法科大学院等特別委員会(第105回)議事録

1.日時

令和3年12月21日(火曜日)14時00分~16時00分

2.議題

  1. 令和3年司法試験予備試験口述試験の結果について
  2. 令和3年度法科大学院関係状況調査について
  3. 法学未修者教育の更なる充実に関する調査研究について
  4. 司法試験の在学中受験の導入等に伴うカリキュラム等について
  5. その他

3.議事録

【山本座長】  ただいまより、中央教育審議会大学分科会法科大学院等特別委員会を開催いたします。本日も御多用の中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。なお本日も新型コロナウイルス感染症対策のためWebexによるWeb会議として開催をしております。本委員会は公開が原則のため、この会議の模様は、YouTubeライブ配信にて公開いたします。本日も活発な御審議をどうぞよろしくお願いいたします。それでは続きまして、事務局から配布資料の確認をお願いいたします。
【佐々木専門職大学院室長】  事務局でございます。お手元に資料をお送りしておりますが、配布資料といたしまして、資料の1-1から資料の4、参考資料1から3ということで通番では70ページになりますが資料をお送りしております。過不足等ございましたらお申し付けください。
よろしいでしょうか。
【山本座長】  それでは早速、審議に入りたいと存じます。まず、議題1、令和3年司法試験予備試験口述試験の結果についてです。これにつきましては資料1について、加藤委員から御説明をお願いいたします。
【加藤委員】  法務省司法法制課長の加藤でございます。それでは、令和3年司法試験予備試験の結果について御説明いたします。まず資料1-1から資料1-7までが予備試験の結果に関する資料でございます。この結果の概要については資料1-1のとおりでございまして、合格者数は縦1概況に記載のとおり467名でございました。昨年比でいうと25人増加となっております。
 なお、前々回、法務省から提出いたしました、令和2年司法試験及び予備試験に関する資料において、令和2年の数値に集計上の誤りがございましたすので、おわび申し上げます。
 今回、提出しました資料1-2のにつきましては、こちらの司法試験予備試験合格者等に関するデータ一覧のうち、として資料1-2に掲げておりますのは、これは修正後の令和2年司法試験及び予備試験に関するデータは資料でございまして、修正後の正しい数値を反映しております。
 このほか、受験者等に関する資料や大学や法科大学院別の受験状況に関する資料が、資料の1-3以降に続いておりますので、適宜御参照ください。
 御説明は以上でございます。
【山本座長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの加藤委員の御説明につきまして、御質問等ございましたらお願いをいたします。
 例によって、もし、質問等あれば、挙手機能でお知らせをいただければと思います。
 いかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、引き続きまして、議題2の方に移りたいと思います。
 議題2は、資料2の法科大学院関係状況調査についての御説明ですが、事務局からこの点の説明をお願いいたします。
【西専門教育課専門官】  それでは、資料の2を御説明させていただきます。
 通し番号11ページでございます。
 こちらは、令和3年度の法科大学院関係状況調査で、定例の調査を集計した資料として、今回お示しをしております。
 趣旨としては、次の議事3で、未修者教育の充実に関する調査研究を御発表いただきますけれども、それに関連する調査事項ということで、御参考でお示しするものでございます。
 今回、資料2は三つの調査を一つにまとめた資料でございますけれども、一つ目が11ページの教育実施状況に関する調査でございまして、11ページ下のスライドにありますように、主にICTの活用状況、それから科目等履修について尋ねたものでございます。
 13ページをお開きいただきまして、下のスライドですけれども、ICTの活用状況につきまして、遠隔授業でどのようにどの程度ICTを活用していますかという問いなのですけれども、オレンジの項目が多くなっておりまして、欠席者ですとか、復習のための補助的な方法として使っているというところが、法律基本科目の基礎・応用、それから法律実務基礎科目全てにおいて多いということが分かります。グリーンのところは、予習用教材としてICTを使っているという大学で、ここはまだ一部の大学にとどまるのですけれども、特に未修教育の関係では、知識の定着などに関してICTの活用として可能性もあるということが第10期でも御審議されましたので、この辺りは今後少し広がりを見ていくところかなと感じております。
 続きまして、16ページ下のスライドです。
 科目等履修について、法曹コースの学生について科目等履修を認めているかという調査で、連携先に認めているというのが14校ございます。法曹コースの学生につきましては、入学前の修得単位等を例外的に最大46単位まで認められることになりますが、学修の充実が認められるある学生におかれては、先取りの履修が可能になっております。
 続いて、17ページ、同じ科目等履修につきまして、未修者コースの入学希望者にはどのぐらい認めていますかというところでございます。一部の大学で認めております。②のところですけれども、その他入学希望者に認めているところが1校ございますのと、あと合格者と入学希望者、両方に認めているというのが6校ございます。
 続きまして、18ページ、法曹有資格者等に科目等履修を認めていますかというところで、法曹有資格者に認めているのが5校、科目内容に関係する職務従事者に認めているのが1校、1と2の両方というのが11校です。下のスライドですが、具体の科目につきましては、知財、倒産法、商取引法のような科目になっておりました。
 19ページからは法学未修者教育に関する定例的な調査でございます。
 この中で、22ページを御覧いただきますと、上のスライドの円グラフの二つ目でございますけれども、複数の法科大学院が連携して未修者教育を実施していますかと聞いております。この点は、第10期の御審議でも法科大学院間の協働として重視をしていただいた部分ですけれども、そういうことが実施できているというのが、今現在ですと8校になっております。具体的にどういうことを行っているかという質問に対しては、共同FDですとか、授業研究というのが7校で一番多くなっております。未修教育での複数の法科大学院の連携は難しいのかもしれないのですが、こういったところから広げていく可能性があるのかと感じております。
 24ページ、こちらも第10期に未修教育の中で、書く指導というのが非常に重要だという御審議を頂きましたけれども、上のスライドが事例分析、それから下のスライドが法文書作成ですけれども、教育課程外も含めてやっているというところが、22校、18校と、半数程度ではございますけれども、このような指導を、右側の横のグラフですけれども、補助教員が支えてくださっているということが明らかになっております。
 飛びまして28ページでございますけれども、こちらは補助教員に関する調査でございます。
 29ページのところですが、上のスライドで補助教員の人数を、それぞれ大学に回答していただいたものを一覧としておりますが、補助教員の人数が多いところも少ないところもありますけれども、補助教員の御活躍の仕方というのが多様だということが分かるものかなと思っております。
 30ページ目の下のスライドの一番上のところですけれども、やはり多くの大学で、補助教員の経費を法科大学院が負担しているというところがほとんどでございますが、一部大学では弁護士会にも負担をしていただいているとですとか、あとは下のところですけれども、法曹会とか後援会にも資金的な援助を受けているところがあるようます。
 補助教員につきましては、33ページ、第10期の審議のときにも、法科大学院の執行部、それから担当教員、補助教員がしっかり連携して未修者教育に取り組んでいく必要があるということを御審議いただきましたけれども、33ページの上のスライドのところで、執行部と担当教員と補助教員が連携する仕組みについてお伺いしましたところ、学修支援方針を決めて、担当教員、補助教員に執行部がきちんと共有しているというところが17校、三者で定期的な打合せを行っているというのが13校という形になっておりまして、下の自由記述のところも、一番上の丸ですけれども、学修効果があって定着が見られる取組はカリキュラムに位置づけ、単位化して科目開設をしていますということですとか、あとは、上から3番目の白丸ですけれども、各セメスター終了後に、補助教員の支援内容について教授会FDで報告を受けて、教授会構成員と補助教員の間で指導内容を検討しているなどの御回答を頂いております。
 それから、下のスライドにつきましては、授業の担当教員と補助教員の連携についてお伺いしたものですけれども、学生の指導基準、指導の目的・内容、授業計画での位置づけ、教材などを補助教員に明確に示しているという回答が13校、それから学生の学修状況や指導上の課題について、補助教員と随時共有していますというところが16校ということで、自由記述では、下のところですけれども、未修者指導のための課題は、原則として法律基本科目の担当教員が作成をし、出題の趣旨、解答のポイントなどとともに補助教員に示しているというようなことを回答いただいております。
 最後、34ページですけれども、補助教員を活用する上での課題ということで、上から二つ目の丸、予算的な措置が厳しいと、女性学生の支援という機能も果たしていてできれば継続していきたい首都圏の修了生弁護士に新規支援を依頼するのは少し限界がある各科目における指導内容や使用教材、そういった面で緊密な連携を図ることは理想なのですけれども、負担も大きいというような御意見を頂いております。
 補助教員の在り方は各法科大学院で様々でございますけれども、未修教育を支える存在として、文部科学省としてもこれからも支援をしていきたいと思っております。
【山本座長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいま御紹介を頂きました、この法科大学院関係状況調査、どの点からでも結構ですので、お気づきの点があれば、御質問でもコメント等でも結構ですので、お出しいただければと思います。いかがでしょうか。
 大貫委員、お願いいたします。
【大貫委員】詳細な御報告ありがとうございました。質問が二つほどあります。細かい点ですが。未修者教育の、通しページでいうと24ページのところですが、よろしいでしょうか。上のスライドのところ、上下ともなのですが、左側に円グラフがあって、右側に棒グラフがあります。上のスライドで申し上げますと、肯定的に回答した大学22校のうち、何を行っているか、補助教員活用と添削、個別返信とか司法試験活用というのは、論理的には両方とも成り立ち得るような気がするのですが、例えば補助教員を使って、添削、個別返信をするとかいうこともできるわけで、司法試験活用というのも、補助教員を使ってやる場合もあれば、あまりないと思いますが専任教員がやるということもあると思うので、少しここの下の選択肢がよく分からなかったというのが1点です。それからもう1点、補助教員の、スライド29ページのところで、補助教員の人数についてです。随分前にも、法科大学院等特別委員会で補助教員の数というのは、たしかお示しがあったと思うのですが、この定義がどうなっているのか確認したいです。各校で人数が随分ばらけていて、すごい多い大学とそうでもない大学と、いろいろなのですけれども、補助教員をどう定義してアンケートをかけられたのか、教えていただければと思います。
以上です。
【山本座長】  それでは、事務局からお願いいたします。
【西専門教育課専門官】  大貫先生、どうもありがとうございます。
 一つ目の御質問の24ページでございますけれども、こちらは補助教員活用、それから添削、個別返信、司法試験活用、それぞれやっている大学については、チェックをしてくださいという回答方法でしたので、三つの中からどれかを選択するというものではございませんでした。
 それから、続きまして、29ページ補助教員の定義につきましては、右側のボックスの中に補足で書かせていただいております。、法令上の明確な定義はないのですけれども、いろいろな名称にかかわらず、法科大学院在校生や司法試験受験勉強中の修了生の学修を支援するために実施している様々な取組に従事する者ということで、下の中段の方に、特に補助教員に含まれない者の例ということで、法科大学院在学者、それから含まれる者の例ということで、アカデミック・アドバイザー、チューターなど様々書いておりまして、授業の補助、学修・生活相談、課外のゼミ等の学修支援を実施している者という定義で調査をさせていただいております。これは前年度の調査から定義は変えておりません。
【山本座長】  ありがとうございました。
 大貫さん、いかがですか。
【大貫委員】ありがとうございました。補助教員の人数のところは、前回も少し議論になったところで、アンケートの受け手によって理解が違って、補助教員の勤務時間を定義に入れるかとか、いろいろな論点があって、この数字をそのまま比較するのは難しいかなという気がしております。多いから、丁寧だ、すごいなとかということも必ずしも言えない。少ないから、これはいかがなものかという話にもいかないかなという気がしておりますが、以上です。選択肢については、設問は複数回答ですから、混じっているということですね。誰が添削等を担当するのか分からないということで、混じっているということで、理解しました。ありがとうございます。
【山本座長】  ありがとうございました。
 それでは、ほかにこの点に……、片山委員。
【片山委員】  慶応義塾大学の片山でございます。聞こえておりますでしょうか。
【山本座長】  聞こえています。
【片山委員】  資料のおまとめ、ありがとうございます。大変有益な資料かと存じます。
 2点ほど確認をさせていただきたいのですけれども、通しページで言いますと15ページの上のところのICTの活用で、オンデマンド型の授業で工夫している項目ということで、これは今の委託事業とも関連するところで、重要な点かと思うのですけれども、ここでは質問は、配信が長時間にならないように配慮しているかどうかという質問しかなかったのでしょうか。それとも、そのほかいろいろ予習用の教材としてオンデマンド教材を活用しているかどうか等、いろいろ確認しておきたいことはあるのですけれども、その点がどうなっているのかというのが第1点ということです。
 それからもう一つは、先ほどの大貫委員からの質問と同じところですけれども、23ページの法的な推論、分析、構成、論述能力等の育成のための科目開設に関するところで、質問項目として、補助教員の活用、それから添削、個別返信、それから司法試験の活用という三つの項目に関しての選択肢ということになっているのですけれども、この三つの項目がなぜ選ばれているのかということと、この項目はやはり推奨されるべき点であると、論理的な思考能力等を養うためには、補助教員の活用もやはり重要であると考えているし、添削、個別返信も重要であるというふうに考えている、あるいは司法試験の問題の活用も重要であるというふうに考えているのかという点を、確認できればと思っております。
 特に3番目の司法試験問題の活用に関しましては、やはり、依然、ロースクールで司法試験の問題等を活用するのは、受験指導に特化した教育でよくないというような意見があるようで、私、協会理事長をやっていますが、協会の会員校からも、その点は本来、広く活用されてしかるべきだから、協会の理事長としても、その点をきちんとしかるべきところで述べてほしいということも言われていたところでございます。
 中教審でも、たしかこの点は確認されていたかと思うのですけれど、まだ全国的に、隅々までその点が確認されていないところもあるかというふうにも少し思いましたので、改めて司法試験の問題の積極的な活用ということについて、それを推奨されるべき点の一つであるというふうに理解してよいのかどうか、そこを改めて確認をさせていただければと思った次第でございます。
 2点、よろしくお願いいたします。
【山本座長】  ありがとうございました。
 それでは、事務局の方からお答えをいただけますか。
【西専門教育課専門官】  片山先生、どうもありがとうございます。
 15ページ、一つ目のオンデマンドのところについての御質問ですけれども、オンデマンドにつきまして、動画の配信が長時間にならないようにというところは聞いておるのですけれども、ほかにも質問項目があったのかという点については確認をさせていただければとも思います。
 それから、司法試験の活用につきまして、23ページ。まず、補助教員、添削、個別返信、それから司法試験の活用という選択肢をどういう趣旨で入れたのかという点につきましては、未修者教育の中で論述能力を涵養が重要だという御議論を受けて、今回、このような選択支肢を含めました。もちろん、教育の在り方はこれらの選択肢に限られないため、その他何か理由記述という欄を設けるという形にしております。
 司法試験の活用につきましては、論述能力の涵養のところで、令和元年10月31日付発出の法科大学院関係法改正の施行通知の中でもお示しをしておりますが、司法試験を法科大学院の授業で活用することが直ちに、司法試験対策に偏った指導というわけではないということで、柔軟に活用していただきたいということは、施行通知の方でも書いております。その点は、私どもの認証評価の方たちとも、お話はさせていただいておりますので、いろいろなところで発信はしていきたいというふうに思っております。
【山本座長】  片山委員、よろしいでしょうか。
【片山委員】  どうもありがとうございました。
【山本座長】  最後の点は、この中教審でも若干の変遷があったところで、今のような、あれをされている法科大学院がなおあるということかと思いますが、現在の立場は、今、事務局からお答えいただいたとおりかと思います。
 それでは、続きまして、中川委員、お願いいたします。
【中川委員】  ありがとうございます。
 私からは1点、もし可能であれば情報提供をお願いしたいということなのですが、通しの17ページの上の方で、法曹コースの学生に認めている科目等履修というリストがございます。私たち神戸大学でも、何をしようかなと考えているところではあるんですけれども、このリストを拝見しまして、例えば東京大学、それから創価大学の場合の科目等履修であれば、なぜこの科目を選んだかというのは、これは想像しやすいのですけれども、例えば北海道大学の知財法のB、AがなくてBとか、東北大学の環境法の2、国際司法の1、実務国際法、これは国際公法という意味なのでしょうがこれは2だけです。名古屋大学は租税法1、大阪大学は憲法応用、行政法応用1、2という形で、なぜこれを科目等履修することにしたのかなというところを是非知りたいという気持ちでございまして、事務局でもしお分かりのようでしたら教えていただきたいですし、また、委員の方で、もし何か御教示いただけることがあればお願いしたいと思います。
【山本座長】  ありがとうございます。
 まず、事務局からで、何か分かるところはありますか。
【西専門教育課専門官】  ありがとうございます。
 法曹コースの学生に対する科目等履修のところなのですけれども、今回の調査は今年の5月に実施をさせていただいております。。聞き方としては、令和2年度の実績を聞いております。今年度は法曹コースの学生は2年生ということもあり、実際、これらの科目は開講しているのですが、科目等履修した学生の実績は、まだゼロでございました。
 御指摘の各大学の科目につきましても、記載するような欄が3つでしたので、私どもの中でもこれがどういう趣旨で科目等履修されているかということまでは、現時点では直接把握できておりません。
【山本座長】  委員の中で、これは御自分の大学というのがある委員がおられるかどうか、少しあれですけれども、もし、お分かりのところがあれば。
 では、水島委員。
【水島委員】  はい、水島です。
 恐らく並んでいる科目の、前から三つを挙げたものと思います。これだけではなくて、他分野の科目も同様に認めていると思います。
【山本座長】  ありがとうございます。
 先ほどの話で欄が三つしかないという、そういうことなのですかね。
 佐久間委員は、この関係でしょうか。
【佐久間委員】  はい。名古屋大学ですが、少し法科大学院の先生に聞いてみたところ、これはかなり属人的な話でありまして、法科大学院の研究科長が租税法の担当ということで、それで挙がっているのだと思います。
 ちなみに、名古屋大学では、これは前回も少し話題になりましたけれど、科目等履修はやっていて、要するに先取り履修ということになるのですが、法科大学院の先生に聞くと、開講はしているのだけれども、学生さんにそんな余裕はないでしょうというお話でした。法科大学院、法曹コースの方では、積極的には勧めていないというような話を伺っております。ということで、よろしくお願いします。
【山本座長】  ありがとうございます。
 西専門官も言われていましたけれども、今後、始まってどの程度の実績が、この科目等履修で挙がってくるのかということは、まだ少し誰にも分からないというところかと思いますが。
 それでは、富所委員、お願いいたします。
【富所委員】  ありがとうございます。
 私の方から質問は1点です。22ページになります。
 前期の議論でも、未修者教育については、複数の法科大学院での連携が重要であるという話が出ていましたけれども、下の調査結果を見ると、連携している分野というのが、「教材の共有化」や「授業研究」など、どちらかというとノウハウの共有が多いようです。
 一方で、「教員や補助教員の派遣」とか、それから「合同の自主ゼミ」のような人的な交流があまり行われていないというところが見てとれると思います。これは令和3年度の調査になりますので、コロナの影響がかなり色濃く出ているのか、それとも、その以前からずっと人的な交流は進んでいないのか、過去の調査が行われているのであれば、この辺の比較がどうなっているのかをお伺いしたいと思いました。
 以上です。
【山本座長】  ありがとうございます。
 事務局からお答えいただけますか。
【西専門教育課専門官】  富所先生、ありがとうございます。
 これは今年度初めて入れた項目で、まさに先生より御指摘いただきましたように、第10期の議論を踏まえて実態を初めて調査させていただいたものでございます。
【富所委員】  ありがとうございます。
 コロナがなければどうなっていたかというところは、よく分からないわけですね。やはり、コロナの中で、学生同士の結びつきが非常に弱くなっていて、その辺りが学習意欲にもかなり影響しているという話を聞きます。ですので、他校との連携ももちろんなのですけれども、自校の中でも、しっかり学生同士の自主ゼミのような取り組みを大学がサポートするとか、そういったことが非常に重要なのかなと、この結果を見て思いました。
 以上です
【山本座長】  ありがとうございます。
 それでは、あとお二人ですが、では、潮見委員、お願いいたします。
【潮見委員】  はい。ありがとうございます。
 質問ではありません。簡潔に申し上げます。専門職大学院室の調査、今後の調査に対するお願いです。
 先ほどの片山委員が質問されたことに関わることです。司法試験の活用という点に関する調査です。通し番号23ページです。
 この調査、ここで司法試験の活用ということを挙げたことには、この問題を使ってはいけないよというのではなくて、学習にとって有用であるならば、積極的に活用してもいいですという、そのことを伝えるメッセージとしては意味を持つと思います。
 ただ、それ以上に重要なのは、活用で、どのように活用するのかの調査ではないかと思います。専門科目についての知見を十分に持っているということを前提に、司法試験の問題をつくっているというのが、私も過去に10年近く関わりましたけれども、作題し採点をしている人たちの実感ではないか。そうであれば、それを未修者教育で使うということには、実際どういう形で使って意味があると考えられているのかという、その実際の部分、具体的に書いてもらうということが、この特別委員会にとっても、あるいはそれぞれの法科大学院にとっても重要ではないかと思いますので、その辺りに配慮した調査というものを更に続けていただきたいとお願いいたします。
 お答えは必要ありませんので、意見として聞いていただければ十分です。
 ありがとうございました。
【山本座長】  ありがとうございました。貴重な御意見いただいたかと思います。
 それでは、笠井委員、お願いいたします。
【笠井委員】  ありがとうございます。
 資料について少しコメントという感じなのですけれども、質問にもなるかもしれませんが、先ほど富所委員から御指摘のあった22ページの下のグラフなのですけれども、これは連携している大学がやっていることが挙がっていますので、1校という答えが三つありまして、これが何となく違和感がありまするというかですね。普通に考えると、これ実は例えば、京都大学も同志社大学と連携をしているので、この実施している大学に入っているのだろうと思うのですけれども、ここに書いてある、京大がどうだという話ではなくって、「教員受入れや教員派遣」とか、「共同開講」もそうですね、こういったものについては、1校というのは不自然で、少なくとも2校ではないかというふうに思うのですけれども。ですから、少しこれは一方的に認識をしたところが、そう書いたというだけなので、少しその辺りの調査の正確性にはあたりも少し問題があったのかなという感じをも受けました。
 ですから、何か事務当局からコメントいただけることがあればお願いします。
 私からは以上です。
【山本座長】  ありがとうございます。
 事務局からは何かありますか。
【西専門教育課専門官】  笠井先生、ありがとうございます。
 事務局では、大学の回答を中教審前に全大学に確認していただいておりますが、回答内容について、個別に確認を取るということまではできておりませんので、少しここは確認をしておきたいと思います。 御指摘ありがとうございます。
【笠井委員】  ありがとうございます。
【山本座長】  ありがとうございました。
 来年度以降の調査の在り方とか、あるいは、その項目等につきましてのアドバイス、御意見等もいただけたかと思いますので、引き続き、こういうふうなのは継続性というのが重要だと思いますので、引き続き調査していただければと思います。
 それでは、よろしければ、続きまして、議題の3の方に移りたいと思います。
 議題3は、法学未修者教育のさらなる充実に関する調査研究についてということであります。
 この点につきましては、資料3-1、通し番号でいうと35ページにありますように、第10期の当特別委員会におきまして、一つの中心的なテーマとして、この法学未修者教育という点を取り上げ、幾つかの提言をしていったわけであります。これは前期も御所属だった委員、よく御存じのとおりであります。
 それを受けまして、今年度、文科省からの委託事業をして、三つの点、①として法律基本科目の教育ガイドライン、②として法科大学院入学前の導入的教育手法の在り方、③として補助教員の組織的・機能的な活用、これらについて調査研究を行っていただいております。
 そこで本日は、委託事業を実施していただいている一般社団法人法曹養成ネットワークより青野事務局長に御出席を頂いておりますので、この委託事業につきまして、まだ中間的な段階ではあるとは思いますけれども、御報告を頂いて、それを受けて、法学未修者教育の充実について、御審議を頂きたいと考えております。
 それでは、青野事務局長より御説明をお願いいたします。
【青野(法曹養成ネットワーク)】  御紹介を頂きました一般社団法人法曹養成ネットワークで事務局長をしております弁護士の青野博晃と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、お手元、資料3-2、36ページからの資料を御覧いただきつつ、お聞きいただければとす。
 当法人では、法科大学院における未修者教育のさらなる充実に向けた調査研究というテーマで文科省から受託をしまして、今回の事業を進めております。
 まず、前提としましては、そこの36ページのところで、事業の概要について簡単に御説明を申し上げたいと思います。
 事業のテーマについて、白丸から始まるところがございますけれども、御承知のとおり、本特別委員会では、第10期におきまして、未修者教育の改善・充実に向けた議論がなされて、2021年3月に取りまとめをされていると理解をしております。
 その取りまとめにおいては、そこの黒ポツ、法学未修者教育の充実に向けた課題で1、2と挙げておりますけれども、未修者教育の課題として、1、多様な経歴や能力に配慮した学修者本位の教育の実現、及び、2、法科大学院間の協働による全体の教育水準の向上というものが課題として挙げられておりまして、取りまとめでは、これを解決するために五つの対応策が、そこに記載してあるとおり掲げられております。本委託事業の内容をなす調査研究といいますのは、このうち特に下線を引いております1と3のところについて、更に深めて検討していくということが期待されているものと理解をしております。
 その上で、本調査研究では、先ほど座長からの御説明を頂きましたとおり、そこの36ページの委託概要というところで、①から③と掲げさせていただいておりますけれども、三つのテーマに分けて調査研究をしております。
 この後は、この事業ごとに展開をしておりますので、各事業、三つの、我々は第一事業、第二事業、第三事業と呼んでおりますけれども、事業ごとに御報告を申し上げたいというふうに考えております。
 なお、36ページの下の方に事業の実施体制について記載をさせていただいております。
 一般社団法人法曹養成ネットワーク、略称としてプレネットと呼んでおりますけれども、こちらの団体は、私のような法科大学院を修了した若手の弁護士、私自身、司法修習63期で早稲田のロースクールの修了生でございますが、そういった弁護士を含む実務家と、あとは大学の教員を務められる先生方によって設立をされた一般社団法人ではございますが、今回の調査研究については、教育の内容面にわたるものであること、また、対応策、先ほど御説明させていただいた取りまとめにおける対応策の3ポツ目、法科大学院間の協働が掲げられているというところに鑑みまして、今回は、法科大学院協会さんに全面的な協働体制をお願いいたしまして、その上で事業を実施しているというものでございます。
 では、中間報告の内容に移らせていただきたいと存じます。
 中間報告の内容につきましては、37ページからでございます。
 まず、第一事業でございます。
 第一事業は、法律基本科目の教育ガイドライン反転授業等のICTを活用した教育の在り方というテーマで実施させていただいております。
 各法科大学院における未修者1年次の学修では、憲法、民法、刑法の3科目が特に大きな比重を占めていると理解をしております。
 この第一事業では、法科大学院の先導的な取組を調査して共有し、3科目において、特に重点化すべき基礎的な学修内容を整理するとともに、学修者主体の反転授業への転換など、第10期の取りまとめで対応策として示された、学修者本位の教育の実現について研究することを内容としております。
 そこの矢じりで、FDセミナーについてと書いてあるところから御説明申し上げます。
 第一事業の実施においては、そこに記載をしておりますとおり、FD活動の場、こちらを活用して研究をさせていただいております。
 こちらは、法科大学院協会のカリキュラム等検討委員会の中に設置された未修者基礎教育検討小委員会とプレネットの方で連携をいたしまして、法科大学院の所属を越えて、法科大学院全体でも、憲法、民法、刑法の3科目を教えていらっしゃる教員の先生方の間で、オンラインでのFD、いわゆるファカルティ・ディベロップメントを行っていただくものでございます。
 そちらにFDセミナーの概要という項目でお書きをしております。
 実施の概要といたしましては、優れた取組を行っている法科大学院教員を講師といたしまして、実際にどういった授業を行っているのか、教育上の工夫点や、その教育の意図、あと得られている教育効果などについて、講師から御報告を頂いております。
 その報告に対して、当該科目を法科大学院で教えている教員の先生方に、このFDの会議に参加していただいておりますので、講師を交えて、質疑応答、意見交換、その他、先生によっては自らの実践例などを御紹介いただいて、そういった共有、議論をしていくというような形で進めております。
 また、プレネットの方で、法科大学院を修了した実務家に声をかけておりまして、そういった実務家が自分の教育をされた側の経験も踏まえて、意見交換に参加をしているというような形になっております。
 さらに、先ほど申し上げた憲法、民法、刑法以外に、アクティブ・ラーニングの活用というところで、実際アクティブ・ラーニングを活用して授業をされていらっしゃる教員の先生を講師としたセミナーも実施してございます。
 セミナーの詳細につきましては、42ページ以降に、別紙1にまとめておりますので、後で御覧いただければと思っております。
 セミナーの概要のところにもお書きをしているところなのですけれども、大体各回に20名から40名前後の参加がございまして、かなり活発な意見交換がなされております。
 その意見交換の内容としましても、例えば、学生が誤解をしているというようなことに、教員がいつ、どういったきっかけで気づくべきなのかといった議論でありますとか、未修者1年次においては、基礎知識を獲得するために、講義中心になりやすいという性質があるかと思いますけれども、そういった中で、では、どうやって実質的な双方向性を確保するか、また、学生の主体的な学習態度をどのように確保するかといった議論、あとは、反転授業の実際の活用などについて、いろいろなテーマが議論の俎上に上って、活発な意見交換がなされております。
 こういったセミナーにつきましては、本調査研究の一環としまして、オンラインで実施した際にレコーディングをしておりますので、講師の先生の許可を得た上で、これを会員校に所属する教員であれば、誰でもいつでも視聴できるような体制を整えていきたいと、今、準備をしております。
 FDセミナーの有効性について、そちらにお書きをさせていただきました。
 FDセミナーは、私も全回参加をいたしましたけれども、とても有意義な内容となっておりました。所属する法科大学院を超えて、研究者教員のみならず、実務家教員を交えて、先ほど述べたようなテーマについて、多角的な議論がなされる場が設けられて、正に法科大学院の協働が図られているというところかなと思っております。
 また、先ほど申し上げましたように、レコーディングを当日参加していない教員の先生方にも共有をすることで、全体の教育水準の向上に資するのではないかと考えております。
 委託事業の本旨とは少し離れてしまいますけれども、是非今後とも、法科大学院協会の方でこういったFD活動を主導していただいて、継続的な実施をしていただければよいのではないのかなと考えておるところでございます。
 今後の第一事業の方向性につきましては、38ページの今後の事業方向性についてという題で書かせていただいておりますけれども、先ほど述べましたFDセミナーの議論を整理いたしまして、科目横断的な分析も含めて、更に分析検討を深めていって、報告書を取りまとめる予定でございます。
 現在の第一事業の目次案をそちらに記載をさせていただいておりますので、御参考にされてください。
 次に、38ページの下の方からですけれども、第二事業について御報告をさせていただきます。
 第二事業は、法科大学院入学前の導入的教育手法の在り方に関する調査研究がテーマとなっております。
 実際の事業内容としては、そこの枠囲みに書いてございますけれども、各法科大学院で行われている導入教育において活用されている教材等について、アンケートを実施するなどして、導入教育の状況、事例を集積、整理してございます。
 また、第10期中教審で、酒井先生また山野目先生が本審議会へサンプル動画を提出されておりますので、こちらについては、更にその内容を発展させたサンプル教材を試作していくというようなことを通しまして、導入教材の基礎的な在り方がどのようなものであるのかといった点を検討しつつ、また、今後の課題などについて、整理をしていきたいと考えております。
 法科大学院協会の協力を得まして、既にアンケートは実施をして取りまとめをしております。
 どういうアンケートをしたかに関しましては、46ページ以降に別紙2としておつけをしておりますので、後ほど御覧ください。
 今後の事業の予定に関しましては、39ページのところに、導入教材の作成という項を設けて書かせていただいておりますけれども、アンケート、それに基づく研究会の議論を踏まえまして、導入教材の実際の作成に入る予定でございます。
 アンケートの結果ですとか、あと法科大学院から寄せられた意見を踏まえますと、導入教育段階では、そちら三つ、黒ポツでアンダーラインを引いているものが動画のテーマになりますけれども、こういった導入教育段階では、民事法と刑事法、それぞれの実体法、手続法の全体像を概観しておくことで、その後の各科目の学修が理解しやすくなるのではないかといった意見が多く出されておりました。
 また、そもそも学生さん、特に未修者の方は、民事法と刑事法の区別というものが、その根本的なところがついていないために、そこからつまずいてしまう学生さんが一定数いるといった意見もございました。
 そこで、この39ページのアンダーラインを引かせていただいています三つのテーマで動画を作成して、導入教材として試作をしていこうと考えております。
 動画が完成いたしましたら、法科大学院教員と学生の皆さんに提供いたしまして、モニタリング調査を実施した上で、その意見を踏まえて報告を取りまとめるという予定でございます。
 最後に、40ページのところでございます。第三事業でございます。
 第三事業は、補助教員の組織的・機能的な活用に関する調査研究がテーマでございます。
 従前から中教審においては、法科大学院修了生を含む実務家等を補助教員として法科大学院で活用することの有用性が指摘されておられましたし、また、今回のこの会議でも、資料2などでも、その活用状況について調査されております。
 本委託事業では、法科大学院の授業内外での授業フォローや論述指導など、補助教員を活用し学習支援をしていくということに関する法科大学院の取組につきまして、アンケートにより調査をしつつ、幾つかの法科大学院へは実際の教員の先生方にヒアリングをさせていただいたりとか、あとは実際に補助教員を担っている実務家の先生方からお話をお聞きして、ヒアリング調査をしていくと。そういったことを基にして、法学未修者へのきめ細やかな指導をどういうふうに実現していったらよいのか、そのために法科大学院として組織的・機能的に補助教員を活用する、そういった在り方を検討し、その課題などを整理するということが、第三事業のテーマとしております。
 先ほどと同様に、51ページ以降で、実施したアンケートについては、別紙3で添付しておりますので、これをまた御覧いただければと思います。
 40ページのアンケートの実施と取りまとめというところに記載をしておりますとおり、各法科大学院に対しては、補助教員の活用状況や具体的な業務内容、あと補助教員の処遇などについてお尋ねをして、既に回答を得られております。
 今後は、幾つかの法科大学院について、先ほど申し上げましたように、アンケートの回答を基にした掘り下げたヒアリングをしていく予定でございます。
 そちらの40ページのところ、法科大学院ヒアリングと題するところでお書きをしたとおりなのですけれども、資料の記載と少し異なりまして、もう既に今まで2校のヒアリングが終わりまして、あと6校ほどのヒアリングを残すところとなっております。
 また、補助教員ヒアリング(座談会)ということで題字を書かせていただいておりますけれども、実際に補助教員として教育に関わっている実務家からのヒアリングも、オンラインの座談会形式で実施をしようということを今、準備をしております。
 その異なる法科大学院に所属する補助教員の先生方8名ほどを4名ずつに分けまして、具体的にどういった業務をされていらっしゃるのか、あと補助教員として教育に携わるに当たっての創意工夫をどういうふうにされていらっしゃるのか。あと問題意識や課題など、あと補助教員としての御要望なんかを聞き取って、整理をさせていただくと。
 こういった法科大学院の視点と補助教員の視点という両方の視点から、補助教員の活用状況や教育効果、課題、展望などについて、調査研究をまとめて報告書を作成するという予定で準備をしておるというところでございます。
 委託事業に関しての御報告は以上でございますけれども、最後に、この場をお借りいたしまして、御協力を頂いている法科大学院の先生方また事務局の皆様、大変御多忙なところ、アンケート調査またヒアリングに御協力を頂きまして、ありがとうございました。
 私からは以上でございます。
【山本座長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御報告、御説明につきまして、御質問あるいは御意見を頂きたいと思いますが、恐縮ですが、本日はもう一つ議題がございますので、この意見交換の時間だいたい25分程度、15時20分ぐらいをめどというふうに考えておりますので、恐縮ですが、できるだけ簡潔な形で御発言をお願いできればと思います。
 それでは、挙手をいただければと思います。
 それでは、中川委員、お願いいたします。
【中川委員】  青野先生、御作業、本当にありがとうございます。大変であろうかと思います。
 その上で第一事業について、2点ほど、これはもう質問というよりもコメントというか、感想ですので、御参考になればという趣旨です。
 一つは、FDセミナーで、学生の誤解に、いつどのように教師が気づくかという、言わば方法論について意見交換をされたということなのですが、それはもちろんとてもいいことだと思うのですが、もっと端的に、よくある間違いというか、学生によくある誤解、思わぬ誤解というのを教師はもう忘れているので、かつては自分もしていたはずのことを忘れているので、それを一覧化するだけでも、すごく効果が上がるのじゃないかと思います。それを探してきてくださいとアイデアもあるのではないかということですね。
 私、今たまたま法学部の1年生のゼミを持っていて、私の専門外のことをあえて教えているのですけれども、私も素人になろうということでね。しかし、例えば、学部生が持ってくる素朴な疑問っていろいろありまして、たとえば共犯の話の回では、なぜほう助犯だけ従犯と呼ぶのか、従犯と呼ぶ条文はなくてもいいではないかとか、この言葉なくても通じるとかですね。あとは、共犯に対して、共犯は成立要件という言葉を使うのに対し、罪は構成要件と呼ぶのは何が違うのですか、とかですね。意外にそういうところで、何か先に進まなくなる。学生が「共犯罪」と言ってみたりとかということもあります。そういうレベルのことも含めて何か、本当に初学者の立場に立ったよくある間違い、よくある疑問というのを掘り上げていくのがいいのではないかなと思いました。これが1点です。
 もう1点は、現在取りあげられている憲法、民法、刑法はもちろん重要なのですが、私がかつて法科大学院未修者1年目と話していてよく聞いたのが、憲法、民法、刑法についての学習は前期は何とかなると。だけれど、後期になって、商法、両訴訟法、行政法が入ってきて、とたんい付いていけなくなるということをよく聞きました。本当にうまくいってない学生ではなくて、その次のランクかもしれませんけれども、いわゆる下4法(商法、民事訴訟法、刑事訴訟法、行政法)について、未修者で最低限この部分だけをやりましょう、これ以外に詰め込むなという標準カリキュラムみたいなものを次の事業としてやっていただくといいのかなと思いました。
 以上、感想でございます、失礼しました。
【山本座長】  ありがとうございます。
 青野さん、何かコメントありますか。
【青野(法曹養成ネットワーク)】  中川先生、ありがとうございます。
 一覧化の話は、是非FDをやっている先生方にも、私の方から共有させていただきたいなと思います。
 下4法(商法、民事訴訟法、刑事訴訟法、行政法)に関しましては、今回の委託事業は、上3法(憲法、民法、刑法)のところがテーマになってございますので、文科省の方で御検討いただくことになるのかなと思っております。
【山本座長】  ありがとうございました。
 それでは、井上委員、お願いいたします。
【井上委員】  井上でございます。
 第一事業についてですけれども、アクティブ・ラーニングに取り組んでいくということを非常に興味深く拝見しました。
 この反転授業とか、アクティブ・ラーニングというと、予習が大事になると伺っておりますけれども、学生さん側で、こういう新しい授業の取組をすることについての反応、あるいはリアクションが、もし青野さんで分かれば教えていただきたいということと、その予習に際して、今どきの学生さん、スマホでやりたいとか、そういうことを多分おっしゃると思うのですが、そういうところまで、予習の手軽さというところまでいきそうかどうかというところを少しお伺いできればと思って、発言いたしました。
【山本座長】  ありがとうございます。
 青野事務局長、お答えいただける範囲で。
【青野(法曹養成ネットワーク)】  はい。質問ありがとうございます。
 今の御質問に対しては多分、学者でもなく、また、教育者でもない、私から少しお答えをするのが少し難しいのかなと少し思っております。多分に、片山先生に法科大学院協会の側でご参加いただいているところですが、今の御質問はいかがでしょうか。
【片山委員】  そうですね。座長、よろしいですか。
【山本座長】  お願いします。
【片山委員】  法科大学院協会理事長の片山でございます。
 第一事業に関しましては、やはり、アクティブ・ラーニングの手法を取り入れた授業の改善をいろいろな意味で検討していく必要があるのじゃないかということで、従前からもちろんそれはあったわけで、いわゆるソクラテスメソッドがロースクールで重要であるというのも、それも一つのアクティブ・ラーニングの一つかもしれません。
 ただ、決して授業の在り方としては、ソクラテスメソッドだけではなくて、例えばグループワークのようなもので、学修者本位で主体的に発信をしていける形の授業の工夫が必要ではないかという問題意識は、少しずつ共通化しているというところです。
 そのために予習が必要であるということは言うまでもないことなのですけれども、その予習をどこまで課すことができるのかということで、今回の事業では、幸いコロナ禍でもあり、オンデマンドの教材を作成する先生方も多くなってきていると。それはそれでかなり学生にも評判がよいということで、いろいろな大学で試みをやってくださっているようであります。
 その経験を持ち寄ってということになるのかもしれませんが、そうしますと逆に、オンデマンドの教材は1時間半たっぷり聞かせて、授業も1時間半やって、合計180分ということでいいのかどうか。科目は先生だけの科目ではなくて、十何科目あるのですよというような話にもなりますので、その辺り、システムとしてどこまでそういった予習を前提とした授業を実施していけるのかということについても、あわせて、今回の事業の中で検討していきたいということでございます。
 学生自身は、私も大学でやっておりますけれども、それほど予習を課すこと、それからオンデマンド教材を事前に聞いてくるということで、それほど抵抗があるというわけではなくて、従前、未修教育に関しては復習中心というふうに言われてきていましたけれども、逆に予習に重きを置いた授業への移行ということは、十分考えられるところではないかなというふうには思ったところでございます。
 以上、若干補足させていただきました。
【山本座長】  ありがとうございました。
 井上委員、よろしいでしょうか。
【井上委員】  はい、ありがとうございます。
【山本座長】  ありがとうございました。
 それでは、佐久間委員、お願いいたします。
【佐久間委員】  はい、よろしくお願いします。
 私自身は、法科大学院教育に直接関わっているわけではないので、少し見当違いのことを申し上げるかもしれませんけれど、まずは、御報告ありがとうございました。
 未修者にとっては、当然導入教育であるとか、未修1年次の教育が大事なことは当然だと思うのですけれど、36ページの、第10期の議論のまとめでは、多様な経歴や能力に配慮した学修者本位の教育の実現が必要ということになっています。「配慮した」というのは、また微妙な表現ではありますけれど、もし「配慮した」ということの中に、多様な経歴とか能力を今後、法曹になっていくに当たって、積極的に生かしていくという、そういう意味も入っているのであれば、せっかくそういう多様な経歴をお持ちの方がいる場合に、それが無駄にならないような教育でないといけないと思うのですが、その点が、少し欠けているのではないでしょうか。今回の調査対象にはなっていないのかもしれませんが、そこら辺は少し気になるところでございます。と申しますのは、前回、法曹コースの話になりましたけれど、法曹コースは現状、大変厳しいコースになっているところがありますし、また、今日も後で出てきますけれど、法科大学院に在学中に司法試験を受けられるようになって、とにかく早く司法試験に受かるのが大事といった、追い立てられているような雰囲気が、なきにしもあらずという感じはします。
 法科大学院の先生方に伺うと、司法試験に出題されること以外にも、もちろん重要なことはたくさんあるということで、法科大学院の授業では、そういったことをちゃんと教育されていらっしゃるということなのですけれど、学生さんの方は、やはり何か追いたてられている感じがあると思います。そうすると、未修の学生さんも、最初に法曹の世界になじんでもらうというのはいいのですけれど、なじんだ先がそういう、追いたてられているようなところで、そこに飛び込むということになると、そもそもこの未修のコースが設けられている趣旨ですね、何で未修コースがあるのかということが危うくなってしまうのではないか、多様な経歴といったものを生かすという趣旨、そこら辺が本当に大丈夫なのかと、少し心配なところがございます。もちろん、そういうことは既に議論されていることだと思いますけれども、若干そこら辺が気になった次第です。
 多様な経歴とか能力、それを活用するような事業も展開されているのかどうかというところが、私としては気になったところなので、一言申し上げさせていただきました。よろしくお願いします。
【山本座長】  ありがとうございました。
 青野さんからコメントはありますか。
【青野(法曹養成ネットワーク)】  佐久間先生、御意見ありがとうございました。
 少し、今回の委託事業の趣旨というところで考えますと、なかなか、その多様な経歴や能力に配慮したというところを掘り下げるというのは、少し今回の委託事業では、なかなか難しいかなと思っておりますが、ただ一方で、例えば第一事業のところの議論なんかでは、やはり社会人の方とか、あと大学部の方に、やはりどういうふうに配慮をして教えていくかみたいな、そういう議論の端々といいますか、ところどころでは、そういう意識を多分先生方がなさって授業をされているのだろうというところは、共有化されているのかなと理解をしております。
 すみません、この程度のコメントになりますが。
【佐久間委員】  はい、ありがとうございます。
【山本座長】  ありがとうございました。
 最終的な目標は、正に佐久間委員が言われたとおりに、その多様な経歴、能力を生かして、多様な法曹を養成するというのが正に法科大学院の目的であろうかと思いますので、それを教育課程の中でどのように実現していくかというのは、正に教育全体の問題ではあるわけで、それは引き続き、この委員会でも議論していかなければいけないと思います。ありがとうございました。
 それでは、髙橋委員、お願いいたします。
【髙橋委員】  ありがとうございます。
 膨大な作業をお進めいただきまして、また、詳細な御報告を頂きまして、誠にありがとうございました。
 プレネットの皆様、それから事業に御協力いただいている修了生の皆様には、日々、後進の育成に様々な場で御協力を頂いておりますが、法科大学院の一教員として、この場をお借りして、皆様に深く感謝申し上げます。
 事業の主要な内容について申し上げるところはないのですけれども、1点のみ、資料の39ページで、導入教材の作成につきまして、下線部で3点挙げていただいた後に、短時間の動画の作成について挙げていただいているところなのですが、未修者と面談いたしておりますと、特にこの一、二年はコロナという影響があるせいもあると思うのですが、学生間の十分なコミュニケーションがまだ確立していない1年前期の段階で、特に自分の学修方法がこれで正しいのかどうなのか分からなくて、非常に不安だという声が少なからず聞かれます。
 修了生の皆様の経験を活かした学習ノウハウのような短い動画を作成いただくようなことも、学生にとっては有用なのではないかと存じております。
 もしよろしければ御検討いただければ幸いです。
 以上です。
【山本座長】  貴重な提言ありがとうございました。
 続きまして、潮見委員、お願いいたします。
【潮見委員】  はい。もう時間の関係もありますから、端的に2点申し上げます。
 第三事業についてです。
 できれば、これもお願いという限りのことでございます。
 1点目は、ちょうど通しページ40ページ、どちらもそうですね、法科大学院ヒアリングに関してです。
 誰にヒアリングをしているのかというのが、非常に重要だと思います。こういう補助教員を統括しているグループ、あるいは、執行部に対するヒアリングと、実際に補助教員を使っている先生の持つイメージというものにはギャップがある。これは確実にあると思います。
 それから科目によっても、その補助教員に対する言いたいこと、あるいは、改善すべきことなどを抱いている教員も少なくないと思います。そうした人たちの意見を酌み取るような場というものがあればよいのではないかという感じがいたします。これが1点です。
 それから2点目、その下の補助教員ヒアリングの件でございます。
 これを読みますと、ヒアリング、座談会を行うのは、法科大学院修了の実務家というようになっております。実務家の先生方でヒアリングの対象として座談会をしていただくということには異存は全くございません。その中から有用な意見も出てこようと思います。
 他方で、先ほどの文科省の調査にもございましたが、補助教員として実際に仕事をされている人たちの中には、実務家ではない、しかし、それぞれの法科大学院が、この人の知識を使うことによって、より大きな教育価値というものが出てくるということなどを考えて、法科大学院を修了し、例えば博士課程に進んだ、そういう者たちを使っているような場合もございますし、さらには、私はよく分かりませんが、先ほどの文科省調査を見ますと、旧司法試験の合格者だとか、司法試験勉強中の者、こういう人たちを補助教員として使っている。まあ、どの補助をしているのかというのは分かりませんが、そういう場面もあろうかと思います。
 その意味では、これは補助教員を何と定義するかにも関わりますけれども、それ以外の地位にある方々がどのような補助をし、どのような悩み、あるいは、希望を持っているのかということも吸い取っていただくことがあってもよいように思いました。感想を含めてございます。
 以上です。ありがとうございます。
【山本座長】  ありがとうございます。
 そのヒアリングの対象者の点について、御意見、御提言を頂いたかと思います。
 青野さんから何かございますか。
【青野(法曹養成ネットワーク)】  潮見先生、ありがとうございました。
 今回のロースクールヒアリングの関係は、実は、こちらのヒアリングの対象というのは、かなり正直悩ましいというのがありまして、では、執行部の先生に聞けば全部お分かりなのかというと、やはりそうではなかったりとか、あとは、自主的にも修了生たちが組織化できていて、そっちはそちらにもう基本的にお任せをしていますよと。なので、修了生から聞かないと、執行部もよくちゃんと把握できていないところが結構多いみたいな大学なんかもあって、どなたからお話をお聞きするのかというのは、結構悩ましいところでございました。
 そのため、今回はピックアップをしたロースクールの中で、責任者にもおいでくださいという形で、ある程度、大学の中でお話をいただける方をきちんと選んでいただきたいというお願いで、ヒアリングの対象を決めております。
 実際に、各法科大学院長の先生がいらっしゃるケースもあれば、そういった修了生組織とのつなぎの御担当をされていらっしゃる先生もいらっしゃいましたし、あと事務方の方が御同席されているというようなロースクールもあって、各大学で様々な対応の仕方があるのだなというのを、そういった出席者の時点で感じることができているというところがございます。
 また、座談会につきましても、こちらも先生御指摘のように補助教員の定義で我々も相当悩みまして、一応今回は修了生、法科大学院を修了した実務家というふうにしましたのは、恐らく法科大学院教育を受けた側で、今度は教育に回ったからこそできるいろいろな創意工夫だとか、学生への対応があるのではないのかと思って、そういったところに絞っているのですが、先生が御指摘されたように、博士課程に在籍をしていらっしゃる修了生がいるですとか、あと旧試験世代の実務家の先生で補助教員をやっていらっしゃる先生がいるという情報も我々も把握はしておりましたので、そこまでウィングを広げるかというのは、一回議論をして、今回はこういうふうに絞ったというような過程でございます。
 あと、すみません。蛇足ながら、先ほど髙橋先生が御指摘になった、第二事業の関係で、リクエストを頂いたと理解をしております。
 プレネットの方でも、第二事業のサンプル動画、いろいろなテーマで議論が出て、実際に法科大学院のアンケートでも、こういうものをつくってほしいというリクエストが、かなり多種多様に寄せられたところではございますけれども、今回、予算の都合であるとか、あとは時間的な都合で絞らせていただいたというところですので、今後の課題になってくるのかなというふうに感じたのを1点だけ補足させていただきます。
 以上でございます。
【山本座長】  ありがとうございました。
 それでは、片山委員、お願いいたします。
【片山委員】  片山でございます。
 時間がないところ恐縮でございます。1点だけ、追加で説明させていただきたいと思います。
 先ほど中川委員の方から、FD活動大いに結構だけれども、下の4法(商法、民事訴訟法、刑事訴訟法、行政法)も是非というお話を伺いました。
 その中で、特に下の4法(商法、民事訴訟法、刑事訴訟法、行政法)は難しい、未修にとっては難しいので、いわゆるコア中のコアみたいなものが何になるのかというのをきちんと提示してあげるべきではないかという御発言を頂きました。
 全くそのとおりでございまして、実はそれは上の3法(憲法、民法、刑法)についてもそうですが、未修の教育を行うに際して、いわゆるスモールステップということが必ず言われるようになってきております。
 そういう意味では、上の3法(憲法、民法、刑法)につきましても、コア中のコアがどういうものなのかというのをしっかりと学生に伝えていくことが必要かと思います。
 今回の司法制度改革の大きな柱が、段階的・体系的な教育ということですので、いわゆるコアカリについても、一種の段階的・体系的な形でのコアカリの策定というものを検討していく必要があるのかなと思いましたので、また別途、御検討の機会をいただければというふうに思った次第でございます。
 以上でございます。
【山本座長】  ありがとうございました。
 それでは、だいたいよろしいでしょうか。ありがとうございました。
 それでは、法曹養成ネットワークにおかれては、本日、委員から様々な御指摘、御提言、御意見等出たかと思いますので、そういった点も踏まえまして、引き続き事業の遂行によろしく御尽力をいただければと存じます。
 法科大学院協会も、引き続きよろしく御支援をいただければと思います。
 また、この法学未修者教育の充実の問題、先ほど佐久間委員からも御指摘があったとおり、多様な経歴や能力を有する者が法曹として活躍できるという、正に司法制度改革の中核的な理念に向けての喫緊の課題であるというふうに認識をしているところであります。
 今回の委託事業の成果については、法科大学院教育の充実に生かすべく、各大学院で共有していただくということはもちろんでありますけれども、法学未修者教育のさらなる充実に向けては、ほかにも、今日も幾つか御指摘あったかと思いますが、様々な課題があろうかと思いますので、今期の委員会においても、事務局とも相談しつつでありますけれども、引き続き議論の機会を設けてまいりたいと思いますので、委員の皆様には、引き続き、この点について御関心を持ち、御議論をいただければというふうに考えております。
 それでは、青野事務局長、大変ありがとうございました。
 続きまして、議題の4の方に入っていきたいと思います。
 司法試験の在学中受験の導入等に伴うカリキュラム等についてという議題であります。
 まず、資料4につきまして、事務局の方から御説明をお願いいたします。
【佐々木専門職大学院室長】  それでは、説明を差し上げます。
 資料の4ということで、55ページ以降になります。
 資料の4、令和3年度司法試験の在学中受験の導入等に伴うカリキュラムに関する調査ということでございます。
 今回、法科大学院教育と司法試験・司法修習との間で有機的な連携を図っていくための教育内容やカリキュラムの在り方につきましては、後ろの方になりますが、67ページで、前回の会議でお示しした今期の論点というのをお示ししておりますけれども、この中ほどでございますが、こちらの方で、正に教育内容やカリキュラムの在り方について、どのように考えていくか。その際、司法試験合格という成果のみに捉われたカリキュラムだけではなく、法科大学院教育の特徴を存分に発揮するために、どのような点に留意するべきかという御指摘を頂いておりまして、関連いたしまして、5年一貫教育、在学中受験制度の導入に伴うカリキュラムの状況について、大学にお尋ねをして調査をしたところでございます。
 以下、資料について御説明を差し上げます。
 55ページに戻っていただきまして、55ページの下の図でございますが、多くの方が御存じかとは存じますけれども、司法試験の在学中受験が導入されることに伴いまして、これまで司法試験につきましては、5月の試験ということでございましたけれども、これが令和5年以降は7月の試験ということで、11月上旬の合格発表という手順での変更になります。
 この在学中受験に伴いまして、法務省令で定める所定の単位を未修であれば2年、既習であれば1年次の修了のところまでに習得をして、学長認定を受けることが必要になります。
 具体的には、そこにございますとおり、法律基本科目の基礎科目30単位以上、応用科目18単位以上、その下、展開・先端の選択科目に相当する部分ですけれども、4単位以上の合計52単位を取得する必要があります。
 少し飛びまして、57ページになります。
 カリキュラムの編成方針ということで、在学中受験を想定したカリキュラムがどのように編成されているかについてお尋ねをいたしました。
 令和5年以降のカリキュラムにつきましては、まず、前提といたしまして、3年前期に司法試験が入ることによりまして、3年前期の司法試験前後、司法試験は7月でございますけれど、この前後において、必修科目を置かず、カリキュラムがその分、2年次や3年次後期などに移行するということで、全体のカリキュラムがタイトになるということが、おおよそ想定をされるところでございます。
 まず、先ほど申し上げたような在学中受験の所定科目単位を2年次までに習得することにつきましての基本的な大学としてのカリキュラム編成の方針を伺いましたところ、円グラフにありますとおり、(a)原則として全員が2年次までに所定科目単位を取得するカリキュラムを策定しているというのが17校、希望する学生のみが2年次までに取得できるカリキュラムを策定しているのが18校ということでございます。
 この17校というのは、必修及び選択必修を履修してということになります。実際に、在学中受験が多いと考えられている大学におかれての指導方針の状況というものを叙述的に御説明をいたしますと、下のチャートになりますが、例えばですけれども、司法試験の受験前の状況であれば、3年次前期は、法律基本科目など司法試験に直結する科目を集中的に学修し、受験前までに司法試験科目を一通り履修する。六、七月においては、司法試験の受験勉強に集中できるように配慮。7月の受験後、合格発表前の間につきましては、例えば3年後期に入ってきますと、プロセスとしての法科大学院教育として、実務科目や展開・先端科目の授業の履修を積極的に勧める。11月の合格発表後におきましては、合格された方としない方が併存する状態になりますが、合格された方につきましては、引き続き、実務科目、展開・先端科目の履修を勧め、合格されなかった方につきましては、3年後期の期末試験に向けての学修の奨励、あるいは、次年度に向けたモチベーションの維持ということで、様々な指導を掲げられていました。あるいは、そのほか合格前後を区別した指導を予定されていないというようなお答えなどもございました。
 次ページ、58ページですけれども、在学中受験をする一方で、されない学生さんもおられるわけでございますけれども、こういったことについての配慮についてもお伺いをしたところ、例えば、一つ目でございますけれども、そもそも選択に悩んでいらっしゃる方については、学修面での助言、あるいは支援ということを行う。あるいは、学修面、在学中受験をされない学生のための履修モデルを検討するというのもございました。あと、3年後期の時期になりますと、その修了した後に司法試験を7月に受けられるわけですので、修了後に司法試験を受験する予定の学生のため演習科目を設置してフォローを行う、こういったお答えもございました。
 次のページ、59ページでございますけれども、これは今回、どういう学期制を取られているかということについてお尋ねをしたところでございますけれども、非常にいろいろなパターンがございます。前後期制を取られる方、全てにわたってクオーター制を取られる方、そして今回、分かりましたところとして、3年次の一部につき、前期についてクオーター制を取る例につきまして、東京大学、京都大学、神戸大学など6大学ということで、そういう大学もございます。
 少し飛びまして、61ページでございますけれども、一方、単位数の状況についても、調べて報告をさせていただきます。
 各大学、R2、R3というふうに分けてございますが、R2が、在学中受験制度を入れている以前の、いわゆる現行カリキュラム。R3というのが、在学中受験制度施行後のカリキュラムということになりますけれども、一定の単位数の変動が見られます。先ほども申し上げましたとおり、3年前期のある時期につきまして、必修科目等が置けないというような状況から、各科目群の合計数と修了要件に多少のずれがあるような場合には、その点を見直されているケースなどもございます。修了要件を見直されたり、法令で定められた単位数に合わせたりなどの修正、あと一部の科目については、その法令に定められた単位数と合わせられる、こういった動きが見られるところでございます。
 62ページでございますけれども、在学中受験に必要な所定科目単位ということで、これにつきましては、先ほども在学中受験につきましての、そもそも基本的な考え方につきましても円グラフがございましたけれども、これと少し答えが違っているわけでございますが、これは在学中受験につきまして、2年次後期までに必修で履修するものについてお尋ねをしているので、選択必修を除いていますので、少し校数が微妙に違うという状況でございます。
 63ページでございますけれども、3年次の司法試験の時期というのは、今回、7月ということになりますけれども、この六、七月の時期に必修科目が入っているかどうかということについてのお尋ねでございます。
 前後期制をとる学校を中心に、25校が該当をしているということかと思います。
 では、その次のページでございますけれども、どのような必修科目自体を入れているかということで、例えば、上の段でございますけれども、法律基本科目の応用科目、正に司法試験と関連するような内容と想定されますけれど、その演習的な科目、あるいは、法律実務基礎科目に、例えば、刑事訴訟実務の基礎のようなものとか、いわゆる要件事実論との関連があるようなもの、展開・先端科目の、これは恐らく選択科目との関連があるようなものかと思いますが、こういったものが置かれている状況があるように伺いました。
 では、3年後期はどういうふうになっているかということも皆様御関心かと思いますので、参考までに上げておりますが、3年後期に配置されている法律実務基礎科目と展開・先端科目の必修科目の例でございます。統計的なものではありません。あくまで参考例でございます。
 実務系でございますと、例えば、法曹倫理、刑事裁判演習、模擬裁判、刑事・民事、クリニック、刑事実務基礎、民事訴訟実務の基礎と刑事訴訟実務の基礎ということでございます。あと、展開・先端科目も一部あります。
 その下の段でございますが、3年次におきまして、司法試験を7月に実施後、11月の合格発表前、あるいはその後の期間の授業、あるいは学生指導、そして、いわゆる司法修習との連携におきまして、どのような工夫とか配慮をされるか、あるいはそういうのが必要と考えているかということについての自由記述でございます。
 合格発表前のところでございますけれども、7月から11月までの間ということですけれども、例えば、後期から始まる実務系科目の授業内容とかとの有機的な連携を図るというお答えがあります。あるいは、夏休みをちょうど挟みますので、複数回の個別指導を行って、後期の学習計画を立てていただいて、履修を指導するということ。あるいは、夏季の期間を使った集中講座的なエクスターンシップなどの、いわゆる臨床的なものの開講、そういった取組があります。
 そのほか、合格発表がありますのが11月ですので、11月の後ということですと、合格された方については、引き続き実務法曹としての必要な能力を身につけるという観点からの履修の奨励ということもありますが、他方、合格されなかった方が学内に併存しますが、フォローアップ科目というものを設けられる予定の例もございました。
 そのほか、司法修習との連携という観点では、現在は、修習生、修了生向けに実施している入所前セミナーというのを在学中、在学生の合格者等にも拡大することを予定しているであるとか、あるいは、修習との連携の工夫をするということで、民事訴訟実務、刑事訴訟実務を3年後期に並行して履修することにするということ、あるいは、実務基礎科目を3年後期に配置をして、修習と連携を図るというようなお答えがございました。
 駆け足でございますが、今回の調査については、以上でございます。
【山本座長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいま調査の結果について御報告を頂きましたけれども、この在学中受験導入に伴うカリキュラムの問題、恐らく多くの方々、御関心がある点かと存じます。
 30分程度議論の時間がございますが、できるだけ多くの方に御発言いただければと思いますので、引き続き恐縮ですけれども、御発言についてはできるだけ簡潔にお願いできればと思います。
 それでは、どなたからでも結構ですので、挙手をいただければと思います。
 では、まず、中川委員。
【中川委員】  恐縮です。
 通しの61ページの一覧表を拝見しますと、神戸大学、結構あれこれ変えたような感じになっておりますが、そんなに変えたのかなというような実感もありましたので、改めて関係者に聞き取りをしまして、何がどう違ったのかということを,また、課題も1個見つかっておりますので、あわせて簡単に御報告したいと思います。
 まず、我々は、これまで修了要件が100単位だったのを、93とかなり減らしております。これは単純な理由で、在学中受験をするならば最終学年の前期が事実上使えませんので、その分だけ減らすということです。余力のある人はそれ以上頑張っていただけるとは思いますが平均的な学生を考えると、修了要件単位数は減らさざるを得ないということで、最低限の93にいたしました。
 もう一つは、それに伴って法律基本科目や応用先端科目について、いろいろ入替えをしております。最終学年の前期が使えないということで、そこにあった法律基本科目の選択ないしは選択必修系を小さくして、2学年目に持っていったという修正です。
 ただ、最終的には第2学年に全部入りきれなくて、最終学年の前期に、家族法とそれから刑事訴訟法も1単位でしたか、残しております。
 出てきた課題というのが、これは司法試験が終わった後の後期のことです。そこは非常に忙しくなります。学生のほうは司法試験の合否にかかわらず、とにかく卒業したいと思うだろうということで、そこに一気に様々な科目を取るわけなのですが、少しでもその負担を減らしたいということ。それから、最終学年の夏、8月、9月のいずれかでエクスターンシップが入ってくる関係で、一部の展開・先端科目をオンデマンドの授業にしないと、もうこれは入り切らないのじゃないかということになっています。今のところ検討しているのは、金商法と保険法と商標不正競争法という科目です。授業担当者は我が校の専任教員であることも、非常勤講師のこともあります。計算していきますと、8月は結局、前期の期末試験の実施、盆休業、そして集中講義がようやく1週間というか5日ぐらい取れる。9月がエクスターンシップで、その9月に集中講義を更に3日ぐらい入れることができる。そして、9月の最終週からは後期が始まると、こういう大変忙しいことでありますので、集中講義といっても、最大で8日しか使えない。しかもですね、司法研修所からの要請で、修了認定が3月の中旬ぐらいということになっていますので、場合によっては、後期は9月の中旬から始まるということにもなりかねない。そうすると、8月、9月はほとんど集中講義に使えないということが分かってきました。そうしますと、展開・先端科目を全て後期に持ってくるのではなくて、数科目は、完全なオンデマンドといいますか、対面でやる機会はなしというようなオンデマンド授業を数個置かないと、学生の幅広い学習には法科大学院が寄与できないなんではないかと、こういうふうな危機感といいますか、課題が出てきました。
 完全オンデマンド授業といっても,もちろん、質問はeメールで、ないしはSlackだと全員共有できますし、そういう質問に対する応答というのはやるのですが、日時を決めてみんなで集まる、これは対面であれ、ライブ授業のオンラインであれ、日時を決めなきゃいけないということ自体が非常な支障になります。そういうふうな完全な形でのオンデマンドは、対話型の教育を旨とする法科大学院においても、やむなしというふうにしていただかないと、これは困るなというところが課題として出てきました。
 実務基礎の科目については、実は我々選択必修を拡大しています。10単位から12単位に拡大したのです。ただこれは在学中受験とは全く無関係な話で、様々なタイプの実務系基礎科目を我々提供していますので、是非、観点の違うものを学生に受けていただきたいということで、これは以前から考えていたことをやったというだけで、在学中受験とは関係ございません。
 それから、実務基礎科目を法律基本科目の前に置くという工夫も以前からやっておりまして、これも在学中受験の導入とは関係なく維持するということで、実務系基礎科目については、実質的には何も手を触れていないということになります。
 私からは以上でございます。御参考になれば。
【山本座長】  ありがとうございました。
 神戸大学の状況について、詳細な御紹介を頂きました。
 続きまして、松下委員、お願いいたします。
【松下座長代理】  東京大学の松下です。ありがとうございます。
 先ほどの事務局の説明、私は聞き違えたのかもしれないのですが、少しお尋ねしたいことがあります。
 通しページ、62ページの在学中受験に必要な所定単位数という、(2)の上半分、ほかのところと数字が違うのはこういう理由だという御説明の中で、この黒い四角の後ろの方、2年次後期までに必修で履修することとしていますかという問いにおける、この必修は、選択必修を除くという御説明をされたのでしょうか。そこをまず確認させてください。
【佐々木専門職大学院室長】  はい、純粋必修のものだけでカウントいたしております。
【松下座長代理】  その前に、在学中受験に必要な所定単位数ということで、52単位とあるのですが、これは、司法試験でいう選択科目を含んでいる単位数だと思うのですね。だとすると、この2年次後期までに必修で履修するというのは、司法試験における選択科目の8科目のうち、いずれかを選択必修ではない必修にしているロースクールがあるということになるのでしょうか。
【山本座長】  事務局は。
【松下座長代理】  48なら分かるのですけれど、52とあるので、司法試験でいう選択科目が法科大学院における必修となっているという例を想定しないと説明がつかないかなと思ったのですけれど、その点はいかがでしょうか。
【佐々木専門職大学院室長】  すみません。少し確認をさせていただきますので、後ほどまた御報告をさせていただきます。
【松下座長代理】  はい。よろしくお願いします。
 以上です。
【山本座長】  ありがとうございます。
 それでは、次に行って、酒井委員、お願いいたします。
【酒井委員】  酒井です。よろしくお願いいたします。
 今、御報告いただきました在学中受験導入後のカリキュラムについて、2点ほど問題意識を述べさせていただきたいと思います。
 まず、1点目が、在学中受験の実施に伴うカリキュラムの見直しに当たって、実務科目の実施時期ですとか、実施状況がどのように影響を受けるのかという点でございます。
 先ほど中川委員から非常に興味深い御紹介はいただいたのですけれども、恐らく神戸のようなケースが、マスではなかろうと思うところもございまして、その観点からお話をさせていただきたいと思います。
 64ページの上部3年次のカリキュラムについてというところを見ますと、法律実務基礎科目が3年次前期に配置されるケースと後期に配置されるケースが分かれていると。これは当然のところかと思うのですけれども、実際にどの程度の実務科目が3年次後期に、ある種後ろ倒しになっているのかというところまでは、資料からは判然としないところがございます。しかし、64ページの下部の自由記載欄ですとか、その他の資料の記載を見ますと、実務系科目の多くがかなり3年次後期に回ってきているのではないかなと思われるような記載もございます。司法試験が3年生の夏の実施となりますと、受験直前の時期をある程度、試験対策のために確保をせざるを得ないという要請は無視できないものとも思いますが、実務科目の中、特に実務基礎科目の中には、私自身、司法試験の受験に向けても大きなプラスになった科目もあるという実感がございます。具体的には、例えば民事裁判基礎で要件事実を学ぶことで、民法の理解が飛躍的に深まったというような例がございます。
 このように、夏に司法試験が予定されているからといって、あらゆる実務科目を3年次後期に回すというようなことがあるとすると、必ずしも適切なカリキュラム配置ではないのではないかという問題意識を共有させていただきます。
 また、これは実務科目に関する、より本質的な問題になるのですけれども、在学中受験に向けたカリキュラム再編の中で、いわゆる臨床系の実務科目が、カリキュラム内に位置づけ切れなくなってしまうというような例も出始めているやに実務家サイドから聞き及んでおります。法科大学院ならではの教育というものが、理論と実務との架橋というところにあったはずですので、ロースクールらしい実務科目が減ってしまうというような事態になりますと、むしろロースクールを志望する学生たちに対して、向けて発信できる、ロースクールの大きな魅力の一つが損なわれてしまうのではないかということを懸念しております。予備試験を志向する学生との差別化という意味でも、こういった魅力の一つが、残念ながら少なくなってしまうというようなことは、できるだけ避けるような対策が考えられないかと思うところです。
 ですので、カリキュラムの再編に当たって、実務科目を開講する時期ですとか、科目の内容について十分配慮されるべきと思っておりますので、率直なところ、もう少し詳細にどういった影響が実務科目に及んでいるのかという辺りが是非明らかになってくるとよろしいかなと思うところです。
 また、2点目なのですけれども、やはり未修者の問題なのですが、まだ、実際に在学中受験が始まってみてから、未修者がどの程度在学中受験を選択するのか見えてこないという状況ですので、顕在化していない問題ということにはなろうかと思うのですけれども、未修者の多くが在学中受験を選択するとすると、3年生の夏に司法試験合格を目指す未修者をどういうふうに教育していくのかということは、非常に悩ましく大きな問題になってくると思われます。
 先ほど、委託事業の御報告の中にも、FDセミナーの有用性についてなどの言及もあったかと思いますので、このようなセミナー等も継続的に活用しながら、未修者の動向にも合わせた教育手法の研究というものが、継続的に早急に進められていくことが望ましいと考えるところです。
 以上、2点になります。ありがとうございました。
【山本座長】  ありがとうございました。
 実務系科目の問題、それから未修者の問題、いずれもこのいわゆる新カリキュラムをつくるに当たって、どこの法科大学院も非常に悩まれたところではないかというところを端的に御指摘を頂き、また、今後の問題点も指摘いただいたかと思います。
 それでは、清原委員、お願いいたします。
【清原委員】  ありがとうございます。清原です。
 大変な有意義な調査に御協力いただいた法科大学院に感謝したいと思います。
 2点質問があるのですけれども、今回、3年次というのが、大変重要な時期であるということが、今回の調査でもあぶり出されました。
 通し番号59ページの2の学期制についてでございますけれども、幾つかの大学、東京大学、京都大学、神戸大学、九州大学等では、クオーター制を3年次の前期のみ導入というふうに報告がありました。
 このようなことをされた、従来とは違うことでございますので、その効果といいましょうか、短い経験とは思いますけれども、それをどのように受け止めていらっしゃるかということを、もし委員の方で御報告いただける方があれば伺いたいなと思いました。
 2点目は、これは私の問題意識でございますが、3年次で、どうしても、後半、合格した人と合格しない人が、同じキャンパスで学ぶということになるのですが、しかし、適切な配慮というのが必要で、この回答によれば、合格者には合格者として司法修習に結びつける科目を紹介したい。また、モチベーションが下がらないように不合格者には、また、その継続の効果が上がる科目を受講するように勧めたいと、大変きめ細かい取組をされているようなのですが、履修登録等に柔軟性を持たせるというふうに、自由回答で回答された大学院もございます。3年次に在学中受験が入ることによって、本当に履修の柔軟性というのが求められてくるのですが、しかし、実際に指導される教員の皆様には、大変な配慮が必要ですし、相談の時間も必要ですし、理想的な取組をされてこられているなということが調査から浮かび上がってきたのですけれども、実際において、合格者と不合格者において、今後望ましい科目といいましょうか、そういうものが出てくるのでしょうか。今、酒井委員もおっしゃいましたけれども、実務家の授業などの位置づけとか、そういうことと関連して、入ってきたことによって、今後カリキュラムの3年次の在り方について、どのような影響というものが起こってくるのか、それが一、二年次の必修化との関係で、3年次の法科大学院の魅力にとても影響するかと思いまして、今回の調査で浮かび上がってきたものも、法科大学院間で共有していただいて、より有効なカリキュラムを、どの法科大学院でも個性を持ちながら、やっていっていただければなと感じました。
 以上です。どうもありがとうございます。
【山本座長】  いずれも重要な御指摘であったかと思います。
 クオーター制の効果というか、実効性というのは、これ自体が令和5年、再来年に恐らく初めて、実際に行われるところであろうかと思います。今後、これはどのような形で担っていくかというのは、最後でもお話ししますけれども、引き続き当委員会でも検討していかなければならない点だと思いますし、後段で御指摘のあった、いわゆる混在問題といいますか、合格者と不合格者が同じ形になっていくというところを、どのような工夫で、それぞれに教育効果を上げていくかということも、やはり大変大きな在学中受験が投げかけた問題かと思います。これも、また実際にどのような形で効果を上げていくかということは、引き続き考えなければいけないのではないかという点を御指摘いただいたかと思います。
 それでは、続きまして、大貫委員、お願いいたします。
【大貫委員】ありがとうございます。資料4、在学中受験等に伴うカリキュラムに関する調査は、調査対象の法科大学院も文科省も大変だったと思いますが、とても貴重な情報だと思います。その上で、もし可能であればお願いしたいことがございます。在学中受験を見据えたカリキュラム改訂というのは、実はもう済んでいるはずでありまして、在学中受験は令和5年ですけれども、令和4年度から入ってくる学生から適用しなくてはいけませんので、第一次のカリキュラム改訂は済んでいるというふうに私は理解しております。しかし、今後のさらなるカリキュラム改訂に向けて、清原委員も非常に有意義なことをおっしゃったと思いますが、今後のさらなるカリキュラムの改訂に向けて、他大学の状況は参考になりますし、現在のカリキュラムの下での運用についても、他の大学の動向は非常に参考になるというふうに思っております。もちろん、今回実施してくださったアンケートは、他大学のカリキュラムや運用について参考になる情報をたくさん含んでいると思います。しかしながら、個別の大学名は書いていなくて、類型化された形での情報整理ということになっております。これ自体でも非常に有用です。しかし、可能であれば、幾つかの大学について、例えば、多くの法科大学院が悩んで対応したであろう幾つかの点については、詳細に話を伺えないかというふうに思っております。先ほども中川委員から、図らずも神戸大学は非常に悩んで、こういうことを考えて、こういうことを実施したのだとご発言がありました。また、酒井委員がおっしゃった実務基礎科目の配置の問題は私も重要だと思っております。3年後期に全部置くだけが正しいやり方では決してない。むしろいろいろなやり方があっていいというのは思うわけですが、ただ、学生は非常にタイトなカリキュラムの下で司法試験の勉強をするときに、果たしてどういう組み方が可能なのかということはあろうと思います。私が特にお聞きしたいと思っていることは、委員の皆さんも恐らく聞きたいと思っていることだと思いますし、今般の改革の論点になることであろうと私は思っております。
幾つか詳しく聞いてみたいところを申し上げます。司法試験合格者を特にターゲットにした3年後期のカリキュラムの組み方及びその運用の予定です。これは一場委員が何度か発言されたと思うのですけれど、研修所との連携をどう考えるかという問題と密接に関わる問題であります。アンケートでは、57ページや64ページに既に記載されております。それから、司法試験に合格しなかった方を視野に入れたカリキュラムの組み方や運用の在り方であります。これは57ページに書いてあります。そこを見ると、カリキュラムというよりはモチベーションの維持とか、そういうことが書いてあったのですが、果たしてそうした対応だけでよろしいのかというところもあろうかと思います。何か特別な対応は必要ないのかどうかということをお聞きしたいと思います。それから、司法試験選択科目の配置であります。これも非常にタイトなカリキュラムの下で学生は準備をせざるを得ませんので、そうした中で科目をどのように配置しているのか知りたいところです。さらに、未修者や在学中受験を選択しない人へのカリキュラム上の配慮、運用の予定をお聞きしたいと思います。先ほど、在学中受験を選択しない人への言及もございましたし、酒井委員の方から未修者への配慮ということがあったと思うのですけれど、今回のアンケート中で必ずしもそうして点は出ていなかったと私は思うのですが、どのような対応をされたのか、されないのか、運用でどういうふうにするのか知りたいところです。例えば、不合格になった方への対応というのはいろいろあって、前期のクオーター制もさることながら、後期のクオーター制というのも考えられるわけです。司法試験に不合格となったときに、どういう科目を選択させるか。果たして、実務科目や展開・先端を中心に取らせていいのかという問題はあるろと思います。本学ではまだ決まっておりませんけれども、ここも実質上クオーター制を実施して、選択権を与えたらどうだというような議論も少しあります。そういうことを議論していただきたいと思っています。それから、最後に、先ほど酒井委員が適切におっしゃった、法律基本科目と連動させることに教育上の効果があるというふうに一般に言われている実務科目の配置がどうなっているのかということを、全ての大学ではなくて、典型的な対応をしている大学や特徴的な対応をしている大学についてヒアリング等をして情報を共有できないかと思っているところです。
以上でございます。
【山本座長】  ありがとうございました。
 今回の調査を踏まえて、より深度のあるというか、深掘りをした調査についての御指摘であったかと思います。
 直ちに事務局の方で、どうこうというのは難しいかと思いますけれども、今ヒアリングということで委員からの御指摘もありましたけれども、少しどのような形で調査ができるかというのは分かりませんけれども、今の御指摘を踏まえて、さらに、より深いレベルで情報が共有できるように、事務局もお考えをいただければと思います。
 それでは、片山委員、お願いいたします。
【片山委員】  慶応大学の片山でございます。
 協会からの追加情報ということになりますけれども、先ほどの酒井委員、それから大貫委員等の様々な委員からの御発言からもありましたように、今回の在学中受験でカリキュラムが変わることの中で一番重要なものの一つが、実務基礎科目の位置づけということかと思います。
 これは特に、在学中受験でギャップタームがなくなって、司法研修所での修習と直結をするということになりますので、ロースクールにおける実務基礎教育と、それから修習における教育との連携ということが、更に重要になってくるかということでございます。
 この点に関しましては、協会といたしましては、司法修習連携等検討委員会という専門委員会を設けまして、東京大学の和田先生を中心に対応していただいていますけれども、今日は研修所の一場事務局長も委員として御出席ではありますけれども、司法研修所の方でも非常に積極的に考えてくださっておりまして、連携の枠組みが整えられつつあるということを御報告したいというふうに思っております。
 司法研修所の笠井所長、それから一場事務局長と和田先生を中心とした検討委員会との間で、様々な検討を開始していただいておりまして、特に、会員校の実務家教員と、それから司法研修所の教官が、法曹実務家というものの養成として、両組織における教育の共通のポイントはどういうものなのかとか、あるいはそのポイントについてどのように教えるべきなのかということを意見交換する場を設けるということになりました。既に始めておりますけれども、これをオープンにする形で、この2月には、会員校も参加してやりたいというふうに思っておりますし、また、今、修習がオンラインで行われておりますので、その集合修習を見学するというような、そういう枠組みをつくっております。
 そのような中で、フィードバックしながら、法科大学院における実務基礎科目の在り方を再度検討する機会が設けられればというふうに思っております。その中でも、やはり議論が出ておりますとおり、法律基本科目の授業と並行して行われる形の実務基礎科目の基礎と言われているもの、それをどのように教えるべきかということと、それから3年の秋学期に集中して行われると想像される、司法修習に直結した形での実務教育の在り方、そういったものは分けて、二元的に考えていくべきではないかという意見が、実務家教員からも聞かれたところでございます。
 そういう意味では、協会といたしましては、是非実務家教員を中心として、その意見交換の場を更に設け、そして司法研修所との意見交換につなげていくという形で、この問題を検討していきたいというふうに思っているところでございます。
 あわせて、追加情報として説明させていただきました。どうもありがとうございました。
【山本座長】  ありがとうございました。協会の方からの貴重な情報を頂きました。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、この点についても大変活発な御議論をいただけたかと思います。多様な観点からの御意見、また、御要望等も頂いたかと思います。
 先ほど清原委員と私のやり取りでも申し上げたとおり、このカリキュラムというのは、実際に動き出すのは、正に来年の4月からということになりまして、現段階では、まだ紙の上というところがあるかもしれませんけれども、計画として、各法科大学院が定めているところということであります。そういう意味では、今後これが実施に移されていく中で、どのように運用されていくかというのは、当委員会においても、引き続き丹念にフォローしていく必要がある課題であると考えておりますので、今後も特別委員会において、この問題は引き続き審議をしていきたいと考えておりますので、よろしくお願いをいたします。
 それでは、本日最後ですが、事務局の方から御説明があるようですので、よろしくお願いいたします。
【佐々木専門職大学院室長】  事務局でございます。
 最後に、簡単に一つだけ御紹介を申し上げます。
 参考資料の3を御覧くださいませ。
 大学院設置基準等の一部を改正する省令についてというポンチ絵と、大学院における履修証明プログラムへの単位授与・認定、イメージというものでございます。
 履修証明プログラムにつきましては、各大学が任意で一定の科目をパッケージにしたプログラムでございますけれども、これまで学部段階等におきましては、学位の取得に向けた各大学等での単位の積み上げに履修証明プログラムを活用できるよう、履修証明プログラム全体に対する単位授与が可能となっておりました。この点につきまして、大学院における社会人のリカレント教育充実の観点から、大学院においても履修証明プログラムを柔軟に活用できるようにすべきという指摘がございまして、中央教育審議会大学院部会を中心に、大学院設置基準等の一部改正が審議をされてきました。改正内容につきましては、資料の3の上のスライドにあります、赤枠の囲みの中の1、2のとおりでございますけれども、大学院が、学修が大学院教育に相当する水準を有し、かつ、教育上有益と認めるときに限り、履修証明プログラムにより履修した単位につきましては、当該大学院における授業科目の履修により修得、入学前に修得した単位について、当該大学院に入学した後の授業科目の履修により修得したものとみなすことができるというものでございます。
 法科大学院におきましては、以前から単位認定が可能な科目等履修等の単位と合わせまして、20単位を越えない範囲で認めるという制度になっておりまして、12月15日の中央教育審議会大学分科会におきまして、この内容につきまして、承認をされているところでございまして、御参考として御紹介をさせていただきました。
 以上でございます。
【山本座長】  ありがとうございました。よろしいでしょうか。
 次回、会議日程等については、よろしいですか。
【佐々木専門職大学院室長】  引き続き、説明をさせていただきます。
 次回の会議日程につきましてでございますけれども、これは改めて連絡をさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
【山本座長】  ありがとうございました。
 それでは、これにて本日の法科大学院等特別委員会は終了したいと思います。
 本日も、長時間にわたりまして、活発な御議論を頂き、誠にありがとうございました。
 
―― 了 ――
 

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