大学がおっしゃっていたことと同じようなことを行っております。入学前研修や、今はありませんがコロナ前は軽井沢にある研修棟でお盆の時期に夏季合宿も実施していました。ただ、社会人学生の多くが出られませんので、社会人学生向けの「夏季集中特別講座」を神保町校舎で1週間、1日2コマで5日間で10コマ、社会人学生向けの特別講義を行っています。春休みには「基礎重点項目講座」ということで、主に初歩的な知識の復習に役立つような講座も行います。それから、さまざまな科目の自主ゼミなども数多く行っています。
 そういった中で、入学増加に向けた取組は筑波大学と同様でございます。リクルートその他の様々なチャンネルも利用しておりますけれども、これは年間に相当な費用がかかっております。全部で数百万円どころではありません。民間の情報に上げてもらうためには大変なお金を使っておりまして、ロースクールというのは本当に金食い虫です。
 終わりにということで、社会人に開かれたロースクールという中で、私が社会人学生と話をしていて考える最大の問題は、司法試験のレベルと学修レベルがなかなか一致しないということではないかと思います。特に未修の社会人学生にとって司法試験が難し過ぎます。合格率だけ言えば上位校というのはあるわけですが、実際には上位校でも半分もしくはそれ以上の人は落ちているわけです。そういう人たちが、「ロースクールに行っても受からない」ということを言っていますので、社会人学生はロースクールへ入るのはリスクが大きいと感じているようです。それで、勉強してロースクールに入って司法試験に合格できそうだという見込みが立たないと、実際は入学してきません。それまで何をしているかというと、予備校に行って予備試験を受けたりします。予備試験は現在も約1万3,000人が受けていて、最終的に400人程度が受かります。予備試験を受けている膨大な社会人学生が残っていますので、先ほども申し上げたように、そういった人たちに、「予備校ではなくロースクールできちんと学ぶことが早道である」というような情報発信もしております。
 それから最後に、口幅ったいことで大変申し訳ないのですが、社会人が困難を伴わずに学べるロースクールが身近にあるということが、大変重要ではないかと思います。実は日本大学の進学相談会で、仙台の医師の方から、「週1回、東京の病院で働いていて、東京に出ているので、その機会を利用して週2日間、日本大学の夜間で勉強して、あと土曜日に出てくれば卒業できますか」という質問を受けたこともあります。ただ、先ほどご説明させていただいたように、週2日+土曜日ではやはり履修できる科目が限られて単位数が不足してしまい、修了は難しいのが実情です。やはり、身近に社会人学生を受け入れるロースクールがあるということが、日本社会全体の司法アクセスの整備に役立つのではないかと思います。
 そのときに、オンラインやオンデマンドの授業はもちろん有効ですけれども、基本的に多種多様なロースクールが存続できるという前提がなければ、多様な法曹というのは養成しにくいように思います。そのためには、司法試験の合格率を基準としてロースクールを格付けすることは、なるべく避けていただきたいと考えています。小さなロースクールは小さなロースクールなりに存在意義がありまが、このままいけば、小さなロースクールはまた潰れかねない状況にあるわけです。日本大学は、ルーツが日本法律学校ですから、歯を食いしばってもやり続けると覚悟しておりますけれども、そのような意義が見当たらないロースクールは、法人としての大学にとって大きな赤字を出しながら続ける意味が少ないので、現にやめてしまっているわけです。小さなロースクールが存立できて、それぞれがある程度自由を認めてもらい、そして社会人学生も受け入れる、そういう制度をぜひとも先生方に御議論いただき、ご支援をいただければ、大変有り難いと考えております。口幅ったいことで申し訳ありません。
 なお、社会人学生を教えるということはやりがいがありますので、協調させていただきます。現役の学生は受かってしまうと、ほとんど連絡が途切れてしまいますが、社会人学生は、受かった後も、「修習でこんなことがありました」とか、「弁護士事務所に入ってこんなことをやっています」というような連絡が続きます。社会人学生は、ある程度世の中で揉まれていますので、教員に対する感謝の気持ちを結構持ってくれていますので、社会人学生を受け入れるやりがいというものもあると思っております。
 時間を超過してしまいましたが、お聞きいただき、ありがとうございました。以上でございます。
【山本座長】  須藤先生、どうもありがとうございました。
 それでは、審議に入りたいと思います。
 先ほど事務局からも説明がありましたけれども、通し番号16ページにある資料1-2の論点(案)なども参照しながら、御議論をいただければと思います。御発言に当たってはいつものとおりですけれども、挙手の機能でお知らせをいただきたいと思います。冒頭にお名前をおっしゃっていただいて、御発言が終わりましたら、手を下ろす操作をしてミュートに切り替えていただければと思います。
 最初に、先ほどありましたが、本日御欠席の清原委員から御意見を頂戴しておりますので、事務局から説明をお願いいたします。
【森下専門職大学院室長】  事務局でございます。
 清原委員提出資料ということで、会議資料とは別途に送付させていただいた資料でございますので、お手元を御覧いただければと思います。資料1-2の論点に沿ってあらかじめ意見を賜りましたので、御紹介いたします。
 論点一つ目の社会人志願者を増やすための方策については、法科大学院協会や法曹三者などと連携・協働してのPRが重要ではないかということ、あと夜間開講などについては、加算プログラムで引き続き評価すべきであるというような御指摘をいただいてございます。
 また、論点の二つ目でございますけれども、社会人学生に対する配慮や工夫として、筑波大学から御提案のあったレポートによる評価であるとか、あと、入学前から法曹資格取得までの一貫した学生の支援策、また、日本大学の昼夜開講で同一内容の授業を行うなどの柔軟な受講の保障、こういった事柄については、それぞれ社会人には有効であろうというような御賛同の御指摘をいただいてございます。
 時間がございますので割愛いたしましたけれども、ほかにも貴重な御指摘を賜ってございますので、詳細は配付している資料を御覧いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【山本座長】  ありがとうございました。
 それでは、皆様から御発言をいただければと思います。一応、論点(案)というのがありますが、特に区切りませんので、どなたからでも、また、どの点からでも結構ですので、御自由に御発言をいただければと思います。いかがでしょうか。
 それでは、大貫委員、お願いいたします。
【大貫委員】  大貫です。筑波大学の姫野先生、それから日本大学の須藤先生、大変充実したプレゼンを拝聴させていただき、ありがとうございます。
 私からは御質問ということではなく、お二人のプレゼンをお聞きして、意見を二つ申し上げたいと思います。やはり共通して、2大学とも社会人を中心に、特に筑波は社会人だけですので、非常に大変だということがよく分かりました。
 まず、本日の筑波大学のプレゼンですが、21ページ、22ページのところですけれども、レポート試験について言及がございます。レポート試験は理解が深まり学修効果が高い、問題点を深く考察できるということが指摘されております。この点について私は大変重要だと思っております。
 成績評価は、学修者を到達目標に至らせることをも目的としていると考えるべきだと思います。我が国では成績評価といいますと、ともすれば学生を選別する道具のように捉えられがちですが、そうではなく、学修者を学修目標に到達させるための手段として考えるべきなのだろうと思います。学修理論では、学修者の到達を図って、学修の改善に役立てるための評価が重要で、これを形成的評価というのだそうです。評価を通じて学んでもらうことも、まさに成績評価の目的だろうと思います。レポートによる評価は、評価を通じて学生に学んでもらうという観点からすると、決して劣った評価方式ではないだろうと思います。
 また、学修理論では、成績評価は、修得した知識やスキルを使う活動が実際に行われる文脈にできるだけ近い形で行うのがよいとされているそうであります。この観点から、レポートによる評価は優れた評価と言うこともできると思います。
 以上のような観点から言いますと、時間を限って情報を遮断した評価方法、今の定期試験が一般的にそうですが、そうした評価方向が必ずしも常に優れているとは言えないような気がいたします。レポートによる評価方法が、勉強時間を確保できない人のためというような消極的な位置づけではなくて、成績評価方法として適切な条件づけを伴って、積極的に位置づけられるべきではないかと考えております。
 また、認証評価機関においても、実効的で多様な評価の在り方を御検討いただくことを通じて、レポートによる評価を、コロナ禍における次善の評価方法として位置づけるのではなく、より積極的に評価していただけないかと思っている次第であります。
 少々長くなりますが、次に、日本大学のプレゼンから触発されたことを申し上げます。須藤先生のプレゼン資料の30ページでしょうか。関連する事項を系統的に説明・解説することや、科目横断的な汎用性のある知識を多く修得させるといった、効果的で効率的な授業のための工夫をする必要性が言及されています。これはプレゼンでは必ずしも言及されませんでしたが、資料にはそのように記されています。この御指摘は、とりわけ時間がない社会人の方を念頭に置いたものですが、未修者一般、さらには既修者にとっても重要な御指摘ではないかと思いました。
 我々教員は個別の科目について、どの範囲を、どの程度、そしてどう効果的に教えるかについては、かなり深く考えて講義をするようになっているように思います。これは法科大学院が始まってから随分たちますので、スキルアップしているのだと思います。しかし、分野を超えて関連する事項を体系的に説明したり、科目横断的な汎用性がある知識をそれと意識して教えているかどうかに関しては、どうなのでしょうかと言わざるを得ないと思います。
 科目を超えた体系性、科目横断的な汎用性のある知識については、学修者が勉強する中で獲得し、理解すべきものなのかもしれません。しかし、今言及したような体系的思考枠組みは、科目横断的、汎用的な知識を、学修者が一人で獲得するのは容易でありません。とりわけ法学の初心者にとってはそうだろうと思います。全てを一から手を取り足を取り教えるのが望ましいとは言えませんけれども、教師の側は、科目を超えた体系性、科目横断的で汎用的な知識を意識した講義をすべきではないかと、須藤先生のレジュメを拝読して思った次第であります。
 学修者に全てを教え尽くすのではなく、問題解決に必要な知識やスキルを一人で学ぶことができる力をつけさせるのが、教師の役割だと思います。そのために必要なことは、確実に教え、しっかりと身につくまで、小さな段階を踏んで何度も練習をさせる必要性があるのだろうと思います。科目を超えた体系性、横断的で汎用的な知識も、積極的に教師から提示し、繰り返し反復させるに値するものだろうと思います。
 山本五十六の有名な言葉で、「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、褒めてやらねば人は動かじ」という言葉がありますが、まさにそのようなことが重要だということを、須藤先生のプレゼンを聞いていて思った次第でございます。
 以上です。
【山本座長】  ありがとうございました。それでは、ほかにいかがでしょうか。
 笠井委員、お願いいたします。
【笠井委員】  ありがとうございます。大貫委員の大変高尚なお話の後に、あまりレベルの高くない質問なのですが、姫野先生と須藤先生のお二方に、社会人に特有の事項として、私が以前から気になっていることが少しありますので、御質問したいと思います。
 これはかなり前に、社会人を受け入れて夜間開講等をしている法科大学院を訪問して、その法科大学院は既に今ないんですけれども、そのときに感じたことなんですけれども、有職社会人で辞めずにそのまま仕事を持って来られている方が、司法試験などの合格について芳しくないということの理由として、そこでは逃げ道があるのではないかという話が少し出ていいました。
 つまり、既に仕事を持っておられて、法曹にならなくても自分は食いっぱぐれることはないということを前提にすると、どうしても勉強が大変なので、やはりモチベーションを維持するのが大変で、結局は「元の仕事でいいか」となってしまうということも聞いたことがありまして、筑波大学と日本大学の場合、そういったことについてのお悩みはないでしょうか。
 あるいは、私の経験というのはかなり昔の話で、法科大学院ができて数年という段階での話ですので、今は少し全体的に違っているのではないかという感じもするのですが、そういったことからすると、入学者を募集する段階で、そういうモチベーションがある人に入ってもらわなければいけないという工夫も必要になってくると思いますので、そういったことも含めて、逃げ道があるから法律の勉強についてやる気が結局は維持できないということがないようにするための工夫を、両先生に伺えればと思います。
 以上でございます。
【山本座長】  ありがとうございました。
 それでは、姫野先生、もしお答えいただけるのであればお願いします。
【姫野法曹専攻長】  筑波大学の姫野です。御質問ありがとうございます。
 振り返りますと、私も同じような状況で受験していました。司法書士の資格を持っていたので、司法書士でいけばいいかなとか思っておりました。ただ、やはり最初、法科大学院に行くという決意をする段階で、金銭的な負担、それから、社会人なので御家族を持って一家の主として養っている、それを犠牲にしていくというところもございます。様々なものを犠牲にして法科大学院に行き、法曹を目指すというところなので、確かに勤務先というのはございますけれども、決意した以上は何とか達成したいという気持ちを持っている方は、それなりにいるのではないかという気がいたします。ただ、他方でやはり法学との相性だとか、なかなかうまくいかないというところに関して中退される方も、僅かではありますけれども、一定数はいるということでございます。
 私は実務家教員ですので、実務の講義をする際には、やはり学生のモチベーション、気を許すとすぐ仕事に行ってしまいますので、生活の中心が仕事でございますので、そこにもう一回戻ってくるようなこととしては、先ほどもお話があったと思いますけれども、受かって何をやりたいのか、恐らくそれを求めて法科大学院に来ている。だから司法試験が目標じゃなくて、司法試験は手段で、君たちがやりたいことは何なのか。そのために、実務講義の中で私が体験した意見が様々あります。その中で本当にやりがいを感じた、あるいは代理人の工夫で負ける事件も勝つ事件もあるんだよと。最終的には依頼者の笑顔が見られる可能性がある、そういうところをモチベーションにして、なるべく勉強に忙しい中でも専念してもらうような工夫もしながら、そこら辺はモチベーションを維持してほしいというところで行っております。
 それで今、経済的な問題も申し上げましたので、少し付言させていただきますと、社会人ということで、奨学金の申請をしてもなかなかハードルが高かったりとかいうことがございます。ですので、今後の社会人支援としては、社会人向けの支援機構ですか、日本学生支援機構とか様々な奨学金、そういうものもあるとよろしいかなと思います。お金はあるといっても、一家の大黒柱が学びに来ているわけなので、家計を維持しなきゃいけないというのが切実な問題なのです。実際に学生からもそういう意見を聞いています。
 あとは、教育訓練給付金で、特に未修者の基準でハードルが高くて、なかなかそこを取り入れられていないという部分がございますので、そういうところも社会人支援として、基準の見直し、緩和等があると、金銭面でもチャレンジしやすくなるということがあって、そういうものを頂いた以上は頑張るというところも一つあるのではないかという感想を持っております。
 以上でございます。
【山本座長】  ありがとうございました。
 モチベーションの件は、先ほど須藤先生からも御指摘があったかと思いますが、須藤先生から、もし補充いただけるところがあればお願いいたします。
【須藤法務研究科教授・専攻主任】  
日本大学は、入学試験は500点満点で判定いたしますが、まず志望動機を書いた書面審査が50点、そして論文試験が300点、面接が150点という点数配分です。先ほど御心配があったような、逃げ道としてのロースクールみたいなことをする人というのは、この志望動機を書いた50点の書面審査のところで、大体そういったものが出てきてしまいます。それから、面接が150点ですが、そこでのやり取りの中で必ず出ます。この二つでメリハリをつけた採点をすることで、そういう人はなるべく入ってこないように工夫しているつもりです。
 日本大学での実情を見ていますと、最近の社会人学生は、逃げ道があるからということではなくて、逆に必死ではないかと思います。特に日本大学ロースクールはレベルが上がったせいもあって、変な言い方ですが、本当に真剣に取り組んでいる人しか来ていないのです。どちらかというと、昼間の現役の学生にはときどきモラトリアムみたいな感じで、就職したくないものだからロースクールに進学したという感じの者がいないではありません。日本大学では、社会人学生よりも現役で来る学生の方にそのような心配があることもあるのではないかと考えております。
 以上です。
【山本座長】  ありがとうございました。笠井委員、よろしいでしょうか。
【笠井委員】  大変勉強になりました。ありがとうございました。
【山本座長】  ありがとうございました。
 それでは、大澤委員、お願いいたします。
【大澤委員】  大澤でございます。
 今日は、姫野先生、そして須藤先生、本当に興味深いお話をありがとうございました。
資料を昨日拝見しましたが、飽きずにしっかり読むことができました。それを拝見いたしまして、本当にどちらの大学とも、それぞれの大学でできる工夫とか努力を尽くされているなという印象を持ちました。
 そういう中で、有職社会人の学修環境がより良くなっていくためには、派遣先、現の在職先の御理解がどれだけ得られるかということが、むしろ非常に重要なポイントかなという気もいたしました。
 そういう問題意識から伺わせていただきたいのですけれども、筑波大学の姫野先生のプレゼンの中で、どういう形で社会人学生が入ってくるかということで、リカレント教育の一環として職場から勧められる場合などがあると書かれておりましたけれども、職場にきちんとオープンにして、職場からの理解を得て来られている学生と、そうではない学生との比率というのでしょうか、それはどんなものなのでしょうか。
 この点は須藤先生から、3分の1ぐらいは職場へオープンにしない形で来られているというお話がありましたけれども、オープンになっているかいないかというのは、その後の進路の問題とも関わっているのだろうと思います。派遣的な形で来ている場合、受かったら辞めていってしまうというのは、多分、職場はあまり歓迎しないのでしょうから。職場の中でさらにその資格を使ってキャリアを積んでいくというようなことが想定されるのかもしれませんけれども、その辺り、職場の理解が得られているか得られていないのかということと、その後の進路がどうなっているのかというのを、我々、有職社会人が多くはないところにいてよく分からないものですから、少しお教えいただけたらということで質問させていただきました。よろしくお願いいたします。
【山本座長】  ありがとうございました。
 それでは、姫野先生からお願いできますでしょうか。
【姫野法曹専攻長】  ありがとうございます。姫野でございます。
 職場へロースクールに通っていることをオープンにしているかどうかという観点では、緻密な統計は取れないものでございますけれども、接している中では、大半は職場にオープンにして、例えば勤務時間が遅番のものがあれば早番にしてもらったりとか、ある程度は職場の理解を得て、ロースクールに来てもらっているという人が中心なのかなと思います。もちろん中には、職場には一切内緒にして通っているという人もおりますけれども、多くはオープンにしています。
 そして、オープンにされている学生さんについては、合格後は恐らく1年間の修習への理解もあるのでしょうし、そのまま職場に残って勤務先に貢献するというパターンもございます。中には職場の理解を得て、弁護士として法律事務所に行くというパターンもございますが、どちらもあって、職場と良い関係を築いて法曹になれているというのが一般的な感じかもしれません。あるいは理解いただいた分、数年は職場で働いて、その後、キャリアアップで弁護士として事務所に配属される方もいるのかなというところではございます。そのような感想ではございます。
【山本座長】  ありがとうございました。
 須藤先生からもお願いできますでしょうか。
【須藤法務研究科教授・専攻主任】  
社会人学生が会社にオープンにしない理由は、受からなかったら嫌だという気持ちからです。建前としては、「職場によく話をして、オープンにして通うのがいいのではないか」と言えても、そういう人には非常に難しい問題があります。
 そして、会社にはオープンにしていませんので、実は優秀な人ほど転勤になってしまうということがあります。28ページにも少し書かせていただきましたけれども、ひどい場合には海外転勤になってしまうこともあります。海外ですので通いようがないということで断念したという人もいます。
 それから、会社に伝えていても、どうしても会社の都合があり、期末試験に出席できないので、追試を認めてほしいということもあります。これは認めるということで行っていますけれども、社会人学生の中には、追試を認めることについて否定的な意見も少なくないのです。理由は、平等ではないというわけです。日本大学の場合には期末試験での成績と奨学金とがある程度連動していますので、成績によっては奨学金がもらえたりもらえなかったりします。だから、一斉の同じ試験で同じ成績評価をしてほしいという要望が、社会人学生の中では結構強いのです。
 なお、筑波大学からレポート試験などの話などもありましたが、レポートは法律科目ではない科目では良いけれども、本来GPAに直接そのままつながるような科目では、日本大学の場合、多くの学生は反対します。レポートで成績を評価する教員がいないわけではもちろんありません。ただ、レポートが簡単過ぎてしまい、本当にこれで単位を認定していいのだろうかという疑問が生じかねないので、期末試験を実施しない教員は授業内で小テストを頻繁に行っています。小テストの平常点の中で学生の状況を把握するのです。1回だけのレポート試験というのは、学生の間でも時間に余裕がある人とない人とでかなり出来に差がつきますし、現在は、過去のいろいろな論文や資料などを簡単に検索できますので、わかっているのかどうか、力があるのかどうかなどを評価しにくいこともあるので、日本大学ロースクールでは、レポート試験は推奨しておりません。
 
 以上でございます。
【山本座長】  ありがとうございました。大澤委員、よろしいでしょうか。
【大澤委員】  はい、ありがとうございます。いろいろ勉強になるところがございました。それで、もちろん大学側が努力していくということも大切だと思いますけれども、今、国のレベルでもリカレント教育とかリスキリング教育、「生涯にわたって学び続ける社会」というものの重要性が言われていて、こういうことに対し職場が一層の理解を持つようにという流れかとも思いますので、是非そういう流れの中で、企業や、あるいは自治体とか公務員等の職場にも働きかけていくことは大変大切なことなのかなと、私自身は思っているということだけ申し上げさせていただきたいと思います。
【山本座長】  ありがとうございました。
 それでは、潮見委員、お願いいたします。
【潮見委員】  ありがとうございます。京都大学の潮見です。姫野先生、須藤先生、本日はどうも貴重なお話をありがとうございました。
 2点ほどお尋ねしたかったところがあります。1点目は、実は直前に大澤委員がおっしゃられたことと重複しますが、私自身もこの問題を考えるに当たって、社会における理解と協力というものを、より高く、強くしていくことが重要であると感じているところです。もちろん、法科大学院側が努力をしなければいけないというのは当然のことではあろうとも思っております。
 その関係で、関連してお尋ねしたいことがございます。それは何かというと、例えば京都大学でもそうですけれども、社会人として受験をし、合格したのだけれども、企業の理解が得られなくて入学できなかった、断念したという方々がいらっしゃいます。それ以外にも、これは仮の話というか、違っていたらお詫び申し上げますけれども、社会人であった者が、仕事と勉強の両立ができないということで、勤めていた会社を辞めて、それで無職になってでも勉強は続けるというような方もいないわけではなさそうです。そのような方々が、筑波大学あるいは日本大学でいらっしゃるのかどうか。
 もちろん、もう一つのタイプとしては、入学するまでにもう会社を辞めて勉強に専念するという方もいらっしゃるかと思いますけれども、ある意味では、社会における理解と協力という観点からは逆の方向になるような人たちになろうかと思いますが、そのようなものがあるのかどうかということを御教示いただければと思います。これが第1点です。
 それから2点目は、端的にお伺いしたいことがあります。それは来年、在学中受験が導入されます。筑波大学あるいは日本大学で、こういう社会人の方々を中心に組み立てておられる法科大学院で、在学中受験に向けてカリキュラムとか、あるいは学修指導とか、そのようなものについて何か検討を始めておられるのか。あるいは、このようなところに課題とか重点的に取り組まなければいけない問題があると考えるものがあれば、御教示いただきたいと思う次第でございます。
 脈絡のない二つの質問ですけれども、どうぞよろしくお願いいたします。以上です。
【山本座長】  それでは恐縮ですが、2点併せてお答えいただければと思います。姫野先生、お願いいたします。
【姫野法曹専攻長】  姫野です。御質問ありがとうございました。
 まず第1点ですね。筑波の場合は夜間校ですので、試験を受ければ勤めながら入れるということで、受かって職場の理解がなくて断念というのはあまりないことでございますけれども、他方で、入学されて勉強を進めていく中で、なかなか両立が難しいということで、ある程度、御自分の目途だとか今後の計画などが立ったところで、早く合格するために職を辞めて勉強に専念するという方は、それほど多くはありませんけれども、一定数おられるというのが過去の認識でございます。
 それから、在学中受験のことにつきましては、筑波大学においても、来年度から在学中受験ができるようにカリキュラムを組み立ててございます。ですので、それを今検討している人もいると思います。履修状況を見るとそれほど多くはないですけれども、予定して組んでいる人もいると思います。また、長期履修との組合せにおいて在学中受験を考えていくという手当ての方法もあるわけなので、そこら辺も併せて、社会人としての在学中受験の在り方を考えているところでもございます。
 ただ、やはり職を持ちながらの在学中受験ということで、従来のカリキュラムに乗って勉強したほうが、実は習熟度という点では適切な学生もいたりします。そこら辺は先ほど申し上げたように、個別の担任制を取っていたりしますので、恐らくそういうところを個別に、本人のこれまでのGPAの状況とか学修度とかを勘案しながら、相談しながら、在学中受験が本当にいいのかどうか、個別の特性に応じて相談しながらやっていくような感じがあるのかなというところでございます。
 以上です。
【山本座長】  ありがとうございました。
 須藤先生からもお願いいたします。
【須藤法務研究科教授・専攻主任】 社会の理解と協力というのはそのとおりなのですが、
会社は慈善団体ではありませんので、なかなか難しいのではないでしょうか。社員のリカレント教育という観点もあるかもしれませんが、リカレントという意味では、ロースクールはあまり適切ではありません。やはり司法試験を目指している人が大部分ですから、リカレントのレベルではないということです。そのような授業をしていたら、ほかの学生から大変なクレームがつきます。ビジネススクールとは違って、ロースクールは合格率で格付けされて選別されてしまっているわけですから、そのような建前の議論で言ったところでどうにもならないというのが実情かなと思います。そういう人には、「法学部の通信教育や夜間コース、法学部で少し自由なものを選んで、肩慣らししてからおいでよ」というような感じです。潮見先生からご指摘があった会社を辞めてロースクールにくる社会人はいるのかという点ですが、日本大学では、ときどきいます。仕事をしてお金をためて、その貯金を取り崩して生活する覚悟の人や、配偶者も有職者で、配偶者の了解が得られたからという人もいます
 それから、受かってから修習に行くかどうかということがございます。これは会社を辞める人もいますけれども、実は会社が欲しい人は、「また修習が終わったら来てよ」というので、会社に戻る人もいます。そこは本人次第といいますか、その人物が会社でどう思われているかが如実に分かると言うと変な言い方なのですけれども、そういう感じでございます。
 それから在学中受験につきましては、実はアンケートを取りました。再ロー組はやる気満々で、ほとんどの学生が「受けます」と宣言しております。問題は、この在学中受験のとき、2年目の前期に、受験資格のある3年次生はなかなか授業を取らないのではないかという懸念が出ている点です。司法試験は7月に予定されており、前期の最中ですから、試験勉強に集中するため、前期はできるだけ授業を取らないようにして、後期に卒業に必要な授業を取りたいということになるのではないかという懸念です。
 実は今でも同じことは起きています。今は修了後の5月に司法試験がありますので、前年の3年生の前期に取れる授業は取って、3年生の後期には自分たちの勉強もしくは予備校で答案練習をするために、なるべく授業をとらない、そんなことを考えている学生が多いのが実情です。当初の想定では、前期中に司法試験を受けて、終わったら後期は展開・先端科目などを選択して、充実した実務家教育が実現するのではという期待もあったわけですが、どうもそうはならないのではないかと危惧しています。
 現在、日本大学が頭を悩ませているのは、そのためにカリキュラムを動かすのがいいのかどうかということで、正直に言いますと、議論がまだまとまってはおりません。再ロー組は必ず受けると言っているわけで、それが10人以上いますので、そういった現実がある以上、簡単にカリキュラムを動かすことは難しいのではないかなどと考えております。
 以上でございます。
【山本座長】  ありがとうございました。潮見委員、よろしいでしょうか。
【潮見委員】  ありがとうございました。大変勉強になりました。須藤先生がおっしゃった、リカレント教育ではないというのは私も全く同感です。
【山本座長】  ありがとうございました。
 それでは、佐久間委員、お願いいたします。
【佐久間委員】  よろしくお願いします。姫野先生、須藤先生、大変勉強になりました。ありがとうございました。
 私は法科大学院に直接関わっているわけではないので、部外者として無責任なことを申し上げるかもしれないのですけれど、お話を伺っていて、例えば須藤先生のお話の中で、現状の司法試験は社会人の未修者には難し過ぎるのではないかというお話もありました。その一方で、司法試験というゴールがあるわけですので、すぐ前の話で、法科大学院は単なるリカレントではないということもあったと思います。実際、これも須藤先生のお話の中で、社会人で人生のリセットを狙っている人も結構いるという話ですが、ただ、いざ修了して弁護士事務所に就職できるかというと、なかなかそこは難しいというお話もありました。
 そうなってくると結局、社会人を増やすために、社会人の事情に合わせていろいろ支援をしていくということ自体は、私はいいと思うのですけれども、社会人をたくさん集めて修了させて、その後どうするのかということを一方では考えないといけないのではないか。そしてこれは未修・既修の話ともつながっているとは思うのですが、何のために法曹を養成するのか、どういう人を養成したいのか、ということも併せて議論しないと、結局、来ていただいた方にも不幸なことになってしまいます、また、先ほどから会社だけでなく社会の理解を得ようという話もありましたけれども、そこら辺がはっきりしないと、理解も何もないと思うんですよね。現役の学生のそれこそ既修者と同じだというなら、それでいいのかもしれませんけれど、そうとは言い切れない部分もあるわけですから、そこら辺も議論する必要があるのではないかなと、お話を聞きながら思ったところでございます。
 というわけで、あまり具体的な話ではなくて申し訳ございませんけれど、一言申し上げたく存じます。よろしくお願いいたします。
【山本座長】  ありがとうございました。
 それでは、井上委員、お願いいたします。
【井上委員】  井上でございます。
 今の佐久間委員のお話と通ずるのですが、私は企業で法務部等々を長年見ております立場から、社会人ロースクール学生に何を期待するかと申し上げますと、実は会社としては社員には社業に貢献してほしいので、必ずしも司法試験に合格してほしいということとは利害が一致しない場合もあると思うんですね。司法試験に合格してしまうと転職してしまうかもしれませんし、法的素養は必要かもしれないけれども、社員が独立することは会社のニーズではないかもしれないので、学生としては、何を目指して社会人学生になるのかを、会社に言いにくいというところは、一理あるのかなという気もいたします。わざわざそういう環境の中で社会人学生として応募する場合に、何をモチベーションで入ってくるのかは、とても大事なのではないかと思います。
 当然、今のキャリアの延長で、会社に戻って働きたいという人もいらっしゃると思いますし、そうであれば非常に分かりやすいので、どうサポートするかということを職場とよく議論した上で、本人の明確なモチベーション、キャリアプランをベースにサポートしていける体制をつくるといいと思います。そうでない場合は、当該会社以外の人にとっては有為な人材が出てくるかもしれないので、楽しみであるということはありますけれども、本人のキャリアプランというのは、社会人の場合にはかなり多様なので、そこをよく理解した上で一緒に学修していかないと、社会人合格者を増やしてその後どうするのかというところは、なかなか一言では片づけられない、若い学生と違うところがあるであうと思いました。
 雇主の側としては、国内司法試験より、海外の留学生にしたいという話もよく聞きますので、そことの競争もあるかと思います。少し厳しい言い方かもしれませんが、現状、企業側ではそういうことも見ているかもしれないということを、御紹介までに発言させていただきました。
【山本座長】  ありがとうございました。
 それでは、片山委員、お願いいたします。
【片山委員】  慶応義塾大学の片山でございます。
 
本日は姫野先生、須藤先生には、筑波大学、日本大学における社会人学生の御指導をいかに熱心にご指導をされ、また御苦労なさってやっておられるのか、その実情をよく理解することができました。本当にありがとうございました。
 私からは、16ページの論点(案)というペーパーに沿って質問をさせていただきます。まず1番目の、いかにPRをしていくかという点ですが、これは佐久間委員、井上委員の御質問とも関連するのですが、我々はロースクールの未修コースで社会人経験者を受け入れてきているわけですけれども、社会人経験者と有職社会人とでは、大きく違うという点をきちんとPRしていく必要があるのではないかと感じました。
 多様な法曹の養成という意味で、社会人経験者が必要であるという点は言うまでもないことですが、それにプラスアルファで、有職社会人の皆さんが法曹を目指すこと、そして法曹として活躍することによってどのように社会にメリットがもたらされるのかとか、あるいは逆に言うと、そういった人たちに積極的にロースクールに入ってきていただくためには、キャリアパスをある程度きちんと示している必要があるのかと思います。そのような視点から、有職社会人の人たちが一体どのようなキャリアパスを持って活躍されているのかという現状について、姫野先生、須藤先生のご認識をぜひコメントいただきたいというのがまず第1点です。
 それから、2番目の様々な工夫ということで、授業形態の工夫であるとか、あるいは評価の工夫というものは、恐らく今でも、評価をペーパー試験で行わなければならないと決まっているわけでは全くないと思いますので、レポートも十分可能なのだと思います。今後とも、いかに質保証を確保するかという点に留意しながら、授業をいかなる形態で行い、それから評価をいかに行うかという点を工夫し、柔軟に対応していけると考えております。お伺いしたい点は、もう一つ重要な点としまして、やはり時間が足りないということで、いわゆる長期履修の制度がどのぐらい意義があり、ワークしているのかという点がございます。本日は長期履修の実態についてあまりお伺いできなかったと思いますので、長期履修というシステム自体がどのように使われているのかということと、どの程度の期待度が有職社会人の方々にあるのかという点、補足説明をしていただければと存じます。
 それから、今日は須藤先生もいらっしゃっていますので、昼夜開講で、夜間の人たちにとって昼間の授業も聞けるというのはどれぐらいのメリットがあるのかという点、その辺りも確認できればと思います。
 少し長くなってしまいましたけれども、大きくPRの点と、それから様々な配慮の一つとして長期履修制度に関して、お答えいただければと思います。よろしくお願いいたします。
【山本座長】  ありがとうございました。
 時間がかなり押してきていますので、誠に恐縮ですけれども、可能な範囲で端的にお答えをいただければありがたいと存じます。姫野先生、お願いいたします。
【姫野法曹専攻長】  分かりました。ありがとうございます。
 まず、最初のキャリアパスでございます。有職者と、かつて社会人であったというところの違いというのはなかなか難しいかもしれませんけれど、やはり、今やっている職を引き続き生かしながら、次のステップアップに行くというところも大きいのかなと思います。あと、私は働きながら取ってやるぜみたいな、そういう一つの気概もあるのかなというところと、あと企業側からしても、オープンにしている場合、働きながら自らの勤務先に貢献してほしいというところがございます。やはりバッジをつけると、単なる法学の知識が高い人から、一つの職務倫理というものが出てきて、それで恐らく企業の法務の在り方とか、そういうことにも少なからずいい影響を与えてくるのではないかと私は思うところであります。
 それから長期履修でありますけれども、これは有職社会人にとっては非常に有益な制度になっておりまして、自分の勤務状況だとか勤務形態に応じて1年プラスでやっていくわけですけれども、さらに今回できました在学中受験が長期履修の最後の年に受けられるというところを見越して、司法試験をどこで受けるかというところも、その二つの組合せの中で認められていく有益な制度になるのではないかと私は思っているところでございます。
 というところでよろしかったでしょうか。すみません、短くなりましたけど。
【山本座長】  ありがとうございます。
 それでは、須藤先生からもお願いいたします。
【須藤法務研究科教授・専攻主任】  最初に佐久間委員からお話があった、社会人法曹の意味ということですが、
実は法律家を目指す人の中には、一部、被害意識を持った方もおいでです。端的に言いますと、医師や医療従事者の方は、裁判所や法律家の人たちに、自分たちは悪者にされているという被害者意識を持っている方が割合おいでです。そういった中で、自分が法律家になって、医療従事者を代表してその意見を反映させたいということを結構はっきり言われたこともあります。一般の会社でも、それぞれの会社の社風や業態の違いもありますので一概にはいえませんが、法律家というものが自分たちのことを本当はよく理解していないと感じている人も少なくないように思います。
 それから、これは井上委員のお話にも出ていましたけれども、会社勤めをしていてロースクールを希望する人はいろいろですが、例えば法務関係に近い仕事をしている人で、弁護士と打合せをすると、何か上から目線で物を言われているように感じて、「何を、この若造が」という反発心が出て、やはり法曹資格がないと駄目だと思って本格的に勉強を始めたという人も少なくありません。あんな知識もなく実務も分かっていないのに、司法試験に受かったというだけで偉そうにしている人がいる。だから自分も受かって勝負したいというわけです。
 あともう一つ、最後の片山委員から出てきたことにもつながりますが、キャリアパスの中で今言った二つのほかには、実は行政書士とか司法書士の方が結構ロースクールに来ます。これは先ほど筑波大学からお話があったように、ステップアップです。いいにくい問題でもあるのですが、やはり社会的地位として弁護士のほうが高いと思っているわけです。また、税理士をやるにしても弁護士の資格も取った上でやりたいとか、弁護士と司法書士の両方をやりたいとか、結構そういうことを言う人も少なくありません。
 それから長期履修ですが、日本大学の場合には筑波大学と違い数が少ないというところがあります。どうしてそういう違いになっているのか実はよく分かりませんが、日本大学では休学者も長期履修もあまりいないわけです。ただ、話を聞いていると、「だらだらやるのは嫌だ、長期履修は嫌だ」、多少の無理はしてでも2年で終わりたいという人が結構います。地方公務員の方で、仕事によって割にゆとりのある人は、長期履修でじっくり勉強したいということもあります。長期履修は1年に取る科目が減りますので、毎年、必ず希望者はいますが、その数は少なくて、年間に各学年で一人とか二人です。だから日本大学の場合には、全体としてそれほど多いということはありません。
 それから、夜間から昼間への振替ですが、これは、自営業の方や、会社役員や部長クラスといった管理職的な立場の方で、夜は外せない会議があるが、昼間なら何とか出ることができる、そういう人も結構いるわけです。社内で課長以上ぐらいになって、ある程度自分の用事やスケジュールを自分でマネジメントできる人が、昼間・夜間をうまく使い分けて授業を継続しようとしています。ただ、1クラスの受講生の人数が急に増えるのは問題ですので、15回中5回を一応の目安にはしております。
 以上でございます。
【山本座長】  ありがとうございました。片山委員、よろしいでしょうか。
【片山委員】  どうもありがとうございました。
【山本座長】  それでは、加賀委員、お願いいたします。
【加賀委員】  今まで出ていない点として、少しお話しさせていただきます。姫野先生からはチューターというお話がありました。また、須藤先生からもサポートとか学修相談というお話がありました。この辺のことは社会人法科大学院生にとって、モチベーションの維持という点では大変重要な存在なのかなと思った次第です。本学、創価大学におきましても、そういうチューターの存在というのは大変大きいものがございます。両先生に回答していただくというより、もし、この点について補充ということで御意見があれば、お二人の先生にお願いしたいと思います。
 以上です。
【山本座長】  ありがとうございます。
 御意見があればということですが、もしあれば、姫野先生、いかがでしょうか。
【姫野法曹専攻長】  ありがとうございます。チューター制度というのは、やはり本来の授業と相まって補講的に、特に社会人の方について十分な時間が取れない学修の中で、本学を卒業した講師の方も多いものですから、そこで、先ほど申し上げましたけれども、社会人としての勉強の仕方、時間の使い方も含めて指導がなされているということで、学生からチューター制度は非常に高い評価を得ているところでございます。
 短くてすみません。
【山本座長】  ありがとうございます。
 須藤先生も、もし何かあれば。
【須藤法務研究科教授・専攻主任】  日本大学は、チューターということで助教が3人おります。
この助教はロースクールで授業を持っておりませんので、いつでも学生が疑問を感じたりしたときにはアクセスできるという前提です。以前は必ず、前期が終われば一応の打ち上げなどを、助教もみんな参加して行っていましたし、夏季合宿は泊まり込みで懇親会もありましたので、顔つなぎができていて質問もしやすかったようですが、学生との意見交換やアンケートを見ると、オンラインになって直接助教の人たちと話をしたことがない学生が増えて、質問しにくいという状況も出ています。コロナの影響でオンライン授業になったのがいいのかどうかというところがございます。
 それから学修相談は、日本大学の場合には、もちろんオフィス・アワーがありますし、多くの教員は、「必要があれば、いつでも直接相談を受け付けます」と言っています。しかも、ロースクールは一般道路に面したビルを3つ使っていますが、教室棟、自習室等、事務・研究室棟が隣接しており、どれも5~6階建てで、教員がいれば部屋の電気が点いていますので、学生も外から見て、っ教員がいるかどうか分かります。ときどき、学生が「行っていいですか」と言ってきたりしますし、予告もなく直接ドアをトントンと叩く者もいます。そこは本当に柔軟に対応しております。
 以上です。
【山本座長】  ありがとうございました。加賀委員、よろしいでしょうか。
【加賀委員】  ありがとうございました。
【山本座長】  ありがとうございました。
 それでは、菊間委員、お願いいたします。
【菊間委員】  菊間です。よろしくお願いします。姫野先生、須藤先生、どうもありがとうございました。筑波大学、日本大学の様々な取組をお聞きしまして、この2校では社会人の皆さんは非常に恵まれた環境で勉強ができていて、羨ましいなと思って聞いておりました。
 今回の論点の1つ目に、「多様なバックグラウンドを有する社会人の法曹を増やしていくには」というのがあるのですけれども、これは、私はひとえに社会人の合格率を上げていくということに尽きると思います。こう言ってしまうと身も蓋もないかもしませんが、やはり社会人は、私も経験者ですし、周りを見ていても、誰に頼まれて来ているわけではなく、明確な目的意識をもってロースクールに通っている方が大半だと思っています。各々一定期間の就業の中で、問題意識を持ち、これは法律を学ぶことで解決できるのではないか、自分で世の中を変えていこうと思い、ロースクールに通う人のほうが、私は多いのではないかと思います。私も昼間クラスと夜間クラスがある学校にいましたけれども、そういう思いは、圧倒的に夜間のほうが強いです。
 そして、そういう高い志を持った方たちだからこそ、合格しなかったときの挫折感というのが、ものすごく大きいものがあると思います。私がやりきって合格できた理由は、ロースクールの先生方とか一緒に勉強した仲間と、ここで自分だけが落ちるともう二度と会えないというか、会いたくないと思うだろう。ロースクールに通った数年間を、今後否定して生きていかなければならないだろう、とそう思ったところは大きいと思います。自分の過去に蓋をして生きていくのなんて嫌だから、絶対やりきるぞと。実際、私が通ったロースクールでも、合格しなかった人はその後、ロースクールや格者とも連絡を絶っていってしまっている方が多いという実情があります。
 そうすると、そういう方たちは、もちろん不合格には様々な要因はありますが、ロースクール経験者なので、周囲からロースクールってどうだった?と聞かれたときに、あまりいいことは言ってくださらなくて、ロースクールネガティブキャンペーンみたいなものが結果的に広まっていってしまう。ロースクールの何年間かを自分の人生の失敗として、過去に蓋をして抱えながら生きていく社会人がどんどん増えていっているという、そこが非常に問題だと思っています。
 ですから、合格率を上げるということがとても大事だと思います。合格者は、こちらが黙っていてもロースクールの良いところを周囲に話してくれるでしょうから、とにもかくにも合格率を上げていくというところなのだと思います。
一方で、先ほどどなたかのご発言で、リカレント教育とロースクールは違うということがありました。それはそのとおりだと思うのですが、「ロースクール卒業」ということの価値を向上させていくことで、社会人の入学者数は増えていくのではないかとも思います。もともと多様なバックグラウンドを持つ人が、法律を学んでリーガルマインドを持つことで、日本をもっとよくしていこうという目的があったわけですが、そういうことで言えば、必ずしも全員が法曹資格を持っている必要はないわけです。ロースクール側から発信するのは難しいとは思いますが、企業が就業しながらロースクールを卒業した方たちをもっと評価するような仕組みづくりをしていただくと、社会人も、仮に合格しなかった場合に、会社から「こんなに時間をあげて助けてあげたのに何なんだ」と、むしろ自分の社会人としての評価が下がっていくという恐怖を味わうことはないのではないかと思います。司法試験合格後に会社を辞めるという方より、そのまま会社に残るという選択肢を取る方もそれなりに多いと思いますので、そういう社会人にとっては、ロースクールに通うということを会社がどう評価するのか、というところが相当大きなポイントになると思います。リスキリングの一環で、2-3年の休職を認めるという企業も少しずつ増えてきていますので、法曹の専門家を要請するということではないロースクールの一面もアピールすることは有用だと思います。
 合格率を上げていくということで言うと、有職社会人が通える夜間のロースクールがもっと増えるとよいのですが、現実には難しいという中で、現在、夜間を開校してくださっている4校がサステナブルに続いていくためのサポートを当委員会として行っていくということが大事だと思います。
今日のお二方の先生の発表を聞いていてもよく分かるように、社会人学生の状況は様々で、要望も様々です。画一的に「有職社会人だからこういうことをやりましょう」と決めるのではなく、通っている社会人学生の声をよく聞いて、そこに対してできる限り柔軟に対応し、学びたいという人たち、人生をかけてロースクールに通っている人たちを、制度全体で後押ししていくようなサポートが必要です。私の時代は「これはできません、あれはできません」があまりにも多くて、そこで諦めた社会人もたくさんいました。その頃より非常に環境はよくなってはいますが、まだまだ要望はあるということが、本日のお二方の先生の発表でわかりましたので、特に社会人学生に対しては、きめ細やかな柔軟性のある対応をお願いしたいと思います。
 以上です。ありがとうございます。
【山本座長】  ありがとうございました。
 それでは、酒井委員、お願いいたします。
【酒井委員】  姫野先生と須藤先生には非常に貴重な情報を提供いただきまして、御礼を申し上げます。残り僅かという状況になってしまいましたが、夜間ロースクールの現場でどのような御努力をされているかということを、非常に敬意を持って伺いました。
 重要なのは、このような先生方からの情報提供を踏まえて、どのような改善提案をしていくかというところにあるものと理解をしております。まず、社会人の受皿を現有の夜間ロースクールだけにお任せすることでよいのかという視点は、やはり考えるべき点だと思います。
 社会人の方にとって、夜間で通えるという魅力は非常に大きい中で、現状、夜間をまた元のように増やしていくことが容易ではないということは、私も理解をしているところです。けれども、そうであれば、昼間のローの授業をオンデマンド配信等を利用して、対面とハイブリッドにしながら夜間に準じるカリキュラムを組んでいく、そして筑波大学から御提案がありましたような、レポートについて単位認定をしていくというような柔軟性を持たせていくことで、何とか在職のままロースクールへの通学を可能とする受皿を増やすことを諦めるべきではないのではないかと思います。
 筑波大学や日本大学において、既にICTを活用した社会人向けカリキュラムの展開の実践がある中で、さらにコロナ禍で、昼間のロースクールにおいてもICTの活用が進んでいる現状にあろうと思います。このような実績を生かして、何とか昼間ロースクールをうまく活用する形で受皿を増やしていくことを考えられないかと思っております。
 またその際に、今、有職社会人の方が法曹を目指すというときに、予備校でオンデマンドの授業を受け、予備試験を受けて司法試験を受けていくというルートが顕在化していると思いますので、それと比較をして、多少双方向性が落ちても、きちんとロースクールの授業をオンデマンドで受けてもらう、その上で司法試験を受けてもらうというようなルートが、一つの選択肢としてあってもいいのではないかと思うところです。直ちに実践できることではないと思いますが、継続的に検討すべき課題として提案をさせていただきます。
 またもう一点、時間も限られておりますので手短にと思いますが、本日2校から、非常に重要なロースクールサイドの情報提供と併せて、在校生の声などもお届けいただきましたけれども、途中、潮見委員からも、通いたくても通えない、通うことを断念してしまう社会人の方、入学を断念される社会人の方もおられるという御指摘があったかと思います。昼間の方にやむなく仕事を辞めて通われている社会人の方も一定数おられると思いますので、そういった方も含めて社会人学生サイドの声を可能な限り拾い、耳を傾けて改善に生かしていくということが、本来あるべき進行ではないかと考えるところです。いずれが窓口として情報収集を行うか、という課題はありますが、そういった情報を集められる限り集めて、今後の改善に生かしていくことも御検討いただきたいと思います。
 私からは以上になります。
【山本座長】  ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、おおむね予定された時間になりましたので、本日の審議はこの程度にさせていただければと思います。活発な御議論、誠にありがとうございました。とりわけ、本日御報告をいただいた筑波大学の姫野先生、日本大学の須藤先生には、大変有益な情報、御意見を頂戴いたしまして、この場をお借りしまして御礼を申し上げます。ありがとうございました。
 本日の御議論、様々な論点にわたったかと思います。社会人学生、そもそも法曹を増やしていくということについて、どのような意味があるのか、それを社会に理解していただくためのメッセージとして、どういう形でどういうことを発信していくのか、それが結局のところ、職場の理解を得ていくためにも重要なことであるという御指摘、誠にごもっともなところだったかと思います。
 また、ユーザーの側といいますか社会人の側の声というのも、本日の両校の御報告からもあったとおり、非常に多様なものがあって、恐らくは非常にきめ細やかな対応をしていかないと、問題の解決にはならないのではないかという御指摘もあったかと思います。その点も誠にそのとおりかと思います。どのような形でユーザー側の声をより反映していく議論ができるのかということは、私のほうでも、また事務局のほうでも、さらに考えてみたいと思います。
 いずれにしましても、法科大学院制度の理念からすれば、在職にかかわらず社会人の経験者に、法科大学院、法曹の道に進んでいただくことは、法曹の多様性という観点から必要であるということはコンセンサスがあるのではないかと思いますので、この点は極めて重要な議論で、重要な問題提起を本日もされたと思いますので、引き続き当議会でも考えて、皆さんに御議論をしていっていただきたいと思います。
 それでは、事務局から参考資料について説明をいただかなければいけなかったので、申し訳ありませんが、時間の関係で手短に御説明いただければと思います。
【森下専門職大学院室長】  事務局でございます。
 本日、参考資料1と2というものをつけてございます。本当に手短に御説明させていただきます。
 まず、通し番号33ページになりますけれども、委託事業でございます。昨年度、未修者教育について調査研究を行いまして、前回の会議で御報告をさせていただきましたけれども、その予算が今年も確保できましたので、今年度はテーマを変えて、法曹志望者あるいは法科大学院志願者の増加に向けた調査研究といたしまして、各法科大学院の魅力的な取組であるとか、修了生や在学生へのアンケートなどを通じて、好事例を集めるような調査研究を行うこととしておりまして、また成果ができましたら、昨年度同様、この場で御報告をさせていただけたらと思います。
 もう一点、34ページの参考資料2で、大学設置基準などの改正について御報告をさせていただきます。法科大学院に限らず、学部や大学院も含めて、高等教育全体の質の向上につきまして、長らく中教審の大学分科会の部会のほうで検討が進んでおりまして、各設置基準について、大学から専門職大学院まで、高専も含めて、全体的な見直しを行ってきたところでございます。
 その全体像が参考資料2でございまして、例えば、左上でいくと、総則の理念のところに、三つのポリシーに基づいて、入学者選抜や教育課程の編成をやるというような理念的な規定の明確化であるとか、二つ目でいうと、今は設置基準のあちこちに、教員組織であるとか事務組織であるとか、あるいはFD・SD、こういったことの規定がばらばらに出ていますので、それを教育研究実施組織という形でまとめて規定するとか、広範な改正を行うものでございます。
 法科大学院に特化した規定というのはあまり多くないのでございますけれども、1点だけ少しお耳に入れておくと、右側の漢数字七の「その他の改正事項」の一番下の丸に、専門職学科という学部段階の職業人育成のための学科、あるいは専門職大学というものがございまして、ここでは同時に授業を行う学生数について40名以下と明示した上で、例外が必要な場合はそれを超えてもいいという規定になっているのですが、その場合の例外について、ここにあるようにちょっと分かりにくいので、明確にするという観点で、授業の方法などの諸条件を考慮して、教育効果を十分に上げられると認められる場合には超えてもいいということで、例外を考える観点を明確化するものでございます。
 なぜこれを御紹介したかと申し上げると、法科大学院の法律基本科目を50名以下とするという規定が全く同じ書き方をしておりますので、並びで改正を行うというものでございます。
 あと、漢数字のうち三と六につきましては、まず学部からということで、法科大学院には関わりないわけですけれども、今後また引き続き、これについての適用を検討するということになっておりますので、また御報告をさせていただきたいと思います。
 駆け足になりましたけれども、以上でございます。ありがとうございました。
【山本座長】  ありがとうございました。
 ただいまの御説明につきまして、何か御質問ないしコメント等はありますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、次回の議事日程につきまして、事務局からお願いいたします。
【森下専門職大学院室長】  次回の日程につきましては、調整をいたしまして、また後日、御連絡をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
【山本座長】  ありがとうございました。
 それでは、これをもって本日の委員会は終了したいと思います。


 
―― 了 ――

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