法科大学院等特別委員会(第104回)議事録

1.日時

令和3年9月29日(水曜日)16時00分~18時00分

2.議題

  1. 連携法曹基礎課程について
  2. その他

3.議事録

【山本座長】 それでは,所定の時刻になりましたので,第104回中央教育審議会大学分科会法科大学院等特別委員会を開催いたします。
本日も御多用の中,御出席を頂きまして誠にありがとうございます。
本日も新型コロナウイルス感染症対策のため,Webexによるウェブ会議として開催をしております。なお,本委員会は公開が原則のため,この会議の模様はYouTubeライブ配信にて公開いたします。
本日の議題は,連携法曹基礎課程についてであります。どうか活発な御審議をよろしくお願いいたします。
初めに,このたび新しく着任された委員につきまして,事務局より御紹介をお願いいたします。

【佐々木専門職大学院室長】 事務局でございます。資料1の委員名簿を御覧ください。1ページでございます。
7月に新たに法務省大臣官房司法法制部司法法制課長に御就任されました加藤経将課長に,9月22日付で本委員会委員に御就任を頂いております。

【山本座長】 それでは,加藤委員より一言御挨拶をいただけますでしょうか。

【加藤委員】 司法法制課長の加藤でございます。本年7月に司法法制課長を拝命いたしました。
法科大学院教育に正面から関わるのは実は今回が初めてでございまして,これまでは,例えば法科大学院生が検察庁に見学に来られたときの見学説明会で説明をしたり,法科大学院に私が出向き,課外で講師をさせていただいたり,夜の懇親会などを一緒にしたりといったような形で関わったほかは,司法試験の際に,憲法の考査委員として関わるといった程度でした。
ただ,法務省の秘書課などにいた折り,司法法制部から,いろいろな課題について聞いておりましたが,法科大学院教育については,司法試験共々,非常に難しい課題をずっと抱えながら,それを一つ一つ克服していっており,はたから見ていて大変御苦労されているなと思っておりました。このたび,そうした問題に皆様と御一緒に正面から向かわせていただくということになりました。至らないところもあるかと思いますけれども,よろしくお願いいたします。
以上です。

【山本座長】 よろしくお願いいたします。
それでは,次に,事務局にも人事異動があったということでございますので,事務局より御報告をお願いいたします。

【佐々木専門職大学院室長】 9月21日付で高等教育局長の伯井が初等中等教育局長に異動となりまして,後任に増子が着任をしております。
また,法科大学院の担当審議官につきましては,森田からこのたび高等教育担当の審議官に着任いたしました里見になりました。一言御挨拶を差し上げたいと存じます。

【増子高等教育局長】 委員の先生方,今日は大変お忙しい中,委員会に御出席いただきまして,誠にありがとうございます。
御紹介あったように,先週の21日に高等教育局長を拝命しました増子でございます。これからいろいろお世話になると思います。よろしくお願いします。
法科大学院の制度については,これまでもいろいろ直すべきところは直してきたというふうに聞いていますが,まだいろいろ課題があると伺っておりますので,委員の先生方の忌たんのない御意見,何とぞよろしくお願いします。
以上です。

【山本座長】 よろしくお願いいたします。それでは,よろしいでしょうか。

【佐々木専門職大学院室長】 先生,ちょっとお待ちください。すみません。

【里見審議官】 ただいま御紹介いただきました,文部科学省大臣官房審議官を拝命いたしまして,このたび法科大学院の方の担当をすることになりました里見でございます。前職は東京大学の理事をしておりましたので,ここにおられる何名かの先生方とは既に面識がある状況でございますけれども,法科大学院そのものに取り組むことは初めてでございますので,是非勉強させていただきながら,よりよい方向に持っていくお手伝いをさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【山本座長】 よろしくお願いいたします。失礼しました。
それでは,続きまして,事務局から配付資料の確認をお願いいたします。

【専門教育課西専門官】 配付資料の確認をさせていただきます。
配付資料は資料1から参考資料まで全78ページになります。よろしくお願いいたします。

【山本座長】 それでは議事に入る前に,まず,資料2,司法試験の関係について,加藤委員より御説明をお願いいたします。

【加藤委員】 それでは,令和3年の司法試験の結果について御説明いたします。
お手元の資料2-1から2-11までが今回の司法試験の結果に関する資料になります。
司法試験の結果の概要について申し上げます。
お手元の資料の中の資料2-1と資料2-2にありますとおり,令和3年の司法試験の結果は,合格者数が1,421人,前年比で29人の減少となっております。合格率は41.50%,これは前年比でプラス2.34ポイントとなっております。
また,予備試験合格資格に基づく受験の合格者数は374人でした。
このほか,大学や法科大学院別の受験状況等の資料が続いておりますので,適宜御参照ください。
私からの御説明は以上でございます。

【山本座長】 ありがとうございました。
それでは,続きまして,資料3,KPIの関係について事務局から御説明をお願いします。

【佐々木専門職大学院室長】 私の方から資料3-1以降につきまして御説明を差し上げたいと思います。
38ページ以降を御覧いただければと思います。よろしいでしょうか。
まず,資料3でございますが,昨年6月にこの中教審で御議論いただきまして,おまとめいただきましたKPIについての進捗状況ということで,3のとおりの表になっております。1番の累積合格率につきましては,ターゲットイヤーの令和6年につきまして,全体70%という目標に対しまして,今年度時点での平成28年度修了者の累積合格率が66.8%,未修者につきましては,50%という目標に対しまして48.5%でございます。
修了後1年目の司法試験合格率につきましては,既に目標の50%を突破しております。なお,令和5年時点では在学中受験も含む数字となりますので,状況は引き続き注視が必要と考えております。
3番ですが,法曹コース修了者のうち学部3年進学者の修了後1年目までの合格率につきましては,目標は65%ですけれども,これにつきましては,これまで制度化以前の早期卒業,飛び入学のロースクール修了者の合格率についてデータを上げてきておりました。
入学者目標につきましては2,000人ということで,現状1,724人ということで,目標にはまだ一息ということでございます。
次ページ,39ページ以降でございますけれども,これまで経年のデータにつきましては文部科学省の方で再集計したデータということになります。
39ページにつきましては,司法試験の合格率の推移でございまして,平成28年を底に上昇に転じて,その傾向は続いております。
40ページは,司法試験合格者数の区分別の数字の推移でございます。現状では既修,未修,予備試験ということで分類をしております。
41ページでございますけれども,合格率の推移でございまして,既修者につきましては法学部出身,非法学部出身,いずれも上昇しており,それぞれ46.2%,38.6%ということでございます。
未修者コースの差は大きいという状況で,未修者コースにおきましては,法学部,非法学部の差というのは小さく,今年度もその状況に大きな変わりはございませんでした。
42ページでございますけれども,ロースクール修了直後の合格率の推移でございまして,全体が52.4%,既修が61%と着実に上昇しております。他方,未修につきましては,前年に比べて微減をして26.6%でございまして,近年は上昇を続けておりましたので,このコロナ禍の中でこの傾向が一時的なものなのか,引き続き注視が必要と考えております。
43ページと44ページは累積合格率のデータでございます。
43ページ,全体の5年累積合格率は,先ほどもお示ししたとおり,政府目標の7割には僅かに届いていない状況でございます。他方,法学既修者コースの修了者は,修了後2年目で70%に達しておりまして,未修についても5年累積では目標の5割に僅かに達しないというのが現状でございます。
44ページは,既に5年を終えたこれまでの累積合格の実績の推移ということになります。
以上でございます。

【山本座長】 ありがとうございました。
それでは,ただいまの加藤委員と事務局からの説明について,御質問等あればお出しを頂きたいと思います。
いつものように挙手をしていただければ私どもで確認できると思いますので,よろしくお願いいたします。特段ございませんでしょうか。
それでは,続きまして,資料4,第11期の審議に関する主な論点に入りたいと思います。
こちらは,前回6月の本委員会におきまして,第11期の審議事項の案に基づいて各委員から御発言を頂いた御意見の内容をまとめたものです。第11期についてはこのような点に基づいて審議を進めていければと考えております。
それでは,事務局の方から簡単に説明をお願いいたします。

【佐々木専門職大学院室長】 引き続き,事務局の方から御説明を差し上げたいと思います。
45ページの資料4を御覧ください。
前回,今期の主な論点につきまして,前回の資料で言いますと,資料8という最後の資料を基に御議論いただきまして,前回の御意見を踏まえて今回更新させていただいたのがこの資料でございます。
まず,審議に当たっての基本認識ということで,4点整理をさせていただきました。
1点目は,新たな一貫教育制度の着実な実施に向けまして,法曹コース,法科大学院における教育の成果と課題を検証するとともに,さらなる改善・充実に資するよう,随時必要な方策を提案するということでございます。
2点目といたしましては,引き続きですけれども,未修者教育のさらなる充実に向けて,前期のまとめなどを踏まえまして,さらなる改善・充実方策を検討する必要があります。併せまして,共通到達度確認試験の方向性についても一定の結論を得るということでございます。
3点目ですけれども,先ほど御紹介をいたしました,正にKPIなどを達成することができるよう充実した教育を行い,プロセスとしての法曹養成制度の有効性を高めるとともに,法科大学院で学修するメリットや意義を発信するなどして,多様なバックグラウンドを有する優れた資質・能力を有する者が,より多くの法曹を志望し,入学することを目指すための方策を検討する必要があるということです。
4点目でございますけれども,法科大学院が法曹養成プロセスの一部としてだけでなく,理論と実務が相互に作用する結節点として,社会に貢献するための拠点として,社会に貢献する魅力ある法科大学院の在り方というものを検討,発信ということでございます。
今の基本認識を踏まえながら,個別の論点につきましては,前回資料8の三つの柱に沿って,前回と同じく,一貫教育の着実な実施,未修者教育,その他という形で整理をさせていただきました。
(1)新たな一貫教育制度の着実な実施についてということで,この中で小節を三つに分けておりますが,まず,一貫教育の全体,あるいは法曹コースと法科大学院が連携して進める事項といたしまして,一つ目として,双方の連携,特に自大学以外の連携先との連携の確保の重要性。
二つ目といたしまして,多くの委員から御意見いただきましたけれども,法科大学院に進学した後,どのように活躍ができるのか,自らのキャリアや法曹として果たすべき役割について考える機会を早い段階から設定することの重要性。加えて,これも複数の委員から御指摘を頂きましたけれども,研究者という道の意識づけについても今回記載を追加しております。
三つ目ですけれども,多くの法学部生やロースクール生が予備試験を受験している現状を踏まえまして,優れた資質を有する志願者の確保のために,いかに一貫教育を充実して予備試験と差異化を図るか,志願者のニーズを酌みながら,その魅力を若い法曹志願者に伝えていくかということかと思います。
2ですけれども,46ページ,法曹コースの部分ですけれども,この取組につきましては,一つ目,この後御紹介もいたしますが,法曹コースや特別選抜の現状の把握と分析,そこから必要な方策を検討するということ。
二つ目といたしましては,早期卒業を3年で希望する学生だけでなく,研究あるいは留学,ボランティア,部活動など大学ならではの多様な学び,あるいは活動といったものに取り組む学生を広く支援していくことが重要ではないか。そういう多様な人材を取り込める一貫教育とはどうあるべきかということ。
三つ目といたしましては,法曹コース在籍以外の法学部学生が法曹コースに在籍しなかったことをもって法曹の道を諦めることがないよう,引き続き配慮が必要ではないかということでございます。
次の節ですが,法科大学院ということに関しましては,まず,一つ目といたしましては,一貫教育の中で,司法試験,司法修習との有機的な連携の中で,教育内容,カリキュラムの在り方,あるいはそれにつきましてしっかりと磨いていく,そして,合格という成果のみにとらわれたカリキュラムでなく,法科大学院教育の特徴を存分に発揮するための留意点を示し,確認していくことが重要と考えております。
二つ目の点としては,上記と関連いたしまして,司法試験,あるいはその合格発表時期の変更に伴います学事暦の変更,特に,2年次,3年次のカリキュラムの在り方。
三つ目といたしましては,在学中受験される方とそうでない学生の混在への配慮。
四つ目としては,展開・先端,実務系科目,あるいは海外派遣プログラムなど,法科大学院らしい学修をどのように関係方面と連携し充実させるかということがあるかと思います。
(2)の大きな段落に行きますが,未修者教育の柱につきましては以前から大きな変更はございませんで,委託事業の成果を踏まえた検討ということを記しております。また,御指摘を踏まえまして,在学中受験の方との教育の両立という点を記載しております。
次ページ,47ページでございますけれども,その他ということで,志願者増加に向けた取組と社会に貢献する法科大学院という柱で整理をしております。
現状を踏まえますと法曹志願者の増加・確保というのが重要でございまして,そのためにも法科大学院に進学した場合の魅力あるキャリアパスを示して,実際に修了後の法曹の姿を明確に発信することが重要ではないかということで,これは先ほど45ページの下から二つ目の丸の一貫教育の内容のところで触れましたけれども,法曹の魅力を幅広く発信するということであります。そこを誘因といたしまして,法科大学院の学びに関心を持っていただくということかと思います。加えて,その下でございますけれども,高校生段階からの発信というのも重要ではないかということかと思います。
下の社会貢献の柱ですが,基本認識にも記載をしておりますけれども,法科大学院を法曹関係者のリカレント教育の場として機能させること,これらにつきましては既に行われている部分もございますけれども,なお一層の活用を期待されるということ。さらには地域,経済界,行政との連携を深めることの重要性があります。これらは今後の経済的支援,あるいはその地域における法曹を定着するというようなことにも関係するわけでございまして,引き続き重要な課題と考えております。
以上でございます。

【山本座長】 ありがとうございました。
それでは,第11期の審議に関する主な論点について,御質問あるいは御意見,もう少しこういうところも議論すべきではないかといったようなことでも結構ですので,何かございましたら御発言をいただければと思います。いかがでしょうか。
清原委員,お願いいたします。

【清原委員】 どうもありがとうございます。
第10期を踏まえつつ,前回の委員の皆様の御意見を大きく反映してまとめていただき感謝いたします。大分論点が明確化されたと思います。
私は,1点,前回は発言ができなかったのですが,ほかの委員が発言されて大変有益だなと思った点について発言をさせていただきます。
通し番号46ページの法科大学院の冒頭に書かれていることでございます。
「学部入学から最短6年間で法曹資格が取得可能となることを踏まえ,法科大学院教育と司法試験,司法修習との間で有機的な連携を図っていくための教育内容やカリキュラムの在り方についてどのように考えるべきか」と。
この特別委員会の審議も踏まえつつ,特に法科大学院,そして法学部の現場の皆様の声を反映して,この法曹コースというものが提案されて実現してまいりました。
その中で,改めて学部と法科大学院の流れだけではなくて,司法試験合格後の司法修習の内容と法科大学院のカリキュラムというのがいかに密接に連携するか,そして,そのことによって法曹の質の向上が図られるということが共有されてきたと思います。
従いまして,今日は特に「法曹コースと法科大学院の連携」について深めることになると思いますが,今後,第11期におきましては,特に一貫性を認識しつつ,学部,法科大学院,司法試験,司法修習,これが正にどのように有機的な連携を図っていくかによって「法曹の質の向上」,そして,「司法修習の内容の充実」,そうしたものが示されていけば望ましいなと考えます。
このことが明記されたタイミングでございますので,大変重要だということを私からも発言させていただきます。どうぞよろしくお願いします。
以上です。

【山本座長】 ありがとうございます。重要な点の御指摘を頂いたかと思います。
どこかの時期で,恐らく法科大学院のカリキュラムについて,法曹コースとの関係で検討する機会があると思います。司法修習との有機的連携も図りながらということだと思いますので,その際,また御議論をいただければと思います。ありがとうございました。
ほかに。大貫委員,お願いします。

【大貫委員】 まず,主な論点の取りまとめについては,清原委員もおっしゃったように,基本的に委員の考えをうまくまとめてくださっていますので,具体的な個々の表現の仕方はいろいろ意見があるのかもしれませんけど,大体これで私は賛成したいと思います。
その上で,やや空気を読まない発言になるのかもしれませんけれども,資料4の通しページ46ページの法科大学院のところについて,意見を申し上げたいと思います。清原委員がおっしゃったこととも関わりますので。
ここに法科大学院ついて記述として黒ポツが四つありますが,一つ目と四つ目に関わります。
学部入学から最短6年で法曹になれるように,司法試験,司法修習,法科大学院教育が適切に連携しなくてはならないというのは正に清原委員がおっしゃっているとおりだと思います。特に,前回,私が申し上げた記憶があるのですが,司法修習と法科大学院との連携はより一層進められる必要があるのだと思います。これは一場委員も強く賛成してくださったのだと思います。
このような連携で涵養(かんよう)される法曹としての基礎学力,先ほど清原委員はここに焦点を合わせられたと思います。こういう基礎学力の養成はもちろん重要です。
しかし,法科大学院をつくって,法曹養成の中核を担わせた原点に立ち戻れば,法科大学院はそうした法曹としての基礎力の涵養(かんよう)のみならず,法科大学院の特色ある教育,展開・先端科目や隣接科目,臨床科目等もまたしっかりと教育すべきなのだろうと思います。そうした科目の教育にこそ法科大学院のよさが現れていると言うべきだろうと思います。
資料4の45ページに,一番下の部分ですけど,言葉尻を捉えるつもりはありませんが,予備試験との差異化とあります。それから,法科大学院の魅力とございます。しかし,予備試験は試験ですので,試験と法科大学院教育を比べることはもとよりできません。法科大学院は教育の内容でこそ魅力を発信すべきことは明白だろうと思います。
もちろん司法試験合格率はどうなのだと聞かれると思いますが,委員の方は皆さん御案内だと思いますが,予備試験ルートの司法試験受験者の司法試験合格率は確かに高いわけですけれども,予備試験受験者を分母に取れば,合格率は極めて低いわけです。もちろん,法科大学院は司法試験合格率も法科大学院生や入学希望者の安心できるものとする必要性はあろうと思います。他方で,法科大学院らしい教育を在学中の司法試験受験の導入でタイトになったカリキュラムの下でもしっかりと追求すべきなのだろうと思います。余り安直な司法試験シフトが見え過ぎると,逆に,志のある学生からそっぽを向かれることはないのかと私は危惧いたします。
在学中受験,法曹コース3+2という大きな制度変更の下で,法科大学院がどこに行くのだと,法曹志願者は注目しているのだろうと思います。そうした中で,法科大学院があるべき姿こそ私は見せるべきだということをもう一度ここで考えるべきではないかと思っております。
以上です。

【山本座長】 ありがとうございます。御指摘,誠にごもっともなところで,この整理によれば,法科大学院の部分の一番下の黒ポツのところの,法科大学院ならではの学修というところと関連する発言だったかと思いますけれども,その点も今後のカリキュラム等についての検討の機会が設けられると思いますので,またその際に皆様の御意見を伺えればと思います。
ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは,本日の中心的な議題に入りたいと思います。
先ほどもお話ししましたとおり,本日は連携法曹基礎課程についてということで,先ほどの主な論点で言えば(1)の新たな一貫教育制度の着実な実施についての部分で,特に法曹コースの部分との関係ということになろうかと思います。
まずは,事務局から資料5について説明をお願いいたします。

【専門教育課西専門官】 事務局でございます。通し番号48ページの資料5,3+2法曹コースの実態調査について御説明をさせていただきます。今回,全国37の法曹コースに御協力を頂きまして,このような調査をやらせていただきました。
49ページ,法曹養成連携協定の締結状況でございます。
法曹コースは全部で37ございますが,協定数としては64の広がりを持っております。自大学の法科大学院がない法学部の法曹コースというのが8コースございます。いずれも法科大学院を廃止した経緯がございます。
地方大学枠の対象となる法曹コースが4コース,遠隔地の法科大学院と協定を締結している法曹コースが8コース,3以上の協定を締結している法曹コースが8コースございまして,一番多いのが明治学院大学で6の法科大学院と協定を結んでいるというケースです。
このように,法曹養成の裾野が拡大しつつありますが,地理的に離れた大学間では日常的な連携に工夫が不可欠ということが分かるかと思います。
50ページでございます。各法曹コースの定員,それから授業開始時期,1,2,3学年の在籍者数についてまとめたものでございます。
一番上の,例えば,北海道大学を御覧いただくと,授業開始は学部の2年前期でございます。定員は30名程度。1年次の在籍者は「なし」となっておりまして,これは「1年生の間での法曹コースの登録がない」ということでございます。2年次の在籍者が「未」と書かれておりますけれども,こちらは,調査をした6月1日時点では法曹コースの登録はないのですが,「今年度中に登録を行う」ということで,恐らく北海道大学さんでは2年の後半で登録をするということだと思います。3年次の在籍者は29名です。
定員のない法曹コースもございます。
また,全体を見ますと,2年次にコース登録をする法曹コースが37中の23コースございまして,2年次のコース登録が主流のようでございます。
3年次在籍者数につきましては,それぞれ数字を書いておりますけれども,脚注にもございますが,このうち全ての学生が3年で早期卒業するわけではございませんので,早期卒業や特別選抜の数字は,これよりも少し限られたものになるかと思います。
続きまして,51ページです。こちらは,法曹コースと法科大学院がどのようなプロセスを経て5年一貫教育が行われるのかというのを図式化したものです。
協定により仕組みは様々なのですけれども,下の図にありますように,登録希望者に選抜を実施している法曹コースは67.6%,進級時に選抜をしているところも37.8%ございます。また,法曹コースの修了要件として成績基準を課しているところが70%,早期卒業の要件として独自のものを設けているところも94.6%ということで,こうした法曹コースの教育課程を経て,法科大学院の入学者選抜として,特別選抜,つまり論文試験なしで法科大学院の既修コースに進学をしていくということになっております。
下に取組例を4大学分,書かせていただきましたけれども,一橋大学においては2年又は3年の進級時に登録をいたしまして,GPAの上位者から選抜をしていくものでございます。
京都大学につきましては,登録時の選抜はないので,法曹コースの修了要件として成績基準を設定しておりますのと,早期卒業の要件として,コース修了や法科大学院合格を課しております。
中央大学につきましては,2年,3年のときには登録をするのですが,2年修了時に独自の選抜試験を実施して,3年進級時にかなり数を絞り込んでいるというところに特徴がございます。
最後に,明治学院大学でございますが,こちらはロースクールを廃止した経緯がございますが,2年進級時に登録をしておりまして,面接を実施して法曹志望度や適性なども把握しているということと,また,定期試験とは別に,知識定着度の確認試験ということで,法科大学院の未修コースで使っている共通到達度確認試験を法曹コースでも活用されておりまして,一人一人の学生にその結果を踏まえた学習指導をしているというところが特徴かと思い,掲げさせていただきました。
52ページでございますけれども,「2.法曹コースの開設形態」です。
こちらは履修プログラム方式として開設をしているところが34コースございまして,法曹コースの選択,あるいは途中で抜けるということを比較的しやすい方式で,柔軟な方式でやっているところが多くございました。
下のスライドは法曹コースの登録時の選抜状況で,先ほども御説明いたしましたが,中段,選抜なし(9コース)というのがございますが,こちらは,定員がもともとない,あるいは登録制にしていない法曹コース,あと,希望者は全員登録できるのですが,進級時に成績を見る法曹コースです。
続きまして,飛んで54ページでございますけれども,法曹コースの学生数は進級によって少し在籍者が減っているのですけれども,法曹コースを離れる学生の主な理由について複数回答をしていただきましたところ,「法曹志望でなくなったため」というのが一番大きかったのと,あとは,「留学や部活動と両立をしたい」ですとか,「予備試験の勉強に専念をする」というような理由が挙がってございます。
ここまでが定員などの規模や登録や選抜についての状況でございます。
続いて,55ページでございますけれども,上のスライド「6.法曹コースの成績評価基準」ですが,大学全体と同じ成績評価基準を設けているところが一番多くて,24コースございました。
下のスライド「7.法曹コースの修了要件」ですけれども,GPAの成績基準を設けているところが26コースございます。
続きまして,56ページ,「8.早期卒業の認定基準」でございますけれども,大学全体とは異なる早期卒業認定基準を設けているところが大部分で,35コースございました。これらのうち16コースが,更に法科大学院への入学選抜の試験に合格していることを要件としております。
このように,法曹コースの修了ですとか早期卒業というのは非常にハードルが高いわけですけれども,下の「9.早期卒業を希望する学生への支援」ということで,ここに書いておりますように,非常にきめ細かな学生指導を各法曹コースでされているということが分かりました。
続きまして,57ページでございます。
ここからは,教育課程につきまして,法科大学院との連携ですとか教育上の工夫などについてお伺いした部分でございます。
57ページ下のスライドの「連携先の法科大学院と共同開講している科目はあるか」というところですけれども,9コースが共同開講しておりまして,科目につきましては,法律基本科目もありますし,法学基礎科目や隣接科目のところもあれば,それ以外で,右側の一番下の白丸のところですけれども,東大,名古屋,京都のあたりでは倒産法,経済法,国際司法などの先端的な学修機会を法曹コースで提供しているというような御回答も頂いております。
58ページに参りまして,上のスライドですけれども,「共同開講ではないけれども法科大学院教員が担当する科目はあるか」ということにつきましては,30コースが肯定的に回答をしております。これは,法学部の教員と法科大学院の教員が兼務をするというところもあるのですけれども,一番上の白丸,新潟大学の例では,新潟大学は四つの法科大学院と協定を結んでおりますが,その4つの法科大学院の教員に来ていただいて,憲法,民法,刑法,それから商法のオムニバス形式でのリーガルプロフェッションという2年生以上の科目を開講し,法科大学院教育に触れる機会を提供しているというものでございます。
それから,58ページ下のスライドですけれども,「授業の一部で法律実務家の協力を仰いでいる科目はあるか」というところで,26コースが「協力あり」と回答しております。
これは様々なやり方がございまして,白丸一番上は,法律実務家が実務の多様性や魅力について語るということで,法曹志望を高めるような授業をされているものもございますし,二つ目は,法文書作成を指導するというようなものですとか,三つ目につきましては,要件事実論や模擬裁判などの臨床法学的な教育をするというような形で,様々な形で法律実務家の方たちに,法曹コース,つまり学部段階での教育に携わっていただいているということが分かります。
続きまして,59ページ,下のスライドでございます。こちらは,連携法科大学院との円滑な接続,つまり5年一貫教育ですので,円滑な接続を図るための取扱いとしてどのようなものをしているかという観点から聞いたものでございます。連携先の法科大学院の授業を科目等履修しようとする学生に対する配慮をしているというのが7大学院,授業で使用する教材を統一しているというのが5大学院ございますのと,続きまして60ページですが,法科大学院教育を意識して,少人数かつ双方向又は多方向で行う授業をやっていますというところが45大学院ございました。
少し割愛をさせていただきます。
61ページに進んでいただきますと,上のスライドの中段からですけれども,「法曹コースにおける特色ある取組」というものを自由記述で書いていただきました。
一番上白丸,東北大学ですけれども,法曹コース奨学金の設置,論述能力の涵養(かんよう)に関する長期プログラム,それから法科大学院の春期講習セミナーへの参加がありましたり,二つ下に参りまして信州大学ですけれども,法曹関係者の協力によって,3年次で実習系の科目を必修化していますということですとか,一つ下の岡山大学におきましても,修了生弁護士がアドバイザーとして指導をしているとか,連携先の法科大学院の自習室や資料室の利用が可能だと。それから,後半の方に参りまして北海学園につきましては,ここは北海道大学と連携をしているのですけれども,演習科目における論文指導ですとか,北海道大学の法科大学院の授業を無料で受講することができる,それから夜間に授業をしているというような形で,各法曹コース様々な工夫をされているというものでございます。
ここまでが教育課程についてでございます。
ここから,学生の様子や広報活動についてです。62ページ,よろしいでしょうか。
広報活動につきましては,上スライドの下の方ですけれども,在校生や高校生,それから入学希望者への広報というのを各コース熱心にやられていて,特に,法科大学院を廃止した大学からは,法曹コースを設置することで,法曹養成の道があるということを新たに印象づけられるということで,積極的に広報に励んでいるというような御回答がございました。
62ページ下ですけれども,「法曹コースの学生の様子」ですが,明確に法曹を志望し,法科大学院進学を見据えているので意欲や熱意があるという御回答が多かったのと,あとは,早期卒業が非常に厳格ですので授業の負担やモチベーションの維持が大変というような御回答もありましたのと,その他のところで,一番下ですけれども,優秀な学生ほど予備試験の合格を目指す傾向があるというような御回答がございました。
続きまして,63ページ「その他」のところですけれども,下のスライド,地理的に離れている場合や複数の法科大学院との連携における工夫というのを聞いてみたのですが,各校いろいろと御苦労されておりまして,オンラインで会議等を行っているということですとか,二つ目の白丸ですけれども,組織としてきちんと協議を重ねて,担当者が代わってもきちんと対応できるようなことをしていますというような回答がございました。
続きまして,64ページですけれども,「協定を締結してよかったと感じる点」,一番上の白丸ですが,法科大学院がないけれども,協定によって法曹志望の学生の希望に応えられるようになったということや,3番目の白丸ですけれども,特別選抜制度によって,学部成績が進学に直接関係するために,学部での勉学に大きな励みとなるということですとか,二つ下がりまして,協定の締結によって学部の教育内容全体を見直すことができたというようなこと,それから,また二つ下ですけれども,法科大学院教員や実務家教員と接する機会ができたというような回答が見受けられました。
それから,「連携の法科大学院への期待や要望」ということで,コロナ禍だけれども,キャンパス見学や意見交換ができる機会があればいいということと,三つ目の白丸は,法科大学院修了生の同窓会組織と連携できるとよいということと,一番下の丸ですけれども,連携先法科大学院に進学後の学生の様子を教えてほしいと,これも非常に重要な点だと思いますけれども,こういう回答がございました。
64ページ下に参りまして,「困っていること・不安なこと」というところで,三つ目の白丸ですが,コロナ禍でオンライン授業が中心でしたので,実践的な指導ができているかどうかというのが不安ということですとか,下から二つ目の丸ですけれども,法曹コースを辞めた学生に対する学修支援というのも大きな課題だという御回答がございました。
続きまして,「実務家団体に期待すること」ということで,現時点でも十分な支援や協力を得られているという御回答もありました。一番上の白丸ですけれども,法曹コースの運営には地元の裁判所,検察庁,弁護士会からの協力は不可欠だと。特に若手の法曹と交流する機会は学生の意欲の向上につながるので重要だという御回答がございました。
それから,65ページに行きまして,こちらは,法曹コースが開始してすぐにコロナになってしまいましたが,授業や定期試験がどのように行われたかというのを少し調査させていただきました。
65ページ下の「令和2年度,3年度の授業」ですが,この円グラフを見ていただきますと,令和2年度前期,これは小中学校も休校になるなど非常に大変だった時期なのですけれど,法律基本科目の授業が対面でできたのが,円グラフの青のところですけども1コースのみで,ほかはオンライン同時双方向(円グラフ赤いところ)ですとか,オンデマンド方式(円グラフ緑)の15コースということで,非常に制約された状況ではございましたが,令和3年度の前期につきましては対面方式が14コースと,増えてきております。
また,66ページは定期試験の様子についてお伺いしたものでございますけれども,令和2年度の前期,法律基本科目で論文式試験ができたというのが,持込み不可が4コースで,持込み可が9コース,それ以外は緑のところですけども,レポート課題ということになっておりますが,これも令和3年度の前期になりますと論文式試験が増え,レポート課題が減っているということです。
これも下の丸を見ていただきますと,定期試験を対面でやったかオンラインでやったかというところにつきましては,対面でできたところが令和2年度前期,令和2年度後期は1コースで,ほか大多数はオンラインで論文試験もやらざるを得なかったというようなことで,コロナの影響で,多くの大学で対面方式の定期試験が困難な状況でございました。
66ページ下の方ですけれども,こういう当初カリキュラムから変更しなければならなかったのですが,下の部分,上記科目以外のところで,例えば,海外大学の教員による集中講義を予定したのだけれども,来日が困難になって開講できなかった科目があるですとか,実務系科目の臨床タイプの授業,模擬法廷などの実施方法の変更を余儀なくされたというような御回答がございました。
最後,67ページですけれども,そんな中で,様々工夫をしていただいたのですけれども,下のスライド,学生の理解度や学習状況についてお伺いしましたところ,例年と正確に比較するのは難しいのですが,寄せられる質問や内容に照らすと,意外にも例年より熱心な受講態度を見取ることができたですとか,じっくり考え抜いたレポートが提出された点で教育効果があったけれども,幅広い知識の定着や短時間で思考をまとめる瞬発力の測定というのは難しかったというような御回答がございました。
以上,非常に大部にわたる調査項目に御協力を頂きまして,まとめさせていただきました。御説明が駆け足になりましたけれども,私からは以上です。ありがとうございました。

【山本座長】 ありがとうございました。
昨年度から開始しました法曹コースに関する今回初めての実態調査ということで,様々なことが明らかになったのではないかと思います。
本日は,先ほどの主な論点のところの法曹コースに関する論点なども意識しながら,例えば,法曹コースにおける特色ある教育の在り方であるとか,5年一貫教育に向け,連携法科大学院との円滑な接続に関する取組,あるいは法曹コースにおける学生指導,特に論述能力の涵養(かんよう)に関する指導であるとか,あるいは遠隔地の法科大学院との連携の工夫等々,どの点についてでも結構ですので,御審議ができればと考えております。
委員の中でも特に法曹コースの教育に携わっておられる委員におかれては,御自身の大学の様子も踏まえて,是非積極的に御発言をいただければと思います。
と言いながら,ただ,審議時間があと1時間ぐらいということになろうかと思いますので,できるだけ多くの委員に御発言を頂戴したいと考えておりますので,誠に恐縮ですけれども,お一人目安として三,四分程度で御発言をいただければ。また時間が余れば2回目等御発言いただくことももちろん結構ですので,円滑な審議に御協力をお願いできればと思います。
それでは,御発言,どなたからでも結構ですので,挙手機能を用いてお知らせをいただければと思います。いかがでしょうか。ちょっと制限的なことを申し上げたので御発言しにくいかもしれません。
片山委員,お願いいたします。

【片山委員】 慶應義塾大学の片山でございます。また,本務校である慶應義塾の取組については北居研究科長が出席のようですので北居委員から御説明いただくことになろうかと思いますが,私自身は総論的な点について幾つか申し上げたいと思います。
まずは,今回の極めて精緻な調査,大変参考になりました。詳細な資料をまとめていただきまして本当にありがとうございました。大変参考になるかと思います。この資料を拝読しても分かるとおり,各法曹コースにおいて様々な取組をしていただいているということがよくわかりまして,大変心強く思った次第であります。
他方,いろいろ取組をきちんとどう評価していくかという質保証のシステムの構築が必要ではないかと思っております。
連携法の趣旨からしますと,ロースクール,司法試験,それから司法修習の連携がきちんと機能しているかどうかについてチェックをするために,法科大学院については認証評価という制度があるということであります。
法曹コースに関しては,法学部は決して法曹養成に特化している学部ではありませんので,その中で法曹コースをどう制度設計していくかという点は,もちろん各法学部に広い自由度を与えて,充実した内容を実現していただくということではあるのですけれども,どのような内容での教育をしているか,どういう成果が上がったかということについて,各法学部,法曹コースには説明責任が求められていると思います。
本来はロースクールで行っていた法曹養成を学部にまで拡大したということですので,認証評価を法曹コースについても行うべきだと私はずっと考えてきたわけですけれども,なかなかそれが難しいとしても,いわゆる自己点検評価の枠組み,これは認証評価の前段階のものとして,認証評価制度がなくてもやっていく必要があろうかと思っております。そういう意味の自己点検評価の仕組みはきちんと構築していく必要があろうかと思っている次第であります。
特に,今回拝見しておりますと,いわゆるコース制,定員制を設定しているところはそれほど多くはなくて,むしろ履修プログラム方式というのが多数ということになりますと,いわゆる定員管理をどのように行っているのか,すなわち,どういう形で適正規模をシミュレーションされていて,それがどういうポリシーに基づくものなのか,入り口は広く出口は狭くということでもいいですし,入り口で選抜ということでもいいのかもしれませんが,それが具体的にどのような数字としてシミュレーションされているのかということについて,きちんとした説明をしていく必要があると思っています。それから,教育内容として演習科目のようなものを設けているところは多数あるわけですけれども,実際,それがどのような形で行われているのかについても説明が求められるところではないでしょうか。
その点では,法曹コースは,法科大学院2学年に向けての基礎コースという点において,未修者教育と対置されるわけですが,未修者教育については,現在,アクティブラーニングの導入などの教育方法の改善が議論されていますので,それをまた学部教育の方にもフィードバックしていくという作業も必要になってくるかと思っております。ロースクールの中での未修者教育と,法曹コースでの教育が,相互に連携をしていくことも重要ではないかと考えております。
それからもう一点,今回の法曹コースの設置の目的の一つは,ロースクールのない,ロースクール過疎の地域の問題を解消するという点があったかと思います。そういう意味では,ロースクールがない地域において,法学部の中に法曹コースをつくったところについては,是非一定の成果が得られるように,様々な助力をしていく必要があろうかと思います。複数のロースクールが連携をしているようですので,その連携ロースクール間の連携ということもまた必要になってくるのではないかと考えております。いずれにしましても,運用面でのきめ細やかなフォローが必要ではないかと感じております。
以上でございます。どうもありがとうございました。

【山本座長】 ありがとうございました。
それでは,続きまして,水島委員,お願いいたします。

【水島委員】 ありがとうございます。大阪大学の水島でございます。
実態調査をおまとめいただきありがとうございました。他大学の状況等,興味深く拝見いたしました。
57ページに法科大学院との共同開講がございますが,できましたらその状況について実人数等を教えていただければと思います。
といいますのは,私ども大阪大学では,科目等履修生の形で法科大学院の科目を履修できるのですけれども,今年度の履修者は1名にとどまっております。これは恐らく科目等履修生という仕組みが学部生には分かりにくかったのではないかと思いますので,もしよろしければ,共同開講されている東京大学,名古屋大学,京都大学などで,こうした先端的な学修をどれぐらいの人数が受けておられるのかということを教えていただければと思います。
以上です。

【山本座長】 ありがとうございました。
事務局の方ではその人数等は調査されているのですかね。あるいは把握されているのでしょうか。

【専門教育課西専門官】 事務局でございます。人数までは今回,調査に含めておりません。もし,すみません,大学の先生でお分かりになる方がいればですし,後日,水島先生や委員の先生方にお返しするということでもよいかと思います。

【山本座長】 現状で,今この場で分かるというのは難しいですかね。東大,京大,あるいは名古屋大学あたりの先生で,もしお分かりの方がおられればと思いますが。
笠井さんはこれについての挙手ですかね。違いますか。

【笠井委員】 そうです。

【山本座長】 お願いいたします。

【笠井委員】 担当しましたので。私の自分の科目です。倒産処理法についての法科大学院の授業を学部との共同開講にいたしまして,実は民事手続法3科目,法科大学院で展開・先端科目であるのですけども,三つとも今年度から共同開講にいたしまして,そのうちの1科目を私が前期に担当しました。
細かい数字を一桁まで言うのがややはばかられますが,10人を超える十数名が学部の方で単位を修得いたしました。
以上でございます。

【山本座長】 ありがとうございます。それは科目等履修というよりはあれですか,共同の科目になっているのですか。

【笠井委員】 学部での開講科目でもあります。学部の科目で,かつ,法曹コースに限っておりません。京大法学部の学生であれば,3回生,4回生全員が取れる科目として用意いたしました。

【山本座長】 ありがとうございます。大澤さんもこれについてでよろしいのですかね。

【大澤委員】 はい。ただ,現時点ではお答えできることが実はありません。共同開講ではなくて,法科大学院の科目を科目等履修生として取って,法科大学院進学後に単位となる,そういう形の授業科目が幾つかございます。これについてですが,先端・展開科目か基礎法学隣接科目に当たるような科目で,法学部の中にそれに相当するような授業科目がないものについてそういうことができるという仕組みをつくっているのですが,本年度,該当する形で登録できるものは,多分,私の認識するところ,これから行われるAセメスターの授業科目しかございません。ですので,まだ登録状況が出ていないということでございます。

【山本座長】 ありがとうございました。今のような状況ですが,また文科省の方で,もう少し時間がたってからの方がいいのかもしれませんけれども,この点は連携といいますか,法曹コースの一つの大きなあれであったとは思いますので,また調査をしていただければと思います。
それでは,水島委員はよろしいですかね。

【水島委員】 はい,ありがとうございました。

【山本座長】 ありがとうございました。
それでは,続きまして,酒井委員,お願いいたします。

【酒井委員】 酒井でございます。まず,事務局におかれては非常に充実した調査をありがとうございました。法曹コースの全体の制度設計を考えるに当たって非常に貴重な情報をいただけたと思っております。
私からは大きく2点ございまして,まずは,資料54ページの5の進級等による在籍者数の変化の部分になります。法曹志望ではなくなったため離脱という回答が非常に多数に上っておりまして,これは,私,真摯に受け止めなければいけない数字であろうと思っております。既に各ロースクールにおいて実務家を招いてのキャリア学修など,当初の段階からかなり工夫をされてスタートをされているという状況にありながら,法曹志望ではなくなってしまって法曹コースを出てしまう学生は現にいるということになります。
これは,教育制度の問題からは離れ,我々法曹の方がいかに私たちの仕事が魅力的なものであるかということを発信できているのかどうかということに非常に大きく関わる数値だろうと感じております。各校,既に工夫をされているキャリア学修に実務家サイドもしっかりと関与をして,特にロースクール世代がどのようなキャリアを築いているのかという点ですとか,法曹としていかに魅力的な選択肢があるかということを,法曹コースにおいて発信できる状況を作っていく,そのための協力体制をつくっていくということが非常に重要になってくると思います。
実務家の方としても,ポジティブに捉えますと,法科大学院だけでなく,法曹コースという新しい場で,その潜在的な志望者,特に志望が明確になってきている学生に対して,私たちの仕事について発信できる機会が得られたということにもなるわけですので,この点を受け止めて,より一層の協力体制を築いていくことを,私たち法曹実務家サイドも強く自覚をして対応していく必要があると考えるところです。
もう1点は,最後,補足的に御紹介を頂きましたICTの活用,利用状況,授業の状況等に関する部分になります。私も一橋で法曹コースのキャリア学習の一部とゼミの指導などをしておりますので,これを踏まえての実感を申し上げます。基礎科目などの理解をしっかりと学生に定着をさせるですとか,教育効果を上げるという観点からは,対面の講義の方がよいのだろうという印象です。
一方,キャリア学習の観点からは,私が担当しておりますのがオムニバスのキャリア学習課目なのですが,コロナ禍であることにより一部オンデマンド配信を併用したことで,例えば,遠隔地にいる裁判官の講演,海外にいる在勤の方の講演,地方のかなり特殊な法人でインハウスをしている方の講演を提供できたというプラス面も大きかったと実感しております。
ですので,コロナ禍が今後どのような状況になるかに関わらず,キャリア学習においては積極的にICTの活用を引き続き続けていくことが,より魅力的な法曹の在り方を幅広く発信をするためにも大きなプラスになるのではないかなと考えるところです。
一方学生からは,直接法曹と対面できる事務所訪問をしたかったですとか,法廷傍聴をしてみたかったというような,声もありました。当校ではその辺りも昨年度はICTにせざるを得なかったのですが,このような実地で学びたいという声も多くございましたので,ICTの活用とうまく組み合わせて行っていくことが非常に効果的なのではないかと考えるところです。
以上になります。

【山本座長】 ありがとうございました。
それでは,髙橋委員,お願いいたします。

【髙橋委員】 ありがとうございます。一橋大学の髙橋でございます。
実態調査の取りまとめと御紹介を頂き,誠にありがとうございました。一部重なるところもございますけれども,所属校であります一橋大学の法曹コースのここまでの状況について,私自身の所感も含めて御報告申し上げたいと思います。
本学の法科大学院は,現在,自大学の学部のみと連携協定を結んでおりまして,学部の2年次ないし3年次から法曹コースに登録できるという形を取っております。志望者多数の場合には成績に基づく選抜を行うことになっておりますが,初年度,今年度はいずれも非常に多くの志願者を得まして,選抜を行いました。その意味では,学部の低学年における法曹志願者の裾野を広げるというところには,一定程度つながっているのではないかという認識を持っております。
また,酒井委員に御紹介いただきましたように,法科大学院の修了者にも法曹コースの学生の指導に当たっていただいておりまして,これらにより学部の学生のモチベーションを高め,法科大学院の魅力を伝えつつ,学部から法曹へという道筋を可視化したという点においても,意義のあったものではないかと考えております。
他方で,コースの運営をしておりますと,一部に困難も生じているというのが正直なところでございます。
まず,まだキャリア像が非常に不明確な2年次という比較的早い段階に登録を求めますので,先ほどの調査でもありましたけれども,その後,志望が変化する学生が多く,人数のコントロールが法科大学院のように確たるものとならなくて,常に流動的であるというところがあります。
それから,3+2に加えまして,在学中受験制度も導入され,全体の学修期間が相当短くなっているということで,本学でも早期卒業,及び5年一貫型の選抜については相当程度に高いハードルを設けました。このために,成績基準を満たせない学生が生じる可能性が現実にありますし,そういった高い成績基準を懸念して,そもそも法曹コースに登録しないとか,あるいは登録してもすぐに別のコースに変更を希望するというような学生もあるようです。
他方で,このように登録を行わない学生の中には,予備試験の受験は予定していると述べている学生も一定数がいると聞いております。学部の提供する多様な講義を通じて学習を進めていただければ,法律基本科目に係る学力だけではなく,長く活躍する法曹となるための周辺的な素養も身につくと考えているのですが,法曹コースを経た道のりが非常に遠回りで,司法試験との関係だけで言えば,必ずしも効率的ではないと考える学生が,多数かどうかはともかく,なお一定程度いるようです。
いずれにしましても,先日,本学では初めての5年一貫型の選抜を行いまして,5名が受験いたしました。初年度は学部を4年間で卒業する道を自ら選択した学生の方が多数派でございました。3+2の数字が小さくとどまり,制度利用の促進には反する形になったようにも見えるのですけれども,これが,幅広い領域の学習を進めたいとか,あるいは社会的な経験を積みたいと考える学生が多いことの結果であるならば,それはむしろ法曹養成にとっては明るいことではないかと思います。また,他方で,このコロナ禍の中でオンライン試験による成績評価を行う科目が多かったため,資料持込み可の試験により学習内容が定着していないという学生も相当数がいるようですので,この状況下における初年度の結果としては適切な規模になったのではないかと考えております。
いずれにしても,この間,コロナ禍の影響で,学生がどのようなことを考えて,どのように動いてきたのかということが十分把握できていないところもございますので,学生の声を聞くことも,今後の制度の検討において必要なのではないかと個人的には考えております。
以上です。

【山本座長】 ありがとうございました。
それでは,清原委員,お願いいたします。

【清原委員】 ありがとうございます。まず,37の法曹コースの皆様が,正に先駆的な取組をされてこられて,今回の実態調査にも率直に回答していただいたことに感謝をしたいと思います。
大きく2点について申し上げます。
1点目は,私,ちょっと心配しておりましたのは,本当に長引くコロナ禍の中での取組でしたので,担当の教員の皆様の「負担感」というのがもっと回答されてくるかなと思っていたのですけれども,64ページの法曹コース運営の中で,「科目の増設やきめ細かな論述能力を涵養(かんよう)するための指導など,教員の負担が増加」というところが目立つぐらいで,皆さんもあんまり「負担感」については書かれていなかったのですが,私は大学教員の経験から,新しい取組をするときには実践と会議といろいろなことがあいまって,大変な御負担があるのではないかなと思っていたのです。
ところが,もう一方で,そんな働き方改革の不安もある中,例えば,先ほども御説明を頂きましたけれども,57ページのところで,「連携先の法科大学院と共同開講している」ということが,正に「導入講義だけではなくて,先端的な科目においてもなされている」ことですとか,あるいは,59ページにおいては,「授業で使用する教材を統一する」とかそういうことがあったり,あるいは60ページには,「法科大学院と同じ演習問題の事案等を活用する」とか,「法曹コースと法科大学院の教育とをなるべく連携する」,あるいは「共有化する」ことによって,学生にとっては法科大学院のイメージを持ちやすいというメリットがありますし,私は,他方,法学部の教員も法科大学院の教員も,過剰な負担なく有機的な取組をしながら,教育の質を担保しつつ,少しでも負担を軽減する創意工夫をされているのではないかなとも思いました。
私はこのような法曹コースが,学生の視点に立ったときにメリットがあるだけではなくて,教員におかれても「過剰な負担なく望ましい連携がなされる方向性」というのが,ありようとしては求められていると思いまして,このような創意工夫について敬意を表しますとともに,なかなか効果はすぐには現れてこないと思うのですけれども,学生の視点のメリットと,それから教員の視点のメリットが「共同開講」や「教材の共有」,「演習課題の共通化」などの中で見られるかどうかを検証していただければ有り難いなと感じました。それが1点目です。
2点目は,実務家の皆様の活躍についてです。このことにつきましても,58ページのところで,「連携コースに関する教育課程の中で,法律実務家が参画する授業」というのが,例えば,26コースあるとか,あるいは30コースのうち10コースでは「実務家教員が法科大学院教育のために活躍されている」ということがあります。
これは,具体的に法学部の段階から実務家のイメージを持つことがキャリアデザインを考えていく上でも極めて重要だと思いますので,是非学部においても実務家の皆様の活躍が期待されると思います。
この点について,ただ単に実務家の皆様が教育に協力をしていただくだけではなくて,今期の審議に関する論点の中で,47ページの最後に「社会に貢献する法科大学院の在り方」というのがありまして,「法曹有資格者その他の法律の専門性を生かした仕事に従事する社会人のためのリカレント教育の推進」というのも例示されています。
私は,実務家の教員が教育に関わることによって,実は,大変僭越(せんえつ)ですが,実務家の方も教員になるということの役割を担うための学びというのもしていただいているのではないかと思いますし,教育内容を考えるということで,実務を踏まえて不足の面を補ったりされているのだろうと思うのです。
そうであるならば,実務家の教員の皆様と法科大学院の先生との意見交換の中で,リカレント教育の中で求められるカリキュラムも生み出されてくる可能性があるのではないかなとも感じまして,別々に考えるのではなくて,「実務家の教員の皆様が実務家向けのリカレント教育の内容を考える」きっかけに教育実践が生かされていけば,僭越(せんえつ)ですが,一石二鳥かなとも思いまして,是非教員の働き方改革,実務家の働き方改革の中で,このコースの教育や法科大学院の教育が過重にならずに,むしろいい意味での効率化と質の向上に向けての連携が進めばなと感じました。
以上,実態調査の中からはいろいろ触発される部分がありましたが,本日,2点に絞って発言させていただきました。どうもありがとうございます。

【山本座長】 ありがとうございました。
それでは,続きまして,北居委員,お願いいたします。

【北居委員】 恐れ入ります。先ほど片山委員から御指名がございましたので,ごく簡単に慶應の法曹コースについて,私自身も携わっておりますので,御紹介したいと思っております。
慶應の場合,定員を設けずに,1年生から導入的に始まって,基本的な科目について1年生秋,それから2年生,3年生と進んでいくわけでございます。その際に,最初は実務家の方に法曹の魅力を語っていただくということで,大変これは人気授業でありまして,200人を超えるわけでございます。それが,1年生の秋学期となり,2年生になり3年生となるというふうに進んでいくことで,成績等との絡みもあって,どんどんと人数が減っていくと。これは当初から予定していたことですし,また,裏返して言うと,予備校にお金を払ってでも予備試験を目指して法曹になりたいという学生たちをできるだけこちらに振り向けさせたいということを私どもも思っておりましたので,かなり裾野を広く取るしかないという形で実施しているところです。
しかし,そうしますと,200人規模の学生に対して毎回書かせてそれを採点するという作業はかなり大変な作業でございまして,ただいま清原委員がおっしゃいましたけれども,かなり負担が重いというのは実情でございます。ですので,これは大学によって状況は違うと思いますけれども,なかなか教員が大変でありまして,これは学部の教員もロースクールの教員もどちらも関わっておりますので,大変であると。
今回,いろいろと審議すべきことが先ほど御紹介にありましたけれども,やるべきことは山のようにあるし,また,議論しているとますます増えていくわけですけれども,教員の過重な負担というのは,実はかなり差し迫った,喫緊の課題であるという一面はあると思っております。
それからもう一つ,法曹コースの評価でありますけれども,先ほど第三者評価が必要だというお話もございましたけれども,私自身,今,弊学でやっていて,本当に予備試験を経由して法曹を目指している人たちを法曹コースに取り込めているのかというと,実はその危うさを感じております。
この3+2というのは,それほど早く結果を求めるといったようなことをしますと,私は余りうまくいかないのではないかなという気がしておりまして,この法曹コースからの法科大学院への進学というコースを比較的長期,長い目で見ていただきたい。その中で,学生の中で手応えがあって,「ああ,こっちの方がいいよ」となれば,法曹コース経由の学生がどんどん増えてくるわけでございますので,先ほどどこかで奨学金というお話もありましたけれども,金銭的な手当ても含めて,法曹コースをバックアップしていくことで,少し長い目で見ていくとうまくいくという評価が出てくるのではないか,そういうことを期待しております。
以上です。

【山本座長】 ありがとうございました。
それでは,井上委員,よろしくお願いいたします。

【井上委員】 井上でございます。参加が遅れまして申し訳ございません。企業法務担当という立場で,今回もまた参加させていただくことができました。よろしくお願いいたします。
その観点で,1点,お話をさせていただきたいと思います。
先ほど酒井委員も指摘されていましたけれども,この資料のページで54ページ,法曹志望でなくなったので辞めましたという方がかなりいらっしゃるということですけれども,法曹コースというのは大学時代のコースですので,早いタイミングでキャリアの見通しについて正しい情報,あるいは明るい情報を是非知っていただきたいなという思いを改めて強く致しました。
ここで大学の先生方にお伺いしたいのですが,学生さんがイメージする“法曹で活躍する場”というのは,裁判官か検察官,それから弁護士の法律事務所だけなのか,それとももう少し広がりのあるイメージを持たれているのか,この点については是非お伺いしたいと思います。もし非常に狭いキャリアパスのみを見て,ともかく試験に受かろうという意識であるとすれば,そこにもう少し新たな情報をインプットして,学生さんがもっと広い視野で勉強に携われるようになることが良いのではと思った次第です。
大学と実務家の連携という観点では,いわゆる法律事務所の弁護士,裁判官,検察官に加えて,それとは違った分野で活躍されている方との連携を,具体的にどうしていくか考えたら良いのではないでしょうか。
まだ現実にはそのような連携ルートが確立しているとは言えない状況と思いますけれども,私,もともとは経営法友会というところから今回のお話を頂いていることもございますし,経団連等との連携もあると思います。そういったところとの連携で学生を支えて,キャリアパスの明らかな方向性を幅広く伝える取り組み,ということも宜(よろ)しいのではないかと思ったので,発言させていただきます。

【山本座長】 ありがとうございました。多様なキャリアパスということで,志望者の増加とか社会への貢献といった問題とも関係してくると思います。
それでは,続きまして,大貫委員,お願いいたします。

【大貫委員】 度々失礼いたします。私も法曹コースで教えることにはなっているのですが,まだ現実に教えておりませんので,入学者選抜のところ,しかもこれはちょっとデリケートなところもありまして,詳細にまだ言えるかどうか微妙なところもありますのでざっくりとしたことだけを申し上げます。中央大学の法科大学院自体は,10を超える大変多くのところと連携協定を結んでおります。自大学とも結んでおります。自大学に関してまず申し上げますと,最初の登録者は約100名なのですけど,それが進学する段階で80名程度に絞られました。最終的に受験したのはこれよりも更に少ない数になっております。そこでいなくなった方は他大学か予備試験かということになるかと思います。中大は,先ほど述べましたように,連携協定をたくさん結んでいるのですが,1回目のことですので,これでどうのこうのを述べることはできないと思うのですが,一貫型入試受験者を結構絞っている大学と,それなりに受験者を出してきているなという大学双方があります。これはどういう意味を持つのかというのはこれからの判断だろうと思います。
申し上げますと,本学は最終的に一貫型入試でもまた落としたのです。こういうことが質の保証になっているということも言えるのですけれども,法科大学院に入れるかどうかという見通しという観点からいうと果たしてどうなのかという感じがしないわけでもなくて,むしろ入試で落とすのではなくてその前の段階でセレクトして,一貫型入試を受けたならばほぼ合格するというやり方もあるのではないかというような感想を持っていますが,これも少し動いてみないと分からないかなという気はしております。
法曹コースについては,以上にとどめさせていただきたいと思います。
急いで申し上げます。まず,本当に詳細なアンケート,貴重なアンケートを実施してくださり,ありがとうございます。先生方と同じ感想で,大変有意義なアンケートだろうと思います。1点だけお伺いしたいのは,法曹コース設置大学は,自大学でロースクールを持っているところとそうじゃないところとあります。上にロースクールがないところは志望過疎のところだったりすることが多いわけですけれども,自前のロースクールを持っているところと持っていないところで,アンケートにおいて何か有意な差があったかどうかをお伺いしたいと思っております。これは質問です。
急いで更に意見を申し上げます。法曹コース自体のアンケートは本当に有意義なものだと思います。これは是非続けていただきたいと思っております。
加えてお願いしたいことがあります。法曹コースへの潜在的進学者である学生さんに対してもアンケートをやっていただけないかと思っています。学生さんの関心や要望がどこにあるかを捉えて,是非その内容を法曹コースの改良につなげていただきたいと思います。そのアンケートによって予備試験を目指す学生さんの要望や関心もある程度分かるのではないかと思います。これが1点でございます。
それから,法曹コースの学生さんは大変熱心だというふうにアンケートにありました。これは中央大学でも全くそのとおりだと思っております。ただ,他方,同じアンケートに,早期卒業できるか不安がっていたり,法科大学院に進学できるか不安に思っている学生さんがいることが書かれております。もちろん制度が始まったばかりで,先が見えないことがこうした不安を増幅していることは間違いないと思いますが,そのことを除いても,法曹コースの学生さんには様々な不安があるだろうと思います。キャリアパスがどうなるのか,法曹コースでの学修がどういうふうに展開するのか,いろいろ不安はあると思います。そういうことについて対応するような丁寧な学修支援が必要だろうと思います。
この点で,もし教えていただければですが,京都大学の学修支援委員会というものを大変興味深く見ましたので,内容を教えていただければと思います。
最後に,法曹コースの質の保証の問題,片山委員が既におっしゃったことなのですが,私も問題意識を同じくいたします。質保証は原則的には当該法曹コース設置校,それから法曹コースと連携している法科大学院の自律的な営みに委ねられるべきだと私は基本的には思っています。しかし,そうした自律的質保証に加えて,第三者的な質保証もまた必要だろうというのは,片山委員と同様でございます。しかし,現状では学部には認証評価の仕組みはありませんし,なかなか導入するのは困難なような気もします。
そこでどうしたらいいかですけれども,片山委員は自己点検評価ということをおっしゃった。それも有用だと思いますが,私は,例えば,もちろん慎重な検討が必要なのですが,学部には認証評価の仕組みがないということを踏まえると,かつて法科大学院において,この法科大学院特別委員会が履行状況調査というものを行って,中教審の委員が各校を回って,ヒアリングをして対話を行い,各校の教育の改善の機会を提供したことがあります。そういうものもいずれは必要になるのかもしれないと思っています。これはただ慎重な検討が必要だろうとは思っております。
以上です。

【山本座長】 ありがとうございます。御質問を頂いたかと思いますが,自前の法科大学院があるところとないところで何か違いみたいなものがあったかどうかというような御質問だったかと思いますが,事務局の方で何か分かることは。

【専門教育課西専門官】 大貫先生,どうもありがとうございます。
私,御説明の中ではしょってしまったのですけれども,資料の59ページのところで,教育課程のところで少し差がついているかなと思います。
59ページ下のスライド,連携先の法科大学院との円滑な接続というところなのですけれども,これができているところが,一例のところで白丸で挙げておりますけれども,自大学同士の協定を結んでいるところが多いのですね。59ページのところもそうですし,授業で使用する教材の統一ですとか,60ページに行きましても,同じ演習問題を使うなどというのは自大学同士の取組が大きいなというところでしたので,この辺りは少し支援をしていく必要があるかなと思っております。
以上です。

【山本座長】 ありがとうございました。

【大貫委員】 ありがとうございました。

【山本座長】 それから,京都大学の学修支援委員会の方というので,もし,潮見委員あるいは笠井委員……。

【潮見委員】 いや,笠井委員にお伺いしたいと。

【笠井委員】 笠井から。

【山本座長】 笠井委員,お願いします。

【笠井委員】 56ページのところに御紹介いただいておりまして,56ページの下の方で,その他というところの丸の二つ目で,「学修支援委員会を設置」,「早期卒業希望者の学修支援に必要な情報を収集・分析して,学修指導教員に提供する」となっております。まず,この学修指導教員というのは,これは,法曹コースに入る学生については演習(ゼミ)に入るのが必須になっておりまして,そのゼミの教員がイコール当該学生の学修指導教員になります。
その学修支援委員会というのは,学部の方の教務主任と教務副主任,それから,法科大学院の方の教務主任等の何人かの委員でつくられているのですけれども,この「必要な情報を収集・分析する」というのは,そのゼミの学生が,自分は法科大学院にちゃんと入れるかなどが不安なわけですね。ですから,その指導教員に,ちゃんと入れるでしょうか,あるいは早期卒業できるでしょうかといったようなことを聞いてこられるだろうということで,それについて,まだ入試も始まっていませんので具体的な情報はこれから収集するのですけれども,今後蓄積していけば,君の成績だったらどうだとか,このぐらいの成績を取っている人が法科大学院に順調に入れているとか,2回生時点だとどうだったとか,そういうことについての先例を蓄積することによって,そういった学生の不安とか学生のニーズに応えることができますので,そのための情報を収集して整理して蓄積するというのが目的の委員会です。
ですから,今のところはまだ,活動実績があるかと言われるとまだこれからなのですけれども,そういうことは大事だろうということで,委員会としては設置しているということでございます。
以上です。

【山本座長】 ありがとうございました。

【大貫委員】 ありがとうございました。貴重な試みを教えていただきました。

【山本座長】 それでは,続きまして,菊間委員,お願いいたします。

【菊間委員】 弁護士の菊間です。よろしくお願いします。
先生方のお話を伺っていて,法曹コースはできたばかりでこれからというところではあると思うのですが,コース選択時期が大学の早い時期であるということと,あと,成績基準なども高く設置されているということ,現段階でも,法曹コースの登録をあえてせずに予備試験ルートを選ぶ生徒さんもいるということですと,今後,法曹コースを選ぶ人が減ってきてしまうのではないかという懸念は少し感じました。
そこを維持するためには,法曹コースに行けば,早く,高い確率で合格できるというところだとは思うのですけれども,早期合格ばかりに注力することで,法科大学院らしい教育が失われてしまうと,この3+2が予備校化していくことになってしまい本末転倒となりますので,そのバランスが非常に難しいと思いました。
法曹コースができる前は,一定数は予備試験に流れていると。今回の合格者数を見ても,予備試験の合格者数の人数が結構な確率で高いというところがありますので,まず,予備試験をなぜ選んだのかというか,予備試験を通って弁護士になった人たちにアンケートを採って,なぜロースクールに行かなかったのかとか,ロースクールに行かなくて予備試験で法曹になったことによってどういうメリット,デメリットなどを感じているのかなんていうことを調査できないのかと思っています。そういうところから逆にロースクールのよさが見えてくるんじゃないのかなと考えております。
最後に,多様なキャリアパスということについてですが,司法試験を受けないということであれば,こんなに大変な法曹コースを選ぶという方はまずいないと思いますので,法曹コースを選ぶ以上,司法試験を目指すということにはなると思います。
ただ,その先に,必ずしも法曹三者だけではない働き方があるということも十分お見せすることはできると思います。実務家だけではなくて,弁護士資格を持って弁護士として働いていない方も日本にはたくさんいらっしゃいますので,そういう方に学部生の皆さんにお話をしていただいて,リーガルマインドを持っていることで,実業の部分においてもこういうことが役立つのだよということをお話ししていただくことで,法曹コースに一定の志願者を集めることができるのではないかと思いました。
以上です。

【山本座長】 ありがとうございます。先ほどの井上委員のお話とも関連したお話ですが,それでは,続きまして,久保野委員,お願いいたします。

【久保野委員】 ありがとうございます。東北大学の久保野でございます。
法曹コースを運営している中で気づいた点の御紹介ということになりますけれども,東北大学の場合,携わっている教員として一番感じますのが,法科大学院の修了生をはじめとする弁護士の方々の御助力が,学部の方にもつながることによって,酒井委員からも御指摘がありましたけれども,法曹を目指して勉強していくというルートですとか目的意識が可視化,具体化されて,学生のモチベーションや勉強につながっているという,よい効果が生じているということです。
例えば,法科大学院の進路講演会ですとか,法科大学院で修了生弁護士が課外指導として行う論述の講座といったものを意欲のある学部生は受けることができるといったようなことをしていますと,多数ではありませんけれども,数名の学生が積極的に参加するといったようなことがありました。
また,奨学金を法曹コースに設けまして,大変ハードルが高いのですけれども,その要件を,高いハードルを越えようとする学生との対話ですとか指導というものが行われるというところがあります。
さらに,学習指導について,先ほど京都大学の御紹介がありましたけれども,本学でも,特に制度開始当初ですので,広い範囲の学生に個別面談をしていくことを行うことによって,今まで見えてこなかった法曹を志望しての勉強状況というものを,学生にとっても教員にとっても可視化して,教育を行うことができるようになっていると感じます。
その中で,本学の場合,早期卒業を目指す学生は少ないだろうと実は見込んでいたのですけれども,こちらが想定する以上に,より早期に精力的に勉学を進めて早期卒業を目指したいという学生が多いということが分かりまして,先ほど長い目で見てといったような御指摘がありましたけれども,また,論点のところの46ページの二つ目のところで,早期卒業を希望する学生と必ずしもそうではない学生というものの両方を考慮しながら行っていくということについて指摘がありましたけれども,早期卒業を目指すのかどうかということを意識しながら,制度の運用等を修正していくことが大事かと思っております。
すみません。あと3点,細かい点を手短に,指摘なのですけれども,本学は新潟大学と連携させていただいておりまして,遠隔地の課題といったようなことも先ほど御指摘ありましたけれども,これも御紹介のありましたオムニバス授業を担当させていただくことで直接学生との交流ができ,また,連携協議会を両方の大学で合わせて十数名の教員が参加するような形でオンラインのメリットを生かして行うことによって,状況を共有したりといったようなことがかないまして,特別選抜も既に実施しましたけれども,比較的円滑に差し当たりは実施できたのではないかという感触を得ています。
他方で,開放型の選抜も実施しましたが,こちらは今年は人数が少ないので何とか対応ができたとは言いましても,当初より懸念されていましたとおり,多様な法曹コースについて,その学習の内容ですとか,受験時までにどのような科目を受講できているのかといったことを情報を整理しながら選抜を行っていくということの難しさを改めて感じたところでして,ここは何かしらの工夫ができるとよいのではないかと感じております。
最後に,科目等履修については,今のところ利用者がおりませんで,先ほど早期卒業を目指す学生が思ったより多そうだということを申し上げましたけれども,一貫教育のメリットを生かして広く学んでおくといったような面について,どう拡充していけるかというところは課題かなと思っております。
以上になります。ありがとうございました。

【山本座長】 ありがとうございます。実情について大変詳細に御紹介を頂きました。
それでは,加賀委員,お願いいたします。

【加賀委員】 創価大学の加賀です。いつも,私,申し上げますけれども,小規模校の法科大学院,法学部も含めて,その実情として聞いていただければと思います。
まず,法曹コースがスタートいたしまして,幾つかメリットが出ております。
一つは,本学は先発してプログラムを走らせている中で,正規に法曹コースとしてつくらせていただいたということになるわけですけれども,法曹コースという制度化がされましたので,法学部としては,法科大学院の教員が授業を担当してくれることによって非常に有り難く,協力いただいているという実感を持っております。これが1点目。
メリットの2点目は,これも続きの話ですけれども,創価大学は自己連携となります。法学部,法科大学院。したがって,法科大学院の教員が早い段階で法曹志望者の学習状況とかいう意味での把握ができているという状態ができつつあります。
3点目,よいことですけれども,これは本学特有かもしれません。本当に。法曹コースの学生が,本学の法科大学院を第1志望にするという傾向が出てまいりました。もっと言うと,本学は予備試験をメインに目指す学生はどうも法学部生としては少なくなってきているような,当初,予備試験から法科大学院へという流れを大きくつくるという意味では,小規模校ながら成功しつつあるのかなと思います。
反面,特別選抜,3+2の早期卒業型の人数を8名と構えておりましたが,実は創価大学,今回ゼロでありました。早期卒業の要件は大変高く設定しておりますけれども,これを充足している3年生は数名いたのですけれども,そのメンバーがアプライしてくることがなかったということになるわけですね。
今日の資料のまとめていただいた64ページの下の段の3の法曹コースの運営に関して困っていること・不安なことの下から三つ目,「4年卒業を目指した方が良いと思われる学生もおり,早期卒業者と混在し,カリキュラム運営が難しいこと」というのが指摘されておりますけれども,正に学生たちが早期卒業ではなく4年で行った方が自分はいいのだという判断をしたということになるわけですね。もう一度話をより戻すようなことになりますけれども,法曹コースの成否,もう少し,いいところはたくさんありますので,長い目で見ていただければと思います。
以上でございます。

【山本座長】 ありがとうございました。実情,大変よく分かりました。
それでは,北川委員,お願いいたします。

【北川委員】 早稲田大学の北川でございます。今まで各大学の先生方からそれぞれの大学の実情を御報告いただいて非常に参考になりましたので,早稲田大学の状況についても気づいたことを申し上げられる範囲で御紹介させていただきたいと思います。
事務局におかれましては詳細な実態調査をありがとうございます。アンケートを拝見して感じたことは,どうしても自大学の視点からアンケートを読みますので,しっくりくる回答とそうでない回答というのが混在しておりまして,自大学の報告をするときに前提として申し上げておいた方がよいと思われることは,これまでの先生方のお話にもありましたように,各大学の法曹コースについて選抜型なのか,それとも誰でも認定科目を履修できて単位を積み上げて法曹コースの修了認定してもらうのかによって随分と状況が違うということです。
早稲田大学の法曹コースは選抜型ではなくて,法曹コース認定科目は誰でも受講できる科目です。1年の後期に法曹コース希望者を登録させますけれども,この登録がもつ意味は,早稲田大学は人数が多いものですから,もし法曹コース認定科目の受講希望者数が募集人員を上回った場合に,法曹コース登録者を優先的に科目登録させるというぐらいの意味合いしかありません。ですので,どうしても1年生の当初は百何十人くらいの多くの学生が登録するという現象が生じます。そうした状況で,2年生になってどんどん数が減っていくというのは,1年生では取りあえず手を挙げておいて,後でやめようかなと考える学生が多いという状況です。
ですので,1年,2年,3年と徐々に登録者が減っていってしまうわけですね。
数が減る理由として,もう一つ考えられるのは,3年卒業要件が非常に厳しいということで,1単位でも落としますと3卒できなくなるため,語学や教養等で単位を落としてしてしまうと早い段階で法曹コース修了も諦めてしまう,つまり,法曹コースの修了要件を満たして3卒でロースクールに進学して早く司法試験を受験したいと学生が希望しても,3卒要件が厳し過ぎますとこのコースに乗れないということで,法曹コース認定科目を履修しながらも,法曹コースルートではなく,予備試験ルートでの司法試験受験を目指す学生がいたりして,そうした状況に違和感を抱いています。早稲田では,今月特別選抜入試の5年一貫型の合否判定を終えましたけれども,合否判定する中で,昨年の2年生の段階では法曹コース登録者が多かったのに,実際に特別入試を受験した学生はかなり少なかったため,どうしたのかという議論がありまして,周りの学生に尋ねたところ,以上のような話を聞いたということでございます。
ちょっと時間が長くなりまして大変申し訳ないのですけれども,実態の御報告ということでもう少しお話しさせていただいてよろしいでしょうか。

【山本座長】 どうぞ,お願いします。

【北川委員】 すみません。早稲田大学の特別選抜入試の結果について更にお話ししますと,現在のところ5年一貫の結果が出ているだけなのですが,40人の募集をしましたところ,20人の志願者がいて,18人を合格させています。そのうち,自大学も含めて連携協定校については全ての大学で合格者が出ております。
さらに,特別選抜入試の開放型と一般入試について,早稲田大学は10日ほど前に実施しまして,現在,その選考を進めておりますところ,開放型の方の志願者数については,40名募集したところ37名にとどまっております。
この開放型選抜に関連して,書類審査で難儀を感じている点を申し上げますと,既に御報告された委員から出された意見と重なるのですけれども,多様な法曹コース,これだけいろいろな形の法曹コースが各大学の法学部で実施されている状況の下で,ロースクール側は開放型選抜を実施しなければならないわけですが, 一部の科目については筆記試験を課すものの,開放型では法曹コースの成績を重視するというスタンスでやっていくわけですね。しかし,それぞれの大学が法曹コースの選考対象科目として設置した科目内容はまちまちでかなり違いがあり,修得単位数についても各大学間で幅があり様々に異なる法曹コースが存在する実情の下,開放型の入試選抜において,実際どのようにすれば,実質的に受験生の学力を公平,公正に審査することができるのだろうかという壁に突き当たっており,非常に悩みどころでございます。
長くなりましたけれども,現段階での感想を申し上げました。

【山本座長】 ありがとうございます。早稲田の実情について詳細に御報告を頂きました。
ほかにいかがでしょうか。そろそろ所定の時間にはなっておりますけれども,本日のところはこれでよろしゅうございましょうか。
ありがとうございました。大変活発な御議論を頂きまして,法曹コースの現状について明らかにしていただき,また,その評価も頂いたかと思います。
この制度をつくったときの当初の目的を既に達しつつある部分も多く御指摘を頂いたかと思いますし,他方では,想定していた方向とは少し違うような状況も出てきているという御指摘も,しかし長い目で見てほしいというような趣旨の御指摘もあったかと思います。
この法曹コースについては,令和2年度から開始されて,幾つかのところについて状況の御紹介がありましたけれども,今正に連携法科大学院の特別選抜を実施している最中,開放型も含めて,入試が行われている最中ということでもありますので,今後もしっかりと実態を把握していく必要性があるのだろうと考えております。
事務局におかれては,今後もヒアリング等を通じて各法曹コースの取組を把握いただき,また,支援していただければと思います。
また,今日の御議論の中では,学生の声も聞く必要があるのではないかということが複数の委員から御指摘されたところでありまして,学生に対するアンケート調査になるのですかね,そのようなことも可能であればお考えいただいて,状況を把握していくということをお願いしたいと思います。
恐らく,今後,またこの法曹コースの問題については御議論を頂く機会があろうかと思いますので,引き続き,委員の皆様にも御関心を持って見ていただければと思います。
それでは,事務局の方から何かございますでしょうか。

【佐々木専門職大学院室長】 ありがとうございます。先ほど潮見先生から,本日,時間の関係で後ほど事務局の方に御意見をお寄せいただけるということがございまして,時間が全体として不足しましたので申し訳ございませんが,同様に御意見がございます場合は,事務局にお寄せいただければと存じますけど,座長,そのような形でよろしいでしょうか。

【山本座長】 潮見委員,大変失礼しました。ちゃんとチャットを見ていなかったものですから。

【潮見委員】 いえいえ。そこに書いていますように,座長が最初,3分から5分で話してくださいと指示されたのはよかったと思います。ただ,私以外にも御発言したい方もいらっしゃると思いますので,そのあたりの方々は文書なり何なりで送っていただければよいのかなという感じもいたします。
以上です。

【山本座長】 ありがとうございます。大変有益な御指摘を頂きました。
正にそのとおりだと思いますので,御発言いただいた方も時間の関係で言い足りなかった点も結構ですので,御発言いただかなかった委員も含めて,是非,実情の紹介でも意見でも感想でも結構ですので,事務局にお寄せをいただければと思います。

【佐々木専門職大学院室長】 では,ただいま座長からお話がありましたとおり,御意見等ございましたら事務局の方に追加でお寄せいただければと思いますので,よろしくお願いいたします。
本日は大変多くの御意見いただきまして,誠にありがとうございました。先ほど学生の声,状況等についてもしっかり把握をという御指摘も頂きまして,ここも引き続きしっかり検討して対応してまいりたいと思います。
引き続き丁寧に状況を把握して,法曹コースの成功に向けてしっかり取り組んでまいります。よろしくお願いいたします。

【山本座長】 ありがとうございました。
それでは,本日の議事はこれにて終了したいと思います。
今後の日程等につきましては,事務局の方から追って御連絡があろうかと思いますので,引き続きよろしくお願いいたします。
それでは,長時間にわたりまして熱心な御議論を頂きましてありがとうございました。これで本日は終了したいと思います。


―― 了 ――
 

お問合せ先

高等教育局専門教育課専門職大学院室法科大学院係

(高等教育局専門教育課専門職大学院室)